JP2019210180A - 低融点非鉄金属用耐火材 - Google Patents

低融点非鉄金属用耐火材 Download PDF

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Abstract

【課題】反応性が低く、かつ耐熱性に優れた耐火材を提供すること。【解決手段】本発明の低融点非鉄金属用耐火材は、全体を100mass%としたときに、20〜75mass%の炭化ケイ素質材と、20〜75mass%の窒化ケイ素質材と、3〜22mass%の溶融石英質材と、を含有して形成され、気孔率が8〜18%、圧縮強度が50MPa以上であることを特徴とする。本発明の低融点非鉄金属用耐火材は、高い耐熱性及び耐損傷性を備えかつ耐熱衝撃性の高い耐火材となる。【選択図】なし

Description

本発明は、低融点非鉄金属を取り扱う部材に用いられる低融点非鉄金属用耐火材に関する。
アルミニウム質材に代表される低融点非鉄金属材の鋳造には、主に低圧鋳造法が採用されている。低圧鋳造法は、鋳湯管(ストーク)を始め、ヒーターチューブ、測温用保護管、ガス導入管等の部材を備えた鋳造装置を用いて行われる。この鋳造装置は、ストークの上部に設置された鋳型に溶湯を圧鋳して鋳造する。
そして、低圧鋳造法は、溶湯容器内に貯留する溶湯中にストークの先端が浸漬されるように設置した状態で溶湯容器内の湯面を大気又はガスで加圧し、上部に設置された鋳型にストーク内を通して溶湯を注入して鋳込む鋳造法である。
従来、ストーク等の部材には鉄系の材質のものが使用されていた。しかし、これらの鉄系の材質は、耐熱衝撃性は高いが、溶湯との化学反応性が高かった。そうすると、溶湯との間で反応を生じて、容易に異物が生成し、生成した異物が混入しやすくなっていた。異物が混入すると、鋳造される鋳造品(製品)中に異物が介在することとなる。この結果、鋳造品の品質及び歩留まり率が低下していた。
このような問題に対処するために、溶湯との反応性がより低い窒化ケイ素質材及び/又は炭化ケイ素質材の耐火物、サイアロン系の耐火物等のセラミックスよりなる低気孔性焼結耐火物が使用されている。これらのセラミックス系の耐火材を用いることで、前記した欠点は改善される。
しかし、セラミックス系の耐火材は、鉄系の材質に比べて耐熱衝撃性が低い。セラミックス系の耐火材は、使用時の受熱・冷却等の温度変化により組織の脆弱化が進み、時には亀裂の発生を引き起こしていた。亀裂が発生すると、亀裂が原因となって、鋳造時に溶湯とともに空気を巻き込むこととなり、鋳造品にブローホール現象を生じさせる。このように、鋳造品(製品)の品質や歩留まり率が低下しやすいという問題があった。
詳しくは、セラミックス系の耐火材は、使用時に低融点非鉄金属材の溶湯からの熱にさらされて加熱され、また操業停止時には溶湯からの熱にさらされなくなり冷却される。この受熱と冷却の繰り返しにより、結合組織の脆弱化や亀裂の発生が生じやすいという耐熱衝撃性の問題があった。これらが生じると、耐火材(ストーク材)の通気性(通気率)が高まり、また亀裂に起因する空気の巻き込みにより、ブローホールが発生する度合いが高くなっていた。
このように、低圧鋳造法により鋳造されるアルミニウムを初めとする低融点非鉄金属との耐化学反応性(耐食性)、耐熱衝撃性が高く、かつ地金の付着の少ない耐火材が強く求められているのが現状である。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、化学反応性が低く、かつ組織の脆弱化や亀裂の発生による圧力モレの抑えられる耐熱衝撃性に優れた耐火材を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の低融点非鉄金属用耐火材は、全体を100mass%としたときに、20〜75mass%の炭化ケイ素質材と、20〜75mass%の窒化ケイ素質材と、3〜22mass%の溶融石英質材と、を含有して形成され、気孔率が8〜18%、圧縮強度が50MPa以上であることを特徴とする。本発明の低融点非鉄金属用耐火材は、焼成耐火物よりなることが好ましい。
本発明の低融点非鉄金属用耐火材では、低融点非鉄金属との反応性が低い炭化ケイ素質材及び窒化ケイ素質材と、熱間線膨張率が低い溶融石英質材と、を有している。これらの質材を有する構成となる(例えば、混合して複合材化する)ことで、本発明の耐火材は、各質材のそれぞれの特性を発揮できる。
本発明の耐火材は、前記の3つの質材のそれぞれの特性を生かすことで高耐食性、低熱間線膨張性の特性を発揮でき、熱間体積変化を小さくし組織の脆弱化や亀裂の発生を抑えることができる。また、気孔率及び圧縮強度をこの範囲内とすることで、高い耐熱性及び耐損傷性を備えかつ耐熱衝撃性の高い耐火材となる。このように、本発明の低融点非鉄金属用耐火材は、反応性が低く、かつ圧力モレの発生が抑えられた耐火材となっている。
なお、本発明では、各質材の配合比率を質量%(mass%)で示している。本発明では、この値を他の単位に変換したものを含む。例えば、溶融石英質材の見掛比重が約2.20、炭化ケイ素質材及び窒化ケイ素質材の見掛比重が約3.20である。この見掛比重から、体積%(vol%)を算出することができる。また、この配合比率の質量%は、質量部と同等に扱うことができる。
以下、実施形態を用いて本発明を具体的に説明する。
[実施形態]
本形態の低融点非鉄金属用耐火材(以下、本形態の耐火材と称する)は、全体を100mass%としたときに、20〜75mass%の炭化ケイ素質材と、20〜75mass%の窒化ケイ素質材と、3〜22mass%の溶融石英質材と、を含有して形成される。
炭化ケイ素質材は、炭化ケイ素(SiC)を主成分とする材質である。炭化ケイ素を主成分とするとは、炭化ケイ素が質量比で最も多く含まれる状態を示す。
炭化ケイ素は、低融点非鉄金属の溶湯に対して高い耐食性を示す。特に、低融点非鉄金属としてのアルミニウム溶湯との反応性がきわめて小さい。このことは、後述の実施例の耐食性試験結果に示すように、溶損量が0であることからも確認できる。すなわち、炭化ケイ素は、アルミニウム溶湯に対して優れた耐化学反応性を有している。炭化ケイ素質材は、この特性を持つ炭化ケイ素を主成分としており、優れた耐化学反応性(優れた耐食性)を有する。
炭化ケイ素質材は、耐火材全体を100mass%としたときに、20〜75mass%で含まれる。炭化ケイ素質材がこの比率で含有することで、本形態の耐火材が、低融点非鉄金属に対する安定性を有するものとなる。炭化ケイ素質材の主成分の炭化ケイ素は、耐食性(特に、低融点非鉄金属に対する耐食性)が高いことが知られており、この範囲で含まれることで耐火材の耐食性を高めることができる。炭化ケイ素質材の含有比率が20mass%未満では、添加の効果が十分に発揮されなくなる。また、75mass%を超えて多く含有すると、窒化ケイ素質材や溶融石英質材の含有比率が相対的に減少することにより、その特性効果が不十分となる。
炭化ケイ素は、1000℃での熱間線膨張率が約0.45%の材料である。炭化ケイ素質材は、他の質材よりも熱間線膨張率が大きいが、熱伝導率が20Kcal/m/hr℃と高く、耐熱衝撃性が高い材質である。
窒化ケイ素質材は、窒化ケイ素(Si)を主成分とする材質である。窒化ケイ素を主成分とするとは、窒化ケイ素が質量比で最も多く含まれる状態を示す。
窒化ケイ素は、低融点非鉄金属の溶湯に対してほとんど反応しない。特に、低融点非鉄金属としてのアルミニウム溶湯との反応性がきわめて小さい。このことは、後述の実施例の耐食性試験結果に示すように、溶損量が0であることからも確認できる。すなわち、窒化ケイ素は、アルミニウム溶湯に対して優れた耐化学反応性を有している。窒化ケイ素質材は、この特性を持つ窒化ケイ素を主成分としており、優れた耐化学反応性(優れた耐食性)を有する。
窒化ケイ素質材は、耐火材全体を100mass%としたときに、20〜75mass%で含まれる。窒化ケイ素質材がこの比率で含有することで、本形態の耐火材が、低融点非鉄金属に対する安定性を有するものとなる。窒化ケイ素質材の主成分の窒化ケイ素は、耐食性(特に、低融点非鉄金属に対する耐食性)が高いことが知られており、この範囲で含まれることで耐火材の耐食性を高めることができる。窒化ケイ素質材の含有比率が20mass%未満では、添加の効果が十分に発揮されなくなる。また、75mass%を超えて多く含有すると、炭化ケイ素質材や溶融石英質材の含有比率が相対的に減少し、その特性効果が不十分となる。
窒化ケイ素は、1000℃での熱間線膨張率が約0.25%と小さい材料である。窒化ケイ素質材は、熱間線膨張率が小さい窒化ケイ素を主成分としており、高温にさらされても、また、加熱と冷却が繰り返されても高い耐熱衝撃性を有する。
溶融石英質材は、溶融石英を主成分とする材質である。溶融石英とは石英ガラスとも称される物質であり、一般的にはケイ石材を溶融して作製されるガラス(非晶質)で石英の純度が高いものである。また、溶融石英を主成分とするとは、溶融石英が質量比で最も多く含まれる状態を示す。
溶融石英質材は、1000℃での熱間線膨張率が約0.05%である。この熱間線膨張率は、炭化ケイ素や窒化ケイ素のものより大幅に小さい。溶融石英質材は、熱間線膨張率が小さい溶融石英を主成分としており、熱間線膨張率がより小さくなっている。つまり、溶融石英質材を有することで、本形態の耐火材は、溶湯からの高温にさらされても、熱膨張が小さくなっていることで、亀裂の発生が抑えられるものとなる。
溶融石英質材は、耐火材全体を100mass%としたときに、3〜22mass%で含まれる。溶融石英質材を含有することで、本形態の耐火材の耐熱衝撃性を高めることができる。溶融石英質材の主成分の溶融石英は、炭化ケイ素質材及び窒化ケイ素質材よりも熱間線膨張率が小さな材質である。つまり、高温にさらされたときの耐火材の体積変化をより小さくする。この結果、本形態の耐火材は、組織の脆弱化や亀裂の発生が抑えられ、熱衝撃による損傷が生じにくくなり、耐熱衝撃性が向上する。溶融石英質材の含有比率が3mass%未満では、添加の効果が十分に発揮されない。また、22mass%を超えて多く含有すると、耐食性が低下して、その特性効果が不十分となる。
本形態の耐火材では、炭化ケイ素質材、窒化ケイ素質材と溶融石英質材とを合計で90mass%以上で含有することが好ましい。上記の炭化ケイ素質材、窒化ケイ素質材と溶融石英質材は、それぞれ異なる熱間線膨張率を有している。この熱間線膨張率が異なる異膨張性材料を組み合わせることでより耐熱衝撃性を高める効果を発揮する。炭化ケイ素質材、窒化ケイ素質材と溶融石英質材とを合計で95mass%以上で含有することが好ましく、炭化ケイ素質材、窒化ケイ素質材と溶融石英質材で主に形成されること(すなわち、合計が100mass%)がより好ましい。
なお、本形態の耐火材では、使用条件により、10mass%未満で、更に別の耐火材原料を添加することができる。別の耐火材原料とは、例えば、耐食性の高いアルミナや酸化クロム、ジルコン、ジルコニア等の原料を挙げることができる。
本形態の耐火材では、上記の本形態の耐火材の構成原料(炭化ケイ素質材、窒化ケイ素質材及び溶融石英質材)に加えて、さらに、従来知られた添加材を添加することができる。従来知られた添加材を添加する場合の添加量は、外掛けで規定できる。従来知られた添加材とは、耐火材の製造のために添加される物質を挙げることができる。例えば、後述の製造方法において添加される解膠材、硬化材等の添加材を挙げることができる。また、本形態の耐火材では、これらの添加材に由来する反応生成物等は構成原料には含まれない。なお、本形態の耐火材の構成原料は、不可避不純物を含んでいてもよい。
本形態の耐火材における、炭化ケイ素質材、窒化ケイ素質材と溶融石英質材とのそれぞれの含有比率は、上記の比率を満たす範囲であれば限定されるものではない。
そして、本形態の耐火材は、気孔率が8〜18%、圧縮強度が50MPa以上である。
本形態の耐火材は、気孔率が8〜18%である。気孔率を8%以上とすることで耐熱衝撃性を備えたものとなる。また、気孔率が18%以下となることで、耐火材の通気性の増加を抑えられる。具体的には、気孔率が過剰に大きくなると、鋳造時の溶湯中へのガス巻き込み度が高くなり、ピンホール等の不具合が生じやすくなる。
本形態の耐火材は、圧縮強度が50MPa以上である。圧縮強度が50MPa以上とすることで、耐火材自身の強度を確保できる。低融点非鉄金属の溶融装置、鋳造装置等の装置に用いた場合、溶湯の流れによる損傷が抑えられ、耐火材としての寿命の低下が抑えられる。
本形態の耐火材は、1000℃での熱間線膨張率が0.4%以下であることが好ましい。熱間線膨張率が0.4%以下となることで、本形態の耐火材が溶融金属等による高温にさらされても、膨張(体積変化)が抑えられ、耐熱衝撃性の効果が発揮される。
本形態の耐火材は、粒子径が74μm未満の微粒子材と、74μm以上の粒子材と、を有し、微粒子材は、窒化ケイ素質材又は、窒化ケイ素質材と炭化ケイ素質材より形成されることが好ましい。粒子径が74μm以上の粒子材は、後述の中粒子材及び粗粒子材から形成できる。
本形態の耐火材は、一般的な耐火材と同様に、粗粒子材、中粒子材、微粒子材から形成することが好ましい。すなわち、本形態の耐火材は、第1の粒子径未満の粒子よりなる微粒子材、第1の粒子径以上でありかつ第2の粒子径未満の粒子よりなる中粒子材、第2の粒子径以上の粒子よりなる粗粒子材から形成されることが好ましい。なお、第1の粒子径<第2の粒子径である。粗粒子材、中粒子材、微粒子材は、分級により粒子径を調整した粒子材(粉末)である。各粒子材の粒径(すなわち、第1の粒子径及び第2の粒子径の値)は限定されるものではなく、耐火材ごとに適宜決定できる。
例えば、第2の粒子径は、第1の粒子径の800%以上とすることができる。さらに具体的には、第2の粒子径は、第1の粒子径の850%以上,900%以上,1000%以上,1100%以上,1500%以上,2000%以上,2500%以上,3000%以上,5000%以上としてもよい。
第1の粒子径としては、100μm以下の粒子径をあげることができ、例えば、90μm,80μm,75μm,74μm等の数値をあげることができる。
本形態の耐火材は、第1の粒子径が74μmであり、第2の粒子径が850μmであることが好ましい。第2の粒子径は、第1の粒子径の1149%(1100%以上)である。この場合、微粒子材は粒子径が74μm未満(第1の粒子径未満)の粒子材であり、中粒子材は粒子径が74μm〜850μm(第1の粒子径以上、第2の粒子径未満)の粒子材を、粗粒子材は粒子径が850μm以上(第2の粒子径以上)の粒子材である。
各粒子材は、所定の目開きサイズのふるいを用いて乾式のふるい分けにより得ることができる。具体的には、第2の粒子径(例えば、850μm)の目開きのふるいで粒子材(粉末)をふるい分けし、ふるい上に残った粉末を粗粒子材とする。ふるい目を通過した粉末のうち第1の粒子径(例えば、74μm)の目開きのふるいでふるい分けし、ふるい上に残った粉末を中粒子材とし、ふるい目を通過した粉末を微粒子材とする。
これらの粒子材のうち微粒子材は、粗粒子材や中粒子材を結合する結合部を形成する。結合部は、耐火材の気孔のほぼ全てを含有した多孔質組織体となる。多孔質組織体は、化学反応性が高く、溶損が助長されやすいという問題がある。本形態の耐火材は、結合部の耐化学反応性を高めることで、この問題を解決することができる。本形態の耐火材では、微粒子材に、耐化学反応性の高い窒化ケイ素質材を少なくとも含む構成、すなわち、微粒子材が窒化ケイ素質材又は、窒化ケイ素質材と炭化ケイ素質材より形成されることが好ましい。窒化ケイ素質材と炭化ケイ素質材より形成される場合、複合材を形成していることが好ましい。
結合部は、窒化ケイ素質材のみからなることがより好ましい。すなわち、微粒子材は、窒化ケイ素質材のみからなることがより好ましい。すなわち、耐食性の小さい溶融石英質材は、微粒子材としての使用比率が少ないことが好ましく、微粒子材に含まれないことがより好ましい。
微粒子材が粗粒子材や中粒子材を結合する結合部を形成し、かつ微粒子材が窒化ケイ素質材又は、窒化ケイ素質材と炭化ケイ素質材より形成される構成となると、その形態の特性から耐食性が低くなっていた結合部が、少なくとも窒化ケイ素質材から形成されることになり、結合部の耐食性が高められる。そうすると、本形態の耐火材は、低融点非鉄金属としてのアルミニウム溶湯との反応量を小さくすることができる。すなわち、本形態の耐火材では、全体の耐食性が高められたものとなる。
本形態の耐火材は、溶融石英質材が粗粒子材または粗粒子材と中粒子材の一部材として炭化ケイ素質材およびまたは窒化ケイ素質材で構成し、かつ窒化ケイ素質材と炭化ケイ素質材または窒化ケイ素質材で微粒子材(結合部)で構成して形成されることが好ましい。この構成によると、熱間線膨張率が低い溶融石英質材の粒子の間に低融点非鉄金属に対する耐食性の高い炭化ケイ素質材および窒化ケイ素質材で結合する結合部が形成される。このため、本形態の耐火材は、高い耐熱衝撃性と耐食性とを発揮することができる。
本形態の耐火材は、溶融石英質材の粒子と炭化ケイ素質材および窒化ケイ素質材の粒子の結合力を高め、必要強度を具備させるため、使用条件と使用原料の特性を加味した適正な熱処理温度範囲を定め焼成し(熱処理し)、焼結させて形成することが好ましい。すなわち、本形態の耐火材は、複合材化された溶融石英質材、炭化ケイ素質材および窒化ケイ素質材が隣接した粒子同士が互いに強く結合した構成であることが好ましい。
本形態の耐火材は、焼成耐火物よりなることが好ましい。焼成耐火物は焼成により製造されるものであり、耐火材が上記の構成(微粒子材が粗粒子材や中粒子材を結合する結合部を形成する構成)を備えたものとなる。
本形態の耐火材は、その形状が限定されるものではない。例えば、溶解精錬や低圧鋳造機等の装置に用いられる場合、溶融金属と当接する表面を形成するように配置することができる。好ましくは、金属等からなる基材の表面に本形態の耐火材を配することも可能である。
本形態の耐火材が当接する溶融金属は、低融点非鉄金属であることが好ましい。低融点非鉄金属とは、融点が1000℃以下の金属である。低融点非鉄金属としては、例えば、アルミニウム(Al、mp;660℃)、亜鉛(Zn、mp;410℃)、鉛(Pb、mp;327℃)、スズ(Sn、mp;231℃)を挙げることができる。これらの低融点非鉄金属は、溶解精錬および鋳造機容器内での溶湯温度が、一般的には例えば、融点から50〜150℃高い温度に保持される。これらの低融点非鉄金属は、溶解・保持・鋳造時等操業時の溶湯温度が1000℃以下である。
(製造方法)
本形態の耐火材は、その製造方法が限定されるものではない。例えば、以下の焼成により製造することが好ましい。
まず、炭化ケイ素質材と窒化ケイ素質材と溶融石英質材を、それぞれ粉砕し、粗粒子材、中粒子材、微粒子材とに分級し、必要となる所定の質材(粒子材)を準備する。そして、それぞれ所定の質量比率(mass%)となるように秤量する。
秤量した各質材を均一に混合・混練し、耐火材の形状に成形する。混合方法は、乾式でも湿式でもいずれでもよい。その後の成形性と品質特性値の点から、湿式混合が好ましい。湿式混合により得られる成形用はい土は、所定の質材のほか、成形、硬化のための助材等の添加材を添加してもよい。添加材としては、解膠材、無機バインダをあげることができる。解膠材としては、トリエタノールアミンをあげることができる。無機バインダとしては、コロイダルシリカをあげることができる。
各質材が混合・混練されたはい土は、定められた形状に成形される。成形は、耐火材の形状に成形できる成形方法であればその方法が限定されない。製造される耐火材の気孔率を所定の範囲内とするために、具体的には湿式加振成形法を用いることが好ましい。
得られた成形体を、乾燥した後、1000〜1300℃で焼成する(熱処理する)。焼成温度が1000℃未満では、焼成後の組織の結合力が低く、耐火材の強度及び耐通気性が低下する。焼成温度が1300℃を超えて高温となると、熱間線膨張率が低い溶融石英質材の一部が、非晶質からトリジマイト、クリストバライト等へと結晶化・転移が始まる。溶融石英質材の結晶化は、熱間線膨張率を高め、耐火材の組織の緻密性・耐通気性を低下する。このことは、組織の脆弱化、耐熱衝撃性の低下による亀裂の発生につながり、鋳造時のガス吸引度が高まり、鋳造品へのピンホールの発生等を引き起こしやすくなる。このことから、成形体の熱処理は、1300℃以下で行うことが好ましい。
以上により、本形態の耐火材が製造される。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
本発明の実施例として、耐火材を製造した。
[実施例1〜5および比較例1〜6]
各例の耐火材は、表1に化学成分値を示した炭化ケイ素質材、窒化ケイ素質材、溶融石英質材を、表2に示した質量比率で含有して製造される。
Figure 2019210180
炭化ケイ素質材は、炭化ケイ素(SiC)を主成分とし、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、酸化鉄(Fe)およびその他の酸化物を不純物として含有してなる。窒化ケイ素質材は、窒化ケイ素を主成分とし、酸化鉄(Fe)およびその他の酸化物を不純物として含有した粒子よりなる。溶融石英質材は、石英(SiO)を主成分とし、アルミナ(Al)、酸化鉄(Fe)およびその他の酸化物を不純物として含有してなる。これらの各質材は、不可避な不純物を含んでいなくてもよい。
各質材の各粒子材を表2に示した粒子径および質量比率(mass%)となるように、粒子径が74μm未満の微粒子材、粒子径が74μm以上かつ850μm未満の中粒子材、粒子径が850μm以上の粗粒子材を、それぞれ所定の質量比率となるように検量する。なお、表2では、各質材の各粒子材の合計が100mass%となるように示した。
続いて、各質材の混合物に添加材を混合する。添加材は、各質材の混合物に対して外掛けで(すなわち、各質材の混合物の質量を100mass%としたときの質量比で)混合する。添加材として、解膠材としてのトリエタノールアミン、無機バインダとしてのコロイダルシリカを硬化材とし、水とともに加えて、均一になるまで混合・混練(湿式混合)して混練物(はい土)を得た。
得られたはい土を、成形型に振動を加えながら充填し、成形を行う。
得られた成形体を、乾燥した後、焼成窯で焼成する。焼成は、実施例1〜5および比較例3〜6では、酸化雰囲気で最高保持温度1070℃にて6〜7時間保持して焼成する。比較例1および2では、酸化雰囲気で最高保持温度1350℃にて6〜7時間保持して焼成する。焼成後は、炉内で自然冷却をする。
以上により、実施例1〜5および比較例1〜6の耐火材(評価拭験用耐火材)を製造する。
製造された各例の耐火材は、表2に示した配合比率を有する。なお、各例の耐火材は、添加材を含有しているが、コロイダルシリカの添加量は外掛けで約1%である。トリエタノールアミンの添加量は、ごく微量である。添加材のコロイダルシリカは、微粒子のSiOが水に分散してなるものであり、SiOが約20%で含有している。製造された各例におけるSiOの増加量は、耐火材全体の1%に満たず、耐火材の特性(耐火材の構成材料により得られる特性)に影響を及ぼすものではない。トリエタノールアミンのような有機化合物の添加材は、焼成により分解・消失し、耐火材に残留しない。
Figure 2019210180
[評価]
各実施例および比較例の耐火材の評価を下記の通り行った。
(品質特性値)
各実施例および比較例の耐火材の評価として、気孔率、吸水率、見掛比重、嵩比重、圧縮強度、曲げ強度、1000℃での熱間線膨張率、熱伝導率、耐スポーリング性、耐食性、耐用寿命、をそれぞれ測定した。測定結果を表2〜3に合わせて示した。
(測定方法)
(a)気孔率、吸水率、見掛比重、嵩比重は、JIS R 2205に記載の測定方法で測定した。
(b)圧縮強度は、JIS R 2206に準拠した方法で測定した。
(c)曲げ強度は、JIS R 2213に記載の測定方法で測定した。
(d)1000℃での熱間線膨張率は、JIS R 2207で測定した。
(e)熱伝導率は、JIS R 2616に記載の測定方法で測定した。
(f)耐スポーリング性は、以下の測定方法で測定した。
まず、各例の耐火材から、40×40×150mmの角柱状の試験片を製造する。この試験片を、炉内温度が1100℃に保持された炉内に設置し、30分間保持する。その後、取り出して空冷した後、弾性率を測定する。この操作を2回繰り返す。
その後、試験片を、1100℃に保持された炉内に配置し、30分間保持する。その後、取り出し、水冷した後に弾性率を測定する。この操作を2回繰り返す。
なお、弾性率の測定は、ASTM C1259−08e1に規定の「打撃共振法」を用いて、動弾性率を測定する。これらの試験片の弾性率の測定結果を表3に示した。表3では、測定結果を、試験前(加熱前)の試験片の弾性率を100%とした場合の弾性率の変化の割合で示した。
Figure 2019210180
(g)耐食性は、以下の方法で測定した。
まず、各例の耐火材から、40×40×150mmの角柱状の試験片を製造する。この試験片を、ルツボ炉で溶解し、750±15℃に保持されたアルミニウムの溶場中に、一方の端部(下端)を浸漬深さ80mmで浸漬する。そして、100時間保持し、試験片を引き上げる。放冷後、試料をほぼ縦中央部で切断し、下端から40mmの部位で溶損量を測定した。測定結果を表3に合わせて示した。
表2及び表3に示したように、実施例1〜5の耐火材は、耐熱性および耐食性に優れた耐火材となっている。一方、比較例1〜6の耐火材は、耐熱性と耐食性のいずれかが劣る耐火材となっている。
(h)耐用寿命は、以下の方法で測定した。
各例の耐火材から、アルミニウム質材の低圧鋳造機用注湯管のストーク材を作製して実機実用試験を行った。
比較例2の耐火材の耐用日数を基準(100%)として、各例の耐火材の耐用日数の比率(%)を求め、各例の耐火材の実使用の耐用寿命とした。求めた耐用寿命比率(%)として、表3に合わせて示した。
(実施例1について)
本例の耐火材は、炭化ケイ素質材よりなる中粒子材および粗粒子材と、窒化ケイ素質材よりなる微粒子材および中粒子材と、溶融石英質材よりなる粗粒子材と、から形成され、気孔率および圧縮強度が所定の範囲内となっている。
具体的には、本例の耐火材は、粒子径の異なる炭化ケイ素質材;55mass%(中粒子材:10mass%、粗粒子材;45mass%)、窒化ケイ素質材;41mass%(微粒子材:34mass%、中粒子材:7mass%)、溶融石英質材;4mass%(粗粒子材:4mass%)の各質材の粒子材から形成されている。
実施例1の耐火材は、低融点非鉄金属との反応性が低い炭化ケイ素質材および窒化ケイ素質材と、熱間線膨張率が低い溶融石英質材と、を有している。溶融石英質材は、熱間線膨張率が低いことから、耐火材の組織の脆弱化や亀裂の発生を抑える硬化を発揮する。
本例の耐火材は、気孔率が14.2%となることで、高い耐熱性と耐熱衝撃性、耐食性を備え、また圧縮強度も111MPaとなることで、高い耐摩耗性を備えた耐火材となっている。
その上で、本例の耐火材は、粒子径が74μm未満の微粒子材を全てと、中粒子材の一部を窒化ケイ素質材で、中粒子材の残部および粗粒子材の一部を炭化ケイ素質材で、粗粒子材の残部を溶融石英質材で形成しており、マトリックス部の全てを窒化ケイ素質材で形成した構成となっている。この構成は、上記した耐食性をより高める効果を発揮する。
これらの効果は、耐スポーリング性試験および耐食性試験の試験結果からも明らかである。
具体的には、耐スポーリング性試験において、空冷と水冷のいずれにおいても、繰り返しの熱衝撃後の弾性率の低下が小さかった。つまり、耐スポーリング性に優れていることが確認できる。
また、耐食性試験において、溶損量が0mm(ゼロ)となっており、アルミニウムと反応がほとんどないことが確認できる。つまり、耐食性に優れていることが確認できる。
以上のように、本例の耐火材は、耐熱衝撃性(耐割れ性)、耐食性(溶融アルミニウムに対するキレ、ヌレ性)が向上した耐火材となっている。
(実施例2について)
本例の耐火材は、実施例1と同様に、炭化ケイ素質材よりなる中粒子材および粗粒子材と、窒化ケイ素質材よりなる微粒子材および中粒子材と、溶融石英質材よりなる粗粒子材と、から形成され、気孔率および圧縮強度が所定の範囲内となっている。
具体的には、本例の耐火材は、粒子径の異なる炭化ケイ素質材;50mass%(中粒子材:11mass%、粗粒子材:39mass%)、窒化ケイ素質材;41mass%(微粒子材:34mass%、中粒子材:7mass%)、溶融石英質材;9mass%(粗粒子材:9mass%)の各質材の粒子材から形成されている。そして、気孔率が14.5%、圧縮強度が108MPaといずれも所定の範囲内となっている。
本例の耐火材でも、実施例1と同様に、耐熱衝撃性(耐割れ性)、耐食性(溶融アルミニウムに対するキレ、ヌレ性)が向上した耐火材となっている。
その上で、本例の耐火材は、粒子径が850μm以上の粗粒子材において、溶融石英質材の比率を増加するとともに炭化ケイ素質材の比率を減少させている。粗粒子材の溶融石英質材の含有比率を増加しても、実施例1と同様の効果を発揮できる、そして、粗粒子材の溶融石英質材の含有比率が増加していることで、耐スポーリング性の減少の割合がより小さくなっていることが確認できる。つまり、本例の耐火材は、耐スポーリング性により優れていることが確認できる。
(実施例3について)
本例の耐火材は、実施例1〜2と同様に、炭化ケイ素質材よりなる中粒子材および粗粒子材と、窒化ケイ素質材よりなる微粒子材および中粒子材と、溶融石英質材よりなる粗粒子材と、から形成され、気孔率および圧縮強度が所定の範囲内となっている。
具体的には、本例の耐火材は、粒子径の異なる炭化ケイ素質材;43mass%(中粒子材:11mass%、粗粒子材;32mass%)、窒化ケイ素質材;42mass%(微粒子材;35mass%、中粒子材:7mass%)、溶融石英質材;15mass%(粗粒子材:15mass%)の各質材の粒子材から形成されている。そして、気孔率が15.1%、圧縮強度が104MPaといずれも所定の範囲内となっている。
この本例の耐火材でも、実施例1〜2と同様に耐熱衝撃性(耐割れ性)、耐食性(溶融アルミニウムに対するキレ、ヌレ性)が向上した耐火材となっている。
その上で、本例の耐火材は、粒子径が850μmより大きい粗粒子材において、溶融石英質材の比率を増加するとともに炭化ケイ素質材の比率を減少させている。粗粒子材の溶融石英質材の含有比率を増加しても、実施例1〜2と同様の効果を発揮できる。そして、粗粒子材の溶融石英質材の含有比率が増加していることで、耐スポーリング性の減少の割合がより小さくなっていることが確認できる。つまり、本例の耐火材は、耐スポーリング性に更に優れていることが確認できる。
(実施例4について)
本例の耐火材は、実施例1〜3と同様に、炭化ケイ素質材よりなる中粒子材および粗粒子材と、窒化ケイ素質材よりなる微粒子材および中粒子材と、溶融石英質材よりなる粗粒子材と、から形成され、気孔率および圧縮強度が所定の範囲内となっている。
具体的には、本例の耐火材は、粒子径の異なる炭化ケイ素質材;35mass%(中粒子材:11mass%、粗粒子材:24mass%)、窒化ケイ素質材;44mass%(微粒子材:36mass%、中粒子材:8mass%)、溶融石英質材;21mass%(粗粒子材:21mass%)の各質材の粒子材から形成されている。そして、気孔率が15.5%、圧縮強度が90MPaといずれも所定の範囲内となっている。
この本例の耐火材でも、実施例1〜3と同様に耐熱衝撃性(耐割れ性)、耐食性(溶融アルミニウムに対するキレ、ヌレ性)が向上した耐火材となっている。
その上で、本例の耐火材は、粒子径が850μmより大きい粗粒子材において、溶融石英質材の比率を増加するとともに炭化ケイ素質材の比率を減少させている。粗粒子材の溶融石英質材の含有比率を増加しても、実施例1〜3と同様の効果を発揮できる。そして、粗粒子材の溶融石英質材の含有比率が増加していることで、耐スポーリング性の減少の割合が最も小さくなっていることが確認できる。つまり、本例の耐火材は、耐スポーリング性に更に優れていることが確認できる。
(実施例5について)
本例の耐火材は、炭化ケイ素質材よりなる微粒子材、中粒子材および粗粒子材と、窒化ケイ素質材よりなる微粒子材、中粒子材および粗粒子材と、溶融石英質材よりなる中粒子材および粗粒子材と、から形成され、気孔率および圧縮強度が所定の範囲内となっている。
具体的には、本例の耐火材は、粒子径の異なる炭化ケイ素質材;39mass%(微粒子材:11mass%、中粒子材:5mass%。粗粒子材:23mass%)、窒化ケイ素質材;48mass%(微粒子材;24mass%、中粒子材;8mass%、粗粒子材:16mass%)、溶融石英質材;13mass%(中粒子材:3mass%、粗粒子材:10mass%)の各質材の粒子材から形成されている。そして、気孔率が15.4%、圧縮強度が94MPaといずれも所定の範囲内となっている。
この本例の耐火材でも、実施例1〜4と同様に耐熱衝撃性(耐割れ性)、耐食性(溶融アルミニウムに対するキレ、ヌレ性)が高い耐火材となっている。
その上で、本例の耐火材は、溶融石英質材の微粒子材を含まず、炭化ケイ素質材および窒化ケイ素質材が微粒子材、中粒子材および粗粒子材としての構成となっている。各質材がこの粒度構成となっても、実施例1〜4と同様の効果を発揮できる。
そして、本例の耐火材は、耐スポーリング性と耐食性のバランスに優れ、耐用寿命に優れていることが確認できる。
(比較例1について)
本例の耐火材は、炭化ケイ素質材のみから構成され、気孔率および圧縮強度が所定の範囲内となっている。
具体的には、本例の耐火材は、粒子径の異なる炭化ケイ素質材;100mass%(微粒子材:33mass%、中粒子材:17mass%、粗粒子材;50mass%)の粒子材から形成されている。そして、気孔率が16.3%、圧縮強度が123MPaと所定の範囲内となっている。
本例の耐火材は、耐食性は優れているが、耐スポーリング性が、各実施例と比較して大きく低下していることが確認できる。
(比較例2について)
本例の耐火材は、炭化ケイ素質材よりなる中粒子材および粗粒子材と、窒化ケイ素質材よりなる微粒子材と、から形成され、気孔率および圧縮強度が所定の範囲内となっている。
具体的には、本例の耐火材は、粒子径の異なる炭化ケイ素質材;67mass%(中粒子材:17mass%、粗粒子材;50mass%)、窒化ケイ素質材;33mass%(微粒子材;33mass%)の各質材の粒子材から形成されている。そして、気孔率が12.8%、圧縮強度が128MPaといずれも所定の範囲内となっている。
本例の耐火材も、比較例1と同様に、耐スポーリング性が大きく低下していることが確認できる。
本例の耐火材は、比較例1の耐火材に対し、微粒子材を炭化ケイ素質材から窒化ケイ素質材に置き換えた構成を有する。本例においても、比較例1と同様、耐食性は優れているが、耐熱衝撃性の低下が大きくなっている。
(比校例3について)
本例の耐火材は、炭化ケイ素質材よりなる中粒子材および粗粒子材と、窒化ケイ素質材よりなる微粒子材および中粒子材と、溶融石英質材よりなる粗粒子材と、から形成され、気孔率および圧縮強度が所定の範囲内となっている。
具体的には、本例の耐火材は、粒子径の異なる炭化ケイ素質材;58mass%(中粒子材:10mass%、粗粒子材:48mass%)、窒化ケイ素質材;40mass%(微粒子材:33mass%、中粒子材:7mass%)、溶融石英質材;2mass%(粗粒子材;2mass%)の各質材の粒子材から形成されている。そして、気孔率が14.0%、圧縮強度が123MPaといずれも所定の範囲内となっている。
本例の耐火材も、比較例1〜2と同様に、耐スポーリング性が、各実施例と比較して大きく低下していることが確認できる。
本例の耐火材は、比較例2の耐火材に対し、中粒子材において、炭化ケイ素質材の比率を減少させ、窒化ケイ素質材を増加している。粗粒子材において、炭化ケイ素質材の比率を減少させ、溶融石英質材を増加している。本例の耐火材は、比較例2と同等の評価結果となっている。すなわち、微量の溶融石英質材を含有しても、比較例2と同様に、耐熱衝撃性が低下することが確認できる。
(比較例4について)
本例の耐火材は、炭化ケイ素質材よりなる中粒子材および粗粒子材と、窒化ケイ素質材よりなる微粒子材および中粒子材と、溶融石英質材よりなる粗粒子材と、から形成され、気孔率および圧縮強度が所定の範囲内となっている。
具体的には、本例の耐火材は、粒子径の異なる炭化ケイ素質材;28mass%(中粒子材:11mass%、粗粒子材:17mass%)、窒化ケイ素質材;45mass%(微粒子材:37mass%、中粒子材:8mass%)、溶融石英質材;27mass%(粗粒子材;27mass%)の各質材の粒子材から形成されている。そして、気孔率が16.0%、圧縮強度が80MPaといずれも所定の範囲内となっている。
本例の耐火材も、比校例1〜3と同様に、耐スポーリング性が、各実施例と比較して大きく低下していることが確認できる。
本例の耐火材は、比較例3の耐火材に対し、粗粒子材において、炭化ケイ素質材の比率を減少させ、溶融石英質材を増加している。
本例の耐火材は、比較例3の耐火材に対し、溶融石英質材の含有比率を増加して過剰量で含有した構成となっている本例の耐火材においては、耐食性が比較例3よりも大きく低下している。
(比較例5について)
本例の耐火材は、実施例4の耐火材において、微粒子材(窒化ケイ素質材)の一部を溶融石英質材へ置き換えた例である。つまり、実施例4の耐火材に対し、更に微粒子材よりなる溶融石英質材を用いた構成を有している。本例の耐火材は、炭化ケイ素質材よりなる中粒子材および粗粒子材と、窒化ケイ素質材よりなる微粒子材および中粒子材と、溶融石英質材よりなる微粒子材および粗粒子材と、から形成され、気孔率および圧縮強度が所定の範囲内となっている。
具体的には、本例の耐火材は、粒子径の異なる炭化ケイ素質材;35mass%(中粒子材:11mass%、粗粒子材;24mass%)、窒化ケイ素質材;41mass%(微粒子材:33mass%、中粒子材:8mass%)、溶融石英質材;24mass%(微粒子材:3mass%、粗粒子材:21mass%)の各質材の粒子材から形成されている。そして、気孔率が15.6%、圧縮強度が89MPaといずれも所定の範囲内となっている。
本例の耐火材は、比較例1〜4に比べて耐スポーリング性は改善されているが、耐食性が大きく低下していることが確認できる。
本例の耐火材は、実施例4の耐火材に対し、粗粒子材および中粒子材は同比率であるが、微粒子材において、窒化ケイ素質材の比率を減少させ、溶融石英質材を増加している(置換している)。
本例の耐火材は、実施例4の耐火材に対し、窒化ケイ素質材の微粒子材の一部を溶融石英質材の微粒子材に置き換えた構成としているので、本例においても、実施例4と同様に、耐熱衝撃性はほぼ同等である。しかし、本例の耐火材は、実施例4の耐火材に対して、溶融石英質材の含有比率が増加して過剰量で含有した構成となっているため耐食性が低下している。
(比較例6について)
本例の耐火材は、実施例4の耐火材において、微粒子材(窒化ケイ素質材)の一部を溶融石英質材へ置き換えた例である。つまり、実施例4の耐火材に対し、更に微粒子材よりなる溶融石英質材を用いた構成を有している。本例の耐火材は、炭化ケイ素質材よりなる中粒子材および粗粒子材と、窒化ケイ素質材よりなる微粒子材および中粒子材と、溶融石英質材よりなる微粒子材および粗粒子材と、から形成され、気孔率および圧縮強度が所定の範囲内となっている。
具体的には、本例の耐火材は、粒子径の異なる炭化ケイ素質材;35mass%(中粒子材:11mass%、粗粒子材:24mass%)、窒化ケイ素質材;37mass%(微粒子材:29mass%、中粒子材:8mass%)、溶融石英質材;28mass%(微粒子材:7mass%、粗粒子材:21mass%)の各質材の粒子材から形成されている。そして、気孔率が15.8%、圧縮強度が87MPaといずれも所定の範囲内となっている。
本例の耐火材も、比較例5と同様に、耐食性が各実施例と比較して大きく低下していることが確認できる。
本例の耐火材は、実施例4の耐火材に対し、微粒子材において、窒化ケイ素質材の比率を減少させ、溶融石英質材を増加している(置換している)。
本例の耐火材は、実施例4の耐火材に対し、溶融石英質材の微粒子材をより多く過剰に含有させた構成を有する。本例においても、比較例5と同様に、耐熱スポーリング性の低下が抑えられている。しかし、本例の耐火材は、耐食性が比較例5よりもさらに大きく低下している。
以上に説明したように。各実施例の耐火材は、微粒子材〜粗粒子材を主体とする炭化ケイ素質材と、微粒子材を主体とする窒化ケイ素質材と、粗粒子材を主体とする溶融石英質材と、から構成され、気孔率および圧縮強度が所定の範囲内となることで、耐熱衝撃性(耐割れ性)、耐食性(溶融アルミニウムに対するキレ、ヌレ性)が向上した耐火材となることがわかる。
さらに、表3に示したように、各実施例の耐火材は、現在広く使用されている比較例2の耐火材と比較して、131〜165%と耐用寿命を高めることができる。合わせて、作業効率・製品の品質・歩留まりを向上することができ、産業上の利益を高めることができる。

Claims (3)

  1. 全体を100mass%としたときに、20〜75mass%の炭化ケイ素質材と、20〜75mass%の窒化ケイ素質材と、3〜22mass%の溶融石英質材と、を含有して形成され、
    気孔率が8〜18%、圧縮強度が50MPa以上であることを特徴とする低融点非鉄金属用耐火材。
  2. 前記低融点非鉄金属用耐火材は、粒子径が74μm未満の微粒子材と、74μm以上の粒子材と、を有し、
    該微粒子材は、窒化ケイ素質材又は、窒化ケイ素質材と炭化ケイ素質材より形成される請求項1記載の低融点非鉄金属用耐火材。
  3. 焼成耐火物よりなる請求項1〜2のいずれか1項に記載の低融点非鉄金属用耐火材。
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