JP7155464B2 - 溶融石英-窒化ケイ素質耐火材 - Google Patents

溶融石英-窒化ケイ素質耐火材 Download PDF

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Description

本発明は、溶融石英質材と窒化ケイ素質材を含む耐火材に関する。
アルミニウム、亜鉛、鉛、スズ等の低融点金属の溶解精錬、鋳造等のプロセスは、各種の装置を用いて行われている。これらの装置は、溶融金属の高熱にさらされる各部材に、耐火材を備えている。従来の耐火材には、鉄系製材よりなるものや、黒鉛質耐火物等よりなる耐火材がある。例えば、特許文献1に記載されている。
特許文献1には、ジルコニア-黒鉛系の耐火材に、水ガラス、リン酸塩、コロイダルシリカの一種を含浸材として用いて封孔処理した耐火材を備えたストークが記載されている。
実開昭61-117355号公報
しかしながら、鉄系製材よりなるものや、黒鉛質耐火物等よりなる耐火材は、金属溶湯と反応を生じ、反応生成物により金属溶湯が汚染されるという問題があった。
また、黒鉛質耐火物等よりなる耐火材では、使用時の加熱、冷却に伴い、耐火材本体の酸化現象が生じ、組織が脆弱化するという問題があった。そうすると、組織の脆弱化した部分を起点に、亀裂の発生・進展が生じる。結果として、鋳造用装置の部材の耐用寿命が短くなる等の問題が生じる。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、反応性が低く、かつ耐熱衝撃性に優れた耐火材を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の溶融石英-窒化ケイ素質耐火材は、全体の質量を100mass%としたときに、30~75mass%の窒化ケイ素質材と、25~70mass%の溶融石英質材と、を合計が90mass%以上となるように含有して形成され、気孔率が7~18%、圧縮強度が35MPa以上、1000℃での熱間線膨張率が0.3%以下であり、下記(1)及び(2)を充足することを特徴とする。
(1)基材粒子と、該基材粒子の間に介在して該基材粒子を結合する結合部と、を備え、
該結合部は、少なくとも前記窒化ケイ素質材を含む。
(2)第1の粒子径未満の粒子よりなる微粒子材、第1の粒子径以上でありかつ第2の粒子径未満の粒子よりなる中粒子材、第2の粒子径以上の粒子よりなる粗粒子材から形成され、
該微粒子材は、該粗粒子材や該中粒子材を結合する結合部を形成するとともに、溶融石英質材を含むことなく窒化ケイ素質材が含まれる。
本発明の溶融石英-窒化ケイ素質耐火材は、窒化ケイ素質材と溶融石英質材とを主成分としている。溶融石英質材は、熱間線膨張率が低く、かつ耐熱衝撃性に優れた材質である。また、窒化ケイ素質材は、アルミニウム等の低融点非鉄金属との反応性が小さい材質である。そして、気孔率、圧縮強さ、熱間線膨張率の特性値を、これらの範囲内とすることで、高い耐食性と耐熱衝撃性の優れた耐火材となる効果を発揮する。
本発明の溶融石英-窒化ケイ素質耐火材は、(1)の構成を有する場合、基材粒子と、基材粒子の間に介在して基材粒子を結合する結合部と、を備え、結合部が、少なくとも窒化ケイ素質材を含む。
この構成によると、2つの質材が複合化しており、上記した効果をより確実に発揮できる。
なお、本発明では、各質材の配合比率を質量%(mass%)で示している。本発明では、この値を他の単位に変換したものを含む。例えば、溶融石英質材の見掛け比重が2.20、窒化ケイ素質材の見掛比重が3.20である。この見掛比重から、体積%(vol%)を算出することができる。また、この配合比率の質量%は、質量部と同等に扱うことができる。
以下、実施形態を用いて本発明を具体的に説明する。
[実施形態]
本形態の溶融石英-窒化ケイ素質耐火材(以下、本形態の耐火材と称する)は、全体の質量を100mass%としたときに、30~75mass%の窒化ケイ素質材と、25~70mass%の溶融石英質材と、を合計が90mass%以上となるように含有して構成する。
窒化ケイ素質材は、窒化ケイ素(Si)を主成分とする材質である。窒化ケイ素を主成分とするとは、窒化ケイ素の含有割合が最も多く含まれる状態を示す。
窒化ケイ素は、一般にはケイ素(具体的には、金属Si)を窒化雰囲気中で高温にさらして、窒素と反応させて得られる。窒化ケイ素は、特に、1000℃以下の低融点金属との反応性が小さい。さらに、窒化ケイ素は、耐火材の中でも、1000℃での熱間線膨張率が約0.25%と小さい材料である。窒化ケイ素質材は、熱間線膨張率が小さい窒化ケイ素を主成分としており、熱間線膨張率が小さくなっている。つまり、本形態の耐火材は、窒化ケイ素質材を含有することで、高温にさらされても、膨張が小さく抑えられる効果を発揮する。
また、溶融石英質材は、溶融石英を主成分とする材質である。溶融石英質材は、石英ガラスとも称される物質である。一般的には、高純度のケイ石質材を溶融材としたガラス状の非晶質材よりなるものである。特に、溶融石英質材は、1000℃での熱間線膨張率が約0.05%と低い素材である。なお、溶融石英を主成分とするとは、溶融石英の含有割合が最も多く含まれる状態を示す。
ここで、溶融石英質材と窒化ケイ素質材の一例を表1~表2に示した。表1には各質材の化学成分値を、表2には各質材の品質特性を、それぞれ示す。
Figure 0007155464000001
Figure 0007155464000002
さらに、本形態の耐火材の主な使用用途である装置で取り扱われる低融点金属材の理論融点、及び鋳造時の溶湯温度の一例を表3に示す。
Figure 0007155464000003
なお、原料構成においては表1~3に示すように、窒化ケイ素質材は、アルミニウム等の低融点金属とはほとんど化学反応による溶損を生じない。溶融石英質材は、低熱間線膨張性で耐熱衝撃性が高い。本形態の耐火材では、これら2つの質材(熱間線膨張率の異なる2つの質材)を組み合わせ、それぞれの優れた特性を引き出し合わせる構成となる。この構成により、低融点金属の溶湯との反応性が小さいことで溶損が少なく、かつ受熱、冷却による熱衝撃にも高い抵抗性を備えることができて割れない(あるいは、亀裂の入らない)特性を具備した耐火材となる。
窒化ケイ素質材は、耐火材全体を100mass%としたときに、30~75mass%で含まれる。窒化ケイ素質材がこの割合で含有することで、本形態の耐火材が、低融点金属に対する安定性を有するものとなる。窒化ケイ素質材の主成分の窒化ケイ素は、耐食性(特に、低融点金属に対する耐食性)が高いことが知られており、この範囲で含まれることで耐火材の耐食性を高めることができる。窒化ケイ素質材の含有割合が30mass%未満では、添加の効果が十分に発揮されなくなる。また、75mass%を超えて多く含有すると、溶融石英質材の含有割合が相対的に減少するようになる。このため、窒化ケイ素質材が過剰に含有すると、耐熱衝撃性を低下させる。
溶融石英質材は、耐火材全体を100mass%としたときに、25~70mass%で含まれる。溶融石英質材がこの割合で含有することで、本形態の耐火材の耐熱衝撃性を高めることができる。溶融石英質材の主成分の溶融石英は、窒化ケイ素質材よりも熱間線膨張率が小さな材質である。つまり、耐火材が高温にさらされたときの体積変化がより小さくなる。この結果、本形態の耐火材は、熱衝撃による損傷が生じにくくなり、耐熱衝撃性が向上する。溶融石英質材の含有割合が25mass%未満では、添加の効果が十分に発揮されなくなる。また、70mass%を超えて多く含有すると、窒化ケイ素質材の含有割合が相対的に減少することにより、耐食性を損なうこととなる。
そして、本形態の耐火材では、窒化ケイ素質材と溶融石英質材とを合計が90mass%以上となるように含有される。窒化ケイ素質材と溶融石英質材とを合計が90mass%以上となるように含有することで、上記の窒化ケイ素質材と溶融石英質材とのそれぞれが保有する特性を発揮する。窒化ケイ素質材と溶融石英質材とを合計が95mass%以上となるように含有することが好ましく、窒化ケイ素質材と溶融石英質材とから形成されること(すなわち、合計が100mass%)がより好ましい。
なお、本形態の耐火材では、10mass%未満で、更に別の耐火材原料を添加することができる。別の耐火材原料とは、例えば、アルミナ,ジルコン,ジルコニア,酸化クロム等の酸化物材及びその化合物や、本形態の特性を損なうことなく、耐食性を高める助材を挙げることができる。また、本形態の耐火材では、これらの添加材に由来する反応生成物を含んでいてもよい。なお、従来知られた添加材以外に、不可避不純物を含んでいてもよい。
本形態の耐火材における、窒化ケイ素質材と溶融石英質材とのそれぞれの含有割合は、上記の割合を満たす範囲であれば限定されるものではない。
そして、本形態の耐火材は、前述のような原料構成とし、かつ気孔率が7~18%、圧縮強度が35MPa以上、1000℃での熱間線膨張率が0.3%以下である。
本形態の耐火材は、気孔率が7~18%である。気孔率が7%以上となることで耐熱衝撃性を備えたものとなる。また、気孔率が18%以下となることで、耐火材の通気性の増加を抑えられる。具体的には、気孔率が過剰に大きくなると、溶融金属のガス吸引度が高くなり、ピンホール等の不具合を生じやすくなる。
本形態の耐火材は、圧縮強度が35MPa以上である。圧縮強度が35MPa以上となることで、耐火材自身の強度を確保できる。耐火材の強度が低くなると、低融点金属の溶融装置または鋳造装置等の装置に用いた場合、流動する溶湯による損傷が抑えられず耐火材を用いてなる部材(耐火材部材)としての寿命の低下をきたす。
本形態の耐火材は、1000℃での熱間線膨張率が0.3%以下である。熱間線膨張率が0.3%以下となることで、本形態の耐火材が溶融金属等による高温にさらされても、膨張(体積変化)が抑えられ、高い耐熱衝撃性・耐食性を発揮できる。
本形態の耐火材は、一般的な耐火材と同様に、粗粒子材、中粒子材、微粒子材から形成される。すなわち、本形態の耐火材は、第1の粒子径未満の粒子よりなる微粒子材、第1の粒子径以上でありかつ第2の粒子径未満の粒子よりなる中粒子材、第2の粒子径以上の粒子よりなる粗粒子材から形成される。なお、第1の粒子径<第2の粒子径である。なお、粗粒子材、中粒子材、微粒子材は、分級により粒子径を調整した粒子材(粉末)である。各粒子材の粒子径(すなわち、第1の粒子径及び第2の粒子径の値)は限定されるものではなく、耐火材ごとに適宜決定できる。
例えば、第2の粒子径は、第1の粒子径の300%以上とすることができる。さらに具体的には、第2の粒子径は、第1の粒子径の340%以上,500%以上,900%以上、950%以上,1000%以上,1500%以上,2000%以上,2200%以上,2270%以上,2500%以上,3000%以上,5000%以上としてもよい。
第1の粒子径としては、500μm以下の粒子径をあげることができ、例えば、500μm,300μm,200μm,150μm,120μm,105μm,100μm,80μm,60μm,50μm,45μm,44μm,40μm等の値をあげることができる。
本形態の耐火材は、第1の粒子径が44μmであり、第2の粒子径が150μmであることが好ましい。第2の粒子径は、第1の粒子径の341%(340%以上)である。この場合、微粒子材は粒度が44μm未満(第1の粒子径未満)の粒子材であり、中粒子材は粒度が44μm~150μm(第1の粒子径以上、第2の粒子径未満)の粒子材を、粗粒子材は粒度が150μm以上(第2の粒子径以上)の粒子材であることが好ましい。
各粒子材は、所定の目開きサイズのふるいを用いて乾式のふるい分けにより得ることができる。具体的には、第2の粒子径(例えば、150μm)の目開きのふるいで粒子材(粉末)をふるい分けし、ふるい分けしてふるい上に残った粉末を粗粒子材とする。ふるい目を通過した粉末のうち第1の粒子径(例えば、44μm)の目開きのふるいでふるい分けし、ふるい上に残った粉末を中粒子材とし、ふるい目を通過した粉末を微粒子材とする。
これらの粒子材のうち微粒子材は、粗粒子材や中粒子材を結合する結合部を形成する。結合部は、耐火材の気孔のほぼ全てを含有した多孔質組織体となる。多孔質組織体は、化学反応度が高く、溶損が助長されやすいという問題がある。本形態の耐火材は、結合部の耐化学反応性を高めることで、この問題を解決することができる。本形態の耐火材では、微粒子材に、耐化学反応性の高い窒化ケイ素質材を少なくとも含むように構成することが好ましい。
すなわち、本発明の耐火材である溶融石英-窒化ケイ素質耐火材は、基材粒子と、基材粒子の間に介在して基材粒子を結合部と、を備え、結合部は、少なくとも窒化ケイ素質材を含むことが好ましい。なお、基材粒子は、上記の粗粒子材や中粒子材に相当する。
結合部は、窒化ケイ素質材のみからなることがより好ましい。すなわち、微粒子材は、窒化ケイ素質材のみからなることがより好ましい。すなわち、耐食性の小さい溶融石英質材は、微粒子材としての使用割合が少ないことが好ましく、微粒子材に含まれないことが好ましい。
ここで、耐食性の小さい溶融石英質材は、化学反応度の小さい部位に用いることが好ましい。すなわち、結合部に結合される基材粒子(粗粒子材や中粒子材に相当)は、溶融石英質材を含むことが好ましい。
基材粒子は、溶融石英質材と窒化ケイ素質材を含むことがより好ましい。ここで、溶融石英質材と窒化ケイ素質材を含む基材粒子は、これらの質材が複合化していることが更に好ましい。複合化することで、耐化学反応性をほぼ損なうことなく、耐熱衝撃性が高く組織の脆弱化・亀裂の発生を抑え、割れの少ない耐火材を開発することができる。
本形態の耐火材は、窒化ケイ素質材が少なくとも微粒子材を備えることが好ましい。窒化ケイ素質材が少なくとも微粒子材を備えることで、本形態の耐火材は、窒化ケイ素質材が粗粒子を固定する(結合する)構成となる。この構成の耐火材を、アルミニウム溶湯と接触させると、微粒子材よりなる結合部がまず損傷を生じる。このことは、微粒子より形成された多孔質材であるためである。そうすると、アルミニウム溶湯に対して反応性がより低い窒化ケイ素質材でこの結合部を形成することで、溶融石英質材がアルミニウム溶湯と反応することが抑えられる。すなわち、本形態の耐火材の高い耐化学反応性が維持される。
本形態の耐火材は、溶融石英質材及び/又は窒化ケイ素質材よりなる粗粒子材、中粒子材を、窒化ケイ素質材の微粒子材が固定した構成であることがより好ましい。この構成によると、熱間線膨張率が小さい溶融石英質材の粒子(粗粒子材、中粒子材)の間に低融点金属に対する耐食性を発揮する窒化ケイ素質材の粒子が介在して固定(結合)する。この結果、本形態の耐火材は、耐熱衝撃性と耐食性とを発揮する。
本形態の耐火材は、溶融石英質材の粒子と窒化ケイ素質材を主成分として形成される。耐火材の組織は、粗粒子材、中粒子材、微粒子材から構成され、溶融石英質材を粗粒子材及び/又は中粒子材とし、窒化ケイ素質材を少なくとも微粒子材を含む粒子材とし、これらを混在してなることが好ましい。なお、窒化ケイ素質材を構成する少なくとも微粒子材を含む粒子材は、少なくとも微粒子材を含む粒子材であり、さらに粗粒子材及び/又は中粒子材が混在していてもよい。
本形態の耐火材は、上記のように、粗粒子材、中粒子材、微粒子材から構成されることが好ましい。これらの粒子材の構成比率は限定されるものではない。粒子材の構成比率を調節することで、同種の原料を用いても特性を大きく左右させることができる。ここで、各粒子材の構成比率は、耐火材の使用用途により連続粒度調整法、不連続粒度調整法を基本として用い、また一部混用する場合もあるが、いずれも適用原料の特性を加味し、粒子を規則的に配列させ、使用条件に最適な粒子間の結合組織を形成させるために行うことができる。なお、耐火材の組成は、微粒子材から形成される部分が、耐火材の気孔をほとんど含有しているため、密度が低く耐食性に劣るため、この部分を充填する原料は前述のごとく、耐食性の高い原料を用いることがより耐用寿命を高めることができる。
本形態の耐火材は、溶融石英質材の粒子と窒化ケイ素質材の粒子の結合力を高め、必要強度を具備させるため、使用条件と使用原料の特性を加味した適正な熱処理温度範囲を定め焼成し(熱処理し)、焼結させて形成することが好ましい。
本形態の耐火材は、製造時の焼成条件を本材に適した焼成温度として、1000~1300℃で焼成されてなることが好ましい。焼成温度が1000℃以下では、組織の結合力が弱く、強度及び耐通気性に不具合を生ずる。また、1300℃を超えると、低熱膨張性の溶融石英質材の一部が、受熱により非晶質からトリジマイト、クリストバライト等へと転移し結晶化が始まる。結晶化が生じると、熱間線膨張率が高まり組織の緻密性や通気性を損ねることとなる。本形態の耐火材を低融点金属の鋳造装置に使用した場合、鋳造時のガス吸引度が高まり、鋳造品へのピンホールの発生等を引き起こす度合いが高まる。また、耐熱衝撃性を損なうことにもなる。
本形態の耐火材は、その形状が限定されるものではない。例えば、溶解精錬や低圧鋳造機等の装置に用いられる場合、溶融金属と接触する表面を形成するように配置することができる。好ましくは、金属等からなる基材の表面に本形態の耐火材を配することも可能である。
本形態の耐火材は、各種の装置に設置されて溶融金属を処理するときに、溶融金属と直接当接する。耐火材に当接する溶融金属は、低融点非鉄金属であることが好ましい。低融点非鉄金属とは、融点が1000℃以下の金属である。低融点非鉄金属としては、例えば、アルミニウム(Al、mp;660℃)、亜鉛(Zn、mp;410℃)、鉛(Pb、mp;327℃)、スズ(Sn、mp;231℃)を挙げることができる。これらの低融点非鉄金属は、溶解精錬および鋳造機容器内での溶湯温度が、一般的には例えば、融点から50~150℃高い温度に保持される。これらの低融点非鉄金属は、溶解・保持・鋳造時等操業時の溶湯温度が1000℃以下である。
(製造方法)
本形態の耐火材は、その製造方法が限定されるものではない。例えば、以下の方法により製造できる。
まず、窒化ケイ素質材の粒子材、溶融石英質材の粒子材をそれぞれ所定の前処理を行い準備する。窒化ケイ素質材は、粗粒子材,中粒子材,微粒子材を、溶融石英質材は、粗粒子材,中粒子材をそれぞれ準備することが好ましい。
準備された各粒子材(原料)を定められた配合比率に秤量する。この原料を、粗粒子材,中粒子材,微粒子材の粒子間結合をより高め、かつ均一になるように、混合・混練を行い、はい土として成形に供する。はい土は、湿式方式でも乾式方式でもいずれでもよいが、成形上、品質上、湿式方式であることが好ましい。このとき、適宜の添加材として解膠材,無機バインダを用いることができるが、解膠材としてはトリエタノールアミン、無機バインダとしてはコロイダルシリカ等と水を用いることが好ましい。
窒化ケイ素質材と溶融石英質材の混合物(はい土)は、耐火材の形状に成形される。成形は、耐火材の形状に成形できる成形方法であれば限定されない。製造される耐火材の気孔率を所定の範囲内とするために、圧縮成形(加圧成形)であることが好ましく、より具体的には湿式加振成形法を用いることがよい。
得られた成形体を、1000℃~1300℃で焼成する(熱処理する)。焼成温度が1000℃以下では、焼成後の組織の結合力が低く、強度及び耐通気性に不具合が生じやすくなる。焼成温度が1300℃を超えて高温となると、熱間線膨張率が低い溶融石英質材の一部が、非晶質からトリジマイト、クリストバライト等へと転移し結晶化が始まる。この結晶化により、熱間線膨張率が高まり耐熱衝撃性を損なうとともに、耐火材の組織の緻密性、通気性を損ねるようになる。そうすると、製造された耐火材を低融点金属の鋳造装置に使用した場合、鋳造時のガス吸引度が高まり鋳造品へのピンホールの発生等を引き起こす度合いが高まる。また耐熱衝撃性を損なうことにもなる。
所定時間の焼成後、放冷(徐冷)する。
以上により、本形態の耐火材が製造される。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
本発明の実施例として、耐火材を製造した。
[実施例1~4及び比較例1~5]
まず、上記の表1に組成を示した窒化ケイ素質材の粉末と溶融石英質材の粉末を、表4に示した粒子径及びmass%(質量部)となるように準備する。なお、表1は、それぞれの粉末全体の質量を100mass%としたときの、それぞれの成分の質量割合をmass%で示した値である。表4は、窒化ケイ素質材の粉末と溶融石英質材の粉末との合計質量を100mass%としたときに、粒子径ごとの質量割合をmass%で示した値である。
なお、表4では、原料の配合比率を質量%で示す。表4には、実施例と比較例の配合比率及び品質特性値例を示している。
Figure 0007155464000004
具体的には、上記の表1に示したように、窒化ケイ素質材は、窒化ケイ素(Si)を主成分とする。溶融石英質材は、非晶質の石英ガラス(SiO)を主成分とする。これらの質材は、原料の製造時に混入する不可避な不純物(不可避不純物)が混入している素材である。
なお、各例では、成形用はい土とするために、本材100質量%に対して、解膠材としてトリエタノールアミン、硬化材にバインダとしても機能する無機質のコロイダルシリカ、水を添加材として加え混合・混練して成形に供している。
また、各例の耐火材の成形は湿式加振成形法を用いて行いて成形した。成形体は、乾燥炉に入れて付着水分を除去した後、シャットル窯で最高温度1070℃、35時間での焼成スケジュールで焼成、シャットル窯を加熱するための火を止めた後は、炉内で自然冷却を行って製造した。
[評価]
(耐火材の特性)
各実施例及び各比較例の耐火材の気孔率、吸水率、見掛け比重、嵩(かさ)比重、圧縮強度、曲げ強度、1000℃での熱間線膨張率を測定した。測定結果を表4に合わせて示した。
気孔率、吸水率、見掛け比重、嵩(かさ)比重は、JIS R 2205に記載の測定方法で測定した。
圧縮強度は、JIS R 2206に準拠した方法で測定した。
曲げ強度は、JIS R 2213に記載の測定方法で測定した。
1000℃での熱間線膨張率は、JIS R 2207に記載の測定方法で測定した。
(耐スポーリング性〉
各例の耐火材の評価として、耐スポーリング性の評価を行った。
耐スポーリング性は、まず、40×40×150mmの角柱状の試験片を製造する。この試験片を、1100℃に保持された炉内に配置し、30分間保持する。その後、取り出して室内放冷した後、弾性率を測定する。この操作を3回繰り返す。
その後、試験片を、1100℃に保持された炉内に配置し、30分間保持する。その後、取り出し、水冷した後に弾性率を測定する。この操作を2回繰り返す。
なお、弾性率の測定は、ASTM C1259-08e1に規定の「打撃共振法」を用いて、動弾性率を測定することで行われた。なお、これらの試験片の弾性率の測定結果を表5に示した。表5では試験前の試験片の弾性率を100%として、弾性率の変化率で示した。
Figure 0007155464000005
(耐食性)
各例の耐火材の評価として、耐食性の評価を行った。
耐食性は、まず、40×40×150mmの角柱状の試験片を製造する。この試験片を、750±15℃に保持されたアルミニウムの溶湯中に、一方の端部(下端)を80mmで浸漬する。100時間保持し、試験片を引き上げる。放冷後、ほぼ中央部で縦方向(軸方向)に切断し、下端から40mmの部分におけるアルミニウムの含浸深さを測定した。測定結果を表5に合わせて示した。
表4~5に示したように、実施例1~4の耐火材は、耐熱衝撃性及び耐食性に優れた耐火材となっている。一方、比較例1~5の耐火材は、耐熱衝撃性と耐食性のいずれかが劣る耐火材となっている。
(実施例1について)
実施例1の耐火材は、耐食性の高い窒化ケイ素質材よりなる微粒子材と、低熱膨張性で耐熱衝撃性の高い溶融石英質材よりなる中粒子材及び粗粒子材と、から形成され、気孔率、圧縮強度及び全体の熱間線膨張率が所定の範囲内となっている。
具体的には、実施例1の耐火材は、粒子径と熱間線膨張率の異なる窒化ケイ素質材を微粒子材42%と溶融石英質材を(中粒子材:15mass%と粗粒子材:43mass%)の二つの材料から形成される。
実施例1の耐火材は、異なる低い熱間線膨張率をもつ二つの質材よりなる。このことにより、耐火材が高熱にさらされて過焼結現象も生じにくく熱膨張が生じても組織変化が抑えられている。その上で、耐火材自身の熱間線膨張率も1000℃で0.114%と低くなっており、耐熱衝撃性が向上している。つまり、実施例1の耐火材は、繰り返し高温にさらされても、その構成が維持される。
また、気孔率が11.7%と低く圧縮強さも50MPaと高いことより、高い耐熱衝撃性と高い耐摩耗性を備えた耐火材となる。
その上、粒子径の構成上、微粒子の全てを窒化ケイ素質材で構成していることから、耐食性をより高める効果を発揮する。
これらのことは、耐スポーリング性試験及び耐食性試験からも明らかである。
具体的には、耐スポーリング性試験において、放冷(空冷)では繰り返しの熱衝撃において弾性率の変化がみられなかった。また、水冷においても、弾性率の低下の割合が低いことが確認できる。つまり、耐スポーリング性(耐熱衝撃性)に優れていることが確認できる。
また、耐食性試験において、溶損量が0.4mmと各比較例と比較して低いことが確認できる。つまり、耐食性に優れていることが確認できる。
以上のように、実施例1の耐火材は、耐熱衝撃性(耐割れ性)、耐食性(溶融アルミニウムに対するヌレ性〉に優れた耐火材となっている。
(実施例2について)
実施例2の耐火材は、実施例1と同様に、窒化ケイ素質材よりなる微粒子材及び中粒子材と、溶融石英質材よりなる粗粒子材と、から形成され、気孔率、圧縮強度及び全体の熱間線膨張率のいずれもが所定の範囲内となっている。
具体的には、実施例2の耐火材は、粒子径と熱間線膨張率の異なる窒化ケイ素質材(微粒子材:39%、中粒子材:20%)と溶融石英質材(粗粒子材:41%)の二つの材料から形成される。そして、気孔率が14.2%、圧縮強度が46MPa及び全体の熱間線膨張率が0.145%といずれも所定の範囲内となっている。
この実施例2の耐火材でも、実施例1と同様に耐熱衝撃性(耐割れ性)、耐食性(溶融アルミニウムに対するヌレ性)が向上した耐火材となっている。
その上で、実施例2の耐火材は、粒子径が150μm以上の粗粒子材を全て溶融石英質材とし、それ以外の中粒子材と微粒子材を窒化ケイ素質材としている。粗粒子材を溶融石英質材のみとしても、実施例1と同様の効果を発揮できる。そして、窒化ケイ素質材としての中粒子材と微粒子材の含有割合が増加していることで、耐食性試験の含浸深さ0.2mmと更に低くなっていることが確認できる。つまり、実施例2の耐火材は、耐食性により優れていることが確認できる。
(実施例3について)
実施例3の耐火材は、実施例1~2と同様に、窒化ケイ素質材よりなる微粒子、中粒子及び粗粒子と、溶融石英質材よりなる粗粒子と、から形成され、気孔率、圧縮強度及び全体の熱間線膨張率のいずれもが所定の範囲内となっている。
具体的には、実施例3の耐火材は、粒子径と熱間線膨張率の異なる窒化ケイ素質材(微粒子材:37%、中粒子材:19%、粗粒子材:14%)と溶融石英質材(粗粒子材:30%)の二つの材料から形成される。そして、気孔率が16.4%、圧縮強度が41MPa及び全体の熱間線膨張率が0.185%といずれも所定の範囲内となっている。
この実施例3の耐火材でも、実施例1~2と同様に耐熱衝撃性(耐割れ性)、耐食性(溶融アルミニウムに対するキレ、ヌレ性)が向上した耐火材となっている。
その上で、実施例3の耐火材は、溶融石英質材の粒子径が150μm以上の粗粒子からなり、窒化ケイ素質材が微粒子、中粒子及び粗粒子からなる。本例においても実施例2の耐火材と同様に、窒化ケイ素質材の含有割合が増加していることで、耐食性試験の溶損量が0.2mmと更に低くなっていることが確認できる。つまり、実施例3の耐火材は、耐食性により優れていることが確認できる。
(実施例4について)
実施例4の耐火材は、実施例2と同様に、窒化ケイ素質材よりなる微粒子及び中粒子と、溶融石英質材よりなる粗粒子と、から形成され、気孔率、圧縮強度及び全体の熱間線膨張率のいずれもが所定の範囲内となっている。
具体的には、実施例4の耐火材は、粒子径と熱間線膨張率の異なる窒化ケイ素質材(微粒子材:49%、中粒子材:19%)と溶融石英質材(粗粒子材:32%)の二つの材料から形成される。そして、気孔率が16.9%、圧縮強度が51MPa及び全体の熱間線膨張率が0.21%といずれも所定の範囲内となっている。
この実施例4の耐火材でも、実施例1~3と同様に耐熱衝撃性(耐割れ性)、耐食性(溶融アルミニウムに対するヌレ性)が向上した耐火材となっている。
その上で、実施例4の耐火材は、実施例2の耐火材と比較して、粒子径が150μm以上の粗粒子の含有割合を減らすとともに、粒子径が44μm未満の微粒子の含有割合を増やしている。粗粒子と微粒子の割合を所定の範囲内で変化させても、実施例1~3と同様の効果を発揮できる。そして、窒化ケイ素質材の含有割合が増加していることで、耐食性試験での溶損量も0.2mmと実施例2と同等程度に低くなっていることが確認できる。つまり、実施例4の耐火材は、耐食性により優れていることが確認できる。
(比較例1について)
比較例1の耐火材は、溶融石英質材のみから形成され、気孔率、圧縮強度及び全体の熱間線膨張率のいずれもが所定の範囲内となっている。
具体的には、比較例1の耐火材は、粒子径の異なる溶融石英質材(微粒子:33%、中粒子:17%、粗粒子:50%)の粒子から形成されている。そして、気孔率が10.5%、圧縮強度が60MPa及び全体の熱間線膨張率が0.061%といずれも所定の範囲内となっている。
比較例1の耐火材は、耐スポーリング性及び耐食性が、各実施例と比較して大きく低下していることが確認できる。
比較例1の耐火材は、溶融石英質材のみから形成されている。本例の耐火材では、溶融石英質材の低い熱間線膨張率の特性を有しているが、耐熱スポーリング性試験において、熱衝撃を繰り返したときの弾性率が大きく低下していることがわかる。このことは、異膨張性材料を含む溶融石英質材単体なるためである。また、本例の反応性の低い窒化ケイ素質材が含まれず。耐食性も低下している。
(比較例2について)
比較例2の耐火材は、窒化ケイ素質材よりなる微量の微粒子と、溶融石英質材よりなる微粒子、中粒子及び粗粒子と、から形成され、気孔率、圧縮強度及び全体の熱間線膨張率のいずれもが所定の範囲内となっている。
具体的には、比較例2の耐火材は、粒子径と熱間線膨張率の異なる窒化ケイ素質材(微粒子材:23%)と溶融石英質材(微粒子材:15%、中粒子材:16%、粗粒子材:46%)の二つの材料から形成される。そして、気孔率が10.8%、圧縮強度が55MPa及び全体の熱間線膨張率が0.073%といずれも所定の範囲内となっている。
比較例2の耐火材も、比較例1と同様に、耐熱スポーリング性及び耐食性が、各実施例と比較して大きく低下していることが確認できる。
比較例2の耐火材は、比較例1の耐火材に対し、溶融石英質材の一部を窒化ケイ素質材に置き換えさせた構成を有する。本例においても、比較例1と同様に、耐熱衝撃性の低下が大きくなっている。同時に、耐食性も低下している。
各実施例と比較例1~2の比較から、窒化ケイ素質材の含有割合が少ない場合には、耐熱衝撃性及び耐食性が低下することが確認できる。
(比較例3について)
比較例3の耐火材は、窒化ケイ素質材よりなる微量の粗粒子と、溶融石英質材よりなる中粒子及び粗粒子と、から形成され、全体の熱間線膨張率のいずれもが所定の範囲内となっている。
具体的には、比較例3の耐火材は、粒子径に熱間線膨張率の異なる窒化ケイ素質材(微粒子材:24%)と溶融石英質材(中粒子材:23%、粗粒子材:53%)の二つの材料から形成される。そして。気孔率が24.0%と過剰に大きく、圧縮強度が22MPaと過剰に小さくなっている。全体の熱間線膨張率が0.074%と所定の範囲内となっている。
比較例3の耐火材も、比較例1~2と同様に、耐スポーリング性及び耐食性が、各実施例と比較して大きく低下していることが確認できる。
比較例3の耐火材は、比較例2の耐火材に対し、溶融石英質材の微粒子を、ほぼ溶融石英質材の中粒子と粗粒子に置き換えさせた構成を有する。本例においても、比較例2と同様に、耐熱衝撃性の低下が大きくなっている。
各実施例と比較例1~3の比較から、窒化ケイ素質材の含有割合が少ない場合には、耐熱衝撃性及び耐食性が低下することが確認できる。
(比較例4について)
比較例4の耐火材は、窒化ケイ素質材よりなる微粒子、中粒子及び粗粒子と、溶融石英質材よりなる微量の粗粒子と、から形成され、全体の熱間線膨張率が所定の範囲内となっている。
具体的には、比較例4の耐火材は、粒子径と熱間線膨張率の異なる窒化ケイ素質材(微粒子材:35%、中粒子材:18%、粗粒子材:32%)と溶融石英質材(粗粒子材:15%)の2つの材料から形成される。そして気孔率が19.7%と過剰に大きく、圧縮強度が31MPaと過剰に小さく、全体の熱間線膨張率が0.225%と所定の範囲内となっている。
比較例4の耐火材も、比較例1~3と同様に、耐スポーリング性及び耐食性が、各実施例と比較して大きく低下していることが確認できる。さらに、比較例4の耐火材では、耐スポーリング性試験において、1回目(初回)から弾性率の大幅な低下が確認できる。
比較例4の耐火材は、溶融石英質材よりも熱間線膨張率が大きな窒化ケイ素質材を主体とする構成を有する。この構成によると、各実施例及び比較例1~3と比較して、耐火材自身の熱間線膨張率が高くなる。気孔率及び圧縮強度の低下が生じやすくなり、耐熱衝撃性及び耐食性が低下している。
(比較例5について)
比較例5の耐火材は、窒化ケイ素質材のみから形成され、全体の熱間線膨張率が所定の範囲内となっている。
具体的には、比較例5の耐火材は、窒化ケイ素質材(微粒子材:33%、中粒子材:17%、粗粒子材:50%)の粒子から形成される。そして、気孔率が24.5%と異常に大きく、圧縮強度が23MPaと低く、全体の熱間線膨張率は0.257%と所定の範囲内となっている。
比較例5の耐火材も、比較例1~4と同様に、耐スポーリング性及び耐食性が、各実施例と比較して大きく低下していることが確認できる。さらに、比較例5の耐火材では、比較例4と同様に、耐スポーリング性試験において、1回目(初回)から弾性率の大幅な低下が確認できる。
比較例5の耐火材は、溶融石英質材よりも熱間線膨張率が大きな窒化ケイ素質材のみから形成される構成を有する。この構成によると、各実施例及び比較例1~4と比較して、耐火材自身の熱間線膨張率が高くなる。そして、高熱にさらされると組織及び圧縮強度の劣化が生じやすくなり、耐熱衝撃性及び耐食性が低下している。
さらに、比較例5の耐火材は、窒化ケイ素質材の各粒子の結合力が弱く、かつ気孔率がかなり大きくなる。この結果、耐通気性の低さ、耐熱スポーリング性及び耐摩耗性が大幅に低下する。
以上に説明したように、各実施例の耐火材は、微粒子を主体とする窒化ケイ素質材と、粗粒子を主体とする溶融石英質材と、から形成され、気孔率、圧縮強度及び全体の熱間線膨張率が所定の範囲内となることで、耐熱衝撃性(耐割れ性)、耐食性(溶融アルミニウムに対するヌレ性)が向上した耐火材となることがわかる。

Claims (2)

  1. 全体の質量を100mass%としたときに、30~75mass%の窒化ケイ素質材と、25~70mass%の溶融石英質材と、を合計が90mass%以上となるように含有して形成され、
    気孔率が7~18%、圧縮強度が35MPa以上、1000℃での熱間線膨張率が0.3%以下であり、
    下記(1)及び(2)を充足することを特徴とする溶融石英-窒化ケイ素質耐火材。
    (1)基材粒子と、該基材粒子の間に介在して該基材粒子を結合する結合部と、を備え、
    該結合部は、少なくとも前記窒化ケイ素質材を含む。
    (2)第1の粒子径未満の粒子よりなる微粒子材、第1の粒子径以上でありかつ第2の粒子径未満の粒子よりなる中粒子材、第2の粒子径以上の粒子よりなる粗粒子材から形成され、
    該微粒子材は、該粗粒子材や該中粒子材を結合する結合部を形成するとともに、溶融石英質材を含むことなく窒化ケイ素質材が含まれる。
  2. 前記(2)の構成を有し、
    前記第1の粒子径が44μmであり、前記第2の粒子径が150μmである請求項1に記載の溶融石英-窒化ケイ素質耐火材。
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