JP5465396B2 - 低熱伝導性の断熱キャスタブル用粉体組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、加熱炉等の工業炉の内張断熱層として好適な低熱伝導性の断熱キャスタブル用粉体組成物に関する。
一般に加熱炉等の工業炉は、最も外側のケーシング(鉄皮とも称す)の内側に、不定形耐火物をライニングする。この不定形耐火物のライニングは、ケーシングに近いほうから、断熱ボード、断熱キャスタブル、耐火キャスタブルの順に3層構造とするのが、一般的である。
この中で、ケーシングに最も近い断熱ボートは、現場施工されるが、ケーシングが曲面のケースが多く、しかもライニング層の機械的強度を確保する等の目的でケーシングには200〜300mmピッチでアンカーが設置されていることから、細かく切断して取付けなければならない。したがって、断熱ボートの現場施工は、著しく、施工性が悪く、工業炉の建設費用、維持費用が上昇し、施工期間も長期化する。
さらに、断熱ボードは、施工性が悪いことから、断熱ボードとケーシング、断熱ボード間に隙間ができやすく耐ガスシール性が悪いため、工業炉内等のガスがその隙間を介してケーシングに到達し、ケーシングの腐食の進行を早やめるなどの原因ともなる。
そこで、断熱ボードに匹敵するような特性、具体的には、低熱伝導性、耐熱性および高温での形状安定性に優れた断熱キャスタブルが求められている。このような断熱ボードに匹敵する低熱伝導性の断熱キャスタブルとして、特許文献1には、セラミックスファイバーを使用する断熱キャスタブルが提案されている。しかしながら、セラミックスファイバーは、健康面および環境面への負荷が大きい材料でもあり、セラミックスファイバーを使用しない低熱伝導性の断熱キャスタブルが望まれている。
セラミックスファイバーを使用しない低熱伝導性の断熱キャスタブルとして、特許文献2には、シリカ質中空粒子を使用した断熱キャスタブルが提案されている。しかし、SiOの融点が約1700℃と他の酸化物の融点に比べて低いことから耐熱性の点で充分満足できるものではない。加熱炉等の工業炉の操業温度は、一般的に、1100〜1300℃程度であり、その場合に低熱伝導性の断熱キャスタブルは、約1000℃前後の温度環境下にさらされるものと推定される。したがって、約1000℃で焼成収縮により形状変化すると構造材として機械的強度がでない、最悪の場合、剥離などのおそれもあるので、高温で形状変化が小さく、耐熱性があることも重要である。
セラミックスファイバーを使用しない断熱キャスタブルとして、特許文献3には、有機高分子からなるガス内包球状中空粒を必須成分とし、任意成分として粒度の大きい無機質中空粒を含む断熱キャスタブルが提案されているが、熱伝導率が高く、本件発明の目的とする低熱伝導性の点では、満足できるものではない。
以上のことから、セラミックスファイバーを使用せず、約1000℃前後で耐熱性があり、低熱伝導性の断熱キャスタブルが求められている。
特開2000−203951号公報 特開2003−261390号公報 特開平11−268963号公報
本発明は、セラミックスファイバーを含有せずに断熱ボードなみの断熱性(低熱伝導性)があり、高温(1000℃)での焼成収縮が小さく、形状安定性に優れ、耐熱性に優れた低熱伝導性の断熱キャスタブル用粉体組成物の提供を目的とする。
本発明は、セラミックスファイバーを含有せず、実質的に、骨材と、バインダーと、耐火性微粉と、起泡剤と、からなる断熱キャスタブル用粉体組成物であって、骨材として、SiO 含有量が40〜70質量%で、かつ、Al 含有量が30〜60質量%であるシリカ・アルミナ質中空粒子およびSiO 含有量が70質量%以上であるシリカ質中空粒子を、バインダーとしてアルミナセメント粒子をそれぞれ含み、前記断熱キャスタブル用粉体組成物に外掛で50〜120質量%の水を添加、混練して坏土とし、それを乾燥させた乾燥体の500℃での熱伝導率が0.2W/m/K以下、かつ1000℃で3時間保持した場合の線収縮率が2%以下であることを特徴とする低熱伝導性の断熱キャスタブル用粉体組成物を提供する。
本発明の低熱伝導性の断熱キャスタブル用粉体組成物(以下、本粉体組成物という)は、セラミックスファイバーを含有しないで、シリカ・アルミナ質中空粒子とシリカ質中空粒子とを併用しているため、施工後は、断熱ボードなみの低熱伝導性で断熱性に優れる断熱キャスタブルとなる。したがって、本粉体組成物に基づく断熱キャスタブルは、耐熱ボードの代替材料として有望であるほか、セラミックスファイバーを含有しないため環境、健康への負荷が小さい断熱キャスタブルである。
さらに、本粉体組成物に基づく断熱キャスタブルは、シリカ・アルミナ質中空粒子とシリカ質中空粒子とを併用しているため、中空粒子としてシリカ質中空粒子を単独使用した場合に比べて、耐熱性が向上し、1000℃付近で使用しても形状変化が小さく、実用性においても優れる。
また、アルミナセメントと、耐火性微粉を含むため、キャスタブルとして充分な機械的強度を発揮する。さらに、本粉体組成物は、耐火性微粉を含有するため比較的低水分量で流動性があり、流し込み施工性に優れる。
本粉体組成物は、断熱性および耐熱性に優れたキャスタブル用粉体組成物で、骨材と、バインダーと、耐火性微粉と、起泡剤とを含み、セラミックスファイバーを含有しないものである。本粉体組成物の骨材としては、少なくともシリカ・アルミナ質中空粒子とシリカ質中空粒子とを含むものである。本粉体組成物の骨材をシリカ・アルミナ質中空粒子およびシリカ質中空粒子とすると特性のバランスの点で好ましい。なお、本明細書においては、骨材とは平均粒子直径(以下、粒子直径を粒径と略す)が20μm超の粒子をいうが、アルミナセメント粒子および起泡剤は除かれる。
前記シリカ・アルミナ質中空粒子としては、化学成分としてSiOおよびAlを含むものであれば特に制限されないが、SiO含有量が40〜70質量%(以下、質量%を単に%と略す)で、かつ、Al含有量が30〜60%であると主鉱物としてムライト相を石英相よりも多く含むこととなり、耐熱性に優れるため好ましい。シリカ・アルミナ質中空粒子のSiO含有量が43〜67%で、かつ、Al含有量が33〜57%であるとさらに好ましい。シリカ・アルミナ質中空粒子のSiO含有量が45〜60%で、かつ、Al含有量が40〜55%であると主鉱物として石英相がなくなり、実質的に主鉱物がムライト相となり、耐熱性が向上するため特に好ましい。
なお、本明細書において主鉱物とは、X線回折測定において、各鉱物を同定後、各鉱物毎に強度の最も強いピーク同士を比較し、最強ピークを100としたときのピーク強度が20以上となるものをいう。シリカ・アルミナ質中空粒子の具体的なものとしては、フライアッシュバルーンが好ましいものとして挙げられる。
シリカ・アルミナ質中空粒子の粒径が2mmを超えると、断熱キャスタブルの熱伝導率が高くなるおそれがあるので、本粉体組成物において、シリカ・アルミナ質中空粒子の粒径が2mm未満であると好ましい。シリカ・アルミナ質中空粒子の粒径が1.5mm以下であるとさらに好ましく、シリカ・アルミナ質中空粒子の粒径が1mm以下であると特に好ましい。
なお、本明細書において、粒径は、500μm以下の場合には、レーザー回折式粒度分布測定装置による測定値をいい、500μmを超える場合には、JIS篩いの目開き直径でいうものとする。シリカ・アルミナ質中空粒子の平均粒径は、70〜150μmであると、水を添加して混練し、坏土とした際に適当な流動性が得られるため好ましい。
また、シリカ・アルミナ質中空粒子のかさ比重が0.6以下であると、施工体に断熱性を付与する点で好ましい。シリカ・アルミナ質中空粒子のかさ比重が0.5以下であるとさらに好ましく、0.45以下であると特に好ましい。一方、シリカ・アルミナ質中空粒子のかさ比重が0.1未満であると、粒子のハンドリングが難しくなるため好ましくない。シリカ・アルミナ質中空粒子のかさ比重が0.2以上であるとさらに好ましく、0.3以上であると特に好ましい。
本粉体組成物において、シリカ・アルミナ質中空粒子の含有量は、50〜75%であると、本粉体組成物の施工体の耐熱性および断熱性がバランスよく確保されるため好ましい。本粉体組成物において、シリカ・アルミナ質中空粒子の含有量が52〜70%であるとさらに好ましく、シリカ・アルミナ質中空粒子の含有量が55〜65%であると特に好ましい。
本粉体組成物において、シリカ質中空粒子のかさ比重が、0.09以下であると、空気の含有量が多いため、発泡の度合いが高く、断熱性が向上するため好ましい。シリカ質中空粒子のかさ比重が、0.08以下であるとさらに好ましい。シリカ質中空粒子のかさ比重が0.07以下であると特に好ましい。一方、シリカ質中空粒子のかさ比重が0.01未満であるとハンドリング性が低下するおそれがあり好ましくない。
シリカ質中空粒子の化学成分としては、SiOが70%以上であると諸特性のバランス点で好ましく、SiOが75%以上であるとさらに好ましく、SiOが80%以上であると特に好ましい。
シリカ質中空粒子の粒径が2mmを超えると、断熱キャスタブルの熱伝導率が高くなるおそれがあるので、本粉体組成物において、シリカ質中空粒子の粒径が2mm未満であると好ましい。シリカ質中空粒子の粒径が1.5mm以下であるとさらに好ましく、シリカ質中空粒子の粒径が1.2mm以下であると特に好ましい。
本粉体組成物において、シリカ・アルミナ質中空粒子およびシリカ質中空粒子の両方の中空粒子の粒径が2mm未満であるとさらに好ましく、両方の中空粒子の粒径が1.5mm以下であると特に好ましい。
シリカ中空粒子の平均粒径は、前記シリカ・アルミナ質中空粒子と同様に、70〜150μmであると、粒子が接触した際に空隙を形成しやすく、断熱性が向上するため好ましい。このようなシリカ質中空粒子の具体的なものとしては、パーライトが好ましいものとして挙げられる。
本粉体組成物において、シリカ質中空粒子の含有量は、5〜15%であると、本粉体組成物の施工体の耐熱性および断熱性がバランスよく確保されるため好ましい。シリカ質中空粒子の含有量が5%未満であると、目標の熱伝導率が得られず、一方、シリカ質中空粒子の含有量が15%を超えると、耐熱性が不充分となる恐れがあり好ましくない。本粉体組成物において、シリカ質中空粒子の含有量が7〜14%であるとさらに好ましく、シリカ質中空粒子の含有量が8〜13%であると特に好ましい。
本粉体組成物においては、シリカ・アルミナ質中空粒子およびシリカ質中空粒子以外の軽量骨材を含んでいてもよい。バーミキュライトなどが好ましいものとして挙げられる。
なお、本粉体組成物においては、有機高分子からなる中空粒子は、吹付け施工時に粉体組成物が凝集しやすくなり、ノズルからの吹付けが安定せず、施工性に悪影響を及ぼすおそれがあるため含まないことが好ましい。
本粉体組成物は、バインダーとしてアルミナセメント粒子を含むものである。アルミナセメント粒子としては、平均粒径が1〜30μmであると、水を添加して混練した際に適度な流動性が得られるため好ましい。アルミナセメント粒子の平均粒径が5〜15μmであるとさらに好ましい。アルミナセメント粒子の化学組成はAl含有量が50%以上かつCaO含有量が40%以下のものが好ましい。Al含有量が52%以上かつCaO含有量が38%以下であるとさらに好ましい。
本粉体組成物において、アルミナセメント粒子の含有量が15〜25%であると、施工体として強度を維持しつつ、熱伝導率の上昇を抑えられるため好ましい。アルミナセメント粒子の含有量が25%を超えると、適切な耐熱性および断熱性の付与が難しくなるため好ましくない。アルミナセメント粒子の含有量が24%以下であるとさらに好ましく、アルミナセメント粒子の含有量が23%以下であると特に好ましい。
一方、本粉体組成物において、アルミナセメント粒子の含有量が15%未満であると施工体の強度が不充分となるおそれがあるため好ましくない。アルミナセメント粒子の含有量が16%以上であるとさらに好ましく、アルミナセメント粒子の含有量が17%以上であると特に好ましい。
本粉体組成物は、耐火性微粉を含むものである。本明細書において、耐火性微粉とは、平均粒径が20μm以下の酸化物粒子をいい、アルミナセメント粒子および起泡剤は、耐火性微粉の中に含めない。耐火性微粉としては、SiO含有量が、90%以上であるシリカ微粒子が好ましいものとして挙げられる。シリカ微粒子としては、シリカヒュームなどが具体的に好適なものとして挙げられる。
本粉体組成物において、耐火性微粉の含有量は、4〜15%であると、断熱キャスタブルを坏土にしたときに低水分でポンプ圧送できるだけの流動性が確保でき、しかも施工後の施工体強度も充分なものとなる。耐火性微粉の含有量が4%未満であると、施工体の強度が不充分となるおそれがある。一方、耐火性微粉の含有量が15%を超えると耐熱性が低下するおそれがある。耐火性微粉の含有量が4.5〜12%であるとさらに好ましく、耐火性微粉の含有量が5〜10%であると特に好ましい。
本粉体組成物は、起泡剤(気泡剤とも称する)を含むものである。起泡剤としては、施工後の施工体中に気孔を形成できるものであれば特に制限されないが、ノニオン系など有機系界面活性剤などが好ましいものとして挙げられる。本粉体組成物において起泡剤の含有量としては、0.01〜1.0%であると適正な起泡が得られるため好ましい。起泡剤の含有量が0.02 〜0.9%であるとさらに好ましく、起泡剤の含有量が0.03〜0.8%であると特に好ましい。
本粉体組成物が、実質的に、シリカ・アルミナ質中空粒子、シリカ質中空粒子、アルミナセメント、耐火性微粉および起泡剤からなると、耐熱性、断熱性などの諸特性がうまくバランスされるため好ましい。
本粉体組成物は、所要の水分を添加後、ミキサーを用いて混練して坏土とし、それを所定の型枠の中に流し込んで、乾燥させて乾燥体(以下、本乾燥体と略す)とする。工業的には、本粉体組成物を型枠の中に流し込む等の施工(成形)方法によってバリエーションが生じ、得られた乾燥体を施工体とも称するものである。
本粉体組成物を使用した流し込み施工方法(以下、本施工方法と略す)では、前記所要の水分量としては、本粉体組成物100質量部に対して、60〜110質量部とする。言い換えれば、外掛で60〜110%とするのが好ましい。水分量が外掛で60%未満であると、坏土の発泡が不充分で目標の熱伝導率が得られないおそれがあり、一方、水分量が外掛で110%を超えると骨材と添加水分との分離のおそれがある。
本施工方法の混練用ミキサーとしては、特段制限されるものではなく、汎用のミキサーが使用される。なお、本粉体組成物は、流し込み施工法以外の吹付施工法、こて塗り等の施工法にも好適に使用できるものである。
本乾燥体の110℃で24時間乾燥後のかさ比重は、0.25〜0.55であると好ましい。前記かさ比重が、0.3〜0.5であるとさらに好ましい。本乾燥体の熱伝導率は、測定温度500℃で0.2W/m/K以下である。前記測定条件での熱伝導率が0.2W/m/Kを超えると断熱性が充分でなくなるおそれがあるからである。本乾燥体の前記測定条件での熱伝導率が0.18W/m/K以下であると好ましく、0.16W/m/K以下であるとさらに好ましい。
本乾燥体の1000℃で3時間保持後の線収縮率は、((1000℃で3時間保持前の寸法)−(1000℃で3時間保持後の寸法)/(1000℃で3時間保持前の寸法)で計算するものとする。本乾燥体の線収縮率は、2%以下である。本乾燥体の線収縮率が2%超であると、耐熱性が低下し、乾燥体が剥離等の不具合が発生するおそれがあるからである。本乾燥体の線収縮率が1.9%以下であると好ましく、本乾燥体の線収縮率が1.7%以下であるとさらに好ましく、本乾燥体の線収縮率が1.5%以下であると特に好ましい。本乾燥体の測定温度500℃での熱伝導率が0.16W/m/K以下で、かつ、1000℃で3時間保持後の線収縮率が1.5%以下であると特に好ましい。
以下、本発明の実施例等を説明する。なお、本願発明は、これら実施例に限定されるものではない。例1〜例6が本発明の実施例であり、例7と例8が本発明の比較例である。なお、例8は、本願背景技術の特許文献2に記載された実施例4に基づいて、本発明者が調合・試料作成し、評価したものである。
[原料調合・試料作製法]
表1および表2に示す調合組成(%)となるように原料を秤量した。原料としては、以下のものを使用して実験した。シリカ・アルミナ質中空粒子としては、フライアッシュバルーン(東海工業社製、商品名:SX−50)を使用した。前記フライアッシュバルーンの粒径は0.3mm以下であり、平均粒径は、100μmであった。なお、前記フライアッシュバルーンのかさ比重は、0.4であった。
また、前記フライアッシュバルーンの化学組成は、SiO:56%、Al:35%であり、X線回折測定により、最強ピークはムライト相によるものであり、次にピーク強度の強かったものは、石英相であった。ムライトのピーク強度を100としたときの石英相のピーク強度は約40程度であった。したがって、上記のシリカ・アルミナ質中空粒子の主鉱物としてムライト相を石英相より多く含むことが確認された。
シリカ質中空粒子としては、パーライト(三井金属鉱業社製、商品名:三井パーライト(加工1号))を使用した。前記パーライトの化学組成は、SiO:75%、Al:14%であり、X線回折測定によりガラス相であることが確認された。また、前記パーライトの粒径は1mm以下であり、平均粒径は、300μmである。前記パーライトのかさ比重は、0.06である。
アルミナセメントとしては、アルミナセメント粒子(自社製、商品名:AC−1)を使用した。前記アルミナセメント粒子の化学組成は、SiO:4%、Al:55%、CaO:36%であり、X線回折測定により主鉱物がカルシウムアルミネート相であることが確認された。また、前記アルミナセメント粒子の粒径は0.15mm以下であり、平均粒径は、10μmである。前記アルミナセメント粒子のかさ比重は、1.1である。
耐火性微粉としては、シリカヒューム(Australian Fused Materials社製)を使用した。前記シリカヒュームの化学組成は、SiO:93%であり、X線回折測定によりガラス相であることが確認された。また、前記シリカヒュームの粒度は0.01mm以下であり、平均粒径は、1μmである。前記シリカヒュームのかさ比重は、0.4である。
起泡剤としては、ノニオン系(BASFポゾリス社製、商品名:ESAPON1850)を使用した。また、例8でのみ使用したアルミナ粉としては、アルミナ粒子(昭和電工社製、商品名:A−42−3)を使用した。前記アルミナ粒子の化学組成は、Al:99%であり、X線回折測定により主鉱物がコランダム相であることが確認された。また、前記アルミナ粒子の粒度は20mm以下であり、平均粒径は、5μmである。前記アルミナ粒子のかさ比重は、1.4である。
[評価方法]
表1および表2の各調合組成になるように原料調整し、表1および表2に記載された水分量を添加して、市販のミキサーで約3分混練して、坏土とし、それを型に流し込んでJIS R2553にしたがってサンプル(寸法:160mm×40mm×40mm)とした。得られた各サンプルについて、かさ比重はアルキメデス法により、圧縮強度はJIS R2553にしたがって、線変化率はJIS R2654にしたがって、熱伝導率はJIS R2616にしたがって測定した。
得られた結果を表1および表2に示す。なお、表中、かさ比重1は110℃で24時間乾燥後のサンプルについてのかさ比重値を、かさ比重2は1000℃で3時間乾燥後のサンプルについてのかさ比重値を、それぞれ示す。同様に、圧縮強度1は110℃で24時間乾燥後のサンプルについての圧縮強度値を、圧縮強度2は1000℃で3時間乾燥後のサンプルについての圧縮強度値を、それぞれ示す。
Figure 0005465396
Figure 0005465396
本粉体組成物は、施工して断熱キャスタブルにした場合に、低熱伝導率で低いため断熱性が高く、しかも1000℃での線収縮率が小さいため高温での形状変化が実用上問題ないレベルまで小さい耐熱性の高い断熱キャスタブルを得ることができる。したがって、本粉体組成物による断熱キャスタブルを使用することによって、工業炉の断熱ボードをキャスタブルに代替可能となり、施工性が向上して、施工期間が短縮するなどの有用な効果がある。

Claims (4)

  1. セラミックスファイバーを含有せず、実質的に、骨材と、バインダーと、耐火性微粉と、起泡剤と、からなる断熱キャスタブル用粉体組成物であって、
    骨材として、SiO含有量が40〜70質量%で、かつ、Al含有量が30〜60質量%であるシリカ・アルミナ質中空粒子を50〜75質量%およびSiO含有量が70質量%以上であるシリカ質中空粒子を5〜15質量%、バインダーとしてアルミナセメント粒子を15〜25質量%
    耐火性微粉としてシリカ微粒子を4〜15質量%、
    起泡剤を0.01〜1.0質量%、をそれぞれ含み、
    前記断熱キャスタブル用粉体組成物に外掛で60〜110質量%の水を添加、混練して坏土とし、それを乾燥させた乾燥体の500℃での熱伝導率が0.2W/m/K以下、かつ1000℃で3時間保持した場合の線収縮率が2%以下であることを特徴とする低熱伝導性の断熱キャスタブル用粉体組成物。
  2. 前記シリカ・アルミナ質中空粒子は、主鉱物としてムライト相を石英相より多く含むものである請求項1記載の低熱伝導性の断熱キャスタブル用粉体組成物。
  3. 前記シリカ・アルミナ質中空粒子およびシリカ質中空粒子の粒度が2mm未満である請求項1または2記載の低熱伝導性の断熱キャスタブル用粉体組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の断熱キャスタブル用粉体組成物に外掛で水分を60〜110質量%添加して混練して施工することを特徴とする流し込み施工方法。
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