JP3383185B2 - 鋳造用ノズル - Google Patents

鋳造用ノズル

Info

Publication number
JP3383185B2
JP3383185B2 JP17071597A JP17071597A JP3383185B2 JP 3383185 B2 JP3383185 B2 JP 3383185B2 JP 17071597 A JP17071597 A JP 17071597A JP 17071597 A JP17071597 A JP 17071597A JP 3383185 B2 JP3383185 B2 JP 3383185B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
weight
nozzle
casting
fused
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP17071597A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1110321A (ja
Inventor
修 野村
良介 中村
政道 高井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinagawa Refractories Co Ltd
Original Assignee
Shinagawa Refractories Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shinagawa Refractories Co Ltd filed Critical Shinagawa Refractories Co Ltd
Priority to JP17071597A priority Critical patent/JP3383185B2/ja
Publication of JPH1110321A publication Critical patent/JPH1110321A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3383185B2 publication Critical patent/JP3383185B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属の鋳造用
ノズルに関し、特に、耐食性を低下させずに熱的応力及
び機械的応力により発生する割れが生じない鋳造用ノズ
ルに関する。
【0002】
【従来の技術】鋳造用ノズルの内側表面には、溶融金属
との反応が少なく、且つ溶融金属の流れによる摩耗損傷
に耐えると共に、溶鋼から析出するアルミナクラスター
等の付着堆積による“ノズル閉塞”を生じ難い耐火材質
が必要とされる。また、鋳造用ノズルの外側表面は、ス
ラグや鋳造用パウダーによる浸食作用に耐える必要があ
る。
【0003】鋳造用ノズルは、鋳造直前に予熱される
が、鋳造開始時には、高温の溶融金属に直接接触するた
め、急激な熱衝撃に曝される。同時に、溶融金属のノズ
ル内通過に伴う振動等の機械的な力を受ける。従って、
鋳造用ノズルは、特に鋳造初期に、非常に大きな熱的応
力と機械的応力とを同時に受けることになり、「ノズル
割れ」が発生し、ノズルが折れてしまうことが少なくな
い。
【0004】ところで、最近の鋳造用ノズルとしては、
通常、本体部と外側表面の一部であるパウダーライン部
とに異なる材質を使用することが一般的である。例え
ば、本体部には、アルミナ−炭素質材料を使用し、パウ
ダーライン部には、スラグや鋳造用パウダーに対する耐
食性の高いジルコニア−炭素質が使用されている。ま
た、鋳造用ノズルの内側表面には、最近、特に溶鋼から
析出するアルミナによる閉塞を防止する目的で、本体部
とは異なるCaO・ZrO2材料と炭素とを組み合わせたCZ−
C質やアルミナ質などが適用されることがあり、効果を
挙げている例も多い。
【0005】さらに、前記した「ノズル割れ」を防止す
るため、アルミナ−炭素質に溶融シリカを添加使用する
方法が知られており、広く用いられている。これは、溶
融シリカの熱膨張率が非常に低いことを利用して、熱衝
撃に対する耐スポーリング性を改善したものである。
【0006】その他、特公昭59-19067号公報には、パウ
ダーライン部の耐食性,稼働面の耐磨耗性及び孔閉塞防
止性に優れた鋳造用ノズルとして、 ・主たる鉱物相がムライト,バツデライト,コランダム
よりなり、Al2O3,ZrO2,SiO2の化学組成が一定の範囲内
(注)にある耐火物原料クリンカ−(以下“ZRM”と略
記する)、を使用したノズルが開示されている。 (注):Al2O3→25〜85重量%,ZrO2→10〜70重量%,SiO
2→5〜25重量%
【0007】また、特公昭61-2619号公報には、低膨張
性であるジルコニア・ムライトクリンカーを使用し、高
温での繰返し熱衝撃による疲労の進行を軽減した「アル
ミナ−カーボン質スライディングプレート」に関する技
術が開示されている。同様に、特開昭63-117950号公報
には、ジルコニア・ムライトクリンカーの低膨張性を利
用した「スライドゲート用プレートれんがの製造方法」
に関する技術が開示されている。
【0008】また、特公平7-74091号公報には、ジルコ
ニア・ムライトを使用した「耐スポーリング性のガス吹
込み用ポーラスプラグ耐火物」が開示されている。さら
に、特開平9-25157号公報には、SiO2含有量の多いアル
ミナ−ジルコニア−シリカ質クリンカーを用いた「耐熱
衝撃性及び耐食性に優れた鋳造用耐火物」が開示されて
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、鋳造
用ノズルの内側表面は、溶融金属に対する耐食性,耐磨
耗性及び耐ノズル閉塞性の耐火材が必要とされ、外側表
面は、スラグやパウダーに対する耐食性が要求される。
さらに、鋳造時の大きな熱的応力と機械的応力に対する
耐割れ性を備えていなければならない。
【0010】上記要求に応じるものとして、鋳造用ノズ
ルの内側表面には、ノズル閉塞防止層を設けるなどによ
り、損傷を調整する技術が確立されつつある。ただし、
内側表面のノズル閉塞防止層は、必ずしも耐食性や耐磨
耗性が高い訳ではないので、本体部の材質は、従来程度
の耐食性を有することが必要である。一方、ノズル外側
表面の損傷は、ジルコニア−炭素質材料等からなるパウ
ダーライン部を設けることにより、実用上問題のない程
度の耐食性が得られる状況に至っており、そして、本体
部材質の耐食性については、従来程度でもよく、更に高
める必要はない。
【0011】このように、ノズル内側表面層やノズル外
側表面層のパウダーライン部には、上記したように、必
要に応じてそれぞれに適した材質を配する従来技術を適
用することにより、ほぼ問題を解消できるものである。
【0012】しかしながら、前記した「鋳造時の大きな
熱的応力と機械的応力に対する耐割れ性」を備えた材質
については、これまで知られていない。つまり、鋳造開
始時の熱衝撃や振動による“熱的・機械的応力に対する
耐割れ性”に関しては、満足できる材質(ノズル本体部
の材質)がなかった。
【0013】例えば、溶融シリカを使用した場合、熱衝
撃に対しては割れ抑制の効果がみられるが、機械的応力
に対しては全く効果がなく、さらに、溶融シリカの使用
量を増加すると、耐食性が著しく低下するという欠点が
ある。また、前掲の特公昭59-19067号公報に開示されて
いる「ZRMを使用したノズル」については、耐割れ性
について何ら考慮されておらず、また、ZRMの組成や
配合比率によっては耐食性が著しく低下することがある
という欠点を有している。
【0014】本発明は、前記のような状況に鑑み成され
たものであり、その目的とするところは、従来のノズル
の耐食性を低下させずに、熱的応力および機械的応力に
対して割れを発生せず、折れない鋳造用ノズル(ノズル
本体部の材質)を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、従来のア
ルミナ−炭素質ノズルと比較しつつ、 ・耐食性と耐割れ性の良好な組成範囲の電融アルミナ原
料を考究し、また、 ・特定の組成範囲の電融ムライト−ジルコニア原料は、
耐食性の低下が小さく、熱膨張率が小さく安定してお
り、且つ熱間での変形性を有することを見いだし、そし
て、上記電融アルミナ原料と上記電融ムライト−ジルコ
ニア原料とを組み合わせることにより、本発明を完成す
るに至ったものである。
【0016】即ち、本発明に係る鋳造用ノズルは、「Al
2O3が94重量%以上で、且つFe2O3が0.4重量%以下,Na2
Oが0.4重量%以下である電融アルミナ原料50〜87重量%
と、Al2O3が40〜53重量%で、且つSiO2が13〜20重量
%,ZrO2が32〜44重量%である電融ムライト−ジルコニ
ア原料3〜25重量%と、黒鉛原料10〜35重量%とからな
る原料配合物を、結合剤と共に混練し、成型,焼成して
なることを特徴とする鋳造用ノズル。」(請求項1)を要
旨とし、また、上記原料配合物に、更に、「溶融シリカ
原料を3〜15重量%添加混合してなること」(請求項3)
を要旨とする。
【0017】さらに、本発明に係る鋳造用ノズルは、 ・前記電融アルミナ原料が、TiO2を3.5重量%以下含有
している原料であること(請求項2)、を特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳述する。
【0019】(電融アルミナ原料について)本発明に使
用する電融アルミナ原料は、Al2O3が94重量%以上で、
且つFe2O3が0.4重量%以下,Na2Oが0.4重量%以下の範
囲内の組成でなければならない。
【0020】本発明に用いるアルミナ原料(電融アルミ
ナ原料)は、前記したように、Al2O3含有量が94重量%以
上でなくてはならない。Al2O3含有量が94重量%未満で
あると、後記するように、電融ムライト−ジルコニア原
料の耐食性が高くないので、耐食性を維持することが困
難となるので好ましくない。(より好ましいAl2O3含有量
は、97重量%以上である。)
【0021】また、本発明に使用するアルミナ原料(電
融アルミナ原料)中のFe2O3含有量は、0.4重量%以下が
よい。これを超えると、耐食性の低下が生じるだけでな
く、同時に用いる黒鉛の影響でノズル内部組織は還元性
雰囲気となり、Fe2O3の還元反応が生じることがある。
この還元反応は、ノズルの組織脆化を招き、結果的に強
度が低下し、割れやすく、折れやすくなる。(Fe2O3
含有量は、より好ましくは0.2重量%以下である。)
【0022】更に、本発明に使用するアルミナ原料(電
融アルミナ原料)中のNa2O含有量も0.4重量%以下がよ
い。これを超えると、耐食性が低下するだけでなく、Na
2Oの揮散の影響が大きくなり、ノズルの組織の脆化を招
くようになる。(Na2Oの含有量は、より好ましくは0.3
重量%以下である。)
【0023】本発明に用いるアルミナ原料は、電融アル
ミナでなければならない。焼結アルミナ原料では、コラ
ンダムの結晶が小さく反応しやすいため、耐食性に劣り
好ましくない。従って、本発明では、電融によってコラ
ンダム結晶が大きく発達した原料の使用が好ましい。
【0024】また、本発明に使用する電融アルミナ原料
には、粒自体の割れ性を改善する目的で、TiO2を3.5重
量%以下の範囲内で含有している原料を用いてもよい。
TiO2を少量含有した電融アルミナは、機械的応力に対し
て割れにくくなる性質があることを利用したものであ
る。但し、TiO2を含有する電融アルミナ原料は、高純度
アルミナ原料と比べると耐食性が低くなるので、TiO2
有量は、3.5重量%を超えないことが好ましい。
【0025】(電融ムライト−ジルコニア原料につい
て)本発明に用いる電融ムライト−ジルコニア原料は、
Al2O3が40〜53重量%で、且つSiO2が13〜20重量%,ZrO
2が32〜44重量%の範囲内の組成でなければならない。
【0026】本発明に用いる電融ムライト−ジルコニア
原料としては、電気溶融された液体組成物が、冷却され
る過程で、単斜晶ジルコニアが析出し、その周囲をムラ
イトが取り囲む結晶構成からなるものが好ましい。ま
た、ムライトを形成するのにやや過剰にアルミナが加え
られた場合には、アルミナの結晶であるコランダムが僅
かに晶出してなる結晶構成からなるものも好ましい。
【0027】このような結晶構成により、熱膨張率が低
く安定しており、且つ熱間で変形性を有するという特徴
を得ることができる。従って、全体組成が同じでも、焼
結によって得られたクリンカーは、結晶の晶出の仕方が
異なるので、本発明に係る鋳造用ノズルには使用できな
い。
【0028】そして、このような結晶構成を得るための
組成領域は、図3の相平衡図から判るように、Al2O3
過剰であったり、ZrO2が少なすぎると、初晶としてコラ
ンダムか、ないしはムライトが析出することになるの
で、単斜晶ジルコニアの回りにムライトを析出させるこ
とができなくなる。このため、本発明に用いる電融ムラ
イト−ジルコニア原料としては、Al2O3は53重量%以下
で、且つZrO2は32重量%以上でなければならない。特に
ZrO2が32重量%未満では、熱間での変形性に乏しく好ま
しくない。
【0029】また、Al2O3の下限は、後記するように、S
iO2のほぼ全量がムライトを生成するのに必要十分な量
ではなくてはならず、40重量%以上が必要であり、一
方、ZrO2の上限は、44重量%である。ZrO2が44重量%を
超えると、単斜晶ジルコニアの高温での異常膨張がノズ
ルの体積安定性に悪影響を及ぼし、且つ耐食性の低下を
招くことになるので好ましくない。なお、熱間での変形
性を得るためには、ZrO2含有量が44重量%以下で十分で
ある。
【0030】一方、SiO2が多すぎると、ジルコンやクリ
ストバライト等の結晶が析出し、且つ耐食性も低下する
ので、SiO2は、20重量%以下である必要がある。SiO2
少なすぎるときには、相対的に単斜晶ジルコニアまたは
コランダム結晶が多くなりすぎ、膨張率が不規則で且つ
大きくなるので、13重量%以上のSiO2が必要である。ま
た、Al2O3の下限は、SiO2のほぼ全量がムライトを生成
するのに必要十分な量ではなくてはならず、40重量%以
上が必要である。
【0031】本発明に用いる電融ムライト−ジルコニア
原料としては、厳密には前記組成範囲であっても、前掲
の図3における「ZrO2と3Al2O3・2SiO2とを結ぶ直線(ア
ルケマーデ線)」よりSiO2の多い領域では、通常前記単
斜晶ジルコニア,ムライト,コランダムの各結晶以外
に、非晶質シリカが残留する。非晶質シリカは、熱膨張
率が低く、本発明に係る鋳造用ノズルにおいて何の問題
もない。
【0032】しかし、冷却条件等によって、ZrO2・SiO2
が晶出することがあるので、本発明に用いる電融ムライ
ト−ジルコニア原料の組成範囲は、Al2O3が40〜53重量
%で、且つSiO2が13〜20重量%,ZrO2が32〜44重量%で
あって、しかも、SiO2がSiO2-Al2O3-ZrO2の3成分相平
衡図(図3参照)における「ZrO2と3Al2O3・2SiO2とを結ぶ
アルケマーデ線上付近」もしくは「アルケマーデ線より
少ない領域」にあることが、より好ましい。
【0033】さらに、図3に一点鎖線で示した「ZrO2
3成分の共晶点とを結ぶ線」よりSiO2が少ないと、ムラ
イトより先にコランダム結晶が析出することがあるの
で、本発明に用いる電融ムライト−ジルコニア原料は、
前記したとおりの組成範囲(Al2O3が40〜53重量%で、且
つSiO2が13〜20重量%,ZrO2が32〜44重量%)であっ
て、しかも、SiO2-Al2O3-ZrO23成分相平衡図において
「ZrO2と3Al2O3・2SiO2とを結ぶアルケマーデ線とZrO2
3成分の共晶点とを結ぶ直線」との間の領域(線上を含
む)にSiO2量があることが、より好ましい。
【0034】なお、電融ムライト−ジルコニア原料中の
不純成分は、2重量%以下が好ましく、より好ましくは
1重量%以下である。不純成分が多いと(2重量%を超
えると)、本来の熱間での変形性が得られず、耐食性も
より低下するので好ましくない。
【0035】上記したように、本発明に用いる電融ムラ
イト−ジルコニア原料は、組成を厳密に調整しなけれ
ば、耐食性を低下させずに熱的応力及び機械的応力によ
り発生する割れを抑制することは困難である。従って、
溶融状態から析出した単斜晶ジルコニアの周囲をムライ
トが取り囲む結晶構成からなるものがよく、そして、ム
ライトを形成するのにやや過剰にアルミナが加えられた
場合には、アルミナの結晶であるコランダムが僅かに晶
出してなる結晶構成を得るためには、上述したZrO2,Al
2O3,SiO2含有量でなければならない。
【0036】(本発明に係る鋳造用ノズルにおける各原
料の配合割合)本発明に係る鋳造用ノズルでは、前記し
た電融アルミナ原料と同じく前記した電融ムライト−ジ
ルコニア原料に、更に黒鉛原料を配合してなるものであ
る。各原料の配合量は、電融アルミナ原料が50〜87重量
%,電融ムライト−ジルコニア原料が3〜25重量%,黒
鉛原料が10〜35重量%である。
【0037】鋳造用ノズルの耐食性を確保するために
は、高耐食性である前記電融アルミナ原料を50重量%以
上使用する必要がある。特に浸食性の強い金属が鋳造さ
れることも考慮すると、61重量%以上の使用がより好ま
しい。この電融アルミナ原料の最大使用量(上限値)は、
必須の他の原料の最少使用量の残量であって、87重量%
である。
【0038】電融ムライト−ジルコニア原料は、その特
徴である安定した低膨張性と熱間での変形性を発揮し、
鋳造開始時の熱衝撃や振動により加わる熱的・機械的応
力に対してノズルの十分な耐割れ性を確保するために、
少なくとも3重量%以上使用することが必要であり、よ
り好ましくは5重量%以上である。一方、電融ムライト
−ジルコニア原料は、アルミナやムライト原料より融点
が低く耐食性が高くないので、過剰に使用すると反応溶
損を招くことがあり、したがって、その上限は25重量%
である。より好ましくは18重量%以下に抑えるのがよ
い。
【0039】本発明に係る鋳造用ノズルは、前記したよ
うに、電融アルミナ原料と電融ムライト−ジルコニア原
料に、更に黒鉛原料を配合してなるものであって、黒鉛
原料を10〜35重量%配合するものである。この黒鉛原料
は、従来のノズルにも使用されているものであって、熱
伝導率を高めて熱衝撃に対するスポーリング性を改善す
るためである。このためには、黒鉛原料が10重量%以上
必要である。一方、黒鉛は、スラグやパウダーには濡れ
難く反応しがたいが、例えば溶鋼には容易に溶解してし
まうので、余り多量に使用すると、ノズル全体の損傷が
大きくなってしまう。従って、その上限は35重量%であ
る。
【0040】なお、電融ムライト−ジルコニア原料と黒
鉛原料を同時に多量に用いると、黒鉛原料は、素早く溶
鋼中に溶解してしまい、一方、電融ムライト−ジルコニ
ア原料は、スラグや溶鋼中の酸化物系介在物と反応して
溶損が大きくなるので、電融ムライト−ジルコニア原料
を20重量%以上使用する場合には、黒鉛原料は、25重量
%以下がより好ましい。
【0041】このように、電融アルミナ原料,電融ムラ
イト−ジルコニア原料および黒鉛原料により形成される
本発明に係る鋳造用ノズルは、熱衝撃や機械的応力に耐
える能力が高く、実機使用において最も過酷な条件とな
る鋳造初期においても、割れや折損を生じることが殆ど
ない。
【0042】(溶融シリカ原料の配合)本発明に係る鋳
造用ノズルにおいて、上記電融アルミナ原料,電融ムラ
イト−ジルコニア原料,黒鉛原料に、更に溶融シリカ原
料を3〜15重量%の範囲内で添加使用することができ
る。
【0043】溶融シリカは、一度溶融された後冷却され
た高純度非晶質シリカ原料であり、周知のように熱膨張
率が非常に低いため、比較的少量の添加使用でも熱衝撃
に対する抵抗性を向上させる効果がある。熱衝撃により
発生する熱的応力を溶融シリカ原料で抑制しておけば、
電融ムライト−ジルコニア原料は、機械的応力に耐える
ための変形性を受け持つだけで良いため、ノズル全体と
しては、さらに割れにくくなる効果が生じる。
【0044】特に、鋳造直前の余熱が十分でないような
使用法の場合には、鋳造開始時の「熱衝撃による応力」
を溶融シリカ原料で緩和し、振動による機械的応力を電
融ムライト−ジルコニア原料で緩和することが、本発明
の特徴であり、非常に効果的である。溶融シリカ原料
は、3重量%未満の添加量では、添加の効果が顕著でな
いので、3重量%以上がよい。一方、15重量%を超える
と、急激にノズルの耐食性が低下してくるので好ましく
ない。
【0045】(本発明に係る鋳造用ノズルの製造)本発
明に係る鋳造用ノズルは、前記各原料の配合物に結合剤
を添加し、混練,成形,焼成して製造される。(なお、
結合剤としては、従来から用いられているタール,ピッ
チ類,フェノール樹脂等の樹脂類、糖密,リグニン,澱
粉類等を用いることができる。) 即ち、前記各原料の配合物に結合剤を添加し、その後、
通常の方法で、常温あるいは加温で混練し、成形し、焼
成される。焼成温度は、通常900〜1200℃程度であり、
焼成雰囲気は、必要に応じて酸素濃度等が調整される。
【0046】なお、本発明に係る鋳造用ノズルにおいて
も、従来と同様、パウダーライン部やノズル内面表面層
に異なった材質の耐火材を用いることができ、これも本
発明に包含されるものである。例えば、本発明に係る鋳
造用ノズルをノズル本体部とし、スラグやモールドパウ
ダーに接する部分に、特に耐食性を重視したZrO2-C質を
用いることができ、また、ノズル内面部のアルミナ閉塞
防止のために、アルミナ介在物との反応性を利用したCa
O・ZrO2やCaO・TiO2・ZrO2等を含有する材料、あるいは、
炭素を含まない酸化物材料を用いることができる。
【0047】
【実施例】次に、本発明に係る鋳造用ノズルの実施例を
比較例と共に挙げ、本発明をより詳細に説明するが、本
発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【0048】(実施例1〜6,比較例1〜5)実施例1
〜6および比較例1〜5として、表1,表2に示す化学
組成,構成鉱物を有する電融アルミナ原料及び電融ムラ
イト−ジルコニア原料(A〜F)を使用し、更に、黒鉛,
溶融シリカを用いた。そして、表3に示す各配合(配合N
o.1〜11)となるように秤量を行い、出発原料とした。こ
れらの出発原料にフェノール樹脂を外掛けで12重量%加
えて混練を行い、試料作製用混練原料を得た。なお、使
用した原料に関し、黒鉛以外の原料については、最大粒
径0.59mmとし、標準篩いにより篩い分けした原料を用
いて、各配合とも連続粒度構成となるように調整した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】前記各混練原料(表3に示す配合No.1〜11
の出発原料にフェノール樹脂を外掛けで12重量%加えて
混練した混練原料)を1.0t/cm2でCIP成形を行っ
た。次に、各成形体を非酸化性雰囲気中,1200℃で3時
間焼成し、耐食性評価用試料を作製した。試料の形状
は、30×30×300mmの長柱状とした。
【0053】各試料に対して、溶鋼浸漬による耐食性評
価試験を行い、その試験結果を表4に示す。耐食性評価
試験は、 ・C:30ppm,Si:0.03%,Mn:0.25%,P:0.
007%,S:0.015%,O:500ppm の組成を有する鋼をアルゴンガス雰囲気中で溶解して16
00℃に保持し、上記各試料を下端から15cmの位置まで
浸漬して行った。浸漬時間は3時間とした。そして、試
験後試料について、浸漬部下端から7cmの位置での厚
みを2箇所測定し、平均値から溶損量(mm)を求めた。
更に、浸漬部について、表面加工を行い、強度測定用試
料を作製し、曲げ強度(MPa)を測定すると共に、気孔
率[見掛け気孔率(%)]の測定を行った。なお、試験前
試料についても、各試料の曲げ強度(MPa)および気孔
率[見掛け気孔率(%)]を測定し、その測定結果を表4
に示した。
【0054】
【表4】
【0055】表4から明らかなように、本発明の試料
(実施例1〜6)は、溶損量が少ないことが認められる。
さらに、曲げ強度の低下や気孔率の上昇も少なく、長時
間安定して使用できる材料であることが理解できる。一
方、比較例1〜5では、いずれも溶損量が大きく、原料
組成の効果が大きいと考えられる。また、試験後試料の
強度低下や気孔率上昇割合も、特に不純物量の多い原料
やSiO2成分の多い原料を使用した比較例2,4,5で
は、大きい結果となった。
【0056】(実施例7〜12,比較例6〜10)前掲
の表3に示す配合No.1〜11の出発原料にフェノール樹脂
を外掛けで12重量%加えて混練した各混練原料を1.0t
/cm2でCIP成形し、非酸化性雰囲気中,1200℃で
3時間焼成を行い、図1に示す形状の「スポーリング試
験用ノズル10」を作製した。
【0057】スポーリング試験は、次の要領で実施し
た。1600℃の溶銑中に、室温に保持しておいたノズルを
下端から30cmの位置まで浸漬し、3分間保持した後取
り出し、水中で急冷した。なお、本試験方法では、水中
での急冷時にノズル外周部に引張応力が発生することに
なり、実炉における鋳造初期の熱応力条件と同じ条件が
得られるものである。このスポーリング試験の結果を表
5に示す。
【0058】
【表5】
【0059】表5から、実施例7〜12のノズルでは、
亀裂が発生せず、耐熱衝撃性の面でも優れているという
ことが明らかになった。一方、比較例6〜10の中で
も、配合No.8,9,11の配合を使用した比較例7,8,
10のノズルは、亀裂が発生せず、破壊には到らなかっ
たが、配合No.7,10を使用した比較例6,9のノズルで
は、水中での急冷時に多数の亀裂が発生し、ノズル下端
部が脱落した。
【0060】(実施例13〜18,比較例11〜16)
前掲の表3に示す配合No.1〜6(本発明の配合)および配
合No.8,9,11(比較配合)の出発原料にフェノール樹脂
を外掛けで12重量%加えて混練した混練原料を用い、前
記実施例7〜12と同様、各混練原料を1.0t/cm2
CIP成形し、非酸化性雰囲気中,1200℃で3時間焼成
を行い、そして、図2に示す形状の「実炉での鋳造テス
ト用浸漬ノズル20」を製作した。(なお、比較配合No.
7,10は、スポーリング試験の結果から実炉での使用は
危険と判断して除外した。)
【0061】この実炉テスト用浸漬ノズルは、図2に示
すように、ノズル本体部A,パウダーライン部B,嵌合
部Cから構成されており、そして、実施例13〜18お
よび比較例11〜16で用いた前記混練原料は、図2の
ノズル本体部Aに適用したものであり、パウダーライン
部Bおよび嵌合部Cには、それぞれパウダーライン部材
料および嵌合部材料が配置されている構造のノズルであ
る。
【0062】実炉テストに使用された連続鋳造機は、2
ストランドタイプであり、No.1ストランドに実施例13
〜18(本発明品)を、No.2ストランドに比較例11〜1
6(比較品)を取り付け、合計6回の鋳造テストを行っ
た。鋳造した鋼の平均的な組成は、C:30ppm,S
i:0.02%,Mn:0.30%,P:0.01%,S:0.02%,
O:470ppmであり、3ch(鋳造時間約150分)の鋳造
を行った。
【0063】使用後のノズルを回収し、内孔部の溶損量
を測定すると共に、ノズル全体の観察を行った。表6に
その結果を示す。なお、内孔部の溶損量は、使用後ノズ
ルを縦方向に半分に切断し、図2のP点の位置での溶損
量(片側での溶損量)を測定した。
【0064】
【表6】
【0065】実炉での鋳造テストの結果、表6に示すよ
うに、実施例13〜18のノズルは、内孔部の溶損が少
なく、また、鋳造途中での割れも発生せず、良好に使用
できることが明らかになった。一方、比較例11〜16
のノズルは、内孔部と共に吐出孔周りの溶損も大きく、
耐食性の面で劣る結果となった。なお、比較例12,1
4,15については、鋳造途中に熱衝撃によると考えら
れる縦亀裂が発生したので、鋳造を停止した。また、耐
熱耐熱性の面でも不適当であることが明らかになった。
【0066】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、特定組
成範囲の電融アルミナ原料,同じく特定組成範囲の電融
ムライト−ジルコニア原料および黒鉛原料を特定配合割
合で配合した原料配合物に、結合剤を添加混練し、成
形,焼成してなる鋳造用ノズルであり、これによって、
ノズルの耐食性を低下させずに、熱的応力および機械的
応力に対して割れが発生せず、折れることのない鋳造用
ノズルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例7〜12および比較例6〜10で作製さ
れた「スポーリング試験用ノズル」の縦断面図である。
【図2】実施例13〜18および比較例11〜16で作
製された「実炉テスト用浸漬ノズル」の縦断面図であ
る。
【図3】Al23−SiO2−ZrO2の相平衡図であ
る。
【符号の説明】
10 スポーリング試験用ノズル 20 実炉テスト用浸漬ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 41/54 B22D 11/10 330 C04B 35/103

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al2O3が94重量%以上で、且つFe2O3が0.
    4重量%以下,Na2Oが0.4重量%以下である電融アルミナ
    原料50〜87重量%と、Al2O3が40〜53重量%で、且つSiO
    2が13〜20重量%,ZrO2が32〜44重量%である電融ムラ
    イト−ジルコニア原料3〜25重量%と、 黒鉛原料10〜35
    重量%とからなる原料配合物を、結合剤と共に混練し、
    成形,焼成してなることを特徴とする鋳造用ノズル。
  2. 【請求項2】 前記電融アルミナ原料が、TiO2を3.5重
    量%以下含有している原料であることを特徴とする請求
    項1に記載の鋳造用ノズル。
  3. 【請求項3】 Al2O3が94重量%以上で、且つFe2O3が0.
    4重量%以下,Na2Oが0.4重量%以下である電融アルミナ
    原料50〜87重量%と、Al2O3が40〜53重量%で、且つSiO
    2が13〜20重量%,ZrO2が32〜44重量%である電融ムラ
    イト−ジルコニア原料3〜25重量%と、 溶融シリカ原料
    3〜15重量%と、黒鉛原料10〜35重量%とからなる原料
    配合物を、結合剤と共に混練し、成形,焼成してなるこ
    とを特徴とする鋳造用ノズル。
JP17071597A 1997-06-26 1997-06-26 鋳造用ノズル Expired - Fee Related JP3383185B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17071597A JP3383185B2 (ja) 1997-06-26 1997-06-26 鋳造用ノズル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17071597A JP3383185B2 (ja) 1997-06-26 1997-06-26 鋳造用ノズル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1110321A JPH1110321A (ja) 1999-01-19
JP3383185B2 true JP3383185B2 (ja) 2003-03-04

Family

ID=15910062

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17071597A Expired - Fee Related JP3383185B2 (ja) 1997-06-26 1997-06-26 鋳造用ノズル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3383185B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102053603B1 (ko) * 2015-06-01 2019-12-09 생-고뱅 세라믹스 앤드 플라스틱스, 인코포레이티드 내화성 물품 및 이의 형성 방법
CN109336575A (zh) * 2018-10-26 2019-02-15 淄博工陶耐火材料有限公司 一种含锆再烧结电熔莫来石砖及其制备方法
JP7068255B2 (ja) * 2019-10-31 2022-05-16 黒崎播磨株式会社 CaO-ZrO2組成物,CaO-ZrO2組成物の製造方法,CaO-ZrO2含有耐火物及び鋳造用ノズル

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1110321A (ja) 1999-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101322442B1 (ko) 알루미나 - 티타늄 옥사이드 - 지르코니아 용융 입자
KR101166569B1 (ko) 머드재
KR20100120175A (ko) 지르코니아 뮬라이트 내화 원료 및 플레이트 벽돌
JPS5919067B2 (ja) 高耐用性鋳造用ノズル
US4870037A (en) Prevention of Al2 O3 formation in pouring nozzles and the like
JPH01176266A (ja) カーボン含有耐火物
US4871698A (en) Carbon bonded refractory bodies
CA1267660A (en) Carbon-bonded refractory bodies
JP4297543B2 (ja) アルミナ・ジルコニア・シリカ質溶融鋳造耐火物およびそれを使用したガラス溶融窯
JPH09202667A (ja) スライドゲート用キャスタブル耐火物
US5506181A (en) Refractory for use in casting operations
JP3383185B2 (ja) 鋳造用ノズル
JPS63108950A (ja) 連続鋳造用耐火物
CN114380577B (zh) 一种优质钢用低硅中间包干式料
JP2579681B2 (ja) 連続鋳造用浸漬ノズルの製造方法
JP3015305B2 (ja) 鋼の連続鋳造用ノズル
JPH10130053A (ja) 鋳造用耐火物、連続鋳造用ノズル及びその製造方法
JP2683217B2 (ja) 溶鋼鋳造用ノズル
KR20200086273A (ko) 슬라이드 게이트 밸브용 내화 플레이트, 그러한 플레이트의 재료로서 용융된 원료의 용도 및 그러한 플레이트를 포함하는 용융 용기
JP3579231B2 (ja) 窒化硼素含有ジルコニア・黒鉛質耐火物
JPH0987011A (ja) スライディングノズル装置用上ノズルの製造方法およびその方法で製造された上ノズル
JP2005238241A (ja) 浸漬ノズルおよびその使用方法
JPH08208313A (ja) スライディングノズル用プレート耐火物
JP2000094099A (ja) 連続鋳造用ノズル
JPH11246265A (ja) 高耐食性溶融シリカ含有耐火物

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees