JP6464831B2 - 連続鋳造用浸漬ノズル及び鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造用浸漬ノズル及び鋼の連続鋳造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6464831B2
JP6464831B2 JP2015042086A JP2015042086A JP6464831B2 JP 6464831 B2 JP6464831 B2 JP 6464831B2 JP 2015042086 A JP2015042086 A JP 2015042086A JP 2015042086 A JP2015042086 A JP 2015042086A JP 6464831 B2 JP6464831 B2 JP 6464831B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zirconia
mass
raw material
carbon
continuous casting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015042086A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016159342A (ja
Inventor
奏恵 神村
奏恵 神村
大川 幸男
幸男 大川
正典 岡田
正典 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinagawa Refractories Co Ltd
Original Assignee
Shinagawa Refractories Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shinagawa Refractories Co Ltd filed Critical Shinagawa Refractories Co Ltd
Priority to JP2015042086A priority Critical patent/JP6464831B2/ja
Publication of JP2016159342A publication Critical patent/JP2016159342A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6464831B2 publication Critical patent/JP6464831B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)

Description

本発明は、鋼の連続鋳造に使用される浸漬ノズル及び鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造に用いられる浸漬ノズルはタンディッシュ−水冷モールド間で使用される耐火物である。浸漬ノズルは大気を遮断して溶鋼の酸化を防止すると同時に、水冷モールド内へ整流化した溶鋼を注入し適正な流動状態を調整するために使用されている。
連続鋳造では、水冷モールドの溶鋼表面にCaO、SiO、CaF、NaO、Cなどを含有するモールドパウダーが投入される。投入されたモールドパウダーは溶鋼の熱を受けて溶融し、溶融モールドパウダーとなって溶鋼表面を覆う。溶融モールドパウダーは、連続鋳造における水冷モールドと鋳片との間の潤滑性の確保や、溶鋼の酸化防止や保温などの役割を果たす。
溶融モールドパウダーはCaO、SiO、CaF、NaOなどを含有するため、耐火物に対する強い溶損性を有する。そのため、浸漬ノズルの溶融モールドパウダーと接触する部位(以下、パウダーライン部という。)には高耐食性のジルコニア・カーボン材質が使用される。近年の鋼種、モールドパウダーの多種化による溶損の拡大や鋼鋳造の多連化によって浸漬ノズルの使用回数が増加している。そのため、上述のようなジルコニア・カーボン材質には、更なる耐食性向上が求められている。
ジルコニア・カーボン材質の損耗は、溶鋼への黒鉛の溶解、溶融モールドパウダーへのジルコニアの溶解、脱落の繰り返しにより発生すると考えられている。また、溶鋼への黒鉛の溶解速度より溶融モールドパウダーへのジルコニアの溶解速度の方が圧倒的に遅いため、一般的にジルコニア・カーボン材質の耐溶損性はジルコニアの溶解の影響が大きいと考えられている。そのため、従来、ジルコニアの粒度や安定化剤を変更することにより耐食性を向上させる種々の試みがなされてきた。
例えば、特許文献1は、溶融モールドパウダー中へ脱落したジルコニア粒が鋳片割れの原因であるとし、ジルコニア粒子の脱落防止により鋳片品質の向上を目指している。この技術では、ジルコニア原料70−90質量%、鱗状黒鉛10−30質量%のジルコニア・カーボン材質において、ジルコニアの粒度分布に偏りがないジルコニア粒子を用いて緻密性を向上させることでジルコニア粒子の脱落を防止している。
また、特許文献2は、ジルコニア粒子の脱安定化がジルコニア・カーボン材質の溶損に悪影響を及ぼしているとし、ジルコニアの脱安定化の抑制により、耐食性の向上を目指している。この技術では、シリカ量が0.30質量%以下であるCaO安定化ジルコニア原料を用いてジルコニアの脱安定化を抑制している。
特許文献3は、特許文献2と同様、ジルコニア粒子の脱安定化がジルコニア・カーボン材質を溶損させているとし、ジルコニアの脱安定化の抑制により、耐食性の向上を目指している。この技術では、CaO、Yを安定化剤として併用したジルコニア原料を用いることで、Y安定化ジルコニアを単独で用いた場合と同様の脱安定化抑制効果と高耐食性を実現している。
さらに、特許文献4は、MgO含有原料とCaO−Y安定化ジルコニアを併用することで溶鋼と濡れやすいZrCの生成を抑制し、溶鋼流に摩耗されやすいジルコニアの脱炭層生成を抑制している。
特開平04−182049号公報 特開平08−001293号公報 特開平10−130053号公報 特開2005−152928号公報
しかしながら、特許文献1が開示する技術では、ジルコニア粒子の脱落を防止することによって耐食性は向上したが、上述のような厳しい条件下での鋳造ではジルコニア粒子の脱落を十分に抑制することができず、改善は不十分であった。
また、特許文献2、3が開示する技術では、脱安定化抑制によって耐食性は向上したが、上述のような厳しい条件下での鋳造に対しては、脱安定化の抑制のみによるジルコニアの耐食性の向上だけでは不十分であった。
さらに、特許文献4が開示する技術では、ZrC生成の抑制によって溶鋼浸潤は改善したが、上述のような厳しい条件下での鋳造に対しては、パウダーライン部の耐食性向上の効果は不十分であった。
このように、特許文献1から特許文献4が開示する技術によって耐食性の改善がなされてきたものの、上述のような厳しい条件下での鋳造に使用される浸漬ノズルのパウダーライン部に用いられるジルコニア・カーボン材質の耐食性としては十分に満足できるものではなかった。
加えて、中炭素鋼を鋳造する際は鋳片割れを抑制するため塩基度1.0以上のモールドパウダーが使用されることが多い。しかし、塩基度が高いモールドパウダーは、パウダーライン部のジルコニア・カーボン材質の損耗が激しく、特に改善が求められている。
本発明は、上記従来の事情を鑑みて提案されたものであって、高塩基度のモールドパウダーが使用される状況下において特に好適な連続鋳造用浸漬ノズル及び鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、まず、従来のジルコニア・カーボン材質を用いてモールドパウダーの塩基度を変更したときの溶損量について評価した。溶損量は、塩基度が0.7、1.0、1.5の順に多くなり、モールドパウダーの塩基度が高いほど耐食性が悪化する結果となった(後述の表1等参照。)。
従来、浸漬ノズルのパウダーライン部の溶損は特許文献2、3のようにジルコニアの脱安定化による影響が大きいとされてきた。仮に、溶損の原因がジルコニアの脱安定化であると仮定すると、CaO量が多く塩基度の高いモールドパウダーを使用すれば脱安定化が発生しにくくなるため溶損量が低下するはずである。しかしながら、塩基度が1.0以上のモールドパウダー使用時に耐食性が悪化するという上述の結果を鑑み、本願発明者らは、ジルコニア・カーボン材質の溶損には脱安定化以外の要因があると推定した。
当該推定に基づき、ジルコニア原料の安定化剤とモールドパウダーの塩基度を変更し耐食性を評価したところ、安定化剤の少ないジルコニア原料を使用したジルコニア・カーボン材質において塩基度が1.0以上のモールドパウダーを使用した際の耐食性が特に良好であるという結果が得られた。
この結果から、本願発明者らは、耐食性向上のメカニズムを考察した。ZrOにCaOが固溶するとZrO結晶中のZr4+の位置にCa2+が置換した立方構造の固溶体を生成する。これが安定化ジルコニアである。この場合、nモル個のCa+2が固溶するとn個の酸素の格子空孔(格子欠陥)が生成されることが知られている。酸素の格子空孔が生成されるとZrO中の拡散速度が増大することが知られており、その結果として反応性が高くなり耐食性が低下する。部分安定化ジルコニアは、未安定化ジルコニアと安定化ジルコニアの混合物であるため、高安定化率のジルコニア原料ほど安定化ジルコニアの含有量は多くなり、耐食性は低下する。本願発明者らは、このようなメカニズムにより、含有したCaOが少ないジルコニア原料(安定化率の低いジルコニア原料)を使用したジルコニア・カーボン材質の耐食性が良好となったと考えた。
本願発明者らは、以上のようにして得られた新たな知見に基づいて本発明に至った。まず本発明は、モールドパウダーと接触する部位に、ジルコニア原料とカーボン原料からなるジルコニア・カーボン材質を備える連続鋳造用浸漬ノズルを前提としている。そして、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルは、ジルコニア・カーボン材質が、ジルコニア原料とカーボン原料の合量に占める割合で10質量%以上かつ25質量%以下(ただし、25質量%を除く)のカーボン原料と、ジルコニア原料とカーボン原料の合量に占める割合で75質量%以上(ただし、75質量%を除く)かつ90質量%以下のジルコニア原料とを含む。そして、ジルコニア原料が、安定化剤として質量比で0.5質量%以上かつ3.0質量%以下のCaOのみを含有し、前記ジルコニア原料の粒子径100μm以上はジルコニア原料とカーボン原料の合量に占める割合で5質量%以上かつ65質量%以下であることを特徴とする。
上記ジルコニア原料のうち、ジルコニア原料とカーボン原料の合量に占める割合で60質量%以下を未安定化ジルコニアに置換することができる。
一方、他の観点では、本発明は、鋼の連続鋳造方法を提供することもできる。すなわち、本発明に係る鋼の連続鋳造方法は、塩基度1.0以上のモールドパウダーを用いた鋼の連続鋳造において、上述の連続鋳造用浸漬ノズルを使用する。
本発明によれば、モールドパウダーに対するジルコニア・カーボン材質の耐食性を向上させることができ、浸漬ノズルの耐用性を改善することができる。その結果、長寿命の連続鋳造用浸漬ノズルを得ることができる。特に、溶損の激しい塩基度1.0以上のモールドパウダーを使用した鋳造方法で使用した際、その効果が顕著である。
本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルは、モールドパウダーと接触する部位に、ジルコニア原料とカーボン原料からなるジルコニア・カーボン材質(ジルコニア・カーボン質耐火物)を備える。当該ジルコニア・カーボン材質は、カーボン原料と特定のCaO含有量を有するジルコニア原料からなる。ここで、特定のCaO含有量を有するジルコニア原料は、質量比で0.5質量%以上かつ3.0質量%以下のCaOを含有するジルコニアである(以下、説明のためジルコニア原料Aという。)。より好ましいCaO含有量は1.0質量%以上かつ2.5質量%以下である。
ジルコニア原料AにおけるCaO含有量が0.5質量%未満であるとジルコニアの変態(相転移)に伴う体積変化が大きくなり、耐火物組織の強度が低下するため好ましくない。また、ジルコニア原料AにおけるCaO含有量が3.0質量%を超えるとCaOが固溶しているZrO結晶が増加する結果、耐食性が低下、特に、塩基度1.0以上のモールドパウダーでの耐食性が著しく低下するため好ましくない。
ジルコニア原料とカーボン原料の合量に占めるジルコニア原料Aの割合は、70質量%以上かつ95質量%以下であることが好ましい。より好ましいジルコニア原料Aの割合は、75質量%以上かつ90質量%以下である。
ジルコニア原料Aの割合が70質量%未満であると、モールドパウダーやスラグ等に対する十分な耐食性が得られないため好ましくない。また、ジルコニア原料Aの割合が95質量%を超えると耐スポーリング性が劣化するとともに鋼の浸潤が多くなるため好ましくない。
なお、ジルコニア原料Aには、CaO含有量が0.5質量%以上かつ3.0質量%以下に属する特定のCaO含有量の1種類のジルコニア原料を使用してもよく、異なるCaO含有量の2種以上のジルコニア原料を混合して使用しても良い。
ジルコニア原料Aの粒度は特に限定されないが、粒子径が100μm以上の粒子は5質量%以上かつ65質量%以下であることが好ましい。より好ましい、粒子径が100μm以上の粒子の添加量は、10質量%以上かつ60質量%以下である。
粒子径が100μm以上の粒子の添加量が5質量%未満であると、耐火物組織が緻密化せず、耐食性が低下するため好ましくない。また、粒子径が100μm以上の粒子の添加量が65質量%を超えると、耐火物組織の密度が低下し、耐食性が低下するため好ましくない。
一方、ジルコニア原料とカーボン原料の合量に占めるカーボン原料の割合は、5質量%以上かつ30質量%以下であることが好ましい。より好ましいカーボン原料の割合は、10質量%以上かつ25質量%以下である。
カーボン原料の割合が5質量%未満であると、ジルコニア原料が95質量%を超えることになるため、上述のように、耐スポーリング性が低下するとともに鋼の浸潤が多くなるため好ましくない。また、カーボン原料の割合が30質量%を超えると耐食性が急激に低下するため好ましくない。
特に限定されないが、カーボン原料として、鱗状黒鉛、人造黒鉛、膨張済黒鉛、カーボンブラックなどを使用することができる。また、ここでのカーボン原料はレジン由来のカーボンを含む。レジン由来のカーボンの量を残炭量といい、残炭量は、JIS K 6910(フェノール樹脂試験方法)中の固定炭素測定法に基づいて測定することができる。粒度が大きすぎるとカーボン原料の分散が不均一となるため、カーボン原料の粒度は平均粒径で200μm以下であることが好ましい。
以上で説明したジルコニア・カーボン材質は、モールドパウダーに対して耐食性の向上が期待でき、特に、塩基度1.0以上のモールドパウダーに対する耐食性の向上効果が顕著になる。そのため、当該ジルコニア・カーボン材質は、塩基度が1.0以上のモールドパウダーを使用した鋼の連続鋳造において使用される連続鋳造用浸漬ノズルの、モールドパウダーと接触する部位に適用することが好ましい。なお、以上で説明したジルコニア・カーボン材質は、塩基度が1.0未満のモールドパウダーに対しても耐食性向上の効果は期待できるため、連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、塩基度が1.0未満のモールドパウダー接触する部位に適用してもよい。
一方、上記ジルコニア原料Aのうち、ジルコニア原料とカーボン原料の合量に占める割合で60質量%以下を未安定化ジルコニアに置換することができる。未安定化ジルコニアを添加するとCaO量が減少し耐食性が良好となる。より好ましい未安定化ジルコニアの割合は、ジルコニア原料とカーボン原料の合量に占める割合で50質量%以下である。
ジルコニア原料とカーボン原料の合量に占める未安定化ジルコニアの割合が60質量%を超えると、ZrOの変態に伴う体積変化が大きくなり、耐火物組織の強度が低下するため好ましくない。なお、ZrOの変態に伴う体積変化の影響を低減するため未安定化ジルコニアの最大粒子径は、100μm以下であることがより好ましい。
なお、本発明は、質量比でCaOを0.5質量%以上かつ3.0質量%以下含有するジルコニア原料を用いることを特徴とするが、このCaOの含有量は、未安定化ジルコニア原料を添加する際、ジルコニア原料全体に対する割合を示すのではない。
例えば、CaO含有量が3.0質量%より多いジルコニア原料(以下、説明のためジルコニア原料Bという。)に未安定化ジルコニア原料を添加して、ジルコニア原料全体に対するCaO含有量を0.5質量%以上かつ3.0質量%以下の範囲内とすることは可能である。しかしながら、前述のとおりCaOを3.0質量%より多く含むジルコニア原料Bの溶融モールドパウダーに対する耐食性、特に塩基度1.0以上の溶融モールドパウダーに対する耐食性は著しく劣るという特徴がある。そのため、未安定化ジルコニアの添加によって耐食性を一部向上できたとしても、ジルコニア原料Bによる耐食性低下効果の方が大きく、結果的には耐食性が低下してしまう。そのため、CaOを3.0質量%より多く含むジルコニア原料Bを使用することは好ましくないのである。なお、CaOを3.0質量%より多く含むジルコニア原料Bの耐食性が劣る理由は、前述のとおりジルコニア結晶中へのCaOの固溶によって、結晶格子内に多量の格子欠陥が発生し、そのため耐食性が著しく劣るものと考えられる。
以上で説明した配合に、浸漬ノズルの強度向上や酸化防止などの目的で、その他の成分を添加することも可能である。このような添加物として、例えば、アルミナ、シリカ、マグネシアなどの酸化物、カーボン、炭化珪素、炭化硼素及びアルミニウム珪素炭化物(Al4SiC4)のような炭化物、シリコン、アルミニウム及びアルミニウム−シリコン合金のような金属などが挙げられる。しかしながら、このような添加物の総量は外掛けで10質量%以下であることが好ましい。より好ましい添加物の総量は外掛けで8質量%以下である。添加量が外掛けで10質量%を超えると、ジルコニア・カーボン材質の組織形成に悪影響を与え、良好な組成が形成できなくなるため好ましくない。
上述のジルコニア・カーボン材質を浸漬ノズルのパウダーライン部用の材質として使用する。パウダーライン部以外の浸漬ノズルの材質については特に限定されない。例えば、アルミナ・カーボン材質、アルミナ・シリカ・カーボン材質、スピネル・カーボン材質などを使用することができる。
本発明の連続鋳造用浸漬ノズルを製造する際には、原料配合、混練、成形、乾燥、焼成及び加工といった通常のノズル製造プロセスを使用することができる。混練時に投入するバインダーとしては、フェノール樹脂、ピッチ、タールなどの有機バインダーを使用することが可能である。成形には、例えば、冷間静水圧成形方法(CIP成形法)を使用することができる。成形体は乾燥した後、酸化防止のため窒素、アルゴン、又はCOなどの還元雰囲気で焼成することが好ましい。焼成温度は500℃以上かつ1300℃以下、より好ましくは800℃以上かつ1100℃以下の範囲内である。焼成温度が500℃未満であると強度不足となるため好ましくなく、また、焼成温度が1300℃を超えると強度が低下するため好ましくない。
以上説明したジルコニア・カーボン材質によれば、モールドパウダーに対する耐食性を向上させることができる。そして、当該ジルコニア・カーボン材質を浸漬ノズルのパウダーラインに採用することで浸漬ノズルの耐用性を改善することができる。特に、溶損の激しい塩基度1.0以上のモールドパウダーを使用した鋼の鋳造方法に適用した場合、その効果が顕著である。
(塩基度と溶損量の関係)
従来から一般に使用されているジルコニア・カーボン材質を用いて、モールドパウダーの塩基度を変更したときの溶損量を評価した。評価結果を、表1に示す。ここでは、評価用の従来のジルコニア・カーボン材質として、後述する比較例1のジルコニア・カーボン材質を使用している。
溶損量は、高周波誘導炉を用いた浸漬法による侵食試験により評価した。当該浸食試験では、大気雰囲気で溶解し、1560℃に保持した20kgの銑鉄(溶鋼)に、作成した供試体(25×25×200mm)を90分浸漬した。銑鉄の組成は、C:3.1質量%以上かつ3.8質量%以下、Si:2.1質量%以上かつ2.7質量%以下、Mn:0.4質量%以上かつ0.8質量%以下、P:0.11質量%以上かつ0.15質量%以下、S:0.010質量%である。また、浸漬中の供試体は、80rpmの回転速度で回転させた。試験後溶損厚みを測定することで、表1に示す結果を得た。
モールドパウダーは、供試体を溶鋼に浸漬させる直前に500gを投入し、その後30分毎に入れ替えた。表2に示すように、モールドパウダーは、その組成として、SiO、Al、CaO、NaO、F、LiOなどを含む。ここでは、SiOとCaOの含有量を変更する(塩基度を高める場合、SiOの配合量を増大させるとともにCaOの配合量を低減する)ことで、0.7、1.0、1.5の各塩基度を実現している。
Figure 0006464831

Figure 0006464831

表1では、塩基度0.7のモールドパウダーを使用した場合の溶損量を100とした溶損指数により溶損量を示している。表1に示すように、塩基度が高いほど溶損量が増大している。この結果は、上述したように、CaO量が多く塩基度の高いモールドパウダーを使用すれば脱安定化が発生しにくくなるはずであるが、耐食性は、塩基度が高いほど向上するのではなく、塩基度が高いほど悪化することを示している。
(実施例)
以下に実施例及び比較例を提示して、本発明の連続鋳造用浸漬ノズルに適用されるジルコニア・カーボン材質を説明する。
表3及び表4に示す配合を有する耐火物試料(ジルコニア・カーボン材質)を作成し、耐食性、耐スポーリング性、ZrOの相転移による強度低下について評価した。
耐火物試料は以下のようにして作成した。まず、表3及び表4に示す各配合割合で、ジルコニア原料及びカーボン原料(ここでは、鱗状黒鉛)を秤量し、バインダー(ここでは、フェノール樹脂)を4.0質量%添加して混練した。混練した練土はCIP成形法を用いて成形し、乾燥後に、1000℃の還元雰囲気で焼成することで耐火物試料を得た。
なお、実施例及び比較例では、CaO含有量が、0.0質量%(すなわち、未安定化ジルコニア)、0.5質量%、1.0質量%、2.5質量%、3.0質量%、4.0質量%、7.5質量%であるジルコニアのいずれかをジルコニア原料として使用している。また、表3及び表4では、ジルコニア原料について、粒子径が100μm以上であるジルコニア原料の配合量と、粒子径が100μm未満であるジルコニア原料の配合量とを区別して表記している。
耐食性は上述の浸食試験により評価した。表3及び表4では、従来から一般に使用されているジルコニア・カーボン材質である比較例1の溶損量を100とした溶損指数により溶損量を示している。したがって、溶損指数が100未満のものは従来のジルコニア・カーボン材質よりも溶損量が少ないことになる。また、溶損指数が95以下のものは、より良好な耐食性を有しているといえる。なお、表3及び表4では、溶損指数は塩基度ごとに算出している。すなわち、表1に示すように、塩基度0.7、1.0、1.5の各モールドパウダーを使用した場合、溶損量の大きさは同一ではないが、表4ではすべて溶損指数が100になっている。
耐スポーリング性は、R=S/Eにより算出される熱衝撃指数Rにより評価した。ここで、Sは曲げ強度であり、Eは弾性率である。曲げ強度SはJIS R 2656に準じた測定により取得した。また、弾性率はJ.W Lemmens社製 MK5 Grind Sonicを用いた測定により取得した。熱衝撃指数Rは0.8以上であれば実用上問題はなく、0.85以上であれば特に良好であるといえる。
ZrOの相転移による強度低下(体積変化の影響)は、再加熱後の曲げ強度によって評価した。曲げ強度の測定には、真空焼結炉で1560℃、N雰囲気で3時間加熱した後、室温まで冷却した試料を用いた。熱衝撃指数Rと同様に曲げ強度はJIS R 2656に準じて測定した。再加熱後の曲げ強度が7.0MPa以上であれば実用上問題はなく、7.5MPa以上であれば、特に、ZrOの相転移による品質の低下が小さいといえる。
Figure 0006464831

Figure 0006464831

表3に示す各実施例は、ジルコニア原料及びカーボン原料からなる原料100質量%において、0.5質量%以上かつ3.0質量%以下のCaOを含有するジルコニア原料の配合量が70質量%から95質量%であり、カーボン原料が5質量%から30質量%である配合である。
実施例1−4は、ジルコニア原料とカーボン原料との割合は同一(ジルコニア原料:85質量%、カーボン原料:15質量%)であるが、ジルコニア原料が含有するCaOの割合を、0.5質量%、1.0質量%、2.5質量%、3.0質量%のそれぞれに変更している。実施例5、6は、実施例1−4の配合と、ジルコニア原料とカーボン原料との割合は同一であるが、CaO含有量の異なる2種以上のジルコニア原料を使用している。実施例7−9は、実施例3の配合において、ジルコニア原料とカーボン原料との割合を変更している。ここでは、カーボン原料の配合量の変更に応じて、粒子径が100μm未満のジルコニア原料の配合量を増減している。実施例10−13は、実施例3の配合において、ジルコニア原料の一部に未安定化ジルコニアを使用している。実施例14‐16は、実施例3の配合において、粒子径が100μm以上であるジルコニアと、粒子径が100μm未満であるジルコニアとの配合割合を変更している。
表3に示すように、いずれの実施例も、耐食性、耐スポーリング性、ジルコニアの相転移による強度低下の各評価項目において、良好な結果が得られている。すなわち、溶損指数が小さく、耐食性は良好である。また、耐スポーリング性、ジルコニアの相転移による品質低下も確認できない。さらに、表3の溶損指数から、塩基度の高いモールドパウダーを使用するほど耐食性の向上効果が顕著であることが理解できる。
続いて、比較例について説明する。比較例1及び比較例2は、実施例1から実施例4の配合において、ジルコニア原料が含有するCaOの割合を、CaOの含有量が3.0質量%を超える4.0質量%、7.5質量%のそれぞれに変更している。なお、上述のように、比較例1は一般に使用されているジルコニア・カーボン材質である。比較例1、2では、ジルコニア原料中のCaOの量が増加したことにより、耐食性が実施例に比べて低下していることが理解できる。
比較例3は、実施例1−4の配合において、ジルコニア原料として未安定化ジルコニアのみを使用している。比較例3では、耐食性は向上したものの、再加熱後の曲げ強度が低下しており、ZrOの相転移による体積変化が大きいことが理解できる。
比較例4は、実施例7−9の配合において、カーボン原料の配合量を5質量%未満の3質量%とした配合である。比較例4では、耐食性は良好であったものの、カーボン原料が少ないために耐スポーリング性が低下していることが理解できる。
比較例5は、実施例7−9の配合において、カーボン原料の配合量を30質量%よりも大きい35質量%とした配合である。比較例5では、カーボン原料の配合量が増加したことにより耐食性が低下していることが理解できる。
比較例6は、実施例10−13の配合において、未安定化ジルコニアの配合量を60質量%よりも大きい65質量%とした配合である。比較例6では、耐食性は向上したが、再加熱後の曲げ強度が低下しており、ZrOの相転移による体積変化が大きいことが理解できる。
以上の結果により、カーボン原料と、質量比で0.5質量%以上かつ3.0質量%以下のCaOを含有するジルコニアであるジルコニア原料とを配合することにより、従来に比べて、耐食性に優れたジルコニア・カーボン材質を得ることができる。そして、当該ジルコニア・カーボン材質を、連続鋳造用浸漬ノズルのモールドパウダーと接触する部位に適用することで長寿命の連続鋳造用浸漬ノズルを実現することができる。このような連続鋳造用浸漬ノズルは、特に、塩基度1.0以上のモールドパウダーを用いた鋼の連続鋳造に好適である。
本発明によれば、高塩基度のモールドパウダーが使用される状況下において特に好適な連続鋳造用浸漬ノズルを実現することができ、連続鋳造用浸漬ノズル及び当該浸漬ノズルを使用した鋼の連続鋳造方法として有用である。

Claims (3)

  1. モールドパウダーと接触する部位に、ジルコニア原料とカーボン原料からなるジルコニア・カーボン材質を備える連続鋳造用浸漬ノズルであって、
    前記ジルコニア・カーボン材質は、
    ジルコニア原料とカーボン原料の合量に占める割合で10質量%以上かつ25質量%以下(ただし、25質量%を除く)のカーボン原料と、
    ジルコニア原料とカーボン原料の合量に占める割合で75質量%以上(ただし、75質量%を除く)かつ90質量%以下のジルコニア原料と、
    を含み、
    前記ジルコニア原料が安定化剤として質量比で0.5質量%以上かつ3.0質量%以下のCaOのみを含有
    前記ジルコニア原料の粒子径100μm以上はジルコニア原料とカーボン原料の合量に占める割合で5質量%以上かつ65質量%以下である、連続鋳造用浸漬ノズル。
  2. 前記ジルコニア原料のうち、ジルコニア原料とカーボン原料の合量に占める割合で60質量%以下を未安定化ジルコニアに置換した、請求項1記載の連続鋳造用浸漬ノズル。
  3. 塩基度1.0以上のモールドパウダーを用いた鋼の連続鋳造において、請求項1又は請求項2記載の連続鋳造用浸漬ノズルを使用する、鋼の連続鋳造方法。
JP2015042086A 2015-03-04 2015-03-04 連続鋳造用浸漬ノズル及び鋼の連続鋳造方法 Active JP6464831B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015042086A JP6464831B2 (ja) 2015-03-04 2015-03-04 連続鋳造用浸漬ノズル及び鋼の連続鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015042086A JP6464831B2 (ja) 2015-03-04 2015-03-04 連続鋳造用浸漬ノズル及び鋼の連続鋳造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016159342A JP2016159342A (ja) 2016-09-05
JP6464831B2 true JP6464831B2 (ja) 2019-02-06

Family

ID=56843870

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015042086A Active JP6464831B2 (ja) 2015-03-04 2015-03-04 連続鋳造用浸漬ノズル及び鋼の連続鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6464831B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52102308A (en) * 1976-02-25 1977-08-27 Kawasaki Steel Co Zirconia sintered articles having high thermal shock and corrosive resistance and manufacture
JPH07214260A (ja) * 1994-01-25 1995-08-15 Akechi Ceramics Kk 連続鋳造用浸漬ノズル
JP3363330B2 (ja) * 1996-05-01 2003-01-08 東芝セラミックス株式会社 鋳造用耐火物、連続鋳造用ノズル及びその製造方法
JP4132212B2 (ja) * 1998-04-20 2008-08-13 新日本製鐵株式会社 耐食性に優れるジルコニア−黒鉛質耐火物及びそれを用いた連続鋳造用ノズル
JP2011200911A (ja) * 2010-03-25 2011-10-13 Kurosaki Harima Corp ジルコニア−炭素含有耐火物およびその耐火物を配設した浸漬ノズル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016159342A (ja) 2016-09-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4681456B2 (ja) 低カーボン質マグネシアカーボンれんが
WO2014112493A1 (ja) マグネシアカーボンれんが
JP6582606B2 (ja) スピネル−マグネシア−カーボン質煉瓦
JP3283883B2 (ja) 連続鋳造用アルミナ−マグネシア−黒鉛系耐火物
JP6546687B1 (ja) マグネシアカーボンれんがの製造方法
JP5777561B2 (ja) ステンレス鋼精錬取鍋用煉瓦及びステンレス鋼精錬取鍋
JP5697210B2 (ja) 転炉の操業方法、その転炉に使用するマグネシアカーボン質れんが、当該れんがの製造方法、及び転炉内張りのライニング構造
JPH09202667A (ja) スライドゲート用キャスタブル耐火物
WO2011058811A1 (ja) スライディングノズルプレート
JP6194257B2 (ja) マグネシアカーボンれんが
JP6464831B2 (ja) 連続鋳造用浸漬ノズル及び鋼の連続鋳造方法
JP5331077B2 (ja) カーボン含有耐火物
JP2018075601A (ja) セミイマージョンノズル
JP3312373B2 (ja) 連続鋳造用ロングノズル
JP6767659B2 (ja) スライドプレート耐火物
JPH08259340A (ja) マグネシア−カーボン質キャスタブル耐火物
JP7228733B1 (ja) マグネシアカーボンれんが及びその製造方法
JP2002362969A (ja) プレートれんが
JP3579231B2 (ja) 窒化硼素含有ジルコニア・黒鉛質耐火物
JP2004323260A (ja) 連続鋳造用ノズル材及び連続鋳造用ノズル
JP2872670B2 (ja) 溶融金属容器ライニング用不定形耐火物
JPH10338569A (ja) タンデッシュ用ストッパーヘッド
JPH0437466A (ja) 不焼成スライディングノズルプレートれんが
JPS6152099B2 (ja)
JP3159432B2 (ja) 耐熱衝撃性に優れるジルコニア−黒鉛質耐火物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181009

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181113

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181211

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181224

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6464831

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250