JP2004323260A - 連続鋳造用ノズル材及び連続鋳造用ノズル - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、アルミナ付着及びノズル溶損を防止することができる連続鋳造用ノズル材及び該連続鋳造用ノズル材を使用した連続鋳造用ノズルを提供することにある。
【解決手段】本発明の連続鋳造用ノズル材は、粒径0.5mm未満のマグネシア原料100質量部に対して6〜30質量部の高軟化点ピッチをコーティングして得られた原料80〜99.5質量%及び金属粉0.5〜20質量%から構成され、500〜1200℃の温度で非酸化性雰囲気中で焼成してなる連続鋳造用ノズル材であって、曲げ強度が8〜20MPa、1500℃の熱膨張率が1.5%以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の連続鋳造用ノズル材は、粒径0.5mm未満のマグネシア原料100質量部に対して6〜30質量部の高軟化点ピッチをコーティングして得られた原料80〜99.5質量%及び金属粉0.5〜20質量%から構成され、500〜1200℃の温度で非酸化性雰囲気中で焼成してなる連続鋳造用ノズル材であって、曲げ強度が8〜20MPa、1500℃の熱膨張率が1.5%以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鋼工程の連続鋳造に使用される取鍋またはタンディッシュ等の容器から排出される溶鋼の流路に使用されるエアーシールパイプ、浸漬ノズル等に適した連続鋳造用ノズル材及びそれを使用した連続鋳造用ノズルに関し、更に詳細には、アルミナ付着またはノズル溶損を防止することができる連続鋳造用ノズル材及びそれを使用した連続鋳造用ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼の連続鋳造工程に使用される連続鋳造用ノズルは、溶鋼の酸化防止、溶鋼流制御等に使用され、鋼品質に重要な影響を与えている。使用される連続鋳造用ノズルは、鋼種の影響を受け、アルミナ付着によるノズル閉塞の問題あるいは溶損の問題がある。これらの問題は、溶鋼流制御不能による操業の制限または停止、連続鋳造用ノズルの寿命低下、鋼品質の低下等の原因になっている。これらの問題を解決するために、以下のような従来技術が開示されている。
【0003】
特許文献1には、重量(質量)比にてMgO48〜87%、黒鉛8〜42%、SiC、SiO2、Si或いはFe−Siからなる珪素成分8〜18%及びCr2O30〜20%とからなる鋳造用ノズル組成物が開示されている。
【0004】
特許文献2には、重量(質量)比にて、アルミナ20〜70%と、黒鉛5〜70%と、窒化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、ジルコンおよび酸化クロムの群から選ばれる1種または2種以上5〜40%と、金属ケイ素またはシリカ1〜20%と、からなる原料を通常の窯業材料に用いられる結合材で充分ねつ合し、これをアイソスタティックプレスにて成形してなる鋳造用ノズルが開示されている。
【0005】
特許文献3には、重量(質量)比にてMgO43〜87%、黒鉛8〜42%、SiC、SiO2、Si或いはFe−Siからなる珪素成分3〜12%及びCr2O320%以下とからなる鋳造用浸漬ノズル組成物が開示されている。
【0006】
特許文献4には、ノズル内周面側を5〜1mmの粗粒マグネシア配合のマグネシア−カーボン質耐火物となし、外周面側を1mm以下の微粒マグネシア配合のマグネシア−カーボン質耐火物で構成してなる鋳造用ノズル(第1項);ノズル外周面側のスラグライン相当部をカーボン5〜20重量(質量)部配合のマグネシア−カーボン質耐火物としたことを特徴とする上記鋳造用ノズル(第2項);ノズル外周面側のスラグライン相当部をカーボン5〜20重量(質量)部配合のジルコニア−カーボン質耐火物としたことを特徴とする上記鋳造用ノズル(第3項)が開示されている。
【0007】
特許文献5には、マグネシア35〜80重量(質量)%、あるいはマグネシア15〜80重量(質量)%と、スピネル(MgO・Al2O3)0〜65重量(質量)%で該塩基性骨材の合量が35〜80重量(質量)%よりなる混合物か、あるいは上記マグネシア単独あるいはマグネシアとスピネルの合量のうちの1〜15重量(質量)%を溶融シリカ粉末で置き換えてなる混合物に、黒鉛粉末20〜45重量(質量)%、並びにアルミニウム粉末1〜15重量(質量)%か、または該アルミニウム粉末のうちの1〜10重量(質量)%をアルミナ粉末で置換したアルミニウム質粉末、合計100重量(質量)%の坏土組成物に、有機質バインダーを加えて混練し、所要の形状に成型し、非酸化性雰囲気中で焼成した鋼連続鋳造用ノズルが開示されている。
【0008】
特許文献6には、重量(質量)割合にてマグネシア90〜60部、炭素10〜40部、炭化硼素0.05〜0.35部からなることを特徴とする鋳造用ノズル(第1項);ノズル外周面の溶鋼湯面と接触する個所をジルコニア30〜90部、炭素15〜30部からなる耐火物で構成した上記鋳造用ノズル(第2項)が開示されている。
【0009】
特許文献7には、重量(質量)比でMgO35〜85%、黒鉛10〜45%、ZrO23〜20%およびSiO2、SiC、Si、Fe−Siのうち1種または2種以上の珪素成分の合計が1〜15%とからなる鋳造用ノズルが開示されている。
【0010】
特許文献8には、ノズル内周面側をMgO−C質耐火物となし、外周面側をAl2O3−C質耐火物で構成してなる鋳造用ノズル(第1項);ノズル外周面側のスラグライン相当部をZrO2−C質耐火物で構成した上記鋳造用ノズル(第2項)が開示されている。
【0011】
特許文献9には、マグネシア粒子100重量(質量)部に対して、ピッチが1〜5重量(質量)部であるピッチ被覆マグネシア粒子を10〜50重量(質量)%、残部がマグネシア粒子とカーボンを主材とした配合物を成形することを特徴とするMgO−C質不焼成れんがの製造方法が開示されている。また、特許文献9の[0009]段落には、「本発明のピッチ被覆粒子が耐熱スポーリング性に与える効果を十分に発揮するには、1mm以上で、かつ6mm未満が好ましい。」旨の記載がある。
【0012】
特許文献10には、粒径が5mm以下で、かつ黒鉛の最大径より大きな耐火原料に対して、常温において固体である有機物質を0.5〜5重量(質量)%表面被覆した原料を15〜65重量(質量)%、リン状黒鉛4〜35重量(質量)%、残部を被覆していない耐火原料からなる混合物に結合材として液状有機バインダーを外掛けで2〜10重量(質量)%加えて混合、成形して成ることを特徴とする黒鉛含有耐火物(請求項1);耐火原料を、耐火原料に対して0.5〜5重量(質量)%の常温において固体である有機物質によって被覆した後、該被覆原料15〜65重量(質量)%、リン状黒鉛4〜35重量(質量)%、残部が被覆していない耐火原料からなる混合物に結合材として液状有機質バインダーを外掛けで2〜10重量(質量)%加えて常温において混合し、成形することを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法(請求項2)が開示されている。また、特許文献10の[0017]段落には、「耐火原料はスラグとの化学反応に耐食性を有し、耐火性の高いものを用いることができ、酸化物としてはアルミナ、マグネシア、酸化クロム、シリカ、ジルコニア、チタニア、イットリア及びこれらの化合物が対象となる。」旨の記載がある。更に、特許文献10の[0019]段落には、「被覆膜は被覆後、常温で固体であり、液状有機バインダーを加えて混合した時にこの中に溶けにくく、加熱により炭素化する熱硬化性のピッチである。」旨の記載がある。
【0013】
特許文献11には、Al金属及び/又はAl系合金を含むピッチからなる被覆材で被覆したマグネシアと、残部がマグネシア粒子とカーボンを主材とした配合物からなるマグネシア−炭素質不焼成れんが(請求項1);ピッチをもって被覆したマグネシアの粒径が0.5mm以上である上記マグネシア−炭素質不焼成れんが(請求項8)が開示されている。また、特許文献11の[0031]段落には、「被覆対象のマグネシアは、粗粒、中粒が好ましい。例えば、0.5mm以下の微粒に対して被覆した場合、れんが組織内にピッチ成分の逸散で形成される空隙が多くなり、耐食性に低下傾向が認められる。」旨の記載がある。
【0014】
【特許文献1】
特開昭49−127820号公報 特許請求の範囲
【特許文献2】
特開昭52−70942号公報 特許請求の範囲
【特許文献3】
特開昭56−109867号公報 特許請求の範囲
【特許文献4】
特開昭56−169177号公報 特許請求の範囲
【特許文献5】
特開昭57−3764号公報 特許請求の範囲
【特許文献6】
特開昭57−34074号公報 特許請求の範囲
【特許文献7】
特開昭57−34075号公報 特許請求の範囲
【特許文献8】
特開昭57−85658号公報 特許請求の範囲
【特許文献9】
特開平6−321626号公報 特許請求の範囲 [0008]段落
【特許文献10】
特開平8−40764号公報 特許請求の範囲 [0017]段落 [0019]段落
【特許文献11】
特開平13−97782号公報 特許請求の範囲 [0031]段落
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような開示があるにも拘らず、依然として連続鋳造操業の制限や停止、連続鋳造用ノズルの寿命低下、鋼の品質低下等の問題は依然として解決されていない。例えば、特許文献1及び特許文献3では、耐熱衝撃性を向上するためにSiO、SiO2、Si、Fe−Si等の珪素成分が添加されているが、これら珪素成分は耐食性を低下させる傾向があり、更に、Cr2O3を添加しても、耐食性を改善することができない。また、アルミナ付着に関しては、アルミナと珪素成分の反応によるアルミナと珪素成分の流失後の溶鋼接触面に凹凸を生じ、アルミナ付着を更に助長することも判明した。即ち、特許文献1及び特許文献3に記載された鋳造用ノズル組成物では充分な耐用性は得られない。
【0016】
特許文献2の鋳造用ノズルは、アルミナを20〜70%用いることを特徴としており、耐食性を向上させるためにマグネシアを添加したり、あるいは閉塞を防止するために珪素を添加しても、それらを添加することによる改善効果には限度があり、特許文献2によっても鋳造用ノズルの耐用性は充分には得られない。
【0017】
特許文献4の鋳造用ノズルは、溶鋼と接するノズル内周面に5〜1mmの粗粒マグネシアを配合することに特徴を有するものであるが、溶鋼衝撃により粗粒の抜け落ちが起こり、耐食性、耐スポーリング性、ノズル閉塞防止等に改善が図られず、特許文献4によっても鋳造用ノズルの耐用性は充分には得られない。
【0018】
特許文献5の連続鋳造用ノズルは、マグネシア、黒鉛及びアルミニウム粉を用いることを特徴とするものであり、これらに熱膨張係数を調整する目的で更にスピネルを添加できるものである。しかし、スピネルが不在の場合や、スピネルの添加量が少な過ぎる場合には、マグネシアの影響が大きく現われ、耐スポーリング性に難点を生じ、また、スピネルの添加量が多過ぎると、充分なノズル閉塞防止が図られないことが判った。即ち、特許文献5によっても鋳造用ノズルの耐用性は充分には得られない。
【0019】
特許文献6の鋳造ノズルは、マグネシア、炭素及び特定量の炭化硼素を用いることを特徴とするものであり、炭化硼素の添加により耐食性と熱間強度の改善を図るものである。しかし、マグネシア粒の影響によりノズルの膨張率が高くなっている上に、熱間強度の向上、即ち、強度が向上すると弾性率も向上するため、スポーリングが起き易くなる。即ち、特許文献6によっても鋳造用ノズルの耐食性は充分には得られない。
【0020】
特許文献7の鋳造用ノズルは、ZrO2、及びSiO2、SiC、Si、Fe−Si等の珪素成分の添加を特徴とするものであり、ZrO2が鋼中脱酸生成物であるα−Al2O3と反応することで、アルミナ付着防止を図っているが、ZrO2が抜けた後は凹凸が大きくなり、却ってアルミナの付着を助長する。また、珪素成分は耐食性の低下をもたらし、更に、α−Al2O3と反応して流失することで溶鋼接触面に凹凸を造る。即ち、特許文献7によっても鋳造用ノズルの耐用性が充分には得られない。
【0021】
特許文献8の鋳造用ノズルは、内周面側にMgO−C質耐火物を、外周面側にAl2O3−C質耐火物を配材することを特徴とするものであるが、内周面側のMgO−C質耐火物の膨張率が外周面側のAl2O3−C質耐火物の膨張率よりも大きいために充分な耐スポーリング性を確保することができず、割れが頻発する。即ち、特許文献8によっても鋳造用ノズルの耐用性が充分には得られない。
【0022】
特許文献9は、MgO−C質不焼成れんがに関するものであり、ピッチを被覆するマグネシアの粒度は1mm以上6mm未満が好ましい旨の記載もあり、該MgO−C質不焼成れんがは溶融金属処理装置用の内張り材として有効なものである。しかしながら、特許文献9のMgO−C質不焼成れんがを連続鋳造用ノズルの材質として適用しても、不焼成品であり、更に、粒度が大きいために、耐スポーリング性、機械的強度が得られず、ノズル寿命が短かい。即ち、特許文献9によっても鋳造用ノズルの耐用性が充分には得られない。
【0023】
特許文献10の黒鉛含有耐火物は、5mm以下の耐火原料に有機物質を0.5〜5重量%(質量%)表面被覆した原料を用いることを特徴とするものであるが、粒径の小さい耐火原料を0.5〜5質量%の有機物質では充分に表面被覆することができず、従って、マグネシアのような高熱膨張率原料を用いた場合には、膨張率の緩和を図ることができず、従って、連続鋳造用ノズルの材質としては適用できない。即ち、特許文献10によっても鋳造用ノズルの耐用性が充分には得られない。
【0024】
特許文献11のマグネシア−炭素質不焼成れんがは溶融金属容器の内張り材として用いられるものであり、また、金属または合金を含有するピッチによる被覆対象となるマグネシアは粗粒、中粒が好ましい旨記載されており、0.5mm以下のマグネシア微粒に被覆した場合には、れんが組織にピッチ成分の逸散で形成される空隙が多くなり、耐食性の低下傾向が認められるとしている。従って、特許文献11のマグネシア−炭素質不焼成れんがを連続鋳造用ノズルの材質として適用しても、微粒への被覆による空隙の影響や、不焼成であるために生ずる影響により、耐食性、耐スポーリング性が得られず、連続鋳造用ノズルの寿命は短命となる。即ち、特許文献11によっても鋳造用ノズルの耐用性が充分には得られない。
【0025】
以上のように、いずれの特許文献によっても、連続鋳造用ノズルに充分な耐用性を付与することはできず、それが原因となって操業の制限または停止、鋼品質の低下等の問題の解決が依然として得られていない。
【0026】
従って、本発明の目的は、アルミナ付着及びノズル溶損を防止することができる連続鋳造用ノズル材及び該連続鋳造用ノズル材を使用した連続鋳造用ノズルを提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の連続鋳造用ノズル材は、粒径0.5mm未満のマグネシア原料100質量部に対して6〜30質量部の高軟化点ピッチをコーティングして得られた原料80〜99.5質量%及び金属粉0.5〜20質量%から構成され、500〜1200℃の温度で非酸化性雰囲気中で焼成してなる連続鋳造用ノズル材であって、曲げ強度が8〜20MPa、1500℃の熱膨張率が1.5%以下であることを特徴とする(以下、「第1発明」と記載する)。
【0028】
また、第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、カーボンが40質量%以下の量で且つ原料+カーボンの合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量で配合されることを特徴とする。
【0029】
更に、第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、MgAl2O4及びMgCr2O4から選択される1種または2種のスピネル、マグネシア及びクロミアからなる群から選択される1種または2種以上の酸化物成分が40質量%以下の量で、原料の配合量が40質量%以上の量で且つ原料+酸化物成分または原料+カーボン+酸化物成分の合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量で配合されることを特徴とする。
【0030】
また、第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、添加物が5質量%未満の量で、原料の配合量が40質量%以上の量で且つ原料+添加物または原料+スピネル+添加物または原料+カーボン+スピネル+添加物の合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量で配合されることを特徴とする。
【0031】
更に、第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、添加物が炭化硼素または硼化ジルコニウムから選択される1種または2種であることを特徴とする。
【0032】
また、第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、金属粉がAl、Mgまたはそれらの合金から選択される1種または2種以上であることを特徴とする。
【0033】
更に、本発明の連続鋳造用ノズル材は、粒径0.5mm未満のマグネシア原料100質量部に対して6〜30質量部の高軟化点ピッチ及び0.5〜20質量部の金属粉をコーティングして得られた原料から構成され、500〜1200℃の温度で非酸化性雰囲気中で焼成してなる連続鋳造用ノズル材であって、曲げ強度が8〜20MPa、1500℃の熱膨張率が1.5%以下であることを特徴とする(以下、「第2発明」と記載する)。
【0034】
また、第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、カーボンが40質量%以下の量で配合されることを特徴とする。
【0035】
更に、第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、MgAl2O4及びMgCr2O4から選択される1種または2種のスピネル、マグネシア及びクロミアからなる群から選択される1種または2種以上の酸化物成分が40質量%以下の量で且つ原料の配合量が40質量%以上となる量で配合されることを特徴とする。
【0036】
また、第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、添加物が5質量%未満の量で且つ原料の配合量が40質量%以上となる量で配合されることを特徴とする。
【0037】
更に、第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、添加物が炭化硼素または硼化ジルコニウムから選択される1種または2種であることを特徴とする。
【0038】
また、本発明の連続鋳造用ノズルは、内管、本体及びパウダーライン部から構成される連続鋳造用ノズルの内管の一部または全部、及び/または本体の一部または全部に、上記第1発明及び/または第2発明の連続鋳造用ノズル材を配材することを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の連続鋳造用ノズル材においては、一般に知られている耐溶損性、難アルミナ付着性に優れるマグネシアの特徴を生かし、なおかつその欠点であるマグネシアの高熱膨張率特性を克服するために、以下の方針を採用している:
マグネシア自体は確かに高熱膨張率を示すが、連続鋳造用ノズル材の原料として、マクロ的に見たときに、連続鋳造用ノズル材全体の膨張率を低くできれば良く、また、ミクロ的に見たときに、マグネシア原料の粒の周囲に亀裂が生じないようにマグネシア原料の粒とその周囲の構成材料との熱膨張率差を小さくすることができればよい;
そこで、本発明の連続鋳造用ノズル材では、マグネシア原料の粒が膨張する時にその膨張の影響を周囲に伝えない特性を有する膨張吸収代をマグネシア粒の表面に設けることにより上記問題を解決するものである。この点で理想的なものは空気層、即ち、気孔である。しかしながら、連続鋳造用ノズル材に存在するマグネシア原料の粒の周囲を完全に空気層とすることは不可能である。そこで、本発明においては、気孔(空気層)を含んだ適当な材質として高軟化点ピッチまたは高軟化点ピッチ及び金属粉よりなるコーティング層をマグネシア原料の粒表面に設けるものである。高軟化点ピッチまたは高軟化点ピッチ及び金属粉よりなるコーティング層は、非酸化性雰囲気中で焼成されることにより、室温から使用温度までの高温において、クッション性、弾性的特性、強度をもつ一種のバネのように働く材質である高軟化点ピッチの炭素化物層(バネ様層)を形成する。また、該バネ様層の一方がマグネシア原料の粒に結び付き、もう一方が、周囲の粒と結び付くことにより、マグネシア原料の粒と周囲の粒とを適度に結合でき、しかも、溶鋼温度程度の使用温度ではバネ様層が縮んだ状態になって粒間に隙間がない状態になり、このような状態のバネ様層がマグネシア原料の粒上に多数形成される。即ち、高軟化点ピッチまたは高軟化点ピッチ及び金属粉よりなるコーティング層から形成される高軟化点ピッチの炭素化物層のバネのような作用がが、高軟化点ピッチまたは高軟化点ピッチ及び金属粉よりなるコーティング層から形成される高軟化点ピッチの炭素化物層に求められる。
【0040】
即ち、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、粒径0.5mm未満のマグネシア原料100質量部に対して6〜30質量部の高軟化点ピッチをコーティングして得られた原料80〜99.5質量%及び金属粉0.5〜20質量%から構成され、500〜1200℃の温度で非酸化性雰囲気中で焼成してなる連続鋳造用ノズル材であって、曲げ強度が8〜20MPa、1500℃の熱膨張率が1.5%以下であることを特徴とするものである。
【0041】
ここで、高軟化点ピッチでコーティングされるマグネシア原料の粒径は、0.5mm未満が良く、望ましくは0.3mm以下が良い。マグネシア原料の粒径が0.5mmを超えると、高軟化点ピッチの炭素化物層の結合力を弱めるために、溶鋼接触面で溶鋼衝撃に打ち勝つことができず、マグネシア原料の粒が容易に抜け、溶鋼接触面の凹凸が大きくなる。それが引き金になって、アルミナ付着による連続鋳造用ノズルの閉塞が起こり易くなり、また、鋼中介在物と反応する面が増えるので、耐溶損性が劣ることになる。なお、用いるマグネシア原料の種類は、特に、限定されるものではなく、例えば電融マグネシア、天然マグネシアクリンカー、海水マグネシアクリンカー等を使用することができる。
【0042】
次に、マグネシア原料のコーティングに用いる高軟化点ピッチは、軟化温度が120℃を超えるピッチが良く、望ましくは180℃以上のもが良く、200〜260℃の範囲内のものが特に良い。軟化温度が120℃以下では、コーティングしたマグネシア原料を用いて混練を行った時に、混練時の衝撃により高軟化点ピッチがマグネシア原料の粒から容易に剥がれ落ち、コーティングの役目を果さなくなる。また。軟化温度が120℃を超える高軟化点ピッチは固定炭素量が多いので、高温でピッチ中の揮発分がなくなった後に、マグネシア粒及びその周囲の粒との間でカーボンボンドを形成し易く、高軟化点ピッチよりなるコーティング層に結合力を付与することができる。即ち、高温で高軟化点ピッチ中の揮発分が無くなれば、高軟化点ピッチの再軟化は起こらず、高軟化点ピッチは高軟化点ピッチの炭素化物に変化して炭素化物層(バネ様層)を形成する。
【0043】
なお、上記マグネシア原料100質量部に対するコーティング用の高軟化点ピッチの量は6〜30質量部、望ましくは8〜15質量部の範囲内である。高軟化点ピッチの量が6質量部未満では、マグネシア原料の粒の周囲に形成されるコーティング層の量が少なくマグネシア原料の粒表面を覆うことができなくなり、また、厚さも不充分となり、それに伴ってバネ様層の形成も不充分となり、マグネシア原料の膨張を全方位に渡って吸収できなくなるために好ましくない。また、高軟化点ピッチの量が30質量部を超えると、コーティング層が厚くなりすぎ、それに伴ってバネ様層の量が過分となり、使用時に粒間の隙間が埋まらなるために好ましくない。
【0044】
ここで、上記マグネシア原料への高軟化点ピッチのコーティングは下記のようにして行うことができる。マグネシア原料の所定量をミキサー中に投入する。用いるミキサーは、加温装置が付いていれば通常のミキサーが使用でき、例えば、タイヤミキサー、万能ミキサー、ヘンシェルミキサー、ニーダーミキサー、ハイスピードミキサー等の缶体に加熱装置を付けて用いることができる。作業は、マグネシア原料が均一に加熱されるように、マグネシア原料の入ったミキサーを加熱しながら運転する。マグネシア原料が高軟化点ピッチが軟化する温度よりも高く、室温の高軟化点ピッチを投入しても、高軟化点ピッチの軟化温度を下回ることのない温度に達したところで、所定量の高軟化点ピッチを投入し、コーティング作業を行う。高軟化点ピッチの軟化温度以上の温度を2分以上維持した後に、コーティングした原料を排出する。その後、自然冷却を行い、室温に戻す。以上のコーティング操作は、また、次の方法によってもできる。即ち、原料のマグネシアを予め高温に加熱し、常温のミキサー中に投入しても良い。なお、この場合には、コーティング作業中にマグネシア原料の温度が急速に低下するので、高軟化点ピッチを投入した後に2分以上は高軟化点ピッチ軟化温度以上を維持できるように、予め加熱するマグネシア原料の温度を管理する必要がある。
【0045】
室温に戻った高軟化点ピッチをコーティングした原料は、必ずしもバラバラの粒にはなっておらず、塊状になっていることがある。その場合には、適宜解砕することができる。塊をハンマー等で軽く叩くことにより塊をバラバラに解砕することができる。更に、必要であれば、0.5mmを超える篩目を用いて、粒度調整を行うこともできる。
【0046】
上述のようにしてマグネシア原料にピッチをコーティングした原料を準備することができる。本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、上記原料80〜99.5質量%、好ましくは85〜95質量%と金属粉0.5〜20質量%、好ましくは5〜15質量%より構成される。ここで、上記原料の量が80質量%未満、即ち、金属粉の量が20質量%を超えると、連続鋳造用ノズル材を非酸化雰囲気で500〜1200℃の温度で焼成する際に、相対的に金属反応物が多く生成され、連続鋳造用ノズル材の耐スポーリング性が低下するために好ましくなく、また、上記原料の量が99.5質量%を超える、即ち、金属粉の量が0.5質量%未満となると、カーボンの酸化を充分に抑制することができないために好ましくない。
【0047】
なお、金属粉としては、各種金属粉ないしそれらの合金粉で、融点が500〜1200℃、好ましくは500〜800℃の範囲内にあるものを使用することができ、融点が上記温度範囲内であれば金属粉の種類は特に限定されるものではないが、望ましくは、Al、Mgのいずれか1種またはそれら金属の合金が良い。
【0048】
上述のような配合を有する原料混合物を室温にて常法に従って混練する。原料の混練は、通常のミキサー(例えばタイヤミキサー、万能ミキサー、ヘンシェルミキサー、ニーダーミキサー、ハイスピードミキサー等)を用いることができ、バインダーとして、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の有機バインダーを用いることができる。なお、バインダーの配合量は、特に限定されるものではないが、例えば原料混合物100質量%に対して外掛で5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%の範囲内である。ここで、原料混合物の混練中の摩擦熱により、混練物の温度が上昇し、高軟化点ピッチよりなるコーティングがマグネシア原料から剥落する恐れがてるため、混練時の温度が高軟化点ピッチの軟化点温度を超えないようにすることが必要である。
【0049】
次に、上述のようにして得られた混練物を所定の形状に成形する。成形方法は特に限定されるものではなく、慣用の成形方法を使用することができ、例えば、CIP成形、プレス成形等を用いて所定の形状とすることができる。
【0050】
次に、得られた成形品を100〜300℃、好ましくは150〜250℃の温度範囲内で乾燥した後に、500〜1200℃、好ましくは600〜1100℃の温度範囲内の非酸化雰囲気中で焼成することより本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材を得ることができる。ここで、非酸化雰囲気とは、カーボンブリーズ中の雰囲気、空気を窒素またはアルゴン等の非酸化性気体で置換した雰囲気を意味する。ここで、焼成温度が500℃未満では、高軟化点ピッチの炭素化物を形成できないために好ましくない。また、焼成温度が1200℃を超えると、高軟化点ピッチの炭素化物が全て炭素となり、バネ様層としての機能を発揮できず、更に、金属粉がそのまま残存せずに、金属反応物となり、カーボンの酸化を抑制する作用が失われるために好ましくない。
【0051】
本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、上述のように非酸化雰囲気で焼成することにより、マグネシア原料表面の高軟化点ピッチよりなるコーティング層から生成される高軟化点ピッチの炭素化物がバネ様層を形成する。当該バネ様層の性質は、主にコーティングされる高軟化点ピッチの種類によって決まり、軟化温度が高いほど好適なバネ様層を形成することができる。即ち、単に高軟化点ピッチをコーティングしただけではバネ様層を形成することはできず、連続鋳造用ノズルを製造するために非酸化性雰囲気中で焼成することによりバネ様層を初めて形成することができるものである。
【0052】
上述のようにして得られた本発明の連続鋳造用ノズル材は、曲げ強度が8〜20MPa、好ましくは10〜15MPaの範囲内、1500℃の熱膨張率が1.5%以下、好ましくは1.3%以下の範囲内にある。ここで、本発明の連続鋳造用ノズル材の曲げ強度が8MPa未満の場合は、バネ様層が充分に機能せず、高軟化点ピッチをコ−ティングしたマグネシア粒が使用中に容易に剥離し、溶鋼接触面の凹凸が大きくなり、それが引き金になって、アルミナ付着によるノズル閉塞が起こりやすくなり、また、鋼中介在物と反応する面が増えるので、耐溶損性が劣ることになるために好ましくない。また、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材の曲げ強度が20MPaを超えても、バネ様層が充分に機能せず、逆に、クッション性が失われ、マグネシアの膨張を吸収できなくなり、耐スポーリング性が劣ることになるために好ましくない。また、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材の1500℃の熱膨張率が1.5%を超えると、マグネシア粒の周囲にあるバネ様層が充分に作用せず、マグネシアの膨張を吸収できなくなり、耐スポーリング性に劣ることになるために好ましくない。
【0053】
なお、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材の曲げ強度の測定は、JIS R 2656を適用した。125mmの支持具上に、断面が25mmの正方形で長さが150mmの角柱を載せ、支点間の中央に荷重を加える3点曲げ方式を適用した。また、熱膨張率の測定は、JIS R 2207を適用した。即ち、長さ85mmで、1辺の長さが15mmの角棒の試験片を直接式で測定する方法を適用した。加熱炉中の試料の長さの変化はレーザー計測装置を用いて炉外から計測した。
【0054】
また、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材には、カーボンを配合することができる。カーボンの配合量は40質量%以下の量であり、且つ上述の高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料とカーボンの合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量である。カーボンは、耐スポーリング性の高い材料であり、また、鋼中の酸化物(介在物)とぬれ難く優れた耐火材料であるが、溶鋼中へ速やかに溶解し、また、酸化されやすいという欠点を持っている。したがって、鋼種や操業条件に応じカーボン量を調整するのが良く、耐スポーリング性及び耐食性が求められる場合にはカーボン量を多めにし、難アルミナ付着性及び耐スポーリング性が求められる場合にはカーボン量を少なめに調整することによって高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料の特性と相まって連続鋳造用ノズル材の耐用を向上させることができる。また、耐スポーリング性の問題がなく難アルミナ付着性が専ら求められる場合には、上述のようにカーボンを配合しない配合とすることが好ましい。しかし、これらは目安であり、難アルミナ付着性を求めて、カーボンの配合量を多めにしても効果が激減するものではなく、その逆に耐食性を求めて、カーボンの配合量を少な目にしても良い。カーボンの配合量は、好ましくは30質量%未満であり、更に好ましくは20質量%未満である。なお、カーボンの配合量が40質量%を超えると、溶鋼中へのカーボン溶解量が多くなるので、溶鋼汚染が無視できなくなるだけでなく、溶鋼接触面の凹凸が激しくなるため、難アルミナ付着性に問題が出来、また、溶鋼との接触面が多くなり、それに伴って耐食性が劣るために好ましくない。高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料とカーボンの合計量が80質量%未満であると、該マグネシア原料の配合量が少なくなり過ぎ、連続鋳造用ノズル材として難アルミナ付着性を発揮することができないために好ましくなく、また、99.5質量%を超えると、それに伴って金属粉の配合量が少なくなるために好ましくない。なお、カーボンとして、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛、カーボンブラック、コークス、無煙炭、キッシュ黒鉛、木炭熱分解黒鉛等を用いることができる。
【0055】
また、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材には、MgAl2O4、MgCr2O4のようなスピネル、マグネシア及びクロミアからなる群から選択される1種または2種以上の酸化物成分を配合することができる。これら酸化物成分の配合量は、40質量%以下、好ましくは5〜20質量%の量で、高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料の配合量が40質量%以上の量で且つ高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料+酸化物成分または高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料+カーボン+酸化物成分の合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量である。これらの酸化物成分は、高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料と共存することにより、れんが組織に適度の充填性と強度を与えることができる。なお、これらの酸化物成分の配合量が40質量%を超えると、連続鋳造用ノズル材全体の膨張率が高くなり、耐スポーリング性が低下するために好ましくない。また、高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料の配合量が40質量%未満であると、マグネシア原料の配合量が少なくなり過ぎ、連続鋳造用ノズル材として難アルミナ付着性を発揮することができないために好ましくない。更に、高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料+酸化物成分または高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料+カーボン+酸化物成分の合計量が80質量%未満であったり、99.5質量%を超えると、金属粉の配合量を上記範囲内とすることができないために好ましくない。
【0056】
また、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材には、添加物を配合することができる。添加物の配合量は、5質量%未満の量で、高軟化点ピッチでコーティングされたマグネシア原料の配合量が40質量%以上の量で且つ該マグネシア原料+添加物または該マグネシア原料+前記酸化物成分+添加物または該マグネシア原料+カーボン+前記酸化物成分+添加物の合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量である。ここで、添加物の配合量が5質量%を超えると、アルミナ付着の促進または耐食性低下を招くために好ましくない。なお、添加物としては、上記配合原料の酸化抑制が図られるものなら、特に限定されるものではないが、望ましくは炭化硼素、硼化ジルコニウムの1種または2種が良い。
【0057】
なお、上述のような、カーボン、酸化物成分及び/または添加物を適宜配合した本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、上述と同様の方法にて得ることができる。
【0058】
次に、本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材について詳述する。本発明第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、粒径0.5mm未満のマグネシア原料100質量部に対して6〜30質量部の高軟化点ピッチ及び0.5〜20質量部の金属粉をコーティングして得られた原料から構成され、500〜1200℃の温度で非酸化性雰囲気中で焼成してなる連続鋳造用ノズル材であって、曲げ強度が8〜20MPa、1500℃の熱膨張率が1.5%以下であることを特徴とするものである。
【0059】
ここで、高軟化点ピッチ及び金属粉でコーティングされるマグネシア原料は、上記第1発明と同様のものを使用することができる。
【0060】
次に、マグネシア原料のコーティングに用いる高軟化点ピッチについても、上記第1発明と同様のものを使用することができる。
【0061】
更に、マグネシア原料のコーティングに用いる金属粉は、各種金属粉ないしそれらの合金粉で、融点が500〜1200℃、好ましくは500〜800℃の範囲内にあるものを使用することができ、融点が上記温度範囲内であれば金属粉の種類は特に限定されるものではないが、望ましくは、Al、Mgのいずれか1種またはそれら金属の合金が良い。
【0062】
なお、上記マグネシア原料100質量部に対するコーティング用の高軟化点ピッチの量は6〜30質量部、好ましくは8〜15質量部の範囲内であり、金属粉の量は、0.5〜20質量部、好ましくは2〜7質量部の範囲内である。ここで、高軟化点ピッチの量が6質量部未満では、マグネシア原料の粒の周囲に形成されるコーティング層の量が少なくマグネシア原料の粒表面を覆うことができなくなり、また、厚さも不充分となり、それに伴ってバネ様層の形成も不充分となり、マグネシア原料の膨張を全方位に渡って吸収できなくなるために好ましくない。また、高軟化点ピッチの量が30質量部を超えると、コーティング層が厚くなりすぎ、それに伴ってバネ様層の量が多くなり過ぎ、使用時に粒間の隙間が埋まらなるために好ましくない。また、金属粉の量が20質量%を超えると、連続鋳造用ノズル材を非酸化雰囲気で500〜1200℃の温度で焼成する際に、相対的に金属反応物が多く生成され、連続鋳造用ノズル材の耐スポーリング性が低下するために好ましくなく、また、金属粉の量が0.5質量%未満となると、カーボンの酸化を充分に抑制することができないために好ましくない。
【0063】
ここで、上記マグネシア原料への高軟化点ピッチ及び金属粉のコーティングは下記のようにして行うことができる。マグネシア原料の所定量をミキサー中に投入する。用いるミキサーは、加温装置が付いていれば通常のミキサーが使用でき、例えば、タイヤミキサー、万能ミキサー、ヘンシェルミキサー、ニーダーミキサー、ハイスピードミキサー等の缶体に加熱装置を付けて用いることができる。作業は、マグネシア原料が均一に加熱されるように、マグネシア原料の入ったミキサーを加熱しながら運転する。マグネシア原料が高軟化点ピッチが軟化する温度よりも高く、室温の高軟化点ピッチを投入しても、高軟化点ピッチの軟化温度を下回ることのない温度に達したところで、所定量の高軟化点ピッチ及び金属粉を投入し、コーティング作業を行う。高軟化点ピッチの軟化温度以上の温度を2分以上維持した後に、コーティングした原料を排出する。その後、自然冷却を行い、室温に戻す。以上のコーティング操作は、また、次の方法によってもできる。即ち、原料のマグネシアを予め高温に加熱し、常温のミキサー中に投入しても良い。なお、この場合には、コーティング作業中にマグネシア原料の温度が急速に低下するので、高軟化点ピッチ及び金属粉を投入した後に2分以上は高軟化点ピッチ軟化温度以上を維持できるように、予め加熱するマグネシア原料の温度を管理する必要がある。なお、高軟化点ピッチ及び金属粉の投入順序は、同時に行っても良いが、好ましくは高軟化点ピッチ、金属粉の順に投入する。高軟化点ピッチを先に投入することにより、マグネシア原料の表面を高軟化点ピッチが覆った後に、その外側に金属粉が付着し、金属粉が高軟化点ピッチ中に半ば埋まった状態で付着させることができる。
【0064】
室温に戻った高軟化点ピッチ及び金属粉をコーティングしたマグネシア原料は、必ずしもバラバラの粒にはなっておらず、塊状になっていることがある。その場合には、適宜解砕することができる。塊をハンマー等で軽く叩くことにより塊をバラバラに解砕することができる。更に、必要であれば、0.5mmを超える篩目を用いて、粒度調整を行うこともできる。
【0065】
上述のようにしてマグネシア原料に高軟化点ピッチ及び金属粉をコーティングしたマグネシア原料を準備することができる。本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材においても、上記第1発明と同様に、上記マグネシア原料にバインダーとして、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の有機バインダーを用いて室温にて常法に従って混練して混練物を得る。なお、混練に使用する装置、バインダーの配合量等は、上記第1発明と同様である。また、成形、乾燥、並びに焼成操作も上記第1発明と同様である。
【0066】
本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、上述のように非酸化雰囲気で焼成することにより、上記第1発明と同様にマグネシア原料表面の高軟化点ピッチ及び金属粉よりなるコーティング層から高軟化点ピッチの炭素化物がバネ様層を形成される。
【0067】
上述のようにして得られた本発明の第2発明の連続鋳造用ノズル材は、曲げ強度が8〜20MPa、好ましくは10〜15MPaの範囲内、1500℃の熱膨張率が1.5%以下、好ましくは1.3%以下の範囲内にある。ここで、本発明の第2発明の連続鋳造用ノズル材の曲げ強度及び熱膨張率の測定方法等は上記第1発明と同様である。
【0068】
本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材には、カーボンを配合することができる。カーボンの配合量は40質量%以下、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の量である。なお、カーボンの配合量が40質量%を超えると、溶鋼中へのカーボン溶解量が多くなるので、溶鋼汚染が無視できなくなるだけでなく、溶鋼接触面の凹凸が激しくなるため、難アルミナ付着性に問題が出来、また、溶鋼との接触面が多くなり、それに伴って耐食性が劣るために好ましくない。なお、カーボンとしては上記第1発明と同様のものを使用することができる。
【0069】
また、本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材には、MgAl2O4、MgCr2O4のようなスピネル、マグネシア及びクロミアからなる群から選択される1種または2種以上の酸化物成分を配合することができる。これら酸化物成分の配合量は、40質量%以下、好ましくは5〜20質量%の量で、高軟化点ピッチ及び金属粉をコーティングしたマグネシア原料の配合量が40質量%以上の量である。これらの酸化物成分の配合量が40質量%を超えると、連続鋳造用ノズル材全体の膨張率が高くなり、耐スポーリング性が低下するために好ましくない。また、高軟化点ピッチ及び金属粉をコーティングしたマグネシア原料の配合量が40質量%未満であると、マグネシア原料の配合量が少なくなり過ぎ、連続鋳造用ノズル材として難アルミナ付着性を発揮することができないために好ましくない。
【0070】
また、本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材には、添加物を配合することができる。添加物の配合量は、5質量%未満の量で、高軟化点ピッチ及び金属粉でコーティングされたマグネシア原料の配合量が40質量%以上の量である。ここで、添加物の配合量が5質量%を超えると、アルミナ付着の促進または耐食性低下を招くために好ましくない。なお、添加物としては、上記配合原料の酸化抑制が図られるものなら、特に限定されるものではないが、望ましくは炭化硼素、硼化ジルコニウムの1種または2種が良い。
【0071】
なお、上述のような、カーボン、酸化物成分及び/または添加物を適宜配合した本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、上述と同様の方法にて得ることがてきる。
【0072】
本発明の第1発明及び第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、内管、本体及びパウダーライン部から構成される複合型の連続鋳造用ノズルの内管の一部または全部、及び/または本体の一部または全部として配材することができる。
【0073】
本発明の連続鋳造用ノズルは、高軟化点ピッチまたは高軟化点ピッチと金属粉によるコーティングされたマグネシア原料の効果により、マグネシアの高熱膨張率特性を抑制できているので、熱膨張率の比較的低いアルミナ等を用いた、常用のノズルの場合と同様に、本発明の連続鋳造用ノズル材を使用して複合型の連続鋳造用ノズルとすることができる。
【0074】
なお、複合型の連続鋳造用ノズルの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば通常の一体成形方法を使用できる。一体成形方法とは、予め混練して作成している内管材用練土、本体材用練土、パウダーライン部用練土を複合ノズル作成用型枠に装填し、しかる後、常法による一軸プレス成形及び/またはCIP成形にて成形体を作成する方法、あるいは、本体材のみを一軸プレス成形及び/またはCIP成形によって、仮成形した後、内管材用材料練土を本体材内面側に装填後、一軸プレス成形及び/またはCIP成形の本成形を行い、成形体を作成する方法である。なお、各材料の境界部分を両者が入り交じったボカシ構造にしてもよい。ここで、得られた成形体の乾燥、焼成は、上記第1発明または第2発明の操作を適用する。
【0075】
【実施例】
本発明による連続鋳造用ノズル材を以下の実施例により更に説明する。
マグネシア原料の調製:
以下の表1に従って高軟化点ピッチまたは高軟化点ピッチ及び金属粉をコーティングしたマグネシア原料の調製した。
まず、表1に示すマグネシア原料を加温装置付きニーダーミキサーに投入し、マグネシア原料温度が投入する高軟化点ピッチの軟化温度よりも50℃以上高い温度になったところで高軟化点ピッチを投入し、その状態で5分間ニーダーミキサーを運転した後、処理済マグネシア原料を取り出した。
次に、処理済マグネシア原料の温度が室温になったところで、塊をハンマーで軽く叩いて解砕した。解砕物を使用したマグネシア原料のトップ粒度より1ランク大きい篩を用いて篩分けし、得られたものを次の工程の原料とした。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
実施例1(連続鋳造用ノズル材)
表2に示す配合割合の原料をハイスピードミキサーに装入し、更に、バインダーとしてフェノール樹脂を外掛で15質量%添加して混練することにより原料混練物を得た。
次に、得られた混練物をCIP成形により100mm×100mm×300mmの形状に成形し、得られた成形品を200℃で24時間乾燥した。
次に、乾燥した成形品を非酸化性雰囲気中で800℃で24時間焼成することにより本発明の連続鋳造用ノズル材を得た。その後、所定の試験片形状に加工した。
得られた連続鋳造用ノズル材の曲げ強度及び1500℃での熱膨張率を表2に併記する。
【0081】
更に、連続鋳造用ノズル材の耐スポーリング性、難アルミナ付着性及び耐食性を測定した。耐スポーリング性、難アルミナ付着性及び耐食性は、後述の比較例1に記載する比較品の連続鋳造用ノズルの耐スポーリング性、難アルミナ付着性及び耐食性を基準の100とした時の本発明品の連続鋳造用ノズル材の耐スポーリング性、難アルミナ付着性及び耐食性を示すものである。なお、耐スポーリング性、難アルミナ付着性及び耐食性は、数値が大きいほど良いことを示している。
ここで、耐スポーリング性を調べる実験は、1600℃の溶鋼中に室温にある30mm×30mm×160mmの連続鋳造用ノズル材の供試片を急激に浸漬させることにより行った。浸漬後の供試片に生じた亀裂の大きさを比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片と本発明品の連続鋳造用ノズル材の供試片とで比較した。亀裂によって試料が脱落した場合を0、亀裂が全く生じなかった場合を100、脱落には至らないが、亀裂が多数生じた場合を50とした。
また、難アルミナ付着性を調べる実験は、連続鋳造用ノズルにアルミナ付着を起こしやすい鋼種(アルミキルド鋼)を用いて、1600℃の溶鋼中に30mm×30mm×160mmの供試片を3時間浸漬させ、浸漬中は供試片を1rpmで回転させることにより行った。実験後、供試片に付着したアルミナの厚みを測定し、比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片と本発明の連続鋳造用ノズル材の供試片とを比較した。即ち、比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片及び本発明品の連続鋳造用ノズル材の供試片に付着したアルミナの厚みの逆数を取り、次に、比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片の場合の逆数を100としたときの本発明品の連続鋳造用ノズル材の供試片の指数を求めた。
更に、耐食性を調べる実験は、ノズルを溶損し易い鋼種(高酸素鋼、電磁鋼、カルシウム処理鋼)を用いて、1600℃の溶鋼中に30mm×30mm×160mmの供試片を3時間浸漬させ、浸漬中は試料を1rpmで回転させることによって行った。実験後、供試体の溶損厚みを測定し、比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片と本発明品の連続鋳造用ノズル材の供試片とを比較した。即ち、比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片及び本発明品の連続鋳造用ノズル材の供試片の溶損厚みの逆数を取り、次に、比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片の場合の逆数を100とした本発明品の連続鋳造用ノズル材の供試片の指数を求めた。
得られた結果を表2に併記する。
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】
【0086】
比較例1(連続鋳造用ノズル材)
表3に示す配合割合の原料をハイスピードミキサーに装入し、更に、バインダーとしてフェノール樹脂を外掛で15質量%添加して混練することにより原料混練物を得た。
次に、得られた混練物をCIP成形により100mm×100mm×300mmの形状に成形し、得られた成形品を200℃で24時間乾燥した。
次に、乾燥した成形品を非酸化性雰囲気中で800℃で24時間焼成することにより比較品の連続鋳造用ノズル材を得た。
得られた連続鋳造用ノズル材の曲げ強度及び1500℃での熱膨張率を表3に併記する。
【0087】
【表9】
【0088】
【表10】
【0089】
【表11】
【0090】
【表12】
【0091】
実施例2(連続鋳造用ノズル)
上記実施例1に記載する連続鋳造用ノズル材と同様の組成を有する連続鋳造用ノズル材を表4に示す図1ないし図3の配材部位に使用することにより連続鋳造用ノズルを製造した。ここで、図1では、本発明の連続鋳造用ノズル材は、内管部(3)に配材され、本体部(1)は、Al2O3−C質耐火物より構成され、パウダーライン部(2)は、ZrO2−C質耐火物により構成されている。また、図2では、本発明の連続鋳造用ノズル材は、本体部(1)に配材され、パウダーライン部(2)は、ZrO2−C質耐火物により構成されている。更に、図3では、本発明の連続鋳造用ノズル材は、内管部(3)に配材され、本体部(1)は、Al2O3−C質耐火物より構成され、パウダーライン部(2)は、ZrO2−C質耐火物により構成されている。
【0092】
得られた連続鋳造用ノズルを実機で実際の鋳造操作に供した場合の耐スポーリング性、難アルミナ付着性、耐食性、ノズル耐用性及び鋼品質改善率を測定した。
なお、耐スポーリング性は、実機鋳造中に割れが生じた時を0、鋳造後ノズルに割れが認められなかった時を100、鋳造中に割れは生じなかったが鋳造後の本発明品の連続鋳造用ノズルに割れが認められた時を50と指数化したものである。
また、難アルミナ付着性は、鋳造後の本発明品の連続鋳造用ノズルを観察し、アルミナ付着厚みの最も厚い部分の厚みを測定し、1チャージ当りのアルミナ付着厚みに換算し、得られた換算厚みの逆数を取り、次に、以下の比較例2の比較品の場合の逆数を100した時の本発明品の指数を求めたものである。
更に、耐食性は、鋳造後の本発明品の連続鋳造用ノズルを観察し、最も溶損している部位の溶損寸法を測定し、1チャージ当たりの溶損寸法に換算し、得られた換算寸法の逆数を取り、次に、以下の比較例2の比較品の場合の逆数を100とした時の本発明品の指数を求めたものである。
また、ノズル耐用性は、実機において鋳造後の以下の比較例2に記載する比較品の連続鋳造用ノズルと本発明品の連続鋳造用ノズルとの比較を調べたものである。比較品の連続鋳造用ノズルのノズル耐用性を100としたときの本発明品の連続鋳造用ノズルの耐用性を指数化した。数値が大きいほど良好であることを示す。
また、鋼品質改善率は、耐火材料が原因になって生じる鋼の欠陥率の改善度合いを示したものであるが、比較品の連続鋳造用ノズルの改善率を0%としたときの本発明品の連続鋳造用ノズルの改善率で示した。
【0093】
【表13】
【0094】
【表14】
【0095】
【表15】
【0096】
【表16】
【0097】
比較例2(連続鋳造用ノズル)
上記実施例2と同様にして上記比較1に記載する連続鋳造用ノズル材と同様の組成を有する連続鋳造用ノズル材を表5に示す図1ないし図3の配材部位に使用することにより連続鋳造用ノズルを製造した。ここで、図1では、比較品の連続鋳造用ノズル材は、内管部(3)に配材され、本体部(1)は、Al2O3−C質耐火物より構成され、パウダーライン部(2)は、ZrO2−C質耐火物により構成されている。また、図2では、比較品の連続鋳造用ノズル材は、本体部(1)に配材され、パウダーライン部(2)は、ZrO2−C質耐火物により構成されている。更に、図3では、比較品の連続鋳造用ノズル材は、内管部(3)に配材され、本体部(1)は、Al2O3−C質耐火物より構成され、パウダーライン部(2)は、ZrO2−C質耐火物により構成されている。
【0098】
【表17】
【0099】
【表18】
【0100】
【表19】
【0101】
【表20】
【0102】
上記表に記載の結果から判るように、本発明品は比較品と比べ、耐溶損性、難アルミナ付着性が良好であり、実機においても、耐スポーリング性が良好であり、なおかつマグネシアの特性を発揮できるために、ノズル耐用性が高く、更には、鋼品質を改善する効果が高いことが判る。
【0103】
【発明の効果】
以上のように、本発明の連続鋳造用ノズル材は、アルミナ付着が無く、耐溶損性が高いので、ノズル寿命を大幅に向上できた。更に、アルミナ付着が無いので、ノズル内及びタンディッシュ内及びモールド内を溶鋼がスムーズに流れ、そのためにスラグ、パウダーの巻き込みが無く、鋼品質を向上でき、また、ノズル溶損性の高い鋼種の鋳造においては、耐食性が高いので、溶鋼中に耐火材料が介在することなく、その為に鋼品質を向上できるという効果を奏するものである。
【0104】
また、本発明の連続鋳造用ノズルは、アルミキルド鋼、シリコンキルド鋼、高酸素鋼、ステンレス鋼、電磁鋼、カルシウム処理鋼、高マンガン鋼、快削鋼、ボロン鋼、スチールコード、肌焼き鋼、高チタン鋼等の溶鋼鋳造に際し、エアシールパイプ、浸漬ノズル等の連続鋳造用ノズルのアルミナ付着またはノズル溶損を防止することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明品及び比較品の連続鋳造用ノズルの配材パターンの1実施態様を示す図である。
【図2】本発明品及び比較品の連続鋳造用ノズルの配材パターンの他の実施態様を示す図である。
【図3】本発明品及び比較品の連続鋳造用ノズルの配材パターンの更に他の1実施態様を示す図である。
【符号の説明】
1 本体部
2 パウダーライン部
3 内管部
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鋼工程の連続鋳造に使用される取鍋またはタンディッシュ等の容器から排出される溶鋼の流路に使用されるエアーシールパイプ、浸漬ノズル等に適した連続鋳造用ノズル材及びそれを使用した連続鋳造用ノズルに関し、更に詳細には、アルミナ付着またはノズル溶損を防止することができる連続鋳造用ノズル材及びそれを使用した連続鋳造用ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼の連続鋳造工程に使用される連続鋳造用ノズルは、溶鋼の酸化防止、溶鋼流制御等に使用され、鋼品質に重要な影響を与えている。使用される連続鋳造用ノズルは、鋼種の影響を受け、アルミナ付着によるノズル閉塞の問題あるいは溶損の問題がある。これらの問題は、溶鋼流制御不能による操業の制限または停止、連続鋳造用ノズルの寿命低下、鋼品質の低下等の原因になっている。これらの問題を解決するために、以下のような従来技術が開示されている。
【0003】
特許文献1には、重量(質量)比にてMgO48〜87%、黒鉛8〜42%、SiC、SiO2、Si或いはFe−Siからなる珪素成分8〜18%及びCr2O30〜20%とからなる鋳造用ノズル組成物が開示されている。
【0004】
特許文献2には、重量(質量)比にて、アルミナ20〜70%と、黒鉛5〜70%と、窒化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、ジルコンおよび酸化クロムの群から選ばれる1種または2種以上5〜40%と、金属ケイ素またはシリカ1〜20%と、からなる原料を通常の窯業材料に用いられる結合材で充分ねつ合し、これをアイソスタティックプレスにて成形してなる鋳造用ノズルが開示されている。
【0005】
特許文献3には、重量(質量)比にてMgO43〜87%、黒鉛8〜42%、SiC、SiO2、Si或いはFe−Siからなる珪素成分3〜12%及びCr2O320%以下とからなる鋳造用浸漬ノズル組成物が開示されている。
【0006】
特許文献4には、ノズル内周面側を5〜1mmの粗粒マグネシア配合のマグネシア−カーボン質耐火物となし、外周面側を1mm以下の微粒マグネシア配合のマグネシア−カーボン質耐火物で構成してなる鋳造用ノズル(第1項);ノズル外周面側のスラグライン相当部をカーボン5〜20重量(質量)部配合のマグネシア−カーボン質耐火物としたことを特徴とする上記鋳造用ノズル(第2項);ノズル外周面側のスラグライン相当部をカーボン5〜20重量(質量)部配合のジルコニア−カーボン質耐火物としたことを特徴とする上記鋳造用ノズル(第3項)が開示されている。
【0007】
特許文献5には、マグネシア35〜80重量(質量)%、あるいはマグネシア15〜80重量(質量)%と、スピネル(MgO・Al2O3)0〜65重量(質量)%で該塩基性骨材の合量が35〜80重量(質量)%よりなる混合物か、あるいは上記マグネシア単独あるいはマグネシアとスピネルの合量のうちの1〜15重量(質量)%を溶融シリカ粉末で置き換えてなる混合物に、黒鉛粉末20〜45重量(質量)%、並びにアルミニウム粉末1〜15重量(質量)%か、または該アルミニウム粉末のうちの1〜10重量(質量)%をアルミナ粉末で置換したアルミニウム質粉末、合計100重量(質量)%の坏土組成物に、有機質バインダーを加えて混練し、所要の形状に成型し、非酸化性雰囲気中で焼成した鋼連続鋳造用ノズルが開示されている。
【0008】
特許文献6には、重量(質量)割合にてマグネシア90〜60部、炭素10〜40部、炭化硼素0.05〜0.35部からなることを特徴とする鋳造用ノズル(第1項);ノズル外周面の溶鋼湯面と接触する個所をジルコニア30〜90部、炭素15〜30部からなる耐火物で構成した上記鋳造用ノズル(第2項)が開示されている。
【0009】
特許文献7には、重量(質量)比でMgO35〜85%、黒鉛10〜45%、ZrO23〜20%およびSiO2、SiC、Si、Fe−Siのうち1種または2種以上の珪素成分の合計が1〜15%とからなる鋳造用ノズルが開示されている。
【0010】
特許文献8には、ノズル内周面側をMgO−C質耐火物となし、外周面側をAl2O3−C質耐火物で構成してなる鋳造用ノズル(第1項);ノズル外周面側のスラグライン相当部をZrO2−C質耐火物で構成した上記鋳造用ノズル(第2項)が開示されている。
【0011】
特許文献9には、マグネシア粒子100重量(質量)部に対して、ピッチが1〜5重量(質量)部であるピッチ被覆マグネシア粒子を10〜50重量(質量)%、残部がマグネシア粒子とカーボンを主材とした配合物を成形することを特徴とするMgO−C質不焼成れんがの製造方法が開示されている。また、特許文献9の[0009]段落には、「本発明のピッチ被覆粒子が耐熱スポーリング性に与える効果を十分に発揮するには、1mm以上で、かつ6mm未満が好ましい。」旨の記載がある。
【0012】
特許文献10には、粒径が5mm以下で、かつ黒鉛の最大径より大きな耐火原料に対して、常温において固体である有機物質を0.5〜5重量(質量)%表面被覆した原料を15〜65重量(質量)%、リン状黒鉛4〜35重量(質量)%、残部を被覆していない耐火原料からなる混合物に結合材として液状有機バインダーを外掛けで2〜10重量(質量)%加えて混合、成形して成ることを特徴とする黒鉛含有耐火物(請求項1);耐火原料を、耐火原料に対して0.5〜5重量(質量)%の常温において固体である有機物質によって被覆した後、該被覆原料15〜65重量(質量)%、リン状黒鉛4〜35重量(質量)%、残部が被覆していない耐火原料からなる混合物に結合材として液状有機質バインダーを外掛けで2〜10重量(質量)%加えて常温において混合し、成形することを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法(請求項2)が開示されている。また、特許文献10の[0017]段落には、「耐火原料はスラグとの化学反応に耐食性を有し、耐火性の高いものを用いることができ、酸化物としてはアルミナ、マグネシア、酸化クロム、シリカ、ジルコニア、チタニア、イットリア及びこれらの化合物が対象となる。」旨の記載がある。更に、特許文献10の[0019]段落には、「被覆膜は被覆後、常温で固体であり、液状有機バインダーを加えて混合した時にこの中に溶けにくく、加熱により炭素化する熱硬化性のピッチである。」旨の記載がある。
【0013】
特許文献11には、Al金属及び/又はAl系合金を含むピッチからなる被覆材で被覆したマグネシアと、残部がマグネシア粒子とカーボンを主材とした配合物からなるマグネシア−炭素質不焼成れんが(請求項1);ピッチをもって被覆したマグネシアの粒径が0.5mm以上である上記マグネシア−炭素質不焼成れんが(請求項8)が開示されている。また、特許文献11の[0031]段落には、「被覆対象のマグネシアは、粗粒、中粒が好ましい。例えば、0.5mm以下の微粒に対して被覆した場合、れんが組織内にピッチ成分の逸散で形成される空隙が多くなり、耐食性に低下傾向が認められる。」旨の記載がある。
【0014】
【特許文献1】
特開昭49−127820号公報 特許請求の範囲
【特許文献2】
特開昭52−70942号公報 特許請求の範囲
【特許文献3】
特開昭56−109867号公報 特許請求の範囲
【特許文献4】
特開昭56−169177号公報 特許請求の範囲
【特許文献5】
特開昭57−3764号公報 特許請求の範囲
【特許文献6】
特開昭57−34074号公報 特許請求の範囲
【特許文献7】
特開昭57−34075号公報 特許請求の範囲
【特許文献8】
特開昭57−85658号公報 特許請求の範囲
【特許文献9】
特開平6−321626号公報 特許請求の範囲 [0008]段落
【特許文献10】
特開平8−40764号公報 特許請求の範囲 [0017]段落 [0019]段落
【特許文献11】
特開平13−97782号公報 特許請求の範囲 [0031]段落
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような開示があるにも拘らず、依然として連続鋳造操業の制限や停止、連続鋳造用ノズルの寿命低下、鋼の品質低下等の問題は依然として解決されていない。例えば、特許文献1及び特許文献3では、耐熱衝撃性を向上するためにSiO、SiO2、Si、Fe−Si等の珪素成分が添加されているが、これら珪素成分は耐食性を低下させる傾向があり、更に、Cr2O3を添加しても、耐食性を改善することができない。また、アルミナ付着に関しては、アルミナと珪素成分の反応によるアルミナと珪素成分の流失後の溶鋼接触面に凹凸を生じ、アルミナ付着を更に助長することも判明した。即ち、特許文献1及び特許文献3に記載された鋳造用ノズル組成物では充分な耐用性は得られない。
【0016】
特許文献2の鋳造用ノズルは、アルミナを20〜70%用いることを特徴としており、耐食性を向上させるためにマグネシアを添加したり、あるいは閉塞を防止するために珪素を添加しても、それらを添加することによる改善効果には限度があり、特許文献2によっても鋳造用ノズルの耐用性は充分には得られない。
【0017】
特許文献4の鋳造用ノズルは、溶鋼と接するノズル内周面に5〜1mmの粗粒マグネシアを配合することに特徴を有するものであるが、溶鋼衝撃により粗粒の抜け落ちが起こり、耐食性、耐スポーリング性、ノズル閉塞防止等に改善が図られず、特許文献4によっても鋳造用ノズルの耐用性は充分には得られない。
【0018】
特許文献5の連続鋳造用ノズルは、マグネシア、黒鉛及びアルミニウム粉を用いることを特徴とするものであり、これらに熱膨張係数を調整する目的で更にスピネルを添加できるものである。しかし、スピネルが不在の場合や、スピネルの添加量が少な過ぎる場合には、マグネシアの影響が大きく現われ、耐スポーリング性に難点を生じ、また、スピネルの添加量が多過ぎると、充分なノズル閉塞防止が図られないことが判った。即ち、特許文献5によっても鋳造用ノズルの耐用性は充分には得られない。
【0019】
特許文献6の鋳造ノズルは、マグネシア、炭素及び特定量の炭化硼素を用いることを特徴とするものであり、炭化硼素の添加により耐食性と熱間強度の改善を図るものである。しかし、マグネシア粒の影響によりノズルの膨張率が高くなっている上に、熱間強度の向上、即ち、強度が向上すると弾性率も向上するため、スポーリングが起き易くなる。即ち、特許文献6によっても鋳造用ノズルの耐食性は充分には得られない。
【0020】
特許文献7の鋳造用ノズルは、ZrO2、及びSiO2、SiC、Si、Fe−Si等の珪素成分の添加を特徴とするものであり、ZrO2が鋼中脱酸生成物であるα−Al2O3と反応することで、アルミナ付着防止を図っているが、ZrO2が抜けた後は凹凸が大きくなり、却ってアルミナの付着を助長する。また、珪素成分は耐食性の低下をもたらし、更に、α−Al2O3と反応して流失することで溶鋼接触面に凹凸を造る。即ち、特許文献7によっても鋳造用ノズルの耐用性が充分には得られない。
【0021】
特許文献8の鋳造用ノズルは、内周面側にMgO−C質耐火物を、外周面側にAl2O3−C質耐火物を配材することを特徴とするものであるが、内周面側のMgO−C質耐火物の膨張率が外周面側のAl2O3−C質耐火物の膨張率よりも大きいために充分な耐スポーリング性を確保することができず、割れが頻発する。即ち、特許文献8によっても鋳造用ノズルの耐用性が充分には得られない。
【0022】
特許文献9は、MgO−C質不焼成れんがに関するものであり、ピッチを被覆するマグネシアの粒度は1mm以上6mm未満が好ましい旨の記載もあり、該MgO−C質不焼成れんがは溶融金属処理装置用の内張り材として有効なものである。しかしながら、特許文献9のMgO−C質不焼成れんがを連続鋳造用ノズルの材質として適用しても、不焼成品であり、更に、粒度が大きいために、耐スポーリング性、機械的強度が得られず、ノズル寿命が短かい。即ち、特許文献9によっても鋳造用ノズルの耐用性が充分には得られない。
【0023】
特許文献10の黒鉛含有耐火物は、5mm以下の耐火原料に有機物質を0.5〜5重量%(質量%)表面被覆した原料を用いることを特徴とするものであるが、粒径の小さい耐火原料を0.5〜5質量%の有機物質では充分に表面被覆することができず、従って、マグネシアのような高熱膨張率原料を用いた場合には、膨張率の緩和を図ることができず、従って、連続鋳造用ノズルの材質としては適用できない。即ち、特許文献10によっても鋳造用ノズルの耐用性が充分には得られない。
【0024】
特許文献11のマグネシア−炭素質不焼成れんがは溶融金属容器の内張り材として用いられるものであり、また、金属または合金を含有するピッチによる被覆対象となるマグネシアは粗粒、中粒が好ましい旨記載されており、0.5mm以下のマグネシア微粒に被覆した場合には、れんが組織にピッチ成分の逸散で形成される空隙が多くなり、耐食性の低下傾向が認められるとしている。従って、特許文献11のマグネシア−炭素質不焼成れんがを連続鋳造用ノズルの材質として適用しても、微粒への被覆による空隙の影響や、不焼成であるために生ずる影響により、耐食性、耐スポーリング性が得られず、連続鋳造用ノズルの寿命は短命となる。即ち、特許文献11によっても鋳造用ノズルの耐用性が充分には得られない。
【0025】
以上のように、いずれの特許文献によっても、連続鋳造用ノズルに充分な耐用性を付与することはできず、それが原因となって操業の制限または停止、鋼品質の低下等の問題の解決が依然として得られていない。
【0026】
従って、本発明の目的は、アルミナ付着及びノズル溶損を防止することができる連続鋳造用ノズル材及び該連続鋳造用ノズル材を使用した連続鋳造用ノズルを提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の連続鋳造用ノズル材は、粒径0.5mm未満のマグネシア原料100質量部に対して6〜30質量部の高軟化点ピッチをコーティングして得られた原料80〜99.5質量%及び金属粉0.5〜20質量%から構成され、500〜1200℃の温度で非酸化性雰囲気中で焼成してなる連続鋳造用ノズル材であって、曲げ強度が8〜20MPa、1500℃の熱膨張率が1.5%以下であることを特徴とする(以下、「第1発明」と記載する)。
【0028】
また、第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、カーボンが40質量%以下の量で且つ原料+カーボンの合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量で配合されることを特徴とする。
【0029】
更に、第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、MgAl2O4及びMgCr2O4から選択される1種または2種のスピネル、マグネシア及びクロミアからなる群から選択される1種または2種以上の酸化物成分が40質量%以下の量で、原料の配合量が40質量%以上の量で且つ原料+酸化物成分または原料+カーボン+酸化物成分の合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量で配合されることを特徴とする。
【0030】
また、第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、添加物が5質量%未満の量で、原料の配合量が40質量%以上の量で且つ原料+添加物または原料+スピネル+添加物または原料+カーボン+スピネル+添加物の合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量で配合されることを特徴とする。
【0031】
更に、第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、添加物が炭化硼素または硼化ジルコニウムから選択される1種または2種であることを特徴とする。
【0032】
また、第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、金属粉がAl、Mgまたはそれらの合金から選択される1種または2種以上であることを特徴とする。
【0033】
更に、本発明の連続鋳造用ノズル材は、粒径0.5mm未満のマグネシア原料100質量部に対して6〜30質量部の高軟化点ピッチ及び0.5〜20質量部の金属粉をコーティングして得られた原料から構成され、500〜1200℃の温度で非酸化性雰囲気中で焼成してなる連続鋳造用ノズル材であって、曲げ強度が8〜20MPa、1500℃の熱膨張率が1.5%以下であることを特徴とする(以下、「第2発明」と記載する)。
【0034】
また、第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、カーボンが40質量%以下の量で配合されることを特徴とする。
【0035】
更に、第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、MgAl2O4及びMgCr2O4から選択される1種または2種のスピネル、マグネシア及びクロミアからなる群から選択される1種または2種以上の酸化物成分が40質量%以下の量で且つ原料の配合量が40質量%以上となる量で配合されることを特徴とする。
【0036】
また、第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、添加物が5質量%未満の量で且つ原料の配合量が40質量%以上となる量で配合されることを特徴とする。
【0037】
更に、第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、添加物が炭化硼素または硼化ジルコニウムから選択される1種または2種であることを特徴とする。
【0038】
また、本発明の連続鋳造用ノズルは、内管、本体及びパウダーライン部から構成される連続鋳造用ノズルの内管の一部または全部、及び/または本体の一部または全部に、上記第1発明及び/または第2発明の連続鋳造用ノズル材を配材することを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の連続鋳造用ノズル材においては、一般に知られている耐溶損性、難アルミナ付着性に優れるマグネシアの特徴を生かし、なおかつその欠点であるマグネシアの高熱膨張率特性を克服するために、以下の方針を採用している:
マグネシア自体は確かに高熱膨張率を示すが、連続鋳造用ノズル材の原料として、マクロ的に見たときに、連続鋳造用ノズル材全体の膨張率を低くできれば良く、また、ミクロ的に見たときに、マグネシア原料の粒の周囲に亀裂が生じないようにマグネシア原料の粒とその周囲の構成材料との熱膨張率差を小さくすることができればよい;
そこで、本発明の連続鋳造用ノズル材では、マグネシア原料の粒が膨張する時にその膨張の影響を周囲に伝えない特性を有する膨張吸収代をマグネシア粒の表面に設けることにより上記問題を解決するものである。この点で理想的なものは空気層、即ち、気孔である。しかしながら、連続鋳造用ノズル材に存在するマグネシア原料の粒の周囲を完全に空気層とすることは不可能である。そこで、本発明においては、気孔(空気層)を含んだ適当な材質として高軟化点ピッチまたは高軟化点ピッチ及び金属粉よりなるコーティング層をマグネシア原料の粒表面に設けるものである。高軟化点ピッチまたは高軟化点ピッチ及び金属粉よりなるコーティング層は、非酸化性雰囲気中で焼成されることにより、室温から使用温度までの高温において、クッション性、弾性的特性、強度をもつ一種のバネのように働く材質である高軟化点ピッチの炭素化物層(バネ様層)を形成する。また、該バネ様層の一方がマグネシア原料の粒に結び付き、もう一方が、周囲の粒と結び付くことにより、マグネシア原料の粒と周囲の粒とを適度に結合でき、しかも、溶鋼温度程度の使用温度ではバネ様層が縮んだ状態になって粒間に隙間がない状態になり、このような状態のバネ様層がマグネシア原料の粒上に多数形成される。即ち、高軟化点ピッチまたは高軟化点ピッチ及び金属粉よりなるコーティング層から形成される高軟化点ピッチの炭素化物層のバネのような作用がが、高軟化点ピッチまたは高軟化点ピッチ及び金属粉よりなるコーティング層から形成される高軟化点ピッチの炭素化物層に求められる。
【0040】
即ち、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、粒径0.5mm未満のマグネシア原料100質量部に対して6〜30質量部の高軟化点ピッチをコーティングして得られた原料80〜99.5質量%及び金属粉0.5〜20質量%から構成され、500〜1200℃の温度で非酸化性雰囲気中で焼成してなる連続鋳造用ノズル材であって、曲げ強度が8〜20MPa、1500℃の熱膨張率が1.5%以下であることを特徴とするものである。
【0041】
ここで、高軟化点ピッチでコーティングされるマグネシア原料の粒径は、0.5mm未満が良く、望ましくは0.3mm以下が良い。マグネシア原料の粒径が0.5mmを超えると、高軟化点ピッチの炭素化物層の結合力を弱めるために、溶鋼接触面で溶鋼衝撃に打ち勝つことができず、マグネシア原料の粒が容易に抜け、溶鋼接触面の凹凸が大きくなる。それが引き金になって、アルミナ付着による連続鋳造用ノズルの閉塞が起こり易くなり、また、鋼中介在物と反応する面が増えるので、耐溶損性が劣ることになる。なお、用いるマグネシア原料の種類は、特に、限定されるものではなく、例えば電融マグネシア、天然マグネシアクリンカー、海水マグネシアクリンカー等を使用することができる。
【0042】
次に、マグネシア原料のコーティングに用いる高軟化点ピッチは、軟化温度が120℃を超えるピッチが良く、望ましくは180℃以上のもが良く、200〜260℃の範囲内のものが特に良い。軟化温度が120℃以下では、コーティングしたマグネシア原料を用いて混練を行った時に、混練時の衝撃により高軟化点ピッチがマグネシア原料の粒から容易に剥がれ落ち、コーティングの役目を果さなくなる。また。軟化温度が120℃を超える高軟化点ピッチは固定炭素量が多いので、高温でピッチ中の揮発分がなくなった後に、マグネシア粒及びその周囲の粒との間でカーボンボンドを形成し易く、高軟化点ピッチよりなるコーティング層に結合力を付与することができる。即ち、高温で高軟化点ピッチ中の揮発分が無くなれば、高軟化点ピッチの再軟化は起こらず、高軟化点ピッチは高軟化点ピッチの炭素化物に変化して炭素化物層(バネ様層)を形成する。
【0043】
なお、上記マグネシア原料100質量部に対するコーティング用の高軟化点ピッチの量は6〜30質量部、望ましくは8〜15質量部の範囲内である。高軟化点ピッチの量が6質量部未満では、マグネシア原料の粒の周囲に形成されるコーティング層の量が少なくマグネシア原料の粒表面を覆うことができなくなり、また、厚さも不充分となり、それに伴ってバネ様層の形成も不充分となり、マグネシア原料の膨張を全方位に渡って吸収できなくなるために好ましくない。また、高軟化点ピッチの量が30質量部を超えると、コーティング層が厚くなりすぎ、それに伴ってバネ様層の量が過分となり、使用時に粒間の隙間が埋まらなるために好ましくない。
【0044】
ここで、上記マグネシア原料への高軟化点ピッチのコーティングは下記のようにして行うことができる。マグネシア原料の所定量をミキサー中に投入する。用いるミキサーは、加温装置が付いていれば通常のミキサーが使用でき、例えば、タイヤミキサー、万能ミキサー、ヘンシェルミキサー、ニーダーミキサー、ハイスピードミキサー等の缶体に加熱装置を付けて用いることができる。作業は、マグネシア原料が均一に加熱されるように、マグネシア原料の入ったミキサーを加熱しながら運転する。マグネシア原料が高軟化点ピッチが軟化する温度よりも高く、室温の高軟化点ピッチを投入しても、高軟化点ピッチの軟化温度を下回ることのない温度に達したところで、所定量の高軟化点ピッチを投入し、コーティング作業を行う。高軟化点ピッチの軟化温度以上の温度を2分以上維持した後に、コーティングした原料を排出する。その後、自然冷却を行い、室温に戻す。以上のコーティング操作は、また、次の方法によってもできる。即ち、原料のマグネシアを予め高温に加熱し、常温のミキサー中に投入しても良い。なお、この場合には、コーティング作業中にマグネシア原料の温度が急速に低下するので、高軟化点ピッチを投入した後に2分以上は高軟化点ピッチ軟化温度以上を維持できるように、予め加熱するマグネシア原料の温度を管理する必要がある。
【0045】
室温に戻った高軟化点ピッチをコーティングした原料は、必ずしもバラバラの粒にはなっておらず、塊状になっていることがある。その場合には、適宜解砕することができる。塊をハンマー等で軽く叩くことにより塊をバラバラに解砕することができる。更に、必要であれば、0.5mmを超える篩目を用いて、粒度調整を行うこともできる。
【0046】
上述のようにしてマグネシア原料にピッチをコーティングした原料を準備することができる。本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、上記原料80〜99.5質量%、好ましくは85〜95質量%と金属粉0.5〜20質量%、好ましくは5〜15質量%より構成される。ここで、上記原料の量が80質量%未満、即ち、金属粉の量が20質量%を超えると、連続鋳造用ノズル材を非酸化雰囲気で500〜1200℃の温度で焼成する際に、相対的に金属反応物が多く生成され、連続鋳造用ノズル材の耐スポーリング性が低下するために好ましくなく、また、上記原料の量が99.5質量%を超える、即ち、金属粉の量が0.5質量%未満となると、カーボンの酸化を充分に抑制することができないために好ましくない。
【0047】
なお、金属粉としては、各種金属粉ないしそれらの合金粉で、融点が500〜1200℃、好ましくは500〜800℃の範囲内にあるものを使用することができ、融点が上記温度範囲内であれば金属粉の種類は特に限定されるものではないが、望ましくは、Al、Mgのいずれか1種またはそれら金属の合金が良い。
【0048】
上述のような配合を有する原料混合物を室温にて常法に従って混練する。原料の混練は、通常のミキサー(例えばタイヤミキサー、万能ミキサー、ヘンシェルミキサー、ニーダーミキサー、ハイスピードミキサー等)を用いることができ、バインダーとして、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の有機バインダーを用いることができる。なお、バインダーの配合量は、特に限定されるものではないが、例えば原料混合物100質量%に対して外掛で5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%の範囲内である。ここで、原料混合物の混練中の摩擦熱により、混練物の温度が上昇し、高軟化点ピッチよりなるコーティングがマグネシア原料から剥落する恐れがてるため、混練時の温度が高軟化点ピッチの軟化点温度を超えないようにすることが必要である。
【0049】
次に、上述のようにして得られた混練物を所定の形状に成形する。成形方法は特に限定されるものではなく、慣用の成形方法を使用することができ、例えば、CIP成形、プレス成形等を用いて所定の形状とすることができる。
【0050】
次に、得られた成形品を100〜300℃、好ましくは150〜250℃の温度範囲内で乾燥した後に、500〜1200℃、好ましくは600〜1100℃の温度範囲内の非酸化雰囲気中で焼成することより本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材を得ることができる。ここで、非酸化雰囲気とは、カーボンブリーズ中の雰囲気、空気を窒素またはアルゴン等の非酸化性気体で置換した雰囲気を意味する。ここで、焼成温度が500℃未満では、高軟化点ピッチの炭素化物を形成できないために好ましくない。また、焼成温度が1200℃を超えると、高軟化点ピッチの炭素化物が全て炭素となり、バネ様層としての機能を発揮できず、更に、金属粉がそのまま残存せずに、金属反応物となり、カーボンの酸化を抑制する作用が失われるために好ましくない。
【0051】
本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、上述のように非酸化雰囲気で焼成することにより、マグネシア原料表面の高軟化点ピッチよりなるコーティング層から生成される高軟化点ピッチの炭素化物がバネ様層を形成する。当該バネ様層の性質は、主にコーティングされる高軟化点ピッチの種類によって決まり、軟化温度が高いほど好適なバネ様層を形成することができる。即ち、単に高軟化点ピッチをコーティングしただけではバネ様層を形成することはできず、連続鋳造用ノズルを製造するために非酸化性雰囲気中で焼成することによりバネ様層を初めて形成することができるものである。
【0052】
上述のようにして得られた本発明の連続鋳造用ノズル材は、曲げ強度が8〜20MPa、好ましくは10〜15MPaの範囲内、1500℃の熱膨張率が1.5%以下、好ましくは1.3%以下の範囲内にある。ここで、本発明の連続鋳造用ノズル材の曲げ強度が8MPa未満の場合は、バネ様層が充分に機能せず、高軟化点ピッチをコ−ティングしたマグネシア粒が使用中に容易に剥離し、溶鋼接触面の凹凸が大きくなり、それが引き金になって、アルミナ付着によるノズル閉塞が起こりやすくなり、また、鋼中介在物と反応する面が増えるので、耐溶損性が劣ることになるために好ましくない。また、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材の曲げ強度が20MPaを超えても、バネ様層が充分に機能せず、逆に、クッション性が失われ、マグネシアの膨張を吸収できなくなり、耐スポーリング性が劣ることになるために好ましくない。また、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材の1500℃の熱膨張率が1.5%を超えると、マグネシア粒の周囲にあるバネ様層が充分に作用せず、マグネシアの膨張を吸収できなくなり、耐スポーリング性に劣ることになるために好ましくない。
【0053】
なお、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材の曲げ強度の測定は、JIS R 2656を適用した。125mmの支持具上に、断面が25mmの正方形で長さが150mmの角柱を載せ、支点間の中央に荷重を加える3点曲げ方式を適用した。また、熱膨張率の測定は、JIS R 2207を適用した。即ち、長さ85mmで、1辺の長さが15mmの角棒の試験片を直接式で測定する方法を適用した。加熱炉中の試料の長さの変化はレーザー計測装置を用いて炉外から計測した。
【0054】
また、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材には、カーボンを配合することができる。カーボンの配合量は40質量%以下の量であり、且つ上述の高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料とカーボンの合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量である。カーボンは、耐スポーリング性の高い材料であり、また、鋼中の酸化物(介在物)とぬれ難く優れた耐火材料であるが、溶鋼中へ速やかに溶解し、また、酸化されやすいという欠点を持っている。したがって、鋼種や操業条件に応じカーボン量を調整するのが良く、耐スポーリング性及び耐食性が求められる場合にはカーボン量を多めにし、難アルミナ付着性及び耐スポーリング性が求められる場合にはカーボン量を少なめに調整することによって高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料の特性と相まって連続鋳造用ノズル材の耐用を向上させることができる。また、耐スポーリング性の問題がなく難アルミナ付着性が専ら求められる場合には、上述のようにカーボンを配合しない配合とすることが好ましい。しかし、これらは目安であり、難アルミナ付着性を求めて、カーボンの配合量を多めにしても効果が激減するものではなく、その逆に耐食性を求めて、カーボンの配合量を少な目にしても良い。カーボンの配合量は、好ましくは30質量%未満であり、更に好ましくは20質量%未満である。なお、カーボンの配合量が40質量%を超えると、溶鋼中へのカーボン溶解量が多くなるので、溶鋼汚染が無視できなくなるだけでなく、溶鋼接触面の凹凸が激しくなるため、難アルミナ付着性に問題が出来、また、溶鋼との接触面が多くなり、それに伴って耐食性が劣るために好ましくない。高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料とカーボンの合計量が80質量%未満であると、該マグネシア原料の配合量が少なくなり過ぎ、連続鋳造用ノズル材として難アルミナ付着性を発揮することができないために好ましくなく、また、99.5質量%を超えると、それに伴って金属粉の配合量が少なくなるために好ましくない。なお、カーボンとして、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛、カーボンブラック、コークス、無煙炭、キッシュ黒鉛、木炭熱分解黒鉛等を用いることができる。
【0055】
また、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材には、MgAl2O4、MgCr2O4のようなスピネル、マグネシア及びクロミアからなる群から選択される1種または2種以上の酸化物成分を配合することができる。これら酸化物成分の配合量は、40質量%以下、好ましくは5〜20質量%の量で、高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料の配合量が40質量%以上の量で且つ高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料+酸化物成分または高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料+カーボン+酸化物成分の合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量である。これらの酸化物成分は、高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料と共存することにより、れんが組織に適度の充填性と強度を与えることができる。なお、これらの酸化物成分の配合量が40質量%を超えると、連続鋳造用ノズル材全体の膨張率が高くなり、耐スポーリング性が低下するために好ましくない。また、高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料の配合量が40質量%未満であると、マグネシア原料の配合量が少なくなり過ぎ、連続鋳造用ノズル材として難アルミナ付着性を発揮することができないために好ましくない。更に、高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料+酸化物成分または高軟化点ピッチをコーティングしたマグネシア原料+カーボン+酸化物成分の合計量が80質量%未満であったり、99.5質量%を超えると、金属粉の配合量を上記範囲内とすることができないために好ましくない。
【0056】
また、本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材には、添加物を配合することができる。添加物の配合量は、5質量%未満の量で、高軟化点ピッチでコーティングされたマグネシア原料の配合量が40質量%以上の量で且つ該マグネシア原料+添加物または該マグネシア原料+前記酸化物成分+添加物または該マグネシア原料+カーボン+前記酸化物成分+添加物の合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量である。ここで、添加物の配合量が5質量%を超えると、アルミナ付着の促進または耐食性低下を招くために好ましくない。なお、添加物としては、上記配合原料の酸化抑制が図られるものなら、特に限定されるものではないが、望ましくは炭化硼素、硼化ジルコニウムの1種または2種が良い。
【0057】
なお、上述のような、カーボン、酸化物成分及び/または添加物を適宜配合した本発明の第1発明に係る連続鋳造用ノズル材は、上述と同様の方法にて得ることができる。
【0058】
次に、本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材について詳述する。本発明第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、粒径0.5mm未満のマグネシア原料100質量部に対して6〜30質量部の高軟化点ピッチ及び0.5〜20質量部の金属粉をコーティングして得られた原料から構成され、500〜1200℃の温度で非酸化性雰囲気中で焼成してなる連続鋳造用ノズル材であって、曲げ強度が8〜20MPa、1500℃の熱膨張率が1.5%以下であることを特徴とするものである。
【0059】
ここで、高軟化点ピッチ及び金属粉でコーティングされるマグネシア原料は、上記第1発明と同様のものを使用することができる。
【0060】
次に、マグネシア原料のコーティングに用いる高軟化点ピッチについても、上記第1発明と同様のものを使用することができる。
【0061】
更に、マグネシア原料のコーティングに用いる金属粉は、各種金属粉ないしそれらの合金粉で、融点が500〜1200℃、好ましくは500〜800℃の範囲内にあるものを使用することができ、融点が上記温度範囲内であれば金属粉の種類は特に限定されるものではないが、望ましくは、Al、Mgのいずれか1種またはそれら金属の合金が良い。
【0062】
なお、上記マグネシア原料100質量部に対するコーティング用の高軟化点ピッチの量は6〜30質量部、好ましくは8〜15質量部の範囲内であり、金属粉の量は、0.5〜20質量部、好ましくは2〜7質量部の範囲内である。ここで、高軟化点ピッチの量が6質量部未満では、マグネシア原料の粒の周囲に形成されるコーティング層の量が少なくマグネシア原料の粒表面を覆うことができなくなり、また、厚さも不充分となり、それに伴ってバネ様層の形成も不充分となり、マグネシア原料の膨張を全方位に渡って吸収できなくなるために好ましくない。また、高軟化点ピッチの量が30質量部を超えると、コーティング層が厚くなりすぎ、それに伴ってバネ様層の量が多くなり過ぎ、使用時に粒間の隙間が埋まらなるために好ましくない。また、金属粉の量が20質量%を超えると、連続鋳造用ノズル材を非酸化雰囲気で500〜1200℃の温度で焼成する際に、相対的に金属反応物が多く生成され、連続鋳造用ノズル材の耐スポーリング性が低下するために好ましくなく、また、金属粉の量が0.5質量%未満となると、カーボンの酸化を充分に抑制することができないために好ましくない。
【0063】
ここで、上記マグネシア原料への高軟化点ピッチ及び金属粉のコーティングは下記のようにして行うことができる。マグネシア原料の所定量をミキサー中に投入する。用いるミキサーは、加温装置が付いていれば通常のミキサーが使用でき、例えば、タイヤミキサー、万能ミキサー、ヘンシェルミキサー、ニーダーミキサー、ハイスピードミキサー等の缶体に加熱装置を付けて用いることができる。作業は、マグネシア原料が均一に加熱されるように、マグネシア原料の入ったミキサーを加熱しながら運転する。マグネシア原料が高軟化点ピッチが軟化する温度よりも高く、室温の高軟化点ピッチを投入しても、高軟化点ピッチの軟化温度を下回ることのない温度に達したところで、所定量の高軟化点ピッチ及び金属粉を投入し、コーティング作業を行う。高軟化点ピッチの軟化温度以上の温度を2分以上維持した後に、コーティングした原料を排出する。その後、自然冷却を行い、室温に戻す。以上のコーティング操作は、また、次の方法によってもできる。即ち、原料のマグネシアを予め高温に加熱し、常温のミキサー中に投入しても良い。なお、この場合には、コーティング作業中にマグネシア原料の温度が急速に低下するので、高軟化点ピッチ及び金属粉を投入した後に2分以上は高軟化点ピッチ軟化温度以上を維持できるように、予め加熱するマグネシア原料の温度を管理する必要がある。なお、高軟化点ピッチ及び金属粉の投入順序は、同時に行っても良いが、好ましくは高軟化点ピッチ、金属粉の順に投入する。高軟化点ピッチを先に投入することにより、マグネシア原料の表面を高軟化点ピッチが覆った後に、その外側に金属粉が付着し、金属粉が高軟化点ピッチ中に半ば埋まった状態で付着させることができる。
【0064】
室温に戻った高軟化点ピッチ及び金属粉をコーティングしたマグネシア原料は、必ずしもバラバラの粒にはなっておらず、塊状になっていることがある。その場合には、適宜解砕することができる。塊をハンマー等で軽く叩くことにより塊をバラバラに解砕することができる。更に、必要であれば、0.5mmを超える篩目を用いて、粒度調整を行うこともできる。
【0065】
上述のようにしてマグネシア原料に高軟化点ピッチ及び金属粉をコーティングしたマグネシア原料を準備することができる。本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材においても、上記第1発明と同様に、上記マグネシア原料にバインダーとして、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の有機バインダーを用いて室温にて常法に従って混練して混練物を得る。なお、混練に使用する装置、バインダーの配合量等は、上記第1発明と同様である。また、成形、乾燥、並びに焼成操作も上記第1発明と同様である。
【0066】
本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、上述のように非酸化雰囲気で焼成することにより、上記第1発明と同様にマグネシア原料表面の高軟化点ピッチ及び金属粉よりなるコーティング層から高軟化点ピッチの炭素化物がバネ様層を形成される。
【0067】
上述のようにして得られた本発明の第2発明の連続鋳造用ノズル材は、曲げ強度が8〜20MPa、好ましくは10〜15MPaの範囲内、1500℃の熱膨張率が1.5%以下、好ましくは1.3%以下の範囲内にある。ここで、本発明の第2発明の連続鋳造用ノズル材の曲げ強度及び熱膨張率の測定方法等は上記第1発明と同様である。
【0068】
本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材には、カーボンを配合することができる。カーボンの配合量は40質量%以下、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の量である。なお、カーボンの配合量が40質量%を超えると、溶鋼中へのカーボン溶解量が多くなるので、溶鋼汚染が無視できなくなるだけでなく、溶鋼接触面の凹凸が激しくなるため、難アルミナ付着性に問題が出来、また、溶鋼との接触面が多くなり、それに伴って耐食性が劣るために好ましくない。なお、カーボンとしては上記第1発明と同様のものを使用することができる。
【0069】
また、本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材には、MgAl2O4、MgCr2O4のようなスピネル、マグネシア及びクロミアからなる群から選択される1種または2種以上の酸化物成分を配合することができる。これら酸化物成分の配合量は、40質量%以下、好ましくは5〜20質量%の量で、高軟化点ピッチ及び金属粉をコーティングしたマグネシア原料の配合量が40質量%以上の量である。これらの酸化物成分の配合量が40質量%を超えると、連続鋳造用ノズル材全体の膨張率が高くなり、耐スポーリング性が低下するために好ましくない。また、高軟化点ピッチ及び金属粉をコーティングしたマグネシア原料の配合量が40質量%未満であると、マグネシア原料の配合量が少なくなり過ぎ、連続鋳造用ノズル材として難アルミナ付着性を発揮することができないために好ましくない。
【0070】
また、本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材には、添加物を配合することができる。添加物の配合量は、5質量%未満の量で、高軟化点ピッチ及び金属粉でコーティングされたマグネシア原料の配合量が40質量%以上の量である。ここで、添加物の配合量が5質量%を超えると、アルミナ付着の促進または耐食性低下を招くために好ましくない。なお、添加物としては、上記配合原料の酸化抑制が図られるものなら、特に限定されるものではないが、望ましくは炭化硼素、硼化ジルコニウムの1種または2種が良い。
【0071】
なお、上述のような、カーボン、酸化物成分及び/または添加物を適宜配合した本発明の第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、上述と同様の方法にて得ることがてきる。
【0072】
本発明の第1発明及び第2発明に係る連続鋳造用ノズル材は、内管、本体及びパウダーライン部から構成される複合型の連続鋳造用ノズルの内管の一部または全部、及び/または本体の一部または全部として配材することができる。
【0073】
本発明の連続鋳造用ノズルは、高軟化点ピッチまたは高軟化点ピッチと金属粉によるコーティングされたマグネシア原料の効果により、マグネシアの高熱膨張率特性を抑制できているので、熱膨張率の比較的低いアルミナ等を用いた、常用のノズルの場合と同様に、本発明の連続鋳造用ノズル材を使用して複合型の連続鋳造用ノズルとすることができる。
【0074】
なお、複合型の連続鋳造用ノズルの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば通常の一体成形方法を使用できる。一体成形方法とは、予め混練して作成している内管材用練土、本体材用練土、パウダーライン部用練土を複合ノズル作成用型枠に装填し、しかる後、常法による一軸プレス成形及び/またはCIP成形にて成形体を作成する方法、あるいは、本体材のみを一軸プレス成形及び/またはCIP成形によって、仮成形した後、内管材用材料練土を本体材内面側に装填後、一軸プレス成形及び/またはCIP成形の本成形を行い、成形体を作成する方法である。なお、各材料の境界部分を両者が入り交じったボカシ構造にしてもよい。ここで、得られた成形体の乾燥、焼成は、上記第1発明または第2発明の操作を適用する。
【0075】
【実施例】
本発明による連続鋳造用ノズル材を以下の実施例により更に説明する。
マグネシア原料の調製:
以下の表1に従って高軟化点ピッチまたは高軟化点ピッチ及び金属粉をコーティングしたマグネシア原料の調製した。
まず、表1に示すマグネシア原料を加温装置付きニーダーミキサーに投入し、マグネシア原料温度が投入する高軟化点ピッチの軟化温度よりも50℃以上高い温度になったところで高軟化点ピッチを投入し、その状態で5分間ニーダーミキサーを運転した後、処理済マグネシア原料を取り出した。
次に、処理済マグネシア原料の温度が室温になったところで、塊をハンマーで軽く叩いて解砕した。解砕物を使用したマグネシア原料のトップ粒度より1ランク大きい篩を用いて篩分けし、得られたものを次の工程の原料とした。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
実施例1(連続鋳造用ノズル材)
表2に示す配合割合の原料をハイスピードミキサーに装入し、更に、バインダーとしてフェノール樹脂を外掛で15質量%添加して混練することにより原料混練物を得た。
次に、得られた混練物をCIP成形により100mm×100mm×300mmの形状に成形し、得られた成形品を200℃で24時間乾燥した。
次に、乾燥した成形品を非酸化性雰囲気中で800℃で24時間焼成することにより本発明の連続鋳造用ノズル材を得た。その後、所定の試験片形状に加工した。
得られた連続鋳造用ノズル材の曲げ強度及び1500℃での熱膨張率を表2に併記する。
【0081】
更に、連続鋳造用ノズル材の耐スポーリング性、難アルミナ付着性及び耐食性を測定した。耐スポーリング性、難アルミナ付着性及び耐食性は、後述の比較例1に記載する比較品の連続鋳造用ノズルの耐スポーリング性、難アルミナ付着性及び耐食性を基準の100とした時の本発明品の連続鋳造用ノズル材の耐スポーリング性、難アルミナ付着性及び耐食性を示すものである。なお、耐スポーリング性、難アルミナ付着性及び耐食性は、数値が大きいほど良いことを示している。
ここで、耐スポーリング性を調べる実験は、1600℃の溶鋼中に室温にある30mm×30mm×160mmの連続鋳造用ノズル材の供試片を急激に浸漬させることにより行った。浸漬後の供試片に生じた亀裂の大きさを比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片と本発明品の連続鋳造用ノズル材の供試片とで比較した。亀裂によって試料が脱落した場合を0、亀裂が全く生じなかった場合を100、脱落には至らないが、亀裂が多数生じた場合を50とした。
また、難アルミナ付着性を調べる実験は、連続鋳造用ノズルにアルミナ付着を起こしやすい鋼種(アルミキルド鋼)を用いて、1600℃の溶鋼中に30mm×30mm×160mmの供試片を3時間浸漬させ、浸漬中は供試片を1rpmで回転させることにより行った。実験後、供試片に付着したアルミナの厚みを測定し、比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片と本発明の連続鋳造用ノズル材の供試片とを比較した。即ち、比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片及び本発明品の連続鋳造用ノズル材の供試片に付着したアルミナの厚みの逆数を取り、次に、比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片の場合の逆数を100としたときの本発明品の連続鋳造用ノズル材の供試片の指数を求めた。
更に、耐食性を調べる実験は、ノズルを溶損し易い鋼種(高酸素鋼、電磁鋼、カルシウム処理鋼)を用いて、1600℃の溶鋼中に30mm×30mm×160mmの供試片を3時間浸漬させ、浸漬中は試料を1rpmで回転させることによって行った。実験後、供試体の溶損厚みを測定し、比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片と本発明品の連続鋳造用ノズル材の供試片とを比較した。即ち、比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片及び本発明品の連続鋳造用ノズル材の供試片の溶損厚みの逆数を取り、次に、比較品の連続鋳造用ノズル材の供試片の場合の逆数を100とした本発明品の連続鋳造用ノズル材の供試片の指数を求めた。
得られた結果を表2に併記する。
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】
【0086】
比較例1(連続鋳造用ノズル材)
表3に示す配合割合の原料をハイスピードミキサーに装入し、更に、バインダーとしてフェノール樹脂を外掛で15質量%添加して混練することにより原料混練物を得た。
次に、得られた混練物をCIP成形により100mm×100mm×300mmの形状に成形し、得られた成形品を200℃で24時間乾燥した。
次に、乾燥した成形品を非酸化性雰囲気中で800℃で24時間焼成することにより比較品の連続鋳造用ノズル材を得た。
得られた連続鋳造用ノズル材の曲げ強度及び1500℃での熱膨張率を表3に併記する。
【0087】
【表9】
【0088】
【表10】
【0089】
【表11】
【0090】
【表12】
【0091】
実施例2(連続鋳造用ノズル)
上記実施例1に記載する連続鋳造用ノズル材と同様の組成を有する連続鋳造用ノズル材を表4に示す図1ないし図3の配材部位に使用することにより連続鋳造用ノズルを製造した。ここで、図1では、本発明の連続鋳造用ノズル材は、内管部(3)に配材され、本体部(1)は、Al2O3−C質耐火物より構成され、パウダーライン部(2)は、ZrO2−C質耐火物により構成されている。また、図2では、本発明の連続鋳造用ノズル材は、本体部(1)に配材され、パウダーライン部(2)は、ZrO2−C質耐火物により構成されている。更に、図3では、本発明の連続鋳造用ノズル材は、内管部(3)に配材され、本体部(1)は、Al2O3−C質耐火物より構成され、パウダーライン部(2)は、ZrO2−C質耐火物により構成されている。
【0092】
得られた連続鋳造用ノズルを実機で実際の鋳造操作に供した場合の耐スポーリング性、難アルミナ付着性、耐食性、ノズル耐用性及び鋼品質改善率を測定した。
なお、耐スポーリング性は、実機鋳造中に割れが生じた時を0、鋳造後ノズルに割れが認められなかった時を100、鋳造中に割れは生じなかったが鋳造後の本発明品の連続鋳造用ノズルに割れが認められた時を50と指数化したものである。
また、難アルミナ付着性は、鋳造後の本発明品の連続鋳造用ノズルを観察し、アルミナ付着厚みの最も厚い部分の厚みを測定し、1チャージ当りのアルミナ付着厚みに換算し、得られた換算厚みの逆数を取り、次に、以下の比較例2の比較品の場合の逆数を100した時の本発明品の指数を求めたものである。
更に、耐食性は、鋳造後の本発明品の連続鋳造用ノズルを観察し、最も溶損している部位の溶損寸法を測定し、1チャージ当たりの溶損寸法に換算し、得られた換算寸法の逆数を取り、次に、以下の比較例2の比較品の場合の逆数を100とした時の本発明品の指数を求めたものである。
また、ノズル耐用性は、実機において鋳造後の以下の比較例2に記載する比較品の連続鋳造用ノズルと本発明品の連続鋳造用ノズルとの比較を調べたものである。比較品の連続鋳造用ノズルのノズル耐用性を100としたときの本発明品の連続鋳造用ノズルの耐用性を指数化した。数値が大きいほど良好であることを示す。
また、鋼品質改善率は、耐火材料が原因になって生じる鋼の欠陥率の改善度合いを示したものであるが、比較品の連続鋳造用ノズルの改善率を0%としたときの本発明品の連続鋳造用ノズルの改善率で示した。
【0093】
【表13】
【0094】
【表14】
【0095】
【表15】
【0096】
【表16】
【0097】
比較例2(連続鋳造用ノズル)
上記実施例2と同様にして上記比較1に記載する連続鋳造用ノズル材と同様の組成を有する連続鋳造用ノズル材を表5に示す図1ないし図3の配材部位に使用することにより連続鋳造用ノズルを製造した。ここで、図1では、比較品の連続鋳造用ノズル材は、内管部(3)に配材され、本体部(1)は、Al2O3−C質耐火物より構成され、パウダーライン部(2)は、ZrO2−C質耐火物により構成されている。また、図2では、比較品の連続鋳造用ノズル材は、本体部(1)に配材され、パウダーライン部(2)は、ZrO2−C質耐火物により構成されている。更に、図3では、比較品の連続鋳造用ノズル材は、内管部(3)に配材され、本体部(1)は、Al2O3−C質耐火物より構成され、パウダーライン部(2)は、ZrO2−C質耐火物により構成されている。
【0098】
【表17】
【0099】
【表18】
【0100】
【表19】
【0101】
【表20】
【0102】
上記表に記載の結果から判るように、本発明品は比較品と比べ、耐溶損性、難アルミナ付着性が良好であり、実機においても、耐スポーリング性が良好であり、なおかつマグネシアの特性を発揮できるために、ノズル耐用性が高く、更には、鋼品質を改善する効果が高いことが判る。
【0103】
【発明の効果】
以上のように、本発明の連続鋳造用ノズル材は、アルミナ付着が無く、耐溶損性が高いので、ノズル寿命を大幅に向上できた。更に、アルミナ付着が無いので、ノズル内及びタンディッシュ内及びモールド内を溶鋼がスムーズに流れ、そのためにスラグ、パウダーの巻き込みが無く、鋼品質を向上でき、また、ノズル溶損性の高い鋼種の鋳造においては、耐食性が高いので、溶鋼中に耐火材料が介在することなく、その為に鋼品質を向上できるという効果を奏するものである。
【0104】
また、本発明の連続鋳造用ノズルは、アルミキルド鋼、シリコンキルド鋼、高酸素鋼、ステンレス鋼、電磁鋼、カルシウム処理鋼、高マンガン鋼、快削鋼、ボロン鋼、スチールコード、肌焼き鋼、高チタン鋼等の溶鋼鋳造に際し、エアシールパイプ、浸漬ノズル等の連続鋳造用ノズルのアルミナ付着またはノズル溶損を防止することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明品及び比較品の連続鋳造用ノズルの配材パターンの1実施態様を示す図である。
【図2】本発明品及び比較品の連続鋳造用ノズルの配材パターンの他の実施態様を示す図である。
【図3】本発明品及び比較品の連続鋳造用ノズルの配材パターンの更に他の1実施態様を示す図である。
【符号の説明】
1 本体部
2 パウダーライン部
3 内管部
Claims (12)
- 粒径0.5mm未満のマグネシア原料100質量部に対して6〜30質量部の高軟化点ピッチをコーティングして得られた原料80〜99.5質量%及び金属粉0.5〜20質量%から構成され、500〜1200℃の温度で非酸化性雰囲気中で焼成してなる連続鋳造用ノズル材であって、曲げ強度が8〜20MPa、1500℃の熱膨張率が1.5%以下であることを特徴とする連続鋳造用ノズル材。
- カーボンが40質量%以下の量で且つ原料+カーボンの合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量で配合される、請求項1記載の連続鋳造用ノズル材。
- MgAl2O4及びMgCr2O4から選択される1種または2種のスピネル、マグネシア及びクロミアからなる群から選択される1種または2種以上の酸化物成分が40質量%以下の量で、原料の配合量が40質量%以上の量で且つ原料+酸化物成分または原料+カーボン+酸化物成分の合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量で配合される、請求項1または2記載の連続鋳造用ノズル材。
- 添加物が5質量%未満の量で、原料の配合量が40質量%以上の量で且つ原料+添加物または原料+スピネル+添加物または原料+カーボン+スピネル+添加物の合計量が80〜99.5質量%の範囲内となる量で配合される、請求項1ないし3のいずれか1項記載の連続鋳造用ノズル材。
- 添加物が炭化硼素または硼化ジルコニウムから選択される1種または2種である、請求項4記載の連続鋳造用ノズル材。
- 金属粉がAl、Mgまたはそれらの合金から選択される1種または2種以上である、請求項1ないし4のいずれか1項記載の連続鋳造用ノズル材。
- 粒径0.5mm未満のマグネシア原料100質量部に対して6〜30質量部の高軟化点ピッチ及び0.5〜20質量部の金属粉をコーティングして得られた原料から構成され、500〜1200℃の温度で非酸化性雰囲気中で焼成してなる連続鋳造用ノズル材であって、曲げ強度が8〜20MPa、1500℃の熱膨張率が1.5%以下であることを特徴とする連続鋳造用ノズル材。
- カーボンが40質量%以下の量で配合される、請求項7記載の連続鋳造用ノズル材。
- MgAl2O4及びMgCr2O4から選択される1種または2種のスピネル、マグネシア及びクロミアからなる群から選択される1種または2種以上の酸化物成分が40質量%以下の量で且つ原料の配合量が40質量%以上となる量で配合される、請求項7または8記載の連続鋳造用ノズル材。
- 添加物が5質量%未満の量で且つ原料の配合量が40質量%以上となる量で配合される、請求項7ないし9のいずれか1項記載の連続鋳造用ノズル材。
- 添加物が炭化硼素または硼化ジルコニウムから選択される1種または2種である、請求項10記載の連続鋳造用ノズル材。
- 内管、本体及びパウダーライン部から構成される連続鋳造用ノズルの内管の一部または全部、及び/または本体の一部または全部に、請求項1ないし6のいずれか1項または請求項7ないし11のいずれか1項記載の連続鋳造用ノズル材を配材することを特徴とする連続鋳造用ノズル。
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