JP2002284577A - 耐火物及びその製造方法 - Google Patents

耐火物及びその製造方法

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JP2002284577A
JP2002284577A JP2001087409A JP2001087409A JP2002284577A JP 2002284577 A JP2002284577 A JP 2002284577A JP 2001087409 A JP2001087409 A JP 2001087409A JP 2001087409 A JP2001087409 A JP 2001087409A JP 2002284577 A JP2002284577 A JP 2002284577A
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refractory
silicon
powder
silicon nitride
peak
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JP2001087409A
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Tomohiko Hara
智彦 原
Yasuo Ito
泰男 伊藤
Junichi Irimura
純一 入村
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Nichias Corp
Original Assignee
Nichias Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで、1100℃以上の耐熱性があ
り、アルカリに対する耐食性及び機械的強度が高い耐火
物及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 本発明に係る耐火物は、α−炭化珪素
と、α−窒化珪素と、β−窒化珪素と、酸窒化珪素とか
らなり、クリストバライトを実質的に含まないものであ
る。前記耐火物において、α−炭化珪素が60〜85重
量%、α−窒化珪素と、β−窒化珪素及び前記酸窒化珪
素の合計量が15〜40重量%であることが好ましい。
また、本発明に係る耐火物の製造方法は、炭化珪素粉末
65.0〜85.0重量%、珪素粉末10.5〜33.
5重量%及び非晶質マイクロシリカ粉末1.5〜4.5
重量%からなる成形体を作製し、該成形体を窒素雰囲気
中で焼成するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性の高い耐火
物及びその製造方法に関するものであり、例えば、ゴミ
焼却炉の内壁に用いられる耐火物及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ダイオキシン対策、焼却灰の無害
化や焼却灰の再利用といった観点から、ゴミ焼却炉の燃
焼温度をより高く、具体的には、1100℃以上で燃焼
することが求められている。このため、ゴミ焼却炉の内
壁等に用いられる耐火物には、1100℃以上という高
い耐熱性が求められている。
【0003】また、ゴミ焼却炉では、アルカリ金属及び
水分を多く含む生ゴミと、塩素を多く含む塩化ビニール
製品等の塩化物が同時に焼却されることも多いため、焼
却で発生したアルカリ金属等と塩素等とが反応してKC
l等のアルカリ金属塩を生成し、該塩が水分に溶解して
焼却炉の内壁に存在する微小な隙間に浸透して、腐食を
発生させ易い。すなわち、アルカリ金属塩は内壁の微小
な隙間に浸透した後、内壁内で水分の蒸発により結晶等
を生じるが、該結晶が炉内の熱で膨張する等により内壁
に大きなクラックを生じさせる。さらに、焼却炉内では
燃焼が激しく行われるため、耐火物自体に大きな風圧や
火災圧力に対する高い機械的強度が求められる。従っ
て、ゴミ焼却炉の内壁等に用いられる耐火物には、11
00℃以上の耐熱性、アルカリ成分に対する耐食性、及
び機械的強度が高いことが求められている。従来、耐熱
性及び耐食性の向上を目的とする耐火物としては、従来
より、酸化物セラミックス材料や窒化物セラミックス材
料が用いられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸化物
セラミックス材料や窒化物セラミックス材料は、コスト
が高い上に、1100℃以上の耐熱性、アルカリ成分に
対する耐食性、及び機械的強度が充分でない。
【0005】従って、本発明の目的は、低コストで、1
100℃以上の耐熱性があり、アルカリに対する耐食性
及び機械的強度が高い耐火物及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意検討を行った結果、α−炭化珪素と、α
−窒化珪素と、β−窒化珪素と、酸窒化珪素とからな
り、クリストバライトを実質的に含まない耐火物であれ
ば、低コストで、1100℃以上の耐熱性があり、アル
カリ成分に対する耐食性及び機械的強度が高い耐火物が
得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、α−炭化珪素と、α
−窒化珪素と、β−窒化珪素と、酸窒化珪素とからな
り、クリストバライトを実質的に含まないことを特徴と
する耐火物を提供するものである。
【0008】また、本発明は、炭化珪素粉末65.0〜
85.0重量%、珪素粉末10.5〜33.5重量%及
び非晶質マイクロシリカ粉末1.5〜4.5重量%から
なる成形体を作製し、該成形体を窒素雰囲気中で焼成す
ることを特徴とする耐火物の製造方法を提供するもので
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係る耐火物は、α−炭化
珪素(α−SiC)と、α−窒化珪素(α−Si
3 4 )と、β−窒化珪素(β−Si3 4 )と、酸窒
化珪素(Si2 ON 2 )とからなり、クリストバライト
を実質的に含まないものである。本発明に係る耐火物に
おいて、α−炭化珪素、α−窒化珪素、β−窒化珪素及
び酸窒化珪素は、それぞれ強固に結合しており、例え
ば、α−炭化珪素からなる粒がα−窒化珪素、β−窒化
珪素及び酸窒化珪素により結合されているような形態を
示すものである。
【0010】本発明に係る耐火物において、α−炭化珪
素は、通常60〜85重量%、好ましくは65〜80重
量%含まれる。また、本発明に係る耐火物において、α
−窒化珪素、β−窒化珪素及び酸窒化珪素の合計量が、
通常15〜40重量%、好ましくは20〜35重量%含
まれる。α−炭化珪素の含有量、α−窒化珪素、β−窒
化珪素及び酸窒化珪素の合計の含有量が上記範囲外であ
ると、耐火物の強度や耐食性が低下するため好ましくな
い。なお、耐火物中に含まれる成分がα−炭化珪素、α
−窒化珪素、β−窒化珪素及び酸窒化珪素であること
は、例えば、X線回折法で確認することができる。ま
た、本発明において、クリストバライトが実質的に存在
しないとは、後述のX線回折のピーク強度の比E5
(E2 +E3 )が0.2以下であることをいう。
【0011】本発明に係る耐火物は、X線回折のピーク
が、2θ=35.62°±0.5°の範囲内にあるα−
炭化珪素(α−SiC)の第1ピークP1 のピーク強度
をE 1 、2θ=31.02°±0.5°の範囲内にある
α−窒化珪素(α−Si3 4 )の第2ピークP2 のピ
ーク強度をE2 、2θ=27.06°±0.5°の範囲
内にあるβ−窒化珪素(β−Si3 4 )の第3ピーク
3 のピーク強度をE 3 、2θ=20.00°±0.5
°の範囲内にある酸窒化珪素(Si2 ON2 )の第4ピ
ークP4 のピーク強度をE4 、及び2θ=21.94°
±0.5°の範囲内にあるクリストバライト(Si
2 )の第5ピークP5 のピーク強度をE5としたとき
に、ピーク強度E1 、E2 、E3 、E4 及びE5 が特定
の関係を有するものである。ここで、ピーク強度E1
5 は、上記ピークP1 〜P5 におけるピーク高さをい
う。
【0012】本発明に係る耐火物は、E1 /(E2 +E
3 )が通常100以下、好ましくは20以下、さらに好
ましくは5〜20である。E1 /(E2 +E3 )が10
0を越えると強度や耐食性が低下するため好ましくな
い。また、本発明に係る耐火物は、(E2 +E3 )/E
4 が通常0.5〜2、好ましくは0.8〜1.5であ
る。(E2 +E3 )/E4 が該範囲外であると強度や耐
食性が低下するため好ましくない。また、本発明に係る
耐火物は、E5 /(E2 +E3 )が通常0.2以下、好
ましくは0.1以下である。E5 /(E2 +E3 )が
0.2を越えると、クリストバライトが実質的に存在す
ることになり、熱間曲げ強度が低下するため好ましくな
い。
【0013】本発明に係る耐火物は、例えば、以下の本
発明に係る耐火物の製造方法等により製造できる。本発
明に係る耐火物の製造方法は、炭化珪素粉末、珪素粉末
及び非晶質マイクロシリカ粉末からなる成形体を作製
し、該成形体を窒素雰囲気中で焼成するものである。
【0014】本発明で用いられる炭化珪素粉末は、焼成
の際に特に変化せず、焼成後の耐火物において骨材とし
て機能させるために配合されるものであり、焼成の際に
α−窒化珪素、β−窒化珪素や酸窒化珪素で結合される
ものである。本発明で用いられる炭化珪素粉末として
は、α−炭化珪素の粉末が挙げられる。また、炭化珪素
粉末は、レーザー法による平均粒径が、β−窒化珪素の
原料である珪素粉末や酸窒化珪素の原料であるマイクロ
シリカよりも大きい範囲内にあるものが用いられる。具
体的には、粒径が、通常、0.1〜6000μm 、好ま
しくは4〜3000μm の範囲内にあるものが挙げられ
る。
【0015】本発明で用いられる珪素粉末は、窒素雰囲
気下の焼成の際にα−窒化珪素及びβ−窒化珪素を生成
するために配合される原料である。本発明で用いられる
珪素粉末としては、例えば、金属シリコン粉が挙げられ
る。また、珪素粉末は、平均粒径が、炭化珪素粉末より
も小さい範囲内にあるものが用いられる。具体的には、
平均粒径が、通常、0.01〜100μm 、好ましくは
0.1〜75μm の範囲内にあるものが挙げられる。
【0016】本発明で用いられる非晶質マイクロシリカ
粉末は、窒素雰囲気下の焼成の際に酸窒化珪素を生成し
て、耐火物を緻密化するために配合される原料である。
ここで、非晶質マイクロシリカ粉末とは、非晶質シリカ
の微粉をいう。本発明で、シリカのうち特に非晶質のも
のを用いる理由は、窒素雰囲気下の焼成の際にシリカ成
分の全量が窒素と反応して酸窒化珪素を生成させるため
である。一方、クリストバライト等の結晶性のシリカを
用いると焼成後に耐火物中にクリストバライトが残存
し、一般的に耐火物の熱間強度が低下したり、アルカリ
成分との反応により低融点化合物が生成するため、本発
明には用いられない。
【0017】非晶質マイクロシリカは、平均粒径が、炭
化珪素粉末及び珪素粉末よりも小さく、且つ、所定の粒
径以下のものが用いられる。具体的には、平均粒径が、
通常、0.02〜0.3μm 、好ましくは0.1〜0.
2μm の範囲内にあるものが挙げられる。本発明で、微
粉のものを用いる理由は、微粉の非晶質マイクロシリカ
により、耐火物を緻密化するためである。
【0018】本発明に係る耐火物の製造方法では、ま
ず、上記炭化珪素粉末、珪素粉末及び非晶質マイクロシ
リカ粉末からなる成形体を作製する。該成形体は、炭化
珪素粉末、珪素粉末及び非晶質マイクロシリカ粉末を任
意の順番で混合して混合物を調製し、該混合物を例え
ば、プレス成形、鋳込み成形等を行うことにより得られ
る。
【0019】上記混合物は、炭化珪素粉末を、通常6
5.0〜85.0重量%、好ましくは70.5〜83.
5重量%含む。炭化珪素粉末の配合量が該範囲外である
と強度や耐食性が低下するため好ましくない。
【0020】上記混合物は、珪素粉末を、通常10.5
〜33.5重量%、好ましくは15.0〜25.0重量
%含む。珪素粉末の配合量が10.5重量%未満である
と後の工程での窒化反応が十分に行われないため好まし
くなく、また、33.5重量%を越えると後の工程での
窒化反応に時間が掛かり過ぎるため好ましくない。
【0021】上記混合物は、非晶質マイクロシリカ粉末
を、通常1.5〜4.5重量%、好ましくは2〜4重量
%含む。非晶質マイクロシリカ粉末の配合量が2重量%
未満であると耐火物の緻密化を図れず、耐熱性、耐食性
及び機械的強度に劣るため好ましくなく、また、4重量
%を越えると耐火物の保形性が低下するため好ましくな
い。ここで、保形性とは、焼成後の状態で形状を維持す
ることをいう。
【0022】また、上記混合物には、必要により、有機
バインダー、有機潤滑剤等を配合してもよい。
【0023】次に、得られた成形体を窒素雰囲気中で焼
成して、耐火物を得る。窒素雰囲気とする場合は、極力
酸素を含まない雰囲気とすることが好ましい。焼成温度
は、通常1100〜1500℃とするが、且つ、耐火物
の使用時の最高温度よりも高い温度とすることが好まし
い。焼成時間としては、通常40〜80時間とする。こ
のように成形体を窒素雰囲気中で焼成することにより、
成形体中の珪素粉末がα−窒化珪素(α−Si3 4
及びβ−窒化珪素(β−Si3 4 )を生成すると共
に、非晶質マイクロシリカが酸窒化珪素(Si2
2 )を生成し、これらがα−炭化珪素粉末の粉末間の
隙間を埋めることにより緻密化した耐火物が得られる。
【0024】得られた本発明に係る耐火物は、密度が通
常2.62〜2.80g/cm3 、好ましくは2,63〜
2.79g/cm3 である。また、本発明に係る耐火物は、
表面気孔率が通常15%以下、好ましくは12%以下で
ある。ここで、表面気孔率とは、JIS R2205
(耐火れんがの見掛気孔率、吸水率及び比重の測定方
法)から求めた、耐火物表面の気孔率である。具体的に
は、十分に乾燥した試験体の乾燥重量と、水中で3時間
以上煮沸後に水中で冷却し水中に懸垂したまま秤量した
水中重量と、水滴を十分に拭き取った後の飽水重量、耐
火物の体積、水の比重から算出されるものである。表面
気孔率が15%以下であると、耐火物に水分が浸透し難
いため、アルカリに対する耐食性に優れるため好まし
い。
【0025】本発明に係る耐火物は、常温における曲げ
強度が通常50MPa 以上、好ましくは60MPa 以上であ
る。また、1300℃における曲げ強度が通常60MPa
以上、好ましくは80MPa 以上である。ここで、曲げ強
度とは、3点曲げ強度であり、測定試料の大きさを10
mm×20mm×120mmとし、支持棒間距離100mm、テ
ストスピード1mm/minとしたときの、破壊に至るまでの
最大荷重をいう。ここで、テストスピードとは、試料の
20mm×120mmの面の中央部に、面に垂直に荷重を加
えるクロスヘッドの降下速度である。
【0026】本発明に係る耐火物は、特に熱間強度が大
きく、1100℃以上の耐熱性を有する。
【0027】また、本発明に係る耐火物は、平均爆裂耐
久回数が、通常3回以上、好ましくは4回以上である。
ここで、平均爆裂耐久回数とは、アルカリ成分に対する
耐食性を示す指標であり、回数の大きいほうがアルカリ
成分に対する耐食性に優れることを示す。平均爆裂耐久
回数の具体的測定法は、10cm立方の試料をKCl飽和
水溶液に30分間浸漬し、600℃まで急加熱し、KC
l飽和水溶液に浸漬して急冷するサイクルを1回とし、
試料が爆裂するまでのサイクルの回数を調べることで行
うものである。なお、試料の爆裂は、以下のメカニズム
で発生する。まず、浸漬時に試料の気孔内にアルカリ成
分が浸透し、加熱時に気孔の奥深くで塩類の結晶が析出
する。次に、繰り返しのサイクルの中で塩類の結晶が揮
発・膨張すると、試料内部で亀裂が発生し、ある程度の
数の亀裂が発生するとついに爆裂現象を起こす。従っ
て、測定値によれば、試料の表面の気孔等へのKCl飽
和溶液の浸漬具合と、加熱によるKCl固体の膨張に対
する耐久性を評価することができる。
【0028】本発明に係る耐火物は、必要により、さら
に酸化雰囲気中で加熱処理すると、表面にガラス被覆層
が形成されるため好ましい。加熱処理の際の酸化雰囲気
としては、酸素雰囲気、空気雰囲気等、酸素を含有する
雰囲気が挙げられる。このうち、酸素雰囲気が好ましい
が、通常の処理においては、空気雰囲気でも十分であ
る。加熱処理は、通常は1300〜1400℃で2〜5
時間行えばよいが、ガラス被覆層が所望の厚さになるま
で適宜行えばよい。
【0029】上記加熱処理により、耐火物の表面にガラ
ス被覆層が形成される。ガラス被覆層とは、耐火物を構
成するα−炭化珪素、α−窒化珪素、β−窒化珪素及び
酸窒化珪素がそれぞれ酸化されて酸化珪素となったもの
をいう。本発明に係る耐火物において、表面にガラス被
覆層を形成すると、耐火物の表面気孔率がより低下して
組織が緻密化するため、耐火物のアルカリ成分に対する
耐食性が向上する。ガラス被覆層の厚さとしては、通常
3〜100μm 、好ましくは20〜30μm とする。ガ
ラス被覆層の厚さが3μm 未満であると表面気孔率が低
下しないため好ましくなく、また100μm を越えると
表面気孔率の低下がほとんどなくなると共に耐火物表面
の靱性が低下し脆くなるため好ましくない。このように
表面にガラス被覆層を形成すると、耐火物の表面気孔率
は、通常10%以下、好ましくは5%以下になる。な
お、ガラス被覆層は、耐火物の表面全体に形成されてい
てもよいし、耐火性が必要な一面又は一部のみに形成さ
れていてもよい。
【0030】本発明に係る耐火物は、ゴミ焼却炉の内
壁、熱衝撃がかかるセッター等に使用できる。
【0031】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明は以下の実施
例に限定されて解釈されるものではない。
【0032】実施例及び比較例で用いた物質は、以下の
とおりである。 ・炭化珪素粉A :α−SiC、粒径分布1〜20
00μm ・炭化珪素粉B :α−SiC、粒径分布1〜45
00μm ・珪素粉A :金属シリコン粉、粒径分布0.
1〜75μm ・珪素粉B :金属シリコン粉、粒径分布0.
5〜50μm ・マイクロシリカ粉 :非晶質SiO2 、平均粒径0.
15μm ・有機バインダー :カルボキシメチルセルロース ・酸化アルミニウム粉:Al2 3 、粒径分布0.4〜
10μm ・酸化鉄 :Fe2 3 、粒径分布1〜75
μm
【0033】実施例1〜3、比較例1、2 表1に示す各配合比で炭化珪素粉A、珪素粉A、マイク
ロシリカ粉及び有機バインダーを混合した後、プレス成
形により70×110×15mmの成形体を得た。次に、
窒素99%以上の窒素雰囲気中において1450℃で5
0時間焼成して耐火物を得た。得られた耐火物A〜Fの
うち、耐火物Dについて粉末法でX線回折分析した。結
果を表2及び図1に示す。表2及び図1より、耐火物D
は、P1 が2θ=35.620°でE1 =1059、P2 が2θ=
31.020°でE2 =38、P3 が2θ=27.060°でE3 =7
2、P4 が2θ=20.000°でE4 =110 、P5 が2θ=2
1.900°でE5 =1 であるから、E1 /(E2 +E3
=9.6、(E2 +E3 )/E4 =1.00、E5
(E2 +E3 )=0.009であることが分かる。これ
らの結果を表3に示す。また、得られた耐火物A〜Fに
ついて、密度、表面気孔率、常温での曲げ強度、1300℃
での曲げ強度、平均爆裂耐久回数及び保形性を測定し
た。なお、耐火物Eは、保形性が無かった。これらの結
果を表4に示す。なお、X線回折分析の条件、表面気孔
率、曲げ強度及び平均爆裂耐久回数の測定方法並びに保
形性の観察方法及び判断基準は以下のとおりである。 ・X線回折分析の条件: 管球 :Cu 管電圧 :40kV 管電流 :20mA 開始角度 :4.0° 終了角度 :71.0° スキャンスピード:2.5°/分 ・表面気孔率の測定方法:JIS R2205(耐火れ
んがの見掛気孔率、吸水率及び比重の測定方法)によ
り、十分に乾燥した試験体の乾燥重量WD と、水中で3
時間以上煮沸し水中で冷却したものの水中重量WW と、
水滴を十分に拭き取った後の飽水重量WE と、みかけの
比重(密度d)とから、下記式により求めた。 ・曲げ強度の測定方法:測定試料の大きさを10mm×2
0mm×120mmとし、支持棒間距離100mm、テストス
ピード1mm/minとしたときの、破壊に至るまでの最大荷
重を曲げ強度とした。 ・平均爆裂耐久回数の測定方法:10cm立方に切り出し
た試料をKCl飽和水溶液に30分間浸漬し、600℃
まで急加熱し、さらにKCl飽和水溶液に浸漬して急冷
した。このサイクルを1回とし、試料が爆裂するまでの
回数を調べた。試料は5個作製し、これらの爆裂に至る
までの平均回数を求めた。 ・保形性の観察方法及び判断基準:得られた耐火物を観
測して、形状を保っているか否か観察した。欠けやひび
割れ、形状の崩れがあるものを「保形性無し」、これら
がないものを「保形性有り」と判断した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】表4より、耐火物A〜Eのように、マイク
ロシリカ粉の配合量を増加させると、密度及び曲げ強度
が向上すると共に表面気孔率が低下することが分かる。
ただし、マイクロシリカ粉の配合量が1重量%及び5重
量%では、平均爆裂耐久回数が低下し、また5重量%で
は保形性が無く製造上の問題が発生することが分かる。
【0039】比較例3 表1に示す配合比で炭化珪素粉B、珪素粉B、酸化アル
ミニウム粉、酸化鉄粉及び有機バインダーを混合した以
外は、実施例1と同様にして、耐火物Fを得た。耐火物
Fについて粉末法でX線回折分析した。結果を表5及び
図2に示す。表5及び図2より、耐火物Fは、P1 が2
θ=35.620°でE1 =912 、P2 が2θ=31.000°でE
2 =12、P3 が2θ=27.020°でE3 =17、P4 が2θ
=20.000°でE4 =123 、P5 が2θ=21.940°でE5
=71であるから、E1 /(E2 +E3 )=31.4、
(E2 +E3 )/E4 =0.24、E5 /(E2
3 )=2.45であることが分かる。これらの結果を
表3に示す。また、耐火物Fについて、実施例1と同様
に密度、表面気孔率、常温での曲げ強度、1300℃での曲
げ強度及び平均爆裂耐久回数を測定した。これらの結果
を表4に示す。表4より、耐火物Fは、表面気孔率が高
く、曲げ強度及び熱間強度が低いことが分かる。これ
は、耐火物中に存在するクリストバライト成分は結晶成
分として偏在し易いため、荷重が加わった場合にクリス
トバライト成分の偏在した部分から亀裂が発生して強度
が低くなっているものと推定される。
【0040】
【表5】
【0041】実施例4 実施例3で得られた耐火物Dを、空気雰囲気中で、13
00℃、5時間の条件で加熱処理し、耐火物の表面にさ
らに厚さ25μm のガラス被覆層を形成した。得られた
耐火物Gについて、実施例1と同様に密度、表面気孔
率、常温での曲げ強度、1300℃での曲げ強度及び平均爆
裂耐久回数を測定した。これらの結果を表4に示す。表
4より、耐火物Gは、耐火物Dよりも表面気孔率がかな
り小さくなっており、平均爆裂耐久回数も向上している
ことが分かる。
【0042】
【発明の効果】また、本発明に係る耐火物によれば、低
コストで、1100℃以上の耐熱性があり、アルカリに
対する耐食性及び機械的強度が高い耐火物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3に係る耐火物のX線回折チャートであ
る。
【図2】比較例3に係る耐火物のX線回折チャートであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入村 純一 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 Fターム(参考) 4G001 BA04 BA22 BA51 BA62 BB51 BC17 BC57 BC72 BD07 BE02 BE03 4K051 AA00 EA00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α−炭化珪素と、α−窒化珪素と、β−
    窒化珪素と、酸窒化珪素とからなり、クリストバライト
    を実質的に含まないことを特徴とする耐火物。
  2. 【請求項2】 前記α−炭化珪素が60〜85重量%、
    前記α−窒化珪素、β−窒化珪素及び前記酸窒化珪素の
    合計量が15〜40重量%であることを特徴とする請求
    項1記載の耐火物。
  3. 【請求項3】 X線回折のピークが、2θ=35.62
    °±0.5°の範囲内にあるα−炭化珪素の第1ピーク
    1 のピーク強度をE1 、2θ=31.02°±0.5
    °の範囲内にあるα−窒化珪素の第2ピークP2 のピー
    ク強度をE2、2θ=27.06°±0.5°の範囲内
    にあるβ−窒化珪素の第3ピークP3のピーク強度をE
    3 、2θ=20.00°±0.5°の範囲内にある酸窒
    化珪素の第4ピークP4 のピーク強度をE4 、及び2θ
    =21.94°±0.5°の範囲内にあるクリストバラ
    イトの第5ピークP5 のピーク強度をE5 としたとき
    に、E1 /(E2 +E3 )が100以下、(E2
    3 )/E4 が0.5〜2、及びE5 /(E2 +E3
    が0.2以下であることを特徴とする請求項1又は2記
    載の耐火物。
  4. 【請求項4】 表面に厚さ3〜100μm のガラス被覆
    層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれか1項記載の耐火物。
  5. 【請求項5】 表面気孔率が15%以下であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の耐火物。
  6. 【請求項6】 炭化珪素粉末65.0〜85.0重量
    %、珪素粉末10.5〜33.5重量%及び非晶質マイ
    クロシリカ粉末1.5〜4.5重量%からなる成形体を
    作製し、該成形体を窒素雰囲気中で焼成することを特徴
    とする耐火物の製造方法。
  7. 【請求項7】 さらに酸化雰囲気中で加熱処理すること
    を特徴とする請求項6記載の耐火物の製造方法。
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