JP3368960B2 - SiC質耐火物 - Google Patents
SiC質耐火物Info
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Description
性等に優れたSiC質耐火物に関する。
は、優れた耐火性から、焼成用治具などに用いられてい
る。例えば、焼成炉の中で用いる、サヤ、陶磁器等を置
くための棚板、棚板を支えるための支柱等は、炭化珪素
質耐火物の例である。また、焼成炉における、壁、床等
の構造材となるレンガ、ブロック等も、炭化珪素質耐火
物が用いられる。棚板等では、耐熱衝撃性、耐酸化性、
及び機械的変形に強いことが重要であり、また、構造材
では、圧縮強度、侵食性に強いことが重要である。これ
らのSiC質耐火物は高温における機械強度が大きいこ
とが必要であることはいうまでもない。また、SiC質
耐火物は、熱衝撃に強いことが求められる。例えば、棚
板は、焼成炉から出されるたびに、高温から室温まで冷
却され、熱衝撃を被り、逆に、焼成炉に入れるときも熱
衝撃を被るからである。更に、SiC質耐火物を使用す
る高温環境下で、SiC質耐火物中のSiCが空気中の
酸素等で酸化されて二酸化珪素となることは、好ましく
はない。なお、高温とは、これらのSiC質炭化珪素が
用いられる焼成炉での温度であり、例えば、1000℃
〜1400℃を意味する。
多数の結晶粒と、結晶粒どうしの間にある粒界とからな
る。結晶粒は、炭化珪素の単結晶であり、結晶粒が互い
に粒界により結合している。従来のSiC質耐火物は、
粒界に、出発原料である粘土質、鉱物に起因する多量の
ガラス質を含有する。従って、SiC質耐火物の室温強
度は良好であるが、高温における機械強度が、粒界のガ
ラス質のため、低いという欠点を有していた。また、密
度の高い耐火物を得ることが困難であり、耐酸化性に劣
っていた。
力減らし、これに代えて微量の金属酸化物等と、SiC
粉体とを、共に混練、成形し、酸化雰囲気中で焼成する
ことにより、SiC粉体の表面を酸化させ、その酸化に
より生じた二酸化珪素(SiO2)によって、SiC結
晶粒を結合させる製造方法が注目されている。このよう
に製造したSiC質耐火物は、従来の粘土鉱物を用いた
SiC質耐火物と比べて高い高温強度を有することが知
られている。
撃性及び高温における機械強度を向上するため、クリス
トバライトが粒界に含有するSiC質耐火物を開示す
る。クリストバライトの量は、SiC質耐火物の15重
量%以下である。クリストバライトは、二酸化珪素の多
形の一つである。二酸化珪素の多形は、Si原子を中心
に4つの酸素原子が正四面体の頂点位置に配置したSi
O4四面体の配列によって決まる。クリストバライト
は、正方晶に属する低温型と、立法晶に属する高温型が
ある。特願平4−347858号のSiC質耐火物で
は、密度及び気孔率は好ましい範囲にあるので、耐酸化
性が優れていて、また、SiC質耐火物が棚板の場合、
長時間高温で使用しても曲がり難い。
火物は、過剰の二酸化珪素を含有する場合があって、こ
のようなSiC質耐火物は室温強度が高くなるが、二酸
化珪素を介してクラックが伝搬し易くなるときがあっ
た。このクラックの伝搬によって、SiC質耐火物が破
片に割れてしまうことがあった。そこで、本発明は、S
iC質耐火物の密度及び気孔率は好ましい範囲に維持し
つつ、更に、室温強度をある範囲に限定することで、ク
ラックを伝搬し難くし、耐熱衝撃性を向上させることを
目的とする。
珪素から実質的に構成される多数の結晶粒と、粒界とを
有するSiC質耐火物であって、当該SiC質耐火物
は、当該SiC質耐火物に対して、60重量%以上の炭
化珪素と、15重量%以下のクリストバライトとを含有
していて、クリストバライトは当該粒界に存在し、当該
SiC質耐火物のカサ比重は炭化珪素の理論密度の80
〜90%であって、室温における3点曲げ強度が140
0℃における3点曲げ強度の60〜90%であり、破壊
温度が475℃以上と耐熱衝撃性が向上したことを特徴
とするSiC質耐火物が提供される。本発明において、
室温における3点曲げ強度が1400℃における3点曲
げ強度の70〜80%であることが好ましい。また、本
発明において、SiC質耐火物は板形状であることが好
ましく、その厚さは、40mm以下であることが更に好
ましい。
リカを添加した炭化珪素の粉体を含有する成形体を、1
000℃以下(より好ましくは、900℃以下)で一次
焼成し、次いで、1300〜1600℃で焼結すること
により、上記した特性を備えたSiC質耐火物を得るこ
とを特徴とするSiC質耐火物の製造方法が提供され
る。尚、成形体にアモルファスシリカを添加することに
より、SiC質耐火物の室温における機械強度を低下さ
せることができる。
400℃における3点曲げ強度の60〜90%である。
室温強度は、SiC質耐火物に含有する二酸化珪素、特
にクリストバライトの含有量によって定まる。強度比が
上記の範囲では、熱応力又は機械応力によってクラック
が生じても、クラックが伝搬し難い。室温における3点
曲げ強度が1400℃における3点曲げ強度の90%よ
り大きいとき、粒界中にガラス相を過剰に含有してい
て、室温における室温強度が高いが、クラックが生じ易
くなるので好ましくない。ガラス相は、靱性が低いから
である。なお、クラックは、粒界で生じて、粒界又は結
晶粒内を伝搬するものと考えられる。一方、室温におけ
る3点曲げ強度が1400℃における3点曲げ強度の6
0%より小さいとき、室温での機械強度が十分ではな
く、通常のハンドリングのときなどで、SiC質耐火物
が割れることがあり得るので好ましくない。
にするためには、成形体を焼結する前に、1000℃以
下(より好ましくは、900℃以下)の温度で一次焼成
をすることが重要である。この一次焼成によって、成形
体中の炭化珪素粉体から生成するクリストバライト等の
二酸化珪素の含有量を制御することができ、この含有量
が室温の機械強度を左右する。炭化珪素に起因するクリ
ストバライトは、結晶粒を互いに結合させ、室温強度を
向上するので、一次焼成により、クリストバライトの生
成量を制御できる。また、成形体がアモルファスシリカ
を含有することが好ましい。アモルファスシリカも一次
焼成によって、クリストバライトに変換する。従って、
成形体にアモルファスシリカを含有させると、SiC質
耐火物において、一次焼成の条件を選ぶことにより、ア
モルファスシリカに起因するクリストバライトを生成さ
せ、炭化珪素に起因するクリストバライトの生成量を小
さくすることができる。即ち、炭化珪素に起因するクリ
ストバライトをアモルファスシリカに起因するクリスト
バライトに置き換えることができる。また、アモルファ
スシリカに起因するクリストバライトは、炭化珪素に起
因するクリストバライトと比較して、結晶粒を互いに結
合する作用は弱く、室温における機械強度の向上にさほ
ど貢献しない。従って、成形体にアモルファスシリカを
含有させることで、SiC質耐火物の室温における機械
強度は低下させるが、SiC質耐火物の密度は低下させ
ないようにすることができる。アモルファスシリカの微
視的構造は、多数のSiO4四面体が互いに酸素原子を
共有しながら不規則に配置する。アモルファスシリカの
少なくとも一部は焼結後にクリストバライトに変換し、
このクリストバライトは、耐火物の粒界に存在すること
が多い。
の理論密度の80〜90%であり、好ましくは85〜9
0%である。この範囲で、結晶粒間に熱伝導を妨げる気
泡又は気孔が少なくなり、クラックが生じ難くなる。耐
火物の組織には、開気孔及び閉気孔がある。カサ比重
は、物質部分、開気孔及び閉気孔からなる体積に対する
質量を意味する。一方、見かけ比重は、開気孔は含まな
いで、物質部分及び閉気孔からなる体積に対する質量を
意味する。従って、見かけ比重は、耐火物の組成の理論
密度より、少し小さな値になるが、カサ比重は見かけ比
重より小さい値となる。カサ比重はJIS R 261
4−76に準じて測定する。カサ比重が理論密度の80
%より小さいとき、結晶粒間に熱伝導を妨げる気孔が多
くなり、機械強度が低下する。また、この気孔を介して
SiCの酸化が促進され、酸化によってSiO2が生成
すると、体積膨張をして、耐火物が損壊することがある
ので好ましくない。一方、カサ比重が理論密度の90%
を超えると、粒界にSiO2 が不足するので、耐熱衝撃
性が低下するので好ましくない。なお、炭化珪素の理論
密度は、3.2g/cm3である。
するが、SiO2を含有する。この二酸化珪素は、一部
はクリストバライトであるが、クリストバライトでない
二酸化珪素も粒界に含有する。これらの二酸化珪素は、
他の結晶相又はガラス質である。粒界には、Al、C
r、Mn、Cu、V、Ca、Ba等を更に含有させても
よく、耐火物の用途、形状等によって、フラックス成分
及び成分量を定める。
物全体の15重量%以下、好ましくは1〜10重量%で
あるクリストバライトを含有する。SiC質耐火物を焼
結するとき、SiC結晶粒の表面が部分酸化したりし
て、SiO2 が生成し、このSiO2 が原料中のカルシ
ウムやバナジウム酸化物から成る微量の金属酸化物フラ
ックス(ガラス成分)と反応して強固な粒界結合相を生
じる。この際、SiCの酸化により生じたSiO2は、
一部がガラス質からクリストバライトに転移し、副相と
して残存する。
(1000〜1600℃)とにおける熱膨張差が大きい
ので、昇温、冷却の繰り返しにより粒界にマイクロクラ
ックを生じ易くなり、このマイクロクラックは次第に伝
搬して、SiC質耐火物自体を破壊するに至り、例え
ば、棚板が割れる。 従って、クリストバライトの総量
を上記の値に制御するのが好ましい。SiC質耐火物
は、60重量%以上の炭化珪素を含有することが好まし
く、80重量%以上の炭化珪素を含有することが更に好
ましい。二酸化珪素は、0.1〜10重量%含有するこ
とが好ましく、1〜6重量%含有することは更に好まし
い。CaOは、0.05重量%以下を含有することが好
ましく、V2O5は0.05〜1.0重量%含有すること
が好ましく、Al2O3は0.01〜0.15重量%含有
することが好ましい。
に炭化珪素からなる粉体を含有する成形体を、1300
〜1600℃で焼結する。この粉体は、90重量%以上
の炭化珪素を含有することが好ましい。従って、通常の
不純物を含有していてもよい。粉体は、例えば、粒径が
3mmのものが包含していてもよく、また、これと同時
に、粒径が1μmのものが含有していてもよい。
アモルファスシリカを含有することは好ましく、また、
炭化珪素粉体の平均粒径が5μm以下であることは好ま
しい。成形体は、炭化珪素粉体のほか、バナジウム化合
物、カルシウム化合物、ベントナイト、カオリン等を含
有してもよい。次いで、成形体を一次焼成した後、13
00〜1600℃で焼結する。焼結温度が1300℃未
満のとき、SiC質耐火物は耐熱衝撃性が劣る。一方、
焼結温度が1600℃を越えると、機械強度が低下す
る。
説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるもので
はない。 (実施例1〜4) 粒度が6メッシュ以下(粒径が2830μm以下であ
る。)の炭化珪素粉体98重量%に、ベントナイト2重
量%を加えた。炭化珪素粉体及びベントナイトの総量に
対して、0.02重量%のCaCO3と、0.45重量
%のV2O5と、5重量%の水とを添加した。この混合物
の総量に対して、アモルファスシリカを添加して、混練
した。
m(厚さ)の板形状に成形し、次いで、乾燥させて水分
を十分に除去した。この成形体をクリストバライトが生
成する温度で一定時間保持して一次焼成した後、更に1
400℃まで加熱し、1400℃で10時間保持して焼
結して、SiC質耐火物を得た。なお、これは棚板の標
準的なサイズである。JISに規定する方法に従って、
SiC質耐火物の三点曲げ強度(kgf/cm2)を室
温及び1400℃で測定した。室温及び1400℃のい
ずれでも、130×20×10mmのサンプルを用い
て、スパン100mmで測定した。室温では、オートグ
ラフ3点曲げを用い、1400℃では、熱間抗折試験機
を用いた。この結果を表1にまとめる。なお、表1で、
比とは、1400℃における3点曲げ強度に対する室温
における3点曲げ強度の比をいう。
0×350×10mm(厚さ)のSiC質耐火物の中央
に、280×240×20mm(厚さ)であるAl2O3
板を載置した。室温である電気炉の中に、このSiC質
耐火物及びAl2O3板を入れて、1分あたり10℃の昇
温速度で電気炉をゆっくりと設定温度まで加熱した。S
iC質耐火物及びAl2O3板を設定温度の電気炉内部に
一時間保持して、SiC質耐火物及びAl2O3板の全体
を設定温度に保った。次いで、SiC質耐火物及びAl
2O3板を室温となっている電気炉の外に素早く取り出
し、SiC質耐火物が複数の断片に割れるか又はクラッ
クが生じるかを判断した。このとき、SiC質耐火物に
おいて、Al2O3板が載置する中央部は温度が下がりに
くく、一方、Al2O3板が載置しない周辺部は温度が下
がり易いので、SiC質耐火物の水平方向に熱分布が生
じた。まず、425℃を設定温度として試験を行った。
この試験で、SiC質耐火物が割れなかったとき、設定
温度を450℃にして、次の試験を繰り返した。このよ
うに設定温度を25℃づつ上げていき、SiC質耐火物
が複数の断片に割れたとき又はクラックが生じたときの
設定温度を破壊温度とした。破壊温度が高い程、耐熱衝
撃性が優れている。なお、実施例のSiC質耐火物も、
次の比較例のSiC質耐火物も、昇温工程においては、
割れることもクラックが生じることもなかった。
リカを含有していない成形体を用いた。また、比較例の
SiC質耐火物の製造方法は、特願平4−347858
号に記載する方法に準拠した。即ち、成形体を乾燥させ
て水分を十分に除去する工程までは、アモルファスシリ
カを含有しないことを除いて、上記の実施例と同一であ
る。次いで、この成形体を900℃まで加熱して、90
0℃で25時間保持して一次焼成をした。この焼成体を
1400℃まで加熱して、10時間保持して焼結した。
表1より、一次焼成をすることでクリストバライトの生
成を調整するので、1400℃における3点曲げ強度に
対する室温における3点曲げ強度の比が一定の範囲で
は、耐熱衝撃性が向上することが分かる。
気孔率を好ましい範囲に維持しつつ、更に、室温強度を
ある範囲に限定することで、クラックを伝搬し難くし、
耐熱衝撃性を向上させることができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 炭化珪素から実質的に構成される多数の
結晶粒と、粒界とを有するSiC質耐火物であって、 当該SiC質耐火物は、当該SiC質耐火物に対して、
60重量%以上の炭化珪素と、15重量%以下のクリス
トバライトとを含有していて、クリストバライトは当該
粒界に存在し、当該SiC質耐火物のカサ比重は炭化珪
素の理論密度の80〜90%であって、 室温における3点曲げ強度が1400℃における3点曲
げ強度の60〜90%であり、 破壊温度が475℃以上と耐熱衝撃性が向上したこと を
特徴とするSiC質耐火物。 - 【請求項2】 室温における3点曲げ強度が、1400
℃における3点曲げ強度の70〜80%である請求項1
に記載のSiC質耐火物。 - 【請求項3】 当該SiC質耐火物が、当該SiC質耐
火物に対して、80重量%以上の炭化珪素と、10重量
%以下の二酸化珪素とを含有する請求項1又は2に記載
のSiC質耐火物。 - 【請求項4】 板形状である請求項1〜3のいずれか1
項に記載のSiC質耐火物。 - 【請求項5】 アモルファスシリカを添加した炭化珪素
の粉体を含有する成形体を、1000℃以下で一次焼成
し、次いで、1300〜1600℃で焼結することによ
り、請求項1に記載のSiC質耐火物を得ることを特徴
とするSiC質耐火物の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP32930193A JP3368960B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | SiC質耐火物 |
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Publications (2)
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JPH07187786A JPH07187786A (ja) | 1995-07-25 |
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Family
ID=18219936
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JP32930193A Expired - Lifetime JP3368960B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | SiC質耐火物 |
Country Status (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018136631A3 (en) * | 2017-01-18 | 2018-09-20 | The University Of North Carolina At Charlotte | Composite carbide compositions and methods of making the same |
US11285242B1 (en) | 2019-12-20 | 2022-03-29 | The University Of North Carolina At Charlotte | Processing and bioactivation of a novel SiC medical device |
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JP6386916B2 (ja) * | 2015-01-06 | 2018-09-05 | 東京窯業株式会社 | 炭化珪素質セラミックス焼結体 |
-
1993
- 1993-12-27 JP JP32930193A patent/JP3368960B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (3)
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US11292749B2 (en) * | 2017-01-18 | 2022-04-05 | The University Of North Carolina At Charlotte | Composite carbide compositions and methods of making the same |
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