JP2019206685A - ブロック共重合体、該ブロック共重合体を含む細胞培養器材処理剤、及びその用途 - Google Patents

ブロック共重合体、該ブロック共重合体を含む細胞培養器材処理剤、及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、蛋白質吸着性が抑えられ、且つ優れた細胞接着防止効果を発揮するブロック共重合体、該ブロック共重合体を用いた細胞培養器材処理剤、細胞培養器材、該器材を具備する細胞培養用容器、マイクロチップ等のメディカルデバイス、及び該細胞培養器材の製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、該ブロック共重合体を含む、蛋白質吸着性が抑えられ、且つ優れた細胞接着防止効果を発揮するエラストマー、及びその成型物を提供することを目的とする。【解決手段】ポリシロキサン骨格と、下記一般式1〜7で表される少なくともいずれかの構造を含むビニル系ブロック共重合体(P)に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、細胞毒性が低く、かつ優れた蛋白質や細胞の接着防止効果を有するブロック共重合体、及び該共重合体を用いた細胞培養器材処理剤、細胞培養器材、メディルデバイス及び細胞培養器材の製造方法に関する。また本発明は、ブロック共重合体を含むシリコーンエラストマー組成物及びその用途に関する。
シリコーン材料は、耐熱性、耐寒性、硬度、物理的強度、耐久性、安全性に優れるため、医療用材料を含めた広範な用途に使用されており、例えば、マイクロチップと呼ばれる細胞培養器材がガラス等の基板上で保持した細胞の化学反応を観察あるいは測定する試みは、操作の簡便化・自動化による分析時間の短縮などのメリットをもたらすと期待され、近年盛んに行われてきている。マイクロチップを利用したシステムの利点としては、サンプルや試薬の使用量あるいは廃液の排出量が軽減され、省スペースで持ち運び可能な安価なシステムの実現が考えられている。
近年、細胞の代謝や分泌等を測定する技術が開発されている。細胞の生存はもちろんのこと、細胞が生理的な活性を維持するためには、酸素は必要不可欠である。現在、べセル(株)で製造、コスモ・バイオ(株)で販売されている底面がシリコーン製の培養容器は、ガラス製やポリスチレン製を底面とする培養容器と比べて、酸素透過性が高く、ラット初代肝細胞の好気呼吸を維持することができることが知られている。
また、非特許文献1には、シリコーン製の培養容器利点を活かし、プレート等の培養容器、マイクロチップを用いて細胞の機能や応答を評価する研究もなされている。しかしながら、細胞を用いる培養容器やマイクロチップ等のデバイスでは、シリコーン表面に生物試料由来の細胞や蛋白質による接着が生じ、目詰まりや分析の精度や感度の低下を招くという問題があった。
その問題を解消するために、例えば特許文献1には、ポリエチレングリコールのような親水性構造、及び/又はベタイン構造を有する重合体を有効成分とする細胞接着防止剤でコーティングされたマイクロ流路デバイスが報告されている。
特許文献2には、高重合度のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、白金触媒、及びシリカを用いて、付加反応硬化型のシリコーンエラストマー組成物に配合することで、二本ロールの成型が可能となる医療用途のシリコーンエラストマーが報告されている。
しかしながら、送血用バルーンカテーテルでは、シリコーンエラストマー成型物の表面に血液由来の細胞や蛋白質による接着することで、血栓が形成してしまい、体内に異物反応が生じる懸念がある。
国際公開第2017/022815号 特開2013−189552号公報
Analytical Chemistry 2005:77,p.2125−2131
本発明は、蛋白質吸着性が抑えられ、且つ優れた細胞接着防止効果を発揮するブロック共重合体、該ブロック共重合体を用いた細胞培養器材処理剤、細胞培養器材、該器材を具備する細胞培養用容器、マイクロチップ等のメディカルデバイス、及び該細胞培養器材の製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、該ブロック共重合体を含む、蛋白質吸着性が抑えられ、且つ優れた細胞接着防止効果を発揮するエラストマー、及びその成型物を提供することを目的とする。
即ち本発明は、ポリシロキサン骨格と、下記一般式1〜7で表される少なくともいずれかの構造を含むビニル系ブロック共重合体(P)に関する。

一般式1

(一般式1中、R1は炭素数2〜4のアルキレン基、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、Xは炭素数2〜4のアルキレン基又は(C=O)O、
fは2〜100の整数を表す。*はビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表す。)

一般式2


一般式3

一般式4

(一般式2〜4中、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子又はNH、
YはCOO又はSO
は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、R10〜R14のうち4つは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、
10〜R14のうちの1つはビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表し、
15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、*はビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表す。)

一般式5


一般式6


一般式7

(一般式5〜7中、
Xは2価の結合基、又は直接結合、
yは0又は1、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は水素原子又は水素原子又はメチル基、
〜Rのうち4つは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rのうちの1つはビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表し、
はビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表す。)
また、本発明は、アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D)と、一般式1〜7で表される少なくともいずれかの構造を有するビニルモノマー(A)と、その他モノマー(B)とからなる共重合体である、前記ビニル系ブロック共重合体に関する。
また、本発明は、アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D)と、ポリエチレンオキサイド構造含有開始剤(E)と、前記一般式1で表される構造を有するビニルモノマー(A1)と、その他モノマー(B1)とからなる共重合体である、前記ビニル系ブロック共重合体に関する。
また、本発明は、前記ポリエチレンオキサイド構造含有開始剤(E)が下記一般式8で表される構造を有する、前記ビニル系ブロック共重合体に関する。
一般式8

(一般式8中、x及びyはそれぞれ独立して、1〜100の整数を表す。)
また、本発明は、一般式5〜7で表される少なくともいずれかの構造を有し、アミンオキシド基を0.25〜5mmol/g含む、前記ビニル系ブロック共重合体に関する。
また、本発明は、前記ビニル系ブロック共重合体を含む、細胞培養器材処理剤に関する。
また、本発明は、基材上に、前記ビニル系ブロック共重合体を含む細胞接着防止膜を有する、細胞培養器材に関する。
また、本発明は、前記細胞培養器材を具備する、メディカルデバイスに関する。
また、本発明は、前記ビニル系ブロック共重合体、及びシリコーンゴム(ただし、前記ブロック共重合体である場合を除く)を含む、シリコーンエラストマー組成物に関する。
また、本発明は、前記シリコーンエラストマー組成物の硬化物である、シリコーンエラストマー成型物に関する。
また、本発明は、前記シリコーンエラストマー成型物からなる、医療器具用弾性部材に関する。
本発明によれば、蛋白質吸着性が抑えられ、且つ優れた細胞接着防止効果を発揮するブロック共重合体、該ブロック共重合体を用いた細胞培養器材処理剤、細胞培養器材、該器材を具備する細胞培養用容器、マイクロチップ等のメディカルデバイス、及び該細胞培養器材の製造方法を提供することができる。
また、該ブロック共重合体を含む、蛋白質吸着性が抑えられ、且つ優れた細胞接着防止効果を発揮するシリコーンエラストマー、及びその成型物を提供することができる。
本発明のビニル系ブロック共重合体を用いることで、酸素供給を維持することが可能な細胞培養用容器が提供すること可能である。その結果、肝細胞における培養環境がin-vitroで人体内を模することが可能となり、肝臓代謝等の基本研究に対して有用である。また、マイクロ流路デバイスのようなシリコーン基材との親和性が向上する。その結果、マイクロ流路デバイスへのコーティングが速やかに進行する。
更に、ブロック共重合体がシリコーンエラストマー及びその成型物に使われる場合、シリコーンゴムや無機シリカ充填剤との親和性が向上する。その結果、バルーンカテーテルのような医療器具用弾性部材が製造される時に、エラストマーを2本ロールからスムーズに剥離して成型することができる。
<ビニル系ブロック共重合体(P)>
前述のとおり、本発明のビニル系ブロック共重合体は、ポリシロキサン骨格と、下記一般式1〜7で表される少なくともいずれかの構造と、を有することを特徴とするものである。
ブロック共重合体が疎水性のポリシロキサン骨格を有することで、シリコーン等の疎水性基材との化学的親和性を高め、ブリードアウトを抑制し、低毒性や細胞に対する低刺激性の効果を発揮する。
本発明のブロック共重合体において、ポリシロキサンの骨格はビニル系ブロック共重合体の側鎖又は主鎖のいずれかに位置してもよく、側鎖と主鎖の両方に位置してもよく、主鎖に位置することが好ましい。
好適なポリシロキサン結合の繰り返し単位化合物としては、例えば、ポリシロキサン;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサニルメチル(メタ)アクリレート、メチルジ(トリメチルシロキシ)(メタ)アクリロキシメチルシラン、モノ(メタ)アクリロキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、(2−メチル−)2−プロペン酸、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル及び9−n−ブチル−1 −[3−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)プロピル]− 1 ,1,3,3,5,5,7,7,9 ,9−デカメチルペンタシロキサン等のシリコーン(メタ)アクリレートモノマー;並びに、それらの組合せが挙げられる。
更に、ポリシロキサン結合の繰り返し単位化合物は、炭素数1〜4のポリアルキル置換及びポリアリール置換シロキサン繰り返し単位を含んでいてもよい。好適なポリシロキサン繰り返し単位としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン及びそれらのコポリマーが挙げられる。
<ポリオキシアルキレン構造を有するビニル系ブロック共重合体(P−1)>
ビニル系ブロック共重合体(P−1)は、側鎖に、一般式1で表されるポリオキシアルキレン親水性骨格を有するものである。ポリシロキサンの骨格を有するビニル系ブロック共重合体を得る方法は特に限定されないが、アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D)(以下、ポリシロキサン構造を有するアゾ系開始剤、またはマクロアゾ開始剤とも言う)と、一般式1で表される構造を有するビニルモノマー(A1)と、後記のその他モノマー(B1)とからなるビニル系ブロック共重合体(P−1)であることが好ましい。

一般式1

(一般式1中、
1は炭素数2〜4のアルキレン基、
は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、
Xは炭素数2〜4のアルキレン基又は(C=O)O、fは2〜100の整数を表す。
*はビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表す。)
本発明において、ポリシロキサン骨格と前記一般式1で表される構造とを有するブロック共重合体は、以下のような方法で得ることができる。
即ち、一般式1で表される構造を有するビニルモノマー(A1)として下記一般式9で表されるポリオキシアルキレン構造を有するモノマーと、後述のその他モノマー(B1)とを、アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D)を用いて重合して、ポリオキシアルキレン構造を有するポリマーを得ることができる。

一般式9

(一般式9中、
1は炭素数2〜4のアルキレン基、
は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、
Xは炭素原子、(C=O)O、(C=O)NR又はNR(C=O)、
は水素原子又は炭素数1〜10の有機基、
は水素原子又はメチル基を表す。)
[モノマー(A1)]
本願のモノマー(A1)は、前記一般式9で表されるポリオキシアルキレン親水性骨格を有するものである。一般式9で表されるポリオキシアルキレン構造を有するモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中でも、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
モノマー(A1)としては、これらを単独で又は2種以上を用いて得られた繰り返し単位が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の両者を言い表すものとする。
[その他モノマー(B1)]
ビニル系共重合体(P−1)を得る際に、前記モノマー(A1)の他に、1分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する、その他モノマー(B1)を用いることができる。ビニル系モノマーに基づく構造の導入により、極性やTgが適切に制御され、優れた塗工膜及び成型物の耐久性を有することができるほか、溶媒溶解性等を制御することができる。
その他モノマー(B1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン系エチレン性不飽和モノマー。ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有するモノマー;(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフェートなどのリン酸基を有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどの1〜3級アミド基を有するモノマー;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、及びトリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル)アンモニウムクロライドなどの4級アミノ基を有するモノマー;n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエーテル鎖を有するモノマーが挙げられる。
[アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D)]
本願のビニル系ブロック共重合体は、前述のとおり、アゾ基含有ポリシロキサン開始剤と、前述のモノマー(A1)および(B1)とからなる共重合体として得ることができる。また、本願のビニル系ブロック共重合体は、アゾ基含有ポリシロキサン開始剤と、後述のポリエチレンオキサイド構造含有開始剤、及びモノマー(A1)および(B1)とからなる共重合体として得ることもできる。
[アゾ基含有ポリシロキサン開始剤の調製]
アゾ基含有ポリシロキサン開始剤は、少なくとも片方の末端にヒドロキシル基、アミノ基、チオール基等の官能基を有する反応性直鎖状ポリシロキサンと、カルボキシ基を有するアゾ系開始剤とを反応させることにより得ることができる。反応性直鎖状ポリシロキサンは、下記一般式10の化合物より選択してもよい。
一般式10

一般式10中、R13 は、置換及び非置換の炭素数1〜24のアルキル基、いくつかの実施形態においては置換及び非置換の炭素数1〜10のアルキル基、他の実施形態においては非置換の炭素数1〜4のアルキル基、また他の実施形態においてはメチル基又はn−ブチル基より選択され、R1 4 〜R17は、炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基より独立して選択され、rは、5〜60、6〜50、6〜20、6〜15いくつかの実施形態においては6〜12であり、R18、R19及びR20は、水素原子 、非置換の炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基やアミノ基等で置換された炭素数1〜4のアルキル基及びそれらの組合せより独立して選択されるが、R18、R19の少なくとも1つは、水素原子であるか、あるいはヒドロキシル基、アミノ基又はチオール基を含む。反応性直鎖状ポリシロキサンの具体例としては、以下のものが挙げられる。

上記式中、mは0〜3であり、nはr+1である。
反応性直鎖状ポリシロキサンを、カルボキシ基を有するアゾ系開始剤と反応させる。好適なアゾ系開始剤としては、4 ,4 ’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びその誘導体、2,2 ’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2 ,2 ’− アゾビス[2−メチル−N−[2−(1−カルボキシブチル)]プロピオンアミド]並びに、2,2 ’−アゾビス[2−メチル−N−(2−カルボキシエチル)プロピオンアミド]等が挙げられ、4 ,4 ’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)が好ましく使用されている。
アゾ系開始剤と反応性直鎖状ポリシロキサンとは、アゾ系開始剤によってラジカルが発生しない十分に低い温度で、縮合反応又はヒドロシリル化反応によって反応させる。反応温度が高過ぎるとアゾ系開始剤からラジカルが発生してしまい、温度が低過ぎると反応が完了するまでに長時間かかってしまう。したがって反応温度は、−20℃〜50℃ が好ましく、0℃〜40℃がより好ましく、10℃〜35℃ が最も好ましい。
アゾ基含有ポリシロキサン開始剤の質量平均分子量は、1,000以上であり、好ましくは2,000〜10,000,000であり、より好ましくは5,000以上であり、さらに好ましくは10,000以上であり、特に好ましくは100,000以上である。分子量が2,000以上であることにより、成型物の弾性を付与でき、長期間の細胞接着防止効果及び経時形状安定性を発揮する。
[縮合剤]
また、本発明のアゾ基含有ポリシロキサン開始剤は縮合剤が含まれていてもよい。縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)及びN−エチル−N ’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC= WSCI)、並びに、塩酸塩(WSCI・HCl)が挙げられる。DCC又はWSCIと、N−ヒドロキシスクシンイミド(HONSu) 、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt) 又は3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOBt)等との組合せを用いることもできる。使用量が少な過ぎると原料が残って精製が困難になり、量が多過ぎると縮合剤が残って精製が困難になる。したがって添加モル比は、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤の量の1.8〜4.0倍が好ましく、2.0〜3.0倍がより好ましく、2.1〜2.7倍が最も好ましい。
[触媒]
また、本発明のアゾ基含有ポリシロキサン開始剤は、反応性を高めるために、本発明のマクロ開始剤合成反応の際に触媒を加えてもよい。好適な触媒としては、4−ジメチルアミノピリジン等の求核触媒が挙げられる。
アゾ基含有ポリジメチルシロキサンの市販品としては、和光純薬工業社製のVPSシリーズが挙げられ、VPS−1001、VPS−0501等が挙げられる。
[ポリエチレンオキサイド構造含有開始剤(E)]
本願のビニル系ブロック共重合体は、前述のとおり、アゾ基含有ポリシロキサン開始剤と、さらにポリエチレンオキサイド構造含有開始剤、及びモノマー(A1)〜(B1)とからなる共重合体として得ることもできる。ポリエチレンオキサイド構造含有開始剤としては、
下記一般式8で表される構造を有するものが好ましい。

一般式8

(一般式2中、x及びyはそれぞれ独立して、2〜100の整数を表す。)
上記一般式8で表される構造を有する開始剤は、ポリエチレンオキサイド構造を有しているため、水、アルコール、有機溶剤に可溶であり、溶液重合にてブロック共重合体の合成が可能である。また、分子骨格中に重合開始部分(ラジカル発生部分:−N=N−)を有しているため、ラジカルの反応性、安定性が高いという特徴を有している。また、ポリエチレンオキサイド構造含有開始剤は、上記一般式1で表される構造との相溶性が高く、共重合体の成型物の経時安定性を確保することができる。
前記ポリエチレンオキサイド構造含有開始剤の質量平均分子量は、5,000〜10万程度、好ましくは1万〜5万である。また、該開始剤のポリエチレンオキサイド構造の質量平均分子量は、800〜1万程度、好ましくは1,000〜8,000程度であればよい。
ポリエチレンオキサイド構造含有開始剤の具体例としては、和光純薬製の高分子アゾ開始剤VPE0201 (上記一般式2において、(CHCHO)xで表される部分構造の分子量が約2,000であり、yは6程度である。)などが挙げられる。
前記一般式9で表されるポリオキシアルキレン構造を有するモノマー(A1)は、全モノマーの合計量に対して、1質量%以上で使用することが好ましい。好ましくは4質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。また、95質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以下である。上記範囲とすることで、長期的な、細胞毒性が低く、かつ優れた蛋白質や細胞の接着防止効果を発揮する。後記架橋性基を有するモノマー(C)は、全モノマーの合計量に対して、20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。上記範囲とすることで、架橋剤を併用した場合に適度な架橋密度を有する塗膜を得ることができる。
<ベタイン構造を有するビニル系ブロック共重合体(P−2)>
本発明のビニル系ブロック共重合体(P−2)は、ポリシロキサン骨格と、一般式2〜4で表される少なくともいずれかの構造と、を有することを特徴とし、ビニル系ブロック共重合体の側鎖に、一般式2〜4で表される少なくともいずれかのベタイン構造を有する物である。
ポリシロキサン骨格とは、シロキサン結合の繰り返し単位を有することを表す。ブロック共重合体がベタイン構造を有することで、優れた蛋白質や細胞の接着防止効果を発揮する。中でも一般式2で表される構造を有するものが特に好ましい。また、ブロック共重合体が疎水性のポリシロキサン骨格を有することで、シリコーン等の疎水性基材との化学的親和性を高めブリードアウトを抑制し、低毒性や細胞に対する低刺激性の効果を発揮する。
一般式2

一般式3

一般式4

(一般式2〜4中、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子又はNH、
YはCOO又はSO
は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、R10〜R14のうち4つは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、
10〜R14のうちの1つはビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表し、
15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、*はビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表す。)
本発明のビニル系ブロック共重合体(P−2)において、ポリシロキサンの骨格はビニル系ブロック共重合体の側鎖又は主鎖のいずれかに位置してもよく、側鎖と主鎖の両方に位置してもよく、主鎖に位置することが好ましい。
好適なポリシロキサン結合の繰り返し単位化合物としては、例えば、ポリシロキサン;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサニルメチル(メタ)アクリレート、メチルジ(トリメチルシロキシ)(メタ)アクリロキシメチルシラン、モノ(メタ)アクリロキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、(2−メチル−)2−プロペン酸、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル及び9−n−ブチル−1−[3−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)プロピル]−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン等のシリコーン(メタ)アクリレートモノマー;並びに、それらの組合せが挙げられる。
更に、ポリシロキサン結合の繰り返し単位化合物は、炭素数1〜4のポリアルキル置換及びポリアリール置換シロキサン繰り返し単位を含んでいてもよい。好適なポリシロキサン繰り返し単位としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン及びそれらのコポリマーが挙げられる。
側鎖に、一般式2〜4で表される少なくともいずれかのベタイン構造を有し、且つ、主鎖にポリシロキサンの骨格を有するビニル系ブロック共重合体を得る方法は特に限定されないが、前記のアゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D)と、その他ビニルモノマー(B2)とからなる共重合体であることが好ましい。
本発明において、ポリシロキサン骨格と前記一般式2〜4で表される少なくともいずれかの構造とを有するビニル系ブロック共重合体(P−2)は、以下のような2つの方法で得ることができる。
即ち、
(I)、下記一般式11〜13で示される少なくともいずれかの、ベタイン構造を有するモノマー(A2−1)と、前記のその他モノマー(B)とを、シロキサン結合の繰り返し単位を有するマクロアゾ開始剤(D)を用いて重合して、ベタイン基を有するポリマーを得ることができる。
一般式11

一般式12

一般式13

(一般式11〜13中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、Xは酸素原子又はNH−、Yは−COO又はSO 、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、R16〜R20のうち4つは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R16〜R20のうちの1つはエチレン性不飽和二重結合との結合位置を表し、R15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表す。)
あるいは、
(II)、ベタイン構造の前駆官能基とでもいうべき下記一般式14〜16で示される少なくともいずれかの3級アミノ基を有するモノマー(A2−2)と、その他モノマー(B2)とを、シロキサン結合の繰り返し単位を有するマクロアゾ開始剤(D)を用いて重合してポリマーを得た後、前記3級アミノ基にベタイン化剤を反応させ、ポリマーにベタイン基を導入することができる。
副反応を生じ難いという点で(II)の方法が好ましい。なお、3級アミノ基にベタイン化剤を反応させることを、以下「ベタイン化」ともいう。
一般式14

一般式15

一般式16

(一般式14〜16中、
は水素原子又はメチル基、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、Xは酸素原子又はNH−、
は水素原子又はメチル基、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、
16〜R20のうち4つは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R16〜R20のうちの1つはエチレン性不飽和二重結合との結合位置を表し、**はベタイン化剤との反応部位を表す。)
ベタイン化は、重合前又は重合後のいずれかで行えばよく、(IIa)3級アミノ基含有モノマーをベタイン化した後に、シロキサン結合の繰り返し単位を有するマクロアゾ開始剤を用いてその他モノマーと重合するか、あるいは、(IIb)3級アミノ基含有モノマーと他のモノマーとをシロキサン結合の繰り返し単位を有するマクロアゾ開始剤を用いて重合した後にベタイン化してもよい。好ましくは、(IIb)である。
<モノマー(A2−1)>
本願のモノマー(A2−1)は、前記一般式11〜13で示される少なくともいずれかのベタイン構造を有する。
一般式11で示されるベタイン構造を有するモノマーとしては、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン;N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアネルコキシ−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインなどのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−スルホベタインなどが挙げられる。
一般式12で示されるベタイン構造を有するモノマーとしては、例えば、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−3−(3−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(4−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩などの1−ビニル−2−アルキル−3−(4−スルホアルキル)イミダゾリウム内部塩などが挙げられる。
一般式13で示されるベタイン構造を有するモノマーとしては、例えば、2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、2−ビニル−1−(3−スルホブチル)ピリジニウム内部塩、などの2−ビニル−1−(3−スルホアルキル)ピリジニウム内部塩;4−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、4−ビニル−1−(3−スルホブチル)ピリジニウム内部塩、などの4−ビニル−1−(3−スルホアルキル)ピリジニウム内部塩が挙げられる。
<モノマー(A2−2)>
本願のモノマー(A2−2)は、前記一般式14〜16で示される少なくともいずれかの3級アミノ基を有し、一般式2〜4の構造を形成するためものである。一般式14で示される3級アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアミン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアミン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアミン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアミン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアミン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジエチルアミン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアミン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアミン、などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアミン;N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアミン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアミン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアミン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアミン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアネルコキシ−N,N−ジメチルアミンなどが挙げられる。
一般式15で示される3級アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、1−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチル−イミダゾール、などの1−ビニル−2−アルキル−イミダゾールが挙げられる。
一般式16で示される3級アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、4−ビニル−ピリジン、2−ビニル−ピリジンなどのビニルピリジンが挙げられる。
<その他モノマー(B2)>
ビニル系ブロック共重合体(P−2)を得る際に、前記モノマー(A2)の他に、1分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する、その他ビニル系モノマーを用いることができる。ビニル系モノマーに基づく構造の導入により、極性やTgが適切に制御され、優れた塗工膜及び成型物の耐久性を有することができるほか、溶媒溶解性等を制御することができる。
その他モノマー(B2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン系エチレン性不飽和モノマー。
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有するモノマー;(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフェートなどのリン酸基を有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどの1〜3級アミド基を有するモノマー;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、及びトリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル)アンモニウムクロライドなどの4級アミノ基を有するモノマー;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエーテル鎖を有するモノマーが挙げられる。
アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D)としては、ビニル系ブロック共重合体(P−1)で記載したものを使用することができる。
<ベタイン化剤(J)>
ベタイン化剤は、環状スルホン酸エステル(J1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(J2)、環状カルボン酸エステル(J3)及びω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(J4)からなる群より選択される。一般式14〜16で示される3級アミノ基を有するモノマー<A2−2>の**で示される窒素を重合後に、スルホベタイン化又はカルボベタイン化するために用いられる化合物群である。
このような環状スルホン酸エステル(J1)としては、例えば、1,2−エタンスルトン、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンが挙げられる。このようなω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(J2)としては、例えば、2-クロロエタンスルホン酸ナトリウム、2-ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、3-クロロプロパンスルホン酸ナトリウム、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム、4-クロロブタンスルホン酸ナトリウム、4-ブロモブタンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
このような環状カルボン酸エステル(J3)としては、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンなどが挙げられる。
このようなω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(J4)としては、例えば、2−クロロ酢酸ナトリウム、2−ブロモ酢酸ナトリウム、3−クロロプロピオン酸ナトリウム、3−ブロモプロピオン酸ナトリウム、4−クロロ酪酸ナトリウム、4−ブロモ酪酸ナトリウム、5−クロロペンタン酸ナトリウム、5−ブロモペンタン酸ナトリウムなどが挙げられる。
ベタイン化は、重合前、重合後いずれに行ってもよく、ベタイン構造を含む溶液に、ベタイン化剤を加えて、20℃〜100℃の範囲で0.1〜100時間、好ましくは1〜50時間反応させることによって、ベタイン化を行うことができる。一般的にはベタイン化剤の使用量は、3級アミノ基に対して、0.2〜3倍モル当量の割合で使用し、更に0.5〜2倍モル当量使用するのがより好ましい。
ビニル系ブロック共重合体(P−2)が、前述の(I)一般式12〜14で示される少なくともいずれかの構造を有するモノマー(A2)と、その他モノマーとを重合してなるビニル系ポリマーである場合は、モノマー合計100mol%中、一般式12〜14で表される構造を有するモノマーの合計は1〜95mol%であることが好ましく、より好ましくは2〜80mol%である。
また、ビニル系ブロック共重合体(P−2)が、前述の(II)下記一般式14〜16で示される少なくともいずれかの3級アミノ基の構造を有するビニル系ポリマーとベタイン化剤との反応生成物であるポリマーである。より具体的には、一般式14〜16で示される少なくともいずれかの3級アミノ基の構造を有するモノマーとその他モノマーとを重合してなるビニル系ポリマーと、ベタイン化剤との反応生成物である場合は、モノマー合計100mol%中、一般式14〜16で表される構造を有するモノマーが1〜95mol%であることが好ましく、より好ましくは2〜80mol%である。
<ベタイン構造含有量>
本発明におけるブロック共重合体のベタイン構造含有量は、一般式2〜4で表される構造の含有量であり、細胞毒性の確保及びシリコーン基材への濡れ性の観点から、好ましくは0.5〜90mol%であり、より好ましくは1.0〜90mmol%であり、さらに好ましくは10.0〜80molである。ベタイン構造含有量はNMRやGC−MSなどの分析法によって算出することができる。
<ビニル系ブロック共重合体(P−2)の重合>
前記ベタイン構造を有するモノマー(A2−1)又は、前記3級アミノ基含有モノマー(A2−2)は、全モノマーの合計量に対して、1質量%以上で使用することが好ましい。好ましくは4質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上である。また、95質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以下である。上記範囲とすることで、長期的な、細胞毒性が低く、かつ優れた蛋白質や細胞の接着防止効果を発揮する。下記架橋性基を有するモノマー(C)は、全モノマーの合計量に対して、20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。上記範囲とすることで、架橋剤を併用した場合に適度な架橋密度を有する塗膜を得ることができる。
<アミンオキシド基を有するビニル系ブロック共重合体(P−3)>
本発明のビニル系ブロック共重合体(P−3)は、ポリシロキサン骨格と、下記一般式5〜7で表される少なくともいずれかの構造と、を有することを特徴とし、ビニル系ブロック共重合体の側鎖に、一般式5〜7で表される少なくともいずれかのアミンオキシド構造を有する物である。ポリシロキサン骨格とは、シロキサン結合の繰り返し単位を有することを表す。
ブロック共重合体がアミンオキシド基を有することで、優れた蛋白質や細胞の接着防止効果を発揮する。中でも一般式5で表される構造を有するものが特に好ましい。また、ブロック共重合体が疎水性のポリシロキサン骨格を有することで、シリコーン等の疎水性基材との化学的親和性を高めブリードアウトを抑制し、低毒性や細胞に対する低刺激性の効果を発揮する。
一般式5


一般式6


一般式7

(一般式5〜7中、
Xは2価の結合基、又は直接結合、
yは0又は1、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は水素原子又は水素原子又はメチル基、
〜Rのうち4つは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rのうちの1つはビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表し、
はビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表す。)
本発明のビニル系ブロック共重合体において、ポリシロキサンの骨格はビニル系ブロック共重合体の側鎖又は主鎖のいずれかに位置してもよく、側鎖と主鎖の両方に位置してもよく、主鎖に位置することが好ましい。
好適なポリシロキサン結合の繰り返し単位化合物としては、例えば、ポリシロキサン;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサニルメチル(メタ)アクリレート、メチルジ(トリメチルシロキシ)(メタ)アクリロキシメチルシラン、モノ(メタ)アクリロキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、(2−メチル−)2−プロペン酸、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル及び9−n−ブチル−1 −[3−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)プロピル]− 1 ,1,3,3,5,5,7,7,9 ,9−デカメチルペンタシロキサン等のシリコーン(メタ)アクリレートモノマー;並びに、それらの組合せが挙げられる。
更に、ポリシロキサン結合の繰り返し単位化合物は、炭素数1〜4のポリアルキル置換及びポリアリール置換シロキサン繰り返し単位を含んでいてもよい。好適なポリシロキサン繰り返し単位としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン及びそれらのコポリマーが挙げられる。
本発明のビニル系ブロック共重合体において、ポリシロキサンの骨格はビニル系ブロック共重合体の側鎖又は主鎖のいずれかに位置してもよく、側鎖と主鎖の両方に位置してもよく、主鎖に位置することが好ましい。
側鎖に、一般式5〜7で表される少なくともいずれかのアミンオキシド構造を有し、且つ、主鎖にポリシロキサンの骨格を有するビニル系ブロック共重合体を得る方法は特に限定されないが、前記アゾ基含有ポリシロキサン開始剤と、ビニルモノマーとからなる共重合体であることが好ましい。
本発明において、ポリシロキサン骨格と前記一般式5〜7で表される少なくともいずれかの構造とを有するビニル系ブロック共重合体は、以下のような2つの方法で得ることができる。
即ち、
(I)アミンオキシド基を有するモノマー(A3−1)とその他モノマー(B3)とを、シロキサン結合の繰り返し単位を有するマクロアゾ開始剤(D)を用いて重合して、アミンオキシド基を有するポリマーを得ることができる。
あるいは、
(II)アミンオキシド基の前駆官能基とでもいうべき3級アミノ基を有するモノマー(A3−2)とその他モノマー(B3)とを、シロキサン結合の繰り返し単位を有するマクロアゾ開始剤を用いて重合してポリマーを得た後、前記3級アミノ基に酸化剤を反応させ、ポリマーにアミンオキシド基を導入することができる。
副反応を生じ難いという点で(II)の方法が好ましい。なお、3級アミノ基に酸化剤を反応させることを、以下「オキシド化」ともいう。
オキシド化は、重合前又は重合後のいずれかで行えばよく、(IIa)3級アミノ基含有モノマーをオキシド化した後に、シロキサン結合の繰り返し単位を有するマクロアゾ開始剤を用いてその他モノマーと重合するか、あるいは、(IIb)3級アミノ基含有モノマーと他のモノマーとをシロキサン結合の繰り返し単位を有するマクロアゾ開始剤を用いて重合した後にオキシド化してもよい。好ましくは、(IIb)である。
<モノマー(A3)>
オキシド化前の前駆体としての3級アミノ基含有モノマー(A3−2)のうち、一般式5の構造を形成するためものとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピオン酸ビニル、N,N−ジエチルアミノプロピオン酸ビニル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアリルアミン、p−ジメチルアミノメチルスチレン、p−ジメチルアミノエチルスチレン、p−ジエチルアミノメチルスチレン、p−ジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジメチルビニルアミン、N,N−ジエチルビニルアミン、N,N−ジフェニルビニルアミン、あるいは、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和基含有酸無水物と、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン等との反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和化合物とN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン等との反応生成物等が挙げられる。
好ましくは、(メタ)アクリレートモノマーであり、より好ましくはN,N−ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート又はN,N−ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリレートである。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の両者を言い表すものとする。
一般式6の構造を形成するためのものとしては、例えば、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−3−ビニルピリジン、2−メチル−4−ビニルピリジン、3−メチル−4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−メチル−5−ビニルピリジン、4−メチル−5−ビニルピリジン、2−ラウリル−4−ビニルピリジン、2−ラウリル−5−ビニルピリジン、2−(t−ブチル)−4−ビニルピリジン、2−(t−ブチル)−5−ビニルピリジン等が挙げられる。
一般式7の構造を形成するためのものとしては、例えば、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、4−メチル−1−ビニルイミダゾール、5−メチル−1−ビニルイミダゾール、2−ラウリル−1−ビニルイミダゾール、4−(t−ブチル)−1−ビニルイミダゾール等が挙げられる。
<その他モノマー(B3)>
ビニル系ブロック共重合体(P−3)を得る際に、前記モノマー(A3)の他に、1分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する、その他ビニル系モノマーを用いることができる。ビニル系モノマーに基づく構造の導入により、極性やTgが適切に制御され、優れた塗工膜及び成型物の耐久性を有することができるほか、溶媒溶解性等を制御することができる。
その他モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン系エチレン性不飽和モノマー。
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有するモノマー;(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフェートなどのリン酸基を有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどの1〜3級アミド基を有するモノマー;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、及びトリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル)アンモニウムクロライドなどの4級アミノ基を有するモノマー;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエーテル鎖を有するモノマーが挙げられる。
<ビニル系ブロック共重合体(P−3)の共重合>
3級アミノ基含有モノマー(A3−2)は、全モノマーの合計量に対して、1質量%以上で使用することが好ましい。好ましくは4質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上である。また、95質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以下である。上記範囲とすることで、長期的な、細胞毒性が低く、かつ優れた蛋白質や細胞の接着防止効果を発揮する。下記架橋性基を有するモノマー(C)は、全モノマーの合計量に対して、20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。上記範囲とすることで、架橋剤を併用した場合に適度な架橋密度を有する塗膜を得ることができる。
アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D)は、ビニル系ブロック共重合体(P−1)で記載したものを使用することができる。
<オキシド化>
重合前のオキシド化、重合後のオキシド化について説明する。重合前のオキシド化は、3級アミノ基含有不飽和モノマーを含む溶液に、重合後のオキシド化は、3級アミノ基含有不飽和モノマーを必須とするモノマーを重合したポリマーを含む溶液に、オキシド化剤を加えて20℃〜100℃の範囲で0.1〜100時間、好ましくは1〜50時間反応させることによって、3級アミノ基をオキシド化することができる。
オキシド化剤としては、過酸化物又はオゾン等の酸化剤が用いられる。過酸化物としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、過酢酸、メタクロロ過安息香酸、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド等が挙げられ、過酸化水素が好ましく、通常は水溶液の形で用いられる。程度の違いはあるとはいうものの、過酸化物にはラジカル発生剤としての機能もあるので、3級アミノ基含有不飽和モノマーを必須の原料とするビニル系ポリマーの場合には、重合後にオキシド化することが好ましい。また、後述するウレタン系ポリマーの場合にも副反応が生じないように、重合後にオキシド化することが好ましい。
一般的にはオキシド化剤の使用量は、オキシド化可能な官能基、即ち、3級アミノ基に対して、0.2〜3倍モル当量の割合で使用し、更に0.5〜2倍モル当量使用するのがより好ましい。得られたポリマー溶液は、残存した過酸化物を公知の方法で処理した後、使用することもできる。具体的には還元剤添加処理、イオン交換処理、活性炭処理、金属触媒による処理等があげられる。得られたポリマー溶液はそのまま使用することもできるが、必要に応じて再沈殿、溶媒留去等の公知の方法でアミンオキシド基含有ポリマーを単離して使用することも出来る。また、単離したアミンオキシド基含有ポリマーは、必要ならば再沈殿や、溶剤洗浄、膜分離、吸着処理等によってさらに精製できる。
本発明におけるビニル系ブロック共重合体(P−3)としては、前述の如く、3級アミノ基含有不飽和モノマーをオキシド化した後に他のモノマーと重合したもの、及び、3級アミノ基含有不飽和モノマー(A)を必須とするモノマーを重合し、ポリマーを得た後にオキシド化したものの他、モノマーとして、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和化合物や2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有不飽和化合物と、ヒドロキシエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド基含有化合物との反応生成物を用いて共重合したものも用いることができる。
<アミンオキシド基含有量>
アミンオキシド基は、細胞接着防止効果をポリマーに付与する。ブロック共重合体中のアミンオキシド基含有量は、好ましくは0.25〜5mmol/gであり、より好ましくは0.5〜5mmol/gである。0.25〜5mmol/gであることにより、長時間水中に浸漬しても細胞接着防止効果を維持することができる。
ブロック共重合体中のアミンオキシド基含有量は、一般式1〜3で表わされる構造の含有量であり、アミンオキシド基を有するモノマーを重合してブロック共重合体を得る場合には、重合に用いたアミンオキシド基を有するモノマーの量から求めることができる。一方、3級アミノ基含有モノマーを必須とするモノマーを重合した後に得られたポリマーをオキシド化する場合には、下記数式1によって算出できる。
[架橋性基を有するモノマー(C)]
また、耐久性を向上させ、剥離や溶出を抑制できるという観点から、ブロック共重合体(P−1)〜(P−3)は、カルボキシル基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋性基を有することが好ましい。具体的には、ビニル系共重合体(P−1)〜(P−3)を得る際に、その他モノマー(B1)〜(B3)として、カルボキシル基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋性基を有するモノマー(C)を使用することが好ましい。モノマー(C)に由来する架橋性基は、後述する架橋剤と反応することでポリマー塗膜に架橋構造を導入し、優れた耐久性を発揮する。
例えば、カルボキシル基が導入された共重合体は、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキセタン、カルボジイミド化合物、アミノ化合物又はイソシアネート化合物等により架橋することができる。水酸基が導入された共重合体は、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、アミノ化合物又はアルコキシラン化合物等により架橋することができる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、その構造中にカルボキシル基有するものであれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、あるいはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの繰り返し付加した末端にカルボキシル基を有するアルキレンオキサイド付加系コハク酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基含有モノマーとしては、その構造中に水酸基を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ヒドロキシブチル、単官能(メタ)アクリル酸グリセロール、ラクトン環の開環付加により末端に水酸基を有するポリラクトン系(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの繰り返し付加した末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド付加系(メタ)アクリル酸エステル、グルコース環系(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
耐久性の観点から、ビニル系ポリマーは、架橋性基としてカルボキシル基を有することが好ましく、ポリマーを構成する架橋性基を有するモノマー(C)としてカルボキシル基含有モノマーを用いることが好ましい。
<質量平均分子量(Mw)>
本発明のビニル系ブロック共重合体(P−1)〜(P−3)の質量平均分子量は、好ましくは2,000〜10,000,000であり、より好ましくは5,000以上であり、さらに好ましくは10,000以上であり、特に好ましくは100,000以上である。分子量が2,000以上であることにより、塗膜の凝集力を付与でき、塗工基材からの剥離を抑制でき、長期間の細胞接着防止効果を発揮する。また、10,000,000以下であると、適正な粘度になることから、塗工適性が向上するため好ましい。より好ましくは、500,000以下である。
ブロック共重合体の質量平均分子量(P−1)〜(P−3)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算で計測した値を採用する。測定装置及び測定条件としては、下記条件1によることを基本とし、試料の溶解性等により条件2とすることを許容する。ただし、重合体種によっては、さらに適宜適切なキャリア(溶離液)及びそれに適合したカラムを選定して用いてもよい。その他の事項については、JISK7252−1〜4:2008を参照することとする。なお、難溶の高分子化合物については下記条件の下、溶解可能な濃度で測定することとする。
条件1)
カラム:TOSOHTSKgelSuperHZM−H、
TOSOHTSKgelSuperHZ4000、
TOSOHTSKgelSuperHZ2000
を連結したもの
キャリア:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1ml
(条件2)
カラム:TOSOHTSKgelSuperAWM−Hを2本連結したもの
キャリア:10mMLiBr/N−メチルピロリドン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1ml
<細胞培養器材処理剤>
本発明の細胞培養器材処理剤は、前記ビニル系ブロック共重合体を含むことを特徴とする。本発明の細胞培養器材処理剤は、細胞培養器材処理剤100質量%中、前記ブロック共重合体を50質量以下%含むことが好ましく、0.5〜10質量%含むことがより好ましい。ブロック共重合体(P−1)〜(P−3)の含有量を0.5質量%以上とすることで、ポリオキシアルキレン構造による細胞接着抑制の効果を発揮することができる。また、本発明の細胞培養器材処理剤は、ブロック共重合体の以外の成分を含んでも良い。
[溶媒]
本発明の細胞培養器材処理剤は、ビニル系ブロック共重合体の以外の成分として溶媒を含有してもよく、2種以上を併用して含んでもよい。溶媒は、ポリオキシアルキレン構造に依存するブロック共重合体の溶解性や製膜条件等を考慮し、従来公知の溶媒から適宜選択することができる。
例えば、ビニル系ブロック共重合体中のポリオキシアルキレン構造の量が多い場合、水、メタノールやエタノール等のアルコール類、アセトンやエチルメチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフランやジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチルや酢酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ギ酸や酢酸等の有機酸、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機塩基を選択することができる。一方、ブロック共重合体(A)中のベタイン量が少ない場合、アセトンやエチルメチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフランやジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチルや酢酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルに加え、ジクロロメタンやトリクロロメタン等のハロゲン溶媒を選択することができる。
[架橋剤]
本発明の細胞培養器材処理剤は、さらに架橋剤を含むことができる。架橋剤を含むことにより、前述のブロック共重合体が架橋性基を有する場合、塗膜に架橋を形成して耐久性(耐水性)を向上させることができる。
本発明で用いることのできる架橋剤としては、前述のビニル系ブロック共重合体を形成するための架橋性基を有するモノマー(C)におけるカルボキシル基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋性基と反応するものが好ましく、例えば、カルボキシル基が導入されたブロック共重合体の架橋剤としては、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、アミノ化合物等が挙げられる。また、水酸基が導入されたブロック共重合体の架橋剤としては、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、アミノ化合物、アルコキシラン化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は、塗膜の弾性率や耐性を上げる目的で使用したり、基材への接着力を調製したりするために用いることができる。
以下に、好ましい架橋剤の例として、カルボジイミド化合物について説明する。
(カルボジイミド基含有化合物(カルボジイミド化合物))
カルボジイミド基含有化合物としては、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどのジカルボジイミドや、ポリ(1,6−ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフタレンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)などのポリカルボジイミドなどを挙げることができる。
本発明において、架橋剤は、一種のみを単独で用いてもよいし、複数を併用しても良い。架橋剤の使用量は、ブロック共重合体中に含まれる官能基の種類やモル数を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、通常はブロック共重合体100質量部に対して0.1質量部〜100質量部の範囲で用いられる。ブロック共重合体中に含まれる官能基のモル数よりも少ない範囲で配合することで、未反応の架橋剤が遊離する懸念をなくすことができる。この範囲であれば、目的とする細胞培養器材処理剤の各効果に、特に優れた性能が発現される。
[その他添加剤等]
本発明の細胞培養器材処理剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を含有してもよく、界面活性剤、等張化剤、キレート化剤、pH調整剤、緩衝剤、増粘剤、安定化剤、タンパク質分解酵素、薬理活性成分、生理活性成分や、医薬品添加物辞典に記載された各種添加剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。これらは1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
例えば、イオンバランスを調製するために、pH調整剤を含有してもよい。pH調整剤としては、酸性又は塩基性の化合物が挙げられる。酸性pH調整剤の例としては、カルボン酸、無機酸及びスルホン酸が挙げられ、塩基性pH調整剤の例としては、水酸化物、アルコキシド、第一級及び第二級アミン以外の窒素含有化合物、塩基性炭酸塩、並びに塩基性リン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。細胞培養器材処理剤のpH値は、4.0〜9.0程度、好ましくは6.0〜8.0程度、であり、7.0付近になるように調整して用いることが好ましい。
また、等張化剤としては、糖、ポリアルコール(マンニトール、ソルビトールなど)又は塩化ナトリウム等が挙げられる。増粘剤、安定化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド等の合成有機高分子化合物、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシエチルスターチ等のスターチ誘導体、コンドロイチン硫酸塩、ヒアルロン酸塩等が挙げられる。
<細胞培養器材>
本発明の細胞培養器材は、基材上に、前述のビニル系ブロック共重合体(P−1)〜(P−3)を含む細胞接着防止膜(塗膜とも言う場合もある)を有し、基材上に、前述のブロック共重合体を含む細胞接着防止膜を形成する工程を含むこと、具体的には、前述のブロック共重合体を含む細胞培養器材処理剤をコーティングする工程を含むことにより製造することができる。
細胞接着防止膜を形成する方法、即ち基材上に、ブロック共重合体を含む細胞培養器材処理剤をコーティングする工程としては、公知の方法で行うことができる。例えば、前記細胞培養器材処理剤を公知の方法でコーティングした後に、熱処理等をすることで、塗膜を形成することができる。なお、架橋剤を使用して硬化することもできる。
前記コーティング方法は、基材に応じて適宜選択でき、具体的には、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、インクジェット方式、刷毛塗り、スポンジ塗り等が挙げられる。また、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の各種印刷方式を用いてもよい。
<基材>
本発明の基材は、細胞培養器材用に使用可能であれば特に制限されない。
具体的には、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアセテート、ビニル−アセテート共重合体、スチレン−メチルメタアクリレート共重合体、アクリルニトリル−スチレン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ナイロン、ポリメチルペンテン、シリコーン樹脂、アミノ樹脂、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、及びポリイミドの樹脂材料からなる群から選択された1種以上の樹脂のほか、ガラス基材等が挙げられる。
前記シリコーン系樹脂としては、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンのようなポリオルガノシロキサンを主鎖とするものが挙げられ、好ましくは、ポリジメチルシロキサンである。また、このようなシリコーン基材としては、具体的には、例えば、シリコーン含有医療用デバイス、マイクロ流路を有するシリコーン基材、好ましくはシリコーン含有細胞培養容器、マイクロ流路デバイスが挙げられる。
前記細胞培養容器としては、細胞の増殖の足場となる表面を有する細胞培養用基材を備えるものであり、その形態は特に限定されない。例えば、フィルム状又は板状の形態である細胞培養用基材を、シングル若しくはマルチウェルプレートなどの培養用のプレート、シャーレ、ディッシュ、フラスコ、培養バック等の各種容器に収容して固定したものが挙げられる。また、フィルム状又は板状の形態である細胞培養用基材をそのまま細胞培養容器として使用することもできるし、細胞培養用基材が各種容器の形態であってもよい。細胞培養容器は、細胞培養用基材の表面に細胞を含む培地を載せて細胞培養を実施することができる。また、培養バックは浮遊細胞や幹細胞等を浮遊状態で培養する等の際に用いることが可能である。
前記マイクロ流路デバイスとしては、例えば、微小反応デバイス(具体的にはマイクロリアクターやマイクロプラント等)、集積型核酸分析デバイス、微小電気泳動デバイス、微小クロマトグラフィーデバイス等の微小分析デバイス;質量スペクトルや液体クロマトグラフィー等の分析試料調製用微小デバイス;抽出、膜分離、透析などに用いる物理化学的処理デバイス;環境分析チップ、臨床分析チップ、遺伝子分析チップ(DNAチップ)、タンパク質分析チップ(プロテオームチップ)、糖鎖チップ、クロマトグラフチップ、細胞解析チップ、製薬スクリーニングチップ等のマイクロ流路チップが挙げられる。これらの中でも、マイクロ流路チップが好ましい。
なお、前記マイクロ流路デバイスは、微量の試料(好ましくは液体試料)が流れる部位であり、その流路幅及び深さは特に限定されないが、いずれも、通常、0.1μm〜1mm程度であり、好ましくは10μm〜800μmである。なお、マイクロ流路の流路幅や深さは、流路全長にわたって同じであってもよく、部分的に異なる大きさや形状であってもよい。
前記細胞培養器材は、プラズマ処理、UVオゾン処理、内部浸潤剤処理等がされていてもよい。これらの処理がなされたシリコーン基材は表面が親水化されているため、重合体が吸着しにくくなる場合があるが、本発明で用いる、細胞培養器材処理剤はこのようなプラズマ処理等がされたシリコーン基材にも吸着し、優れた親水性及び生体試料吸着抑制効果が付与される。
<メディカルデバイス>
前記メディカルデバイスは、医療用器材であれば特に制限されず、具体例としては、例えば、血液バッグ、採尿バッグ、輸血セット、縫合糸、ドレーンチューブ、各種カテーテル、ブラッドアクセス、血液回路、人工血管、人工腎臓、人工心肺、人工弁、血漿交換膜、各種吸着体、CAPD、IABP、ペースメーカー、人工関節、人工骨頭、歯科材料、各種シャント、が挙げられる。
メディカルデバイスの材質や形状は特に限定されず、材質としては、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニルやそれらの共重合体などの各種高分子材料、金属、セラミック、カーボン、及びこれらの複合材料等が挙げられる。また、形状は特に限定されず、平滑、多孔質などいずれであってもよい。
<シリコーンエラストマー組成物>
本発明のシリコーンエラストマー組成物は、上記ブロック共重合体及びシリコーンゴム(ただし、前記ビニル系ブロック共重合体である場合を除く)を含み、ブロック共重合体、シリコーンゴム及び必要に応じて無機質充填剤等を含む組成物をロスミキサー、2本ロール、ニーダーミキサー等の公知の混練手段により、均一に混合することによって製造することができる。
<シリコーンゴム>
本発明のシリコーンゴムは、架橋構造を有し、ゴム状性質を有するポリシロキサンであれば特に制限はない。通常、シリコーンゴムは、シリコーンゴム前駆体であるポリシロキサンを架橋することによって製造される。
本形態に係るシリコーンゴムとしては、アルケニル基含有ポリオルガノシロキサンと、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含むシリコーンゴム前駆体を架橋してなるものであることが好ましい。なお、以下において、アルケニル基含有ポリオルガノシロキサンを「ポリシロキサン(g1)」と、オルガノハイドロジェンポリシロキサンを「ポリシロキサン(g2)」とも称する。
[ポリシロキサン(g1)]
上記ポリシロキサン(g1)とは、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するポリシロキサンを意味する。アルケニル基の含有量は、特に制限はない。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、メタアリル基、ブテニル基、及びヘキセニル基などが挙げられる。このうちビニル基であることが好ましい。
上記ポリシロキサン(g1)は、アルケニル基以外にも、置換基(オルガノ基)を有していてもよく、例えば、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜8個のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜8個のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基等が挙げられる。炭素原子数1〜8個のアルキル基としては、例えば、具体的には、メチル基エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基などが挙げられる。このうち、メチル基であることが好ましい。
炭素原子数1〜8個のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基及びオクチルオキシ基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、及びメチルフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基などが挙げられる。
また、上記アルケニル基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基に置換されうる基としては、例えば、ハロゲン原子、アシル基、アルキル基、フェニル基、アルコキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボニル基、及びシアノ基などが挙げられる。
なお、ポリシロキサン(g1)は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであっても構わない。また、これらは1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[ポリシロキサン(g2)]
ポリシロキサン(g2)(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)は、ケイ素原子に結合する水素原子を少なくとも2個有するポリシロキサンである。該水素2個は、ポリオルガノシロキサンのアルケニル基の二重結合に付加し、架橋構造を形成する。
また、ポリシロキサン(g2)は、水素原子以外に置換基(オルガノ基)を有していてもよく、置換基としては、上記ポリシロキサンで例示したものと同様のものが挙げられる。なお、シリコーンゴムは、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであっても構わない。また、これらは1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シリコーンゴムを製造する際に使用されるポリシロキサン(g1)及びポリシロキサン(g2)の割合は特に制限はないが、ポリシロキサン(g1)に含まれるアルケニル基1モルに対して、ポリシロキサン(g2)に含まれるケイ素原子に結合する水素原子が0.5〜3.0モルとなるような割合とすることが好ましい。
[触媒]
なお、本形態のシリコーンゴムは、シリコーンゴム前駆体であるポリシロキサンを架橋するための触媒をさらに含んでもよい。触媒は、特に制限はないが、白金系触媒であることが好ましく、具体的には、白金黒、シリカ担持白金、炭素担持白金、塩化白金酸、塩化白金酸アルコール溶液、白金/オレフィン錯体、白金/アルケニルシロキサン錯体、白金/β−ジケトン錯体、白金/ホスフィン錯体などが挙げられる。当該触媒は、シリコーンゴム前駆体の総量に対して、約0.1〜500ppm(Pt換算)となるように添加することが好ましい。
本発明のシリコーンゴムの市販品としては、東レ・ダウコーニング(株)製の二液系の硬化性ポリジメチルシロキサン(PDMS)であるシルガード184(主剤)とシルガード184(硬化剤)とを、質量比10:1で混合したもの等を挙げることができる。
[無機質充填材]
さらに、本発明のシリコーンゴムは、硬度調節、耐熱性向上、増量剤のために無機質充填材を含んでもよい。無機質充填材はシリコーンゴムに一般に使用される種々のものがあり、フュームドシリカ、沈澱シリカ、又はこれらの表面処理された微粉末シリカその他に珪藻土、石英、クレイ等の粉末が例示される。
無機質充填剤の市販品としては、BET比表面積200m2/gのヒュームドシリカ(製品名「アエロジル200」、日本アエロジル株式会社製)等が挙げられる。
[その他添加物]
本発明に係るシリコーンエラストマー組成物には、その目的に反しない限り、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックを配合してもよい。また必要に応じて顔料(ベンガラ、各種有機顔料などの着色剤、二酸化チタンなど) 、耐熱剤、難燃剤、内部離型剤、可塑剤、無官能のシリコーンオイル等の添加剤を配合してもよい。なお、内部離型剤としては、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸塩が例示される。なお、医療用バルーンとして、加熱滅菌処理、熱電対の使用等の高温に晒される施術に用いる場合には、耐熱剤、難燃剤等の添加が特に好ましい。
<シリコーンエラストマー成型物>
本発明のシリコーンエラストマー成型物は、前記シリコーンエラストマー組成物の成型硬化物であり、成型法としては、射出成型法、圧縮成型法又は押出成型(熱風加硫含む)が好適に採用される。また硬化温度及び硬化時間は特に限定されないが、一般に、室温〜220℃で硬化することが好ましい。医療用バルーン等の医療器具用弾性部材の工業的生産の見地からは、80〜230℃ で3秒〜60分、好ましくは100〜200 ℃で5秒〜30分程度である。
本発明に係るシリコーンエラストマー成型物は、電気機器、自動車、建築、医療、食品等をはじめとする種々の用途で使用できる。例えば、リモートコントローラ、タイプライター、ワードプロセッサ、コンピュータ端末、楽器等のゴム接点として使用されるラバーコンタクト; 建築用ガスケット; 複写機用ロール、現像ロール、転写ロール、帯電ロール、給紙ロール等の各種ロール; オーディオ装置等の防振ゴム; コンピュータに使用されるコンパクトディスク用パッキン等; 弁、ホース、チューブ、パッキン、シール又はジョイント等の水回り部材等; 幼児用遊具、食器、調理器具(シリコーンスチーマー等を含む) 、歯ブラシ、哺乳ビン用乳首、乳幼児用おしゃぶり、人工乳首、スポーツ用品、ダイビング用水中眼鏡、ダイビング用ゴーグル、自動車部品、模型又はロボットの人工外皮部材に利用できる。
<医療器具用弾性部材>
本発明に係るシリコーンエラストマー成型物は、安全性と耐久性に優れ、適度な硬度及び永久伸びその他の物理特性を有することから、人間又は動物の治療に使用する医療用弾性部材に使用することができる。例えば、医療用の各種チューブ、胃用カテーテル、医療用バルーンやカテーテルバルーン、人工透析装置、血液透析装置、インプラント部材、薬栓、O−リングにも好適である。
なお、本発明に係るシリコーンエラストマー組成物からなる硬化物は耐熱性、耐酸性、耐放射線性等にも優れ、かつ物性が劣化しないため、容易に滅菌処理できるという利点を有する。また、前記の好適な無機充填剤であるヒュームドシリカを用いることにより、外観が透明であり、耐傷付き性にも優れた硬化物を得ることができるので、バルーンの内容物やカテーテル中の液流の視認性にも優れるという利点を有する。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
<質量平均分子量(Mw)の測定方法、平均重合度の測定>
実施例等において、ブロック共重合体、オルガノポリシロキサンの平均重合度は、下記分析装置により平均分子量ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた標準ポリスチレン換算数平均分子量に基づく数平均重合度であり、以下の条件で測定されたものである。
測定温度:40℃(カラムオーブン温度)
試料:1質量%トルエン溶液として使用
検出器:RI検出器
更生曲線用ポリマー:標準ポリスチレン
<アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D)の合成>
[アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D1)]
4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)1.68質量部、4−ジメチルアミノピリジン1 .83質量部、Ν,Ν−ジシクロヘキシルカルボジイミド3.0質量部及びアセトン40質量部を、塩化カルシウム管を備えた三つ口フラスコに、窒素ガスを通じながら加えた。一方の末端にヒドロキシル基を有する下記式17で表されるポリジメチルシロキサン(チッソ株式会社製 FM−0411、Mw:1000 )8.58質量部をこの溶液に滴加し、室温で6時間撹拌した。
沈殿した固体を濾別し、得られた濾液にヘキサンを加えた後、濾液を0.5N HClで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、さらに飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄した。硫酸ナトリウムで有機相を乾燥させて濾過した後、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムを用いて精製し、5.18質量部の下記式18で表されるアゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D1)を得た。
式17

Bu:ブチル基

式18
[アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D2)]
4 ,4 ’−アゾビス(4−シアノ吉草酸) 1.40質量部、一方の末端にアミノ基を有する下記式19で表されるポリジメチルシロキサン(チッソ株式会社製、FM0311、Mw:1000)質量部、4−ジメチルアミノピリジン質量部及びアセトン50質量部を、塩化カルシウム管を備えた三つ口フラスコに窒素ガスを通じながら加えた。
Ν,Ν−ジイソプロピルカルボジイミド1.7質量部をこの混合溶液に滴加した。周囲温度で6時間撹拌後、沈殿した固体を濾別し、得られた濾液にヘキサンを加えた後、濾液を0.5N HClで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、さらに飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄した。硫酸ナトリウムで有機相を乾燥させ、濾過し、濃縮した後、粗生成物をシリカゲルカラムを用いて精製し、1.9質量部の下記式20で表されるアゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D2)を得た。
式19


式20

[アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D3)]
VPS−1001(和光純薬工業製)を、アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D3)として用いた。
<ポリエチレンオキサイド構造含有開始剤(E)>
VPE0201(和光純薬工業社製)を、ポリエチレンオキサイド構造含有開始剤(E)とした。
<ポリオキシアルキレン構造を有するビニル系ブロック共重合体(P−1)の製造>
[実施例1]ビニル系ブロック共重合体(P−1−1)
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、酢酸エチル100部を仕込み、内温を75℃に昇温し十分に窒素置換した。アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D1)を20部、モノマー(B1)としてブチルアクリレートを50部、モノマー(A1)としてメトキシポリエチレングリコール-メタクリレート(日油社製ブレンマーPME−100)30部を混合したものを、内温を75℃に保ちながら3時間滴下を続け、さらに2時間撹拌を続けた。固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、冷却して、ブロック共重合体(P−1−1)の溶液を得た。
得られた(P−1−1)の質量平均分子量は435,000であった。
[実施例2〜9]ビニル系ブロック共重合体(P−1−2)〜(P−1−9)
表1に示す配合組成で、ビニル系ブロック共重合体(P−1)と同様の方法でビニル系ブロック共重合体(P−1−2)〜(P−1−9)
を合成した。
[比較例1]共重合体(P−1−10)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1−ブタノール98.0 部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト50部、ブチルアクリレート30部、及びアゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D3)20部、の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、室温まで冷却し反応を停止した。その後、ダイヤフラムポンプで1−ブタノールを除去し、共重合体(P−10)を得た。その重量平均分子量は412,500であった。
[比較例2]
国際公開第2017/022815号の合成例14を参考にして、ラウロキシポリエチレングリコール(30)モノメタクリレート及びシリコーンメタクリレート等のビニル系ランダム共重合体である(P−1−11)を合成した。
表1中の略称を以下に示す。
A1−1:メトキシポリエチレングリコール-メタクリレート(ブレンマー(R)PME−100 日油社製)
A1−2:メトキシポリエチレングリコール-メタクリレート(ブレンマー(R)PME−200 日油社製)
A1−3:メトキシポリエチレングリコール-メタクリレート(ブレンマー(R)PME−400 日油社製)
BA:ブチルアクリレート
DCPA:ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト
MEA:2−メトキシエチルアクリレート
St:スチレン
HBA:4-ヒドロキシブチル アクリレート
AA:アクリル酸
<ベタイン構造を有するビニル系ブロック共重合体(P−2)の製造>
[実施例10]ビニル系ブロック共重合体(P−2−1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール184部を仕込み、窒素ガスで置換した後、75℃に加熱し攪拌した。次にアゾ基含有ポリシロキサン開始剤D1を20部、(A2)としてN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインを80部、ブチルアクリレートを20部、メタノール75部、メチルエチルケトン4部、水2部からなる溶液を作製し、滴下ロートより2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、さらに75℃で3時間反応させ、固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、冷却して反応を停止した。その後、ダイヤフラムポンプでイソプロピルアルコール、メタノール、メチルエチルケトン、水を除去し、ブロック共重合体(P−2−1)を得た。
ブロック共重合体(P−2−1)の質量平均分子量は430,000であった。
[実施例11〜19]ビニル系ブロック共重合体(P−2−2〜9)
表2に示す配合組成で、ブロック共重合体(P−2−1)と同様の方法でブロック共重合体(P−2−11〜19)を合成した。
[実施例20]ビニル系ブロック共重合体(P−2−11)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル49.4部、エタノール50部を仕込み、窒素ガスで置換した後、75℃に加熱し攪拌した。次にアゾ基含有ポリシロキサン開始剤D1を20部、メチルエチルケトンを0.4部、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミンを80部、ブチルアクリレートを20部からなる溶液を作製し、滴下ロートより2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、さらに75℃で3時間反応させ、固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、1,4−ブタンスルトンを109部加え、更に20時間撹拌を続けた。
次いで、冷却して取出し、ダイヤフラムポンプで酢酸エチル、エタノール、メチルエチルケトンを完全に揮発させた。乾燥させた樹脂をメチルエチルケトンでよく洗浄し、副生成物や残存した原料を取り除いた。得られたブロック共重合体(P−2−11)は質量平均分子量が43,0500であった。
[実施例21〜24]ビニル系ブロック共重合体(P−2−12〜15)
表3に示す配合組成で、ブロック共重合体(P−2−11)と同様の方法でブロック共重合体(P−2−12〜15)を合成した。
[比較例3]ブロック共重合体(P−2−16)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1−ブタノール98.0 部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ブチルアクリレート20.0部、スチレン50.0部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト30部、スチレン20部及びアゾ基含有ポリシロキサン開始剤D3、20部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、室温まで冷却し反応を停止した。その後、ダイヤフラムポンプで1−ブタノールを除去し、比較用のブロック共重合体(P−2−16)が得られ、その質量平均分子量は44,3000であった。
[比較例4]ビニル系共重合体(P−2−17)
国際公開第2017/022815号の合成例14を参考にして、側鎖にシロキサン構造を有するビニル系共重合体である(P−2−17)を合成した。
[比較例5]ビニル系共重合体(P−2−18)
国際公開第2017/022815号の合成例15を参考にして、側鎖にシロキサン構造を有するビニル系共重合体である(P−2−18)を合成した。
表2及び3中の略称を以下に示す。
DMBS:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン
DMMC:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボベタイン
VSPI:1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩
VSPP:2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩
BA:ブチルアクリレート
DCPA:ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト
St:スチレン
MEA:2−メトキシエチルアクリレート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
AA:アクリル酸
DM:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン
VI:1−ビニルイミダゾール
VP:2−ビニルピリジン
J1−1:1,4−ブタンスルトン
J1−2:1,3−プロパンスルトン
J2:4-ブロモブタンスルホン酸ナトリウム
J3:β−プロピオラクトン
J4:2−クロロ酢酸ナトリウム
ブロック共重合体(P−2)の合成に用いたN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインは、国際公開第2014/185977号の段落0032を参考に使用した。同様に、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−N−メチルカルボベタインは特開平11−222470号公報の段落0036を、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩と2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩とは特開平08−218065号公報の段落0018を参考に合成した。
[実施例25]ビニル系共重合体(P−3−1)
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、酢酸エチル100部を仕込み、内温を75℃に昇温し十分に窒素置換した。アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D1)を20部、3級アミノ基含有モノマー(A3)としてN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを50部、その他モノマー(B3)としてブチルアクリレート50部を混合したものを、内温を75℃に保ちながら3時間滴下を続け、さらに2時間撹拌を続けた。固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、冷却して、3級アミノ基を有するポリマーの溶液を得た。次に、得られた3級アミノ基を有するポリマーの溶液に、オキシド化剤として35%過酸化水素水を30.9部(用いたN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートと等モル量)加え、70℃で16時間反応させることで3級アミノ基のオキシド化を行った。アミンオキシド変換率が98%を超えたことを確認後、冷却して取り出し、その後、ダイヤフラムポンプで溶媒を完全に揮発させ、ビニル系共重合体(P−3−1)を得た。
得られた(P−3−1)のアミンオキシド基含有量は、使用したN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート量と前述の数式1から3.0mmol/gであった。また得られたポリマーの質量平均分子量は、430,000であった。
[実施例26〜35]ビニルブロック共重合体(P−3−2〜11)
表4に示す配合組成で、ブロック共重合体(P−3−1)と同様の方法でブロック共重合体(P−3−2)〜(P−3−11)を合成した。
[比較例6]共重合体(P−3−12)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1−ブタノール98.0 部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト30部、ブチルアクリレート20部、スチレン50部、およびアゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D1)20部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、室温まで冷却し反応を停止した。その後、ダイヤフラムポンプで1−ブタノールを除去し、共重合体(P−3−12)を得た。その重量平均分子量は413,500であった。
[参考例1]共重合体(P−3−13)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル98.0 部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート50部、ブチルアクリレート50部、および2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)1.3部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、室温まで冷却し反応を停止した。その後、ダイヤフラムポンプで酢酸エチルを除去し、共重合体(P−3−13)を得た。その重量平均分子量は423,000であった。
表4中の略称を以下に示す。
DMAEMA:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
DEAEMA:N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート
DMAPAA:N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
VP:2−ビニルピリジン
VI:1−ビニルイミダゾール
BA:ブチルアクリレート
DCPA:ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト
St:スチレン
MEA:2−メトキシエチルアクリレート
HBA:4-ヒドロキシブチル アクリレート
AA:アクリル酸
<細胞培養器材処理剤の製造>
[実施例36〜42、比較例7、8]
細胞培養器材処理剤(PC−1−1〜7、10〜11)
得られたブロック共重合体(P−1−1〜7、10〜11)を、各々エタノールで希釈して10%溶液を調製し、細胞培養器材処理剤(PC−1−1〜7、10〜11)を得た。
[実施例43、44]
細胞培養器材処理剤(PC−1−8、9)
得られた共重合体(PC−1−8、9)各10.0部と、架橋剤としてカルボジイミド基含有化合物(日清紡ホールディングス(株)製;カルボジライトV−02)5.0部とをエタノールで希釈して10%溶液を調製し、細胞培養器材処理剤(PC−1−8、9)を得た。
得られた細胞培養器材処理剤を表5に示す。
[実施例45〜55、比較例9〜11]細胞培養器材処理剤(PC−2−1〜8、11〜13、16〜18)
得られた共重合体(P−2−1〜8、11〜13、16〜18)各10.0部を、各々エタノールで希釈して10%溶液を調製し、細胞培養器材処理剤(PC−2−1〜8、11〜13、16〜18)を得た。
[実施例56〜59]細胞培養器材処理剤(PC−2−9、10、14、15)
得られた共重合体(P−2−9、10、14、15)各10.0部と、架橋剤としてカルボジイミド基含有化合物(日清紡ホールディングス(株)製;カルボジライトV−02)5.0部とをエタノールで希釈して10%溶液を調製し、細胞培養器材処理剤(PC−2−9、10、14、15)を得た。
得られた細胞培養器材処理剤を表6に示す。
[実施例60〜70、比較例12、参考例2]
細胞培養器材処理剤(PC−3−1〜11、14、15)
得られたブロック共重合体(P−3−1〜13)各10.0部を、各々エタノールで希釈して10%溶液を調製し、細胞培養器材処理剤(PC−1〜11、14、15)を得た。
[実施例71、72]
細胞培養器材処理剤(PC−3−12、13)
得られたブロック共重合体(P−3−8、10)各10.0部と、架橋剤としてカルボジイミド基含有化合物(日清紡ホールディングス(株)製;カルボジライトV−02)5.0部とをエタノールで希釈して10%溶液を調製し、細胞培養器材処理剤(PC−3−12、13)を得た。
得られた細胞培養器材処理剤を表7に示す。
表5〜7中の略称を以下に示す。
V−02:カルボジイミド基含有化合物(日清紡ホールディングス(株)製;カルボジライトV−02)
<細胞培養器材の製造と評価>
得られた細胞培養器材処理剤を用いて以下のとおり細胞培養器材を作製した。
また得られた細胞培養器材について、以下の評価を行った。結果を表8〜10に示す。
[実施例73〜97、比較例13〜18、参考例3]
<細胞培養器材(U)の製造>
U字底96ウェルプレートに、細胞培養器材処理剤(PC−1−1〜11)、(PC−2−1〜18)、(PC−3−1〜15)を各ウェルに約0.5mlずつ注入した。これを吸引排出した後、50℃ で3時間乾燥させることにより、ウェルプレート内部が細胞培養器材処理剤(PC−1−1〜11)、(PC−2−1〜18)、PC−3−1〜15)で被覆された、(U−1−1〜11)、(U−2−1〜18)、(U−3−1〜15)を作製した。
<細胞培養器材の評価>
[スフェロイド形成評価]
細胞培養器材(U−1〜11)、(U−2−1〜18)、(U−3−1〜15)をエチレンオキサイドガス滅菌した後、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)にウシ胎児血清(FBS)を10%添加したものを培地とし、マウス線維芽細胞用細胞株(NIH/3T3細胞)を1ウェルあたり1×104個播種し、5%CO/37℃のインキュベーターで5日目まで培養し、5日後の細胞培養状態を透過式光学顕微鏡40倍で写真撮影し、細胞の形態を観察することによって評価した。結果を表8.に示す。
(評価基準)
○:1つのスフェロイドを形成(良好)
△:複数個のスフェロイドを形成(不良)
×:スフェロイドを形成しない(極めて不良)
<細胞培養器材(Z)の製造>
[実施例98〜134、比較例19〜24、参考例4]
三菱ケミカル製商品名の珪樹(CF−500−5A)シリコーンゴムフィルム(2cm×2cm)に細胞培養器材処理剤(PC−1−1〜11)、(PC−2−1〜18)、(PC−3−1〜15)を20μL用いて、各フィルムにスピンコーター(回転速度:2000rpmで10秒)で塗工し、2時間乾燥させることにより、シリコーンゴムフィルムが細胞培養器材処理剤(PC−1−1〜11)、(PC−2−1〜18)、PC−3−1〜15)で被覆された、(Z−1−1〜11)、(Z−2−1〜18)、(Z−3−1〜15)を作製した。
<細胞培養器材の評価>
[酸素透過の評価]
酸素透過率測定装置(201T、Rehder社)の平面電極セルを使用して、ISO18369−4(FATT法)に定められている方法により酸素透過係数(Dk)を測定した。(1Barrer=1×10−11(STP)cm/cmmmHg)
◎:Dk≧300Barrer(極めて良好)
○:300>Dk≧280(良好)
△:280>Dk≧20(使用可能)
×:20>Dk(不良)
評価の結果を表9.に示す。
<細胞培養器材(M)の製造>
[実施例135〜171、比較例25〜30、参考例5]
幅200μm、高さ50μmの流路を有するPDMS(ポリジメチルシロキサン)製標準チップ(フルイドウェアテクノロジーズ社製)流路に、細胞培養器材処理剤(PC−1−1〜11)、(PC−2−1〜18)、(PC−3−1〜15)を流し込み、50℃加熱した状態で4時間精置した後、純水で3回、PBS(林純薬工業株式会社製;リン酸緩衝生理食塩水)で1回洗浄し、未吸着成分を除去して、細胞培養器材(M−1−1〜11)、(M−2−1〜18)、(M−3−1〜15)を得た。
<細胞培養器材の評価>
[血液送液試験]
得られた細胞培養器材(M−1−1〜11)、(M−2−1〜18)、(M−3−1〜15)において、血液検体を一定圧力下、2μL/minの入口スピードで12分間送液し、送液直後から1分後の1分間に流路出口から流出した血液検体量と、送液開始5分後から6分後の1分間に流路出口から流出した血液検体量と、送液開始10分後から11分後の1分間に流路出口から流出した血液検体量と、をそれぞれ測定した。流出した血液検体量が多く、経時で減少せず一定であるほど良好である。結果を表10.に示す。
<シリコーンエラストマー及び成型物の製造>
<シリコーンエラストマ(R)の製造>
[実施例172〜206、比較例31〜37]
ビニル系共重合体、シリコーンゴム、及び無機質充填剤を、表11.に示す組成、配合量で均一に混合して、シリコーンエラストマー(R−1−1〜11)、(R−2−1〜18)、(R−3−1〜15)を得た。
<成型物(S)の製造>
得られたシリコーンエラストマー(R−1−1〜11)、(R−2−1〜18)、(R−3−1〜15)を、2本ロール上で均一混合し、120℃で10分の熱プレス硬化を行って、厚さ2mmの成型物(S−1−1〜11)、(S−2−1〜18)、(S−3−1〜15)を得た。なお、共重合体(P−1−11)、(P−2−17)、(P−2−18)、(P−3−13)を用いた成型物は、2本ロールからスムーズに剥離できず成型物を得ることができなかった。
<成型物(S)の評価>
得られた成型物について、以下の評価を実施した。結果を表11.に示す。
[蛋白質吸着性]
平底の24ウェルプレートに、成型物(S−1−1〜11)、(S−2−1〜18)、(S−3−1〜15)を11mm角にカットして入れ、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で10000倍希釈したHRP-IgG溶液1mlを添加して浸漬させた。室温で1時間インキュベートした後、PBS-T(0.1% Tween20)を用いて各ウェルを4回洗浄した。染色液を各ウェルに1mlずつ分注し、室温で10分間インキュベートした後、反応停止液を各ウェルに1mlずつ分注後、450nm(副波長650nm)の吸光度Aλを、MITHRAS2LD943−M2Mマイクロプレートリーダーを用いて測定した。吸光度Aλが小さいほど抗体蛋白質吸着性が低く良好である。以下の基準で評価した。
染色液:TMBZ溶液(3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン)
反応停止液:タカラバイオ社製 WASH and Stop Solution ForELISA With Solution for ELISA without Sulfuric Acid
HRP-IgG:酵素、抗体(HORSERADIH PEROXIDASE IMMUNOGLOBULING)
PBS-T:PBSに0.1% Tween20を添加したもの
(評価基準)
◎:Aλ≦0.2(極めて良好)
○:0.2<Aλ≦0.6(良好)
△:0.6<Aλ≦0.8(使用可能)
×:0.8<Aλ(不良)
表11中の略称を以下に示す。
G:シリコーンゴム、シルガード184主剤と硬化剤(東レ・ダウコーニング製)
F:無機質充填剤、BET比表面積200m2/gのヒュームドシリカ( 製品名「アエロジル200」、日本アエロジル株式会社製)
表8〜11に示すように、本発明のビニル系ブロック共重合体を用いた細胞培養器材処理剤、細胞培養器材は、スフェロイド形成性が高く、酸素透過性が高く、優れた血液送液性を示した。また、本発明のビニル系ブロック共重合体を用いたシリコーンエラストマーの硬化物である成型物は、蛋白質の接着防止効果を発揮することを示した。
一方、一般式1で表されるポリオキシアルキレン構造を有していない比較例1の共重合体は、スフェロイド形成性、蛋白質吸着抑制及び血液送液性が劣っていた。更に、本願の特定のブロック共重合体ではなく、ラウロキシポリエチレングリコール(30)モノメタクリレート及びシリコーンメタクリレート等のビニル系ランダム共重合体を用いた比較例2は、スフェロイド形成性が劣り、また、成型不可で成型物を得ることができなかった。
一般式2〜4で表されるベタイン構造を有していない場合はスフェロイド形成性、蛋白質吸着抑制及び血液送液性が劣っていた。また、特定のベタイン構造を有しているが、ビニル系ブロック共重合体ではなくランダム共重合体を用いた成型物は成型不可であった。これは、シリコーンゴムや無機充填剤との相溶性低下によるものと推測している。
一般式5〜7で表されるアミンオキシド構造を有していない場合は蛋白質吸着抑制及び血液送液性に劣っていた。また、参考例であるシリコーンを有していない場合は成型不可となった。

Claims (11)

  1. ポリシロキサン骨格と、下記一般式1〜7で表される少なくともいずれかの構造を含むビニル系ブロック共重合体(P)。

    一般式1

    (一般式1中、R1は炭素数2〜4のアルキレン基、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、Xは炭素数2〜4のアルキレン基又は(C=O)O、
    fは2〜100の整数を表す。*はビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表す。)

    一般式2


    一般式3

    一般式4

    (一般式2〜4中、
    は炭素数1〜6のアルキレン基、
    及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    は炭素数1〜4のアルキレン基
    Xは酸素原子又はNH、
    YはCOO又はSO
    は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、R10〜R14のうち4つは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、
    10〜R14のうちの1つはビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表し、
    15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、*はビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表す。)

    一般式5


    一般式6


    一般式7

    (一般式5〜7中、
    Xは2価の結合基、又は直接結合、
    yは0又は1、
    は炭素数1〜6のアルキレン基、
    、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    は水素原子又は水素原子又はメチル基、
    〜Rのうち4つは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rのうちの1つはビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表し、
    はビニル系ブロック共重合体の主鎖との結合位置を表す。)
  2. アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D)と、一般式1〜7で表される少なくともいずれかの構造を有するビニルモノマー(A)と、その他モノマー(B)とからなる共重合体である、請求項1または請求項2に記載のビニル系ブロック共重合体。
  3. アゾ基含有ポリシロキサン開始剤(D)と、ポリエチレンオキサイド構造含有開始剤(E)と、前記一般式1で表される構造を有するビニルモノマー(A1)と、その他モノマー(B1)とからなる共重合体である、請求項1または2に記載のビニル系ブロック共重合体。
  4. 前記ポリエチレンオキサイド構造含有開始剤(E)が下記一般式8で表される構造を有する、請求項3に記載のビニル系ブロック共重合体。

    一般式8

    (一般式8中、x及びyはそれぞれ独立して、1〜100の整数を表す。)
  5. 一般式5〜7で表される少なくともいずれかの構造を有し、アミンオキシド基を0.25〜5mmol/g含む、請求項1〜3いずれか1項に記載のビニル系ブロック共重合体。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載のビニル系ブロック共重合体を含む、細胞培養器材処理剤。
  7. 基材上に、請求項1〜5いずれか1項に記載のビニル系ブロック共重合体を含む細胞接着防止膜を有する、細胞培養器材。
  8. 請求項7に記載の細胞培養器材を具備する、メディカルデバイス。
  9. 請求項1〜5いずれか1項に記載のビニル系ブロック共重合体、及びシリコーンゴム(ただし、前記ブロック共重合体である場合を除く)を含む、シリコーンエラストマー組成物。
  10. 請求項9に記載のシリコーンエラストマー組成物の硬化物である、シリコーンエラストマー成型物。
  11. 請求項10に記載のシリコーンエラストマー成型物からなる、医療器具用弾性部材。


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