JP2007077292A - 易洗浄性皮膜形成組成物およびブロック共重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、親水性モノマーから形成されるブロックと、疎水性モノマーから形成されるブロックからなるブロック共重合体を含有することを特徴とする易洗浄性皮膜形成組成物である。また、本発明は、親水性モノマーから形成されるブロックと、疎水性モノマーから形成されるブロックからなるブロック共重合体において、前記親水性モノマーは、側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有するモノマーを含むことを特徴とするブロック共重合体である。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、この手法では、汚れが付着する度に掃除をする必要が生じる。
特に、高齢者や体の不自由な人にとっては、このような労働は非常に苦痛なものであり、せめて掃除の頻度が少なくなって欲しいと望む人が多い。また、場合によっては、その家族や介護ヘルパー等が代わって掃除をすることも少なくない。
例えば、トイレ便器には、大便に代表される粘着性汚れ、水垢、尿石などの様々なタイプの汚れが付着する。また、浴室においては、皮脂や石鹸カス等の汚れが付きやすく、特に浴槽には、喫水面への汚れの吸着が多い。また、キッチンにおいては、シンクや排水口に、水垢や油性汚れが付着する。さらに、いずれの箇所においても、湿度が高いことから細菌、真菌に代表される微生物が付着、増殖し、最終的には悪臭を放つなどの問題がある。
したがって、特に水周りの対象面に付着した粘着性の汚れから細菌などの微小な汚れまでの幅広い汚れを、例えば通常は水で洗い流す程度の簡便な方法により、容易に除去できる洗浄性能(以下、「易洗浄性」という。)を有する洗浄剤等が望まれる。
また、洗浄成分を含有させた衛生陶器を用い、この衛生陶器内の洗浄成分を浸水時に徐放出させることにより、汚れを自動的に除去する手法等も提案されている(例えば特許文献2参照)。
あるいは、衛生器の表面の易洗浄性を高めるために、水垢などの汚れの原因となる表面水酸基を撥水剤でシールドする手法等も提案されている(例えば特許文献3参照)。
さらには、シンクや排水口等の表面に、光触媒が含有された膜を形成することにより、光照射下での汚れ分解を狙った商品も多数提案されている(例えば特許文献4参照)。
また、特許文献4に記載された提案では、光の届きにくいシンクや排水口等の場所では光触媒の除菌効果が充分に発揮されず、易洗浄性は不充分である。
すなわち、本発明の第1の態様は、親水性モノマーから形成されるブロックと、疎水性モノマーから形成されるブロックからなるブロック共重合体を含有することを特徴とする易洗浄性皮膜形成組成物である。
また、本発明の易洗浄性皮膜形成組成物において、前記ブロック共重合体は水難溶性であることが好ましい。
また、本発明の易洗浄性皮膜形成組成物において、前記親水性モノマーはエチレンオキシド繰り返し単位を有するモノマーを含むことが好ましい。さらに、前記エチレンオキシド繰り返し単位を有するモノマーは側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有することが好ましい。
また、本発明の易洗浄性皮膜形成組成物において、前記親水性モノマーはビニルピロリドンを含むことが好ましい。
また、本発明の第2の態様は、親水性モノマーから形成されるブロックと、疎水性モノマーから形成されるブロックからなるブロック共重合体において、前記親水性モノマーは、側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有するモノマーを含むことを特徴とするブロック共重合体である。
また、本発明の第3の態様は、親水性モノマーから形成されるブロックと、疎水性モノマーから形成されるブロックからなるブロック共重合体において、前記親水性モノマーはビニルピロリドンを含むことを特徴とするブロック共重合体である。
本発明の易洗浄性皮膜形成組成物は、親水性モノマーから形成されるブロックと、疎水性モノマーから形成されるブロックからなるブロック共重合体を含有する。
本発明に用いられるブロック共重合体は、親水性モノマーから形成されるブロックと、疎水性モノマーから形成されるブロックからなるものである。
ここで、本発明において「ブロック共重合体」とは、例えば、各ブロックを構成する親水性モノマー(X)と疎水性モノマー(Z)とが、
(1)XXX・・・XXZZZ・・・ZZ
(2)XXX・・・XX(ZZZ・・・ZZXXX・・・XX)m
(3)ZZZ・・・ZZ(XXX・・・XXZZZ・・・ZZ)m
(4)(XXX・・・XXZZZ・・・ZZ)m
のように配列したものをいう。なお、mは繰り返し数を表す整数である。
本発明においては、上記(1)〜(4)のいずれのタイプのブロック共重合体でもよい。
なお、XXX・・・XXは親水性モノマーから形成されるブロックを表し、該親水性モノマーから形成されるブロックからなる領域を親水性ドメインという。
一方、ZZZ・・・ZZは疎水性モノマーから形成されるブロックを表し、該疎水性モノマーから形成されるブロックからなる領域を疎水性ドメインという。
ここで「水難溶性」とは、25℃の水に、ブロック共重合体の全量が溶解したときに5質量%に相当する量のブロック共重合体を添加した場合、添加したブロック共重合体の全量に対して、水に溶解するブロック共重合体の割合が20質量%以下であることをいう。
また、主鎖あるいは側鎖に、アゾ基やペルオキシ基などの開始基、あるいは二重結合やメルカプタンなどの連鎖移動基を含む高分子化合物(高分子重合開始剤)を用いた重合法等により合成することもできる。
なお、前記重量平均分子量は、ポリスチレンを基準物質としたゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)による測定値である。
ブロック共重合体中の疎水性モノマーから形成されるブロック部分の重量平均分子量は、好ましくは1000〜500000であり、より好ましくは2000〜50000である。
該範囲であることにより、親水性モノマーから形成されるブロックと疎水性モノマーから形成されるブロックの両方の効果がバランス良く得られるようになる。
ここで「25℃で水に溶解し得るモノマー」とは、重合前のモノマーを25℃の水に溶解させたときに、5質量%以上溶解するものをいう。
また、「高分子アゾ重合開始剤」とは、高分子セグメントとアゾ基が繰り返し結合した構造を有する高分子化合物であり、ラジカル重合性ビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、塩化ビニル等)との反応に用いると、容易にこれらラジカル重合性ビニルモノマーからなるブロックに、この高分子アゾ重合開始剤のブロックが結合したブロックポリマーが得られるものである。
なお、本発明において「ビニル系モノマー」とは、ビニル基を有するモノマーの内、(メタ)アクリル系モノマーを除いたものとする。また、「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの一方あるいは両方を示す。
なお、「エチレンオキシド繰り返し単位を有する」とは、主鎖若しくは主鎖を構成する炭素に結合する側鎖中に、(CH2CH2O)で示されるエチレンオキシド繰り返し単位が2以上含まれることを示す。
具体的には、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される親水性モノマー中のエステル部、すなわち「−C(O)−O−R’」のR’に、エチレンオキシド繰り返し単位を有するモノマー等が好ましく用いられる。
さらに好適なものとしては、下記一般式(a0−1)で表される側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有するモノマーが挙げられる。
nは、エチレンオキシド繰り返し単位の繰り返し数を表す2〜100の整数であり、好ましくは4〜50であり、より好ましくは9〜30である。
前記一般式(a0−1)で表される親水性モノマーの具体例としては、M20G、M40G、M90G、M230G等である。
なお、「側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有する」とは、主鎖を構成する炭素に結合する側鎖中に、(CH2CH2O)で示されるエチレンオキシド繰り返し単位が2以上含まれることを示す。
ここで「25℃で水と分離するモノマー」とは、重合前のモノマーを25℃の水に溶解させたときに溶解するモノマー量が5質量%未満であるものをいう。
上記疎水性モノマーは、1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、易洗浄性が良好なことから、ビニルアルコール・酢酸ビニルブロック共重合体、ビニルアルコール・4−ヘキシルスチレンブロック共重合体、ビニルアルコール・4−オクチルスチレンブロック共重合体、ビニルピロリドン・酢酸ビニルブロック共重合体、ビニルピロリドン・4−ヘキシルスチレンブロック共重合体、ビニルピロリドン・4−オクチルスチレンブロック共重合体、が好ましく、ビニルアルコール・4−ヘキシルスチレンブロック共重合体、ビニルピロリドン・4−ヘキシルスチレンブロック共重合体がより好ましく、ビニルピロリドン・4−ヘキシルスチレンブロック共重合体がさらに好ましい。
M20G・メタクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M20G・メタクリル酸n−ペンチルブロック共重合体、M20G・メタクリル酸n−ヘキシルブロック共重合体、M20G・メタクリル酸n−ヘプチルブロック共重合体、M20G・メタクリル酸n−オクチルブロック共重合体、M20G・アクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M20G・PDMS1ブロック共重合体、M20G・PDMS5ブロック共重合体、M20G・Viscoat8Fブロック共重合体、M20G・Viscoat8FMブロック共重合体、M20G・Viscoat17Fブロック共重合体、M20G・Viscoat17FMブロック共重合体;M40G・メタクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M40G・メタクリル酸n−ペンチルブロック共重合体、M40G・メタクリル酸n−ヘキシルブロック共重合体、M40G・メタクリル酸n−ヘプチルブロック共重合体、M40G・メタクリル酸n−オクチルブロック共重合体、M40G・アクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M40G・PDMS1ブロック共重合体、M40G・PDMS5ブロック共重合体、M40G・Viscoat8Fブロック共重合体、M40G・Viscoat8FMブロック共重合体、M40G・Viscoat17Fブロック共重合体、M40G・Viscoat17FMブロック共重合体;M90G・メタクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M90G・メタクリル酸n−ペンチルブロック共重合体、M90G・メタクリル酸n−ヘキシルブロック共重合体、M90G・メタクリル酸n−ヘプチルブロック共重合体、M90G・メタクリル酸n−オクチルブロック共重合体、M90G・アクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M90G・PDMS1ブロック共重合体、M90G・PDMS5ブロック共重合体、M90G・Viscoat8Fブロック共重合体、M90G・Viscoat8FMブロック共重合体、M90G・Viscoat17Fブロック共重合体、M90G・Viscoat17FMブロック共重合体;M230G・メタクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M230G・メタクリル酸n−ペンチルブロック共重合体、M230G・メタクリル酸n−ヘキシルブロック共重合体、M230G・メタクリル酸n−ヘプチルブロック共重合体、M230G・メタクリル酸n−オクチルブロック共重合体、M230G・アクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M230G・PDMS1ブロック共重合体、M230G・PDMS5ブロック共重合体、M230G・Viscoat8Fブロック共重合体、M230G・Viscoat8FMブロック共重合体、M230G・Viscoat17Fブロック共重合体、M230G・Viscoat17FMブロック共重合体等が挙げられる。
VPS0501は、ポリジメチルシロキサン部分の数平均分子量(Mn)が約5000であり、VPS1001は、ポリジメチルシロキサン部分の数平均分子量(Mn)が約10000である。
ブロック共重合体の含有量は、易洗浄性皮膜形成組成物の固形分全体に対して0.5〜100質量%であることが好ましく、1〜99質量%であることがより好ましく、2〜98質量%であることがさらに好ましい。該含有量が0.5質量%以上であると易洗浄性が向上する。
特に、本発明に係る易洗浄性皮膜形成組成物は、上記ブロック共重合体を主成分とすることが好ましい。主成分とすることにより、易洗浄性が向上する。ここで「主成分」とは、易洗浄性皮膜形成組成物の固形分全体の半分以上が上記ブロック共重合体であることをいう。なお、ブロック共重合体の含有量は、易洗浄性皮膜形成組成物中、100質量%であってもよい。
本発明に係る易洗浄性皮膜形成組成物を調製する際、必要に応じて上記ブロック共重合体を溶解するために溶剤が用いられる。
溶剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール;フェノール等のフェノール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール;並びにエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドが低モル(1〜50モル)付加してなるグリコールエーテル系溶媒;リモネン、流動パラフィン等が挙げられる。中でも、低温保存時の易洗浄性皮膜形成組成物の安定性と、洗浄力と仕上がり感(皮膜の透明性や平滑性に起因する外観の良さ)の点から、エタノール、プロパノール、グリコールエーテル系溶媒が好ましく用いられる。
溶剤は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
溶剤の使用量は、易洗浄性皮膜形成組成物中、好ましくは30〜99.9質量%であり、より好ましくは50〜99質量%である。
これらの任意成分の配合量は、易洗浄性皮膜形成組成物中に、通常0.001〜30質量%程度である。
これらの界面活性剤は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができ、易洗浄性皮膜形成組成物の用途に応じて適宜選定することができる。
これらのアルカリ剤は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、アルカリ剤は、pH調整剤として配合する場合もある。
なお、有機酸は、キレート剤としての作用を有する場合もある。
なお、これらの有機溶媒は、ブロック共重合体の溶解性や流動性改良剤として作用するものである。
なお、対象面としては、該対象面に、粘着性の汚れから細菌などの微小な汚れが付着する場所であれば特に限定されるものではない。中でも、水周りの場所が好ましく、例えばトイレ便器、浴室、キッチンのシンクや排水口等が挙げられる。
本発明のブロック共重合体(以下、ブロック共重合体(A0)という。)は、親水性モノマーから形成されるブロックと、疎水性モノマーから形成されるブロックからなるブロック共重合体において、前記親水性モノマーは、側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有するモノマーを含むものである。
すなわち、該ブロック共重合体(A0)は、側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有する親水性モノマー(a0)を有する。
側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有するモノマーを含むことにより、親水性モノマーから形成されるブロックの効果が特に優れたものとなる。
エチレンオキシド繰り返し単位の繰り返し数は、好ましくは2〜100であり、より好ましくは4〜50であり、さらに好ましくは9〜30である。該範囲であることにより、親水性モノマーから形成されるブロックと疎水性モノマーから形成されるブロックの両方の効果がバランス良く得られるようになる。
さらに好適なものとしては、前記一般式(a0−1)で示される親水性モノマーが挙げられる。前記一般式(a0−1)中のRとnは、前記と同じである。
前記一般式(a0−1)で示される親水性モノマーの具体例としては、M20G、M40G、M90G、M230G等である。
前記親水性モノマー(a0)は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ブロック共重合体(A0)を構成する親水性モノマー中、前記親水性モノマー(a0)は30質量%以上含まれていることが好ましく、50質量%以上含まれていることがより好ましく、100質量%であってもよい。下限値以上であることにより、親水性モノマー(a0)から形成されるブロックの効果が向上する。
また、ブロック共重合体(A0)中の側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有する親水性モノマー(a0)から形成されるブロック部分の含有量は、ブロック共重合体(A0)中、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは20〜80質量%である。該範囲の上限値以下により、水流に対する皮膜の対象面からの剥がれにくさが向上し、一方、下限値以上により汚れの除去性が向上する。
具体的には、M20G・メタクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M20G・メタクリル酸n−ペンチルブロック共重合体、M20G・メタクリル酸n−ヘキシルブロック共重合体、M20G・メタクリル酸n−ヘプチルブロック共重合体、M20G・メタクリル酸n−オクチルブロック共重合体、M20G・アクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M20G・PDMS1ブロック共重合体、M20G・PDMS5ブロック共重合体、M20G・Viscoat8Fブロック共重合体、M20G・Viscoat8FMブロック共重合体、M20G・Viscoat17Fブロック共重合体、M20G・Viscoat17FMブロック共重合体;M40G・メタクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M40G・メタクリル酸n−ペンチルブロック共重合体、M40G・メタクリル酸n−ヘキシルブロック共重合体、M40G・メタクリル酸n−ヘプチルブロック共重合体、M40G・メタクリル酸n−オクチルブロック共重合体、M40G・アクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M40G・PDMS1ブロック共重合体、M40G・PDMS5ブロック共重合体、M40G・Viscoat8Fブロック共重合体、M40G・Viscoat8FMブロック共重合体、M40G・Viscoat17Fブロック共重合体、M40G・Viscoat17FMブロック共重合体;M90G・メタクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M90G・メタクリル酸n−ペンチルブロック共重合体、M90G・メタクリル酸n−ヘキシルブロック共重合体、M90G・メタクリル酸n−ヘプチルブロック共重合体、M90G・メタクリル酸n−オクチルブロック共重合体、M90G・アクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M90G・PDMS1ブロック共重合体、M90G・PDMS5ブロック共重合体、M90G・Viscoat8Fブロック共重合体、M90G・Viscoat8FMブロック共重合体、M90G・Viscoat17Fブロック共重合体、M90G・Viscoat17FMブロック共重合体;M230G・メタクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M230G・メタクリル酸n−ペンチルブロック共重合体、M230G・メタクリル酸n−ヘキシルブロック共重合体、M230G・メタクリル酸n−ヘプチルブロック共重合体、M230G・メタクリル酸n−オクチルブロック共重合体、M230G・アクリル酸n−ブチルブロック共重合体、M230G・PDMS1ブロック共重合体、M230G・PDMS5ブロック共重合体、M230G・Viscoat8Fブロック共重合体、M230G・Viscoat8FMブロック共重合体、M230G・Viscoat17Fブロック共重合体、M230G・Viscoat17FMブロック共重合体;M20G・VPS0501ブロック共重合体、M20G・VPS1001ブロック共重合体、M40G・VPS0501ブロック共重合体、M40G・VPS1001ブロック共重合体、M90G・VPS0501ブロック共重合体、M90G・VPS1001ブロック共重合体、M230G・VPS0501ブロック共重合体、M230G・VPS1001ブロック共重合体等である。
本発明のブロック共重合体(以下、ブロック共重合体(A1)という。)は、親水性モノマーから形成されるブロックと、疎水性モノマーから形成されるブロックからなるブロック共重合体において、前記親水性モノマーはビニルピロリドンを含むものである。
ビニルピロリドンを含むことにより、親水性モノマーから形成されるブロックの効果が特に優れたものとなる。
ブロック共重合体(A1)を構成する親水性モノマー中、ビニルピロリドンは30質量%以上含まれていることが好ましく、50質量%以上含まれていることがより好ましく、100質量%であってもよい。下限値以上であることにより、ビニルピロリドンから形成されるブロックの効果が向上する。
また、ブロック共重合体(A1)中のビニルピロリドンから形成されるブロック部分の含有量は、ブロック共重合体(A1)中、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは20〜80質量%である。該範囲の上限値以下により、水流に対する皮膜の対象面からの剥がれにくさが向上し、一方、下限値以上により汚れの除去性が向上する。
具体的には、ビニルピロリドン・酢酸ビニルブロック共重合体、ビニルピロリドン・スチレンクロライドブロック共重合体、ビニルピロリドン・4−ヘキシルスチレンブロック共重合体、ビニルピロリドン・4−オクチルスチレンブロック共重合体等である。中でも、疎水性モノマーが4−ヘキシルスチレンを含むものが好ましく、例えばビニルピロリドン・4−ヘキシルスチレンブロック共重合体が好適なものとして挙げられる。
本発明に係るブロック共重合体を含有する易洗浄性皮膜形成組成物により形成された皮膜には、親水性モノマーから形成されるブロックからなる領域(親水性ドメイン)と、疎水性モノマーから形成されるブロックからなる領域(疎水性ドメイン)とが存在する。
該皮膜は、例えば便器表面に形成された皮膜の場合、主に親水性ドメインは便器側、疎水性ドメインは便器とは反対の側(皮膜表面側)に存在していると考えられる。
そして、便器を水で洗い流す際、皮膜に水が接触すると、親水性モノマーから形成されるブロックと疎水性モノマーから形成されるブロックとが反転し、親水性ドメインが便器側から皮膜表面側に移動することによって、皮膜表面に付着していた汚れが浮き上がるために、水で洗い流すだけで汚れを容易に除去できると推測される。
また、洗い流した後は、親水性モノマーから形成されるブロックと疎水性モノマーから形成されるブロックとが反転し、親水性ドメインは皮膜表面側から便器側へと移動して元の状態に戻ることによって、皮膜は便器表面に維持され、好ましくは繰り返し使用することができると考えられる。
さらに、本発明に係るブロック共重合体は難溶性であることが好ましく、難溶性であることによって、より汚れと一緒に洗い流されにくくなり、該皮膜は便器表面に残存しやすくなると考えられる。
以上により、粘着性の汚れから細菌などの微小な汚れまでの幅広い汚れに対して高い易洗浄性が得られると推測される。
また、本発明のブロック共重合体(A0)及び(A1)は、例えば易洗浄性皮膜形成組成物に用いた場合、親水性モノマーから形成されるブロックと疎水性モノマーから形成されるブロックの両方の効果が特にバランス良く得られる構造を有していると推測される。
本発明に係るブロック共重合体のポリマー1〜4を、以下に示す製造方法により合成した。
撹拌機、環流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた100mLの4つ口セパラブルフラスコに、テトラヒドロフラン30g、n−ブチルリチウム0.044g、4−ヘキシルスチレン4.5gを入れ、−78℃で2時間撹拌した。
次いで、ビニルピロリドン5.9gを加え、さらに−78℃で10時間撹拌してビニルピロリドン・4−ヘキシルスチレンブロック共重合体(ポリマー1)を得た。
ポリマー1の重量平均分子量(Mw)は12,000であった。ポリマー1中の親水性モノマーから形成されるブロック部分の重量平均分子量は6800であり、疎水性モノマーから形成されるブロック部分の重量平均分子量は5200であった。
撹拌機、環流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70g、M90G 25g、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.05g、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート0.1gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。
次いで、70℃のオイルバスで6時間加温した。続いて、メタクリル酸n−ヘキシル35g、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.05g、エタノール70gを混合した溶液を加え、窒素を導入しながら4時間加温を続けた後、M90G・メタクリル酸n−ヘキシルブロック共重合体(ポリマー2)を得た。
ポリマー2の重量平均分子量(Mw)は20,000であった。ポリマー2中の親水性モノマーから形成されるブロック部分の重量平均分子量は8300であり、疎水性モノマーから形成されるブロック部分の重量平均分子量は12000であった。
撹拌機、環流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。
次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、メタクリル酸n−ヘキシル30gとエタノール30gとを混合したモノマー溶液と、VPE0201 30gとをエタノール40gに溶解した開始剤溶液を2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、VPE0201・メタクリル酸n−ヘキシルブロック共重合体(ポリマー3)を得た。
ポリマー3の重量平均分子量(Mw)は23,000であった。
撹拌機、環流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。
次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、M40G 35gと、エタノール30gとを混合したモノマー溶液と、VPS0501 25gとをエタノール40gに溶解した開始剤溶液を2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、M40G・VPS0501ブロック共重合体(ポリマー4)を得た。
ポリマー4の重量平均分子量(Mw)は19,000であった。
比較品1:ポリエチレングリコール20000(商品名、重量平均分子量20000、純正化学(株)製)
比較品2:エチレンオキシドプロピレンオキシド(EOPO)共重合体 ニューポールPE−71(商品名、重量平均分子量2500、三洋化成(株)製)
比較品3:ポリメタクリル酸メチル(重量平均分子量26000)
比較品4:M230G・メタクリル酸n−ヘキシルランダム共重合体(重量平均分子量87000)
上記ポリマーの水に対する溶解率(%)を以下に示す方法にて求めた。結果を表1〜2に示す。
ポリマー0.5gと水10gを混合し、ガラス容器に入れて25℃で24時間振とうさせた。その液体部分を、赤外線水分計(商品名:FD−620、(株)ケットエレクトリックラボラトリー製)に移し、温度110℃で2分間の水分変動幅が0.1質量%以下になった時を終点とするという条件で濃度[質量%]を測定した。そして、液体部分の質量と掛け合わせることによって、水に溶解しているポリマーの質量Wd[g]を求めた。
溶解率Rは、R=Wd/0.5×100 にて算出した。
なお、この測定においては、ポリマーが溶解した水の量の変化を、測定開始時を100とした時の割合で表示する。例えば、測定終了時のポリマーが溶解した水の量が前記割合で1であれば、ポリマーが溶解した水中のポリマー濃度は1質量%となる。よって、水10g中に溶解しているポリマーの質量Wd[g]は10g×1質量%=0.1gとなる。
表1〜2に示す組成にて、上記ポリマーをエタノールに溶解し、実施例1〜8及び比較例1〜8の皮膜形成組成物を調製した。
得られた皮膜形成組成物を用いて、粘着性汚垢及び菌に対する易洗浄性の評価を、以下に示す方法にて行った。評価結果を表1〜2に示す。
(人工粘着性汚垢の調製方法)
澱粉150gを水道水700gに溶かし、約65℃で30分間加熱した。この混合物を25℃に冷やした後、撹拌しながら、トマトケチャップ60g、マスタード80g、バター80g、ラード80g、小麦粉88g、卵180g、菜種油90g、生クリーム(脂肪分32質量%)180g、牛乳(脂肪分3.5質量%)170gを順次加えていった。
最後に、30分間撹拌して充分に均一化させ、人工粘着性汚垢を調製した。
タイル表面の100cm2の面積の範囲に、厚さ0.05〜0.1cmの膜厚の膜が形成される量の皮膜形成組成物を塗布し、乾燥させた。
次いで、該タイル表面の範囲に、上記調製方法にて得た人工粘着性汚垢0.1gを付着させ、幅10cmに1秒あたり60mLの水流を30秒間流す操作を繰り返したときの易洗浄性を下記評価基準に従って評価した。
評価基準
○:汚垢が繰り返し10回以上除去された。
△:汚垢が繰り返し5〜9回除去された。
×:汚垢が4回以下除去された。
タイル表面の5cm2の面積の範囲に、厚さ0.05〜0.1cmの膜厚の膜が形成される量の皮膜形成組成物を塗布し、乾燥させた。
次いで、該タイル表面の範囲を、もやしから抽出した菌溶液1gと水1gを用いて交互にすすぎ、乾燥させた。この操作を5回繰り返した後、表面に残存する菌を蛍光試薬SYBR(登録商標)GreenIIで染色し、B励起条件(450〜490nmの波長の光の照射)で、40倍の倍率で顕微鏡観察して菌数を測定し、菌に対する易洗浄性を下記評価基準に従って評価した。
評価基準
○:菌数が1cm2あたり104未満であった。
△:菌数が1cm2あたり104以上105未満であった。
×:菌数が1cm2あたり105以上であった。
Claims (7)
- 親水性モノマーから形成されるブロックと、疎水性モノマーから形成されるブロックからなるブロック共重合体を含有することを特徴とする易洗浄性皮膜形成組成物。
- 請求項1に記載の易洗浄性皮膜形成組成物において、前記ブロック共重合体は水難溶性である易洗浄性皮膜形成組成物。
- 請求項1又は2に記載の易洗浄性皮膜形成組成物において、前記親水性モノマーはエチレンオキシド繰り返し単位を有するモノマーを含む易洗浄性皮膜形成組成物。
- 請求項3に記載の易洗浄性皮膜形成組成物において、前記エチレンオキシド繰り返し単位を有するモノマーは側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有する易洗浄性皮膜形成組成物。
- 請求項1又は2に記載の易洗浄性皮膜形成組成物において、前記親水性モノマーはビニルピロリドンを含む易洗浄性皮膜形成組成物。
- 親水性モノマーから形成されるブロックと、疎水性モノマーから形成されるブロックからなるブロック共重合体において、
前記親水性モノマーは、側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有するモノマーを含むことを特徴とするブロック共重合体。 - 親水性モノマーから形成されるブロックと、疎水性モノマーから形成されるブロックからなるブロック共重合体において、
前記親水性モノマーはビニルピロリドンを含むことを特徴とするブロック共重合体。
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