JP6188556B2 - 硬質表面用処理剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、硬質表面用処理剤組成物、疎水性硬質表面の親水性を向上させる方法、及び疎水性硬質表面の処理方法に関する。
我々を取り巻く住環境設備には、プラスチック、金属等を材料とした各種硬質表面が存在し、これら硬質表面は生活場面に於いて様々な汚れが付着する環境に晒されている。特に水周り設備に於いては、浴室の皮脂・湯垢汚れ、レンジフード、ガスコンロ、シンク周りにおける油汚れなど、日常的に残留し易い汚れが発生しており、これらの汚れを洗浄除去する家事行動は生活者の大きな負担となっている。
なかでも、疎水性の汚れは除去し難く、残留し易い汚れであることが一般に知られている。疎水性汚れが付着、残留し易く、除去し難い原因のひとつとして、住環境に用いられているポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ステンレスなど硬質表面の多くが疎水性の性質を帯びていることが挙げられる。つまり、疎水性の硬質表面は、疎水性汚れとの親和性が高いために、汚れが残留、蓄積し易く、更には洗浄除去し難い性質を伴うものとなっている。
疎水性硬質表面からの疎水性汚れの除去や、疎水性硬質表面への汚れの残留ないし汚れの再付着の防止においてより高い効果を得るための方法として、改質剤を硬質表面に塗布し疎水性の硬質表面を親水性の性質を帯びるように表面改質する方法が考えられるが、その塗布する作業自体が追加の家事行動として負担となる上に、表面改質が不十分な場合には洗浄する労力を低減することが出来ない。そのため、疎水性硬質表面への親水性の付与効果が高いことが望ましい。
特許文献1には、対象面に吸着して防汚性を発現する水性防汚組成物が記載され、多種類の両性高分子電解質が例示されている。
特許文献2には、界面活性剤及び特定のポリベタインを含有する洗浄用又は、すすぎ洗い用の組成物が記載されている。特許文献2には、汚染性物質に関して、硬質表面に持続性の付着防止及び密着防止性を付与することを目的として、処理することを意図した組成物が記載されており、多種類の界面活性剤、ポリマー及びその他の任意成分の使用が例示されている。
特開2001−181601号公報 特開2010−100861号公報
しかしながら、疎水性硬質表面の防汚性効果の点からは、生活者が満足するレベルの更なる高い防汚効果が期待されていた。
本発明の課題は、疎水性硬質表面を改質して、優れた防汚性を付与できる硬質表面用処理剤組成物を提供することである。更に、本発明の課題は、疎水性硬質表面の洗浄作業において用いることにより、疎水性硬質表面から疎水性汚れを除去し、且つ疎水性硬質表面に優れた防汚性を付与する硬質表面用処理剤組成物を提供することである。
本発明は、
(a)スルホベタイン構造を有するモノマー単位(a−1)と、前記モノマー単位(a−1)以外の炭素数1以上、5以下の直鎖アルキル基、ベンジル基又はフェニル基を有するモノマー単位(a−2)とを含有し、モノマー単位(a−1)とモノマー単位(a−2)とのモル比が、(a−1)/(a−2)で、50/50以上、95/5以下である高分子化合物〔以下、(a)成分という〕を、0.01質量%以上、10質量%以下、並びに、
(b)界面活性剤〔以下、(b)成分という〕を0.5質量%以上、30質量%以下、
含有する硬質表面用処理剤組成物に関する。
また、本発明は、上記本発明の硬質表面用処理剤組成物を疎水性硬質表面に塗布して該疎水性硬質表面の親水性を向上させる方法に関する。
また、本発明は、上記本発明の硬質表面用処理剤組成物を、汚れが付着した疎水性硬質表面に適用した後、水ですすぐこと、又は水ですすぐことなしで、該疎水性硬質表面からの汚れの除去と該疎水性硬質表面への親水性の付与の両方を行う、疎水性硬質表面の処理方法に関する。
本発明によれば、浴室、台所、トイレ等の疎水性硬質表面に、優れた防汚性を付与する硬質表面用処理剤組成物が提供される。更に、本発明によれば、これら疎水性硬質表面に生じた汚れを洗浄する際に高い洗浄力を発現するとともに、優れた防汚性を付与する硬質表面用処理剤組成物が提供される。
<(a)成分>
(a)成分は、スルホベタイン構造を有するモノマー単位(a−1)と、前記モノマー単位(a−1)以外の炭素数1〜5の直鎖アルキル基、ベンジル基又はフェニル基を有するモノマー単位(a−2)とを含有し、モノマー単位(a−1)とモノマー単位(a−2)とのモル比が、(a−1)/(a−2)で、50/50以上、95/5以下である高分子化合物である。(a)成分は、疎水性硬質表面に適用された後のすすぎ後においても疎水性硬質表面に吸着層を形成することで高い防汚性を付与すると推定される。
スルホベタイン構造を有するモノマー単位(a−1)は、カチオン性基とスルホン酸アニオン基とを1つのモノマー単位中に含むものである。(a)成分を構成するモノマー単位(a−1)は、下記一般式(1)で表されるモノマーから得られるモノマー単位であることが、防汚性付与の観点から好ましい。
Figure 0006188556
〔式中、R11は、炭素数1以上、5以下のアルキレン基であり、R12、R13、R14は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上、3以下のアルキル基である。Xは、−COO−、−CONH−、及び−OCO−から選ばれる基である。R15、R16は、それぞれ独立して、炭素数1以上、3以下のアルキル基又は炭素数1以上、3以下のヒドロキシアルキル基であり、R17は、炭素数1以上、10以下のアルキレン基又は炭素数1以上、10以下のヒドロキシアルキレン基である。〕
一般式(1)において、R11は、炭素数1以上、4以下のアルキレン基が好ましく、炭素数1以上、3以下のアルキレン基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキレン基が更に好ましく、炭素数2のアルキレン基がより更に好ましい。
一般式(1)において、R12は、(a)成分の製造のし易さの観点から水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
一般式(1)において、R13、R14は、(a)成分の製造のし易さの観点から、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
一般式(1)において、R15、R16は、防汚性付与の観点から、それぞれ独立して、炭素数1以上、3以下のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基がより更に好ましい。
一般式(1)において、R17は、防汚性付与の観点から、炭素数1以上、5以下のアルキレン基又は炭素数1以上、5以下ヒドロキシアルキレン基が好ましく、炭素数2以上、4以下のアルキレン基又は炭素数2以上、4以下ヒドロキシアルキレン基がより好ましく、炭素数3のアルキレン基又は炭素数3のヒドロキシアルキレン基が更に好ましく、炭素数3のアルキレン基がより更に好ましい。
一般式(1)において、Xは、防汚性付与の観点から−COO−、又は−OCO−が好ましく、−COO−がより好ましい。
(a)成分を構成するモノマー単位(a−2)は、炭素数1以上、5以下の直鎖アルキル基、ベンジル基又はフェニル基を有する。モノマー単位(a)が有するアルキル基は、炭素数2以上の直鎖アルキル基が好ましく、炭素数3以上の直鎖アルキル基がより好ましく、そして、炭素数5以下の直鎖アルキル基が好ましく、炭素数4以下の直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数4の直鎖アルキル基が更に好ましい。
(a)成分を構成するモノマー単位(a−2)は、下記一般式(2)で表されるモノマーから得られるモノマー単位であることが、防汚性付与の観点から好ましい。
Figure 0006188556
〔式中、R21は、炭素数1以上、5以下の直鎖アルキル基、ベンジル基、フェニル基である。R22、R23、R24は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上、3以下の直鎖アルキル基である。Yは、−COO−、−CONH−、−OCO−、又は二価の芳香族炭化水素基である。〕
一般式(2)において、R21は、(a)成分の硬質表面への吸着の観点から、炭素数2以上の直鎖アルキル基が好ましく、炭素数3以上の直鎖アルキル基がより好ましく、そして、炭素数5以下の直鎖アルキル基が好ましく、炭素数4以下の直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数4の直鎖アルキル基が更に好ましい。
一般式(2)において、R22は、(a)成分の製造のし易さの観点から、水素原子又は炭素数1もしくは2の直鎖アルキル基が好ましく、炭素数1又は2の直鎖アルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
一般式(2)において、R23、R24は、(a)成分の製造のし易さの観点から、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1もしくは2の直鎖アルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子
が更に好ましい。
一般式(2)において、Yは、防汚性付与の観点から−COO−、又は−OCO−が好ましく、−COO−がより好ましい。なお、Yの二価の芳香族炭化水素基は炭素数3以上、20以下のものが好ましい。具体的には、フェニレン基が挙げられる。
(a)成分の構成モノマー単位中、各モノマー単位の存在比率は、1H−NMR、13C−NMRの測定により得られるピークから求めることができる。また、(a)成分を構成する単量体の仕込み割合、すなわちモル割合や質量割合から算出することも可能である。1H−NMR、13C−NMRの測定により得られるピークから求める方法を優先する。
(a)成分におけるモノマー単位(a−1)とモノマー単位(a−2)のモル比は、防汚性付与の観点から、(a−1)/(a−2)で、50/50以上であり、60/40以上が好ましく、そして、95/5以下であり、90/10以下が好ましく、80/20以下がより好ましく、70/30以下が更に好ましい。
(a)成分は、分子中に、モノマー単位(a−1)を全モノマー単位中50モル%以上、95モル%以下含有することが好ましい。疎水性硬質表面への防汚性付与の観点から、(a)成分は、モノマー単位(a−1)を、全モノマー単位中、好ましくは55モル%以上、より好ましくは60モル%以上含有し、そして、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは70モル%以下含有する。
(a)成分は、分子中に、モノマー単位(a−2)を全モノマー単位中5モル%以上、50モル%以下含有することが好ましい。疎水性硬質表面への防汚性付与の観点から、(a)成分は、モノマー単位(a−2)を、全モノマー単位中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは30モル%以上含有し、そして、好ましくは45モル%以下、より好ましくは40モル%以下含有する。
(a)成分の全モノマー単位中、モノマー単位(a−1)及びモノマー単位(a−2)の合計は、防汚性付与の観点から60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上が更に好ましく、90モル%以上がより更に好ましく、95モル%以上がより更に好ましく、97モル%以上がより更に好ましく、99モル%以上がより更に好ましい。また、100モル%以下であることが好ましく、100モル%であってもよい。
(a)成分は、分子中に、モノマー単位(a−1)及びモノマー単位(a−2)とは異なる1種類以上のモノマー単位(a−3)を、好ましくは0質量%以上、45モル%以下含有することが出来る。防汚性付与の観点から、(a)成分が含有するモノマー単位(a−3)は、全モノマー単位中、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましく、5モル%以下がより更に好ましく、3モル%以下がより更に好ましく、1モル%以下がより更に好ましい。モノマー単位(a−3)は、カチオン性基を有するモノマー又はアニオン性基を有するモノマーから得られるものが挙げられる。
(a)成分の重量平均分子量は1,000以上、5,000,000以下であることが好ましい。(a)成分の吸着残留性が高まることから、(a)成分の重量平均分子量は、2,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、5,000以上が更に好ましく、更に10,000以上、更に50,000以上、更に100,000以上、更に200,000以上、更に300,000以上が好ましい。また、硬質表面の親水性を高められることから、4,000,000以下が好ましく、2,000,000以下がより好ましく、1,000,000以下が更に好ましく、800,000以下がより更に好ましく、更に600,000以下、更に500,000以下、更に450,000以下が好ましい。
ここで、(a)成分の重量平均分子量は、ポリマーの種類に適合させた常法により測定することが出来、具体的には、下記の分子量測定方法で測定することが出来る。後述の実施例の高分子化合物も、この方法で重量平均分子量を測定した。
<(a)成分の分子量測定方法>
SLS(静的光散乱法)による分子量測定を行う。重量平均分子量(Mw)は光散乱光度計(DLS−7000、大塚電子(株)製)を用いて、下記の条件で静的光散乱を測定し、Zimm−plotを作製することで算出する。また、分子量の算出に必要な屈折率増分は、示差屈折率計(DRM3000、大塚電子(株)製)を用いて測定する。
波長:632.8nm(ヘリウム−ネオンレーザー)
散乱角:30°から150°まで10°おきに測定する。
平均温度:25℃
溶媒:トリフルオロエタノール
後述の比較例で用いた高分子化合物のうち、比較高分子化合物3は、上記と同様に、ただし溶媒をエタノールにして重量平均分子量を測定した。
また、後述の比較例で用いた高分子化合物のうち、比較高分子化合物2は、下記条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)により測定した。
<比較高分子化合物2の分子量測定方法>
カラム:東ソー株式会社製 G4000PWXL+G2500PWXL
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/アセトニトリル(9/1)
流速:1.0mL/min
検出器:RI
サンプル濃度:5mg/mL
標準物質;ポリエチレングリコール
(a)成分は、ブロック型高分子化合物、ランダム型高分子化合物のいずれでもよいが、ランダム型高分子化合物であることが好ましい。すなわち、モノマー単位(a−1)、モノマー単位(a−2)などの構成モノマー単位がランダム型に結合した構造を有する高分子化合物が好ましい。
(a)成分は、モノマー単位(a−1)となるスルホベタイン構造を有するモノマー、好ましくは一般式(1)で表されるモノマー〔以下、ベタインモノマー(a1)という〕と、モノマー単位(a−2)となるモノマー、好ましくは一般式(2)で表されるモノマー〔以下、モノマー(a2)という〕とを重合させる共重合体の製造方法であって、水及び有機溶媒の混合溶媒中で所定の質量比で重合させ、前記所定の質量比が、ベタインモノマー(a1)とモノマー(a2)の総質量に対するモノマー(a2)の質量比であって、0.02以上、0.40以下であり、
下記測定方法(1)で得られる混合溶媒中の水の含有量をS質量%とした時に、混合溶媒中の水の含有量がS質量%以上、(S+10)質量%以下であり、
前記有機溶媒の20℃における水100gに対する溶解量が20g以上である、
共重合体の製造方法により製造された高分子化合物であることが好ましい。
測定方法(1)
ベタインモノマー(a1)とモノマー(a2)からなる前記所定の質量比の単量体混合物15質量部を水及び前記有機溶媒からなる混合溶媒84.15質量部及び非イオン性界面活性剤0.85質量部と混合し、透過率を測定する。混合溶媒中の水の含有量を97.5質量%から2.5質量%ずつ減らして透過率を測定し、透過率が初めて90%以上となる水の含有量をS質量%とする。
前記製造方法によれば、ベタインモノマー(a1)とモノマー(a2)とは、水及び有機溶媒の混合溶媒中で、所定の質量比で重合される。ここで所定の質量比とは、ベタインモノマー(a1)とモノマー(a2)の総質量に対するモノマー(a2)の質量比であって、0.02以上、0.40以下の値を有する。
硬質表面用処理剤組成物の親水化性能を高める観点から、上記所定の質量比は0.02以上であり、好ましくは0.10以上であり、より好ましくは0.15以上であり、より更に好ましくは0.20以上であり、そして、同様の観点から0.40以下であり、好ましくは0.35以下、より好ましくは0.30以下、更に好ましくは0.28以下である。
重合に用いる有機溶媒は、硬質表面用処理剤組成物の親水化性能を高める観点から、20℃における水100gに対する溶解量が20g以上である。有機溶媒の20℃における水100gに対する溶解量は、好ましくは50g以上、より好ましくは100g以上、さらに好ましくは300g以上、より更に好ましくはあらゆる比率で溶解することである。
具体的には、炭素数2以上4以下のエーテル、炭素数3以上4以下のケトン、炭素数1以上4以下のアルコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、アセトニトリルからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。エーテル系有機溶媒としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられ、ケトン系有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられ、アルコール系有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。重合性及び親水化性能向上の観点から、5℃から重合時の温度の範囲内において、あらゆる混合比で水と混和する有機溶媒であることが好ましい。硬質表面用処理剤組成物の親水化性能を高める観点から、炭素数1以上4以下のアルコール又は炭素数3以上4以下のケトンが好ましく、エタノール又はアセトンがより好ましい。
本発明によれば、水及び上記有機溶媒の混合溶媒中の水の含有量は、下記測定方法(1)で得られる混合溶媒中の水の含有量をS質量%とした時に、混合溶媒中のS質量%以上、(S+10)質量%以下である。
測定方法(1)
ベタインモノマー(a1)とモノマー(a2)からなる上記所定の質量比の単量体混合物15質量部を水及び上記有機溶媒からなる混合溶媒84.15質量部及び非イオン性界面活性剤0.85質量部と混合し、透過率を測定する。混合溶媒中の水の含有量を97.5質量%から2.5質量%ずつ減らして透過率を測定し、透過率が初めて90%以上となる水の含有量をS質量%とする。
ここで非イオン性界面活性剤は、アルキル基の炭素数が12であり、オキシエチレン基の平均付加モル数が9モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
上記混合溶媒中の水の含有量は、硬質表面用処理剤組成物の親水化性能を高める観点から、S+6.0質量%以上が好ましく、S+6.5質量%以上がより好ましく、またS+9.0質量%以下が好ましく、S+8.5質量%以下がより好ましい。同様の観点から、S+6.0質量%〜S+10.0質量%が好ましく、S+6.5質量%〜S+10.0質量%がより好ましく、S+6.5質量%〜S+9.0質量%がさらに好ましく、S+6.5質量%〜S+8.5質量%がよりさらに好ましい。
上記混合溶媒中の水の含有量は、固体表面を均一に処理する観点から、S+1.0質量%以上が好ましく、またS+7.0質量%以下が好ましく、S+6.5質量%以下がより好ましく、S+6.0質量%以下がさらに好ましい。同様の観点から、S質量%〜S+7.0質量%が好ましく、S質量%〜S+6.5質量%がより好ましく、S質量%〜S+6.0質量%がさらに好ましく、S+1.0質量%〜S+6.0質量%がよりさらに好ましい。
重合開始剤は特に限定されるものではなく、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’―アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩等のアゾ系開始剤、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシネオデカノエート等の過酸化物系開始剤、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤等が挙げられる。しかしながら共重合体の水への溶解性の観点からは水溶性の重合開始剤が好ましく、2,2’―アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩又は過硫酸塩がより好ましく、過硫酸塩がさらに好ましく、過硫酸アンモニウムがよりさらに好ましい。また必要に応じて、連鎖移動剤等を用いることもできる。連鎖移動剤としては、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等のメルカプタン類が挙げられる。
重合反応の温度は、用いる重合開始剤、混合溶媒に用いる有機溶媒の種類等により適宜選択できるが、生産性の観点から50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。同様の観点から110℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましく、85℃以下がさらに好ましい。
<(b)成分>
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、(b)成分として、界面活性剤を含有する。本発明の防汚性発現には(a)成分の溶存状態が影響していると推定されるが、本発明において発現される高い防汚性能は、(a)成分に、(b)成分を併用することにより、より向上すると考えられる。また、(b)成分を用いることで、疎水性硬質表面の洗浄の際、高い洗浄効果を示すことができる。
(b)成分としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
防汚性付与及び洗浄力向上の点から好ましいアニオン界面活性剤としては、下記(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
(b1)成分;炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基と、カルボン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤、
(b2)成分;炭素数7以上、18以下の鎖式炭化水素基と、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、及びそれらの塩から選択される1種以上を有するアニオン界面活性剤
(b1)成分は、炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基と、カルボン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤である。防汚性付与の観点から鎖式炭化水素基の炭素数は9以上が好ましく、10以上がより好ましく、そして、15以下が好ましく、13以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩が好適である。(b1)成分は、炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。また、(b1)成分は、カルボン酸基又はその塩を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。更に、カルボン酸基の塩を有するものが好ましい。鎖式炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
好ましい(b1)成分は、炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基を有する高級脂肪酸塩、アルキル基の炭素数が8以上、18以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキル基の炭素数が8以上、18以下であるポリオキシエチレンアミドアルキルエーテルカルボン酸塩である。より好ましい(b1)成分は、炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基を有する高級脂肪酸塩、すなわち総炭素数9以上、19以下の高級脂肪酸塩であり、更に好ましくは総炭素数9以上、19以下の直鎖高級脂肪酸塩である。更に好ましい化合物としては、デカン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウムが挙げられる。
(b2)成分は、炭素数7以上、18以下の鎖式炭化水素基と、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、及びそれらの塩から選択される1種以上を有するアニオン界面活性剤である。(b2)成分の鎖式炭化水素基の炭素数は7以上、18以下であり、8以上が好ましく、10以上がより好ましく、12以上が更に好ましく、そして、16以下が好ましく、15以下がより好ましく、14以下が更に好ましい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩が好適である。(b2)成分は、炭素数7以上、18以下の鎖式炭化水素基を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。また、(b2)成分は、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、及びそれらの塩から選択される基又は基の塩を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。より更に、スルホン酸基の塩、硫酸基の塩、及びリン酸基の塩から選択される基の塩を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。
防汚性付与、更に洗浄力向上の点で好ましい(b2)成分の例としては、鎖式炭化水素基の炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸塩、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル塩、炭素数7以上、18以下のα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数7以上、18以下のα−スルホ脂肪酸の炭素数1又は2のアルキル基を有する低級アルキルエステル塩、炭素数7以上、18以下の一級アルカンスルホン酸塩、炭素数7以上、18以下の二級アルカンスルホン酸塩、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルリン酸エステル塩等が挙げられる。中でも、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸塩、及びアルキル基の炭素数が7以上、18以下でありエチレンオキサイド平均付加モル数が1〜6であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩から選ばれるアニオン界面活性剤が好ましい。これらのアニオン界面活性剤の塩もまた、アルカリ金属塩、エタノールアミン塩、あるいはアンモニウム塩が好ましい。
(b)成分として(b1)成分及び(b2)成分を併用すると、洗浄時に良好な泡立ちが得られ、一方、すすぎ性は良好となる。そのため、本発明では、(b)成分として、(b1)成分及び(b2)成分を含有することが好ましい。この場合、(b1)成分/(b2)成分の質量比は、0.05以上が好ましく、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、そして、1以下が好ましく、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましい。
防汚性付与及び洗浄力向上の点から好ましいノニオン界面活性剤としては、炭素数10以上、18以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、炭素数10以上、18以下のアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、炭素数10以上、18以下の脂肪酸基を有するポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、炭素数8以上、18以下のアルキル基を有するアルキルポリグリコシド、炭素数8以上、18以下の脂肪酸基を有するショ糖脂肪酸エステル、炭素数8以上、18以下のアルキル基を有するアルキルポリグリセリルエーテル等が挙げられる。中でも油性汚れに対する洗浄性の観点から、炭素数10以上、14以下のアルキル基を有しエチレンオキサイド平均付加モル数が5以上、20以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、また、使用時の泡立ちの観点から炭素数8以上、18以下のアルキル基を有し糖縮合度が1以上、3以下であるアルキルポリグリコシドが好ましい。
除菌性能及び防汚性付与の点から好ましいカチオン界面活性剤としては、アルキル基の炭素数が10以上、20以下であるアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が6以上、14以下であるジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が6以上、18以下であるアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ベンゼトニウム塩等が挙げられる。
泡コントロール及び防汚性付与の点から好ましい両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキサイド、脂肪酸アミドプロピルアミンオキサイド、アルキル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、アルキル−N,N−ジメチルエタンスルホベタイン、脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシプロピルスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等のベタイン等が挙げられる。
中でもアルキル基の炭素数が10〜16のアルキルジメチルアミンオキシド、炭素数12〜14の脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタインが好ましい。
(b)成分としては、防汚性付与の効果を妨げにくい点から、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤を含有することが好ましい。中でもアニオン界面活性剤を含有することが好ましい。また、(b)成分として、(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤を含有することが好ましく、(b1)成分及び(b2)成分の両方を含有することがより好ましい。
<硬質表面用処理剤組成物の組成等>
本発明の硬質表面用処理剤組成物における(a)成分の含有量は、0.01質量%以上、10質量%以下である。防汚性付与効果の観点で、(a)成分の含有量は組成物中0.01質量%以上であり、0.02質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましい。硬質表面の親水性が高められる観点で、10質量%以下であり、5質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
本発明の硬質表面用処理剤組成物における(b)成分の含有量は、0.5質量%以上、30質量%以下である。(b)成分の含有量は、防汚性付与及び洗浄力向上の点から、組成物中、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、7質量%以上がより更に好ましく、そして、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、12質量%以下がより更に好ましく、10質量%以下がより更に好ましく、9質量%以下がより更に好ましい。なお、(b)成分のアニオン界面活性剤については、ナトリウム塩としての質量を組成物中の(b)成分の質量とする。
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、防汚性付与の観点から、(a)成分と(b)成分の質量比が、(b)/(a)で、5以上、500以下であることが好ましい。防汚性付与の観点から、(b)/(a)の質量比は、7以上が好ましく、10以上がより好ましく、15以上が更に好ましく、30以上がより更に好ましく、50以上がより更に好ましく、そして、400以下が好ましく、300以下がより好ましく、200以下が更に好ましく、100以下がより更に好ましい。
本発明では、(a)成分として、特定のモノマー単位(a−1)と特定のモノマー単位(a−2)とを特定のモル比で含む高分子化合物を用いることにより、高い防汚効果を発現している。これは、(a)成分中の親水化性能を発現しているモノマー単位(a−1)と疎水性硬質表面に吸着するモノマー単位(a−2)とが効率よく機能しているためであると推定される。通常、疎水性硬質表面に吸着し易い高分子化合物は親水化性能が低く、親水化性能が高い高分子化合物は疎水性硬質表面に吸着し難い性状を有することが一般的であるが、本発明の(a)成分は、モノマー単位の構造とモル比とを特定することで、このような相反する機能を両立させることが可能となっていると考えられる。
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、(a)成分及び(b)成分以外に下記の成分を含有することができる。
<(c)成分>
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、(c)成分として、有機溶剤を含有することが好ましい。
(c)成分は、有機概念図における無機性/有機性の比率が、0.6以上、2.2以下である有機溶剤が好ましい。
有機溶剤は、通常、液状組成物の液性を均一とし、長期保存後も液性を保持させる目的及び洗浄性を向上させる目的で配合されることが多い成分であるが、本発明では、特定の有機溶剤である(c)成分を選定し、(a)成分と共に特定量含有させることで疎水性硬質表面により高い防汚性を付与する組成物を得ることが出来る。
本発明において有機溶剤を特定するために用いた「有機概念図」とは、有機化合物の性状の概要を把握するための方法であり、主として炭素数に基づく有機性(共有結合性)と、置換基の性質、傾向に基づく無機性(イオン結合性)に分け、有機化合物を有機軸と無機軸と名づけた直交座標上の1点ずつに位置させて、その性質の概要を理解させるものである。有機概念図における有機溶剤の無機性/有機性の値は、「新版 有機概念図 基礎と応用」(甲田善生・佐藤四郎・本間善夫、三共出版、2008年、15頁、表1.1)に記載されたものから算出することが出来る。
防汚性付与の観点から、(c)成分の有機概念図における無機性/有機性の比率は、0.7以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.2以上が更に好ましく、1.4以上がより更に好ましく、1.5以上がより更に好ましく、そして、2.0以下が好ましく、1.9以下がより好ましく、1.8以下が更に好ましく、1.7以下がより更に好ましい。
(c)成分として用いられる有機溶剤は、種々のモノ−、ジ−又はトリ−アルキレングリコールエーテル、及びモノ−、ジ−又はトリ−アルキレングリコールジエーテルが挙げられる。具体的には、モノ−、ジ−又はトリ−エチレングリコールモノエーテル、及びモノ−、ジ−又はトリ−エチレングリコールジエーテル、並びにモノ−、ジ−又はトリ−プロピレングリコールモノエーテル、及びモノ−、ジ−又はトリ−プロピレングリコールジエーテルが適している。このようなグリコールモノエーテル及びグリコールジエーテルはアルキル基を有するものが好ましく、アルキル基は、種々の炭素数のアルキル基から選択できる。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルなどである。これらグリコールエーテル及びグリコールジエーテルは、化合物全体の炭素数が4以上、更に6以上、より更に8以上、そして、14以下、更に12以下、より更に10以下であることが好ましい。
(c)成分としては、防汚性付与の観点から、エチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.5)、ジエチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.6)、エチレングリコールモノ−イソブチルエーテル(1.6)、ジエチレングリコールモノ−イソブチルエーテル(1.7)、エチレングリコールモノ−ヘキシルエーテル(1.1)、ジエチレングリコールモノ−ヘキシルエーテル(1.2)、プロピレングリコールモノ−ブチルエーテル(0.9)、ジプロピレングリコールモノ−ブチルエーテル(0.7)、ジプロピレングリコールモノ−メチルエーテル(1.0)、トリプロピレングリコールモノ−メチルエーテル(0.8)、エチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル(2.0)、2−プロパノール(2.0)、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(0.8)、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル(1.0)及びジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル(0.8)から選ばれる1種以上の有機溶剤が挙げられる。なかでも、防汚性付与の観点から、エチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.5)、ジエチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.6)から選ばれる1種以上の有機溶剤が好ましく、ジエチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.6)がより好ましい。ここで、( )内の数字は、無機性/有機性の値である。
本発明の硬質表面用処理剤組成物における(c)成分の含有量は、1質量%以上が好ましい。防汚性付与の観点から、(c)成分の含有量は組成物中1質量%以上であり、1.5質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましく、5質量%以上がより更に好ましく、6質量%以上がより更に好ましく、7質量%以上がより更に好ましく、7.5質量%以上がより更に好ましい。また、(c)成分の含有量は、組成物中、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、9質量%以下がより更に好ましい。
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、(a)成分及び(b)成分と、(c)成分とを、好ましくは所定条件で組み合わせて用いることで、(a)成分が疎水性硬質表面に吸着するため、より高い防汚性を付与するものと推定される。
本発明の硬質表面用処理剤組成物が(c)成分を含有する場合、防汚性付与の観点から、(b)成分と(c)成分の質量比が、(b)/(c)で、0.1以上、10以下であることが好ましい。防汚性付与の観点から、(b)/(c)の質量比は、0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.8以上が更に好ましく、そして、8以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、2以下がより更に好ましく、1.5以下がより更に好ましい。
<(d)成分>
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、(d)成分としてキレート剤を含有することが出来る。好ましいキレート剤としては、(d1)トリポリリン酸、ピロリン酸、オルソリン酸、ヘキサメタリン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、(d2)エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、(d3)アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、(d4)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマーの単一重合体又は共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリα−ヒドロキシアクリル酸、並びにこれらのアルカリ金属塩、(d5)クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸から選ばれる多価カルボン酸及びこれらのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上、(d6)アルキルグリシン−N,N−二酢酸、アスパラギン酸−N,N−二酢酸、セリン−N,N−二酢酸、グルタミン酸二酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、及びこれらの塩等が挙げられる。これらの中でも、(d2)、(d3)、及び(d5)から選ばれる1種以上のキレート剤が好ましく、更に、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、クエン酸、コハク酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上のキレート剤が好ましい。より更に、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上のキレート剤が好ましい。
本発明の硬質表面用処理剤組成物における(d)成分の含有量は、洗浄力がより向上する観点で、組成物中、0.01質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、そして、低温での貯蔵安定性に優れる観点で、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。なお、(d)成分のキレート剤については、ナトリウム塩としての質量を組成物中の(d)成分の質量とする。
<(e)成分>
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、(e)成分として、水を含有することが好ましい。水を含有する液体組成物であることがより好ましい。長期保存後に液の均一性を確保するために(e)成分の含有量は、組成物中、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上がより更に好ましい。そして、(e)成分の含有量は、組成物中、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。
更に、本発明の硬質表面用処理剤組成物には、防汚性付与効果及び洗浄性能を阻害しない範囲において、防腐剤、ハイドロトロープ剤、染料、粘度調整剤、酸化防止剤、香料などを配合することが出来る。
また、本発明の硬質表面用処理剤組成物は、洗浄力が高まる観点で、20℃におけるpHが3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、6以上であることが更に好ましく、7以上であることがより更に好ましい。そして、保存安定性に優れる観点で、20℃におけるpHが11以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、9以下であることが更に好ましく、8以下であることがより更に好ましい。pH調整剤としては、酸剤として、塩酸や硫酸などの無機酸や、(b)成分及び(d)成分以外の有機酸を用いることが出来る。また、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを用いることが出来る。
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、硬質表面、好ましくは疎水性硬質表面を対象とするものであり、疎水性表面を親水性表面に改質することで防汚性付与効果が発現していると推定している。
本発明の硬質表面用処理剤組成物の対象となる疎水性硬質表面は、イオン交換水に対する25℃における静止接触角が50°以上であるものが好ましく、60°以上であるものがより好ましく、70°以上であるものが更に好ましく、80°以上であるものがより更に好ましい。本発明では、この接触角を満たす硬質表面を疎水性硬質表面とすることができる。
疎水性硬質表面を与える材質としては、ステンレス鋼等の疎水性金属、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、6−ナイロン等の疎水性プラスチックが挙げられ、繊維強化プラスチック(FRP)のような複合素材であってもよい。
台所、浴室及びトイレには、前記した疎水性硬質表面を与える材質が多用されており、且つ食品や人体由来の疎水性汚れが付着しやすい環境にあることから、疎水性汚れに対する防汚性付与の意義が大きい。本発明の硬質表面用処理剤組成物は、台所、浴室及びトイレの疎水性硬質表面に対して優れた防汚性を付与できる。よって、本発明の硬質表面用処理剤組成物は、台所用、浴室用、又はトイレ用として用いられることが好ましい。具体的には、本発明の組成物は、台所まわりの疎水性硬質表面(壁、床、シンクなど)や台所で用いられる製品(コンロ、電子レンジ、オーブン、冷蔵庫など)の疎水性硬質表面に対して適用できる。また、本発明の組成物は、浴室まわりの疎水性硬質表面(壁、床、浴槽など)や浴室で用いられる製品(浴室用イス、洗面器など)の疎水性硬質表面に対して適用できる。また、本発明の組成物は、トイレの疎水性硬質表面(壁、床、便器など)やトイレで用いられる製品(収納棚、ごみ箱など)の疎水性硬質表面に対して適用できる。中でも浴室用の硬質表面用洗浄剤組成物としてより好ましく用いられる。
また、本発明の硬質表面用処理剤組成物は、スプレー式容器に充填してなるスプレー式硬質表面用処理剤物品として使用することが好ましい。かかる物品は、スプレー式硬質表面用洗浄剤物品やスプレー式硬質表面用改質剤物品として用いることもできる。スプレー式容器としては、トリガー式スプレーヤーが装着されたスプレー容器(トリガー式スプレー容器という)が挙げられる。トリガー式スプレー容器としては、液体処理剤組成物を収容する容器本体と、容器本体の口部に装着されたトリガー式液体噴出器とを具備するものが挙げられ、更には、容器本体の口部に液体処理剤組成物を噴出するトリガー式スプレーヤーが装着され、該トリガー式スプレーヤーの内部に垂直管路及び水平管路が形成され、該垂直管路内に該垂直管路と上記水平管路との連通を遮断するバルブが配設されたスプレー容器(スプレー容器(I)という)が挙げられる。スプレー容器(I)は、水平管路の下方位置にシリンダーを備え、また、水平管路の先端部にスピンエレメントが装着され、更に、このスピンエレメントの先端部にノズル孔を有するノズル部が嵌着固定されている。スプレー容器(I)は、トリガーを引いて、シリンダー内の空気を外に排出し、トリガーを戻した際に容器本体の液体処理剤組成物に浸した垂直管路を通じて液体処理剤組成物を吸い上げ、上記シリンダー内に液体を満たし、再びトリガーを引くことにより、該シリンダー内の液体を押し出して垂直管路に導き、更に水平管路、スピンエレメントを通じて液体の流れにスピンを与え、最後にノズルから噴出するタイプのものである。疎水性硬質表面への本発明の処理剤組成物の適用方法は、疎水性硬質表面の広さ(面積)等に応じて選択できる。例えば本発明の組成物の原液をそのまま0.05〜5mL程度スプレーして行うことができる。
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、疎水性の硬質表面に対して良好な親水性を付与することが出来、しかもその持続効果に優れる。更に、疎水性硬質表面に付着した油汚れ、タンパク質汚れ、皮脂汚れ等に対する洗浄効果を有する。硬質表面の親水性は、該表面上での水の接触角を測定することにより評価できるが、本発明の硬質表面用処理剤組成物で硬質表面を処理することにより、接触角が著しく低減することを確認出来ており、この親水化により高い防汚性付与効果を発現していることが示唆される。
また、本発明の硬質表面用処理剤組成物は、実施例記載の方法で測定される処理後のPVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製)のイオン交換水に対する静止接触角が70°以下となることが、防汚性付与の観点から好ましく、60°以下となることがより好ましく、40°以下となることが更に好ましく、30°以下となることがより更に好ましい。更に、処理前のPVC板のイオン交換水に対する静止接触角と処理後のPVC板のイオン交換水に対する静止接触角との差が、10°以上であることが防汚性付与の点から好ましく、30°以上がより好ましく、40°以上であることが更に好ましく、50°以上であることがより更に好ましい。
本発明の硬質表面用処理剤組成物では、疎水性硬質表面に適用後、(a)成分を含有する被覆膜が形成されて該硬質表面を被覆することにより、PVC板のイオン交換水に対する静止接触角を60°以下とすることができると推定している。
また、本発明は、本発明の硬質表面用処理剤組成物からなる硬質表面用改質剤組成物を包含する。すなわち、本発明は、(a)成分を0.01質量%以上、10質量%以下、(b)成分を0.5質量%以上、30質量%以下含有する硬質表面用改質剤組成物に関する。本発明の硬質表面用改質剤組成物の好ましい態様は、本発明の硬質表面用処理剤組成物で述べたものから選定できる。
<使用方法>
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、当該組成物を疎水性硬質表面に塗布する工程と、該疎水性硬質表面の組成物が塗布された面を水、好ましくは、塗布質量の5倍以上の質量の水によりすすぐ工程とを有する硬質表面の処理方法に使用することが好ましい。また、本発明の硬質表面用処理剤組成物を疎水性硬質表面に塗布する工程の後に、スポンジ等を用いて薄く塗りのばす工程を行い、その後、水によりすすぐ工程を有する硬質表面の処理方法として使用することが更に好ましい。
これらの工程は公知の方法に準じて行うことができるが、疎水性硬質表面への塗布には、前述のような、本発明の硬質表面用処理剤組成物をスプレー式容器に充填してなるスプレー式硬質表面用処理剤物品を用いることが好ましい。また、洗浄後にすすぐ際に使用する水の温度は、(a)成分からなる親水化改質成分を疎水性硬質表面に残留させるために、5℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、そして、50℃以下が好ましく、35℃以下がより好ましい。
<実施例及び比較例>
表1に記載の硬質表面用処理剤組成物を調製した。各組成物のpH(20℃)は水酸化ナトリウム及び塩酸により8に調整した。これら組成物について、下記項目について評価した。詳細を以下に示す。表中、一部の例では、(a’)成分を(a)成分として(b)/(a)質量比を示した。
<接触角>
PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は25mm×75mm×1mm)に、硬質表面用処理剤組成物を1mL塗布して5分間静置した後、25℃の水道水(流速50mL/秒)で20秒間すすいだ。25℃40%RHに調温調湿された測定室にて、上記処理を行ったPVC板のイオン交換水に対する静止接触角を測定した。測定には協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DM−500を使用し、20μlのイオン交換水の水滴を処理表面に着滴させ、着滴3秒後から1秒間隔で10回接触角を測定し、その平均値をデータとして記載した。なお、処理前のPVC板の静止接触角は、85°であった。
<防汚性>
40℃の湯10Lに12gのモデル皮脂溶液(モデル皮脂/クロロホルム=1、質量比)を添加し分散させ、各組成物で処理したPVC板を12時間浸漬させた。浸漬後のPVC板を、25℃の水道水(50mL/秒)で、表裏各10秒間すすぎ、乾燥後に質量を測定して残留皮脂量(x)を測定した。各組成物の組成において(a)成分を配合していない組成物〔(a)成分の分をイオン交換水に置き換える〕で処理したPVC板表面に残留した皮脂量(y)を同様に測定した。残留皮脂量xとyとから、次式により防汚性を算出した。
防汚性(%)=〔1−(x/y)〕×100
※各組成物で処理したPVC板
PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は80mm×250mm×1mm)の両面に、硬質表面用処理剤組成物をそれぞれ1mL塗布してスポンジで塗りのばして5分間静置した後、25℃の水道水(50mL/秒)で20秒間すすいだもの。
表1中の成分は以下のものである。
・高分子化合物1:下記合成例1で得られた、モノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=80/20(モル比)、重量平均分子量150,000の高分子化合物
・高分子化合物2:下記合成例2で得られた、モノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=70/30(モル比)、重量平均分子量250,000の高分子化合物
・高分子化合物3:下記合成例3で得られた、モノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=60/40(モル比)、重量平均分子量130,000の高分子化合物
・高分子化合物4:下記合成例4で得られた、モノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=50/50(モル比)、重量平均分子量120,000の高分子化合物
・比較高分子化合物1:下記比較合成例1で得られた重量平均分子量160,000の高分子化合物
・比較高分子化合物2:下記比較合成例2で得られた重量平均分子量130,000の高分子化合物
・比較高分子化合物3:下記比較合成例3で得られた重量平均分子量55,000の高分子化合物
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム:アルキル基の炭素数12〜16、エチレンオキサイド平均付加モル数4.0
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル:アルキル基の炭素数12〜16、エチレンオキサイド平均付加モル数10
・アルキルポリグリコシド:アルキル(炭素数12〜16)ポリグルコース(平均糖縮合度1〜2)
・アルキルアミドプロピルベタイン:脂肪酸(炭素数12)アミドプロピル−N,N−ジメチル−酢酸ベタイン
・アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド:アルキル基の炭素数12〜16
<合成例1>
撹拌機(テフロン(登録商標)製60mm三日月翼使用)、窒素導入管、温度計を備えた300mL4つ口セパラブルフラスコに、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウム(シグマアルドリッチ製)26.6g、メタクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)3.39g、エタノール48g、イオン交換水68gを入れ、200rpmで撹拌しながら、窒素ガスを100mL/分で30分間吹き込み、窒素置換を行った。次に、80℃まで昇温し、イオン交換水5.0g、過硫酸アンモニウム(APS、シグマアルドリッチ製)0.544gを加え、重合を開始した。4時間後冷却し、80℃で17時間減圧乾燥することで高分子化合物1の白色固体を得た。
高分子化合物1は、モノマー単位が、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムから得られるモノマー単位(a−1)とメタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比がモノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=80/20であった。また、高分子化合物1は、重量平均分子量が150,000であった。
<合成例2>
撹拌機(テフロン(登録商標)製60mm三日月翼使用)、窒素導入管、温度計を備えた300mL4つ口セパラブルフラスコに、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウム(シグマアルドリッチ製)24.6g、メタクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)5.37g、エタノール48g、イオン交換水70gを入れ、200rpmで撹拌しながら、窒素ガスを100mL/分で30分間吹き込み、窒素置換を行った。次に、80℃まで昇温し、イオン交換水2.0g、過硫酸アンモニウム(APS、シグマアルドリッチ製)0.144gを加え、重合を開始した。4時間後冷却し、80℃で17時間減圧乾燥することで高分子化合物2の白色固体を得た。
高分子化合物2は、モノマー単位が、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムから得られるモノマー単位(a−1)とメタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比がモノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=70/30であった。また、高分子化合物2は、重量平均分子量が250,000であった。
<合成例3>
撹拌機(テフロン(登録商標)製60mm三日月翼使用)、窒素導入管、温度計を備えた300mL4つ口セパラブルフラスコに、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウム(シグマアルドリッチ製)22.4g、メタクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)7.60g、エタノール48g、イオン交換水67gを入れ、200rpmで撹拌しながら、窒素ガスを100mL/分で30分間吹き込み、窒素置換を行った。次に、80℃まで昇温し、イオン交換水5.0g、過硫酸アンモニウム(APS,シグマアルドリッチ製)0.610gを加え、重合を開始した。4時間後冷却し、80℃で17時間減圧乾燥することで高分子化合物3の白色固体を得た。
高分子化合物3は、モノマー単位が、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムから得られるモノマー単位(a−1)とメタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比がモノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=60/40であった。また、高分子化合物3は、重量平均分子量が130,000であった。
<合成例4>
撹拌機(テフロン(登録商標)製60mm三日月翼使用)、窒素導入管、温度計を備えた300mL4つ口セパラブルフラスコに、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウム(シグマアルドリッチ製)19.9g、メタクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)10.1g、エタノール54g、イオン交換水61gを入れ、200rpmで撹拌しながら、窒素ガスを100mL/分で30分間吹き込み、窒素置換を行った。次に、80℃まで昇温し、イオン交換水5.0g、過硫酸アンモニウム(APS、シグマアルドリッチ製)0.650gを加え、重合を開始した。4時間後冷却し、80℃で17時間減圧乾燥することで高分子化合物4の白色固体を得た。
高分子化合物4は、モノマー単位が、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムから得られるモノマー単位(a−1)とメタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比がモノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=50/50であった。また、高分子化合物4は、重量平均分子量が120,000であった。
<比較合成例1>
内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウム(シグマアルドリッチ製)20.0g、トリフルオロエタノール(シグマアルドリッチ製)170gを入れ、均一に混合し窒素雰囲気下で30分間攪拌した。この溶液を約70℃まで昇温した後、重合開始剤(V−65、和光純薬工業(株)製)0.18g、トリフルオロエタノール10.0gを加え、6時間保持して重合を行った。次いで、メタノール4Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により比較高分子化合物1の固体を得た。
比較高分子化合物1は、モノマー単位が、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムから得られるモノマー単位(a−1)のホモポリマーであった。また、比較高分子化合物1は、重量平均分子量が160,000であった。
<比較合成例2>
内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(シグマアルドリッチ製)17.1g、メタクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)2.93g、メタノール38.5g、イオン交換水23.4gを入れ、均一に混合し窒素雰囲気下で30分間攪拌した。その後、この溶液を約70℃まで昇温した後、重合開始剤(V−65、和光純薬工業(株)製)0.13g、メタノール5.0gを加え、6時間保持して重合を行った。その後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH7に中和した。次いで、2−プロパノール4Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により比較高分子化合物2の固体を得た。
比較高分子化合物2は、モノマー単位が2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から得られるモノマー単位とメタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から得られるモノマー単位/モノマー単位(a−2)=80/20であった。また、比較高分子化合物2は、重量平均分子量が130,000であった。
<比較合成例3>
内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(QDM、MRCユニテック(株)製)44.4g、スチレン(和光純薬工業(株)製)4.46g、重合開始剤(パーロイルL、日油(株)製)8.53g、イオン交換水2.52g、及びエタノール103gを入れ、均一に混合し窒素雰囲気下で30分間攪拌した。この溶液を約90℃まで昇温した後、6時間保持して重合を行った。次いで、アセトン4Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により比較高分子化合物3の固体を得た。
比較高分子化合物3は、モノマー単位がメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドから得られるモノマー単位とスチレンから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比が、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドから得られるモノマー単位/モノマー単位(a−2)=80/20であった。また、比較高分子化合物3は、重量平均分子量が55,000であった。
Figure 0006188556

Claims (9)

  1. (a)スルホベタイン構造を有するモノマー単位(a−1)と、前記モノマー単位(a−1)以外の炭素数1以上、5以下の直鎖アルキル基、ベンジル基又はフェニル基を有するモノマー単位(a−2)とを含有し、モノマー単位(a−1)とモノマー単位(a−2)とのモル比が、(a−1)/(a−2)で、50/50以上、95/5以下である高分子化合物〔以下、(a)成分という〕を、0.01質量%以上、10質量%以下、並びに、
    (b)界面活性剤〔以下、(b)成分という〕を0.5質量%以上、30質量%以下、
    含有する硬質表面用処理剤組成物。
  2. (a)成分におけるモノマー単位(a−1)とモノマー単位(a−2)とのモル比が、(a−1)/(a−2)で、60/40以上、70/30以下である請求項1記載の硬質表面用処理剤組成物。
  3. (a)成分におけるモノマー単位(a−1)が、下記一般式(1)で表されるモノマーから得られるモノマー単位である、請求項1又は2記載の硬質表面用処理剤組成物。
    Figure 0006188556
    〔式中、R11は、炭素数1以上、5以下のアルキレン基であり、R12、R13、R14は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上、3以下のアルキル基である。Xは、−COO−、−CONH−、及び−OCO−から選ばれる基である。R15、R16は、それぞれ独立して、炭素数1以上、3以下のアルキル基又は炭素数1以上、3以下のヒドロキシアルキル基であり、R17は、炭素数1以上、10以下のアルキレン基又は炭素数1以上、10以下のヒドロキシアルキレン基である。〕
  4. (a)成分におけるモノマー単位(a−2)が、下記一般式(2)で表されるモノマーから得られるモノマー単位である、請求項1〜3の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物。
    Figure 0006188556
    〔式中、R21は、炭素数1以上、5以下の直鎖アルキル基、ベンジル基、フェニル基である。R22、R23、R24は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上、3以下の直鎖アルキル基である。Yは、−COO−、−CONH−、−OCO−、又は二価の芳香族炭化水素基である。〕
  5. (a)成分の全モノマー単位中、モノマー単位(a−1)及びモノマー単位(a−2)の合計が60モル%以上、100モル%以下である、請求項1〜4の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物。
  6. (a)成分と(b)成分の質量比が、(b)/(a)で、5以上、500以下である、請求項1〜5の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物。
  7. 浴室用、台所用又はトイレ用である請求項1〜6の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物を疎水性硬質表面に塗布して該疎水性硬質表面の親水性を向上させる方法。
  9. 請求項1〜7の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物を、汚れが付着した疎水性硬質表面に適用した後、水ですすぐことで、該疎水性硬質表面からの汚れの除去と該疎水性硬質表面への親水性の付与の両方を行う、疎水性硬質表面の処理方法。
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