JP6525559B2 - 硬質表面用処理剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、硬質表面用処理剤組成物、疎水性硬質表面の親水性を向上させる方法、及び疎水性硬質表面の処理方法に関する。
我々を取り巻く住環境設備には、プラスチック、金属等を材料とした各種硬質表面が存在し、これら硬質表面は生活場面に於いて様々な汚れが付着する環境に晒されている。特に水周り設備に於いては、浴室の皮脂・湯垢汚れ、レンジフード、ガスコンロ、シンク周りにおける油汚れなど、日常的に残留し易い汚れが発生しており、これらの汚れを洗浄除去する家事行動は生活者の大きな負担となっている。
なかでも、疎水性の汚れは除去し難く、残留し易い汚れであることが一般に知られている。疎水性汚れが付着、残留し易く、除去し難い原因のひとつとして、住環境に用いられているポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ステンレスなど硬質表面の多くが疎水性の性質を帯びていることが挙げられる。つまり、疎水性の硬質表面は、疎水性汚れとの親和性が高いために、汚れが残留、蓄積し易く、更には洗浄除去し難い性質を伴うものとなっている。
疎水性硬質表面からの疎水性汚れの除去や、疎水性硬質表面への汚れの残留ないし汚れの再付着の防止においてより高い効果を得るための方法として、改質剤を硬質表面に塗布し疎水性の硬質表面を親水性の性質を帯びるように表面改質する方法が考えられるが、その塗布する作業自体が追加の家事行動として負担となる上に、表面改質が恒久的なものでない限りは改質処理を繰り返し行う必要が生じてしまう。そのため、疎水性硬質表面への親水性の付与効果が高いことが望ましい。
また、親水性の付与効果が高い処理剤であることが望まれているが、その処理剤により硬質表面が滑り易くならないように留意することが付加的な効果として望まれる。特に、水周り設備である浴室の床面などに用いる際には、処理剤により床面が滑り易くならないことが安全性の面から望ましい。
特許文献1には、対象面に吸着して防汚性を発現する水性防汚組成物が記載され、多種類の両性高分子電解質が例示されている。
特許文献2には、界面活性剤及び特定のポリベタインを含有する洗浄用又は、すすぎ洗い用の組成物が記載されている。特許文献2には、汚染性物質に関して、硬質表面に持続性の付着防止及び密着防止性を付与することを目的として、処理することを意図した組成物が記載されており、多種類の界面活性剤、ポリマー及びその他の任意成分の使用が例示されている。
特開2001−181601号公報 特開2010−100861号公報
しかしながら、硬質表面、なかでも疎水性硬質表面の防汚性効果の点からは、生活者が満足するレベルの更なる高い防汚効果が期待されていた。
本発明の課題は、硬質表面を改質して、優れた防汚性を付与できる硬質表面用処理剤組成物を提供することである。更に、本発明の課題は、硬質表面の洗浄作業において用いることにより、硬質表面から疎水性汚れを除去し、且つ硬質表面に優れた防汚性を付与する硬質表面用処理剤組成物を提供することである。
本発明は、
(a)スルホベタイン構造を有するモノマー単位(a−1)を全モノマー単位中50モル%以上、95モル%以下、及び、前記モノマー単位(a−1)以外の炭素数1以上、18以下のアルキル基を有するモノマー単位(a−2)を全モノマー単位中5モル%以上、50モル%以下含有する高分子化合物〔以下、(a)成分という〕を0.01質量%以上、10質量%以下、
(b)有機概念図における無機性/有機性の比率が、0.6以上、2.2以下である有機溶剤〔以下、(b)成分という〕を1質量%以上、並びに、
(c)界面活性剤〔以下、(c)成分という〕を0.5質量%以上、30質量%以下、含有する硬質表面用処理剤組成物に関する。
また、本発明は、上記本発明の硬質表面用処理剤組成物を疎水性硬質表面に塗布して該疎水性硬質表面の親水性を向上させる方法に関する。
また、本発明は、上記本発明の硬質表面用処理剤組成物を、汚れが付着した疎水性硬質表面に適用した後、水ですすぐことで、該疎水性硬質表面からの汚れの除去と該疎水性硬質表面への親水性の付与の両方を行う、疎水性硬質表面の処理方法に関する。
本発明によれば、浴室、台所、トイレ等の硬質表面、なかでも疎水性硬質表面に、優れた防汚性を付与する硬質表面用処理剤組成物が提供される。更に、本発明によれば、これら疎水性硬質表面に生じた汚れを洗浄する際に高い洗浄力を発現するとともに、優れた防汚性を付与する硬質表面用処理剤組成物が提供される。更に、本発明によれば、処理後の硬質表面の滑りを抑制できる硬質表面用処理剤組成物が提供される。
<(a)成分>
(a)成分は、スルホベタイン構造を有するモノマー単位(a−1)を全モノマー単位中50モル%以上、95モル%以下、及び、前記モノマー単位(a−1)以外の炭素数1以上、18以下のアルキル基を有するモノマー単位(a−2)を全モノマー単位中5モル%以上、50モル%以下含有する高分子化合物である。(a)成分は、疎水性硬質表面に適用された後のすすぎ後においても疎水性硬質表面に吸着層を形成することで高い防汚性を付与すると推定される。
スルホベタイン構造を有するモノマー単位(a−1)は、カチオン性基とスルホン酸アニオン基とを1つのモノマー単位中に含むものである。(a)成分を構成するモノマー単位(a−1)は、下記一般式(1)で表されるモノマーから得られるモノマー単位であることが、防汚性付与の観点から好ましい。
Figure 0006525559
〔式中、R11は、炭素数1以上、5以下のアルキレン基であり、R12、R13、R14は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上、3以下のアルキル基である。Xは、−COO−、−CONH−、及びOCO−から選ばれる基である。R15、R16は、それぞれ独立して、炭素数1以上、3以下のアルキル基又は炭素数1以上、3以下のヒドロキシアルキル基であり、R17は、炭素数1以上、10以下のアルキレン基又は炭素数1以上、10以下のヒドロキシアルキレン基である。〕
一般式(1)において、R11は、炭素数1以上、4以下のアルキレン基が好ましく、炭素数1以上、3以下のアルキレン基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキレン基が更に好ましく、炭素数2のアルキレン基がより更に好ましい。
一般式(1)において、R12は、(a)成分の製造のし易さの観点から水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
一般式(1)において、R13、R14は、(a)成分の製造のし易さの観点から、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
一般式(1)において、R15、R16は、防汚性付与の観点から、それぞれ独立して、炭素数1以上、3以下のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基がより更に好ましい。
一般式(1)において、R17は、防汚性付与の観点から、炭素数1以上、5以下のアルキレン基又は炭素数1以上、5以下のヒドロキシアルキレン基が好ましく、炭素数2以上、4以下のアルキレン基又は炭素数2以上、4以下ヒドロキシアルキレン基がより好ましく、炭素数3のアルキレン基又は炭素数3のヒドロキシアルキレン基が更に好ましく、炭素数3のアルキレン基がより更に好ましい。
また、一般式(1)において、R17は、炭素数1以上、10以下のアルキレン基又は炭素数1以上、10以下のヒドロキシアルキレン基であるが、処理後の硬質表面の滑り抑制の観点から、一般式(1)のモノマーは、R17が炭素数1以上、10以下のヒドロキシアルキレン基であるモノマーを含むことが好ましい。本発明では、R17が炭素数1以上、10以下のヒドロキシアルキレン基であるモノマーの割合が、一般式(1)で表されるモノマー中、10モル%以上であることが好ましく、30モル%以上がより好ましく、50モル%以上が更に好ましく、80モル%以上が更に好ましく、90モル%以上が更に好ましく、95モル%以上が更に好ましく、100モル%がより更に好ましい。
また、一般式(1)において、R17は、処理後の硬質表面の滑り抑制の観点から、炭素数1以上、10以下のヒドロキシアルキレン基が好ましく、炭素数1以上、5以下のヒドロキシアルキレン基がより好ましく、炭素数2以上、4以下ヒドロキシアルキレン基が更に好ましく、炭素数3のヒドロキシアルキレン基がより更に好ましい。
また、処理後の硬質表面の滑り抑制の観点から、一般式(1)において、R17の炭素数が3以上のヒドロキシアルキレン基の場合、R17におけるヒドロキシ基の位置は、N原子に結合する炭素原子を1位とした時、1位から3位の範囲にあることが好ましく、2位にあることがより好ましい。また、一般式(1)において、R17におけるヒドロキシ基の数は、硬質表面の滑り抑制の観点から、1個以上、3個以下が好ましく、1個又は2個がより好ましく、1個が更に好ましい。
処理後の硬質表面の滑り抑制の観点から、一般式(1)中のR17は、ヒドロキシアルキレン基、更に2−ヒドロキシプロピレン基(2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジイル基)が好ましい。
一般式(1)において、Xは、防汚性付与の観点から−COO−、又は−OCO−が好ましく、−COO−がより好ましい。
(a)成分を構成するモノマー単位(a−2)が有するアルキル基は、炭素数2以上のアルキル基が好ましく、炭素数3以上のアルキル基がより好ましく、そして、炭素数5以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以下のアルキル基がより好ましく、炭素数4のアルキル基が更に好ましい。
(a)成分を構成するモノマー単位(a−2)は、下記一般式(2)で表されるモノマーから得られるモノマー単位であることが、防汚性付与の観点から好ましい。
Figure 0006525559
〔式中、R21は、水素原子、炭素数1以上、8以下のアルキル基、又は−(C24O)n−Hである。nは1以上、30以下の数である。R22、R23、R24は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上、3以下のアルキル基である。Yは、−COO−、−CONH−、−OCO−、又は二価の芳香族炭化水素基である。ただし、R21が水素原子又は−(C24O)n−Hである場合は、R22、R23、R24の少なくとも1つは炭素数1以上、
3以下のアルキル基である。〕
一般式(2)において、R21は、(a)成分の硬質表面への吸着の観点から、炭素数2以上のアルキル基が好ましく、炭素数3以上のアルキル基がより好ましく、そして、炭素数5以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以下のアルキル基がより好ましく、炭素数4のアルキル基が更に好ましい。
一般式(2)において、R22は、(a)成分の製造のし易さの観点から、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
一般式(2)において、R23、R24は、(a)成分の製造のし易さの観点から、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
一般式(2)において、Yは、防汚性付与の観点から−COO−、又は−OCO−が好ましく、−COO−がより好ましい。なお、Yの二価の芳香族炭化水素基は炭素数3以上、20以下のものが好ましい。具体的には、フェニレン基が挙げられる。
(a)成分の構成モノマー単位中、各モノマー単位の存在比率は、1H−NMR、13
−NMRの測定により得られるピークから求めることができる。また、(a)成分を構成する単量体の仕込み割合、すなわちモル割合や質量割合から算出することも可能である。1H−NMR、13C−NMRの測定により得られるピークから求める方法を優先する。
(a)成分は、分子中に、モノマー単位(a−1)を全モノマー単位中50モル%以上、95モル%以下含有する。疎水性硬質表面への防汚性付与の観点から、(a)成分は、モノマー単位(a−1)を、全モノマー単位中、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、より更に好ましくは85モル%以上含有し、そして、好ましくは94モル%以下、より好ましくは92モル%以下、更に好ましくは90モル%以下含有する。
(a)成分は、分子中に、モノマー単位(a−2)を全モノマー単位中5モル%以上、50モル%以下含有する。疎水性硬質表面への(a)成分の硬質表面への吸着の観点から、(a)成分は、モノマー単位(a−2)を、全モノマー単位中、好ましくは6モル%以上、より好ましくは8モル%以上、更に好ましくは10モル%以上含有し、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、より更に好ましくは15モル%以下含有する。
(a)成分の全モノマー単位中、モノマー単位(a−1)及びモノマー単位(a−2)の合計は、防汚性付与の観点から60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上が更に好ましく、90モル%以上がより更に好ましく、95モル%以上がより更に好ましく、97モル%以上がより更に好ましく、99モル%以上がより更に好ましい。また、100モル%以下であることが好ましく、100モル%であってもよい。
(a)成分は、分子中に、モノマー単位(a−1)及びモノマー単位(a−2)とは異なる1種類以上のモノマー単位(a−3)を0質量%以上、45モル%以下含有することが出来る。防汚性付与の観点から、(a)成分が含有するモノマー単位(a−3)は、全モノマー単位中、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましく、5モル%以下がより更に好ましく、3モル%以下がより更に好ましく、1モル%以下がより更に好ましい。モノマー単位(a−3)は、カチオン性基を有するモノマー又はアニオン性基を有するモノマーから得られるものが挙げられる。
(a)成分におけるモノマー単位(a−1)とモノマー単位(a−2)のモル比は、防汚性付与と(a)成分の硬質表面への吸着の観点から、(a−1)/(a−2)で、50/50以上が好ましく、60/40以上がより好ましく、70/30以上が更に好ましく、80/20以上がより更に好ましく、85/15以上がより更に好ましく、そして、95/5以下が好ましく、93/7以下がより好ましく、90/10以下が更に好ましい。
(a)成分の重量平均分子量は1,000以上、5,000,000以下であることが好ましい。(a)成分の吸着残留性が高まることから、(a)成分の重量平均分子量は、2,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、5,000以上が更に好ましく、更に10,000以上、更に50,000以上、更に100,000以上が好ましい。また、硬質表面の親水性を高められることから、3,000,000以下が好ましく、1,500,000以下がより好ましく、1,000,000以下が更に好ましく、500,000以下がより更に好ましく、更に400,000以下、更に300,000以下、更に200,000以下、更に150,000以下が好ましい。
ここで、(a)成分の重量平均分子量は、ポリマーの種類に適合させた常法により測定することが出来、具体的には、下記の分子量測定方法で測定することが出来る。後述の実施例の高分子化合物も、この方法で重量平均分子量を測定した。
<(a)成分の分子量測定方法>
SLS(静的光散乱法)による分子量測定を行う。重量平均分子量(Mw)は光散乱光度計(DLS−7000、大塚電子(株)製)を用いて、下記の条件で静的光散乱を測定し、Zimm−plotを作製することで算出する。また、分子量の算出に必要な屈折率増分は、示差屈折率計(DRM3000、大塚電子(株)製)を用いて測定する。
波長:632.8nm(ヘリウム−ネオンレーザー)
散乱角:30°から150°まで10°おきに測定する。
平均温度:25℃
溶媒:トリフルオロエタノール
後述の比較例で用いた高分子化合物のうち、比較高分子化合物3は、上記と同様に、ただし溶媒をエタノールにして重量平均分子量を測定した。
また、後述の比較例で用いた高分子化合物のうち、比較高分子化合物2は、下記条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)により測定した。
<比較高分子化合物6の分子量測定方法>
カラム:東ソー株式会社製 G4000PWXL+G2500PWXL
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/アセトニトリル(9/1)
流速:1.0mL/min
検出器:RI
サンプル濃度:5mg/mL
標準物質;ポリエチレングリコール
(a)成分は、ブロック型高分子化合物、ランダム型高分子化合物のいずれでもよいが、ブロック型高分子化合物であることが好ましい。すなわち、モノマー単位(a−1)、モノマー単位(a−2)などの構成モノマー単位がブロック型に結合した構造を有する高分子化合物が好ましい。
ブロック型高分子化合物は、例えば、各ブロックを構成するモノマー単位がモノマー単位(a−1)とモノマー単位(a−2)である場合、モノマー単位(a−1)をXで表し、モノマー単位(a−2)をYで表すと、XとYとが、下記(1)〜(5)のように配列したものが挙げられる。下記(1)〜(2)において、p、p’、q、q’、rは、それぞれ、2以上の整数であり、「/」は(X)pと(Y)qの結合順序を問わないことを意味する記号である。
(1) −(X)p−(Y)q
(2) −(Y)q−(X)p
(3) −(X)p−(Y)q−(X)p'
(4) −(Y)q−(X)p−(Y)q'
(5) −[(X)p−/−(Y)qr
なお、(a)成分のブロック型高分子化合物がモノマー単位(a−3)を有する場合、モノマー単位(a−3)をZで表すと、Zは、例えば上記(1)〜(5)のいずれの位置に結合していてもよい。
(a)成分がブロック共重合体である場合、上記(1)〜(5)のいずれのタイプのブロック共重合体でもよい。
<(b)成分>
(b)成分は、有機概念図における無機性/有機性の比率が、0.6以上、2.2以下である有機溶剤である。
有機溶剤は、通常、液状組成物の液性を均一とし、長期保存後も液性を保持させる目的及び洗浄性を向上させる目的で配合されることが多い成分であるが、本発明では、特定の有機溶剤である(b)成分を選定し、(a)成分と共に特定量含有させることで疎水性硬質表面に高い防汚性を付与する組成物を得ることが出来る。
本発明において有機溶剤を特定するために用いた「有機概念図」とは、有機化合物の性状の概要を把握するための方法であり、主として炭素数に基づく有機性(共有結合性)と、置換基の性質、傾向に基づく無機性(イオン結合性)に分け、有機化合物を有機軸と無機軸と名づけた直交座標上の1点ずつに位置させて、その性質の概要を理解させるものである。有機概念図における有機溶剤の無機性/有機性の値は、「新版 有機概念図 基礎と応用」(甲田善生・佐藤四郎・本間善夫、三共出版、2008年、15頁、表1.1)に記載されたものから算出することが出来る。
防汚性付与の観点から、(b)成分の有機概念図における無機性/有機性の比率は、0.7以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.2以上が更に好ましく、1.4以上がより更に好ましく、1.5以上がより更に好ましく、そして、2.0以下が好ましく、1.9以下がより好ましく、1.8以下が更に好ましく、1.7以下がより更に好ましい。
(b)成分として用いられる有機溶剤は、種々のモノ−、ジ−又はトリ−アルキレングリコールモノエーテル、及びモノ−、ジ−又はトリ−アルキレングリコールジエーテルが挙げられる。具体的には、モノ−、ジ−又はトリ−エチレングリコールモノエーテル、及びモノ−、ジ−又はトリ−エチレングリコールジエーテル、並びにモノ−、ジ−又はトリ−プロピレングリコールモノエーテル、及びモノ−、ジ−又はトリ−プロピレングリコールジエーテルが適している。このようなグリコールモノエーテル及びグリコールジエーテルはアルキル基を有するものが好ましく、アルキル基は、種々の炭素数のアルキル基から選択できる。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルなどである。これらグリコールエーテル及びグリコールジエーテルは、化合物全体の炭素数が4以上、更に6以上、より更に8以上、そして、14以下、更に12以下、より更に10以下であることが好ましい。
(b)成分としては、防汚性付与の観点から、エチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.5)、ジエチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.6)、エチレングリコールモノ−イソブチルエーテル(1.6)、ジエチレングリコールモノ−イソブチルエーテル(1.7)、エチレングリコールモノ−ヘキシルエーテル(1.1)、ジエチレングリコールモノ−ヘキシルエーテル(1.2)、プロピレングリコールモノ−ブチルエーテル(0.9)、ジプロピレングリコールモノ−ブチルエーテル(0.7)、ジプロピレングリコールモノ−メチルエーテル(1.0)、トリプロピレングリコールモノ−メチルエーテル(0.8)、エチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル(2.0)、2−プロパノール(2.0)、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(0.8)、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル(1.0)及びジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル(0.8)から選ばれる1種以上の有機溶剤が挙げられる。なかでも、エチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.5)、ジエチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.6)から選ばれる1種以上の有機溶剤が好ましく、ジエチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.6)がより好ましい。ここで、( )内の数字は、無機性/有機性の値である。
<(c)成分>
(c)成分は、界面活性剤である。防汚性発現に(a)成分の溶存状態が影響している為であると推定しているが、本発明において発現される高い防汚性能は、(a)成分に、(b)成分及び(c)成分を併用することにより実現する。また、(c)成分を用いることで、疎水性硬質表面の洗浄の際、高い洗浄効果を示すことができる。
(c)成分としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
防汚性付与及び洗浄力向上の点から好ましいアニオン界面活性剤としては、下記(c1)成分及び(c2)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
(c1)成分;炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基と、カルボン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤、
(c2)成分;炭素数7以上、18以下の鎖式炭化水素基と、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、及びそれらの塩から選択される1種以上を有するアニオン界面活性剤
(c1)成分は、炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基と、カルボン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤である。洗浄力の観点から鎖式炭化水素基の炭素数は9以上が好ましく、10以上がより好ましく、そして、15以下が好ましく、13以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩が好適である。(c1)成分は、炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。また、(c1)成分は、カルボン酸基又はその塩を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。更に、カルボン酸基の塩を有するものが好ましい。鎖式炭化水素基としては、直鎖炭化水素基及び分岐鎖炭化水素基から選ばれる炭化水素基が挙げられる。更に、鎖式炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
好ましい(c1)成分は、炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基を有する高級脂肪酸塩、アルキル基の炭素数が8以上、18以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキル基の炭素数が8以上、18以下であるポリオキシエチレンアミドアルキルエーテルカルボン酸塩である。より好ましい(c1)成分は、炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基を有する高級脂肪酸塩、すなわち総炭素数9以上、19以下の高級脂肪酸塩であり、更に好ましくは総炭素数9以上、19以下の直鎖高級脂肪酸塩である。更に好ましい化合物としては、デカン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウムが挙げられる。
(c2)成分は、炭素数7以上、18以下の鎖式炭化水素基と、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、及びそれらの塩から選択される1種以上を有するアニオン界面活性剤である。(c2)成分の鎖式炭化水素基の炭素数は7以上、18以下であり、洗浄力の観点から、8以上が好ましく、10以上がより好ましく、12以上が更に好ましく、そして、16以下が好ましく、15以下がより好ましく、14以下が更に好ましい。鎖式炭化水素基としては、直鎖炭化水素基及び分岐鎖炭化水素基から選ばれる炭化水素基が挙げられる。更に、鎖式炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩が好適である。(c2)成分は、炭素数7以上、18以下の鎖式炭化水素基を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。また、(c2)成分は、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、及びそれらの塩から選択される基又は基の塩を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。より更に、スルホン酸基の塩、硫酸基の塩、及びリン酸基の塩から選択される基の塩を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。
更に洗浄力向上の点で好ましい(c2)成分の例としては、鎖式炭化水素基の炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸塩、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル塩、炭素数7以上、18以下のα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数7以上、18以下のα−スルホ脂肪酸の炭素数1又は2のアルキル基を有する低級アルキルエステル塩、炭素数7以上、18以下の一級アルカンスルホン酸塩、炭素数7以上、18以下の二級アルカンスルホン酸塩、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルリン酸エステル塩等が挙げられる。中でも、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸塩、及びアルキル基の炭素数が7以上、18以下でありエチレンオキサイド平均付加モル数が1〜6であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩から選ばれるアニオン界面活性剤が好ましい。これらのアニオン界面活性剤の塩もまた、アルカリ金属塩、エタノールアミン塩、あるいはアンモニウム塩が好ましい。
(c)成分として(c1)成分及び(c2)成分を併用すると、洗浄時に良好な泡立ちが得られ、一方、すすぎ性は良好となる。そのため、本発明では、(c)成分として、(c1)成分及び(c2)成分を含有することが好ましい。この場合、(c1)成分/(c2)成分の質量比は、0.05以上が好ましく、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、そして、1以下が好ましく、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましい。
洗浄力向上の点から好ましいノニオン界面活性剤としては、炭素数10以上、18以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、炭素数10以上、18以下のアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、炭素数10以上、18以下の脂肪酸基を有するポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、炭素数8以上、18以下のアルキル基を有するアルキルポリグリコシド、炭素数8以上、18以下の脂肪酸基を有するショ糖脂肪酸エステル、炭素数8以上、18以下のアルキル基を有するアルキルポリグリセリルエーテル等が挙げられる。中でも油性汚れに対する洗浄性の観点から、炭素数10以上、14以下のアルキル基を有しエチレンオキサイド平均付加モル数が5以上、20以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、また、使用時の泡立ちの観点から炭素数8以上、18以下のアルキル基を有し糖縮合度が1以上、3以下であるアルキルポリグリコシドが好ましい。
除菌性能及び洗浄力向上の点から好ましいカチオン界面活性剤としては、アルキル基の炭素数が10以上、20以下であるアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が6以上、14以下であるジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が6以上、18以下であるアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ベンゼトニウム塩等が挙げられる。
泡コントロール及び洗浄力向上の点から好ましい両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキサイド、脂肪酸アミドプロピルアミンオキサイド、アルキル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、アルキル−N,N−ジメチルエタンスルホベタイン、脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシプロピルスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等のベタイン等が挙げられる。
中でも洗浄時の泡立ちや石鹸カス等のスカム汚れに対する洗浄性の観点から、アルキル基の炭素数が10〜16のアルキルジメチルアミンオキシド、炭素数12〜14の脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタインが好ましい。
(c)成分としては、防汚性付与の効果を妨げにくい点から、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤を含有することが好ましい。(c)成分として、アニオン界面活性剤を含有することがより好ましい。また、(c)成分として、(c1)成分及び(c2)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤を含有することが好ましく、(c1)成分及び(c2)成分の両方を含有することがより好ましい。
<硬質表面用処理剤組成物の組成等>
本発明の硬質表面用処理剤組成物における(a)成分の含有量は、0.01質量%以上、10質量%以下である。防汚性付与効果の観点で、(a)成分の含有量は組成物中0.01質量%以上であり、0.02質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましい。硬質表面の親水性が高められる観点で、10質量%以下であり、5質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
本発明の硬質表面用処理剤組成物における(b)成分の含有量は、1質量%以上である。防汚性付与の観点から、(b)成分の含有量は組成物中1質量%以上であり、1.5質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましく、5質量%以上がより更に好ましく、6質量%以上がより更に好ましく、7質量%以上がより更に好ましく、7.5質量%以上がより更に好ましい。また、(b)成分の含有量は、組成物中、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、9質量%以下がより更に好ましい。
本発明の硬質表面用処理剤組成物における(c)成分の含有量は、0.5質量%以上、30質量%以下である。(c)成分の含有量は、洗浄力向上の点から、組成物中、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、7質量%以上がより更に好ましく、そして、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、12質量%以下がより更に好ましく、10質量%以下がより更に好ましく、9質量%以下がより更に好ましい。なお、(c)成分のアニオン界面活性剤については、ナトリウム塩としての質量を組成物中の(c)成分の質量とする。
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、(a)成分と、(b)成分及び(c)成分とを所定条件で組み合わせて用いることで、(a)成分が疎水性硬質表面に吸着するため高い防汚性を付与するものと推定される。
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、防汚性付与と洗浄性の両立の観点から、(a)成分と(c)成分の質量比が、(c)/(a)で、5以上、500以下であることが好ましい。(c)/(a)の質量比は、7以上が好ましく、10以上がより好ましく、15以上が更に好ましく、30以上がより更に好ましく、50以上がより更に好ましく、そして、400以下が好ましく、300以下がより好ましく、200以下が更に好ましく、100以下がより更に好ましい。
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、防汚性付与と洗浄力の観点から、(b)成分と(c)成分の質量比が、(c)/(b)で、0.1以上、10以下であることが好ましい。(c)/(b)の質量比は、0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.8以上が更に好ましく、そして、8以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、2以下がより更に好ましく、1.5以下がより更に好ましい。
本発明によれば、有機概念図における無機性/有機性の比率が特定範囲内にある(b)成分の有機溶剤を選択し、特定濃度以上含有することによって、疎水性硬質表面を親水化し、高い防汚性を付与出来る組成物が提供される。この機能の発現原理は必ずしも明らかではないが、バルクでの溶存状態を制御することによって、(a)成分の高分子化合物の吸着状態が制御されているためであると推定している。
本発明で用いられる(a)成分の高分子化合物は、疎水性相互作用によって硬質表面に吸着していると推定しているが、その吸着能は(c)成分の界面活性剤の存在により著しく阻害される。しかしながら、(b)成分は(c)成分のと優先的に相互作用をし、(c)成分による(a)成分の吸着阻害を緩和していると考えられる。従って、(b)成分の特定の溶剤を含有させることにより、洗浄効果を発現する成分である(c)成分の界面活性剤を、(a)成分の高分子化合物の吸着を阻害することなく、バルク中に溶存させることが可能となる。これにより、(c)成分により汚れを除去する機能と、洗浄後に(a)成分を吸着残留させるという機能を両立させることが可能となったと推定している。
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分以外に下記の成分を含有することができる。
<(d)成分>
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、液状組成物の液性を均一とし、長期保存後も液性を保持させる目的で、(d)成分として、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれる無機塩を含有することが好ましい。(d)成分としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びヨウ化カリウムからなる群から選択される1以上の化合物が好ましい。(d)成分は、アルカリ金属の塩化物がより好ましく、塩化ナトリウムが更に好ましい。
本発明の硬質表面用処理剤組成物における(d)成分の含有量は、液状組成物の液性を均一とし、長期保存後も液性を保持させる観点から、組成物中、1質量%以上が好ましく、1.2質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましく、2質量%以上がより更に好ましく、そして、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2.5質量%以下が更に好ましい。
<(e)成分>
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、(e)成分としてキレート剤を含有することが出来る。好ましいキレート剤としては、(e1)トリポリリン酸、ピロリン酸、オルソリン酸、ヘキサメタリン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、(e2)エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、(e3)アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、(e4)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマーの単一重合体又は共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリα−ヒドロキシアクリル酸、並びにこれらのアルカリ金属塩、(e5)クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸から選ばれる多価カルボン酸及びこれらのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上、(e6)アルキルグリシン−N,N−二酢酸、アスパラギン酸−N,N−二酢酸、セリン−N,N−二酢酸、グルタミン酸二酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、及びこれらの塩等が挙げられる。これらの中でも、(e2)、(e3)、及び(e5)から選ばれる1種以上のキレート剤が好ましく、更に、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、クエン酸、コハク酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上のキレート剤が好ましい。より更に、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上のキレート剤が好ましい。
本発明の硬質表面用処理剤組成物における(e)成分の含有量は、洗浄力がより向上する観点で、組成物中、0.01質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、そして、低温での貯蔵安定性に優れる観点で、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。なお、(e)成分のキレート剤については、ナトリウム塩としての質量を組成物中の(e)成分の質量とする。
<(f)成分>
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、(f)成分として、水を含有することが好ましい。水を含有する液体組成物であることがより好ましい。長期保存後に液の均一性を確保するために(f)成分の含有量は、組成物中、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上がより更に好ましい。そして、(f)成分の含有量は、組成物中、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。
更に、本発明の硬質表面用処理剤組成物には、防汚性付与効果及び洗浄性能を阻害しない範囲において、防腐剤、ハイドロトロープ剤、染料、粘度調整剤、酸化防止剤、香料などを配合することが出来る。
また、本発明の硬質表面用処理剤組成物は、洗浄力が高まる観点で、20℃におけるpHが3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、6以上であることが更に好ましく、7以上であることがより更に好ましい。そして、保存安定性に優れる観点で、20℃におけるpHが11以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、9以下であることが更に好ましく、8以下であることがより更に好ましい。pH調整剤としては、酸剤として、塩酸や硫酸などの無機酸や、(c)成分及び(e)成分以外の有機酸を用いることが出来る。また、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを用いることが出来る。
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、硬質表面、好ましくは疎水性硬質表面を対象とするものであり、疎水性表面を親水性表面に改質することで防汚性付与効果が発現していると推定している。
本発明の硬質表面用処理剤組成物の対象となる疎水性硬質表面は、イオン交換水に対する25℃における静止接触角が50°以上であるものが好ましく、60°以上であるものがより好ましく、70°以上であるものが更に好ましく、80°以上であるものがより更に好ましい。本発明では、この接触角を満たす硬質表面を疎水性硬質表面とすることができる。
疎水性硬質表面を与える材質としては、ステンレス鋼等の疎水性金属、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、6−ナイロン等の疎水性プラスチックが挙げられ、繊維強化プラスチック(FRP)のような複合素材であってもよい。
台所、浴室及びトイレには、前記した疎水性硬質表面を与える材質が多用されており、且つ食品や人体由来の疎水性汚れが付着しやすい環境にあることから、疎水性汚れに対する防汚性付与の意義が大きい。本発明の硬質表面用処理剤組成物は、台所、浴室及びトイレの疎水性硬質表面に対して優れた防汚性を付与できる。よって、本発明の硬質表面用処理剤組成物は、台所用、浴室用、又はトイレ用として用いられることが好ましい。具体的には、本発明の組成物は、台所まわりの疎水性硬質表面(壁、床、シンクなど)や台所で用いられる製品(コンロ、電子レンジ、オーブン、冷蔵庫など)の疎水性硬質表面に対して適用できる。また、本発明の組成物は、浴室まわりの疎水性硬質表面(壁、床、浴槽など)や浴室で用いられる製品(浴室用イス、洗面器など)の疎水性硬質表面に対して適用できる。また、本発明の組成物は、トイレの疎水性硬質表面(壁、床、便器など)やトイレで用いられる製品(収納棚、ごみ箱など)の疎水性硬質表面に対して適用できる。中でも浴室用の疎水性硬質表面用洗浄剤組成物としてより好ましく用いられる。
また、本発明の硬質表面用処理剤組成物は、スプレー式容器に充填してなるスプレー式硬質表面用処理剤物品として使用することが好ましい。かかる物品は、スプレー式硬質表面用洗浄剤物品やスプレー式硬質表面用改質剤物品として用いることもできる。スプレー式容器としては、トリガー式スプレーヤーが装着されたスプレー容器(トリガー式スプレー容器という)が挙げられる。トリガー式スプレー容器としては、液体処理剤組成物を収容する容器本体と、容器本体の口部に装着されたトリガー式液体噴出器とを具備するものが挙げられ、更には、容器本体の口部に液体処理剤組成物を噴出するトリガー式スプレーヤーが装着され、該トリガー式スプレーヤーの内部に垂直管路及び水平管路が形成され、該垂直管路内に該垂直管路と上記水平管路との連通を遮断するバルブが配設されたスプレー容器(スプレー容器(I)という)が挙げられる。スプレー容器(I)は、水平管路の下方位置にシリンダーを備え、また、水平管路の先端部にスピンエレメントが装着され、更に、このスピンエレメントの先端部にノズル孔を有するノズル部が嵌着固定されている。スプレー容器(I)は、トリガーを引いて、シリンダー内の空気を外に排出し、トリガーを戻した際に容器本体の液体処理剤組成物に浸した垂直管路を通じて液体処理剤組成物を吸い上げ、上記シリンダー内に液体を満たし、再びトリガーを引くことにより、該シリンダー内の液体を押し出して垂直管路に導き、更に水平管路、スピンエレメントを通じて液体の流れにスピンを与え、最後にノズルから噴出するタイプのものである。疎水性硬質表面への本発明の処理剤組成物の適用方法は、疎水性硬質表面の広さ(面積)等に応じて選択できる。例えば本発明の組成物の原液をそのまま0.05〜5mL程度スプレーして行うことができる。
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、疎水性の硬質表面に対して良好な親水性を付与することが出来、しかもその持続効果に優れる。更に、疎水性硬質表面に付着した油汚れ、タンパク質汚れ、皮脂汚れ等に対する洗浄効果を有する。硬質表面の親水性は、該表面上での水の接触角を測定することにより評価できるが、本発明の硬質表面用処理剤組成物で硬質表面を処理することにより、接触角が著しく低減することを確認出来ており、この親水化により高い防汚性付与効果を発現していることが示唆される。
また、本発明の硬質表面用処理剤組成物は、実施例記載の方法で測定される処理後のPVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製)のイオン交換水に対する静止接触角が70°以下となることが、防汚性付与の観点から好ましく、60°以下となることがより好ましく、40°以下となることが更に好ましく、30°以下となることがより更に好ましい。更に、処理前のPVC板のイオン交換水に対する静止接触角と処理後のPVC板のイオン交換水に対する静止接触角との差が、10°以上であることが防汚性付与の点から好ましく、30°以上がより好ましく、40°以上であることが更に好ましく、50°以上であることがより更に好ましい。
本発明の硬質表面用処理剤組成物では、疎水性硬質表面に適用後、(a)成分を含有する被覆膜が形成されて該硬質表面を被覆することにより、PVC板のイオン交換水に対する静止接触角を60°以下とすることができると推定している。
本発明は、本発明の硬質表面用処理剤組成物からなる硬質表面用洗浄剤組成物を包含する。すなわち、本発明は、(a)成分を0.01質量%以上、10質量%以下、(b)成分を1質量%以上、及び(c)成分を0.5質量%以上、30質量%以下含有する硬質表面用洗浄剤組成物に関する。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物の好ましい態様は、本発明の硬質表面用処理剤組成物で述べたものから選定できる。硬質表面用洗浄剤組成物として用いる場合は、(e)成分及び(f)成分を含有することが好ましい。また、硬質表面用洗浄剤組成物として用いる場合は、(c)成分を5質量%以上含有することが好ましい。
また、本発明は、本発明の硬質表面用処理剤組成物からなる硬質表面用改質剤組成物を包含する。すなわち、本発明は、(a)成分を0.01質量%以上、10質量%以下、(b)成分を1質量%以上、及び(c)成分を0.5質量%以上、30質量%以下含有する硬質表面用改質剤組成物に関する。本発明の硬質表面用改質剤組成物の好ましい態様は、本発明の硬質表面用処理剤組成物で述べたものから選定できる。
<使用方法>
本発明の硬質表面用処理剤組成物は、当該組成物を疎水性硬質表面に塗布する工程と、該疎水性硬質表面の組成物が塗布された面を水、好ましくは、塗布質量の5倍以上の質量の水によりすすぐ工程とを有する硬質表面の処理方法に使用することが好ましい。また、本発明の硬質表面用処理剤組成物を疎水性硬質表面に塗布する工程の後に、スポンジ等を用いて薄く塗りのばす工程を行い、その後、水によりすすぐ工程を有する硬質表面の処理方法として使用することが更に好ましい。この方法を汚れが付着した疎水性表面に対して行うことで、汚れの除去と防汚性付与の両方を達成することができる。
これらの工程は公知の方法に準じて行うことができるが、疎水性硬質表面への塗布には、前述のような、本発明の硬質表面用処理剤組成物をスプレー式容器に充填してなるスプレー式硬質表面用処理剤物品を用いることが好ましい。また、洗浄後にすすぐ際に使用する水の温度は、(a)成分と(b)成分とからなる親水化改質成分を疎水性硬質表面に残留させるために、5℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、そして、50℃以下が好ましく、35℃以下がより好ましい。
<実施例及び比較例>
表1〜4に記載の硬質表面用処理剤組成物を調製した。各組成物のpH(20℃)は水酸化ナトリウム及び塩酸により表中の値に調整した。これら組成物について、下記項目について評価した。詳細を以下に示す。表中、一部の例では、(a’)成分を(a)成分として(c)/(a)質量比を、(b’)成分を(b)成分として(c)/(b)質量比を示した。
<接触角>
PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は25mm×75mm×1mm)に、硬質表面用処理剤組成物を1mL塗布して5分間静置した後、25℃の水道水(流速50mL/秒)で20秒間すすいだ。25℃40%RHに調温調湿された測定室にて、上記処理を行ったPVC板のイオン交換水に対する静止接触角を測定した。測定には協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DM−500を使用し、20μlのイオン交換水の水滴を処理表面に着滴させ、着滴3秒後から1秒間隔で10回接触角を測定し、その平均値をデータとして記載した。なお、処理前のPVC板の静止接触角は、85°であった。
<防汚性>
40℃の湯10Lに12gのモデル皮脂溶液(モデル皮脂/クロロホルム=1、質量比)を添加し分散させ、各組成物で処理したPVC板を12時間浸漬させた。浸漬後のPVC板を、25℃の水道水(50mL/秒)で、表裏各10秒間すすぎ、乾燥後に質量を測定して残留皮脂量(x)を測定した。各組成物の組成において(a)成分を配合していない組成物〔(a)成分の分をイオン交換水に置き換える〕で処理したPVC板表面に残留した皮脂量(y)を同様に測定した。残留皮脂量xとyとから、次式により防汚性を算出した。
防汚性(%)=〔1−(x/y)〕×100
※各組成物で処理したPVC板
PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は80mm×250mm×1mm)の両面に、硬質表面用処理剤組成物をそれぞれ1mL塗布してスポンジで塗りのばして5分間静置した後、25℃の水道水(50mL/秒)で20秒間すすいだもの。
<滑り抑制性(摩擦係数)>
各組成物で処理したPVC板を両面テープで角皿容器(角型透明ディッシュ(角2号)、アズワン(株))に固定し、容器内をイオン交換水で満たし、豚皮を貼った摩擦子と各組成物で処理したPVC板との摩擦係数を、摩擦測定器「KES−ES」(カトーテック株式会社)により測定した。
イオン交換水に10分間浸漬させた豚皮(三力製作所)を1cm角の摩擦子に貼り付け、摩擦子の総重量が50gになるようにおもりをセットして用いた。
また、各組成物で処理したPVC板は、PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は25mm×70mm×1mm)の両面に、硬質表面用処理剤組成物をそれぞれ1mL塗布してスポンジで塗りのばして5分間静置した後、25℃の水道水(50mL/秒)で20秒間すすいだものを用いた。この評価では、表中の摩擦係数が大きいほど、すべりの抑制に優れていることを示す。
表1〜表4中の成分は以下のものである。
・高分子化合物1:下記合成例1で得られた、モノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=95/5(モル比)、重量平均分子量140,000のブロック型高分子化合物
・高分子化合物2:下記合成例2で得られた、モノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=90/10(モル比)、重量平均分子量130,000のブロック型高分子化合物
・高分子化合物3:下記合成例3で得られた、モノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=85/15(モル比)、重量平均分子量140,000のブロック型高分子化合物
・高分子化合物4:下記合成例4で得られた、モノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=60/40(モル比)、重量平均分子量130,000の高分子化合物
・高分子化合物5:下記合成例5で得られた、モノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=90/10(モル比)、重量平均分子量100,000のブロック型高分子化合物
・高分子化合物6:下記合成例6で得られた、モノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=70/30(モル比)、重量平均分子量40,000のブロック型高分子化合物
・高分子化合物7:下記合成例7で得られた、モノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=50/50(モル比)、重量平均分子量20,000のブロック型高分子化合物
・比較高分子化合物1:下記比較合成例1で得られた重量平均分子量160,000の高分子化合物
・比較高分子化合物2:下記比較合成例2で得られた重量平均分子量130,000の高分子化合物
・比較高分子化合物3:下記比較合成例3で得られた重量平均分子量55,000の高分子化合物
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム:アルキル基の炭素数12〜16、エチレンオキサイド平均付加モル数4.0
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル:アルキル基の炭素数12〜16、エチレンオキサイド平均付加モル数10
・アルキルポリグリコシド:アルキル(炭素数12〜16)ポリグルコース(平均糖縮合度1〜2)
・アルキルアミドプロピルベタイン:脂肪酸(炭素数12)アミドプロピル−N,N−ジメチル−酢酸ベタイン
・アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド:アルキル基の炭素数12〜16
<合成例1>
ナスフラスコにメタクリル酸n-ブチル30g、2‐ブロモイソ酪酸エチル2.06g、4,4‐ジノニル‐2,2‐ジピリジル6.47g、アニソール70gを入れ、三方コックで栓をし、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.522g、塩化銅(II)0.355gを入れ、三方コックで栓をして窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し重合を行った。4時間後、重合溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、水200mL、メタノール600mLの混合液を撹拌しながら重合溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりポリマー固体を得た。次にナスフラスコにメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル30g、上記で得られたポリマー固体1.42g、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン0.146g、アニソール30gを入れ、三方コックで栓をし、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.0629gを入れ、三方コックで栓をして窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し重合を行った。7.5時間後、重合溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、活性アルミナカラム処理により銅錯体を除去後、ヘキサン 1Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりポリマー固体を得た。ナスフラスコに得られたポリマー3g、2,2,2-トリフルオロエタノール12gを入れポリマーを溶解させた。三方コックで栓をして50℃に加熱しながら1,3-プロパンスルトン2.19gを滴下した。5時間後冷却し、メタノール500mLを撹拌しながらポリマー溶液を滴下してポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により高分子化合物1の固体を得た。
高分子化合物1は、モノマー単位が、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムから得られるモノマー単位(a−1)〔メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルと1,3-プロパンスルトンとの反応により形成されるモノマー単位〕とメタクリル酸n-ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比がモノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=95/5であった。また、高分子化合物1は、モノマー単位の配列はブロックであった。また、高分子化合物1は、重量平均分子量が140,000であった。
<合成例2>
ナスフラスコにメタクリル酸n-ブチル30g、2‐ブロモイソ酪酸エチル0.823g、4,4‐ジノニル‐2,2‐ジピリジル2.58g、アニソール45gを入れ、三方コックで栓をし、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.209g、塩化銅(II)0.141gを入れ、三方コックで栓をして窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し重合を行った。6時間後、重合溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、水200mL、メタノール600mLの混合液を撹拌しながら重合溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりポリマー固体を得た。次にナスフラスコにメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル30g、上記で得られたポリマー固体2.83g、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン0.146g、アニソール30gを入れ、三方コックで栓をし、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.0629gを入れ、三方コックで栓をして窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し重合を行った。7.5時間後、重合溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、活性アルミナカラム処理により銅錯体を除去後、ヘキサン1Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりポリマー固体を得た。ナスフラスコに得られたポリマー3g、2,2,2-トリフルオロエタノール12gを入れポリマーを溶解させた。三方コックで栓をして50℃に加熱しながら1,3-プロパンスルトン2.08gを滴下した。5時間後冷却し、メタノール500mLを撹拌しながらポリマー溶液を滴下してポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により高分子化合物2の固体を得た。
高分子化合物2は、モノマー単位が、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムから得られるモノマー単位(a−1)とメタクリル酸n-ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比がモノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=90/10であった。また、高分子化合物2は、モノマー単位の配列はブロックであった。また、高分子化合物2は、重量平均分子量が130,000であった。
<合成例3>
ナスフラスコにメタクリル酸n-ブチル30g、2‐ブロモイソ酪酸エチル0.514g、4,4‐ジノニル‐2,2‐ジピリジル1.62g、アニソール45gを入れ、三方コックで栓をし、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.131g、塩化銅(II)0.0886gを入れ、三方コックで栓をして窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し重合を行った。15時間後、重合溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、水200mL、メタノール600mLの混合液を撹拌しながら重合溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりポリマー固体を得た。次にナスフラスコにメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル30g、上記で得られたポリマー固体5.66g、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン0.146g、アニソール30gを入れ、三方コックで栓をし、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.0629gを入れ、三方コックで栓をして窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し重合を行った。7.5時間後、重合溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、活性アルミナカラム処理により銅錯体を除去後、ヘキサン1Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりポリマー固体を得た。ナスフラスコに得られたポリマー3g、2,2,2-トリフルオロエタノール12gを入れポリマーを溶解させた。三方コックで栓をして50℃に加熱しながら1,3-プロパンスルトン1.98gを滴下した。5時間後冷却し、メタノール500mLを撹拌しながらポリマー溶液を滴下してポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により高分子化合物3の固体を得た。
高分子化合物3は、モノマー単位が、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムから得られるモノマー単位(a−1)とメタクリル酸n-ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比がモノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=85/15であった。また、高分子化合物3は、モノマー単位の配列はブロックであった。また、高分子化合物3は、重量平均分子量が140,000であった。
<合成例4>
撹拌機(テフロン(登録商標)製60mm三日月翼使用)、窒素導入管、温度計を備えた300mL4つ口セパラブルフラスコに、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウム(シグマアルドリッチ製)22.4g、メタクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)7.60g、エタノール48g、イオン交換水67gを入れ、200rpmで撹拌しながら、窒素ガスを100mL/分で30分間吹き込み、窒素置換を行った。次に、80℃まで昇温し、イオン交換水5.0g、過硫酸アンモニウム(APS,シグマアルドリッチ製)0.610gを加え、重合を開始した。4時間後冷却し、80℃で17時間減圧乾燥することで高分子化合物4の白色固体を得た。
高分子化合物4は、モノマー単位が、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムから得られるモノマー単位(a−1)とメタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比がモノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=60/40であった。また、高分子化合物4は、重量平均分子量が130,000であった。
<合成例5>
ナスフラスコにメタクリル酸n-ブチル15g、2‐ブロモイソ酪酸エチル0.38g、4,4‐ジノニル‐2,2‐ジピリジル0.65g、アニソール22.5gを入れ、三方コックで栓をし、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.052g、塩化銅(II)0.035gを入れ、三方コックで栓をして窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し重合を行った。4時間後、重合溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、水200mL、メタノール600mLの混合液を撹拌しながら重合溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりポリマー固体を得た。次にナスフラスコにメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル10g、上記で得られたポリマー固体0.33g、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン0.10g、アニソール40gを入れ、三方コックで栓をし、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.042gを入れ、三方コックで栓をして窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し重合を行った。7.5時間後、重合溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、活性アルミナカラム処理により銅錯体を除去後、ヘキサン 1Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりポリマー固体を得た。ナスフラスコに得られたポリマー3g、炭酸水素ナトリウムを0.29g、2,2,2-トリフルオロエタノール 12g、水6g入れポリマーを溶解させた。三方コックで栓をして90℃に加熱しながら3-クロロ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸ナトリウム4.66gを滴下した。24時間後冷却し、メタノール500mLを撹拌しながらポリマー溶液を滴下してポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により高分子化合物5の固体を得た。
高分子化合物5は、モノマー単位が、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナト-2-ヒドロキシプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムから得られるモノマー単位(a−1)〔メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルと3-クロロ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸ナトリウムとの反応により形成されるモノマー単位〕とメタクリル酸n-ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比がモノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=90/10であった。また、高分子化合物5は、モノマー単位の配列はブロックであった。また、高分子化合物5は、重量平均分子量が100,000であった。
<合成例6>
ナスフラスコにメタクリル酸n-ブチル15g、2‐ブロモイソ酪酸エチル0.38g、4,4‐ジノニル‐2,2‐ジピリジル0.65g、アニソール22.5gを入れ、三方コックで栓をし、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.052g、塩化銅(II)0.035gを入れ、三方コックで栓をして窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し重合を行った。4時間後、重合溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、水200mL、メタノール600mLの混合液を撹拌しながら重合溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりポリマー固体を得た。次にナスフラスコにメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル10g、上記で得られたポリマー固体1.36g、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン0.40g、アニソール40gを入れ、三方コックで栓をし、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.171gを入れ、三方コックで栓をして窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し重合を行った。7.5時間後、重合溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、活性アルミナカラム処理により銅錯体を除去後、ヘキサン 1Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりポリマー固体を得た。ナスフラスコに得られたポリマー3g、炭酸水素ナトリウムを0.23g、2,2,2-トリフルオロエタノール 12g、水6g入れポリマーを溶解させた。三方コックで栓をして90℃に加熱しながら3-クロロ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸ナトリウム3.70gを滴下した。24時間後冷却し、メタノール500mLを撹拌しながらポリマー溶液を滴下してポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により高分子化合物6の固体を得た。重量平均分子量が40,000であった。
高分子化合物6は、モノマー単位が、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナト-2-ヒドロキシプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムから得られるモノマー単位(a−1)〔メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルと3-クロロ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸ナトリウムとの反応により形成されるモノマー単位〕とメタクリル酸n-ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比がモノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=70/30であった。また、高分子化合物6は、モノマー単位の配列はブロックであった。また、高分子化合物6は、重量平均分子量が40,000であった。
<合成例7>
ナスフラスコにメタクリル酸n-ブチル15g、2‐ブロモイソ酪酸エチル0.38g、4,4‐ジノニル‐2,2‐ジピリジル0.65g、アニソール22.5gを入れ、三方コックで栓をし、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.052g、塩化銅(II)0.035gを入れ、三方コックで栓をして窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し重合を行った。4時間後、重合溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、水200mL、メタノール600mLの混合液を撹拌しながら重合溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりポリマー固体を得た。次にナスフラスコにメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル5g、上記で得られたポリマー固体2.78g、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン0.81g、アニソール45gを入れ、三方コックで栓をし、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.35gを入れ、三方コックで栓をして窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し重合を行った。7.5時間後、重合溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、活性アルミナカラム処理により銅錯体を除去後、ヘキサン 1Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりポリマー固体を得た。ナスフラスコに得られたポリマー3g、炭酸水素ナトリウムを0.17g、2,2,2-トリフルオロエタノール 12g、水6g入れポリマーを溶解させた。三方コックで栓をして90℃に加熱しながら3-クロロ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸ナトリウム2.69gを滴下した。24時間後冷却し、メタノール500mLを撹拌しながらポリマー溶液を滴下してポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により高分子化合物7の固体を得た。重量平均分子量が20,000であった。
高分子化合物7は、モノマー単位が、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナト-2-ヒドロキシプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムから得られるモノマー単位(a−1)〔メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルと3-クロロ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸ナトリウムとの反応により形成されるモノマー単位〕とメタクリル酸n-ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比がモノマー単位(a−1)/モノマー単位(a−2)=50/50であった。また、高分子化合物7は、モノマー単位の配列はブロックであった。また、高分子化合物7は、重量平均分子量が20,000であった。
<比較合成例1>
内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウム(シグマアルドリッチ製)20.0g、トリフルオロエタノール(シグマアルドリッチ製)170gを入れ、均一に混合し窒素雰囲気下で30分間攪拌した。この溶液を約70℃まで昇温した後、重合開始剤(V−65、和光純薬工業(株)製)0.18g、トリフルオロエタノール10.0gを加え、6時間保持して重合を行った。次いで、メタノール4Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により比較高分子化合物1の固体を得た。
比較高分子化合物1は、N,N-ジメチル-N-(3-スルホナトプロピル)-2-(メタクリロイルオキシ)エタン-1-アミニウムのホモポリマーであった。また、比較高分子化合物1は、重量平均分子量が160,000であった。
<比較合成例2>
内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(シグマアルドリッチ製)17.1g、メタクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)2.93g、メタノール38.5g、イオン交換水23.4gを入れ、均一に混合し窒素雰囲気下で30分間攪拌した。その後、この溶液を約70℃まで昇温した後、重合開始剤(V−65、和光純薬工業(株)製)0.13g、メタノール5.0gを加え、6時間保持して重合を行った。その後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH7に中和した。次いで、2−プロパノール4Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により比較高分子化合物2の固体を得た。
比較高分子化合物2は、モノマー単位が2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から得られるモノマー単位とメタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から得られるモノマー単位/モノマー単位(a−2)=80/20であった。また、比較高分子化合物2は、重量平均分子量が130,000であった。
<比較合成例3>
内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(QDM、MRCユニテック(株)製)44.4g、スチレン(和光純薬工業(株)製)4.46g、重合開始剤(パーロイルL、日油(株)製)8.53g、イオン交換水2.52g、及びエタノール103gを入れ、均一に混合し窒素雰囲気下で30分間攪拌した。この溶液を約90℃まで昇温した後、6時間保持して重合を行った。次いで、アセトン4Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により比較高分子化合物3の固体を得た。
比較高分子化合物3は、モノマー単位がメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドから得られるモノマー単位とスチレンから得られるモノマー単位(a−2)であり、そのモル比が、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドから得られるモノマー単位/モノマー単位(a−2)=80/20であった。また、比較高分子化合物3は、重量平均分子量が55,000であった。
Figure 0006525559
実施例1−1〜1−10と比較例1−1〜1−4の結果から、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有することにより、防汚性付与効果に優れることが分かる。
また、実施例1−1、1−3、1−6及び1−7と比較例1−2〜1−4の結果から、高分子化合物として、本発明の(a)成分の構造、比率を満たすものを用いることで、防汚性付与効果に優れることが分かる。
Figure 0006525559
実施例2−1〜2−10と比較例2−1〜2−3の結果から、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有することにより、防汚性付与効果に優れることが分かる。
また、実施例2−1〜2−10と比較例2−1〜2−2の結果から、有機溶剤として、無機性/有機性の値が本発明の範囲内にある(b)成分を用いることで、防汚性付与効果に優れることが分かる。
Figure 0006525559
実施例3−1〜3−5と比較例3−1の結果から、本発明の(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有することにより、防汚性付与効果に優れた硬質表面用処理剤組成物が得られることが分かる。
Figure 0006525559
表4の結果から、実施例4−1〜4−5の硬質表面用処理剤組成物は、防汚性付与効果に優れることが分かる。そして、実施例4−1〜4−4のように、(a)成分として、一般式(1)中のR17が炭素数3のヒドロキシアルキレン基であるモノマーから製造した高分子化合物5〜7を用いた場合は、摩擦係数が大きくなり、処理後の硬質表面の滑り抑制効果に、より優れることがわかる。

Claims (11)

  1. (a)スルホベタイン構造を有するモノマー単位(a−1)を全モノマー単位中50モル%以上、95モル%以下、及び、前記モノマー単位(a−1)以外の炭素数1以上、18以下のアルキル基を有するモノマー単位(a−2)を全モノマー単位中5モル%以上、50モル%以下含有する高分子化合物〔以下、(a)成分という〕を0.01質量%以上、10質量%以下、
    (b)有機概念図における無機性/有機性の比率が、0.6以上、2.2以下である有機溶剤〔以下、(b)成分という〕を1質量%以上、並びに、
    (c)界面活性剤〔以下、(c)成分という〕を0.5質量%以上、30質量%以下、含有する硬質表面用処理剤組成物。
  2. (a)成分と(c)成分の質量比が、(c)/(a)で、5以上、500以下である、請求項1記載の硬質表面用処理剤組成物。
  3. (b)成分と(c)成分の質量比が、(c)/(b)で、0.1以上、10以下である、請求項1又は2記載の硬質表面用処理剤組成物。
  4. (b)成分が、有機概念図における無機性/有機性の比率が、1.2以上、1.7以下である有機溶剤であり、該有機溶剤を組成物中、5質量%以上含有する、請求項1〜3の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物。
  5. モノマー単位(a−1)が、下記一般式(1)で表されるモノマーから得られるモノマー単位である、請求項1〜4の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物。
    Figure 0006525559

    〔式中、R11は、炭素数1以上、5以下のアルキレン基であり、R12、R13、R14は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上、3以下のアルキル基である。Xは、−COO−、−CONH−、及び−OCO−から選ばれる基である。R15、R16は、それぞれ独立して、炭素数1以上、3以下のアルキル基又は炭素数1以上、3以下のヒドロキシアルキル基であり、R17は、炭素数1以上、10以下のアルキレン基又は炭素数1以上、10以下のヒドロキシアルキレン基である。〕
  6. モノマー単位(a−2)が、下記一般式(2)で表されるモノマーから得られるモノマー単位である、請求項1〜5の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物。
    Figure 0006525559

    〔式中、R21は、水素原子、炭素数1以上、8以下のアルキル基、又は−(C24O)n−Hである。nは1以上、30以下の数である。R22、R23、R24は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上、3以下のアルキル基である。Yは、−COO−、−CONH−、−OCO−、又は二価の芳香族炭化水素基である。ただし、R21が水素原子又は−(C24O)n−Hである場合は、R22、R23、R24の少なくとも1つは炭素数1以上、
    3以下のアルキル基である。〕
  7. (a)成分の全モノマー単位中、モノマー単位(a−1)及びモノマー単位(a−2)の合計が60モル%以上、100モル%以下である、請求項1〜6の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物。
  8. (a)成分におけるモノマー単位(a−1)とモノマー単位(a−2)のモル比が、(a−1)/(a−2)で、50/50以上、95/5以下である、請求項1〜7の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物。
  9. 浴室用、台所用又はトイレ用である請求項1〜8の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物。
  10. 請求項1〜9の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物を疎水性硬質表面に塗布して該疎水性硬質表面の親水性を向上させる方法。
  11. 請求項1〜9の何れか1項記載の硬質表面用処理剤組成物を、汚れが付着した疎水性硬質表面に適用した後、水ですすぐことで、該疎水性硬質表面からの汚れの除去と該疎水性硬質表面への親水性の付与の両方を行う、疎水性硬質表面の処理方法。
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