JP6596220B2 - 硬質表面用洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
また、親水性の付与効果が高い洗浄剤であることが望まれているが、その洗浄剤により硬質表面が滑り易くならないように留意することが付加的な効果として望まれる。特に、水周り設備である浴室の床面などに用いる際には、洗浄剤により床面が滑り易くならないことが安全性の面から望ましい。
なお、本発明において、「防汚性」とは、汚れが硬質表面に残留することを抑制する効果を意味する。また、本発明において「防汚持続性」とは、防汚性が持続する効果を意味し、好ましくは、高温環境下、例えば、湯に長時間接するような場合でも、防汚性の効果が持続することを意味する。
(a)成分に対する(b)成分の質量比が、(b)/(a)で、5以上、500以下である、
硬質表面用洗浄剤組成物に関する。
<(a)成分>
主鎖としてスルホベタイン基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む重合体セグメントA−1と、側鎖として疎水性不飽和単量体由来の繰り返し単位を含む重合体セグメントA−2とを有するグラフトポリマーであって、
グラフトポリマー中のスルホベタイン基を有する不飽和単量体由来の繰り返し単位の含有量が35モル%以上であり、
グラフトポリマー中の重合体セグメントA−2の含有量が10モル%以下である、
グラフトポリマー
<(b)成分>
界面活性剤
(a)成分は、主鎖としてスルホベタイン基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む重合体セグメントA−1と、側鎖として疎水性不飽和単量体由来の繰り返し単位を含む重合体セグメントA−2とを有するグラフトポリマーである。このグラフトポリマーは、グラフトポリマー中のスルホベタイン基を有する不飽和単量体由来の繰り返し単位の含有量が35モル%以上であり、グラフトポリマー中の重合体セグメントA−2の含有量が10モル%以下である。以下、(a)成分のグラフトポリマーを、グラフトポリマーAという。
(主鎖重合体セグメントA−1の構成)
主鎖重合体セグメントA−1はスルホベタイン基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む。スルホベタイン基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位は、防汚性を向上させる観点から、一般式(1)で表される構成単位が好ましい。
R1〜R3:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
R4:炭素数1以上、4以下のアルキレン基
R5、R6:同一又は異なって、炭素数1以上、4以下の炭化水素基
X1:O又はNR7であり、R7は水素原子又は炭素数1以上、4以下の炭化水素基
X2:水酸基を有してもよい炭素数2以上、4以下のアルキレン基
を示す。〕
R3は同様の観点から水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
X1は、同様の観点からOが好ましい。
R4は同様の観点から、炭素数2又は3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のジメチレン基がより好ましい。
R5及びR6は同様の観点から、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R7は、同様の観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
X2は、同様の観点及び4級化反応の容易性の観点から、水酸基を有してもよい炭素数3又は4のアルキレン基が好ましく、プロピレン基、ブチレン基、及び2−ヒドロキシプロピレン基から選ばれる基がより好ましく、プロピレン基又は2−ヒドロキシプロピレン基がより好ましい。
主鎖の重合体セグメントA−1は、防汚性を向上させる観点から、疎水性不飽和単量体由来の繰り返し単位を含むことが好ましく、一般式(2)で表される構成単位を含むことがより好ましい。
R8〜R10:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
R11:炭素数1以上、22以下の炭化水素基
Y1:O又はNR12であり、R12は水素原子又は炭素数1以上、4以下の炭化水素基を示す。〕
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリル又はそれらの両方を意味する。
(側鎖重合体セグメントA−2の構成)
側鎖重合体セグメントA−2は防汚性を向上させる観点から、疎水性不飽和単量体由来の繰返し単位を含む。疎水性不飽和単量体は、好ましくは20℃における水100gに対する溶解量が10g以下であり、より好ましくは1g以下であり、さらに好ましくは0.1g以下である。なお、本発明では、疎水性不飽和単量体には、スルホベタイン基を有する不飽和単量体を含まれないものとする。
R8〜R10:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
R11:炭素数1以上、22以下の炭化水素基
Y1:O又はNR12であり、R12は水素原子又は炭素数1以上、4以下の炭化水素基を示す。〕
R8〜R10:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
R11:炭素数1以上、22以下の炭化水素基
R13、R14:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
R15:炭素数1以上、22以下の炭化水素基
Y1:O又はNR12であり、R12は水素原子又は炭素数1以上、4以下の炭化水素基Y2:O又はNR16であり、R16は水素原子又は炭素数1以上、4以下の炭化水素基を示す。〕
R8〜R10:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
R11:炭素数1以上、22以下の炭化水素基
R13、R14:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
R17:水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
Y1:O又はNR12であり、R12は水素原子又は炭素数1以上、4以下の炭化水素基Y2:O、OR18、又はNR16であり、R16は水素原子又は炭素数1以上、4以下の炭化水素基、R18は炭素数1以上、6以下のアルキレン基
を示す。〕
グラフトポリマーAの重量平均分子量は、防汚性を向上させる観点から、好ましくは5万以上、より好ましくは8万以上、さらに好ましくは10万以上であり、溶解性及び生産性を向上させる観点から好ましくは20万以下、より好ましくは18万以下、よりさらに好ましくは15万以下である。この重量平均分子量は、実施例に記載の方法で算出することができる。
本発明のグラフトポリマーAは、防汚性を向上させる観点から、親水化指数が、好ましくは70以下、より好ましくは60以下、さらに好ましくは55以下であり、接触角を低下させる観点及び水膜持続性を向上させる観点から、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは40以上である。
ここで、親水化指数は、グラフトポリマーA中の側鎖重合体セグメントA−2の含有量(モル%)を5倍した数と、グラフトポリマーA中の主鎖重合体セグメントA−1の疎水性不飽和単量体由来の繰返し単位、好ましくは一般式(2)で表される構成単位の含有量(モル%)の数とを合計した数である。
グラフトポリマーAの製造方法としては、以下の製造方法が挙げられる。
(i)スルホベタイン基を有する不飽和単量体の繰り返し単位を含み、ラジカル反応性基を有する主鎖セグメントに、疎水性不飽和単量体を重合させる方法。
(ii)スルホベタイン基を有する不飽和単量体の繰り返し単位を含み、側鎖セグメントの反応性官能基と反応可能な反応性官能基を有する主鎖セグメントと、疎水性不飽和単量体由来の繰り返し単位を含み、片末端に主鎖セグメントの反応性官能基と反応可能な反応性官能基を有する側鎖セグメントを反応させる方法。
(iii)疎水性不飽和単量体由来の繰返し単位を含むマクロモノマーとスルホベタイン基を有する不飽和単量体を重合させる方法。
また、(iii−1)として、スルホベタイン基を有する不飽和単量体に代えて、アミノ基を有する不飽和単量体(不飽和単量体b)を重合させ、更に4級化剤を反応させて、スルホベタイン基に変換する方法が挙げられる。グラフトポリマーAの製造の生産性を向上する観点から、グラフトポリマーAの製造方法としては、(iii)の方法が好ましく、(iii−1)の方法がより好ましい。
工程1:アミノ基を有する不飽和単量体及び、側鎖重合体セグメントA−2を有する不飽和単量体を含む不飽和単量体を重合させ、グラフトポリマーBを得る工程。
工程2:グラフトポリマーBと4級化剤を反応させてグラフトポリマーAを得る工程。
なお、工程1における不飽和単量体のアミノ基は、スルホベタイン基の前駆体になるものである。
工程1はアミノ基を有する不飽和単量体(不飽和単量体b)、疎水性不飽和単量体の繰り返し単位を含むマクロモノマーを含む不飽和単量体を重合させてグラフトポリマーBを製造する工程である。
(アミノ基を有する不飽和単量体b)
不飽和単量体bとしては、工程2の反応の生産性を向上させる観点、不飽和単量体の入手性の観点から、一般式(6)で表される不飽和単量体b−1が好ましい。不飽和単量体b−1を用いることにより、主鎖重合体セグメントB−1は一般式(7)で表される繰り返し単位を含む。
R1〜R3:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
R4:炭素数1以上、4以下のアルキレン基
R5、R6:同一又は異なって、炭素数1以上、4以下の炭化水素基
X1:O又はNR7であり、R7は水素原子又は炭素数1以上、4以下の炭化水素基
を示す。〕
不飽和単量体b−1は、具体的には、同様の観点から、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル等の過酸化物系開始剤、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系等が挙げられる。また必要に応じて、連鎖移動剤等を用いることもできる。連鎖移動剤としては、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等のメルカプタン類が挙げられる。
反応温度は、用いる重合開始剤、溶媒の種類等により適宜選択できるが、通常50℃以上、100℃以下の範囲が好ましい。
工程2は、グラフトポリマーBの主鎖のアミノ基と4級化剤を反応させてスルホベタイン基に変えてグラフトポリマーAを得る工程である。
アミノ基を4級化剤と反応させてスルホベタイン基に変える製造方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、特表2006−514150号公報に記載されている方法が挙げられる。
溶媒としては、グラフトポリマーBを溶解するものであれば、特に制限はない。溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体的には2,2,2−トリフルオロエタノール、酢酸エチル等が挙げられる。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(b)成分として、界面活性剤を含有する。本発明の防汚性発現には(a)成分の溶存状態が影響していると推定されるが、本発明において発現される高い防汚性能は、(a)成分に、(b)成分を併用することにより、より向上すると考えられる。また、(b)成分を用いることで、疎水性硬質表面の洗浄の際、高い洗浄効果を示すことができる。
(b1)成分;炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基と、カルボン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤、
(b2)成分;炭素数7以上、18以下の鎖式炭化水素基と、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、及びそれらの塩から選択される1種以上を有するアニオン界面活性剤
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分を、0.01質量%以上、10質量%以下含有する。防汚性付与効果の観点で、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分を0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上含有する。そして、硬質表面の親水性が高められる観点で、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分を10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下含有する。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(c)成分としてキレート剤を含有することが好ましい。キレート剤としては、(c1)トリポリリン酸、ピロリン酸、オルソリン酸、ヘキサメタリン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、(c2)エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、(c3)アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、(c4)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマーの単一重合体又は共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリα−ヒドロキシアクリル酸、並びにこれらのアルカリ金属塩、(c5)クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸から選ばれる多価カルボン酸及びこれらのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上、(c6)アルキルグリシン−N,N−二酢酸、アスパラギン酸−N,N−二酢酸、セリン−N,N−二酢酸、グルタミン酸二酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、及びこれらの塩等が挙げられる。これらの中でも、(c2)、(c3)、及び(c5)から選ばれる1種以上のキレート剤が好ましく、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、クエン酸、コハク酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上のキレート剤がより好ましい。エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上のキレート剤がより好ましい。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(d)成分として、有機溶剤を含有することが好ましい。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、液状組成物の液性を均一とし、長期保存後も液性を保持させる目的で、(e)成分として、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれる無機塩を含有することが好ましい。(e)成分としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びヨウ化カリウムからなる群から選択される1以上の化合物が好ましい。(e)成分は、アルカリ金属の塩化物がより好ましく、塩化ナトリウムがより好ましい。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(f)成分として、水を含有することが好ましい。水を含有する液体組成物であることがより好ましい。長期保存後に液の均一性を確保するために、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(f)成分を、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下含有する。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、当該組成物を疎水性硬質表面に塗布する工程と、該疎水性硬質表面の組成物が塗布された面を水、好ましくは、塗布質量の5倍以上の質量の水によりすすぐ工程とを有する硬質表面の処理方法に使用することが好ましい。また、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を疎水性硬質表面に塗布する工程の後に、スポンジ等を用いて薄く塗りのばす工程を行い、その後、水によりすすぐ工程を有する硬質表面の処理方法として使用することがより好ましい。この方法を汚れが付着した疎水性表面に対して行うことで、汚れの除去と防汚性付与の両方を達成することができる。
表1、2に記載の硬質表面用洗浄剤組成物を調製した。各組成物のpH(20℃)は水酸化ナトリウム及び塩酸により表中の値に調整した。これら組成物について、下記項目について評価した。詳細を以下に示す。結果を表1に示した。表中、一部の例では、(a’)成分を(a)成分として(b)/(a)質量比と(c)/(a)質量比を示した。
PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は25mm×75mm×1mm)に、硬質表面用洗浄剤組成物を1mL塗布して5分間静置した後、25℃の水道水(流速50mL/秒)で20秒間すすいだ。25℃40%RHに調温調湿された測定室にて、上記処理を行ったPVC板のイオン交換水に対する静止接触角を測定した。測定には協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DM−500を使用し、20μlのイオン交換水の水滴を処理表面に着滴させ、着滴3秒後から1秒間隔で10回接触角を測定し、その平均値をデータとして記載した。なお、処理前のPVC板の静止接触角は、85°であった。
40℃の湯10Lに12gのモデル皮脂溶液(モデル皮脂/クロロホルム=1、質量比)を添加し分散させ、各組成物で処理したPVC板※を12時間浸漬させた。浸漬後のPVC板を、25℃の水道水(50mL/秒)で、表裏各10秒間すすぎ、乾燥後に質量を測定して残留皮脂量(x)を測定した。各組成物の組成において(a)成分を配合していない組成物〔(a)成分の分をイオン交換水に置き換える〕で処理したPVC板表面に残留した皮脂量(y)を同様に測定した。残留皮脂量xとyとから、次式により防汚性を算出した。
防汚性(%)=〔1−(x/y)〕×100
※各組成物で処理したPVC板
PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は80mm×250mm×1mm)の両面に、硬質表面用洗浄剤組成物をそれぞれ1mL塗布してスポンジで塗りのばして5分間静置した後、25℃の水道水(50mL/秒)で20秒間すすいだもの。
各組成物で処理したPVC板を両面テープで角皿容器(角型透明ディッシュ(角2号)、アズワン(株))に固定し、容器内をイオン交換水で満たし、豚皮を貼った摩擦子と各組成物で処理したPVC板との摩擦係数を、摩擦測定器「KES−ES」(カトーテック株式会社)により測定した。
イオン交換水に10分間浸漬させた豚皮(三力製作所)を1cm角の摩擦子に貼り付け、摩擦子の総質量が50gになるようにおもりをセットして用いた。
また、各組成物で処理したPVC板は、PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は25mm×70mm×1mm)の両面に、硬質表面用洗浄剤組成物をそれぞれ1mL塗布してスポンジで塗りのばして5分間静置した後、25℃の水道水(50mL/秒)で20秒間すすいだものを用いた。この評価では、表中の摩擦係数が大きいほど、すべりの抑制に優れていることを示す。
各組成物で処理したPVC板※及び未処理のPVC板を、40℃の湯を入れた浴槽の喫水部に複数枚固定した。4人の男性が、1人ずつ交代で入浴した後のPVC板に対する汚れの付着状況を評価した。入浴時間は、1人あたり10分間とした。また、PVC板は、男性が浴槽内に入ったときに、喫水部にPVC板の中央が位置するように固定した。なお、未処理のPVC板は、各組成物の組成において(a)成分を配合していない組成物〔(a)成分の分をイオン交換水に置き換える〕で処理したPVC板である。
PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は80mm×250mm×1mm)の両面に、硬質表面用洗浄剤組成物をそれぞれ1mL塗布してスポンジで塗りのばして5分間静置した後、25℃の水道水(50mL/秒)で20秒間すすいだもの。
5;汚れの付着が全く無い
4:微かに汚れが付着している
3:未処理のPVC板と比較して、1/4の汚れが付着している
2:未処理のPVC板と比較して、半量の汚れが付着している
1:未処理のPVC板と同レベルの汚れが付着している
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム:アルキル基の炭素数12〜16、エチレンオキサイド平均付加モル数4.0
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル:アルキル基の炭素数12〜16、エチレンオキサイド平均付加モル数10
・アルキルポリグリコシド:アルキル(炭素数12〜16)ポリグルコース(平均糖縮合度1〜2)
・アルキルアミドプロピルベタイン:脂肪酸(炭素数12)アミドプロピル−N,N−ジメチル−酢酸ベタイン
・アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド:アルキル基の炭素数12〜16
・メタクリル酸メチル:和光純薬工業株式会社製
・メタクリル酸n−ブチル:和光純薬工業株式会社製
・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル:和光純薬工業株式会社製
・マクロモノマーC1:メチルメタクリレートマクロモノマー「AA−6」、東亜合成株式会社製
・メタクリル酸メトキシエチル:和光純薬工業株式会社製
・ジメチルアクリルアミド:KJケミカルズ株式会社製
・ジエチルアクリルアミド:KJケミカルズ株式会社製
・t−ブチルアクリルアミド:KJケミカルズ株式会社製
・メタクリル酸t−ブチル:和光純薬工業株式会社製
(工程1)
ナスフラスコにスターラーチップ、メタクリル酸メチル(疎水性単位となる)15.00g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(スルホベタイン単位となる)59.95g、マクロモノマーC1(重合体セグメントA−2となる)1.364g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)0.210g、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)74.32gを入れ、30分間窒素バブリングを行い、モノマー溶液を調製した。その後、67℃に加熱し重合を行った。8時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、乾燥により重合体B1を得た。
(工程2)
ナスフラスコに工程1で得られた重合体B1を4.000g、2,2,2−トリフルオロエタノール(シグマアルドリッチ製)を16.00g、1,3−プロパンスルトン(和光純薬工業(株)製)を2.464g入れ、重合体を溶解させた。50℃に加熱し、5時間反応させた後冷却し、乾燥を行って重合体(グラフトポリマー1)の固体を得た。グラフトポリマー1は、重量平均分子量が130,000であった。
(工程1)
ナスフラスコにスターラーチップ、メタクリル酸メチル(疎水性単位となる)15.00g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(スルホベタイン単位となる)37.69g、マクロモノマーC1を(重合体セグメントA−2となる)1.000g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)0.384g、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)78.53gを入れ、30分間窒素バブリングを行い、モノマー溶液を調製した。その後、67℃に加熱し重合を行った。8時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、乾燥により重合体B1を得た。
(工程2)
ナスフラスコに工程1で得られた重合体B1を4.000g、2,2,2−トリフルオロエタノール(シグマアルドリッチ製)を16.00g、3−クロロ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(アルドリッチ製)を4.062g、水を8.000gとスターラーチップを入れ、三方コックを取り付けた。次に82℃に昇温しておいたオイルバスで加熱し、10時間反応を行った。その後、3−クロロ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム0.734gと炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業(株)製)0.300gを添加し、再び82℃で10時間加熱して反応を行った。反応終了後、乾燥を行って重合体(グラフトポリマー9)の固体を得た。グラフトポリマー9は、重量平均分子量が140,000であった。
(工程1)
ナスフラスコにスターラーチップ、メタクリル酸メチル(疎水性単位となる)16.00g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(スルホベタイン単位となる)37.69g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)0.384g、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)78.53gを入れ、30分間窒素バブリングを行い、モノマー溶液を調製した。その後、67℃に加熱し重合を行った。8時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、乾燥により重合体B1を得た。
(工程2)
ナスフラスコに工程1で得られた重合体B1を4.000g、2,2,2−トリフルオロエタノール(シグマアルドリッチ製)を16.00g、1,3−プロパンスルトン(和光純薬工業(株)製)を2.464g入れ、重合体を溶解させた。50℃に加熱し、5時間反応させた後冷却し、乾燥を行って重合体(比較高分子化合物1)の固体を得た。比較高分子化合物1は、重量平均分子量が120,000であった。
(工程1)
ナスフラスコにスターラーチップ、メタクリル酸メチル(疎水性単位となる)16.00g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(スルホベタイン単位となる)37.69g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)0.384g、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)78.53gを入れ、30分間窒素バブリングを行い、モノマー溶液を調製した。その後、67℃に加熱し重合を行った。8時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、乾燥により重合体B1を得た。
(工程2)
ナスフラスコに工程1で得られた重合体B1を4.000g、2,2,2−トリフルオロエタノール(シグマアルドリッチ製)を16.00g、3−クロロ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(アルドリッチ製)を4.546g、水を8.000gとスターラーチップを入れ、三方コックを取り付けた。次に82℃に昇温しておいたオイルバスで加熱し、10時間反応を行った。その後、3−クロロ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム0.826gと炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業(株)製)0.336gを添加し、再び82℃で10時間加熱して反応を行った。反応終了後、乾燥を行って重合体(比較高分子化合物3)の固体を得た。比較高分子化合物3は、重量平均分子量が120,000であった。
内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(シグマアルドリッチ製)13.7g、メタクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)6.33g、メタノール38.5g、イオン交換水23.4gを入れ、均一に混合し窒素雰囲気下で30分間攪拌した。その後、この溶液を約70℃まで昇温した後、重合開始剤(V−65、和光純薬工業(株)製)0.13g、メタノール5.0gを加え、6時間保持して重合を行った。その後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH7に中和した。次いで、2−プロパノール4Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により比較高分子化合物6の固体を得た。
比較高分子化合物6は、モノマー単位が2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から得られるモノマー単位とメタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位であり、そのモル比が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から得られるモノマー単位/メタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位=60/40であった。また、比較高分子化合物6は、重量平均分子量が130,000であった。
内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(QDM、MRCユニテック(株)製)33.6g、メタクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)15.3g、重合開始剤(パーロイルL、日油(株)製)8.53g、イオン交換水2.52g、及びエタノール103gを入れ、均一に混合し窒素雰囲気下で30分間攪拌した。この溶液を約90℃まで昇温した後、6時間保持して重合を行った。次いで、アセトン4Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により比較高分子化合物7の固体を得た。
比較高分子化合物7は、モノマー単位がメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドから得られるモノマー単位とメタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位であり、そのモル比が、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドから得られるモノマー単位/メタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位=60/40であった。また、比較高分子化合物7は、重量平均分子量が55,000であった。
重合体セグメントA−2を有する不飽和単量体、すなわちグラフトポリマーAの製造に用いたマクロモノマーの重量平均分子量を、重合体セグメントA−2の重量平均分子量とした。
マクロモノマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)で測定した。
カラム:K−804L(昭和電工(株)製)を2本直列に連結して使用した。
カラム温度:40℃
溶離液:1mmol/Lジメチルラウリルアミン/CHCl3(ジメチルラウリルアミン:ファーミンDM2098:花王(株)製)
流量:1.0ml/分
検出器:示差屈折率計
重量平均分子量(Mw)は光散乱光度計「DLS−7000」(大塚電子(株)製)を用いて、下記の条件で静的光散乱を測定し、Zimm−plotを作製することで算出した。また、分子量の算出に必要な屈折率増分は、示差屈折率計「DRM3000」(大塚電子(株)製)を用いて測定した。
波長:632.8nm(ヘリウム−ネオンレーザー)
散乱角:30°から150°まで10°おきに測定した。
平均温度:25°
溶媒:トリフルオロエタノール
また、表1の実施例1−1〜1−4と比較例1−9の結果から、高分子化合物として、本発明の(a)成分の構造、比率を満たすグラフトコポリマーを用いることで、防汚性付与効果に優れることが分かる。
Claims (9)
- 下記(a)成分を0.01質量%以上、10質量%以下、及び下記(b)成分を0.5質量%以上、30質量%以下含有し、
(a)成分に対する(b)成分の質量比が、(b)/(a)で、5以上、500以下である、
硬質表面用洗浄剤組成物。
<(a)成分>
主鎖としてスルホベタイン基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む重合体セグメントA−1と、側鎖として20℃における水100gに対する溶解量が10g以下である疎水性不飽和単量体由来の繰り返し単位を含む重合体セグメントA−2とを有するグラフトポリマーであって、
グラフトポリマー中のスルホベタイン基を有する不飽和単量体由来の繰り返し単位の含有量が35モル%以上であり、
グラフトポリマー中の重合体セグメントA−2の含有量が10モル%以下である、
グラフトポリマー
<(b)成分>
界面活性剤 - 下記(c)成分を含有する、請求項1記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
<(c)成分>
キレート剤 - (a)成分に対する(c)成分の質量比が、(c)/(a)で、1以上、100以下である、請求項2記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
- 下記(d)成分を含有する、請求項1〜3の何れか1項記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
<(d)成分>
有機溶剤 - 下記(e)成分を含有する、請求項1〜4の何れか1項記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
<(e)成分>
アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれる無機塩 - 浴室用、台所用又はトイレ用である請求項1〜5の何れか1項記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
- 請求項1〜7の何れか1項記載の硬質表面用洗浄剤組成物を疎水性硬質表面に塗布して、洗浄することにより該疎水性硬質表面の親水性を向上させる方法。
- 請求項1〜7の何れか1項記載の硬質表面用洗浄剤組成物を、汚れが付着した疎水性硬質表面に適用した後、洗浄し水ですすぐことで、該疎水性硬質表面からの汚れの除去と該疎水性硬質表面への親水性の付与の両方を行う、疎水性硬質表面の処理方法。
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