JP2019201602A - 低酸素条件下におけるocculudin遺伝子、claudin遺伝子及びzo−1遺伝子の発現量を指標とするスクリーニング方法、並びにclaudin遺伝子の発現低下抑制剤、細胞接着装置の機能低下抑制剤、及び皮膚バリア機能の低下の改善又は予防剤 - Google Patents

低酸素条件下におけるocculudin遺伝子、claudin遺伝子及びzo−1遺伝子の発現量を指標とするスクリーニング方法、並びにclaudin遺伝子の発現低下抑制剤、細胞接着装置の機能低下抑制剤、及び皮膚バリア機能の低下の改善又は予防剤 Download PDF

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Abstract

【課題】肌の老化現象、特に加齢に伴う皮膚バリア機能の低下を改善又は予防する効果のある成分をスクリーニングするための新たな技術を提供する。【解決手段】低酸素条件で培養した細胞におけるocculudin遺伝子、claudin遺伝子、zo−1遺伝子及びcadherin遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とする。【選択図】図1

Description

本発明は細胞接着装置の機能の低下を抑制する成分のスクリーニング方法に関する。
近年、加齢に伴う人体の各組織の機能低下、すなわち老化現象を抑制することを目的とするアンチエイジングに関する研究が盛んに行われている。特に美容、化粧料の技術分野においては加齢に伴う肌のしわ、たるみ、しみなどの老化現象を抑制する有効成分の探索がされている。
例えば、特許文献1には、細胞における皮膚支帯成分の発現量を指標として、シワ改善、タルミ改善、ハリの低下防止、肌の弾力性の低下防止などの効果を有する有効成分をスクリーニングする方法が開示されている。
特許文献2には、細胞の核膜異常状態を指標として、シワの予防又は改善効果を有する成分をスクリーニングする方法が開示されている。
多細胞生物では、血液細胞などの浮遊細胞を除くすべての細胞は、他の細胞あるいは細胞外マトリックスに結合し組織や器官を形成している。細胞は、結合する装置として、結合部位に特殊な構造(結合装置)を形成する。この結合を総称して、細胞結合(cell junction)という。
脊椎動物の細胞結合(cell junction)は、固定結合(anchoring junction)、連絡結合(communicating junction)、及び閉鎖結合(occluding junctions)の3種類に分類される。
そして、固定結合に分類される細胞接着を実現する細胞接着装置としてアドヘレンスジャンクション(AJ:adherens−junction)、閉鎖結合に分類される細胞接着を実現する細胞接着装置としてタイトジャンクション(TJ:Tight−junction)が知られている。
タイトジャンクション及びアドヘレンスジャンクションは、細胞の周囲にベルト状に存在し、隣り合った細胞同士を密着させることにより隙間を塞ぐと共に、連続的に細胞を繋ぎ止める細胞間接着構造体である。皮膚組織において、TJは顆粒層の表皮細胞に存在しており、水や物質が細胞間隙を透過するのを防ぎ、皮膚バリア機能を維持するために重要な役割を果たしている(例えば、非特許文献1を参照)。また、アドヘレンスジャンクションの正常な形成がタイトジャンクションの形成に重要な役割を果たすことも知られている。
加齢に伴い皮膚バリア機能が弱まることで、肌が乾燥状態を呈することが知られている(非特許文献2)。
タイトジャンクション及びアドヘレンスジャンクションの機能を向上させる成分の探索も盛んに行われており、例えば、特許文献3にはTRPV受容体の活性化作用を指標とする皮膚バリア機能向上成分のスクリーニング方法が開示されている。
ところで、血液ガス分析による解析により、動脈血のpO(酸素分圧)が低下することが知られている(非特許文献3)。これは加齢に伴い人体の各組織が低酸素の状態に置かれることを示している。
このような知見により、低酸素状態と老化現象の関連が示唆されているが、低酸素状況下でどのような生理学的変化が起こることで老化が起こるのか、そのメカニズムの全容は明らかとなっていない。
特開2017−112918号公報 特開2013−257347号公報 特開2011−115152号公報
Denda M.et al.,J.Invest.Dermatol,127(3),654−659(2007) Journal of Geriatric Dermatology (1993)Vol.1,111−120 本老年医学会雑誌/15巻(1978)1号、「健康老年者の動脈血ガス分析値」、田口悦子ら、1978年
本発明の解決しようとする課題は、肌の老化現象、特に加齢に伴う皮膚バリア機能の低下を改善又は予防する効果のある成分をスクリーニングするための新たな技術を提供することにある。
上述の通り、皮膚のバリア機能は加齢に伴い低下する(非特許文献2)。一方、加齢に伴い動脈血の酸素濃度が低下することが知られていることから(非特許文献3)、本発明らは皮膚バリア機能の低下が低酸素条件によって惹起されている可能性に着目した。鋭意研究の結果、本発明者らは低酸素条件下に置かれた表皮細胞において、タイトジャンクションの形成に関わる遺伝子であるocculudin、claudin及びzo−1、並びにアドヘレンスジャンクションの形成に関わる遺伝子であるcadherin遺伝子の発現量の低下が観察されることを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決する本発明は、低酸素条件で培養した細胞におけるocculudin遺伝子、claudin遺伝子、zo−1遺伝子及びcadherin遺伝子から選ばれる遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とする、
低酸素条件及び/又は加齢による表皮の細胞接着装置の機能低下を抑制する成分のスクリーニング方法である。
本発明によれば、低酸素条件ないし加齢に伴う細胞接着装置の機能の低下を抑制する成分を簡便にスクリーニングすることができる。
本発明の好ましい形態では、低酸素条件で培養した細胞におけるocculudin遺伝子、claudin遺伝子及びzo−1遺伝子から選ばれる遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とする。
これにより、低酸素条件及び/又は加齢による表皮のタイトジャンクションの機能低下を抑制する成分をスクリーニングすることができる。
また、本発明の好ましい形態では、低酸素条件で培養した細胞におけるcadherin遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とする。
これにより、低酸素条件及び/又は加齢による表皮のアドヘレンスジャンクションの機能低下を抑制する成分をスクリーニングすることができる。
本発明の好ましい形態では、前記細胞がケラチノサイトである。
ケラチノサイトを用いることにより、より精度よく表皮のタイトジャンクション機能の低下を抑制する成分をスクリーニングすることができる。
本発明は抗老化成分のスクリーニング方法に応用することが好ましい。
本発明は加齢に伴う皮膚バリア機能の低下の改善又は予防成分のスクリーニング方法に応用することが好ましい。
本発明の好ましい形態では、被検成分の非存在下において低酸素条件で培養した細胞と比較して、被検成分の存在下において低酸素条件下で培養した細胞におけるocculudin遺伝子、claudin遺伝子及びzo−1遺伝子から選ばれる遺伝子の発現量が高い場合に、該被検成分を低酸素条件及び/又は加齢による表皮のタイトジャンクション機能低下を抑制する成分であると判定する。
このように対照試験を行う実施形態とすることにより、精度の高いスクリーニングを実現することができる。
本発明の好ましい実施の形態では、前記低酸素条件が、細胞培養雰囲気中の酸素濃度が5%以下の条件である。
このような条件下で細胞培養を行うことにより、より効果的に低酸素条件ないし加齢に伴うタイトジャンクション機能の低下を抑制する成分をスクリーニングすることができる。
本発明の好ましい形態では、vegf遺伝子の発現量の上昇を、低酸素条件で培養した細胞において低酸素応答が生じていることの指標とする。
このように低酸素応答反応のマーカーを同時に測定することにより、精度が高いことを確認しながらスクリーニングを行うことができる。
また、本発明は上述のスクリーニング方法により有効性が確認された成分を含む剤にも関する。具体的には、本発明は、シソ科ハッカ属(Lamiaceae Mentha)に属する植物の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする、低酸素条件及び/又は加齢によるclaudin遺伝子の発現低下抑制剤、表皮の細胞接着装置の機能低下抑制剤、及び加齢に伴う皮膚バリア機能の低下の改善又は予防剤にも関する。
本発明によれば、抗老化成分、具体的には低酸素条件及び/又は加齢による表皮のタイトジャンクション機能の低下を抑制する成分を容易にスクリーニングすることができる。
通常の酸素濃度条件、及び低酸素条件において培養した細胞におけるocculudin遺伝子、claudin遺伝子、zo−1遺伝子、及びcadherin遺伝子の発現量を表す棒グラフである。 セイヨウハッカ葉エキス又はユキノシタエキスを添加し、低酸素条件において培養した細胞におけるclaudin遺伝子の発現量を表す棒グラフである。
本発明は低酸素条件において進行する表皮の細胞接着装置の機能の低下を抑制する成分をスクリーニングする方法である。また、加齢に伴い組織が低酸素条件に置かれることから、本発明は、加齢による表皮の細胞接着装置の機能の低下を抑制する成分をもスクリーニングの対象とすることができる。
本発明は、低酸素条件で培養した細胞におけるocculudin遺伝子、claudin遺伝子、zo−1遺伝子及びcadherin遺伝子から選ばれる遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とすることを必須の構成とする。
これら4種の遺伝子のうち2種以上、より好ましくは3種以上、さらに好ましくは全種の発現低下の抑制効果を指標とする形態とすることによって、さらに精度よくスクリーニングを行うことができる。
表皮の細胞接着装置、特にタイトジャンクション機能は皮膚のバリア機能に重要な役割を果たしている。
したがって、本発明は、抗老化成分、より具体的には、加齢に伴う皮膚バリア機能の低下の改善又は予防成分のスクリーニング方法に応用することが好ましい。
以下、本発明の具体的な構成について説明を加える。
本発明に用いる細胞は、樹立された培養細胞株であってもよく、また、初代培養細胞であってもよい。細胞の種類も特に限定されないが、ケラチノサイトを用いることが好ましい。
細胞培養に用いる培地は使用する細胞に適した公知のものを制限なく用いることができる。
また、本発明においては生体より採取した皮膚、または培養皮膚三次元モデルを用いてもよい。皮膚としては、所望により体毛を除去し、生体より採取した皮膚断片であって、角層などを除いた、表皮顆粒層、表皮基底層及び真皮部分からなるものが好ましく、マウス、ラット、モルモット、ブタ、ウサギの皮膚断片が好ましい。
培養皮膚三次元モデルとしては、ヒト又はヒトを除く動物の皮膚より採取した、正常な(癌化していない)ケラチノサイト、フィブロブラストなどの皮膚細胞を培養し、三次元構造を構築し、皮膚の構造に疑似させたものが好ましく、このような形態の市販品を購入して使用することもできる。好ましい市販品としては、例えば、倉敷紡績株式会社から販売されている「EPI−200」(正常培養ヒト三次元皮膚モデル)などが好適に例示できる。
本発明においては低酸素条件で細胞を培養することが必須である。通常の細胞培養におけるCOインキュベーターにおいて酸素濃度は18〜19%程度であるので、これよりも低い酸素濃度で細胞を培養する。具体的には、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下の酸素濃度で細胞を培養する。
酸素濃度の下限は培養細胞が死滅しなければ特に制限されないが、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.5%以上の酸素濃度で細胞を培養する。
低酸素条件での細胞培養においては、炭酸ガスの他に窒素ガスや混合ガスなどのボンベを併設した低酸素濃度培養用COインキュベーター(例えば、池本理化工業社製)を用いてもよいし、ガス濃度調節剤を備えるガスバリア性パウチからなる低酸素培養器具(例えば、スギヤマ技研製)を用いてもよい。
本発明においては低酸素条件下で培養している細胞の培地に被検成分を添加し、所定の期間培養を継続した後にocculudin遺伝子、claudin遺伝子、zo−1遺伝子及びcadherin遺伝子から選ばれる遺伝子の発現量を測定する。
これら遺伝子の発現量の測定方法は限定されず、回収した細胞におけるこれら遺伝子のmRNA量をRT−PCRによって測定する方法が好ましく例示できる。
低酸素条件で細胞を培養するとocculudin遺伝子、claudin遺伝子、zo−1遺伝子及びcadherin遺伝子の発現量が低下する。本発明においては、被検成分を培地に添加したとき、低酸素条件におけるこれら遺伝子群から選ばれる少なくとも1種、好ましくは2種、より好ましくは3種、さらに好ましくは4種の遺伝子の発現低下の程度が低減した場合に、当該被検成分が低酸素条件及び/又は加齢による表皮の細胞接着装置の機能の低下を抑制する成分であると判定し選択する。
被検成分が低酸素条件におけるこれら遺伝子の発現低下の抑制効果を有しているか否か正確に判定するために対照実験も実施することが好ましい。
すなわち、被検成分の非存在下において低酸素条件で培養した細胞を対照として、被検成分の存在下において低酸素条件下で培養した細胞におけるこれら遺伝子の発現量を比較する。前者よりも後者の方がこれら遺伝子の発現量が高い場合に、該被検成分を低酸素条件及び/又は加齢による表皮の細胞接着装置の機能の低下を抑制する成分であると判定することが好ましい。
本発明のスクリーニング方法によれば、低酸素条件及び/又は加齢による細胞接着装置の機能低下を抑制する成分をスクリーニングすることができる。そして、本発明は、上記スクリーニング方法により見出された、成分を有効成分として含む剤にも関する。
低酸素条件及び/又は加齢による細胞接着装置の機能低下を抑制する成分としては、シソ科ハッカ属(Lamiaceae Mentha)に属する植物の抽出物を挙げることができる。
シソ科ハッカ属に属する植物としては、特に限定されないが、セイヨウハッカ(Mentha piperita)を例示することができる。
本発明における前記植物の抽出物は、日本又は外国において自生又は生育された植物、漢方生薬原料などとして販売されるものを用い抽出物を作製することもできるし、丸善株式会社などの植物抽出物を扱う会社より販売されている市販の抽出物を購入し、使用することもできる。
植物抽出物は、植物抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物ないしは画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとし、植物由来の抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等が挙げられる。
抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花穂、花蕾等の部位を使用することできるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。
抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3−ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される1種乃至は2種以上が好適なものとして例示することができる。
具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位又はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1〜30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却し後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
本発明の剤は、製剤化に用いられる任意の成分と適宜組み合わせて、外用剤又は経口剤の形態とすることが好ましい。
外用剤としては、例えば、化粧料、医薬部外品、皮膚外用医薬等の形態が挙げられる。また、それらの剤形は特に制限されない。中でも、加齢に伴う皮膚のたるみを改善又は予防するという用途との関係から、継続的に使用可能な化粧料の形態が好ましく、中でも、化粧水、美容液、乳液、クリーム、ジェル、サンケア品等の形態が好ましい。
また、経口剤とする場合には、本発明の剤を有効成分として含む食品用組成物の形態とすることが好ましい。より具体的には、一般食品、錠剤、顆粒剤、ドリンク剤等の剤形を有するサプリメントの形態とすることが好ましい。
外用剤における植物抽出物の含有量(抽出物の場合は乾燥質量)は、通常、0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上であり、通常80質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
また、経口剤の場合には、剤形に応じて、1回あたりの摂取量が抽出物の乾燥質量として、通常、0.1mg以上、好ましくは1mg以上、より好ましくは10mg以上であり、通常2000mg以下、好ましくは1000mg以下、より好ましくは500mg以下である。
化粧料の形態とする場合には、通常化粧料で使用される任意成分を含有していてもよい。任意成分としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等のポリオール、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、表面処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面処理されていても良い、酸化コバルト、群青、紺青、酸化亜鉛の無機顔料類、表面処理されていても良い、酸化鉄二酸化チタン焼結体等の複合顔料、表面処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類が挙げられる。
<試験例1>
新生児ヒト正常ケラチノサイトを、KG2培地で4穴プレートに播種し、一日培養した。
ケラチノサイトを分化させるため、培地にCaを添加し(Ca終濃度:1.45mM))、脱酸素剤を備えた低酸素培養器具(BIONIX、スギヤマ技研製)にプレートを封入し、酸素濃度1%に調節したうえで培養を継続した。このとき、対照として脱酸素剤を除いた低酸素培養器具にプレートを封入し、培養を継続した細胞も用意した。それから2日間培養を継続した細胞から、以下の手順によりmRNAを抽出した。
PBSによってウェル内の細胞を洗浄したのち、RNeasy Lipid Tissue Kit(QIAGEN社)のQIAzol Lysis Reagentを添加(1mL/ウェル)し、細胞からmRNAを抽出した。
Superscript VILO cDNA Synthesis Kit(Life Technologies社)により、抽出したmRNAをcDNAとした。
QuantiTect Primer Assayを用いてリアルタイムPCRを行い、occuludin遺伝子、claudin遺伝子、zo−1遺伝子及びcadherin遺伝子の発現量を測定した。結果を図1に示す。
図1に示すように、occuludin遺伝子、claudin遺伝子、zo−1遺伝子及びcadherin遺伝子の発現量は低酸素条件での培養により顕著に低下した。
occuludin遺伝子、claudin遺伝子及びzo−1遺伝子の産物であるオクルディン、クローディン及びZO−1は、タイトジャンクションの構成タンパク質である。また、cadherin遺伝子の産物であるカドヘリンはアドヘレンスジャンクションの構成タンパク質である。
つまり、図1に示した結果は、低酸素条件においてはタイトジャンクション、アドヘレンスジャンクションを構成するオクルディン、クローディン、ZO−1及びカドヘリンの生産量が低下し、タイトジャンクション及びアドヘレンスジャンクションといった細胞接着装置の機能が低下することを示している。
この結果は、加齢によって表皮が低酸素条件に置かれると、タイトジャンクション又はアドヘレンスジャンクションを構成するオクルディン、クローディン、ZO−1及びカドヘリンの生産量が低下し、表皮の細胞接着装置の機能が低下することを示している。これは、低酸素条件においてocculudin遺伝子、claudin遺伝子、zo−1遺伝子及びcadherin遺伝子の発現低下を抑制することができる成分は、細胞接着装置の機能低下を抑制できることを示している。
つまり、この結果は、低酸素条件で培養した細胞におけるocculudin遺伝子、claudin遺伝子、zo−1遺伝子及びcadherin遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とすることで、低酸素条件ないし加齢による表皮の細胞接着装置の機能の低下を抑制する成分をスクリーニングできることを示している。
<試験例2>
新生児ヒト正常ケラチノサイトを24穴プレートに1.07×10cell/wellで播種した。24時間後、高Ca2+培地(KG2培地に1.3M CaCl水溶液を1/1000量添加したもの)に交換し、そこへ被検成分であるセイヨウハッカ葉エキスとユキノシタエキスを添加し、脱酸素剤を備えた低酸素培養器具(BIONIX、スギヤマ技研製)にプレートを封入し、酸素濃度1%に調節したうえで培養を継続した。このとき、被検成分を添加しなかったプレートを対照として用意し、同様に培養を行った。
48時間後、試験例1と同様の方法でmRNAを抽出し、これを逆転写してcDNAライブラリーを作製し、リアルタイムPCRによってclaudin遺伝子の発現量を測定した。結果を図2に示す。
図2に示すように、セイヨウハッカ葉エキスは、低酸素条件下におけるclaudin遺伝子の発現量の低下を有意に抑制する効果を発揮した。一方、ユキノシタエキスには、このような有意な効果が見られなかった。
本試験例により、低酸素条件で培養した細胞におけるclaudin遺伝子の発現量の低下の抑制効果を指標とすることで、低酸素条件ないし加齢による表皮の細胞接着装置の機能の低下を抑制する成分をスクリーニングできることが確認できた。
また、この結果は、シソ科ハッカ属に属する植物の抽出物を有効成分として含む剤は、低酸素条件及び/又は加齢によるclaudin遺伝子の発現の低下抑制効果、表皮の細胞接着装置の機能低下抑制効果、並びに加齢に伴う皮膚バリア機能の改善効果又は予防効果を発揮することを示している。
本発明はアンチエイジングに関する有効成分の探索に応用することができる。

Claims (11)

  1. 低酸素条件で培養した細胞におけるocculudin遺伝子、claudin遺伝子、zo−1遺伝子及びcadherin遺伝子から選ばれる遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とする、
    低酸素条件及び/又は加齢による表皮の細胞接着装置の機能低下を抑制する成分のスクリーニング方法。
  2. 低酸素条件で培養した細胞におけるocculudin遺伝子、claudin遺伝子及びzo−1遺伝子から選ばれる遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とし、
    低酸素条件及び/又は加齢による表皮のタイトジャンクションの機能低下を抑制する成分をスクリーニングすることを特徴とする、請求項1に記載のスクリーニング方法。
  3. 低酸素条件で培養した細胞におけるcadherin遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とし、
    低酸素条件及び/又は加齢による表皮のアドヘレンスジャンクションの機能低下を抑制する成分をスクリーニングすることを特徴とする、請求項1に記載のスクリーニング方法。
  4. 前記細胞がケラチノサイトであることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のスクリーニング方法。
  5. 抗老化成分のスクリーニング方法であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のスクリーニング方法。
  6. 加齢に伴う皮膚バリア機能の低下の改善又は予防成分のスクリーニング方法であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載のスクリーニング方法。
  7. 被検成分の非存在下において低酸素条件で培養した細胞と比較して、被検成分の存在下において低酸素条件下で培養した細胞におけるocculudin遺伝子、claudin遺伝子、zo−1遺伝子及びcadherin遺伝子から選ばれる遺伝子の発現量が高い場合に、該被検成分を低酸素条件及び/又は加齢による表皮の細胞接着装置の機能低下を抑制する成分であると判定することを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載のスクリーニング方法。
  8. 前記低酸素条件が、細胞培養雰囲気中の酸素濃度が5%以下の条件であることを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載のスクリーニング方法。
  9. シソ科ハッカ属(Lamiaceae Mentha)に属する植物の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする、低酸素条件及び/又は加齢によるclaudin遺伝子の発現低下抑制剤。
  10. シソ科ハッカ属(Lamiaceae Mentha)に属する植物の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする、低酸素条件及び/又は加齢による表皮の細胞接着装置の機能低下抑制剤。
  11. シソ科ハッカ属(Lamiaceae Mentha)に属する植物の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする、加齢に伴う皮膚バリア機能の低下の改善又は予防剤。
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