JP7237465B2 - 低酸素条件下におけるoccludin遺伝子、claudin遺伝子及びzo-1遺伝子の発現量を指標とするスクリーニング方法、並びにclaudin遺伝子の発現低下抑制剤、細胞接着装置の機能低下抑制剤、及び皮膚バリア機能の低下の改善又は予防剤 - Google Patents
低酸素条件下におけるoccludin遺伝子、claudin遺伝子及びzo-1遺伝子の発現量を指標とするスクリーニング方法、並びにclaudin遺伝子の発現低下抑制剤、細胞接着装置の機能低下抑制剤、及び皮膚バリア機能の低下の改善又は予防剤 Download PDFInfo
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Description
特許文献2には、細胞の核膜異常状態を指標として、シワの予防又は改善効果を有する成分をスクリーニングする方法が開示されている。
脊椎動物の細胞結合(cell junction)は、固定結合(anchoring junction)、連絡結合(communicating junction)、及び閉鎖結合(occluding junctions)の3種類に分類される。
そして、固定結合に分類される細胞接着を実現する細胞接着装置としてアドヘレンスジャンクション(AJ:adherens-junction)、閉鎖結合に分類される細胞接着を実現する細胞接着装置としてタイトジャンクション(TJ:Tight-junction)が知られている。
加齢に伴い皮膚バリア機能が弱まることで、肌が乾燥状態を呈することが知られている(非特許文献2)。
このような知見により、低酸素状態と老化現象の関連が示唆されているが、低酸素状況下でどのような生理学的変化が起こることで老化が起こるのか、そのメカニズムの全容は明らかとなっていない。
低酸素条件及び/又は加齢による表皮の細胞接着装置の機能低下を抑制する成分のスクリーニング方法である。
本発明によれば、低酸素条件ないし加齢に伴う細胞接着装置の機能の低下を抑制する成分を簡便にスクリーニングすることができる。
これにより、低酸素条件及び/又は加齢による表皮のタイトジャンクションの機能低下を抑制する成分をスクリーニングすることができる。
これにより、低酸素条件及び/又は加齢による表皮のアドヘレンスジャンクションの機能低下を抑制する成分をスクリーニングすることができる。
ケラチノサイトを用いることにより、より精度よく表皮のタイトジャンクション機能の低下を抑制する成分をスクリーニングすることができる。
このように対照試験を行う実施形態とすることにより、精度の高いスクリーニングを実現することができる。
このような条件下で細胞培養を行うことにより、より効果的に低酸素条件ないし加齢に伴うタイトジャンクション機能の低下を抑制する成分をスクリーニングすることができる。
このように低酸素応答反応のマーカーを同時に測定することにより、精度が高いことを確認しながらスクリーニングを行うことができる。
これら4種の遺伝子のうち2種以上、より好ましくは3種以上、さらに好ましくは全種の発現低下の抑制効果を指標とする形態とすることによって、さらに精度よくスクリーニングを行うことができる。
したがって、本発明は、抗老化成分、より具体的には、加齢に伴う皮膚バリア機能の低下の改善又は予防成分のスクリーニング方法に応用することが好ましい。
本発明に用いる細胞は、樹立された培養細胞株であってもよく、また、初代培養細胞であってもよい。細胞の種類も特に限定されないが、ケラチノサイトを用いることが好ましい。
細胞培養に用いる培地は使用する細胞に適した公知のものを制限なく用いることができる。
酸素濃度の下限は培養細胞が死滅しなければ特に制限されないが、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.5%以上の酸素濃度で細胞を培養する。
これら遺伝子の発現量の測定方法は限定されず、回収した細胞におけるこれら遺伝子のmRNA量をRT-PCRによって測定する方法が好ましく例示できる。
すなわち、被検成分の非存在下において低酸素条件で培養した細胞を対照として、被検成分の存在下において低酸素条件下で培養した細胞におけるこれら遺伝子の発現量を比較する。前者よりも後者の方がこれら遺伝子の発現量が高い場合に、該被検成分を低酸素条件及び/又は加齢による表皮の細胞接着装置の機能の低下を抑制する成分であると判定することが好ましい。
シソ科ハッカ属に属する植物としては、特に限定されないが、セイヨウハッカ(Mentha piperita)を例示することができる。
抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される1種乃至は2種以上が好適なものとして例示することができる。
外用剤としては、例えば、化粧料、医薬部外品、皮膚外用医薬等の形態が挙げられる。また、それらの剤形は特に制限されない。中でも、加齢に伴う皮膚のたるみを改善又は予防するという用途との関係から、継続的に使用可能な化粧料の形態が好ましく、中でも、化粧水、美容液、乳液、クリーム、ジェル、サンケア品等の形態が好ましい。
新生児ヒト正常ケラチノサイトを、KG2培地で4穴プレートに播種し、一日培養した。
ケラチノサイトを分化させるため、培地にCaを添加し(Ca終濃度:1.45mM))、脱酸素剤を備えた低酸素培養器具(BIONIX、スギヤマ技研製)にプレートを封入し、酸素濃度1%に調節したうえで培養を継続した。このとき、対照として脱酸素剤を除いた低酸素培養器具にプレートを封入し、培養を継続した細胞も用意した。それから2日間培養を継続した細胞から、以下の手順によりmRNAを抽出した。
Superscript VILO cDNA Synthesis Kit(Life Technologies社)により、抽出したmRNAをcDNAとした。
QuantiTect Primer Assayを用いてリアルタイムPCRを行い、occludin遺伝子、claudin遺伝子、zo-1遺伝子及びcadherin遺伝子の発現量を測定した。結果を図1に示す。
つまり、図1に示した結果は、低酸素条件においてはタイトジャンクション、アドヘレンスジャンクションを構成するオクルディン、クローディン、ZO-1及びカドヘリンの生産量が低下し、タイトジャンクション及びアドヘレンスジャンクションといった細胞接着装置の機能が低下することを示している。
つまり、この結果は、低酸素条件で培養した細胞におけるoccludin遺伝子、claudin遺伝子、zo-1遺伝子及びcadherin遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とすることで、低酸素条件ないし加齢による表皮の細胞接着装置の機能の低下を抑制する成分をスクリーニングできることを示している。
新生児ヒト正常ケラチノサイトを24穴プレートに1.07×105cell/wellで播種した。24時間後、高Ca2+培地(KG2培地に1.3M CaCl2水溶液を1/1000量添加したもの)に交換し、そこへ被検成分であるセイヨウハッカ葉エキスとユキノシタエキスを添加し、脱酸素剤を備えた低酸素培養器具(BIONIX、スギヤマ技研製)にプレートを封入し、酸素濃度1%に調節したうえで培養を継続した。このとき、被検成分を添加しなかったプレートを対照として用意し、同様に培養を行った。
48時間後、試験例1と同様の方法でmRNAを抽出し、これを逆転写してcDNAライブラリーを作製し、リアルタイムPCRによってclaudin遺伝子の発現量を測定した。結果を図2に示す。
本試験例により、低酸素条件で培養した細胞におけるclaudin遺伝子の発現量の低下の抑制効果を指標とすることで、低酸素条件ないし加齢による表皮の細胞接着装置の機能の低下を抑制する成分をスクリーニングできることが確認できた。
Claims (10)
- 低酸素条件で培養した細胞におけるoccludin遺伝子、claudin遺伝子、zo-1遺伝子及びcadherin遺伝子から選ばれる遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とする、
低酸素条件及び/又は加齢に伴う低酸素条件による表皮の細胞接着装置の機能低下を抑制する成分のスクリーニング方法。 - 低酸素条件で培養した細胞におけるoccludin遺伝子、claudin遺伝子及びzo-1遺伝子から選ばれる遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とし、
低酸素条件及び/又は加齢に伴う低酸素条件による表皮のタイトジャンクションの機能低下を抑制する成分をスクリーニングすることを特徴とする、請求項1に記載のスクリーニング方法。 - 低酸素条件で培養した細胞におけるcadherin遺伝子の発現低下の抑制効果を指標とし、
低酸素条件及び/又は加齢に伴う低酸素条件による表皮のアドヘレンスジャンクションの機能低下を抑制する成分をスクリーニングすることを特徴とする、請求項1に記載のスクリーニング方法。 - 前記細胞がケラチノサイトであることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のスクリーニング方法。
- 加齢に伴う低酸素状態による皮膚バリア機能の低下の改善又は予防成分のスクリーニング方法であることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載のスクリーニング方法。
- 被検成分の非存在下において低酸素条件で培養した細胞と比較して、被検成分の存在下において低酸素条件下で培養した細胞におけるoccludin遺伝子、claudin遺伝子、zo-1遺伝子及びcadherin遺伝子から選ばれる遺伝子の発現が高い場合に、該被検成分を低酸素条件及び/又は加齢に伴う低酸素条件による表皮の細胞接着装置の機能低下を抑制する成分であると判定することを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載のスクリーニング方法。
- 前記低酸素条件が、細胞培養雰囲気中の酸素濃度が5%以下(ただし、3%以上8%以下を除く)の条件であることを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載のスクリーニング方法。
- セイヨウハッカ葉エキスを有効成分として含むことを特徴とする、低酸素条件及び/又は加齢に伴う低酸素条件によるclaudin遺伝子の発現低下抑制剤。
- セイヨウハッカ葉エキスを有効成分として含むことを特徴とする、低酸素条件及び/又は加齢に伴う低酸素条件による表皮細胞接着装置の機能低下抑制剤(但し、セイヨウハッカ葉エキスと、チンピエキス、ローズマリーエキス及びプルーンエキスからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物エキスと、を含有するコーニファイドエンベロープ形成促進剤を除く)。
- セイヨウハッカ葉エキスを有効成分として含むことを特徴とする、加齢に伴う低酸素状態による皮膚バリア機能の低下の改善又は予防剤(但し、ブナ科ブナ属植物の抽出物、及び、下記一般式(1)または(2)で表される1-アシルリゾリン脂質を含むもの、並びに、セイヨウハッカ葉エキスと、チンピエキス、ローズマリーエキス及びプルーンエキスからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物エキスと、を含有するコーニファイドエンベロープ形成促進剤を除く):
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