JP2019193918A - ガス分離用複合膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスの選択透過性(分離度)がより高いガス分離膜、特に水蒸気を含む混合ガスから水蒸気を分離する際のガスの分離度が高いガス分離膜を提供する。【解決手段】ポリイミドで構成される微多孔膜の支持体上にビニルアセタール系共重合体をコーティングすることにより製造した中空糸膜、平膜、管状膜等の複合膜であり、該複合膜の透水量が測定圧力0.1MPaおよび測定温度25℃の条件下において、10L/m2・day以下とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ガス分離用複合膜およびその製造方法、ならびに該ガス分離用複合膜を用いたガス分離方法、特に除湿または加湿方法に関する。
種々の混合ガスのガス分離工程においてガス分離膜が使用されており、これらの多くは、ガス選択透過性が高いガラス状ポリマーで形成されたガス分離膜である。ガス分離膜として、高強度材料(例えばポリイミド)で構成された膜が知られている。
例えば、特許文献1においては、少なくとも1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーの混合物で非対称膜を形成することによって、多孔質層の膜透過成分が膜を透過するときのガス透過抵抗を小さくしながら、かつ、膜の機械的強度を実用レベル以上に保持し得るガス分離膜について記載されている。
特開2002−172311号公報
しかしながら、ガスの選択透過性(分離度)がより高いガス分離膜、特に水蒸気を含む混合ガスから水蒸気を分離する際のガスの分離度が高いガス分離膜の開発が求められていた。
本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
1. 支持体上にビニルアセタール系共重合体がコーティングされた複合膜であって、
複合膜の透水量が10L/m・day以下(測定圧力:0.1MPa、測定温度:25℃)であることを特徴とする、ガス分離用複合膜。
2. 前記支持体がポリイミドで構成されることを特徴とする、上記1に記載のガス分離用複合膜。
3. 除湿膜または加湿膜であることを特徴とする、上記1または2に記載のガス分離用複合膜。
4. 水蒸気透過速度(P’H2O)が300×10−5cc(STP)/cm・sec・cmHg以上であり、且つ窒素透過速度(P’N2)が1.0×10−5cc(STP)/cm・sec・cmHg以下であることを特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載のガス分離用複合膜。
5. 上記1〜4のいずれかに記載のガス分離用複合膜を用いて、複数のガスを含む混合ガスから特定のガスを選択的に分離回収する方法。
本発明のガス分離用複合膜は、ガスの選択透過性が高い。このため、本発明の複合膜を用いると高効率でよりコンパクトな高性能中空糸ガス分離膜モジュールを提供でき、高効率でガス分離を実現できる。特に、水蒸気を含む混合ガスから水蒸気を分離する(除湿または加湿する)場合には、極めて高効率にガス分離を実施することができる。
本実施形態のガス分離用複合膜(単に「複合膜」とも記載する)の一態様は、支持体上にビニルアセタール系共重合体がコーティングされ、透水量が10L/m・day(測定圧力:0.1MPa、測定温度:25℃)以下であるのが好ましい。本実施形態のガス分離用複合膜は、ガスの選択透過性に優れ、複数種のガスを含む混合ガスから特定のガスを選択的に分離回収するのに好適に用いることができ、特に水蒸気を含む混合ガスから水蒸気を分離するのに好適である。また、本実施形態のガス分離用複合膜は、実用レベル以上に十分なガスの透過速度を有する。以下、詳細に説明する。
<ガス分離用複合膜>
本実施形態のガス分離用複合膜(「複合膜」または「ガス分離膜」とも記載する)は支持体上にビニルアセタール系共重合体がコーティングされている。支持体は微多孔膜であるのが好ましく、この支持体の表面にビニルアセタール系共重合体が付着している。複合膜は任意の形態であってよく、例えば中空糸膜、平膜、管状膜等が挙げられ、有効表面積が広く耐圧性が高いという利点を持つため、中空糸膜であるのが好ましく、内径が約10〜3000μmで外径が約30〜7000μmの非対称中空糸膜であることがより好ましい。複合膜の厚みは、特に限定されないが、20μm〜4000μmであるのが好ましい。
本実施形態の複合膜は、透水量が、測定圧力0.1MPaおよび測定温度25℃の条件下において、好ましくは10L/m・day以下であり、より好ましくは5L/m・day以下であり、さらに好ましくは3L/m・day以下であり、よりさらに好ましくは1L/m・day以下であり、0.5L/m・day以下であってもよい。透水量の下限値は特に限定されず0L/m・dayであってもよいが、好ましくは0.01L/m・day以上である。透水量は実施例に記載の方法により測定することができる。本発明の発明者らは、ビニルアセタール系共重合体がコーティングされた複合膜において、透水量が10L/m・day以下であると、HOとNの選択性が非常に高いガス分離用複合膜が得られることを見出した。
本実施形態の複合膜は、ガスの選択透過性(分離度)が高く、特に、水蒸気を含む混合ガスから水蒸気を分離するのに好適である。複合膜の水蒸気透過速度(P’H20)は、300×10−5cc(STP)/cm・sec・cmHg以上であるのが好ましく、320×10−5cc(STP)/cm・sec・cmHg以上であるのがより好ましく、上限は特に限定されないが、例えば1000×10−5cc(STP)/cm・sec・cmHg以下である。複合膜の窒素透過速度(P’N2)は、1.0×10−5cc(STP)/cm・sec・cmHg以下であるのが好ましく、0.8×10−5cc(STP)/cm・sec・cmHg以下であるのがより好ましく、下限は特に限定されないが、例えば0.05×10−5cc(STP)/cm・sec・cmHg以上である。ここで、本明細書において、「STP」は、0℃、1atmを意味し、「Standard Temperature and Pressure」の略語である。
本実施形態の複合膜は、水蒸気と窒素の透過速度比(P’H2O/P’N2)が、100以上であるのが好ましく、300以上であるのがより好ましい。また、該透過速度比の上限は特に限定されないが、通常100000以下である。なお、本明細書において、膜の水蒸気と窒素の透過速度比(P’H2O/P’N2)は、35℃におけるものである。
以下、本実施形態のガス分離用複合膜を構成する支持体およびビニルアセタール系共重合体、ならびにガス分離用複合膜の製造方法等について詳細に説明する。
<支持体>
本実施形態の複合膜を構成する支持体(ビニルアセタール系共重合体がコーティングされる前の支持体)は、微多孔(細孔)を有する膜(「微多孔膜」とも記載する)であるのが好ましい。支持体は任意の形態であってよく、例えば中空糸膜、平膜、管状膜等が挙げられ、中空糸膜であるのが好ましい。また、微多孔膜は、膜厚方向に細孔の孔径が変化する非対称な構造を有する中空糸膜が好ましい。具体的には、中空糸膜内の細孔の孔径が、中空糸膜の内側面から外側面に向かって漸次的に小さくまたは大きくなる傾斜構造を有するのが好ましい。支持体の孔径は、例えば、支持体の窒素透過速度(P’N2)が、300×10−5〜3000×10−5cc(STP)/cm・sec・cmHgとなるように形成されているのが好ましい。
支持体を構成する材料は、特に限定されないが、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート等で構成されるのが好ましく、ポリイミドで構成されるのがより好ましい。支持体がポリイミドで構成されると、機械的強度に優れた複合膜が得られる。
以下、支持体を構成する材料の一態様として下記一般式(1)で示される反復単位を含む芳香族ポリイミドについて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記一般式(1)中、Bはテトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットであり、Aはジアミン成分に起因する2価のユニットである。一般式(1)で表される芳香族ポリイミドを構成するユニットについて以下に詳述する。
ユニットBは、テトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットであり、下記式(B2)で示されるビフェニル構造に基づくユニットB2で形成されることが好ましい。ユニットBを構成する全ユニット量に対するユニットB2の含有量は、好ましくは80モル%超え、より好ましくは90モル%以上であり、100モル%であってもよい。ユニットBの全含有量に対し20mol%以下であれば、B2以外のその他のユニットを含んでもよい。ユニットB2を多く含むことにより、得られるポリイミドの耐加水分解性が向上する。
ユニットAは、ジアミン成分に起因する2価のユニットであり、下記式(A1)で表されるユニットA1および下記式(A2)で表されるユニットA2から選ばれる少なくとも一種を含むのが好ましい。
式(A2)中、Arは、下記化学式(Ar1)〜化学式(Ar6)で示される残基の群から選ばれる1種以上の2価の残基である。
本発明の一態様として、ユニットAが、式(A1)で表されるユニットA1および/または式(A2)で表されるユニットA2を有するとき、ユニットAの全ユニット量に対し、ユニットA1およびユニットA2の合計が90〜100モル%であるのが好ましい。
また、本発明の一態様として、ユニットAの全ユニット量に対し、ユニットA1が50モル%以上であるのが好ましく、70モル%以上であるのが好ましく、90モル%以上であるのがさらに好ましく、100モル%であってもよい。
本実施形態の好ましい一態様として、一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミドにおいて、ユニットBがユニットB2を含み、かつ、ユニットAがユニットA1および/またはユニットA2を含む。
次に、芳香族ポリイミドの前記各ユニットを導入できるモノマー成分について説明する。
テトラカルボン酸成分とは、一般式(1)で示される反復単位から構成されるポリイミドに、4価の残基Bを導入することができる成分のことである。
前記式(B2)で示されるビフェニル構造からなるユニットを導入することができるテトラカルボン酸成分として、ビフェニルテトラカルボン酸、その二無水物、又はそのエステル化物などのビフェニルテトラカルボン酸類を用いることによって得られる。前記ビフェニルテトラカルボン酸類としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、それらの二無水物、又はそれらのエステル化物を好適に用いることができるが、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、その二無水物、又はそのエステル化物が好ましく、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物がより好ましい。
上記で示される化合物以外のテトラカルボン酸類は、本発明の効果を損なわず、場合によっては性能をさらに改良し得る化合物が選ばれる。例えば、(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸類、ピロメリット酸類、ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸類、ベンゾフェノンテトラカルボン酸類、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸類、ナフタレンテトラカルボン酸類、ジフェニルメタンテトラカルボン酸類、ジフェニルプロパンテトラカルボン類等を挙げることができる。
ジアミン成分とは、一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミドに、2価の残基Aを導入することができる成分のことである。
ジアミン成分としては、以下のものが挙げられる。式(A1)で表される残基を導入することができる芳香族ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(44DADE)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34DADE)、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル(24DADE)、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル(33DADE)、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル(23DADE)、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル(22DADE)等のジアミノジフェニルエーテル類を挙げることができる。その中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(44DADE)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34DADE)が特に好ましい。
式(A2)で表される残基を導入するためのジアミン成分としては、化学式(Ar1)で示されるAr基を有するビス(アミノフェノキシ)ベンゼン類、化学式(Ar2)で示されるAr基を有するビス(アミノフェノキシ)ビフェニル類、化学式(Ar3)で示されるAr基を有するビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン類、化学式(Ar4)で示されるAr基を有するビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン類、化学式(Ar5)で示されるAr基を有するビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン類、化学式(Ar6)で示されるAr基を有するビス(アミノフェノキシ)ナフタレン類が挙げられる。
化学式(Ar1)で示されるAr基を有するビス(アミノフェノキシ)ベンゼン類としては、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPEQ)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられ、その中でも、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPEQ)が特に好ましい。
化学式(Ar2)で示されるAr基を有するビス(アミノフェノキシ)ビフェニル類としては、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル等が挙げられ、その中でも、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)が特に好ましい。
化学式(Ar3)で示されるAr基を有するビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン類としては、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(4−フェニル))プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェノキシ(4−フェニル))プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(3−フェニル))プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェノキシ(3−フェニル))プロパン等が挙げられ、その中でも、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(4−フェニル))プロパンが特に好ましい。
化学式(Ar4)で示されるAr基を有するビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン類としては、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(4−フェニル))ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェノキシ(4−フェニル))ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(3−フェニル))ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェノキシ(3−フェニル))ヘキサフルオロプロパン等が挙げられ、その中でも、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(4−フェニル))ヘキサフルオロプロパンが特に好ましい。
化学式(Ar5)で示されるAr基を有するビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン類としては、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン等が挙げられ、その中でも、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホンが特に好ましい。
化学式(Ar6)で示されるAr基を有するビス(アミノフェノキシ)ナフタレン類としては、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ナフタレン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ナフタレン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ナフタレンを挙げることができる。その中でも、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ナフタレンが好ましい。
本発明の好ましい一態様として、ガス分離膜を構成するポリイミドが、式(1)において、ユニットBの全ユニット量に対し、40モル%以上(100モル%であってもよい)が3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に基づくユニットであり、かつ、ユニットAの全ユニット量に対し、50モル%以上、より好ましくは80モル%以上(100モル%であってもよい)が4,4’−ジアミノジフェニルエーテルに基づくユニットであるポリイミドを、60重量%以上(100重量%であってもよい)含むのが好ましい。
本実施形態において、ポリイミドは反復単位の総数に対し、式(1)で示される反復単位の数の比率が好ましくは80モル%以上であり、100モル%であってもよい。
ポリイミドは、1種のみであってもよいし、2種以上を併用してもよい。
<ビニルアセタール系共重合体>
本実施形態の複合膜は、支持体上にビニルアセタール系共重合体がコーティングされているのが好ましい。
ビニルアセタール系共重合体として、例えば、下記式(I)で表される化合物が好ましい。
式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基であり、CH、C、C(ノルマルプロピル基またはイソプロピル基)、フェニル基等が好ましく、CHがより好ましい。l+m+n=100モル%としたとき、l+m=10〜70モル%、n=30〜90モル%であるのが好ましい。親水性のモノマー単位の数であるnの数を調整することにより、複合膜の耐水性を調整することができる。
ビニルアセタール系共重合体の数平均分子量は、特に限定されないが、100〜100,000が好ましい。なお、本明細書において、数平均分子量または重量平均分子量は次のようにして求めた値とする。まず、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定結果から、標準物質としての単分散分子量のポリスチレンの検量線を用いて、分子量分布を得る。続いて、得られた分子量分布から、重量平均分子量または数平均分子量を算出できる。
ビニルアセタール系共重合体は1種を単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもよい。
<ポリイミド溶液の調製>
本実施形態の一態様として、支持体の製造に用いることができるポリイミド溶液の調製方法について説明する。ポリイミド溶液の調製は、有機極性溶媒中にテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを所定の組成比で加え、室温程度の低温で重合反応させてポリアミド酸を生成し次いで加熱して加熱イミド化するか、又は無水酢酸等の脱水剤およびピリジンなどを加えて化学イミド化する2段法、または、有機極性溶媒中にテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを所定の組成比で加え、好ましくは100〜250℃、より好ましくは130〜200℃程度の高温で重合イミド化反応させる1段法によって好適に行われる。加熱によってイミド化反応を行うときは脱離する水またはアルコールを除去しながら行うことが好適である。有機極性溶媒に対するテトラカルボン酸成分とジアミン成分の使用量は、溶媒中のポリイミドの固形分濃度が5〜50重量%程度好ましくは5〜40重量%になるようにするのが好適である。テトラカルボン酸成分とジアミン成分との混合比は、例えば、略等モル、好ましくはテトラカルボン酸成分に対するジアミン成分のモル比[ジアミン成分のモル数/テトラカルボン酸成分のモル数]が好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05である。
有機極性溶媒としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノールのようなフェノール類、2個の水酸基をベンゼン環に直接有するカテコール、レゾルシンのようなカテコール類、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール(後述のパラクロロフェノールに同じ)、3−ブロムフェノール、4−ブロムフェノール、2−クロロ−5−ヒドロキシトルエンなどのハロゲン化フェノール類などからなるフェノール系溶媒;又はN−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアミド類からなるアミド系溶媒;あるいはそれらの混合溶媒などを好適に挙げることができる。これらのうち、アミド系溶媒およびフェノール系溶媒が好ましく、フェノール系溶媒がより好ましく、ハロゲン化フェノール類がさらに好ましく、4−クロロフェノールが特に好ましい。
重合イミド化して得られたポリイミド溶液は、後述するように、そのまま直接紡糸に用いることもできる。また、例えば得られたポリイミド溶液をポリイミドに対し非溶解性の溶媒中に投入してポリイミドを析出させて単離後、改めて有機極性溶媒に所定濃度になるように溶解させて芳香族ポリイミド溶液を調製し、それを紡糸に用いることもできる。
<支持体の製造方法>
本実施形態における支持体(微多孔膜)は、一態様として、上述のようなポリイミド溶液を用いて、乾湿式相転換法によって好適に得ることができる。乾湿式相転換法は、ポリイミド溶液を気相中に吐出したのち、凝固液(ポリイミド溶液の溶媒とは相溶し、ポリイミドは不溶な溶剤)と接触させて相転換させながら膜を形成する公知の方法である。
ポリイミド溶液は他のポリマーを含んでもよいが、ポリイミドをポリマー全量に対し50重量%以上含むのが好ましく、70重量%以上含むのがより好ましく、90重量%以上含むのがさらに好ましく、100重量%であってもよい。
本発明においては、乾湿式相転換法に用いるポリイミド溶液の溶媒が、ポリイミドを溶解できる溶媒に加えて脂肪族アルコールを含んでもよい。ポリイミド溶液が脂肪族アルコールを含むことにより、膜透過成分(例えば水蒸気)の透過速度が大きく、かつ、ガスの選択透過性に優れたガス分離膜を得やすくなる。
ポリイミドを溶解できる溶媒は、有機極性溶媒が好ましく、モノマーを重合してポリマーを合成するときに用いた有機極性溶媒であってもよい。本発明の一態様として、上述のポリイミド溶液の調製に用いられる有機極性溶媒を例示できる。
ポリイミド溶液が脂肪族アルコールを含む場合、脂肪族アルコールは、沸点が、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、200℃以上であることが特に好ましい。脂肪族アルコールは、1価の脂肪族アルコールであっても2価以上の脂肪族多価アルコールであってもよく、脂肪族多価アルコールであるのが好ましい。
ポリイミド溶液の溶媒としての1価の脂肪族アルコールは、非環式のものが好ましく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、例えば炭素数1〜7個である。1価の脂肪族アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等のプロパノール類、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール等のブタノール類、アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール等のペンタノール類、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール等のヘキサノール類、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール等のヘプタノール類等が挙げられる。これらのうち、エタノールが好ましい。
ポリイミド溶液の溶媒としての脂肪族多価アルコールは、非環式のものが好ましく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、炭素数は、例えば、好ましくは2〜10個、より好ましくは3〜8個である。脂肪族多価アルコールは、2価以上のアルコールを意味し、3価以上のアルコールであることが好ましい。脂肪族多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−、1,3−又は2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,7−ヘプタンジオール、3−メチル−1,7−ヘプタンジオール及び4−メチル−1,7−ヘプタンジオール等の2価の脂肪族アルコール溶媒、グリセリン、ジグリセリン等の3価以上のアルコール溶媒が挙げられる。これらのうち、グリセリンを用いると、均一な多孔質層を形成しやすく、ガス透過速度が速く、かつ、実用レベルに十分なガス選択性を有する中空糸膜を得ることができる。
脂肪族アルコールは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリイミド溶液中の脂肪族アルコールの含有量は、ポリイミド溶液の全重量に対して、0重量%であってもよいが、好ましくは1〜30重量%、好ましくは2〜30重量%である。脂肪族アルコールの含有量が該範囲内にあると、得られる中空糸膜の透過性能及び機械特性に優れる。また、ポリイミド溶液を後述の紡糸工程に用いる場合、ポリイミド溶液の固形分濃度は10〜20重量%が製膜上好ましい。また、ポリイミド溶液の溶液粘度(回転粘度)は、紡糸工程における吐出温度で50〜15000ポイズが好ましく、特に100〜10000ポイズであると、中空糸状などの吐出後の形状を安定に得ることが出来るので好ましい。
脂肪族アルコールは、ポリイミドが溶解した溶液に混合してもよいし、単離されたポリイミドと有機極性溶媒と脂肪族アルコールとを同時に混合してもよい。混合の際は、ポリイミドが有機極性溶媒に溶解するように加熱してもよい。
本発明のガス分離膜の製造方法の好ましい一態様として、ポリイミド、およびハロゲン化フェノールと脂肪族アルコールとの混合溶媒を含むポリイミド溶液を用いて、乾湿式相転換法によるのが好ましい。より好ましい一態様としては、ポリイミドと、パラクロロフェノールと、グリセリンとを含むポリマー溶液を用いて、乾湿式相転換法によりガス分離膜を形成するのが好ましい。
本発明における支持体の製造方法の一態様として、ポリイミド溶液を用いて乾湿式相転換法により中空糸膜を製造する方法を以下説明する。
中空糸膜の製造方法は、通常、紡糸工程(紡糸ドープ吐出工程)、凝固工程、洗浄工程、乾燥工程および熱処理工程を含む。これらの各工程は、中空糸を連続的に送り出し/引き取りをしながら中空糸を連続的に処理することが必須の工程と、ボビン等に巻いた状態でバッチ処理しても、または連続的に処理してもよい工程とがある。
まず、紡糸工程(紡糸ドープ吐出工程)において、紡糸ドープ液の吐出のために使用される紡糸ノズルは、紡糸ドープ液を中空糸状体に押し出すものであればよく、チューブ・イン・オリフィス型ノズルなどが好適である。通常、押し出す際のポリイミド溶液の温度範囲は、ドープ液に含まれるポリイミド、溶媒の種類、粘度等によるが、例えば、好ましくは約20℃〜150℃、より好ましくは30℃〜120℃である。また、ノズルから押し出される中空糸状体の内部へ気体または液体を供給しながら紡糸がおこなわれる。
紡糸工程から連続する凝固工程では、ノズルから吐出された中空糸状体が、一旦、大気中または窒素等の不活性ガス雰囲気中等に押し出され、引き続き、凝固浴に導かれ、凝固液に浸漬される。凝固液は、ポリイミド成分を実質的には溶解せず且つポリイミド成分の溶媒と相溶性があるものが好適である。特に限定するものではないが、水や、メタノール、エタノール、プロピルアルコールなどの低級アルコール類や、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどの低級アルキル基を有するケトン類など、あるいは、それらの混合物が好適に用いられる。また、ポリイミド溶液の溶媒がアミド系溶媒であるときは、アミド系溶媒の水溶液も好ましい。
凝固工程では、ノズルから中空糸形状に吐出されたポリイミド溶液がその形状を保持できる程度に凝固させる一次凝固液に浸漬し、案内ロール等に巻き取られ、次いで完全に凝固させるための二次凝固液に浸漬するのが好ましい。一次凝固液と二次凝固液は同一の凝固液でも構わないし、別々の凝固液でもかまわない。また、凝固液槽を多数化することでポリイミド溶液中の溶媒を効率的に抽出する事も可能である。
紡糸工程及び凝固工程は、中空糸を連続的に送り出し/引き取りをしながら中空糸を連続的に処理する連続処理工程であるのが好ましい。
次の洗浄工程では、必要によりエタノール等の洗浄溶媒で洗浄し、次いで置換溶媒、例えばイソペンタン、n−ヘキサン、イソオクタン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素を使用して、中空糸の外側および内側の凝固液および/または洗浄溶媒を置換する。
次の乾燥工程では、置換溶媒を含む中空糸を適当な温度で乾燥する。そして、熱処理工程において、好ましくは、用いられたポリイミドの軟化点又は二次転移点よりも低い温度で、熱処理を行うことで、非対称ガス分離中空糸膜である支持体が得られる。
洗浄・乾燥・熱処理工程は、中空糸を連続的に送り出し/引き取りをしながら中空糸を連続的に処理する連続処理工程でも良いし、ボビン等に巻いた状態でバッチ処理してもよい。
<ガス分離用複合膜の製造方法>
本実施形態のガス分離用複合膜の製造方法の一態様は、ビニルアセタール系共重合体を溶媒に溶解した浸漬液中に、上記支持体を浸漬する工程(以下、「浸漬工程」とも記載する)を含む。浸漬工程により、支持体の表面に該ビニルアセタール系共重合体を付着させる。浸漬液の溶媒としては、アルコール系(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等)、ケトン系(例えば、アセトン等)、芳香属系溶媒、もしくはこれらのうちの2種以上を混合した混合溶媒、またはこれらに水を加えた含水溶媒が挙げられる。これらのうち、エタノールおよび/またはメタノールを含む溶媒が好ましく、エタノールを含む溶媒がより好ましく、30体積%以上のエタノールを含むエタノール水溶液またはエタノール単独の溶媒がさらに好ましい。ビニルアセタール系共重合体の浸漬液中の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01〜5重量%が好ましく、0.05〜3重量%が好ましい。浸漬工程は、支持体中の微細孔に浸漬液が十分行き渡らせるよう行う。浸漬工程は常温(約10〜30℃程度)で行うのが好ましいが、浸漬液が常温で粘性が高い場合は、適宜加温して浸漬液の粘性を下げて浸漬処理を行ってもよい。浸漬時間は、特に限定されないが、例えば、30秒〜180分が好ましい。浸漬工程における浸漬液の溶媒の組成、ビニルアセタール系共重合体の濃度等を調整することにより、複合膜の透水量を調整することができる。
複合膜の製造方法は、上記浸漬工程に続いて、溶媒を乾燥する乾燥工程を含むのが好ましい。乾燥工程における乾燥手段は、溶媒の種類により、風乾、減圧乾燥、加熱乾燥など通常の方法を適宜用いることができる。乾燥工程における乾燥温度は、特に限定されないが、80〜150℃が好ましく、90℃〜110℃がより好ましい。浸漬回数や乾燥回数を調整することにより、複合膜の透水量を調整することができる。
本実施形態の一態様において中空糸膜である複合膜はモジュール化してもよい。中空糸膜の内径は約30〜500μmのものが好適である。通常のガス分離膜モジュールは、例えば、適当な長さの中空糸膜100〜1000000本程度(好ましくは100〜200000本)を束ね、その中空糸束の両端部を、中空糸の少なくとも一方の端が開口状態を保持した状態になるようにして、熱硬化性樹脂などからなる管板で固着し、得られた中空糸束と管板などからなる中空糸膜エレメントを、少なくとも混合ガス導入口と透過ガス排出口と非透過ガス排出口とを備える容器内に、中空糸膜の内側に通じる空間と中空糸膜の外側へ通じる空間とが隔絶するように収納し取り付けることによって得られる。管板は、O−リングや接着剤などによって容器に密閉して取り付けられる。このようなガス分離膜モジュールでは、混合ガスが混合ガス導入口から中空糸膜の内側あるいは外側に接する空間へ供給され、中空糸膜に接して流れる間に混合ガス中の特定成分が選択的に膜を透過し、透過ガスが透過ガス排出口から、膜を透過しなかった非透過ガスが非透過ガス排出口からそれぞれ排出されることによって、ガス分離が行われる。
本発明のガス分離用複合膜は、種々のガス種を高分離度(透過速度比)で分離回収することができるが、特に水蒸気を分離するのに用いるのが好適である。本発明のガス分離用複合膜を用いて水蒸気を分離する場合、即ち、除湿をおこなう場合、前記のガス分離膜モジュールに、水蒸気を含有する混合ガスを中空糸膜の内側あるいは外側に接する空間へ供給し、水蒸気を選択的に膜の透過側へ透過し、未透過ガスとして除湿されたガスを極めて効率よく得ることが出来る。また、透過ガス側の空間に例えば供給された混合ガスと向流になる方向にキャリアガスを流して透過ガスの回収を促進してもよく、その際、キャリアガスとして非透過ガスを用いてもよい。
本発明のガス分離用複合膜は、水蒸気透過速度が極めて大きいので、除湿及び/又は加湿を極めて効率よく好適におこなうことができる。除湿を行う場合、本発明のガス分離膜を備えるガス分離膜モジュールに、水蒸気を含有する混合ガスを中空糸膜の内側あるいは外側に接する空間へ供給することによって、水蒸気を選択的に膜の透過側へ透過して非透過ガスとして除湿されたガスを極めて効率よく得ることができる。特に、水蒸気を含有する混合ガスは中空糸膜の内側へ供給し、中空糸膜の外側の空間へ乾燥したキャリアガスを混合ガスと向流になるように導入することがより高効率で除湿ができるので好ましく、更に、キャリアガスとしてガス分離膜の非透過側で得られる除湿されたガスの一部をリサイクルして用いることが簡便なキャリアガスの導入方法として好ましい。加湿する場合には、水蒸気をより多量に含有する(水蒸気分圧が高い)混合ガスを中空糸膜の内側あるいは外側に接する空間へ供給し、中空糸膜の反対側の空間へ水蒸気をより少量含有する(水蒸気分圧が低い)ガスを供給することによって、水蒸気が膜を選択的に透過して、水蒸気をより少量含有するガスを容易に加湿することができる。特に、水蒸気をより多量に含有する混合ガスと水蒸気をより少量含有するガスは中空糸膜を挟んで向流となるように供給することが高効率になるので望ましい。
次に、本発明におけるガス分離用複合膜の製造とその特性について、実施例により具体的に説明する。尚、本発明は実施例に限定されるものではない。
各実施例において行った測定の測定方法は下記のとおりである。
(中空糸膜の水蒸気透過性能の測定方法)
約10本の中空糸膜と、ステンレスパイプと、エポキシ樹脂系接着剤とを使用して有効長が80mmの透過性能評価用のエレメントを作成し、これをステンレス容器に装着してペンシルモジュールとした。このペンシルモジュールの中空糸の内側へ、15℃の飽和水蒸気を含む窒素ガスを5kgfG/cmの圧力で一定量供給し、膜の出口側から得られる乾燥ガスを、製品ガスとした。膜の透過側を大気圧とし、更に膜の供給側と非透過側に十分な水蒸気の分圧差を稼ぐため、水蒸気濃度の低い製品ガスの20%を更に透過側へ供給した。供給ガス、製品ガスの露点は、鏡面式の露点計で検出し、水蒸気分圧を求めた。測定した水蒸気量(水蒸気分圧)と供給ガス量及び有効膜面積から膜の水蒸気透過速度(P’H2O)を算出した。尚、これらの測定は35℃でおこなった。
(中空糸膜の窒素ガス透過性能の測定方法)
約10本の中空糸膜と、ステンレスパイプと、エポキシ樹脂系接着剤とを使用して有効長が80mmの透過性能評価用のエレメントを作成し、これをステンレス容器に装着してペンシルモジュールとした。このペンシルモジュールの中空糸の内側へ5kgfG/cmの窒素純ガスを供給して透過流量を測定した。測定した透過窒素ガス量と供給圧力及び有効膜面積から窒素ガスの透過速度を算出した。尚、これらの測定は35℃でおこなった。
(中空糸膜の透水量の測定方法)
約10本の中空糸膜と、ステンレスパイプと、エポキシ樹脂系接着剤とを使用して有効長がおよそ80mmの透水性能評価用のエレメントを作製し、これをステンレス容器に装着してペンシルモジュールとした。ペンシルモジュールの中空糸の内側に0.1MPaの圧力で水を供給して膜を透過した水の質量を測定した。膜を透過した水の質と有効膜面積から透水量を算出した。尚、これらの測定は25℃でおこなった。
<実施例1>
(ポリイミド溶液の調製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、s−BPDA)100mol%と、4,4−ジアミノ−ジフェニルエーテル(44DADE)90mol%と、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)10mol%とを、溶媒のパラクロロフェノール(以下、PCP)と共にセパラブルフラスコ中にて重合温度190℃で12時間重合し、ポリマー濃度が12重量%の、100℃における溶液粘度が1700ポイズのポリイミド溶液を得た。ポリイミド溶液の溶液粘度は、回転粘度計(ローターのずり速度1.75sec−1)を用い温度100℃で測定した。
(支持体(非対称中空糸膜)の製造方法)
得られたポリイミド溶液を、400メッシュの金網で濾過したあと、中空糸紡糸ノズル(円形開口部外径1000μm、円形開口部スリット幅200μm、芯部開口部外径600μm)から吐出させ、吐出した中空糸状体を窒素雰囲気中に通した後、0℃の75重量%エタノール水溶液からなる凝固液に浸漬し湿潤糸とした。これを50℃のエタノール中に2時間浸漬し脱溶媒処理を完了し、更に、70℃のイソオクタン中に3時間浸漬洗浄して溶媒を置換後、100℃で30分乾燥し、その後200℃で30分の熱処理を行った。得られた中空糸膜はいずれも、外径寸法370μm、内径寸法260μm、膜厚55μmのものであり、これを支持体とした。
(浸漬工程、乾燥工程)
ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート〔商品名:AEA(登録商標)、三菱ケミカルフーズ(株)製、以下、「AEA」と記載する。〕をエタノール中0.1wt%となるように溶解して浸漬液とした。この浸漬液中に、製造した支持体を室温にて60秒間浸漬した。その後、100℃にて風乾により溶剤の除去を行い、AEAがコーティングされた複合膜を得た。
得られた中空糸状の複合膜を用いて上述の方法により、ガスの透過性能および透水量を測定した。結果を表1に示す。透水量は測定限界である0.1L/m・dayより小さく、表1では「<0.1」と記載した。
<実施例2>
ポリイミドの組成を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリイミド溶液を調製し、これを用いて中空糸膜である支持体を作製した。エタノールを80体積%含むエタノール水中、AEAを0.25wt%となるように溶解して浸漬液を調製し、この浸漬液中に実施例1と同様にして支持体を浸漬した後、乾燥を行い、AEAがコーティングされた複合膜を得た。得られた複合膜の性能について上述の方法により測定を行った。
<実施例3>
ポリイミドの組成を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリイミド溶液を調製し、これを用いて中空糸膜である支持体を作製した。エタノールを50体積%含むエタノール水中、AEAを0.25wt%となるように溶解して浸漬液を調製し、この浸漬液中に実施例1と同様にして支持体を浸漬した後、乾燥を行い、AEAがコーティングされた複合膜を得た。得られた複合膜の性能について上述の方法により測定を行った。
<実施例4>
ポリイミドの組成を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリイミド溶液を調製し、これを用いて中空糸膜である支持体を作製した。エタノールを80体積%含むエタノール水中、AEAを0.5wt%となるように溶解して浸漬液を調製し、この浸漬液中に実施例1と同様にして支持体を浸漬した後、乾燥を行い、AEAがコーティングされた複合膜を得た。得られた複合膜の性能について上述の方法により測定を行った。
<実施例5>
(ポリイミド溶液の調製)
s−BPDAを100mol%と、44DADEを80mol%と、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34DADE)を20mol%とを、溶媒のパラクロロフェノール(以下、PCP)と共にセパラブルフラスコ中にて重合温度190℃で12時間重合し、ポリマー濃度が13重量%のポリイミド溶液を得た。得られたポリイミド溶液にグリセリンを4wt%となるように添加し、190℃で1時間攪拌することにより、最終的に100℃における溶液粘度が1200ポイズ、ポリマー濃度が12.5重量%のポリイミド溶液を得た。ポリイミド溶液の溶液粘度は、回転粘度計(ローターのずり速度1.75sec−1)を用い温度100℃で測定した。
得られたポリイミド溶液を用いて、実施例1と同様にして中空糸膜である支持体を作製した。エタノールを50体積%含むエタノール水中、AEAを、0.25wt%となるように溶解して浸漬液を調製し、この浸漬液中に実施例1と同様にして支持体を浸漬した後、乾燥を行い、AEAがコーティングされた複合膜を得た。得られた複合膜の性能について上述の方法により測定を行った。
<実施例6>
実施例5と同様にしてポリイミド溶液を調製し、これを用いて中空糸膜である支持体を作製した。エタノール中、AEAを1wt%となるように溶解して浸漬液を調製し、この浸漬液中に実施例1と同様にして支持体を浸漬した後、乾燥を行い、AEAがコーティングされた複合膜を得た。得られた複合膜の性能について上述の方法により測定を行った。
<比較例1>
AEAのコーティングを行わなかった以外は実施例1と同様に支持体を作製し、この中空糸膜である支持体の性能について、上述の方法により測定を行った。比較例1の中空糸膜は窒素の透過速度が大きすぎて水蒸気透過速度が測定できなかった。
<比較例2>
支持体として、ポリプロピレン(PP)からなる多孔膜を用いた。エタノール中、AEAを1wt%となるように溶解して浸漬液を調製し、この浸漬液中に実施例1と同様にして支持体を浸漬した後、乾燥を行い、AEAがコーティングされた複合膜を得た。得られた複合膜の性能について上述の方法により測定を行った。比較例2の複合膜は、窒素の透過速度は測定器の測定限界以上であり、窒素の透過速度が大きすぎて水蒸気透過速度測定ができなかった。
<比較例3>
実施例5と同様にしてポリイミド溶液を調製し、これを用いて中空糸膜である支持体を作製した。水中、重量平均分子量が2,000のポリエチレングリコール(「PEG」と記載)を1wt%となるように溶解して浸漬液を調製し、この浸漬液中に実施例1と同様にして支持体を浸漬した後、乾燥を行い、PEGがコーティングされた複合膜を得た。得られた複合膜の性能について上述の方法により測定を行った。
<比較例4>
実施例5と同様にしてポリイミド溶液を調製し、これを用いて中空糸膜である支持体を作製した。水中、重量平均分子量が1,000,000のポリアクリル酸(「PAA」と記載)を1wt%となるように溶解して浸漬液を調製し、この浸漬液中に実施例1と同様にして支持体を浸漬した後、乾燥を行い、PAAがコーティングされた複合膜を得た。得られた複合膜の性能について上述の方法により測定を行った。
<比較例5>
実施例5と同様にしてポリイミド溶液を調製し、これを用いて中空糸膜である支持体を作製した。水中、ポリビニルピロリドン(PVP K25、和光純薬製、以下「PVP」と記載)を1wt%となるように溶解して浸漬液を調製し、この浸漬液中に実施例1と同様にして支持体を浸漬した後、乾燥を行い、PVPがコーティングされた複合膜を得た。得られた複合膜の性能について上述の方法により測定を行った。
<比較例6>
支持体としてポリスルホン(PSF)からなる多孔膜を用いた。メタノール中、AEAを1wt%となるように溶解して浸漬液を調製し、この浸漬液中に実施例1と同様にして支持体を浸漬した後、室温(約23℃)で乾燥を行い、AEAがコーティングされた複合膜を得た。得られた複合膜の性能について上述の方法により測定を行った。比較例6の複合膜は、窒素の透過速度は測定器の測定限界以上であり、窒素の透過速度が大きすぎて水蒸気透過速度が測定できなかった。
実施例1〜6、および比較例1〜6の膜それぞれについて、支持体の製造条件、膜の性能の測定結果等を表1に示す。
本発明の水蒸気透過性が高いガス分離複合膜は気体の除湿・加湿に好適に利用することができる。

Claims (5)

  1. 支持体上にビニルアセタール系共重合体がコーティングされた複合膜であって、
    複合膜の透水量が10L/m・day以下(測定圧力:0.1MPa、測定温度:25℃)であることを特徴とする、ガス分離用複合膜。
  2. 前記支持体がポリイミドで構成されることを特徴とする、請求項1に記載のガス分離用複合膜。
  3. 除湿膜または加湿膜であることを特徴とする、請求項1または2に記載のガス分離用複合膜。
  4. 水蒸気透過速度(P’H2O)が300×10−5cc(STP)/cm・sec・cmHg以上であり、且つ窒素透過速度(P’N2)が1.0×10−5cc(STP)/cm・sec・cmHg以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス分離用複合膜。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のガス分離用複合膜を用いて、複数のガスを含む混合ガスから特定のガスを選択的に分離回収する方法。
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