JP5114912B2 - Si原子含有ポリイミドによって形成された非対称膜、ガス分離膜、及びガス分離方法 - Google Patents
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Description
非特許文献1には、シロキサン骨格を含むポリイミドからなる緻密膜は、水蒸気に対するアルコール蒸気の選択透過性を示すことが開示されている。
特許文献1には、多孔質支持体層とシロキサン骨格含有ポリイミド重合体薄膜層よりなる物質分離用複合膜が記載されている。また、特許文献2には、気体分離複合膜を得るに当り、オルガノポリシロキサン骨格を有するポリイミドを、水面上で薄膜化させ、当該ポリイミドを多孔質支持体上に積層することを特徴とする気体分離層の膜厚の均一性を向上させる方法が開示されている。これらの複合膜では、酸素と窒素の分離が可能であることが報告されている。
本発明は、Si原子含有ポリイミドによって形成された新規な非対称膜を提供することである。このSi原子含有ポリイミドによって形成された非対称膜はガス分離膜として好適に用いることができる。
これらのテトラカルボン酸成分は、単独で用いてもよいし、異なる2種類以上の混合物を用いてもよい。
また、化学式(3)において、Xがフェニレン基の場合には得られる非対称膜のガス分離特性がより優れるのでより好適である。
Si原子を含有しないジアミンとしては、ポリイミドのジアミン成分として通常用いられるSi原子を含有しないジアミンを好適に用いることができる。なかでも、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル、ジアミノナフタレン、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族環を含むジアミンを好適に挙げることができる。
これらのジアミンのなかでもジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシド(以下、TSNと略記することもある)と4,4’−ジアミノジフェニルメタンとは相分離させて非対称膜を容易に形成できるので特に好適である。他のジアミンでは重合・イミド化反応すると溶液がゲル化したり、流動性がなくなってしまったりして、相分離が起こらず非対称膜を得ることが困難になり易い。なお、通常のTSNは、2,8−ジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシドを主成分とし、メチル基の位置が異なる異性体2,6−ジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシド、4,6−ジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシドなどを含む混合物である。
Si原子を含有しないジアミンとしては、また、イソホロンジアミン、シクロヘキサンジアミンなどの脂肪族環を含むジアミンを好適に用いることができる。
これらのジアミン成分は、単独で用いてもよいし、異なる2種類以上の混合物を用いてもよい。
重合・イミド化反応は、有機溶媒中にテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを所定の組成比で加え、室温程度の低温で重合反応させてポリアミド酸を生成し次いで100〜250℃好ましくは130〜200℃程度に加熱して加熱イミド化するか又はピリジンや無水酢酸などを加えて化学イミド化する2段法、または、有機溶媒中にテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを所定の組成比で加え、100〜250℃好ましくは130〜200℃程度の高温で重合・イミド化反応させる1段法によって好適に行われる。加熱によってイミド化反応を行うときは脱離する水またはアルコールを除去しながら行うことが好適である。有機溶媒に対するテトラカルボン酸成分とジアミン成分の使用量は、溶媒中のポリイミドの濃度が5〜50重量%程度好ましくは5〜40重量%にするのが好適である。
重合・イミド化反応で得られたポリイミド溶液は、そのまま用いることもできる。また、例えば得られたポリイミド溶液をポリイミドに対し非溶解性の溶媒中に投入してポリイミドを析出させて単離後、改めて有機溶媒に所定濃度になるように溶解させてポリイミド溶液を調製し、それを用いることもできる。
ポリイミドがブロック性を有する場合、ポリイミド膜の内部にはポリイミドの各ブロック成分からなるミクロドメインが、夫々のブロックのサイズに応じて形成される。すなわち、ブロック性を有するポリイミドのドープ溶液から溶媒を蒸発・乾燥させて膜を形成すると、膜の表面には表面張力の小さいブロックからなるミクロドメインが、膜表面に沿って層状に形成される。このような層状のミクロドメインの有無は、膜表面の元素分析を行って平均組成から期待される元素濃度からのずれを調べることによって把握でき、ブロック性を有するポリイミドほど前記平均組成からのずれが大きくなる。本発明においては、Aが化学式(2)である反復単位構造からなるポリイミドブロックは、AがSi原子を含まない反復単位構造からなるポリイミドブロックより、表面張力が小さい。このため、前記のブロック性を持ったポリイミドからなる膜は、平均組成から期待されるSi元素濃度(βとする)と、X線光電子分光(XPS)測定などの手法により測定した膜表面のSi元素濃度(αとする)との比[α/β]が大きくなっている。本発明においては、ポリイミドがSi原子を含む反復単位構造とSi原子を含まない反復単位構造とが適度にブロック性を持った方が、特にX線光電子分光(XPS)測定により測定した膜表面のSi元素濃度(αとする)との比[α/β]が1.5以上好ましくは2.5以上のブロック性を持った方が、前記ブロック性による膜表面のミクロドメイン構造の形成によって、得られる非対称膜の水蒸気透過速度(P’H2O)が大きくなり且つ機械的強度が優れたものになるので好ましい。
すなわち、Aが化学式(2)である反復単位構造を主構造(全構造単位の80モル%以上好ましくは100モル%)とするポリイミドをポリイミドXとし、ポリイミドXを構成するポリイミド成分をポリイミド成分X、その数平均重合度をNXとし、AがSi原子を含まない反復単位構造を主構造(全構造単位の80モル%以上好ましくは100モル%)とするポリイミドをポリイミドYとし、ポリイミドYを構成するポリイミド成分をポリイミド成分Y、その数平均重合度をNYとして、
(工程1)有機溶媒中に、ポリイミド成分Xとポリイミド成分Yとを、5<NX+NY<200好ましくは10<NX+NY<100を満たす組合せで混合してポリイミド溶液を調製し、
(工程2)前記ポリイミド溶液をさらに重合・イミド化反応させる、
ことによって、ブロック性を持たせて重合した化学式(1)のポリイミド溶液として得ることができる。
ここで、前記「ポリイミド成分」とは、ポリイミドの原料成分(未反応のテトラカルボン酸成分、未反応のジアミン)及び/又は前記原料成分の重合・イミド化反応物のことであり、例えば未反応のモノマー原料とイミドオリゴマーとの混合物や、イミドオリゴマーとポリイミドとの混合物であってもよい。また、数平均重合度は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との各1分子が重合イミド化したものを重合度が1とし、未反応のテトラカルボン酸成分及び未反応ジアミン成分の重合度はそれぞれ0.5として算出したものである。
本発明のガス分離膜は、水蒸気透過速度(P’H2O)が8.0×10−4cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上、好ましくは10.0×10−4cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であり、窒素ガスとの透過速度の比(分離度)も極めて高い。さらに、本発明のガス分離膜は、中空糸膜として引張破断伸びが15%以上、好ましくは30%以上である。このような良好な機械的強度を有するので、工業的に容易にモジュール化ができるし、使用時のも容易に破断しないから高圧の混合ガスを供給しても用いることが可能になる。
ポリイミド溶液の溶液粘度は、回転粘度計(ローターのずり速度1.75sec−1)を用い温度100℃で測定した。
ポリイミドの平均重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によって測定した。GPC測定は以下のようにして行った。
日本分光工業株式会社製800シリーズHPLCシステムを用い、カラムはShodex KD−806Mを1本、カラム部温度は40℃、検出器は未知試料用としてインテリジェント紫外可視分光検出器(吸収波長350nm)、標準物質用として示差屈折計(標準物質はポリエチレングリコール)を使用した。溶媒は塩化リチウム及びリン酸を各々0.05モル/L含むN−メチル−2−ピロリドン溶液を使用し、溶媒の流速は0.5mL/分、サンプルの濃度は約0.1%とした。データの取り込み及びデータ処理はJASCO−JMBS/BORWINを用い行なった。データの取り込みは2回/秒行ない、試料のクロマトグラムを得た。一方、標準物質として分子量82,250、28,700、6,450、1,900のポリエチレングリコールを使用し、これらのクロマトグラムからピークを検出し、保持時間と分子量の関係を示す校正曲線を得た。未知試料の分子量解析は、校正曲線から各保持時間における分子量Miを各々求め、また、各保持時間におけるクロマトグラムの高さhiの合計に対する分率Wi=hi/Σhiを求め、それらをもとに数平均分子量Mnは1/{Σ(Wi/Mi)}から、重量平均分子量MwはΣ(Wi・Mi)から求めた。
数平均重合度Nは、重合時の仕込み割合に応じて平均化したモノマー単位分子量<m>で数平均分子量Mnを除して求めた。
以下の例で用いた中空糸非対称膜の製造方法は、乾湿式紡糸法によっておこなった。具体的には、ポリイミド溶液又はポリイミド混合溶液を、400メッシュの金網で濾過したあと、温度71℃で中空糸紡糸ノズル(円形開口部外径1000μm、円形開口部スリット幅200μm、芯部開口部外径400μm)から吐出させ、吐出した中空糸状体を窒素雰囲気中に通した後、0℃の75重量%エタノール水溶液からなる凝固液に浸漬し湿潤糸とした。これを50℃のエタノール中に2時間浸漬し脱溶媒処理を完了し、更に70℃のイソオクタン中に3時間浸漬洗浄して溶媒を置換後、100℃絶乾状態で30分間乾燥し、その後250℃で1時間の熱処理を行った。得られた中空糸膜はいずれも、大略、外径寸法400μm、内径寸法200μm、膜厚100μmのものであった。
15本の中空糸膜と、ステンレスパイプと、エポキシ樹脂系接着剤とを使用して有効長が10cmの透過性能評価用のエレメントを作成し、これをステンレス容器に装着してペンシルモジュールとした。それに一定圧力の水蒸気を供給して透過流量を測定した。測定した透過水蒸気量と供給圧力及び有効膜面積から水蒸気の透過速度を算出した。窒素ガスの透過速度も同様にして測定した。なお、水蒸気及びエタノール蒸気の透過速度の測定は温度120℃、窒素ガスの透過性能の測定は50℃でおこなった。
引張試験機を用いて有効長20mm、引張速度10mm/分で測定した。測定は23℃でおこなった。中空糸断面積は中空糸の断面を光学顕微鏡で観察し、光学顕微鏡像から寸法を測定して算出した。
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
TSN:ジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシド
DADM:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
ADB:1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン
ATD:1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
PSX(n=9):α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(但し、繰返し単位−Si−O−が9)
PCP:パラクロロフェノール
s−BPDA17.65gとTSN15.64gとADB0.94g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.02モル部、ジアミン成分中Si含有ジアミンであるADBが5モル%)を、溶媒のPCP156.6gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度170℃で15時間重合イミド化し、溶液粘度が874ポイズ、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度を測定したところ52.5であった。
このポリイミド溶液を用いて中空糸非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表1に示した。
s−BPDA17.65gとTSN13.43gとADB3.78g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.02モル部、ジアミン成分中Si含有ジアミンであるADBが20モル%)を、溶媒のPCP159.7gと共にセパラブルフラスコ中にて重合温度170℃で20時間重合イミド化し、回転粘度が781ポイズ、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度を測定したところ25.4であった。
このポリイミド溶液を用いて中空糸非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表1に示した。
s−BPDA17.65gとTSN13.43gとATD3.18g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.02モル部、ジアミン成分中Si含有ジアミンであるATDが20モル%)を、溶媒のPCP156.8gと共にセパラブルフラスコ中にて重合温度170℃で20時間重合イミド化し、回転粘度が837ポイズ、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、16.6であった。
このポリイミド溶液を用いて中空糸非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表1に示した。
s−BPDA14.71gとDADM7.93gとADB3.15g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.02モル部、ジアミン成分中Si含有ジアミンであるADBが20モル%)を、溶媒のPCP117.1gと共にセパラブルフラスコ中にて重合温度170℃で20時間重合イミド化し、回転粘度が530ポイズ、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液を得た。
このポリイミド溶液を用いて中空糸非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表1に示した。
s−BPDA14.12gとTSN13.43g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.02モル部)を、溶媒のPCP126.1gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で15時間重合イミド化し、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度は57であった。このポリイミド溶液へs−BPDA3.53gとADB3.78g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.02モル部)を溶媒のPCP33.6gと共に添加した。このポリイミド溶液を、さらに反応温度160℃で10時間重合イミド化し、回転粘度が930ポイズ、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度は32.2であった。また、全ジアミン成分中、Si含有ジアミンであるADBの割合は20モル%である。
このポリイミド溶液を用いて中空糸非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表1に示した。
s−BPDA14.12gとTSN13.43gを溶媒のPCP126.1gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で15時間重合イミド化し、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液(A)を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度は57であった。
s−BPDA3.53gとADB3.78gを、溶媒のPCP33.6gと共に別のセパラブルフラスコ中にて反応温度170℃で10時間重合イミド化し、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液(B)を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度は16であった。
次に、前記ポリイミド溶液(A)40.5g及び前記ポリイミド溶液(B)151.9gをセパラブルフラスコに秤り取り混合した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに温度170℃で5時間攪拌混合し、回転粘度が986ポイズ、ポリマー濃度が17重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度は18.6であった。また、全ジアミン成分中、Si含有ジアミンであるADBの割合は20モル%である。
このポリイミド溶液を用いて中空糸非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表1に示した。
s−BPDA14.12gとTSN13.43g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.02モル部)を、溶媒のPCP126.1gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で15時間重合イミド化し、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度は57であった。このポリイミド溶液へs−BPDA3.53gとATD3.18g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.02モル部)を溶媒のPCP30.7gと共に添加した。このポリイミド溶液を、さらに反応温度170℃で10時間重合イミド化し、回転粘度が856ポイズ、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度は19.6であった。また、全ジアミン成分中、Si含有ジアミンであるATDの割合は20モル%である。
このポリイミド溶液を用いて中空糸非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表1に示した。
s−BPDA14.12gとTSN13.43gを溶媒のPCP126.1gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で15時間重合イミド化し、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液(C)を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度は57であった。
s−BPDA3.53gとATD3.18gを、溶媒のPCP30.7gと共に別のセパラブルフラスコ中にて反応温度170℃で10時間重合イミド化し、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液(D)を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度は2であった。
次に、前記ポリイミド溶液(C)37.0g及び前記ポリイミド溶液(D)151.9gをセパラブルフラスコに秤り取り混合した。このポリイミド溶液を、さらに温度170℃で5時間攪拌混合し、回転粘度が837ポイズ、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度は17.2であった。また、全ジアミン成分中、Si含有ジアミンであるATDの割合は20モル%である。
このポリイミド溶液を用いて中空糸非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表1に示した。
s−BPDA17.65gとTSN16.79g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.02モル部)を、溶媒のPCP157.6gと共にセパラブルフラスコ中にて重合温度190℃で16時間重合イミド化し、回転粘度が1100ポイズ、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液のポリイミド成分の数平均重合度を測定したところ52.5であった。
このポリイミド溶液を用いて中空糸非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表1に示した。
s−BPDA17.65gとTSN11.75gとADB5.67g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.02モル部、ジアミン成分中Si含有ジアミンであるADBが30モル%)を、溶媒のPCP160.7gと共にセパラブルフラスコ中にて重合温度170℃で20時間重合イミド化し、回転粘度が37ポイズ、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、25.2であった。
このポリイミド溶液を用いて中空糸非対称膜の製造を試みたが、低粘度のため中空糸非対称膜を得ることが出来なかった。
s−BPDA17.65gとTSN13.43gとPSX(n=9)11.02g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.02モル部、ジアミン成分中Si含有ジアミンであるPSXが20モル%)を、溶媒のPCP195gと共にセパラブルフラスコ中にて重合温度170℃で20時間重合イミド化し、回転粘度が30ポイズ、ポリマー濃度が17重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、21.1であった。
このポリイミド溶液を用いて中空糸非対称膜の製造を試みたが、低粘度のため中空糸非対称膜を得ることが出来なかった。
Claims (9)
- 下記化学式(1)で示される反復単位構造からなるポリイミドによって形成され、組成から算出されるSi元素濃度(β)とX線光電子分光(XPS)測定により測定した膜表面のSi元素濃度(α)との比[α/β]が2.5以上であることを特徴とする非対称膜。
- 請求項1に記載の非対称膜からなるガス分離膜。
- 水蒸気透過速度(P’H2O)が10.0×10−4cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であることを特徴とする請求項2に記載のガス分離膜。
- 請求項2に記載のガス分離膜の供給側に、複数のガス成分を含む混合ガスを接触させ、前記非対称ガス分離膜の透過側へ前記複数のガス成分のうちの少なくとも一つのガス成分を選択的に透過させることを特徴とする、複数のガス成分を含む混合ガスから前記複数のガス成分のうちの少なくとも一つのガス成分を選択的に分離回収する方法。
- 請求項3に記載のガス分離膜の供給側に、水蒸気を含む混合ガスを接触させ、前記非対称ガス分離膜の透過側へ水蒸気を選択的に透過させることを特徴とする、水蒸気を含む混合ガスから水蒸気を選択的に分離回収する方法。
- 上記化学式(1)で示される反復単位構造からなるポリイミドを有機溶媒に溶解したポリイミド溶液を用いて、相転換法によって得ることを特徴とする請求項1に記載の非対称膜の製造方法。
- 上記化学式(1)で示される反復単位構造からなるポリイミドによって形成された非対称膜の製造方法において、
上記Aが上記化学式(2)である2価の基であるポリイミドをポリイミドXとし、ポリイミドXを構成するポリイミド成分をポリイミド成分X、その数平均重合度をNXとし、
AがSi原子を含まない2価の基であるポリイミドをポリイミドYとし、ポリイミドYを構成するポリイミド成分をポリイミド成分Y、その数平均重合度をNYとして、
(工程1)有機溶媒中に、ポリイミド成分Xとポリイミド成分Yとを、5<NX+NY<200を満たす組合せで混合してポリイミド溶液を調製し、
(工程2)前記ポリイミド溶液をさらに重合・イミド化反応させる
ことによって得られたポリイミドを用いること
を特徴とする請求項6に記載の非対称膜の製造方法。 - 上記ポリイミド成分Xと上記ポリイミド成分Yとを、5<NX+NY<200を満たす数平均重合度まで重合・イミド化を行い、
前記ポリイミド成分Xと前記ポリイミド成分Yとを混合してポリイミド溶液を調製し、
前記ポリイミド溶液をさらに重合・イミド化すること
を特徴とする請求項7に記載の非対称膜の製造方法。 - 上記ポリイミド成分X、または、上記ポリイミド成分Yを、5<NX+NY<200を満たす数平均重合度まで重合・イミド化を行い、
残りのポリイミド成分を未反応の原料成分として加えてポリイミド溶液を調製し、
前記ポリイミド溶液をさらに重合・イミド化すること
を特徴とする請求項7に記載の非対称膜の製造方法。
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