JP5119597B2 - 多成分ポリイミドからなるポリイミド非対称膜、ガス分離膜、及びガス分離方法 - Google Patents

多成分ポリイミドからなるポリイミド非対称膜、ガス分離膜、及びガス分離方法 Download PDF

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本発明は、緻密層と多孔質層とを有するポリイミド非対称膜であって、フッ素原子含有ポリイミドを含む多成分のポリイミドからなり、緻密層におけるフッ素原子含有ポリイミドの割合を制御して得られたポリイミド非対称膜に関する。また、本発明は、前記ポリイミド非対称膜からなる実用的な高性能ガス分離膜、及び前記ガス分離膜を用いたガス分離方法に関する。
工業的なガス分離プロセスに広くガス分離膜が利用されている。なかでも、ガス選択透過性(分離度)が高いポリイミドで形成されたガス分離膜が好適に用いられている。概して、ポリイミドはガス選択透過性(分離度)は高いけれども、ガス透過性(透過係数)が小さい。このため、ポリイミドからなるガス分離膜は、主に支持機能を果たす多孔質層と主に分離機能を果たす緻密層とからなる非対称構造にし、且つガスの透過抵抗が生じる緻密層をガス透過速度が小さくならないように薄くして用いられている。
実用的なガス分離膜には、ガス選択透過性やガス透過速度などのガス透過性能に加え、機械的強度などの特性が要求される。1種のテトラカルボン酸成分と1種のジアミン成分とからなるポリイミド(ホモポリマー)では、用いたテトラカルボン酸成分とジアミン成分との組合せによってそれらの特性が決定される。実用上要求される諸特性を満足するガス分離膜を得るために、テトラカルボン酸成分及び/又はジアミン成分の一部を他のテトラカルボン酸成分及び/又は他のジアミン成分に置き換えたものとからなる共重合ポリイミドを用いたガス分離膜が検討されてきた。このような共重合ポリイミドからなるガス分離膜は、それに用いた複数種のテトラカルボン酸成分及び/又はジアミン成分の組成によってそれらの特性が決定される。このような検討において、ガス透過性能特にガス透過速度を向上させるために、しばしばテトラカルボン酸成分やジアミン成分にフッ素原子を含有したポリイミドが用いられてきた。
しかしながら、一般に、ガス透過性能が優れた例えばフッ素原子含有ポリイミドを用いて非対称膜を形成すると機械的強度が十分ではなくなり、逆に機械的強度に優れたポリイミドを用いて非対称膜を形成するとガス透過性能が十分ではないという問題があった。
特許文献1には、多孔質ポリアクリロニトリル構造支持体と、架橋したフェニル含有極性オルガノポリシロキサンを含むガター層と、特定のフッ素原子含有ポリイミドからなる極薄の選択膜層とを積層した複合ガス分離膜が開示されている。
特許文献2には、脂肪族系の多孔質ポリイミド支持層と、フッ素原子含有ポリイミドからなる薄膜とを積層した気体用複合分離膜が開示されている。
しかし、このような複合膜では多孔質層の上に均一な薄膜を積層する必要があるが、多孔質層の上に均一な薄膜を形成するのは容易ではなく、これらの文献で示された方法によって高性能ガス分離膜を得るのは容易ではなかった。
特許文献3には、2種類のポリイミドからなるポリマー混合溶液を用いて、相転換法によって非対称中空糸分離膜を製造する方法が開示されている。しかし、特定の重合度を有するポリイミド成分の組合せからなる混合溶液を調製し、その混合溶液をさらに重合イミド化反応してブロック性を有する共重合体を含有した混合溶液を調製し、前記ブロック性を有する共重合体を含有した混合溶液を用いて非対称膜を製造することについては記載がない。
特開平6−269650号公報 特開平8−52332号公報 特願2003−24755号公報
本発明の目的は、緻密層と多孔質層とを有するポリイミド非対称膜であって、フッ素原子含有ポリイミドを含む多成分のポリイミドからなり、緻密層におけるフッ素原子含有ポリイミドの割合を制御して得られたポリイミド非対称膜を提供することである。また、本発明の目的は、前記ポリイミド非対称膜からなる実用的な高性能ガス分離膜、及び前記ガス分離膜を用いたガス分離方法を提供することである。
本発明は、緻密層と多孔質層とを有するポリイミド非対称膜であって、フッ素原子含有ポリイミドを含む多成分ポリイミドで形成され、且つX線光電子分光(XPS)で測定した緻密層のフッ素原子濃度(Φ)と膜全体における平均のフッ素原子濃度(f)との比(Φ/f)が1.1〜1.8であることを特徴とするポリイミド非対称膜に関し、特に前記ポリイミド非対称膜からなるガス分離膜に関する。
また、本発明は、前記ガス分離膜が、中空糸であって、水素ガス透過速度(P’H2)が4.0×10−4cm (STP)/cm ・sec・cmHg以上、水素ガス透過速度(P’H2)と窒素ガス透過速度(P’N2)との比(P’H2/P’N2)が20以上、且つ中空糸としての引張破断伸びが15%以上であること、および、前記ガス分離膜が、中空糸であって、ヘリウムガス透過速度(P’He)が4.0×10−4cm (STP)/cm ・sec・cmHg以上、ヘリウムガス透過速度(P’He)と窒素ガス透過速度(P’N2)との比(P’He/P’N2)が20以上、且つ中空糸としての引張破断伸びが15%以上であることに関する。
さらに、本発明は、本発明のガス分離膜の供給側に混合ガスを供給し、前記ガス分離膜の透過側へ混合ガスの少なくとも一種のガスを選択的に透過させることを特徴とする、混合ガスから前記少なくとも一種のガスを選択的に分離回収する方法に関する。特に、本発明は、ガス分離膜の供給側に、水素ガスを含む混合ガスを供給し、前記ガス分離膜の透過側へ水素ガスを選択的に透過させることを特徴とする、水素ガスを含む混合ガスから水素ガスを選択的に分離回収する方法、および、ガス分離膜の供給側に、ヘリウムガスを含む混合ガスを供給し、前記ガス分離膜の透過側へヘリウムガスを選択的に透過させることを特徴とする、ヘリウムガスを含む混合ガスからヘリウムガスを選択的に分離回収する方法に関する。
本発明によって、緻密層と多孔質層とを有するポリイミド非対称膜であって、フッ素原子含有ポリイミドを含む多成分のポリイミドからなり、緻密層のフッ素原子含有ポリイミドの割合を好適に制御したポリイミド非対称膜を提供することができる。このポリイミド非対象膜は、ガス分離膜として好適であり、水素ガスとメタンガスなどの炭化水素ガスとの分離、水素ガスと窒素ガスとの分離、ヘリウムガスと窒素ガスとの分離、炭酸ガスとメタンガスなどの炭化水素ガスとの分離、酸素ガスと窒素ガスとの分離などを好適に行うことができる実用的な高性能ガス分離膜である。
本発明のポリイミド非対称膜について以下では特に高性能ガス分離膜として具体的に説明するが、本発明のポリイミド非対称膜はガス分離膜用途に限定されるものではない。
本発明のポリイミド非対称膜は、緻密層と多孔質層とを有するポリイミド非対称膜であって、フッ素原子含有ポリイミドを含む多成分ポリイミドで形成される。好ましくは、化学構造にフッ素原子を含むポリイミドAの原料成分及び/又は前記原料成分の重合イミド化反応物をポリイミド成分Aとし、前記ポリイミド成分Aの数平均重合度をNとし、ポリイミドBの原料成分及び/又は前記原料成分の重合イミド化反応物をポリイミド成分Bとし、前記ポリイミド成分Bの数平均重合度をNとして、次の工程1〜工程3によって製造することができる。
(工程1)ポリイミド成分Aとポリイミド成分Bとを、NとNとが下記数式を満たす組合せで混合して多成分ポリイミドの混合溶液を調製する
Figure 0005119597
(工程2)前記多成分ポリイミドの混合溶液をさらに重合イミド化反応させる
(工程3)前記多成分ポリイミドの混合溶液を用いて相転換法によって非対称膜を得る
本発明において、『ポリイミド成分』とは、ポリイミドの原料成分(未反応のテトラカルボン酸成分、未反応のジアミン成分)、及び/又は前記原料成分の重合イミド化反応物からなる。ここで、前記重合イミド化物は重合度が大きなポリマーのみを意味しない。ポリイミドの原料成分を重合イミド化したときに反応初期に生成するモノマーや重合度の低いオリゴマーなどを含む。すなわち、重合イミド化反応物は、モノマー(テトラカルボン酸成分とジアミン成分とが各1分子の計2分子でイミド化反応したもの)、及び/又はポリマー(テトラカルボン酸成分とジアミン成分とが計3分子以上でイミド化反応したもの)からなる。
本発明において、重合イミド化反応物の重合度はそこに含まれるポリイミドの繰返し単位数によるものとした。すなわち、モノマーの重合度は1であり、ポリマーの重合度は>1である。一方、ポリイミドの原料成分の重合度は、繰返し単位を持たないので、0.5と定義した。数平均重合度は前記のように定義した重合度から算出される。
ポリイミド成分Aは、ポリイミドAの原料成分(未反応のテトラカルボン酸成分、未反応のジアミン成分)及び/又は前記原料成分の重合イミド化反応物からなる。そして、ポリイミド成分Bは、ポリイミドBの原料成分(未反応のテトラカルボン酸成分、未反応のジアミン成分)及び/又は前記原料成分の重合イミド化反応物からなる。
ポリイミド成分Aとポリイミド成分Bとを、いずれも未反応のテトラカルボン酸成分とジアミン成分の状態(重合度はいずれも0.5)で混合して重合イミド化反応させた場合、両成分が著しくランダム性を帯びて結合したランダム共重合体を主成分とするポリイミドが生成する。このポリイミドを相転換法に適用すると、緻密層と多孔質層からなる非対称膜は形成できるが、緻密層にフッ素原子含有ポリイミドが偏在するようなことはなく、例えばガス分離膜として、高いガス透過性能と良好な機械的特性を兼ね備えたガス分離膜を得ることはできない。この原因は、高いガス透過性能を発現するポリイミドは機械的強度が劣り、一方良好な機械的強度を有するポリイミドはガス透過性能が劣るという相反した関係があるためである。
ポリイミドAとポリイミドBとを別々に重合イミド化反応し、いずれも重合度が大きいポリイミドの状態で混合する場合、均一な混合溶液を調製することは通常困難である。前記混合溶液をごく短時間ほぼ均一な状態にできることもあるが、均一な状態を長時間維持させて相転換法により非対称膜を安定的に得ることは容易ではない。重合度が大きい複数のポリイミドからなる混合溶液を相転換法に適用すると、僅かであっても化学的性質の違いによる両ポリイミド間の反発的相互作用によってマクロ相分離が急速に進行する。ここでマクロ相分離とは異種のポリイミドが相分離して、0.1μm以上しばしば1μm以上のサイズの異種ドメインを含むマクロな相分離構造が形成されることをいう。マクロ相分離構造の透過電子顕微鏡(以下TEMと呼ぶこともある)像の一例を図1、他の一例を図3に示した。マクロ相分離構造では、明瞭な界面を有する異種ドメインがTEM像中に観察される。マクロ相分離が生じると緻密層に大きな乱れが生じるので分離性能が良好な非対称膜を得ることはできない。乾湿式紡糸法で形成される非対称膜の緻密層の厚みはしばしば1〜1000nm程度が採用されるが、マクロ相分離が生じると緻密層にポリイミドAがリッチなドメインとポリイミドBがリッチなドメインが形成される。このことは図3を参照すれば理解しやすい。言い換えれば面内方向に沿って見たときに異種ドメインからなるマクロに不均一な緻密層が形成されるので分離性能が良好な非対称膜を得ることはできない。
本発明は、所定の重合度とブロック共重合体を含む多成分ポリイミドの混合溶液を調製し、前記多成分ポリイミドの混合溶液を相転換法に適用することによって得られる非対称膜である。このような多成分ポリイミドの混合溶液を相転換法に適用すると、相分離の過程でマクロ相分離は発生せず、ミクロ相分離というべき相分離が進行する。このミクロ相分離構造の一例のTEM像を図2に示す。ここでは異種ドメインを含む相分離構造(マクロ相分離)は見られない。数nm〜0.1μm程度の微細なドメインが形成されていると思われるが、全体としてはドメインの境界が不明確となって、異種のポリイミドが完全には相分離しない曖昧な領域を多く含む構造が形成される。この相分離の過程で、膜の面内方向(膜の表面に平行な方向)に沿って見たときにはポリイミド組成のマクロな乱れを生じさせないで、膜の断面方向(膜の表面に垂直な方向)に沿って見たときには後述するように緻密層にフッ素原子を含むポリイミドをより多く含んだ多成分ポリイミドの層が形成される。すなわち、本発明は、多成分ポリイミドからなり、異種ポリイミド間にミクロな相分離を生じさせながら且つ前記相分離がマクロ相分離に至らないように異種ポリイミド間の相分離を制御することによって、マクロ相分離の進行に伴う膜の分離性能のばらつき・低下を生じさせないで、非対称膜の緻密層と多孔質層のそれぞれの化学的・物理的性質を異なるものにすることによって得られたポリイミド非対称膜である。
本発明において、化学構造にフッ素原子を含むポリイミドAは、原料成分であるテトラカルボン酸成分及びジアミン成分の少なくとも一方がフッ素原子を含有したものである。
ポリイミドAの原料成分としては、得られるポリイミドAが高いガス透過速度と高いガス選択性を有するものが好適に用いられる。特に、均一なフィルムで測定したときに、80℃でヘリウムガス透過係数(PHe)が5×10−10cm (STP)・cm/cm ・sec・cmHg以上且つヘリウムガスと窒素ガスの透過係数比(PHe/PN2)が20以上、好ましくは80℃でPHeが2.5×10−9cm (STP)・cm/cm ・sec・cmHg以上且つPHe/PN2が20以上、更に好ましくは80℃でPHeが3×10−9cm (STP)・cm/cm ・sec・cmHg以上且つPHe/PN2が30以上となるものが好適である。このポリイミドAはフッ素原子を含有しているために、フッ素原子を含有していないものに比較して、通常相転換法に用いられる各種溶媒に対する溶解性が高く且つ表面自由エネルギーが小さい。
Heが上記の範囲より低いか、又はPHe/PN2が上記の範囲より低いと、得られる非対称ガス分離膜のガス選択透過性(分離度)とガス透過速度が十分でなくなるので、上記の範囲が適当である。
ポリイミドAをなすフッ素原子を含有したテトラカルボン酸成分としては、特に限定するものではないが、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−(ヘキサフルオロトリメチレン)−ジフタル酸、4,4’−(オクタフルオロテトラメチレン)−ジフタル酸、及びそれらの二無水物、及びそれらのエステル化物などを挙げることができる。特に、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、その二無水物(以下、6FDAと略記することもある)、及びそのエステル化物が好適である。
ポリイミドAをなすフッ素原子を含有したジアミン成分としては、特に限定するものではないが、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2−トリフルオロメチル−p−フェニレンジアミンなどを挙げることができる。
これらのフッ素原子を含有した原料成分は単独でもよいが、異なる2種の混合物でもよく、フッ素原子を含有しないモノマー成分と組合せても構わない。また、ポリイミドAをなす原料成分は、テトラカルボン酸成分又はジアミン成分のいずれかがフッ素原子を含有する原料成分を主成分(50モル%以上通常55モル%以上)とすることが好適である。
ポリイミドAをなすフッ素原子を含有したテトラカルボン酸成分を主成分とした際に組合せるジアミン成分としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン(以下、MPDと略記することもある)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、DADEと略記することもある)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシド(以下、TSNと略記することもある。なお、通常のTSNは、2,8−ジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシドを主成分とし、メチル基の位置が異なる異性体2,6−ジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシド、4,6−ジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシドなどを含む混合物である。)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル、ジアミノナフタレン、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸(以下、DABAと略記することもある)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(以下、MASNと略記することもある)などの芳香族ジアミンが挙げられる。テトラカルボン酸成分として6FDA及びその誘導体を主成分とした際に組合せるジアミン成分としては、これらの中でも特にアミノ基がメタ位に配置された芳香族ジアミン、例えばDABA、MASN、MPDなどが好適に用いられる。
また、ポリイミドAをなすフッ素原子を含有したジアミン成分と組合せるテトラカルボン酸成分としては、特に限定するものではないが、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタリンテトラカルボン酸、ビス(ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(ジカルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(ジカルボキシフェニル)プロパン、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、それらの二無水物、及びそれらのエステル化物を挙げることができる。特に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、s−BPDAと略記することもある)が好適である。
ポリイミドBをなす原料成分としては、得られるポリイミドBからなるフィルムが、引張強度100MPa以上好ましくは150MPa以上、且つ引張破断伸び10%以上好ましくは15%以上となるものが好適に用いられる。引張強度が100MPaより低いか、又は引張破断伸びが10%より低いと、それを用いて得られた非対称膜の機械的強度が不足するので、延性が不十分になって例えばガス分離モジュール作製工程や高圧ガスを用いた用途に供し得なくなり、実用的でなくなるため前記の範囲が好適である。
化学構造にフッ素原子を含むポリイミドは比較的に機械的強度が低いことから、ポリイミドBをなすモノマー成分においては、テトラカルボン酸成分及びジアミン成分のいずれにも少なくとも主成分としてはフッ素原子を含まないこと、好ましくはフッ素原子を全く含まないことが好適である。
ポリイミドBのテトラカルボン酸成分としては、特に限定するものではないが、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタリンテトラカルボン酸、ビス(ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(ジカルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(ジカルボキシフェニル)プロパン、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、それら二無水物、及びそれらのエステル化物を挙げることができる。特に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好適である。
これらのテトラカルボン酸成分は、単独で用いてもよいし、異なる2種類以上の混合物を用いてもよく、更にその混合物にはフッ素原子含有テトラカルボン酸成分を少量含んでも構わない。例えば、s−BPDA1モル部に対して0.3モル部以下の6FDAを組合せて用いても構わない。
ポリイミドBのジアミン成分としては、前記ポリイミドAをなす原料成分の説明において、例示したジアミンを好適に用いることができる。
本発明のポリイミド非対称膜の好ましい製造方法について更に説明する。
工程1では、数式1を満たす数平均重合度NとNとをそれぞれが有する、化学構造にフッ素原子を含むポリイミドAの原料成分及び/又は前記原料成分の重合イミド化反応物からなるポリイミド成分Aと、ポリイミドBの原料成分及び/又は前記原料成分の重合イミド化反応物からなるポリイミド成分Bとを混合して多成分ポリイミドの混合溶液を調製する。数式1を満たすNとNとの組合せの範囲を図4のグラフに斜線領域として示す。なお、ポリイミドの原料成分(未反応のテトラカルボン酸成分、未反応のジアミン成分)の重合度を0.5と定義したから、N及びNは当然0.5以上である。
次いで、工程2では、この多成分ポリイミドの混合溶液をさらに重合イミド化反応させる。この結果、前記ポリイミド成分Aとポリイミド成分Bとがさらに重合イミド化反応した混合物であって、少なくともポリイミド成分Aからなる重合体と、ポリイミド成分Bからなる重合体に加えて、ポリイミド成分Aとポリイミド成分Bとが互いの末端で結合したジ又はマルチブロック共重合体を含有し且つ適当な重合度を持った多成分ポリイミドの混合液を得ることができる。
ここで、ジブロック共重合体とは、ポリイミド成分Aからなるブロックとポリイミド成分Bからなるブロックの各1個が互いの末端で結合した共重合体をいい、マルチブロック共重合体は前記ジブロック共重合体の末端に前記2種のブロックが更に1個以上結合した共重合体をいう。ジ又はマルチブロック共重合体には、ポリイミド成分Aからなるブロックが連続して結合した部分やポリイミド成分Bからなるブロックが連続して結合した部分も存在し得る。
前記図4のグラフを参照して説明する。
工程1で図4のA領域のNとNとの組合せからなる多成分ポリイミドの混合溶液を調製し、工程2でさらに重合イミド化反応すると、生成ポリマーを平均して見たときに、ポリイミド成分Aのみからなるブロックやポリイミド成分Bのみからなるブロックが形成されず、ポリイミド成分Aとポリイミド成分Bが平均化されたランダム性が極めて高い共重合体しか得ることができない。
工程1で図4のB領域のNとNとの組合せからなる多成分ポリイミドの混合溶液を調製し、工程2でさらに重合イミド化反応すると、ブロック共重合体を含む多成分ポリイミドの混合液を得ることができるかも知れないが、その重合度が大きくなるために、各ポリイミド間の反発的相互作用が大きくてマクロ相分離が容易に生じる。このため、図4のA領域及びB領域のNとNとの組合せでは本発明の非対称膜を得ることはできない。
数式1を満たすNとNの組合せ範囲内(図4のグラフに斜線領域)では、少なくともポリイミド成分Aからなる重合体と、ポリイミド成分Bからなる重合体に加えて、ポリイミド成分Aとポリイミド成分Bとが互いの末端で結合したブロックを有するジ又はマルチブロック共重合体を含有し且つ適当な重合度を持った多成分ポリイミドの混合液を得ることができる。この多成分ポリイミドは、反発的相互作用によるマクロ相分離を抑制することが可能であり、ミクロ相分離というべき制御された相分離を可能にする。
工程1は、前記数式1を満たす数平均重合度NとNとをそれぞれが有する、化学構造にフッ素原子を含むポリイミドAの原料成分及び/又は前記原料成分の重合イミド化反応物からなるポリイミド成分Aと、ポリイミドBの原料成分及び/又前記原料成分の重合イミド化反応物からなるポリイミド成分Bとを混合して多成分ポリイミドの混合溶液を調製する工程である。この工程は前記多成分ポリイミドの混合溶液が得ることができれば具体的方法は特に限定されない。ポリイミドAの原料成分とポリイミドBの原料成分とをそれぞれ独立に必要に応じて重合イミド化反応によって調製した後でそれらを均一になるように混合して多成分ポリイミドの混合溶液を得ることもできる。また、工程1の多成分ポリイミドの混合溶液が、いずれか一方のポリイミド成分が原料成分(未反応のテトラカルボン酸成分、未反応のジアミン成分)の場合には、一方のポリイミド成分の原料成分を所定の数平均重合度になるように重合イミド化反応した溶液を調製し、次いで前記溶液に他方のポリイミド成分である未反応のテトラカルボン酸成分とジアミン成分を加えても構わない。特にポリイミドBをより高分子量化することが非対称膜の機械的強度を向上させるうえで好適なので、工程1で先ずポリイミドBをなす原料成分を極性溶媒中で重合イミド化反応して適当な重合度のポリイミドBを生成し、これにポリイミドAをなす原料成分を添加して多成分ポリイミドの混合溶液を調製する方法が好都合である。
ポリイミドを得る重合イミド化反応について説明する。重合イミド化反応は、極性溶媒中テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを、所定の組成比で、120℃以上好ましくは160℃以上且つ使用する溶媒の沸点以下の温度範囲で、ポリアミド酸を生成すると共に脱水閉環反応を行わせてイミド化することによって好適に行われる。所定の重合度を達成するためにより低温の反応温度を採用してもよい。アミド酸結合が残ると交換反応によってポリイミドのブロック性が損なわれることがあるので、重合イミド化反応では少なくともイミド化率は40%以上であることが好ましく、実質的にイミド化を完了させることがより好ましい。
重合イミド化反応において、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との組成比を近づけて反応すると比較的高分子量(数平均重合度が大きい)のポリイミドを合成することができる。最初に比較的高分子量のポリイミドを調製する場合には、テトラカルボン酸成分1モル部に対してジアミン成分が0.95〜0.995モル部又は1.005〜1.05モル部、特に0.98〜0.995モル部又は1.005〜1.02モル部の範囲の組成比で反応して、比較的高分子量のポリイミド成分を調製するのが好ましい。
例えば、テトラカルボン酸成分として6FDAを用い、ジアミン成分としてTSNを用いた場合、6FDA1モル部に対してTSNを1.02モル部となる組成で190℃にて30時間脱水閉環反応を行った場合、数平均分子量が15000〜25000程度(数平均重合度が20〜40程度)のポリイミドを合成することができる。また6FDA1モル部に対してTSNを1.005モル部となる組成で190℃にて30時間脱水閉環反応を行った場合、数平均分子量が30000〜40000程度(数平均重合度が40〜60程度)のポリイミドを合成することができる。
例えば、テトラカルボン酸成分として6FDAを用い、ジアミン成分としてDABAを用いた場合、6FDA1モル部に対してDABAを1.02モル部となる組成で190℃にて30時間脱水閉環反応を生じせしめた場合、数平均分子量が15000〜25000程度(数平均重合度が25〜45程度)のポリイミドを合成することができる。また6FDA1モル部に対してDABAを1.005モル部となる組成で190℃にて30時間脱水閉環反応を生じせしめた場合、数平均分子量40000〜50000程度(数平均重合度が70〜90程度)のポリイミドを合成することができる。
一方、テトラカルボン酸成分1モル部に対してジアミン成分が0.98モル部以下又は1.02モル部以上の組成比で反応することにより、比較的低分子量(数平均重合度が小さい)のポリイミド成分を調製することもできる。
工程1で得られる多成分ポリイミドの混合溶液は、テトラカルボン酸成分の総モル数に対するジアミン成分の総モル数の組成比((ジアミン成分の総モル数)/(テトラカルボン酸成分の総モル数))が0.95〜0.99又は1.01〜1.05モル部、より好ましくは0.96〜0.99又は1.015〜1.04モル部の範囲内となるようにすることが、工程2の結果得られる多成分ポリイミドの混合溶液の数平均分子量や溶液粘度が好適になるので好ましい。
工程2は、工程1で得られた数式1を満たすNとNの組合せのポリイミドA成分とポリイミドB成分とからなる多成分ポリイミドの混合溶液をさらに重合イミド化反応させて、少なくともポリイミド成分Aからなる重合体と、ポリイミド成分Bからなる重合体に加えて、ポリイミド成分Aとポリイミド成分Bとが互いの末端で結合したジ又はマルチブロック共重合体を含有し且つ適当な重合度を持った多成分ポリイミドの混合液を得る工程である。
工程2は、工程1で得られる多成分ポリイミドの混合溶液をさらに重合イミド化反応することに特徴があり、前述の重合イミド化反応の方法を好適に採用することができる。
前記工程1及び工程2の多成分ポリイミドの混合溶液では、多成分ポリイミドを均一に溶解する極性溶媒が用いられる。ここで均一に溶解するとは、溶液内部に可視光を散乱する程度のサイズを持ったマクロ相分離したドメインが存在せず、外観上明らかな濁りがない状態を言う。可視光を散乱しない程度のサイズのミクロ相分離したドメインは存在してもよく、分子鎖レベルで均一になることを必須の要件とはしない。
多成分ポリイミドの調製後に、外観上明らかに濁りを生じるような溶媒を用いると、本発明で製造される高いガス処理能力を有するガス分離膜を得ることができない。
このような極性溶媒として、特に限定はないが、フェノール、クレゾール、キシレノール等のようなフェノール類、2個の水酸基をベンゼン環に有するカテコール類、3−クロルフェノール、4−クロルフェノール(以下、PCPと略記することもある)、4−ブロムフェノール、2−クロル−5−ヒドロキシトルエンなどのハロゲン化フェノール類などのフェノール系溶媒、または、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、あるいはそれらの混合物が好適である。
工程2の重合イミド化反応は、ポリイミド成分Aとポリイミド成分Bとが互いの末端で結合したジ又はマルチブロック共重合体を生成させることができれば特に限定されるものではない。通常は多成分ポリイミド混合溶液の数平均分子量が好ましくは2倍以上より好ましくは5倍以上になる程度まで重合イミド化反応を行えば、ジ又はマルチブロック共重合体を好適に生成させることができる。工程2の重合イミド化反応によって得られる多成分ポリイミドの混合溶液の数平均重合度は20〜1000好ましくは20〜500より好ましくは30〜200が好適である。数平均重合度が低過ぎると、混合溶液の溶液粘度が低すぎて工程3の製膜が困難になり、得られる非対称膜の機械的強度が低下するので好ましくない。数平均重合度が高過ぎると、マクロ相分離し易くなり、また溶液粘度が高くなり過ぎて工程3の製膜が困難になるので好ましくない。工程2で得られる多成分ポリイミドの混合溶液の溶液粘度(回転粘度)は、相転換法において非対称膜を形成するときに、溶液を所定の形状(例えば中空糸形状)にし更にその形状を安定化するために要求される特性である。本発明においては、多成分ポリイミドの混合溶液の溶液粘度を、100℃において20〜17000ポイズ、好ましくは100〜15000ポイズ、特に200〜10000に調製するのが好適である。このような溶液粘度のポリイミド溶液であれば、例えば中空糸非対称膜を製造するときの紡糸過程においてポリイミド溶液をノズルから吐出する際、中空糸状などの吐出後の形状を安定に得ることができるので好適である。溶液粘度が20ポイズより低いか、あるいは17000ポイズより高いと中空糸状などの吐出後の形状を安定に得ることが困難になる。
好適な多成分ポリイミドの混合溶液の数平均重合度及び好適な溶液粘度は、工程1で得られる多成分ポリイミドの混合溶液のテトラカルボン酸成分の総モル数に対するジアミン成分の総モル数の組成比((ジアミン成分の総モル数)/(テトラカルボン酸成分の総モル数))を0.95〜0.99又は1.01〜1.05モル部、より好ましくは0.96〜0.99又は1.015〜1.04モル部の範囲内にして、工程2の重合イミド化反応によって容易に得られる。
なお、工程1及び工程2の多成分ポリイミドの混合溶液のポリマー濃度は、5〜40重量%好ましくは8〜25重量%特に9〜20重量%であるように溶媒量を調節しておくことが好適である。ポリマー濃度が5重量%未満では、相転換法によって非対称膜を製造する際に欠陥が生じやすくなり又ガス分離膜としたときのガス透過性能が不良となり易い。ポリマー濃度が40重量%を越えると、得られる非対称膜の緻密層が厚くなったり多孔質層の多孔性が低くなったりしてガス透過速度が小さくなるので、少なくともガス分離膜として好適な非対称膜を得ることが難しくなる。
工程3は、前記工程2で得られた多成分ポリイミドの混合溶液を用いて相転換法によって非対称膜を形成することを特徴とする。相転換法は、ポリマー溶液を凝固液と接触させて相転換させながら膜を形成する公知の方法であり、本発明ではいわゆる乾湿式法が好適に採用される。乾湿式法は、膜形状にしたポリマー溶液の表面の溶媒を蒸発させて薄い緻密層を形成し、次いで凝固液(ポリマー溶液の溶媒とは相溶し、ポリマーは不溶な溶剤)に浸漬し、その際生じる相分離現象を利用して微細孔を形成して多孔質層を形成させる方法であり、Loebらが提案(例えば、米国特許3133132号)したものである。本発明においては、工程3においてマクロ相分離が抑制され、ミクロ相分離というべき相分離が進行して、緻密層のフッ素原子含有ポリイミドの割合を好適に制御したポリイミド非対称膜を製造することができる。
本発明において、中空糸膜は、工程3に乾湿式紡糸法を採用して好適に製造することができる。乾湿式紡糸法は、乾湿式法を紡糸ノズルから吐出して中空糸状の目的形状としたポリマー溶液に適用して非対称中空糸膜を製造する方法である。より詳しくは、ポリマー溶液をノズルから中空糸状の目的形状に吐出させ、吐出直後に空気又は窒素ガス雰囲気中を通した後、ポリマー成分を実質的には溶解せず且つポリマー混合液の溶媒とは相溶性を有する凝固液に浸漬して非対称構造を形成し、その後乾燥し、更に必要に応じて加熱処理して分離膜を製造する方法である。
ノズルから吐出させる多成分ポリイミドの混合溶液の溶液粘度は、前述のとおり、吐出温度(例えば100℃)で20〜17000ポイズ、好ましくは100〜15000ポイズ、特に200〜10000ポイズとなるようなポリイミド溶液が中空糸状などの吐出後の形状を安定に得ることができるので好ましい。凝固液への浸漬は、一次凝固液に浸漬して中空糸状などの膜の形状が保持できる程度に凝固した後、案内ロールに巻き取られ、次いで二次凝固液に浸漬して膜全体を十分に凝固させることが好ましい。凝固した膜の乾燥は炭化水素などの溶媒を用いて凝固液と置換した後乾燥する方法が効率的である。加熱処理は用いられている多成分のポリイミドの各成分ポリマーの軟化点又は二次転移点よりも低い温度で実施されることが好ましい。
工程3で用いる多成分ポリイミドの混合溶液は、工程2の重合イミド化反応によって得られた、少なくともポリイミド成分Aからなる重合体と、ポリイミド成分Bからなる重合体に加えて、ポリイミド成分Aとポリイミド成分Bとが互いの末端で結合したジ又はマルチブロック共重合体を含有し且つ適当な重合度を持った多成分ポリイミドの混合液である。
この混合溶液が相転換法による製膜工程で相分離するときに、ポリイミド成分Aとポリイミド成分Bとが互いの末端で結合したジ又はマルチブロック共重合体が互いに非相溶なポリイミド成分Aからなる重合体とポリイミド成分Bからなる重合体との一種の界面活性剤的な機能をすることで、あるいは別の表現をすれば、ポリイミド成分Aからなるドメインとポリイミド成分Bからなるドメインとの界面に前記ジ又はマルチブロック共重合体が分布することで、異種ドメイン間の反発的相互作用を遮蔽して、マクロ相分離を抑制し、望ましいミクロ相分離を生じさせることができる。
フッ素原子含有ポリイミドは、フッ素原子を含有しないポリイミドよりも、通常は溶解性が高いので、相転換法で非対称膜を形成する際に緻密層には析出し難いと考えられる。しかし、フッ素含有ポリイミドは表面自由エネルギーが低いために熱力学的には膜表面により多く分布することにより膜表面のエンタルピーを低下することができる。本発明の工程3の相分離工程で、緻密層にフッ素含有ポリイミドがより高い割合で存在するのは、この熱力学的理由に拠っていると推定できる。
本発明のポリイミド非対称膜は、緻密層と多孔質層とを有する非対称膜であって、フッ素原子含有ポリイミドを含む多成分のポリイミドからなり、緻密層にフッ素含有ポリイミドをより高い割合で存在させて得られたポリイミド非対称膜である。すなわち、ガス分離膜として高いガス透過性能が要求される緻密層に比較的ガス透過性能が良好なフッ素原子含有ポリイミドがより高い割合で存在し、一方、多孔質層にフッ素原子を含有しないか又は含有量が少なく比較的高い機械的強度を有するポリイミドが存在する非対称膜であるから、ガス分離膜として極めて好適である。厚み方向の部位によって含まれる各ポリイミドの割合が変化しているという意味において傾斜構造の非対称膜といえる。
このような傾斜構造が得られることは、ダイナミック二次イオン質量分析法(以下dSIMSと略記する場合もある)を用いて知ることができる。この方法は、O イオンを膜表面に照射して、膜のスパッターエッチングを行って、各エッチング深さにおいてスパッターされてきた二次イオンを質量分析することにより深さ方向の分析を行う方法である。本発明の製造方法によって製造されたジ又はマルチブロック共重合体を含有し且つ適当な重合度を持った多成分ポリイミドの混合液を、ガラス板上に流延し乾燥させて得られた均一なフィルムについて、フィルム表面から内部に向かってフッ素濃度の深さ方向分析を行った結果を図5(Atomica dynamic SIMS4000を用い、照射電流15nA/μmにてO+イオンを試料表面に照射して測定したフッ素原子分布の深さプロファイル。なお図の横軸は、サンプル表面に被せた厚みが既知の重水素化ポリスチレンカバー層をスパッターエッチングするのに要した時間から平均のエッチング速度を算出し、サンプルをスパッターエッチングした時間をサンプル表面からの深さに換算して表示したものである。)に示す。ここでは、表面から150nm以下の深さのフィルム内部におけるフッ素濃度の値に対して、フッ素濃度の高い領域が表面から50nm程度の深さに及んで観察される。
一方、通常の重合法によって得られたポリイミドドープを、ガラス板上に流延し乾燥させて得た均一なフィルムについての同様の分析結果を図6に示す。ここでは、表面付近のフッ素濃度分布に大きな傾斜構造は観察されない。
本発明のポリイミド非対称膜は、X線光電子分光で測定した緻密層表面のフッ素原子濃度φと、膜を形成した多成分ポリイミドの平均のフッ素原子濃度fとの比φ/fが、好ましくは1.1〜1.8の範囲の割合となるものである。
フッ素原子含有ポリイミドを含む多成分ポリイミドの全原料成分組成と同一の原料成分組成を用いて通常の重合イミド化法によってランダム共重合ポリイミド溶液を調製し、そのポリイミド溶液から乾湿式法によってポリイミド非対称膜を得た場合には、フッ素原子濃度比φ/fが1.0程度である。一方、本発明のポリイミド非対称膜では、フッ素原子含有ポリイミドは、緻密層により多く存在して、フッ素原子濃度比φ/fが、好ましくは1.1〜1.8の範囲、より好ましくは1.2〜1.7の範囲の割合で存在する。
ガス分離膜として用いられるポリイミド非対称膜は緻密層と多孔質層とを有する。緻密層はガス種によって透過速度が実質的に異なる(例えば、50℃においてヘリウムガスと窒素ガスとの透過速度比が1.2倍以上)程度の緻密さを有し、ガス種による分離機能を持つ。一方、多孔質層は実質的なガス分離機能を持たない程度に多孔性を有する層であって、必ずしも孔径は一定でなく、大きな孔から順次細かい孔となり更に連続的に緻密層を形成したものであっても構わない。本発明によって得られるポリイミド非対称膜は、緻密層に欠陥がなくガス分離性能が高い。形態、厚み、寸法等に特に限定はなく、例えば、平膜状であっても中空糸状であっても構わない。ただし、本発明によって得られるポリイミド非対称膜をガス分離膜として用いる場合には、緻密層の厚さは1〜1000nm好ましくは20〜200nm程度、多孔質層の厚さは10〜2000μm好ましくは10〜500μm程度が好適であり、とりわけ中空糸ガス分離膜としては、内径が10〜3000μm好ましくは20〜900μm程度、外径が30〜7000μm好ましくは50〜1200μm程度であり、中空糸膜としては、外側に緻密層を有する中空糸非対称膜が好適である。
更に、本発明によって得られるポリイミド非対称膜は、好ましくは高性能のガス分離性能と実用的な機械的強度とを有する。すなわち、水素ガス透過速度(P’H2)が4.0×10−4cm (STP)/cm ・sec・cmHg以上、より好ましくは5.0×10−4cm (STP)/cm ・sec・cmHg以上であり、水素ガス透過速度(P’H2)と窒素ガス透過速度(P’N2)との比(P’H2/P’N2)が20以上、より好ましくは45以上であり、且つ、引張破断伸びが15%以上特に中空糸膜としての引張破断伸びが15%以上である。また、ヘリウムガス透過速度(P’He)が4.0×10−4cm (STP)/cm ・sec・cmHg以上、より好ましくは5.0×10−4cm (STP)/cm ・sec・cmHg以上であり、ヘリウムガス透過速度(P’He)と窒素ガス透過速度(P’N2)との比(P’He/P’N2)が20以上、より好ましくは45以上であり、且つ、引張破断伸びが15%以上特に中空糸膜としての引張破断伸びが15%以上である。
中空糸としての引張破断伸びが15%未満では、中空糸膜を加工してモジュール化するときに容易に破断や破損するので、工業的にモジュール化できないから実用的ではない。中空糸としての引張破断伸びが15%以上では、工業的にモジュール化するのが容易になるから実用的である。また中空糸としての引張破断伸びが15%未満では、使用中(特に高圧ガスを供給したりする場合)に中空糸の切断が起こり易くなり、使用条件が限定されるから実用的ではない。
本発明のガス分離膜では、ガス分離膜の供給側に混合ガスを供給し、前記混合ガスを分離膜の共有側の表面に接触させることによって、前記ガス分離膜の透過側へ混合ガスの少なくとも一種のガス成分を選択的に透過させ、ガス分離膜の供給側から前記選択的に透過したガス成分の割合が減少した混合ガスを取りだし、前記ガス分離膜の透過側から前記選択的に透過したガス成分の割合が増加した混合ガスを取り出すことによって、混合ガスから前記少なくとも一種のガス成分を選択的に分離することができる。
また、本発明のガス分離膜は、通常の方法でモジュール化して好適に用いることができる。中空糸ガス分離膜の分離膜モジュールは、例えば、適当な長さの中空糸膜100〜200000本程度を束ね、その中空糸束の両端部を中空糸の端部が開口状態を保持した状態で熱硬化性樹脂などからなる管板で固着し、得られた中空糸束と管板などからなる中空糸膜エレメントを、少なくとも混合ガス導入口と透過ガス排出口と非透過ガス排出口とを備える容器内に、中空糸膜の内側に通じる空間と中空糸膜の外側へ通じる空間とが隔絶するように収納し取り付けることによって得られる。このようなガス分離膜モジュールでは、混合ガスが混合ガス導入口から中空糸膜の内側あるいは外側に接する空間へ供給され、中空糸膜に接して流れる間に混合ガス中の特定成分が選択的に膜を透過し、透過ガスが透過ガス排出口から、膜を透過しなかった非透過ガスが非透過ガス排出口からそれぞれ排出されることによって、ガス分離が行われる。
また、本発明のポリイミド非対称膜からなるガス分離膜は、以上のような高いガス透過性能と優れた機械的強度を有する実用的な高性能ガス分離膜であるから、水素ガスとメタンガスなどの炭化水素ガスとの分離、水素ガスと窒素ガスとの分離、ヘリウムガスと窒素ガスとの分離、炭酸ガスとメタンガスなどの炭化水素ガスとの分離、酸素ガスと窒素ガスとの分離などの用途に用いることができる。特に水素ガスとメタンガスなどの炭化水素ガスとの分離、水素ガスと窒素ガスとの分離、酸素ガスと窒素ガスとの分離などの用途に好適に用いることができる。
本発明において、重合度は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定または赤外分光法などによるイミド化率の測定によってあらかじめ数平均重合度と溶液粘度との対応を調べておき、反応溶液の溶液粘度の測定によって数平均重合度を知ることができる。なお、イミド化率が90%以上のものが対象の場合には、GPC測定法によって求め、イミド化率が90%未満の場合には、赤外分光法によるイミド化率測定法から求めた。
本発明においてGPC測定は以下のようにして行った。日本分光工業株式会社製800シリーズHPLCシステムを用い、カラムはShodex KD−806Mを1本、カラム部温度は40℃、検出器は未知試料用としてインテリジェント紫外可視分光検出器(吸収波長350nm)、標準物質用として示差屈折計(標準物質はポリエチレングリコール)を使用した。溶媒は塩化リチウム及びリン酸を各々0.05モル/L含むN−メチル−2−ピロリドン溶液を使用し、溶媒の流速は0.5mL/分、サンプルの濃度は約0.1%とした。データの取り込み及びデータ処理はJASCO−JMBS/BORWINを用い行なった。データの取り込みは2回/秒行ない、試料のクロマトグラムを得た。一方、標準物質として分子量82,250、28,700、6,450、1,900のポリエチレングリコールを使用し、これらのクロマトグラムからピークを検出し、保持時間と分子量の関係を示す校正曲線を得た。未知試料の分子量解析は、校正曲線から各保持時間における分子量Mを各々求め、また、各保持時間におけるクロマトグラムの高さhの合計に対する分率W=h/Σhを求め、それらをもとに数平均分子量Mnは1/{Σ(W/M)}から、重量平均分子量MwはΣ(W・M)から求めた。
数平均重合度Nは、重合時の仕込み割合に応じて平均化したモノマー単位分子量<m>で数平均分子量Mnを除して求めた。
Figure 0005119597
なお、モノマー単位分子量<m>は下記のとおり求めた。すなわち、複数種のテトラカルボン酸成分(分子量m1,i、仕込みモル比R1,i、但し、ΣR1,i=1、i=1,2,3,・・・,n)、複数種のジアミン成分(分子量m2,j、仕込みモル比R2,j、但し、ΣR2,j=1、j=1,2,3,・・・,n)を仕込んだ場合のモノマー単位分子量<m>は下記の式に従って求めた。
Figure 0005119597
赤外分光法によるイミド化率の測定はパーキンエルマー社製スペクトラムワンを用い、全反射吸収測定法−フーリエ変換赤外分光法(ATR−FTIR)によって行った。イミド化率pの算出は、イミド結合のC−N伸縮振動(波数約1360cm-1)の吸光度Aを芳香核C=C面内振動(波数約1500cm-1)の吸光度Aを内部標準として規格化した値(A/A)を、190℃にて5時間熱処理した後の試料について先と同様にして求めたC−N伸縮振動の吸光度Aを芳香核C=C面内振動の吸光度ASIを内部標準として規格化した値(A/ASI)で除して求めた。
Figure 0005119597
なお、吸収バンドの吸光度は、吸収バンドの両側の谷を結んだ線をベースラインとしたピーク強度とした。
ここで得られたイミド化率の値から、さらに下記式により数平均重合度Nを求めた。
Figure 0005119597
ここでrはポリイミドのテトラカルボン酸成分の総モル数に対するジアミン成分の総モル数の組成比であり、ジアミン成分がテトラカルボン酸成分より多い場合その逆数を取るものとし(即ちどの場合においてもrは1以下)、pはイミド化率である。
本発明において、フッ素原子含有ポリイミドが緻密層に存在する割合は、X線光電子分光(以下、XPSまたはESCAと略記する場合もある)で緻密層表面のフッ素原子濃度φを調べることにより知ることができる。
ここで、特定元素jの原子濃度φは、ポリイミドに含まれる検出可能な(水素原子とヘリウム原子は検出できない)各元素の原子数をN(下付きの添え字は元素の種類を表す)とし、特定の元素jの原子数をNとして、下記数式で表されるものである。
Figure 0005119597
(ここで、ΣNはポリイミドに含まれる検出可能な全元素の原子数の和を示す。)
XPSの測定は、X線をポリイミド非対称膜の緻密層表面に照射し、ポリイミドに含まれる各々の元素の各軌道にある電子を真空中に放出させ、放出された電子(光電子)の運動エネルギーに対する光電子の強度(光電子スペクトル)を測定することによって行われる。本発明においては、照射するX線として、ポリイミド表面の損傷などを抑制するために、XPSに不必要なX線成分を除去した単色化AlKα線が好適に利用される。
また、光電子の運動エネルギーEから電子の物質原子中における束縛エネルギーEが、下記数式で求められる。
Figure 0005119597
(ここで、hνは照射X線のエネルギー、Wは光電子を検出した分光器の仕事関数である。)
この束縛エネルギーの値は、元素と電子軌道によりほぼ決まった値をとるので、照射X線のエネルギーを適当に選択すれば、原理的には全元素の検出が可能なはずである。しかしながら、各軌道の電子がX線によって励起される確率(光イオン化断面積)が小さい水素とヘリウムに関しては、実際には観測できない。
ポリイミドに含まれる特定の元素jのl軌道からX線照射によって放出された光電子の強度Iは下記数式で示される。
Figure 0005119597
(ここで、Nは単位体積当りの元素jの原子数、σ は元素jのl殻に対する光イオン化断面積、λ は元素jのl殻から放出された電子がポリイミド中を走行する際の非弾性散乱平均自由行程、A は元素jのl殻から放出された電子に対する装置関数、Rはポリイミド非対称膜の表面粗さ係数である。)
光イオン化断面積σ 、非弾性散乱平均自由行程λ の値は公知である。A は装置と測定条件から決まる値である。Rの値はサンプルによって異なるが、強度比を取ると消える値であるため、後述する原子濃度の算出には必要ない。
本発明において、ポリイミドに含まれる特定の元素jの原子濃度φは、測定された光電子の強度Iを用いて下記数式で求めた。
Figure 0005119597
(ここで、S=σ λ であり、Sは元素iに対する相対的な感度を表しており、Σ(I/S)はポリイミドに含まれる検出できる全ての元素iについて光電子の強度を前記の相対感度で除した値の和を表している。)
なお、相対感度Sは原子濃度が既知である基準物質等を用いて別途決定することができる。相対感度Sとして、XPSの装置メーカーなどから提供されている相対感度S’を便宜的に用いることがあるが、本発明においては、単一組成からなる、換言すれば1種類のテトラカルボン酸成分と1種類のジアミン成分からなるホモポリイミド(原子濃度が既知)を用いて相対感度を決定した。
すなわち、単一組成のポリイミド(1種類のテトラカルボン酸成分と1種類のジアミン成分からなるホモポリイミド)からなるサンプルについては、表面原子濃度φs,jの値と該ポリイミドにおける平均の原子濃度の値fがほぼ一致することが期待されるが、表面原子濃度φs,jを求める際に用いる相対感度Sとして、XPSの装置メーカーなどから提供されている相対感度係数を装置関数で補正した相対感度S’をそのまま用いた場合、φs,jとfの間にしばしばズレが生じる。これは前記相対感度S’が、ポリイミド以外の他の標準物質を用いて実験的に決められた値であることによる。このためポリイミド材料の表面原子濃度を求める際の相対感度Sは、単一組成のホモポリイミドからなるサンプルを用いたときの表面原子濃度φs,jと平均の原子濃度fが一致するように、S’を補正した値を用いた。すなわち、本発明の相対感度Sは、下記数式で示される。
Figure 0005119597
(ここでαは元素jについて、他の標準材料を用いて決定された相対感度S’をポリイミド材料に適用するために使用する補正係数である)
本発明においては前記補正係数を元素ごとに測定して求め、その補正係数で補正した相対感度Sを用いた。
本発明において、光電子の強度Iは、XPS測定の結果得られる光電子スペクトルについて、光電子ピークの面積から求めた。光電子ピークのうち、比較的に光イオン化断面積の大きい遷移に関するものが好適に利用される。通常は光イオン化断面積の値が炭素1s軌道の値の10%より高い遷移に関する光電子ピークが好適に利用される。本発明では、フッ素に関しては1s軌道からの光電子ピークを好適に利用でき、例えば炭素に関しては1s軌道、窒素に関しては1s軌道、酸素に関しては1s軌道、硫黄に関しては2p軌道から放出された光電子ピークを好適に利用できた。
また、光電子スペクトルは、光電子が試料から真空中へ脱出する過程で非弾性散乱を起こすことにより生じたバックグラウンドを含んでいる。このため、原子濃度の決定に利用する各光電子ピークについて、前記のバックグラウンドを差し引いた後に求めた残りの面積をIとした。
更に、本発明のXPSの測定において、ポリイミド非対称膜が中空糸の場合、照射径を中空糸径より細く絞ったX線が使用される。中空糸径が30μm以上概略100μm程度以上であるため、照射径として100μmφ程度以下が好適に採用され、更に20μmφ程度が好適に採用された。
また、光電子の放出によりポリイミド表面が帯電するため、電子線照射などによる試料表面電荷の中和が好適に採用された。
XPSの測定においては、試料表面から測った光電子の取り出し角度(エミッション角)θに応じて、XPSで測定される厚みが変化する。XPSで検出される光電子の95%は試料表面から測った厚み3λ sinθの範囲から放出されたものである。θの値には、測定が可能な範囲であれば特に制限はないが、45°などが好適に利用される。分析される厚みとしては試料表面から数nmの厚みの範囲となる。このためXPSで測定された原子濃度は表面から数nmの厚みの範囲における表面原子濃度φs,jである。
一方、膜全体を形成した多成分のポリイミドに含まれる元素jについての平均の原子濃度fは下記数式で示される。
Figure 0005119597
(ここでnはモノマーkに含まれる元素jの原子数であり、モノマーkがテトラカルボン酸又はその無水物の場合で元素jが酸素の場合、ポリイミド重合時に縮合水として脱離する酸素原子の数を除いた数であり、Nはモノマーkに含まれるX線光電子分光で検出可能な全原子数であり、モノマーkがテトラカルボン酸又はその無水物の場合、ポリイミド重合時に縮合水として脱離する酸素原子の数を除いた数であり、mは膜を形成した多成分のポリイミド中におけるモノマーkのモル分率であり、Σは多成分のポリイミドに含まれる全てのモノマーkについて和を取ることを示す)
本発明において、膜全体における平均のフッ素原子濃度(f)は、前記数式に基づいて算出されたものである。
以下、本発明の多成分ポリイミドからなる非対称膜とその特性について具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本発明での各種測定方法について説明する。
(ポリイミドフィルムの作製)
ポリイミド溶液は、溶液粘度が100℃で50〜1000ポイズになるように調製し、400メッシュ金網を用いて濾過し、引き続き100℃で静置により脱泡した。このポリイミド溶液を50℃でガラス板上に0.5mmまたは0.2mmのドクターナイフを用いて流延し、オーブン中100℃で3時間加熱し溶媒を蒸発させ、更にオーブン中300℃で1時間加熱処理をおこないヘリウムガス透過係数の測定サンプルとなるポリイミドフィルムを得た。
(ヘリウムガス透過係数(PHe)、窒素ガス透過係数(PN2)、及びヘリウムガスと窒素ガスの透過係数比(PHe/PN2)の測定方法)
ヘリウムガス透過係数の測定は高真空タイムラグ法によりおこなった。即ち、前記ポリイミドフィルムを透過セルに装着し80℃にした後、真空ポンプにて10−5torrの高真空とし、その後フィルムの1次側にヘリウムガスで2.5kgf/cmGの圧力をかけ、透過したガスによる2次側圧力上昇の時間に対する変化を求め、フィルムの厚さ、有効面積、2次側体積、1次圧等からポリイミドフィルムのヘリウムガス透過係数(PHe)を算出した。窒素ガス透過係数(PN2)も同一のポリイミドフィルムを用い、同様の方法によってヘリウムガスの代わりに窒素ガスを用いて測定した。ヘリウムガスと窒素ガスの透過係数比(PHe/PN2)は、前記方法で求めたヘリウムガス透過係数(PHe)と窒素ガス透過係数(PN2)から算出した。
(中空糸膜のヘリウムガス、窒素ガス透過性能の測定方法)
15本の中空糸膜と、ステンレスパイプと、エポキシ樹脂系接着剤とを使用して有効長が10cmの透過性能評価用のエレメントを作成し、これをステンレス容器に装着してペンシルモジュールとした。それに一定圧力のヘリウムガスを供給して透過流量を測定した。測定した透過ヘリウムガス量と供給圧力及び有効膜面積からヘリウムガスの透過速度を算出した。窒素ガスの透過速度も同様にして測定した。尚、これらの測定は80℃でおこなった。
(中空糸膜の引張強度と破断伸度の測定)
引張試験機を用いて有効長20mm、引張速度10mm/分で測定した。測定は23℃でおこなった。中空糸断面積は中空糸の断面を光学顕微鏡で観察し、光学顕微鏡像から寸法を測定して算出した。
(回転粘度の測定方法)
ポリイミド溶液の溶液粘度は、回転粘度計(ローターのずり速度1.75sec−1)を用い温度100℃で測定した。
(X線光電子分光による緻密層表面のフッ素原子濃度の測定)
X線光電子分光はPHI社製Quantum2000走査型X線光電子分光装置を用いて行った。照射X線として単色化したAlKα線を用いた。測定には照射径20μmφのX線を用いた。エミッション角は45°とし、試料表面の帯電を抑えるために電子中和銃を使用した。炭素1s軌道、窒素1s軌道、酸素1s軌道、フッ素1s軌道、硫黄2p軌道からの光電子ピークについて、バックグランドを除去した後にピーク面積を測定した。ピーク面積から原子濃度を求めるに当り、前記光電子ピークの処理や、原子濃度の算出にはPHI社製ソフトウェアMultipak version 6.1A(1999)を用いた。各光電子ピークについて、PHI社から提供された相対感度係数ASFに、前記装置の装置関数(分光器の透過関数)による補正を行った相対感度S’の値を下記表1に示す。なお、表中のS’の値はフッ素1sに対する値を1として表示したものである。
Figure 0005119597
本発明においては、6FDAとTSNからなるホモポリイミドのフィルムと6FDAとDABAからなるホモポリイミドのフィルムをサンプルとして用い、ポリイミドに含まれる各元素について前記相対感度S’を補正した値S(=S’×α)を用いて原子濃度を算出した。用いた各元素の補正係数(α)を下記表2に示す。
Figure 0005119597
(参考例1)
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(以下、6FDAと略記することもある)12.44gと、ジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシド(以下、TSNと略記することもある)4.92gと3,5−ジアミノ安息香酸(以下、DABAと略記することもある)1.64gを、溶媒のパラクロロフェノール(以下、PCPと略記することもある)102gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で31時間重合イミド化し、回転粘度が446ポイズ、ポリマー濃度が15重量%のポリイミド溶液を得た。
このポリイミド溶液から得られたポリイミドフィルムのヘリウムガスの透過係数(PHe)は1.1×10−8cm(STP)・cm/cm・sec・cmHgで、ヘリウムガスと窒素ガスとの透過係数比(PHe/PN2)は37であった。
(参考例2)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、s−BPDAと略記することもある)12.36gと、TSN11.35gを、溶媒のPCP165gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で25時間重合イミド化し、回転粘度が600ポイズ、ポリマー濃度が11.8重量%のポリイミド溶液を得た。
このポリイミド溶液から得られたポリイミドフィルムのヘリウムガスの透過係数(PHe)は2.2×10−9cm(STP)・cm/cm・sec・cmHgで、ヘリウムガスと窒素ガスとの透過係数比(PHe/PN2)は110であった。またこのポリイミドフィルムの引張破断強度は260MPa、ヤング率5925MPa、破断伸び24%であった。
(非対称中空糸膜を製造する方法)
以下の例で用いた非対称中空糸膜の製造方法は、乾湿式紡糸法によっておこなった。具体的には、ポリイミド溶液、又はポリイミド混合溶液を、400メッシュの金網で濾過したあと、温度71℃で中空糸紡糸ノズル(円形開口部外径1000μm、円形開口部スリット幅200μm、芯部開口部外径400μm)から吐出させ、吐出した中空糸状体を窒素雰囲気中に通した後、0℃の75重量%エタノール水溶液からなる凝固液に浸漬し湿潤糸とした。これを50℃のエタノール中に2時間浸漬し脱溶媒処理を完了し、更に、70℃のイソオクタン中に3時間浸漬洗浄して溶媒を置換後、100℃絶乾状態で30分間乾燥し、その後300℃〜320℃の温度で1時間の熱処理を行った。更に、中空糸膜の表面の滑りを整えるためにシリコンオイルでオイリング処理を施し中空糸膜を製造した。得られた中空糸膜はいずれも、大略、外径寸法400μm、内径寸法200μm、膜厚100μmのものであった。
(実施例1)
s−BPDA12.36gとTSN11.35g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが0.985モル部、B/A=0.985)を、溶媒のPCP165gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で22時間重合イミド化し、ポリマー濃度が11.8重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドBの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、74であった。このポリイミド溶液へ6FDA12.44gとTSN5.21gとDABA1.73g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.085モル部)を溶媒のPCP20gと共に添加した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で8時間重合イミド化し、回転粘度が2046ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、41であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(実施例2)
s−BPDA12.36gとTSN11.35gを、溶媒のPCP169gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で27時間重合イミド化し、ポリマー濃度が11.6重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドBの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、75であった。このポリイミド溶液へ6FDA12.44gとTSN4.17gと3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(以下、MASNと略記することもある)3.77gを溶媒のPCP20gと共に添加した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で8時間重合イミド化し、回転粘度が1693ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、41であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(比較例1)
s−BPDA12.71gと6FDA12.79gとTSN16.20gとMASN3.67g(酸二無水物1モル部に対してジアミンが1.025モル部)を、溶媒のPCP195gと共にセパラブルフラスコ中にて重合温度190℃で54時間重合イミド化し、回転粘度が1097ポイズ、ポリマー濃度が18重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、45であった。
このポリイミド溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
この例は原料組成が実施例2とほぼ同じであるが、Φs/fが1.02であり、引張破断伸びは7%と低いものであった。
(実施例3)
s−BPDA6.36gと6FDA12.79gとTSN8.10gとMASN3.67gとDABA1.12gを、溶媒のPCP171gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で27時間重合イミド化し、ポリマー濃度が15.0重量%のポリイミドA溶液を得た。このポリイミドAの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、31であった。このポリイミド溶液へs−BPDA6.36gとTSN6.07gを溶媒のPCP20gと共に添加した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で19時間重合イミド化し、回転粘度が1246ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分のポリイミド溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、46であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(実施例4)
s−BPDA12.36gとTSN11.35gを、溶媒のPCP165gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で27時間重合イミド化し、ポリマー濃度が11.8重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドBの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、76であった。このポリイミド溶液へ6FDA12.44gとTSN2.08gとMASN3.77gとDABA1.16gを溶媒のPCP20gと共に添加した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で30時間重合イミド化し、回転粘度が911ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、45であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(実施例5)
s−BPDA12.71gとTSN12.15gを、溶媒のPCP171gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で27時間重合イミド化し、ポリマー濃度が12.0重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、79であった。このポリイミド溶液へ6FDA12.79gとTSN2.02gとMASN3.67gとDABA1.12gを溶媒のPCP20gと共に添加した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で10時間重合イミド化し、回転粘度が1767ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、73であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(実施例6)
s−BPDA6.36gとTSN6.07gを、溶媒のPCP171gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で27時間重合イミド化し、ポリマー濃度が6.4重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、57であった。このポリイミド溶液へs−BPDA6.36gと6FDA12.79gとTSN8.10gとMASN3.67gとDABA1.12gを溶媒のPCP20gと共に添加した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で19時間重合イミド化し、回転粘度が1507ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、50であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(比較例2)
s−BPDA12.71gと6FDA12.79gとTSN14.17gとMASN3.67gとDABA1.12gを、溶媒のPCP191gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で73時間重合イミド化し、回転粘度が1190ポイズ、ポリマー濃度が18重量%のポリイミド溶液を得た。このポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、49であった。
このポリイミド溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
この例は原料組成が実施例6とほぼ同じであるが、Φs/fが1.04であり、引張破断伸びは7%と低いものであった。
(実施例7)
6FDA12.44gとDABA4.37gを、溶媒のPCP155gと共にセパラブルフラスコ中にて重合温度120℃で2時間反応し、ポリマー濃度が9.8重量%のポリイミドA溶液を得た。この反応溶液の数平均重合度を求めるため、反応液の一部をスライドグラス上に流延しエタノールへ浸漬凝固させ、更に十分溶媒置換してPCPを除去し、室温にて真空乾燥を5時間行ない、FT−IR分析の試料とした。イミド化率の測定は上記の方法で行ない、0.63であった。更にこの値から数平均重合度Nを計算すると、2.7であった。
次に、この反応溶液へs−BPDA12.36gとTSN11.81gを溶媒のPCP20gと共に添加した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに重合温度190℃で30時間重合し、回転粘度が1265ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、72であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(実施例8)
6FDA12.44gとDABA4.37gを、溶媒のPCP155gと共にセパラブルフラスコ中にて重合温度120℃で1時間反応し、ポリマー濃度が9.8重量%のポリイミドA溶液を得た。この反応溶液の数平均重合度を求めるため、反応液の一部をスライドグラス上に流延しエタノールへ浸漬凝固させ、更に十分溶媒置換してPCPを除去し、室温にて真空乾燥を5時間行ない、FT−IR分析の試料とした。イミド化率の測定は上記の方法で行ない、0.52であった。更にこの値から数平均重合度Nを計算すると、2.1であった。
次に、この反応溶液へs−BPDA12.36gとTSN11.81gを溶媒のPCP20gと共に添加した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに重合温度190℃で30時間重合し、回転粘度が1469ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、78であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(実施例9)
6FDA23.10gとTSN3.66gとMASN6.62gとDABA2.03gを溶媒のPCP153gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で6時間重合イミド化し、ポリマー濃度が18重量%のポリイミドA溶液を得た。このポリイミドAの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、4.9であった。
s−BPDA21.18gとTSN20.25gを、溶媒のPCP177gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で6時間重合イミド化し、ポリマー濃度が18重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、51であった。
次に前記ポリイミドA溶液88g及び前記ポリイミドB溶液110gをセパラブルフラスコに秤り取り混合した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で13時間重合イミド化し、回転粘度が2232ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、62であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(実施例10)
s−BPDA21.18gとTSN20.25gを、溶媒のPCP177gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で0.5時間重合イミド化し、ポリマー濃度が18重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、6.0であった。
次に前記ポリイミドB溶液110g及び実施例9で得られた数平均重合度4.9のポリイミドA溶液88gをセパラブルフラスコに秤り取り混合した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で19時間重合イミド化し、回転粘度が1376ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、57であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(実施例11)
6FDA23.10gとTSN3.66gとMASN6.62gとDABA2.03gを溶媒のPCP153gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で29時間重合イミド化し、ポリマー濃度が18重量%のポリイミドA溶液を得た。このポリイミドAの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、22であった。
s−BPDA21.18gとTSN20.25gを、溶媒のPCP177gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で0.25時間重合イミド化し、ポリマー濃度が18重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドBの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、4.5であった。
次に前記ポリイミド溶液A88g及び前記ポリイミド溶液B110gをセパラブルフラスコに秤り取り混合した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で29時間重合イミド化し、回転粘度が1172ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、45であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(実施例12)
6FDA23.10gとTSN3.66gとMASN6.62gとDABA2.03gを溶媒のPCP153gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で0.5時間重合イミド化し、ポリマー濃度が18重量%のポリイミドA溶液を得た。このポリイミドAの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、2.76であった。
s−BPDA21.18gとTSN20.25gを、溶媒のPCP177gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で0.2時間重合イミド化し、ポリマー濃度が18重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドBの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、3.1であった。
次に前記ポリイミド溶液A88g及び前記ポリイミド溶液B110gをセパラブルフラスコに秤り取り混合した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で19時間重合イミド化し、回転粘度が1618ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、78であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(比較例3)
s−BPDA6.36gとTSN6.07gを、溶媒のPCP171gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で5時間重合イミド化し、ポリマー濃度が6.4重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドBの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、7.4であった。このポリイミド溶液へs−BPDA6.36gと6FDA12.79gとTSN8.10gとMASN3.67gとDABA1.12gを溶媒のPCP20gと共に添加した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で23時間重合イミド化し、回転粘度が1079ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、49であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
この例はNとNが数式1を満たすNとNの組合せ範囲外(図4のA領域)にあるものであり、Φs/fが1.07であり、引張破断伸びは8%と低いものであった。
(実施例13)
s−BPDA12.36gとTSN11.35gを、溶媒のPCP158gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で30時間重合イミド化し、ポリマー濃度が11.8重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、75であった。このポリイミド溶液へ6FDA12.44gとMASN3.77gとMPD1.64gを溶媒のPCP20gと共に添加した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で6時間重合イミド化し、回転粘度が1432ポイズ、ポリマー濃度が18重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、101であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
(比較例4)
6FDA21.32gとTSN8.44gとDABA2.81gを溶媒のPCP129gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で40時間重合イミド化し、ポリマー濃度が19.3重量%のポリイミドA溶液を得た。このポリイミドAの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、26であった。
s−BPDA27.41gとTSN22.22gとDADE1.80gを、溶媒のPCP210gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で40時間重合イミド化し、ポリマー濃度が18.7重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドBの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、47であった。
次に前記ポリイミドA溶液90g及び前記ポリイミドB溶液100gをセパラブルフラスコに秤り取り混合した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに反応温度190℃で3時間重合イミド化し、回転粘度が1711ポイズ、ポリマー濃度が19重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、52であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
この例はNとNが数式1を満たすNとNの組合せ範囲外(図4のB領域)にあるものであり、Φs/fが1.82であり、水素ガス透過速度(P’H2)と窒素ガス透過速度(P’N2)との比(P’H2/P’N2)が11であった。
(比較例5)
6FDA26.65gとTSN10.49gとDABA3.49gを溶媒のPCP161gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で40時間重合イミド化し、ポリマー濃度が19.3重量%のポリイミドA溶液を得た。このポリイミドAの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、44であった。
s−BPDA52.66gとTSN46.00gとDADE3.73gを、溶媒のPCP419gと共にセパラブルフラスコ中にて反応温度190℃で25時間重合イミド化し、ポリマー濃度が18.7重量%のポリイミドB溶液を得た。このポリイミドBの数平均重合度Nを前記GPC測定方法によって測定したところ、66であった。
次に前記ポリイミドA溶液90g及び前記ポリイミドB溶液100gをセパラブルフラスコに秤り取り混合した。この多成分ポリイミドの混合溶液を、さらに温度130℃で3時間攪拌混合し、回転粘度が2753ポイズ、ポリマー濃度が19重量%の多成分ポリイミドの混合溶液を得た。この多成分ポリイミドの数平均重合度を前記GPC測定方法によって測定したところ、56であった。
この多成分ポリイミドの混合溶液を用いて非対称膜を製造し、得られた非対称膜の特性を測定した。その結果を表3に示した。
この例はNとNが数式1を満たすNとNの組合せ範囲外(図4のB領域)にあり、且つ2種のポリイミド溶液を単に混合し重合イミド化反応は実質的に行わなかったものである。Φs/fが2.06であり、水素ガス透過速度(P’H2)と窒素ガス透過速度(P’N2)との比(P’H2/P’N2)が3であった。
Figure 0005119597
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本発明によって、緻密層と多孔質層とを有するポリイミド非対称膜であって、フッ素原子含有ポリイミドを含む多成分のポリイミドからなり、緻密層のフッ素原子含有ポリイミドの割合を好適に制御したポリイミド非対称膜を提供することができる。
このようなポリイミド非対称膜は、水素ガスとメタンガスなどの炭化水素ガスとの分離、水素ガスと窒素ガスとの分離、ヘリウムガスと窒素ガスとの分離、炭酸ガスとメタンガスなどの炭化水素ガスとの分離、酸素ガスと窒素ガスとの分離などを好適に行うことができる実用的な高性能ガス分離膜として好適である。
:マクロ相分離を生じたフィルム断面のTEM像の一例である。このフィルムは2種類の高分子量ポリイミドの混合溶液(比較例5)をガラス板上に流延し乾燥させて得た。 :マクロ相分離が生じていないフィルム断面のTEM像の一例である。このフィルムは、本発明の多成分ポリイミドの混合溶液(実施例4)をガラス板上に流延し乾燥させて得た。 :マクロ相分離を生じたフィルム断面のTEM像の別の例である。このフィルムは2種類の高分子量ポリイミドの混合溶液をガラス板上に流延し乾燥させて得た。このTEM像からフィルム表面付近のマクロ相分離がよく理解できる。 :本発明のNとNとの組合せ範囲を説明するためのグラフである。 :本発明の多成分ポリイミドの混合溶液(実施例4)をガラス板上に流延し乾燥させて得たフィルムの深さ方向のフッ素原子をdSIMSで分析した結果である。 :通常の重合方法によって得られたポリイミド溶液(比較例2)をガラス板上に流延し乾燥させて得たフィルムの深さ方向のフッ素原子をdSIMSで分析した結果である。

Claims (7)

  1. 緻密層と多孔質層とを有するポリイミド非対称膜であって、フッ素原子含有ポリイミドおよびフッ素原子を含まないポリイミドからなる多成分ポリイミドで形成され、且つX線光電子分光(XPS)で測定した緻密層のフッ素原子濃度(Φ)と膜全体における平均のフッ素原子濃度(f)との比(Φ/f)が1.1〜1.8であり、かつマクロ相分離を生じていないことを特徴とするポリイミド非対称膜。
  2. 請求項1に記載のポリイミド非対称膜からなるガス分離膜。
  3. 中空糸であって、水素ガス透過速度(P’H2)が4.0×10−4cm (STP)/cm ・sec・cmHg以上、水素ガス透過速度(P’H2)と窒素ガス透過速度(P’N2)との比(P’H2/P’N2)が20以上、且つ中空糸としての引張破断伸びが15%以上である請求項2に記載のガス分離膜。
  4. 中空糸であって、ヘリウムガス透過速度(P’He)が4.0×10−4cm (STP)/cm ・sec・cmHg以上、ヘリウムガス透過速度(P’He)と窒素ガス透過速度(P’N2)との比(P’He/P’N2)が20以上、且つ中空糸としての引張破断伸びが15%以上である請求項2に記載のガス分離膜。
  5. 請求項2に記載のガス分離膜の供給側に混合ガスを供給し、前記ガス分離膜の透過側へ混合ガスの少なくとも一種のガスを選択的に透過させることを特徴とする、混合ガスから前記少なくとも一種のガスを選択的に分離回収する方法。
  6. 請求項2に記載のガス分離膜の供給側に、水素ガスを含む混合ガスを供給し、前記ガス分離膜の透過側へ水素ガスを選択的に透過させることを特徴とする、水素ガスを含む混合ガスから水素ガスを選択的に分離回収する方法。
  7. 請求項2に記載のガス分離膜の供給側に、ヘリウムガスを含む混合ガスを供給し、前記ガス分離膜の透過側へヘリウムガスを選択的に透過させることを特徴とする、ヘリウムガスを含む混合ガスからヘリウムガスを選択的に分離回収する方法。
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