JP2009227953A - 耐溶剤性が改良された成形体の製造方法 - Google Patents

耐溶剤性が改良された成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機溶媒と接触した場合、あるいは有機蒸気を含有する雰囲気に曝された場合にも使用することが可能である耐溶剤性が改良された成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】 芳香族ジアジド化合物とポリアミック酸とからなる成形物を、熱処理を行うことにより製造することを特徴とする、耐溶剤性が改良された成形体の製造方法。好ましくは、本発明の製造方法により製造された成形体は、有機溶媒と接触した場合、あるいは有機蒸気を含有する雰囲気に曝された場合にも、本来有している物理的特性を発揮することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐溶剤性が改良された成形体の製造方法に関する。
芳香族ポリイミド成形体は、機械的強度、耐熱性、そして耐薬品性などの物理的及び化学的特性が顕著に高いことが知られている。良好なガス透過特性を含む前記の高い物理的及び化学的特性により、芳香族ポリイミドはガス分離膜として有望であり、既に種々の分野で活用されている。
近年、バイオエタノールの脱水などにおいて、有機化合物を含む液体混合物を加熱蒸発させて生成した有機蒸気混合物を、選択的透過性を有する分離膜を用いて分離する方法(有機蒸気分離)が、注目を集めている。有機蒸気分離においては、有機溶媒への接触あるいは有機蒸気を含有する雰囲気に曝されるため、特に高い耐溶剤性が求められている。
高分子からなる材料の耐溶剤性を改良する方法としては、架橋する方法が挙げられる。
例えば、有機溶媒可溶性の芳香族ポリイミドと、芳香族アジド化合物とからなる感光性ポリイミド組成物が特許文献1に開示されている。感光性ポリイミド組成物の有機溶媒溶液を塗布し乾燥することによって塗膜を得る。前記塗膜にマスクパターンを介して紫外光を照射し光照射部分を不溶化させ、現像液(モノエタノールアミン等の有機溶媒)で溶媒可溶性である未照射部分を溶解させ、光照射部分のパターンを得ている。
特開昭63−353号
芳香族ポリイミドからなる成形体が、有機溶媒へ接触する、あるいは有機蒸気を含有する雰囲気に曝されるといった場合、有機溶媒によって芳香族ポリイミドが、膨潤および/もしくは可塑化が進行する場合がある。その結果、本来有している機械的特性、ガス透過特性といった物理的特性が悪化する場合がある。
本発明は、耐溶剤性が改良された成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、ポリアジド化合物とポリイミド前駆体からなる成形物を得て、次いで熱処理を行うことを特徴とする耐溶剤性が改良された成形体の製造方法に関する。
さらに、前記ポリイミド前駆体がポリアミック酸であることを特徴とする前記成形体の製造方法に関する。
さらに、前記成形体がフィルム、または、糸のいずれかであることを特徴とする前記成形体の製造方法に関する。
さらに、前記熱処理を、160℃〜350℃で行うことを特徴とする前記成形体の製造方法に関する。
さらに、前記ポリアジド化合物が、芳香族ジアジド化合物であることを特徴とする前記成形体の製造方法に関する。
さらに、前記ポリアジド化合物と前記ポリイミド前駆体との重量比が、0.1/100〜30/100であることを特徴とする前記の成形体の製造方法に関する。
また、前記ポリアジド化合物と前記ポリイミド前駆体とからなる成形物が、ポリアジド化合物とポリイミド前駆体とを溶媒に均一に溶解した溶液組成物を成形してなるものであることを特徴とする前記成形体の製造方法に関する。
また、前記製造方法により製造された成形体に関する。
本発明は、耐溶剤性が改良された成形体の製造方法を提供する。
好ましくは、本発明の製造方法により製造された成形体は、有機溶媒と接触した場合、あるいは、有機蒸気を含有する雰囲気に曝された場合にも、本来有している物理的特性を発揮することができる。
本発明者らは、種々検討した結果、ポリアジド化合物とポリイミド前駆体からなる成形物を形成し、次いで熱処理を行うことにより製造することを特徴とする耐溶剤性が改良された成形体の製造方法を見出した。
好ましくは、ポリアジド化合物として芳香族ジアジド化合物、および、ポリイミド前駆体としてポリアミック酸を含有する溶液組成物を成形することにより形成した成形物を、160℃〜350℃の温度で熱処理を行うことにより製造する。本発明により製造された成形体は、下記化学式(1)で示されるポリイミド骨格を有している。
以下に例を挙げて説明する。
Figure 2009227953
[ここで、Aは芳香族テトラカルボン酸からカルボン酸基を除いた4価の基である。また、Bは芳香族ジアミンのアミノ基を除く2価の基である。]
本発明のポリアジド化合物とは、分子内にアジド基(−N)を複数個共有結合している化合物を意味する。本発明の芳香族ジアジド化合物とは、芳香族化合物に芳香環に直接共有結合したアジド基が二個共有結合している化合物を意味する。芳香環は、一個でも構わないし二個以上の複数個でも構わない。芳香環に直接共有結合したアジド基は、脂肪鎖に共有結合したアジド基と比較して反応性が高いため、また、芳香族ポリイミドとの親和性が高いため、好適である。
芳香族ジアジド化合物としては、例えば、以下化学式(2)〜(4)に示すような芳香族ジアジド化合物が挙げられる。その中でも化学式(2)で示されるビス(3−アジドフェニル)スルホンが特に好ましい。
Figure 2009227953
Figure 2009227953
Figure 2009227953
次に、本発明におけるポリイミド前駆体について説明する。本発明で用いるポリイミド前駆体としては、特に限定されるものではないが、下記化学式(5)の繰返し単位を有するポリアミック酸、下記化学式(5)での繰り返し単位を有するポリアミック酸ハーフエステル、下記化学式(6)の繰返し単位を有するポリイソイミド等が挙げられる。その中でも、前記化学式(1)の繰返し単位を有するポリアミック酸が特に好ましい。
Figure 2009227953

[ここで、Aは芳香族テトラカルボン酸からカルボン酸基を除いた4価の基である。また、Bは芳香族ジアミンのアミノ基を除く2価の基である。]
Figure 2009227953
[ここで、Aは芳香族テトラカルボン酸からカルボン酸基を除いた4価の基である。また、Bは芳香族ジアミンのアミノ基を除く2価の基である。また、Rは、1価の基である。]
Figure 2009227953
[ここで、Aは芳香族テトラカルボン酸からカルボン酸基を除いた4価の基である。また、Bは芳香族ジアミンのアミノ基を除く2価の基である。]
前記化学式(5)、(6)、(7)で表されるAの具体例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、及び、ピロメリット酸などの芳香族テトラカルボン酸からカルボン酸基を除いた4価の基を好適に挙げることができる。
前記化学式(5)、(6)、(7)で表されるBの具体例としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、あるいは4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等のジアミノジフェニルエーテル類、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド等のジアミノジフェニレンスルホン類、ビス((アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(BAPP)類、ビス((アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)類、ジアミノジフェニルメタン類、ジアミノジフェニルスルホン類、ジアミノベンゾフェノン類、ビス(アミノフェニル)プロパン類、ビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン類、トリジン類、フェニレンジアミン類、ジアミノ安息香酸類、ジアミノピリジン類などの芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基を好適に挙げることができる。
本発明中でテトラカルボン酸成分とは、化学式(1)で表されるポリイミド骨格に、4価の残基であるA成分を導入することができる成分のことである。具体的には、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸エステル等が挙げられる。
本発明中でジアミン成分とは、化学式(1)で表されるポリイミド骨格に、2価の残基であるB成分を導入することができる成分のことである。具体的には、ジアミン、ジイソシアネート等が挙げられる。
本発明のポリアミック酸の調製は、ポリアミック酸を調製する公知の方法や条件を好適に採用できる。従って、特に限定するものではないが、例えば、有機溶媒中、前述のテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを、ポリイミド換算した固形分濃度が5〜40質量%程度になるような濃度で略等モル(通常はモル比でテトラカルボン酸成分/ジアミン成分が1.05〜0.95)溶解させた溶液組成物を、ポリアミック酸のアミド結合とカルボキシル基がイミド化するのを抑制するために好ましくは100℃以下より好ましくは80℃以下さらに好ましくは60℃以下の温度条件で0.1時間〜数十時間撹拌しながら反応させることにより、均一なポリアミック酸溶液組成物として得ることが好ましい。
本発明で用いる前記化学式(5)の繰返し単位を有するポリアミック酸の分子量は、特に限定されるものではないが、数平均分子量が1000〜150000、好ましくは10000〜150000のものである。また、このポリアミック酸溶液組成物は、溶液安定性が良好なものであるが、ポリマー成分の析出やゲル化が起こらなくて均一な溶液状態が保てる範囲内において、ポリアミック酸のアミド結合とカルボキシル基との一部(通常は10%程度まで)がイミド化していても構わない。
本発明のポリアミック酸とポリアジド化合物からなる成形物は、前記ポリアミック酸と前記ポリアジド化合物とを溶媒に均一に溶解させた溶液組成物を成形してなるものであることが好ましい。
前記溶液組成物の溶媒としては、ポリアミック酸およびポリアジド化合物を溶解する溶媒であれば特に限定されるものではないが、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、クレゾール、N,N−ジメチルスルホキシド、N−メチルカプロラクタム、メチルトリグライム、メチルジグライム、スルホランなどの有機極性溶媒を好適に用いることができる。
これらの溶媒は、前記ポリアミック酸をポリイミド換算した固形分濃度が5〜40質量%、好ましくは8〜35質量%、より好ましくは10〜30質量%の濃度で好適に用いられる。
ポリアジド化合物とポリアジド化合物と溶媒とを含む溶液組成物の調製方法は、特に限定されるものではないが、例えば、前記の手法により重合されたポリアミック酸溶液組成物にポリアジド化合物を添加し、溶解させることにより調製する手法が挙げられる。また、ポリアミック酸溶液組成物をアルコール等の貧溶媒に滴下して析出させ、乾燥して得たポリアミック酸を、ポリアジド化合物と共に前記の溶媒に溶解させることにより調製する手法が挙げられる。
前記ポリアジド化合物と前記ポリアミック酸とは、重量比が0.1/100〜30/100であることが好ましい。重量比が0.3/100以上であることがより好ましく、0.5/100以上であることが更に好ましく、1/100以上であることが特に好ましく、25/100以下であることがより好ましく、20/100以下であることが更に好ましく、15/100以下であることが特に好ましい。ポリアジド化合物とポリアミック酸との重量比が0.1/100以下であると、耐溶剤性が十分に改良されないため好ましくない。重量比が30/100以上であると、ポリイミド骨格が占める部分が少なくなり、力学特性が劣るため好ましくない。
前記ポリアミック酸とポリアジド化合物と溶媒を含む溶液組成物から成形物を得る方法は、特に制限されるものではない。例えば、フィルム・シートを得るための方法としては、ダイ押し出しによる工法、アプリケーターを用いたキャスティング、コーターを用いる方法などを挙げることができる。糸を得るための方法として、湿式紡糸法、電界紡糸法などを挙げることができる。成形物は緻密構造を持つものであっても、多孔質構造をもつものであってもよく、また、全体が緻密構造もしくは多孔質構造の均質構造からなるものであってもよく、緻密構造と多孔質構造の双方を有する非対称構造からなるものであってもよい。通常、溶媒を除去するために、100℃程度の温度で乾燥を行う。
本発明の糸は、直径が1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることが更に好ましく、250μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが特に好ましく、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることが更に好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。
本発明のフィルムは、膜厚が1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることが更に好ましく、250μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが特に好ましく、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることが更に好ましく、10μm以上であることがより好ましい。
本発明の多孔質膜は、膜厚が1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることが更に好ましく、250μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが特に好ましく、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることが更に好ましく、10μm以上であることがより好ましく、孔径が2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることが更に好ましく、0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることが更に好ましい。
本発明の非対称膜は、緻密構造であるスキン層の厚さが10〜200nmであり、多孔質構造である多孔質層の厚さは20〜200μmであることが好ましい。スキン層の厚さが10nm未満は欠陥なく製造することが困難であり、200nmを越えるとガスの透過速度が小さくなって好ましくない。また、多孔質層が20μm未満では機械的強度が小さくなって実用的でなくなり、200μmを越えると多孔質のガスの透過速度が小さくなるので好ましくない。
本発明の非対称膜は、フィルム・シート状の平膜、中空糸状の中空糸膜等いずれの形状であってもよいが、分離膜として有効膜面積を大きくとれる中空糸膜が好適である。また、中空糸膜の内径は30〜500μmが好ましい。
本発明の成形体は、ポリアジド化合物とポリイミド前駆体とからなる溶液組成物から成形物を得て、次いで、その成形体を耐溶剤性が改良される程度の温度条件で熱処理する方法によって好適に得ることができる。この加熱処理によって、ポリイミド前駆体がイミド化反応によりポリイミドとなると共に、少なくとも一部のポリアジド化合物が反応してポリイミドを不融化する。本発明において、不融化とは、80℃のパラクロロフェノール中に3時間浸漬しても溶解しないようになることである。
本発明における熱処理の温度は、160℃〜350℃であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましく、320℃以下であることが好ましく、300℃以下であることがより好ましい。
熱処理は、成形物を加熱槽に所定時間入れるバッチ方式でもよいし、成形物を連続的に加熱トンネル内を通過させる連続方式でも構わない。雰囲気を制御して、バッチ方式で加熱することにより行う事が、条件を制御しやすく好ましい。
熱処理温度が160℃より低い場合には、アジド基の反応が十分に起こらないため、および/または、ポリアミック酸のイミド化が十分に進行しないため好ましくない。熱処理温度が350℃を超えると、ポリイミド骨格が維持できないため好ましくない。
パラクロロフェノールは、ポリイミドに対し最も高い溶解性を示す有機溶媒の一つであり、しばしば、乾湿式法によりポリイミド非対称分離膜を製造するときにポリイミドを溶解させる溶剤として用いられている。このような最も高い溶解性を持っているパラクロロフェノールに対して高い耐溶剤性を示すものは、パラクロロフェノールよりも低い溶解性しか持っていないアルコール類、ケトン類、エステル類など他の有機蒸気に対しては十分な耐溶剤性を有する。耐溶剤性に優れていない成形体を、有機蒸気雰囲気下で使用した場合、初期に優れた物理的特性を発揮したとしても、時間の経過とともに称構造が損なわれて物理的特性が悪化する。即ち、本発明の成形体は、80℃のパラクロロフェノール中に3時間浸漬しても溶解しないだけの改良された耐有機溶剤性を有するから、アルコール類、ケトン類、エステル類などの有機溶媒と接触した場合、あるいは、有機蒸気を含有する雰囲気に曝された場合にも、十分な耐溶剤性を持っている。したがって、初期の物理的特性を長期にわたり安定して発揮することができる。
以下実施例によって本願発明をさらに説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各例で用いた化学物質の略号は次のとおりである。
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DADE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
DDS:ビス(3−アジドフェニル)スルホン
A−031:2,6−ビス(4−アジドベンザール)−4−4−メチルシクロヘキサノン
PCP:4−クロロフェノール(パラクロロフェノールとも記載することもある)
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
EtOH:エタノール
(耐溶剤性の測定)
5×5mmに裁断したフィルムを、温度80℃に調温されたパラクロロフェノール中に完全に浸漬し3時間保持した後で、目視により観察した。浸漬中に完全に溶解した場合は×、浸漬中に完全には溶解していないが、フィルム形状は保持していないもの、例えば、ゲル状の物質が残留しているものを△、浸漬後もフィルム形状を保っているものを○で示す。
(破断強度と破断伸度の測定)
引張試験機を用いて有効幅2mm、有効長20mm、引張速度10mm/分で測定した。測定は23℃で行った。フィルム断面積はフィルムの断面を光学顕微鏡で観察し、計測した。引張り破断伸度は、元のフィルムの長さL、引張り破断時の長さLとしたとき、((L−L)/L)×100(単位:%)で示した。
(混合蒸気のガス透過特性の測定)
ガス透過特性測定用モジュール:フィルムを円形に切り取り、ミリポア製の高圧用ステンレスフィルターホルダーに装着した。フィルムの一方の面に接した空間に、ガス供給口および非透過ガス排出口を設け、他方の面に接した空間に透過ガス排出口を設けて、ガス透過特性測定用のモジュールとした。ガス供給口及び非透過ガス排出口を設けた側に向いている面をフィルムの供給側表面、透過ガス排出口を設けた側に向いている面をフィルムの透過側表面とした。有効膜面積は9.6cmとなるようにした。
ガス透過特性の測定:80重量%濃度のエタノール水溶液を加圧下、蒸発器で気化させてエタノール蒸気と水蒸気とを含む有機蒸気混合物を製造し、さらに、ヒーターで加熱することにより130℃、1.7kgf/cm(ゲージ圧)とした前記有機蒸気混合物を、前記のガス分離膜モジュールに供給し、フィルムの供給側表面に接触させ、フィルムの透過側を5mmHgの減圧に維持して、有機蒸気分離を行った。
前述の有機蒸気分離において、透過ガス排出口から得られた水蒸気の濃度の高い透過ガスを、−50℃の冷却トラップで凝縮して、凝縮物を捕集し、一方、非透過ガス排出口(供給側)から得られた非透過ガス(水蒸気の除去された乾燥ガス)は、前記蒸発器に戻し、循環して使用しながら、有機蒸気混合物のガス分離を行った。尚、有機蒸気混合物の組成が測定値に影響を与えるほど変化しないように、フィルムを透過する有機蒸気量に比べて大過剰量のエタノール水溶液を用いた。
前記のトラップで捕集した凝縮物の重量を測定すると共に、水およびエタノールの濃度をガスクロマトグラフィー分析法により分析することにより透過した水蒸気およびエタノール蒸気の量を求めた。
前述のようにして得た各成分蒸気の透過量から、水蒸気の透過係数PH20 と、エタノール蒸気の透過係数PEtOHとを算出し、ガス分離性能を評価した。透過係数(P)の単位はcm3 (STP)・cm/cm2・sec・cmHgである。
(参考例1)
(ポリアミック酸溶液組成物の調製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)10.3gからなるテトラカルボン酸成分と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)7.1gからなるジアミン成分とを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)91.5gとともに、攪拌機と窒素ガス導入管及び排出管とが付設されたセパラブルフラスコに秤取って入れ、窒素ガス雰囲気中で攪拌しながら、室温で1時間重合してDMAc中に溶解しているポリアミック酸濃度が13重量%のポリアミック酸のDMAc溶液組成物を調製した。
(実施例1)
前記参考例1で調製したポリアミック酸を含む溶液組成物に、ビス(3−アジドスルホン)(DDS) 2.1gを溶解させ、溶液組成物の固形分中のポリアジド化合物濃度が11重量%である溶液組成物を調製した。前記溶液組成物を、バーコーターを用いてガラス板上に、塗布後の膜の厚さが50μmとなるように塗布した。
前記のガラスに塗布した組成物を、100℃で3時間、乾燥した後で、窒素ガス雰囲気下で、100℃から昇温速度15℃/分で300℃まで昇温させ、1時間保持して加熱処理することにより、ガラス板上に厚さが30μmのフィルムとなる成形体を形成した。
このフィルムを、80℃のPCPに浸漬したところ、3時間後でもフィルム形状は変化しなかった。
引っ張り試験機により破断強度および破断伸度を測定したところ、破断強度が15kgf/mm、破断伸度が42%となった。
エタノール/水混合蒸気により水蒸気及びエタノール蒸気の透過係数を測定したところ、水の透過係数(PH2O)が、3.3×10−8cm(STP)・cm/cm・sec・cmHgとなったが、フィルムを透過したエタノール蒸気は、ガスクロマトグラフィーの検出限界以下であり、エタノール蒸気の透過係数は測定できなかった。
(実施例2〜4)
ポリアジド化合物、溶液組成物の固形分中のポリアジド化合物濃度、および熱処理温度を表1に示した化合物、濃度、および熱処理温度にした他は、実施例1と同様に処理を行い、フィルム状の成形体を作製した。作製した成形体について、耐溶剤性、機械的特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリアジド化合物を含有させないことの他は実施例1と同様に処理を行い、フィルム状の成形体を作製した。作製した成形体について、耐溶剤性、機械的特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2009227953

表中の項目
アジド処理:
化合物:成形体中に含まれているポリアジド化合物
DDS;ビス(3−アジドフェニル)スルホン
A−031;2,6−ビス(4−アジドベンザール)−4−4−メチルシクロヘキサノン
濃度:溶液組成物の固形物中のポリアジド化合物の濃度
温度:熱処理温度;単位℃
耐溶剤性:80℃のパラクロロフェノールに3時間浸漬させ、完全に溶解した場合は×、完全には溶解しないが形状を保持していないものを△、形状を保っているものを○と記載
機械的特性:成形体を引張試験により評価
破断強度:破断したときの単位面積あたりの破断応力;単位 kgf/mm
破断伸度:破断したときのフィルムの伸度;単位 %
ガス透過係数:水とEtOHとからなる130℃の混合蒸気における透過特性
水蒸気:水蒸気の透過係数(PH2O);単位 10−8 cm(STP)・cm/cm・sec・cmHg
EtOH蒸気:エタノール蒸気の透過係数(PEtOH);単位 10−8 cm(STP)・cm/cm・sec・cmHg
以上の結果より、本発明により製造した成形体は、耐溶剤性が改良されている。また、ポリアジド化合物を含有させずに熱処理を行った成形体では、耐溶剤性は改良されていない。また、破断強度および破断伸度といった機械的特性、並びに、水蒸気の透過係数および水に対するエタノール蒸気の透過係数比といった蒸気に対するガス透過特性は、アジド化合物を含有させずに熱処理を行った成形体と比較して同程度以上の性能を有している。
本発明の成形体は、機械的特性および有機蒸気分離におけるガス透過特性を維持したままで、耐溶剤性が改良されている。
すなわち、本発明の製造方法による成形体は、有機溶媒への接触した場合、あるいは、有機蒸気を含有する雰囲気に曝された場合にも、本来有している機械的特性、およびガス透過特性を発揮することができる。そのため、有機溶媒の存在下においても、ガス分離膜として使用することが可能である。

Claims (8)

  1. ポリアジド化合物とポリイミド前駆体からなる成形物を得て、次いで熱処理を行うことを特徴とする耐溶剤性が改良された成形体の製造方法。
  2. 前記ポリイミド前駆体がポリアミック酸であることを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 前記成形体がフィルム、または、糸のいずれかであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  4. 前記熱処理を、160℃〜350℃で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  5. 前記ポリアジド化合物が、芳香族ジアジド化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  6. 前記ポリアジド化合物と前記ポリイミド前駆体との重量比が、0.1/100〜30/100であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  7. 前記ポリアジド化合物と前記ポリイミド前駆体とからなる成形物が、ポリアジド化合物とポリイミド前駆体とを溶媒に均一に溶解した溶液組成物を成形してなるものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかの記載の製造方法により製造された成形体。
JP2008165640A 2008-02-25 2008-06-25 耐溶剤性が改良された成形体の製造方法 Pending JP2009227953A (ja)

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