JP2004043827A - ポリイミド前駆体、ポリイミド前駆体組成物、ポリイミド樹脂および電子部品 - Google Patents

ポリイミド前駆体、ポリイミド前駆体組成物、ポリイミド樹脂および電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】微細な凹凸を有する基板上に平坦性に優れた膜を形成でき、しかも低誘電率、低吸湿性であり、耐環境安定性に優れたポリイミド樹脂の前駆体を提供する。
【解決手段】下記一般式(DA2)(X2 はパーフルオロアルキレン基、パーフルオロアルキリデン基、スルホニル基、または単結合を示し、R0 はフルオロ基、または非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基を示し、R2 はフルオロ基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基または水素原子を示し、少なくとも1個はフルオロ基またはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基であり、aおよびbは0〜3の整数である。)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するアミン成分と、テトラカルボン酸二無水物0.80モル当量以上を含有する酸無水物成分とを重合させた構造を有するポリイミド前駆体。
【選択図】   なし
 【化1】

Description

 本発明は、各種の絶縁部材の形成に好適に用いられるポリイミド前駆体およびビスマレイミド系硬化樹脂前駆体、ならびにこれらの前駆体から製造されるポリイミド樹脂またはビスマレイミド系硬化樹脂を絶縁膜や絶縁基板として具備した電子部品に関する。
 近年、半導体デバイスの層間絶縁膜の材料として、400℃以上の高温熱処理にも耐える耐熱性に優れたポリイミド樹脂が使用されるようになってきている。このようなポリイミド樹脂としては、ピロメリト酸二無水物と4,4’−オキシジアニリンとの縮合生成物からなるカプトン(デュポン社登録商標)が知られている。また、電子部品の大容量化、小形軽量化、高信頼化、高密度化に伴い、多層配線基板の材料としては、高耐熱性、スルーホール接着信頼性、寸法安定性、電気特性、可撓性に優れた有機高分子材料が要求されている。従来、多層配線基板の材料にはビスマレイミド系硬化樹脂が使用されている。このようなビスマレイミド系硬化樹脂としては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンとメチレン−4,4’−ジアニリンとの反応生成物を硬化させたもの(例えば特公昭46−23250号公報)が知られている。
 ところで、半導体デバイスにおいては、高集積化が進み配線パターンのライン・アンド・スペースの幅がクォータミクロンのレベルまで近づくのに伴って、半導体デバイスの遅延時間の増大および使用電力量の増大が重大な問題となってきている。すなわち、信号伝達速度Vs は、Vs =c×εr -0.5(c:光速度、εr :誘電体の誘電率)という式で表される。この式から明らかなように、信号伝達速度の高速化には層間絶縁膜の誘電率を低下させることが重要である。従来、半導体デバイスの層間絶縁膜として一般的に使用されているSiO2 の誘電率は3.5程度と高く、その代わりに用いられる材料の誘電率はこの値より十分に低いことが望まれる。同様に、多層配線基板においても、基板の誘電率を低下させることが不可欠な課題となっている。
 このような背景から、電子部品の絶縁部材として3.0以下の低い誘電率を実現可能な有機高分子膜を要望されている。しかし、従来のポリイミド樹脂およびビスマレイミド系硬化樹脂は、いずれも誘電率が3.4程度であり、それほど低くない。この点で、フッ素樹脂は誘電率が2.5程度と低いことから注目されているが、フッ素樹脂は加工性が悪いうえ、特に多層基板作製時の多層化工程における高温条件下では極めて寸法安定性に劣るという欠点がある。
 また、半導体デバイスなどに用いられる絶縁部材には、低誘電率のほかにも、半導体デバイス表面の平坦性を改善できること、吸湿性が低いこと、化学的に分解しにくいことなど、種々の特性が要求される。
 例えば平坦性に関して説明する。従来のポリイミド前駆体は硬化前にすでに分子量が高く、その溶液(ワニス)は高粘度であるため、このポリイミド前駆体ワニスを使用して凹凸のある表面に絶縁膜を形成する場合、得られた膜の表面では平坦性が損なわれる。特に、半導体基板表面に形成された幅0.1〜0.5μm程度のトレンチの内部にポリイミド樹脂を完全に充填することは困難である。そこで、下地の配線の段差約1μmに対して3〜4μmの膜厚のポリイミド被膜を形成し、反応性イオンエッチング(RIE)によりエッチバックして表面を平坦化することが行なわれている。しかし、RIEでは終点検出が困難であり、エッチング生成物により装置内部が汚れるという問題がある。このためエッチバック量は極力少ないことが望ましく、この点からも絶縁膜の平坦性が良好であることが要求される。また、トレンチ内部にポリイミド樹脂を充填しようとすると、低濃度のワニスを使用せざるを得ない。低濃度のワニスを使用した場合、揮散させる溶媒量が多くなる。上述したように従来のポリイミド前駆体は硬化前にすでに高分子量であるため、残存している溶媒が多い段階で流動性が失われる。この結果、溶媒の揮散が抑制されるとともにポリイミド樹脂の局部的収縮を招き、ボイドが発生しやすくなる。
 また、従来のポリイミド樹脂およびビスマレイミド系硬化樹脂は、吸湿率がかなり高いうえ、大気中に放置すると加湿分解により樹脂の一部が分解して、トルエン成分を放出するなど、環境安定性にも問題がある。
 さらに、特定の電子部品に使用される絶縁部材には、上述した特性のほかにもその電子部品に特有の特性が要求される場合がある。例えば、液晶表示素子の液晶配向膜として用いられているポリイミド樹脂について説明する。液晶表示素子には、視野角を大きくするためにSTN(スーパーツイステッドネマティック)方式が多用されている。STN方式の液晶表示素子では、セル内で液晶分子の長軸方向を270°ねじれさせるので、この目的を達成するために液晶に高いプレチルト角を与えることができる液晶配向膜が要求される。また、高精細なカラー液晶表示素子には、各画素にTFT(薄膜トランジスタ)を設けるとともに、カラーフィルターが用いられる。この場合、カラーフィルターの耐熱性が低いことから、200℃以下の低い硬化温度で形成できる液晶配向膜が要求される。
 高いプレチルト角を与える液晶配向膜として、特開昭62−174725号公報にはフルオロアルキル基が鎖状炭素に結合しているポリイミド樹脂が開示されている。しかし、このポリイミド樹脂では、安定したプレチルト角が得られない、電圧保持率が小さい、という欠点がある。また、硬化温度の低い配向膜として、第9回高分子エレクトロニクス研究会講座、講演要旨集、32頁に開示されているように、可溶性ポリイミドが知られている。しかし、この可溶性ポリイミドでは高いプレチルト角が得られないという問題があった。このように高いプレチルト角を与えることができ、しかも電圧保持率の大きいポリイミド液晶配向膜は実現していなかった。
 本発明の目的は、微細な凹凸を有する基板上に平坦性に優れた膜を形成でき、しかも低誘電率、低吸湿性であり、耐環境安定性に優れたポリイミド樹脂またはビスマレイミド系硬化樹脂の前駆体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記のような樹脂を絶縁部材として具備し、高速動作および省電力を実現でき、しかも信頼性の高い電子部品を提供することにある。
 本発明の第1のポリイミド前駆体は、下記一般式(DA1)
Figure 2004043827
(X1 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、2価のオキシ基、チオ基、スルホニル基、カルボニル基、パーアルキルポリシロキサニレン基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基または単結合を示し、R1 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、フルオロ基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基を示し、a、bおよびcは0〜4の整数、iは1〜6の整数、jは0〜6の整数、kは0または1である。)
で表される芳香族ジアミン化合物0.40モル当量以上を含有するジアミン成分0.97〜1.03モル当量と、下記一般式(DAH1)
Figure 2004043827
(Yは4価の有機基を示す。)
で表されるテトラカルボン酸二無水物(1−n1 /2)モル当量、ならびにマレイン酸無水物およびマレイン酸誘導体無水物より選ばれた少なくとも1種n1 モル当量(n1 は0.02〜0.40)を含有する酸無水物成分とを重合させた構造を有することを特徴とするものである。
  本発明の第2のポリイミド前駆体は、下記一般式(DA2)
Figure 2004043827
(X2 はパーフルオロアルキレン基、パーフルオロアルキリデン基、スルホニル基、または単結合を示し、R0 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、フルオロ基、または非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基を示し、R2 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、フルオロ基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基または水素原子を示し、少なくとも1個はフルオロ基またはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基であり、aおよびbは0〜3の整数である。)
で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するアミン成分と、下記一般式(DAH1)
Figure 2004043827
(Yは4価の有機基を示す。)
で表されるテトラカルボン酸二無水物0.80〜0.99モル当量を含有する酸無水物成分とを重合させた構造を有することを特徴とするものである。
 本発明の第2のポリイミド前駆体は、より具体的には、前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するジアミン化合物0.97〜1.03モル当量と、前記一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物(1−n2 /2)モル当量およびジカルボン酸無水物n2 モル当量(n2 は0〜0.4)とを重合させた構造、または前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するジアミン化合物(1−n3 /2)モル当量およびモノアミン化合物n3 モル当量(n3 は0〜0.4)と、前記一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物0.97〜1.03モル当量とを重合させた構造を有する。
 上記第1および第2のポリイミド前駆体に、さらに感光剤を含有させると感光性のポリイミド前駆体とすることができる。
 本発明のさらに他のポリイミド前駆体は感光性を有するものであり、下記一般式(PA11)
Figure 2004043827
(Yは4価の有機基、Lは上記一般式(DA1)で表されるジアミン化合物の残基からなる2価の有機基であり、D1 はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、感光性の有機基または水酸基を示し、少なくとも一方は感光性の有機基である。)
で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸誘導体と、光重合開始剤とを含有することを特徴とするものである。
 本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体は、下記一般式(DM1)
Figure 2004043827
(X31は2価のオキシ基、チオ基、スルホニル基、カルボニル基、パーアルキルポリシロキサニレン基、1,3−フェニレンジオキシ基、1,4−フェニレンジオキシ基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基、または単結合を示し、R31はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、フルオロ基または非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基を示し、少なくとも1個はフルオロ基またはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基であり、R32はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、ハロゲン基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基、または水素原子を示し、aおよびbは1〜4の整数である。)
で表されるビスマレイミド化合物1モル当量と、下記一般式(DA11)で表されるジアミン化合物および下記一般式(DP1)で表される2価フェノール化合物
Figure 2004043827
(一般式(DA11)においてX32は2価の有機基を示し、一般式(DP1)においてX33は2価の有機基を示し、Arは芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示し、nは0または1である。)
からなる群より選択される少なくとも1種の化合物0.01〜2モル当量
とを反応させた構造を有することを特徴とするものである。
 本発明のポリイミド樹脂は、上述したそれぞれのポリイミド前駆体を硬化させてなることを特徴とするものである。
 本発明のビスマレイミド系硬化樹脂は、上述したビスマレイミド系硬化樹脂前駆体を硬化させてなることを特徴とするものである。
 本発明の電子部品は、上述したそれぞれのポリイミド前駆体を硬化させてなるポリイミド樹脂を絶縁部材として含有することを特徴とするものである。
 本発明の他の電子部品は、上述したビスマレイミド系硬化樹脂前駆体を硬化させてなるビスマレイミド系硬化樹脂を絶縁部材として含有することを特徴とするものである。
 本発明によれば、微細な凹凸を有する基板上に平坦性に優れた膜を形成でき、しかも低誘電率、低吸湿性であり、耐環境安定性に優れたポリイミド樹脂またはビスマレイミド系硬化樹脂の前駆体を提供できる。さらに、上記のような樹脂を絶縁部材として具備し、高速動作および省電力を実現でき、しかも信頼性の高い電子部品を提供できる。
 以下、本発明をさらに詳細に説明する。
 本発明のポリイミド前駆体(ポリアミド酸)は、一般に、ジアミン成分0.97〜1.03モル当量と、テトラカルボン酸二無水物(1−n2 /2)モル当量およびジカルボン酸無水物n2 モル当量(n2 は0〜0.4)とを配合するか、またはジアミン成分(1−n3 /2)モル当量およびモノアミン化合物n3 モル当量(n3 は0〜0.4)と、テトラカルボン酸二無水物0.97〜1.03モル当量とを配合し、これらを重合させた構造を有する。
 まず、本発明に係る第1のポリイミド前駆体(ポリアミド酸)について説明する。このポリイミド前駆体は、(a)一般式(DA1)で表される特定の分子構造を有する芳香族ジアミン化合物0.40モル当量以上を含有するジアミン成分0.97〜10.3モル当量と、(b)一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物(1−n1 /2)、ならびにマレイン酸無水物およびマレイン酸誘導体無水物より選ばれた少なくとも1種n1 モル当量(n1 は0.02〜0.40)を含有する酸無水物成分とを重合させた構造を有する。
 一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化合物は、(a1)1つのベンゼン環を有し、2つのアミノ基がこのベンゼン環に、互いにメタ位において結合した構造を有する芳香族ジアミン化合物、および(a2)2つ以上のベンゼン環を有し、2つのアミノ基がそれぞれ末端のベンゼン環に、その末端のベンゼン環の他のベンゼン環への結合部位から見てメタ位において結合した構造を有する芳香族ジアミン化合物を含む。
 一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化合物としては、以下のようなものが挙げられる。例えば、1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノビフェニル、1,3−フェニレン−3,3’−ジアニリン、1,4−フェニレン−3,3’−ジアニリン、オキシ−3,3’−ジアニリン、チオ−3,3’−ジアニリン、スルホニル−3,3’−ジアニリン、メチレン−3,3’−ジアニリン、1,2−エチレン−3,3’−ジアニリン、1,3−トリメチレン−3,3’−ジアニリン、2,2−プロピリデン−3,3’−ジアニリン、1,4−テトラメチレン−3,3’−ジアニリン、1,5−ペンタメチレン−3,3’−ジアニリン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−3,3’−ジアニリン、ジフルオロメチレン−3,3’−ジアニリン、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−3,3’−ジアニリン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−3,3’−ジアニリン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,3−ビス[2−(3−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,3−ビス[2−(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス[2−(3−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、5−フルオロ−1,3−フェニレンジアミン、2,4,5,6−ヘキサフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノ−5,5’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジアミノ−2,2’,4,4’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル、オキシ−5,5’−ビス(3−フルオロアニリン)、スルホニル−5,5’−ビス(3−フルオロアニリン)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−フルオロベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−フルオロフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−フルオロフェノキシ)−5−フルオロベンゼン、5−トリフルオロメチル−1,3−フェニレンジアミン、オキシ−5,5’−ビス(3−トリフルオロメチルアニリン)、スルホニル−5,5’−ビス(3−トリフルオロメチルアニリン)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−トリフルオロメチルベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)−5−トリフルオロメチルベンゼン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−5,5’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−メチルフェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3”,3''' −ジアミノ−p−クアテルフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス{4−[4−(2−(3−アミノフェニル)プロピリデンフェノキシ)]フェニル}スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどである。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
 一般式(DA1)で表される、ベンゼン環のメタ位にアミノ基を有する芳香族ジアミン化合物を含有するポリイミド前駆体は、例えばベンゼン環のパラ位にアミノ基を有する芳香族ジアミンを含有するものと比較して、耐熱性に優れ、かつ大気中に放置しても加湿分解生成物であるガス(トルエン、キシレンなど)の発生量が非常に少なく環境安定性に優れたポリイミド樹脂が得られる点で好ましい。特に、(a2)のように複数のベンゼン環を有する芳香族ジアミン化合物を含有するポリイミド前駆体は、加水分解しにくく、環境安定性に優れている。
 本発明において、一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化合物は、全ジアミン成分のうち0.40モル当量以上配合されるが、さらに0.70モル当量以上配合されることが好ましい。この理由は、一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化合物の配合量が少なすぎると、加水分解しにくく環境安定性に優れたポリイミド樹脂を得ることができなくなるからである。
 ポリイミド樹脂の耐熱性、環境安定性および低誘電率特性の面から、一般式(DA1)で表される芳香族ジアミンのうち特に好ましい芳香族ジアミン化合物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノビフェニル、1,3−フェニレン−3,3’−ジアニリン、1,4−フェニレン−3,3’−ジアニリン、オキシ−3,3’−ジアニリン、スルホニル−3,3’−ジアニリン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−3,3’−ジアニリン、ジフルオロメチレン−3,3’−ジアニリン、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−3,3’−ジアニリン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−3,3’−ジアニリン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、5−フルオロ−1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノ−5,5’−ジフルオロビフェニル、5−トリフルオロメチル−1,3−フェニレンジアミン、オキシ−5,5’−ビス(3−トリフルオロメチルアニリン)、スルホニル−5,5’−ビス(3−トリフルオロメチルアニリン)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−トリフルオロメチルベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)−5−トリフルオロメチルベンゼン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−5,5’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどである。
 本発明の第1のポリイミド前駆体においては、ジアミン成分として、一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化合物とともに、下記一般式(DA6)で表される芳香族ジアミン化合物すなわちビス(アミノアルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物を併用してもよい。
Figure 2004043827
(R3 はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜5のアルキル基を示し、mおよびnは1〜10の整数であり、pは正の整数である。)
 一般式(DA6)で表されるビス(アミノアルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物としては、以下のようなものが挙げられる。例えば、1,3−ビス(アミノメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(2−アミノエチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(5−アミノペンチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(6−アミノヘキシル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(7−アミノヘプチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(8−アミノオクチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(10−アミノデシル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,5−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,7−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,11−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11−ドデカメチルヘキサシロキサン、1,15−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11,13,13,15,15−ヘキサデカメチルオクタシロキサン、1,19−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11,13,13,15,15,17,17,19,19−エイコサメチルデカシロキサンなどである。
 一般式(DA6)で表されるビス(アミノアルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物は、ポリイミド樹脂の例えば半導体基板上への密着性および接着性を向上させる作用を有する。これらの化合物は、全ジアミン成分のうち0.02〜0.1モル当量用いることが好ましい。これは、このような化合物を配合することで得られるポリイミド樹脂の例えば半導体基板上への密着性および接着性が向上するものの、過度の配合はポリイミド樹脂の耐熱性低下を招くおそれがあるためである。
 本発明においては、最終的に得られるポリイミド樹脂の物性を損なわない範囲で、一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化合物以外に、他のジアミン化合物を併用することができる。このような他のジアミン化合物としては、アミノ基がベンゼン環のメタ位ではなく例えばパラ位に結合している芳香族ジアミン化合物や、脂肪族ジアミン化合物などを含む。このようなジアミン化合物としては、以下のようなものが挙げられる。例えば、1,2−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−フェニレン−4,4’−ジアニリン、1,4−フェニレン−4,4’−ジアニリン、オキシ−4,4’−ジアニリン、チオ−4,4’−ジアニリン、スルホニル−4,4’−ジアニリン、メチレン−4,4’−ジアニリン、1,2−エチレン−4,4’−ジアニリン、1,3−トリメチレン−4,4’−ジアニリン、2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニリン、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジアニリン、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジアニリン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニリン、ジフルオロメチレン−4,4’−ジアニリン、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジアニリン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロ−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−フルオロ−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル、オキシ−4,4’−ビス(2−フルオロアニリン)、オキシ−4,4’−ビス(3−フルオロアニリン)、スルホニル−4,4’−ビス(2−フルオロアニリン)、スルホニル−4,4’−ビス(3−フルオロアニリン)、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、オキシ−4,4’−ビス(2−トリフルオロメチルアニリン)、オキシ−4,4’−ビス(3−トリフルオロメチルアニリン)、スルホニル−4,4’−ビス(2−トリフルオロメチルアニリン)、スルホニル−4,4’−ビス(3−トリフルオロメチルアニリン)、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、メタンジアミン、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(3−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,2−ビス(3−アミノシクロヘキシル)エタン、1,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)エタン、2,2−ビス(3−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−アミノシクロヘキシル)エーテル、ビス(4−アミノシクロヘキシル)エーテル、ビス(3−アミノシクロヘキシル)スルホン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノシクロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キシリレンジアミン、1,8−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピラジン、および2,4−ジアミノ−s−トリアジンなどである。
 ポリイミド樹脂の耐熱性、環境安定性および低誘電率特性の面からは、上述した一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化合物と併用できる他のジアミン化合物のうち、特に以下のようなジアミン化合物を用いることが好ましい。例えば、1,4−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−フェニレン−4,4’−ジアニリン、1,4−フェニレン−4,4’−ジアニリン、オキシ−4,4’−ジアニリン、チオ−4,4’−ジアニリン、スルホニル−4,4’−ジアニリン、メチレン−4,4’−ジアニリン、2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニリン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−フルオロ−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル、オキシ−4,4’−ビス(2−フルオロアニリン)、オキシ−4,4’−ビス(3−フルオロアニリン)、スルホニル−4,4’−ビス(2−フルオロアニリン)、スルホニル−4,4’−ビス(3−フルオロアニリン)、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、オキシ−4,4’−ビス(2−トリフルオロメチルアニリン)、オキシ−4,4’−ビス(3−トリフルオロメチルアニリン)、スルホニル−4,4’−ビス(2−トリフルオロメチルアニリン)、スルホニル−4,4’−ビス(3−トリフルオロメチルアニリン)、1,8−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレンなどである。
 本発明の第1のポリイミド前駆体において、一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、一般式(DAH1)中のYが炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基、ならびに脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基が直接または架橋基により相互に連結された多環式化合物基からなる群より選択された4価の有機基である化合物を用いることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、ピロメリト酸二無水物、3−フルオロピロメリト酸二無水物、3,6−ジフルオロピロメリト酸二無水物、3−トリフルオロメチルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3''' ,4,4''' −p−クァテルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3'''',4,4''''−p−キンクフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1−エチリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、ジフルオロメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、
スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、3,3’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ビフェニル二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス[2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン二無水物、1,4−ビス[2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルスルホニル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルスルホニル)ベンゼン二無水物、ビス[3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2−ビス[3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス[3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9−ナフタセンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1、1、3、3−テトラメチルジシロキサン二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、
メチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、
3,3’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、
5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、およびビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などである。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。テトラカルボン酸二無水物は、全酸無水物成分のうち0.80〜0.99モル当量、好ましくは0.90〜0.98モル当量用いられる。この理由は、テトラカルボン酸二無水物の配合量が少なすぎる場合には得られるポリイミド樹脂の耐熱性が低下し、逆にテトラカルボン酸二無水物の配合量が多すぎると酸無水物成分としてのマレイン酸無水物またはマレイン酸誘導体無水物の配合量が少なくなって、ポリイミド前駆体の溶液での固有粘度が上昇し、例えば基板表面の微細な凹凸に隙間なく充填することが困難となるからである。
 ガラス転移点および分解温度の高い高耐熱性ポリイミド樹脂を得る観点からは、一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物のうち、特に下記一般式(DAH2)〜(DAH4)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
Figure 2004043827
(R11はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、フルオロ基、または非置換もしくはフッ素原子で置換された脂肪族炭化水素基を示し、φは芳香族炭化水素基を示し、aは0〜10の整数である。)
Figure 2004043827
(X11は2価のオキシ基、チオ基、スルホニル基、カルボニル基、パーアルキルポリシロキサニレン基、非置換もしくはフッ素原子で置換された脂肪族炭化水素基、1,4−フェニレン基、ビフェニル−4,4’−ジイル基、または単結合を示し、R12はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、フルオロ基、または非置換もしくはフッ素原子で置換された脂肪族炭化水素基を示し、bおよびcは0〜4の整数である。)
Figure 2004043827
(R13はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、フルオロ基、または非置換もしくはフッ素原子で置換された脂肪族炭化水素基を示し、dおよびeは0〜4の整数である。)
 一般式(DAH2)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、ピロメリト酸二無水物、3−フルオロピロメリト酸二無水物、3,6−ジフルオロピロメリト酸二無水物、3−トリフルオロメチルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9−ナフタセンテトラカルボン酸二無水物などである。
 一般式(DAH3)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3''' ,4,4''' −p−クァテルフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1−エチリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、ジフルオロメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサン二無水物、2,2’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、
5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物などである。
 一般式(DAH4)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物などである。
 ポリイミド樹脂の耐熱性、環境安定性および低誘電率特性の面から、一般式(DAH2)〜(DAH4)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物のうち、特に以下のようなものを用いることが好ましい。例えば、ピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物などである。
 本発明の第1のポリイミド前駆体において用いられるマレイン酸無水物またはマレイン酸誘導体無水物は下記一般式(MA1)で表される。
Figure 2004043827
(R21はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、ハロゲン基、非置換もしくはフッ素原子で置換された脂肪族炭化水素基、または水素原子を示す。)
 これらのマレイン酸無水物またはマレイン酸誘導体無水物としては、以下のようなものが挙げられる。例えば、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、プロピルマレイン酸無水物、ブチルマレイン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジブロモマレイン酸無水物、フルオロマレイン酸無水物、ジフルオロマレイン酸無水物、トリフルオロメチルマレイン酸無水物、ビス(トリフルオロメチル)マレイン酸無水物などである。これらのマレイン酸無水物またはマレイン酸誘導体無水物は、単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
 これらのマレイン酸無水物またはマレイン酸誘導体無水物は、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の分子量を低下させてその溶液の粘度を下げる作用を有する。また、ポリアミド酸の末端に導入されたマレイミド骨格は、硬化時に直接または過剰のジアミン成分などを介して架橋する。マレイン酸無水物またはマレイン酸誘導体無水物は、全酸無水物成分のうち0.02〜0.40モル当量、好ましくは0.05〜0.20モル当量用いられる。この理由は、マレイン酸無水物またはマレイン酸誘導体無水物の配合量が少なすぎると、ポリイミド前駆体溶液の固有粘度が0.7dL/gを超えて基板表面の微細な凹凸、特に幅0.1〜0.5μm程度のトレンチにポリイミド樹脂を隙間なく充填することが困難となり、逆に配合量が多すぎるとポリイミド樹脂の耐熱性が低下するからである。
 本発明の第1のポリイミド前駆体であるポリアミド酸を合成する方法は特に限定されないが、有機溶媒中で一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化合物を含むジアミン成分と一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物およびマレイン酸無水物またはマレイン酸誘導体無水物を含む酸無水物成分とを反応させる方法が好ましい。この反応時に用いられる有機溶媒としては、以下のようなものが挙げられる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、N−メチルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピロリン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、フェノール、クレゾール、アニソール、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン、アセチルアセトン、アセトニルアセトンなどである。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。反応温度は通常250℃以下、好ましくは200℃以下である。反応圧力は特に限定されず、常圧で十分実施できる。反応時間はテトラカルボン酸二無水物の種類、反応溶媒の種類により異なるが、通常4〜24時間で十分である。このとき得られるポリアミド酸は、濃度0.5wt%のN−メチル−2−ピロリドン溶液の30℃の固有粘度が0.2〜0.7dL/g、さらには0.3〜0.6dL/gの範囲内となる重合度であることが好ましい。この理由は、ポリアミド酸の固有粘度が低すぎる、すなわち重合度が低すぎると、この後耐熱性の十分なポリイミド樹脂を得ることができなくなるおそれがあり、逆に固有粘度が高すぎる、すなわち重合度が高すぎると、基板表面の微細な凹凸にポリイミド樹脂を隙間なく充填することが困難となるからである。
 本発明の第1のポリイミド前駆体であるポリアミド酸からポリイミド樹脂を製造するには、ポリアミド酸を100〜450℃に加熱してイミド化する加熱処理法、ポリアミド酸に光を照射してイミド化する光照射法、または無水酢酸などのイミド化剤を用いてポリアミド酸を化学的にイミド化する化学処理法が用いられる。これらの方法により得られるポリイミド樹脂は、その前駆体であるポリアミド酸を含む溶液の粘度が低いため微細な凹凸を有する基板上にも平坦性に優れた膜として形成でき、しかも誘電率および吸湿性が低く、熱安定性および環境安定性に優れている。また、溶液の粘度が低い比較的低分子量のポリイミド前駆体であっても、末端にマレイミド骨格を有しているためポリイミド樹脂への硬化時にマレイミド骨格が直接または過剰のジアミン成分などを介して架橋し、結果的に耐熱性に優れたポリイミド樹脂を得ることが可能である。
 次に、本発明に係る第2のポリイミド前駆体(ポリアミド酸)について説明する。このポリイミド前駆体は、前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するアミン成分と、前記一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物0.80〜0.99モル当量を含有する酸無水物成分とを重合させた構造を有することを特徴とするものである。このポリイミド前駆体は、より具体的には、(a)前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するジアミン化合物0.97〜1.03モル当量と、(b)前記一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物(1−n2 /2)モル当量およびジカルボン酸無水物n2 モル当量(n2 は0〜0.4)とを重合させた構造、または(a’)前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するジアミン化合物(1−n3 /2)モル当量およびモノアミン化合物n3 モル当量(n3 は0〜0.4)と、(b’)前記一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物0.97〜1.03モル当量とを重合させた構造を有するものである。このポリイミド前駆体は、本発明に係る第1のポリイミド前駆体と異なり、原料としてマレイン酸無水物またはマレイン酸誘導体無水物を含んでいる必要はない。
 一般式(DA2)で表される芳香族ジアミン化合物は、より具体的には下記一般式(DA3)〜(DA5)で表される。
Figure 2004043827
(一般式(DA3)中のX3 はパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキリデン基、R0 、R2 、aおよびbは一般式(DA2)の定義と同義である。)
 一般式(DA3)で表される芳香族ジアミン化合物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−5−(ペンタフルオロエチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−5−(ヘプタフルオロプロピル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−5−(ノナフルオロブチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−5−フルオロフェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ジフルオロメタン、1,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,3−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロブタン、1,4−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタンなどである。
 一般式(DA4)で表される芳香族ジアミン化合物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、3,3’−ジアミノ−5,5’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノ−5−フルオロビフェニル、3,3’−ジアミノ−5−(トリフルオロメチル)ビフェニルなどである。
 一般式(DA5)で表される芳香族ジアミン化合物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、3,3’−ジアミノ−5,5’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−5−フルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−5−(トリフルオロメチル)ジフェニルスルホンなどである。
 これらの芳香族ジアミン化合物は単独で、または2種以上混合してもちいることができる。
 一般式(DA3)で表される芳香族ジアミン化合物は以下に示すような方法により合成することができる。(1)まず、一般式(DZ1)で表される化合物とR2 −Xで表される化合物とを、オートクレーブ中において無溶媒または有機溶媒中で銅粉触媒の存在下に加熱することにより、一般式(DR1)で表される化合物を得る。(2)次に、一般式(DR1)で表される化合物を濃硫酸または発煙硫酸溶液中で発煙硝酸によりニトロ化し、一般式(DN1)で表されるジニトロ化合物を得る。(3)最後に、一般式(DN1)で表されるジニトロ化合物のニトロ基を還元することにより、前記一般式(DA3)で表される芳香族ジアミン化合物を合成できる。(1)の工程で用いられ得る有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ニトロベンゼン、ベンゼン、ナフタリンなどが挙げられる。(3)の工程でニトロ基をアミノ基に還元する際に用いられる還元剤としては、例えばパラジウム触媒、ラネーニッケル触媒、塩化鉄触媒、塩化スズ触媒、硫化アンモニウム、ヒドラジンなどが挙げられる。
Figure 2004043827
(Zはヨード基、ブロモ基またはクロロ基を示し、X3 およびR2 は式(DA3)の定義と同義。)
 一般式(DA4)で表される芳香族ジアミン化合物は以下に示すような方法により合成することができる。すなわち、一般式(NZ1)で表されるニトロベンゼン化合物を、無溶媒または有機溶媒中で銅粉触媒の存在下に加熱してカップリング反応させて一般式(DN2)で表される含フッ素3,3’−ジニトロビフェニル化合物を合成する。次に、一般式(DN2)で表される含フッ素3,3’−ジニトロビフェニル化合物のニトロ基を還元することにより、前記一般式(DA4)で表される含フッ素3,3’−ジアミノビフェニル化合物を合成できる。
 一般式(NZ1)で表されるニトロベンゼン化合物としては、3−クロロ−5−フルオロニトロベンゼン、3−ブロモ−5−フルオロニトロベンゼン、3−ヨード−5−フルオロニトロベンゼン、3−クロロ−5−ニトロベンゾフルオリド、3−ブロモ−5−ニトロベンゾフルオリド、3−ヨード−5−ニトロベンゾフルオリドなどが挙げられる。カップリング反応時に用いられる有機溶媒、およびニトロ基をアミノ基に還元する際に用いられる還元剤としては、一般式(DA3)の合成方法の説明で列挙したものと同様なものが挙げられる。
Figure 2004043827
(Zはヨード基、ブロモ基またはクロロ基を示し、R2 は式(DA3)の定義と同義。)
 本発明の第2のポリイミド前駆体(ポリアミド酸)においては、一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物は、ポリイミド樹脂の熱安定性を向上させる作用を有する。ポリイミド樹脂の熱安定性を十分に向上させる観点からは、一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物は、全アミン成分のうち0.10モル当量以上用いられ、さらに0.20モル当量以上用いられることが好ましい。
 本発明の第2のポリイミド前駆体においても、本発明の第1のポリイミド前駆体と同様に、最終的に得られるポリイミド樹脂の物性を損なわない範囲で、一般式(DA6)で表されるジアミン化合物や、その他のジアミン化合物を併用することができる。
 本発明の第2のポリイミド前駆体において、一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、本発明の第1のポリイミド前駆体において用いられるものと同様なものが用いられる。一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、全酸無水物成分のうち0.80モル当量以上、好ましくは0.90モル当量以上用いられる。その理由は、本発明の第1のポリイミド前駆体の場合と同様である。また、ガラス転移点および分解温度の高い高耐熱性ポリイミド樹脂を得る観点からは、一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物のうち、特に上述した一般式(DAH2)〜(DAH4)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
 本発明の第2のポリイミド前駆体においては、必要に応じてジカルボン酸無水物またはモノアミン化合物が用いられる。
 ジカルボン酸無水物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、プロピルマレイン酸無水物、ブチルマレイン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジブロモマレイン酸無水物、フルオロマレイン酸無水物、ジフルオロマレイン酸無水物、トリフルオロメチルマレイン酸無水物、ビス(トリフルオロメチル)マレイン酸無水物、シクロブタンジカルボン酸無水物、シクロペンタンジカルボン酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、フタル酸無水物、メチルフタル酸無水物、エチルフタル酸無水物、ジメチルフタル酸無水物、フルオロフタル酸無水物、ジフルオロフタル酸無水物、クロロフタル酸無水物、ジクロロフタル酸無水物、ブロモフタル酸無水物、ジブロモフタル酸無水物、ニトロフタル酸無水物、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシジフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシジフェニルエーテル無水物、2,3−ジカルボキシジフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシジフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシビフェニル無水物、3,4−ジカルボキシビフェニル無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−ピリジンジカルボン酸無水物、3,4−ピリジンジカルボン酸無水物などである。
 モノアミン化合物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、1−(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、ビニルアミン、アリルアミン、グリシン、アラニン、アミノ酪酸、バリン、ノルバリン、イソバリン、ロイシン、ノルロイシン、イソロイシン、グルタミン、グルタミン酸、トリプトファン、アミノクロトン酸、アミノアセトニトリル、アミノプロピオニトリル、アミノクロトノニトリル、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、アミノアダマンタン、アミノベンゾシクロブタン、アミノカプロラクタム、アニリン、クロロアニリン、ジクロロアニリン、ブロモアニリン、ジブロモアニリン、フルオロアニリン、ジフルオロアニリン、ニトロアニリン、ジニトロアニリン、トルイジン、キシリジン、エチルアニリン、アニシジン、フェネチジン、アミノアセトアニリド、アミノアセトフェノン、アミノ安息香酸、アミノベンズアルデヒド、アミノベンゾニトリル、アミノフタロニトリル、アミノベンゾトリフルオリド、アミノスチレン、アミノスチルベン、アミノアゾベンゼン、アミノジフェニルエーテル、アミノジフェニルスルホン、アミノベンゼンスルホンアミド、アミノフェニルマレイミド、アミノフェニルフタルイミド、アミノビフェニル、アミノテルフェニル、アミノナフタレン、アミノアクリジン、アミノアントラキノン、アミノフルオレン、アミノフルオレノン、アミノピロリジン、アミノピペラジン、アミノピペリジン、アミノホモピペリジン、アミノモルホリン、アミノベンゾオキオール、アミノベンゾジオキサン、アミノピリジン、アミノピリダジン、アミノピリミジン、アミノピラジン、アミノキノリン、アミノシンノリン、アミノフタラジン、アミノキナゾリン、アミノキノキサリン、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノピラゾール、アミノトリアゾール、アミノオキサゾール、アミノイソオキサゾール、アミノチアゾール、アミノイソチアゾール、アミノインドール、アミノベンゾイミダゾール、アミノインダゾール、アミノベンゾオキサゾール、アミノベンゾチアゾール、ベンジルアミン、フェネチルアミン、フェニルプロピルアミン、フェニルブチルアミン、ベンズヒドリルアミン、アミノエチル−1,3−ジオキソラン、アミノエチルピロリジン、アミノエチルピペラジン、アミノエチルピペリジン、アミノエチルモルホリン、アミノプロピルイミダゾール、アミノプロピルシクロヘキサンなどである。
 本発明の第2のポリイミド前駆体を合成する方法としては、有機溶媒中で一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物を含むジアミン成分と一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を含む酸無水物成分とを反応させる方法が好ましい。この反応時に用いられる有機溶媒、ならびに温度、圧力、時間などの反応条件も本発明の第1のポリイミド前駆体の場合と同様である。なお、得られるポリアミド酸は、濃度0.5wt%のN−メチル−2−ピロリドン溶液の30℃における固有粘度が0.5dL/g以上の範囲内となる重合度であることが好ましい。ポリアミド酸の重合度が低すぎるとこの後耐熱性の十分なポリイミド樹脂を得ることができなくなるおそれがある。一方、上限については特に限定されるものではないが、重合度が高すぎると基板表面で微細な凹凸にポリイミド樹脂を隙間なく充填することが困難となるので、微細な凹凸を有する基板上に平坦性に優れた膜を形成するような場合には、上記固有粘度は0.8dL/g以下であることが好ましい。
 本発明の第2のポリイミド前駆体からポリイミド樹脂を得る方法も、本発明の第1のポリアミド酸の場合と同様である。本発明の第2のポリイミド前駆体から得られるポリイミド樹脂は、誘電率および吸湿性が低く、しかも熱安定性および環境安定性に優れている。特に、一般式(DA3)で表される芳香族ジアミン化合物を用いたポリイミド前駆体は、低誘電率のポリイミド樹脂が得られる点で好ましい。また、一般式(DA4)または(DA5)で表される芳香族ジアミン化合物を用いたポリイミド前駆体は、ガラス転移点および分解温度が低く耐熱性に優れたポリイミド樹脂が得られる点で好ましい。
 次に、本発明に係る、感光性を有するポリイミド前駆体について説明する。
 本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体は、(a)本発明の第1のポリイミド前駆体または第2のポリイミド前駆体と、(b)感光剤とを含有するものである。
 本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体において、感光剤としては以下に示すような二重結合を有するアミン化合物、好ましくは二重結合を有する第3級アミン化合物、またはアジド基を有する化合物が挙げられる。例えば、2−N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、3−N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、2−アリルピリジン、4−アリルピリジン、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクロイルモルホリン、2−アミノエチルアクリレート、4−N,N−ジメチルアミノブチルアクリレート、ケイ皮酸−2−N,N−ジメチルアミノエチルなどである。また、感光剤として下記化学式で示される化合物も挙げられる。
Figure 2004043827
Figure 2004043827
Figure 2004043827
Figure 2004043827
Figure 2004043827
Figure 2004043827
Figure 2004043827
 感光剤としては上記化合物からなる群より選択される少なくとも1種が用いられる。感光剤の添加量は、ポリイミド前駆体100重量部に対し、0.1〜120重量部であることが好ましく、0.5〜100重量部であることがさらに好ましい。この理由は以下の通りである。すなわち、感光剤の添加量が0.1重量部未満であると、露光に対する感光性ポリイミド前駆体の感度が十分ではなくなり、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度に差が認められなくなる。逆に、感光剤の添加量が120重量部を超えると、現像後に感光剤成分の残渣が問題になる。
 本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体においては、必要に応じて増感剤を配合してもよい。増感剤としては以下のようなものが挙げられる。例えば、ベンゾフェノン、アントラキノン、ベンゾキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、ミヒラーケトン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾイルエーテル、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンジリデン)シクロヘキサノン、4−t−ブチル−2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンジリデン)シクロヘキサノン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−(2−ベンズイミダゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニルグリシン、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、エチル(4−ジメチルアミノ)ベンゾエート、ジエチルチオキサンテン、イソプロピルチオキサンテン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アントロン、アクリジン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチルなどである。増感剤としては上記化合物からなる群より選択される少なくとも1種が用いられる。増感剤の配合量は、感光剤100重量部に対して0.5〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲である。増感剤を加えると、本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体の感光特性をさらに向上させることができる。
 本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体は、上述したように有機溶媒中で合成された所定のポリイミド前駆体の溶液に、感光剤および必要に応じて用いられる増感剤を溶解することにより、ワニスの形態で調製される。このワニス中におけるポリイミド前駆体の濃度は5〜30重量部であることが好ましい。ワニスを調製する際には、その粘度を調整して基板に対する塗布性を改善する目的で、上記有機溶媒のほかに他の溶媒を用いてもよい。このような溶媒としては、イソプロパノール、メタノール、エチレングリコール、酢酸ブチル、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、キシレンなどが挙げられる。また、本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体においては、使用目的に応じて界面活性剤、シランカップリング剤などを配合してもよい。
 本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体を用いて、例えば半導体デバイスの絶縁膜のパターンを形成する方法について説明する。まず、感光性ポリイミド前駆体のワニスをろ過して微細な不溶物を除去した後、スピンコーティングやディッピングなどの方法によって半導体基板上に塗布する。これを60〜100℃で乾燥することにより、感光性ポリイミド前駆体の層を形成する。この感光性ポリイミド前駆体の層の上に所定のパターンを有するマスクを設置し、これを通してX線、可視光、赤外線、紫外線、電子線などのエネルギー線を照射して露光する。この露光時に感光剤が反応して、露光部において樹脂成分のポリマー鎖が架橋する。このときの反応は、用いられる感光剤が(1)アジド化合物であるか、(2)アクリレートなど二重結合を有する化合物であるかで異なる。(1)感光剤としてアジド化合物を用いた場合、露光部ではアジド化合物(AZ)がナイトレンラジカル(NR)に変化する。生成したナイトレンラジカルは、二重結合を有するアミン化合物が併用された場合、ポリイミド前駆体中にイオン結合で導入された二重結合を有する化合物、例えば2−N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートの二重結合に対する架橋反応や、水素引き抜き反応などを起こし、露光部においてポリマー鎖を架橋する。(2)感光剤としてアクリレートなどの二重結合を有するアミン化合物を用いた場合、これらの化合物の二重結合部位ではエネルギー線の照射によりビラジカルが発生し、ラジカルどうしの再結合が連鎖的に進行する。これらのアクリレート類は、単にワニス中でポリイミド前駆体と配合するだけでポリイミド前駆体にイオン結合で導入され、この部分でポリマー鎖が架橋する。なお、露光後の感光性ポリイミド前駆体の層に対して、必要に応じて80〜200℃で5秒〜60分間加熱処理を行ってもよい。このように加熱処理を行うと、樹脂成分のポリマー鎖の架橋状態がいっそう強固になる。
Figure 2004043827
 次に、この感光性ポリイミド前駆体の層に対して、現像液を用い、浸漬法、スプレー法、パドル法などの方法により現像処理を行う。このとき、未露光部ではポリマー鎖が架橋していないため現像液に溶解する。一方、露光部ではポリマー鎖が架橋しているため、現像液に不溶となる。現像液としては、例えばポリイミド前駆体の製造に用いた有機溶媒を用いることができる。また、現像処理をスムーズに行う目的で、このような有機溶媒とともに、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、トルエン、キシレン、水などを併用してもよい。また、現像処理後に、現像液残渣などを除去する目的で、水、アルコール、アセトンなどを用いてリンス処理を行い、引き続きベーキングなどの処理を行なってもよい。
 最後に、現像処理された所定のレリーフパターンを有する感光性ポリイミド前駆体を所定の条件で加熱する。この加熱処理によって、ポリイミド前駆体のポリマー鎖を架橋している感光剤が除去され、パターン中に残存する溶媒が揮発するとともに、アミド酸の閉環が起こってポリイミド膜パターンが形成される。この工程では、室温から最終加熱温度である150〜450℃まで徐々に温度を上げて加熱することが望ましい。最終加熱温度が150℃未満であると、一部のポリイミド前駆体がイミド化せずに残存し、熱安定性を阻害する可能性がある。逆に、最終加熱温度が450℃を超えると、イミド化したポリマーが分解して熱安定性が損なわれるおそれがある。
 次に、本発明の第2の感光性ポリイミド前駆体について説明する。本発明の第2の感光性ポリイミド前駆体は、(a)一般式(PA11)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸誘導体と、(b)光重合開始剤とを含有するものである。なお、十分な感光特性を得るうえでは、全繰り返し単位中に一般式(PA11)で表される繰り返し単位が25%以上含まれることが好ましい。
 一般式(PA11)において、Yはテトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基であり、Lは一般式(DA1)で表されるジアミン化合物の残基である。D1 は感光性の有機基またはOHであり、D1 の少なくとも1つは感光性の有機基である。D1 としては例えば以下の化学式に示されるようなものが挙げられる。
Figure 2004043827
 一般式(PA11)で表されるポリアミド酸誘導体を合成する方法は限定されない。例えば、R.Rubnerら、Photograph.Sci.Eng.,23(5),303頁(1979)に記載されている方法を用いることができる。具体的には、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとテトラカルボン酸二無水物とを反応させ、テトラカルボン酸二無水物に感光性の有機基を導入したジカルボン酸ジエステルを合成する。次に、得られたジカルボン酸ジエステルに塩化チオニルを反応させ、カルボキシル基をカルボン酸塩化物に転化する。最後に、所定のジアミン化合物を反応させて一般式(PA11)で表されるポリアミド酸誘導体を得る。このポリアミド酸誘導体を合成する際には、有機溶媒中で反応させることが好ましい。この有機溶媒としては、本発明の第1および第2のポリイミド前駆体の合成する際に用いたのと同様の有機溶媒を用いることができる。
 本発明の第2の感光性ポリイミド前駆体において、光重合開始剤としては、本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体に関して説明した感光剤のうちアジド化合物、および必要に応じて用いられる増感剤の少なくとも1種を用いることができる。光重合開始剤の配合量は、一般式(PA11)で表されるポリアミド酸誘導体100重量部に対して0.05〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部の範囲である。
 本発明の第2の感光性ポリイミド前駆体を用いて絶縁膜のパターンを形成する方法は、本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体の場合と同様である。
 次に、本発明に係るビスマレイミド系硬化樹脂の前駆体について説明する。このビスマレイミド系硬化樹脂前駆体は、(a)一般式(DM1)で表されるビスマレイミド化合物、および(b)一般式(DA11)で表されるジアミン化合物および一般式(DP1)で表される2価フェノール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を配合し、これらをある程度反応させた分子構造を有するものである。なお、一般式(DM1)において、フルオロ基またはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基(R31)は、ベンゼン環のマレイミド環および他のベンゼン環への結合部位から見て、メタ位に導入されていることが好ましい。
 本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体の(a)成分である、一般式(DM1)で表されるビスマレイミド化合物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、3,3’−ジマレイミド−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]エーテル、ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルフィド、ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン、3,3’−ジマレイミド−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾフェノン、1,3−ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、2,2−ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン、1,4−ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン、3,5−ビス[3−マレイミドフェノキシ]ベンゾトリフルオリド、3,5−ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゾトリフルオリド、3,3’−ジフルオロ−5,5’−ジマレイミドビフェニル、ビス(3−フルオロ−5−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(3−フルオロ−5−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(3−フルオロ−5−マレイミドフェニル)スルホン、3,3’−ジフルオロ−5,5’−ジマレイミドベンゾフェノン、1,3−ビス(3−フルオロ−5−マレイミドフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、2,2−ビス(3−フルオロ−5−マレイミドフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−フルオロ−5−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−フルオロ−5−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−フルオロフェノキシ)−5−フルオロベンゼン、1,3−ビス(3−フルオロ−5−マレイミドフェノキシ)−5−フルオロベンゼンなどである。
 一般式(DM1)で示されるビスマレイミド化合物を合成する方法は特に限定されないが、一般的には以下のような方法が用いられる。(1)まず、有機溶媒中で一般式(DA31)で表される芳香族ジアミン化合物1モル当量と一般式(MA1)で表されるマレイミド酸無水物またはマレイミド酸誘導体無水物2モル当量とを反応させて、下記一般式(DMA1)で表されるビスマレアミド酸化合物を合成する。(2)次に、有機溶媒中で一般式(DMA1)で表されるビスマレアミド酸化合物1モル当量に対して脱水剤として無水酢酸2〜4モル当量を加え、塩基0.05〜2モル当量および触媒0.0005〜0.2モル当量の存在下に、脱水環化させて一般式(DM1)で表されるビスマレイミド化合物を合成する。
Figure 2004043827
(X31、R31、R32、aおよびbは、一般式(DM1)の定義と同義である。)
 一般式(DA31)で表される芳香族ジアミン化合物としては、以下のようなものが挙げられる。例えば、3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]エーテル、ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルフィド、ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン、3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾフェノン、1,3−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン、1,4−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン、3,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾトリフルオリド、3,5−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゾトリフルオリド、3,3’−ジアミノ−5,5’−ジフルオロビフェニル、ビス(3−アミノ−5−フルオロフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−5−フルオロフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−5−フルオロフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノ−5,5’−ジフルオロベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−5−フルオロフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、2,2−ビス(3−アミノ−5−フルオロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノ−5−フルオロフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−5−フルオロフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−フルオロフェノキシ)−5−フルオロベンゼンなどである。
 一般式(MA1)で表されるマレイミド酸無水物またはマレイミド酸誘導体無水物の具体例は、上述した通りである。
 (1)の反応時に用いられる有機溶媒としては以下のようなものが挙げられる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピロリン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどである。これらの有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。反応温度は100℃以下、好ましくは30℃以下である。反応圧力は特に限定されず、常圧で十分実施できる。反応時間は芳香族ジアミン化合物および溶媒の種類に応じて異なるが、0.5〜24時間で十分である。
 (2)の反応時に用いられる塩基としては、アルカリ金属の酢酸塩または第3級アミンが挙げられる。例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどである。
 (2)の反応時に用いられる触媒としては、アルカリ土類金属の酸化物、または鉄(II)、鉄(III)、ニッケル(II)、マグネシウム(II)、マンガン(III)、銅(I)、銅(II)、コバルト(II)もしくはコバルト(III)の炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩もしくは酢酸塩などが挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に好ましい触媒は、酢酸ニッケル(II)、酢酸コバルト(III)または酸化マグネシウムである。
 (2)の反応時に用いられる有機溶媒としては、(1)の反応で用いたものと同様の有機溶媒を用いることができる。したがって、この反応の際に(1)の反応生成物であるビスマレアミド酸化合物を単離する必要はない。反応温度は200℃以下、好ましくは20〜120℃の範囲である。反応圧力は特に限定されず、常圧で十分実施できる。反応時間はビスマレアミド酸化合物および溶媒の種類に応じて異なるが、0.5〜24時間で十分である。反応終了後、析出した結晶をろ過するか、または水またはメタノール中に入れることにより目的のビスマレイミド化合物を得ることができる。
 本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体の(b)成分のうち、一般式(DA11)で表されるジアミン化合物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、1,3−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−フェニレン−4,4’−ジアニリン、1,4−フェニレン−4,4’−ジアニリン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、3,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、3,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]エーテル、ビス[4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]エーテル、ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン、ビス[4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,8−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン、2,5−ジアミノピラジン、2,4−ジアミノ−s−トリアジン、メタンジアミン、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(3−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,2−ビス(3−アミノシクロヘキシル)エタン、1,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)エタン、2,2−ビス(3−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−アミノシクロヘキシル)エーテル、ビス(4−アミノシクロヘキシル)エーテル、ビス(3−アミノシクロヘキシル)スルホン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノシクロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キシリレンジアミンなどである。これらのジアミン化合物は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
 ビスマレイミド系硬化樹脂の耐熱性、環境安定性の観点からは、一般式(DA11)で表されるジアミン化合物のうち、以下に示すような芳香環を有するジアミン化合物を用いることが好ましい。例えば、1,2−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−フェニレン−4,4’−ジアニリン、1,4−フェニレン−4,4’−ジアニリン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、3,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、3,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]エーテル、ビス[4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]エーテル、ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン、ビス[4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,8−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン、2,5−ジアミノピラジン、2,4−ジアミノ−s−トリアジンなどである。
 また、これらのジアミン化合物とともに、上述した一般式(DA6)で表されるビス(アミノアルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物を併用してもよい。ビス(アミノアルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物は、ビスマレイミド系硬化樹脂の例えばガラス基板やシリコン基板上への密着性および接着性を向上させる作用を有する。これらの化合物は、全ジアミン成分のうち0.02〜0.2モル当量用いることが好ましい。これは、このような化合物を配合することで得られるビスマレイミド系硬化樹脂の基板上への密着性および接着性が向上するものの、過度の配合はビスマレイミド系硬化樹脂の耐熱性低下を招くおそれがあるためである。
 本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体の(b)成分のうち、一般式(DP1)で表される2価フェノール化合物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、レゾルシノール、ピロカテコール、ハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、(3−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、(3−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−ヒドロキシフェニル)スルホン、(3−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,3−フェニレン−4,4’−ジフェノール、1,4−フェニレン−4,4’−ジフェノール、3,3’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエタン、3,4’−ジヒドロキシジフェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエタン、3,3’−ジヒドロキシジフェニルプロパン、3,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパン、1,3−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス[4−(3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[3−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]エーテル、ビス[4−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]エーテル、ビス[3−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン、ビス[4−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[3−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン、2,5−ジヒドロキシピラジン、2,4−ジヒドロキシ−s−トリアジン、1,3−ビス[3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス[3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1,1,3,3−テトラフェニル、1,5−ビス[3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,7−ビス[3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,9−ビス[3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサンなどである。これらの2価フェノール化合物は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
 本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体において、(b)成分(硬化剤成分)であるジアミン化合物および2価フェノール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、(a)成分であるビスマレイミド化合物1モル当量に対して、0.01〜2モル当量用いられる。さらに、ビスマレイミド化合物1モル当量に対して、ジアミン化合物の場合には0.2〜0.8モル当量、2価フェノール化合物の場合には0.7〜1.3モル当量配合することが好ましい。その理由は、硬化剤成分(b)の配合量が少なすぎると、硬化反応の進行の程度が不十分であり、その前駆体を用いて形成される硬化樹脂の耐熱性が低下するおそれがある。また、この場合、ビスマレイミド化合物(a)が過剰量配合されるため、硬化反応の際にマレイミド分子が相互に反応して、得られる硬化樹脂の柔軟性が損なわれる。逆に、硬化剤成分(b)の配合量が多すぎると、硬化樹脂中に過剰の硬化剤成分が残留し、硬化樹脂の耐熱性および耐湿性が不十分となるおそれがある。特に、ビスマレイミド化合物1モル当量に対して、硬化剤成分として約0.5モル当量のジアミン化合物または約1モル当量の2価フェノール化合物を配合すると、組成物の硬化反応が最も効率よく進行する。
 本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体においては、硬化反応を促進する目的で、必要に応じて硬化触媒を配合してもよい。硬化触媒としては、四フッ化ホウ素錯体、アルミニウム錯体/フェノール触媒、アルミニウム錯体/ケイ素系触媒などが挙げられる。これらの硬化触媒を適宜選択して用いることにより、硬化反応を調節して様々な二次元構造または三次元構造を有する高分子量の硬化樹脂を製造することができる。また、本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体においては、上述した各成分の他にも、ポリアミド酸、エポキシ樹脂、イソシアナート化合物、トリアジン樹脂、フェノール樹脂、アクリル化合物などの各種添加物を配合してもよい。
 本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体は、上述した各成分を有機溶媒に溶解し、ワニスの形態で調製される。ここで用いられる有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピロリン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどである。これらの有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
 さらに、得られたワニスは電子部品の層間絶縁膜などとして使用する前に、通常、A−stage化が行なわれる。すなわち、50〜150℃で5分〜5時間加熱して、ビスマレイミド化合物に対するジアミン化合物または2価フェノール化合物の付加反応をいくぶん進行させて、ワニスを塗布するのに好都合になるように、ワニスの粘度が高められる。
 本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体を用い、例えば電子部品の絶縁膜を形成する方法について説明する。まず、A−stage化したビスマレイミド系硬化樹脂前駆体のワニスを任意の基板上に塗布して膜を形成する。この膜を50〜150℃で5〜10分間加熱して溶媒を蒸発させる。さらに、この膜を真空オーブンまたは窒素置換されたオーブン中において所定の温度で加熱してビスマレイミド系硬化樹脂前駆体を硬化させる。この加熱温度は使用されるビスマレイミド化合物などの構造により異なるが、通常100〜450℃の範囲に設定される。このようにしてビスマレイミド系硬化樹脂からなる絶縁膜が形成される。
 この結果、得られるビスマレイミド系硬化樹脂は耐熱性に優れているだけでなく、従来のビスマレイミド系硬化樹脂と比較して、大気中に長時間放置しても加湿分解によるトルエン、キシレンなどのガスの発生量が非常に少なく環境安定性に優れ、しかも誘電率および吸湿率が低い。
 次に、本発明の電子部品について説明する。本発明の電子部品は、上述したポリイミド前駆体を硬化させたポリイミド樹脂またはビスマレイミド系硬化樹脂前駆体を硬化させたビスマレイミド系硬化樹脂を、絶縁膜や絶縁基板などの絶縁部材として具備したものである。このような電子部品は、絶縁部材を構成しているポリイミド樹脂またはビスマレイミド系硬化樹脂の比誘電率が低いため高速動作および省電力を実現でき、しかも絶縁部材が低吸湿性であり熱安定性および環境安定性に優れているため信頼性も高い。
 より具体的には、本発明に係るポリイミド樹脂またはビスマレイミド系硬化樹脂は、半導体装置の層間絶縁膜、耐湿保護膜、α線遮断膜などの絶縁膜、キャリヤーフィルム、フラットケーブル、フレキシブルプリント基板、フィルム絶縁コイル、薄膜磁気ヘッドや磁気バブルメモリー素子の層間絶縁膜、ガラスクロス積層板など電子部品用絶縁部材として有用である。さらに本発明に係るポリイミド樹脂は液晶表示素子の液晶配向膜にも非常に適している。以下、これらの電子部品の例を図面を参照して説明する。なお、以下の説明では絶縁部材をポリイミド樹脂で構成した例について説明するが、ほとんどの場合はポリイミド樹脂の代わりにビスマレイミド系硬化樹脂を用いてもよいことはもちろんである。
 図1は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂を半導体デバイスの層間絶縁膜に適用した例を示す断面図である。図1において、シリコン基板11表面には、フィールド酸化膜12、拡散層13、熱酸化膜14、CVD酸化膜15などが形成されている。前記拡散層13上の熱酸化膜14にコンタクトホールが開孔され、拡散層13と接続された第1層のAl電極16が形成されている。また、全面にポリイミド樹脂からなる層間絶縁膜17が形成されている。この層間絶縁膜17にコンタクトホールが開孔され、第1層のAl電極16と接続された第2層のAl電極18が形成されている。さらに、全面にポリイミド樹脂からなるパッシベーション膜19が形成されている。
 図2は図1のように表面にポリイミド樹脂からなるパッシベーション膜が形成された半導体チップを樹脂モールドしたパッケージの断面図である。図2において、表面にポリイミド樹脂からなるパッシベーション膜19が形成された半導体チップ20はベッド21上にマウントされている。半導体チップ20表面のパッシベーション膜19から露出したボンディングパッドとリード22とがワイヤ23によりボンディングされている。さらに、これらの部材が封止樹脂24でモールドされ、リード23の一部が封止樹脂24から突出している。
 図3は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂を薄膜磁気ヘッドの層間絶縁膜に適用した例を示す断面図である。図3において、基板31表面には下部アルミナ32、下部磁性体33、ギャップアルミナ34が順次形成されている。このギャップアルミナ34上にポリイミド樹脂からなる層間絶縁膜35に埋め込まれるように第1導体コイル36および第2導体コイル37が形成されている。さらに、層間絶縁膜35上に上部磁性体38が形成され、磁気ヘッド先端においてギャップアルミナ34を挟んで下部磁性体33と上部磁性体38とが対向している。
 図4は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂を高密度配線板の層間絶縁膜に適用した例を示す断面図である。図4において、シリコン基板41上には熱酸化膜42および第1層の銅配線43が順次形成されている。その上の全面にポリイミド樹脂からなる層間絶縁膜44が形成されている。この層間絶縁膜44にコンタクトホールが開孔され、第1層の銅電極43と接続された第2層の銅電極45が形成されている。さらに、全面にポリイミド樹脂からなるパッシベーション膜46が形成されている。このパッシベーション膜46にコンタクトホールが開孔され、第2層の銅配線45と接続するようにバリアメタル47およびPb/Smバンプ48が形成されている。
 図5は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂を磁気バブルメモリ素子の層間絶縁膜に適用した例を示す断面図である。図5において、ガーネット基板51上にコンダクタ52が形成され、その全面にポリイミド樹脂からなる層間絶縁膜53が形成されている。さらに、層間絶縁膜53上にパーマロイ54が形成されている。
 図6は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂を太陽電池の耐熱性透明樹脂層に適用した例を示す断面図である。図6において、ガラス基板61上の全面にポリイミド樹脂からなる耐熱性透明樹脂層62が形成されている。この耐熱性透明樹脂層62上に、透明電極63、アモルファスSi64および金属電極65が所定のパターンで形成されている。
 図1〜図6に示すように、いずれの電子部品でも本発明のポリイミド前駆体を用いて絶縁部材を形成すれば、配線の段差を大幅に緩和して平坦な配線構造とすることができ、電子部品の信頼性を向上できる。また、上述したように本発明のポリイミド前駆体を硬化させた絶縁部材は、比誘電率が低いため高速動作および省電力を実現でき、しかも低吸湿性であり熱安定性および環境安定性に優れている。
 図7は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂からなる液晶配向膜を有する液晶表示素子の断面図である。図7において、ガラス基板71上には画素電極72および薄膜トランジスタ(図示せず)が形成され、さらにその全面にポリイミド樹脂からなる液晶配向膜73が被覆されている。一方、ガラス基板74上には共通電極75が形成され、さらにその全面にポリイミド樹脂からなる液晶配向膜76が被覆されている。これらのガラス基板71、74は液晶配向膜73、76を内側にして所定のギャップを隔てて互いに平行に設置され、両者の間に液晶77が封入される。なお、液晶表示素子のカラー化のために、カラーフィルターを設けた基板を使用される場合もある。
 基板としては、ガラスのほか、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレートなどの透明フィルムを使用してもよい。電極としては、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化インジウムなどの透明酸化物が用いられる。液晶配向膜の膜厚は、5〜1000nm、好ましくは20〜200nmの範囲に設定される。液晶配向膜を構成するポリイミド樹脂は、その前駆体であるポリアミド酸のワニスを電極が形成された基板に塗布し、90〜120℃で予備乾燥した後、200〜350℃で加熱処理することにより形成される。次に、このポリイミド樹脂をラビングして液晶配向膜とする。2枚の基板上の液晶配向膜は、セルを組み立てたときに互いのラビング方向が同一方向、90°ねじった方向、または200〜290°ねじった方向になるように、目的に応じてラビングされる。なお、液晶の配向性を安定させるために、液晶を封入した後、液晶表示素子をアニールしてもよい。
 本発明のポリイミド前駆体から製造されたポリイミド樹脂からなる液晶配向膜は、上述した効果の他に、液晶に大きなプレチルト角を与えることができ、しかも電圧保持率が高いという効果も有する。
  [実施例]
 以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
 実施例1−1〜1−45および比較例1〜5
 (1)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)の合成
 表1〜表7に示す原料を所定の配合比(モル当量で表示)で用い、以下のようにしてポリアミド酸を合成した。まず、窒素ガス雰囲気下、冷媒により−5〜0℃に冷却したセパラブルフラスコにN−メチル−2−ピロリドン50mLを入れ、酸無水物成分として一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の所定量を加えて攪拌しながら溶解した。この溶液に、ジアミン成分として一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化合物、および一般式(DA6)で表されるビス(アミノアルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物の所定量をN−メチル−2−ピロリドン50mLに溶解した溶液を、圧力平衡管付き滴下ロートからゆっくりと滴下した。2時間攪拌した後、マレイン酸無水物の所定量をN−メチル−2−ピロリドン50mLに溶解した溶液を、圧力平衡管付き滴下ロートからゆっくりと滴下した。さらに4時間撹拌して、目的のポリアミド酸を含むワニスを得た。
 表1〜表7で用いた略号を説明する。
(テトラカルボン酸二無水物)
6FDPA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物
PMA:ピロメリト酸二無水物
BPTA:3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物
6FXTA:9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物
(マレイン酸無水物)
MLA:マレイン酸無水物
(ジアミン化合物)
mSNDA:スルホニル−3,3’−ジアニリン
mPODA:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
mODA:オキシ−3,3’−ジアニリン
6FmODA:オキシ−5,5’−ビス[3−(トリフルオロメチル)アニリン]
3FmPODA:3,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾトリフルオリド
6FmPODA:1,3−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン
9FmPODA:3,5−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ベンゾトリフルオリド
3FmPDA:5−(トリフルオロメチル)−1,3−フェニレンジアミン
6FmSNDA:1,1’−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン
6FmBPDA:3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
6FpBPDA:4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
m6FDA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニリン
mPDA:1,3−フェニレンジアミン
mBPDA:3,3’−ジアミノビフェニル
pBPDA:4,4’−ジアミノビフェニル
pODA:オキシ−4,4’−ジアニリン
p6FDA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニリン
TSL9306:1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
 なお、比較例1は、市販のポリアミド酸(住友ベークライト社製、CRC−6061)であり、PMA(ピロメリト酸二無水物)、CBDPA(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物)およびpODA(オキシ−4,4’−ジアニリン)を主原料とするものである。また、比較例2〜5は一般式(DA1)に含まれない芳香族ジアミン化合物を用いたものである。
 合成されたそれぞれのポリアミド酸の0.5wt%N−メチル−2−ピロリドン溶液の固有粘度を30℃において測定した。これらの結果を表1〜表7に示す。表1〜表7から、マレイン酸無水物を用いることにより、固有粘度0.5以下という低粘度のポリアミド酸を合成できることが確認された。
 (2)ポリイミドフィルムの物性の測定
 ポリイミドフィルムについて以下に示す物性の測定した結果を表1〜表7に示す。
 (a)分解開始温度
 ポリアミド酸のワニスを、1mm×130mm×150mmの大きさのガラス板上に、バーコーターにより75μmの厚さに塗布した後、110℃で1時間プリベークした。得られたフィルムをガラス板から剥がし、内側の大きさが100mm×100mmの真鍮枠に固定した。これを、窒素ガスを導入した乾燥器中で、室温から昇温して、150℃、250℃、および350℃の各温度で1時間ずつ加熱し、最後に400℃で30分間加熱することにより、ポリイミドフィルムを形成した。なお、各温度の間の昇温時間は1時間とした。得られたポリイミドフィルムについて、窒素気流中で熱重量分析/示差熱分析(TG/DTA)を行い、0.5wt%の重量減少が生じる温度を測定し、ポリイミドフィルムの分解開始温度を決定した。その結果、実施例1−1〜45のポリイミドフィルムは比較例のものと同等の耐熱性を有することが確認された。
 (b)シリコン基板に対する密着性
 ポリアミド酸のワニスを、4インチ径のシリコン基板上に、硬化後の膜厚が5〜10μmとなるようにスピンコートした。これを、窒素ガスを導入した乾燥器中で、室温から昇温して、150℃、250℃、および350℃の各温度で1時間ずつ加熱し、最後に400℃で30分間加熱することにより、ポリイミドフィルムを形成した。なお、各温度の間の昇温時間は30分間とした。ポリイミドフィルムが形成されたシリコン基板を、プレッシャークッカー内において、2気圧、120℃の水蒸気の雰囲気下に24時間放置した。その後、ポリイミドフィルムの表面にセロハンテープを貼り、これを一定の条件で剥がしたときに基板より剥離する膜の割合を調べ、密着性を示す値とした。その結果、実施例1−1〜45のポリイミドフィルムは、比較例1〜5のものと比べて、シリコン基板との密着性に優れていることが確認された。
 (c)トレンチへの充填性
 ポリアミド酸のワニスを、表面に幅0.3μm、深さ1.0μmのトレンチを形成した4インチ径のシリコン基板上に、硬化後の膜厚が5〜10μmとなるようにスピンコートし、(b)と同様な条件で硬化させてポリイミドフィルムを形成した。その後、トレンチの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、トレンチに対する充填性を検討した。その結果、実施例1−1〜45ではトレンチがポリイミドで隙間なく完全に埋められていた。これに対して、比較例1〜5ではトレンチがポリイミドで完全に充填されず、大きな隙間が残存していることが確認された。
 (d)誘電率
 ポリアミド酸のワニスを、1mm×100mm×100mmの大きさのアルミニウム板上に、硬化後の膜厚が40〜60μmとなるように2〜4回スピンコートした。これを、窒素ガスを導入した乾燥器中で、室温から昇温して、150℃、250℃、および350℃の各温度で1時間ずつ加熱し、最後に400℃で30分間加熱することにより、ポリイミドフィルムを形成した。なお、各温度の間の昇温時間は30分間とした。得られたポリイミドフィルムについて、10kHzにおける誘電率を測定した。その結果、実施例1−1〜45のポリイミドフィルムは誘電率が3.0以下であり、比較例1のものに比べて非常に低く、誘電特性に優れていることが確認された。
 (e)加湿分解ガスの発生量
 (b)と同様な方法でシリコン基板上にポリイミドフィルムを形成した。これを、20℃、飽和水蒸気下で1週間放置した。その後、ポリイミドフィルムをパイロホイルに導入し、358℃で3秒間キューリーパイロライザーで加熱し、発生したガス成分をGC−MASSにより分析した。加湿分解ガスであるトルエンの発生量を、イオンクロマトグラフにおけるトルエンのシグナルの積分値をサンプル1mgあたりに換算した値により評価した。この結果、実施例1−1〜45のポリイミドフィルムはトルエンガスの発生量が非常に少なく、環境安定性に優れていることが確認された。
Figure 2004043827
Figure 2004043827
Figure 2004043827
Figure 2004043827
Figure 2004043827
Figure 2004043827
Figure 2004043827
 実施例2−1〜2−11
 (1)含フッ素芳香族ジアミン化合物の合成
 [合成例2A] 2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(6Fm6FDA)の合成
 (a)2,2−ビス[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(化合物2Aa)の合成
 500mLのオートクレーブに、2,2−ビス(3−ヨードフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン44.5g(80.0mmol)、ヨウ化トリフルオロメチル40.0g(204mmol)、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド150mL、および触媒として銅粉を入れ、150℃で24時間加熱撹拌した。放冷後、反応液から銅粉をろ別し、ろ液を減圧下で分別蒸留して、目的の化合物2Aaを得た。
 分子式:C178 12 分子量:440.227
 収量:28.5g(64.7mmol) 収率:81%
 元素分析:
       炭素    水素   フッ素
  計算値 46.4% 1.8% 51.8%
  分析値 46.6% 1.8% 51.6%
 (b)2,2−ビス[3−ニトロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(化合物2Ab)の合成
 (a)で得られた化合物2Aa 26.5g(60.2mmol)を95%濃硫酸60mLに溶解し、90%発煙硝酸20mLを滴下ロートでゆっくりと加え、50℃で5時間加熱撹拌した。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ込み、生成物を塩化メチレン300mLで抽出した。分液ロートにより抽出液を分取し、5%水酸化ナトリウム水溶液300mLで2回、水300mLで1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで脱水した後、抽出液を減圧濃縮し、残渣を熱エタノール溶液から再結晶し、目的の化合物2Abを得た。
 分子式:C176 122 4  分子量:530.221
 収量:28.0g(52.8mmol) 収率:88%
 元素分析:
       炭素    水素   フッ素   窒素
  計算値 38.5% 1.1% 43.0% 5.3%
  分析値 38.8% 1.2% 42.8% 5.3%
 (c)2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(6Fm6FDA)の合成
 (b)で得られた化合物2Ab 26.5g(50.0mmol)、イソプロピルアルコール50mLおよび5%−Pd/C還元剤(50%含水品)1.5gを還元装置に入れ、水素雰囲気下、80℃で4時間反応させた。反応終了後、吸引ろ過により不溶物を除去し、反応液を減圧濃縮した。析出した粗結晶を熱エタノール溶液から再結晶し、目的の6Fm6FDAを得た。
 分子式:C1710122  分子量:470.257
 収量:21.5g(45.7mmol) 収率:91%
 元素分析:
       炭素    水素   フッ素   窒素
  計算値 43.4% 2.1% 48.5% 6.0%
  分析値 43.6% 2.2% 48.3% 5.9%
 赤外吸収スペクトル(KBr法):
  3480cm-1 N−H逆対称伸縮振動(第1級アミン)
  3390cm-1 N−H対称伸縮振動(第1級アミン)
  1600cm-1 N−H面内変角(ハサミ)振動(芳香族第1級アミン)
  1320、1250、1220、1190、1140cm-1 C−F伸縮振動および変角振動(CF3 基)。
 [合成例2B] 3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(6FmBPDA)の合成
 3−ヨード−5−ニトロベンゾトリフルオリド15.9g(50.2mmol)を、N,N’−ジメチルホルムアミド50mLに溶解し、これに銅粉20gを加え、72時間加熱還流した。放冷後、吸引濾過により不溶物を除去し、濾液を減圧濃縮および真空乾燥した。得られた残渣をイソプロピルアルコール50mLに溶解し、これに5%−Pd/C還元剤(50%含水品)1.5gを加え、水素雰囲気下、80℃で4時間反応させた。反応終了後、吸引濾過により不溶物を除去し、反応液を減圧濃縮し、粗結晶を析出させた。熱エタノール溶液から再結晶し、目的の化合物(6FmBPDA)を得た。
 分子式:C14106 2  分子量:320.236
 収量:10.9g(34.0mmol) 収率:68%
 元素分析:
       炭素    水素   フッ素   窒素
  計算値 52.5% 3.1% 35.6% 8.7%
  分析値 52.6% 3.0% 35.6% 8.8%
 赤外吸収スペクトル(KBr法):
  3500cm-1 N−H逆対称伸縮振動(第1級アミン)
  3400cm-1 N−H対称伸縮振動(第1級アミン)
  1600cm-1 N−H面内変角(ハサミ)振動(芳香族第1級アミン)
  1320cm-1 CF3 対称変角振動
  1200cm-1 C−N伸縮振動(第1級アミン)
  1140cm-1 CF3 逆対称変角振動。
 [合成例2C] 3,3’−ジアミノ−5,5’−ビスフルオロビフェニル(2FmBPDA)の合成
 3−フルオロ−5−ヨードニトロベンゼン13.4g(50.2mmol)を用い、合成例2Bと同様な方法により、目的の化合物(2FmBPDA)を得た。
 分子式:C12102 2  分子量:220.222
 収量:7.1g(32.2mmol) 収率:64%
 元素分析:
       炭素    水素   フッ素   窒素
  計算値 65.4% 4.6% 17.3% 12.7%
  分析値 65.7% 4.6% 17.1% 12.6%
 赤外吸収スペクトル(KBr法)
  3520cm-1 N−H逆対称伸縮振動(第1級アミン)
  3420cm-1 N−H対称伸縮振動(第1級アミン)
  1605cm-1 N−H面内変角(ハサミ)振動(芳香族第1級アミン)
  1240cm-1 C−F伸縮振動(フルオロベンゼン)
  1205cm-1 C−N伸縮振動(第1級アミン)
 (2)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)の合成
 表8および表9に示す原料を所定の配合比(モル当量で表示)で用い、以下のようにしてポリアミド酸を合成した。まず、窒素ガス雰囲気下、冷媒により−5〜0℃に冷却したセパラブルフラスコにN−メチル−2−ピロリドン50mLを入れ、酸無水物成分として一般式(DAH2)で表されるテトラカルボン酸二無水物の所定量を加えて攪拌しながら溶解した。この溶液に、ジアミン成分として上記のようにして合成された一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物および一般式(DA6)で表されるビス(アミノアルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物の所定量をN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液を圧力平衡管付き滴下ロートからゆっくりと滴下した。6時間攪拌し、目的のポリアミド酸を含むワニスを得た。
 表8および表9で用いた略号を説明する。
(テトラカルボン酸二無水物)
PMA:ピロメリト酸二無水物
BPTA:3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物
6FDPA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物
6FXTA:9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物
SNDPA:スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物
(ジアミン化合物)
6Fm6FDA:2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン
6FmBPDA:3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
2FmBPDA:3,3’−ジアミノ−5,5’−フルオロビフェニル
TSL9306:1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
 (3)各種物性の測定
 実施例1と同様にして、ポリアミド酸溶液の固有粘度、ならびにポリイミドフィルムの分解開始温度、誘電率および吸湿率を測定した結果を表8および表9に示す。その結果、実施例2−1〜2−11のポリイミドフィルムは、比較例1のものと同等の耐熱性を有し、しかも誘電率が非常に低いことが確認された。
Figure 2004043827
Figure 2004043827
 実施例3−1〜3−8
 (1)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)の合成
 表10に示す原料を所定の配合比(モル当量で表示)で用い、以下のようにしてポリアミド酸を合成した。まず、窒素ガス雰囲気下、冷媒により−5〜0℃に冷却したセパラブルフラスコにN−メチル−2−ピロリドン50mLを入れ、酸無水物成分として一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の所定量を加えて攪拌しながら溶解した。この溶液に、ジアミン成分として一般式(DA5)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物および一般式(DA6)で表されるビス(アミノアルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物の所定量をN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液を圧力平衡管付き滴下ロートからゆっくりと滴下した。6時間攪拌し、目的のポリアミド酸を含むワニスを得た。
 表10で用いた略号を説明する。
(テトラカルボン酸二無水物)
PMA:ピロメリト酸二無水物
BPTA:3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物
SNDPA:スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物
CBDPA:カルボニル−4,4’−ジフタル酸二無水物
6FDPA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物
SXDPA:1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物
PODPA:1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物
(ジアミン化合物)
6FmSNDA:1,1’−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン
 (2)各種物性の測定
 実施例1と同様にして、ポリアミド酸溶液の固有粘度、ならびにポリイミドフィルムの分解開始温度、誘電率および吸湿率を測定した結果を表10に示す。その結果、実施例3−1〜3−8のポリイミドフィルムは、十分な耐熱性を有し、しかも誘電率が非常に低いことが確認された。
Figure 2004043827
 実施例4−1〜4−15
 (1)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)の合成
 表11および表12に示す原料を所定の配合比(モル当量で表示)で用い、以下のようにしてポリアミド酸を合成した。まず、窒素ガス雰囲気下、冷媒により−5〜0℃に冷却したセパラブルフラスコにN−メチル−2−ピロリドン50mLを入れ、酸無水物成分として一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の所定量を加えて攪拌しながら溶解した。この溶液に、ジアミン成分として一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化合物、および一般式(DA6)で表されるビス(アミノアルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物の所定量をN−メチル−2−ピロリドン50mLに溶解した溶液を、圧力平衡管付き滴下ロートからゆっくりと滴下した。6時間撹拌して、目的のポリアミド酸を含むワニスを得た。
 表11および表12で用いた略号を説明する。
(テトラカルボン酸二無水物)
6FDPA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物
PMA:ピロメリト酸二無水物
ODPA:オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物
SNDPA:スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物
(マレイン酸無水物)
MLA:マレイン酸無水物
(ジアミン化合物)
mSNDA:スルホニル−3,3’−ジアニリン
mPODA:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
mODA:オキシ−3,3’−ジアニリン
6FmODA:オキシ−5,5’−ビス[3−(トリフルオロメチル)アニリン]
3FmPODA:3,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾトリフルオリド
6FmPODA:1,3−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン
9FmPODA:3,5−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ベンゾトリフルオリド
3FmPDA:5−(トリフルオロメチル)−1,3−フェニレンジアミン
6FmSNDA:1,1’−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン
2FmBPDA:3,3’−ジアミノ−5,5’−ジフルオロビフェニル
6FmBPDA:3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
6FpBPDA:4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
pODA:オキシ−4,4’−ジアニリン
TSL9306:1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
 合成されたそれぞれのポリアミド酸の0.5wt%N−メチル−2−ピロリドン溶液の固有粘度を30℃において測定した。これらの結果を表4に示す。表4から、マレイン酸無水物を用いた場合には、固有粘度0.5以下という低粘度のポリアミド酸を合成できることが確認された。
Figure 2004043827
Figure 2004043827
 (2)感光性ポリイミド前駆体の調製
 実施例4−1
 ポリアミド酸(4−1)の16重量%N−メチル−2−ピロリドン溶液20gに、感光剤として2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート1.57g(0.01モル)および2,6−ジ(4−アジドベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン0.37g(0.001モル)を溶解し、均一溶液とした後、孔径0.5μmのフィルターでろ過して感光性ポリイミド前駆体を調製した。
 実施例4−2〜4−15
 表13および表14に示すように、ポリアミド酸の16重量%N−メチル−2−ピロリドン溶液および感光剤、ならびに必要に応じて増感剤を所定の配合比(重量で表示)で用い、実施例4−1と同様にして感光性ポリイミド前駆体を調製した。
 表13および表14で用いた略号を説明する。
(感光剤)
DMAEA:2−N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート
DMAEM:2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMABM:4−N,N−ジメチルアミノブチルメタクリレート
DABMCH:2,6−ジ(4−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン
DABHCH:2,6−ジ(4−アジドベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン
(増感剤)
BDMK:ベンジルジメチルケタール
Figure 2004043827
Figure 2004043827
 (3)感光特性の評価
 得られた各感光性ポリイミド前駆体について、以下に示す方法に従って感光特性を評価した。まず、感光性ポリイミド前駆体を、シリコン基板上にスピンコートし、90℃で6分間加熱乾燥して、4〜6μm厚の塗膜を形成した。次に、露光装置(キャノン社製、PLA−500F)を用い、塗膜の上に設けたマスクを通して紫外線を照射した。次いで、N−メチル−2−ピロリドン4容量部およびイソプロピルアルコール1容量部からなる現像液で現像し、さらにエタノールでリンスし、レリーフパターンを形成した。こうして形成されたレリーフパターンの断面を走査型電子顕微鏡により観察した。表15に初期膜厚、光照射量、現像時間、残膜率、および解像度を示す。
 表15に示されるように、最小線幅4μmのレリーフパターンが得られた。なお、レリーフパターンが形成された各シリコン基板を400℃で90分間加熱しても、レリーフパターンの変形は認められなかった。
Figure 2004043827
 (4)トレンチへの充填性
 6インチ径のシリコン基板表面にアルミニウムを堆積し、パターニングしてライン・アンド・スペース0.3μmで深さ1.2μmのトレンチを形成した。各感光性ポリイミド前駆体をスピンコートし、90℃で1時間、150℃で30分、250℃で30分、400℃で1時間加熱処理して、ポリイミドフィルムを形成した。その後、トレンチの断面を走査型電子顕微鏡により観察し、トレンチに対する充填性を検討した。その結果、実施例4−1〜15ではトレンチがポリイミドで隙間なく完全に埋められていた。これに対して、比較例6および7ではトレンチがポリイミドで完全に充填されず、大きな隙間が残存していることが確認された。このようにポリイミドの分子構造により、感光性ポリイミド前駆体溶液の流動性および流延性に大きな差があることがわかった。
 実施例5
 窒素導入管を有する100mLの4口フラスコに、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物(6FDPA)8.88g(0.02モル)および2−ヒドロキシエチルメタクリレート5.2g(0.04モル)を入れた。この溶液を室温で6日間撹拌して6FDPAのジエステルを得た。この溶液を−15℃に保持し、塩化チオニルを徐々に添加した。その後、撹拌を続けながら、反応液の温度を徐々に上げて5℃に保持し、4時間反応させた。この溶液に、1,3−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン7.04g(0.02モル)およびトリメチルアミン4.4g(0.044モル)をN−メチル−2−ピロリドン25gに溶解した溶液を徐々に加えた。この溶液を、窒素雰囲気下、5℃に保持し、8時間撹拌を続けた後、減圧ろ過して生成した沈殿を除去した。ろ液を水中にデカントし、ポリアミド酸誘導体の沈殿を析出させた。
 このポリアミド酸誘導体3.0gをN−メチル−2−ピロリドン12g中に溶解し、光重合開始剤として4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.05gおよび2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1 0.01gを添加し、0.5μmのフィルターでろ過して、感光性ポリイミド前駆体を得た。
 この感光性ポリイミド前駆体を、シリコン基板上にスピンコートし、90℃で5分間加熱乾燥した。次に、露光装置(キャノン社製、PLA−500F)を用い、塗膜の上に設けたマスクを通して紫外線を60秒間照射して露光した。次いで、N−メチル−2−ピロリドン7容量部およびメタノール3容量部からなる現像液で現像し、水でリンスした。さらに、150℃で30分間、250℃で30分間、350℃で60分間加熱処理して、膜厚5μm、ライン・アンド・スペース6μmのレリーフパターンを得た。
 こうしてレリーフパターンが形成されたシリコン基板を400℃で90分間加熱しても、レリーフパターンの変形は認められなかった。
 また、実施例4(4)と同様に、ライン・アンド・スペース0.3μm、深さ12μmのアルミニウムパターンを設けたシリコン基板を用い、感光性ポリイミド前駆体のトレンチへの充填性を調べた。その結果、トレンチはポリイミドで完全に充填され、トレンチ表面の平坦性も良好であった。
 実施例6−1〜6−3および比較例6(液晶表示素子)
 (1)液晶セルの作製
 実施例6−1
 実施例1−3で合成したポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン溶液をブチルセロソルブアセテートで希釈して濃度8重量%の溶液を調製した。この溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過してゴミなどの不溶物を除去した後、スクリーン印刷によりITO電極が形成されたガラス基板上に塗布した。このガラス基板を100℃で5分間乾燥し、150℃で30分間、250℃で30分間の熱処理を施して、60nmのポリイミドフィルムを形成した。次に、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用い、ロールの回転数450RPM、ステージ移動速度1cm/秒で、このポリイミドフィルムにラビング処理を施して液晶配向膜とした。このようにしてラビング処理された液晶配向膜を有する1対のガラス基板を作製した。これらのガラス基板の周縁部を、スペーサーとしてのビーズを含有するエポキシ系接着剤を180℃で加熱して硬化させることにより互いに接着させ、セルギャップ10μmのセルを作製した。最後に、液晶注入口よりネマチック液晶(メルク社製、ZLI−1565)を注入し、注入口を光硬化型エポキシ樹脂で封止して、試験用液晶セルを作製した。
 実施例6−2および6−3
 実施例1−3のポリアミド酸の代わりに、実施例1−39または実施例3−9で合成したポリアミド酸を用いた以外は、実施例6−1と全く同様にして試験用液晶セルを作製した。
 比較例6
 撹拌棒、温度計、窒素導入管を取付けた4口フラスコに、ピロメリット酸二無水物10.921g(0.05モル)およびN−メチル−2−ピロリドン60gを入れ、脱水した窒素を流しながら撹拌して懸濁液とした。この懸濁液を5℃に保持し、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン24.892g(0.048モル)および1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.495g(0.002モル)をN−メチル−2−ピロリドン120gに溶解した溶液を徐々に添加した。その後、5℃〜室温で6時間撹拌を続け、ポリアミド酸を合成した。この溶液50gに、N−メチル−2−ピロリドン35gおよびブチルセロソルブアセテート25gを加えて、8重量%のポリアミド酸溶液を調製した。この溶液を用い、実施例6−1と同様な方法により試験用液晶セルを作製した。
 (2)配向特性の評価
 これらの液晶セルについて、プレチルト角および電圧保持率を測定することにより、配向特性を評価した。
 ここで、プレチルト角は、ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス、第9巻、No.10、2013〜4頁(1980)に記載されている方法により測定した。
 電圧保持率は、液晶セルの電極に印加された書き込み電圧が、次の書き込みまでの間(フレーム周期16msec)に保持される割合である。この電圧保持率は、図8(a)に示す測定回路を用いて以下のようにして測定した。すなわち、TFTのソースに、図8(b)に示すように、パルス幅65μs、周波数60Hz、波高±5Vの矩形波Vsを印加し、ドレイン電圧VD をモニターした。図8(c)に示すように、VD は次のパルス電圧が印加されるまでの間に減衰する。そして、図8(c)において、破線とV=0との間の面積(VD が減衰しなかった場合の電圧積分値)に対する、モニターされたVD とV=0との間の斜線部の面積(実際に電極に印加される電圧積分値)の割合を電圧保持率とする。なお、電圧保持率は90℃において測定した。
 これらの測定結果を表16に示す。表16から、実施例6−1〜3のポリイミドからなる液晶配向膜を用いた液晶セルは、望ましいプレチルト角と高い電圧保持率を有している。このことは、コントラストおよび視認性に優れた液晶表示素子を実現できることを示し、大型化、カラー化に好適である。
Figure 2004043827
 実施例7−1〜7〜16および比較例7−1〜7−4
 (1)ビスマレイミド化合物の合成
 [合成例7A] 3,3’−ジマレイミド−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(6FmBPDM)の合成
 フラスコにジメチルホルムアミド50mLを入れて撹拌しながら無水マレイン酸10.8g(110mmol)を溶解した。室温でこの溶液に、3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(6FmBPDA)16.0g(50.0mmol)をジメチルホルムアミド50mLに溶解した溶液を滴下ロートからゆっくりと滴下した。3時間撹拌後、トリエチルアミン2.4g、酸化マグネシウム(II)100mg、および酢酸コバルト(II)・4水和物10mgを添加し、室温で無水酢酸13gを滴下ロートから30分かけて滴下した。さらに3時間撹拌し、反応液に水1Lを少しずつ加え、析出した粗結晶をろ取した。得られた粗結晶を少量のジメチルホルムアミドに溶解し、この溶液を水1Lにデカントして、結晶を析出させた。この操作をもう一度繰り返し、精製した結晶をろ取した。この結晶を真空乾燥して目的の化合物(6FmBPDM)を得た。
 分子式:C22106 2 4  分子量:480.320
 収量:23.3g(48.5mmol) 収率:97%
 元素分析:
       炭素    水素   フッ素   窒素
  計算値 55.0% 2.1% 23.7% 5.8%
  分析値 55.0% 2.1% 23.8% 5.8%
 赤外吸収スペクトル:
  1780、1720cm-1 C=O伸縮振動(環状イミド)
  1320、1140cm-1 C−F対称変角振動(CF3 基)。
 [合成例7B] ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]エーテル(6FmODM)の合成
 6FmBPDAの代わりに、オキシ−5,5’−ビス(3−トリフルオロメチルアニリン)(6FmODA)16.8g(50.0mmol)を用い、合成例7Aと同様な方法により、目的の化合物(6FmODM)を得た。
 分子式:C22106 2 5  分子量:496.319
 収量:23.6g(47.6mmol) 収率:95%
 元素分析:
       炭素    水素   フッ素   窒素
  計算値 53.2% 2.0% 23.0% 5.6%
  分析値 53.3% 2.0% 22.9% 5.7%
 赤外吸収スペクトル:
  1780、1720cm-1 C=O伸縮振動(環状イミド)
  1320cm-1 C−F対称変角振動(CF3 基)
  1245cm-1 C−O−C逆対称伸縮振動(芳香族エーテル)
  1140cm-1 C−F対称変角振動(CF3 基)。
 [合成例7C] ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン(6FmSNDM)の合成
 6FmBPDAの代わりに、1,1’−ビス[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン(6FmSNDA)19.2g(50.0mmol)を用い、合成例7Aと同様な方法により、目的の化合物(6FmSNDM)を得た。
 分子式:C22106 2 6 S 分子量:544.378
 収量:25.6g(47.0mmol) 収率:94%
 元素分析:
       炭素    水素   フッ素   窒素   硫黄
  計算値 48.5% 1.9% 20.9% 5.2% 5.9%
  分析値 48.6% 1.8% 21.0% 5.1% 5.9%
 赤外吸収スペクトル:
  1780、1720cm-1 C=O伸縮振動(環状イミド)
  1320cm-1 C−F対称変角振動(CF3 基)
  1310cm-1 S=O逆対称伸縮振動(スルホン)
  1160cm-1 S=O対称変角振動(スルホン)
  1140cm-1 C−F対称変角振動(CF3 基)。
 [合成例7D] 2,2−ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(6Fm6FDM)の合成
 6FmBPDAの代わりに、2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(6Fm6FDA)23.5g(50.0mmol)を用い、合成例7Aと同様な方法により、目的の化合物(6Fm6FDM)を得た。
 分子式:C2510122 4  分子量:630.341
 収量:29.0g(46.0mmol) 収率:92%
 元素分析:
       炭素    水素   フッ素   窒素
  計算値 47.6% 1.6% 36.2% 4.4%
  分析値 47.7% 1.6% 36.1% 4.5%
 赤外吸収スペクトル:
  1780、1720cm-1 C=O伸縮振動(環状イミド)
  1320、1250、1220、1190、1140cm-1 C−F伸縮振動および変角振動(CF3 基)
 (2)ビスマレイミド系樹脂ワニスの調製
 表17〜表19に示すように、ビスマレイミド化合物および芳香族ジアミン化合物または2価フェノール化合物を所定の配合比(モル当量で表示)で用い、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、樹脂組成物の50wt%溶液を調製した。この溶液を80℃で約1時間加熱して、ビスマレイミド化合物とジアミン化合物または2価フェノール化合物とをいくぶん反応させた(A−stage化)後、溶液の粘度が1ポイズ程度になるまでN,N−ジメチルアセトアミドを加えて、ビスマレイミド系樹脂のワニスを調製した。
 表17〜表19で用いた略語を以下に説明する。
(ビスマレイミド化合物)
6FmBPDM:3,3’−ジマレイミド−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
6FmODM:ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]エーテル
6FmSNDM:ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン
6Fm6FDM:2,2−ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン
pMDM:ビス(4−マレイミドフェニル)メタン
p6FDM:2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン
(芳香族ジアミン化合物)
pODA:オキシ−4,4’−ジアニリン
m6FDA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−3,3’−ジアニリン
6FpBPDA:4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
pMDA:メチレン−4,4’−ジアニリン
p6FDA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニリン
(2価フェノール化合物)
p6FDP:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフェノール
 なお、比較例8−1、8−2は、一般式(DM1)に含まれないビスマレイミド化合物を用いたものである。
 (3)ビスマレイミド系硬化樹脂フィルムの物性の測定
 (a)分解開始温度
 ビスマレイミド系樹脂のワニスを、1mm×130mm×150mmの大きさのガラス板上に、バーコーターにより75μmの厚さに塗布した後、110℃で1時間プリベークした。これを、窒素ガスを導入した乾燥器中で、室温から昇温して、150℃、250℃、および350℃の各温度で1時間ずつ加熱し、最後に400℃で30分間加熱することにより、ビスマレイミド系硬化樹脂フィルムを形成した。なお、各温度の間の昇温時間は1時間とした。得られたビスマレイミド系硬化樹脂フィルムについて、窒素気流中で熱重量分析/示差熱分析(TG/DTA)を行い、0.5wt%の重量減少が生じる温度を測定し、ビスマレイミド系硬化樹脂フィルムの分解開始温度を決定した。その結果、実施例8−1〜16のビスマレイミド系硬化樹脂フィルムは比較例のものと同等以上の耐熱性を有することが確認された。
 (b)誘電率
 ビスマレイミド系樹脂のワニスを、1mm×100mm×100mmの大きさのアルミニウム板上に、硬化後の膜厚が40〜60μmとなるように2〜4回スピンコートした。これを、窒素ガスを導入した乾燥器中で、室温から昇温して、150℃、250℃、および350℃の各温度で1時間ずつ加熱し、最後に400℃で30分間加熱することにより、ビスマレイミド系硬化樹脂フィルムを形成した。なお、各温度の間の昇温時間は30分間とした。得られたビスマレイミド系硬化樹脂フィルムについて、100kHzにおける誘電率を測定した。その結果、実施例8−1〜16のビスマレイミド系硬化樹脂フィルムは誘電率が3.0以下と低く、一般的に用いられている比較例1のものに比べて誘電特性に優れていることが確認された。
 (c)加湿分解ガスの発生量
 ビスマレイミド系樹脂のワニスを、4インチ径のシリコン基板上に、硬化後の膜厚が5〜10μmとなるようにスピンコートした。これを、窒素ガスを導入した乾燥器中で、室温から昇温して、150℃、250℃、および350℃の各温度で1時間ずつ加熱し、最後に400℃で30分間加熱することにより、ビスマレイミド系硬化樹脂フィルムを形成した。なお、各温度の間の昇温時間は30分間とした。ビスマレイミド系硬化樹脂フィルムが形成されたシリコン基板を、20℃、飽和水蒸気下で1週間放置した。その後、ビスマレイミド系硬化樹脂フィルムをパイロホイルに導入し、358℃で3秒間キューリーパイロライザーで加熱し、発生したガス成分をGC−MASSにより分析した。加湿分解ガスであるトルエンの発生量を、イオンクロマトグラフにおけるトルエンのシグナルの積分値をサンプル1mgあたりに換算した値により評価した。この結果、実施例8−1〜16のビスマレイミド系硬化樹脂フィルムは、比較例のものに比べて、トルエンガスの発生量が非常に少なく、環境安定性に優れていることが確認された。
Figure 2004043827
Figure 2004043827
Figure 2004043827
図1は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂からなる層間絶縁膜を有する半導体デバイスの断面図、 図2は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂からなるパッシベーション膜を有する半導体チップを樹脂モールドしたパッケージの断面図、 図3は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂からなる層間絶縁膜を有する薄膜磁気ヘッドの断面図、 図4は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂からなる層間絶縁膜を有する高密度配線板の断面図、 図5は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂からなる層間絶縁膜を有する磁気バブルメモリ素子の断面図、 図6は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂からなる耐熱性透明樹脂層を有する太陽電池の断面図、 図7は本発明に係る前駆体から製造されるポリイミド樹脂からなる液晶配向膜を有する液晶表示素子の断面図、 図8は液晶表示素子のプレチルト角および電圧保持率を測定するために用いられる回路の回路図、ならびにVS およびVD の波形図である。
符号の説明
 11…シリコン基板、12…フィールド酸化膜、13…拡散層、14…熱酸化膜、15…CVD酸化膜、16…第1層のAl電極、17…層間絶縁膜、18…第2層のAl電極、19…パッシベーション膜、20…半導体チップ、21…ベッド、22…リード、23…ワイヤ、24…封止樹脂、31…基板、32…下部アルミナ、33…下部磁性体、34…ギャップアルミナ、35…層間絶縁膜、36…第1導体コイル、37…第2導体コイル、38…上部磁性体、41…シリコン基板、42…熱酸化膜、43…第1層の銅配線、44…層間絶縁膜、45…第2層の銅電極、46…パッシベーション膜、47…バリアメタル、48…Pb/Smバンプ、51…ガーネット基板、52…コンダクタ、53…層間絶縁膜、54…パーマロイ、61…ガラス基板、62…耐熱性透明樹脂層、63…透明電極、64…アモルファスSi、65…金属電極、71…ガラス基板、72…画素電極、73…液晶配向膜、74…ガラス基板、75…共通電極、76…液晶配向膜、77…液晶。

Claims (6)

  1. 下記一般式(DA2)
    Figure 2004043827
    (X2 はパーフルオロアルキレン基、パーフルオロアルキリデン基、スルホニル基、または単結合を示し、R0 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、フルオロ基、または非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基を示し、R2 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、フルオロ基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基または水素原子を示し、少なくとも1個はフルオロ基またはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基であり、aおよびbは0〜3の整数である。)
    で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するアミン成分と、
    下記一般式(DAH1)
    Figure 2004043827
    (Yは4価の有機基を示す。)
    で表されるテトラカルボン酸二無水物0.80モル当量以上を含有する酸無水物成分
    とを重合させた構造を有することを特徴とするポリイミド前駆体。
  2. 前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するジアミン化合物0.97〜1.03モル当量と、前記一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物(1−n2 /2)モル当量およびジカルボン酸無水物n2 モル当量(n2 は0〜0.4)とを重合させた構造、または
    前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するジアミン化合物(1−n3 /2)モル当量およびモノアミン化合物n3 モル当量(n3 は0〜0.4)と、前記一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物0.97〜1.03モル当量とを重合させた構造
    を有することを特徴とする請求項1記載のポリイミド前駆体。
  3. 前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物は、下記一般式(DA3)および(DA4)
    Figure 2004043827
    (式中、X3 はパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキリデン基、R0 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、フルオロ基、または非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基を示し、R2 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、フルオロ基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基または水素原子を示し、少なくとも1個はフルオロ基またはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基であり、aおよびbは0〜3の整数である。)
    のいずれかで表されることを特徴とする請求項1または2記載のポリイミド前駆体。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体と、感光剤とを含有することを特徴とするポリイミド前駆体組成物。
  5. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体を硬化させてなることを特徴とするポリイミド樹脂。
  6. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体を硬化させてなるポリイミド樹脂を絶縁部材として含有することを特徴とする電子部品。
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