JPH07316291A - ポリイミド前駆体、含フッ素芳香族ジアミン化合物、ビスマレイミド系硬化樹脂前駆体および電子部品 - Google Patents

ポリイミド前駆体、含フッ素芳香族ジアミン化合物、ビスマレイミド系硬化樹脂前駆体および電子部品

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JPH07316291A
JPH07316291A JP8450395A JP8450395A JPH07316291A JP H07316291 A JPH07316291 A JP H07316291A JP 8450395 A JP8450395 A JP 8450395A JP 8450395 A JP8450395 A JP 8450395A JP H07316291 A JPH07316291 A JP H07316291A
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Yukikimi Mikogami
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茂 真竹
Shuji Hayase
修二 早瀬
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 微細な凹凸を有する基板上に平坦性に優れた
膜を形成でき、しかも低誘電率、低吸湿性であり、耐環
境安定性に優れたポリイミド樹脂の前駆体を提供する。 【構成】 一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン
化合物0.40モル当量以上を含有するジアミン成分
0.97〜1.03モル当量と、テトラカルボン酸二無
水物(1−n1 /2)モル当量、ならびにマレイン酸無
水物およびマレイン酸誘導体無水物より選ばれた少なく
とも1種n1 モル当量(n1 は0.02〜0.40)を
含有する酸無水物成分とを重合させた構造を有するポリ
イミド前駆体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の絶縁部材の形成
に好適に用いられるポリイミド前駆体およびビスマレイ
ミド系硬化樹脂前駆体、ならびにこれらの前駆体から製
造されるポリイミド樹脂またはビスマレイミド系硬化樹
脂を絶縁膜や絶縁基板として具備した電子部品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体デバイスの層間絶縁膜の材
料として、400℃以上の高温熱処理にも耐える耐熱性
に優れたポリイミド樹脂が使用されるようになってきて
いる。このようなポリイミド樹脂としては、ピロメリト
酸二無水物と4,4’−オキシジアニリンとの縮合生成
物からなるカプトン(デュポン社登録商標)が知られて
いる。また、電子部品の大容量化、小形軽量化、高信頼
化、高密度化に伴い、多層配線基板の材料としては、高
耐熱性、スルーホール接着信頼性、寸法安定性、電気特
性、可撓性に優れた有機高分子材料が要求されている。
従来、多層配線基板の材料にはビスマレイミド系硬化樹
脂が使用されている。このようなビスマレイミド系硬化
樹脂としては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン
とメチレン−4,4’−ジアニリンとの反応生成物を硬
化させたもの(例えば特公昭46−23250号公報)
が知られている。
【0003】ところで、半導体デバイスにおいては、高
集積化が進み配線パターンのライン・アンド・スペース
の幅がクォータミクロンのレベルまで近づくのに伴っ
て、半導体デバイスの遅延時間の増大および使用電力量
の増大が重大な問題となってきている。すなわち、信号
伝達速度Vs は、Vs =c×εr -0.5(c:光速度、ε
r :誘電体の誘電率)という式で表される。この式から
明らかなように、信号伝達速度の高速化には層間絶縁膜
の誘電率を低下させることが重要である。従来、半導体
デバイスの層間絶縁膜として一般的に使用されているS
iO2 の誘電率は3.5程度と高く、その代わりに用い
られる材料の誘電率はこの値より十分に低いことが望ま
れる。同様に、多層配線基板においても、基板の誘電率
を低下させることが不可欠な課題となっている。
【0004】このような背景から、電子部品の絶縁部材
として3.0以下の低い誘電率を実現可能な有機高分子
膜を要望されている。しかし、従来のポリイミド樹脂お
よびビスマレイミド系硬化樹脂は、いずれも誘電率が
3.4程度であり、それほど低くない。この点で、フッ
素樹脂は誘電率が2.5程度と低いことから注目されて
いるが、フッ素樹脂は加工性が悪いうえ、特に多層基板
作製時の多層化工程における高温条件下では極めて寸法
安定性に劣るという欠点がある。
【0005】また、半導体デバイスなどに用いられる絶
縁部材には、低誘電率のほかにも、半導体デバイス表面
の平坦性を改善できること、吸湿性が低いこと、化学的
に分解しにくいことなど、種々の特性が要求される。
【0006】例えば平坦性に関して説明する。従来のポ
リイミド前駆体は硬化前にすでに分子量が高く、その溶
液(ワニス)は高粘度であるため、このポリイミド前駆
体ワニスを使用して凹凸のある表面に絶縁膜を形成する
場合、得られた膜の表面では平坦性が損なわれる。特
に、半導体基板表面に形成された幅0.1〜0.5μm
程度のトレンチの内部にポリイミド樹脂を完全に充填す
ることは困難である。そこで、下地の配線の段差約1μ
mに対して3〜4μmの膜厚のポリイミド被膜を形成
し、反応性イオンエッチング(RIE)によりエッチバ
ックして表面を平坦化することが行なわれている。しか
し、RIEでは終点検出が困難であり、エッチング生成
物により装置内部が汚れるという問題がある。このため
エッチバック量は極力少ないことが望ましく、この点か
らも絶縁膜の平坦性が良好であることが要求される。ま
た、トレンチ内部にポリイミド樹脂を充填しようとする
と、低濃度のワニスを使用せざるを得ない。低濃度のワ
ニスを使用した場合、揮散させる溶媒量が多くなる。上
述したように従来のポリイミド前駆体は硬化前にすでに
高分子量であるため、残存している溶媒が多い段階で流
動性が失われる。この結果、溶媒の揮散が抑制されると
ともにポリイミド樹脂の局部的収縮を招き、ボイドが発
生しやすくなる。
【0007】また、従来のポリイミド樹脂およびビスマ
レイミド系硬化樹脂は、吸湿率がかなり高いうえ、大気
中に放置すると加湿分解により樹脂の一部が分解して、
トルエン成分を放出するなど、環境安定性にも問題があ
る。
【0008】さらに、特定の電子部品に使用される絶縁
部材には、上述した特性のほかにもその電子部品に特有
の特性が要求される場合がある。例えば、液晶表示素子
の液晶配向膜として用いられているポリイミド樹脂につ
いて説明する。液晶表示素子には、視野角を大きくする
ためにSTN(スーパーツイステッドネマティック)方
式が多用されている。STN方式の液晶表示素子では、
セル内で液晶分子の長軸方向を270°ねじれさせるの
で、この目的を達成するために液晶に高いプレチルト角
を与えることができる液晶配向膜が要求される。また、
高精細なカラー液晶表示素子には、各画素にTFT(薄
膜トランジスタ)を設けるとともに、カラーフィルター
が用いられる。この場合、カラーフィルターの耐熱性が
低いことから、200℃以下の低い硬化温度で形成でき
る液晶配向膜が要求される。
【0009】高いプレチルト角を与える液晶配向膜とし
て、特開昭62−174725号公報にはフルオロアル
キル基が鎖状炭素に結合しているポリイミド樹脂が開示
されている。しかし、このポリイミド樹脂では、安定し
たプレチルト角が得られない、電圧保持率が小さい、と
いう欠点がある。また、硬化温度の低い配向膜として、
第9回高分子エレクトロニクス研究会講座、講演要旨
集、32頁に開示されているように、可溶性ポリイミド
が知られている。しかし、この可溶性ポリイミドでは高
いプレチルト角が得られないという問題があった。この
ように高いプレチルト角を与えることができ、しかも電
圧保持率の大きいポリイミド液晶配向膜は実現していな
かった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、微細
な凹凸を有する基板上に平坦性に優れた膜を形成でき、
しかも低誘電率、低吸湿性であり、耐環境安定性に優れ
たポリイミド樹脂またはビスマレイミド系硬化樹脂の前
駆体を提供することにある。また、本発明の他の目的
は、上記のような樹脂を絶縁部材として具備し、高速動
作および省電力を実現でき、しかも信頼性の高い電子部
品を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の第1のポ
リイミド前駆体は、下記一般式(DA1)
【0012】
【化8】 (X1 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
2価のオキシ基、チオ基、スルホニル基、カルボニル
基、パーアルキルポリシロキサニレン基、非置換もしく
はフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基または単結
合を示し、R1 はそれぞれ同一であっても異なっていて
もよく、フルオロ基、非置換もしくはフルオロ基で置換
された脂肪族炭化水素基を示し、a、bおよびcは0〜
4の整数、iは1〜6の整数、jは0〜6の整数、kは
0または1である。)で表される芳香族ジアミン化合物
0.40モル当量以上を含有するジアミン成分0.97
〜1.03モル当量と、下記一般式(DAH1)
【0013】
【化9】 (Yは4価の有機基を示す。)で表されるテトラカルボ
ン酸二無水物(1−n1 /2)モル当量、ならびにマレ
イン酸無水物およびマレイン酸誘導体無水物より選ばれ
た少なくとも1種n1 モル当量(n1 は0.02〜0.
40)を含有する酸無水物成分とを重合させた構造を有
することを特徴とするものである。
【0014】本発明の第2のポリイミド前駆体は、下記
一般式(DA2)
【0015】
【化10】 (X2 はパーフルオロアルキレン基、パーフルオロアル
キリデン基、スルホニル基、または単結合を示し、R0
はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、フルオ
ロ基、または非置換もしくはフルオロ基で置換された脂
肪族炭化水素基を示し、R2 はそれぞれ同一であっても
異なっていてもよく、フルオロ基、非置換もしくはフル
オロ基で置換された脂肪族炭化水素基または水素原子を
示し、少なくとも1個はフルオロ基またはフルオロ基で
置換された脂肪族炭化水素基であり、aおよびbは0〜
3の整数である。)で表される含フッ素芳香族ジアミン
化合物0.10モル当量以上を含有するアミン成分と、
下記一般式(DAH1)
【0016】
【化11】 (Yは4価の有機基を示す。)で表されるテトラカルボ
ン酸二無水物0.80〜0.99モル当量を含有する酸
無水物成分とを重合させた構造を有することを特徴とす
るものである。
【0017】本発明の第2のポリイミド前駆体は、より
具体的には、前記一般式(DA2)で表される含フッ素
芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有する
ジアミン化合物0.97〜1.03モル当量と、前記一
般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物
(1−n2 /2)モル当量およびジカルボン酸無水物n
2 モル当量(n2 は0〜0.4)とを重合させた構造、
または前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族
ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するジアミ
ン化合物(1−n3 /2)モル当量およびモノアミン化
合物n3 モル当量(n3 は0〜0.4)と、前記一般式
(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物0.
97〜1.03モル当量とを重合させた構造を有する。
【0018】上記第1および第2のポリイミド前駆体
に、さらに感光剤を含有させると感光性のポリイミド前
駆体とすることができる。
【0019】本発明のさらに他のポリイミド前駆体は感
光性を有するものであり、下記一般式(PA11)
【0020】
【化12】 (Yは4価の有機基、Lは上記一般式(DA1)で表さ
れるジアミン化合物の残基からなる2価の有機基であ
り、D1 はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、感光
性の有機基または水酸基を示し、少なくとも一方は感光
性の有機基である。)で表される繰り返し単位を有する
ポリアミド酸誘導体と、光重合開始剤とを含有すること
を特徴とするものである。
【0021】本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体
は、下記一般式(DM1)
【0022】
【化13】 (X31は2価のオキシ基、チオ基、スルホニル基、カル
ボニル基、パーアルキルポリシロキサニレン基、1,3
−フェニレンジオキシ基、1,4−フェニレンジオキシ
基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化
水素基、または単結合を示し、R31はそれぞれ同一でも
異なっていてもよく、フルオロ基または非置換もしくは
フルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基を示し、少な
くとも1個はフルオロ基またはフルオロ基で置換された
脂肪族炭化水素基であり、R32はそれぞれ同一でも異な
っていてもよく、ハロゲン基、非置換もしくはフルオロ
基で置換された脂肪族炭化水素基、または水素原子を示
し、aおよびbは1〜4の整数である。)で表されるビ
スマレイミド化合物1モル当量と、下記一般式(DA1
1)で表されるジアミン化合物および下記一般式(DP
1)で表される2価フェノール化合物
【0023】
【化14】 (一般式(DA11)においてX32は2価の有機基を示
し、一般式(DP1)においてX33は2価の有機基を示
し、Arは芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示
し、nは0または1である。)からなる群より選択され
る少なくとも1種の化合物0.01〜2モル当量とを反
応させた構造を有することを特徴とするものである。
【0024】本発明のポリイミド樹脂は、上述したそれ
ぞれのポリイミド前駆体を硬化させてなることを特徴と
するものである。
【0025】本発明のビスマレイミド系硬化樹脂は、上
述したビスマレイミド系硬化樹脂前駆体を硬化させてな
ることを特徴とするものである。
【0026】本発明の電子部品は、上述したそれぞれの
ポリイミド前駆体を硬化させてなるポリイミド樹脂を絶
縁部材として含有することを特徴とするものである。
【0027】本発明の他の電子部品は、上述したビスマ
レイミド系硬化樹脂前駆体を硬化させてなるビスマレイ
ミド系硬化樹脂を絶縁部材として含有することを特徴と
するものである。
【0028】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】本発明のポリイミド前駆体(ポリアミド
酸)は、一般に、ジアミン成分0.97〜1.03モル
当量と、テトラカルボン酸二無水物(1−n2 /2)モ
ル当量およびジカルボン酸無水物n2 モル当量(n2
0〜0.4)とを配合するか、またはジアミン成分(1
−n3 /2)モル当量およびモノアミン化合物n3 モル
当量(n3 は0〜0.4)と、テトラカルボン酸二無水
物0.97〜1.03モル当量とを配合し、これらを重
合させた構造を有する。
【0030】まず、本発明に係る第1のポリイミド前駆
体(ポリアミド酸)について説明する。このポリイミド
前駆体は、(a)一般式(DA1)で表される特定の分
子構造を有する芳香族ジアミン化合物0.40モル当量
以上を含有するジアミン成分0.97〜10.3モル当
量と、(b)一般式(DAH1)で表されるテトラカル
ボン酸二無水物(1−n1 /2)、ならびにマレイン酸
無水物およびマレイン酸誘導体無水物より選ばれた少な
くとも1種n1 モル当量(n1 は0.02〜0.40)
を含有する酸無水物成分とを重合させた構造を有する。
【0031】一般式(DA1)で表される芳香族ジアミ
ン化合物は、(a1)1つのベンゼン環を有し、2つの
アミノ基がこのベンゼン環に、互いにメタ位において結
合した構造を有する芳香族ジアミン化合物、および(a
2)2つ以上のベンゼン環を有し、2つのアミノ基がそ
れぞれ末端のベンゼン環に、その末端のベンゼン環の他
のベンゼン環への結合部位から見てメタ位において結合
した構造を有する芳香族ジアミン化合物を含む。
【0032】一般式(DA1)で表される芳香族ジアミ
ン化合物としては、以下のようなものが挙げられる。例
えば、1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミ
ノビフェニル、1,3−フェニレン−3,3’−ジアニ
リン、1,4−フェニレン−3,3’−ジアニリン、オ
キシ−3,3’−ジアニリン、チオ−3,3’−ジアニ
リン、スルホニル−3,3’−ジアニリン、メチレン−
3,3’−ジアニリン、1,2−エチレン−3,3’−
ジアニリン、1,3−トリメチレン−3,3’−ジアニ
リン、2,2−プロピリデン−3,3’−ジアニリン、
1,4−テトラメチレン−3,3’−ジアニリン、1,
5−ペンタメチレン−3,3’−ジアニリン、1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデ
ン−3,3’−ジアニリン、ジフルオロメチレン−3,
3’−ジアニリン、1,1,2,2−テトラフルオロ−
1,2−エチレン−3,3’−ジアニリン、1,1,
2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレ
ン−3,3’−ジアニリン、1,3−ビス(3−アミノ
フェニル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキ
サン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、1,3−ビス(3−アミノフェニルチオ)ベンゼ
ン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルホニル)ベ
ンゼン、1,3−ビス[2−(3−アミノフェニル)−
2−プロピル]ベンゼン、1,3−ビス[2−(3−ア
ミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロ−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス(3−ア
ミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ
フェニルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフ
ェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス[2−(3
−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4
−ビス[2−(3−アミノフェニル)−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル]ベンゼ
ン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン、5−フルオロ−1,3−フェニレンジアミン、
2,4,5,6−ヘキサフルオロ−1,3−フェニレン
ジアミン、3,3’−ジアミノ−5,5’−ジフルオロ
ビフェニル、3,3’−ジアミノ−2,2’,4,
4’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニ
ル、オキシ−5,5’−ビス(3−フルオロアニリ
ン)、スルホニル−5,5’−ビス(3−フルオロアニ
リン)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−
フルオロベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−フ
ルオロフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミ
ノ−5−フルオロフェノキシ)−5−フルオロベンゼ
ン、5−トリフルオロメチル−1,3−フェニレンジア
ミン、オキシ−5,5’−ビス(3−トリフルオロメチ
ルアニリン)、スルホニル−5,5’−ビス(3−トリ
フルオロメチルアニリン)、1,3−ビス(3−アミノ
フェノキシ)−5−トリフルオロメチルベンゼン、1,
3−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノ
キシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−トリ
フルオロメチルフェノキシ)−5−トリフルオロメチル
ベンゼン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−
5,5’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス[3−ア
ミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2
−ビス[3−アミノ−4−メチルフェニル]−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビ
ス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3”,3''
' −ジアミノ−p−クアテルフェニル、4,4’−ビス
(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3
−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[3−
(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス
[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、
ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテ
ル、ビス{4−[4−(2−(3−アミノフェニル)プ
ロピリデンフェノキシ)]フェニル}スルホン、2,2
−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロ
パンなどである。これらは単独で用いてもよいし、2種
以上混合して用いてもよい。
【0033】一般式(DA1)で表される、ベンゼン環
のメタ位にアミノ基を有する芳香族ジアミン化合物を含
有するポリイミド前駆体は、例えばベンゼン環のパラ位
にアミノ基を有する芳香族ジアミンを含有するものと比
較して、耐熱性に優れ、かつ大気中に放置しても加湿分
解生成物であるガス(トルエン、キシレンなど)の発生
量が非常に少なく環境安定性に優れたポリイミド樹脂が
得られる点で好ましい。特に、(a2)のように複数の
ベンゼン環を有する芳香族ジアミン化合物を含有するポ
リイミド前駆体は、加水分解しにくく、環境安定性に優
れている。
【0034】本発明において、一般式(DA1)で表さ
れる芳香族ジアミン化合物は、全ジアミン成分のうち
0.40モル当量以上配合されるが、さらに0.70モ
ル当量以上配合されることが好ましい。この理由は、一
般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化合物の配合
量が少なすぎると、加水分解しにくく環境安定性に優れ
たポリイミド樹脂を得ることができなくなるからであ
る。
【0035】ポリイミド樹脂の耐熱性、環境安定性およ
び低誘電率特性の面から、一般式(DA1)で表される
芳香族ジアミンのうち特に好ましい芳香族ジアミン化合
物としては以下のようなものが挙げられる。例えば、
1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノビフ
ェニル、1,3−フェニレン−3,3’−ジアニリン、
1,4−フェニレン−3,3’−ジアニリン、オキシ−
3,3’−ジアニリン、スルホニル−3,3’−ジアニ
リン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,
2−プロピリデン−3,3’−ジアニリン、ジフルオロ
メチレン−3,3’−ジアニリン、1,1,2,2−テ
トラフルオロ−1,2−エチレン−3,3’−ジアニリ
ン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3
−トリメチレン−3,3’−ジアニリン、1,3−ビス
(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3
−アミノフェノキシ)ベンゼン、5−フルオロ−1,3
−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノ−5,5’
−ジフルオロビフェニル、5−トリフルオロメチル−
1,3−フェニレンジアミン、オキシ−5,5’−ビス
(3−トリフルオロメチルアニリン)、スルホニル−
5,5’−ビス(3−トリフルオロメチルアニリン)、
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−トリフル
オロメチルベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−
トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビ
ス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)
−5−トリフルオロメチルベンゼン、2,2−ビス(3
−アミノ−4−メチルフェニル)−1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−
アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ビス(ト
リフルオロメチル)−5,5’−ジアミノビフェニル、
2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチ
ル)フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパンなどである。
【0036】本発明の第1のポリイミド前駆体において
は、ジアミン成分として、一般式(DA1)で表される
芳香族ジアミン化合物とともに、下記一般式(DA6)
で表される芳香族ジアミン化合物すなわちビス(アミノ
アルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物を併用し
てもよい。
【0037】
【化15】 (R3 はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数
1〜5のアルキル基を示し、mおよびnは1〜10の整
数であり、pは正の整数である。)一般式(DA6)で
表されるビス(アミノアルキル)パーアルキルポリシロ
キサン化合物としては、以下のようなものが挙げられ
る。例えば、1,3−ビス(アミノメチル)−1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(2
−アミノエチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシ
ロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,
1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス
(4−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチル
ジシロキサン、1,3−ビス(5−アミノペンチル)−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−
ビス(6−アミノヘキシル)−1,1,3,3−テトラ
メチルジシロキサン、1,3−ビス(7−アミノヘプチ
ル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、
1,3−ビス(8−アミノオクチル)−1,1,3,3
−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(10−ア
ミノデシル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サン、1,5−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,
3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,7
−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,5,
5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,11
−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,5,
5,7,7,9,9,11,11−ドデカメチルヘキサ
シロキサン、1,15−ビス(3−アミノプロピル)−
1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,1
1,13,13,15,15−ヘキサデカメチルオクタ
シロキサン、1,19−ビス(3−アミノプロピル)−
1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,1
1,13,13,15,15,17,17,19,19
−エイコサメチルデカシロキサンなどである。
【0038】一般式(DA6)で表されるビス(アミノ
アルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物は、ポリ
イミド樹脂の例えば半導体基板上への密着性および接着
性を向上させる作用を有する。これらの化合物は、全ジ
アミン成分のうち0.02〜0.1モル当量用いること
が好ましい。これは、このような化合物を配合すること
で得られるポリイミド樹脂の例えば半導体基板上への密
着性および接着性が向上するものの、過度の配合はポリ
イミド樹脂の耐熱性低下を招くおそれがあるためであ
る。
【0039】本発明においては、最終的に得られるポリ
イミド樹脂の物性を損なわない範囲で、一般式(DA
1)で表される芳香族ジアミン化合物以外に、他のジア
ミン化合物を併用することができる。このような他のジ
アミン化合物としては、アミノ基がベンゼン環のメタ位
ではなく例えばパラ位に結合している芳香族ジアミン化
合物や、脂肪族ジアミン化合物などを含む。このような
ジアミン化合物としては、以下のようなものが挙げられ
る。例えば、1,2−フェニレンジアミン、1,4−フ
ェニレンジアミン、3,4’−ジアミノビフェニル、
4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−フェニレン−
4,4’−ジアニリン、1,4−フェニレン−4,4’
−ジアニリン、オキシ−4,4’−ジアニリン、チオ−
4,4’−ジアニリン、スルホニル−4,4’−ジアニ
リン、メチレン−4,4’−ジアニリン、1,2−エチ
レン−4,4’−ジアニリン、1,3−トリメチレン−
4,4’−ジアニリン、2,2−プロピリデン−4,
4’−ジアニリン、1,4−テトラメチレン−4,4’
−ジアニリン、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジ
アニリン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−
2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニリン、ジフル
オロメチレン−4,4’−ジアニリン、1,1,2,2
−テトラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジア
ニリン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−
1,3−トリメチレン−4,4’−ジアニリン、1,3
−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,3,3,−テ
トラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノフ
ェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニ
ルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル
スルホニル)ベンゼン、1,3−ビス[2−(4−アミ
ノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,3−ビス
[2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,
3,−ヘキサフルオロ−2−プロピル]ベンゼン、1,
4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−
ビス(4−アミノフェニルチオ)ベンゼン、1,4−ビ
ス(4−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4
−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]
ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロ
ピル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン、2−フルオロ−1,4−フェニレン
ジアミン、2,,6,6’−オクタフルオロビフェニ
ル、オキシ−4,4’−ビス(2−フルオロアニリ
ン)、オキシ−4,4’−ビス(3−フルオロアニリ
ン)、スルホニル−4,4’−ビス(2−フルオロアニ
リン)、スルホニル−4,4’−ビス(3−フルオロア
ニリン)、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレ
ンジアミン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−
1,4−フェニレンジアミン、2,2’−ビス(トリフ
ルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,
3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミ
ノビフェニル、オキシ−4,4’−ビス(2−トリフル
オロメチルアニリン)、オキシ−4,4’−ビス(3−
トリフルオロメチルアニリン)、スルホニル−4,4’
−ビス(2−トリフルオロメチルアニリン)、スルホニ
ル−4,4’−ビス(3−トリフルオロメチルアニリ
ン)、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、
1,3−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,3,3
−テトラメチルジシロキサン、メタンジアミン、1,2
−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4
−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6
−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,
8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,
10−デカンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロ
ポキシ)エタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、
1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(3−アミノシ
クロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)メタン、1,2−ビス(3−アミノシクロヘキシ
ル)エタン、1,2−ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)エタン、2,2−ビス(3−アミノシクロヘキシ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)プロパン、ビス(3−アミノシクロヘキシル)エー
テル、ビス(4−アミノシクロヘキシル)エーテル、ビ
ス(3−アミノシクロヘキシル)スルホン、ビス(4−
アミノシクロヘキシル)スルホン、2,2−ビス(3−
アミノシクロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノシク
ロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパン、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キ
シリレンジアミン、1,8−ジアミノナフタレン、2,
7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレ
ン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリ
ジン、2,5−ジアミノピラジン、および2,4−ジア
ミノ−s−トリアジンなどである。
【0040】ポリイミド樹脂の耐熱性、環境安定性およ
び低誘電率特性の面からは、上述した一般式(DA1)
で表される芳香族ジアミン化合物と併用できる他のジア
ミン化合物のうち、特に以下のようなジアミン化合物を
用いることが好ましい。例えば、1,4−フェニレンジ
アミン、3,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジ
アミノビフェニル、1,3−フェニレン−4,4’−ジ
アニリン、1,4−フェニレン−4,4’−ジアニリ
ン、オキシ−4,4’−ジアニリン、チオ−4,4’−
ジアニリン、スルホニル−4,4’−ジアニリン、メチ
レン−4,4’−ジアニリン、2,2−プロピリデン−
4,4’−ジアニリン、1,1,1,3,3,3−ヘキ
サフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニ
リン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロ
ピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−アミノフェ
ニル)−2−プロピル]ベンゼン、2,2−ビス[4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−フルオロ−
1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジフルオロ−
1,4−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラ
フルオロ−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジ
アミノ−2,2’−ジフルオロビフェニル、4,4’−
ジアミノ−3,3’−ジフルオロビフェニル、4,4’
−ジアミノ−2,2’3,3’,5,5’,6,6’−
オクタフルオロビフェニル、オキシ−4,4’−ビス
(2−フルオロアニリン)、オキシ−4,4’−ビス
(3−フルオロアニリン)、スルホニル−4,4’−ビ
ス(2−フルオロアニリン)、スルホニル−4,4’−
ビス(3−フルオロアニリン)、2−トリフルオロメチ
ル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ビス(トリ
フルオロメチル)−1,4−フェニレンジアミン、2,
2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミ
ノビフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)
−4,4’−ジアミノビフェニル、オキシ−4,4’−
ビス(2−トリフルオロメチルアニリン)、オキシ−
4,4’−ビス(3−トリフルオロメチルアニリン)、
スルホニル−4,4’−ビス(2−トリフルオロメチル
アニリン)、スルホニル−4,4’−ビス(3−トリフ
ルオロメチルアニリン)、1,8−ジアミノナフタレ
ン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナ
フタレンなどである。
【0041】本発明の第1のポリイミド前駆体におい
て、一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二
無水物としては、一般式(DAH1)中のYが炭素数1
〜30の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族
炭化水素基または複素環基、ならびに脂肪族炭化水素
基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環
基が直接または架橋基により相互に連結された多環式化
合物基からなる群より選択された4価の有機基である化
合物を用いることができる。これらのテトラカルボン酸
二無水物としては以下のようなものが挙げられる。例え
ば、ピロメリト酸二無水物、3−フルオロピロメリト酸
二無水物、3,6−ジフルオロピロメリト酸二無水物、
3−トリフルオロメチルピロメリト酸二無水物、3,6
−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、
1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−p−
テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3''' ,
4,4''' −p−クァテルフェニルテトラカルボン酸二
無水物、3,3'''',4,4''''−p−キンクフェニル
テトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4’
−ジフタル酸二無水物、1,1−エチリデン−4,4’
−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,
4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,
4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−
4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレ
ン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメ
チレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−
4,4’−ジフタル酸二無水物、ジフルオロメチレン−
4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2−テト
ラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸
二無水物、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−
1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水
物、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ
−1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無
水物、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカ
フルオロ−1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタ
ル酸二無水物、オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水
物、チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル
−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,
4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラ
メチルシロキサン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジ
カルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、3,3’−ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェニル)ビフェニル二無水
物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)
ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキ
シフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス[2−
(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル]ベ
ンゼン二無水物、1,4−ビス[2−(3,4−ジカル
ボキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン二無水物、
1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルスルホニ
ル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニルスルホニル)ベンゼン二無水物、ビス
[3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]
メタン二無水物、ビス[4−(3,4−ジカルボキシフ
ェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2−ビス
[3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]
プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカ
ルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
2,2−ビス[3−(3,4−ジカルボキシフェノキ
シ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−
ジカルボキシフェノキシ)フェニル]−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二
無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキ
シ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無
水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二
無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン
酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボ
ン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカ
ルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテ
トラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−フェナント
レンテトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9−ナフ
タセンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,
4−ジカルボキシフェニル)−1、1、3、3−テトラ
メチルジシロキサン二無水物、エチレンテトラカルボン
酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロ
ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテト
ラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,
4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,
2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水
物、カルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−
1,2−ジカルボン酸)二無水物、メチレン−4,4’
−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無
水物、1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキ
サン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチ
リデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジ
カルボン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,
4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)
二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−
2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサ
ン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,
4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)
二無水物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−
1,2−ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,
4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)
二無水物、2,2’−ジフルオロ−3,3’,4,4’
−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジ
フルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,
2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメ
チル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物、2,2’,6,6’−テトラキス(トリ
フルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラ
キス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,
5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、3,3’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタ
ル酸二無水物、5,5’−ジフルオロオキシ−4,4’
−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロオキシ−
4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,
6,6’−ヘキサフルオロオキシ−4,4’−ジフタル
酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)オ
キシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス
(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸
二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)オキ
シ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,
5’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,
4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テト
ラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフ
タル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(ト
リフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無
水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(ト
リフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無
水物、3,3’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジ
フタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロスルホニル−
4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ
スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,
3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロスルホニル
−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(ト
リフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸
二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)スル
ホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビ
ス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフ
タル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(ト
リフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸
二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフル
オロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水
物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメ
チル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、
3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフル
オロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水
物、3,3’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロ
ピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−
ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,
4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−
2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタ
ル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサ
フルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,
4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフル
オロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−
4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリ
フルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン
−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(ト
リフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデ
ン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,
5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パ
ーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水
物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメ
チル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’
−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキ
ス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロ
ピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,
5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチ
ル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−
ジフタル酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオ
ロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボ
ン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キ
サンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水
物、およびビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−
2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などであ
る。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いて
もよいし、2種以上を混合して用いてもよい。テトラカ
ルボン酸二無水物は、全酸無水物成分のうち0.80〜
0.99モル当量、好ましくは0.90〜0.98モル
当量用いられる。この理由は、テトラカルボン酸二無水
物の配合量が少なすぎる場合には得られるポリイミド樹
脂の耐熱性が低下し、逆にテトラカルボン酸二無水物の
配合量が多すぎると酸無水物成分としてのマレイン酸無
水物またはマレイン酸誘導体無水物の配合量が少なくな
って、ポリイミド前駆体の溶液での固有粘度が上昇し、
例えば基板表面の微細な凹凸に隙間なく充填することが
困難となるからである。
【0042】ガラス転移点および分解温度の高い高耐熱
性ポリイミド樹脂を得る観点からは、一般式(DAH
1)で表されるテトラカルボン酸二無水物のうち、特に
下記一般式(DAH2)〜(DAH4)で表される芳香
族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
【0043】
【化16】 (R11はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、フルオ
ロ基、または非置換もしくはフッ素原子で置換された脂
肪族炭化水素基を示し、φは芳香族炭化水素基を示し、
aは0〜10の整数である。)
【0044】
【化17】 (X11は2価のオキシ基、チオ基、スルホニル基、カル
ボニル基、パーアルキルポリシロキサニレン基、非置換
もしくはフッ素原子で置換された脂肪族炭化水素基、
1,4−フェニレン基、ビフェニル−4,4’−ジイル
基、または単結合を示し、R12はそれぞれ同一でも異な
っていてもよく、フルオロ基、または非置換もしくはフ
ッ素原子で置換された脂肪族炭化水素基を示し、bおよ
びcは0〜4の整数である。)
【0045】
【化18】 (R13はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、フルオ
ロ基、または非置換もしくはフッ素原子で置換された脂
肪族炭化水素基を示し、dおよびeは0〜4の整数であ
る。) 一般式(DAH2)で表される芳香族テトラカルボン酸
二無水物としては以下のようなものが挙げられる。例え
ば、ピロメリト酸二無水物、3−フルオロピロメリト酸
二無水物、3,6−ジフルオロピロメリト酸二無水物、
3−トリフルオロメチルピロメリト酸二無水物、3,6
−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、
2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無
水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二
無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸
二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボ
ン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラ
カルボン酸二無水物、2,3,6,7−フェナントレン
テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9−ナフタセ
ンテトラカルボン酸二無水物などである。
【0046】一般式(DAH3)で表される芳香族テト
ラカルボン酸二無水物としては以下のようなものが挙げ
られる。例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノン
テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”
−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3
''' ,4,4''' −p−クァテルフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水
物、1,1−エチリデン−4,4’−ジフタル酸二無水
物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無
水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水
物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無
水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸
二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタ
ル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無
水物、ジフルオロメチレン−4,4’−ジフタル酸二無
水物、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチ
レン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,
2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−
4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,
3,4,4−オクタフルオロ−1,4−テトラメチレン
−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,
3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−1,5−ペン
タメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、オキシ−
4,4’−ジフタル酸二無水物、チオ−4,4’−ジフ
タル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二
無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサン二無水
物、2,2’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジフルオ
ロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,4,4’
−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,
5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’
−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス
(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(トリ
フルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’−テトラ
キス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,
6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,
5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(ト
リフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物、3,3’−ジフルオロオキ
シ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフル
オロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’
−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、
3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロオキシ
−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(ト
リフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無
水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−
4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリ
フルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水
物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメ
チル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,
3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オ
キシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,
6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,
4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,
6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,
4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロスル
ホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジ
フルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、
6,6’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル
酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフ
ルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、
3,3’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−
4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリ
フルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二
無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)スルホ
ニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,
5’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−
4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−
テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,
4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テト
ラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−
ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−
ヘキサキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,
4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロ−
2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタ
ル酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−2,2−パーフ
ルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、
6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリ
デン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,
5’,6,6’−ヘキサフルオロ−2,2−パーフルオ
ロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,
3’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフル
オロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、
5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パー
フルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水
物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−
パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無
水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロ
メチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,
4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テト
ラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロ
プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,
5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−
2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタ
ル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサ
キス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプ
ロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物などであ
る。
【0047】一般式(DAH4)で表される芳香族テト
ラカルボン酸二無水物としては以下のようなものが挙げ
られる。例えば、9−フェニル−9−(トリフルオロメ
チル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸
二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサン
テン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物など
である。
【0048】ポリイミド樹脂の耐熱性、環境安定性およ
び低誘電率特性の面から、一般式(DAH2)〜(DA
H4)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物のう
ち、特に以下のようなものを用いることが好ましい。例
えば、ピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフル
オロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,3’,4,
4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2
−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、オキ
シ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル−4,
4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジ
カルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチル
ジシロキサン二無水物、9−フェニル−9−(トリフル
オロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカル
ボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)
キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水
物などである。
【0049】本発明の第1のポリイミド前駆体において
用いられるマレイン酸無水物またはマレイン酸誘導体無
水物は下記一般式(MA1)で表される。
【0050】
【化19】 (R21はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、ハロゲ
ン基、非置換もしくはフッ素原子で置換された脂肪族炭
化水素基、または水素原子を示す。) これらのマレイン酸無水物またはマレイン酸誘導体無水
物としては、以下のようなものが挙げられる。例えば、
マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、ジメチルマレ
イン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、ジエチルマレ
イン酸無水物、プロピルマレイン酸無水物、ブチルマレ
イン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、ジクロロマレ
イン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジブロモマレ
イン酸無水物、フルオロマレイン酸無水物、ジフルオロ
マレイン酸無水物、トリフルオロメチルマレイン酸無水
物、ビス(トリフルオロメチル)マレイン酸無水物など
である。これらのマレイン酸無水物またはマレイン酸誘
導体無水物は、単独で用いてもよいし、2種以上混合し
て用いてもよい。
【0051】これらのマレイン酸無水物またはマレイン
酸誘導体無水物は、ポリイミド前駆体であるポリアミド
酸の分子量を低下させてその溶液の粘度を下げる作用を
有する。また、ポリアミド酸の末端に導入されたマレイ
ミド骨格は、硬化時に直接または過剰のジアミン成分な
どを介して架橋する。マレイン酸無水物またはマレイン
酸誘導体無水物は、全酸無水物成分のうち0.02〜
0.40モル当量、好ましくは0.05〜0.20モル
当量用いられる。この理由は、マレイン酸無水物または
マレイン酸誘導体無水物の配合量が少なすぎると、ポリ
イミド前駆体溶液の固有粘度が0.7dL/gを超えて
基板表面の微細な凹凸、特に幅0.1〜0.5μm程度
のトレンチにポリイミド樹脂を隙間なく充填することが
困難となり、逆に配合量が多すぎるとポリイミド樹脂の
耐熱性が低下するからである。
【0052】本発明の第1のポリイミド前駆体であるポ
リアミド酸を合成する方法は特に限定されないが、有機
溶媒中で一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化
合物を含むジアミン成分と一般式(DAH1)で表され
るテトラカルボン酸二無水物およびマレイン酸無水物ま
たはマレイン酸誘導体無水物を含む酸無水物成分とを反
応させる方法が好ましい。この反応時に用いられる有機
溶媒としては、以下のようなものが挙げられる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N
−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、N−メチ
ルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ビス
(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−
メトキシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシ
エトキシ)エチル]エーテル、テトラヒドロフラン、
1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピロリン、
ピコリン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、フェノ
ール、クレゾール、アニソール、γ−ブチロラクトン、
炭酸プロピレン、アセチルアセトン、アセトニルアセト
ンなどである。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、
2種以上を混合して用いてもよい。反応温度は通常25
0℃以下、好ましくは200℃以下である。反応圧力は
特に限定されず、常圧で十分実施できる。反応時間はテ
トラカルボン酸二無水物の種類、反応溶媒の種類により
異なるが、通常4〜24時間で十分である。このとき得
られるポリアミド酸は、濃度0.5wt%のN−メチル
−2−ピロリドン溶液の30℃の固有粘度が0.2〜
0.7dL/g、さらには0.3〜0.6dL/gの範
囲内となる重合度であることが好ましい。この理由は、
ポリアミド酸の固有粘度が低すぎる、すなわち重合度が
低すぎると、この後耐熱性の十分なポリイミド樹脂を得
ることができなくなるおそれがあり、逆に固有粘度が高
すぎる、すなわち重合度が高すぎると、基板表面の微細
な凹凸にポリイミド樹脂を隙間なく充填することが困難
となるからである。
【0053】本発明の第1のポリイミド前駆体であるポ
リアミド酸からポリイミド樹脂を製造するには、ポリア
ミド酸を100〜450℃に加熱してイミド化する加熱
処理法、ポリアミド酸に光を照射してイミド化する光照
射法、または無水酢酸などのイミド化剤を用いてポリア
ミド酸を化学的にイミド化する化学処理法が用いられ
る。これらの方法により得られるポリイミド樹脂は、そ
の前駆体であるポリアミド酸を含む溶液の粘度が低いた
め微細な凹凸を有する基板上にも平坦性に優れた膜とし
て形成でき、しかも誘電率および吸湿性が低く、熱安定
性および環境安定性に優れている。また、溶液の粘度が
低い比較的低分子量のポリイミド前駆体であっても、末
端にマレイミド骨格を有しているためポリイミド樹脂へ
の硬化時にマレイミド骨格が直接または過剰のジアミン
成分などを介して架橋し、結果的に耐熱性に優れたポリ
イミド樹脂を得ることが可能である。
【0054】次に、本発明に係る第2のポリイミド前駆
体(ポリアミド酸)について説明する。このポリイミド
前駆体は、前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳
香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するア
ミン成分と、前記一般式(DAH1)で表されるテトラ
カルボン酸二無水物0.80〜0.99モル当量を含有
する酸無水物成分とを重合させた構造を有することを特
徴とするものである。このポリイミド前駆体は、より具
体的には、(a)前記一般式(DA2)で表される含フ
ッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有
するジアミン化合物0.97〜1.03モル当量と、
(b)前記一般式(DAH1)で表されるテトラカルボ
ン酸二無水物(1−n2 /2)モル当量およびジカルボ
ン酸無水物n2 モル当量(n2 は0〜0.4)とを重合
させた構造、または(a’)前記一般式(DA2)で表
される含フッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量
以上を含有するジアミン化合物(1−n3 /2)モル当
量およびモノアミン化合物n3 モル当量(n3 は0〜
0.4)と、(b’)前記一般式(DAH1)で表され
るテトラカルボン酸二無水物0.97〜1.03モル当
量とを重合させた構造を有するものである。このポリイ
ミド前駆体は、本発明に係る第1のポリイミド前駆体と
異なり、原料としてマレイン酸無水物またはマレイン酸
誘導体無水物を含んでいる必要はない。
【0055】一般式(DA2)で表される芳香族ジアミ
ン化合物は、より具体的には下記一般式(DA3)〜
(DA5)で表される。
【0056】
【化20】 (一般式(DA3)中のX3 はパーフルオロアルキレン
基またはパーフルオロアルキリデン基、R0 、R2 、a
およびbは一般式(DA2)の定義と同義である。) 一般式(DA3)で表される芳香族ジアミン化合物とし
ては以下のようなものが挙げられる。例えば、2,2−
ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニ
ル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2−ビス[3−アミノ−5−(ペンタフルオロ
エチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−5−
(ヘプタフルオロプロピル)フェニル]−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス
[3−アミノ−5−(ノナフルオロブチル)フェニル]
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(3−アミノ−5−フルオロフェニル]−
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビ
ス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニ
ル]ジフルオロメタン、1,2−ビス[3−アミノ−5
−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,2,2
−テトラフルオロエタン、1,3−ビス[3−アミノ−
5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,2,
2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス
[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]
−1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロブ
タン、1,4−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロ
メチル)フェニル]−1,1,2,2,3,3,4,4
−オクタフルオロブタンなどである。
【0057】一般式(DA4)で表される芳香族ジアミ
ン化合物としては以下のようなものが挙げられる。例え
ば、3,3’−ジアミノ−5,5’−ジフルオロビフェ
ニル、3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフル
オロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノ−5−フ
ルオロビフェニル、3,3’−ジアミノ−5−(トリフ
ルオロメチル)ビフェニルなどである。
【0058】一般式(DA5)で表される芳香族ジアミ
ン化合物としては以下のようなものが挙げられる。例え
ば、3,3’−ジアミノ−5,5’−ジフルオロジフェ
ニルスルホン、3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス
(トリフルオロメチル)ジフェニルスルホン、3,3’
−ジアミノ−5−フルオロジフェニルスルホン、3,
3’−ジアミノ−5−(トリフルオロメチル)ジフェニ
ルスルホンなどである。
【0059】これらの芳香族ジアミン化合物は単独で、
または2種以上混合してもちいることができる。
【0060】一般式(DA3)で表される芳香族ジアミ
ン化合物は以下に示すような方法により合成することが
できる。(1)まず、一般式(DZ1)で表される化合
物とR2 −Xで表される化合物とを、オートクレーブ中
において無溶媒または有機溶媒中で銅粉触媒の存在下に
加熱することにより、一般式(DR1)で表される化合
物を得る。(2)次に、一般式(DR1)で表される化
合物を濃硫酸または発煙硫酸溶液中で発煙硝酸によりニ
トロ化し、一般式(DN1)で表されるジニトロ化合物
を得る。(3)最後に、一般式(DN1)で表されるジ
ニトロ化合物のニトロ基を還元することにより、前記一
般式(DA3)で表される芳香族ジアミン化合物を合成
できる。(1)の工程で用いられ得る有機溶媒として
は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチル
スルホキシド、スルホラン、ニトロベンゼン、ベンゼ
ン、ナフタリンなどが挙げられる。(3)の工程でニト
ロ基をアミノ基に還元する際に用いられる還元剤として
は、例えばパラジウム触媒、ラネーニッケル触媒、塩化
鉄触媒、塩化スズ触媒、硫化アンモニウム、ヒドラジン
などが挙げられる。
【0061】
【化21】 (Zはヨード基、ブロモ基またはクロロ基を示し、X3
およびR2 は式(DA3)の定義と同義。) 一般式(DA4)で表される芳香族ジアミン化合物は以
下に示すような方法により合成することができる。すな
わち、一般式(NZ1)で表されるニトロベンゼン化合
物を、無溶媒または有機溶媒中で銅粉触媒の存在下に加
熱してカップリング反応させて一般式(DN2)で表さ
れる含フッ素3,3’−ジニトロビフェニル化合物を合
成する。次に、一般式(DN2)で表される含フッ素
3,3’−ジニトロビフェニル化合物のニトロ基を還元
することにより、前記一般式(DA4)で表される含フ
ッ素3,3’−ジアミノビフェニル化合物を合成でき
る。
【0062】一般式(NZ1)で表されるニトロベンゼ
ン化合物としては、3−クロロ−5−フルオロニトロベ
ンゼン、3−ブロモ−5−フルオロニトロベンゼン、3
−ヨード−5−フルオロニトロベンゼン、3−クロロ−
5−ニトロベンゾフルオリド、3−ブロモ−5−ニトロ
ベンゾフルオリド、3−ヨード−5−ニトロベンゾフル
オリドなどが挙げられる。カップリング反応時に用いら
れる有機溶媒、およびニトロ基をアミノ基に還元する際
に用いられる還元剤としては、一般式(DA3)の合成
方法の説明で列挙したものと同様なものが挙げられる。
【0063】
【化22】 (Zはヨード基、ブロモ基またはクロロ基を示し、R2
は式(DA3)の定義と同義。) 本発明の第2のポリイミド前駆体(ポリアミド酸)にお
いては、一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族ジ
アミン化合物は、ポリイミド樹脂の熱安定性を向上させ
る作用を有する。ポリイミド樹脂の熱安定性を十分に向
上させる観点からは、一般式(DA2)で表される含フ
ッ素芳香族ジアミン化合物は、全アミン成分のうち0.
10モル当量以上用いられ、さらに0.20モル当量以
上用いられることが好ましい。
【0064】本発明の第2のポリイミド前駆体において
も、本発明の第1のポリイミド前駆体と同様に、最終的
に得られるポリイミド樹脂の物性を損なわない範囲で、
一般式(DA6)で表されるジアミン化合物や、その他
のジアミン化合物を併用することができる。
【0065】本発明の第2のポリイミド前駆体におい
て、一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二
無水物としては、本発明の第1のポリイミド前駆体にお
いて用いられるものと同様なものが用いられる。一般式
(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、
全酸無水物成分のうち0.80モル当量以上、好ましく
は0.90モル当量以上用いられる。その理由は、本発
明の第1のポリイミド前駆体の場合と同様である。ま
た、ガラス転移点および分解温度の高い高耐熱性ポリイ
ミド樹脂を得る観点からは、一般式(DAH1)で表さ
れるテトラカルボン酸二無水物のうち、特に上述した一
般式(DAH2)〜(DAH4)で表される芳香族テト
ラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
【0066】本発明の第2のポリイミド前駆体において
は、必要に応じてジカルボン酸無水物またはモノアミン
化合物が用いられる。
【0067】ジカルボン酸無水物としては以下のような
ものが挙げられる。例えば、マレイン酸無水物、シトラ
コン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、エチルマレ
イン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、プロピルマ
レイン酸無水物、ブチルマレイン酸無水物、クロロマレ
イン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、ブロモマレ
イン酸無水物、ジブロモマレイン酸無水物、フルオロマ
レイン酸無水物、ジフルオロマレイン酸無水物、トリフ
ルオロメチルマレイン酸無水物、ビス(トリフルオロメ
チル)マレイン酸無水物、シクロブタンジカルボン酸無
水物、シクロペンタンジカルボン酸無水物、シクロヘキ
サンジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸、エン
ドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ
フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル
酸、フタル酸無水物、メチルフタル酸無水物、エチルフ
タル酸無水物、ジメチルフタル酸無水物、フルオロフタ
ル酸無水物、ジフルオロフタル酸無水物、クロロフタル
酸無水物、ジクロロフタル酸無水物、ブロモフタル酸無
水物、ジブロモフタル酸無水物、ニトロフタル酸無水
物、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,
4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカ
ルボキシジフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボ
キシジフェニルエーテル無水物、2,3−ジカルボキシ
ジフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシジフ
ェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシビフェニ
ル無水物、3,4−ジカルボキシビフェニル無水物、
1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフ
タレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカル
ボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水
物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9
−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−ピリジン
ジカルボン酸無水物、3,4−ピリジンジカルボン酸無
水物などである。
【0068】モノアミン化合物としては以下のようなも
のが挙げられる。例えば、メチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、
ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、1
−(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,3−ペン
タメチルジシロキサン、ビニルアミン、アリルアミン、
グリシン、アラニン、アミノ酪酸、バリン、ノルバリ
ン、イソバリン、ロイシン、ノルロイシン、イソロイシ
ン、グルタミン、グルタミン酸、トリプトファン、アミ
ノクロトン酸、アミノアセトニトリル、アミノプロピオ
ニトリル、アミノクロトノニトリル、シクロプロピルア
ミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シ
クロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオ
クチルアミン、アミノアダマンタン、アミノベンゾシク
ロブタン、アミノカプロラクタム、アニリン、クロロア
ニリン、ジクロロアニリン、ブロモアニリン、ジブロモ
アニリン、フルオロアニリン、ジフルオロアニリン、ニ
トロアニリン、ジニトロアニリン、トルイジン、キシリ
ジン、エチルアニリン、アニシジン、フェネチジン、ア
ミノアセトアニリド、アミノアセトフェノン、アミノ安
息香酸、アミノベンズアルデヒド、アミノベンゾニトリ
ル、アミノフタロニトリル、アミノベンゾトリフルオリ
ド、アミノスチレン、アミノスチルベン、アミノアゾベ
ンゼン、アミノジフェニルエーテル、アミノジフェニル
スルホン、アミノベンゼンスルホンアミド、アミノフェ
ニルマレイミド、アミノフェニルフタルイミド、アミノ
ビフェニル、アミノテルフェニル、アミノナフタレン、
アミノアクリジン、アミノアントラキノン、アミノフル
オレン、アミノフルオレノン、アミノピロリジン、アミ
ノピペラジン、アミノピペリジン、アミノホモピペリジ
ン、アミノモルホリン、アミノベンゾオキオール、アミ
ノベンゾジオキサン、アミノピリジン、アミノピリダジ
ン、アミノピリミジン、アミノピラジン、アミノキノリ
ン、アミノシンノリン、アミノフタラジン、アミノキナ
ゾリン、アミノキノキサリン、アミノピロール、アミノ
イミダゾール、アミノピラゾール、アミノトリアゾー
ル、アミノオキサゾール、アミノイソオキサゾール、ア
ミノチアゾール、アミノイソチアゾール、アミノインド
ール、アミノベンゾイミダゾール、アミノインダゾー
ル、アミノベンゾオキサゾール、アミノベンゾチアゾー
ル、ベンジルアミン、フェネチルアミン、フェニルプロ
ピルアミン、フェニルブチルアミン、ベンズヒドリルア
ミン、アミノエチル−1,3−ジオキソラン、アミノエ
チルピロリジン、アミノエチルピペラジン、アミノエチ
ルピペリジン、アミノエチルモルホリン、アミノプロピ
ルイミダゾール、アミノプロピルシクロヘキサンなどで
ある。
【0069】本発明の第2のポリイミド前駆体を合成す
る方法としては、有機溶媒中で一般式(DA2)で表さ
れる含フッ素芳香族ジアミン化合物を含むジアミン成分
と一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無
水物を含む酸無水物成分とを反応させる方法が好まし
い。この反応時に用いられる有機溶媒、ならびに温度、
圧力、時間などの反応条件も本発明の第1のポリイミド
前駆体の場合と同様である。なお、得られるポリアミド
酸は、濃度0.5wt%のN−メチル−2−ピロリドン
溶液の30℃における固有粘度が0.5dL/g以上の
範囲内となる重合度であることが好ましい。ポリアミド
酸の重合度が低すぎるとこの後耐熱性の十分なポリイミ
ド樹脂を得ることができなくなるおそれがある。一方、
上限については特に限定されるものではないが、重合度
が高すぎると基板表面で微細な凹凸にポリイミド樹脂を
隙間なく充填することが困難となるので、微細な凹凸を
有する基板上に平坦性に優れた膜を形成するような場合
には、上記固有粘度は0.8dL/g以下であることが
好ましい。
【0070】本発明の第2のポリイミド前駆体からポリ
イミド樹脂を得る方法も、本発明の第1のポリアミド酸
の場合と同様である。本発明の第2のポリイミド前駆体
から得られるポリイミド樹脂は、誘電率および吸湿性が
低く、しかも熱安定性および環境安定性に優れている。
特に、一般式(DA3)で表される芳香族ジアミン化合
物を用いたポリイミド前駆体は、低誘電率のポリイミド
樹脂が得られる点で好ましい。また、一般式(DA4)
または(DA5)で表される芳香族ジアミン化合物を用
いたポリイミド前駆体は、ガラス転移点および分解温度
が低く耐熱性に優れたポリイミド樹脂が得られる点で好
ましい。
【0071】次に、本発明に係る、感光性を有するポリ
イミド前駆体について説明する。
【0072】本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体
は、(a)本発明の第1のポリイミド前駆体または第2
のポリイミド前駆体と、(b)感光剤とを含有するもの
である。
【0073】本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体に
おいて、感光剤としては以下に示すような二重結合を有
するアミン化合物、好ましくは二重結合を有する第3級
アミン化合物、またはアジド基を有する化合物が挙げら
れる。例えば、2−N,N−ジメチルアミノエチルアク
リレート、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリ
レート、2−N,N−ジエチルアミノエチルアクリレー
ト、2−N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレー
ト、3−N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレー
ト、2−アリルピリジン、4−アリルピリジン、3−
N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アク
ロイルモルホリン、2−アミノエチルアクリレート、4
−N,N−ジメチルアミノブチルアクリレート、ケイ皮
酸−2−N,N−ジメチルアミノエチルなどである。ま
た、感光剤として下記化学式で示される化合物も挙げら
れる。
【0074】
【化23】
【0075】
【化24】
【0076】
【化25】
【0077】
【化26】
【0078】
【化27】
【0079】
【化28】
【0080】
【化29】 感光剤としては上記化合物からなる群より選択される少
なくとも1種が用いられる。感光剤の添加量は、ポリイ
ミド前駆体100重量部に対し、0.1〜120重量部
であることが好ましく、0.5〜100重量部であるこ
とがさらに好ましい。この理由は以下の通りである。す
なわち、感光剤の添加量が0.1重量部未満であると、
露光に対する感光性ポリイミド前駆体の感度が十分では
なくなり、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度
に差が認められなくなる。逆に、感光剤の添加量が12
0重量部を超えると、現像後に感光剤成分の残渣が問題
になる。
【0081】本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体に
おいては、必要に応じて増感剤を配合してもよい。増感
剤としては以下のようなものが挙げられる。例えば、ベ
ンゾフェノン、アントラキノン、ベンゾキノン、2−メ
チルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、1,2−
ベンゾアントラキノン、ミヒラーケトン、4,4’−ジ
メチルベンゾフェノン、5−ニトロアセナフテン、ベン
ゾイルエーテル、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベ
ンゾフェノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベン
ジリデン)シクロヘキサノン、4−t−ブチル−2,6
−ビス(4−ジメチルアミノベンジリデン)シクロヘキ
サノン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミ
ノクマリン)、3−(2−ベンズイミダゾイル)−7−
ジエチルアミノクマリン、N−フェニルグリシン、2−
(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、エチル(4−
ジメチルアミノ)ベンゾエート、ジエチルチオキサンテ
ン、イソプロピルチオキサンテン、2,4,6−トリメ
チルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ベン
ジルジメチルケタール、2−メチル−[4−(メチルチ
オ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、1
−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アントロ
ン、アクリジン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチルな
どである。増感剤としては上記化合物からなる群より選
択される少なくとも1種が用いられる。増感剤の配合量
は、感光剤100重量部に対して0.5〜50重量部、
好ましくは1〜30重量部の範囲である。増感剤を加え
ると、本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体の感光特
性をさらに向上させることができる。
【0082】本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体
は、上述したように有機溶媒中で合成された所定のポリ
イミド前駆体の溶液に、感光剤および必要に応じて用い
られる増感剤を溶解することにより、ワニスの形態で調
製される。このワニス中におけるポリイミド前駆体の濃
度は5〜30重量部であることが好ましい。ワニスを調
製する際には、その粘度を調整して基板に対する塗布性
を改善する目的で、上記有機溶媒のほかに他の溶媒を用
いてもよい。このような溶媒としては、イソプロパノー
ル、メタノール、エチレングリコール、酢酸ブチル、セ
ロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールメ
チルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、
酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル、キシレンなどが挙げら
れる。また、本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体に
おいては、使用目的に応じて界面活性剤、シランカップ
リング剤などを配合してもよい。
【0083】本発明の第1の感光性ポリイミド前駆体を
用いて、例えば半導体デバイスの絶縁膜のパターンを形
成する方法について説明する。まず、感光性ポリイミド
前駆体のワニスをろ過して微細な不溶物を除去した後、
スピンコーティングやディッピングなどの方法によって
半導体基板上に塗布する。これを60〜100℃で乾燥
することにより、感光性ポリイミド前駆体の層を形成す
る。この感光性ポリイミド前駆体の層の上に所定のパタ
ーンを有するマスクを設置し、これを通してX線、可視
光、赤外線、紫外線、電子線などのエネルギー線を照射
して露光する。この露光時に感光剤が反応して、露光部
において樹脂成分のポリマー鎖が架橋する。このときの
反応は、用いられる感光剤が(1)アジド化合物である
か、(2)アクリレートなど二重結合を有する化合物で
あるかで異なる。(1)感光剤としてアジド化合物を用
いた場合、露光部ではアジド化合物(AZ)がナイトレ
ンラジカル(NR)に変化する。生成したナイトレンラ
ジカルは、二重結合を有するアミン化合物が併用された
場合、ポリイミド前駆体中にイオン結合で導入された二
重結合を有する化合物、例えば2−N,N−ジメチルア
ミノエチルアクリレートの二重結合に対する架橋反応
や、水素引き抜き反応などを起こし、露光部においてポ
リマー鎖を架橋する。(2)感光剤としてアクリレート
などの二重結合を有するアミン化合物を用いた場合、こ
れらの化合物の二重結合部位ではエネルギー線の照射に
よりビラジカルが発生し、ラジカルどうしの再結合が連
鎖的に進行する。これらのアクリレート類は、単にワニ
ス中でポリイミド前駆体と配合するだけでポリイミド前
駆体にイオン結合で導入され、この部分でポリマー鎖が
架橋する。なお、露光後の感光性ポリイミド前駆体の層
に対して、必要に応じて80〜200℃で5秒〜60分
間加熱処理を行ってもよい。このように加熱処理を行う
と、樹脂成分のポリマー鎖の架橋状態がいっそう強固に
なる。
【0084】
【化30】 次に、この感光性ポリイミド前駆体の層に対して、現像
液を用い、浸漬法、スプレー法、パドル法などの方法に
より現像処理を行う。このとき、未露光部ではポリマー
鎖が架橋していないため現像液に溶解する。一方、露光
部ではポリマー鎖が架橋しているため、現像液に不溶と
なる。現像液としては、例えばポリイミド前駆体の製造
に用いた有機溶媒を用いることができる。また、現像処
理をスムーズに行う目的で、このような有機溶媒ととも
に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、セロソルブ、
メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチレング
リコールモノエチルエーテル、トルエン、キシレン、水
などを併用してもよい。また、現像処理後に、現像液残
渣などを除去する目的で、水、アルコール、アセトンな
どを用いてリンス処理を行い、引き続きベーキングなど
の処理を行なってもよい。
【0085】最後に、現像処理された所定のレリーフパ
ターンを有する感光性ポリイミド前駆体を所定の条件で
加熱する。この加熱処理によって、ポリイミド前駆体の
ポリマー鎖を架橋している感光剤が除去され、パターン
中に残存する溶媒が揮発するとともに、アミド酸の閉環
が起こってポリイミド膜パターンが形成される。この工
程では、室温から最終加熱温度である150〜450℃
まで徐々に温度を上げて加熱することが望ましい。最終
加熱温度が150℃未満であると、一部のポリイミド前
駆体がイミド化せずに残存し、熱安定性を阻害する可能
性がある。逆に、最終加熱温度が450℃を超えると、
イミド化したポリマーが分解して熱安定性が損なわれる
おそれがある。
【0086】次に、本発明の第2の感光性ポリイミド前
駆体について説明する。本発明の第2の感光性ポリイミ
ド前駆体は、(a)一般式(PA11)で表される繰り
返し単位を有するポリアミド酸誘導体と、(b)光重合
開始剤とを含有するものである。なお、十分な感光特性
を得るうえでは、全繰り返し単位中に一般式(PA1
1)で表される繰り返し単位が25%以上含まれること
が好ましい。
【0087】一般式(PA11)において、Yはテトラ
カルボン酸二無水物に由来する4価の有機基であり、L
は一般式(DA1)で表されるジアミン化合物の残基で
ある。D1 は感光性の有機基またはOHであり、D1
少なくとも1つは感光性の有機基である。D1 としては
例えば以下の化学式に示されるようなものが挙げられ
る。
【0088】
【化31】 一般式(PA11)で表されるポリアミド酸誘導体を合
成する方法は限定されない。例えば、R.Rubner
ら、Photograph.Sci.Eng.,23
(5),303頁(1979)に記載されている方法を
用いることができる。具体的には、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートとテトラカルボン酸二無水物とを反応
させ、テトラカルボン酸二無水物に感光性の有機基を導
入したジカルボン酸ジエステルを合成する。次に、得ら
れたジカルボン酸ジエステルに塩化チオニルを反応さ
せ、カルボキシル基をカルボン酸塩化物に転化する。最
後に、所定のジアミン化合物を反応させて一般式(PA
11)で表されるポリアミド酸誘導体を得る。このポリ
アミド酸誘導体を合成する際には、有機溶媒中で反応さ
せることが好ましい。この有機溶媒としては、本発明の
第1および第2のポリイミド前駆体の合成する際に用い
たのと同様の有機溶媒を用いることができる。
【0089】本発明の第2の感光性ポリイミド前駆体に
おいて、光重合開始剤としては、本発明の第1の感光性
ポリイミド前駆体に関して説明した感光剤のうちアジド
化合物、および必要に応じて用いられる増感剤の少なく
とも1種を用いることができる。光重合開始剤の配合量
は、一般式(PA11)で表されるポリアミド酸誘導体
100重量部に対して0.05〜30重量部、好ましく
は0.1〜20重量部の範囲である。
【0090】本発明の第2の感光性ポリイミド前駆体を
用いて絶縁膜のパターンを形成する方法は、本発明の第
1の感光性ポリイミド前駆体の場合と同様である。
【0091】次に、本発明に係るビスマレイミド系硬化
樹脂の前駆体について説明する。このビスマレイミド系
硬化樹脂前駆体は、(a)一般式(DM1)で表される
ビスマレイミド化合物、および(b)一般式(DA1
1)で表されるジアミン化合物および一般式(DP1)
で表される2価フェノール化合物からなる群より選択さ
れる少なくとも1種の化合物を配合し、これらをある程
度反応させた分子構造を有するものである。なお、一般
式(DM1)において、フルオロ基またはフルオロ基で
置換された脂肪族炭化水素基(R31)は、ベンゼン環の
マレイミド環および他のベンゼン環への結合部位から見
て、メタ位に導入されていることが好ましい。
【0092】本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体
の(a)成分である、一般式(DM1)で表されるビス
マレイミド化合物としては以下のようなものが挙げられ
る。例えば、3,3’−ジマレイミド−5,5’−ビス
(トリフルオロメチル)ビフェニル、ビス[3−マレイ
ミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]エーテ
ル、ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメチ
ル)フェニル]スルフィド、ビス[3−マレイミド−5
−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン、3,
3’−ジマレイミド−5,5’−ビス(トリフルオロメ
チル)ベンゾフェノン、1,3−ビス[3−マレイミド
−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサン、2,2−ビス[3
−マレイミド−5−(トリフルオロメチル)フェニル]
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,3−ビス[3−マレイミド−5−(トリフルオロメ
チル)フェノキシ]ベンゼン、1,4−ビス[3−マレ
イミド−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベン
ゼン、3,5−ビス[3−マレイミドフェノキシ]ベン
ゾトリフルオリド、3,5−ビス[3−マレイミド−5
−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゾトリフル
オリド、3,3’−ジフルオロ−5,5’−ジマレイミ
ドビフェニル、ビス(3−フルオロ−5−マレイミドフ
ェニル)エーテル、ビス(3−フルオロ−5−マレイミ
ドフェニル)スルフィド、ビス(3−フルオロ−5−マ
レイミドフェニル)スルホン、3,3’−ジフルオロ−
5,5’−ジマレイミドベンゾフェノン、1,3−ビス
(3−フルオロ−5−マレイミドフェニル)−1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサン、2,2−ビス(3
−フルオロ−5−マレイミドフェニル)−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス
(3−フルオロ−5−マレイミドフェノキシ)ベンゼ
ン、1,4−ビス(3−フルオロ−5−マレイミドフェ
ノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−フルオロフェノ
キシ)−5−フルオロベンゼン、1,3−ビス(3−フ
ルオロ−5−マレイミドフェノキシ)−5−フルオロベ
ンゼンなどである。
【0093】一般式(DM1)で示されるビスマレイミ
ド化合物を合成する方法は特に限定されないが、一般的
には以下のような方法が用いられる。(1)まず、有機
溶媒中で一般式(DA31)で表される芳香族ジアミン
化合物1モル当量と一般式(MA1)で表されるマレイ
ミド酸無水物またはマレイミド酸誘導体無水物2モル当
量とを反応させて、下記一般式(DMA1)で表される
ビスマレアミド酸化合物を合成する。(2)次に、有機
溶媒中で一般式(DMA1)で表されるビスマレアミド
酸化合物1モル当量に対して脱水剤として無水酢酸2〜
4モル当量を加え、塩基0.05〜2モル当量および触
媒0.0005〜0.2モル当量の存在下に、脱水環化
させて一般式(DM1)で表されるビスマレイミド化合
物を合成する。
【0094】
【化32】 (X31、R31、R32、aおよびbは、一般式(DM1)
の定義と同義である。) 一般式(DA31)で表される芳香族ジアミン化合物と
しては、以下のようなものが挙げられる。例えば、3,
3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチ
ル)ビフェニル、ビス[3−アミノ−5−(トリフルオ
ロメチル)フェニル]エーテル、ビス[3−アミノ−5
−(トリフルオロメチル)フェニル]スルフィド、ビス
[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]
スルホン、3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリ
フルオロメチル)ベンゾフェノン、1,3−ビス[3−
アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,
1,3,3−テトラメチルジシロキサン、2,2−ビス
[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,3−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチ
ル)フェノキシ]ベンゼン、1,4−ビス[3−アミノ
−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン、
3,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾトリフル
オリド、3,5−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオ
ロメチル)フェノキシ]ベンゾトリフルオリド、3,
3’−ジアミノ−5,5’−ジフルオロビフェニル、ビ
ス(3−アミノ−5−フルオロフェニル)エーテル、ビ
ス(3−アミノ−5−フルオロフェニル)スルフィド、
ビス(3−アミノ−5−フルオロフェニル)スルホン、
3,3’−ジアミノ−5,5’−ジフルオロベンゾフェ
ノン、1,3−ビス(3−アミノ−5−フルオロフェニ
ル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、
2,2−ビス(3−アミノ−5−フルオロフェニル)−
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,3−ビス(3−アミノ−5−フルオロフェノキシ)
ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−5−フルオロフ
ェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−
フルオロフェノキシ)−5−フルオロベンゼンなどであ
る。
【0095】一般式(MA1)で表されるマレイミド酸
無水物またはマレイミド酸誘導体無水物の具体例は、上
述した通りである。
【0096】(1)の反応時に用いられる有機溶媒とし
ては以下のようなものが挙げられる。例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ
イソプロピルケトン、シクロヘキサノン、クロロホル
ム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエチレ
ン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N
−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メ
チルカプロラクタム、ジエチルエーテル、ジプロピルエ
ーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキ
シエチル)エーテル、ビス(2−メトキシエトキシ)エ
タン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エ
ーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、
1,4−ジオキサン、ピロリン、ピコリン、ジメチルス
ルホキシド、スルホランなどである。これらの有機溶媒
は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよ
い。反応温度は100℃以下、好ましくは30℃以下で
ある。反応圧力は特に限定されず、常圧で十分実施でき
る。反応時間は芳香族ジアミン化合物および溶媒の種類
に応じて異なるが、0.5〜24時間で十分である。
【0097】(2)の反応時に用いられる塩基として
は、アルカリ金属の酢酸塩または第3級アミンが挙げら
れる。例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、トリメ
チルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなど
である。
【0098】(2)の反応時に用いられる触媒として
は、アルカリ土類金属の酸化物、または鉄(II)、鉄
(III)、ニッケル(II)、マグネシウム(I
I)、マンガン(III)、銅(I)、銅(II)、コ
バルト(II)もしくはコバルト(III)の炭酸塩、
硫酸塩、リン酸塩もしくは酢酸塩などが挙げられる。こ
れらの触媒は単独で用いてもよいし、2種以上併用して
もよい。特に好ましい触媒は、酢酸ニッケル(II)、
酢酸コバルト(III)または酸化マグネシウムであ
る。
【0099】(2)の反応時に用いられる有機溶媒とし
ては、(1)の反応で用いたものと同様の有機溶媒を用
いることができる。したがって、この反応の際に(1)
の反応生成物であるビスマレアミド酸化合物を単離する
必要はない。反応温度は200℃以下、好ましくは20
〜120℃の範囲である。反応圧力は特に限定されず、
常圧で十分実施できる。反応時間はビスマレアミド酸化
合物および溶媒の種類に応じて異なるが、0.5〜24
時間で十分である。反応終了後、析出した結晶をろ過す
るか、または水またはメタノール中に入れることにより
目的のビスマレイミド化合物を得ることができる。
【0100】本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体
の(b)成分のうち、一般式(DA11)で表されるジ
アミン化合物としては以下のようなものが挙げられる。
例えば、1,3−フェニレンジアミン、1,2−フェニ
レンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、3−アミ
ノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、4,
4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミ
ノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニル
エーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、
(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフ
ィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス
(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフ
ェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス
(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミ
ノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−
アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニ
ル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、
3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミ
ノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノビフェニル、
3,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノビ
フェニル、1,3−フェニレン−4,4’−ジアニリ
ン、1,4−フェニレン−4,4’−ジアニリン、3,
3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタ
ン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、3,4’−
ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェ
ニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、
3,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジ
アミノジフェニルプロパン、1,3−ビス(3−アミノ
フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェ
ノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2
−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[2−(4
−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4
−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]
ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロプロパン、ビス[3−アミノ−5−(トリフルオ
ロメチル)フェニル]エーテル、ビス[4−アミノ−2
−(トリフルオロメチル)フェニル]エーテル、ビス
[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]
スルホン、ビス[4−アミノ−2−(トリフルオロメチ
ル)フェニル]スルホン、4,4’−ジアミノ−2,
2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,
3’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチ
ル)ビフェニル、2,2−ビス[3−アミノ−5−(ト
リフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロプロパン、1,8−ジアミノナフタ
レン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノ
ナフタレン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジア
ミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−(トリフルオロ
メチル)ピリジン、2,5−ジアミノピラジン、2,4
−ジアミノ−s−トリアジン、メタンジアミン、1,2
−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4
−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6
−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,
8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,
10−デカンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロ
ポキシ)エタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、
1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(3−アミノシ
クロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)メタン、1,2−ビス(3−アミノシクロヘキシ
ル)エタン、1,2−ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)エタン、2,2−ビス(3−アミノシクロヘキシ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)プロパン、ビス(3−アミノシクロヘキシル)エー
テル、ビス(4−アミノシクロヘキシル)エーテル、ビ
ス(3−アミノシクロヘキシル)スルホン、ビス(4−
アミノシクロヘキシル)スルホン、2,2−ビス(3−
アミノシクロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノシク
ロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパン、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キ
シリレンジアミンなどである。これらのジアミン化合物
は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよ
い。
【0101】ビスマレイミド系硬化樹脂の耐熱性、環境
安定性の観点からは、一般式(DA11)で表されるジ
アミン化合物のうち、以下に示すような芳香環を有する
ジアミン化合物を用いることが好ましい。例えば、1,
2−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’
−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジ
フェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルホ
ン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)ス
ルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,
3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベ
ンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、
3,3’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビ
フェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−フ
ェニレン−4,4’−ジアニリン、1,4−フェニレン
−4,4’−ジアニリン、3,3’−ジアミノジフェニ
ルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノ
ジフェニルエタン、3,4’−ジアミノジフェニルエタ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−
ジアミノジフェニルプロパン、3,4’−ジアミノジフ
ェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパ
ン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,
3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−
ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス
(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェ
ニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2
−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−アミ
ノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、2,2−ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビ
ス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス
[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]
エーテル、ビス[4−アミノ−2−(トリフルオロメチ
ル)フェニル]エーテル、ビス[3−アミノ−5−(ト
リフルオロメチル)フェニル]スルホン、ビス[4−ア
ミノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホ
ン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオ
ロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノ−5,5’
−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビ
ス[3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニ
ル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン、1,8−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナ
フタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,5−ジア
ミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジ
アミノ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン、2,5
−ジアミノピラジン、2,4−ジアミノ−s−トリアジ
ンなどである。
【0102】また、これらのジアミン化合物とともに、
上述した一般式(DA6)で表されるビス(アミノアル
キル)パーアルキルポリシロキサン化合物を併用しても
よい。ビス(アミノアルキル)パーアルキルポリシロキ
サン化合物は、ビスマレイミド系硬化樹脂の例えばガラ
ス基板やシリコン基板上への密着性および接着性を向上
させる作用を有する。これらの化合物は、全ジアミン成
分のうち0.02〜0.2モル当量用いることが好まし
い。これは、このような化合物を配合することで得られ
るビスマレイミド系硬化樹脂の基板上への密着性および
接着性が向上するものの、過度の配合はビスマレイミド
系硬化樹脂の耐熱性低下を招くおそれがあるためであ
る。
【0103】本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体
の(b)成分のうち、一般式(DP1)で表される2価
フェノール化合物としては以下のようなものが挙げられ
る。例えば、レゾルシノール、ピロカテコール、ハイド
ロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,
4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(3−ヒ
ドロキシフェニル)スルフィド、(3−ヒドロキシフェ
ニル)(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ヒ
ドロキシフェニル)スルホキシド、(3−ヒドロキシフ
ェニル)(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3
−ヒドロキシフェニル)スルホン、(3−ヒドロキシフ
ェニル)(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、3,3’−ジヒ
ドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジヒドロキシベン
ゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、
3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒド
ロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、1,3−フェニレン−4,4’−ジフェノール、
1,4−フェニレン−4,4’−ジフェノール、3,
3’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルメタン、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエ
タン、3,4’−ジヒドロキシジフェニルエタン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルエタン、3,3’−ジヒ
ドロキシジフェニルプロパン、3,4’−ジヒドロキシ
ジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルプロパン、1,3−ビス(3−ヒドロキシフェノキ
シ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキ
シ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキ
シ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキ
シ)ベンゼン、2,2−ビス(3−ヒドロキシフェニ
ル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3
−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピ
ル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−ヒドロキシフ
ェニル)−2−プロピル]ベンゼン、2,2−ビス[4
−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビ
ス[4−(3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]−
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビ
ス[3−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェ
ニル]エーテル、ビス[4−ヒドロキシ−2−(トリフ
ルオロメチル)フェニル]エーテル、ビス[3−ヒドロ
キシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホ
ン、ビス[4−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチ
ル)フェニル]スルホン、4,4’−ジヒドロキシ−
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、
3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ビス(トリフルオ
ロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[3−ヒドロキシ
−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,8−ジ
ヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒド
ロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、2,
6−ジヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジ
ン、2,5−ジヒドロキシピラジン、2,4−ジヒドロ
キシ−s−トリアジン、1,3−ビス[3−(4−ヒド
ロキシフェニル)プロピル]−1,1,3,3−テトラ
メチルジシロキサン、1,3−ビス[4−(4−ヒドロ
キシフェニル)ブチル]−1,1,3,3−テトラメチ
ルジシロキサン、1,3−ビス[3−(4−ヒドロキシ
フェニル)プロピル]−1,1,3,3−テトラフェニ
ル、1,5−ビス[3−(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピル]−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリ
シロキサン、1,7−ビス[3−(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピル]−1,1,3,3,5,5,7,7−
オクタメチルテトラシロキサン、1,9−ビス[3−
(4−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1,1,3,
3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキ
サンなどである。これらの2価フェノール化合物は単独
で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0104】本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体
において、(b)成分(硬化剤成分)であるジアミン化
合物および2価フェノール化合物からなる群より選択さ
れる少なくとも1種の化合物は、(a)成分であるビス
マレイミド化合物1モル当量に対して、0.01〜2モ
ル当量用いられる。さらに、ビスマレイミド化合物1モ
ル当量に対して、ジアミン化合物の場合には0.2〜
0.8モル当量、2価フェノール化合物の場合には0.
7〜1.3モル当量配合することが好ましい。その理由
は、硬化剤成分(b)の配合量が少なすぎると、硬化反
応の進行の程度が不十分であり、その前駆体を用いて形
成される硬化樹脂の耐熱性が低下するおそれがある。ま
た、この場合、ビスマレイミド化合物(a)が過剰量配
合されるため、硬化反応の際にマレイミド分子が相互に
反応して、得られる硬化樹脂の柔軟性が損なわれる。逆
に、硬化剤成分(b)の配合量が多すぎると、硬化樹脂
中に過剰の硬化剤成分が残留し、硬化樹脂の耐熱性およ
び耐湿性が不十分となるおそれがある。特に、ビスマレ
イミド化合物1モル当量に対して、硬化剤成分として約
0.5モル当量のジアミン化合物または約1モル当量の
2価フェノール化合物を配合すると、組成物の硬化反応
が最も効率よく進行する。
【0105】本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体
においては、硬化反応を促進する目的で、必要に応じて
硬化触媒を配合してもよい。硬化触媒としては、四フッ
化ホウ素錯体、アルミニウム錯体/フェノール触媒、ア
ルミニウム錯体/ケイ素系触媒などが挙げられる。これ
らの硬化触媒を適宜選択して用いることにより、硬化反
応を調節して様々な二次元構造または三次元構造を有す
る高分子量の硬化樹脂を製造することができる。また、
本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体においては、
上述した各成分の他にも、ポリアミド酸、エポキシ樹
脂、イソシアナート化合物、トリアジン樹脂、フェノー
ル樹脂、アクリル化合物などの各種添加物を配合しても
よい。
【0106】本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体
は、上述した各成分を有機溶媒に溶解し、ワニスの形態
で調製される。ここで用いられる有機溶媒としては、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジ
メトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル
カプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2
−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−メトキシエト
キシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エ
チル]エーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキ
サン、1,4−ジオキサン、ピロリン、ピコリン、ジメ
チルスルホキシド、スルホランなどである。これらの有
機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用い
てもよい。
【0107】さらに、得られたワニスは電子部品の層間
絶縁膜などとして使用する前に、通常、A−stage
化が行なわれる。すなわち、50〜150℃で5分〜5
時間加熱して、ビスマレイミド化合物に対するジアミン
化合物または2価フェノール化合物の付加反応をいくぶ
ん進行させて、ワニスを塗布するのに好都合になるよう
に、ワニスの粘度が高められる。
【0108】本発明のビスマレイミド系硬化樹脂前駆体
を用い、例えば電子部品の絶縁膜を形成する方法につい
て説明する。まず、A−stage化したビスマレイミ
ド系硬化樹脂前駆体のワニスを任意の基板上に塗布して
膜を形成する。この膜を50〜150℃で5〜10分間
加熱して溶媒を蒸発させる。さらに、この膜を真空オー
ブンまたは窒素置換されたオーブン中において所定の温
度で加熱してビスマレイミド系硬化樹脂前駆体を硬化さ
せる。この加熱温度は使用されるビスマレイミド化合物
などの構造により異なるが、通常100〜450℃の範
囲に設定される。このようにしてビスマレイミド系硬化
樹脂からなる絶縁膜が形成される。
【0109】この結果、得られるビスマレイミド系硬化
樹脂は耐熱性に優れているだけでなく、従来のビスマレ
イミド系硬化樹脂と比較して、大気中に長時間放置して
も加湿分解によるトルエン、キシレンなどのガスの発生
量が非常に少なく環境安定性に優れ、しかも誘電率およ
び吸湿率が低い。
【0110】次に、本発明の電子部品について説明す
る。本発明の電子部品は、上述したポリイミド前駆体を
硬化させたポリイミド樹脂またはビスマレイミド系硬化
樹脂前駆体を硬化させたビスマレイミド系硬化樹脂を、
絶縁膜や絶縁基板などの絶縁部材として具備したもので
ある。このような電子部品は、絶縁部材を構成している
ポリイミド樹脂またはビスマレイミド系硬化樹脂の比誘
電率が低いため高速動作および省電力を実現でき、しか
も絶縁部材が低吸湿性であり熱安定性および環境安定性
に優れているため信頼性も高い。
【0111】より具体的には、本発明に係るポリイミド
樹脂またはビスマレイミド系硬化樹脂は、半導体装置の
層間絶縁膜、耐湿保護膜、α線遮断膜などの絶縁膜、キ
ャリヤーフィルム、フラットケーブル、フレキシブルプ
リント基板、フィルム絶縁コイル、薄膜磁気ヘッドや磁
気バブルメモリー素子の層間絶縁膜、ガラスクロス積層
板など電子部品用絶縁部材として有用である。さらに本
発明に係るポリイミド樹脂は液晶表示素子の液晶配向膜
にも非常に適している。以下、これらの電子部品の例を
図面を参照して説明する。なお、以下の説明では絶縁部
材をポリイミド樹脂で構成した例について説明するが、
ほとんどの場合はポリイミド樹脂の代わりにビスマレイ
ミド系硬化樹脂を用いてもよいことはもちろんである。
【0112】図1は本発明に係る前駆体から製造される
ポリイミド樹脂を半導体デバイスの層間絶縁膜に適用し
た例を示す断面図である。図1において、シリコン基板
11表面には、フィールド酸化膜12、拡散層13、熱
酸化膜14、CVD酸化膜15などが形成されている。
前記拡散層13上の熱酸化膜14にコンタクトホールが
開孔され、拡散層13と接続された第1層のAl電極1
6が形成されている。また、全面にポリイミド樹脂から
なる層間絶縁膜17が形成されている。この層間絶縁膜
17にコンタクトホールが開孔され、第1層のAl電極
16と接続された第2層のAl電極18が形成されてい
る。さらに、全面にポリイミド樹脂からなるパッシベー
ション膜19が形成されている。
【0113】図2は図1のように表面にポリイミド樹脂
からなるパッシベーション膜が形成された半導体チップ
を樹脂モールドしたパッケージの断面図である。図2に
おいて、表面にポリイミド樹脂からなるパッシベーショ
ン膜19が形成された半導体チップ20はベッド21上
にマウントされている。半導体チップ20表面のパッシ
ベーション膜19から露出したボンディングパッドとリ
ード22とがワイヤ23によりボンディングされてい
る。さらに、これらの部材が封止樹脂24でモールドさ
れ、リード23の一部が封止樹脂24から突出してい
る。
【0114】図3は本発明に係る前駆体から製造される
ポリイミド樹脂を薄膜磁気ヘッドの層間絶縁膜に適用し
た例を示す断面図である。図3において、基板31表面
には下部アルミナ32、下部磁性体33、ギャップアル
ミナ34が順次形成されている。このギャップアルミナ
34上にポリイミド樹脂からなる層間絶縁膜35に埋め
込まれるように第1導体コイル36および第2導体コイ
ル37が形成されている。さらに、層間絶縁膜35上に
上部磁性体38が形成され、磁気ヘッド先端においてギ
ャップアルミナ34を挟んで下部磁性体33と上部磁性
体38とが対向している。
【0115】図4は本発明に係る前駆体から製造される
ポリイミド樹脂を高密度配線板の層間絶縁膜に適用した
例を示す断面図である。図4において、シリコン基板4
1上には熱酸化膜42および第1層の銅配線43が順次
形成されている。その上の全面にポリイミド樹脂からな
る層間絶縁膜44が形成されている。この層間絶縁膜4
4にコンタクトホールが開孔され、第1層の銅電極43
と接続された第2層の銅電極45が形成されている。さ
らに、全面にポリイミド樹脂からなるパッシベーション
膜46が形成されている。このパッシベーション膜46
にコンタクトホールが開孔され、第2層の銅配線45と
接続するようにバリアメタル47およびPb/Smバン
プ48が形成されている。
【0116】図5は本発明に係る前駆体から製造される
ポリイミド樹脂を磁気バブルメモリ素子の層間絶縁膜に
適用した例を示す断面図である。図5において、ガーネ
ット基板51上にコンダクタ52が形成され、その全面
にポリイミド樹脂からなる層間絶縁膜53が形成されて
いる。さらに、層間絶縁膜53上にパーマロイ54が形
成されている。
【0117】図6は本発明に係る前駆体から製造される
ポリイミド樹脂を太陽電池の耐熱性透明樹脂層に適用し
た例を示す断面図である。図6において、ガラス基板6
1上の全面にポリイミド樹脂からなる耐熱性透明樹脂層
62が形成されている。この耐熱性透明樹脂層62上
に、透明電極63、アモルファスSi64および金属電
極65が所定のパターンで形成されている。
【0118】図1〜図6に示すように、いずれの電子部
品でも本発明のポリイミド前駆体を用いて絶縁部材を形
成すれば、配線の段差を大幅に緩和して平坦な配線構造
とすることができ、電子部品の信頼性を向上できる。ま
た、上述したように本発明のポリイミド前駆体を硬化さ
せた絶縁部材は、比誘電率が低いため高速動作および省
電力を実現でき、しかも低吸湿性であり熱安定性および
環境安定性に優れている。
【0119】図7は本発明に係る前駆体から製造される
ポリイミド樹脂からなる液晶配向膜を有する液晶表示素
子の断面図である。図7において、ガラス基板71上に
は画素電極72および薄膜トランジスタ(図示せず)が
形成され、さらにその全面にポリイミド樹脂からなる液
晶配向膜73が被覆されている。一方、ガラス基板74
上には共通電極75が形成され、さらにその全面にポリ
イミド樹脂からなる液晶配向膜76が被覆されている。
これらのガラス基板71、74は液晶配向膜73、76
を内側にして所定のギャップを隔てて互いに平行に設置
され、両者の間に液晶77が封入される。なお、液晶表
示素子のカラー化のために、カラーフィルターを設けた
基板を使用される場合もある。
【0120】基板としては、ガラスのほか、ポリカーボ
ネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルス
ルホン、ポリエチレンテレフタレートなどの透明フィル
ムを使用してもよい。電極としては、ITO(Indi
um Tin Oxide)、酸化インジウムなどの透
明酸化物が用いられる。液晶配向膜の膜厚は、5〜10
00nm、好ましくは20〜200nmの範囲に設定さ
れる。液晶配向膜を構成するポリイミド樹脂は、その前
駆体であるポリアミド酸のワニスを電極が形成された基
板に塗布し、90〜120℃で予備乾燥した後、200
〜350℃で加熱処理することにより形成される。次
に、このポリイミド樹脂をラビングして液晶配向膜とす
る。2枚の基板上の液晶配向膜は、セルを組み立てたと
きに互いのラビング方向が同一方向、90°ねじった方
向、または200〜290°ねじった方向になるよう
に、目的に応じてラビングされる。なお、液晶の配向性
を安定させるために、液晶を封入した後、液晶表示素子
をアニールしてもよい。
【0121】本発明のポリイミド前駆体から製造された
ポリイミド樹脂からなる液晶配向膜は、上述した効果の
他に、液晶に大きなプレチルト角を与えることができ、
しかも電圧保持率が高いという効果も有する。
【0122】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0123】実施例1−1〜1−45および比較例1〜
5 (1)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)の合成 表1〜表7に示す原料を所定の配合比(モル当量で表
示)で用い、以下のようにしてポリアミド酸を合成し
た。まず、窒素ガス雰囲気下、冷媒により−5〜0℃に
冷却したセパラブルフラスコにN−メチル−2−ピロリ
ドン50mLを入れ、酸無水物成分として一般式(DA
H1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の所定量を
加えて攪拌しながら溶解した。この溶液に、ジアミン成
分として一般式(DA1)で表される芳香族ジアミン化
合物、および一般式(DA6)で表されるビス(アミノ
アルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物の所定量
をN−メチル−2−ピロリドン50mLに溶解した溶液
を、圧力平衡管付き滴下ロートからゆっくりと滴下し
た。2時間攪拌した後、マレイン酸無水物の所定量をN
−メチル−2−ピロリドン50mLに溶解した溶液を、
圧力平衡管付き滴下ロートからゆっくりと滴下した。さ
らに4時間撹拌して、目的のポリアミド酸を含むワニス
を得た。
【0124】表1〜表7で用いた略号を説明する。 (テトラカルボン酸二無水物) 6FDPA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水
物 PMA:ピロメリト酸二無水物 BPTA:3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物 ODPA:オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物 6FXTA:9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサ
ンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物 (マレイン酸無水物) MLA:マレイン酸無水物 (ジアミン化合物) mSNDA:スルホニル−3,3’−ジアニリン mPODA:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベ
ンゼン mODA:オキシ−3,3’−ジアニリン 6FmODA:オキシ−5,5’−ビス[3−(トリフ
ルオロメチル)アニリン] 3FmPODA:3,5−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゾトリフルオリド 6FmPODA:1,3−ビス[3−アミノ−5−(ト
リフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン 9FmPODA:3,5−ビス[3−アミノ−5−(ト
リフルオロメチル)フェノキシ)ベンゾトリフルオリド 3FmPDA:5−(トリフルオロメチル)−1,3−
フェニレンジアミン 6FmSNDA:1,1’−ビス[3−アミノ−5−
(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン 6FmBPDA:3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス
(トリフルオロメチル)ビフェニル 6FpBPDA:4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス
(トリフルオロメチル)ビフェニル m6FDA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニリン mPDA:1,3−フェニレンジアミン mBPDA:3,3’−ジアミノビフェニル pBPDA:4,4’−ジアミノビフェニル pODA:オキシ−4,4’−ジアニリン p6FDA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニリン TSL9306:1,3−ビス(3−アミノプロピル)
−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン なお、比較例1は、市販のポリアミド酸(住友ベークラ
イト社製、CRC−6061)であり、PMA(ピロメ
リト酸二無水物)、CBDPA(3,3’,4,4’−
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物)およびpO
DA(オキシ−4,4’−ジアニリン)を主原料とする
ものである。また、比較例2〜5は一般式(DA1)に
含まれない芳香族ジアミン化合物を用いたものである。
【0125】合成されたそれぞれのポリアミド酸の0.
5wt%N−メチル−2−ピロリドン溶液の固有粘度を
30℃において測定した。これらの結果を表1〜表7に
示す。表1〜表7から、マレイン酸無水物を用いること
により、固有粘度0.5以下という低粘度のポリアミド
酸を合成できることが確認された。
【0126】(2)ポリイミドフィルムの物性の測定 ポリイミドフィルムについて以下に示す物性の測定した
結果を表1〜表7に示す。
【0127】(a)分解開始温度 ポリアミド酸のワニスを、1mm×130mm×150
mmの大きさのガラス板上に、バーコーターにより75
μmの厚さに塗布した後、110℃で1時間プリベーク
した。得られたフィルムをガラス板から剥がし、内側の
大きさが100mm×100mmの真鍮枠に固定した。
これを、窒素ガスを導入した乾燥器中で、室温から昇温
して、150℃、250℃、および350℃の各温度で
1時間ずつ加熱し、最後に400℃で30分間加熱する
ことにより、ポリイミドフィルムを形成した。なお、各
温度の間の昇温時間は1時間とした。得られたポリイミ
ドフィルムについて、窒素気流中で熱重量分析/示差熱
分析(TG/DTA)を行い、0.5wt%の重量減少
が生じる温度を測定し、ポリイミドフィルムの分解開始
温度を決定した。その結果、実施例1−1〜45のポリ
イミドフィルムは比較例のものと同等の耐熱性を有する
ことが確認された。
【0128】(b)シリコン基板に対する密着性 ポリアミド酸のワニスを、4インチ径のシリコン基板上
に、硬化後の膜厚が5〜10μmとなるようにスピンコ
ートした。これを、窒素ガスを導入した乾燥器中で、室
温から昇温して、150℃、250℃、および350℃
の各温度で1時間ずつ加熱し、最後に400℃で30分
間加熱することにより、ポリイミドフィルムを形成し
た。なお、各温度の間の昇温時間は30分間とした。ポ
リイミドフィルムが形成されたシリコン基板を、プレッ
シャークッカー内において、2気圧、120℃の水蒸気
の雰囲気下に24時間放置した。その後、ポリイミドフ
ィルムの表面にセロハンテープを貼り、これを一定の条
件で剥がしたときに基板より剥離する膜の割合を調べ、
密着性を示す値とした。その結果、実施例1−1〜45
のポリイミドフィルムは、比較例1〜5のものと比べ
て、シリコン基板との密着性に優れていることが確認さ
れた。
【0129】(c)トレンチへの充填性 ポリアミド酸のワニスを、表面に幅0.3μm、深さ
1.0μmのトレンチを形成した4インチ径のシリコン
基板上に、硬化後の膜厚が5〜10μmとなるようにス
ピンコートし、(b)と同様な条件で硬化させてポリイ
ミドフィルムを形成した。その後、トレンチの断面を走
査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、トレンチに対
する充填性を検討した。その結果、実施例1−1〜45
ではトレンチがポリイミドで隙間なく完全に埋められて
いた。これに対して、比較例1〜5ではトレンチがポリ
イミドで完全に充填されず、大きな隙間が残存している
ことが確認された。
【0130】(d)誘電率 ポリアミド酸のワニスを、1mm×100mm×100
mmの大きさのアルミニウム板上に、硬化後の膜厚が4
0〜60μmとなるように2〜4回スピンコートした。
これを、窒素ガスを導入した乾燥器中で、室温から昇温
して、150℃、250℃、および350℃の各温度で
1時間ずつ加熱し、最後に400℃で30分間加熱する
ことにより、ポリイミドフィルムを形成した。なお、各
温度の間の昇温時間は30分間とした。得られたポリイ
ミドフィルムについて、10kHzにおける誘電率を測
定した。その結果、実施例1−1〜45のポリイミドフ
ィルムは誘電率が3.0以下であり、比較例1のものに
比べて非常に低く、誘電特性に優れていることが確認さ
れた。
【0131】(e)加湿分解ガスの発生量 (b)と同様な方法でシリコン基板上にポリイミドフィ
ルムを形成した。これを、20℃、飽和水蒸気下で1週
間放置した。その後、ポリイミドフィルムをパイロホイ
ルに導入し、358℃で3秒間キューリーパイロライザ
ーで加熱し、発生したガス成分をGC−MASSにより
分析した。加湿分解ガスであるトルエンの発生量を、イ
オンクロマトグラフにおけるトルエンのシグナルの積分
値をサンプル1mgあたりに換算した値により評価し
た。この結果、実施例1−1〜45のポリイミドフィル
ムはトルエンガスの発生量が非常に少なく、環境安定性
に優れていることが確認された。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
【表3】
【0135】
【表4】
【0136】
【表5】
【0137】
【表6】
【0138】
【表7】 実施例2−1〜2−11 (1)含フッ素芳香族ジアミン化合物の合成 [合成例2A] 2,2−ビス[3−アミノ−5−(ト
リフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロプロパン(6Fm6FDA)の合成 (a)2,2−ビス[3−(トリフルオロメチル)フェ
ニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン(化合物2Aa)の合成 500mLのオートクレーブに、2,2−ビス(3−ヨ
ードフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパン44.5g(80.0mmol)、ヨウ化
トリフルオロメチル40.0g(204mmol)、乾
燥N,N−ジメチルホルムアミド150mL、および触
媒として銅粉を入れ、150℃で24時間加熱撹拌し
た。放冷後、反応液から銅粉をろ別し、ろ液を減圧下で
分別蒸留して、目的の化合物2Aaを得た。
【0139】 分子式:C178 12 分子量:440.227 収量:28.5g(64.7mmol) 収率:81% (b)2,2−ビス[3−ニトロ−5−(トリフルオロ
メチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン(化合物2Ab)の合成 (a)で得られた化合物2Aa 26.5g(60.2
mmol)を95%濃硫酸60mLに溶解し、90%発
煙硝酸20mLを滴下ロートでゆっくりと加え、50℃
で5時間加熱撹拌した。反応終了後、反応液を氷水に注
ぎ込み、生成物を塩化メチレン300mLで抽出した。
分液ロートにより抽出液を分取し、5%水酸化ナトリウ
ム水溶液300mLで2回、水300mLで1回洗浄し
た。無水硫酸ナトリウムで脱水した後、抽出液を減圧濃
縮し、残渣を熱エタノール溶液から再結晶し、目的の化
合物2Abを得た。
【0140】分子式:C176 122 4 分子量:
530.221 収量:28.0g(52.8mmol) 収率:88% 元素分析: 炭素 水素 フッ素 窒素 計算値 38.5% 1.1% 43.0% 5.3% 分析値 38.8% 1.2% 42.8% 5.3% (c)2,2−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロ
メチル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン(6Fm6FDA)の合成 (b)で得られた化合物2Ab 26.5g(50.0
mmol)、イソプロピルアルコール50mLおよび5
%−Pd/C還元剤(50%含水品)1.5gを還元装
置に入れ、水素雰囲気下、80℃で4時間反応させた。
反応終了後、吸引ろ過により不溶物を除去し、反応液を
減圧濃縮した。析出した粗結晶を熱エタノール溶液から
再結晶し、目的の6Fm6FDAを得た。
【0141】 分子式:C1710122 分子量:470.257 収量:21.5g(45.7mmol) 収率:91% 元素分析: 炭素 水素 フッ素 窒素 計算値 43.4% 2.1% 48.5% 6.0% 分析値 43.6% 2.2% 48.3% 5.9% 赤外吸収スペクトル(KBr法): 3480cm-1 N−H逆対称伸縮振動(第1級アミ
ン) 3390cm-1 N−H対称伸縮振動(第1級アミン) 1600cm-1 N−H面内変角(ハサミ)振動(芳香
族第1級アミン) 1320、1250、1220、1190、1140c
-1 C−F伸縮振動および変角振動(CF3 基) [合成例2B] 3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス
(トリフルオロメチル)ビフェニル(6FmBPDA)
の合成 3−ヨード−5−ニトロベンゾトリフルオリド15.9
g(50.2mmol)を、N,N’−ジメチルホルム
アミド50mLに溶解し、これに銅粉20gを加え、7
2時間加熱還流した。放冷後、吸引濾過により不溶物を
除去し、濾液を減圧濃縮および真空乾燥した。得られた
残渣をイソプロピルアルコール50mLに溶解し、これ
に5%−Pd/C還元剤(50%含水品)1.5gを加
え、水素雰囲気下、80℃で4時間反応させた。反応終
了後、吸引濾過により不溶物を除去し、反応液を減圧濃
縮し、粗結晶を析出させた。熱エタノール溶液から再結
晶し、目的の化合物(6FmBPDA)を得た。
【0142】 分子式:C14106 2 分子量:320.236 収量:10.9g(34.0mmol) 収率:68% 元素分析: 炭素 水素 フッ素 窒素 計算値 52.5% 3.1% 35.6% 8.7% 分析値 52.6% 3.0% 35.6% 8.8% 赤外吸収スペクトル(KBr法): 3500cm-1 N−H逆対称伸縮振動(第1級アミ
ン) 3400cm-1 N−H対称伸縮振動(第1級アミン) 1600cm-1 N−H面内変角(ハサミ)振動(芳香
族第1級アミン) 1320cm-1 CF3 対称変角振動 1200cm-1 C−N伸縮振動(第1級アミン) 1140cm-1 CF3 逆対称変角振動[合成例2C]
3,3’−ジアミノ−5,5’−ビスフルオロビフェ
ニル(2FmBPDA)の合成 3−フルオロ−5−ヨードニトロベンゼン13.4g
(50.2mmol)を用い、合成例2Bと同様な方法
により、目的の化合物(2FmBPDA)を得た。
【0143】 分子式:C12102 2 分子量:220.222 収量:7.1g(32.2mmol) 収率:64% 元素分析: 炭素 水素 フッ素 窒素 計算値 65.4% 4.6% 17.3% 12.7% 分析値 65.7% 4.6% 17.1% 12.6% 赤外吸収スペクトル(KBr法) 3520cm-1 N−H逆対称伸縮振動(第1級アミ
ン) 3420cm-1 N−H対称伸縮振動(第1級アミン) 1605cm-1 N−H面内変角(ハサミ)振動(芳香
族第1級アミン) 1240cm-1 C−F伸縮振動(フルオロベンゼン) 1205cm-1 C−N伸縮振動(第1級アミン) (2)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)の合成 表8および表9に示す原料を所定の配合比(モル当量で
表示)で用い、以下のようにしてポリアミド酸を合成し
た。まず、窒素ガス雰囲気下、冷媒により−5〜0℃に
冷却したセパラブルフラスコにN−メチル−2−ピロリ
ドン50mLを入れ、酸無水物成分として一般式(DA
H2)で表されるテトラカルボン酸二無水物の所定量を
加えて攪拌しながら溶解した。この溶液に、ジアミン成
分として上記のようにして合成された一般式(DA2)
で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物および一般式
(DA6)で表されるビス(アミノアルキル)パーアル
キルポリシロキサン化合物の所定量をN−メチル−2−
ピロリドンに溶解した溶液を圧力平衡管付き滴下ロート
からゆっくりと滴下した。6時間攪拌し、目的のポリア
ミド酸を含むワニスを得た。
【0144】表8および表9で用いた略号を説明する。 (テトラカルボン酸二無水物) PMA:ピロメリト酸二無水物 BPTA:3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物 ODPA:オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物 6FDPA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水
物 6FXTA:9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサ
ンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物 SNDPA:スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水
物 (ジアミン化合物) 6Fm6FDA:2,2−ビス[3−アミノ−5−(ト
リフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロプロパン 6FmBPDA:3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス
(トリフルオロメチル)ビフェニル 2FmBPDA:3,3’−ジアミノ−5,5’−フル
オロビフェニル TSL9306:1,3−ビス(3−アミノプロピル)
−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン (3)各種物性の測定 実施例1と同様にして、ポリアミド酸溶液の固有粘度、
ならびにポリイミドフィルムの分解開始温度、誘電率お
よび吸湿率を測定した結果を表8および表9に示す。そ
の結果、実施例2−1〜2−11のポリイミドフィルム
は、比較例1のものと同等の耐熱性を有し、しかも誘電
率が非常に低いことが確認された。
【0145】
【表8】
【0146】
【表9】 実施例3−1〜3−8 (1)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)の合成 表10に示す原料を所定の配合比(モル当量で表示)で
用い、以下のようにしてポリアミド酸を合成した。ま
ず、窒素ガス雰囲気下、冷媒により−5〜0℃に冷却し
たセパラブルフラスコにN−メチル−2−ピロリドン5
0mLを入れ、酸無水物成分として一般式(DAH1)
で表されるテトラカルボン酸二無水物の所定量を加えて
攪拌しながら溶解した。この溶液に、ジアミン成分とし
て一般式(DA5)で表される含フッ素芳香族ジアミン
化合物および一般式(DA6)で表されるビス(アミノ
アルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物の所定量
をN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液を圧力平
衡管付き滴下ロートからゆっくりと滴下した。6時間攪
拌し、目的のポリアミド酸を含むワニスを得た。
【0147】表10で用いた略号を説明する。 (テトラカルボン酸二無水物) PMA:ピロメリト酸二無水物 BPTA:3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物 ODPA:オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物 SNDPA:スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水
物 CBDPA:カルボニル−4,4’−ジフタル酸二無水
物 6FDPA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水
物 SXDPA:1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェ
ニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二
無水物 PODPA:1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェ
ノキシ)ベンゼン二無水物 (ジアミン化合物) 6FmSNDA:1,1’−ビス[3−アミノ−5−
(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン (2)各種物性の測定 実施例1と同様にして、ポリアミド酸溶液の固有粘度、
ならびにポリイミドフィルムの分解開始温度、誘電率お
よび吸湿率を測定した結果を表10に示す。その結果、
実施例3−1〜3−8のポリイミドフィルムは、十分な
耐熱性を有し、しかも誘電率が非常に低いことが確認さ
れた。
【0148】
【表10】 実施例4−1〜4−15 (1)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)の合成 表11および表12に示す原料を所定の配合比(モル当
量で表示)で用い、以下のようにしてポリアミド酸を合
成した。まず、窒素ガス雰囲気下、冷媒により−5〜0
℃に冷却したセパラブルフラスコにN−メチル−2−ピ
ロリドン50mLを入れ、酸無水物成分として一般式
(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の所
定量を加えて攪拌しながら溶解した。この溶液に、ジア
ミン成分として一般式(DA1)で表される芳香族ジア
ミン化合物、および一般式(DA6)で表されるビス
(アミノアルキル)パーアルキルポリシロキサン化合物
の所定量をN−メチル−2−ピロリドン50mLに溶解
した溶液を、圧力平衡管付き滴下ロートからゆっくりと
滴下した。6時間撹拌して、目的のポリアミド酸を含む
ワニスを得た。
【0149】表11および表12で用いた略号を説明す
る。 (テトラカルボン酸二無水物) 6FDPA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水
物 PMA:ピロメリト酸二無水物 ODPA:オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物 SNDPA:スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水
物 (マレイン酸無水物) MLA:マレイン酸無水物 (ジアミン化合物) mSNDA:スルホニル−3,3’−ジアニリン mPODA:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベ
ンゼン mODA:オキシ−3,3’−ジアニリン 6FmODA:オキシ−5,5’−ビス[3−(トリフ
ルオロメチル)アニリン] 3FmPODA:3,5−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゾトリフルオリド 6FmPODA:1,3−ビス[3−アミノ−5−(ト
リフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン 9FmPODA:3,5−ビス[3−アミノ−5−(ト
リフルオロメチル)フェノキシ)ベンゾトリフルオリド 3FmPDA:5−(トリフルオロメチル)−1,3−
フェニレンジアミン 6FmSNDA:1,1’−ビス[3−アミノ−5−
(トリフルオロメチル)フェニル]スルホン 2FmBPDA:3,3’−ジアミノ−5,5’−ジフ
ルオロビフェニル 6FmBPDA:3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス
(トリフルオロメチル)ビフェニル 6FpBPDA:4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス
(トリフルオロメチル)ビフェニル pODA:オキシ−4,4’−ジアニリン TSL9306:1,3−ビス(3−アミノプロピル)
−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン 合成されたそれぞれのポリアミド酸の0.5wt%N−
メチル−2−ピロリドン溶液の固有粘度を30℃におい
て測定した。これらの結果を表4に示す。表4から、マ
レイン酸無水物を用いた場合には、固有粘度0.5以下
という低粘度のポリアミド酸を合成できることが確認さ
れた。
【0150】
【表11】
【0151】
【表12】 (2)感光性ポリイミド前駆体の調製 実施例4−1 ポリアミド酸(4−1)の16重量%N−メチル−2−
ピロリドン溶液20gに、感光剤として2−N,N−ジ
メチルアミノエチルメタクリレート1.57g(0.0
1モル)および2,6−ジ(4−アジドベンザル)−4
−ヒドロキシシクロヘキサノン0.37g(0.001
モル)を溶解し、均一溶液とした後、孔径0.5μmの
フィルターでろ過して感光性ポリイミド前駆体を調製し
た。
【0152】実施例4−2〜4−15 表13および表14に示すように、ポリアミド酸の16
重量%N−メチル−2−ピロリドン溶液および感光剤、
ならびに必要に応じて増感剤を所定の配合比(重量で表
示)で用い、実施例4−1と同様にして感光性ポリイミ
ド前駆体を調製した。
【0153】表13および表14で用いた略号を説明す
る。 (感光剤) DMAEA:2−N,N−ジメチルアミノエチルアクリ
レート DMAEM:2−N,N−ジメチルアミノエチルメタク
リレート DMABM:4−N,N−ジメチルアミノブチルメタク
リレート DABMCH:2,6−ジ(4−アジドベンザル)−4
−メチルシクロヘキサノン DABHCH:2,6−ジ(4−アジドベンザル)−4
−ヒドロキシシクロヘキサノン (増感剤) BDMK:ベンジルジメチルケタール
【0154】
【表13】
【0155】
【表14】 (3)感光特性の評価 得られた各感光性ポリイミド前駆体について、以下に示
す方法に従って感光特性を評価した。まず、感光性ポリ
イミド前駆体を、シリコン基板上にスピンコートし、9
0℃で6分間加熱乾燥して、4〜6μm厚の塗膜を形成
した。次に、露光装置(キャノン社製、PLA−500
F)を用い、塗膜の上に設けたマスクを通して紫外線を
照射した。次いで、N−メチル−2−ピロリドン4容量
部およびイソプロピルアルコール1容量部からなる現像
液で現像し、さらにエタノールでリンスし、レリーフパ
ターンを形成した。こうして形成されたレリーフパター
ンの断面を走査型電子顕微鏡により観察した。表15に
初期膜厚、光照射量、現像時間、残膜率、および解像度
を示す。
【0156】表15に示されるように、最小線幅4μm
のレリーフパターンが得られた。なお、レリーフパター
ンが形成された各シリコン基板を400℃で90分間加
熱しても、レリーフパターンの変形は認められなかっ
た。
【0157】
【表15】 (4)トレンチへの充填性 6インチ径のシリコン基板表面にアルミニウムを堆積
し、パターニングしてライン・アンド・スペース0.3
μmで深さ1.2μmのトレンチを形成した。各感光性
ポリイミド前駆体をスピンコートし、90℃で1時間、
150℃で30分、250℃で30分、400℃で1時
間加熱処理して、ポリイミドフィルムを形成した。その
後、トレンチの断面を走査型電子顕微鏡により観察し、
トレンチに対する充填性を検討した。その結果、実施例
4−1〜15ではトレンチがポリイミドで隙間なく完全
に埋められていた。これに対して、比較例6および7で
はトレンチがポリイミドで完全に充填されず、大きな隙
間が残存していることが確認された。このようにポリイ
ミドの分子構造により、感光性ポリイミド前駆体溶液の
流動性および流延性に大きな差があることがわかった。 実施例5 窒素導入管を有する100mLの4口フラスコに、1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピ
リデン−4,4’−ジフタル酸二無水物(6FDPA)
8.88g(0.02モル)および2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート5.2g(0.04モル)を入れた。
この溶液を室温で6日間撹拌して6FDPAのジエステ
ルを得た。この溶液を−15℃に保持し、塩化チオニル
を徐々に添加した。その後、撹拌を続けながら、反応液
の温度を徐々に上げて5℃に保持し、4時間反応させ
た。この溶液に、1,3−ビス(3−アミノ−5−トリ
フルオロメチルフェノキシ)ベンゼン7.04g(0.
02モル)およびトリメチルアミン4.4g(0.04
4モル)をN−メチル−2−ピロリドン25gに溶解し
た溶液を徐々に加えた。この溶液を、窒素雰囲気下、5
℃に保持し、8時間撹拌を続けた後、減圧ろ過して生成
した沈殿を除去した。ろ液を水中にデカントし、ポリア
ミド酸誘導体の沈殿を析出させた。
【0158】このポリアミド酸誘導体3.0gをN−メ
チル−2−ピロリドン12g中に溶解し、光重合開始剤
として4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノ
ン0.05gおよび2−メチル−1−[4−(メチルチ
オ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1 0.
01gを添加し、0.5μmのフィルターでろ過して、
感光性ポリイミド前駆体を得た。
【0159】この感光性ポリイミド前駆体を、シリコン
基板上にスピンコートし、90℃で5分間加熱乾燥し
た。次に、露光装置(キャノン社製、PLA−500
F)を用い、塗膜の上に設けたマスクを通して紫外線を
60秒間照射して露光した。次いで、N−メチル−2−
ピロリドン7容量部およびメタノール3容量部からなる
現像液で現像し、水でリンスした。さらに、150℃で
30分間、250℃で30分間、350℃で60分間加
熱処理して、膜厚5μm、ライン・アンド・スペース6
μmのレリーフパターンを得た。
【0160】こうしてレリーフパターンが形成されたシ
リコン基板を400℃で90分間加熱しても、レリーフ
パターンの変形は認められなかった。
【0161】また、実施例4(4)と同様に、ライン・
アンド・スペース0.3μm、深さ12μmのアルミニ
ウムパターンを設けたシリコン基板を用い、感光性ポリ
イミド前駆体のトレンチへの充填性を調べた。その結
果、トレンチはポリイミドで完全に充填され、トレンチ
表面の平坦性も良好であった。
【0162】実施例6−1〜6−3および比較例6(液
晶表示素子) (1)液晶セルの作製 実施例6−1 実施例1−3で合成したポリアミド酸のN−メチル−2
−ピロリドン溶液をブチルセロソルブアセテートで希釈
して濃度8重量%の溶液を調製した。この溶液を孔径
0.2μmのフィルターでろ過してゴミなどの不溶物を
除去した後、スクリーン印刷によりITO電極が形成さ
れたガラス基板上に塗布した。このガラス基板を100
℃で5分間乾燥し、150℃で30分間、250℃で3
0分間の熱処理を施して、60nmのポリイミドフィル
ムを形成した。次に、ナイロン製の布を巻き付けたロー
ルを有するラビングマシーンを用い、ロールの回転数4
50RPM、ステージ移動速度1cm/秒で、このポリ
イミドフィルムにラビング処理を施して液晶配向膜とし
た。このようにしてラビング処理された液晶配向膜を有
する1対のガラス基板を作製した。これらのガラス基板
の周縁部を、スペーサーとしてのビーズを含有するエポ
キシ系接着剤を180℃で加熱して硬化させることによ
り互いに接着させ、セルギャップ10μmのセルを作製
した。最後に、液晶注入口よりネマチック液晶(メルク
社製、ZLI−1565)を注入し、注入口を光硬化型
エポキシ樹脂で封止して、試験用液晶セルを作製した。
【0163】実施例6−2および6−3 実施例1−3のポリアミド酸の代わりに、実施例1−3
9または実施例3−9で合成したポリアミド酸を用いた
以外は、実施例6−1と全く同様にして試験用液晶セル
を作製した。
【0164】比較例6 撹拌棒、温度計、窒素導入管を取付けた4口フラスコ
に、ピロメリット酸二無水物10.921g(0.05
モル)およびN−メチル−2−ピロリドン60gを入
れ、脱水した窒素を流しながら撹拌して懸濁液とした。
この懸濁液を5℃に保持し、1,1,1,3,3,3−
ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]プロパン24.892g(0.04
8モル)および1,3−ビス(3−アミノプロピル)−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.495
g(0.002モル)をN−メチル−2−ピロリドン1
20gに溶解した溶液を徐々に添加した。その後、5℃
〜室温で6時間撹拌を続け、ポリアミド酸を合成した。
この溶液50gに、N−メチル−2−ピロリドン35g
およびブチルセロソルブアセテート25gを加えて、8
重量%のポリアミド酸溶液を調製した。この溶液を用
い、実施例6−1と同様な方法により試験用液晶セルを
作製した。
【0165】(2)配向特性の評価 これらの液晶セルについて、プレチルト角および電圧保
持率を測定することにより、配向特性を評価した。
【0166】ここで、プレチルト角は、ジャーナル・オ
ブ・アプライド・フィジックス、第9巻、No.10、
2013〜4頁(1980)に記載されている方法によ
り測定した。
【0167】電圧保持率は、液晶セルの電極に印加され
た書き込み電圧が、次の書き込みまでの間(フレーム周
期16msec)に保持される割合である。この電圧保
持率は、図8(a)に示す測定回路を用いて以下のよう
にして測定した。すなわち、TFTのソースに、図8
(b)に示すように、パルス幅65μs、周波数60H
z、波高±5Vの矩形波Vsを印加し、ドレイン電圧V
D をモニターした。図8(c)に示すように、VD は次
のパルス電圧が印加されるまでの間に減衰する。そし
て、図8(c)において、破線とV=0との間の面積
(VD が減衰しなかった場合の電圧積分値)に対する、
モニターされたVD とV=0との間の斜線部の面積(実
際に電極に印加される電圧積分値)の割合を電圧保持率
とする。なお、電圧保持率は90℃において測定した。
【0168】これらの測定結果を表16に示す。表16
から、実施例6−1〜3のポリイミドからなる液晶配向
膜を用いた液晶セルは、望ましいプレチルト角と高い電
圧保持率を有している。このことは、コントラストおよ
び視認性に優れた液晶表示素子を実現できることを示
し、大型化、カラー化に好適である。
【0169】
【表16】 実施例7−1〜7〜16および比較例7−1〜7−4 (1)ビスマレイミド化合物の合成 [合成例7A] 3,3’−ジマレイミド−5,5’−
ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(6FmBPD
M)の合成 フラスコにジメチルホルムアミド50mLを入れて撹拌
しながら無水マレイン酸10.8g(110mmol)
を溶解した。室温でこの溶液に、3,3’−ジアミノ−
5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(6
FmBPDA)16.0g(50.0mmol)をジメ
チルホルムアミド50mLに溶解した溶液を滴下ロート
からゆっくりと滴下した。3時間撹拌後、トリエチルア
ミン2.4g、酸化マグネシウム(II)100mg、
および酢酸コバルト(II)・4水和物10mgを添加
し、室温で無水酢酸13gを滴下ロートから30分かけ
て滴下した。さらに3時間撹拌し、反応液に水1Lを少
しずつ加え、析出した粗結晶をろ取した。得られた粗結
晶を少量のジメチルホルムアミドに溶解し、この溶液を
水1Lにデカントして、結晶を析出させた。この操作を
もう一度繰り返し、精製した結晶をろ取した。この結晶
を真空乾燥して目的の化合物(6FmBPDM)を得
た。
【0170】分子式:C22106 2 4 分子量:
480.320 収量:23.3g(48.5mmol) 収率:97% 元素分析: 炭素 水素 フッ素 窒素 計算値 55.0% 2.1% 23.7% 5.8% 分析値 55.0% 2.1% 23.8% 5.8% 赤外吸収スペクトル: 1780、1720cm-1 C=O伸縮振動(環状イミ
ド) 1320、1140cm-1 C−F対称変角振動(CF
3 基) [合成例7B] ビス[3−マレイミド−5−(トリフ
ルオロメチル)フェニル]エーテル(6FmODM)の
合成 6FmBPDAの代わりに、オキシ−5,5’−ビス
(3−トリフルオロメチルアニリン)(6FmODA)
16.8g(50.0mmol)を用い、合成例7Aと
同様な方法により、目的の化合物(6FmODM)を得
た。
【0171】分子式:C22106 2 5 分子量:
496.319 収量:23.6g(47.6mmol) 収率:95% 元素分析: 炭素 水素 フッ素 窒素 計算値 53.2% 2.0% 23.0% 5.6% 分析値 53.3% 2.0% 22.9% 5.7% 赤外吸収スペクトル: 1780、1720cm-1 C=O伸縮振動(環状イミ
ド) 1320cm-1 C−F対称変角振動(CF3 基) 1245cm-1 C−O−C逆対称伸縮振動(芳香族エ
ーテル) 1140cm-1 C−F対称変角振動(CF3 基) [合成例7C] ビス[3−マレイミド−5−(トリフ
ルオロメチル)フェニル]スルホン(6FmSNDM)
の合成 6FmBPDAの代わりに、1,1’−ビス[3−(ト
リフルオロメチル)フェニル]スルホン(6FmSND
A)19.2g(50.0mmol)を用い、合成例7
Aと同様な方法により、目的の化合物(6FmSND
M)を得た。
【0172】分子式:C22106 2 6 S 分子
量:544.378 収量:25.6g(47.0mmol) 収率:94% 元素分析: 炭素 水素 フッ素 窒素 硫黄 計算値 48.5% 1.9% 20.9% 5.2% 5.9% 分析値 48.6% 1.8% 21.0% 5.1% 5.9% 赤外吸収スペクトル: 1780、1720cm-1 C=O伸縮振動(環状イミ
ド) 1320cm-1 C−F対称変角振動(CF3 基) 1310cm-1 S=O逆対称伸縮振動(スルホン) 1160cm-1 S=O対称変角振動(スルホン) 1140cm-1 C−F対称変角振動(CF3 基) [合成例7D] 2,2−ビス[3−マレイミド−5−
(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロプロパン(6Fm6FDM)の
合成 6FmBPDAの代わりに、2,2−ビス[3−アミノ
−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(6Fm6F
DA)23.5g(50.0mmol)を用い、合成例
7Aと同様な方法により、目的の化合物(6Fm6FD
M)を得た。
【0173】分子式:C2510122 4 分子量:
630.341 収量:29.0g(46.0mmol) 収率:92% 元素分析: 炭素 水素 フッ素 窒素 計算値 47.6% 1.6% 36.2% 4.4% 分析値 47.7% 1.6% 36.1% 4.5% 赤外吸収スペクトル: 1780、1720cm-1 C=O伸縮振動(環状イミ
ド) 1320、1250、1220、1190、1140c
-1 C−F伸縮振動および変角振動(CF3 基) (2)ビスマレイミド系樹脂ワニスの調製 表17〜表19に示すように、ビスマレイミド化合物お
よび芳香族ジアミン化合物または2価フェノール化合物
を所定の配合比(モル当量で表示)で用い、N,N−ジ
メチルアセトアミドに溶解し、樹脂組成物の50wt%
溶液を調製した。この溶液を80℃で約1時間加熱し
て、ビスマレイミド化合物とジアミン化合物または2価
フェノール化合物とをいくぶん反応させた(A−sta
ge化)後、溶液の粘度が1ポイズ程度になるまでN,
N−ジメチルアセトアミドを加えて、ビスマレイミド系
樹脂のワニスを調製した。
【0174】表17〜表19で用いた略語を以下に説明
する。 (ビスマレイミド化合物) 6FmBPDM:3,3’−ジマレイミド−5,5’−
ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル 6FmODM:ビス[3−マレイミド−5−(トリフル
オロメチル)フェニル]エーテル 6FmSNDM:ビス[3−マレイミド−5−(トリフ
ルオロメチル)フェニル]スルホン 6Fm6FDM:2,2−ビス[3−マレイミド−5−
(トリフルオロメチル)フェニル]−1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロプロパン pMDM:ビス(4−マレイミドフェニル)メタン p6FDM:2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン (芳香族ジアミン化合物) pODA:オキシ−4,4’−ジアニリン m6FDA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2,2−プロピリデン−3,3’−ジアニリン 6FpBPDA:4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス
(トリフルオロメチル)ビフェニル pMDA:メチレン−4,4’−ジアニリン p6FDA:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニリン (2価フェノール化合物) p6FDP:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフェノール なお、比較例8−1、8−2は、一般式(DM1)に含
まれないビスマレイミド化合物を用いたものである。
【0175】 (3)ビスマレイミド系硬化樹脂フィルムの物性の測定 (a)分解開始温度ビスマレイミド系樹脂のワニスを、
1mm×130mm×150mmの大きさのガラス板上
に、バーコーターにより75μmの厚さに塗布した後、
110℃で1時間プリベークした。これを、窒素ガスを
導入した乾燥器中で、室温から昇温して、150℃、2
50℃、および350℃の各温度で1時間ずつ加熱し、
最後に400℃で30分間加熱することにより、ビスマ
レイミド系硬化樹脂フィルムを形成した。なお、各温度
の間の昇温時間は1時間とした。得られたビスマレイミ
ド系硬化樹脂フィルムについて、窒素気流中で熱重量分
析/示差熱分析(TG/DTA)を行い、0.5wt%
の重量減少が生じる温度を測定し、ビスマレイミド系硬
化樹脂フィルムの分解開始温度を決定した。その結果、
実施例8−1〜16のビスマレイミド系硬化樹脂フィル
ムは比較例のものと同等以上の耐熱性を有することが確
認された。
【0176】(b)誘電率 ビスマレイミド系樹脂のワニスを、1mm×100mm
×100mmの大きさのアルミニウム板上に、硬化後の
膜厚が40〜60μmとなるように2〜4回スピンコー
トした。これを、窒素ガスを導入した乾燥器中で、室温
から昇温して、150℃、250℃、および350℃の
各温度で1時間ずつ加熱し、最後に400℃で30分間
加熱することにより、ビスマレイミド系硬化樹脂フィル
ムを形成した。なお、各温度の間の昇温時間は30分間
とした。得られたビスマレイミド系硬化樹脂フィルムに
ついて、100kHzにおける誘電率を測定した。その
結果、実施例8−1〜16のビスマレイミド系硬化樹脂
フィルムは誘電率が3.0以下と低く、一般的に用いら
れている比較例1のものに比べて誘電特性に優れている
ことが確認された。
【0177】(c)加湿分解ガスの発生量 ビスマレイミド系樹脂のワニスを、4インチ径のシリコ
ン基板上に、硬化後の膜厚が5〜10μmとなるように
スピンコートした。これを、窒素ガスを導入した乾燥器
中で、室温から昇温して、150℃、250℃、および
350℃の各温度で1時間ずつ加熱し、最後に400℃
で30分間加熱することにより、ビスマレイミド系硬化
樹脂フィルムを形成した。なお、各温度の間の昇温時間
は30分間とした。ビスマレイミド系硬化樹脂フィルム
が形成されたシリコン基板を、20℃、飽和水蒸気下で
1週間放置した。その後、ビスマレイミド系硬化樹脂フ
ィルムをパイロホイルに導入し、358℃で3秒間キュ
ーリーパイロライザーで加熱し、発生したガス成分をG
C−MASSにより分析した。加湿分解ガスであるトル
エンの発生量を、イオンクロマトグラフにおけるトルエ
ンのシグナルの積分値をサンプル1mgあたりに換算し
た値により評価した。この結果、実施例8−1〜16の
ビスマレイミド系硬化樹脂フィルムは、比較例のものに
比べて、トルエンガスの発生量が非常に少なく、環境安
定性に優れていることが確認された。
【0178】
【表17】
【0179】
【表18】
【0180】
【表19】
【0181】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、微
細な凹凸を有する基板上に平坦性に優れた膜を形成で
き、しかも低誘電率、低吸湿性であり、耐環境安定性に
優れたポリイミド樹脂またはビスマレイミド系硬化樹脂
の前駆体を提供できる。さらに、上記のような樹脂を絶
縁部材として具備し、高速動作および省電力を実現で
き、しかも信頼性の高い電子部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る前駆体から製造されるポリ
イミド樹脂からなる層間絶縁膜を有する半導体デバイス
の断面図、
【図2】図2は本発明に係る前駆体から製造されるポリ
イミド樹脂からなるパッシベーション膜を有する半導体
チップを樹脂モールドしたパッケージの断面図、
【図3】図3は本発明に係る前駆体から製造されるポリ
イミド樹脂からなる層間絶縁膜を有する薄膜磁気ヘッド
の断面図、
【図4】図4は本発明に係る前駆体から製造されるポリ
イミド樹脂からなる層間絶縁膜を有する高密度配線板の
断面図、
【図5】図5は本発明に係る前駆体から製造されるポリ
イミド樹脂からなる層間絶縁膜を有する磁気バブルメモ
リ素子の断面図、
【図6】図6は本発明に係る前駆体から製造されるポリ
イミド樹脂からなる耐熱性透明樹脂層を有する太陽電池
の断面図、
【図7】図7は本発明に係る前駆体から製造されるポリ
イミド樹脂からなる液晶配向膜を有する液晶表示素子の
断面図、
【図8】図8は液晶表示素子のプレチルト角および電圧
保持率を測定するために用いられる回路の回路図、なら
びにVS およびVD の波形図である。
【符号の説明】
11…シリコン基板、12…フィールド酸化膜、13…
拡散層、14…熱酸化膜、15…CVD酸化膜、16…
第1層のAl電極、17…層間絶縁膜、18…第2層の
Al電極、19…パッシベーション膜、20…半導体チ
ップ、21…ベッド、22…リード、23…ワイヤ、2
4…封止樹脂、31…基板、32…下部アルミナ、33
…下部磁性体、34…ギャップアルミナ、35…層間絶
縁膜、36…第1導体コイル、37…第2導体コイル、
38…上部磁性体、41…シリコン基板、42…熱酸化
膜、43…第1層の銅配線、44…層間絶縁膜、45…
第2層の銅電極、46…パッシベーション膜、47…バ
リアメタル、48…Pb/Smバンプ、51…ガーネッ
ト基板、52…コンダクタ、53…層間絶縁膜、54…
パーマロイ、61…ガラス基板、62…耐熱性透明樹脂
層、63…透明電極、64…アモルファスSi、65…
金属電極、71…ガラス基板、72…画素電極、73…
液晶配向膜、74…ガラス基板、75…共通電極、76
…液晶配向膜、77…液晶。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年6月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】ポリイミド前駆体、含フッ素芳香族ジア
ミン化合物、ビスマレイミド系硬化樹脂前駆体および電
子部品
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 (X1 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
2価のオキシ基、チオ基、スルホニル基、カルボニル
基、パーアルキルポリシロキサニレン基、非置換もしく
はフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基または単結
合を示し、R1 はそれぞれ同一であっても異なっていて
もよく、フルオロ基、非置換もしくはフルオロ基で置換
された脂肪族炭化水素基を示し、a、bおよびcは0〜
4の整数、iは1〜6の整数、jは0〜6の整数、kは
0または1である。)で表される芳香族ジアミン化合物
0.40モル当量以上を含有するジアミン成分0.97
〜1.03モル当量と、下記一般式(DAH1)
【化2】 (Yは4価の有機基を示す。)で表されるテトラカルボ
ン酸二無水物(1−n1 /2)モル当量、ならびにマレ
イン酸無水物およびマレイン酸誘導体無水物より選ばれ
た少なくとも1種n1 モル当量(n1 は0.02〜0.
40)を含有する酸無水物成分とを重合させた構造を有
することを特徴とするポリイミド前駆体。
【化3】 (X2 はパーフルオロアルキレン基、パーフルオロアル
キリデン基、スルホニル基、または単結合を示し、R0
はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、フルオ
ロ基、または非置換もしくはフルオロ基で置換された脂
肪族炭化水素基を示し、R2 はそれぞれ同一であっても
異なっていてもよく、フルオロ基、非置換もしくはフル
オロ基で置換された脂肪族炭化水素基または水素原子を
示し、少なくとも1個はフルオロ基またはフルオロ基で
置換された脂肪族炭化水素基であり、aおよびbは0〜
3の整数である。)で表される含フッ素芳香族ジアミン
化合物0.10モル当量以上を含有するアミン成分と、
下記一般式(DAH1)
【化4】 (Yは4価の有機基を示す。)で表されるテトラカルボ
ン酸二無水物0.80モル当量以上を含有する酸無水物
成分とを重合させた構造を有することを特徴とするポリ
イミド前駆体。
【化5】 (Yは4価の有機基、Lは上記一般式(DA1)で表さ
れるジアミン化合物の残基からなる2価の有機基であ
り、D1 はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、感光
性の有機基または水酸基を示し、少なくとも一方は感光
性の有機基である。)で表される繰り返し単位を有する
ポリアミド酸誘導体と、光重合開始剤とを含有すること
を特徴とするポリイミド前駆体。
【化6】 (式中、X3 はパーフルオロアルキレン基またはパーフ
ルオロアルキリデン基、R0 はそれぞれ同一であっても
異なっていてもよく、フルオロ基、または非置換もしく
はフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基を示し、R
2 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、フル
オロ基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族
炭化水素基または水素原子を示し、少なくとも1個はフ
ルオロ基またはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素
基であり、aおよびbは0〜3の整数である。)のいず
れかで表される含フッ素芳香族ジアミン化合物。
【化7】 (X31は2価のオキシ基、チオ基、スルホニル基、カル
ボニル基、パーアルキルポリシロキサニレン基、1,3
−フェニレンジオキシ基、1,4−フェニレンジオキシ
基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化
水素基、または単結合を示し、R31はそれぞれ同一でも
異なっていてもよく、フルオロ基または非置換もしくは
フルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基を示し、少な
くとも1個はフルオロ基またはフルオロ基で置換された
脂肪族炭化水素基であり、R32はそれぞれ同一でも異な
っていてもよく、ハロゲン基、非置換もしくはフルオロ
基で置換された脂肪族炭化水素基、または水素原子を示
し、aおよびbは1〜4の整数である。)で表されるビ
スマレイミド化合物1モル当量と、下記一般式(DA1
1)で表されるジアミン化合物および下記一般式(DP
1)で表される2価フェノール化合物
【化8】 (一般式(DA11)においてX32は2価の有機基を示
し、一般式(DP1)においてX33は2価の有機基を示
し、Arは芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示
し、nは0または1である。)からなる群より選択され
る少なくとも1種の化合物0.01〜2モル当量とを反
応させた構造を有することを特徴とするビスマレイミド
系硬化樹脂前駆体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】
【化9】 (Yは4価の有機基を示す。)で表されるテトラカルボ
ン酸二無水物0.80モル当量以上を含有する酸無水物
成分とを重合させた構造を有することを特徴とするもの
である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】本発明の含フッ素芳香族ジアミン化合物
は、下記一般式(DA3)および(DA4)
【化10】 (式中、X3 はパーフルオロアルキレン基またはパーフ
ルオロアルキリデン基、R0 はそれぞれ同一であっても
異なっていてもよく、フルオロ基、または非置換もしく
はフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基を示し、R
2 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、フル
オロ基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族
炭化水素基または水素原子を示し、少なくとも1個はフ
ルオロ基またはフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素
基であり、aおよびbは0〜3の整数である。)のいず
れかで表されるものである。本発明のビスマレイミド系
硬化樹脂前駆体は、下記一般式(DM1)
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】次に、本発明に係る第2のポリイミド前駆
体(ポリアミド酸)について説明する。このポリイミド
前駆体は、前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳
香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するア
ミン成分と、前記一般式(DAH1)で表されるテトラ
カルボン酸二無水物0.80モル当量以上を含有する酸
無水物成分とを重合させた構造を有することを特徴とす
るものである。このポリイミド前駆体は、より具体的に
は、(a)前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳
香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するジ
アミン化合物0.97〜1.03モル当量と、(b)前
記一般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無
水物(1−n2 /2)モル当量およびジカルボン酸無水
物n2 モル当量(n2 は0〜0.4)とを重合させた構
造、または(a’)前記一般式(DA2)で表される含
フッ素芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含
有するジアミン化合物(1−n3 /2)モル当量および
モノアミン化合物n3 モル当量(n3 は0〜0.4)
と、(b’)前記一般式(DAH1)で表されるテトラ
カルボン酸二無水物0.97〜1.03モル当量とを重
合させた構造を有するものである。このポリイミド前駆
体は、本発明に係る第1のポリイミド前駆体と異なり、
原料としてマレイン酸無水物またはマレイン酸誘導体無
水物を含んでいる必要はない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0177
【補正方法】変更
【補正内容】
【0177】(c)加湿分解ガスの発生量 ビスマレイミド系樹脂のワニスを、4インチ径のシリコ
ン基板上に、硬化後の膜厚が5〜10μmとなるように
スピンコートした。これを、窒素ガスを導入した乾燥器
中で、室温から昇温して、150℃、250℃、および
350℃の各温度で1時間ずつ加熱し、最後に400℃
で30分間加熱することにより、ビスマレイミド系硬化
樹脂フィルムを形成した。なお、各温度の間の昇温時間
は30分間とした。ビスマレイミド系硬化樹脂フィルム
が形成されたシリコン基板を、20℃、飽和水蒸気下で
1週間放置した。その後、ビスマレイミド系硬化樹脂フ
ィルムをパイロホイルに導入し、358℃で3秒間キュ
ーリーパイロライザーで加熱し、発生したガス成分をG
C−MASSにより分析した。加湿分解ガスであるアニ
リンの発生量を、イオンクロマトグラフにおけるアニリ
ンのシグナルの積分値をサンプル1mgあたりに換算し
た値により評価した。この結果、実施例8−1〜16の
ビスマレイミド系硬化樹脂フィルムは、比較例のものに
比べて、アニリンガスの発生量が非常に少なく、環境安
定性に優れていることが確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 真竹 茂 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 早瀬 修二 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 御子柴 智 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(DA1) 【化1】 (X1 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
    2価のオキシ基、チオ基、スルホニル基、カルボニル
    基、パーアルキルポリシロキサニレン基、非置換もしく
    はフルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基または単結
    合を示し、R1 はそれぞれ同一であっても異なっていて
    もよく、フルオロ基、非置換もしくはフルオロ基で置換
    された脂肪族炭化水素基を示し、a、bおよびcは0〜
    4の整数、iは1〜6の整数、jは0〜6の整数、kは
    0または1である。)で表される芳香族ジアミン化合物
    0.40モル当量以上を含有するジアミン成分0.97
    〜1.03モル当量と、下記一般式(DAH1) 【化2】 (Yは4価の有機基を示す。)で表されるテトラカルボ
    ン酸二無水物(1−n1 /2)モル当量、ならびにマレ
    イン酸無水物およびマレイン酸誘導体無水物より選ばれ
    た少なくとも1種n1 モル当量(n1 は0.02〜0.
    40)を含有する酸無水物成分とを重合させた構造を有
    することを特徴とするポリイミド前駆体。
  2. 【請求項2】下記一般式(DA2) 【化3】 (X2 はパーフルオロアルキレン基、パーフルオロアル
    キリデン基、スルホニル基、または単結合を示し、R0
    はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、フルオ
    ロ基、または非置換もしくはフルオロ基で置換された脂
    肪族炭化水素基を示し、R2 はそれぞれ同一であっても
    異なっていてもよく、フルオロ基、非置換もしくはフル
    オロ基で置換された脂肪族炭化水素基または水素原子を
    示し、少なくとも1個はフルオロ基またはフルオロ基で
    置換された脂肪族炭化水素基であり、aおよびbは0〜
    3の整数である。)で表される含フッ素芳香族ジアミン
    化合物0.10モル当量以上を含有するアミン成分と、
    下記一般式(DAH1) 【化4】 (Yは4価の有機基を示す。)で表されるテトラカルボ
    ン酸二無水物0.80〜0.99モル当量を含有する酸
    無水物成分とを重合させた構造を有することを特徴とす
    るポリイミド前駆体。
  3. 【請求項3】前記一般式(DA2)で表される含フッ素
    芳香族ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有する
    ジアミン化合物0.97〜1.03モル当量と、前記一
    般式(DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物
    (1−n2 /2)モル当量およびジカルボン酸無水物n
    2 モル当量(n2 は0〜0.4)とを重合させた構造、
    または前記一般式(DA2)で表される含フッ素芳香族
    ジアミン化合物0.10モル当量以上を含有するジアミ
    ン化合物(1−n3 /2)モル当量およびモノアミン化
    合物n3 モル当量(n3 は0〜0.4)と、前記一般式
    (DAH1)で表されるテトラカルボン酸二無水物0.
    97〜1.03モル当量とを重合させた構造を有するこ
    とを特徴とする請求項2記載のポリイミド前駆体。
  4. 【請求項4】さらに感光剤を含有することを特徴とする
    請求項1または2記載のポリイミド前駆体。
  5. 【請求項5】下記一般式(PA11) 【化5】 (Yは4価の有機基、Lは上記一般式(DA1)で表さ
    れるジアミン化合物の残基からなる2価の有機基であ
    り、D1 はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、感光
    性の有機基または水酸基を示し、少なくとも一方は感光
    性の有機基である。)で表される繰り返し単位を有する
    ポリアミド酸誘導体と、光重合開始剤とを含有すること
    を特徴とするポリイミド前駆体。
  6. 【請求項6】下記一般式(DM1) 【化6】 (X31は2価のオキシ基、チオ基、スルホニル基、カル
    ボニル基、パーアルキルポリシロキサニレン基、1,3
    −フェニレンジオキシ基、1,4−フェニレンジオキシ
    基、非置換もしくはフルオロ基で置換された脂肪族炭化
    水素基、または単結合を示し、R31はそれぞれ同一でも
    異なっていてもよく、フルオロ基または非置換もしくは
    フルオロ基で置換された脂肪族炭化水素基を示し、少な
    くとも1個はフルオロ基またはフルオロ基で置換された
    脂肪族炭化水素基であり、R32はそれぞれ同一でも異な
    っていてもよく、ハロゲン基、非置換もしくはフルオロ
    基で置換された脂肪族炭化水素基、または水素原子を示
    し、aおよびbは1〜4の整数である。)で表されるビ
    スマレイミド化合物1モル当量と、下記一般式(DA1
    1)で表されるジアミン化合物および下記一般式(DP
    1)で表される2価フェノール化合物 【化7】 (一般式(DA11)においてX32は2価の有機基を示
    し、一般式(DP1)においてX33は2価の有機基を示
    し、Arは芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示
    し、nは0または1である。)からなる群より選択され
    る少なくとも1種の化合物0.01〜2モル当量とを反
    応させた構造を有することを特徴とするビスマレイミド
    系硬化樹脂前駆体。
  7. 【請求項7】請求項1、2または5記載のポリイミド前
    駆体を硬化させてなることを特徴とするポリイミド樹
    脂。
  8. 【請求項8】請求項6記載のビスマレイミド系硬化樹脂
    前駆体を硬化させてなることを特徴とするビスマレイミ
    ド系硬化樹脂。
  9. 【請求項9】請求項1、3または5記載のポリイミド前
    駆体を硬化させてなるポリイミド樹脂を絶縁部材として
    含有することを特徴とする電子部品。
  10. 【請求項10】請求項6記載のビスマレイミド系硬化樹
    脂前駆体を硬化させてなるビスマレイミド系硬化樹脂を
    絶縁部材として含有することを特徴とする電子部品。
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