JP5120345B2 - ポリイミドガス分離膜およびガス分離方法 - Google Patents
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本発明は、下記一般式(1)で示される反復単位からなる芳香族ポリイミドで形成されたガス分離膜に関する。
式中、Bは、その90〜10モル%が、下記化学式(B1)で示される1,4−ビス(4−フェノキシ)ベンゼン構造に基づく2価の基B1であり、
その5〜45モル%が、下記化学式(B2)で示される3,4’−ジフェニルエーテル構造に基づく2価の基B2であり、
その5〜60モル%が、B1,B2以外の単数もしくは複数の芳香環を有する2価の基B3である。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン
からなる群から選ばれる少なくとも1種のジアミンから、アミノ基を除いた2価の残基であることを特徴とする前記ガス分離膜に関する。
式中、Bは、その90〜10モル%が、下記化学式(B1)で示される1,4−ビス(4−フェノキシ)ベンゼン構造に基づく2価の基B1であり、
その5〜45モル%が、下記化学式(B2)で示される3,4’−ジフェニルエーテル構造に基づく2価の基B2であり、
その5〜60モル%が、B1,B2以外の単数もしくは複数の芳香環を有する2価の基B3である。
(a)芳香族テトラカルボン酸類、好ましくはビフェニルテトラカルボン酸類を主成分とする(好ましくはビフェニルテトラカルボン酸類を80モル%以上、特に好ましくはビフェニルテトラカルボン酸類を90〜100モル%含有する)芳香族テトラカルボン酸成分と、
(b)『1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPEQ)』を全ジアミン中の5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは20モル%以上、90モル%以下、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、特に好ましくは60モル%以下含有し、
『3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34DADE)』を全ジアミン中の5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは20モル%以上、45モル%以下、好ましくは40モル%以下含有し、
TPEQおよび34DADE以外の単数または複数の芳香環を有する芳香族ジアミンを5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは20モル%以上、60モル%以下、好ましくは55モル%以下、より好ましくは50モル%以下、特に好ましくは45モル%以下含有する芳香族ジアミン成分とを、
フェノール系化合物などの有機溶媒中、重合、イミド化して製造することができる。
B1を導入するための芳香族ジアミン成分としては、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPEQ)が挙げられる。
B2を導入するための芳香族ジアミン成分としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34DADE)が挙げられる。
B3を導入するための芳香族ジアミン成分として、単数または複数の芳香環を有するジアミンが挙げられる。例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(44DADE)、ジアミノジフェニルメタン(DADM)類、ビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)類、ビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)類、1,3−ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン(TPER)類、ジアミノジフェニルスルホン類、ジアミノベンゾフェノン類、ビス(アミノフェニル)プロパン類、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−アミノフェニル)プロパン、ビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン(BAPS)類、o−トリジン、o−トリジンスルホン、o−、m−又はp−フェニレンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,6−ジアミノピリジン、などを使用することができる。その中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンが好ましく、特に、下記化学式(B4)で示される2価の基B4を導入するための、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分との略等モルを、有機溶媒中で重合・イミド化反応させて、ポリイミド溶液として得ることができる。
本発明の非対称膜は、ポリイミドを有機溶媒に溶解したポリイミド溶液を用いて、相転換法によって得ることができる。相転換法は、ポリマー溶液を凝固液と接触させて相転換させながら膜を形成する公知の方法である。本発明ではいわゆる乾湿式法が好適に採用される。乾湿式法は、膜形状にしたポリマー溶液の表面の溶媒を蒸発させて薄い緻密層を形成し、次いで凝固液(ポリマー溶液の溶媒とは相溶し、ポリマーは不溶な溶剤)に浸漬し、その際生じる相分離現象を利用して微細孔を形成して多孔質層を形成させる相転換法であり、Loebらが提案(例えば、米国特許3133132号)したものである。
s−BPDA:3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
6FDA:2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物
TPEQ:1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
34DADE:3,4’−ジアミノジフェニルエーテル
44DADE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
DADM:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
所定量の芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを、パラクロロフェノール(PCP)とともに、加熱装置と攪拌機と窒素ガス導入管および排出管とが付設されたセパラブルフラスコに秤取って入れ、窒素ガス雰囲気中で攪拌しながら、190℃の温度で40時間重合することにより、所定の濃度の芳香族ポリイミドのPCP溶液を調製した。
前記芳香族ポリイミドのPCP溶液を400メッシュのステンレス製金網でろ過して、紡糸用ドープとした。このドープを中空糸紡糸ノズルを備えた紡糸装置に仕込み、中空糸紡糸ノズルから窒素雰囲気中に中空糸状に吐出させ、次いで中空糸状成形物を75重量%エタノール水溶液からなる一次凝固浴に浸漬し、更に一対の案内ロールを備えた二次凝固浴(凝固液:75重量%エタノール水溶液)中の案内ロール間を往復させて凝固を完了させ、湿潤状態の非対称構造をもつ中空糸膜をボビンに巻き取った。この非対称中空糸膜をエタノール中で十分洗浄し、次いでイソオクタンでエタノールを置換した後、100℃でイソオクタンを蒸発乾燥し、芳香族ポリイミドによって構成された非対称中空糸膜を得た。
前述のようにして製造した中空糸膜6本を束ね裁断して中空糸膜の糸束を形成し、その糸束の一方の端を中空糸端部が開口するようにエポキシ樹脂で固着し、他方の端を中空糸端部が閉塞されるようにエポキシ樹脂で固着して中空糸膜エレメントを製造した。次いで、『原料の混合ガス供給口、透過ガス排出口、および非透過ガス排出口を有する容器』に前記糸束エレメントを内設して、『中空糸膜の有効長さ:8.0cm、および、有効面積7.54cm2 である糸束エレメント』を内蔵するガス分離膜モジュールを製造した。
60重量%濃度のエタノール水溶液を大気圧下において蒸発器で気化させて『エタノール蒸気と水蒸気とを含む有機蒸気混合物』を製造し、さらに、ヒーターで加熱することにより100℃とした前記有機蒸気混合物を、前記のガス分離膜モジュールに供給し、前記糸束エレメントを構成している中空糸膜の外側の表面(中空糸膜の供給側)に接触させ、中空糸膜の内側(中空糸膜の透過側)を3mmHgの減圧に維持して、有機蒸気分離を行った。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)100モル%からなる芳香族テトラカルボン酸成分25.98gと、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34DADE)30モル%、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPEQ)40モル%および4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(44DADE)30モル%からなる芳香族ジアミン成分21.34gとを、パラクロロフェノール(PCP)200gとともに加熱装置と攪拌機と窒素ガス導入管および排出管とが付設されたセパラブルフラスコに秤取って入れ、窒素ガス雰囲気中で攪拌しながら、190℃の温度で10時間重合することにより、PCP中のポリイミドの固形分濃度が17重量%である芳香族ポリイミドのPCP溶液を調製した。この溶液の100℃での粘度は2100poiseであった。
表1に示した種類と組成とを有する芳香族テトラカルボン酸成分および芳香族ジアミン成分を使用したほかは参考例1と同様にして、それぞれの芳香族ポリイミドのPCP溶液を調製した。そして、それらの各芳香族ポリイミドのPCP溶液から中空糸膜を作成し、中空糸膜から糸束エレメントを形成し、次いで、それらの各中空糸膜の糸束エレメントからガス分離膜モジュールを形成した。
s−BPDA 100モル%からなる芳香族テトラカルボン酸成分28.95gと、TPEQ100モル%からなる芳香族ジアミン成分29.23gとを、PCP 210gとともに加熱装置と攪拌機と窒素ガス導入管および排出管とが付設されたセパラブルフラスコに秤取って入れ、窒素ガス雰囲気中で攪拌しながら、190℃の温度で10時間重合したが、固形分が析出し、均一な芳香族ポリイミド溶液を得ることができなかったため、中空糸を紡糸することができなかった。
s−BPDA 100モル%からなる芳香族テトラカルボン酸成分28.95gと、34DADE100モル%からなる芳香族ジアミン成分20.02gとをPCP 210gとともに加熱装置と攪拌機と窒素ガス導入管および排出管とが付設されたセパラブルフラスコに秤取って入れ、窒素ガス雰囲気中で攪拌しながら、190℃の温度で10時間重合したが、重合が十分に進行せず、芳香族ポリイミド溶液の粘度が十分に上がらなかったため、中空糸を紡糸することができなかった。
s−BPDA 100モル%からなる芳香族テトラカルボン酸成分28.95gと、44DADE100モル%からなる芳香族ジアミン成分20.02gとを、PCP 210gとともに加熱装置と攪拌機と窒素ガス導入管および排出管とが付設されたセパラブルフラスコに秤取って入れ、窒素ガス雰囲気中で攪拌しながら、190℃の温度で10時間重合することにより、PCP中のポリイミドの固形分濃度が17重量%である芳香族ポリイミドのPCP溶液を調製した。前記芳香族ポリイミドのPCP溶液を紡糸したが、乾燥処理時に中空糸が著しく収縮した。
水蒸気の透過速度の測定を行ったところ、水蒸気は殆ど透過しなかった。
芳香族ジアミン成分:全ジアミン成分中のモル分率
溶液粘度:回転粘度計(ローターのずり速度1.75sec−1)を用いて温度100℃で測定した値
Claims (10)
- 前記一般式(1)中の2価の基B3が、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,3-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン
からなる群から選ばれる少なくとも1種のジアミンから、アミノ基を除いた2価の残基であることを特徴とする請求項1または2のいずれか記載のガス分離膜。 - 緻密層と多孔質層とを有する非対称性構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガス分離膜。
- 形状が中空糸膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガス分離膜。
- 水蒸気の透過速度P’H20 が、2.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg〜10.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHgであり、かつ水蒸気の透過速度(P’H2O)とエタノール蒸気の透過速度(P’EtOH)との比(P’H2O/P’EtOH)が100以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガス分離膜。
- 有機化合物を含む液体混合物を加熱蒸発させて生成した有機蒸気混合物を、ガス分離膜の供給側に接触させた状態で、高透過成分を選択的に透過させ、ガス分離膜の透過側から高透過成分に富んだ透過蒸気を得、ガス分離膜の供給側から高透過成分が実質的に除去された非透過蒸気を得るガス分離方法において、請求項1〜6のいずれかに記載のガス分離膜を用いることを特徴とするガス分離方法。
- 前記有機化合物が、沸点が0℃以上200℃以下である、請求項7記載のガス分離方法。
- 前記有機化合物が炭素数1〜7の低級脂肪族アルコール、もしくは炭素数3〜7の脂肪族ケトンであることを特徴とする請求項7または8記載のガス分離方法。
- 前記高透過成分が水蒸気であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のガス分離方法。
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