JP2019183004A - エポキシ樹脂塗料組成物及びその製造方法、ならびに、塗料補強剤及びその製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂塗料組成物及びその製造方法、ならびに、塗料補強剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性があって、耐タイヤ痕性に優れた塗膜を形成し得るエポキシ樹脂塗料組成物及びその製造方法、ならびに、塗膜の耐久性と耐タイヤ痕性を向上させる塗料補強剤及びその製造方法を提供すること。【解決手段】本発明のエポキシ樹脂塗料組成物は、エポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂の硬化剤と、セルロースナノファイバーと、を含むことを特徴とする。また、本発明の塗料補強剤は、セルロースナノファイバーがポリエステル系樹脂に分散されてなることを特徴とする。そして、本発明の塗料補強剤の製造方法は、ポリエステル系樹脂とセルロース繊維の粉体との混合物を加圧混練することを特徴とし、本発明のエポキシ樹脂塗料組成物の製造方法は、当該塗料補強剤を配合することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂塗料組成物及びその製造方法、ならびに、塗料補強剤及びその製造方法に関する。
従来、工場床面や倉庫床面等に、防塵、車歩道分離、作業区画分離、カラーリング等の目的で、塗り床用塗料が用いられている。この塗り床用塗料は、工場、倉庫等の床面や路面等に用いられる性質上、フォークリフト等重車両の通行や作業による激しい往来に晒されることが多い。
これら塗り床用塗料には、以上のような過酷な環境下においても、意匠性、視認性の低下が生じ難いことが要求される。また、薬品などに侵され難い耐薬品性が望まれることも多い。その要求に応えて、耐薬品性、耐摩耗性、耐衝撃性、密着性に優れた、無用剤型のエポキシ樹脂塗料が用いられている。
特開2016−50256号公報
しかしながら、特にフォークリフト等の重車両の往来により塗膜表面に付着するタイヤマークに対しては、より一層の性能向上が望まれている。
このタイヤマークは、フォークリフト等の重車両のブレーキング時や旋回時におけるタイヤと床面との間の摩擦によって生じる発熱が原因の1つであり、塗膜表面にタイヤのゴムが溶けて練り込まれた状態になっている。一度塗膜に付いたタイヤマークは、洗浄では落ちずに汚染となって残ってしまう場合があり、意匠性、視認性が低下するといった懸念があった。
したがって、本発明は、耐久性があって、タイヤマークが付き難い(耐タイヤ痕性に優れた)塗膜を形成することができるエポキシ樹脂塗料組成物及びその製造方法、ならびに、塗膜の耐久性と耐タイヤ痕性を向上させる塗料補強剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明のエポキシ樹脂塗料組成物は、エポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂の硬化剤と、セルロースナノファイバーと、を含むことを特徴とする。
本発明のエポキシ樹脂塗料組成物において、前記セルロースナノファイバーの組成物全量中の固形分比濃度としては、0.5質量%以上8.0質量%以下の範囲であることが好ましい。
また、前記セルロースナノファイバーの数平均繊維径としては、3nm以上500nm以下であることが好ましい。
さらに、前記エポキシ樹脂が含まれるエポキシ樹脂主剤と、前記硬化剤が含まれるエポキシ樹脂硬化剤と、の少なくとも2剤から構成され、これら2剤のいずれか一方もしくは双方に前記セルロースナノファイバーが含まれることが好ましい。
このとき、前記2剤の内、前記セルロースナノファイバーが含まれる1剤または2剤に、さらに、ポリエステル系樹脂を含ませることができる。
一方、本発明の塗料補強剤は、セルロースナノファイバーがポリエステル系樹脂に分散されてなることを特徴とする。
本発明の塗料補強剤においては、前記セルロースナノファイバーの数平均繊維径が、3nm以上500nm以下であることが好ましい。
本発明の塗料補強剤の製造方法は、ポリエステル系樹脂とセルロース繊維の粉体との混合物を加圧混練して、前記セルロース繊維を解繊することを特徴とする。
また、本発明のエポキシ樹脂塗料組成物の製造方法は、
前記エポキシ樹脂が含まれるエポキシ樹脂主剤と、前記硬化剤が含まれるエポキシ樹脂硬化剤と、の少なくとも2剤から構成され、これら2剤のいずれか一方もしくは双方に前記セルロースナノファイバー及びポリエステル系樹脂が含まれるエポキシ樹脂塗料組成物の製造方法であって、
前記エポキシ樹脂主剤及び前記エポキシ樹脂硬化剤のいずれか一方もしくは双方に、本発明の塗料補強剤を配合することを特徴とする。
本発明のエポキシ樹脂塗料組成物によれば、耐久性が高く、タイヤマークが付き難い塗膜を形成することができる。また、本発明の塗料補強剤によれば、耐久性が高く、タイヤマークが付き難い塗膜を形成し得る塗料へと補強することができる。
さらに、本発明の塗料補強剤の製造方法、ならびに、本発明のエポキシ樹脂塗料組成物の製造方法によれば、これら卓越した特徴を有する塗料補強剤やエポキシ樹脂塗料組成物を容易に製造することができる。
以下、本発明のエポキシ樹脂塗料組成物及びその製造方法、ならびに、塗料補強剤及びその製造方法について説明する。説明の都合上、(1)エポキシ樹脂塗料組成物、(2)塗料補強剤、(3)塗料補強剤の製造方法、そして(4)エポキシ樹脂塗料組成物の製造方法の順に説明する。
(1)エポキシ樹脂塗料組成物
本発明のエポキシ樹脂塗料組成物は、エポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂の硬化剤と、セルロースナノファイバーと、を必須成分として含み、必要に応じてその他の成分を含む。また、剤型としては、安定性を考慮すると、保存や搬送時には2剤に分けておき、使用時に混合させて1剤とする2剤型が望ましい。勿論、安定性を考慮しつつ、1剤型としても構わない。
(エポキシ樹脂)
本発明に用いるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ハロゲン化ビスフェノールA等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;脂環式型エポキシ樹脂;二塩基酸等のエステル型エポキシ樹脂;テルペンジフェノール型エポキシ樹脂;等を挙げることができる。また、フェノールノボラックエポキシ樹脂;クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のアルキルフェノールノボラックエポキシ樹脂;ビスフェノールAのノボラックエポキシ樹脂;等も用いることができる。これ等のエポキシ樹脂は、1種でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明に用いるエポキシ樹脂の製造方法に特に制限は無いが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂の直接合成法や間接合成法、エポキシ樹脂と脂肪族モノカルボン酸とを反応させてヒドロキシル基導入エポキシ樹脂を得る方法、エポキシ樹脂とモノフェノール類等を反応させてヒドロキシル基導入エポキシ樹脂を得る方法、等が挙げられる。
本発明に用いるエポキシ樹脂としては、数平均分子量が300〜4000のエポキシ樹脂が好ましく、数平均分子量が300〜1000の常温硬化可能なエポキシ樹脂であることがさらに好ましい。数平均分子量が1000を超えると、常温硬化可能な塗料とすることが困難になってくる。
(硬化剤)
本発明に用いる硬化剤としては、通常エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものをそのまま使用することができる。具体的な硬化剤としては、例えば、ポリアミドアミン類、脂肪族ポリアミン、変性ポリアミン、エポキシ樹脂アミンアダクト、芳香族アミン、ヒドラジド、ジシアンジアミド、イミダゾール、第三アミン、酸無水物、フェノール樹脂、尿素樹脂、レゾール樹脂、アミノ樹脂、ケチミン、酸末端ポリエステル樹脂、イソシアネート、ブロックイソシアネート等を挙げることができる。これら硬化剤は、目的に応じて複数組み合わせて用いても構わない。
本発明のエポキシ樹脂塗料組成物における硬化剤の配合量としては、用いる硬化剤の種類やエポキシ樹脂との組み合わせ、さらには所望とする塗料乃至塗膜性状等によっても異なるので、一概にはいえない。
(セルロースナノファイバー)
セルロースナノファイバーは、軽くて強い素材であり、大きな比表面積を有しレオロジー特性を付与することが可能であること、線熱膨張係数がガラス繊維並みに小さいこと、及び、弾性率がガラス繊維より高いこと等の優れた特性を有している。また、セルロースナノファイバーは、広葉樹、針葉樹及び竹等の様々な植物原料から製造することが可能であることから、環境負荷が小さく、リサイクル性に優れた材料である。さらに、森林資源の豊富な日本にとって新たな産業になると期待されており、各分野で研究が盛んに実施されている。
本発明に用いるセルロースナノファイバーは、パルプ等の植物繊維(セルロース)をナノ(1×10−9m)オーダーにまで細かく解きほぐした(解繊した)ものである。セルロースを解繊する方法としては、セルロースの水懸濁液等を高圧ホモジナイザーやビーズミル等を用いて機械的に解繊する方法等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。本発明においては、後述する「(3)塗料補強剤の製造方法」の項で説明するように、塗料補強剤の製造とともに解繊してセルロースナノファイバーとすることが好ましい。
本発明に用いるセルロースナノファイバーの数平均繊維径は、3nm以上500nm以下とすることが好ましく、30nm以上300nm以下とすることがより好ましい。セルロースナノファイバーの数平均繊維径が小さ過ぎると、セルロースナノファイバーを配合することにより、塗装作業性が著しく低下し、効果が発現し難くなるため好ましくない。一方、大き過ぎると、単位質量当たりのセルロースナノファイバーの数が減少して、セルロースナノファイバーによるネットワーク構造が形成され難くなり、塗膜の補強効果が不十分になり易くなるため好ましくない。
セルロースナノファイバーの繊維径や長さは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認することができる。また、これらの数平均を求める際は、観察画像の中から所定の数(例えば20本)のセルロースナノファイバーを任意に抽出して測定し、その数平均を計算すればよい。
本発明のエポキシ樹脂塗料組成物におけるセルロースナノファイバーの配合量としては、組成物全量中の固形分比濃度として、0.5質量%以上8.0質量%以下の範囲であることが好ましく、1.0質量%以上7.8質量%以下の範囲であることがより好ましい。セルロースナノファイバーの配合量が少な過ぎると、セルロースナノファイバーによるネットワーク構造が形成され難くなり、塗膜の充分な補強効果が不十分になり易くなるため好ましくない。一方、多過ぎると、塗料へのセルロースナノファイバーの分散が困難になるとともに塗装性も悪化するため好ましくない。なお、耐汚染性を考慮すると、上限としては5.5質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、後述する「(4)エポキシ樹脂塗料組成物の製造方法」に記載の方法によりエポキシ樹脂塗料組成物を製造する場合には、配合する塗料補強剤の量や当該塗料補強剤に配合されるセルロースナノファイバーの量の制限から、エポキシ樹脂塗料組成物におけるセルロースナノファイバーの配合量は、8.0質量%程度が限界となる。
本発明のエポキシ樹脂塗料組成物において、セルロースナノファイバーの添加方法としては、何らかの溶剤にセルロースナノファイバーを分散させた上でエポキシ樹脂や硬化剤と混合させた場合、過剰に導入された溶剤を適正量まで揮発させなければならず、極めて困難である。よって、直接分散させることも考えられえるが、セルロースナノファイバーはエポキシ樹脂と馴染みがあまりよくない為、セルロースナノファイバーを熱可塑性樹脂、熱可塑性添加剤、可塑剤等、に分散させたものを添加剤として、エポキシ樹脂や硬化剤と混合させる方法を挙げることができる。
例えば、最終的なエポキシ樹脂塗料組成物における含有量が所望の値となるようにセルロースナノファイバーの量が調整された熱可塑性樹脂への分散体を添加剤として用いることができる。この目的で利用可能な熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアマイド系樹脂、ポリカルボン酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ブタジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系重合物、ビニル系重合物等を挙げることができる。ポリエステル系樹脂を用いた添加剤は、後述する「(2)塗料補強剤」に相当する。また、同様に、熱可塑性添加剤としては、エポキシ系樹脂、ポリアマイド系樹脂、ポリカルボン酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ブタジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系重合物、ビニル系重合物等を挙げることができ、可塑剤としては、フタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、トリメリット酸エステル系、ポリエステル系、リン酸エステル系、クエン酸エステル系、エポキシ化植物油系、セバシン酸エステル系、アゼライン酸エステル系、マレイン酸エステル系、安息香酸エステル系、グリシジルエーテル系等を挙げることができる。
セルロースナノファイバーの耐熱性を向上させるために、リグニン、リグニン誘導体、フルオレン、フルオレン誘導体等で処理したり、これら物質をセルロースナノファイバーに付加することができる。フルオレン処理したセルロースナノファイバーとしては、例えば、大阪ガスケミカル社製のHBA0201が挙げられる。
(その他の成分)
本発明のエポキシ樹脂塗料組成物には、上記必須成分のほか、必要に応じてその他の成分、具体的には、顔料や、ガラスビーズ、寒水石、珪砂粉などの骨材、各種添加剤等を含ませることができる。
顔料としては、塗料に一般的に使用されている顔料を挙げることができ、エポキシ樹脂塗料組成物の安定性を阻害するものでなければ特に限定されるものではないが、例えば、各種着色顔料、例えば、二酸化チタン、黄鉛、酸化鉄、ベンガラ等の無機顔料、及び、アゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料や、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、マイカ、バライト、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料を挙げることができる。その他夜間視認性や高膜厚化、耐久性等を向上する目的としてガラスビーズ、寒水石、珪砂粉などの骨材も使用できる。顔料や骨材の含有量は、特に限定されるものではないが、塗料として使用され最終的に形成された塗膜の性状に大きな影響を与えない程度とすることが好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂塗料組成物には、塗装作業性、着色、塗料物性及び塗膜物性等を向上させる目的で、各種添加剤を適宜選択し、それぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて添加することができる。添加可能な添加剤としては、沈澱防止剤、チクソトロピック付与剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、脱泡剤、汚染防止剤、乾燥向上剤、レベリング剤、希釈剤、樹脂の着色用に調製された各種着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、含まれる骨材の沈降防止、材料に流動性を付与し作業性の向上を図る、塗膜表面への汚染物の付着防止、乾燥性の向上等の目的で添加されるものである。これら添加剤の含有量は、上記添加の目的を達成し得る範囲で添加すればよく、特に限定されるものではない。
本発明のエポキシ樹脂塗料組成物は、溶剤無しの無溶剤型として使用することができるが、塗装作業性や粘度調整の目的で、溶剤を添加することもでき、勿論、溶剤型塗料とすることもできる。添加可能な溶剤としては、他の配合成分との相溶性が十分なものである限り、塗料の溶剤として用いられる各種溶剤を使用することができる。特に好ましい溶剤としては、水、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、イソヘキサン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、アセトン、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロビレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
(剤型)
本発明のエポキシ樹脂塗料組成物は、使用時においては、構成成分が全て配合されて1剤(1液)になった状態であるが、エポキシ樹脂と硬化剤が1剤中に同時に存在していると硬化が始まってしまうので、保存や搬送時においては、2剤(2液)に分けておく2剤型が望ましい。ただし、保存、硬化時間、臭気などの要求性能を考慮した上で、1剤型であっても構わない。
この場合に、2剤とは、前記エポキシ樹脂が含まれるエポキシ樹脂主剤と、前記硬化剤が含まれるエポキシ樹脂硬化剤と、の2剤であり、例えば、これら以外の成分を含む他の剤からなる3剤以上の構成であっても構わない。2剤型以上の場合には、前記エポキシ樹脂主剤及び前記エポキシ樹脂硬化剤のいずれか一方もしくは双方に前記セルロースナノファイバーが含まれる。全ての剤が所定割合で混合された際に、所望の配合となるように、各成分の量を調整しておく。
(使用方法)
本発明のエポキシ樹脂塗料組成物は、2剤型以上の場合には全ての剤を混合して、1剤型の場合にはそのままで塗料となる。得られた塗料は、混合乃至製造後なるべく早く、ローラー塗布、刷け塗り、鏝塗り、フィルムアプリケータによる塗布、浸漬塗布、スプレー塗布等の従来公知の塗装方法によって、床等の対象物に塗布する。そして、一定時間静置して乾燥ならびに硬化させることで、所望の塗膜を形成することができる。塗布後に、必要に応じて、加熱して(あるいはさらに焼き付けて)硬化を促進させても構わない。
1剤型であっても2剤型以上であっても、全ての配合成分を混合して1剤にした段階で、各成分の濃度に偏りが生じないように、塗料を十分に攪拌することが望ましい。ただし、ここでの攪拌は、セルロースの繊維を解繊したり、セルロースナノファイバーの塊を塗料中に分散させる目的ではないので、液体の混合に適した程度の攪拌条件で十分である。
本発明のエポキシ樹脂塗料組成物による塗料を塗布することで、耐久性が高く、タイヤマークが付き難い塗膜を形成することができる。これは、塗膜にセルロースナノファイバーを配合することにより、特に高温における塗膜強度が向上することが確認されており(後述の実施例参照)、そのため、タイヤと床面との間の摩擦によって生じる発熱に対しても、塗膜が容易には溶けないようになり、塗膜表面にタイヤのゴムが練り込まれ難くなったものと推測される。
(2)塗料補強剤
本発明の塗料補強剤は、セルロースナノファイバーがポリエステル系樹脂に分散されてなるものである。既述の通り、セルロースナノファイバーは親水性が高くエポキシ樹脂と馴染みがあまりよくないが、ポリエステル系樹脂とは馴染みが比較的良好であるため、予めセルロースナノファイバーをポリエステル系樹脂に分散させた本発明の塗料補強剤は、エポキシ樹脂に混合させた際に良好に分散させることができ、最終的に得られる塗膜の強度を向上させることができる。
なお、本発明の塗料補強剤は、エポキシ樹脂の補強に好適であるが、これに限定されず、各種塗料(無溶剤型は勿論、各種溶剤型や粉体型の塗料を含む。)の補強剤として、特にセルロースナノファイバーとの馴染みがあまりよくない樹脂の塗料に好適に用いることができる。
本発明の塗料補強剤は無溶剤型の塗料に対しては、無溶剤の塗料補強剤が使用可能である。また、溶剤型の塗料と粉体型の塗料に対しては、無溶剤の塗料補強剤と溶剤に分散させた状態の塗料補強剤との両者とも使用可能である。溶剤型の塗料において、使用可能な溶剤としては、塗料の溶剤と相溶性のある溶剤を用いればよく、塗料の溶剤と同一のものを用いることが好ましい。また、粉体型の塗料において、使用可能な溶剤としては、他の配合成分への影響が少ない乃至無いものであればよく、塗料全成分中の2質量%以下の配合量となるようにすることが好ましい。
本発明の塗料補強剤におけるセルロースナノファイバーは、「(1)エポキシ樹脂塗料組成物」の項で説明したものと同じである。
使用可能なポリエステル系樹脂としては、従来公知のポリエステルを何れも使用可能である。具体的には、ポリアルコールを少なくとも1種または2種以上と、多価カルボン酸を少なくとも1種または2種以上とで合成されるポリエステル樹脂である。
ポリアルコールとしては、ジエチレングリコール、エチレングリコール、1,3−ポロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールトリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、水素化ビスフェノールA、2,2−ジ(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、グリセリン、トリメチレングリコール、2−メチル−1,3−ヘキサンジオール、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価カルボン酸としては、アジピン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、ジメチルテレフタレート、シトラコン酸、イタコン酸、テトラクロロ無水フタル酸、ヘット酸、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサクロロペンタジエン−テトラヒドロ無水フタル酸付加物(クローラン)、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、こはく酸、アゼライン酸、セバシン酸、アントラセン−無水マレイン酸付加物、ロジン−無水マレイン酸付加物等が挙げられる。
またテレフタル酸エチレングリコールジエステルの縮合反応や、イソフタル酸クロリドとビスフェノールAとの複分解反応や、プロピレンオキサイドと無水マレイン酸と無水フタル酸による開環重合等によって得られるポリエステル系樹脂も挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、セルロースナノファイバーの分散性および分散体の低粘度化を考慮すると、ジエチレングリコールとアジピン酸と無水マレイン酸とから合成される脂肪族ポリエステル樹脂が好ましい。
本発明の塗料補強剤において、セルロースナノファイバーとポリエステル系樹脂以外に、一般に塗料組成物に添加される各種成分を配合することができる。ただし、補強剤中のセルロースナノファイバーの濃度を高く保ちたいので、あまり他の成分の濃度が高くならないようにすることが好ましい。
本発明の塗料補強剤において、セルロースナノファイバーとポリエステル系樹脂の混合割合としては、塗料(組成物)へ添加した際の塗料におけるセルロースナノファイバーの濃度を高めるために、なるべくセルロースナノファイバーの比率が高くなるようにすることが望ましい。勿論、あまりにセルロースナノファイバーの比率を高くし過ぎるとポリエステル系樹脂にセルロースナノファイバーが分散し難くなるため、おおよそ、ポリエステル系樹脂に対するセルロースナノファイバーの割合(外割り)が、質量基準で、50%〜100%程度の範囲になるようにすることが好ましく、55%〜80%程度の範囲になるようにすることがより好ましく、60%〜70%程度の範囲になるようにすることがさらに好ましい。
本発明の塗料補強剤を製造するには、配合成分を混合した後に、攪拌装置で攪拌することによりセルロースナノファイバーを分散させればよい。このとき、良好な分散性を確保するためには、ある程度強い攪拌により強制的にポリエステル系樹脂の全体に混ぜ込むようにすることが望ましく、具体的な攪拌方法としては、攪拌羽による攪拌、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ダイノミル、ニーダーコータ、ロールミル等を挙げることができる。
また、以下に挙げる「(3)塗料補強剤の製造方法」に記載の方法により、本発明の塗料補強剤を製造することが、容易でかつ分散性の良好な塗料補強剤が得られる点で、特に好ましい。
(3)塗料補強剤の製造方法
本発明の塗料補強剤の製造方法は、ポリエステル系樹脂とセルロース繊維の粉体(以下、「セルロースパウダー」と称する。)との混合物を加圧混練して、前記セルロースパウダーを解繊し、セルロースナノファイバーにすることを特徴とするものである。
使用可能なポリエステル系樹脂としては、「(2)塗料補強剤」の項で既に述べたとおりである。
本発明において、セルロースパウダーとは、本発明で用いるセルロースナノファイバーよりも大径で、これを解繊することでセルロースナノファイバーが得られるものである。
本発明に用いるセルロースパウダーとしては、解繊することで最終的にセルロースナノファイバーとなる形状・材質のものであれば、特に制限は無いが、例えば、その粒子径としては、10μm〜50μm程度の範囲から選択され、水分7.0質量%以下、灰分1.0質量%以下、白色度80%以上の範囲から選択される。
ポリエステル系樹脂とセルロースパウダーとの混合物を加圧混練する装置としては、加圧型ニーダーや石臼式摩砕機、リファイナー、2軸エクストルーダ、ビーズミル、ボールミル、高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー等を用いることができ、中でも加圧型ニーダーが好ましい。高圧で加圧した状態で混練することにより、セルロースパウダーに負荷がかかって解繊され、セルロースナノファイバーが得られる。また、この解繊の操作をポリエステル系樹脂の存在下で行うことにより、セルロースナノファイバーが、ポリエステル系樹脂の全体に高い分散性で分散した状態となる。
加圧混練の条件としては、セルロースパウダー及びポリエステル系樹脂の種類や混合割合、ならびに粘度等の材料的な条件や、用いる装置の性能に基づく装置的条件、所望とする塗料補強剤の性能や性状といった要求条件等の各種条件によって異なり、これら条件に応じて適宜加圧の圧力、混練の時間当たり回転数、混練時間等を設定すればよい。
また、所定の条件で実際に加圧混練してみて、得られた加圧混練体におけるセルロースパウダーの解繊状況を(必要に応じて走査型電子顕微鏡等の機器を用いて)確認し、その状況に応じて追加の加圧混練を行って、あるいは、別途、条件を緩くして再度加圧混練を行って、再度繊維の解繊状況を確認することで、適した条件の当たりを付けることができる。当たりを付けた条件で再度加圧混練を行い確認し、さらに微調整することで、最適条件を導き出すことが容易にできる。
(4)エポキシ樹脂塗料組成物の製造方法
本発明のエポキシ樹脂塗料組成物の製造方法は、「(1)エポキシ樹脂塗料組成物」の項における(剤型)として説明した2剤型以上のエポキシ樹脂塗料組成物を製造する方法であって、エポキシ樹脂主剤及びエポキシ樹脂硬化剤のいずれか一方もしくは双方に、「(2)塗料補強剤」を配合することを特徴とするものである。
前記塗料補強剤においてセルロースナノファイバーを予め良好に分散させておくことで、これをエポキシ樹脂主剤に配合する際、あるいは、これを配合したエポキシ樹脂硬化剤をエポキシ樹脂主剤に添加する際、ポリエステル系樹脂が媒介して容易にセルロースナノファイバーを分散させることができる。したがって、本発明のエポキシ樹脂塗料組成物の製造方法によれば、馴染みのよくないエポキシ樹脂に対して、セルロースナノファイバーを高い分散性で容易に分散させることができる。
また、既述の「(3)塗料補強剤の製造方法」により得られた塗料補強剤を用いて、本発明の「(4)エポキシ樹脂塗料組成物の製造方法」によりエポキシ樹脂塗料組成物を製造することで、既述の如き優れた効果を奏するエポキシ樹脂塗料組成物を容易に製造することができる。
以上の説明は、本発明の代表的な構成を示したものであり、本発明は、上記説明の内容に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のエポキシ樹脂塗料組成物及びその製造方法、ならびに、塗料補強剤及びその製造方法のいずれかの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<1.ポリエステル系樹脂(A)の調製>
まず、セルロースナノファイバーの分散剤としてのポリエステル系樹脂(A)を以下のようにして調製した。
窒素ガス導入管、還流コンデンサ及び攪拌機を備えた2リットルのガラス製フラスコに、ジエチレングリコール758.2g(7.14mol、仕込みモル比0.53)、アジピン酸652.6g(4.47mol、仕込みモル比0.33)、無水マレイン酸183.9g(1.88mol、仕込みモル比0.14)を仕込み、窒素気流下で、加熱を開始した。装置内温度を200℃にし、常法にて脱水縮合反応を行った。
酸価が13KOHmg/gになったところで、直ちに150℃まで冷却し、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを仕込み原料質量に対し100ppmとなるように添加した。
さらに室温まで冷却し、酸価13KOHmg/g、水酸基価89KOHmg/g、エステル基濃度が9.1mmol/gである、ポリエステル系樹脂(A)を得た。
<2.塗料補強剤(B)の調製>
得られたポリエステル系樹脂(A)600質量部及びセルロースパウダー(=セルロース繊維の粉体、繊維径約20〜30μm、繊維長約200〜400μm)400質量部を森山製作所社製加圧ニーダー(DS1−5GHHH)に仕込み、60回転/分(rpm)で600分間、加圧混練を行ってセルロース繊維の微細化処理を行い、マスタバッチを得た。得られたマスタバッチをセルロースナノファイバーを含有する塗料補強剤(B)とした。
得られた塗料補強剤(B)を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、セルロース繊維は、その繊維径が100nm〜300nm程度の範囲で解繊されて、均一に分散し、セルロースナノファイバーになっていることが確認できた。任意の20本を抽出し、その数平均繊維径を計算したところ約160nmであった。また、当該セルロース繊維(セルロースナノファイバー)の長さが、元の繊維長よりも短くなっていることも確認できた。
以上のように、塗料補強剤(B)は、ポリエステル系樹脂(A)中にセルロースナノファイバーが良好に解繊され、かつ微細化された状態で、均一に分散されていることが確認できた。
<3.エポキシ樹脂主剤の調製>
(比較例1〜6)
エポキシ樹脂(ADEKA社製、商品名:アデカレジンEP−4100)とポリエステル系樹脂(A)とを(エポキシ樹脂):(ポリエステル系樹脂)=75:15(質量基準)の割合で混合し、その他の成分についても、下記表1に示す配合(単位は全て「g」)で混合し、比較例1〜6に用いるそれぞれのエポキシ樹脂主剤を調製した。これらエポキシ樹脂主剤は、セルロースナノファイバーを含まないブランク樹脂主剤である。
(実施例1〜6)
エポキシ樹脂(ADEKA社製、商品名:アデカレジンEP−4100)と塗料補強剤(B)とを75:25(エポキシ樹脂:塗料補強剤、質量基準)の割合で混合し、その他の成分についても、下記表1に示す配合(単位は全て「g」)で混合し、実施例1〜6で用いるそれぞれのエポキシ樹脂主剤を調製した。
(実施例7)
エポキシ樹脂(ADEKA社製、商品名:アデカレジンEP−4100)と塗料補強剤(B)とを50:3.0(エポキシ樹脂:塗料補強剤、質量基準)の割合で混合し、その他の成分についても、下記表1に示す配合(単位は全て「g」)で混合し、実施例7で用いるエポキシ樹脂主剤を調製した。
(実施例8)
エポキシ樹脂(ADEKA社製、商品名:アデカレジンEP−4100)と塗料補強剤(B)とを50:2.0(エポキシ樹脂:塗料補強剤、質量基準)の割合で混合し、その他の成分についても、下記表1に示す配合(単位は全て「g」)で混合し、実施例8で用いるエポキシ樹脂主剤を調製した。
(実施例9)
エポキシ樹脂(ADEKA社製、商品名:アデカレジンEP−4100)と塗料補強剤(B)とを50:1.0(エポキシ樹脂:塗料補強剤、質量基準)の割合で混合し、その他の成分についても、下記表1に示す配合(単位は全て「g」)で混合し、実施例9で用いるエポキシ樹脂主剤を調製した。
(実施例10)
エポキシ樹脂(ADEKA社製、商品名:アデカレジンEP−4100)と塗料補強剤(B)とを50:0.5(エポキシ樹脂:塗料補強剤、質量基準)の割合で混合し、その他の成分についても、下記表1に示す配合(単位は全て「g」)で混合し、実施例10で用いるエポキシ樹脂主剤を調製した。
<4.塗料の調製>
得られた各エポキシ樹脂主剤に対して、下記表1に示すように硬化剤(ADEKA社製、商品名:アデカハードナーEH−451N)を20.0g添加し、混合することで、実施例1〜10及び比較例1〜6の各塗料を調製した。
得られた塗料中のセルロースナノファイバーについても、塗料補強剤(B)の段階と同様に繊維径と繊維長を確認したところ、何れの塗料においても、全体的な長さ、数平均径共に、塗料補強剤(B)の段階とほぼ同一だった。
Figure 2019183004
[上記表註]
※1…アデカレジンEP−4100:ADEKA社製、エポキシ樹脂(ビスフェノールA汎用タイプ)
※2…アルミナSA31:日本軽金属社製、水酸化アルミニウム
※3……ETベースカラー ET3W114ホワイト:大日精化工業社製、エポキシ樹脂着色剤
※4…BYK(登録商標)−361N:ビックケミー・ジャパン社製、塗料添加剤(レベリング剤)
※5…フローレンAC−300HF:共栄社化学社製、塗料添加剤(消泡剤)
※6…アデカハードナーEH−451N:ADEKA社製、変性脂肪族ポリアミン系硬化剤(マンニッヒ型)
<5.評価試験>
得られた実施例1〜10及び比較例1〜6の各塗料について、その塗装性や塗布膜の性能を確認するために、以下に説明する各評価試験を行った。評価結果は、下記表2にまとめて示す。
1.塗膜外観評価
70mm×150mmの大きさのガラス板の片面に、乾燥塗膜が200±40μmとなるようにフィルムアプリケータB形を用いて、実施例及び比較例の各塗料を塗布し、温度23℃、湿度50%の条件で24時間経過後の塗膜状態を確認し評価した。評価基準は、以下の通りである。
(評価基準)
○:塗膜の外観が正常である。
△:塗膜の外観に若干異常が認められる。
×:塗膜の外観に明らかに異常が認められる。
2.塗装作業性評価
300mm×300mmの大きさのスレート板上に、実施例及び比較例の各塗料を、それぞれ塗布量が1kg/mとなる様に撒き、金鏝を用いて均一に塗布することで、作業性を確認し評価した。評価基準は、以下の通りである。
(評価基準)
○:塗装作業性が良好であったもの。
△:やや塗装作業性に劣ったもの。
×:塗装作業に困難を感じたもの。
3.耐汚染性試験
70mm×150mmの大きさのブリキ板の片面に、乾燥膜厚が200±40μmになるようにフィルムアプリケータB形を用いて、実施例及び比較例の塗料を塗布し、試験板を作製した。
23℃の雰囲気下で1日養生後、30mm×30mmの大きさが露出するように養生テープで塗膜上にマスキングを行い、その露出部分に汚染物質として泥水1mlを塗り広げた。なお、汚染物質の泥水は、園芸用赤玉土を乳鉢で粉砕した後、目開き100メッシュの篩で通過したものを、濃度が10質量%になるように清水で分散させて作製した。
23℃の雰囲気下で2時間放置して水を蒸発させ、その後清水で洗浄した。洗浄後、塗膜の汚染状況を目視で確認し評価した。評価基準は、以下の通りである。
(評価基準)
○:塗膜に汚れが付着していない、若しくは微かに付着している。
△:塗膜の一部(線状または点状)に除去不能な汚染物が付着しているが、塗膜の色が白であると認識できる。
×:汚染物質が付着し除去不能で、塗膜の色が白であると認識できない。
4.耐タイヤ痕性評価
フォークリフト(車両重量1トン)が走行可能な床面に、実施例及び比較例の塗料を、それぞれ塗布量が1kg/mとなる様に撒き、金鏝を用い均一に塗布した。
23℃の雰囲気下で1日養生後、フォークリフト(車両重量1トン)を、8時間/日で20日間走行させた。その後、表面の汚染物を水で洗浄し、塗膜に練り込まれた状態になっているタイヤ痕以外の塗膜の汚染を極力除去した。浄後、塗膜の汚染状況を目視で確認し評価した。評価基準は、以下の通りである。
(評価基準)
◎:塗膜にタイヤ痕がない若しくは微かに練り込まれた状態。
○:タイヤ痕がごく一部に練り込まれた状態。
△:練り込まれたタイヤ痕がやや目立つ状態。
×:タイヤ痕が著しく練り込まれた状態。
5.引張強度試験
実施例及び比較例の各塗料を、乾燥塗膜が200±40μmとなるようにフィルムアプリケータB形を用いて、ポリプロピレン板上に塗布して塗膜を形成した。23℃の雰囲気下で1日養生後、この塗膜を剥がした遊離塗膜をJIS K 6301(加硫ゴム物理試験方法)に規定するダンベル状2号形に成形し更に23℃の雰囲気かで6日間養生し試験片とした。
JIS A 6021−6−6「6.6.1 23℃における引張性能試験」に準拠して、−20℃、−10℃、0℃、20℃、40℃、50℃、60℃、80℃の条件下で試験片をチャック間60mmになるように引張試験機に取り付け、引張速度5±1mm/分で引張強度試験を行った。引張強度は、試験片に負荷された力を断面積で割ることにより算出した。
引張強度の値が高いほど、温度による変形が少なく、塗膜に耐久性があると評価することができる。
6.タック性試験
実施例及び比較例の各塗料を、乾燥塗膜が200±40μmとなるようにフィルムアプリケータB形を用いて、ポリプロピレン板上に塗布して塗膜を形成した。23℃の雰囲気下で1日養生後、この塗膜を剥がし遊離塗膜を得た。
得られた遊離塗膜を20mm×25mmに切断し、さらに23℃の雰囲気下で6日間養生して試験片を得た。得られた試験片を2枚の鉄製のプレートに挟み込み、プレートの両面から0.2MPaの圧力を加えて1分間保持した後、プレートを解放した際、プレートへの試験片の粘着程度確認して、タック性を評価した。評価基準は、以下の通りである。
(評価基準)
○:試験片が直ちに剥離した。
△:わずかな力を加えることにより試験片が剥離した。
×:多少の力を加えても試験片がプレートに密着したまま維持された。
Figure 2019183004
<6.結果の考察>
以上の結果から、セルロースナノファイバーを含む実施例1〜10のエポキシ樹脂塗料組成物からなる塗料では、全ての評価項目に優れることがわかる。特に、セルロースナノファイバーの固形分比濃度が1.0%以上の実施例1〜8では、比較例に比して耐タイヤ痕性に格段に優れている。なお、実施例9及び10については、比較例よりは優れるものの、セルロースナノファイバーの固形分比濃度が0.5%未満の実施例9ではタイヤ痕がごく一部に見られ、0.5%未満の実施例10ではタイヤ痕がやや目立つ結果となった。
引張強度試験とタック性試験の結果を見ると、実施例では、特に高温(40℃〜80℃)での塗膜強度が比較例に比して向上していることがわかる。実施例及び比較例の結果から、塗料にセルロースナノファイバーを含ませた実施例における高温時の塗膜強度の向上が、耐タイヤ痕性の向上に貢献しているものと推測される。

Claims (9)

  1. エポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂の硬化剤と、セルロースナノファイバーと、を含むことを特徴とするエポキシ樹脂塗料組成物。
  2. 前記セルロースナノファイバーの組成物全量中の固形分比濃度が、0.5質量%以上8.0質量%以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂塗料組成物。
  3. 前記セルロースナノファイバーの数平均繊維径が、3nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のエポキシ樹脂塗料組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂が含まれるエポキシ樹脂主剤と、前記硬化剤が含まれるエポキシ樹脂硬化剤と、の少なくとも2剤から構成され、これら2剤のいずれか一方もしくは双方に前記セルロースナノファイバーが含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂塗料組成物。
  5. 前記2剤の内、前記セルロースナノファイバーが含まれる1剤または2剤に、さらに、ポリエステル系樹脂が含まれることを特徴とする請求項4に記載のエポキシ樹脂塗料組成物。
  6. セルロースナノファイバーがポリエステル系樹脂に分散されてなることを特徴とする塗料補強剤。
  7. 前記セルロースナノファイバーの数平均繊維径が、3nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項6に記載の塗料補強剤。
  8. ポリエステル系樹脂とセルロース繊維の粉体との混合物を加圧混練して、前記セルロース繊維を解繊することを特徴とする塗料補強剤の製造方法。
  9. 請求項5に記載のエポキシ樹脂塗料組成物の製造方法であって、
    前記エポキシ樹脂主剤及び前記エポキシ樹脂硬化剤のいずれか一方もしくは双方に、請求項6または7に記載の塗料補強剤を配合することを特徴とするエポキシ樹脂塗料組成物の製造方法。
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