自動二輪車の分野では、走行時にクランクシャフトの回転に応じて発電し、始動時に電流の供給に応じてスターターとして機能するACG(交流発電機)スターターが一般に知られる。こうした自動二輪車では、ECUの制御対象にACGスターターが加わることから、ECUは大型化する傾向にあって、ECUの配置スペースが模索される。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、大型化する電子制御ユニットをメインフレーム上に配置することができる鞍乗り型車両を提供することを目的とする。
本発明の第1側面によれば、ヘッドパイプから後ろ下がりに延びて、後端に車軸を支持するスイングアームを揺動自在に支持するメインフレームと、前記メインフレームよりも下方で前記ヘッドパイプから下方に延びるダウンフレームと、前記メインフレームおよび前記ダウンフレームに支持されて、前記車軸に平行なクランクシャフトの一端に、走行時に前記クランクシャフトの回転に応じて発電し始動時に電流の供給に応じて前記クランクシャフトを駆動する交流発電機スターターを有する内燃機関と、前記メインフレームの後方で前記メインフレームに連結されて、前記内燃機関に供給される外気を浄化するエアクリーナーと、前記エアクリーナーの外面に固定されて、前記交流発電機スターターの動作を制御する電子制御ユニットとを備える鞍乗り型車両が提供される。
第2側面によれば、第1側面の構成に加えて、前記交流発電機スターターおよび前記電子制御ユニットは車両の左右方向一側面に配置される。
第3側面によれば、第1または第2側面の構成に加えて、前記交流発電機スターターおよび前記電子制御ユニットは前記メインフレームを挟んで前後に配置される。
第4側面によれば、第1〜第3側面のいずれか1の構成に加えて、鞍乗り型車両は、前記クランクシャフトを支持するクランクケースに結合されて、前記クランクケースとの間に前記交流発電機スターターを収容するスターターカバーをさらに備え、前記電子制御ユニットは、前記クランクシャフトの軸心に直交して前記クランクケースおよび前記スターターカバーの合わせ面を含む第1仮想平面と、前記第1仮想平面に平行であって前記スターターカバーに外側から接する第2仮想平面との間に配置される。
第5側面によれば、第4側面の構成に加えて、前記交流発電機スターターから前記電子制御ユニットに延びるハーネスは前記第2仮想平面よりも内側に配置される。
第6側面によれば、第1〜第5側面のいずれか1の構成に加えて、鞍乗り型車両は、前記交流発電機スターターに接続されて、前記エアクリーナーを挟んで前記電子制御ユニットと反対側に配置されるバッテリーをさらに備える。
第7側面によれば、第1〜第6側面のいずれか1の構成に加えて、鞍乗り型車両は、前記メインフレームに支持される燃料タンクを覆うタンクカバーから連続して前記エアクリーナーの外面に向かって走行風を誘導するサイドカバーをさらに備える。
第8側面によれば、第7側面の構成に加えて、鞍乗り型車両は、前記エアクリーナーおよび前記交流発電機スターターに挟まれる空間に配置され、前記燃料タンクに接続されて前記内燃機関に向けて燃料を供給する燃料ポンプをさらに備える。
第9側面によれば、第1〜第8側面のいずれか1の構成に加えて、鞍乗り型車両は、前記電子制御ユニットの下方を延びて、後端で下方からシートフレームを支持するリアフレームと、前記リアフレームに固定されて、前記電子制御ユニットから延びるハーネスを案内する案内部材とをさらに備える。
第1側面によれば、エアクリーナーの配置スペースはメインフレームで制約されるものの、電子制御ユニットはエアクリーナーの外面に固定されることから、電子制御ユニットの配置スペースはメインフレームで制約されず、電子制御ユニットが大型化しても電子制御ユニットはメインフレーム上に配置されることができる。
第2側面によれば、交流発電機スターターおよび電子制御ユニットの距離は短縮されることができ、その結果、交流発電機スターターおよび電子制御ユニットを接続するハーネスは短縮されることができる。
第3側面によれば、交流発電機スターターおよび電子制御ユニットの距離は短縮されることができ、その結果、交流発電機スターターおよび電子制御ユニットを接続するハーネスは短縮されることができる。
第4側面によれば、クランクシャフトの軸方向に交流発電機スターターおよび電子制御ユニットはコンパクトに配置されるので、ハーネスの短縮化は実現されることができる。
第5側面によれば、ハーネスは車両側面に沿ってコンパクトに配置されることができる。
第6側面によれば、エアクリーナーを挟んで電子制御ユニットおよびバッテリーは左右に配置されるので、良好な重量バランスは実現されることができる。
第7側面によれば、電子制御ユニットに向かって走行風は誘導されるので、電子制御ユニットは効果的に冷却されることができる。
第8側面によれば、燃料ポンプは電子制御ユニットに近接して配置されるので、燃料ポンプおよび電子制御ユニットを接続するハーネスは短縮されることができる。
第9側面によれば、ハーネスの向きは案内部材で案内されるので、ハーネスと他部品との干渉は回避されることができる。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。ここで、車体の上下前後左右は自動二輪車に乗車した乗員の目線に基づき規定されるものとする。
図1は本発明の一実施形態に係る鞍乗り型車両である自動二輪車の全体像を概略的に示す。自動二輪車11は、車体フレーム12と、車体フレーム12に装着された車体カバー13とを備える。車体カバー13は、燃料タンク15を覆い、燃料タンク15の後方の乗員シート17に接続されるタンクカバー18と、タンクカバー18の下端から連続して、燃料タンク15の下縁に沿って車両側方から車両後方に向けて前方からの走行風を案内するサイドカバー19と、サイドカバー19から連続して乗員シート17の下縁に沿って車体フレーム12の後方を覆うリアカバー21とを有する。燃料タンク15に燃料は貯留される。自動二輪車11の運転にあたって乗員は乗員シート17を跨ぐ。
図2に示されるように、車体フレーム12は、ヘッドパイプ14と、ヘッドパイプ14から後ろ下がりに延びて、後下端にピボットフレーム22を有する単一のメインフレーム23と、メインフレーム23の下方の位置でヘッドパイプ14から下方に延びるダウンフレーム24と、メインフレーム23の湾曲域23aから水平方向に後方に延びる左右のシートフレーム25と、シートフレーム25の下方でピボットフレーム22から後上がりに延びて後端で下方からシートフレーム25に結合されるリアフレーム26とを有する。リアフレーム26は下方からシートフレーム25を支える。
ヘッドパイプ14には操向自在にフロントフォーク27が支持される。フロントフォーク27には車軸28回りで回転自在に前輪WFが支持される。フロントフォーク27の上端には操向ハンドル29が結合される。運転者は自動二輪車11の運転にあたって操向ハンドル29の左右端のグリップを握る。
車両の後方で車体フレーム12にはピボット31回りで上下に揺動自在にスイングアーム32が連結される。スイングアーム32の後端に車軸33回りで回転自在に後輪WRが支持される。前輪WFと後輪WRとの間で車体フレーム12には後輪WRに伝達される駆動力を生成する内燃機関34が搭載される。内燃機関34の動力は伝動装置35を経て後輪WRに伝達される。
内燃機関34は、ダウンフレーム24およびメインフレーム23の間に配置されて、ダウンフレーム24およびメインフレーム23にそれぞれ連結されて支持され、回転軸線Rx回りで動力を出力するクランクケース36と、クランクケース36から上方に延びて、前傾するシリンダー軸線Cを有するシリンダーブロック37と、シリンダーブロック37の上端に結合されて、動弁機構を支持するシリンダーヘッド38と、シリンダーヘッド38の上端に結合されて、シリンダーヘッド38上の動弁機構を覆うヘッドカバー39とを備える。
図3に示されるように、シリンダーブロック37にはシリンダーライナー41が埋め込まれる。シリンダーライナー41の内側にピストン42が組み込まれる。シリンダーライナー41は、シリンダー軸線Cに沿ってピストン42の線形往復運動を案内するシリンダー43を区画する。ここでは、シリンダーブロック37には単一のピストン42を受け入れる単一のシリンダー43が形成される。ピストン42とシリンダーヘッド38との間に燃焼室44が区画される。シリンダーヘッド38には燃焼室44に臨む点火プラグ45が取り付けられる。カムシャフト46の回転に応じて開閉する吸気弁および排気弁の働きで燃焼室44に混合気が導入され燃焼後の排ガスは燃焼室44から排気される。
クランクケース36は第1ケース半体36aおよび第2ケース半体36bに分割される。第1ケース半体36aおよび第2ケース半体36bは内面同士で向き合わせられる。第1ケース半体36aおよび第2ケース半体36bは合わせ面で液密に相互に結合されて協働でクランク室47を区画する。第1ケース半体36aの外面には、第1ケース半体36aとの間に後述される交流発電機(ACG)スターター48を収容するスターターカバー49が結合される。第2ケース半体36bの外面には、第2ケース半体36bとの間に後述される摩擦クラッチ51を収容するクラッチカバー52が結合される。
クランクシャフト53は、第1ケース半体36aおよび第2ケース半体36bにそれぞれ嵌め込まれる玉軸受54、55に連結されるジャーナル56a、56bと、ジャーナル56a、56bの間に配置されて、クランク室47に収容されるクランク57とを備える。クランク57は、ジャーナル56a、56bに一体化されるクランクウエブ58と、クランクウエブ58を相互に連結するクランクピン59とを有する。ジャーナル56a、56bの軸心は回転軸線Rxに一致する。クランクピン59には、ピストン42から延びるコンロッド61の大端部が回転自在に連結される。コンロッド61はピストン42の線形往復運動をクランクシャフト53の回転運動に変換する。
クランクケース36から外側に一方向に突出するクランクシャフト53の一端にはACG(交流発電機)スターター48が接続される。ACGスターター48は、クランクケース36の外面に固定されるステーター62と、クランクケース36から突き出るクランクシャフト53の一端に相対回転不能に結合されるローター63とを備える。ステーター62は、クランクシャフト53周りで周方向に配列されて、ステーターコアに巻き付けられる複数のコイル62aを有する。ローター63は、ステーター62を囲む環状の軌道に沿って周方向に配列される複数の磁石63aを有する。クランクシャフト53が回転すると、コイル62aに対して磁石63aが相対変位し、ACGスターター48は発電する。反対に、コイル62aに電流が流通すると、コイル62aで磁界が生成され、クランクシャフト53の回転が引き起こされる。
内燃機関34にはドグクラッチ式のトランスミッション64が組み込まれる。トランスミッション64はクランクケース36内に収容される。トランスミッション64はクランクシャフト53の軸心に平行な軸心を有するメインシャフト65およびカウンターシャフト66を備える。メインシャフト65およびカウンターシャフト66は転がり軸受67a、67b、68a、68bで回転自在にクランクケース36に支持される。
メインシャフト65およびカウンターシャフト66には複数のミッションギア71が支持される。ミッションギア71は軸受67a、67b;68a、68b同士の間に配置されてクランク室47に収容される。ミッションギア71は、メインシャフト65またはカウンターシャフト66に同軸に相対回転自在に支持される回転ギア71aと、メインシャフト65に相対回転不能に固定されて、対応する回転ギア71aに噛み合う固定ギア71bと、メインシャフト65またはカウンターシャフト66に相対回転不能かつ軸方向変位自在に支持されて、対応する回転ギア71aに噛み合うシフトギア71cとを含む。回転ギア71aおよび固定ギア71bの軸方向変位は規制される。軸方向変位を通じてシフトギア71cが回転ギア71aに連結されると、回転ギア71aとメインシャフト65またはカウンターシャフト66との相対回転は規制される。シフトギア71cが他軸の固定ギア71bに噛み合うと、メインシャフト65およびカウンターシャフト66の間で回転動力は伝達される。他軸の固定ギア71bに噛み合う回転ギア71aにシフトギア71cが連結されると、メインシャフト65およびカウンターシャフト66の間で回転動力は伝達される。こうしてメインシャフト65とカウンターシャフト66との間で特定のミッションギア71が噛み合うことで規定の減速比でメインシャフト65からカウンターシャフト66に回転動力は伝達される。
メインシャフト65は、クランクケース36の外側でクランクケース36およびクラッチカバー52の間に収容される一次減速機構72を通じてクランクシャフト53に接続される。一次減速機構72は、動力伝達ギア72aと、メインシャフト65上に相対回転自在に支持される被動ギア72bとを備える。動力伝達ギア72aは、クランクケース36から外側に突出するクランクシャフト53の他端に固定される。被動ギア72bは動力伝達ギア72aに噛み合う。
メインシャフト65には、クランクケース36およびクラッチカバー52の間に収容される摩擦クラッチ51が連結される。摩擦クラッチ51はクラッチアウター51aおよびクラッチハブ51bを備える。クラッチアウター51aに一次減速機構72の被動ギア72bは連結される。クラッチレバーの操作に応じて摩擦クラッチ51ではクラッチアウター51aおよびクラッチハブ51bの間で連結および切断が切り替えられる。
カウンターシャフト66には、クランクケース36の外側に配置される伝動装置35の駆動スプロケット35aが結合される。駆動スプロケット35aには駆動チェーン35bが巻き掛けられる。駆動チェーン35bは駆動スプロケット35aの回転動力を後輪WRに伝達する。
図2に示されるように、内燃機関34には、内燃機関34に向けて混合気を供給する吸気装置73と、車両の後方に向けて内燃機関34の排ガスを排出する排気装置74とが接続される。吸気装置73は、シリンダーヘッド38の後壁に結合されて、スロットルバルブの働きでシリンダーヘッド38の吸気道に流通する空気の流量を調整するスロットルボディ75と、メインフレーム23の後方でメインフレーム23に連結されて、コネクティングチューブ76でスロットルボディ75に接続され、内燃機関34に供給される外気を浄化するエアクリーナー77とを備える。スロットルボディ75に、シリンダーヘッド38の吸気道に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置78が差し込まれる。排気装置74は、シリンダーヘッド38の前壁に結合されて、下降域に排ガスを浄化する触媒79を有し、内燃機関34の下方をくぐって後方に延びる排気管81と、排気管81の後端に接続されて、内燃機関34の消音機能を有し、車軸33の後方で大気に排ガスを放出するサイレンサー(図示されず)とを備える。
図4に示されるように、エアクリーナー77は、クランクシャフト53の回転軸線Rxに直交する平面に沿って広がるクリーナーエレメント82との間でACGスターター48側にクリーンルーム83を区画する第1体84aと、クリーナーエレメント82との間で摩擦クラッチ51側にダーティルーム85を区画する第2体84bとに分割されるクリーナーケース84を備える。第1体84aには、前方からクリーンルーム83に差し込まれるコネクティングチューブ76が固定される。第2体84bには、後方側からダーティルーム85に差し込まれる吸入チューブ86が固定される。外気は吸入チューブ86からダーティルーム85に取り込まれ、クリーナーエレメント82で浄化され、クリーンルーム83に流入する。浄化された外気はクリーンルーム83からコネクティングチューブ76を経てスロットルボディ75に供給される。
第1体84aの外面には、電装品の動作を制御する電子制御ユニット(ECU)87が固定される。ACGスターター48および電子制御ユニット87は車両の左右方向一側面に配置される。第2体84bの前方には、ACGスターター48に接続されて、ACGスターター48で発電された電力を貯蔵するバッテリー88が配置される。バッテリー88は、エアクリーナー77を挟んでECU87と反対側に配置される。図1に示されるように、サイドカバー19はエアクリーナー77の外面すなわちECU87に向かって走行風を誘導する。
図5に示されるように、ACGスターター48およびECU87はメインフレーム23を挟んで前後に配置される。ECU87は、ハーネス89でACGスターター48に電気的に接続され、ハーネス91でバッテリー88に電気的に接続される。ECU87にはハーネス89経由で回転センサーのセンサー信号は供給される。ハーネス91はバッテリー88からECU87に電力を供給する。ACGスターター48はハーネス92でバッテリー88に電気的に接続される。ACGスターター48で発電された電力はハーネス経由92でバッテリー88に供給される。ハーネス89は、ECU87から延びてクランクケース36およびサイドカバー19の合わせ面を介してACGスターター48へと繋がる
ECU87は、ACGスターター48に指向する第1カプラー93aおよび第2カプラー93bを備える。第1カプラー93aにはハーネス91のカプラー94が結合される。ハーネス91は第1カプラー93aから直交する方向に上方に延びる。第2カプラー93bにはハーネス89のカプラー95およびハーネス96のカプラー97が結合される。ハーネス89はACGスターター48に向かって延びる。ハーネス96は、リアフレーム26に固定される案内部材98に案内されて、リアフレーム26に沿って後方に延びる。案内部材98は、懸樋の形状を有して下方からハーネス96を支持する。リアフレーム26はECU87の下方を延びて後端で下方からシートフレーム25を支持する。
図6に示されるように、エアクリーナー77の外面には、ECU87を支持する支持板99が固定される。支持板99は、板本体99aの外縁から外側に広がる固定片99bでエアクリーナー77にねじ止めされる。支持板99にはECU87に覆い被さるカバー101が結合される。カバー101は、支持板99で板本体99aの外縁から外側に広がる連結片99cにねじ止めされる。支持板99は、第2カプラー93bよりもACGスターター48に向かって延びて、ハーネス89を案内する環部材102を支持する支持片99dを一体に有する。カバー101の外面にはサイドカバー19で案内される走行風に曝される冷却フィンが一体に形成される。
図7に示されるように、ECU87は、クランクシャフト53の軸心(回転軸線Rx)に直交してクランクケース36およびスターターカバー49の合わせ面を含む第1仮想平面PP1と、第1仮想平面PP1に平行であってスターターカバー49に外側から接する第2仮想平面PP2との間に配置される。ACGスターター48からECU87に延びるハーネス89は第2仮想平面PP2よりも内側に配置される。
図5に示されるように、燃料噴射装置78には、フィードパイプ103およびリターンパイプ104で燃料タンク15に接続されて内燃機関34に向けて燃料を供給する燃料ポンプ105が接続される。燃料ポンプ105は、燃料パイプ106で燃料噴射装置78に接続され、任意の圧力で燃料噴射装置78に向けて燃料を吐出する。燃料ポンプ105はハーネス107でECU87に電気的に接続される。燃料ポンプ105にはハーネス107経由でECU87から制御信号が供給される。
次に本実施形態に係る自動二輪車11の動作を説明する。内燃機関34の吸気行程では吸気装置73から外気が吸い込まれる。外気はエアクリーナー77で浄化されスロットルボディ75からシリンダーヘッド38の吸気道に流入する。混合気は燃焼室44に導入される。燃焼室44では圧縮行程を経て混合気が燃焼し、燃焼後の排ガスは燃焼室44から排気される。ピストン42の線形往復運動に応じてクランクシャフト53は回転軸線Rx回りで回転する。
クランクシャフト53の回転はACGスターター48ではローター63の回転を引き起こす。ローター63の磁石63aはステーター62のコイル62aに対して相対的に変位する。その結果、ACGスターター48は電力を生成する。生成された電力はハーネス92からバッテリー88に送られる。バッテリー88は蓄電する。
内燃機関34の始動時、ECU87はローター63の回転角位置を検出する。検出された回転角位置に応じてECU87はバッテリー88からACGスターター48に電力を供給する。電流の流通に応じてステーター62のコイル62aで磁力が生成され、ステーター62とローター63との間で相対回転は引き起こされる。こうしてクランクシャフト53は回転する。ピストン42の線形往復運動は開始される。ECU87で制御されたタイミングで燃焼動作は実施される。回転角位置の検出にあたってECU87にはハーネス89から回転センサーのセンサー信号は供給される。こうしてECU87はACGスターター48の動作を制御する。
本実施形態では、エアクリーナー77はメインフレーム23の後方でメインフレーム23に連結される。エアクリーナー77の外面にACGスターター48の動作を制御するECU87が固定される。エアクリーナー77の配置スペースはメインフレーム23で制約されるものの、ECU87はエアクリーナー77の外面に固定されることから、ECU87の配置スペースはメインフレーム23で制約されず、ECU87が大型化してもECU87は確実にメインフレーム23上に配置されることができる。
本実施形態に係る自動二輪車11では、ACGスターター48およびECU87は車両の左右方向一側面に配置される。ACGスターター48およびECU87の距離は短縮され、その結果、ACGスターター48およびECU87を接続するハーネス89は短縮される。加えて、ACGスターター48およびECU87はメインフレーム23を挟んで前後に配置されることから、ACGスターター48およびECU87の距離はさらに短縮され、その結果、ACGスターター48およびECU87を接続するハーネス89は短縮される。
ECU87は、クランクシャフト53の軸心(回転軸線Rx)に直交してクランクケース36およびスターターカバー49の合わせ面を含む第1仮想平面PP1と、第1仮想平面PP1に平行であってスターターカバー49に外側から接する第2仮想平面PP2との間に配置される。クランクシャフト53の軸方向にACGスターター48およびECU87はコンパクトに配置されるので、ハーネス89の短縮化は実現される。このとき、ACGスターター48からECU87に延びるハーネス89は第2仮想平面PP2よりも内側に配置されることから、ハーネス89は車両側面に沿ってコンパクトに配置される。
本実施形態に係るECU87は、ACGスターター48に指向する第1カプラー93aおよび第2カプラー93bを備える。ハーネス89を受け止める第2カプラー93bはACGスターター48に指向する位置に配置されるので、ECU87とACGスターター48とは最短距離で接続されることができ、ハーネス89の短縮化は実現される。
本実施形態では、バッテリー88は、ACGスターター48に接続されて、エアクリーナー77を挟んでECU87と反対側に配置される。エアクリーナー77を挟んでECU87およびバッテリー88は左右に配置されるので、良好な重量バランスは実現される。
本実施形態に係る自動二輪車11では、サイドカバー19は、メインフレーム23に支持される燃料タンク15を覆うタンクカバー18から連続してエアクリーナー77の外面に向かって走行風を誘導する。こうしてECU87に向かって走行風は誘導されるので、ECU87は効果的に冷却される。
本実施形態では、自動二輪車11の燃料ポンプ105は、エアクリーナー77およびACGスターター48に挟まれる空間に配置され、燃料タンク15に接続されて内燃機関34に向けて燃料を供給する。こうして燃料ポンプ105はECU87に近接して配置されるので、燃料ポンプ105およびECU87を接続するハーネス107は短縮される。
本実施形態に係る自動二輪車11では、ECU87から延びるハーネス96を案内する案内部材98がリアフレーム26に固定される。ハーネス96の向きは案内部材98で案内されるので、ハーネス96と他部品との干渉は回避される。