JP2019171390A - 金属板材の成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属板材につぶし加工を施すことで厚みを縮小させた厚み縮小部を備える成形品をその表面に厚みムラ等が生じることを抑制して高品質に得ることができる金属板材の成形方法を提供する。【解決手段】ダイ52の加工面56には間隔をおいて対向する一対の傾斜面58と、これらの間に介在する平坦面60とが設けられる。傾斜面58は、平坦面60に近接する側の内側端部58aと、離間する側の外側端部58bとを有する。金属板材12の成形方法は、傾斜面58の両方に渡るように金属板材12をダイ52に載置する載置工程と、ダイ52の傾斜面58とパンチ54との間で金属板材12を押圧して厚み縮小部46を形成する押圧工程とを有する。押圧工程では、金属板材12の内側端部58aに臨む面12aと、内側端部58aとの間に隙間74が形成された状態で維持されるようにパンチ54の下死点を設定する。【選択図】図8

Description

本発明は、金属板材につぶし加工を施すことで厚みを縮小させた厚み縮小部を備える成形品を得る金属板材の成形方法に関する。
無段変速機(CVT)用エレメントは、無段変速機用ベルトを形成する際、その外周側に位置するヘッドと、内周側に位置するボディと、ヘッドとボディを連接するネックとを有する。ボディには、上記の外周側から内周側に向かって連続的に厚みが小さくなる薄肉部が設けられている。薄肉部を備える無段変速機用エレメントのように、他部位よりも厚みを縮小させた厚み縮小部を備える成形品は、例えば、金属板材にパンチとダイを用いたつぶし加工を施すことで得ることができる(例えば、特許文献1参照)。このつぶし加工では、平坦面及び傾斜面を設けたダイの加工面と、パンチの下端面との間で金属板材を押圧する。これによって、つぶし加工後の金属板材には、ダイの傾斜面とパンチの下端面との間に介在していた部分(以下、傾斜面当接部分ともいう)が圧潰されて厚み縮小部が形成される。
特開2012−157871号公報
上記したようなつぶし加工では、ダイ及びパンチを型締めした際、ダイの傾斜面とパンチの下端面との距離が、傾斜面の傾斜角度に応じて部分ごとに異なる大きさとなるため、金属板材の傾斜面当接部分に加えられる押圧力も部分ごとに異なる大きさとなる。この場合、金属板材には、ダイの加工面の面方向に沿った肉の流動が生じるが、型締めされたダイとパンチの間には、特に、上記の面方向を、傾斜面側から平坦面側に向かって肉が流れ込む余地がない又は少ない。このため、行き場を失った肉によって、金属板材の表面に厚みムラ等が生じてしまい、得られる成形品の品質を向上させることが困難になる懸念がある。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、金属板材につぶし加工を施すことで厚みを縮小させた厚み縮小部を備える成形品をその表面に厚みムラ等が生じることを抑制して高品質に得ることができる金属板材の成形方法を提供する。
上記の目的を達成するため、本発明は、金属板材にパンチとダイを用いたつぶし加工を施すことで厚みを縮小させた厚み縮小部を備える成形品を得る金属板材の成形方法であって、ダイの加工面には、間隔をおいて対向する一対の傾斜面と、一対の傾斜面同士の間に介在する平坦面とが設けられ、一対の傾斜面のそれぞれは、平坦面に近接する側の内側端部と、平坦面から離間する側の外側端部とを有するとともに、内側端部から外側端部に向かうにつれて平坦面から突出する方向に傾斜し、一対の傾斜面の両方に渡るように金属板材をダイに載置する載置工程と、ダイにパンチを接近させて、一対の傾斜面のそれぞれとパンチとの間で金属板材を押圧することで厚み縮小部を形成する押圧工程と、を有し、押圧工程では、金属板材の内側端部に臨む面と、該内側端部との間に隙間が形成された状態で維持されるようにパンチの下死点を設定することを特徴とする。
この金属板材の成形方法では、押圧工程において、ダイの傾斜面とパンチとの間で金属板材を押圧する際、傾斜面の内側端部と金属板材との間に隙間が形成された状態で維持される。このため、金属板材の、ダイの傾斜面とパンチとの間で押圧される部分(傾斜面当接部分)に加えられる押圧力が、傾斜面の傾斜角度に応じて部分ごとに異なる大きさとなることで、該傾斜面当接部分にダイの加工面の面方向に沿った肉の流動が生じても、該肉を、傾斜面の内側端部と金属板材との間の隙間に流れ込ませることができる。このようにダイの加工面とパンチとの間で肉を良好に流動可能とすることで、金属板材の表面に厚みムラ等が生じることを回避できる。
以上から、この金属板材の成形方法によれば、表面に厚みムラ等が生じることを抑制しつつ金属板材につぶし加工を施すことができるため、厚み縮小部を備える成形品を高品質に得ることが可能になる。
上記の金属板材の成形方法において、傾斜面には、外側端部から内側端部に向かって、該傾斜面の少なくとも一部が切欠かれた切欠き部が形成され、載置工程では、金属板材の厚み縮小部より厚肉となる厚肉部を形成する箇所が切欠き部に臨むように金属板材をダイに載置することが好ましい。この場合、傾斜面に切欠き部を設ける簡単な構成によって、金属板材に対し、押圧工程においてダイの平坦面とパンチとの間に介在する部分以外に、換言すると、金属板材の厚み縮小部が設けられる側に、厚み縮小部より厚肉となる厚肉部を形成することができる。
上記の金属板材の成形方法において、成形品は、無段変速機のプーリに摺接する側面及び薄肉部を有するボディと、ボディの上端部から突出するネックと、ネックに連なり且つネックより幅広のヘッドとを有し、ボディとヘッドとの間に金属ベルトを挟持する無段変速機用エレメントであり、載置工程及び押圧工程では、厚み縮小部として薄肉部を形成することが好ましい。この金属板材の成形方法は、無段変速機用エレメントを得る場合に、特に好適に適用することができる。これによって、表面の厚みムラ等が抑制され、品質に優れた無段変速機用エレメントを得ることが可能になる。
上記の金属板材の成形方法において、傾斜面には、外側端部から内側端部に向かって、該傾斜面の少なくとも一部が切欠かれた切欠き部が形成され、金属板材の、載置工程で切欠き部に臨む位置に載置されたことで、押圧工程で厚み縮小部より厚肉に形成された厚肉部の少なくとも一部を残して、金属板材に無段変速機用エレメントの外形形状を打抜き加工する打抜き工程を有することが好ましい。
この場合、打抜き工程において打抜かれずに残された厚肉部に、金属板材の無段変速機用エレメントを構成する部分とその残部とを連結する連結部を形成することができる。この際、厚肉部が十分な厚みを有することで、連結部を容易に形成することが可能になる。なお、この連結部を、例えば、打抜き工程後の分離工程で切断することにより、無段変速機用エレメントを金属板材の残部から分離することができる。このようにして、打ち抜き工程と分離工程とを別工程とすることで、無段変速機用エレメントを高精度且つ効率的に得ることが可能になる。
本発明によれば、金属板材につぶし加工を施すことで厚みを縮小させた厚み縮小部を備える成形品をその表面に厚みムラ等が生じることを抑制して高品質に得ることが可能になる。
本発明の実施形態に係る金属板材の成形方法により得られる成形品である無段変速機用エレメントの説明図である。 図1のII−II線矢視断面図である。 無段変速機用エレメントの製造過程を金属板材の長手方向に沿って示す説明図である。 金属板材につぶし加工を行う金型装置のダイの斜視図である。 ダイと、該ダイに載置された金属板材との関係を説明する平面図である。 図5のVI−VI線矢視断面における金属板材にパンチを接触させた様子を説明する説明図である。 図5のVII−VII線矢視断面における金属板材にパンチを接触させた様子を説明する説明図である。 図6のダイ及びパンチを型締めした様子を説明する説明図である。 図7のダイ及びパンチを型締めした様子を説明する説明図である。
本発明に係る金属板材の成形方法について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の図において、同一又は同様の機能及び効果を奏する構成要素に対しては同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する場合がある。
本発明に係る金属板材の成形方法は、例えば、図1及び図2に示す無段変速機用エレメント(以下、単にエレメントともいう)10を得る場合に好適に適用することができる。そこで、以下では、本実施形態に係る金属板材の成形方法により、金属板材12(図3参照)から、エレメント10を成形品として得る例について説明する。しかしながら、本発明に係る金属板材の成形方法によって得られる成形品は、エレメント10に限定されず、金属板材12につぶし加工を施すことで厚みを縮小させた厚み縮小部を備えるものであればよい。
エレメント10は、全体として環状になるように厚み方向(図2の矢印XA1、XA2方向)に複数積層された状態で、金属リングRによって一体に結束されることで無段変速機用ベルトを形成する部材である。なお、金属リングRは、詳しくは図示していないが、金属板をリング状に形成したリング部材Raを複数積層することによって形成される。
また、エレメント10は、無段変速機用ベルトを形成する際に、その外周側(図1の矢印ZA1側)に位置するヘッド14と、内周側(図1の矢印ZA2側)に位置するボディ16と、該ヘッド14とボディ16とを一体に連接するネック18とを有する。ネック18がヘッド14及びボディ16の何れよりも幅狭であることにより、ヘッド14とボディ16との間には、一対の溝20が形成される。この溝20のそれぞれに、金属リングRが挟持される。
ボディ16の幅方向(図1の矢印YA1、YA2方向)両端の側面22(V面)には、図1に仮想線で示した無段変速機のプーリPが摺接する。また、図2に示すように、ボディ16の上端側(矢印ZA1側)の厚み方向(矢印XA1、XA2方向)の両端には、互いに平行に延在する平行面24が設けられている。ボディ16の平行面24より下端側(矢印ZA2側)の矢印XA2側にはボディ傾斜面26が設けられている。ボディ傾斜面26は、矢印ZA1側から矢印ZA2側に向かうにつれて、矢印XA2側から矢印XA1側に接近する方向に傾斜する。このように傾斜するボディ傾斜面26により、ボディ16は、平行面24とボディ傾斜面26との境界に形成されたロッキングエッジ28から、矢印ZA2側に向かうにつれて厚みが小さくなる薄肉部30を備える。
図2に示すように、ヘッド14の矢印XA1側の面の中央部付近には、凹部32が形成されている。一方、ヘッド14の矢印XA2側の面の中央部付近には、凹部32に係合可能な凸部34が形成されている。例えば、凹部32は断面円形状であり、凸部34は凹部32に僅少の隙間を有して入り込む断面円形の円柱状突起からなる。無段変速機用ベルトを形成する際、凸部34が隣接して積層されたエレメント10の凹部32に入り込むことにより、エレメント10同士の位置関係が定められる。
次に、金属板材12を成形してエレメント10を得る本実施形態に係る金属板材の成形方法(以下、単に成形方法ともいう)について説明する。
図3に示すように、金属板材12は、矢印L方向に沿って搬送され、第1加工ステーションS1、第2加工ステーションS2、第3加工ステーションS3、第4加工ステーションS4のそれぞれにおいて後述する所定の加工が施される。加工前の金属板材12は、厚みが一様な長尺な帯板状であり、不図示のロール体から送り出されることで、各加工ステーションS1、S2、S3、S4に搬送される。
この成形方法では、金属板材12に対し、その幅方向の中心線Qの両側に2列の加工対象部分T1、T2を設け、各加工対象部分T1、T2に上記の加工をそれぞれ施すことで、該中心線Qを軸として線対称となるようにエレメント10を形成していく。具体的には、金属板材12の中心線Qの両側に、該中心線Qにエレメント10のヘッド14側が臨む向きでエレメント10を形成していく。
金属板材12は、最初に第1加工ステーションS1の前段に搬送される。第1加工ステーションS1では、先ず、金属板材12に対し、ピアス孔であるパイロット孔40を形成する。
パイロット孔40等が設けられた金属板材12は、該パイロット孔40に挿入される不図示の位置決め搬送ピンの移動作用下に、第1加工ステーションS1の後段に搬送されて、所定の位置に位置決めされる。次に、図3に斜線を引いて示す、エレメント10の外形不要部44を金属板材12から除去する窓抜き加工を行う。なお、窓抜き加工は、一般的なパンチ及びダイ(何れも不図示)を用いて行うことができる。
次に、上記の搬送ピンの移動作用下に、第2加工ステーションS2に金属板材12を搬送する。第2加工ステーションS2では、金属板材12の
幅方向両端部につぶし加工を施すことにより厚みを縮小させて、エレメント10の薄肉部30に対応する厚み縮小部46をそれぞれ形成する。このつぶし加工は、図4〜図9に示す金型装置50を用いて行うことができる。
金型装置50は、ダイ52と、パンチ54(図6〜図9参照)とを有する。ダイ52のパンチ54に臨む面である加工面56には、矢印ZB1、ZB2方向に間隔をおいて対向する一対の傾斜面58と、一対の傾斜面58同士の間に介在する平坦面60とが設けられる。
一対の傾斜面58のそれぞれは、平坦面60に近接する側の内側端部58aと、平坦面60から離間する側の外側端部58bとを有するとともに、内側端部58aから外側端部58bに向かうにつれて平坦面60から突出する方向、換言すると、矢印XB1側に向かう方向に傾斜する。この傾斜面58の傾斜角度は、最終的に得られるエレメント10のボディ傾斜面26の傾斜角度に応じた大きさに設定される。傾斜面58の長手方向(矢印YB1、YB2方向)の長さは、エレメント10の幅に略対応する。傾斜面58の長手方向の略中央には、外側端部58bから内側端部58aに向かって一部が切欠かれた切欠き部62が形成されている。
また、ダイ52の加工面56の傾斜面58より外縁側には、パンチ54に向かって、矢印XB1側に突出する複数の突出ピン64が設けられている。図6〜図9に示すように、パンチ54のダイ52に臨む平坦な下端面66にも、該ダイ52の突出ピン64に対応する箇所に、該突出ピン64に向かって、矢印XB2側に突出する複数の突出ピン68が設けられている。
パンチ54は、例えば、油圧シリンダ等の駆動機構(不図示)の作用下に、ダイ52の加工面56に対して接近又は離間するように、矢印XB1、XB2方向に進退可能となっている。ダイ52にパンチ54を接近させる際、ダイ52に設けられた突出ピン64とパンチ54に設けられた突出ピン68とが当接することで、パンチ54の下死点が後述するように定められる。下死点に到達したパンチ54の下端面66と、ダイ52の傾斜面58及び平坦面60との間には、矢印ZB1側と矢印ZB2側とのそれぞれに、エレメント10のボディ16の厚み方向の形状に応じた空間が形成される。
上記のように構成される金型装置50を用いて、つぶし加工を行う場合、先ず、図5に示すように、一対の傾斜面58の両方に渡るように金属板材12をダイ52に載置する載置工程を行う。これによって、金属板材12の幅方向の一端部が矢印ZB1側の傾斜面58に載置され、金属板材12の幅方向の他端部が矢印ZB2側の傾斜面58に載置される。
金属板材12は、上記のようにして傾斜面58に載置された部分の矢印YB1、YB2方向の略中央に、幅方向(矢印ZB1、ZB2方向)外側に向かって突出する突起部70がそれぞれ設けられている。この突起部70は、傾斜面58の切欠き部62内に配置される。
次に、図6〜図9に示すように、ダイ52にパンチ54を接近させて、一対の傾斜面58のそれぞれとパンチ54の下端面66との間で金属板材12を押圧することで、該金属板材12の幅方向両端部に厚み縮小部46を形成する押圧工程を行う。具体的には、押圧工程では、パンチ54をダイ52に向かって下降させていくことで、図6及び図7に示すように、パンチ54の下端面66と、ダイ52の傾斜面58との間に金属板材12の突起部70を除く幅方向両端部が挟まれる。
さらに、パンチ54を下降させることにより、ダイ52の傾斜面58とパンチ54の下端面66との間で、金属板材12の突起部70を除く幅方向両端部が押圧されてその厚みが縮小していく。この際、ダイ52の傾斜面58とパンチ54の下端面66との距離が、該傾斜面58の傾斜角度に応じて部分ごとに異なる大きさとなるため、ダイ52の傾斜面58とパンチ54との下端面66との間で押圧される金属板材12の幅方向両端部(傾斜面当接部分)に加えられる押圧力も部分ごとに異なる大きさとなる。これによって、金属板材12の幅方向両端部では、ダイ52の加工面56の面方向に沿った肉の流動が生じながら、その厚みが縮小していく。
そして、図8及び図9に示すように、ダイ52の突出ピン64とパンチ54の突出ピン68とが当接したところで、パンチ54のそれ以上の下降が停止され、金属板材12の突起部70を除く幅方向両端部に厚み縮小部46が形成される。また、図9に示すように、切欠き部62内に配設された突起部70は、厚みが縮小されず、厚み縮小部46より厚肉の厚肉部70aを構成する。なお、切欠き部62の深さ等を調整することにより、突起部70の厚みを厚み縮小部46より少なく圧縮して厚肉部70aを構成してもよい。
さらに、金属板材12のうち、ダイ52の平坦面60とパンチ54の下端面66との間に介在していた部分には、エレメント10のロッキングエッジ28よりヘッド14側の厚みに応じた平坦部72が形成される。
この押圧工程におけるパンチ54の下死点は、金属板材12の内側端部58aに臨む面12aと、該内側端部58aとの間に隙間74が形成された状態で維持されるように設定される。
次に、図3に示すように、上記の搬送ピンの移動作用下に、第3加工ステーションS3に金属板材12を搬送する。第3加工ステーションS3では、厚肉部70aを残して金属板材12に打抜き加工を施す打抜き工程を行う。これによって、金属板材12の厚肉部70aを除く部分をエレメント10の外形形状に打抜くとともに、厚肉部70aに対し、金属板材12の打ち抜かれた部分12bとその残部12cとを連結する連結部76を形成する。
その結果、金属板材12の、つぶし加工により厚みを縮小させた厚み縮小部46にエレメント10の薄肉部30の外周がせん断され、金属板材12の平坦部72にエレメント10のロッキングエッジ28からヘッド14にかかる部分の外周がせん断される。なお、このような打ち抜き工程は、例えば、特開2016−124020号公報に記載の加工装置を用いて行うことができる。
次に、上記の搬送ピンの移動作用下に、第4加工ステーションS4に金属板材12を搬送する。第4加工ステーションS4では、連結部76を抜打ち切断することにより、金属板材12の残部12cからエレメント10を分離する分離工程を行う。これによって、金属板材12の各加工対象部分T1、T2から、薄肉部30が形成されたボディ16を備えるエレメント10をそれぞれ得ることができる。
以上から、本実施形態に係る成形方法の押圧工程では、図8及び図9に示すように、傾斜面58の内側端部58aと金属板材12の面12aとの間に隙間74が形成された状態で維持されるようにパンチ54及びダイ52の下死点が設定されている。このため、上記のように金属板材12の幅方向両端部にダイ52の加工面56(傾斜面58及び平坦面60)の面方向に沿った肉の流動が生じても、該肉を隙間74に流れ込ませることができる。このようにダイ52の傾斜面58及び平坦面60と、パンチ54の下端面66との間で肉を良好に流動可能とすることで、金属板材12の表面に厚みムラ等が生じることを回避しつつ、金属板材12の幅方向両端部に厚み縮小部46を形成することができる。
従って、この成形方法によれば、表面に厚みムラ等が生じることを抑制しつつ金属板材12につぶし加工を施して厚み縮小部46を形成することができる。この厚み縮小部46から薄肉部30を構成し、金属板材12の平坦部72からロッキングエッジ28よりヘッド14側を構成することで、エレメント10を高品質に得ることができる。
また、この成形方法では、上記の通り、傾斜面58に切欠き部62を設ける簡単な構成によって、金属板材12の平坦部72以外の部分に、換言すると、厚み縮小部46が設けられる金属板材12の幅方向両端部に、厚み縮小部46より厚肉となる厚肉部70aを形成することができる。
上記の通り、この成形方法では、打抜き工程において、厚肉部70aの少なくとも一部を残して金属板材12に打抜き加工を施すこととした。これによって、打抜かれずに残された厚肉部70aに、金属板材12のエレメント10を構成する打ち抜かれた部分12bと、その残部12cとを連結する連結部76を形成することができる。この際、厚肉部70aが十分な厚みを有することで、連結部76を容易に形成することが可能になる。
この連結部76を、打抜き工程後の分離工程で切断することにより、エレメント10を金属板材12の残部12cから分離することができる。このようにして、打ち抜き工程と分離工程とを別工程とすることで、エレメント10を高精度且つ効率的に得ることが可能になる。
本発明は、上記した実施形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
上記の実施形態では、傾斜面58のそれぞれの長手方向(矢印YB1、YB2方向)の略中央に1個の切欠き部62を設け、金属板材12の突起部70に厚肉部70aを設けることとしたが、特にこれに限定されるものではない。厚肉部70aを設ける箇所や個数は、所望の形状の成形品が得られるように適宜設定することができる。また、傾斜面58に、切欠き部62を設けないことで、金属板材12に厚肉部70aを形成しないこととしてもよい。
また、上記の実施形態では、ダイ52の加工面56から突出する突出ピン64と、パンチ54の下端面66から突出する突出ピン68との当接位置を調整することで、パンチ54の下死点が上記の通りに設定されることとしたが、特にこれに限定されるものではない。パンチ54の下死点を設定する構成としては、例えば、不図示のストロークエンドブロック等の公知の構成を採用することができる。
10…無段変速機用エレメント(エレメント) 12…金属板材
12a…面 14…ヘッド
16…ボディ 18…ネック
22…側面 30…薄肉部
46…厚み縮小部 52…ダイ
54…パンチ 56…加工面
58…傾斜面 58a…内側端部
58b…外側端部 60…平坦面
62…切欠き部 70a…厚肉部
74…隙間 76…連結部
P…プーリ R…金属リング

Claims (4)

  1. 金属板材にパンチとダイを用いたつぶし加工を施すことで厚みを縮小させた厚み縮小部を備える成形品を得る金属板材の成形方法であって、
    前記ダイの加工面には、間隔をおいて対向する一対の傾斜面と、前記一対の傾斜面同士の間に介在する平坦面とが設けられ、
    前記一対の傾斜面のそれぞれは、前記平坦面に近接する側の内側端部と、前記平坦面から離間する側の外側端部とを有するとともに、前記内側端部から前記外側端部に向かうにつれて前記平坦面から突出する方向に傾斜し、
    前記一対の傾斜面の両方に渡るように前記金属板材を前記ダイに載置する載置工程と、
    前記ダイに前記パンチを接近させて、前記一対の傾斜面のそれぞれと前記パンチとの間で前記金属板材を押圧することで前記厚み縮小部を形成する押圧工程と、を有し、
    前記押圧工程では、前記金属板材の前記内側端部に臨む面と、該内側端部との間に隙間が形成された状態で維持されるように前記パンチの下死点を設定することを特徴とする金属板材の成形方法。
  2. 請求項1記載の金属板材の成形方法において、
    前記傾斜面には、前記外側端部から前記内側端部に向かって、該傾斜面の少なくとも一部が切欠かれた切欠き部が形成され、
    前記載置工程では、前記金属板材の前記厚み縮小部より厚肉となる厚肉部を形成する箇所が前記切欠き部に臨むように前記金属板材を前記ダイに載置することを特徴とする金属板材の成形方法。
  3. 請求項1記載の金属板材の成形方法において、
    前記成形品は、無段変速機のプーリに摺接する側面及び薄肉部を有するボディと、前記ボディの上端部から突出するネックと、前記ネックに連なり且つ前記ネックより幅広のヘッドとを有し、前記ボディと前記ヘッドとの間に金属ベルトを挟持する無段変速機用エレメントであり、
    前記載置工程及び前記押圧工程では、前記厚み縮小部として前記薄肉部を形成することを特徴とする金属板材の成形方法。
  4. 請求項3記載の金属板材の成形方法において、
    前記傾斜面には、前記外側端部から前記内側端部に向かって、該傾斜面の少なくとも一部が切欠かれた切欠き部が形成され、
    前記金属板材の、前記載置工程で前記切欠き部に臨む位置に載置されたことで、前記押圧工程で前記厚み縮小部より厚肉に形成された厚肉部の少なくとも一部を残して、前記金属板材に前記無段変速機用エレメントの外形形状を打抜き加工する打抜き工程を有することを特徴とする金属板材の成形方法。
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