JP2019145754A - 電気化学デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】寿命を向上させることが可能な電気化学デバイスを提供すること。【解決手段】素子本体と、素子本体を覆う外装シート4と、外装シート4から外側に引き出されるリード端子18、28と、を有する電気化学デバイスであって、外装シート4が表面シート4aと裏面シート4bとを有する。表面シート4aは、表面側金属シート4Aを含み、裏面シート4bは、裏面側金属シート4Aを含む。リード端子18が引き出されるシール部40の位置で、リード端子18の表面から表面側金属シート4Aまでのシール部40の第1厚みをZ1とし、リード端子18の裏面から裏面側金属シート4Aまでのシール部40の第2厚みをZ2とし、リード端子18の厚みをZ3とした場合に、Z1+Z2が60μm以下であり、(Z1+Z2)/Z3が0.5以上で6.0以下である。【選択図】図2B

Description

本発明は、電気二重層キャパシタ(EDLC)などとして好ましく用いられる電気化学デバイスに関する。
たとえば下記の特許文献1にも示すように、ICカード等の用途に合わせ、超薄型の電気化学デバイスが注目されている。電気化学デバイスの内部には電解液が入っており、塩(イオン性物質)と溶媒から構成されている。この電解液が、外部に拡散すると、電解液が不足し、デバイスの寿命が低下するおそれがある。
特開2013−215637号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、寿命を向上させることが可能な電気化学デバイスを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る電気化学デバイスは、
セパレータシートを挟むように一対の内部電極が積層してある素子本体と、
前記素子本体を覆う外装シートと、
前記素子本体が電解質溶液で浸漬されるように、前記外装シートの周縁部を密封するシール部と、
前記外装シートの前記シール部から外側に引き出されるリード端子と、を有する電気化学デバイスであって、
前記外装シートが表面シートと裏面シートとを有し、
前記表面シートが表面側金属シートを含み、
前記裏面シートが裏面側金属シートを含み、
前記リード端子が引き出される前記シール部の位置で、前記リード端子の表面から前記表面側金属シートまでの前記シール部の第1厚みをZ1とし、前記リード端子の裏面から前記裏面側金属シートまでの前記シール部の第2厚みをZ2とし、前記リード端子の厚みをZ3とした場合に、
Z1+Z2が60μm以下であり、
(Z1+Z2)/Z3が0.5以上で6.0以下であることを特徴とする。
本発明者等は、特に端子を導出している部分のシール部の厚みと、端子の厚みとを所定の関係に保つことで、デバイスの寿命を長くすることができることを見い出し、本発明を完成させるに至った。表面シートおよび裏面シートは、金属シートをそれぞれ含んでいる。そのため、表面シート自体および裏面シート自体を電解液が外部に透過して拡散することは考えにくく、電解液は、シール部を通して外部に拡散すると考えられる。
シール部の厚みは、特に、リード端子が引き出される部分で厚くなる。本発明の電気化学デバイスでは、端子が引き出される部分のシール部の厚みと、端子の厚みとを所定の関係に保つことで、デバイスの寿命を長くすることができる。
好ましくは、前記リード端子の厚みZ3が60μm以下である。厚みZ3を薄くすることで、デバイスの寿命を長くすることができる。
好ましくは、前記内部電極の集電体層が、前記リード端子に連続して一体に成形してある。このように構成することで、リード端子の厚みを薄くすることが容易になる。
好ましくは、前記リード端子が引き出されない前記シール部の位置で、前記表面側金属シートから前記裏面側金属シートまでの前記シール部の厚みが、50μm以下である。このように構成することで、リード端子が引き出されないシール部からの電解液の拡散も抑制することが可能になり、デバイスの寿命をさらに向上させることができる。
好ましくは、前記裏面シートの先端部が、前記リード端子の引出方向に沿って前記リード端子の先端部よりも外側に位置し、サポートタブを兼ねており、
前記表面シートの先端部が、前記リード端子の引出方向に沿って前記リード端子の先端部よりも内側に位置する。サポートタブが具備されることで、その上に配置されるリード端子を有効に保護することができる。
図1Aは本発明の一実施形態に係る電気二重層キャパシタの斜視図である。 図1Bは本発明の他の実施形態に係る電気二重層キャパシタの斜視図である。 図2Aは図1AのIIA−IIA線に沿う概略断面図である。 図2Bは図2Aに示すシール部の要部拡大断面図である。 図2Cは図1AのIIC−IIC線に沿う要部拡大断面図である。 図2Dは図1AのIID−IID線に沿う要部拡大断面図である。 図3は図2Aに示す電気二重層キャパシタの製造方法例を示す断面図である。 図4Aは図3に対応する製造方法例を示す概略斜視図である。 図4Bは図4Aの続きの工程を示す斜視図である。 図5は本発明の他の実施形態に係る電気二重層キャパシタの斜視図である。 図6は図5のVI−VI線に沿う要部断面図である。 図7は本発明のさらに他の実施形態に係る電気二重層キャパシタの斜視図である。 図8は図7のVIII−VIII線に沿う要部断面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
図1Aに示すように、本発明の一実施形態に係る電気化学デバイスとしての電気二重層キャパシタ(EDLC)2は、外装シート4を有する。外装シート4は、一枚のシートを折り返し周縁部4cで折り曲げて形成された表面シート4aおよび裏面シート4bを有している。なお、表面シート4aと裏面シート4bとは折り返さず、独立した上下のシートを貼り合わせて外装シート4を構成してもよい。
本実施形態では、外装シート4は、X軸方向の長さL0がY軸方向の長さW0に比較して長い長方形状を有するが、これに限定されず、正方形でも、その他の多角形状、あるいは円形、楕円形、あるいはその他の形状でも良い。この実施形態では、外装シート4の表面シート4aと裏面シート4bとが重なる方向を厚み方向(Z軸方向)とし、それに相互に直交する方向をX軸およびY軸とする。
図2Aに示すように、外装シート4の内部には、素子本体10が内蔵してある。素子本体10は、電気二重層キャパシタの素子を構成しており、本実施形態では、単一のキャパシタ素子が外装シート4の内部に収容してある。
素子本体10では、電解質溶液が染み込んであるセパレータシート11を挟むように一対の第1内部電極16と第2内部電極26とが積層してある。第1内部電極16と第2内部電極26のうちの一方は、正極となり、他方は、負極となるが、構成は同じである。これらの第1内部電極16および第2内部電極26は、それぞれセパレータシート11の相互に反対面に接触するように積層される第1活性層12および第2活性層22を有する。また、第1内部電極16および第2内部電極26は、各活性層12,22にそれぞれ接触するように積層される第1集電体層14および第2集電体層24を有する。
セパレータシート11は、内部電極16および26を電気的に絶縁すると共に、電解質溶液が浸透可能に構成してあり、たとえば電気絶縁性の多孔質シートで構成される。電気絶縁性の多孔質シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や、上記樹脂の混合物の延伸膜、あるいは、セルロース、ポリエステルおよびポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。セパレータシート11の厚さは、たとえば5〜50μm程度である。
集電体層14,24としては、一般的に高い導電性を有する材料であれば特に限定されないが、低電気抵抗の金属材料が好ましく用いられ、たとえば、銅、アルミニウム、ニッケル等などのシートが用いられる。これらの集電体層14,24のそれぞれの厚みは、たとえば10〜100μm程度であるが、好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは15〜60μmである。集電体層14,24のY軸方向幅は、好ましくは2〜10mmであり、セパレータシート11のY軸方向幅よりも小さいことが好ましい。集電体層14,24は、セパレータシート11のY軸方向の中央に配置されることが好ましい。
活性層12,22は、活物質およびバインダを含み、好ましくは導電助剤を含む。活性層12,22は、それぞれの集電体層14,24を構成するシートの表面に積層して形成される。
活物質としては、種々の電子伝導性を有する多孔体が挙げられ、たとえば、活性炭、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー(MCF)、コークス類、ガラス状炭素、有機化合物焼成体等の炭素材料が挙げられる。バインダとしては、上記の活物質、好ましくは導電助剤を集電体層を構成するシートに固定することができれば特に限定されず、種々の結着剤を使用できる。バインダとしては、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂や、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)と水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、デキストリン、グルテン等)との混合物等が挙げられる。
導電助剤は、活性層12,22の電子伝導性を高めるために添加される材料である。導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料および金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
活性層12,22のそれぞれの厚さは、好ましくは、たとえば1〜100μm程度である。活性層12,22は、各集電体層14,24の表面に、セパレータシート11と同等以下の面積で、集電体層14,24の表面に形成されている。活性層12,22は、公知の方法で作製することができる。
本実施形態において、「正極」とは、電気二重層キャパシタに電圧を印加した際に、電解質溶液中のアニオンが吸着する電極であり、「負極」とは、電気二重層キャパシタに電圧を印加した際に、電解質溶液中のカチオンが吸着する電極である。なお、電気二重層キャパシタに対して一度特定の正負の向きに電圧を印加して充電した後に再充電する際には、通常最初と同じ向きに充電を行い、逆向きに電圧を印加して充電することは少ない。
外装シート4は、後述の電解質溶液を透過させない材料からなり、しかも、外装シート4の周縁部同士、あるいは図4Aに示す密封用テープ40a(以下同様に、42aを含む場合あり)と熱シールにより一体化されるものであることが好ましい。この密封用テープ40aは、作業性から粘着テープなどのテープ状のものが好ましい。ただしテープに限らず塗布可能なシーラント樹脂であっても熱により溶融し接着可能なものであればどのような形態のものでも良い。
また、外装シート4は、素子本体10を密封し、シート4の内部に、空気や水分が進入するのを防止するもので構成してある。具体的には、外装シート4は、単層シートでも良いが、図2Aに示すように、金属シート4Aを、内側層4Bおよび外側層4Cとで挟むように積層してある多層シートであることが好ましい。
金属シート4Aは、たとえばAl、ステンレス等で構成してあることが好ましく、内側層4Bは、電気絶縁材で構成してあり、電解質溶液とは反応しにくく熱シール可能なポリプロピレンなどと同様な材質で構成してあることが好ましい。また、外側層4Cは、特に制限されず、たとえばPET、PC、PES、PEN、PI、フッ素樹脂、PE、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などで構成してあることが好ましい。外装シート4の厚みは、好ましくは、5〜150μmである。
本実施形態では、外装シート4の耐力は、JIS Z2241において、390〜1275N/mm、好ましくは785〜980N/mmである。また、外装シートの硬さは、ピッカース硬さ(Hv)(JIS 2244)において、230〜480、好ましくは280〜380である。このような観点からは、外装シート4の金属シート4Aは、JISで規定するステンレス鋼SUS304(BA)、SUS304(1/2H)、SUS304 H、SUS301 BA、SUS301(1/2H)、SUS301(3/4H)が好ましい。
リード端子18,28は、集電体層14,24に対して電流の入出力端子の役割を果たす導電性部材であり、矩形板形状をなしている。本実施形態では、各リード端子18,28は、集電体層14,24をそれぞれ構成する導電性シートと一体化されたシートにより形成してあり、集電体層14,24と同じ厚みであっても良い。ただし、各リード端子18,28は、集電体層14,24とは別の導電性部材で形成し、各集電体層14,24と電気的に接続させても良い。その場合には、各リード端子18,28の厚みは、集電体層14,24の厚みと異ならせることも可能であり、たとえば10〜100μm程度、好ましくは60μm以下、さらに好ましくは20〜60μmである。
図2Aに示すように、各リード端子18,28は、素子本体10のX軸方向の相互に反対側からサポートタブ4f1,4f2に沿って引き出され、素子本体10の内部は、第1シール部40および第2シール部42によりシールされている。第1シール部40および第2シール部42は、後述する図4Aおよび図4Bに示す密封用テープ40a,42aと、図2Aに示す外装シート4の内側層4Bとが、熱シール時の加熱により一体化されて形成される。すなわち、図2Dに示すように、外装シート4の内周面に形成してある内側層(樹脂)4Bの一部が、密封用テープ40a,42aと共に、リード端子18,28のY軸方向の両側表面に密着して熱溶着部となり、第1シール部40および第2シール部42での密封性を向上させる。
また、図1Aに示すように、リード端子18,28が引き出されていない第3シール部44では、外装シート4の折り返し周縁部4cで折り曲げられて、熱シール時の加熱により、外装シート4の内側層4Bが融着して一体化される。同様にリード端子18,28が引き出されていない第4シール部46では、図2Cに示すように、外装シート4の表面シート4aおよび裏面シート4bにおけるサイド周縁部4eの内側層4Bが、熱シール時の加熱により融着して一体化される。
図1Aに示すように、第1シール部40のY軸方向の両端には、それぞれ第3シール部44および第4シール部46の一端が接続するように連続して形成してあり、これらの第3シール部44および第4シール部46の他端を接続するように、第2シール部42が連続して形成してある。そのため、外装シート4の内部は、外装シート4の外部に対して良好に密封される。
外装シート4で挟まれ、シール部40,42,44および46により素子本体10を密封するための空間には、電解質溶液(図示せず)が充填され、その一部は、図2Aに示す活性層12,22およびセパレータシート11の内部に含浸されている。
電解質溶液としては、電解質を有機溶媒に溶解させたものが使用される。電解質としては、たとえば、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEABF4 − )、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEMABF4 − )等の4級アンモニウム塩など、アンモニウム塩、アミン塩、或いはアミジン塩などを用いるのが好ましい。なお、これらの電解質は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有機溶媒としては、公知の溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリルなどが好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
各リード端子18,28の先端は、図2Aに示すように、それぞれ第1シール部40および第2シール部42を通り、第1シール部40および第2シール部42の外部に引き出される。第1シール部40および第2シール部42は、各リード端子18,28が外部に引き出される部分であり、第3シール部44および第4シール部46に比較して、特に密封性が要求される。
本実施形態のEDLC2では、素子本体10の第1リード端子18と第2リード端子28とが、EDLC2の長手(X軸方向)方向に沿って反対側に引き出されている。このため、EDLC2のY軸方向幅を小さくすることができると共に、第1シール部40および第2シール部42の厚みを必要最小限にすることができ、EDLC2全体の厚みも小さくすることができる。このため、EDLC2の小型化および薄型化を実現することができる。
また、本実施形態のEDLC2では、たとえば第1リード端子18を正極とし、第2リード端子28を負極とし、電解質溶液で浸漬された素子本体10に接続してある。EDLCでは、単一の素子での耐電圧が最大で約2.85V程度と決まっており、用途に合わせて耐電圧を向上させるために、素子を直列に接続してもよい。本実施形態のEDLC2は、きわめて薄く、しかも十分な耐電圧を有することから、ICカードなどの薄型電子部品に内蔵するための電池として好適に用いることができる。
特に本実施形態では、図2Bに示すように、リード端子18,28が引き出されるシール部40,42の位置で、リード端子18,28の表面から表面側の金属シート4Aまでのシール部40,42の第1厚みをZ1とし、リード端子18,28の裏面から裏面側の金属シート4Aまでのシール部40,42の第2厚みをZ2とし、リード端子18,28の厚みをZ3とした場合に、以下の式が成り立つ。すなわち、Z1+Z2が60μm以下、好ましくは15〜60μmであり、(Z1+Z2)/Z3が0.5以上で6.0以下である。
第1厚みZ1と第2厚みZ2とは、本実施形態では、略同一であるが、必ずしも同一である必要はない。たとえば第1厚みZ1は、図3に示す密封用テープ40aと内側層4Bに対応する厚みで構成され、第2厚みZ2は、図3に示す内側層4Bに対応する厚みで構成され、その逆でもよい。
本実施形態では、端子18,28を導出している部分のシール部40,42の厚み(Z1+Z2)と、端子の厚みZ3とを所定の関係に保つことで、EDLC2の寿命を長くすることができる。表面シート4aおよび裏面シート4bは、金属シート4Aをそれぞれ含んでいる。そのため、表面シート4a自体および裏面シート4b自体を電解液が外部に透過して拡散することは考えにくく、電解液は、シール部40,42を通して外部に拡散すると考えられる。
シール部の厚みは、特に、リード端子18,28が引き出される部分で厚くなる。本実施形態では、端子18,28が引き出される部分のシール部40,42の厚み(Z1+Z2)と、端子の厚みZ3とを、上述した所定の関係に保つことで、EDLC2の寿命を長くすることができる。
また本実施形態では、リード端子18,28の厚みZ3が60μm以下、好ましくは40μm以下である。厚みZ3を薄くすることで、デバイスの寿命を長くすることができる。ただし、リード端子の強度を維持するためには、リード端子の厚みZ3は、好ましくは20μm以上である。
図2Cに示すように、リード端子が引き出されないシール部46(シール部44も同様)の位置で、表面側の金属シート4Aから裏面側の金属シート4Aまでのシール部46の厚みZ4が、好ましくは50μm以下である。このように構成することで、リード端子が引き出されないシール部46からの電解液の拡散も抑制することが可能になり、EDLC2の寿命をさらに向上させることができる。なお、シール部の厚みは、シール性能を向上させる観点からは、好ましくは10μm以上である。
本実施形態では、図2Bに示すように、裏面シート4bの先端部4d3,4d4が、リード端子18,28の引出方向(X軸方向)に沿ってリード端子18,28の先端部よりも外側に位置し、サポートタブ4f1,4f2を兼ねている。表面シート4aの先端部は、リード端子18,28の引出方向に沿ってリード端子18,28の先端部よりも内側に位置する。サポートタブ4f1,4f2が具備されることで、その上に配置されるリード端子18,28を有効に保護することができる。
次に、図3〜図4Bを用いて、本実施形態のEDLC2の製造方法の一例について説明する。
図3および図4Aに示すように、まず、素子本体10を製造する。素子本体10を製造するために、一方の電極16を準備し、電極16とリード端子18との境界部分に、テープ40aを貼り付ける。また、他方の電極26を準備し、電極26とリード端子28との境界部分に、テープ42aを貼り付ける。そして、電極16と電極18との間にセパレータ11を配置する。
各リード端子18,28には、前述した第1シール部40および第2シール部42となるX軸方向位置に、それぞれ密封用テープ40aおよび42aが、各端子18,28の片側表面または両側に接着してある。テープ40aおよび42aのY軸方向の幅は、リード端子18,28のY軸方向幅よりも長い。
次に、素子本体10の全体を覆うように、外装シート4を折り返し周縁部4cで折り曲げて、シート4の表面シート4aおよび裏面シート4bで素子本体10を覆う。なお、外装シート4は、Y軸方向に予め長く形成してある。外装シート4の表面シート4aにおけるX軸方向の幅は、表面シート4aのX軸方向の先端部4d1,4d2がそれぞれテープ40a,42aのX軸方向の内側に位置するように調整されている。なお、表面シート4aと裏面シート4bとは折り返さず、独立した上下のシートを貼り合わせて外装シート4を構成してもよい。
次に、図4Bに示すように、第1シール部40と第2シール部42とを形成するために、テープ40a,42aを表面シート4aと裏面シート4bとで挟み込む位置で、これらのシート4a,4bのZ軸方向の外側から熱融着治具で加熱加圧する。その際に、密封用テープ40a,42aは、加圧および加熱により流動する接着用樹脂として、外装シート4の内側層4Bと密着して一体化され、固化後にシール部40および42となる。テープ40a,42aの融着時に、テープ40a,42aを構成する樹脂がはみだし、表面シート4aのX軸方向の先端部4d1,4d2に位置する金属シート4Aの露出面を覆うことが好ましい。ショート不良などを防止するためである。
なお、その前後に、外装シート4の折り返し周縁部4cを加圧加熱し、第3シール部44を形成する。次に、第4シール部46が形成されていない外装シート4の開口端52から電解質溶液を注入し、その後に、最後の第4シール部46を、第3シール部44を形成するための治具と同様な治具を用いて熱シールにより形成する。その後に、第4シール部46の外側の切断線54に沿って外装シート4を切断し、余分な外装シート4’を除去することで、本実施形態のEDLC2が得られる。
本実施形態では、第1シール部40は、第1リード端子18に貼着してある密封用テープ40aが、外装シート4の内側層4Bと熱シール(加熱圧着)されて形成される。また、同様に、第2シール部42は、第2リード端子28に貼着してある密封用テープ42aが、外装シート4の内側層4Bと熱シール(加熱圧着)されて形成される。
本実施形態では、たとえばEDLC2の最大厚みを1mm以下、好ましくは0.9mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下にすることができる。
第2実施形態
図1Bに示すように、本実施形態のEDLC2aは、図1Aに示すサポートタブ4f1および4f2を有さない以外は、第1実施形態のEDLC2と同様である。図面では共通する部材には共通する符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
なお、本実施形態では、表面シート4aと裏面シート4bとは、X軸方向の長さが略同一であり、同じ一枚の外装シート4を折り曲げて成形してもよいし、別々のシートで構成してもよい。
第3実施形態
図5および図6に示すように、本実施形態のEDLC2bでは、外装シート4の内部に、Y軸方向に並んで2つの素子本体10a,10bが内蔵してある。その他は、第1実施形態と同様なので、図面では共通する部材には共通する符号を付し、以下の説明では、共通する部分の説明は一部省略し、相違する部分について詳細に説明する。
本実施形態では、外装シート4が、表面シート4a1と裏面シート4b1とから成り、図1Aに示す外装シート4に比較して、Y軸方向に略2倍の大きさを有する。外装シート4の内部には、図6に示すように、2つの素子本体10a,10bが内蔵してあり、それぞれの素子本体10a,10bは、それぞれ第1実施形態の素子本体10と同様な構造を有している。
本実施形態では、各素子本体10a,10bの第2リード端子28,28は、別々に形成してあるが、各素子本体10a,10bの各第1リード端子18aは、連結部18bに一体成形してあり、相互に連続している。すなわち、各素子本体10a,10bは、図5に示すように、第1リード端子18aおよび連結部18bを介して、直列に接続してある。なお、図示する例では、連結部18bを介して一対の第1リード端子18a,18aが直列に接続してあるが、連結部18bを具備させることなく、一対の第1リード端子18a,18aが、そのまま別々にサポートタブ4f1の上に引き出されていてもよい。
外装シート4のY軸方向の中央部には、第3シール部44aがX軸方向に沿って形成してあり、素子本体10a,10b間で、電解質溶液の流通が遮断されるようになっている。素子本体10aが収容される空間は、外装シート4に連続して形成される第1シール部40、第2シール部42、第3シール部44aおよび第4シール部46aにより密封され、電解質溶液が貯留される。同様に、素子本体10bが収容される空間は、外装シート4に連続して形成される第1シール部40、第2シール部42、第3シール部44aおよび第4シール部46bにより密封され、電解質溶液が貯留される。
本実施形態では、X軸方向の同じ側に引き出されるリード端子相互を、接続片などで直列または並列に接続することで、電池の容量を増やしたり、耐電圧を高めることが可能である。また、本実施形態においても、図1Aに示すようなサポートタブ4f1および4f2を具備させているため、リード端子28,18aおよび連結部18bの折れ曲りなどを有効に防止することができる。
本実施形態では、各シール部40および42において、図2Bに示すように、端子18,28を導出している部分のシール部40,42の厚み(Z1+Z2)と、端子の厚みZ3とを所定の関係に保つことで、EDLC2bの寿命を長くすることができる。本実施形態のその他の構造および作用効果は、前述した実施形態と同様である。
第4実施形態
図7および図8に示すように、本実施形態のEDLC2cでは、それぞれのリード端子18,28が引き出される位置で、外装シート4の表面シート4aの先端部4d1,4d2が、リード端子18,28の引出方向であるX軸に沿ってリード端子18,28から離れる方向に外側に開いている。それ以外は、本実施形態のEDLC2cは、第1実施形態のEDLC2と同様である。図面では共通する部材には共通する符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
図8に示すように、本実施形態では、表面シート4aの先端部4d1,4d2において、金属シート4Aの先端が露出していたとしても、リード端子18,28と金属シート4Aの露出先端4Aaとの先端隙間距離Z5を、大きくすることが可能になる。そのため、リード端子18,28と金属シート4Aの露出先端4Aaとの間でのショート不良を効果的に防止することができる。なお、表面シート4aの先端部4d1,4d2は、リード端子18,28の引出方向に沿ってリード端子18,28の先端部よりもX軸方向の内側に位置する。このため、リード端子18,28を外部回路と接続する作業も容易である。
すなわち本実施形態では、シール部40,42に対応する位置でのリード端子18,28と金属シート4Aとの間の最小隙間距離Z0(第1実施形態のZ1またはZ2に対応する)に比較して、シール部40よりもX軸方向外側に飛び出しているリード端子18,28と金属シート4Aの露出先端4Aaとの先端隙間距離Z5が大きい。このように構成することで、ショート不良を効果的に防止することができる。
また本実施形態では、リード端子18,28に対する外装シート4の先端部4d1,4d2の開き角度θが、好ましくは5度以上で70度以下、さらに好ましくは5〜60度である。このように構成することで、ショート不良をさらに効果的に防止することができると共に、クラックが抑制され、EDLC2cの繰り返し曲げ耐性が向上する。
本実施形態では、リード端子18,28がそれぞれ引き出される位置で、図8に示すように、表面シート4aの先端部4d1,4d2がリード端子18,28の引出方向に沿ってリード端子18,28から離れる方向に外側に開いている開き部分4d11,4d22の長さL1が、好ましくは、100μm以上2000μm以下である。このように構成することで、ショート不良を効果的に防止することができる。
なお、開き部分4d11,4d22とは、シール部40,42に対応する位置でのリード端子18,28と金属シート4Aとの間の最小隙間距離Z0よりも大きな距離で金属シート4AがZ軸方向に離れる表面シート4a(外装シート4)の先端部分である。この開き部分4d11,4d22は、図8に示す断面において直線状であってもよく、曲線状であってもよい。
開き部分4d11,4d22の長さL1は、シート4aの表面に沿った長さであり、曲線の場合には、直線に引き延ばした場合の長さである。また、開き部分4d11,4d22が曲線の場合には、開き角度θは、先端隙間距離Z5となるシート4aの先端部4d1,4d2と、最小隙間距離Z0となる開き部分4d11,4d22の始点位置とを仮想直線で結び、その仮想直線とリード端子18,28の引出方向との間の角度として定義することができる。
本実施形態では、好ましくは、最小隙間距離Z0が、好ましくは15μm以上で60μm以下、さらに好ましくは15μm以上で30μm以下である。このように構成することで、デバイスの内部の密封を確保しながら、デバイスの薄層化を図ることができる。また、寿命を向上させることができる。
また好ましくは、先端隙間距離Z5は、24μm以上で1748μm以下、さらに好ましくは24μm以上で485μm以下である。このように構成することで、ショート不良を効果的に防止することができる。
特に本実施形態に係るEDLC2cでは、その製造に際して、表面シート4aの先端部4d1,4d2からのシール部40,42のはみ出し量を制御する必要がなくなる。表面シート4aの先端部4d1,4d2からシール部40,42が多少はみ出してもよい。したがって、本実施形態に係るEDLC2cの製造が容易である。
なお、外装シート4を構成する表面シート4aの先端部4d1,4d2に開き部4d11,4d22を形成するための手段としては、開き部形成治具による方法には限定されない。たとえば通常の方法でシール部40,42を形成した後に、外装シート4の先端部4d1,4d2が外側に開くように加工してもよい。
また、本実施形態では、シール部40,42を構成する接着用樹脂の一部は、図8に示す表面シート4aの先端部4d1,4d2とリード端子18,28との間の隙間の少なくとも一部を埋めるように広がっていてもよい。あるいはシール部40,42を構成する接着用樹脂とは別の接着剤または樹脂が、図8に示す表面シート4aの先端部4d1,4d2とリード端子18,28との間の隙間の少なくとも一部を埋めていてもよい。
本実施形態でも、各シール部40および42において、図2Bに示すように、端子18,28を導出している部分のシール部40,42の厚み(Z1+Z2)と、端子の厚みZ3とを所定の関係に保つことで、図7に示すEDLC2cの寿命を長くすることができる。本実施形態のその他の構造および作用効果は、前述した実施形態と同様である。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明が適用されるラミネート型の電気化学デバイスとしては、EDLCに限らず、リチウム電池やリチウム電池キャパシタなどにも適用することができる。また、電気化学デバイスの具体的な形状や構造は、図示する例に限定されない。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
図1Aに示すEDLC2の試料を製造した。EDLC2における外装シート4における金属シート4Aの材質は、SUS304であった。図2Bに示すリード端子18,28の厚みZ3は、60μmであり、シール部40,42の厚み(Z1+Z2)は60μmであった。なお、厚みZ3の製造誤差は、±2μm以内であり、厚み(Z1+Z2)の製造誤差は、±5μm以下である。また、図2Cに示すシール部46の厚みZ4は、50μm以下であった。
同じ試料を100個作製し、60℃−90%RH環境下に保管し、インピーダンス変化から寿命を比較した。寿命は、試料を保管し始めた時刻を0時間とし、その時の試料のインピーダンスを測定し、その測定値を100%とし、インピーダンスを測定し続けて、測定値が300%を超えた時点の保管時間を、寿命とした。実施例1の100個の試料について、寿命の平均を求め、実施例1の寿命の平均を100%とした。結果を表1に示す。
実施例2〜24および比較例1〜5
表1に示すように、リード端子18,28の厚みZ3と、シール部40,42の厚み(Z1+Z2)とを変化させた以外は、実施例1と同様にして、EDLC2の試料を製造し、実施例1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
評価
表1に示すように、Z1+Z2が60μm以下、好ましくは40μm以下であり、(Z1+Z2)/Z3が0.5以上で6.0以下である場合に、寿命が向上することが確認できた。
Figure 2019145754
2,2a,2b,2c… 電気二重層キャパシタ(EDLC)
4… 外装シート
4a,4a1… 表面シート
4b,4b1… 裏面シート
4c… 折り返し周縁部
4d1〜4d4… 先端部
4d11,4d22… 開き部分
4e… サイド周縁部
4f1,4f2… サポートタブ
4A… 金属シート
4Aa… 露出先端
4B… 内側層
4C… 外側層
10… 素子本体
11… セパレータシート
12… 第1活性層
14… 第1集電体層
16… 第1内部電極
18… 第1リード端子
22… 第2活性層
24… 第2集電体層
26… 第2内部電極
28… 第2リード端子
40… 第1シール部
42… 第2シール部
44… 第3シール部
46… 第4シール部

Claims (5)

  1. セパレータシートを挟むように一対の内部電極が積層してある素子本体と、
    前記素子本体を覆う外装シートと、
    前記素子本体が電解質溶液で浸漬されるように、前記外装シートの周縁部を密封するシール部と、
    前記外装シートの前記シール部から外側に引き出されるリード端子と、を有する電気化学デバイスであって、
    前記外装シートが表面シートと裏面シートとを有し、
    前記表面シートが表面側金属シートを含み、
    前記裏面シートが裏面側金属シートを含み、
    前記リード端子が引き出される前記シール部の位置で、前記リード端子の表面から前記表面側金属シートまでの前記シール部の第1厚みをZ1とし、前記リード端子の裏面から前記裏面側金属シートまでの前記シール部の第2厚みをZ2とし、前記リード端子の厚みをZ3とした場合に、
    Z1+Z2が60μm以下であり、
    (Z1+Z2)/Z3が0.5以上で6.0以下であることを特徴とする電気化学デバイス。
  2. 前記リード端子の厚みZ3が60μm以下である請求項1に記載の電気化学デバイス。
  3. 前記内部電極の集電体層が、前記リード端子に連続して一体に成形してある請求項1または2に記載の電気化学デバイス。
  4. 前記リード端子が引き出されない前記シール部の位置で、前記表面側金属シートから前記裏面側金属シートまでの前記シール部の厚みが、50μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の電気化学デバイス。
  5. 前記裏面シートの先端部が、前記リード端子の引出方向に沿って前記リード端子の先端部よりも外側に位置し、サポートタブを兼ねており、
    前記表面シートの先端部が、前記リード端子の引出方向に沿って前記リード端子の先端部よりも内側に位置する請求項1〜4のいずれかに記載の電気化学デバイス。
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