JP6747463B2 - 電気化学デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、電気二重層キャパシタ(EDLC)などとして好ましく用いられる電気化学デバイスに関する。
たとえば下記の特許文献1にも示すように、ICカード等の用途に合わせ、超薄型の電気化学デバイスが注目されている。電気化学デバイスの内部には電解液が入っており、塩(イオン性物質)と溶媒から構成されている。この電解液が、外部に拡散すると、電解液が不足し、デバイスの寿命が低下するおそれがある。
特開2013−215637号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、寿命を向上させることが可能な電気化学デバイスを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る電気化学デバイスは、
セパレータシートを挟むように一対の内部電極が積層してある素子本体と、
前記素子本体を覆う外装シートと、
前記素子本体が電解質溶液で浸漬されるように、前記外装シートの周縁部を密封するシール部と、
前記外装シートの前記シール部から外側に引き出されるリード端子と、を有する電気化学デバイスであって、
前記外装シートが金属シートを含み、
前記リード端子が引き出される位置での前記シール部を構成する樹脂の最大厚みが40〜140μmであり、
前記リード端子の厚みが15〜80μmであり、
前記シール部を構成する樹脂の最大厚みが前記リード端子の厚みより大きく、
前記リード端子が引き出される前記シール部の位置で、前記リード端子の表面から前記金属シートまでの前記シール部の厚みが10μm以上であることを特徴とする。
本発明者等は、特に端子を導出している部分のシール部を構成している樹脂の最大厚みと、リード端子の厚みとを所定の関係に保つことで、デバイスの寿命を長くすることができることを見い出し、本発明を完成させるに至った。外装シートは、金属シートをそれぞれ含んでいる。そのため、外装シート自体を電解液が外部に透過して拡散することは考えにくく、電解液は、シール部を通して外部に拡散すると考えられる。
シール部の厚みは、特に、リード端子が引き出される部分で厚くなる。本発明の電気化学デバイスでは、端子が引き出される部分のシール部の厚みと、端子の厚みとを所定の関係に保つことで、デバイスの寿命を長くすることができる。また、ショート不良も防止することができる。
好ましくは、リード端子が引き出される位置でのシール部を構成する樹脂がポリプロピレン(PP)樹脂である。シール部をポリプロピレン樹脂で構成することで、シール性が向上し、シール部を通して外部に拡散する電解液の割合を少なくすることが可能になる。
好ましくは、リード端子の引出方向に沿ったシール部の封止距離が2mm以上である。このように封止距離を長くすることで、シール性が向上し、シール部を通して外部に拡散する電解液の割合を少なくすることが可能になる。
好ましくは、外装シートの先端部が、リード端子の引出方向に沿ってシール部よりも外側に延長してあり、リード端子の先端部を保持するサポートタブを兼ねている。サポートタブが具備されることで、その上に配置されるリード端子を有効に補強して保護することができる。
好ましくは、リード端子とサポートタブとの間には、絶縁台座シートが介在してある。絶縁台座シートが具備されることで、リード端子と外部接続端子とをACF(異方導電性フィルム)接続またはACP(異方導電性ペースト)接続する際に、外装シートの金属シートとリード端子との短絡不良などを効果的に防止することができる。
好ましくは、前記内部電極の集電体層が、前記リード端子に連続して一体に成形してある。このように構成することで、リード端子の厚みを薄くすることが容易になる。
図1Aは本発明の一実施形態に係る電気二重層キャパシタの斜視図である。 図1Bは本発明の他の実施形態に係る電気二重層キャパシタの斜視図である。 図2Aは図1AのIIA−IIA線に沿う概略断面図である。 図2Bは図2Aに示すシール部の要部拡大断面図である。 図2Cは図1AのIIC−IIC線に沿う要部拡大断面図である。 図2Dは図1AのIID−IID線に沿う要部拡大断面図である。 図3Aは図2Aに示す電気二重層キャパシタの製造方法例を示す断面図である。 図3Bは図3Aの続きの工程を示す斜視図である。 図4Aは図3Aに対応する製造方法例を示す概略斜視図である。 図4Bは図4Aの続きの工程を示す斜視図である。 図5は本発明の他の実施形態に係る電気二重層キャパシタの斜視図である。 図6は図5のVI−VI線に沿う要部断面図である。 図7は本発明のさらに他の実施形態に係る電気二重層キャパシタの斜視図である。 図8は図7のVIII−VIII線に沿う要部断面図である。 図9は本発明のさらに他の実施形態に係る電気二重層キャパシタの斜視図である。 図10は本発明の実施例に係る電気二重層キャパシタの信頼性試験結果を示すグラフである。 図11は本発明の他の実施例に係る電気二重層キャパシタの信頼性試験結果を示すグラフである。 図12は本発明の他の実施例に係る電気二重層キャパシタの信頼性試験結果を示すグラフである。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
図1Aに示すように、本発明の一実施形態に係る電気化学デバイスとしての電気二重層キャパシタ(EDLC)2は、外装シート4を有する。外装シート4は、一枚のシートを折り返し周縁部4cで折り曲げて形成された表面シート4aおよび裏面シート4bを有している。なお、表面シート4aと裏面シート4bとは折り返さず、独立した上下のシートを貼り合わせても外装シート4を構成してもよい。
本実施形態では、外装シート4は、X軸方向の長さL0がY軸方向の長さW0に比較して長い長方形状を有するが、これに限定されず、正方形でも、その他の多角形状、あるいは円形、楕円形、あるいはその他の形状でも良い。この実施形態では、外装シート4の表面シート4aと裏面シート4bとが重なる方向を厚み方向(Z軸方向)とし、それに相互に直交する方向をX軸およびY軸とする。
図2Aに示すように、外装シート4の内部には、素子本体10が内蔵してある。素子本体10は、電気二重層キャパシタの素子を構成しており、本実施形態では、単一のキャパシタ素子が外装シート4の内部に収容してある。
素子10では、電解質溶液が染み込んであるセパレータシート11を挟むように一対の第1内部電極16と第2内部電極26とが積層してある。第1内部電極16と第2内部電極26のうちの一方は、正極となり、他方は、負極となるが、構成は同じである。これらの第1内部電極16および第2内部電極26は、それぞれセパレータシート11の相互に反対面に接触するように積層される第1活性層12および第2活性層22を有する。また、第1内部電極16および第2内部電極26は、各活性層12,22にそれぞれ接触するように積層される第1集電体層14および第2集電体層24を有する。
セパレータシート11は、内部電極16および26を電気的に絶縁すると共に、電解質溶液が浸透可能に構成してあり、たとえば電気絶縁性の多孔質シートで構成される。電気絶縁性の多孔質シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や、上記樹脂の混合物の延伸膜、あるいは、セルロース、ポリエステルおよびポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。セパレータシート11の厚さは、たとえば5〜50μm程度である。
集電体層14,24としては、一般的に高い導電性を有する材料であれば特に限定されないが、低電気抵抗の金属材料が好ましく用いられ、たとえば、銅、アルミニウム、ニッケル等などのシートが用いられる。これらの集電体層14,24のそれぞれの厚みは、たとえば10〜100μm程度であるが、好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下であり、さらにまた好ましくは15〜80μmであり、特に好ましくは15〜60μmである。集電体層14,24のY軸方向幅は、好ましくは2〜10mmであり、セパレータシート11のY軸方向幅よりも小さいことが好ましい。集電体層14,24は、セパレータシート11のY軸方向の中央に配置されることが好ましい。
活性層12,22は、活物質およびバインダを含み、好ましくは導電助剤を含む。活性層12,22は、それぞれの集電体層14,24を構成するシートの表面に積層して形成される。
活物質としては、種々の電子伝導性を有する多孔体が挙げられ、たとえば、活性炭、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー(MCF)、コークス類、ガラス状炭素、有機化合物焼成体等の炭素材料が挙げられる。バインダとしては、上記の活物質、好ましくは導電助剤を集電体層を構成するシートに固定することができれば特に限定されず、種々の結着剤を使用できる。バインダとしては、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂や、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)と水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、デキストリン、グルテン等)との混合物等が挙げられる。
導電助剤は、活性層12,22の電子伝導性を高めるために添加される材料である。導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料および金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
活性層12,22のそれぞれの厚さは、好ましくは、たとえば1〜100μm程度である。活性層12,22は、各集電体層14,24の表面に、セパレータシート11と同等以下の面積で、集電体層14,24の表面に形成されている。活性層12,22は、公知の方法で作製することができる。
本実施形態において、「正極」とは、電気二重層キャパシタに電圧を印加した際に、電解質溶液中のアニオンが吸着する電極であり、「負極」とは、電気二重層キャパシタに電圧を印加した際に、電解質溶液中のカチオンが吸着する電極である。なお、電気二重層キャパシタに対して一度特定の正負の向きに電圧を印加して充電した後に再充電する際には、通常最初と同じ向きに充電を行い、逆向きに電圧を印加して充電することは少ない。
外装シート4は、後述の電解質溶液を透過させない材料からなり、しかも、外装シート4の周縁部同士、あるいは図4Aに示す密封用テープ40a(以下同様に、42aを含む場合あり)と熱シールにより一体化されるものであることが好ましい。この密封用テープ40aは、作業性から粘着テープなどのテープ状のものが好ましい。ただしテープに限らず塗布可能なシーラント樹脂であっても熱により溶融し接着可能なものであればどのような形態のものでも良い。
また、外装シート4は、素子本体10を密封し、シート4の内部に、空気や水分が進入するのを防止するもので構成してある。具体的には、外装シート4は、単層シートでも良いが、図2Aに示すように、金属シート4Aを、内側層4Bおよび外側層4Cとで挟むように積層してある多層シートであることが好ましい。
金属シート4Aは、たとえばAl、ステンレス等で構成してあることが好ましく、内側層4Bは、電気絶縁材で構成してあり、電解質溶液とは反応しにくく熱シール可能なポリプロピレンなどと同様な材質で構成してあることが好ましい。また、外側層4Cは、特に制限されず、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、フッ素樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などで構成してあることが好ましい。外装シート4の厚みは、好ましくは、5〜150μmである。
本実施形態では、外装シート4の耐力は、JIS Z2241において、390〜1275N/mm、好ましくは785〜980N/mmである。また、外装シートの硬さは、ピッカース硬さ(Hv)(JIS 2244)において、230〜480、好ましくは280〜380である。このような観点からは、外装シート4の金属シート4Aは、JISで規定するステンレス鋼SUS304(BA)、SUS304(1/2H)、SUS304 H、SUS301 BA、SUS301(1/2H)、SUS301(3/4H)が好ましい。
リード端子18,28は、集電体層14,24に対して電流の入出力端子の役割を果たす導電性部材であり、矩形板形状をなしている。本実施形態では、各リード端子18,28は、集電体層14,24をそれぞれ構成する導電性シートと一体化されたシートにより形成してあり、集電体層14,24と同じ厚みであっても良い。ただし、各リード端子18,28は、集電体層14,24とは別の導電性部材で形成し、各集電体層14,24と電気的に接続させても良い。その場合には、各リード端子18,28の厚みは、集電体層14,24の厚みと異ならせることも可能であり、たとえば10〜100μm程度、好ましくは60μm以下、さらに好ましくは20〜60μmである。
図2Aに示すように、各リード端子18,28は、素子本体10のX軸方向の相互に反対側からサポートタブ4f1,4f2に沿って引き出され、素子本体10の内部は、第1シール部40および第2シール部42によりシールされている。第1シール部40および第2シール部42は、後述する図4Aおよび図4Bに示す密封用テープ40a,42aと、図2Aに示す外装シート4の内側層4Bとが、熱シール時の加熱により一体化されて形成される。すなわち、図2Dに示すように、外装シート4の内周面に形成してある内側層(樹脂)4Bの一部が、密封用テープ40a,42aと共に、リード端子18,28のY軸方向の両側表面に密着して熱溶着部となり、第1シール部40および第2シール部42での密封性を向上させる。
また、図1Aに示すように、リード端子18,28が引き出されていない第3シール部44では、外装シート4の折り返し周縁部4cで折り曲げられて、熱シール時の加熱により、外装シート4の内側層4Bが融着して一体化される。同様にリード端子18,28が引き出されていない第4シール部46では、図2Cに示すように、外装シート4の表面シート4aおよび裏面シート4bにおけるサイド周縁部4eの内側層4Bが、熱シール時の加熱により融着して一体化される。
図1Aに示すように、第1シール部40のY軸方向の両端には、それぞれ第3シール部44および第4シール部46の一端が接続するように連続して形成してあり、これらの第3シール部44および第4シール部46の他端を接続するように、第2シール部42が連続して形成してある。そのため、外装シート4の内部は、外装シート4の外部に対して良好に密封される。
外装シート4で挟まれ、シール部40,42,44および46により素子本体10を密封するための空間には、電解質溶液(図示せず)が充填され、その一部は、図2Aに示す活性層12,22およびセパレータシート11の内部に含浸されている。
電解質溶液としては、電解質を有機溶媒に溶解させたものが使用される。電解質としては、たとえば、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEABF4 − )、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEMABF4 − )等の4級アンモニウム塩など、アンモニウム塩、アミン塩、或いはアミジン塩などを用いるのが好ましい。なお、これらの電解質は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有機溶媒としては、公知の溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリルなどが好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。好ましくは、有機溶媒(溶剤)としては、プロピレンカーボネートが好ましい。
各リード端子18,28の先端は、図2Aに示すように、それぞれ第1シール部40および第2シール部42を通り、第1シール部40および第2シール部42の外部に引き出される。第1シール部40および第2シール部42は、各リード端子18,28が外部に引き出される部分であり、第3シール部44および第4シール部46に比較して、特に密封性が要求される。
本実施形態のEDLC2では、素子本体10の第1リード端子18と第2リード端子28とが、EDLC2の長手(X軸方向)方向に沿って反対側に引き出されている。このため、EDLC2のY軸方向幅を小さくすることができると共に、第1シール部40および第2シール部42の厚みを必要最小限にすることができ、EDLC2全体の厚みも小さくすることができる。このため、EDLC2の小型化および薄型化を実現することができる。
また、本実施形態のEDLC2では、たとえば第1リード端子18を正極とし、第2リード端子28を負極とし、電解質溶液で浸漬された素子本体10に接続してある。EDLCでは、単一の素子での耐電圧が最大で約2.85V程度と決まっており、用途に合わせて耐電圧を向上させるために、素子を直列に接続してもよい。本実施形態のEDLC2は、きわめて薄く、しかも十分な耐電圧を有することから、ICカードなどの薄型電子部品に内蔵するための電池として好適に用いることができる。
特に本実施形態では、図2Bに示すように、リード端子18,28が引き出されるシール部40,42の位置で、リード端子18,28の表面から表面側の金属シート4Aまでのシール部40,42の第1厚みをZ1とし、リード端子18,28の裏面から裏面側の金属シート4Aまでのシール部40,42の第2厚みをZ2とし、リード端子18,28の厚みをZ3とした場合に、以下の関係が成り立つ。
すなわち、第1厚みZ1と第2厚みZ2とは、それぞれ10μm以上であり、好ましくは、それぞれ15〜60μm、さらに好ましくは15μm以上で30μm以下である。これらの第1厚みZ1と第2厚みZ2とは、本実施形態では、略同一であるが、必ずしも同一である必要はない。たとえば第1厚みZ1は、図3Aに示す密封用テープ40aと内側層4Bに対応する厚みで構成され、第2厚みZ2は、図3Aに示す内側層4Bに対応する厚みで構成され、その逆でもよい。
また本実施形態では、リード端子18,28の厚みZ3が15〜80μmであり、好ましくは、15〜60μm、さらに好ましくは、15〜40μmである。厚みZ3を薄くすることで、デバイス全体を薄くすることができる。ただし、リード端子の強度を維持するためには、リード端子の厚みZ3は、好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。
また本実施形態では、図2Dに示すように、リード端子18,28が引き出される位置でのシール部40,42を構成する樹脂の最大厚みZ5が、好ましくは40〜140μmであり、さらに好ましくは、50〜120μmである。なお、リード端子18,28が引き出される位置でのシール部40,42を構成する樹脂は、図3Aに示す密封用テープ40aを構成する樹脂と外装シート4の内側層4Bを構成する樹脂とで構成される。
リード端子18,28が引き出される位置でのシール部40,42を構成する樹脂の最大厚みZ5は、リード端子18,28の厚みZ3よりも大きく、第1厚みZ1と第2厚みZ2とが、それぞれ10μm以上となるように決定される。
本実施形態では、端子18,28を導出している部分のシール部40,42の厚みZ1,Z2と、端子の厚みZ3と、シール部を構成する樹脂の最大厚みとを所定の関係に保つことで、EDLC2の寿命を長くすることができる。表面シート4aおよび裏面シート4bは、金属シート4Aをそれぞれ含んでいる。そのため、表面シート4a自体および裏面シート4b自体を電解液が外部に透過して拡散することは考えにくく、電解液は、シール部40,42を通して外部に拡散すると考えられる。
シール部の厚みは、特に、リード端子18,28が引き出される部分で厚くなる。本実施形態では、端子18,28が引き出される部分のシール部40,42の厚みZ1,Z2と、端子の厚みZ3と、シール部を構成する樹脂の最大厚みとを、上述した所定の関係に保つことで、EDLC2の寿命を長くすることができる。また、ショート不良も防止することができる。
図2Cに示すように、リード端子が引き出されないシール部46(シール部44も同様)の位置で、表面側の金属シート4Aから裏面側の金属シート4Aまでのシール部46の厚みZ4が、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下である。このように構成することで、リード端子が引き出されないシール部46からの電解液の拡散も抑制することが可能になり、EDLC2の寿命をさらに向上させることができる。なお、シール部46の厚みは、シール性能を向上させる観点からは、好ましくは10μm以上である。
また本実施形態では、リード端子18,28が引き出される位置でのシール部40,42を構成する樹脂は、図3Aに示す密封用テープ40aを構成する樹脂と、外装シート4の内側層4Bを構成する樹脂とで構成され、好ましくは、ポリプロピレン(PP)樹脂である。シール部をポリプロピレン樹脂で構成することで、シール性が向上し、シール部を通して外部に拡散する電解液の割合を少なくすることが可能になる。
なお、リード端子18,28が引き出される位置でのシール部40,42を構成する樹脂は、ポリプロピレン以外の樹脂であってもよく、たとえばポリエチレン(PE)、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン、ポリメチルペンテンなどが例示される。
また、本実施形態では、図2Aに示すように、リード端子18または28の引出方向に沿ったシール部40または42の封止距離X1が2mm以上が好ましく、さらに好ましくは2.5〜4mmである。このように封止距離を長くすることで、シール性が向上し、シール部を通して外部に拡散する電解液の割合を少なくすることが可能になる。なお、シール部40または42の封止距離X1とは、リード端子18または28の引出方向に沿ったシール部40または42のX軸方向の長さであり、シール部40または42を構成する樹脂でリード端子18または28が覆われているX軸方向長さである。また、このシール部40または42の封止距離X1は、図3Bに示す熱融着治具50が外装シート4に接触して加熱押圧するX軸方向長さに対応する。
本実施形態では、図2Bに示すように、裏面シート4bの先端部4d3,4d4が、リード端子18,28の引出方向(X軸方向)に沿ってリード端子18,28の先端部と同等以上に外側に位置し、サポートタブ4f1,4f2を兼ねている。表面シート4aの先端部は、リード端子18,28の引出方向に沿ってリード端子18,28の先端部よりも内側に位置する。サポートタブ4f1,4f2が具備されることで、その上に配置されるリード端子18,28を有効に保護することができる。
図2Bに示すように、好ましくは、リード端子18,28とサポートタブ4f1,4f2との間には、絶縁台座シート60が介在してある。絶縁台座シート60は、単一層で構成されてもよいが、二層または三層以上の多層で構成されていてもよい。いずれにしても、絶縁台座シート60としては、プラスチックフィルム、合成紙などの絶縁材料であれば特に問わないが、印加される熱および負荷がかかる圧力によっても所定の厚みが維持され、結果として絶縁が保たれる材料であれば良い。
絶縁台座シート60を工業的に使用するには、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などが安価で扱いやすいが、耐熱性があることが好ましい。ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリル(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレートなどで構成してもよい。また、PEやPPでも、延伸された延伸ポリエチレン(OPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)は製造時に縦横方向に延伸されて結晶配向が優れ、シール材として使用されるCPP(押し出したもの、キャスティングPP)より、耐熱性が向上するため好ましい。また、絶縁台座シート60としては、ポリウレタンやエポキシ樹脂のような熱硬化性の樹脂でも構わない。あるいは、これらの複合材料からなるフィルムでもよい。
本実施形態では、絶縁台座シート60としては、たとえば三層構造の樹脂フィルムで構成されることが好ましく、積層方向の中心部に耐熱性に優れたPETなどの高融点樹脂が配置され、その表面と裏面にPPなどの低融点樹脂が積層されていることが好ましい。PETなどの高融点樹脂は、後述するACF(異方導電性フィルム)接続またはACP(異方導電性ペースト)接続の際にも溶融せず、厚みを保持し、PPは、溶融して裏面シート4bの内側層4Bまたはリード端子18または28の裏面に熱融着する。
絶縁台座シート60は、熱融着または接着などにより、裏面シート4bのX軸方向の先端部に形成してあるサポートタブ4f1,4f2の内側層4Bに接合されて一体化される。絶縁台座シート60の表面(リード端子18または28の裏面)から裏面シート4bの金属シート4Aまでの厚みZ6は、前述したシール部40または42の第2厚みZ2と同等、または、それよりも大きいことが好ましい。その後の工程でのACF(異方導電性フィルム)接続またはACP(異方導電性ペースト)接続を容易にするためと、接続後の端子間の絶縁性を持たせることなどの理由による。
本実施形態では、絶縁台座シート60がリード端子18,28とサポートタブ4f1,4f2との間に具備されることで、リード端子18,28と外部接続端子(図示せず)とをACF(異方導電性フィルム)接続またはACP(異方導電性ペースト)接続する際に、外装シート4の金属シート4Aとリード端子18,28との短絡不良などを効果的に防止することができる。
次に、図4A〜図5Bを用いて、本実施形態のEDLC2の製造方法の一例について説明する。
図3Aおよび図4Aに示すように、まず、素子本体10を製造する。素子本体10を製造するために、一方の電極16を準備し、電極16とリード端子18との境界部分に、テープ40aを貼り付ける。また、他方の電極26を準備し、電極26とリード端子28との境界部分に、テープ42aを貼り付ける。そして、電極16と電極18との間にセパレータ11を配置する。
各リード端子18,28には、前述した第1シール部40および第2シール部42となるX軸方向位置に、それぞれ密封用テープ40aおよび42aが、各端子18,28の片側表面または両側に接着してある。テープ40aおよび42aのY軸方向の幅は、リード端子18,28のY軸方向幅よりも長い。
次に、素子本体10の全体を覆うように、外装シート4を折り返し周縁部4cで折り曲げて、シート4の表面シート4aおよび裏面シート4bで素子本体10を覆う。なお、外装シート4は、Y軸方向に予め長く形成してある。外装シート4の表面シート4aにおけるX軸方向の幅は、表面シート4aのX軸方向の先端部4d1,4d2がそれぞれテープ40a,42aのX軸方向の内側に位置するように調整されている。なお、表面シート4aと裏面シート4bとは折り返さず、独立した上下のシートを貼り合わせて外装シート4を構成してもよい。
次に、図3Bおよび図4Bに示すように、第1シール部40と第2シール部42とを形成するために、テープ40a,42aを表面シート4aと裏面シート4bとで挟み込む位置で、これらのシート4a,4bのZ軸方向の外側から熱融着治具50で加熱加圧する。その際に、密封用テープ40a,42aは、加圧および加熱により流動する接着用樹脂として、外装シート4の内側層4Bと密着して一体化され、固化後にシール部40および42となる。テープ40a,42aの融着時に、テープ40a,42aを構成する樹脂がはみだし、表面シート4aのX軸方向の先端部4d1,4d2に位置する金属シート4Aの露出面を覆うことが好ましい。ショート不良などを防止するためである。
なお、その前後に、外装シート4の折り返し周縁部4cを加圧加熱し、第3シール部44を形成する。次に、第4シール部46が形成されていない外装シート4の開口端52から電解質溶液を注入し、その後に、最後の第4シール部46を、第3シール部44を形成するための治具と同様な治具を用いて熱シールにより形成する。その後に、第4シール部46の外側の切断線54に沿って外装シート4を切断し、余分な外装シート4’を除去することで、本実施形態のEDLC2が得られる。
本実施形態では、第1シール部40は、第1リード端子18に貼着してある密封用テープ40aが、外装シート4の内側層4Bと熱シール(加熱圧着)されて形成される。また、同様に、第2シール部42は、第2リード端子28に貼着してある密封用テープ42aが、外装シート4の内側層4Bと熱シール(加熱圧着)されて形成される。
本実施形態では、たとえばEDLC2の最大厚みを1mm以下、好ましくは0.9mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下にすることができる。
なお、図3Aおよび図3Bに示す絶縁台座シート60は、外装シート4の内部に素子本体10を密封する前に、外装シート4の所定位置に接合しておいてもよいし、密封後に、リード端子18,28とサポートタブ4f1,4f2との間に具備してもよい。
第2実施形態
図1Bに示すように、本実施形態のEDLC2aは、図1Aに示すサポートタブ4f1および4f2を有さない以外は、第1実施形態のEDLC2と同様である。図面では共通する部材には共通する符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
なお、本実施形態では、表面シート4aと裏面シート4bとは、X軸方向の長さが略同一であり、同じ一枚の外装シート4を折り曲げて成形してもよいし、別々のシートで構成してもよい。
第3実施形態
図5および図6に示すように、本実施形態のEDLC2bでは、外装シート4の内部に、Y軸方向に並んで2つの素子本体10a,10bが内蔵してある。その他は、第1実施形態と同様なので、図面では共通する部材には共通する符号を付し、以下の説明では、共通する部分の説明は一部省略し、相違する部分について詳細に説明する。
本実施形態では、外装シート4が、表面シート4a1と裏面シート4b1とから成り、図1Aに示す外装シート4に比較して、Y軸方向に略2倍の大きさを有する。外装シート4の内部には、図6に示すように、2つの素子本体10a,10bが内蔵してあり、それぞれの素子本体10a,10bは、それぞれ第1実施形態の素子本体10と同様な構造を有している。
本実施形態では、各素子本体10a,10bの第2リード端子28,28は、別々に形成してあるが、各素子本体10a,10bの各第1リード端子18aは、連結部18bに一体成形してあり、相互に連続している。すなわち、各素子本体10a,10bは、図5に示すように、第1リード端子18aおよび連結部18bを介して、直列に接続してある。
外装シート4のY軸方向の中央部には、第3シール部44aがX軸方向に沿って形成してあり、素子本体10a,10b間で、電解質溶液の流通が遮断されるようになっている。素子本体10aが収容される空間は、外装シート4に連続して形成される第1シール部40、第2シール部42、第3シール部44aおよび第4シール部46aにより密封され、電解質溶液が貯留される。同様に、素子本体10bが収容される空間は、外装シート4に連続して形成される第1シール部40、第2シール部42、第3シール部44aおよび第4シール部46bにより密封され、電解質溶液が貯留される。
本実施形態では、X軸方向の同じ側に引き出されるリード端子相互を、接続片などで直列または並列に接続することで、電池の容量を増やしたり、耐電圧を高めることが可能である。また、本実施形態においても、図1Aに示すようなサポートタブ4f1および4f2を具備させているため、リード端子28,18aおよび連結部18bの折れ曲りなどを有効に防止することができる。
本実施形態では、各シール部40および42において、図2Bに示すように、端子18,28を導出している部分のシール部40,42の厚み(Z1,Z2)と、端子の厚みZ3と、シール部40および42を構成する樹脂の最大厚みZ5を所定の関係に保つことで、EDLC2の寿命を長くすることができる。本実施形態のその他の構造および作用効果は、前述した実施形態と同様である。
第4実施形態
図7および図8に示すように、本実施形態のEDLC2cでは、それぞれのリード端子18,28が引き出される位置で、外装シート4の表面シート4aの先端部4d1,4d2が、リード端子18,28の引出方向であるX軸に沿ってリード端子18,28から離れる方向に外側に開いている。それ以外は、本実施形態のEDLC2cは、第1実施形態のEDLC2と同様である。図面では共通する部材には共通する符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
図8に示すように、本実施形態では、表面シート4aの先端部4d1,4d2において、金属シート4Aの先端が露出していたとしても、リード端子18,28と金属シート4Aの露出先端4Aaとの先端隙間距離Z7を、大きくすることが可能になる。そのため、リード端子18,28と金属シート4Aの露出先端4Aaとの間でのショート不良を効果的に防止することができる。なお、表面シート4aの先端部4d1,4d2は、リード端子18,28の引出方向に沿ってリード端子18,28の先端部よりもX軸方向の内側に位置する。このため、リード端子18,28を外部回路と接続する作業も容易である。
すなわち本実施形態では、シール部40,42に対応する位置でのリード端子18,28と金属シート4Aとの間の最小隙間距離Z0(第1実施形態のZ1またはZ2に対応する)に比較して、シール部40よりもX軸方向外側に飛び出しているリード端子18,28と金属シート4Aの露出先端4Aaとの先端隙間距離Z7が大きい。このように構成することで、ショート不良を効果的に防止することができる。
また本実施形態では、リード端子18,28に対する外装シート4の先端部4d1,4d2の開き角度θが、好ましくは5度以上で70度以下、さらに好ましくは5〜60度である。このように構成することで、ショート不良をさらに効果的に防止することができると共に、クラックが抑制され、EDLC2cの繰り返し曲げ耐性が向上する。
本実施形態では、リード端子18,28がそれぞれ引き出される位置で、図8に示すように、表面シート4aの先端部4d1,4d2がリード端子18,28の引出方向に沿ってリード端子18,28から離れる方向に外側に開いている開き部分4d11,4d22の長さL1が、好ましくは、100μm以上2000μm以下である。このように構成することで、ショート不良を効果的に防止することができる。
なお、開き部分4d11,4d22とは、シール部40,42に対応する位置でのリード端子18,28と金属シート4Aとの間の最小隙間距離Z0よりも大きな距離で金属シート4AがZ軸方向に離れる表面シート4a(外装シート4)の先端部分である。この開き部分4d11,4d22は、図8に示す断面において直線状であってもよく、曲線状であってもよい。
開き部分4d11,4d22の長さL1は、シート4aの表面に沿った長さであり、曲線の場合には、直線に引き延ばした場合の長さである。また、開き部分4d11,4d22が曲線の場合には、開き角度θは、先端隙間距離Z7となるシート4aの先端部4d1,4d2と、最小隙間距離Z0となる開き部分4d11,4d22の始点位置とを仮想直線で結び、その仮想直線とリード端子18,28の引出方向との間の角度として定義することができる。
本実施形態では、好ましくは、最小隙間距離Z0が、好ましくは15μm以上で60μm以下、さらに好ましくは15μm以上で30μm以下である。このように構成することで、デバイスの内部の密封を確保しながら、デバイスの薄層化を図ることができる。また、寿命を向上させることができる。
また好ましくは、先端隙間距離Z7は、24μm以上で1748μm以下、さらに好ましくは24μm以上で485μm以下である。このように構成することで、ショート不良を効果的に防止することができる。
特に本実施形態に係るEDLC2cでは、その製造に際して、表面シート4aの先端部4d1,4d2からのシール部40,42のはみ出し量を制御する必要がなくなる。したがって、本実施形態に係るEDLC2cの製造が容易である。なお、表面シート4aの先端部4d1,4d2からシール部40,42が多少はみ出してもよい。
外装シート4を構成する表面シート4aの先端部4d1,4d2に開き部4d11,4d22を形成するための手段としては、開き部形成治具による方法には限定されない。たとえば通常の方法でシール部40,42を形成した後に、外装シート4の先端部4d1,4d2が外側に開くように加工してもよい。
また、本実施形態では、シール部40,42を構成する接着用樹脂の一部は、図8に示す表面シート4aの先端部4d1,4d2とリード端子18,28との間の隙間の少なくとも一部を埋めるように広がっていてもよい。あるいはシール部40,42を構成する接着用樹脂とは別の接着剤または樹脂が、図8に示す表面シート4aの先端部4d1,4d2とリード端子18,28との間の隙間の少なくとも一部を埋めていてもよい。
本実施形態でも、各シール部40および42において、図2Bに示すように、端子18,28を導出している部分のシール部40,42の厚み(Z1,Z2)と、端子の厚みZ3と、シール部40および42を構成する樹脂の最大厚みZ5を所定の関係に保つことで、EDLC2の寿命を長くすることができる。本実施形態のその他の構造および作用効果は、前述した実施形態と同様である。
第5実施形態
上述した実施形態のEDLCでは、素子本体10の第1リード端子18と第2リード端子28とが、EDLC2,2a〜2cの長手(X軸方向)方向に沿って反対側に引き出されているが、図9に示すように、本実施形態のEDLC2dでは、X軸方向の一方のみに全ての第1〜第3リード端子18,28,38が引き出されている。なお、第3リード端子38は、図9では単一の端子として描かれているが、実際には2枚の端子が積層して引き出されている。また、第3リード端子38を構成する2枚の端子は、Y軸方向に位置ずれして配置されていてもよい。
本実施形態のEDLC2dの外装シート4には、一枚のシート4を第2シール部42で折り曲げて表面シート4a2および裏面シート4b2が形成してある。本実施形態では、リード端子18,28,38がX軸方向の外側に引き出される外装シート4の周縁部を密封する部分を第1シール部40とする。また、リード端子18,28,38がX軸方向の外側に引き出される外装シート4の周縁部と反対側のシート折り返し部分が第2シール部42となる。さらに、Y軸方向の相互に反対側に位置する外装シート4の両サイド周縁部を密封している部分を第3シール部44および第4シール部46とする。
本実施形態では、第1シール部40を形成するための単一または複数の密封用テープ40aを、前述した実施形態と同様にして、外装シート4の内面に対して部分的に熱融着してから、第1シール部40が形成してある。本実施形態のその他の構成および作用効果は、第1〜第4実施形態と同様なので、図面では共通する部材には共通する符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、図4Aなどに示す密封用テープ40a,42aは、単一層の樹脂テープに限らず多層構造の樹脂テープであってもよい。たとえば積層方向の中心部に高融点樹脂(たとえばPP)層があり、その両面に低融点樹脂(たとえばPP)層がある三層積層構造のテープを用いてもよい。このような構成のテープ40a,42aを用いることにより、シール部40,42でのシール性がさらに向上すると共に、リード端子18,28にバリが生じていたとしても、そのバリが高融点樹脂層により突抜が防止される。したがって、シール部40,42での短絡不良を防止できると共に、熱圧着時でのリード端子の破断などを有効に防止することができる。
また、本発明が適用されるラミネート型の電気化学デバイスとしては、EDLCに限らず、リチウム電池やリチウムイオンキャパシタなどにも適用することができる。また、電気化学デバイスの具体的な形状や構造は、図示する例に限定されない。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
図1Aに示すEDLC2の試料を製造した。EDLC2における外装シート4における金属シート4Aの材質は、SUS304であった。図2Bに示すリード端子18,28の厚みZ3は、30μmであり、シール部40,42の厚みZ1(Z2も同じ)は、10μmであり、図2Dに示す樹脂最大厚みZ5は、50μmであった。なお、厚みZ3の製造誤差は、±2μm以内であり、厚みZ1(Z2も同じ)の製造誤差は、±2μm以下、厚みZ5の製造誤差は、±5μm以下である。また、図2Cに示すシール部46の厚みZ4は、30μmであった。
同じ試料を30個で作製し、85°C環境下に保管し、インピーダンス変化から信頼性(寿命)を比較した。信頼性は、試料を保管し始めた時刻を0時間とし、その時からの試料のインピーダンスを測定し続けて、30個の試料について、インピーダンスの平均を求め、グラフ化した結果を図10に示す。
また、そのグラフ化した結果から、信頼性の評価を行い、その結果を表1に示す。図10と表1において、実1が実施例1のデータを示す。表1において、信頼性試験結果では、NGが信頼性基準を満たさないことを示し、Gが信頼性基準を満たし、VGがGよりもさらに優れた結果を示す。信頼性基準は、試料を保管し始めてから1250時間経過後に、インピーダンスの増加率が2.67倍以下であり、20オームを超えないものをGおよびVGとして判断した。
また、同じ試料30個について、外装シートの金属シートとリード端子との短絡がないかを調べた結果を表1に示す。表1において、ショート数とは、30個の試料の内で短絡が観察された試料の数を示す。
実施例2〜6および比較例1〜2
表1に示すように、図2Dに示す樹脂最大厚みZ5と、シール部40,42の厚みZ1(Z2)とを変化させた以外は、実施例1と同様にして、EDLC2の試料を製造し、実施例1と同様な評価を行った。結果を図10と表1に示す。なお、図10と表1において、実2〜実6が実施例2〜実施例6のデータを示し、比1および比2が比較例1および比較例2のデータを示す。
実施例10〜16および比較例3〜4
表2に示すように、図2Bに示すリード端子18,28の厚みZ3と、図2Dに示す樹脂最大厚みZ5と、シール部40,42の厚みZ1(Z2)とを変化させた以外は、実施例1と同様にして、EDLC2の試料を製造し、実施例1と同様な評価を行った。結果を図11と表2に示す。なお、図11と表2において、実10〜実16が実施例10〜実施例16のデータを示し、比3および比4が比較例3および比較例4のデータを示す。ただし、図11では、表2に示す比較例3のデータは図示していない。
実施例20〜22および比較例5〜6
表3に示すように、図2Bに示すリード端子18,28の厚みZ3と、図2Dに示す樹脂最大厚みZ5と、シール部40,42の厚みZ1(Z2)とを変化させた以外は、実施例1と同様にして、EDLC2の試料を製造し、実施例1と同様な評価を行った。結果を図12と表3に示す。なお、図12と表3において、実20〜実22が実施例20〜実施例22のデータを示し、比5および比6が比較例5および比較例6のデータを示す。
評価
表1〜表3と図10〜図12に示すように、樹脂最大厚みZ5が40〜140μmであり、リード端子の厚みZ3が15〜80μmであり、樹脂最大厚みZ5がリード端子Z3の厚みより大きく、シール部の厚みZ1(Z2)が10μm以上である場合に、信頼性試験結果が良好であり、短絡(ショート数)も少ないことが確認できた。特に、好ましくは樹脂最大厚みZ5が50〜140μm、さらに好ましくは50〜100μmの場合に、短絡が少なく、信頼性も向上することが確認できた。
Figure 0006747463
Figure 0006747463
Figure 0006747463
2,2a,2b,2c,2d… 電気二重層キャパシタ(EDLC)
4… 外装シート
4a,4a1… 表面シート
4b,4b1… 裏面シート
4c… 折り返し周縁部
4d1〜4d4… 先端部
4d11,4d22… 開き部分
4e… サイド周縁部
4f1,4f2… サポートタブ
4A… 金属シート
4Aa… 露出先端
4B… 内側層
4C… 外側層
10… 素子本体
11… セパレータシート
12… 第1活性層
14… 第1集電体層
16… 第1内部電極
18… 第1リード端子
22… 第2活性層
24… 第2集電体層
26… 第2内部電極
28… 第2リード端子
40… 第1シール部
42… 第2シール部
44… 第3シール部
46… 第4シール部
50… 熱融着治具
60… 絶縁台座シート

Claims (9)

  1. セパレータシートを挟むように一対の内部電極が積層してある素子本体と、
    前記素子本体を覆う外装シートと、
    前記素子本体が電解質溶液で浸漬されるように、前記外装シートの周縁部を密封するシール部と、
    前記外装シートの前記シール部から外側に引き出されるリード端子と、を有する電気化学デバイスであって、
    前記外装シートが金属シートと、樹脂で構成される内側層と、を含み、
    前記リード端子が引き出されるシール部では、接着用樹脂と、前記内側層とが融着して一体化してあり、
    前記リード端子が引き出される位置での前記シール部を構成する樹脂の最大厚みが40〜140μmであり、
    前記樹脂部の最大厚みには、前記内側層の厚みと、前記接着用樹脂の厚みと、前記リード端子の厚みと、が含まれ、
    前記リード端子の厚みが15〜80μmであり、
    前記樹脂の最大厚みが前記リード端子の厚みより大きく、
    前記リード端子が引き出される前記シール部の位置で、前記リード端子の表面から前記金属シートまでの前記シール部の厚みが10μm以上であることを特徴とする電気化学デバイス。
  2. 前記樹脂部に含まれる樹脂がポリプロピレン樹脂である請求項1に記載の電気化学デバイス。
  3. 前記電解質溶液の溶剤が、カーボネート系の溶媒である請求項1または2に記載の電気化学デバイス。
  4. 前記リード端子の引出方向に沿った前記シール部の封止距離が2mm以上である請求項1〜3のいずれかに記載の電気化学デバイス。
  5. 前記外装シートの先端部が、前記リード端子の引出方向に沿って前記シール部よりも外側に延長してあり、前記リード端子の先端部を保持するサポートタブを兼ねている請求項1〜4のいずれかに記載の電気化学デバイス。
  6. 前記リード端子と前記サポートタブとの間には、絶縁台座シートが介在してある請求項5に記載の電気化学デバイス。
  7. 前記内部電極の集電体層が、前記リード端子に連続して一体に成形してある請求項1〜6のいずれかに記載の電気化学デバイス。
  8. 前記リード端子が引き出される前記シール部の位置で、前記リード端子の表面から前記金属シートまでの前記シール部の厚みが、15μm以上、30μm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の電気化学デバイス。
  9. 前記リード端子の厚みが、30μm以上である請求項1〜8のいずれかに記載の電気化学デバイス。
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