JP2019142741A - 単結晶育成用ルツボ - Google Patents

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Abstract

【課題】単結晶を繰り返し育成することによるルツボの変形を抑制することができる、単結晶育成用ルツボの提供。【解決手段】円形の底部11と、底部の外縁部11aから立設した側壁部12と、上部が開口した開口部13と、を備え、側壁部12は、凹凸形状部14aを有する底部の外縁部11aから立設した第1側壁部14と、第1側壁部の上端14bから開口部13の間にわたる円筒形状の第2側壁部15を有し、凹凸形状部14aは、底部11から側壁部12の高さの0.6倍の高さまでの間に位置する、単結晶育成用ルツボ100。【選択図】図1

Description

本発明は、単結晶育成用ルツボに関する。
従来、表面弾性波デバイス、光変調デバイス等の材料としてニオブ酸リチウム(以下、「LN」とする場合がある。)の単結晶が多く利用されてきた。そして、単結晶の育成には、高周波誘導加熱方式のチョクラスキー式育成法(以下、「Cz法」とする場合がある。)を採用する育成装置が多く利用されてきた。
しかし、高周波誘導加熱方式の加熱手段を用いる場合、高周波電源、育成炉、およびワークコイル等の水冷が必要となる。また、高周波をルツボに印加して渦電流によってルツボを発熱させるためには、例えば肉厚が2ミリ程度以上の、白金等の貴金属製の高額な白金ルツボを作製する必要があり、ルツボの作製費用が高額となる。以上のことから、酸化物単結晶の製造コストが高くなる傾向があった。
これらの問題を解決する手段として、高周波誘導加熱方式の加熱手段に替えて、抵抗加熱方式の加熱手段を採用する育成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、抵抗加熱方式の加熱手段を用いたCz法においても、高周波誘導加熱方式の加熱手段を用いたCz法と同様に、LNの単結晶を育成できることが開示されている。
また、抵抗加熱の一手段として、耐熱性が高く耐酸化性に優れた二珪化モリブデンを用いた抵抗発熱体が開発されている(例えば、特許文献2参照)。二珪化モリブデン発熱体を用いた電気炉の形態としては、たとえば、中空の円筒状断熱材の内壁に沿うように、抵抗発熱部がらせん形状、あるいは、つづら折り形状に配置された構造が提案されている(例えば、特許文献3参照)。このような抵抗発熱部を垂直に複数段重ねて、複数の抵抗発熱部のそれぞれに投入する電力を個別に制御することによって、所望の炉内温度分布を形成して、酸化物単結晶を育成することができる。
また、抵抗加熱方式の加熱手段を採用した育成装置を用いてLNの単結晶を育成する場合は、高周波誘導加熱方式の加熱手段を用いる場合とは異なり、輻射、熱伝導および気体の対流によってルツボを間接的に加熱する。このため、高周波誘導加熱方式の加熱手段を用いる場合よりも薄い、例えば、肉厚1ミリ以下の白金等の貴金属製ルツボを用いることができる。
近年、表面弾性波デバイスの市場が拡大しており、表面弾性波デバイスの材料となるLNの単結晶の生産量を確保するためには、製造する単結晶を大口径にすることが求められている。大口径の単結晶を育成するためには、ルツボの直径や深さを大きくする必要がある。
一般的に、LNの単結晶をCz法で育成する場合、坩堝内に仕込んだ原料質量に対する育成された結晶質量の比率(固化率)は、0.4〜0.8程度であるから、酸化物単結晶を育成した後に0.2〜0.6の割合で原料がルツボ内に残ることになる。単結晶育成後にルツボ内に残った原料を原料残渣という。
酸化物単結晶を育成した後、育成して得られた単結晶の質量分の原料をルツボに追加して仕込み、原料残渣と共に融解して次の単結晶育成を実施する。しかしながら、ルツボとLN原料の熱膨張率が異なることから、同じルツボを繰り返し用いて育成を重ねるに伴って、ルツボの変形が進行することがある。
ルツボのサイズが大きいほど、また、原料残渣の量が多いほど、育成を重ねることによるルツボの変形が大きくなる傾向がある。また、ルツボの変形が大きくなると、ルツボ内の原料融液の温度勾配や対流等の単結晶の育成条件が変化して良質な単結晶を育成することが難しくなることがある。このため、育成条件が変わらないようにルツボの変形を管理する必要があり、ルツボサイズが大きくなるほど、ルツボ形状の修正や改鋳の頻度が増加する可能性がある。一方、ルツボの肉厚を厚くすれば変形の進行は抑制されるが、高額な白金等の貴金属の使用量が増加することになり、コストが高くなってしまう。
特開2003−221299号公報 特開平8−288103号公報 特開2014−199773号公報
三宅亮、外3名、"フォルステライト・コランダム・白金の熱膨張率"、日本鉱物科学会、2010年年会講演要旨集、P147 Ka-Kha Wong著、「Properties of Lithium Niobate」、INSPEC、(英国)、P76
表1は、白金(非特許文献1参照)とLN(非特許文献2参照)について、室温25℃を基準に格子定数の膨張率を温度毎に示したものである。LNは異方性があり、c軸方向の膨張率に比べ、a軸方向の膨張率が大きく、白金の膨張率よりも大きい。すなわち、昇温時に、熱膨張率の大きなLNの方が白金より膨張しようとする。
上述のように、単結晶育成後、同一のルツボを用いて、次の単結晶育成のために原料を追加で仕込む。原料を融解させる際に、原料および白金ルツボは昇温とともに膨張する。追加して仕込んだ原料は、粉状、顆粒状、あるいは加工工程で生じた結晶くず等であるため、比較的自由な方向に形状を変化させながら膨張できる。一方、前回の結晶育成で残った原料残渣は多結晶として固化しており、またルツボの内壁に固着している。原料残渣が固化した多結晶部分では、結晶軸の方向が場所によって様々であるが、ルツボに固着している残渣原料は、膨張と共に形状を変化させ難いため、場所によって坩堝を外側に押し広げるような変形を生じさせることで、ルツボを外側に膨らむような変形が生じ易くなる場合がある。したがって、原料残渣が残っている領域、すなわち、通常ではルツボのおよそ下部1/2から1/3の領域で、膨張変形が大きくなる場合がある。
Figure 2019142741
従って、上記の問題点に鑑み、本発明は、単結晶を繰り返し育成することによるルツボの変形を抑制することができる、単結晶育成用ルツボを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の単結晶育成用ルツボは、円形の底部と、前記底部の外縁部から立設した側壁部と、上部が開口した開口部と、を備え、前記側壁部は、凹凸形状部を有する前記底部の外縁部から立設した第1側壁部と、前記第1側壁部の上端から前記開口部の間にわたる円筒形状の第2側壁部を有し、前記凹凸形状部は、前記底部から前記側壁部の高さの0.6倍の高さまでの間に位置する。
前記凹凸形状部は、蛇腹管形状であり、当該凹凸形状部は、前記単結晶育成用ルツボの高さ方向と平行な断面が略半円状である少なくとも1つの凹部と、前記単結晶育成用ルツボの高さ方向と平行な断面が略半円状である少なくとも1つの凸部とが、連続した形状を備え、前記凹部および前記凸部は、前記単結晶育成用ルツボの高さ方向と略垂直な方向と平行に周回する環状、または、前記凹部および前記凸部が連続するらせん状であってもよい。
前記凹部の略半円状の内面と、当該略半円状の内面を線対称とする対称軸との交点の全てが、前記第2側壁部の内面よりも内側にあり、前記凸部の略半円状の外面と、当該略半円状の外面を線対称とする対称軸との交点の全てが、前記第2側壁部の外面よりも外側にあってもよい。
前記凹部の略半円状の内面の曲率半径と前記凸部の略半円状の外面の曲率半径が略同一であってもよい。
前記底部の直径と前記凹部の略半円状の内面の曲率半径との比が25〜50:1であり、前記底部の直径と前記凸部の略半円状の外面の曲率半径との比が25〜50:1であってもよい。
前記第1側壁部の厚さは略均一であり、前記第2側壁部の厚さは略均一であり、前記第1側壁部の厚さと前記第2側壁部の厚さは略同一であってもよい。
また、上記課題を解決するため、本発明の単結晶育成用ルツボは、円形の底部と、前記底部の外縁部から立設した凹凸形状を有する側壁部と、上部が開口した開口部と、を備え、前記側壁部の内壁は平滑であり、前記側壁部の外壁は凹凸形状である。
前記単結晶育成用ルツボは白金製であり、ニオブ酸リチウムの単結晶を育成するルツボであってもよい。
本発明の単結晶育成用ルツボによれば、単結晶を繰り返し育成することによるルツボの変形を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る単結晶育成用ルツボの側面図である。 図1の単結晶育成用ルツボについて、直径を通りかつ高さ方向と平行な断面を示す断面図である。 図1の単結晶育成用ルツボの寸法を説明する側面図である。 図2のE1で示す領域を拡大した拡大断面図である。 図1とは異なる、本発明の一実施形態に係る単結晶育成用ルツボの側面図である。 図1、5とは異なる、本発明の一実施形態に係る単結晶育成用ルツボの側面図である。 図6のE2で示す領域を拡大した拡大斜視図である。 図1、5、6とは異なる、本発明の一実施形態に係る単結晶育成用ルツボの側面図である。 図1の単結晶育成用ルツボを設置した単結晶育成装置を模式的に示す断面図である。 従来技術に係る単結晶育成用ルツボの側面図である。
以下、単結晶の育成について紹介した後、本発明の一実施形態にかかる単結晶育成用ルツボについて、図1〜図10を参照して説明する。続いて、単結晶の育成に用いるルツボ100を設置した単結晶育成装置および単結晶育成方法について説明する。
[単結晶の育成について]
単結晶の育成としては、例えば抵抗加熱方式の単結晶育成装置を用いた、Cz法による単結晶の育成が挙げられる。単結晶育成装置では、例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム(以下、「LT」と記載する場合がある。)、ランガサイト等の単結晶を育成することができる。また、結晶育成に用いる雰囲気は、大気、窒素、またはアルゴンなどの不活性ガスが挙げられる。
Cz法は、ある結晶方位に従って切り出された、通常、断面視における一辺が5mm〜10mm程度の直方体の単結晶の先端を種結晶として、この種結晶を同一組成の単結晶の原料融液に浸潤し、回転しながら種結晶を徐々に引上げることによって、種結晶の性質を単結晶に伝播しながら大口径化して単結晶を製造する方法である。
Cz法における単結晶の育成過程は、まず、結晶径を徐々に拡大させて種結晶から円錐形状の肩部を形成する肩部形成過程と、所望の結晶径となるまで拡大させて肩部を形成したのち、円柱形状の直胴部を形成する直胴部形成過程と、を備える。肩部形成過程、直胴部形成過程に亘って、種結晶を坩堝上方の空間に向かって引き上げながら単結晶の育成を行うことができる。
[単結晶育成用ルツボ]
本発明の一実施形態に係るルツボは、例えば、鉱工業や理化学実験等において、高熱を利用して物質の溶融や合成を行う際に、アルミニウム、白金等の金属製坩堝の熱変形による不具合が生じる場合において、その変形を抑制することができるルツボである。特に、上記した抵抗加熱方式の単結晶育成装置を用いたCz法による単結晶の育成(製造)に有用なルツボである。以下、図1〜図10を参照し、本発明の一実施形態に係るルツボについて説明する。
上述のように、同一のルツボを用いてCz法により単結晶育成を重ねるにしたがって進行するルツボの変形は、単結晶育成前の原料融解時に発生しやすいと考えられる。例えば、白金製ルツボを用いてLNの単結晶を育成することを想定すると、白金製ルツボの変形は、ルツボ中の固体状態のLN原料残渣が白金製ルツボよりも膨張し易いことが主な原因と考えられる(表1参照)。そこで、白金製ルツボの変形を抑制するためには、単結晶育成前におけるLN原料残渣の融解時に発生する白金製ルツボの膨張変形を抑えるのが最も効果的である。特に、原料残渣がルツボの内壁と固着しているルツボの下部の膨張変形を抑制することがより望ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係る単結晶育成用ルツボの側面図である。図2は、図1の単結晶育成用ルツボについて、直径を通りかつ高さ方向と平行な断面を示す断面図である。図3は、図1の単結晶育成用ルツボの寸法を説明する側面図である。図4(a)、(b)は、図2のE1で示す領域を拡大した拡大断面図である。また、図10は、従来技術に係る単結晶育成用ルツボの側面図である。
本発明の単結晶育成用ルツボは、円筒に底板がついたいわゆるカップ型ルツボを基本とし、円筒の一部に凹凸形状を有するものである。単結晶育成用ルツボ100は、円形の底部11と、底部11の外縁部11aから立設した側壁部12と、上部が開口した開口部13を有する(図1、2)。
側壁部12は、凹凸形状部14aを有する底部11の外縁部11aから立設した第1側壁部14と、第1側壁部14の上端14bから開口部13の外端部13aの間にわたる円筒形状の第2側壁部15を有する(図1)。
凹凸形状部14aは、底部11から側壁部の高さH1の0.6倍の高さH2までの間に位置する(図3)。本実施形態における単結晶育成用ルツボでは、第1側壁部14において外縁部11aから上端14bまでの全域にわたって凹凸形状部14aが形成されている。外縁部11aから上端14bまでの直線距離の長さに相当する高さH2と、外縁部11aから外端部13aまでの直線距離の長さに相当する高さH1との比は、H2:H1=0.6:1.0となる。
図10の従来技術に係る単結晶育成用ルツボ200は、円筒に底板がついたいわゆるカップ型ルツボであり、円形の底部21と、底部21の外縁部21aから立設した側壁部22と、上部が開口した開口部23を有する。このように、従来の単結晶育成用ルツボ200は、側壁部22に凹凸形状を有するものではない。本発明の単結晶育成用ルツボ100では、側壁部12の一部に凹凸形状を有することで、従来の単結晶育成用ルツボ200の厚みと同じに設定しても、LN等の原料残渣の融解時の膨張率の差による応力に起因する変形を抑制することができる。すなわち、凹凸形状が、単結晶育成用ルツボの横方向の変形量を減少させることが可能となる。
前述したように、単結晶を育成後のルツボ内に残る原料は、単結晶育成用ルツボ内に仕込んだ原料の重量に対して0.2〜0.6の割合である。また、結晶の原料は、単結晶育成用ルツボの容量の約90%〜95%の範囲の量を充填する。特に、原料残渣の融解時の膨張率の差に起因する応力は、単結晶育成用ルツボの前記底部から前記側壁部の高さの0.6倍の高さまでの間において大きくなることから、この凹凸形状がこの間に位置するように配置されることにより、変形の抑制効果がより顕著となる。
なお、凹凸形状の範囲は、育成する単結晶の大きさや長さにより原料残渣が異なる場合があるため、原料残渣に合わせ設定することが好ましい。すなわち、本発明では、凹凸形状部14aは、底部11から側壁部の高さH1の0.6倍の高さまでの間に位置すればよく、図1に示す態様に限定されない。例えば、凹凸形状部は、底部から側壁部の高さの0.1倍〜0.6倍の高さまでの間に位置することができ、育成する単結晶の一般的な大きさや長さを考慮すると、側壁部の高さの0.4倍〜0.6倍の高さまでの間に位置させることができる。
図1〜図3に示すように、単結晶育成用ルツボ100の凹凸形状部14aは、蛇腹管形状であってもよい。そして、図4に示すように、凹凸形状部14aは、単結晶育成用ルツボ100の高さH1方向と平行な断面が略半円状である凹部14cと、単結晶育成用ルツボ100の高さH1方向と平行な断面が略半円状である凸部14dとが、連続した形状を備えることができる。このように、凹凸形状部14aが、略半円状の凹部14cと凸部14dが連続して配置されて蛇腹管形状となることにより、原料残渣の融解時による膨張率の差に起因する、単結晶育成用ルツボ100の横方向の変形を抑制することができる。
凹凸形状部14aの凹部および凸部の断面形状は、上記のように曲面、すなわち略半円状であることが望ましい。凹部および凸部に角部が有る場合、単結晶育成用ルツボと原料との膨張率の差により、原料が溶融することにより生じる応力が角部に集中してしまうことが考えられ、単結晶育成用ルツボが変形して、そこより破損がしやすくなるおそれがある。原料融液と接触する面を曲面とすることで、この応力の集中を抑制することができる。
凹部14cおよび凸部14dの略半円状の断面形状は、図4(a)に示すように、中心角が180度となる半円弧状である場合の他、中心角が90度〜180度未満の扇形の弧の形状であってもよい。凹部14cおよび凸部14dのいずれも丸みがあることにより、原料残渣の融解時の膨張率の差に起因する応力を分散させることができるため、単結晶育成用ルツボ100の変形を抑制することができる。また、図4(b)に示すように、第1側壁部14と第2側壁部15の境目となる上端14b’の付近の断面は、原料の溶融による応力を分散させることを考慮して、第2側壁部15から第1側壁部14へと緩やかな傾斜が付けられていてもよい。
また、凹部14cおよび凸部14dは、それぞれ少なくとも1つあれば、単結晶育成用ルツボの変形を抑制することができる。図1に示すように、第1側壁部14の全域にわたって、3つの凹部14cと3つの凸部14dが交互に連続して配置されることによって凹凸形状部14aが形成されていれば、単結晶育成用ルツボ100の変形を抑制する効果がより発揮される。
図3に示すように、凹部14cおよび凸部14dは、単結晶育成用ルツボ100の高さH1の方向と略垂直な方向と平行に周回する環状の形状をとることができる。環状であれば、第1側壁部14の周囲の一部ではなく、周囲の全周にわたって凹凸形状を形成することができるため、原料の溶融による応力を均一に分散することができる。
また、図3に示す態様の他、凹部114cおよび凸部114dが連続するらせん状であってもよい。このようならせん状であっても、第1側壁部114の周囲の全周にわたって凹凸形状を形成することができるため、原料残渣の融解時の膨張率の差に起因よる応力を均一に分散することができる(図5)。
図1、5に示すように、凹部14c、114cおよび凸部14d、114dの形状は、単結晶育成用ルツボ100、110の内側と外側にそれぞれ張り出した形状とすることができる。すなわち、図4(b)に示すように、凹部14cの略半円状の内面50と、当該略半円状の内面50を線対称とする対称軸51との交点52が、第2側壁部15の内面53よりもルツボの内側にあり、凸部14dの略半円状の外面60と、当該略半円状の外面60を線対称とする対称軸61との交点62が、第2側壁部15の外面63よりもルツボの外側にある形状とすることができる。例えば、円筒に底板がついたいわゆるカップ型ルツボの円筒の一部に凹凸形状を形成する方法として、プレス成形等が挙げられる。このような凹部および凸部の形状が単結晶育成用ルツボの内側と外側にそれぞれ張り出した形状とする加工は、プレス成形等により容易である。
交点52は、例えば図4(b)において3つの凹部14cの全てにおいて、ルツボを周回するように環状に無数に存在する。すなわち、交点52の全てが、第2側壁部15の内面53よりもルツボの内側にある。同様に、交点62の全てが、第2側壁部15の外面63よりもルツボの外側にある。このような形状であることにより、原料残渣の融解時の膨張率の差起因による応力を高さH1の方向に均一に分散することができるため、単結晶育成用ルツボ100の横方向へかかる応力を低減することができる。
凹部14cおよび凸部14dの形状の大きさは、特に限定はないが、凹凸形状が大きくなりすぎると、単結晶育成時の融液の対流に影響を与えるおそれがある。逆に凹凸形状が小さすぎる場合、単結晶育成用ルツボの変形抑制の効果が小さくなるおそれがある。これらを考慮すると、凹部14cおよび凸部14dの断面の半円形状は、ルツボ厚中心から中点までの長さに相当する半径Rを約5mmとし、半径Rの2倍の長さに相当するルツボ厚中心直径D4を約10mmに設定することができる(図4(a))。また、凸部14dの交点62の高さH1方向における間隔H3と、凹部14cの交点52の高さH1方向における間隔H4をそれぞれ約20mmに設定することができる(図3)。
図4(a)に示すように、凹部14cの略半円状の内面50の曲率半径Riと凸部14dの略半円状の外面60の曲率半径Roが略同一であることが好ましい。このように略同一であれば、凹部14cおよび凸部14dのいずれも略同一形状の半円形状の断面を有することとなる。その効果として、原料残渣の融解時の膨張率の差起因による応力を高さH1の方向に均一に分散することができるため、単結晶育成用ルツボ100の横方向へかかる応力を低減することができる。
また、図3に示す第2側壁部15の外径D1と、図4(a)に示す凹部14cの略半円状の内面50の曲率半径Riとの比が25〜50:1であることが好ましい。また、第2側壁部15の外径D1と、凸部14dの略半円状の外面60の曲率半径Roとの比が25〜50:1であることが好ましい。これらの比が上記範囲内であることにより、単結晶育成時の融液の対流に影響を与えるおそれや、単結晶育成用ルツボの変形抑制の効果が小さくなるおそれを防ぐことができる。例えば、単結晶を育成するにあたり、外径D1が150mm〜250mmであるルツボを用いることが一般的であり、曲率半径RiやRoをそれぞれ5.35mmに設定する場合には、D1:RiおよびD1:Roの比は28〜47:1となる。なお、曲率半径Ri、Roは、ルツボの厚みによっても、若干変動する。
単結晶育成用ルツボ100、110において、第1側壁部14の厚さは略均一であり、第2側壁部15の厚さは略均一であり、第1側壁部14の厚さと第2側壁部15の厚さは略同一であることが好ましい。これらの厚さが略均一であることにより、高周波誘導加熱方式等の加熱手段によって、ルツボの加熱を制御することが容易となり、原料の融解や単結晶の育成に不具合が生じるおそれを防止することができる。
なお、育成対象となる単結晶の種類や形状、大きさ等によっては、結晶育成時の融液の対流等を詳細に制御する必要がある場合がある。この場合には、単結晶育成用ルツボの内側には凹凸形状を付けず、ルツボの外側のみに凹凸形状を付けてもよい。
このようなルツボとしては、例えば、図6に示す単結晶育成用ルツボ300が挙げられる。単結晶育成用ルツボ300は、円形の底部31と、底部31の外縁部31aから立設した凹凸形状を有する側壁部32と、上部が開口した開口部33とを備え、単結晶育成用ルツボ300の内側となる側壁部32の内壁は平滑であり、側壁部32の外壁は凹凸形状である。凹凸形状は、図7に示すように斜め格子形状の凸部34を備えている。単結晶育成用ルツボ300の変形は、上記の単結晶育成用ルツボ100、110に比べてやや大きくなるおそれがあるものの、単結晶育成時の融液の対流は、内壁が平滑であることにより、同様に平滑な従来の単結晶育成用ルツボ200と同様となるため、従来の単結晶育成用ルツボ200を用いて育成する場合と同じ条件で、単結晶を育成することができる。
図6の単結晶育成用ルツボ300とは異なる例として、図8に示す単結晶育成用ルツボ400を挙げることができる。単結晶育成用ルツボ400は、円形の底部41と、底部41の外縁部41aから立設した凹凸形状を有する側壁部42と、上部が開口した開口部43とを備え、単結晶育成用ルツボ400の内側となる側壁部42の内壁は平滑であり、側壁部42の外壁は凹凸形状である。単結晶育成用ルツボ400は、縞鋼板の滑り止め用の突起に類似する凸部44を備えることで、凹凸形状となっている。
なお、図6、8では、側壁部32、42の全体にわたって凹凸形状が備えられているが、これらに限定されない。例えば、図1の場合と同様に、ルツボの側壁部の上部は凹凸の無い円筒形状とし、側壁部の下部を凹凸形状とすることができる。特に、原料残渣の融解時の膨張率の差に起因する応力は、単結晶育成用ルツボの前記底部から前記側壁部の高さの0.6倍の高さまでの間において大きくなることから、この凹凸形状がこの間に位置するように配置されることがより好ましい。
上記より、本発明の単結晶育成用ルツボであれば、ルツボの側壁部の一部に凹凸形状を有することで、高価な白金製のルツボ等の肉厚を厚くすることなく、ルツボの変形を抑制する強度を確保できる。
本発明の単結晶育成用ルツボの素材は、ルツボの用途に応じて、適宜好適なものを選択することができる。例えば、アルミニウム、白金、イリジウムやモリブデン等が挙げられる。耐熱性が要求される場合には白金やイリジウム等の貴金属やモリブデンを用いることができる。具体的には、ニオブ酸リチウムの単結晶を育成する場合には、単結晶育成用ルツボは白金製のものを用いることができる。また、雰囲気中に酸素が含まれない不活性条件下であれば、大気中で酸化するおそれのあるイリジウムやモリブデンを用いることができる。例えば、タンタル酸リチウムの単結晶を育成する場合には、イリジウム製の単結晶育成用ルツボを用いることができる。
本発明の単結晶育成用ルツボは、上記した構成以外の構成を備えることができる。例えば、開口部13を閉鎖する蓋を備えることで、単結晶を育成しない時間帯において、単結晶育成用ルツボ100の内部に、不純物が混入することを防止できる。
[単結晶育成装置]
次に、本発明の一実施形態にかかる単結晶育成用ルツボ100を設置した単結晶育成装置1000について、図9の断面模式図を参照して説明する。
単結晶育成装置1000は、単結晶育成用ルツボ100を備える装置であり、抵抗加熱方式の加熱手段を備え、Cz法を利用した単結晶の育成に用いる装置である。育成する単結晶は、特に限定されないが、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ランガサイト等の単結晶を育成することができる。また、単結晶の育成に用いる雰囲気は、大気、窒素またはアルゴン等の不活性ガスとすることができる。
単結晶育成装置1000は、ルツボ台510と、上段ヒーター520と、下段ヒーター530と、耐火物540と、シード棒550と、単結晶育成装置1000の動作を制御する不図示の制御手段と、を備える。なお、図9においては、種結晶をA、育成された単結晶をB、原料融液をCの符号で示している。
単結晶育成用ルツボ100は、単結晶Bの原料を入れるためのものであり、単結晶Bの育成過程において、原料は、溶融した融液Cの状態で単結晶育成用ルツボ100内に保持される。
ルツボ台510は、単結晶育成用ルツボ100が載置される台である。ルツボ台510は、上部ルツボ台511と、円筒状の下部ルツボ台512と、からなる。上部ルツボ台511は、平面視にて中央部分が開口した円形状の上面壁511aと、上面壁511aの外縁部に連なる円筒状の側壁部511bと、を有している。図9に示すように、上部ルツボ台511が下部ルツボ台512の上に組み合わされて、ルツボ台510を構成している。なお、ルツボ台510は、ジルコニア、アルミナ等耐熱性のセラミックス等を用いて形成することができる。また、ルツボ台510に載せられた単結晶育成用ルツボ100を上下動させるために、不図示のルツボ台駆動機構を設けてもよい。
上段ヒーター520、下段ヒーター530は、電気抵抗を利用する抵抗加熱方式により上段ヒーター520自身が発熱する円筒状の加熱手段であり、不図示の外部の電源に接続されている。上段ヒーター520は、育成された単結晶Bを加熱して保温するために、単結晶育成用ルツボ100の上方に配置されている。また、下段ヒーター530は、結晶育成用ルツボ100内の単結晶原料を溶融するために、単結晶育成用ルツボ100の外方に配置されている。また、上段ヒーター520、下段ヒーター530としては、カーボン、ニクロム、二珪化モリブデン等を抵抗発熱体としたものを用いることができる。単結晶を育成する場合には、酸素雰囲気中で有用なニクロムや二珪化モリブデンを抵抗発熱体としたものが好ましく、さらに、高融点のタンタル酸リチウムの単結晶を育成する場合には、耐熱性の高い二珪化モリブデンを抵抗発熱体としたものが好ましい。
耐火物540は、上段耐火物541と、遮へい耐火物542と、下段耐火物543と、底部耐火物544と、を備える。耐火物540は、ジルコニア、アルミナ等の耐熱性のセラミックスを用いて形成することができる。
上段耐火物541は、外部への熱の放出を抑制する部材であり、上段ヒーター520の径方向外方を囲む円筒状の側壁部541aと、上段ヒーター520および側壁部541aの上部を覆う、円環状の蓋部541bと、を有する。ここで、側壁部541aと蓋部541bが、それぞれ、炉壁と天井部となり、炉壁と天井部に囲まれた炉内Sを規定している。また、蓋部541bは、炉内Sに挿通するシード棒550が上下移動できるように、開口部541cを有している。開口部541cは、シード棒550の断面よりも大きく形成され、育成される単結晶Bの断面よりも小さく形成されている。
遮へい耐火物542は、結晶育成用ルツボ100の上端部分を囲む円盤状に形成され、炉内Sの上部への熱の放出を抑制することのできる断熱部材であり、炉内Sにおいて、上段ヒーター520による上部加熱空間と下段ヒーター530による下部加熱空間を分離している。
下段耐火物543は、単結晶育成装置1000の外部への熱の放出を抑制する部材であり、下段ヒーター530の外方を囲む円筒状に形成されている。
底部耐火物544は、単結晶育成装置1000の下方から外部への熱の放出を抑制する部材であり、単結晶育成装置1000の下部全体を覆うように構成されている。図9に示すように、底部耐火物544には、ルツボ台510および下段耐火物543が載置されている。
シード棒550は、結晶育成用ルツボ100に入れられた単結晶Bの原料の融液Cの表面に種結晶Aを接触させ、単結晶Bを回転させながら引き上げるために用いられる。シード棒550は、例えば、白金等の材料を用いて構成され、シード棒550の下端に種結晶Aを保持する保持部551を有する棒状の部材を用いることができる。シード棒550は、単結晶Bの育成に伴って、種結晶Aとともに、単結晶Bを吊り下げて保持することができる。
また、単結晶育成装置1000においては、単結晶Bの引き上げおよび回転を、シード棒550の引き上げおよびシード棒550の軸を中心とした回転により行う。シード棒550の上下移動および回転を行うため、例えば、不図示のモータを備えたシード棒駆動手段が設けられている。また、シード棒550の回転速度および引き上げ速度は、形成する単結晶の径の大きさおよび直胴部の長さ等により適宜設定することができる。
不図示の制御手段は、結晶育成プロセスを含めた単結晶育成装置1000全体の制御を行うことができる。制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、及び、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを備えている。また、制御手段は、プログラムにより動作するマイクロコンピュータから構成されてもよいし、特定の用途のために開発されたASIC(Application Specified Integra Circuit)等の電子回路から構成されてもよい。
[単結晶育成方法]
次に、単結晶の育成方法の一例として、単結晶育成装置1000を使用した、単結晶Bの育成方法を説明する。
まず、結晶育成用ルツボ100に、単結晶Bの原料を充填して、上段ヒーター520、下段ヒーター530により単結晶育成用ルツボ100を加熱して、単結晶育成用ルツボ100内の原料を融点以上に加熱して融解することにより、単結晶Bの原料の融液Cを得る。次に、シード棒550の下端の保持部551に取り付けられた、種結晶Aを、単結晶育成用ルツボ100内の原料の融液上面に接触させる。これを、シーディングという。その後、シード棒550のシード棒駆動手段により、種結晶Aを回転させながら徐々に上方の炉内Sへシード棒550を引き上げる。単結晶Bの育成中は、上段ヒーター520および下段ヒーター530による加熱温度や、シード棒550の回転数および引き上げ速度等を制御手段等により制御することにより、単結晶Bに肩部および直胴部を育成する。直胴部が所定の長さになったところで、シード棒550の引き上げ速度等を制御して、原料の融液上面と育成した単結晶の下端とを切り離し、単結晶を冷却して単結晶が完成する。
単結晶育成装置1000により、同じ単結晶育成用ルツボ100を繰り返し用いて育成ロットを重ねても、第1側壁部14が単結晶育成用ルツボ100の変形を抑制することで、単結晶の育成条件を同様にすることができ、安定した単結晶育成が可能となる。
なお、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、変形等も本発明に含まれる。例えば、各部材の形状、材質や、各部材の構成は、ルツボの種類、口径寸法、長さ寸法等により適宜変更することができる。その他、本発明を実施するための最良の形態等は、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、限定の一部、もしくは全部の限定を外した記載は、本発明に含まれるものである。
以上のとおり、本発明の単結晶育成用ルツボであれば、結晶育成の適正条件から外れるような変形の進行を抑制することが可能であり、安定して繰り返し単結晶を育成することができる。
以下、本発明の実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されることはない。
[実施例1]
(LN単結晶の育成)
実施例では、単結晶育成用ルツボ100を使用し、単結晶育成装置として、前述した実施形態の単結晶育成装置1000と同様の構成のものを用いて、ニオブ酸リチウムの単結晶を育成した。単結晶育成用ルツボ100としては、図1、3に示すように、単結晶育成用ルツボ上部の開口部13の外周部における直径(外径)、すなわち第2側壁部15の外径D1が200mm、高さH1が100mm、高さH2が60mmであり、側面(側壁部12)および底面(底部11)の厚みが共に0.7mmである白金製ルツボを用いた。単結晶育成用ルツボ100の第1側壁部14には、外径D3が210mm、交点62の間隔H3が20mmのリング状の3つの凸部14d、および、外径D2が190mm、交点52の間隔H4が20mmのリング状の3つの凹部14cが、底部11から上端14bにわたり交互に形成されている(図1、3)。これらのリング状の凹部14cおよび凸部14dは、いずれも半径Rが5mm、ルツボ厚中心直径D4が10mmの凹凸形状が連続した蛇腹管形状となっている(図4)。
このような構成の単結晶育成用ルツボ100を用いて、LN単結晶の育成を固化率0.7で連続して30回実施した。まず、単結晶育成用ルツボ100の中にLNの原料を充填して、上段ヒーター520および下段ヒーター530の温度が1600℃となるように電力を投入し、単結晶育成用ルツボ100および原料を加熱した。LNの原料は6時間で融解し原料融液Cとなった。原料が融解した後、上段ヒーター520および下段ヒーター530の出力を制御して、シーディングに適した温度に調整した。さらに、白金製のシード棒550を原料融液Cへ向けて下降させ、シード棒550の先端に取り付けられたLNの種結晶Aと原料融液Cとを接触させた。種結晶Aは、直方体状であり、種結晶Aの長手方向(育成方向)とLN結晶のc軸方向とが平行になるようにした。種結晶Aを接触後、シード棒550を1rpm〜20rpmで速度調整して回転させながら、2mm/h〜5mm/hの速度で鉛直上方に引き上げることによって、種結晶Aから連続的に延びるLN単結晶Bを育成した。LN単結晶の育成を固化率0.7に設定したため、続けてLN単結晶を育成するにあたり、育成後の原料投入量は、原料全体の質量に対し、0.7であった。
(単結晶育成用ルツボ100の形状の評価)
LN単結晶の連続育成において、単結晶の育成を5回終了する毎に、単結晶育成用ルツボ100の外径を複数点で測定した。測定位置は、単結晶育成用ルツボ100の側壁部12において、高さH1方向の外端部13aから外縁部11aに向かって、10mmの間隔(側壁部12の上端から5mm、25mm、55mm、65mm、75mm、85mm、95mmの高さの位置)で測定した。外径の測定は、各高さにおいて、45度の角度の刻みで4か所測定し、4か所の測定値の平均値を算出した。表2は、結晶育成に伴う各高さ位置における外径について、結晶育成の開始前および、5回目、10回目、15回目、20回目、25回目、30回目の結晶育成後に測定した結果を平均値で示したものである。
[比較例1]
単結晶育成用ルツボ100に代えて、単結晶育成用ルツボ200(図10)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、LN単結晶育成を固化率0.7で連続して実施し、同様に単結晶育成用ルツボ200の外径の平均値を算出して、単結晶育成用ルツボ200の形状の変化を評価した。結果を表2に示す。なお、使用した単結晶育成用ルツボ200は、外径D5が200mm、高さH5が100mmであり、また、側面(側壁部22)および底面(底部21)の厚みが共に0.7mmである白金製ルツボである。
Figure 2019142741
[評価結果]
実施例1では、外径の変形は単結晶育成用ルツボ100の上端から75mmの位置において最大となったものの、変形量は最大でわずか5mmに抑えることができた。結果として、単結晶育成用ルツボ100の変形を、高さH1方向の上部から下部にわたってバランスよく抑制することができたことにより、育成条件が変わることがなく、30回の育成において、問題なくLN単結晶を育成することができた。この結果から、単結晶育成用ルツボ100の変形量が小さいため、更に育成を繰り返しても、問題なくLN単結晶を育成することが見込めた。
比較例1では、実施例1と同様に外径の変形は単結晶育成用ルツボ200の上端から75mmおよび85mmの位置において最大となり、外径の増加は9mmに達した。単結晶育成用ルツボ200の変形は、部分的なものではなく、上部がすぼまり、下部が増大する全体的な変形であった。このように、ルツボ側壁部に凹凸形状を設定しなかったことで、単結晶育成用ルツボ200の外径の変化が大きくなり、育成回数が15回を越えたあたりから、多結晶で育成不良のものが出始め、育成回数が増えるとともに育成不良のものも増えたため、単結晶育成用ルツボ200の改鋳が必要となったことが示唆された。
すなわち、単結晶育成用ルツボの側壁部に凹凸形状を設定することで、従来は15回程度の育成毎に改鋳が必要であった単結晶育成用ルツボを、30回以上繰り返し使用することができるようになった。そのため、ルツボ改鋳頻度を減少させることでコストを抑えることができ、単結晶育成用ルツボの寿命を大幅に延ばすことができるようになった。
[まとめ]
以上の評価結果より、本発明の単結晶育成用ルツボを用いた実施例においては、単結晶育成用ルツボの側壁部に凹凸形状を設定することにより、単結晶育成用ルツボの変形を小さく抑えることができた。特に、単結晶の育成回数を重ねても、単結晶育成用ルツボの上部はあまり変形せず、ルツボ本体の下部においてもほとんど膨らまなかった。これにより、育成回数を増やしても、単結晶の育成条件を同一に維持することができたことから、ルツボの改鋳コストを抑えつつ、良好な単結晶を安定して繰り返し育成することができることが示された。
11 底部
11a 外縁部
12 側壁部
13 開口部
13a 外端部
14 第1側壁部
14a 凹凸形状部
14b 上端
14c 凹部
14d 凸部
14b’ 上端
15 第2側壁部
21 底部
21a 外縁部
22 側壁部
23 開口部
31 底部
31a 外縁部
32 側壁部
33 開口部
34 凸部
41 底部
41a 外縁部
42 側壁部
43 開口部
44 凸部
50 内面
51 対称軸
52 交点
53 内面
60 外面
61 対称軸
62 交点
63 外面
100 単結晶育成用ルツボ
110 単結晶育成用ルツボ
114 第1側壁部
114c 凹部
114d 凸部
200 単結晶育成用ルツボ
300 単結晶育成用ルツボ
400 単結晶育成用ルツボ
510 ルツボ台
511 上部ルツボ台
511a 上面壁
511b 側壁部
512 下部ルツボ台
520 上段ヒーター
530 下段ヒーター
540 耐火物
541 上段耐火物
541a 側壁部
541b 蓋部
541c 開口部
542 遮へい耐火物
543 下段耐火物
544 底部耐火物
550 シード棒
551 保持部
1000 単結晶育成装置
A 種結晶
B 単結晶
C 原料融液
D1 第2側壁部15の外径
D4 ルツボ厚中心直径
D5 外径
E1 領域
E2 領域
H1 高さ
H2 高さ
H3 間隔
H4 間隔
H5 高さ
R 半径
Ri 曲率半径
Ro 曲率半径
S 炉内

Claims (8)

  1. 円形の底部と、
    前記底部の外縁部から立設した側壁部と、
    上部が開口した開口部と、を備え、
    前記側壁部は、凹凸形状部を有する前記底部の外縁部から立設した第1側壁部と、前記第1側壁部の上端から前記開口部の間にわたる円筒形状の第2側壁部を有し、
    前記凹凸形状部は、前記底部から前記側壁部の高さの0.6倍の高さまでの間に位置する、単結晶育成用ルツボ。
  2. 前記凹凸形状部は、蛇腹管形状であり、当該凹凸形状部は、前記単結晶育成用ルツボの高さ方向と平行な断面が略半円状である少なくとも1つの凹部と、前記単結晶育成用ルツボの高さ方向と平行な断面が略半円状である少なくとも1つの凸部とが、連続した形状を備え、
    前記凹部および前記凸部は、前記単結晶育成用ルツボの高さ方向と略垂直な方向と平行に周回する環状、または、前記凹部および前記凸部が連続するらせん状である、請求項1に記載の単結晶育成用ルツボ。
  3. 前記凹部の略半円状の内面と、当該略半円状の内面を線対称とする対称軸との交点の全てが、前記第2側壁部の内面よりも内側にあり、
    前記凸部の略半円状の外面と、当該略半円状の外面を線対称とする対称軸との交点の全てが、前記第2側壁部の外面よりも外側にある、請求項2に記載の単結晶育成用ルツボ。
  4. 前記凹部の略半円状の内面の曲率半径と前記凸部の略半円状の外面の曲率半径が略同一である、請求項2または3に記載の単結晶育成用ルツボ。
  5. 前記第2側壁部の外径と前記凹部の略半円状の内面の曲率半径との比が25〜50:1であり、
    前記第2側壁部の外径と前記凸部の略半円状の外面の曲率半径との比が25〜50:1である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の単結晶育成用ルツボ。
  6. 前記第1側壁部の厚さは略均一であり、
    前記第2側壁部の厚さは略均一であり、
    前記第1側壁部の厚さと前記第2側壁部の厚さは略同一である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の単結晶育成用ルツボ。
  7. 円形の底部と、
    前記底部の外縁部から立設した凹凸形状を有する側壁部と、
    上部が開口した開口部と、を備え、
    前記側壁部の内壁は平滑であり、前記側壁部の外壁は凹凸形状である、単結晶育成用ルツボ。
  8. 前記単結晶育成用ルツボは白金製であり、ニオブ酸リチウムの単結晶を育成するルツボである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の単結晶育成用ルツボ。
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