JP2019140314A - シリコン窒化膜の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載の方法は、チャンバ(同文献では反応室)内に下部電極を配置し、下部電極に対して上方に上部電極を対向配置し、下部電極に基材を載置し、チャンバ内にシリルアミンガスを含む処理ガス(同文献では原料ガス)を導入してプラズマ成膜処理を実行することで、基材上にシリコン窒化膜を成膜する、シリコン窒化膜の製造方法である(同文献の請求項1等)。
また、同文献に記載のカソードカップリング型のプラズマ成膜処理では、プラズマ中のイオンが下部電極の強い引力によって下部電極に引き込まれる。このため、イオンが強い引力でシリコン窒化膜に衝突し、高密度のシリコン窒化膜が得られるものの、基材の表面がダメージを受けるという問題がある。
本発明は、上記本発明者らの知見に基づき完成したものである。
なお、カソードカップリング型のプラズマ成膜処理によれば高密度のシリコン窒化膜が得られるものの、高密度化には限度があり、一定の飽和レベルに達するとそれを超える高密度化は困難であると考えられる。カソードカップリング型のプラズマ成膜処理では、飽和レベルの密度を得るのに十分なイオンの衝突エネルギーを超える過剰なエネルギーで基材にイオンが衝突するために、基材の表面がダメージを受けると考えられる。これに対し、本発明によれば、カソードカップリング型のプラズマ成膜処理に比べて、イオンがシリコン窒化膜に衝突するエネルギーが小さく、例えば、上部電極及び下部電極の上下方向の離間距離の設定によって、飽和レベルの密度を得るのに必要十分なイオンの衝突エネルギーに調整し易いと考えられる。このため、基材上にシリコン窒化膜を高密度に成膜することができると共に、基材表面のダメージを抑制可能であると考えられる。
したがい、本発明において、前記プラズマ成膜処理を実行する際に、前記基材を250℃以下の温度に加熱することが好ましい。
上記の好ましい方法によれば、基材が樹脂膜からなる下地層を有する場合に、樹脂膜の耐熱性や、樹脂膜を基板に貼り合わせるための接着材等の耐熱性の制約を受け難い。また、基材及びシリコン窒化膜を半導体発光素子等のデバイスに用いる場合に、特性の劣化が生じ難い。
このため、前記上部電極及び前記下部電極の上下方向の離間距離が15〜40mmであることが好ましい。
したがい、本発明によって製造される前記シリコン窒化膜は、半導体発光素子に用いられる場合に有用である。
図1は、本実施形態に係るシリコン窒化膜の製造方法に用いるシリコン窒化膜製造装置の概略構成を示す一部断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るシリコン窒化膜製造装置10は、基材W上にシリコン窒化膜20を成膜する装置であり、チャンバ1と、下部電極2と、上部電極3と、高周波電源4と、加熱手段5とを備えている。また、本実施形態に係るシリコン窒化膜製造装置10は、加熱手段6と、シール材7a、7bと、ガス流量調整器8a〜8eと、供給路9と、を備えている。なお、供給路9は、実際には中空の配管であるが、図1では便宜上、直線で表している。
なお、基材Wを構成する基板の材質は特に限定されないものの、代表的な材質はシリコンである。また、その他の材質としては、石英ガラス及びホウケイ酸ガラスに代表される耐熱ガラス、シリコンカーバイド(SiC)、各種セラミックス、ガリウム砒素(GaAs)、サファイアを例示できる。
基材Wが下地層を有する場合、特に限定されないものの、代表的には、下地層は、メタル(Al、Cu、Au等)膜や、樹脂膜とされる。
なお、基材Wの温度が低すぎると、基材W上に成膜するシリコン窒化膜20を高密度に成膜できなくなるため、基材Wを200℃以上の温度に加熱することが好ましい。
図2は、以下に説明する実施例1〜8及び比較例1〜8において設定した、互いに条件の異なるパラメータを整理した表である。実施例1〜8及び比較例1〜8では、高周波電源4から上部電極3に印加する高周波電力の周波数と、処理ガスの種類及び流量とを変更して試験を行っている。以下、具体的に説明する。
実施例1では、基材Wを構成する基板として4インチのシリコンウェハを用い、チャンバ1内を真空排気し、加熱手段5、6によって、下部電極2及びチャンバ1内を加熱することで、下部電極2に載置された基材Wを200℃に加熱した。 次に、供給路9を介して、処理ガスとして、2.5sccmのトリシリルアミンガス、20sccmのアンモニアガス、及び1900sccmのアルゴンガスを上部電極3に供給し、チャンバ1内に導入した。そして、チャンバ1内の圧力が50Paとなるように、排気流量を調整した。
次に、高周波電源4から上部電極3に、周波数が380kHzでパワーが150Wの高周波電力を印加し、90秒間のプラズマ成膜処理を実行することで、基材W上にシリコン窒化膜を成膜した。
最後に、成膜したシリコン窒化膜にバッファードフッ酸(フッ化アンモニウム:フッ酸=6:1(重量比))によるエッチングを施し、そのエッチングレートを評価した。
なお、上部電極3及び下部電極2の上下方向の離間距離は、約24mmとした。
高周波電源4から上部電極3に印加する高周波電力の周波数を13.56MHzにしたこと以外は、実施例1と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
処理ガスとして、2.5sccmのトリシリルアミンガス、20sccmのアンモニアガス、及び1900sccmの窒素ガスを上部電極3に供給し、チャンバ1内に導入したこと以外は、実施例1と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
高周波電源4から上部電極3に印加する高周波電力の周波数を13.56MHzにしたこと以外は、実施例2と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
図3に示すように、実施例1、2のエッチングレートは、それぞれ比較例1、2のエッチングレートよりも小さくなった。換言すれば、実施例1、2のシリコン窒化膜は、それぞれ比較例1、2のシリコン窒化膜よりも高密度に成膜されているといえる。
処理ガスとして、2.5sccmのトリシリルアミンガス、20sccmのアンモニアガス、及び種々の流量のアルゴンガスを上部電極3に供給し、チャンバ1内に導入したこと以外は、実施例1と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
高周波電源4から上部電極3に印加する高周波電力の周波数を13.56MHzにしたこと以外は、実施例3と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
処理ガスとして、2.5sccmのトリシリルアミンガス、20sccmのアンモニアガス、及び種々の流量の窒素ガスを上部電極3に供給し、チャンバ1内に導入したこと以外は、実施例1と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
高周波電源4から上部電極3に印加する高周波電力の周波数を13.56MHzにしたこと以外は、実施例4と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
処理ガスとして、種々の流量のトリシリルアミンガス、20sccmのアンモニアガス、及び200sccmのアルゴンガスを上部電極3に供給し、チャンバ1内に導入したこと以外は、実施例1と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
高周波電源4から上部電極3に印加する高周波電力の周波数を13.56MHzにしたこと以外は、実施例5と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
図4に示すように、処理ガスの流量の如何に関わらず、実施例3〜5のエッチングレートは、それぞれ比較例3〜5のエッチングレートよりも小さくなった。換言すれば、実施例3〜5のシリコン窒化膜は、それぞれ比較例3〜5のシリコン窒化膜よりも高密度に成膜されているといえる。
処理ガスとして、2.5sccmのトリシリルアミンガス、種々の流量のアンモニアガス、及び200sccmのアルゴンガスを上部電極3に供給し、チャンバ1内に導入したこと以外は、実施例1と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
高周波電源4から上部電極3に印加する高周波電力の周波数を13.56MHzにしたこと以外は、実施例6と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
処理ガスとして、2.5sccmのトリシリルアミンガス、種々の流量の窒素ガス、及び200sccmのアルゴンガスを上部電極3に供給し、チャンバ1内に導入したこと以外は、実施例1と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
高周波電源4から上部電極3に印加する高周波電力の周波数を13.56MHzにしたこと以外は、実施例7と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
処理ガスとして、2.5sccmのトリシリルアミンガス、20sccmのアンモニアガス、種々の流量の水素ガス、及び200sccmのアルゴンガスを上部電極3に供給し、チャンバ1内に導入したこと以外は、実施例1と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
高周波電源4から上部電極3に印加する高周波電力の周波数を13.56MHzにしたこと以外は、実施例8と同じ条件で、基材W上にシリコン窒化膜を成膜し、成膜したシリコン窒化膜のエッチングレートを評価した。
図5に示すように、処理ガスの流量の如何に関わらず、実施例6〜8のエッチングレートは、それぞれ比較例6〜8のエッチングレートよりも小さくなった。換言すれば、実施例6〜8のシリコン窒化膜は、それぞれ比較例6〜8のシリコン窒化膜よりも高密度に成膜されているといえる。
2・・・下部電極
3・・・上部電極
4・・・高周波電源
5、6・・・加熱手段
7a、7b・・・シール材
8a、8b、8c、8d、8e・・・ガス流量調整器
9・・・供給路
10・・・シリコン窒化膜製造装置
20・・・シリコン窒化膜
W・・・基材
Claims (7)
- チャンバ内に下部電極を配置し、前記下部電極に対して上方に上部電極を対向配置し、前記下部電極に基材を載置し、前記チャンバ内に処理ガスを導入してプラズマ成膜処理を実行することで、前記基材上にシリコン窒化膜を成膜する、シリコン窒化膜の製造方法であって、
前記プラズマ成膜処理を実行する際に、
前記チャンバ内にシリルアミンガスを含む処理ガスを導入し、
前記上部電極に100kHz〜1MHzの範囲内の周波数を有する高周波電力を印加すると共に、前記下部電極を接地する、
ことを特徴とするシリコン窒化膜の製造方法。 - 前記プラズマ成膜処理を実行する際に、前記基材を250℃以下の温度に加熱する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシリコン窒化膜の製造方法。 - 前記上部電極及び前記下部電極の上下方向の離間距離が15〜40mmである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコン窒化膜の製造方法。 - 前記シリルアミンガスは、トリシリルアミンガス、ジシリルアミンガス及びモノシリルアミンガスのうちの何れか1つ以上である、
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のシリコン窒化膜の製造方法。 - 前記チャンバ内に導入する処理ガスに、アンモニアガス、アルゴンガス、窒素ガス及び水素ガスのうちの何れか1つ以上を更に含む、
ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のシリコン窒化膜の製造方法。 - 前記シリコン窒化膜は、半導体発光素子に用いられる、
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のシリコン窒化膜の製造方法。 - チャンバと、前記チャンバ内に配置された下部電極と、前記下部電極に対して上方に対向配置された上部電極と、前記上部電極に高周波電力を印加する高周波電源とを備え、前記チャンバ内に処理ガスを導入してプラズマ成膜処理を実行することで、前記下部電極に載置された基材上にシリコン窒化膜を成膜する、シリコン窒化膜の製造装置であって、
前記プラズマ成膜処理を実行する際に、
前記チャンバ内にシリルアミンガスを含む処理ガスが導入され、
前記高周波電源は、前記上部電極に100kHz〜1MHzの範囲内の周波数を有する高周波電力を印加し、
前記下部電極は、接地される、
ことを特徴とするシリコン窒化膜の製造装置。
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