JP6236709B2 - シリコン窒化膜の製造方法及びシリコン窒化膜 - Google Patents

シリコン窒化膜の製造方法及びシリコン窒化膜 Download PDF

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本発明は、シリコン窒化膜の製造方法及びシリコン窒化膜に関するものである。
シリコン窒化膜は、化学的安定性に優れていることから、電子デバイスや光デバイス等の半導体装置の製造工程におけるマスク材料、並びに半導体装置を構成するメタル拡散防止膜、酸化バリア膜、パッシベーション膜及び絶縁膜等として利用されている。シリコン窒化膜を基板上に製造する方法としては、塩化シランとアンモニアの混合ガスを700℃以上に加熱した基板上に供給して成膜する熱化学気相成長法(熱CVD)や、シランとアンモニアの混合ガスをプラズマで励起させることで得られる活性種を350℃以上に加熱した基板上に供給して成膜するプラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)等が広く利用されている。
近年、半導体装置の微細化・高集積化、及びシリコン窒化膜自身の用途拡大に伴って、シリコン窒化膜を製造する基板や下地層が多様化し、熱耐性の低い下地層が増えていることから、プラズマCVDで300℃以下、望ましくは250℃以下でシリコン窒化膜を製造することが望まれている。
しかしながら、一般に、成膜温度を低くすると、膜を構成する原子の組成や原子間の結合状態の制御が難しくなる。このため、350℃超の基板温度でプラズマCVDを行ったときと比較して、膜構造が粗となり、また、シリコン原子と水素原子、窒素原子と水素原子の結合が多くなり、化学的安定性が低下することが知られている。
一方、絶縁層等に使用されるシリコン窒化膜の上に別の薄膜を製造する場合、シリコン窒化層の表面に、有機物やパーティクル等の汚染物が付着している可能性があるため、別の薄膜を製造する前に、シリコン窒化層の表面を希フッ酸等のクリーニング液に浸漬させて、汚染物を除去するクリーニング処理が行われる場合がある。当該処理に対して、シリコン窒化膜が削られてしまうと所定の機能を発揮できなくなるため、シリコン窒化膜には高いフッ酸耐性が求められる。
同様に、デバイス構造を製造するエッチング工程における、エッチングストッパ層として使用される場合にも、シリコン窒化膜には高いフッ酸耐性が求められる。そのため、上述の理由により、シリコン窒化膜の化学的安定性が低下した場合、メタル拡散防止膜、酸化バリア膜、パッシベーション膜及び絶縁膜等としての機能を果たせなくなるおそれがある。
このような課題に対し、特許文献1には、フッ化水素酸溶液(1%HF水溶液)に対するウェットエッチング速度が50nm/min未満であるシリコン窒化膜を、高密度プラズマCVD装置で製造する方法が開示されている。しかしながら、基板温度は450℃程度であり、上述の250℃以下との要望には不十分である。このことは、フッ酸耐性の高いシリコン窒化膜を製造することが困難であることを意味している。
また、特許文献2には、基板温度200〜400℃で、フッ酸耐性と低いリーク電流値(高い絶縁性)を有するSiNCH膜を製造する手法として、有機シラザン化合物を用いるプラズマCVD法が開示されている。しかしながら、フッ酸耐性及び絶縁性の定量的な数値は示されていない。また、酸化バリア膜やパッシベーション膜に求められる耐湿性について議論されていない。
さらに、特許文献3には、パッシベーション膜に有効なシリコン窒化膜を、200℃以下で製造するプラズマCVD法について開示されている。しかしながら、議論されている膜特性はガス透過性のみであり、デバイス構造を製造する上で必要不可欠なフッ酸耐性については議論されていない。
ところで、半導体装置を構成する薄膜としてシリコン窒化膜を利用するためには、基板の変形や膜剥離を予防する目的で、内部応力が小さいシリコン窒化膜の製造も必要である。特許文献4は、シリコン窒化膜の製造方法に関する出願であり、実施例の中で、25〜250℃の範囲で製造したシリコン窒化膜の内部応力が−200MPa〜200MPaの範囲にあったことが記載されている。しかしながら、内部応力以外の膜特性については一切記載がない。
また、特許文献5には、シランまたはジシランを用いるプラズマCVD法において、水素ガス流量及びマイクロ波出力を制御することで、100℃以下の基板上に成膜するシリコン窒化膜の膜応力を−400〜+100MPaの範囲で制御できる技術が開示されているが、耐湿性や絶縁性への影響については一切記載がない。
特許第5269093号公報 特許第4048112号公報 特開2011−89186号公報 特開平9−186153号公報 特開2012−188735号公報
ところで、プラズマCVD法によるシリコン窒化膜の製造に対する近年の要望は、従来の基板温度350℃以上で製造されるシリコン窒化膜よりもウエットエッチレートが低く、かつ、耐湿性が同等以上である膜を、250℃以下の低い温度に制御された基板上に製造することであり、同時に膜中内部応力を任意に制御できることである。
しかしながら、基板温度を下げることは、半導体装置等を構成する薄膜として求められる、高いフッ酸耐性、高いバリア性、適切な内部応力への調整、高い絶縁性等の種々の特性を低下させることにつながるという課題があった。
また、上述のように、成膜条件を調整することで膜特性の改善が試みられてきたが、各膜特性が受ける影響が条件因子毎に異なるため、低温度環境下で複数の膜特性を同時に満たすシリコン窒化膜の製造方法は、確立されていないのが現状である。
そこで、本発明は上記事情を鑑みてなされたものであって、高いフッ酸耐性、高い耐湿性及びデバイス側の要望に応じた適切な内部応力を有するシリコン窒化膜を、250℃以下の成膜温度で製造することが可能なシリコン窒化膜の製造方法及びシリコン窒化膜を提供することを課題とする。
一般に、シリコン窒化膜中に水素原子が多く存在すると、すなわちSi−H結合やN−H結合が多く存在すると、例えば、フッ酸耐性及び耐湿性が悪化することが知られている。特に、プラズマCVD法の場合、原料ガス中の原子間結合の解離に伴って多量の水素原子が遊離し、膜に取り込まれるため、高品質膜を製造することが困難である。その対策として、炭素を含有する原料ガスを採用し、シリコン窒化膜中に炭素原子を添加することで、フッ酸耐性を改善できることが知られている。一方で、上述の対策によって絶縁性が劣化することも知られている。
本願発明者らは、これらの相反する課題を解決するために鋭意検討し、本願発明に至った。すなわち、シリコン窒化膜に添加する炭素量を抑制しながら、フッ酸耐性と耐湿性の改善効果を同時に高める方法を発明した。具体的には、プラズマ空間中の過剰な炭素原子及びは水素原子のどちらか又は両方を、そのまま排気する技術と、適度な量の炭素原子を、導電性の低い結合状態で膜に取り込む技術を、複数のシリコン窒化膜製造条件因子を適切に調節することで両立させる手段である。
すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
請求項1に記載の発明によれば、有機シランガスを原料ガスとして、温度250℃以下の基板上に下記(1)〜(3)に示す膜特性を有するシリコン窒化膜を、プラズマ化学気相成長法によって製造する方法であって、1体積流量の前記有機シランガスに対して、200〜2000体積流量の水素還元ガスを添加した処理ガスを用い、前記基板を収容したプロセスチャンバー内の圧力を、35〜400Paの範囲内に調整し、前記プロセスチャンバー内に設置された電極に印加する高周波の電力密度を、0.4〜3.0W/cmの範囲内に調整することを特徴とするシリコン窒化膜の製造方法を提供する。
(1)フッ酸溶液による被エッチングレートが10nm/min以
ここで、前記被エッチングレート(R)は、常温の16BHF(20.8%NH HF 含有水溶液)にシリコン窒化膜を所定時間(t)浸漬処理し、下記式を用いて算出したものである。なお、下記式中、d は浸漬処理前のシリコン窒化膜の膜厚であり、d は浸漬処理後のシリコン窒化膜の膜厚である。
R=(d −d )÷t
(2)203kPa、120℃の飽和水蒸気雰囲気に晒されている間に生じるシリコン酸化物の生成速度がシリコン酸化膜換算で2nm/hr以下
(3)膜中の内部応力が、−1000〜1000MPaの範囲内
また、請求項2に係る発明によれば、前記有機シランガスは、式(RN)SiH4−n(式中、R及びRはそれぞれ独立した炭化水素基であり、nは2、3、4のいずれかの数である。)で表される有機シランガスであることを特徴とする、請求項1に記載のシリコン窒化膜の製造方法が提供される。
また、請求項3に係る発明によれば、前記炭化水素基は、メチル基又はエチル基であることを特徴とする、請求項2に記載のシリコン窒化膜の製造方法が提供される。
また、請求項4に係る発明によれば、前記有機シランガスは、テトラキスジメチルアミノシラン、トリスジメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシラン、テトラキスジエチルアミノシラン、トリスジエチルアミノシラン、ビスジエチルアミノシラン、テトラキスエチルメチルアミノシラン、トリスエチルメチルアミノシラン、ビスエチルメチルアミノシランのいずれか1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシリコン窒化膜の製造方法が提供される。
また、請求項5に係る発明によれば、前記水素還元ガスは、水素原子を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシリコン窒化膜の製造方法が提供される。
また、請求項6に係る発明によれば、前記水素還元ガスは、アンモニア、アミン、炭化水素のいずれか1つ以上を含むことを特徴とする、請求項5に記載のシリコン窒化膜の製造方法が提供される。
また、請求項7に係る発明によれば、下記(1)〜(3)に示す膜特性を有するシリコン窒化膜であって、プラズマ化学気相成長法において、有機シランガスを原料ガスとし、成膜温度を250℃以下とするとともに、1体積流量の前記有機シランガスに対して、200〜2000体積流量の水素還元ガスを添加した処理ガスを用い、プロセスチャンバー内の圧力を、35〜400Paの範囲内に調整し、前記プロセスチャンバー内に設置された電極に印加する高周波の電力密度を、0.4〜3.0W/cmの範囲内に調整して成膜したことを特徴とするシリコン窒化膜が提供される。
(1)フッ酸溶液による被エッチングレートが10nm/min以
ここで、前記被エッチングレート(R)は、常温の16BHF(20.8%NH HF 含有水溶液)にシリコン窒化膜を所定時間(t)浸漬処理し、下記式を用いて算出したものである。なお、下記式中、d は浸漬処理前のシリコン窒化膜の膜厚であり、d は浸漬処理後のシリコン窒化膜の膜厚である。
R=(d −d )÷t
(2)20kPa、12℃の飽和水蒸気雰囲気に晒されている間に生じるシリコン酸化物の生成速度がシリコン酸化膜換算で2nm/hr以下
(3)膜中の内部応力が、−1000〜1000MPaの範囲内
本発明のシリコン窒化膜の製造方法は、有機シランガスを原料ガスとして、成膜温度250℃以下でプラズマ化学気相成長法によってシリコン窒化膜を製造する際に、1体積流量の有機シランガスに対して、200〜2000体積流量の水素還元ガスを添加した処理ガスを用い、基板を収容したプロセスチャンバー内の圧力を、35〜400Paの範囲内に調整し、プロセスチャンバー内に導入する処理ガスの線速度を、0.3〜5.0cm/秒の範囲に調整し、プロセスチャンバー内に設置された電極に印加する高周波の電力密度を、0.4〜3.0W/cmの範囲内に調整する構成となっている。これにより、高いフッ酸耐性、高い耐湿性及びデバイス側の要望に応じた適切な内部応力を有するシリコン窒化膜を製造することができる。
次に、本発明のシリコン窒化膜は、プラズマ化学気相成長法において、有機シランガスを原料ガスとし、成膜温度を250℃以下とするとともに、1体積流量の有機シランガスに対して、200〜2000体積流量の水素還元ガスを添加した処理ガスを用い、プロセスチャンバー内の圧力を、35〜400Paの範囲内に調整し、プロセスチャンバー内に導入する処理ガスの線速度を、0.3〜5.0cm/秒の範囲に調整し、プロセスチャンバー内に設置された電極に印加する高周波の電力密度を、0.4〜3.0W/cmの範囲内に調整して成膜したものであるため、高いフッ酸耐性、高い耐湿性及びデバイス側の要望に応じた適切な内部応力を有するシリコン窒化膜を提供することができる。
本発明を適用した一実施形態であるシリコン窒化膜の製造方法に用いるプラズマCVD装置の構成の一例を示す図である。 ガス比率とBHFエッチングレートとの関係を示すグラフである。 ガス比率と酸化膜生成速度との関係を示すグラフである。 ガス比率と成膜速度との関係を示すグラフである。 圧力とBHFエッチングレートとの関係を示すグラフである。 圧力と酸化膜生成速度との関係を示すグラフである。 線速度とBHFエッチングレートとの関係を示すグラフである。 線速度と酸化膜生成速度との関係を示すグラフである。 高周波電力密度とBHFエッチングレートとの関係を示すグラフである。 高周波電力密度と酸化膜生成速度との関係を示すグラフである。
以下、本発明を適用した一実施形態であるシリコン窒化膜の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
<シリコン窒化膜の製造装置>
先ず、本発明を適用した一実施形態であるシリコン窒化膜の製造方法に用いることが可能な、シリコン窒化膜の製造装置の構成について説明する。すなわち、本実施形態のシリコン窒化膜の製造方法に用いる、プラズマ化学気相成長装置(プラズマCVD)の構成の一例について説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態であるシリコン窒化膜の製造方法に用いるプラズマCVD装置の構成の一例を示す図である。図1に示すように、プラズマCVD装置100は、基板20と、プロセスチャンバー40と、ステージ41と、ヒーター44a、44bと、シャワーヘッドガス導入部45と、電源46a、46bと、真空ポンプ47と、排気流量調整器48と、制御部49と、有機シランガス供給源50と、第1水素還元ガス供給源52と、第2水素還元ガス供給源54と、ガス流量調整器51、53、55と、コンピュータ60と絶縁部Sとを備えて概略構成されている。
基板20は、ステージ41上に設けられており、基板20上でシリコン窒化膜30を製造する。基板の材質としては、成膜温度250℃における耐熱性を有していれば、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、石英等を用いることができる。
プロセスチャンバー40は、基板20と、ステージ41と、ヒーター44a、44bと、シャワーヘッドガス導入部45とを有している。有機シランガス供給源50から有機シランガスを、第1水素還元ガス供給源52及び第2水素還元ガス供給源54から水素還元ガスを、それぞれプロセスチャンバー40内に供給して、シリコン窒化膜30を製造する。
ステージ41は、プロセスチャンバー40の中央付近に設けられている。
ヒーター44aはシャワーヘッドガス導入部45の上部とプロセスチャンバー40の側面とに、ヒーター44bはステージ41の下部に設けられており、プロセスチャンバー40内及び基板20の温度を調整することができる。基板温度の上限は特に限定しないが、低温成膜への要望の背景から、250℃以下に設定されることが好ましい。
シャワーヘッドガス導入部45は、プロセスチャンバー40の上部に設けられており、シャワーヘッドガス導入部45を介して、有機シランガスと、水素還元ガスとをプロセスチャンバー40内に導入する。
電源46aは、電源配線P1を介して、シャワーヘッドガス導入部45と接続されている。一方、電源46bは、電源配線P2を介して、ステージ41と接続されている。電源46aは、シャワーヘッドガス導入部45に所定の周波数の電力を印加することにより、シャワーヘッドガス導入部45から吐出した、有機シランガスと水素還元ガスが混合したガスをプラズマ化することができる。ステージ41は必要に応じて電源46bにより所定の周波数の電力が印加されており、生成したプラズマをステージ41上の基板20に供給する。このプラズマに曝露された基板20上に、シリコン窒化膜30が製造される。電源46a、46bとしては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、高周波電源等を用いることができる。また、複数の電源を同時に用いることも可能である。
真空ポンプ47は、排気ラインL4を介して、プロセスチャンバー40と接続されている。真空ポンプ47により、プロセスチャンバー40内の減圧と、シリコン窒化膜30の製造後に生成するガスの排気とをすることができる。
排気流量調整器48は、排気ラインL4に設けられており、真空ポンプ47により排気されるガスの排気流量を調整することができる。排気流量調整器48としては、特に限定されるものではないが、手動で制御するものであってもよいし、外部の制御装置により自動で制御するものであってもよい。
制御部49は、ヒーター44aと信号線C1を介して、ヒーター44bと信号線C2を介して、電源46aと信号線C3を介して、電源46bと信号線C4を介して、ガス流量調整器51と信号線C5を介して、ガス流量調整器53と信号線C6を介して、ガス流量調整器55と信号線C7を介して、排気流量調整器48と信号線C8を介して接続されている。制御部49により、ヒーター44a、44bと、電源46a、46bと、ガス流量調整器51、53、55と、排気流量調整器48とを制御することができる。制御部49はコンピュータ60と接続されている。
有機シランガス供給源50は、ガス供給ラインL1を介して、プロセスチャンバー40に設けられたシャワーヘッドガス導入部45と接続されており、プロセスチャンバー40内に有機シランガスを供給することができる。有機シランガス供給源50としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、有機シランガスが充填されたボンベ等を用いることができる。
また、有機シランガスとしては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、テトラキスジメチルアミノシラン、トリスジメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシラン、テトラキスジエチルアミノシラン、トリスジエチルアミノシラン、ビスジエチルアミノシラン、テトラキスエチルメチルアミノシラン、トリスエチルメチルアミノシラン、ビスエチルメチルアミノシラン等を用いることができる。
第1水素還元ガス供給源52は、第1水素還元ガス供給ラインL2と、ガス供給ラインL1とを介して、プロセスチャンバー40に設けられたシャワーヘッドガス導入部45と接続されており、プロセスチャンバー40内に水素還元ガスを供給することができる。第1水素還元ガス供給源52としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、水素還元ガス供給源が充填されたボンベ等を用いることができる。
また、水素還元ガスとしては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、水素ガス(H)、アンモニアガス(NH)、アミン類、炭化水素類等を用いることができる。
第2水素還元ガス供給源54は、第2水素還元ガス供給ラインL3と、ガス供給ラインL1とを介して、プロセスチャンバー40に設けられたシャワーヘッドガス導入部45と接続されており、プロセスチャンバー40内に水素還元ガスを供給することができる。また、第1水素還元ガス供給源52の他に、第2水素還元ガス供給源54を用いることで、2種類の水素還元ガスを混合したものを用いることができる。第2水素還元ガス供給源54としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、水素還元ガス供給源が充填されたボンベ等を用いることができる。
ガス流量調整器51は、ガス供給ラインL1であって第1水素還元ガス供給ラインL2との接合部の一次側に設けられており、有機シランガス供給源50から供給される有機シランガスの流量を調整することができる。また、ガス流量調整器53は、第1水素還元ガス供給ラインL2に設けられており、第1水素還元ガス供給源52から供給される水素還元ガスの流量を調整することができる。さらに、ガス流量調整器55は、第2水素還元ガス供給ラインL3に設けられており、第2水素還元ガス供給源54から供給される水素還元ガスの流量を調整することができる。ガス流量調整器51、53、55としては、特に限定されるものではないが、手動で制御するものであってもよいし、外部の制御装置により自動で制御するものであってもよい。
絶縁部Sは、シャワーヘッドガス導入部45とプロセスチャンバー40の間に設けられており、シャワーヘッドガス導入部45とプロセスチャンバー40とを電気的に絶縁することができる。また、絶縁部Sは、ステージ41とプロセスチャンバー40の間に設けられており、ステージ41とプロセスチャンバー40とを電気的に絶縁することができる。
<シリコン窒化膜の製造方法>
次に、上述したプラズマCVD装置100を用いた、本実施形態のシリコン窒化膜の製造方法(以下、単に、「製造方法」という)を説明する。
本実施形態の製造方法は、処理ガスを所定のガス導入条件でプロセスチャンバー40内に導入する工程と、高周波電力を印加することで処理ガスをプラズマ励起する工程と、プラズマ活性種を用いて基板20上にシリコン窒化膜30を製造する工程とを含むプラズマ化学気相成長法(プラズマCVD法)によって、所要の膜特性を有するシリコン窒化膜を製造する方法である。より具体的には、上記プラズマCVD法において、有機シランガスを原料ガスとし、成膜温度を250℃以下とするとともに、1体積流量の有機シランガスに対して、200〜2000体積流量の水素還元ガスを添加した処理ガスを用い、プロセスチャンバー40内の圧力を、35〜400Paの範囲内に調整し、プロセスチャンバー40内に導入する処理ガスの線速度を、0.3〜5.0cm/秒の範囲に調整し、プロセスチャンバー40内に設置されたシャワーヘッドガス導入部45に印加する高周波の電力密度を、0.4〜3.0W/cmの範囲内に調整することを特徴とする。
以下、本実施形態の製造方法について、詳細に説明する。
先ず始めに、基板20をステージ41に設置し、基板20が所定の温度に達するまで、ヒーター44bで加熱する。基板温度の上限は特に限定しないが、低温成膜への要望の背景から、250℃以下に設定することが好ましい。
次に、有機シランガス供給源50から供給した有機シランガスを、第1水素還元ガス供給源52及び第2水素還元ガス供給源54から供給した多量の水素還元ガスで希釈した後、ガス供給ラインL1を介して、プロセスチャンバー40内に供給する。なお、上述の希釈操作を行うことにより、炭素原子及び水素原子の膜への取り込み量を削減する効果に加え、結合エネルギーの低いC=C結合を膜中に形成しない効果が得られる。
ここで、1体積流量の有機シランガスに対する水素還元ガスのガス比率と膜特性との関係について、本願発明者らが検討した結果を、図2〜図4にそれぞれ示す。
図2は、ガス比率とBHFエッチングレートとの関係を示すグラフである。図2中、横軸は1体積流量の有機シランガスに対する水素還元ガスのガス比率を示している。一方、縦軸はBHFエッチングレートを示しており、値が小さいほどフッ酸耐性が高いことを示す。なお、本願発明のシリコン窒化膜においては、酸化膜の生成はシリコン窒化膜の表面側から進行するものであり、生成した酸化膜の膜厚以上に深いところへ水分が透過しないことが、別途実験によって確認されている。図2より、本実施形態の製造方法において、上記ガス比率を増加させると、フッ酸耐性が向上する傾向があることがわかる。一方、上記ガス比率を減少させると、フッ酸耐性が低下する傾向があることがわかる。
図3は、ガス比率と酸化膜生成速度との関係を示すグラフである。図3中、横軸は1体積流量の有機シランガスに対する水素還元ガスのガス比率を示している。一方、縦軸は酸化膜生成速度を示しており、値が小さいほど耐湿性が高いことを示す。なお、本願発明のシリコン窒化膜においては、酸化膜の生成はシリコン窒化膜の表面側から進行するものであり、生成した酸化膜の膜厚以上に深いところへ水分が透過しないことが、別途実験によって確認されている。図3より、本実施形態の製造方法において、上記ガス比率を増加させると、耐湿性が向上する傾向があることがわかる。一方、上記ガス比率を減少させると、耐湿性が低下する傾向があることがわかる。
図4は、ガス比率と成膜速度との関係を示すグラフである。図4中、横軸は1体積流量の有機シランガスに対する水素還元ガスのガス比率を示している。一方、縦軸は成膜速度を示しており、値が大きいほど成膜速度が速いことを示す。図4より、本実施形態の製造方法において、ガス比率を増加させると、成膜速度が低下する傾向があることがわかる。一方、ガス比率を減少させると、成膜速度が増加する傾向があることがわかる。
上記検討から、1体積流量の有機シランガスに対する水素還元ガスのガス比率を高くするほど、フッ酸耐性及び耐湿性が向上するが、その一方で成膜速度が低下し、生産性が低下することがわかる。そのため、本実施形態の製造方法では、1体積流量の有機シランガスに対して、200〜2000体積流量の水素還元ガスを添加した処理ガスを用いるのが好ましい。
なお、上記ガス比率の調整は、各ガスの流量を調整することにより行う。具体的には、有機シランガスの流量をガス流量調整器51で調整し、第1水素還元ガス供給源52から供給する水素還元ガスの流量をガス流量調整器53で調整し、第2水素還元ガス供給源54から供給する水素還元ガスの流量をガス流量調整器55で調整することにより行う。
一方、上記処理ガスが供給されるプロセスチャンバー40では、内部の圧力を、真空ポンプ47により制御する。プロセスチャンバー40内の圧力は、原料ガスがプラズマ中で分解してから基板20上で反応するまでのプロセスチャンバー40内での滞在時間、プラズマ放電状態、及び衝突頻度に影響を与えるものであり、その結果、製造されるシリコン窒化膜の膜特性にも影響を与える。具体的には、圧力を低くしていくと衝突頻度が下がって解離不十分になり、更に低くするとプラズマ状態を不安定が不十分になる。一方、高くしていくと平均自由行程が短くなって十分な加速エネルギーが得られなくなり、更に高くするとプラズマ状態の維持が困難になる。
ここで、プロセスチャンバー40内の圧力と膜特性との関係について、本願発明者らが検討した結果を、図5、6にそれぞれ示す。
図5は、圧力とBHFエッチングレートとの関係を示すグラフである。図5中、横軸はプロセスチャンバー40内の圧力を示している。一方、縦軸はBHFエッチングレートを示しており、値が小さいほどフッ酸耐性が高いことを示す。図5より、本実施形態の製造方法において、プロセスチャンバー40内の圧力を増加させると、フッ酸耐性が低下する傾向があることがわかる。一方、プロセスチャンバー40内の圧力を減少させると、フッ酸耐性が向上する傾向があることがわかる。
図6は、圧力と酸化膜生成速度との関係を示すグラフである。図6中、横軸はプロセスチャンバー40内の圧力を示している。一方、縦軸は酸化膜生成速度を示しており、値が小さいほど耐湿性が高いことを示す。図6より、本実施形態の製造方法において、プロセスチャンバー40内の圧力を増加させると、耐湿性が向上する傾向があることがわかる。一方、プロセスチャンバー40内の圧力を減少させると、耐湿性が低下する傾向があることがわかる。
上記検討から、プロセスチャンバー40内の圧力を高くするほど、耐湿性が向上するが、その一方でフッ酸耐性が低下することがわかる。そのため、本実施形態の製造方法では、プロセスチャンバー40内の圧力を35〜400Paの範囲で調整することが好ましい。
また、プロセスチャンバー40内に供給される処理ガスの線速度を、ガス流量調整器51、53、55及び圧力により制御する。プロセスチャンバー40内の圧力と同様に、処理ガスの線速度も、原料ガスがプラズマ中で分解して基板上で反応するまでのチャンバー内での滞在時間、プラズマ放電状態及び衝突頻度に影響を与えるものである。
ここで、処理ガスの線速度と膜特性との関係について、本願発明者らが検討した結果を図7、8にそれぞれ示す。
図7は、線速度とBHFエッチングレートとの関係を示すグラフである。図7中、横軸は処理ガスの線速度を示している。一方、縦軸はBHFエッチングレートを示しており、値が小さいほどフッ酸耐性が高いことを示す。図7より、本実施形態の製造方法において、線速度が1.0cm/秒付近でBHFエッチングレートが極小値をとり、フッ酸耐性が最も良くなることが分かる。
図8は、線速度と酸化膜生成速度との関係を示すグラフである。図8中、横軸は処理ガスの線速度を示している。一方、縦軸は酸化膜生成速度を示しており、値が小さいほど耐湿性が高いことを示す。図8より、本実施形態の製造方法において、線速度が3.0cm/秒付近で耐湿性指標が極小値をとり、耐湿性が最も良くなることが分かる。
上記検討から、線速度に関しては、速すぎても遅すぎても、適度な解離状態の活性種を生成する効率が下がり、良質な膜を得られなくなることがわかる。よって、本実施形態の製造方法では、処理ガスの線速度は0.3〜5.0cm/秒の範囲で調整することが好ましい。
次に、シャワーヘッドガス導入部45に、電源46aにより所定の周波数の電力を印加し、ガス供給ラインL1から供給した、有機シランガスと水素還元ガスとからなる処理ガスを励起して、プラズマを形成する。
なお、本実施形態の製造方法において、印加電力の周波数は、特に限定されないが、60MHz以下の周波数から適宜選定することができる。一例として、380kHzと13.56MHzのいずれか一方、または両方を同時に、かつ、連続的もしくは間欠的に使用することで、本実施形態の少なくとも一部の効果が奏され得る。印加する電力は、有機シランガス及び水素還元ガスの解離状態に影響する。
ここで、高周波電力密度と膜特性との関係について、本願発明者らが検討した結果を、図9、10にそれぞれ示す。
図9は、高周波電力密度とBHFエッチングレートとの関係を示すグラフである。図9中、横軸は高周波電力密度を示している。一方、縦軸はBHFエッチングレートを示しており、値が小さいほどフッ酸耐性が高いことを示す。図9より、本実施形態の製造方法において、高周波電力密度を増加させると、フッ酸耐性が向上する傾向があることがわかる。一方、高周波電力密度を減少させると、フッ酸耐性が低下する傾向があることがわかる。
図10は、高周波電力密度と耐湿性指標との関係を示すグラフである。図10中、横軸は電力密度を示している。一方、縦軸は酸化膜生成速度を示しており、値が小さいほど耐湿性が高いことを示す。図10より、本実施形態の製造方法において、高周波電力密度を増加させると、耐湿性が向上する傾向があることがわかる。一方、高周波電力密度を減少させると、耐湿性が低下する傾向があることがわかる。
上記検討から、高周波電力密度が増加するほど、フッ酸耐性及び耐湿性が向上することがわかる。しかしながら、一方で、高周波電源初期投資、消費電力コストおよびプラズマ発生装置部材の耐久性などの不具合を回避するためには、高周波電力密度が3.0W/cm以下が好ましい。よって、本実施形態の製造方法では、高周波電力密度は0.4〜3.0W/cmの範囲で調整することが好ましい。
最後に、形成したプラズマを、基板20に供給することにより、基板20上にシリコン窒化膜30を製造する。なお、シリコン窒化膜30の製造後にガスが発生するが、真空ポンプ47により、排気ラインL4を介して、発生したガスをプロセスチャンバー40の外部へ排気する。このようにして、以下に示す膜特性を有する、シリコン窒化膜を製造することができる。
<シリコン窒化膜>
上述した本実施形態の製造方法によって得られたシリコン窒化膜、すなわち、プラズマCVD装置100を用い、有機シランガスを原料ガスとし、成膜温度を250℃以下とするとともに、1体積流量の有機シランガスに対して、200〜2000体積流量の水素還元ガスを添加した処理ガスを用い、プロセスチャンバー40内の圧力を、35〜400Paの範囲内に調整し、プロセスチャンバー40内に導入する処理ガスの線速度を、0.3〜5.0cm/秒の範囲に調整し、プロセスチャンバー40内に設置された電極に印加する高周波の電力密度を、0.4〜3.0W/cmの範囲内に調整して成膜したシリコン窒化膜は、下記(1)〜(3)に示す膜特性を有する。
(1)フッ酸溶液による被エッチングレートが10nm/min以下
(2)203kPa、120℃の飽和水蒸気雰囲気に晒されている間に生じるシリコン酸化物の生成速度がシリコン酸化膜換算で2nm/hr以下
(3)膜中の内部応力が、−1000〜1000MPaの範囲内
以上説明したように、本実施形態の製造方法によれば、有機シランガスを原料ガスとして、成膜温度250℃以下で、プラズマ化学気相成長法によってシリコン窒化膜を製造する際に、1体積流量の有機シランガスに対して、200〜2000体積流量の水素還元ガスを添加した処理ガスを用い、基板を収容したプロセスチャンバー40内の圧力を、35〜400Paの範囲内に調整し、プロセスチャンバー40内に導入する処理ガスの線速度を、0.3〜5.0cm/秒の範囲に調整し、プロセスチャンバー40内に設置された電極に印加する高周波の電力密度を、0.4〜3.0W/cmの範囲内に調整する構成となっている。これにより、高いフッ酸耐性、高い耐湿性及びデバイス側の要望に応じた適切な内部応力(すなわち、上記(1)〜(3)の膜特性)を有するシリコン窒化膜を製造することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述した実施形態の製造方法では、第1水素還元ガス供給源52と第2水素還元ガス供給源54とを用いることにより、2種類の水素還元ガスを用いた例を説明しているが、水素還元ガス供給源が一つであってもよい。
<シリコン窒化膜の製造>
実施例1〜8として、本発明のシリコン窒化膜の製造方法に基づいて、250℃以下に制御されたシリコン基板上にシリコン窒化膜を製造した。
有機シランガスとしてはトリスジメチルアミノシラン(3DMAS)又はテトラキスジメチルアミノシラン(4DMAS)を用い、水素還元ガスとしては水素ガス(H)を用いた。
印加する電力の周波数は、380kHzまたは13.56MHzとした。
下記の表1に、各実施例における、有機シランガスの流量に対する水素還元ガスの流量の比率、線速度、プロセスチャンバー内の圧力、パワー密度等の製造条件を示す。
比較例1、2として、シランガスを用いて、200℃又は250℃に制御したシリコン基板上に、膜特性の観点から最適な条件により、シリコン窒化膜を製造した。
下記の表1に、比較例1,2の製造条件を示す。
比較例3として、シランガスを用いて、350℃に制御したシリコン基板上にシリコン窒化膜を製造した。
下記の表1に、比較例3の製造条件を示す。
Figure 0006236709
<膜特性評価方法>
上述の条件により製造したシリコン窒化膜に対して、膜特性評価を行った。以下に各評価方法について説明する。
(膜組成)
シリコン窒化膜の原子間結合状態は、FTIR(フーリエ変換型赤外吸収分光光度計、Perkinelmer製spectrum400)を用いて赤外吸収スペクトルを測定することで、評価した。具体的には、Si−N結合、Si−H結合、N−H結合、C=N結合、C=C結合、及びSi−O結合等の情報を収集し、解析した。
(耐湿性)
シリコン窒化膜の耐湿性については、プレッシャークッカーテスト(PCT)の前後の膜中Si−O結合の情報をFT−IRで収集することで評価した。ここで得られる直接的な結果は、膜の吸湿量である。ここで、吸湿量がSiO膜厚1nmに相当する場合、SiO膜換算1nmの膜厚を有するシリコン窒化膜によって、水分透過を防止できることは別途評価済みであることから、吸湿量が少ない膜ほど水分バリア性が高いことを意味する。
なお、PCTの条件は2kPa、121℃とした。これは常温常圧雰囲気の10,000倍の加速試験に相当する。
(フッ酸耐性)
シリコン窒化膜のフッ酸耐性については、BHF(バッファードフッ酸)溶液を使用して評価した。具体的には、16BHF(20.8%NHHF含有水溶液、森田化学工業製)にシリコン窒化膜を浸漬し、所定時間経過した後、速やかに純水で十分に洗浄し、窒素ガス等を吹きかけ乾燥させ、下記式(1)を用いてBHFエッチングレートRを評価した。なお、下記式(1)中の、dは浸漬処理前の膜厚、dは浸漬処理後の膜厚、tは浸漬時間を表し、膜厚は後述する分光エリプソメトリーで計測した。
R=(d−d)÷t …(1)
(膜の内部応力)
シリコン窒化膜の内部応力は、基板の反りの変化量に基づいて導出することを測定原理とする薄膜応力測定装置(東朋テクノロジー製FLX−2320−R)で測定した。
(絶縁性)
シリコン窒化膜の絶縁性は、水銀プローブ式のIV測定装置(Solid StateMeasurement製FLX−2320−R)を行うことで評価した。具体的には、電界強度が1MV/cmの時のリーク電流値で評価した。
(屈折率及び膜厚)
シリコン窒化膜の屈折率及び膜厚は、分光エリプソメトリー(SOPRA製GES5E)を用いて測定した。
<膜特性評価結果>
下記の表2に、実施例1〜8及び比較例1〜3の膜特性の評価結果を示す。
実施例1〜8のいずれも、フッ酸溶液によるエッチングレートが10nm/min以下であり、比較例3よりも高いフッ酸耐性を有することがわかった。また、比較例1、2に示す通り、シランガスでは十分なフッ酸耐性を得られないことがわかった。
同様に、203kPa、120℃の飽和水蒸気雰囲気にさらしている間に生じるシリコン酸化物の生成速度が、シリコン酸化膜換算で2nm/hrであり、実施例1〜8が、比較例1〜3と同等以上に高い耐湿性、水分バリア性を有することがわかった。
加えて、実施例1及び4に示す通り、内部応力が非常に小さい特性を併せ持つシリコン窒化膜を製造できることもわかった。また、実施例1〜8の内部応力がそれぞれマイナス562MPaからプラス728MPaの範囲の大きく異なる値を示しており、高いフッ酸耐性と高い耐湿性を有するシリコン窒化膜を、所定の内部応力に調整して製造できることがわかった。
さらに、実施例7を除いては、1MV/cmの電解を印加した時のリーク電流値が1.0×10−6A/cm以下であり、高い絶縁性も併せ持っていることがわかった。特に、実施例1については、シランガスを原料ガスとする比較例には及ばないものの、7×10−8A/cm以下という優れた絶縁性を有することがわかった。
Figure 0006236709
本発明のシリコン窒化膜の製造方法及びシリコン窒化膜は、電子デバイスや光デバイス等の半導体装置の製造工程におけるマスク材料、半導体装置を構成するメタル拡散防止膜、酸化バリア膜、パッシベーション膜、絶縁膜等、及びその製造方法への利用可能性がある。
20 基板
30 シリコン窒化膜
40 プロセスチャンバー
41 ステージ
44a、44b ヒーター
45 シャワーヘッドガス導入部
46a、46b 電源
47 真空ポンプ
48 排気流量調整器
49 制御部
50 有機シランガス供給源
51 ガス流量調整器
52 第1水素還元ガス供給源
53 ガス流量調整器
54 第2水素還元ガス供給源
55 ガス流量調整器
60 コンピュータ
100 プラズマCVD装置
S 絶縁部
L1 ガス供給ライン
L2 第1水素還元ガス供給ライン
L3 第2水素還元ガス供給ライン
L4 排気ライン
C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8 信号線
P1、P2 電源配線

Claims (7)

  1. 有機シランガスを原料ガスとして、温度250℃以下の基板上に下記(1)〜(3)に示す膜特性を有するシリコン窒化膜を、プラズマ化学気相成長法によって製造する方法であって、
    1体積流量の前記有機シランガスに対して、200〜2000体積流量の水素還元ガスを添加した処理ガスを用い、
    前記基板を収容したプロセスチャンバー内の圧力を、35〜400Paの範囲内に調整し、
    前記プロセスチャンバー内に設置された電極に印加する高周波の電力密度を、0.4〜3.0W/cmの範囲内に調整することを特徴とするシリコン窒化膜の製造方法。
    (1)フッ酸溶液による被エッチングレートが10nm/min以
    ここで、前記被エッチングレート(R)は、常温の16BHF(20.8%NH HF 含有水溶液)にシリコン窒化膜を所定時間(t)浸漬処理し、下記式を用いて算出したものである。なお、下記式中、d は浸漬処理前のシリコン窒化膜の膜厚であり、d は浸漬処理後のシリコン窒化膜の膜厚である。
    R=(d −d )÷t
    (2)203kPa、120℃の飽和水蒸気雰囲気に晒されている間に生じるシリコン酸化物の生成速度がシリコン酸化膜換算で2nm/hr以下
    (3)膜中の内部応力が、−1000〜1000MPaの範囲内
  2. 前記有機シランガスは、式(RN)SiH4−n
    (式中、R及びRはそれぞれ独立した炭化水素基であり、nは2、3、4のいずれかの数である。)
    で表される有機シランガスであることを特徴とする、請求項1に記載のシリコン窒化膜の製造方法。
  3. 前記炭化水素基は、メチル基又はエチル基であることを特徴とする、請求項2に記載のシリコン窒化膜の製造方法。
  4. 前記有機シランガスは、テテトラキスジメチルアミノシラン、トリスジメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシラン、テトラキスジエチルアミノシラン、トリスジエチルアミノシラン、ビスジエチルアミノシラン、テトラキスエチルメチルアミノシラン、トリスエチルメチルアミノシラン、ビスエチルメチルアミノシランのいずれか1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシリコン窒化膜の製造方法。
  5. 前記水素還元ガスは、水素原子を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシリコン窒化膜の製造方法。
  6. 前記水素還元ガスは、アンモニア、アミン、炭化水素のいずれか1つ以上を含むことを特徴とする、請求項5に記載のシリコン窒化膜の製造方法。
  7. 下記(1)〜(3)に示す膜特性を有するシリコン窒化膜であって、
    プラズマ化学気相成長法において、有機シランガスを原料ガスとし、成膜温度を250℃以下とするとともに、
    1体積流量の前記有機シランガスに対して、200〜2000体積流量の水素還元ガスを添加した処理ガスを用い、
    プロセスチャンバー内の圧力を、35〜400Paの範囲内に調整し、
    前記プロセスチャンバー内に設置された電極に印加する高周波の電力密度を、0.4〜3.0W/cmの範囲内に調整して成膜したことを特徴とするシリコン窒化膜。
    (1)フッ酸溶液による被エッチングレートが10nm/min以
    ここで、前記被エッチングレート(R)は、常温の16BHF(20.8%NH HF 含有水溶液)にシリコン窒化膜を所定時間(t)浸漬処理し、下記式を用いて算出したものである。なお、下記式中、d は浸漬処理前のシリコン窒化膜の膜厚であり、d は浸漬処理後のシリコン窒化膜の膜厚である。
    R=(d −d )÷t
    (2)203kPa、120℃の飽和水蒸気雰囲気に晒されている間に生じるシリコン酸化物の生成速度がシリコン酸化膜換算で2nm/hr以下
    (3)膜中の内部応力が、−1000〜1000MPaの範囲内
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