JP2019138868A - 太陽光発電設備用直流電流検知方法及びその直流電流検知装置並びに太陽光発電設備用直流遮断器 - Google Patents

太陽光発電設備用直流電流検知方法及びその直流電流検知装置並びに太陽光発電設備用直流遮断器 Download PDF

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健司 有松
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尊雄 今川
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孝芳 藤岡
中村 大輔
Daisuke Nakamura
大輔 中村
鈴木 健太
Kenta Suzuki
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Abstract

【課題】軟磁性体のリング状感知部を用いて太陽光発電設備用直流遮断器の直流電流を検知するものであても、太陽光発電設備用直流遮断器の体格を大きくすることなく、簡便な検知手法により直流電流を検知できること。【解決手段】本発明の太陽光発電設備用直流電流検知方法は、上記課題を解決するために、1次及び2次巻線を有した軟磁性体リング状感知部を用い、前記1次巻線により前記軟磁性体リング状感知部を飽和磁界の1/10以下の磁界で励磁して前記2次巻線出力の2次高調波成分の変化を検知し、該2次高調波成分の変化を検知することにより前記軟磁性体リング状感知部の中心に発生する直流電流を検知する直流電流検知方法であって、前記軟磁性体リング状感知部の平面に垂直に磁石又は巻線による直流磁界を印加し、前記軟磁性体リング状感知部の保磁力を低下させて動作点を外乱に対し安定化させた状態で直流電流を検知することを特徴とする。【選択図】図1(a)

Description

本発明は太陽光発電設備用直流電流検知方法及びその直流電流検知装置並びに太陽光発電設備用直流遮断器に係り、特に、1次及び2次巻線を有した軟磁性体リング状センサを感知部に用いて直流電流を検知するものに好適な太陽光発電設備用直流電流検知方法及びその直流電流検知装置並びに太陽光発電設備用直流遮断器に関する。
メガソーラなど太陽光発電設備の普及に伴い、定期点検等の保守性向上が求められている。太陽光発電設備では電力系統への給電責任があり、日中の太陽光発電設備の全停止は避ける必要がある。このため、太陽光パネル系統を独立させ、系統ごとに点検できることが必要である。
また、太陽光発電設備の長期的安定稼動の面において、配線の絶縁能力低下による火災等の設備破壊、感電事故等が懸念される。
既に安定稼動している商用交流配電系統においては、負荷設備ごとに遮断器が配置され、設備配線を独立できるようにして設備点検を可能とし、事故防止及び故障時の修理に対応できる実績がある。
一方、太陽光発電設備(太陽光パネル)は直流であり、また、軽地絡による漏電も10mA程度の直流となることから、誘導起電力を検知するセンサを用いた交流用遮断器は使用できない。そこで、太陽光発電設備用直流遮断器には、微弱な直流電流を高感度に検知するセンサ技術が必要である。
このような直流電流を検知するセンサ技術の先行技術文献としては、特許文献1或いは非特許文献1を挙げることができる。
この特許文献1或いは非特許文献1には、リング状磁性体センサを用い、センサ中央に直流配線を往復で通し、漏電の発生時には直流配線間の電流バランスの崩れをセンサに発生する磁界(漏電磁界とする)として検知する手法が記載されている。
この特許文献1或いは非特許文献1に記載されている手法は、以下のとおりである。即ち、リング状センサには巻き線を施し、常に磁性体飽和付近まで交流励磁して波形を監視しておく。ここで漏電が発生し、往復の直流電流値に差が生じた場合、特許文献1では漏洩磁界分センサの動作範囲が変わり、励磁波形の上下いずれかにクリッピングによる非対称が発生するので、この量を励磁波形の2次高調波成分変化により検知し、警報を出す。
また、非特許文献1では、常に磁性体を飽和させるよう励磁し、励磁波形に発生したクリッピング部分を磁性体センサの透磁率低下として捉え、透磁率低下タイミングでセンサ励磁電流を発散させるよう回路調整しておく。センサに漏電による磁界が重畳印加されると、波形上下の励磁電流発散タイミングが変化するのでこれを検知する。特許文献1或いは非特許文献1のいずれの方法も、センサを飽和まで励磁する必要がある。
特開2013−110925号公報
工藤他:日本磁気学会誌37p327−332(2013)
上述した特許文献1或いは非特許文献1で使用するセンサは、軟磁性体であるため、飽和までの励磁には電力が必要である。例えば、一般的なパーマロイ材では透磁率100,000で飽和磁束密度1Tとすると、一般的な外径30mm、内径20mm、厚さ5mmのセンサを飽和させるのに約1Wの電力が必要である。回路損失がないとしても、この分の容量を有する駆動回路が必要で、これを電力系統から取り込む必要がある。
また、非特許文献1でのセンサ駆動には、5kHz程度の高周波励磁回路を構成する必要があり、更に、駆動回路の容量が大きくなる。また、センサを飽和まで駆動した場合、センサの保磁力による磁気損失が熱に変わり、センサ温度を上昇させるため、遮断器投入時に1秒程度で定常動作に保持するのは困難となる。
このため、ヒートシンクを設置するなどの対策を要し、遮断器体格で通常の1.5倍、重量で2倍に増大する難点がある。また、センサを飽和まで励磁することにより、センサが振動し、特に、室内用遮断器の場合、定常ノイズを発生する不具合もある。
ここで、10mAの漏電電流がセンサに与える磁界値は、外径30mm、内径20mmのセンサ平均径25mm位置においては0.13A/mであり、非特許文献1での使用材料の飽和磁界は10〜20A/m或いはそれ以上であることから、検知には1%以下の精度で漏電を判定する必要がある。
また、センサの材質が同じでもセンサ製造方法などの要因により飽和磁界は大幅に変化する。更に、磁化飽和点では、磁界増加に伴い磁化曲線が徐々に傾くことから透磁率変化もゆるやかとなる。センサごとのばらつきもあることから、センサ選別による価格上昇は避けられない。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、軟磁性体のリング状感知部を用いて太陽光発電設備用直流遮断器の直流電流を検知するものであっても、太陽光発電設備用直流遮断器の体格を大きくすることなく、簡便な検知手法により直流電流を検知できる太陽光発電設備用直流電流検知方法及びその直流電流検知装置並びに太陽光発電設備用直流遮断器を提供することにある。
本発明の太陽光発電設備用直流電流検知方法は、上記目的を達成するために、1次及び2次巻線を有した軟磁性体リング状感知部を用い、前記1次巻線により前記軟磁性体リング状感知部を飽和磁界の1/10以下の磁界で励磁して前記2次巻線出力の2次高調波成分の変化を検知し、該2次高調波成分の変化を検知することにより前記軟磁性体リング状感知部の中心に発生する直流電流を検知する直流電流検知方法であって、前記軟磁性体リング状感知部の平面に垂直に磁石又は巻線による直流磁界を印加し、前記軟磁性体リング状感知部の保磁力を低下させて動作点を外乱に対し安定化させた状態で直流電流を検知することを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電設備用直流電流検知装置は、上記目的を達成するために、1次及び2次巻き線を有した軟磁性体リング状感知部と、該軟磁性体リング状感知部上に非磁性金属円盤スペーサを介して配置される円盤磁石と、これらを収納する磁性ケースとで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電設備用直流遮断器は、上記目的を達成するために、電力系統と太陽光発電設備の途中に設置された太陽光発電設備用直流遮断器であって、前記太陽光発電設備用直流遮断器は、上記構成の太陽光発電設備用直流電流検知装置を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、軟磁性体のリング状感知部を用いて太陽光発電設備用直流遮断器の直流電流を検知するものであっても、太陽光発電設備用直流遮断器の体格を大きくすることなく、簡便な検知手法により直流電流を検知できる。
本発明の太陽光発電設備用直流電流検知装置による検知方法の原理を示し、センサに巻線を施した図である。 図1(a)において、励磁入力信号X(t)に対し検知した信号y(t)を時間積分したBtを縦軸とし磁束密度を表し、励磁信号電流を横軸にとって磁界として表示した磁化曲線を示す図である。 図1(a)において、励磁入力信号X(t)に対しバイアス磁界を受けて検知した信号y(t)の変化を示す図である。 本発明の太陽光発電設備用直流電流検知装置(軟磁性体リング状センサ)の実施例1に用いた検知回路を示す図である。 本発明の太陽光発電設備用直流電流検知方法の実施例1において、励磁周波数100Hz、出力20mAのときの2次高調波成分を測定し、センサ中央に漏電相当の直流電流を10mA、5mA、3mA印加した時の波形の時間変化を示す図である。 図3(a)における印加漏電電流と2次高調波成分の関係を示す図である。 本発明の太陽光発電設備用直流電流検知方法の実施例2において、実施例1のセンサを印加電圧を同じとし、動作周波数1kHz、6mAで励磁し、50回平均して動作させたときの実験結果を示す図である。 図4(a)におけるベースラインの変化を示す磁化曲線の図である。 本発明の実施例3として太陽光発電設備用直流電流検知装置を示す平面図である。 図5(a)のA−A´線に沿った断面図である。 本発明の実施例3における太陽光発電設備用直流電流検知装置の最適磁石バイアス磁界範囲を示す図である。 本発明の実施例3における太陽光発電設備用直流電流検知装置での磁化曲線と磁石バイアス・磁性ケース無しの磁化曲線とを比較して示す図である。 本発明の実施例3における太陽光発電設備用直流電流検知装置を用い図4(a)と同じ10mA動作と地絡試験を行った結果を示す図である。 本発明の太陽光発電設備用直流遮断器が、電力系統と太陽光発電設備(太陽電池パネル)の途中に設置された例を示す図である。
以下、図示した実施例に基づいて本発明の太陽光発電設備用直流電流検知方法及びその直流電流検知装置並びに太陽光発電設備用直流遮断器を説明する。
一般的に直流回路においては、地絡時の直流漏洩電流を直接検出することが困難で、主回路プラス側電線を流れる電流と、主回路マイナス側電線を流れる電流の地絡時における電流の差を検出して地絡と判断する。本明細書では、この電流の差を直流漏洩電流とし、図1(a)では1本の電線により直流漏洩電流相当の直流電流を流した。
そこで、先ず、図1(a)及び図1(b)を用いて本発明の原理を説明する。
本発明の原理では、漏電電流による直流磁界により、センサ軟磁性体に2つあるマイナーループ保磁力点が同一磁界方向にシフトする量を検出することにより、直流電流を検知するものである。
通常、磁界0の原点に対し、保磁力点は+Hcと−Hcで表記され、絶対値はほぼ等しい。保磁力点+Hcと−Hcの差の半分を保磁力Hcと表記する。このとき、感知部(以下、センサという)の中央にバイアス電流(直流漏洩電流)を与えると、センサにバイアス電流による磁界が重畳する。この磁界により、センサに磁界バイアスが与えられ、センサ磁化曲線の保磁力点がバイアス磁界と同じ方向にシフトすることを利用するものである。
図1(b)では、バイアス磁界0を実線で、最大磁界の+14%のバイアス磁界印加の場合を破線で、−14%のバイアス磁界印加を点線でそれぞれ示した。
図1(b)より、バイアス磁界印加で保磁力点が+であれば正側、−であれば負側に同方向に移動することがわかる。
軟磁性体保磁力値Hcは、磁界センサでの使用が一般的なNiFeで1〜2A/m、アモルファスで2A/m、フェライトで2〜10A/mの値であり、また、保磁力点に対するバイアス磁界の比は1/10から1/20である。飽和磁界は、この比が1/100以下であり、保磁力点検知のほうが比較的容易となる。
保磁力の検知のためには、磁束信号のピーク点をとる手法が基本であるが、このピーク点の高さは磁性体保磁力点の微分透磁率に依存し、センサごとに大きくばらつくため、積分するなど回路構成に工夫が必要であり、あまり望ましくはない。
別な手法として、図1(b)の磁化曲線の歪みを検知する手法があるが、この手法では、磁化曲線の上又は下への変形となることから、周期性はあるが正弦波ではない波形であるひずみ波となるため、フーリエ変換することにより磁束信号の高調波成分変化で表現できる。即ち、図1(a)中の式に示した磁束信号の2次高調波成分の変化をとることで、簡便に行うことができる。そして、この2次高調波成分は、図1(b)の磁化曲線上では磁化曲線の湾曲に相当し、このとき2つの保磁力点が同方向に移動することに相当する。そのため、本発明では、2次高調波成分を検知信号として、この2次高調波成分が規定値を超えた場合、漏電と判断するものである。
次に、図1(c)に上記磁化曲線の変化を電気的に検知する原理を示す。図1(c)は励磁信号X(t)に対しセンサ磁化曲線を介して検知信号y(t)が変化する様子を示す。検知信号y(t)はバイアス磁界無しでは図1(c)の左側のように、電圧0点に対し対称に変化している。これに対し、バイアス磁界が印加されると図1(c)の右側のように検知信号y(t)に電圧シフトが生じ、この電圧シフトが波形非対称性を表しているため、この電圧シフトに起因する検知信号の波形非対称性を利用して漏電を検知するものである。
本発明の太陽光発電設備用直流電流検知方法及びその直流電流検知装置の実施例1について説明する。
本実施例では、1次及び2次巻線を有した軟磁性体リング状センサとして、外径30mm、内径20mm、高さ18mmのMnZnフェライトリングに絶縁テープを巻き、初めに線径0.24mmのエナメル線を10ターン巻き検知巻き線(センサ出力)とし、次いで線径0.5mmを励磁巻線(センサ入力)として50ターン巻いて磁界センサを製作した。次いで、このセンサの中心に銅線を通し、直流電源に接続して漏電電流相当の微弱な電流(地絡時に生じる主回路プラス側電線とマイナス側電線の電流差)を流せるようにした。
図2は、軟磁性体リング状センサに用いた検知回路を示す。該図2に示すように、センサには、アナログ・デジタル(AD)及びデジタル・アナログ(DA)変換器および信号出力用端子を有する1チップマイクロコンピュータとドライバ集積回路(IC)、増幅ICを接続した。
マイクロコンピュータは、波形平均、センサ出力信号位相変換及び信号の高調波分析機能を有する。また、センサへは周波数100から1000Hz、最大実効250mAまでの信号を印加できる。センサ出力は80倍の増幅ICにより増幅してマイクロコンピュータのAD変換器に入力し、フーリエ変換により1から3次の高調波成分を抽出した。またプログラム指示により、信号出力端子へ信号を出力できる。
図3(a)は、励磁周波数100Hz、出力20mAのときの2次高調波成分を測定し、センサ中央に漏電電流相当の直流電流を10mA、5mA、3mA印加した時の波形の時間変化を示す。ここでは、漏電電流無しの平均値を1としている。図3(a)より、10mA以下の漏電電流を高S/N比で感知できていることがわかる。
図3(b)は、印加漏電電流(バイアス電流)と2次高調波成分の関係を示す。図3(b)より、印加漏電電流値と2次高調波成分とは比例関係にあるため、2次高調波成分に着目することにより、直流漏洩電流を検出することができる。
これにより、本発明は、直流電流を検知する方法及び検知装置として適していることがわかる。また、2次高調波成分に閾値を定め、これを超えると動作する条件で遮断動作を行う直流遮断器として利用することも可能である。
漏電遮断器の必要動作として、徐々に発生する配線の被覆絶縁劣化による微弱な漏電のほか、裸線接触による過大電流、および配線の被覆損傷による地絡事故時の遮断も必要である。このとき遮断動作は速やかに行われる必要があり、およそ0.2秒以下で動作する必要がある。実施例1の100Hz動作では、平均化のため、10回平均すると1周期で0.1秒であり、遮断動作を含めると0.2秒をこえてしまう。
そこで、実施例2では、実施例1のセンサを印加電圧を同じとし、動作周波数1kHz、6mAで励磁し、50回平均して動作させた。図4(a)は、この実験結果である。図4(a)では、センサの2次高調波成分の時間変化を示している。
このときの2次高調波は、当初のベースライン値で規格化した。測定開始後初めに+10mAの漏電電流を8秒間印加したところ、この漏電電流印加時の2次高調波成分は40%増加し(図4(a)で2次高調波成分が1から1.4に増加している)、漏電電流遮断後元へ戻った。ここで、過大電流の地絡等を模擬し、漏電電流と同じ回路に+2Aの直流バイアス電流(漏洩電流)を2秒間印加した。なお、2A印加時は図示していない。その後、10mA漏電電流を印加したが、このときの変化量は+2Aバイアス電流印加前の変化量と同程度であった。
次に、−2Aのバイアス電流(漏洩電流)を印加したところ、ベースラインが負の値となり、続いて漏電電流を+10mA印加すると、2次高調波成分は正側に当初ベースライン値の40%増加した。この場合、ベースラインに閾値を設定していると、地絡電流により遮断したあとセンサ動作範囲が変わり、センサが使用不能になる点が問題となる。
このベースラインの変化は、図4(b)に示す磁化曲線により説明できる。即ち、当初磁化曲線のA点付近で動作していたため、+2Aのバイアス電流では磁界は正側へ印加されるため、その後も動作点は残留磁化のA点に戻った。
一方、−2Aバイアス電流では磁界が負で、動作点は残留磁化のB点へ移動したため、磁化曲線の曲がり方が変わりベースラインが変動したと考えられる。B点での+10mA漏電電流印加ではA点と同様+側へのバイアスのため、同程度の2次高調波成分変化となったと考えられる。
このようなベースライン変動は、プログラムにより測定開始時計測した定常状態と、急激に変化する漏電状態とを区分することにより判定は可能である。よって、直流電流検出装置として適用できるが、マイクロコンピュータが必要で、比較的高価なものとなる。
因みに飽和までセンサを励磁する特許文献1及び非特許文献1の検知方式の場合、ヒステリシスの影響は少ないが、センサを1kHz、飽和となる20A/m励磁で動作させたフェライトセンサでは振動が大きく、35dB程度の騒音を発生したが、本方式では20dBであり、可聴範囲外であった。
比較的高額となるマイクロコンピュータの使用を避けアナログ回路で構成するためには、センサベースライン変動は小さいほうが望ましい。MnZnフェライトセンサの飽和保磁力は2〜10A/mあり、これを材料選定によりさらに小さくすることは現状では難しい。
保磁力の小さい材料としては、熱処理したNiFe合金で保磁力1A/m以下があるが、金属系材料は1kHz程度の高周波動作をさせると箔内に渦電流が発生し、実効的に保磁力が大きくなる難点がある。
そこで、フェライトセンサに垂直方向に磁石によるバイアス磁界(円盤磁石により発生する磁界)を印加するセンサ構造(直流電流検出装置)を考えた。図5(a)及び図5(b)は、その構造を示す。
該図5(a)及び図5(b)に示すように、本実施例のセンサ構造は、厚さ18mmのフェライトリング状センサ11に厚さ1mmの非磁性金属円盤スペーサ12を介し、厚さ1mmの円盤磁石13を配置し、これら全体を磁性ケース14に組み込んだものである。
円盤磁石13はNdFeB焼結磁石を用いたが、遮断器の動作が100℃程度以下であることから、特に耐熱性の良い品種である必要はない。円盤磁石13の着磁方向は面に垂直である。
センサの最適磁石バイアス磁界範囲は30〜200A/m程度であり、図5(c)に示す計算値から、図5(b)に示す円盤磁石13と非磁性金属円盤スペーサ12を1枚ずつ使用し、磁性ケース14で漏洩磁界を遮断することにより、図5(c)の最適値に入るので、磁性ケース14で漏洩磁界を遮断した構造が良いことがわかる。
図6は、本センサ構造での磁化曲線と磁石バイアス・磁性ケース無しの磁化曲線とを比較して示す。同図に示すように、磁束密度0.13Tで比較するとセンサ単体では、印加磁界は7A/mで保磁力は1.2A/mである。これに対し、円盤磁石13、磁石ケース14が有りの場合では、印加磁界は磁石バイアスのため35A/mと増加するが、保磁力は0.61A/mと小さくなるため、正負の過大電流の地絡等の場合に耐性が期待できる。
図7は、本構造のセンサを用い、図4(a)と同じ10mA動作と地絡試験を行った結果を示す。同図は、2次高調波成分の時間変化であり、図4(a)と同様、当初のベースライン値で規格化している。同図に示すように、磁石バイアスが印加された本構造でも10mAの漏電電流の検知が可能であり、+2A及び−2Aの印加(過大電流の地絡等の場合)後も、ベースライン変動は小さくなることがわかった。これにより、一定の閾値を設けると、直流漏電電流の検知が可能であるセンサを得ることができた。
ここで、本実施例の磁石バイアスは、センサ保磁力低下が目的であるが、センサの一部を切断(リング状センサにギャップを設け磁気抵抗を増加させる)し、センサ飽和磁界を増加させることで同様の安定化を得ることもできる。しかし、この方法は簡便である一方、センサ保磁力が十分低下せず、主回路電流が1000Aを超える回路への適用は難しく、主に家庭用太陽光発電設備用低電流配線に適している。
また、磁石によるバイアス磁界は、巻線の電流により発生させた磁界でも良いが、この場合、センサ全体をソレノイド(巻線)内に設置し、センサ反磁界に抗してバイアス磁界を印加するため、直流電流を100アンペア・ターン以上印加する必要がある。
更に、本実施例のセンサ(感知部)は、高速動作を主眼としない場合、NiFe合金やアモルファス箔も使用は可能である。即ち、厚さ0.1mmのNiFe合金リングを20層程度積層させるか、幅5mmのアモルファス箔で1から2m程度の長さにものを直径20mmに巻いてリング状に構成し、これをセンサとする漏電検知部として100〜200Hzの励磁電流で動作させることにより、漏電検知が可能である。
また、本実施例のセンサは、パーマロイリングの積層形状であっても構わない。
このような本実施例では、軟磁性体のリングセンサを用いて太陽光発電設備用直流遮断器の直流電流を検知するものであって、太陽光発電設備用直流遮断器の体格を大きくすることなく、簡便な検知手法により直流電流を検知できる。
図8は、本発明の太陽光発電設備用直流遮断器が、電力系統と太陽光発電設備(太陽電池パネル)の途中に設置された例を示す。
図8に示すように、電力系統7と太陽光発電設備(太陽電池パネル)6の途中に、太陽光発電設備用直流遮断器5が設置されている。
この太陽光発電設備用直流遮断器5は、実施例3に示した磁石により安定化したフェライトセンサと、センサ励磁及びアナログ回路によるセンサ出力積分回路、2次高調波成分抽出回路、遮断条件判定・動作回路を組み込まれている。
即ち、太陽光発電設備用直流遮断器5は、フェライトリング状センサ1を用い、1次巻線によりフェライトリング状センサ1を励磁して2次巻線の出力の2次高調波成分の変化を検知し、この2次高調波成分の変化を検知することにより、フェライトリング状センサ1の中心に発生する直流電流を測定するものであって、フェライトリング状センサ1の平面に垂直に磁石又は巻線による直流磁界を印加してセンサ保磁力を低下させ、センサ動作点を外乱に対し安定化させたフェライトリング状センサ1を用いて直流電流を検知するものである。
太陽光発電設備用直流遮断器5の主回路に200V、直流主回路電流100Aの直流を往復させ、漏電を模擬して1次及び2次端子を10mA漏電に相当する1kΩでシャントすることにより擬似的な漏電を発生させたところ、回路接触後0.15秒で遮断動作し、十分に実用性があることを確認した。
本実施例の太陽光発電設備用直流遮断器5は、従来の125A用交流動作用遮断器の形状(筐体の幅75mm、厚さ60mm、長さ130mm)に対し、容量100A用直流遮断器形状は、筐体の幅75mm、厚さ65mm、長さ135mmと体積で12%増加、重量で10%増加と、ほぼ同形状となった。
従って、本実施例の太陽光発電設備用直流遮断器5は、従来の交流遮断器とほぼ同形状の直流遮断器を実現できる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
5…太陽光発電設備(太陽光パネル)、6…太陽光発電設備用直流遮断器、7…電力系統、11…フェライトリング状センサ、12…非磁性金属円盤スペーサ、13…円盤磁石、14…磁性ケース。

Claims (9)

  1. 1次及び2次巻線を有した軟磁性体リング状感知部を用い、前記1次巻線により前記軟磁性体リング状感知部を飽和磁界の1/10以下の磁界で励磁して前記2次巻線出力の2次高調波成分の変化を検知し、該2次高調波成分の変化を検知することにより前記軟磁性体リング状感知部の中心に発生する直流電流を検知する直流電流検知方法であって、
    前記軟磁性体リング状感知部の平面に垂直に磁石又は巻線による直流磁界を印加し、前記軟磁性体リング状感知部の保磁力を低下させて動作点を外乱に対し安定化させた状態で直流電流を検知することを特徴とする太陽光発電設備用直流電流検知方法。
  2. 請求項1に記載の太陽光発電設備用直流電流検知方法において、
    前記軟磁性体リング状感知部への印加磁界が30から200A/mであることを特徴とする太陽光発電設備用直流電流検知方法。
  3. 1次及び2次巻き線を有した軟磁性体リング状感知部と、該軟磁性体リング状感知部上に非磁性金属円盤スペーサを介して配置される円盤磁石と、これらを収納する磁性ケースとで構成されていることを特徴とする太陽光発電設備用直流電流検知装置。
  4. 請求項3に記載の太陽光発電設備用直流電流検知装置において、
    前記軟磁性体リング状感知部は、フェライトであることを特徴とする太陽光発電設備用直流電流検知装置。
  5. 請求項3に記載の太陽光発電設備用直流電流検知装置において、
    前記軟磁性体リング状感知部は、パーマロイリングの積層形状であることを特徴とする太陽光発電設備用直流電流検知装置。
  6. 請求項3に記載の太陽光発電設備用直流電流検知装置において、
    前記軟磁性体リング状感知部は、アモルファス箔をリング形状に巻いた形状であることを特徴とする太陽光発電設備用直流電流検知装置。
  7. 請求項3に記載の太陽光発電設備用直流電流検知装置において、
    前記軟磁性体リング状感知部は、該軟磁性体リング状感知部の一部を切断し、飽和磁界を増加させたリング状感知部であることを特徴とする太陽光発電設備用直流電流検知装置。
  8. 請求項3に記載の太陽光発電設備用直流電流検知装置において、
    前記軟磁性体リング状感知部は、該前記軟磁性体リング状感知部の周辺にソレノイド巻線を施したものであって、直流電流を印加して前記軟磁性体リング状感知部の平面に垂直に直流磁界を励磁させたリング状感知部であることを特徴とする太陽光発電設備用直流電流検知装置。
  9. 電力系統と太陽光発電設備の途中に設置された太陽光発電設備用直流遮断器であって、
    前記太陽光発電設備用直流遮断器は、請求項3乃至8のいずれか1項に記載の太陽光発電設備用直流電流検知装置を備えていることを特徴とする太陽光発電設備用直流遮断器。
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