JP3746359B2 - 直流電流センサー - Google Patents

直流電流センサー

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、各種の直流電流を使用する機器に配設される直流電流センサーの改良に係り、特に、発・変電所の制御設備に用いられている直流回路の地絡故障検知や太陽電池発電システムの漏電検知等の用途に有効であり、高感度でかつ計測時間を大幅に短縮可能とした直流電流センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、直流電流センサーとしてはシャント抵抗方式、マグアンプ方式、磁気マルチバイブレータ方式、ホール素子方式等が知られている。しかし、これらの直流電流センサーは構造が複雑であるばかりではなく、微小な電流変化に対応できる構造とは言い難く、高感度の直流電流センサーとして実用に至っていないのが現状である。
【0003】
本願発明者は、このような現状に鑑み、先に、構造が比較的簡単であり、微小な電流変化に対しても優れた検出能力を有する高感度の直流電流センサーとして、従来の方式とは全く異なる構造からなる直流電流センサーを提案した(特開平6−74978号、特開平6−194389号、特開平6−281674号、特開平7−49357号、特開平7−55846号、特開平7−110343号、特開平7−198754号)。
【0004】
すなわち、環状を形成する軟質磁性材料からなる検出コア部と、検出コア部にトロイダル状に巻回配置される検出コイルと、前記検出コア部の周方向の少なくとも一部に周期的に磁気的ギャップを形成する手段とを具備する構成を基本構成とする直流電流センサーであり、該直流電流センサーを構成する検出コア部の内側に被検出導線を貫通配置して、被検出導線に流れる直流電流を高感度に測定することを可能としたのである。
【0005】
特に、微小電流領域での検出を高感度に実現するためには、検出コア部を構成する軟質磁性材料が有する保磁力の影響に起因する検出コイルからの出力電圧(出力特性)のヒステリシス現象を減少させることが必要であり、前記検出コア部に被検出導線と同方向に巻回させた変調コイルを配置し、該変調コイルに発生させた交番磁界を検出コア部に重畳しながら被検出導線に流れる直流電流を測定する構成の直流電流センサー(特開平6−281674号)を提案し、目的を達成したのである。
【0006】
例えば、図5に示す直流電流センサーは、環状を形成する軟質磁性材料からなる検出コア部2と、検出コア部2にトロイダル状に巻回配置される検出コイル3と、前記検出コア部2の周方向の少なくとも一部に周期的に磁気的ギャップを形成する手段である検出コア部2の周方向に対して直交方向に接続して環状を形成する軟質磁性材料からなる励磁コア部4と、励磁コア部4にトロイダル状に巻回配置される励磁コイル5と、さらに、検出コア部2に巻回させた変調コイル43から構成されている。図中1は、検出コア部2の内側に貫通配置する被検出導線である。
【0007】
このような構成において、被検出導線1に直流電流Iが流れると、検出コア部2内に直流電流Iの方向に対して右回りの磁場が発生し、検出コア部2内に磁束Φ0が発生する。この時、励磁コイル5に所定の交流電流を通電して励磁コア部4に周期的に図中α方向に変化する磁束を発生し、該励磁コア部4を周期的に磁気的に飽和させると、検出コア部2の周方向の一部であるコア直交部6は比透磁率μが極めて1に近い所謂実質的な磁気的なギャップとなり、検出コア部2内の磁束Φ0をΦ1(Φ1近似0)にまで減少させる。
【0008】
ここで、励磁コイル5に通電する交流電流を周波数f0とし、その電流のピーク値近傍で励磁コア部4が飽和するようにすると、励磁電流1周期で2回励磁コア部4が飽和することとなる。すなわち、検出コア部2の周方向の一部であるコア直交部6が飽和することとなり、被検出導線1に流れる直流電流Iによって検出コア部2内に発生する磁束Φ0は2f0で変調され、上記の磁束Φ0の変化に伴い周波数2f0の電圧VDETが検出コイル3に発生することとなる。
【0009】
被検出導線1に流れる直流電流Iの向きにかかわらず、いずれの場合も磁束Φ0∝直流電流I、電圧VDET∝磁束Φ0との関係から電圧VDET∝直流電流Iとなり、被検出導線1に流れる直流電流Iに比例した起電力を検出コイル3によって検出することが可能となる。
【0010】
しかし、微小電流領域での検出においては、検出コア部2を構成する軟質磁性材料が有する保磁力の影響に起因する検出コイルからの出力電圧(出力特性)のヒステリシス現象に伴う逆転領域(直流電流の増加に伴い出力電圧が減少する領域)が発生し、結果として測定時の基準レベルの変動を招き、目的とする高感度の検出を実現することができない。
【0011】
図5の構成においては、上記のヒステリシス現象の減少を達成するために、検出コア部2に被検出導線1と同方向に巻回させた変調コイル43を配置し、該変調コイル43に発生させた交番磁界を検出コア部2に重畳しながら被検出導線1に流れる直流電流を測定することによって高感度の検出を実現したのである。
【0012】
すなわち、図6に示すようなBHカーブ(ヒステリシスカーブ)を有する検出コア部2に対して、例えば、変調コイル43に変調交流電流を流さずに被検出導線1に直流電流を流し、BH平面上でP点まで達した後、直流電流を切るとA’点に戻り、さらに、この状態から変調コイル43に検出コア部2の保磁力以上の磁場を発生するのに必要な変調交流電流を流すと交流電流波形のA→B→C→D→Eへの移行に伴い、BHカーブ上でA’→B’→C’→D’→E’へ移行し、以降同一のルート、すなわち図中の破線で示すマイナーループQを描くこととなる。
【0013】
このマイナーループQの中心はBHカーブの原点Oと一致する。被検出導線1に前記とは逆向きの直流電流を流した場合でも、同様な現象を示すことから、被検出導線1に直流電流が流れている状態で、変調コイル43に変調交流電流を流して被測定電流に変調交流電流を重畳すると、被検出導線1の電流の向きに応じてマイナーループQの中心Xは図7に示すように、マイナーループQの形状を維持したまま図中の破線に沿って移動する。従って、この点(中心X)を検出することにより、実質的にヒステリシスを消失した状態で測定を実施することができる。実際の測定に際しては、検出回路で重畳された変調交流電流成分を除去することで、被検出導線1に流れている直流電流成分を容易に高感度で検出できる。
【0014】
図8に示す直流電流センサーは、基本的な構成は図5に示す直流電流センサーと同様であり、特に、励磁コイル5を検出コア部2の周方向に巻回配置することによって、該励磁コイル5による検出コア部2の脱磁効果をも併せ持つ。この構成においても作動原理が図5に示す直流電流センサーと同様であることから、検出コア部2に被検出導線1と同方向に巻回させた変調コイル43を配置し、該変調コイル43に発生させた交番磁界を検出コア部2に重畳しながら被検出導線1に流れる直流電流を測定することによって、検出コア部2を構成する軟質磁性材料が有する保磁力の影響を低減することができる。
【0015】
図9に示す直流電流センサーは、センサー部が、環状を形成する軟質磁性材料からなる検出コア部2と、検出コア部2の対象位置にトロイダル状に巻回配置される一対の検出コイル3a,3bと、前記検出コア部2の周方向に対して直交方向に接続して環状を形成する軟質磁性材料からなる一対の励磁コア部4a,4bと、検出コア部2に巻回配置され該検出コア部2と各々の励磁コア部4a,4bとのコア直交部6にて検出コア部2を周方向に対して直交方向に周期的に励磁する励磁コイル5とからなる。
【0016】
また、図10に示す直流電流センサーは、センサー部が、環状を形成する軟質磁性材料からなる検出コア部2と、検出コア部2の対称位置にトロイダル状に巻回配置される一対の検出コイル3a,3bと、前記検出コア部2の周方向に対して直交方向に接続して環状を形成する軟質磁性材料からなる一対の励磁コア部4a,4bと、各々励磁コア部4a,4bの外側面部に巻回配置され該検出コア部2と各々の励磁コア部4a,4bとのコア直交部6にて検出コア部2を周方向に対して直交方向に周期的に励磁する励磁コイル5a,5bとからなる。
【0017】
これら図9及び図10に示す直流電流センサーは、ともにセンサー部の全体的な構成が被検出導線1に対して対称であることから、電磁気的なバランスが良く、安定した測定を実現できる効果を有する。これらの構成においても作動原理が図5に示す直流電流センサーと同様であることから、検出コア部2に被検出導線1と同方向に巻回させた変調コイル43a,43bを配置し、該変調コイル43a,43bに発生させた交番磁界を検出コア部2に重畳しながら被検出導線1に流れる直流電流を測定することによって、検出コア部2を構成する軟質磁性材料が有する保磁力の影響を低減することができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明したように、本願発明者が先に提案した直流電流センサー(特開平6−281674号)によれば、検出コア部を構成する軟質磁性材料が有する保磁力の影響を防止することができ、微小電流領域での検出も高感度に実現することが可能となった。しかし、被検出導線に流れる直流電流が数mA程度の場合は、必ずしも要求される高感度の検出を確保することは困難であった。
【0019】
例えば、検出コア部を構成する軟質磁性材料としてパーマロイC(78Ni−3.5Cu−4.5Mo−balFe)を用い、検出コア部の周方向の長さ(磁路長)を100mmとした図10の直流電流センサーの場合、該パーマロイCの保磁力(Hc近似0.01Oe)の影響を防止するためには、変調コイルに少なくともピーク値±100mA(70mArms)程度の変調交流電流を流しながら被検出導線に流れる直流電流を測定することが必要となる。
【0020】
従って、検出回路は±100mA相当の入力でも電気的に飽和しないように設計する必要があり、結果として、定格100mAの電流計で数mAを測定することと同じであり、検出コイルより得た信号から、変調交流電流に相当する信号と被測定電流に相当する信号を容易に分離することができず、目的とする測定精度(感度)を確保することができなくなる。
【0021】
また、高感度の検出回路を使用すると、最大許容入力が小さいため変調交流電流の信号により検出回路が電気的に飽和してしまい、被測定電流の信号が入力されても検出回路からの出力は飽和出力しか得られず、被測定電流の信号を識別することができず、被検出導線に流れる直流電流の測定自体が困難となる。
【0022】
この発明は、上記の問題を解決することを目的とするものであり、特に、検出コア部を構成する軟質磁性材料が有する保磁力の影響を防止するとともに、数mA程度の微小電流領域でも高感度の検出を確保することを可能とした直流電流センサーの提供を目的とするものであり、特に、被検出導線に流れる直流電流の測定時間を大幅に短縮可能とした直流電流センサーの提供を目的とするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の目的を達成するために種々検討した結果、検出コア部を構成する軟質磁性材料が有する保磁力の影響を防止する所謂ヒステリシスを消去するための脱磁期間と、被検出導線に流れる直流電流の測定期間とを別々に設定し、検出回路の電気的な飽和を防止する構成を基本構成とし、さらに脱磁期間を短縮する為に比較的長時間を要する実質的な完全脱磁を行うことなく、開始時の方向が異なり対象な波形を有する減衰振動電流からなる脱磁電流を繰り返し印加することによって短時間の不完全脱磁でも目的が達成できることを知見し、完成したものである。
【0024】
すなわち、本願発明は、環状を形成する軟質磁性材料からなる検出コア部と、検出コア部にトロイダル状に巻回配置される検出コイルと、前記検出コア部の周方向の少なくとも一部に周期的に磁気的ギャップを形成する手段とを具備するセンサー部の内側に被検出導線を貫通配置してなる直流電流センサーにおいて、さらに、前記検出コア部に被検出導線と同方向に巻回させた脱磁コイルを配置し、該脱磁コイルに正側または負側の一方から開始する減衰振動電流からなる脱磁電流を印加して検出コア部を不完全に脱磁した後、被検出導線に流れる直流電流を測定し、引き続き、前記脱磁コイルに正側または負側の他方から開始し前記減衰振動電流に対して対称な波形を有する減衰振動電流からなる脱磁電流を印加して検出コア部を不完全に脱磁した後、再び被検出導線に流れる直流電流を測定し、その後これら各々の測定結果の平均値に基づいて被検出導線に流れる真の直流電流値を測定する手段を有する直流電流センサーである。
【0025】
さらに、上記の構成において、一つのコイルで検出コイルと脱磁コイルの機能を共用したことを特徴とする直流電流センサー、及び、センサー部が、環状を形成する軟質磁性材料からなる検出コア部と、検出コア部にトロイダル状に巻回配置される検出コイルと、前記検出コア部の周方向に対して直交方向に接続して環状を形成する軟質磁性材料からなる一対の励磁コア部と、該各々の励磁コア部または検出コア部に巻回配置され検出コア部と各々の励磁コア部との直交部にて検出コア部を周方向に対して直交方向に周期的に励磁する励磁コイルとからなることを特徴とする直流電流センサーを併せて提案する。
【0026】
この発明の直流電流センサーにおいて、検出コア部及び励磁コア部が環状を形成する軟質磁性材料からなるとは、軟質磁性材料が所謂リング状になっている構成に限定されるのではなく、軟質磁性材料が電磁気的な閉回路を構成できるように接続されていれば良く、先に説明した図5、図8、図9、図10のように円環状、楕円環状、矩形枠状等種々の構成が採用できる。
【0027】
また、検出コア部及び励磁コア部を構成する軟質磁性材料としては、通常、磁気特性や加工性等の観点からパーマロイが好ましいが、その他ケイ素鋼鈑、アモルファス、電磁軟鉄、ソフトフェライト等の公知の材料が使用可能である。
【0028】
さらに、この発明の直流電流センサーにおいて、検出コア部に被検出導線と同方向に脱磁コイルを巻回配置するとは、先に説明した図5、図8、図9、図10に示すように、検出コア部の内側に被検出導線と同方向に貫通するようにして1ターンの脱磁コイルを巻回配置する他、要求される減衰振動電流による脱磁磁界の強度等に応じて上記と同方向に複数ターンの脱磁コイルを巻回配置するものであり、特に、複数ターンの場合は、実質的に検出コイルと同様に検出コア部にトロイダル状に巻回配置することとなる。また、脱磁コイルと検出コイルとは実質的に同一場所で同一方向に巻回配置されることから、これらを共用でき、脱磁コイルと検出コイルを一体化した構成を採用しても、この発明の目的を達成できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本願発明の直流電流センサーの作用を図1〜図5に示す一実施例に基づいて説明する。センサー部の構成は、先に説明した図6、図9、図10、図11に示す構成と同様でよく、いずれの構成においても変調コイルに代えて脱磁コイルとし、該脱磁コイルに減衰振動電流からなる脱磁電流を印加して検出コア部を脱磁した後、被検出導線に流れる直流電流を測定することによって目的が達成できる。
【0030】
すなわち、図1に示すように、まず脱磁コイルにピーク値が検出コア部を構成する軟質磁性材料が有する保磁力以上の減衰振動電流(図3(a)参照)からなる脱磁電流を印加して検出コア部を実質的に完全に脱磁する。この時、減衰振動電流に基づく脱磁信号が検出回路に入力されると検出回路が電気的に飽和してしまうため、脱磁期間は検出回路に脱磁信号が入力されないように検出コイルを検出回路から切り離しておく。脱磁コイルと検出コイルを共用した構成でも同様である。上記の脱磁が完了した後に検出コイルと検出回路を接続して被検出導線に流れる直流電流を測定する。
【0031】
以上の構成からなる直流電流センサーにおいては、被検出導線に流れる直流電流の測定前に、検出コア部を脱磁するに十分な減衰振動電流からなる脱磁電流を印加できることから、ヒステリシスの影響をほぼ完全に防止することができ、目的とする数mA程度の微小電流領域でも高感度の検出を確保することができる。
【0032】
しかし、この構成からなる直流電流センサーは、高感度の検出を確保することができる反面、測定時間が比較的長いという欠点を有している。より完全な脱磁を達成するためには、脱磁電流のピーク値を検出コアの有する保磁力に対して十分大きく、周波数を小さく、さらに脱磁時間を長くすることが必要となる。脱磁電流のピーク値を大きくすることは大きな電力を必要とする。
【0033】
また、周波数を小さくすることは結果として脱磁に要する時間が長くなることとなり、発明者の実験によれば、目的とする計測精度を維持するためには0.5秒以上の脱磁時間と0.5秒以上の測定時間が必要であり、脱磁時間と測定時間との1周期に1秒以上が必要となる。直流電流センサーの用途によっては測定時間が長過ぎるため、高い計測精度を維持すると共にこの測定時間を大幅に短縮することが要求される。
【0034】
このような要求を満足させる構成として、発明者は、脱磁コイルに正側または負側の一方から開始する減衰振動電流からなる脱磁電流を印加して検出コア部を不完全に脱磁した後、被検出導線に流れる直流電流を測定し、引き続き、前記脱磁コイルに正側または負側の他方から開始し前記減衰振動電流に対して対称な波形を有する減衰振動電流からなる脱磁電流を印加して検出コア部を不完全に脱磁した後、再び被検出導線に流れる直流電流を測定し、その後これら各々の測定結果の平均値に基づいて被検出導線に流れる直流電流を測定することを特徴とする直流電流センサーを提案したのである。
【0035】
すなわち、検出コア部を完全に脱磁しようとすると図3(a)に示すように比較的長い時間を要するが、不完全な脱磁であれば図3(b)及び図3(c)に示すように短時間で完了する。なお、図3(a),(b),(c)において(イ)は検出コア部を構成する軟質磁性材料のBHカーブ(ヒステリシスカーブ)であり、(ロ)は脱磁コイルに印加する減衰振動電流からなる脱磁電流を示しており、BHカーブ(ヒステリシスカーブ)上の破線は減衰振動電流の変化に伴うBHカーブの変化を示している。
【0036】
特に、図3(b)及び図3(c)に示すように印加する減衰振動電流の波形が対称形であれば残留磁束密度(Br’)の大きさは+側と−側で等しくなる。したがって、図2に示すように減衰振動電流の波形が対称形である脱磁電流を交互に印加し、それぞれの不完全脱磁後の測定期間によって得られる測定値の平均値を出力することで、実質的に残留磁束密度(Br’)が打ち消されて残留磁束密度(Br’)相当のオフセット出力がなくなる。
【0037】
以上に説明する構成からなる直流電流センサーにおいては、不完全脱磁を採用することから脱磁時間が大幅に短縮され、本願発明者の実験によれば前述の完全脱磁を採用する構成からなる直流電流センサーに比べ測定周期を1/5程度まで短縮可能であることを確認した。
【0038】
なお、この発明において、不完全脱磁とは、脱磁後の残留磁束密度(図3(b)、(c)における+Br’又は−Br’)が、検出コアが本来有する残留磁束密度(約5000G程度)の1/2(約2500G程度)〜1/10(約500G程度)程度の範囲までに脱磁できていれば良く、基本的には脱磁後の残留磁束密度が完全な零(0)でなくても良いことを示すものであるが、センサーに要求される定格検出電流及び脱磁時間等によってその程度が決定される。
【0039】
例えば、定格検出電流が2mA程度の場合は、脱磁後の残留磁束密度を検出コアが本来有する残留磁束密度の1/10程度とすることが望ましく、又、定格検出電流が10〜50mA程度の場合は、同様に1/2程度とすることが望ましい。すなわち、最終的な出力の誤差精度に影響がでない程度に脱磁できていれば良く、脱磁後の残留磁束密度が各々の定格出力電流に対して上記の値を超えると出力誤差が発生する可能性が高く、また上記の値未満であると脱磁に要する時間がかかりすぎることからこの発明の高感度測定とともに時間短縮の目的が達成できない。
【0040】
これらの脱磁条件を満足させるためには、脱磁コイルに印加する減衰振動電流からなる脱磁電流のピーク値、周波数、脱磁時間を選定する必要があるが、脱磁後の残留磁束密度が上記の程度であれば、通常のB−H特性(ヒステリシス特性)の測定方法によってヒステリシスカーブの対象性を調べることによって確認することができることから、予めこれらの測定を繰り返しておくことによって減衰振動電流の最適条件を求めることができる。
【0041】
【実施例】
本願発明の直流電流センサーの効果を確認するために図9に示す構成からなる直流電流センサーを作成した。センサー部は、0.3mmのパーマロイC(78Ni−3.5Cu−4.5Mo−balFe)薄板を所定形状に打ち抜きし、折り曲げ加工を施し、各コア部の寸法が、L=30mm、H=10mm、W1=30mm、W2=5mmとなるように組立て、さらに、水素ガス雰囲気にて1100℃で3時間の磁性焼鈍を施して完成した。
【0042】
また、励磁コイルとして検出コア部の外周に外径0.2mmのホルマル線を50ターン巻回配置するとともに、脱磁コイルを共用する検出コイルとして検出コア部の対称位置に外径0.15mmのホルマル線を各々50ターンづつ巻回配置して互いに直列接続し、これらのコイルを図4のブロック図に示す検出回路に接続して、本願発明の直流電流センサーを完成した。被検出導線としては、外径8mmのビニール被覆線を検出コア部の内側に貫通配置した。励磁コイルに印加する交流電流は、1Vrms、300Hzとした。
【0043】
また、検出コイル(脱磁コイル)に減衰振動電流の波形が対称形である脱磁電流を交互に印加し、それぞれの不完全脱磁後の測定期間によって得られる測定値の平均値を出力することによって被検出導線に流れる直流電流を測定する構成の効果を確認した。
【0044】
検出コイル(脱磁コイル)にピーク値が10Vで300Hzの波形が対称形である減衰振動電流からなる脱磁電流を0.03秒づつ交互に印加し、それぞれの不完全脱磁後0.07秒づつの測定期間によって得られる測定値の平均値を出力することによって被検出導線に流れる直流電流を測定した結果(0.2秒/周期)、検出回路込みの入−出力特性は測定電流が±2mAの範囲においてヒステリシス誤差は実質的に零(0)となり、直線性、再現性ともに極めて良好な特性を示すとともに、ステップ応答性が0.35秒と極めて短時間で測定が実現可能であることが確認できた。
【0045】
また、比較例としてセンサー構成を同一とし、検出コイル(脱磁コイル)に減衰振動電流からなる脱磁電流を印加して検出コア部を実質的に完全脱磁した後、被検出導線に流れる直流電流を測定する構成の諸特性を確認した。検出コイル(脱磁コイル)にピーク値が10Vで300Hzの減衰振動電流からなる脱磁電流を0.5秒印加して検出コア部を実質的に完全脱磁した後、引き続き0.5秒で被検出導線に流れる直流電流を測定した結果(1秒/周期)、検出回路込みの入−出力特性が本願発明のセンサーと同様の感度であることが確認できた。なお、ステップ応答性は約2秒であった。
【0046】
以上のことからも、同一感度の測定を可能にする場合、完全脱磁後に測定する比較例の場合に比べ、不完全脱磁を採用した本発明の場合は、測定に要する1周期当たりの時間が約1/5程度になり、結果としてステップ応答性も1/5程度以上の短縮が可能であることが分かる。
【0047】
【発明の効果】
上記の実施例からも明らかなように、本願発明の直流電流センサーにおいては、検出コイル(脱磁コイル)に所定の減衰振動電流からなる脱磁電流を効果的に印加することによって、検出コア部を構成する軟質磁性材料が有する保磁力の影響を防止して高感度の測定を実現するとともに、測定時間を大幅に短縮することが可能となり、直流電流センサーの用途を一層拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による直流電流センサーの測定方法の概略を示す線グラフであり、(a)は脱磁電流と時間(測定に要する1周期)との関係を示し、計測出力と該時間の関係を示す線グラフである。
【図2】この発明による直流電流センサーの他の測定方法の概略を示す線グラフであり、(a)は脱磁電流と時間(測定に要する1周期)との関係を示し、計測出力と該時間の関係を示す線グラフである。
【図3】(a),(b),(c)はこの発明による直流電流センサーの測定方法に用いる脱磁電流と軟質磁性材料の残留磁束密度とを対比して示す線グラフであり、(イ)はBHカーブ、(ロ)は脱磁電流の電流と時間との関係を示す。
【図4】この発明による直流電流センサーの測定方法に用いる測定装置の回路図である。
【図5】この発明の直流センサーの基本構成を示す斜視説明図である。
【図6】脱磁コイルに変調交流電流を流さず被検出導線に直流電流を流してコアが励磁された後、該直流電流を切りその後脱磁コイルに交流電流を流してマイナーループを形成した状態を示す線グラフである。
【図7】被検出導線に直流電流が流れている状態で、脱磁コイルに変調交流電流を流して被測定電流に変調用交流電流を重畳した場合のマイナーループの中心点の移動状態を示す線グラフである。
【図8】この発明の直流電流センサーの他の実施例の概要を示す斜視説明図である。
【図9】この発明の直流電流センサーの他の実施例の概要を示す斜視説明図である。
【図10】この発明の直流電流センサーの他の実施例の概要を示す斜視説明図である。
【符号の説明】
1 被検出導線
2 検出コア部
3,3a,3b 検出コイル
4,4a,4b 励磁部コア
5,5a,5b 励磁コイル
6 コア直交部
43,43a,43b 変調コイル

Claims (3)

  1. 環状を形成する軟質磁性材料からなる検出コア部と、検出コア部にトロイダル状に巻回配置される検出コイルと、前記検出コア部の周方向の少なくとも一部に周期的に磁気的ギャップを形成する手段とを具備するセンサー部の内側に被検出導線を貫通配置してなる直流電流センサーにおいて、さらに、前記検出コア部に被検出導線と同方向に巻回させた脱磁コイルを配置し、該脱磁コイルに正側または負側の一方から開始する減衰振動電流からなる脱磁電流を印加して検出コア部を不完全に脱磁した後、被検出導線に流れる直流電流を測定し、引き続き、前記脱磁コイルに正側または負側の他方から開始し前記減衰振動電流に対して対称な波形を有する減衰振動電流からなる脱磁電流を印加して検出コア部を不完全に脱磁した後、再び被検出導線に流れる直流電流を測定し、その後これら各々の測定結果の平均値に基づいて被検出導線に流れる真の直流電流値を測定する手段を有する直流電流センサー。
  2. 請求項1において、一つのコイルで検出コイルと脱磁コイルの機能を共用した直流電流センサー。
  3. 請求項1において、センサー部が、環状を形成する軟質磁性材料からなる検出コア部と、検出コア部にトロイダル状に巻回配置される検出コイルと、前記検出コア部の周方向に対して直交方向に接続して環状を形成する軟質磁性材料からなる一対の励磁コア部と、該各々の励磁コア部または検出コア部に巻回配置され検出コア部と各々の励磁コア部との直交部にて検出コア部を周方向に対して直交方向に周期的に励磁する励磁コイルとからなる直流電流センサー。
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