JP2015115551A - アモルファス磁性ワイヤ通電熱処理方法、およびアモルファス磁性ワイヤ通電熱処理装置 - Google Patents

アモルファス磁性ワイヤ通電熱処理方法、およびアモルファス磁性ワイヤ通電熱処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アモルファス磁性ワイヤの熱処理に際して、当該アモルファス磁性ワイヤの円周方向にのみ磁気異方性を付与するように、高精度に熱処理を行う。【解決手段】熱処理されるアモルファス磁性ワイヤに極性を切り替えられる直流電流を通電し、前記直流電流よりも小さい交流電流を前記アモルファス磁性ワイヤに通電し、前記アモルファス磁性ワイヤの周囲に巻回されたソレノイドコイルにより、前記アモルファス磁性ワイヤ内の交流磁束を検出し、前記交流磁束による誘起電圧を同期検波し、前記ワイヤの軸方向磁界を計測し、測定された前記ワイヤの軸方向磁界を打ち消すためのキャンセル電流を前記ソレノイドコイルに流す。【選択図】図8

Description

この発明は、アモルファス磁性ワイヤ通電熱処理方法、およびアモルファス磁性ワイヤ通電熱処理装置に関する。
アモルファス磁性ワイヤは現在、直交フラックスゲートセンサ(特に基本波モード)などのコアとして使用されている。この種の磁界センサでは、ノイズは主にアモルファス磁性ワイヤで生成されたバルクハウゼンノイズによって引き起こされる。
アモルファス磁性ワイヤの熱処理は、このノイズ源を低減するのに有効であることがわかっている。炉内でアモルファス磁性ワイヤを熱処理することによって、アモルファス磁性ワイヤに直流電流が流れている間は、アモルファス磁性ワイヤの円周方向の磁気異方性を向上させることができる。これは、ノイズの観点から有用である。
円周方向への磁気異方性が形成され、ほぼ全ての磁化が円周方向に向けば、結果としてバルクハウゼンノイズが抑制される。
例えば図1は、アモルファス磁性ワイヤの円周方向に磁化されるときのMHループ(Magnetization Hysteresis Loop)を示す。同図において、線L11は、熱処理前のMHループを示す。線L12は、200℃で60分間熱処理した後のMHループを示す。熱処理後のMHループ(線L12)の形状が角形になっており、はっきりと円周方向へ磁気異方性の存在を示している。
フラックスゲートのコアとして使用するアモルファス磁性ワイヤを熱処理して、1 Hz(ヘルツ)で5PT(ピコテスラ)/√Hz〜1PT/√Hzに、磁界センサのノイズを減らすことができる。従って、この手法は、基本波モードでのフラックスゲートのために非常に有望である。
なお、特許文献1、特許文献2および非特許文献1に、磁界センサに関する技術が示されている。
特開2002−277522号公報 特開2003−215220号公報
I.Sasada、"Orthogonal fluxgate mechanism operated with dc biased excitation"、Journal of Applied Physics、2002年、Vol.91、No.10、p.7789-7791
熱処理の処理中に発生する問題の一つは、アモルファス磁性ワイヤの軸方向(以下、アモルファス磁性ワイヤの軸方向をz軸方向とする)に磁界Hzが存在するとその影響を受け、センサの特性が劣化することである。
アモルファス磁性ワイヤに流れる直流電流は、アモルファス磁性ワイヤを円周方向(以下、アモルファス磁性ワイヤの円周方向をΦ方向とする)に磁化するための磁界HΦを生成する。しかし、軸方向の磁界Hzも磁化に影響を与える。
zの影響は、アモルファス磁性ワイヤの断面内において、中心からの距離に応じて異なる。中心からの半径方向に距離が大きくなるにつれHΦは大きくなるので、相対的にHzの影響はワイヤの中心部で大きく外周に近づくにつれ小さくなるが、それでも軸方向は元々磁化されやすい方向であるので、図2(a)に示すように、軸方向の磁場がない場合には磁化Mは円周方向であったものが、図2(b)に示すように、HzによってMの方向は螺旋になり、熱処理によってもたらされる磁気異方性も螺旋になる。
磁気異方性が円周方向から少しでも角をなすとオフセット引き起こす。これは、アモルファス磁性ワイヤをコアとし、その回りに巻回された検出コイルを用いる磁界センサの特性でもある。
従って、磁界センサのオフセットを低く維持するためには、熱処理中に磁化が円周方向にあることを保証しなければならなくなる。
アモルファス磁性ワイヤの中心部については、中心からの位置(距離)をrとすると、その内側に流れる電流は電流密度×πr2となり、rにおける磁界HΦ(r)はアンペアの法則により電流密度×πr2/(2πr)=電流密度×r/2となるので、rが小さくなるとアモルファス磁性ワイヤを円周方向に飽和させるには、HΦ(r)が不十分となるので、Hzの影響ははるかに大きくなる。
図3に示すように、アモルファス磁性ワイヤを流れる直流電流Idcと軸方向に印加される磁界Hzがある場合、アモルファス磁性ワイヤの中心部では、円周方向の磁界HΦが低く、Mは、軸方向にHzによって磁化される。それによって、軸方向の磁気異方性が、アモルファス磁性ワイヤの中央部に誘起される。その結果、オフセットも大きくなってしまう問題があった。
オフセットを十分小さくする磁界センサについては、本発明者らが開発した特許文献1や特許文献2による磁界センサなどがあったが、アモルファス磁性ワイヤの最初の熱処理段階において、地磁気による軸方向の異方性を完全にキャンセルし、最初から円周方向のみに磁気異方性を付与する熱処理法は開発されていなかった。特許文献1や2による磁界センサでは、オフセットを低減することができる。さらに、入力磁界がゼロの場合に誘起される電圧をゼロにできることが望ましい。
磁界センサ等に使用する細長い磁性体をフラックスゲートのコア(磁心)として使用する場合、このような軸方向の磁気異方性はセンサの入出力特性にオフセットと小さなジャンプを伴ったヒステリシスを引き起こす。アモルファス磁性ワイヤの内側部分の磁化は軸方向に平行で、測定されるべき磁界が、正または負の保磁力に達するたびにこの内部の磁化の極性は反転する。
熱処理時のHzのこれら二つの複合効果の結果を図4で見ることができる。
図4により、基本波モードでの直交フラックスゲートの特性を観察することができる。正と負の両方の直流バイアスで、Hz = 0とHz = 20 A(アンペア)/m(メートル)で熱処理されたアモルファス磁性ワイヤを使ったフラックスゲートセンサの特性が示されている。
軸方向の磁界Hz = 20 A/mで熱処理された場合、入力磁界を増加させその後減少する場合、図4に示すように、途中にジャンプを伴ったヒステリシス現象があり、これはセンサとして壊滅的である。逆に、Hz = 0の下で熱処理すれば、円周方向のみに磁気異方性が付与され、このような現象はなくなる。
図4より、Hz = 20 A/mで熱処理されたアモルファス磁性ワイヤの特性には、−2.2 Vのオフセットと上述のジャンプを伴ったヒステリシスの両方があることがわかる。
図5に、オフセットと軸方向の磁界Hzの関係を示す。
このグラフのプロットは、熱処理中にワイヤ軸方向に加わった磁界Hz 対、フラックスゲートセンサのオフセットを示す。
オフセットの符号は、軸方向の磁界の極性に対応し、Hzの絶対値の小さな領域でその変化は大きく、Hzの絶対値の大きいところでは飽和する。オフセットはHz =0 A/mの場合はゼロであることがわかる。
このことは、熱処理時に存在するアモルファス磁性ワイヤ上のHzを慎重に計測して0に制御し、効果的にオフセットをゼロにする必要があることを示している。
本発明は、上述の課題を解決することのできるアモルファス磁性ワイヤ通電熱処理方法、およびアモルファス磁性ワイヤ通電熱処理装置を提供する。
この問題を解決するために、鋭意研究を重ね、熱処理時にアモルファス磁性ワイヤ上でそのHzをゼロに確保するための簡単で効果的な方法を発明した。この方法は、任意の型の炉内で実装することができる。この方法では、アモルファス磁性ワイヤの周りにコイルを巻き、巻かれたコイルを使用して軸方向磁界Hzを磁界環境に応じてキャンセルする。
通常、様々な炉において、炉自体に用いられている強磁性体部品のため、熱処理空間内に非ゼロ磁場を持っている。シールドルーム内に炉を配置しても炉自体に加熱のために通電箇所があったり、強磁性体部材が使用されたりしているので、熱処理空間内の磁界をゼロにできる保証は無い。
本発明の第1の態様によるアモルファス磁性ワイヤ通電熱処理方法では、熱処理されるアモルファス磁性ワイヤに極性を切り替えられる直流電流を通電し、前記直流電流よりも小さい交流電流を前記アモルファス磁性ワイヤに通電し、前記アモルファス磁性ワイヤの周囲に巻回されたソレノイドコイルにより、前記アモルファス磁性ワイヤ内の交流磁束を検出し、前記交流磁束による誘起電圧を同期検波し、前記ワイヤの軸方向磁界を計測し、測定された前記ワイヤの軸方向磁界を打ち消すためのキャンセル電流を前記ソレノイドコイルに流す。
炉内にアモルファス磁性ワイヤを保持し、前記アモルファス磁性ワイヤに極性を切り換えられる直流電流、及び直流に比べ十分小さい交流電流を通電し円周方向に磁場を発生させ、アモルファス磁性ワイヤにはそれを取り囲むようにして巻回されたソレノイドコイルがあり、そのソレノイドコイルには前記交流電流によって電圧が発生し、同期検波回器(ロックインアンプ)によってHzに比例する電圧を求め、それをもとにHzを丁度打ち消すキャンセル電流を予め求めておいた換算式(あるいは校正曲線)によって算出し、前記ソレノイドコイルに流し、当初存在していたHzを完全に打ち消すことにより、前記アモルファス磁性ワイヤの円周方向にのみ確実に磁気異方性を付与し、オフセットを略ゼロとする。
この場合、ソレノイドコイルは誘起電圧(例えば30 kHz(キロヘルツ))を検出する役目と、直流であるキャンセル電流を流すという2つの役割を同時に果たす。このため、誘起電圧のみを同期検波器(ロックインアンプ)に入力するためにコンデンサ結合とする。
本発明では、熱処理に障害となるHzを他のセンサによって検出するのでは無く、熱処理されるアモルファス磁性ワイヤを用いて検出するものである。そのため、アモルファス磁性ワイヤの軸方向に侵入するHzを正確に計測することができ、逆方向磁界をコイルによって発生させほぼ完全に打ち消すことが可能となる。そしてその状態を維持しつつ当該アモルファス磁性ワイヤを熱処理する。
前記ワイヤ軸方向磁界の計測では、アモルファス磁性ワイヤに直流通電するバイアス電流を正または負の何れか1方向として入出力特性曲線を計測し、前記バイアス電流の極性を反転して入出力特性曲線を計測し、2つの入出力特性曲線の交点からワイヤ軸方向磁界を推定するようにしてもよい。
キャンセル電流を算出するために必要なHzを計測する方法として、非特許文献1に述べられている方法を利用することができる。非特許文献1では、バイアス電流の極性を反転するとセンサの感度の極性が反転することが述べられている。そのため、バイアス電流を正として、試験的に与えた磁界に対する応答から実験的に求めた入出力特性と、バイアスを負として同様に求めた入出力特性は必ず交差する。センサを磁気シールドの中において外部の磁界を遮断した場合は、その交差点は入力磁界が0のときの電圧(オフセット)に対応する。Hzが存在すると、入出力特性平面上での交点の高さ方向の位置(出力電圧)は同じであるが、入力軸に平行に上で−Hzだけ移動する。本発明の構成で、熱処理対象のアモルファス磁性ワイヤをセンサのコアとして利用して上記と全く同じ操作をして2つの入出力特性の交点を求め、Hzを求めることができる。
なお、非特許文献1では、センサを形成するための構成要件として、アモルファス磁性ワイヤに直流電流を通電する必要があるが、本発明では、アモルファス磁性ワイヤにその円周方向に磁気異方性を与えるために用いられる比較的大きな直流電流(例えば200 mA(ミリアンペア)程度)を有効に活用することができる。
本発明の第2の態様によるアモルファス磁性ワイヤ通電熱処理装置は、熱処理されるアモルファス磁性ワイヤに極性を切り替えられる直流電流を通電する直流電源と、前記直流電流よりも小さい交流電流を前記アモルファス磁性ワイヤに通電する交流電源と、前記アモルファス磁性ワイヤの周囲に巻回され、前記アモルファス磁性ワイヤ内の交流磁束を検出するソレノイドコイルと、前記交流磁束による誘起電圧を同期検波する同期検波回路と、前記ワイヤの軸方向磁界を計測し、測定された前記ワイヤの軸方向磁界を打ち消すためのキャンセル電流を前記ソレノイドコイルに流すキャンセル電流回路と、を備える。
本発明は、コアとして熱処理されたアモルファス磁性ワイヤを採用するフラックスゲートセンサ内のオフセットを低許容レベルに維持するのに有効であることを示している。更に、通電熱処理を行い、磁気異方性を円周方向のみに付与することができれば、入力磁界がゼロの場合、誘起電圧もゼロになり、より精密にオフセットを除去できるだけでなく、磁気雑音も大幅に低減させるという効果を奏する。
なお、熱処理時に磁気異方性を付与しておけば、熱処理時に印加した温度以上の環境にならない限り、この円周方向のみの磁気異方性は維持されるという効果を奏する。
アモルファスワイヤの円形のMHループ(アモルファス磁性ワイヤの製造後熱処理を施していないもの(アズキャスト)と、60分間200℃で熱処理後) 大きなDC電流が流れる際のアモルファス磁性ワイヤの磁化 アモルファス磁性ワイヤの磁化Mの方向 基本波直交フラックスゲートのHz= 0とHz= 20 A/mでの熱処理後の特性 基本波直交フラックスゲートにおける、熱処理中のアモルファス磁性ワイヤに軸方向にHzが加わる場合のオフセットの依存性 本発明の実施の形態にかかるアニーリングのための支持体(上面図) 本発明の実施の形態にかかるアニーリングのための支持体(底面図) 本発明の実施の形態にかかる電気回路 本発明の実施の形態にかかる熱処理法を用いた場合の熱処理前後のVRe対Hzのプロット 従来の熱処理法を用いた場合の熱処理前後のVRe対Hzのプロット
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本実施形態は、アモルファス磁性ワイヤに作用する有効Hzがゼロである時の状態を識別することに基づいている。なお、以下に示す数値は一例であり、これに限定されるものではない。
アモルファス磁性ワイヤがIdc =200mAで円周方向に飽和しており、及びIac= 5mA、30kHzによってわずかに磁化を回転させる。
すべての実用的な目的のために、このように小さなIacは、深く飽和し続けるアモルファス磁性ワイヤの飽和を妨げるものではない。
ロックインアンプは、30 kHzである基本周波数でキャンセルコイル(ソレノイドコイル)に誘起される電圧の実部VReを返す。
図6と図7に示すように、アモルファス磁性ワイヤを、アルミニウムの支持体に取り付ける。支持体には、強磁性体ではないアルミニウムを用いている。アモルファス磁性ワイヤの終端は非磁性ネジで接続されたアルミニウムの2つのクリップで、支持体上にプレスされている。
支持体には、熱がどの方向からも一様にアモルファス磁性ワイヤに到達できるように中央に大きなギャップを設けている。
ガラス毛細管は、難燃性セロハンテープによってこのギャップ中に浮かせて置かれ、非エナメル銅線のコイルが、その周りに巻かれている。
熱処理熱がアモルファス磁性ワイヤに到達できるよう、このコイルは広い間隔を開けて巻かれている。
支持体の終端は、支持体でアモルファス磁性ワイヤを短絡させないように、アモルファス磁性ワイヤと支持体との間の電気的な接触を避けるために、難燃性セロハンテープで覆われている。電気接点は、クリップとアモルファス磁性ワイヤの間にある。ネジと支持体との間の接触を避けるために、支持体の穴を、ネジの直径よりも大きくしている。
図8に電気回路を示す。
直流電流Idcは、抵抗Rと直列に設けられた直流電源5を用いてアモルファス磁性ワイヤ2に注入され、Idcの極性は、スイッチ6によって反転することができる。
更に、交流電流Iacも抵抗RとコンデンサCと直列に設けられた波形発生器(交流電源)7を使用してアモルファス磁性ワイヤ2に注入される。コンデンサCは、交流電源7へのIdcの流れ込みをブロックする。アモルファス磁性ワイヤ2を流れる全電流は小さな直列抵抗Rの電圧を取得することによって測定される。
ac << Idcとする必要があり、例えば、Idc = 200 mA、およびIac = 5 mA(周波数F= 30 kHz)とする。
抵抗Rと直列に接続された直流電源8は、ソレノイドコイル4の内部に補償磁場Hzを生成するために、ソレノイドコイル4に直流電流ICOILを発生させるのに使用される。ICOILは、ワイヤ軸方向磁界を打ち消すためのキャンセル電流であり、直流電源8と抵抗Rとの組み合わせを含む回路は、キャンセル電流回路の一例に該当する。
コンデンサCは、ロックインアンプ(Lock-in amplifier)9にICOILが流れ入るのを回避するために使用されている。コンデンサCとロックインアンプ9とを含む回路は、同期検波回路の一例に該当する。
或いは、補償磁場Hzは、アモルファス磁性ワイヤ2の周囲に追加のコイルを形成して、生成されるようにしてもよい。
本発明実施の手順は次の通りとなる。
(1)炉内で、支持体に載せて、アモルファス磁性ワイヤを挿入する。
(2)Idc = +200mAとIac= 5 mA、30 kHzの電流を注入する。
(3)ゆっくりと、正と負の両方の値に広範囲に及んでICOILを変化させる。
同時に、キャンセルコイルに誘起される30 kHz電圧波形をロックインアンプに入力しその出力VReを記録する。
(4)Hz_cancelをICOILとコイルの巻線密度nの積として計算し,VRe対Hz_cancelをグラフにプロットする。
(5)Iacを変更することなく、Idcの極性を切り替える。アモルファス磁性ワイヤの電流は、その時、Idc = - 200 mA、及びIac = 5mA 、30 kHzである。
(6)再び、徐々にゆっくりと、ICOILを正と負の両方の値に広範囲に及んで変化させ、同時にVReを記録する。
(7)再び、Idc = +200 mAで得られた前のグラフと一緒に、Idc = - 200 mAの場合のVRe対Hz_cancelをグラフにプロットする。
(8)2つのグラフの交点ポイント(縦軸高さをVRE-crossとする)により、アモルファス磁性ワイヤに加わる軸方向の磁界HzをゼロにするICOILの調整点を決める。グラフの傾きをKとすると、VRE-cross×1/K=Hz (=Hz_cancel).
zを丁度キャンセルするICOIL-crossはHz_cancel =n×ICOIL-crossより求める。ここで、nはターン数/巻線区間長(m)で計算される巻線密度である。
軸方向磁場の補償は、2つの異なるアプローチでそれを行うことができる。
(9a)炉を動かし、1から8までの手順を繰り返し、交差ポイントがICOIL = 0になるよう繰り返す。
この方法では、キャンセルコイルに電流が流れなくなると、アモルファス磁性ワイヤ上の有効な軸方向の磁場がゼロになるという効果を奏する。
(10a)ICOIL = 0に設定し、アニーリングを行う。
或いは、炉を移動することが現実的に不可能である場合、
(9b)交差ポイントが発生した場所のHzを生成する値ICOIL-crossにICOILを設定する。
(10b)ICOIL =ICOIL-crossを維持し、アニーリングを行う。
COIL-crossは、Hzの大きさによって定まる定数である。
図9に、本発明による提案手法の熱処理前後、正と負のIdc時のVRe対Hzのプロット結果を見ることができる。感度は明らかに、熱処理により作成された大きな円形の異方性により、熱処理後には減少するが、交差ポイントは移動しない。このアモルファス磁性ワイヤによるセンサのオフセットは、無視できることを示している。
逆に、本発明の方法を使用していない従来の熱処理の場合は、図10に示すように、アモルファス磁性ワイヤに作用する有効Hzは、容易に、より高いまたはより大きな値に交差ポイントを移動するのに十分な大きさとすることができる。熱処理することにより交差ポイントがシフトアップし、このようなアモルファス磁性ワイヤはフラックスゲートのコアとして使用される時に、大きなオフセットにつながる。
この方法を用いて、アニーリング中に生じたオフセットを削減することができた。150℃で45分間、Idc =200mAで、24個のアモルファス磁性ワイヤを熱処理した。そして、ダブルIコアで12個のセンサを作った。その際のオフセットの平均は -630 nT(ナノテスラ)となった。
また、別の24個のアモルファス磁性ワイヤは150℃で10分間熱処理し、オフセットの平均は490 nTであった。図5より、ごくわずかのHzでも、磁界センサにオフセット10〜15μT(マイクロテスラ)を生じさせることから、これに比較すると大幅にオフセットを低減できたことがわかる。
これは、本発明の方法は、コアとして熱処理されたアモルファス磁性ワイヤを採用するフラックスゲート内のオフセットを、低許容レベル(略ゼロ)に維持するのに有効であることを示している。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
1 支持体
2 アモルファス磁性ワイヤ
3 ガラス毛細管
4 ソレノイドコイル(キャンセルコイル)
5、8 直流電源
6 スイッチ
7 波形発生器(交流電源)
9 ロックインアンプ

Claims (3)

  1. 熱処理されるアモルファス磁性ワイヤに極性を切り替えられる直流電流を通電し、
    前記直流電流よりも小さい交流電流を前記アモルファス磁性ワイヤに通電し、
    前記アモルファス磁性ワイヤの周囲に巻回されたソレノイドコイルにより、前記アモルファス磁性ワイヤ内の交流磁束を検出し、
    前記交流磁束による誘起電圧を同期検波し、
    前記ワイヤの軸方向磁界を計測し、測定された前記ワイヤの軸方向磁界を打ち消すためのキャンセル電流を前記ソレノイドコイルに流す、
    アモルファス磁性ワイヤ通電熱処理方法。
  2. 前記ワイヤ軸方向磁界の計測では、
    アモルファス磁性ワイヤに直流通電するバイアス電流を正または負の何れか1方向として入出力特性曲線を計測し、
    前記バイアス電流の極性を反転して入出力特性曲線を計測し、
    2つの入出力特性曲線の交点からワイヤ軸方向磁界を推定する、請求項1に記載のアモルファス磁性ワイヤ通電熱処理法。
  3. 熱処理されるアモルファス磁性ワイヤに極性を切り替えられる直流電流を通電する直流電源と、
    前記直流電流よりも小さい交流電流を前記アモルファス磁性ワイヤに通電する交流電源と、
    前記アモルファス磁性ワイヤの周囲に巻回され、前記アモルファス磁性ワイヤ内の交流磁束を検出するソレノイドコイルと、
    前記交流磁束による誘起電圧を同期検波する同期検波回路と、
    前記ワイヤの軸方向磁界を計測し、測定された前記ワイヤの軸方向磁界を打ち消すためのキャンセル電流を前記ソレノイドコイルに流すキャンセル電流回路と、
    を備えるアモルファス磁性ワイヤ通電熱処理装置。
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