JP6885538B2 - 磁界センサ - Google Patents

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Description

本発明は、バイアス用に直流電流を通電すると共に、この直流電流の極性を周期的に切り替えて外部の磁界を測定する磁界センサに関する。
環境磁界には、電気機器の稼働、電源ラインなどの電流によるもの、電車やエレベータ等の磁性体の移動によるもの、地球が発生する地磁気などがある。地震や火山噴火予知、地磁気逆転のメカニズム解析における地球物理学調査や磁気シールドルーム設計時の最低限必要なシールド性能を決定するなどのケースで環境磁場計測がおこなわれている。
フラックスゲートセンサは、室温で動作する高感度・高分解能な磁界センサである。広いダイナミックレンジをもち、磁界をベクトル成分として測定可能であることから環境磁界測定に用いられている。環境磁場測定では、直流から数Hzの低周波磁界を対象として測定することがあり、この場合、1/f雑音が小さく、低オフセットかつ直流安定性の良いセンサが求められる。
非特許文献1に開示される基本波型直交フラックスゲートセンサ(FM−OFG)は、磁性コアを変調する励磁磁界と、測定対象のコアへ入力される磁界が互いに直交関係である直交フラックスゲートの一種である。FM−OFGは、交流励磁に加えて、これの振幅よりも大きな直流バイアス磁界を重畳して励磁することで、磁気変調された入力磁界の大きさは、検出コイルに励磁交流の基本波と同じ成分として現れる。非特許文献2に示すように、この大きな直流バイアス磁界により、磁壁の不連続な移動により生じるバルクハウゼン雑音が低減されるため、センサのノイズは1Hzにおいて3pTと低雑音である。基本波型直交フラックスゲートは、コア内部の磁気異方性の影響により磁化の一部がコアの長手方向に傾斜し、入力がない状態でも出力にオフセットが生じ、ドリフトする問題がある。
これまでにFM−OFGのオフセット抑制方法として、バイアススイッチングと呼ばれる手法が提案されている(非特許文献3、4及び特許文献1を参照)。バイアススイッチングは、磁性コアを励磁する直流電流又は交流、直流両方の通電方向を切り替えることにより、センサの出力に現れるオフセットと入力磁界に対する感度の極性を任意に切り替える方法であり、検出コイルに現れる誘起電圧を同期検波した後加算又は引き算することで、オフセット及び温度や時間変化に対するオフセットの変動を抑制することができる(非特許文献5を参照)。
また、検出コイルに鎖交する磁束を常に最小にするクローズドループ構成の検出回路を利用した技術として、例えば、特許文献2に示す技術が開示されている。
特許第4209114号 特開2015−197401号公報
Ichiro. Sasada: "Orthogonal fluxgate mechanism op-erated with dc biased excitation," J.Appl.Phys.91, No.10, pp.7789-7791, 2002 E. Paperno: "Suppression of magnetic noise in the fundamental-mode orthogonal fluxgate", Sensors and Actuators, A 116, pp.405-409, 2004 I. Sasada and T. Usui: "Orthogonal Fluxgate Magnetometer Utilizing Bias Switching for Stable Operation", IEEE Sensors 2003, pp.468-471, 2003 I. Sasada and H. Kashima: "Simple design for orthogonal fluxgate magnetometer in fundamental mode", The magnetics society of Japan, 33 pp.43-45, 2009 M. Butta, I. Sasada, and M. Janosek: "Temperature dependence of offset and sensitivity in orthogonal fluxgate operated in fundamental mode" ,IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS, 48, No.11, pp.4103-4106 2012
しかしながら、上述したバイアススイッチングでは、周期的に大きな直流バイアス磁界の極性を反転させるため、磁壁の不連続な移動が生じ、センサの雑音が増加してしまうという問題がある。また、クローズドループ構成の検出回路を利用した場合に、センサ出力の線形性が向上するが、これにバイアススイッチングを適用すると最適なフィードバック動作がおこなわれず、雑音が増加してしまうという問題がある。
本発明は、低周波磁界を精度良く測定するため、バイアススイッチング適用時に生じる雑音を抑制するFM−OFGの駆動回路を提供する。
本発明に係る磁界センサは、励磁用の交流電流及びバイアス用の直流電流が重畳されて通電される磁気コアに、検出コイルが巻回されたセンサヘッドと、前記センサヘッドに接続され、当該センサヘッドで測定された磁界をフィードバック電流で検出する検出回路と、少なくとも前記バイアス用の直流電流の極性を切り替える第1切替手段と、前記第1切替手段にて切り替えられる正極性に対応し、検出された前記信号に所定の電圧を印加する正極用電圧印加手段と、前記第1切替手段にて切り替えられる負極性に対応し、検出された前記信号に所定の電圧を印加する負極用電圧印加手段と、前記正極用電圧印加手段と前記負極用電圧印加手段との接続の切り替えを前記第1切替手段に同期して行う第2切替手段とを備えるものである。
このように、本発明に係る磁界センサにおいては、励磁用の交流電流及びバイアス用の直流電流が重畳されて通電される磁気コアに、検出コイルが巻回されたセンサヘッドと、前記センサヘッドに接続され、当該センサヘッドで測定された磁界をフィードバック電流で検出する検出回路と、少なくとも前記バイアス用の直流電流の極性を切り替える第1切替手段とを備え、この第1切替手段の極性の切り替え周期に応じて、測定された信号の電流値の加算をそれぞれ切り替えて行うため、第1切替手段が正極性に切り替えた場合の検出された信号への適正な電圧の印加と、負極性に切り替えた場合の検出された信号への適正な電圧の印加をそれぞれ個別に行うことが可能となり、正極性と負極性の何れの場合も、瞬時にフィードバックループを最適化かつ安定化させることができ、フィードバック動作の不安定な動作及びそれに起因する雑音の増加を抑制することができるという効果を奏する。
本発明に係る磁界センサは、前記第1切替手段にて切り替えられる正極性に対応し、前記励磁用の交流電流の位相を調整する正極用位相調整手段と、前記第1切替手段にて切り替えられる負極性に対応し、前記励磁用の交流電流の位相を調整する負極用位相調整手段と、前記正極用位相調整手段と前記負極用位相調整手段との接続の切り替えを前記第1切替手段に同期して行う第3切替手段とを備えるものである。
このように、本発明に係る磁界センサにおいては、第1切替手段の極性の切り替え周期に応じて、励磁用の交流電流の位相調整をそれぞれ切り替えて行うため、第1切替手段が正極性に切り替えた場合の処理と、負極性に切り替えた場合の処理とを独立した別処理として行うことが可能となり、正極性と負極性との間の遷移で生じるフィードバックループの不安定化をなくして極めて高性能な磁界センサを実現することが可能になるという効果を奏する。
本発明に係る磁界センサは、前記第1切替手段が、前記バイアス用の直流電流に前記励磁用の交流電流が重畳された電流の極性を切り替えるものである。
このように、本発明に係る磁界センサにおいては、第1切替手段が、バイアス用の直流電流に励磁用の交流電流が重畳された電流の極性を切り替えるため、1つの直流電源と1つの交流電源のみで極性を切り替えることが可能となり、装置構成を簡略化することができるという効果を奏する。
本発明に係る磁界センサは、前記検出回路が、前記第1切替手段の切り替え周期よりも早い周期で当該検出回路を切断する第4切替手段を有するものである。
このように、本発明に係る磁界センサにおいては、第1切替手段の切り替え周期よりも早い周期で当該検出回路を切断する第4切替手段を有するため、極性の切り替え時に発生するノイズを、極性の切り替えが発生した瞬間に検出回路を所定期間切断することで除去することが可能になるという効果を奏する。
基本波型直交フラックスゲートの動作及びオフセット発生原因を示す第1の図である。 基本波型直交フラックスゲートの動作及びオフセット発生原因を示す第2の図である。 基本波型直交フラックスゲートの動作及びオフセット発生原因を示す第3の図である。 磁界センサの回路図である。 入出力曲線及び周波数応答の測定結果を示す図である。 センサの雑音及び長期安定性評価の実験セットアップを示す図である。 所定の帯域で雑音密度を測定した結果と、これの時間波形を示す図である。 室温中で21時間のドリフト測定をおこなった結果を示す図である。 温度ドリフト測定の実験セットアップを示す図である。 温度変化に対するオフセット変動の測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る磁界センサについて、図1ないし図4を用いて説明する。基本波型直交フラックスゲートの動作及びオフセット発生原因を図1〜図3を用いて説明する。図1は、磁性ワイヤコアの回転磁化モデルを示す図である。磁性ワイヤに直流電流Idcを重畳した交流電流Iacsin(2πft)(Idc>|Iac|)を通電すると、ワイヤの円周方向に励磁磁界Hdc+Hacsin(2πft)が発生する。フラックスゲートへの入力磁界HexをHex>0とし、励磁磁界の直流及び交流をHacsin(2πft)+Hdcとしたときの磁化Jの振る舞いを図1(A)、Hacsin(2πft)−Hdcとしたときの磁化Jの振る舞いを図2(A)、Hacsin(2πft+π)−Hdcとしたときの磁化Jの振る舞いを図3(A)に示す。また、入力磁界をHex=0としたときの、それぞれの励磁条件での振る舞いを図1(B)、図2(B)及び図3(B)に示す。
ここで、磁性ワイヤ内に存在する磁気異方性を一軸性と仮定したものをK、このKと円周軸方向との角度をα、θは磁化の円周方向からの回転角を示している。回転磁化モデルでは、磁化Jsは励磁磁界、入力磁界及び磁気異方性から作用を受け、常にこれらのエネルギーが最小となるような角度θの方向を向くものと考える。検出コイルは磁性ワイヤを中心とするソレノイドであり、磁化の軸方向成分Jsin(θ)が鎖交磁束となる。ファラデーの電磁誘導の法則から、誘起電圧eは差交磁束φの時間微分であるので、
Figure 0006885538
と表すことができる。図1(B)の外部磁界Hex=0である場合、磁化Jsのθは、磁気異方性Kの作用によりわずかに軸方向に回転した状態となるため、θ≠0である。この状態から、磁化は励磁Hacsin(2πft)の作用により回転し、検出コイルでは磁束変化によるオフセットとして現れる。
ここで、温度変動に対するセンサの応答を考える。仮に、温度の影響によりJの回転角度θが位置を変え、温度に起因するオフセットが現れても、これは上記と同様の性質をもち、励磁条件で極性を変えることができる。つまり、バイアス切り替え前後での温度変化量が同量であれば、その間に通電方向を切り替えたオフセットの量の絶対値は同じである。したがって、バイアススイッチング法を適用することで温度変動に対する温度オフセットドリフトを抑制できる。下記の表1に、直流励磁Hdc及び交流励磁Hac極性をそれぞれ変えた場合、出力に生じる感度成分及びオフセット成分の極性対応を示す。
Figure 0006885538
図4は、磁界センサの回路図である。図4(A)は、直流バイアス及び交流極性を切り替える加算構成のバイアススイッチング回路を示し、図4(B)は、図4(A)の磁界センサを低雑音化する本実施形態に係るバイアススイッチング回路を示している。これらの回路は、スイッチング周波数fHzで直流バイアス及び交流極性を切り替え、出力に現れる誘起電圧を同期検波後の平滑化フィルタで加算することでオフセット成分を除去し、外部磁界に対する感度を得る構成である。
具体的には、図4(B)において、磁界センサ1は、バイアス用の直流電源10と、この直流電源に接続される励磁用の交流電源11と、直流電源10から供給される直流電流と交流電源11から供給される交流電流とを重畳した励磁電流の極性を切り替える第1のスイッチ12と、第1のスイッチ12の切り替え極性に対応して、正極性の場合に交流電源11の位相を調整する正極性位相シフタ11aと、第1のスイッチ12の切り替え極性に対応して、負極性の場合に交流電源11の位相を調整する負極性位相シフタ11bと、第1のスイッチ12の切り替え周期に同期して、正極性位相シフタ11aと負極性位相シフタ11bとの接続を切り替える第3のスイッチ11cと、これらの励磁電流が供給される磁気コア13及びこの磁気コアに巻回される検出コイル14からなるセンサヘッド15と、検出コイル14の一端に接続される負帰還構成の検出回路16とを備える。
なお、本実施形態に係る磁界センサ1は、磁気コア13に細い磁性ワイヤをヘアピン状に曲げて用い、交流電流(励磁電流)が直接ワイヤに通電され、検出信号が磁性ワイヤの周囲に巻かれた検出コイル14の誘起電圧として検出されるものであり、磁性ワイヤの円周方向に現れる励磁磁界とワイヤ方向(ワイヤ軸方向)である検出磁界とが直交関係にある直交フラックスゲートセンサである。また、本実施形態に係る磁界センサ1は、交流励磁電流の振幅より大きな直流電流を重畳することで、検出コイルの出力が交流励磁周波数と同じ基本波の出力で得られる基本波型直交フラックスゲートセンサである。つまり、磁気コア13には、交流電源11から供給される交流電流の振幅より大きい値を有する直流電流が直流電源10から出力され、交流電流に重畳されて供給される。
検出回路16は、検出コイル14の一端に接続され、検出コイル14の信号を増幅するバッファ回路17及びプリアンプ回路18と、プリアンプ回路18の後段側に接続し、検出コイル14からの信号に対して同期整流を行う同期検波回路19と、検出回路16を所定のタイミングで遮断するための第4のスイッチ20と、第4のスイッチ20の後段に接続されるローパスフィルタ21と、ローパスフィルタ21の後段に接続されるエラーアンプ22と、エラーアンプ22の出力信号に電圧調整部23で調整された電圧に応じた所定の電流を加算する加算器24と、加算器24の後段側に接続し、他端側が検出コイル14の一端に接続されている帰還抵抗25とを備える。
なお、エラーアンプ22には、例えば、誤差増幅器や誤差積分器を用いるようにしてもよい。
電圧調整部23は、第1のスイッチ12の切り替え極性に対応して、正極性の場合に出力信号に加算される電流を調整する正極用電源23aと、第1のスイッチ12の切り替え極性に対応して、負極性の場合に出力信号に加算される電流を調整する負極用電源23bと、第1のスイッチ12の切り替え周期に同期して、正極用電源23aと負極用電源23bとの接続を切り替える第2のスイッチ23cとを備える。
上述したように、第1のスイッチ12、第2のスイッチ23c及び第3のスイッチ11cは、いずれも第1のスイッチ12の切り替え周期に同期しており(fHz)、第4のスイッチ20は、第1のスイッチ12よりも早い周期で切り替えられるようになっている(例えば、2fHz)。
なお、図4(B)においては、直流電源10の電流と交流電源11の電流とを加重した電流に対して、第1のスイッチ12により極性の切り替えを行っているが、直流成分のみについて極性を切り替えるようにしてもよい。この場合、例えば、正方向に電流を供給する直流電源と負方向に電流を供給する直流電源とをそれぞれ2つ用意し、その接続を切り替えるようにしてもよい。さらに、この場合、検出回路16において、位相を180度変えるか、出力に−1を乗算するようにしてもよい。
大きな直流励磁磁界を周期的に切り替える図4に示すようなバイアススイッチングでは、スイッチング周期でワイヤコアの磁壁移動が生じるため、バイアススイッチングをおこなわないFM−OFGと比べて雑音が増加する。しかし、磁壁移動に伴い生じる雑音はスイッチング直後の一定期間に集中して発生するため、この部分を除けば従来のFM−OFGと同様の雑音特性が得られる。この特徴を生かし、高分解能かつ高速なAD変換機で誘起電圧を取り込み、デジタル処理で雑音部分の信号を排除することで、バイアススイッチング動作で低雑音化できるとの報告がされている(参考文献1:E. Weiss and E. Paperno: “Noise investigation of the orthogonal fluxgate employing alternating direct current bias”, J. Apl. Phys. 109, 07E529, doi:10.1063/1.3562979, 2011)。本実施形態においては、このような高価なAD変換機を用いずに、アナログ回路部のみでスイッチングに伴って生じる雑音を低減する為、バイアスを切り替えた瞬間に信号を一時的に遮断する第4のスイッチ20を追加している。例えば、上述したように、第4のスイッチ20を周波数2fで動作させることで、バイアス切り替え直後からスイッチング周期の半周期分だけ検出回路16を切断して信号を遮断し、残りの半周期をフィードバック回路にもどす一種のサンプル回路となっている。
検出回路16のクローズドループ回路は、エラーアンプ22が常に検出コイル14に鎖交する磁束を最小にするようなフィードバック電流を流すため、センサ入出力特性の線形性誤差が低減される。また、フィードバックループ内の同期検波回路19の位相調整により、センサの最適な動作点を探る事ができ、最良な位相条件ではセンサの雑音が低減できることが報告されている(参考文献2:H. Karo, K. Shimoda, Y. Maeda and I. Sasada: “The First 36 Channel Fluxgate-Sensor-Array for the MCG Measurement”, IEEEJ Transactions on Sensors and Micromachines. 136, No.6, pp.224-228, DOI:10.1541/ieejsmas.136.224, 2016)。
ところが、クローズドループ回路にバイアススイッチングを適用すると、正および負のバイアス通電時に現れる異なる特性の誘起電圧の平滑値がエラーアンプに入力されるため、結果として最適な条件とは異なったフィードバック電流が流れ、フィードバック系が不安定となり雑音が増加する。改善策のひとつにフィードバックループの信号通過帯域を広げ、それぞれバイアス区間で得られた誘起電圧相当をそのままエラーアンプに入力する方法が考えられる。しかし、この方法ではゲインが高くなり、フィードバック系が不安定になりやすいため、出力が飽和する問題がある。
そこで、本実施形態においては、図4(B)の回路図に示したように、正と負のバイアス区間それぞれを独立に考え、それぞれで最適なフィードバックを与えるために加算器24及び選択性の位相シフタ11a,11bを設けている。加算器24には周波数fで切り替わる第2のスイッチ23cが接続されており、スイッチが正極性位相シフタ11aに接続されると、正のバイアス励磁区間で得られた信号に任意の大きさをもつ直流を加算し、スイッチが負極性位相シフタ11bに接続されると、負のバイアス励磁区間で得られた信号に任意の大きさをもつ直流を加算する。
このように双方のバイアス励磁区間で得られる信号に対してフィードバック条件を最適化しておけば、それぞれのバイアス励磁区間で得られる信号に対して上述の加算器24を用いる事で、容易に誘起電圧の変化に追従する補償をおこなうことができる。したがって、フィードバック系の発振を抑え、動作を安定化することができる。また、励磁側の2つの位相シフタも周波数fで切り替わる第3のスイッチ11cが接続されており、正と負それぞれのバイアス通電時で最適な位相φ1及びφ2が設定できる。
なお、本実施形態においては、17mArms(30kHz)の正弦波交流に、50mAの直流バイアスを重畳し磁気コア13に通電することで励磁し、バイアススイッチング周波数をf=2kHzとして作製したが、これに限定されるものではない。
前記第1の実施形態に係る磁界センサを製作し、感度、雑音特性、オフセット安定性を評価した。
(1)感度評価
ヘルムホルツコイル内に配置したFM−OFGセンサに、既知磁場を印加することで入出力特性を評価した。入出力曲線及び周波数応答の測定結果を図5に示す。図5に示すように、極めて良好な入出力曲線及び周波数応答を得ることができ、感度が高いことが明確となった。
(2)雑音評価
センサの雑音及び長期安定性評価の実験セットアップを図6に示す。5層の磁気シールド内にセンサヘッドを配置し、FFTアナライザ(SR780,Stanford Research Systems)を用いて測定をおこなった。
図7に3.9mHz〜3.125Hz及び31.25mHz〜25Hzのそれぞれの帯域で雑音密度を測定した結果と、これの時間波形を示す。測定はDC結合であるが、FFTの分析ライン数は800であるため、それぞれの測定帯域における低周波側の雑音密度は正確ではない。0.1Hzにおける雑音密度は、20pT/√Hz,1Hzにおける雑音密度は12pT/√Hzである。雑音対策が施されていない従来のバイアススイッチ回路では、1Hzにおける雑音密度は約40pT/√Hzであり、およそ1/4まで雑音を低減することができている。また、バイアススイッチングにより1/f雑音も低減できている。
(3)オフセット変動評価
長期ドリフトは、雑音評価と同じ環境にてセンサ出力をデジタルマルチメータ(34401A,Agilent)に接続して測定をおこなった。室温中で21時間のドリフト測定をおこなった結果を図8に示す。20時間で約2nTの変動であり、時間に対するオフセットの変動係数は0.1nT/hourであった。
図9に温度ドリフト測定の実験セットアップを示す。温度ドリフトは、下蓋付きの円筒磁気シールド内にセンサヘッドを配置し、センサ出力をデジタルマルチメータにて測定した。内部全体温度をできる限りゆるやかに変化させるために、磁気シールドの周囲を発砲スチロールで覆っている。センサヘッドの温度を測定するために、非磁性のE−type熱電対(クロメル/コンスタンタン)をセンサヘッドの養生に用いたものと同じプラスティックケースに挿入し、熱伝導率の高い窒化アルミニウム板の上に試験用センサと並べて固定した。熱電対に生じる熱起電力は、もう一台のデジタルマルチメータを用いて測定した。磁気シールド内の温度は、抵抗体に電流を流す事で生じるジュール熱により変化させた。加熱抵抗体へ通電する電流により生じる磁界を試験用センサに与えないよう、抵抗体を窒化アルミニウム板のセンサから離れた場所に配置し、センサの帯域以上(>10Hz)の正弦波(1kHz)をファンクションジェネレータで発生させ、パワーアンプを介して通電した。ファンクションジェネレータを計測システム開発ソフトウェアLab−VIEWで制御し、抵抗体に通電する電流量を自動的に調節している。温度上昇の割合はほぼ一定であり、約1時間で室温の25℃から50℃まで変化させた。温度変化に対するオフセット変動の測定結果を図10に示す。
図10に示すように、25℃から32℃の温度範囲では、センサのオフセット変動は約0.5nT程度と非常に小さく、良好な結果が得られた。しかし、32℃以上の温度でオフセットが右肩下がりに変動する傾向が見られた。測定結果の最も変動が大きな範囲で温度係数を求めると約0.4nT/℃である。通常のバイアススイッチング処理無しのFM−OFGセンサは、温度係数は数十nT/℃あり、およそ1/100まで抑制できている。
以上のように、バイアススイッチングを適用した場合に生じる雑音を低減するために、スイッチング時に瞬間的に生じる雑音を遮断するサンプル回路を取り入れ、また、正と負のバイアス極性それぞれの励磁区間で独立に最適なフィードバックが働くように、加算器及び位相シフタを備える構成とすることで、本発明に係る磁界センサは、良好な雑音特性が得られ、オフセット抑制効果も得ることが可能である。
1 磁界センサ
10 直流電源
11 交流電源
11a 正極性位相シフタ
11b 負極性位相シフタ
11c 第3のスイッチ
12 第1のスイッチ
13 磁気コア
14 検出コイル
15 センサヘッド
16 検出回路
17 バッファ回路
18 プリアンプ回路
19 同期検波回路
20 第4のスイッチ
21 ローパスフィルタ
22 エラーアンプ
23 電圧調整部
23a 正極用電源
23b 負極用電源
23c 第2のスイッチ
24 加算器
25 帰還抵抗

Claims (4)

  1. 励磁用の交流電流及びバイアス用の直流電流が重畳されて通電される磁気コアに、検出コイルが巻回されたセンサヘッドと、
    前記センサヘッドに接続され、当該センサヘッドで測定された磁界をフィードバック電流で検出する検出回路と、
    少なくとも前記バイアス用の直流電流の極性を切り替える第1切替手段と、
    前記第1切替手段にて切り替えられる正極性に対応し、正のバイアス励磁区間で得られた信号に任意の大きさをもつ第1の直流を加算してフィードバック条件を最適化する正極用電圧印加手段と、
    前記第1切替手段にて切り替えられる負極性に対応し、負のバイアス励磁区間で得られた信号に任意の大きさをもつ第2の直流を加算してフィードバック条件を最適化する負極用電圧印加手段と、
    前記正極用電圧印加手段と前記負極用電圧印加手段との接続の切り替えを前記第1切替手段に同期して行う第2切替手段とを備えることを特徴とする磁界センサ。
  2. 請求項1に記載の磁界センサにおいて、
    前記第1切替手段にて切り替えられる正極性に対応し、前記励磁用の交流電流の位相を調整する正極用位相調整手段と、
    前記第1切替手段にて切り替えられる負極性に対応し、前記励磁用の交流電流の位相を調整する負極用位相調整手段と、
    前記正極用位相調整手段と前記負極用位相調整手段との接続の切り替えを前記第1切替手段に同期して行う第3切替手段とを備えることを特徴とする磁界センサ。
  3. 請求項1又は2に記載の磁界センサにおいて、
    前記第1切替手段が、前記バイアス用の直流電流に前記励磁用の交流電流が重畳された電流の極性を切り替えることを特徴とする磁界センサ。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の磁界センサにおいて、
    前記検出回路が、前記第1切替手段の切り替え周期よりも早い周期で当該検出回路を切断する第4切替手段を有することを特徴とする磁界センサ。
JP2016237968A 2016-12-07 2016-12-07 磁界センサ Active JP6885538B2 (ja)

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