JP2019126795A - 塗布方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的少量の溶剤および高粘度薬液で、円形基板上に薬液膜を厚く形成しつつ、円形基板の表面に形成された凹部に薬液膜を満たすことができる塗布方法を提供する。【解決手段】円形基板Wの第2速度の回転によって、第1薬液C1は、基板Wの溶剤膜SL上に隙間なし渦巻き状に置かれている。円形基板Wの回転は第1薬液C1と第2薬液C2とをそれぞれ広げる。第1薬液C1は、第1薬液C1よりも高粘度の第2薬液を引っ張るので、第2薬液C2を広げることを補助する。また、第2薬液C2は、第2薬液C2よりも低粘度の第1薬液C1上に置かれており、円形基板Wの表面に形成された凹部Hには溶剤SLが入っている。そのため、円形基板Wの回転によって、第2薬液C2よりも容易に、第1薬液C1が凹部Hに入り込ませることができる。【選択図】図13

Description

本発明は、半導体基板、液晶表示器や有機EL(electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用の基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等の基板上に、高粘度の薬液を用いて厚膜を塗布する塗布方法に関する。
塗布装置は、円形基板を保持して回転させる保持回転部と、保持回転部で保持された円形基板の上方に配置され、円形基板上に薬液を供給するノズルとを備えている(例えば、特許文献1,2参照)。塗布装置は、円形基板を低速で回転させながら、ノズルから円形基板上に薬液を供給する。その後、塗布装置は、円形基板を高速で回転させる。これにより、円形基板上に所定の厚みで薬液膜(薄膜)を形成する。
また、特許文献3には、次のような液処理方法が開示されている。第1回転数で基板を回転させる。そして、基板の回転中心までの距離が基板の半径に対して0%を超え40%以下である位置であって基板表面の位置に、処理液の供給を開始する。そして、処理液の供給位置を移動させる。処理液の供給位置が回転中心に到達した後に、処理液を供給しながら、第1回転数よりも大きい第2回転数で基板を回転させる。これにより、処理液を基板の外周側に塗り広げる。すなわち、供給開始位置を偏心させることで、気泡混入による処理液の塗布状態が不均一になるおそれを解消させている。なお、処理液の粘度は20〜220cP(centipoise)である。
特開昭60−217627号公報 特許3970695号公報 特許5931230号公報
表面(上面)に凹凸の段差が形成されている円形基板上に薬液膜を厚く形成しながら、円形基板の表面に形成された凹部に薬液を満たしたいという要望がある。しかしながら、1000cP(centipoise)以上の高粘度薬液を用いた場合、円形基板上の全体(全面)に塗布液を広がることができたとしても、高粘度薬液が凹部に入り込みにくいという問題がある。
例えば、円形基板上に溶剤を盛り、薬液に置換する方法がある。この方法において、多量の溶剤と多量の高粘度薬液を用いれば、高粘度薬液膜を厚く形成しつつ、高粘度薬液を凹部に入り込ませることができるかもしれない。しかしながら、この方法は、多量の溶剤と多量の高粘度薬液を浪費するので好ましくない。そのため、比較的少量の溶剤および高粘度によって、円形基板上の薬液膜を厚く形成しつつ、円形基板に形成された凹部に薬液膜を満たすことができる方法が望まれる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、比較的少量の溶剤および高粘度薬液で、円形基板上に薬液膜を厚く形成しつつ、円形基板の表面に形成された凹部に薬液膜を満たすことができる塗布方法を提供することを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る塗布方法は、表面に複数の凹部を有する円形基板を回転させながら、前記円形基板上に溶剤ノズルから溶剤を吐出することにより、前記凹部に溶剤を入れつつ前記円形基板上に溶剤膜を形成する工程と、前記溶剤膜を形成した後に、前記円形基板の半径方向に第1薬液ノズルを移動させながら、前記第1薬液ノズルに対して相対回転する前記円形基板の前記溶剤膜上に前記第1薬液ノズルから第1薬液を吐出することにより、前記円形基板の前記溶剤膜上に第1薬液を隙間なく渦巻き状に置く工程と、前記第1薬液を隙間なく渦巻き状に置いた後に、前記円形基板の中心に向けて前記第1薬液上に、前記第1薬液よりも高粘度の第2薬液を第2薬液ノズルから吐出する工程と、前記円形基板を回転させることにより、前記円形基板の周縁部側に向けて前記第1薬液と前記第2薬液とをそれぞれ広げる工程と、を備えていることを特徴とするものである。
本発明に係る塗布方法によれば、第1薬液は、円形基板の溶剤膜上に隙間なく渦巻き状に置かれている。円形基板の回転は第1薬液と第2薬液とをそれぞれ広げる。第1薬液は、第1薬液よりも高粘度の第2薬液を引っ張るので、第2薬液を広げることを補助する。また、第2薬液は、第2薬液よりも低粘度の第1薬液上に置かれており、円形基板の表面に形成された凹部には溶剤が入っている。そのため、円形基板の回転によって、第2薬液よりも容易に、第1薬液が凹部に入り込ませることができる。その結果、比較的少量の溶剤および高粘度薬液で、円形基板上に薬液膜を厚く形成しつつ、円形基板の表面に形成された凹部に薬液膜を満たすことができる。
また、上述の塗布方法において、前記第1薬液と前記第2薬液とをそれぞれ広げる工程の一例は、記第2薬液ノズルから吐出された前記第2薬液が前記第1薬液上に到達した後に、前記第2薬液を吐出しながら前記円形基板を回転させることである。第1薬液は、第1薬液よりも高粘度の第2薬液を引っ張るので、第2薬液を広げることを補助する。この際、第2薬液ノズルから吐出された第2薬液が順次広がるので、スムーズに第2薬液を広げることができる。
また、上述の塗布方法において、前記第1薬液と前記第2薬液とをそれぞれ広げる工程の一例は、前記第2薬液を予め設定された量だけ吐出して前記第2薬液の吐出を停止した後に、前記円形基板を回転させることである。これにより、第1薬液上に予め設定された量の第2薬液が吐出された状態で、円形基板の回転により第1薬液と第2薬液とをそれぞれ広げることができる。
また、上述の塗布方法において、前記第2薬液ノズルは、円形または正多角形の吐出口を有することが好ましい。第1薬液上に吐出した第2薬液を歪みにくいので、第2薬液を同心円状に均等に広げやすくできる。
また、上述の塗布方法において、前記第2薬液は、前記第1薬液と同じ種類の薬液であることが好ましい。第1薬液と第2薬液は、乾燥後にそれらの区別がつかない一体の膜となる。
また、上述の塗布方法において、前記溶剤膜を形成する工程は、前記円形基板の半径方向に前記溶剤ノズルを移動させながら、回転する前記円形基板上に前記溶剤ノズルから溶剤を吐出することが好ましい。これにより、溶剤ノズルの吐出口と凹部とを対向することができるので、凹部に溶剤が入り込みやすい。
本発明に係る塗布方法によれば、比較的少量の溶剤および高粘度薬液で、円形基板上に薬液膜を厚く形成しつつ、円形基板の表面に形成された凹部に薬液膜を満たすことができる。
実施例に係る塗布装置の概略構成図である。 溶剤ノズル移動機構および2つの薬液ノズル移動機構を示す平面図である。 塗布装置の動作を示すフローチャートである。 (a)は、プリウェット処理を説明するための縦断面図であり、(b)、(c)は、移動吐出工程を説明するための縦断面図である。 (a)は、溶剤の液盛り工程を説明するための縦断面図であり、(b)は、逆移動吐出工程を説明するための縦断面図であり、(c)は、薄膜化工程を説明するための縦断面図である。 第1薬液ノズルの配置および溶剤膜の様子を示す縦断面図である。 (a)、(b)は、リング状に第1薬液を置く工程を説明するための平面図である。 渦巻き状に第1薬液を置く工程を説明するための平面図である。 円形基板における塗布範囲の複数のゾーンの一例を示す平面図である。 各ゾーンの塗布条件の一例を示す図である。 第1薬液ノズルの先端面と円形基板の表面との間のクリアランスを説明するための縦断面図である。 (a)、(b)は、リング状および渦巻き状の第1薬液を置く工程を説明するための縦断面図である。 (a)〜(d)は、第2薬液を吐出する工程および、第1薬液と第2薬液をそれぞれ広げる工程を説明するための縦断面図である。 (a)は、膜厚調整した後の第2薬液膜等の状態を示す縦断面図であり、(b)、(c)は、(a)の変形例を示す縦断面図である。 乾燥(焼成)後の薬液膜を示す図である。 (a)〜(c)は、第1薬液の粘度を説明するための縦断面図である。 第1薬液上に形成した第2薬液の液盛りの様子を示す縦断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は、実施例に係る塗布装置の概略構成図である。図2は、溶剤ノズル移動機構および2つの薬液ノズル移動機構を示す平面図である。
<塗布装置1の構成>
図1を参照する。塗布装置1は、保持回転部2、溶剤ノズル3および2つの薬液ノズル4,5を備えている。なお、薬液ノズル4は本発明の第1薬液ノズルに相当し、薬液ノズル5は本発明の第2薬液ノズルに相当する。
保持回転部2は、円形基板(以下適宜、「基板」と呼ぶ)Wを略水平姿勢で保持して回転させる。保持回転部2は、スピンチャック7と回転駆動部8とを備えている。スピンチャック7は、回転軸AX1周りに回転可能に設けられ、基板Wを保持する。スピンチャック7は、例えば、基板Wの裏面(下面)を真空吸着することにより基板Wを保持するように構成されている。回転駆動部8は、スピンチャック7を回転軸AX1周りに回転させる駆動を行う。回転駆動部8は、例えば電動モータで構成されている。なお、回転軸AX1は、基板Wの中心CTと略一致する。
カップ9は、基板Wおよび保持回転部2の側方を囲うように設けられている。カップ9は、図示しない駆動部により、上下方向に移動するように構成されている。
溶剤ノズル3は、溶剤SLを吐出するものである。溶剤SLとして、例えばシンナー、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、乳酸エチル、IPA(イソプロピルアルコール)が用いられる。基板W上に溶剤SLを吐出してプリウェット処理することで、例えば薬液ノズル4から吐出される第1薬液C1が基板W上に付着しやすくなり、また、基板W上で第1薬液C1が広がりやすくなる。また、溶剤SLによって、第1薬液C1が凹部Hに入りやすくなる。
薬液ノズル4は、第1薬液C1を吐出するものである。薬液ノズル4は、長方形、すなわちスリット状の吐出口4aを有する。吐出口4aが長方形であることで、吐出口4aが円形や正方形の場合に比べて、1回転当たりの塗布面積を増加させることができる。薬液ノズル5は、第2薬液C2を吐出するものである。薬液ノズル5は、円形あるいは、正四角形または正六角形などの正多角形の吐出口5aを有する。これにより、第1薬液膜SF上に吐出した第2薬液C2が歪みにくい、すなわち円形に近づくので、基板W上に第2薬液C2を同心円状に均等に広げやすくできる。
薬液ノズル4から吐出される第1薬液C1および、薬液ノズル5から吐出される第2薬液C2は、比較的高粘度の薬液が用いられる。第1薬液C1の粘度は、300cP(centipoise)以上1000cP未満である。また、第1薬液C1の粘度は、300cP以上700cP未満であることが好ましい。また、第1薬液C1の粘度は、500cP以上700cP未満であることがより好ましい。第2薬液C2の粘度は、1000cP以上10000cP以下である。
第1薬液C1および第2薬液C2は、レジスト(例えばソルダーレジスト、フォトレジスト)、ポリイミドなどが用いられる。また、第1薬液C1および第2薬液C2は、保護膜、層間絶縁膜、SOD(Spin On Dielectric)膜などを形成するための薬液が用いられる。第2薬液C2は、第1薬液C1と同じ種類の薬液(例えばソルダーレジスト)であるが、粘度が異なる。第2薬液C2は、第1薬液C1と主成分が同じである。第2薬液C2は、例えば、第1薬液C1と比べて溶剤SLの含有量を変えることで、粘度を高くしている。第1薬液C1と第2薬液C2は、乾燥または焼成の後の物体を区別ができないような薬液である。
塗布装置1は、溶剤供給源13、溶剤配管15、ポンプP1および開閉弁V1を備えている。溶剤供給源13は、例えばボトルなどの容器で構成されている。溶剤供給源13からの溶剤SLは、溶剤配管15を通じて溶剤ノズル3に供給される。溶剤配管15には、ポンプP1および開閉弁V1等が設けられている。ポンプP1は、溶剤ノズル3に溶剤SLを送り、開閉弁V1は、溶剤SLの供給およびその停止を行う。
また、塗布装置1は、第1薬液供給源17、薬液配管19、ポンプP2および開閉弁V2を備えている。第1薬液供給源17は、例えばボトルなどの容器で構成されている。第1薬液供給源17からの第1薬液C1は、薬液配管19を通じて薬液ノズル4に供給される。薬液配管19には、ポンプP2および開閉弁V2等が設けられている。ポンプP2は、薬液ノズル4に第1薬液C1を送り、開閉弁V2は、第1薬液C1の供給およびその停止を行う。
また、塗布装置1は、第2薬液供給源21、薬液配管23、ポンプP3および開閉弁V3を備えている。第2薬液供給源21は、例えばボトルなどの容器で構成されている。第2薬液供給源21からの第2薬液C2は、薬液配管23を通じて薬液ノズル5に供給される。薬液配管23には、ポンプP3および開閉弁V3等が設けられている。ポンプP3は、薬液ノズル5に第2薬液C2を送り、開閉弁V3は、第2薬液C2の供給およびその停止を行う。
塗布装置1は、溶剤ノズル移動機構25、第1薬液ノズル移動機構27および第2薬液ノズル移動機構29を備えている。図2を参照する。
溶剤ノズル移動機構25は、回転軸AX2周りに溶剤ノズル3を回転(移動)させる。溶剤ノズル移動機構25は、アーム31、シャフト33および回転駆動部35を備えている。アーム31は溶剤ノズル3を支持し、シャフト33はアーム31を支持する。すなわち、棒状のアーム31の一端には、溶剤ノズル3が接続され、アーム31の他端には、シャフト33が接続されている。回転駆動部35は、シャフト33を回転軸AX2周りに回転させることで、回転軸AX2周りに溶剤ノズル3およびアーム31を回転させる。回転駆動部35は、電動モータを備えている。なお、溶剤ノズル移動機構25による溶剤ノズル3の移動は、半径方向の移動に含まれるものとする。
第1薬液ノズル移動機構27は、上下方向(Z方向)および、基板Wの表面に沿った所定の第1方向(例えばX方向)に薬液ノズル4を移動させる。第1薬液ノズル移動機構27は、アーム37、上下移動部39および平面移動部41を備えている。アーム37は、薬液ノズル4を支持する。上下移動部39は、薬液ノズル4およびアーム37を上下方向に移動させる。平面移動部41は、薬液ノズル4、アーム37および上下移動部39を第1方向に移動させる。なお、薬液ノズル4は、その吐出口4aの長手方向が第1方向(X方向)と平行になるように配置されている。
第2薬液ノズル移動機構29は、上下方向(Z方向)および、基板Wの表面に沿った所定の第1方向(例えばX方向)に薬液ノズル5を移動させる。第2薬液ノズル移動機構29は、アーム43、上下移動部45および平面移動部47を備えている。アーム43は、薬液ノズル5を支持する。上下移動部45は、薬液ノズル5およびアーム43を上下方向に移動させる。平面移動部47は、薬液ノズル5、アーム43および上下移動部45を第1方向に移動させる。
上下移動部39,45および平面移動部41,47は各々、例えば、電動モータ、ネジ軸およびガイドレールを備えている。なお、平面移動部41,47は、薬液ノズル4,5等を第1方向に移動させるだけでなく、第1方向と直交する第2方向(Y方向)に移動させるように構成されてもよい。溶剤ノズル3および2つの薬液ノズル4,5は、その中心が基板Wの中心CTの上方を通過するように構成されている。
なお、溶剤ノズル移動機構25は、第1薬液ノズル移動機構27のように、溶剤ノズル3を上下方向(Z方向)に移動させてもよいし、溶剤ノズル3を第1方向および第2方向の少なくとも一方に移動させてもよい。一方、2つの薬液ノズル移動機構27,29は、溶剤ノズル移動機構25のように、カップ9の側方に配置された回転軸周りに薬液ノズル4または薬液ノズル5を回転させてもよい。また、溶剤ノズル移動機構25および2つの薬液ノズル移動機構27,29は、多関節アームで構成されてもよい。
図1に示す塗布装置1は、1つ又は複数の制御部51と操作部53とを備えている。制御部51は、例えば中央演算処理装置(CPU)を備えている。制御部51は、塗布装置1の各構成を制御する。操作部53は、表示部(例えば液晶モニタ)、記憶部および入力部を備えている。記憶部は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、およびハードディスクの少なくとも1つを備えている。入力部は、キーボード、マウス、および各種ボタンの少なくとも1つを備えている。記憶部には、塗布処理の各種条件および塗布装置1の制御に必要な動作プログラム等が記憶されている。
<塗布装置1の動作>
次に、図3に示すフローチャートを参照して、塗布装置1の動作、すなわち塗布方法について説明する。まず、図示しない搬送機構は、保持回転部2上に基板Wを搬送する。保持回転部2のスピンチャック7は、基板Wの裏面を真空吸着して基板Wを保持する。
〔ステップS01〕プリウェット処理
制御部51は、保持回転部2によって複数の凹部Hを有する基板Wを回転させながら、基板W上に溶剤ノズル3から溶剤SLを吐出する。これにより、基板Wの凹部Hに溶剤SLを入れつつ基板W上に溶剤膜SLを形成する。なお、図4(a)に示すように、基板Wの表面には、複数の凹部Hが形成されている。凹部Hは、例えばスペース、ホール、およびトレンチの少なくともいずれかである。ホールは、例えばビア(via)、スルーホールおよびコンタクトホールの少なくともいずれかである。
プリウェット処理を具体的に説明する。プリウェット処理の工程は、移動吐出工程、液盛り工程、逆移動工程、薄膜化工程を備えている。図2に示す溶剤ノズル移動機構25は、基板W外の待機位置から基板Wの中心CTの上方に溶剤ノズル3を移動させる(図4(a)参照)。また、保持回転部2は、保持している基板Wを回転させる。
[移動吐出工程]
移動吐出工程は、基板Wの中心CTの上方に溶剤ノズル3を移動させた後に行われる。まず、開閉弁V1を開き、吐出用速度で回転する基板W上に溶剤ノズル3から溶剤SLを吐出する。溶剤SLが基板W上に到達後、回転する基板W上に溶剤ノズル3から溶剤SLを吐出しながら、溶剤ノズル移動機構25によって基板Wの中心CTの上方から基板Wの周縁部E(端部またはエッジ)の上方に溶剤ノズル3を移動させる。なお、吐出用速度は、0rpmより大きく500rpm未満であるが、0rpmより大きく300rpm以下が好ましい。また、吐出用速度は、100rpm以上200rpm以下がより好ましい。
溶剤ノズル3は、真下に向けて溶剤SLを吐出する。また、溶剤ノズル3から吐出された柱状または棒状の溶剤SLの到達領域A(図4(b)の拡大図参照)が基板Wの表面(上面)の全体の領域に行き渡るように、溶剤ノズル移動機構25による溶剤ノズル3の移動速度が設定されている。すなわち、図4(c)のように、溶剤ノズル3の移動速度は、n周目とn+1周目とで、二点鎖線の柱状の溶剤SLのような隙間61を開けず、実線の柱状の溶剤SLとなるように、すなわち隙間61がないように設定される。これにより、溶剤ノズル3の吐出口と凹部Hとを対向させることができるので、溶剤SLが入り込みやすい(図4(b)の拡大図中の矢印参照)。その結果、基板Wの表面全体にわたって形成された複数の凹部Hの略全てで溶剤SLを入れることができる。なお、基板Wの回転による基板Wの表面に沿った流れだけでは、溶剤が凹部Hに入りにくい場合がある。
[液盛り工程]
図5(a)は、液盛り工程を説明するための図である。液盛り工程は、基板Wの周縁部Eの上方まで溶剤ノズル3を移動させた後、すなわち移動吐出工程の後に行われる。まず、保持回転部2は、吐出用速度よりも小さい液盛り用速度に基板Wの回転速度を落として、基板W外に飛散(排出)する溶剤SLの量を抑える。これにより、保持回転部2は、溶剤SLを基板W上に保持させる。このとき、所定のタイミングで、開閉弁V1を閉じて溶剤ノズル3からの溶剤SLの吐出を停止する。その後、液盛り用速度で基板Wを回転させてから予め設定された時間が経過するまで、基板W上に溶剤SLを保持する。これにより、溶剤SLは各凹部Hに一層容易に入ることができる。なお、液盛り用速度は、0rpm以上(静止を含む)10rpm以下が好ましい。
[逆移動吐出工程]
図5(b)は、逆移動吐出工程を説明するための図である。逆移動吐出工程は、液盛り工程の後に行われる。逆移動吐出工程は、移動吐出工程の移動方向と逆方向に溶剤ノズル3を移動させる工程である。保持回転部2は、液盛り用速度から上述の吐出用速度に基板Wの回転速度を戻す。再度、開閉弁V1を開き、吐出用速度で回転する基板W上に溶剤ノズル3から溶剤SLを吐出する。溶剤SLが基板W上に到達後、回転する基板W上に溶剤ノズル3から溶剤SLを吐出しながら、溶剤ノズル移動機構25によって基板Wの周縁部Eの上方から基板Wの中心CTの上方に溶剤ノズル3を移動させる。これにより、溶剤SLが満たされていない凹部Hを減少させることができる。
[薄膜化工程]
図5(c)は、薄膜化工程を説明するための図である。薄膜化工程は、逆移動吐出工程の後に行われる。保持回転部2は、吐出用速度よりも大きい薄膜化用速度で基板Wを回転させる。このとき、所定のタイミングで、開閉弁V1を閉じて溶剤ノズル3からの溶剤SLの吐出を停止する。薄膜化用速度で基板Wが回転されることにより、余分な溶剤SLが基板W外に飛散される。この後、基板Wの回転は停止され、溶剤ノズル3は待機位置に戻される。薄膜化用速度は、数百rpm〜数千rpmであり、回転時間は例えば1秒である。
以上のようなプリウェット処理により、基板Wの凹部Hに溶剤SLを入れつつ(図6参照)、基板W上に溶剤膜SLを形成する。なお、必要により、移動吐出工程と逆移動吐出工程とを入れ替えてもよい。また、液盛り工程を省略してもよい。また、移動吐出工程または逆移動吐出工程を省略してもよい。その他、例えば移動吐出工程を複数回行ったり、それらの工程の順番を入れ替えたりしてもよい。また、基板Wの凹部Hに溶剤SLを入れつつ基板W上に溶剤膜SLを形成できれば、上述の手法でなくてもよい。例えば、数十rpmで回転する基板Wの中心CTに、溶剤ノズル3から溶剤SLを吐出し、略全ての凹部Hに溶剤SLを入れる。その後、基板Wを数百rpmで回転させて、余分な溶剤SLを基板W外に飛散させてもよい。
本ステップS01によれば、基板Wの半径方向に溶剤ノズル3を移動させながら、回転する基板W上に溶剤ノズル3から溶剤SLを吐出する。これにより、溶剤ノズル3の吐出口と凹部Hとを対向することができるので、凹部Hに溶剤SLが入り込みやすい。
〔ステップS02〕リング状に第1薬液を置く工程(1周目)
制御部51は、溶剤膜SLを形成した後に、基板Wの半径方向に薬液ノズル4を移動させずに、回転する基板Wの溶剤膜SL上に薬液ノズル4から第1薬液C1を吐出する。これにより、基板Wの周縁部Eに接するようにリング状に第1薬液C1を置く。
具体的に説明する。第1薬液ノズル移動機構27は、基板W外の待機位置から基板Wの周縁部Eの上方に、薬液ノズル4を移動させる(図6参照)。また、第1薬液ノズル移動機構27は、上下方向に薬液ノズル4を移動させる。これにより、薬液ノズル4を基板Wの周縁部Eの上方に位置させる。また、薬液ノズル4の先端面4cと基板Wの表面との間のクリアランスCLを1.0mm以下(例えば0.5mm)に設定する。なお、クリアランスCLが高くなると、基板Wを回転する際に、薬液ノズル4から第1薬液C1が吐出されて、薬液ノズル4と基板Wの表面との間に形成される第1薬液C1の液柱が不安定になり、液柱がちぎれて分断される「液切れ」が生じるおそれがある。
1周目は、図7(a)のように、基板Wの周縁部Eに接するようにリング状に第1薬液C1を置く。まず、数十rpmの第1回転速度で基板Wを1回転させ、かつ、基板Wの半径方向に薬液ノズル4を移動させず停止させる。この状態で、開閉弁V2を開いて、基板Wの周縁部Eの上方に位置する薬液ノズル4から第1薬液C1を吐出する。これにより、基板Wの周縁部Eに沿って最外周の第1薬液C1を置く。
また、図7(b)の矢印Gのように、基板Wの周縁部E付近において渦巻き状に第1薬液C1を置く場合、第1薬液C1が置かれない領域が生じる。これにより、第1薬液C1が置かれない領域(図7(b)の矢印G参照)で、第1薬液C1および第2薬液C2を良好に広げることができない。しかしながら、基板Wの周縁部Eに接するようにリング状に第1薬液C1を置くことで、第1薬液C1が置かれない領域(図7(b)の矢印G参照)が生じることを防止できる。
なお、図7(b)に示される矢印Gの第1薬液C1が置かれない領域が生じない手法として次の手法がある。その手法とは、薬液ノズル4から基板W外に第1薬液C1を吐出しながら、基板Wの上方に薬液ノズル4を移動させるものである。しかしながら、この手法では、例えば、基板Wの内部と外部の境界(周縁部E)を横切る際に、薬液ノズル4から吐出された第1薬液C1の液柱が不安定になり、後述するステップS03の渦巻き状の第1薬液C1を良好に置くことができないおそれがある。また、基板Wの側面に第1薬液C1が付着すれば、例えば汚れの原因になる。更に、基板W外に第1薬液C1を吐出すると、第1薬液C1の使用量が多くなる。周縁部Eに沿ってリング状に第1薬液C1を置くので、これらを防止できる。
ステップS02〜S04における基板Wの第1回転速度は、基板Wの周縁部Eから薬液がこぼれない程度に設定されている。また、第1回転速度は可変である(例えば13rpm以上40rpm以下)。
〔ステップS03〕渦巻き状に第1薬液を置く工程(2周目以降)
制御部51は、溶剤膜SLを形成し、かつリング状に第1薬液C1を置いた後、基板Wの半径方向に薬液ノズル4を移動させながら、回転する基板Wの溶剤膜SL上に薬液ノズル4から第1薬液C1を吐出する。これにより、基板Wの溶剤膜SL上に隙間なく渦巻き状に第1薬液C1を置く(図8参照)。すなわち、ステップS02のリング状の第1薬液膜C1の内側に渦巻き状の第1薬液膜C1を形成する。なお、図8に示す渦巻きの実線は、本ステップの薬液ノズル4の軌跡を示す。図8に示す一点鎖線は、ステップS02の薬液ノズル4の軌跡を示す。なお、基板Wの中心CTの上方に薬液ノズル4が移動された後、開閉弁V2を閉じて第1薬液C1の供給を停止する。
ステップS02,S03の第1薬液C1を置く工程は、塗布範囲をゾーン分けして次のような条件で行ってもよい。すなわち、基板Wの周縁部Eから中心CTまで薬液ノズル4を移動させる際に、例えば、薬液ノズル4の先端面4cと基板Wの表面との間のクリアランスCL、薬液ノズル4の移動速度、および基板Wの回転速度を変化させながら、第1薬液C1を吐出する。これにより、例えば、良好に第1薬液C1を行き渡らせることができる。
図9は、基板Wにおける塗布範囲の複数のゾーンの一例を示す。基板Wの表面は、複数のゾーンに分けられる。各ゾーンは、基板Wの中心CTを基準とする位置に基づいて決定されている。例えば、図9に示すように、基板Wの表面には、第1ゾーンZ1〜第5ゾーンZ5、および第6ゾーン(コア)Z6が設定されている。なお、図9の第1ゾーンZ1〜第6ゾーンZ6は、図示の都合上、大まかな範囲を示している。図10は、各ゾーンZ1〜Z6の塗布条件の一例を示す図である。図10の項目「ノズル移動距離」は、基板Wの中心CTからの距離(mm)を示している。基板Wの直径は、300mmである。図10において、例えば第1ゾーンZ1は、基板Wの中心CTからの距離が143mmであり、薬液ノズル4は移動されず停止している。第1ゾーンZ1は、ステップS02のリング状に第1薬液C1を置く工程を示している。
まず、図11を参照して、薬液ノズル4の先端面4cと基板Wの表面との間のクリアランスCLについて説明する。図11において、2つの位置PS1,PS2があるとする。位置PS2は位置PS1よりも中心CT側に位置する。この場合、位置PS2におけるクリアランスCLは、位置PS1におけるクリアランスCLよりも大きく設定する。すなわち、クリアランスCLは、基板Wの周縁部Eから中心CT側に薬液ノズル4が位置するほど、大きく設定する。
例えば、第1ゾーンZ1および第2ゾーンZ2では、クリアランスCLを0.5mmとする。中心CT側へ薬液ノズル4が移動すると共に、段階的にクリアランスCLを大きくする。そして、第6ゾーンZ6では、クリアランスCLを3.0mmとする。
クリアランスCLを変化させることの効果を説明する。基板Wの中心CTから基板Wの周縁部E側に向かうほど、薬液ノズル4と基板Wとの間の相対的な回転速度が速くなる。そのため、基板Wの溶剤膜SL上に第1薬液C1が到達する際に、第1薬液C1に加わる回転方向への力が大きく、液切れを起こしやすい。なお、液切れは、吐出された第1薬液C1がちぎれて分断されることである。そのため、薬液ノズル4が周縁部E側に位置するときにクリアランスCLを小さくする。これにより、液切れを防止できる。また、薬液ノズル4が中心CT側に位置するときにクリアランスCLを大きくする。これにより、薬液ノズル4に第1薬液C1が付着することを防止できる。
次に、基板Wの回転速度(第1回転速度)について説明する。図11において、位置PS2における回転速度は、位置PS1における回転速度よりも速く設定する。すなわち、回転速度は、基板Wの周縁部Eから中心CT側に薬液ノズル4が位置するほど、速く設定する。
例えば、第1ゾーンZ1および第2ゾーンZ2では、基板Wの回転速度を13rpmとする。中心CT側へ薬液ノズル4を移動すると共に、段階的に基板Wの回転速度を速くする。そして、第6ゾーンZ6では、基板Wの回転速度を40rpmとする。
回転速度を変化させることの効果を説明する。基板Wの中心CTから基板Wの周縁部E側に向かうほど、薬液ノズル4と基板Wとの間の相対的な回転速度が速くなる。そのため、基板Wの溶剤膜SL上に第1薬液C1が到達する際に、第1薬液C1に加わる回転方向への力が大きく、液切れを起こしやすい。そのため、薬液ノズル4が周縁部E側に位置するときに基板Wの回転速度を遅くする。これにより、液切れを防止できる。また、薬液ノズル4が中心CT側に位置するときに基板Wの回転速度を速くする。これにより、薬液を吐出し過ぎることを防止する。
なお、薬液の吐出速度(吐出レート、単位:ml/s)は、基板Wの回転速度に対して、液切れすることない(液切れに耐えることができる)最低の速度を用いる。このような吐出速度を用いることで、薬液を節約することができる。
次に、薬液ノズル4の移動速度について説明する。図9に示すように、基板Wの中心CTから周縁部E側に向かうほど塗布範囲が広くなるので、第1薬液C1の吐出時間が長くなる。そこで、図11において、位置PS2における薬液ノズル4の移動速度は、位置PS1における薬液ノズル4の移動速度よりも速くする。すなわち、薬液ノズル4の移動速度は、基板Wの周縁部Eから中心CTに薬液ノズル4が位置するほど、速く設定する。これにより、渦巻き状の第1薬液膜C1を良好に形成することができる。
また、渦巻き状の第1薬液膜C1のうちの各周の第1薬液膜C1(1周目のリング状の第1薬液膜C1を含む)は、基板Wに半径方向において、隣の周の第1薬液膜C1と隙間が生じておらず互いに重なり合っていることが好ましい。すなわち、渦巻き状の第1薬液C1は隙間がないように溶剤膜SL上に置かれていることが好ましい。
図12(a)は、好ましい例である。例えばn−1周目の第1薬液膜C1とn周目の第1薬液膜C1とが互いに重なりあっている。一方、図12(b)は、好ましくない例である。例えばn―1周目の第1薬液膜C1とn周目の第1薬液膜C1とが離れており、隙間が生じている。各周の第1薬液膜C1が隣の周の第1薬液膜C1と互いに隙間が生じていると、基板Wを高速回転させて第1薬液C1および後述する第2薬液C2を広げたときに、その隙間あるいは、その隙間に存在する凹部Hを避けて流れる場合がある。そのため、その隙間が生じていないことで、第1薬液C1および第2薬液C2を良好に広げることができる。更に、互いに重なり合っておれば、より確実に、第1薬液C1および第2薬液C2を良好に広げることができる。
ステップS02,S03の処理によって、基板Wの溶剤膜SL上にリング状および渦巻き状に第1薬液C1を置く。なお、溶剤膜SLは第1薬液膜C1に馴染むので、第1薬液膜C1は、溶剤膜SLを介して基板W上に、あるいは基板W上に直接形成されることになる。
〔ステップS04〕第2薬液の吐出
第1薬液C1を吐出した薬液ノズル4は、基板Wの上方から待機位置に移動される。薬液ノズル4に代わって、基板Wの上方には、薬液ノズル5が移動される。第2薬液ノズル移動機構29は、基板W外の待機位置から基板Wの中心CTの上方位置に薬液ノズル5を移動させる。その後であって、第1薬液C1を隙間なく渦巻き状に形成した後に、制御部51は、第1速度で回転する基板Wの中心CTに向けて第1薬液膜C1上に、第1薬液C1よりも高粘度の第2薬液C2を薬液ノズル5から吐出する。すなわち、図1に示す開閉弁V3を開くことで、図13(a)に示すように、薬液ノズル5から基板Wの中心CTを狙って第1薬液C1上に第2薬液C2の吐出を開始する。
〔ステップS05〕第1薬液と第2薬液とをそれぞれ広げる工程
図13(a)〜図13(d)を参照して第2薬液C2が広がる様子を説明する。制御部51は、図13(a)に示すように、薬液ノズル5から吐出された第2薬液C2が第1薬液膜C1上に到達した後に、第2薬液C2を吐出しながら、第1速度よりも大きい第2速度で基板Wを回転させる。より詳しくは、第1薬液C1上に到達された第2薬液C2が基板Wの中心CTの第1薬液C1に張り付いた後に、第2速度で基板Wを回転させる。これにより、第1薬液C1を基板の周縁部E側に広げて余分な第1薬液C1を基板W外に飛散させつつ、第2薬液膜C2を周縁部E側に広げる。なお、第2速度は、例えば1000rpmである。
第1薬液C1は第2薬液C2よりも低粘度であるので、第1薬液C1は第2薬液よりも移動し易い。また、第1薬液膜C1は、遠心力の影響が大きい基板Wの周縁部Eまで形成されている。そのため、第2速度で基板Wを回転させると、基板Wの中心CT側から基板Wの周縁部E側に第1薬液C1が同心円状に移動され、余分な第1薬液C1は基板W外に飛散される。この第1薬液C1の移動により、第1薬液C1と接着した第2薬液C2が第1薬液C1に引っ張られて、同心円状に広げられる。この際、薬液ノズル5から吐出されて到達された第2薬液C2が到達順に比較的スムーズに広げられる。なお、図13(b)、図13(c)、図13(d)の順番に第1薬液C1および第2薬液C2が広げられる。また、基板Wの回転により、第2薬液C2も広げられる。
また、第2速度で基板Wを回転することで、第1薬液C1が基板W上を流動する。そのため、凹部Hに入った溶剤SLが第1薬液C1に置き換えられ、更に、凹部Hに第1薬液C1が充填される(図13(d)の拡大図参照)。なお、凹部Hに溶剤SLが入っているので、凹部Hに溶剤SLが充填されやすい。また、第2速度で基板Wを回転することで、主に凹部H以外の基板W上において、基板Wの中心CT側から基板Wの周縁部E側に向けて第1薬液C1が第2薬液C2に徐々に置き換えられる。
第2速度で基板Wを回転することで、第2薬液C2の広がりが周縁部Eまで及ぶと、図1に示す開閉弁V3を閉じて薬液ノズル5からの第2薬液C2の吐出を停止する。なお、第2薬液C2の吐出を停止するタイミングは、任意である。例えば、回転による第2薬液C2の広がりが周縁部Eに及ぶ直前で停止してもよいし、回転による第2薬液C2の広がりが周縁部Eに十分に及んだ後で停止してもよい。第2薬液C2の吐出を停止した後、薬液ノズル5は、基板Wの上方から待機位置に戻される。
第2薬液C2の吐出を停止した後も、第2速度で基板Wを回転することで、基板W外に余分な第1薬液C1および第2薬液C2を飛散させる。また、回転速度を上下に調整して基板Wの中心CTから基板Wの周縁部Eまでの膜厚を平坦にする。例えば、中心CT側の膜厚よりも周縁部E側で膜厚が大きいときは、回転速度を下げ、中心CT側の膜厚よりも周縁部E側で膜厚が小さいときは、回転速度を上げる。なお、基板W上の凹部H以外の領域には、第2薬液膜C2のみが形成されていてもよいし、第1薬液膜C1と第2薬液膜C2とが形成されていてもよい。
〔ステップS06〕膜厚調整(メインスピン)
第2薬液膜C2(あるいは第1薬液膜C1および第2薬液膜C2)を平坦化させた後に、制御部51は、第3速度で基板Wを回転させる。これにより、第2薬液膜C2(あるいは第1薬液膜C1および第2薬液膜C2)の厚みを調整する。第3速度は、数百rpm(例えば400〜500rpm)である。第3速度は、所望の膜厚により変更される。所定の時間かつ第3速度で基板Wを回転させた後、保持回転部2は、回転を停止する。
図14(a)は、膜厚調整した後の第2薬液膜C2等の状態を示す断面図である。凹部Hには、第1薬液C1が満たされている。また、基板Wの表面には、所定の厚みの第2薬液膜C2が形成されている。なお、図14(b)のように、凹部Hの少なくとも一部が第2薬液C2で満たされていてもよい。また、図14(c)のように、第1薬液膜C1を介在して第2薬液膜C2が基板W上に形成されていてもよい。
以上のステップによって第2薬液膜C2を形成した後、図示しないノズルから溶剤SLを吐出して、EBR(Edge Bead Removal)処理(エッジリンス処理ともいう)を実行したり、バックリンス処理を実行したりする。EBR処理は、基板Wの周縁部E付近に形成された第1薬液膜C1および第2薬液膜C2を取り除く処理である。バックリンス処理は、洗浄液を吐出して基板Wの裏面(下面)を洗浄する処理である。この後、基板Wの回転を停止させた状態で、保持回転部2は、基板Wの保持を解除する。図示しない基板搬送機構は、保持回転部2から基板Wを搬出する。凹部Hに満たされた第1薬液C1、および基板W上の第2薬液膜C2は、乾燥(または焼成(ベーク))される。乾燥後、第1薬液C1と第2薬液C2は、同じ種類であるので、図15のように、第1薬液C1と第2薬液C2は、乾燥(または焼成)後にそれらの区別がつかない一体の膜となる。乾燥(または焼成)後の薬液膜を符号C3で示す。
<第1薬液膜の粘度>
本発明において、基板Wの表面(上面)の全域に第1薬液膜C1を形成している。これにより、第2薬液C2を基板W上に広がりやすくすると共に、第1薬液C1を凹部Hに満たしている。第1薬液C1の粘度が第2薬液C2の粘度と同じ1000cP以上である場合は、図6に示す溶剤膜SLを形成しても凹部Hへの埋め込みが困難である。そのため、第1薬液C1は、第2薬液C2よりも低粘度のものを用いるが、第1薬液C1の粘度が700cP以下の場合は、凹部Hへの第1薬液C1の入り込みが更に容易になる。
一方、第1薬液C1の粘度が300cPよりも小さい場合は、先に形成された第1薬液膜C1が乾燥しやすい性質がある。すなわち、薬液ノズル4から第1薬液C1を吐出しながら、基板Wの周縁部E付近の上方から基板Wの中心CTの上方に薬液ノズル4を移動させたときに、周縁部Eに先に形成された第1薬液膜C1が乾燥しやすい。
例えば10cP程度の粘度の場合、図16(a)に示すように、第1薬液C1が凹部Hに落ちて凹部Hに入り込んだ状態で乾燥する。この場合、第1薬液C1および第2薬液C2を広がりにくいだけでなく、凹部Hに入った第1薬液C1が乾燥した場合には、基板Wを回転させても第1薬液C1および第2薬液C2が凹部Hに満たされにくくなる。また、図16(b)に示すように、図16(a)の場合の粘度よりも第1薬液C1の粘度を高くしたとき、第1薬液C1が凹部Hに入り込まない。しかしながら、周縁部Eに先に形成された第1薬液C1が乾燥してしまう。これにより、図16(b)中の一点鎖線LN1のように、その後に形成される薬液膜の厚みが乾燥部分で大きくなる。
そのため、第1薬液C1の粘度は、基板Wの回転で入り込みやすく、乾燥しにくいことが求められる。そのため、第2速度の基板Wの回転で第1薬液C1および第2薬液C2を広げる際に、第1薬液C1は溶剤SLが入った凹部Hを蓋し、また、先に形成された周縁部E付近の第1薬液C1が乾燥せずに流動性があることが好ましい。そのため、図16(c)に示す二点鎖線LN2のように、薬液膜を均一に形成できる。
本実施例によれば、基板Wの第2速度の回転によって、第1薬液C1は、基板Wの溶剤膜SL上に隙間なく渦巻き状に置かれている。基板Wの回転は第1薬液C1と第2薬液C2とをそれぞれ広げる。第1薬液C1は、第1薬液C1よりも高粘度の第2薬液を引っ張るので、第2薬液C2を広げることを補助する。また、第2薬液C2は、第2薬液C2よりも低粘度の第1薬液C1上に置かれており、基板Wの表面に形成された凹部Hには溶剤SLが入っている。そのため、基板Wの回転によって、第2薬液C2よりも容易に、第1薬液C1が凹部Hに入り込ませることができる。その結果、比較的少量の溶剤SLおよび高粘度薬液で、基板W上に薬液膜を厚く形成しつつ、基板Wの表面に形成された凹部Hに薬液膜を満たすことができる。
また、薬液ノズル5から吐出された第2薬液C2が第1薬液膜C1上に到達した後に、第2薬液C2を吐出しながら、第1速度よりも速い第2速度で基板Wを回転させている。第1薬液C1の広がりは、第1薬液C1よりも高粘度の第2薬液C2を広げることを補助する。この際、薬液ノズル5から吐出された第2薬液C2が順次広がるので、スムーズに第2薬液C2を広げることができる。
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、ステップS05は、薬液ノズル5から吐出した第2薬液C2が第1薬液C1上に到達した後に、第2薬液C2を吐出しながら、第1速度よりも速い第2速度で基板Wを回転させていた。これにより、第1薬液C1と第2薬液C2をそれぞれ広げていた。次のように変更してもよい。
すなわち、ステップS05の第2薬液C2を広げる工程は、第2薬液C2を予め設定された量だけ吐出して第2薬液C2の吐出を停止した後に、第2速度で基板Wを回転させてもよい。すなわち、第2薬液C2を広げる工程は、まず、図17に示すように、予め設定された量の第2薬液C2を第1薬液膜C1上に吐出して、第1薬液膜C1上に第2薬液C2の液溜まり(パドル)PDを形成する。そして、開閉弁V3を閉じて第2薬液C2の吐出を停止した後に、第2速度で基板Wを回転させる。これにより、予め設定された量の第2薬液C2が第1薬液C1上に盛られた状態で、基板Wの回転により第1薬液C1および第2薬液C2を広げることができる。その結果、実施例と同様に、比較的少量の溶剤および高粘度薬液で、基板W上に薬液膜を厚く形成しつつ、基板Wの表面に形成された凹部Hに薬液膜を満たすことができる。
(2)上述した実施例および変形例(1)では、薬液ノズル4から第1薬液C1を吐出する際に、第1薬液ノズル移動機構27によって、基板Wの周縁部E(端部またはエッジ)の上方から基板Wの中心CTの上方に薬液ノズル4を移動させた。この点、薬液ノズル4を逆に移動させてもよい。すなわち、薬液ノズル4から第1薬液C1を吐出する際に、第1薬液ノズル移動機構27によって、基板Wの中心CTの上方から基板Wの周縁部Eの上方に薬液ノズル4を移動させてもよい。薬液ノズル4が中心CTの上方から移動した後、薬液ノズル4に代わって、薬液ノズル5が配置される。そのため、第2薬液C2の吐出を開始するタイミングを早くすることができる。
(3)上述した実施例および各変形例では、薬液ノズル4の先端面4cと基板Wの表面との間のクリアランスCL、基板Wの回転速度、および薬液ノズル4の移動速度などの条件を変化させて渦巻き状およびリング状に第1薬液C1を置いていた。しかしながら、必要に応じて、いずれかの条件を変化させなくてもよい。すなわち、クリアランスCL、基板Wの回転速度、および薬液ノズル4の移動速度の少なくとも1つを、薬液ノズル4の移動に伴って変化させて、渦巻き状およびリング状に第1薬液C1を置いてもよい。
(4)上述した実施例および各変形例では、溶剤ノズル移動機構25は、溶剤ノズル3を移動させた。そして、第1薬液ノズル移動機構27は、薬液ノズル4を移動させ、第2薬液ノズル移動機構29は、薬液ノズル5を移動させた。この点、例えば第1薬液ノズル移動機構27は、溶剤ノズル3および2つの薬液ノズル4,5のうち少なくとも2つを移動させてもよい。また、例えば第1薬液ノズル移動機構27は、ノズル3,4,5を交換可能に把持できるように構成されていてもよい。
(5)上述した実施例および各変形例では、保持回転部2は、薬液ノズル4から第1薬液C1を吐出する際に、基板Wを回転させていた。この点、第1薬液ノズル移動機構27は、薬液ノズル4を半径方向に移動しつつ、基板Wに対して薬液ノズル4を回転軸AX1周りに回転させてもよい。すなわち、薬液ノズル4から第1薬液C1を吐出する際に、保持回転部2は基板Wの回転を停止すると共に、第1薬液ノズル移動機構27は、薬液ノズル4をリング状および渦巻き状に移動させてもよい。
(6)上述した実施例および各変形例では、薬液ノズル5から第2薬液C2の吐出を開始する際に、基板Wは数十rpmで回転されていた。この点、回転せず静止した状態の基板Wに第2薬液C2の吐出を開始してもよい。この場合、薬液ノズル5から吐出された第2薬液C2が静止した基板Wの第1薬液C1上に到達した後、あるいは静止した基板Wに液盛りして第2薬液C2の吐出を停止した後に、第2速度で基板Wを回転させてもよい。
1 … 塗布装置
3 … 溶剤ノズル
4 … 薬液ノズル
5 … 薬液ノズル
5a … 吐出口
25 … 溶剤ノズル移動機構
27 … 第1薬液ノズル移動機構
51 … 制御部
AX1 … 回転軸
SL … 溶剤(または溶剤膜)
C1 … 第1薬液(または第1薬液膜)
C2 … 第2薬液(または第2薬液膜)

Claims (6)

  1. 表面に複数の凹部を有する円形基板を回転させながら、前記円形基板上に溶剤ノズルから溶剤を吐出することにより、前記凹部に溶剤を入れつつ前記円形基板上に溶剤膜を形成する工程と、
    前記溶剤膜を形成した後に、前記円形基板の半径方向に第1薬液ノズルを移動させながら、前記第1薬液ノズルに対して相対回転する前記円形基板の前記溶剤膜上に前記第1薬液ノズルから第1薬液を吐出することにより、前記円形基板の前記溶剤膜上に第1薬液を隙間なく渦巻き状に置く工程と、
    前記第1薬液を隙間なく渦巻き状に置いた後に、前記円形基板の中心に向けて前記第1薬液上に、前記第1薬液よりも高粘度の第2薬液を第2薬液ノズルから吐出する工程と、
    前記円形基板を回転させることにより、前記円形基板の周縁部側に向けて前記第1薬液と前記第2薬液とをそれぞれ広げる工程と、
    を備えていることを特徴とする塗布方法。
  2. 請求項1に記載の塗布方法において、
    前記第1薬液と前記第2薬液とをそれぞれ広げる工程は、前記第2薬液ノズルから吐出された前記第2薬液が前記第1薬液上に到達した後に、前記第2薬液を吐出しながら前記円形基板を回転させることを特徴とする塗布方法。
  3. 請求項1に記載の塗布方法において、
    前記第1薬液と前記第2薬液とをそれぞれ広げる工程は、前記第2薬液を予め設定された量だけ吐出して前記第2薬液の吐出を停止した後に、前記円形基板を回転させることを特徴とする塗布方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の塗布方法において、
    前記第2薬液ノズルは、円形または正多角形の吐出口を有することを特徴とする塗布方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の塗布方法において、
    前記第2薬液は、前記第1薬液と同じ種類の薬液であることを特徴とする塗布方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の塗布方法において、
    前記溶剤膜を形成する工程は、前記円形基板の半径方向に前記溶剤ノズルを移動させながら、回転する前記円形基板上に前記溶剤ノズルから溶剤を吐出することを特徴とする塗布方法。
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