JP2019126251A - 電動機およびラジエータファン - Google Patents

Abstract

【課題】改善された音響特性を有する電動機を提供する。【解決手段】本発明は、軸方向（Ａ）に延びる回転軸線（Ｄ）回りに回転可能に軸承された回転子（４）と、固定子歯（２０）を有する固定子（６）とを備えた電動機（２）に関し、固定子歯（２０）は歯の足側がＴ字状に広がって、周方向（Ｕ）に延在する磁極舌片（２１）を形成し、磁極舌片（２１）はそれぞれ支持肩部（４３）を形成し、隣接する固定子歯（２０）の間にそれぞれ、固定子巻線のコイル（２５）を収容するための固定子溝（２４）が形成され、互いに向き合った磁極舌片（２１）の間にそれぞれ、溝スリット（３０）が形成され、複数の補強要素（４２）が設けられ、当該補強要素はそれと同数の溝スリット（３０）にそれぞれ挿入され、補強要素（４２）は、半径方向（Ｒ）において、隣接する固定子歯（２０）の互いに向き合った磁極舌片（２１）に、支持肩部（４３）によって保持されている。【選択図】図１

Description

本発明は、軸方向に延びる回転軸線回りに回転可能に軸承された回転子と、Ｔ字状に広がった磁極舌片を備えた半径方向に向いた固定子歯を有する固定子とを備えた電動機に関する。本発明はさらに、このような電動機を備えた、特に自動車用のラジエータファンに関する。

ブラシレス電動機は、回転可能に軸承された回転子（ロータ）と、固定された固定子を備えている。その際、固定子は、例えば放射状に配置された半径方向の固定子歯を備えている。この固定子の間にはそれぞれ固定子溝が形成されている。この固定子溝には、特に線材を巻いた個々のコイルの形をした固定子巻線が収容されている。例えばスター結線または三角結線で互いに接続されたコイルは、回転磁界を発生するために交流が供給される。回転子はさらに、例えば永久磁石を備えている。この永久磁石の磁界がコイルによって発生した固定子の回転磁界と相互に作用するので、回転子は回転駆動される。

回転子と固定子は、特に渦電流損失を避けるために、それぞれ成層鉄心として形成可能である。例えば特許文献１から、積層された個々の薄板を有する成層鉄心によって形成可能な固定子を備えた電動機が知られている。この固定子は外周側のヨークと、半径方向内側に突き出た或る偶数の固定子歯を備えている。その際、周方向において１つおきの固定子歯には巻線が設けられていない。さらに、巻線を支持する固定子歯は、歯の内側の端部に、周方向に突き出た磁極舌片を備えている。

成層鉄心を有する固定子を備えたこのような電動機の駆動の際、固定子の（固有）振動が所定の回転数で励起され得る。換言すると、共振である。この共振は例えば騒音を発生するという欠点がある。さらに、この共振に基づいて発生する振動は、付加的な負荷を増大させ、かつそれに伴う、固定子に連結された要素の摩耗を増大させる。

国際公開第２０１０／１４５８４１Ａ２号パンフレット

本発明の根底をなす課題は、改善された音響特性を有する電動機を提供することである。さらに、このような電動機を備えたラジエータファンを提供すべきである。

この課題は本発明に従い、電動機については請求項１の特徴によって解決される。ラジエータについては、課題は本発明に従い、請求項１０の特徴によって解決される。有利な発展形態と実施形は各従属請求項の対象である。

電動機は、軸方向に延びる回転軸線回りに回転可能に軸承された回転子と、成層鉄心を有する固定子とを備え、成層鉄心は固定子ヨークと、この固定子ヨークから半径方向に向いた、固定子の固定子歯を形成し、固定子歯はその足側（自由端側、磁極片側）がＴ字状に広がって、固定子の周方向に延在する磁極舌片（歯尖端部）を形成している。その際、磁極舌片はそれぞれ、以下において支持肩部と呼ぶ支持面または支持形状部を形成している。

さらに、固定子歯の間に、固定子巻線のコイルを収容するためのいわゆる固定子溝が形成され、互いに向き合った磁極舌片の間にそれぞれ、溝スリットが形成されている。或る数の補強要素が設けられ、この補強要素はそれと同数の溝スリットにそれぞれ挿入されている。補強要素はさらに、半径方向において、隣接する固定子歯の互いに向き合った磁極舌片に、この磁極舌片に形成された支持肩部によって保持されている。

この場合、或る数の補強要素とは、２個以上の複数の補強要素であると理解される。例えばそれぞれ１個の補強要素が周方向において１つおきの溝スリットに挿入されている。好ましくは、補強要素の数が溝スリットの数に一致し、それによってすべての溝スリットに補強要素が挿入されている。

Ｔ字状に広がるとは、固定子歯が軸方向に対して垂直な平面内でＴ字状の横断面を有することであると理解される。その際、固定子ヨークから半径方向に沿って延在する固定子歯は、Ｔ字の垂直なＴ字脚部（歯軸部）を形成し一方、周方向に向いた、すなわち軸方向および半径方向に対して垂直に向いた磁極舌片はＴ字の水平なＴ字脚部（足）を形成している。その際、水平なＴ字脚部は自由端側に配置されている、すなわち回転子寄りのまたは回転子と固定子の間の隙間寄りの固定子歯の側に配置されている。その際特に、水平なＴ字脚部はそれぞれ磁極片を形成している。

補強要素は例えば支持肩部に基づく半径方向の上記かみ合い連結に加えて、特に圧入によって摩擦連結的におよび／または例えば接着または（超音波）溶接によって材料結合式に磁極舌片に接合されている。

補強要素を用いて固定子の補強を行うときわめて有利である。その際、本発明は、補強要素が特に周方向において力を固定子歯に作用させ、それによって固定子全体に作用させるので、固定子の振動が減衰され、および／または固定子の固有振動の固有振動数が振動励起を生じない周波数範囲に適切に移動させるかまたは高められるという考察から出発している。要約すると、これにより、電動機の音響が改善され、振動に基づいて発生する摩耗が防止される。

補強要素がコイルを挿入した後で、例えばいわゆるニードル巻線を用いて溝スリットに挿入されると合目的である。これによってさらに、巻線または巻線を挿通させる工具が溝スリットを通過することが可能である。それによって特に、固定子の成層鉄心の変更が不要である。すなわち、固定子の成層鉄心は従来の方法によっておよびそのために使用される（打抜き）工具によって製作可能である。

有利な発展形態では、成層鉄心が或る数の薄板によって形成されている。その際、個々の薄板はリング状のヨーク区間と、このヨーク区間と一体に形成された、半径方向に向いた薄板歯とを有し、この薄板歯の足側はＴ字状に広がって、固定子の周方向に延在する薄板舌片を形成している。固定子ヨークは薄板のヨーク区間によって形成され、固定子歯は薄板の薄板歯によって形成され、磁極舌片は薄板の薄板舌片によって形成されている。

一体の薄板によって形成された成層鉄心を備えたこのような固定子は、比較的に低コストで製作可能でありかつ製作されるので有利である。例えば、いわゆる放射状ヨークデザインの固定子の場合、その製作時に、ヨークと固定子歯を個々の要素として、薄板から打ち抜き、続いて互いに接合しなければならない。好ましいことに一体の薄板を積層した固定子の場合、このステップが省略され、従って方法と、製作のために必要な固定子の工具がコストを省かれる。

有利な実施形では、磁極舌片が自由端側に、周方向に開放しかつ軸方向に延在する溝を有し、この溝が半径方向において互いに離隔された２つの溝壁部を有する。溝壁部の一方が半径方向における補強要素のための支持肩部を形成し、他方の溝壁部が反対の半径方向における補強要素のための支持肩部を形成している。

互いに平行に配向された溝壁部は、溝の個所における周方向と軸方向に張設された平面内で延在している。両溝壁部を連結する溝底部は、軸方向と半径方向に張設された平面内で延在している。換言すると、溝はそれぞれ固定子歯に周方向に嵌め込まれている。

適切な発展形態では、固定子、好ましくはその成層鉄心だけが合成樹脂被覆部を有し、この合成樹脂被覆部によって、支持肩部または溝が完全にまたは部分的に形成されている。合成樹脂被覆部によって溝を部分的に形成する場合、固定子ヨーク側の溝壁部は合成樹脂被覆部によって形成され、回転子側の溝壁部は固定子の成層鉄心によって形成されている。そのために、例えば固定子の成層鉄心は、特に磁極舌片の外周側の端部においてヨーク寄りの磁極舌片の側に、特にＬ字状切込みを有する。その際、切込みによって溝を形成するために、合成樹脂被覆部が切り欠かれて切込みが露出しているかまたは見える。

合成樹脂被覆部によって溝を完全に形成する場合には、両溝壁部が合成樹脂被覆部によって形成されている。この実施形の場合、成層鉄心の形状を変更する必要はない。

合目的な実施形では、補強要素が板または小さな板として、すなわち板状または小さな板状の部材として形成されている。補強要素は特に長方形である。板の平たい側面は以下において幅広面（縦面）と呼び、これに接する側面は第１および第２の幅狭面（横面）と呼ぶ。好ましくは幅広面と第１幅狭面は、軸方向における溝スリットの寸法に一致する寸法（長さ）を有する。補強要素は、溝スリットの長さを有する第１幅狭面が磁極舌片上に配置されるように、溝スリットに挿入される。

溝が各磁極舌片に形成されている場合、補強要素はそこに好ましくはさねのように挿着され、これにより半径方向においてかみ合い連結的に接合されている。その際、板状補強要素の互いに反対の方に向いた幅狭面にそれぞれ、溝に対して補完的な接合形状部が設けられている。その代わりに、板状補強要素は、半径方向における溝寸法に一致する、幅広面に対して垂直な寸法（厚さ）を有していてもよい。必要な場合、圧入寸法が許容されると合目的である。

補強要素は例えば、複数の板状部材を設けることによって複数の部材から形成されている。その際、その幅広面が互いに向き合っているかあるいは第２の幅狭面が互いに向き合っている。組立て状態で、補強要素の部材は半径方向に前後してまたは軸方向に重ねて配置されている。

補強要素は好ましくは一体にかつ対称に形成されている。補強要素が縦軸線に関して（幅広面または縦面の間で）および横軸線に関して（幅狭面または横面の間で）鏡像対称的に形成されていると特に好適である。換言すると、補強要素は好ましくは、それぞれ幅広面の中心垂線を通りかつ互いに隣接する２つの幅狭面のその都度一方に対して平行に延在する２つの平面に関して鏡像対称に形成されている。対称および一体形成に基づいて、補強要素を異なる向きに組み立てることができ、組立てが常に同じであり、よって特に組立て欠陥が防止される。従って、間違った配向での補強要素の組立てを回避することができるので有利である。それによって、組立てのために、補強要素をばら物として低コストで提供することができる。

適切な実施形では、補強要素は非磁性材料によって形成されている。非磁性とは特に、５未満（μ_ｒ＜５）、好ましくは１（μ_ｒ＝１）の材料の磁気透過性および４０未満のＳｉｅｍｅｎｓ／Ｍｅｔｅｒ（σ＜４０Ｓ・ｍ^−１）、好ましくは１．４Ｓｉｅｍｅｎｓ／Ｍｅｔｅｒ（σ＝１．４Ｓ・ｍ^−１）の導電性（σ）であると理解される。

この場合、例えばポリアミド（ＰＡ６またはＰＡ６６）またはポリブチレンテレフタラート（ＰＢＴ）のような合成樹脂が使用される。合成樹脂タイプと呼ばれるこの実施形は電気をさらに伝導しないと有利であり、それによって補強要素は渦電流を発生しない。補強要素が圧入されるときに、比較的な小さな押込み力しか必要としないので、製造に起因する損傷が回避される。補強要素は代替的に、Ｘ５ＣｒＮｉ１８−１０のような非磁性で好ましくは耐食性の特殊鋼によって形成される。これにより、補強要素のための磁性材料の使用と比較して、磁極舌片で磁気的短絡が達成されないので、電動機の有効出力が低下しないので有利である。

さらに、補強要素の材料の選択は固定子の音響特性に作用する。例えば、特に補強要素の合成樹脂タイプの場合に発生する固定子の振動は比較的に強く減衰される。それに対して、特殊鋼タイプによって、固定子の強度が高められ、振動の励起作用が低下する。

その際、有利な実施形の補強要素は少なくとも一方の端面側の幅狭面に、軸方向における各磁極舌片とのかみ合い連結のための他の接合形状部を有する。好ましくは、端面側の両幅狭面がそれぞれ接合形状部を備えている。端面側の幅狭面は、磁極舌片とのさねのような接合部を形成していないかまたは補強要素の組立て状態で電動機内で軸方向に対して垂直に配向されている幅狭面である。

例えば、端面側の第１幅狭面の接合形状部が他の支持肩部として形成されているので、補強要素は、端面側の第１幅狭面から端面側の他の第２幅狭面の方に軸方向に外れないように保持されている。例えば、端面側の第２幅狭面はそれに対して垂直に突出する係止フックまたはスナップフックを付加的に備えている。このフックは、特に合成樹脂被覆部に配置または形成された対応する形状部に係止する。

接合形状がほぞとして形成され、このほぞが組立て状態で各磁極舌片との軸方向の背後係合部を形成していると合目的である。例えば、補強要素を特殊鋼タイプで形成する場合、ほぞは対応する端面側の幅狭面に対して垂直である。補強要素を溝スリットに挿入した後で、ほぞは軸方向背後係合部を形成するために周方向に曲げられる。合成樹脂タイプでは、補強要素のほぞが、例えば端側が互いに周方向に離れるように傾斜している。組立ての途中で、ほぞがばね弾性的に（相互の方へ）曲げられるので、ほぞは完全に挿入すると、固定子歯の磁極舌片の少なくとも軸方向に向いた要素を背後から掴む。

さらに、補強要素を収容する溝は好ましくは軸方向に貫通していない。この場合、溝はその軸方向の端側に、補強要素のための支持部を備えている。補強要素は組立ての途中で他の端側から溝に挿入される。その際、接合形状部が支持部に背後から係合するので、かみ合い連結部は軸方向において比較的にしっかり形成されている。

すなわち、補強要素はかみ合い連結の結果、外れが防止される。これは使用者にとって電動機の運転時の安全性の観点から、および電動機の損傷または電動機の近くに配置された他の要素の損傷を回避するためにきわめて有利である。

有利な実施形では、補強要素は各固定子溝に開口する少なくとも１つの貫通口を有する。特に、補強要素は切欠きとして形成された貫通口または穿孔によって形成された貫通口を備えている。この貫通口は貫通し、補強要素の幅広面に対して垂直に延在している。補強要素は好ましくはこのような貫通口を複数個有する。貫通口は例えば円形、長穴状またはスリット状である。この貫通口によって一方では、補強要素を通って空気が循環することができ、従って冷却が改善される。さらに、電動機内に入った汚染粒子または水を、この貫通口を通って固定子溝から容易に流出させることができる。他方では、貫通口は補強要素が導電性である場合、渦電流損失を低減または防止する働きをする。

有利な実施形では、特に自動車のラジエータファンが上記の変形の一つの電動機を備えている。この電動機は特にファンロータを回転駆動する。その際、ラジエータファンの本発明に係る電動機は特に、回転子溝と同じ数の補強要素を備えている。この補強要素は固定子歯の磁極舌片に設けられた支持肩部によって、溝スリット内で保持されている。その際特に、溝は部分的にまたは全体が固定子の合成樹脂被覆部によって形成されている。補強要素によってラジエータファンの音響特性が改善されるのできわめて有利である。従って、ラジエータファンの運転時に比較的に快適な推奨される音響が実現される。

次に、図に基づいて本発明の実施の形態を詳しく説明する。

電動機を備えたラジエータファンの分解図である。電動機はインナーロータとして形成された回転子と、固定子とを備えている。この固定子の歯は回転子の方へ半径方向に延在している。固定子歯は自由端側が広がって磁極舌片を形成している。 固定子の成層鉄心の平面図であり、この成層鉄心は多数枚の薄板によって形成され、個々の薄板はヨーク区間を有し、このヨーク区間から、ヨーク区間に一体的に形成された固定子歯が半径方向に延びている。 固定子の成層鉄心の部分拡大斜視図であり、この成層鉄心は多数枚の薄板によって形成され、個々の薄板はヨーク区間を有し、このヨーク区間から、ヨーク区間に一体的に形成された固定子歯が半径方向に延びている。 成層鉄心と合成樹脂被覆部を有する固定子の斜視図であり、磁極舌片の間に形成された溝スリット内にそれぞれ、固定子を補強するための補強要素が挿入され、磁極舌片によって形成された支持肩部が保持されている。 図３の範囲の拡大図であり、補強要素がその端面側の幅狭面に、ほぞとして形成された各々１個の接合形状部を有し、この接合形状部が組立て状態で磁極舌片に対して軸方向に係合している。 補強要素を取り外した図４の固定子を示す。この場合、固定子は磁極舌片の範囲内に、補強要素を収容するための、周方向に開放した溝を有する。 幅広面に穿設した貫通口と、端面側の幅狭面に対して垂直に突出するほぞと、この幅狭面に接する第２幅狭面とを有する補強要素の斜視図である。 端面側の幅狭面にばね弾性的なほぞを有し、第２幅狭面に各々１つの接合形状部を有する補強要素の代替的な実施形の幅広面の平面図である。 端面側の幅狭面にばね弾性的なほぞを有し、第２幅狭面に各々１つの接合形状部を有する補強要素の代替的な実施形の斜視図である。 溝スリットに挿入された補強要素の他の代替的な２つの実施形を有する固定子の横断面図である。この場合、固定子歯の磁極舌片はそれぞれ補強要素のための支持肩部としての働きをする。

すべての図において、互いに対応する部分には同じ参照符号が付けてある。

図１は、特に図示していない自動車で使用するためのラジエータファン１の分解図である。このラジエータファンは回転子４と固定子６を備えた電動機２を備えている。回転子４は軸ピン８によって回転軸線Ｄ回りに回転可能に軸承されている。この場合、回転軸線Ｄは軸方向Ａに延在している。その際、軸ピン８は、それぞれ軸ピン８の端側に配置された軸受１０によって軸承されている。図では、回転子４がインナーロータとして形成されている。すなわち、固定子６は軸方向Ａに対して垂直に延びる半径方向Ｒに関して外側で、回転子４を包囲している。しかしながら、本発明に係る電動機２の図示していない変形では、回転子４がアウターロータとして形成されている。この場合、以下に説明する実施が同様に当てはまる。

回転子４はファンロータ１１に駆動連結されている。このファンロータはその外周に空気案内羽根１２を備えている。この空気案内羽根は見やすくするために、部分的にのみ示してある。ファンロータ１１は電動機２の回転子４に固定されたキャップ１３を備えている。

ファンロータ１１とは反対側の電動機２の端面には、ラジエータファンを固定するためのフランジ１５を備えた電動機支持体１４が配置されている。電動機支持体１４はさらに、ファンロータとは反対の側に、電動機電子機器１７のための電子機器区画室１６を備えている。この電子機器区画室は組当て状態で、電子機器区画室カバー１８によって覆われている。

固定子６はほぼ中空円筒状の固定子ヨーク１９を備えている。この固定子ヨークから回転子４の方へ半径方向に、固定子ヨークの固定子歯２０が延びている。その際、固定子歯は自由端側が、すなわち回転子４寄りの端部が、磁極舌片２１を形成しながら、固定子６に関して周方向Ｕに、換言すると軸方向Ａに対して垂直にかつ半径方向Ｒに対して垂直に広がっている。従って、固定子歯２０は軸方向Ａに対して垂直な平面内でＴ字形をしている。このＴ字形の水平なＴ脚部は磁極舌片２１によって形成されている。

この場合、固定子６は図２ａと図２ｂに示す成層鉄心２２と、この成層鉄心２２を取り囲む（合成樹脂外周壁）合成樹脂被覆部２３とを有する。その際、固定子歯２０は回転子寄りの側に、合成樹脂被覆部２３を有する。広がった固定子歯２０は磁極片として形成されている。

その際、隣接する固定子歯２０の間にはそれぞれ、固定子溝２４が形成されている。この固定子溝内には固定子巻線のコイル２５が収容されている。その際、固定子巻線は回転磁界を発生するために端子２６によって通電される。この場合、回転子４と固定子６の間に形成された空隙と固定子溝２４とを半径方向Ｒにおいて接続する、磁極舌片２１の間に形成されたスリット状の開口部は、溝スリット３０と呼ばれる。換言すると、互いに向き合った磁極舌片２１の間に、それぞれ１つの溝スリット３０が形成されている。

図２ａと図２ｂは固定子６の成層鉄心２２を示す。この成層鉄心は多数枚の薄板３２によって形成されている。その際、個々の薄板はリング状のヨーク区間３４と、このヨーク区間と一体の薄板歯、すなわち一枚岩的な薄板歯３６を有する。この薄板歯はヨーク区間３４から半径方向へ中心に向けて、換言すると内側へ延びている。薄板歯３６は歯脚部側（自由端側、内側）で固定子６の周方向Ｕに広がって薄板舌片３８を形成している。それによって、薄板歯３６はＴ字状に形成されている。個々の薄板３２は互いに接合されて成層鉄心２２を形成している。この場合、固定子ヨーク１９は薄板３２のヨーク区間３４によって形成され、固定子歯２０は薄板歯３６によって形成され、そして磁極舌片２１は薄板舌片３８によって形成されている。

図３には、成層鉄心２２と、成層鉄心２２を取り囲む合成樹脂被覆部２３とを備えた固定子６が示されている。その際、各溝スリット３０内にそれぞれ、補強要素４２が挿入されている。磁極舌片２１はそれぞれ、補強要素４２のための支持肩部４３を形成している。換言すると、補強要素は半径方向Ｒにおいて支持肩部４３によって、隣接する固定子歯２０の互いに向き合った磁極舌片２１に保持されている。この場合、支持肩部４３は磁極舌片２１によって形成されている。補強要素４２に基づいて、固定子６の音響特性が変化する。特に、固定子６の振動励起作用が低減され、場合によって励起された振動が比較的に強く減衰され、および／または固定子６の振動の（固有）振動数が振動を励起しない範囲へ移動させられる。

図４と図５は、磁極舌片２１の間に形成された溝スリット３０を有する隣接する固定子歯２０を示す、図３の部分拡大図である。その際、図５には、磁極舌片２１の周方向Ｕの自由端部をよく見えるように示すために、補強要素４２は示していない。固定子６は磁極舌片２１の自由端側の範囲に、周方向Ｕに開放しかつ軸方向Ａに延在する溝４４を有する。周方向Ｕに沿って延在する溝４４の溝壁部４６はそれぞれ、補強要素４２のための支持肩部４３を形成している。電動機２の組立ての途中で、補強要素４２がそれぞれ溝４４に挿入されるので、補強要素４２は半径方向Ｒにおいてかみ合い連結的に、溝壁部４６によって形成された支持肩部４３によって、溝スリット３０内で保持される。

溝４４を形成するために、成層鉄心２２は周方向Ｕにおいて磁極舌片２１の自由端側に、しかも固定子ヨーク１９の方に向いた側に、切込みを有する。磁極舌片２１の切込みの、固定子ヨーク１９とは反対側は、空隙の近くにある溝壁部４６、ひいては支持肩部４３を形成している。その際、図５から比較的に明瞭にわかるように、合成樹脂被覆部２３は固定子ヨーク１９の近くにある溝壁部４６を形成し一方、固定子６と回転子４の間に形成された空隙の近くにある溝壁部４６は固定子歯２０の成層鉄心によって形成されている。その際、溝４４は軸方向Ａにおいて貫通していない。溝はその端側に、以下において支持部４８と呼ぶ他の溝壁部を有する。この支持部は軸方向Ａに対して垂直な平面内で延在している。この支持部は、補強要素４２が溝４４の開放した端側から支持部４８の方へ軸方向に外れないようにするかみ合い連結部を補強要素４２と共に形成している。

長方形の板として形成された補強要素４２の幅広面５０と呼ばれる側面は、幅狭面５２、５４と呼ばれる板の側面に接している。補強要素４２は図６に拡大して示されている。その際、補強要素４２は溝壁部４６の間隔に一致する、幅広面５０に対して垂直の寸法（厚さ）を有する。さらに、幅広面５０と、「第１」幅狭面５２と呼ばれる幅狭面は、軸方向Ａにおける溝４４の寸法にほぼ一致する寸法（長さ）を有する。第１幅狭面５２に接する端面側の両第２幅狭面５４はそれぞれ、２つのほぞとして形成された接合形状部５６を備えている。組立て状態でほぞが固定子歯１６の磁極舌片２１に係合するので、軸方向Ａにおいてかみ合い連結が行われる。

この場合、補強要素４２は非磁性の特殊鋼から形成されている。最初の組立ての前に、ほぞは端面側の幅狭面５４から垂直に突き出ている。組立ての途中で、ほぞはかみ合い連結を行うために、周方向Ｕに曲げられる。

補強要素４２はここでは一体にかつ対称に形成されている。その際、補強要素４２は、幅広面５０の中心垂線を通過しかつ端面側の幅狭面５４に対して平行に延在する平面に関して鏡像対称であり、そして同様に幅広面５０の中心垂線を通過しかつ第１幅狭面５２に対して平行に延在する平面に関して鏡像対称である。

補強要素４２はさらに、貫通口５８を有する。この貫通口は幅広面５０に穿設された貫通する穴として形成されている。組立て状態で、この貫通口は固定子溝４４に開口する。貫通口５８によって渦電流損失が低減される。貫通口５８はさらに、特に冷却のための空気の循環を可能にする。

図７ａと図７ｂは補強要素４２の代替的な実施形を示している。この補強要素は合成樹脂によって形成されている。その際、それぞれ２つのほぞとして形成された接合形状部５６は、特に組立ての前に既に、幅広面５０に対して平行な平面内で、自由端が互いに離れるように傾斜している。合成樹脂による形成に基づいて、ほぞがばね弾性的に変形可能であるので、ほぞは組立ての途中で一時的に変形させられ、組立て達成後でその傾斜に基づいて磁極舌片２１に係合する。

補強要素４２のこの合成樹脂タイプはさらに、半径方向Ｒにおける溝４４の寸法よりも大きな厚さを有する。これにより、特に、補強要素４２、ひいては固定子６の剛性が高められる。補強要素４２が第１幅狭面５２の範囲においてのみ先細になっているので、補強要素はそこに、半径方向Ｒにおける溝４４の寸法に一致する厚さを有し、溝に挿入または圧入可能である。

図８は、軸方向Ａに対して垂直に延在する切断面で固定子を切断した平面図である。その際、補強要素４２の代替的な２つの他の実施形が示してある。この補強要素は磁極舌片３２によって形成された支持肩部４３により、半径方向で保持されている。この両変形の第１補強要素は半径方向Ｒに延在し固定ヨーク１９に接触するウェブ６０を有する。すなわち、この変形の補強要素４２はＴ字状横断面を有し、その水平なＴ字脚部６２は磁極舌片３２によって形成された支持肩部４３に接触し、垂直なＴ字脚部６４は固定子ヨーク１９に支持されている。この補強要素４２は固定子溝２４に圧入され、そこで例えば（超音波）溶接によって材料結合式に接合される。

図８の補強要素４２の代替的な第２変形は、図示した切断平面内に、ほぼＨ字状の横断面を有する。この変形の補強要素４２の垂直なＨ字脚部６６は、磁極舌片３２によって形成された、隣接する固定子歯２０の支持肩部４３を包囲している。その際、垂直なＨ字脚部６６の間隔は、圧入寸法が許容されるように選定されている。換言すると、補強要素４２は圧入によって支持肩部４３に摩擦結合的に保持される。この補強要素はさらに、接着剤によってあるいは（超音波）溶接によって支持肩部４３に材料結合式に接合される。その際、空隙内に突出する垂直なＨ字脚部６６は、組立て状態で水平なＨ字脚部に沿った方向において、すなわち半径方向Ｒにおいて、他の垂直なＨ字脚部６６と比べて小さな寸法を有する。

本発明は前述の実施の形態に限定されない。専門家は、本発明の対象を逸脱せずに、本発明の他の変形を導き出すことができる。さらに特に、実施の形態に関連して説明したすべての個々の特徴を、本発明の対象を逸脱することなく、異なるように互いに組み合わせることができる。

１ ラジエータファン
２ 電動機
４ 回転子
６ 固定子
８ 軸ピン
１０ 軸受
１１ ファンロータ
１２ 空気案内羽根
１３ キャップ
１４ 電動機支持体
１５ フランジ
１６ 電子機器区画室
１７ 電動機電子機器
１８ 電子機器区画室カバー
１９ 固定子ヨーク
２０ 固定子歯
２１ 磁極舌片
２２ 成層鉄心
２３ 合成樹脂被覆部
２４ 固定子溝
２５ コイル
２６ 端子
３０ 溝スリット
３２ 個々の薄板
３４ ヨーク区間
３６ 薄板歯
３８ 薄板舌片
４２ 補強要素
４３ 支持肩部
４４ 溝
４６ 溝壁部
４８ 支持部
５０ 幅広面
５２ 第１幅狭面
５４ 端面側／第２幅狭面
５６ 接合形状部
５８ 貫通口
６０ ウェブ
６２ 水平なＴ字脚部
６４ 垂直なＴ字脚部
６６ 垂直なＨ字脚部
Ａ 軸方向
Ｄ 回転軸線
Ｒ 半径方向
Ｕ 周方向

Claims (10)

1. 軸方向（Ａ）に延びる回転軸線（Ｄ）回りに回転可能に軸承された回転子（４）と、成層鉄心（２２）を有する固定子（６）とを備えた電動機（２）であって、
   前記成層鉄心が固定子ヨーク（１９）と、この固定子ヨークから半径方向に向いた、前記固定子（６）の固定子歯（２０）を形成しており、
   前記固定子歯（２０）の足側がＴ字状に広がって、前記固定子（６）の周方向（Ｕ）に延在する磁極舌片（２１）を形成し、
   前記磁極舌片（２１）がそれぞれ支持肩部（４３）を形成し、
   隣接する前記固定子歯（２０）の間にそれぞれ、固定子巻線のコイル（２５）を収容するための固定子溝（２４）が形成され、互いに向き合った磁極舌片（２１）の間にそれぞれ、溝スリット（３０）が形成され、
   複数の補強要素（４２）が設けられ、当該補強要素がそれと同数の前記溝スリット（３０）にそれぞれ挿入され、
   前記補強要素（４２）が、半径方向（Ｒ）において、隣接する前記固定子歯（２０）の互いに向き合った前記磁極舌片（２１）に、前記支持肩部（４３）によって保持されている、電動機（２）。
2. 前記成層鉄心（２２）が複数の薄板（３２）によって形成され、
   個々の前記薄板（３２）がリング状のヨーク区間（３４）と、このヨーク区間と一体の、半径方向に向いた薄板歯（３６）とを有し、この薄板歯の足側がＴ字状に広がって、前記固定子（６）の周方向（Ｕ）に延在する薄板舌片（３８）を形成しており、
   前記固定子ヨーク（１９）が前記薄板（３２）の前記ヨーク区間（３４）によって形成され、前記固定子歯（２０）が前記薄板（３２）の前記薄板歯（３６）によって形成され、前記磁極舌片（２１）が前記薄板（３２）の前記薄板舌片（３８）によって形成されていることを特徴とする請求項１に記載の電動機（２）。
3. 前記磁極舌片（２１）が自由端側に、周方向（Ｕ）に開放しかつ軸方向（Ａ）に延在する溝（４４）を有し、前記補強要素（４２）のためのそれぞれの前記支持肩部（４３）が前記溝（４４）の溝壁部（４６）によって形成されていることを特徴とする請求項１または２に記載の電動機（２）。
4. 前記固定子（６）の成層鉄心（２２）が合成樹脂被覆部（２３）を有し、この合成樹脂被覆部によって、前記支持肩部（４３）または前記溝（４４）が完全にまたは部分的に形成されていることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の電動機（２）。
5. 前記補強要素（４２）が、長方形の板状または小さな板状の部材として形成され、この部材が縦軸線または横軸線に関して鏡像対称であることを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の電動機（２）。
6. 前記補強要素（４２）が非磁性材料によって形成されていることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載の電動機（２）。
7. 前記補強要素（４２）が少なくとも一方の端面側の幅狭面（５４）に、軸方向（Ａ）における前記の各磁極舌片（２１）とのかみ合い連結のための接合形状部（５６）を有することを特徴とする請求項１〜６のいずれか一項に記載の電動機（２）。
8. 前記接合形状部（５６）がほぞとして形成され、このほぞが組立て状態で前記磁極舌片（２１）に背後から係合し、軸方向の背後係合要素を形成していることを特徴とする請求項７に記載の電動機（２）。
9. 前記補強要素（４２）が前記各固定子溝（２４）に開口する少なくとも１つの貫通口（５８）を有することを特徴とする請求項１〜８のいずれか一項に記載の電動機（２）。
10. 請求項１〜９のいずれか一項に記載の電動機（２）を備えた、自動車用のラジエータファン（１）。

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