JP2019124464A - 熱処理監視システム - Google Patents

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Abstract

【課題】食品の熱処理を自動化できるようにする。【解決手段】熱処理監視システムは、加熱されている食品の現在のセンサデータを測定する少なくとも一つのセンサを有するセンサユニットと、現在のセンサデータから現在の特徴データを決定するための処理ユニットと、前記現在の特徴データと基準加熱工程の基準特徴データとを比較することにより、監視下にある前記食品の、現在の加熱工程における現在の加熱状態を決定するように構成された監視ユニットとを備える。【選択図】図18B

Description

本発明は、熱処理監視システムに関し、特に、パンやパン生地のような加熱される食品の加熱工程、焼成工程又は発酵工程に用いられる監視システムに関する。
火を使って食品を処理することは、おそらく火が発明されてから人間によって行われている。しかしながら、現在までのところ、この作業は、依然として、人によって行われている。根本的な発明の目標は、食品処理の自動化であり、特に、人の介在を必要とせずにパンの焼成工程や発酵工程を自動化することである。
この目標に近づくようになされた発明が多々知られている。例えば、特許文献1においては、自動開閉可能な開口機構を備えた熱調理用オーブン記載されている。特許文献2においては、食品を熱加工して熱加工された食品を搬送装置に受け入れる装置が記載されている。後者の場合、食品の種類や量を識別検知する処理工程を制御する制御装置が備えられている。この制御装置は、食品の識別特定を自動的に行うために、事前に準備されたデータを選択する。処理室の外部に設けられたカメラがセンサとして用いられる。特許文献3に開示されたパン焼成用オーブンにおいては、窯すなわちパン焼成室の内部を可視化するためのカメラがドアに組み込まれている。その可視化によって、覗き窓を設けることにより生じるエネルギー損失を回避することができる。特許文献4には、オーブンが、加熱工程にある食品の特徴を抽出するために、カメラと距離センサとを備えていることが開示されている。特許文献5には、オーブンの中の状態を、センサを用いて取得するシステムが開示されている。
独国特許出願公開第102005030483号明細書 独国特許出願公開第202011002570号明細書 欧州特許出願公開第250169号明細書 米国特許出願公開第2011/0123689号明細書 独国実用新案第202011002570号明細書
しかしながら、食品の熱処理、特にオーブンを用いたパンの焼成は、依然として、条件が手動で設定され、人の監視下に置かれるようになっている。作業者がパンをオーブン内に置いたときに、温度、時間及びサーキュレーションのような重要なプロパティが設定される。通常、このような設定は、オーブン制御プログラムのデータベース内に記憶されている。作業者は、適当なプログラムを選択しなければならないし、この選択はエラーの発生源であり、ある程度のノウハウを有する人手が必要となる。さらに、工程の条件設定のパラメータが多いと、出来上がった食品が好ましくないものとなる可能性がある。プログラムが正しく選択されていても、パンが焼き不足になったり焼き過ぎになったりすることがある。これは、オーブンの予熱、パン生地の準備、外部温度、外部湿度、負荷分散、オーブンのドアの開放時間等々が異なるからである。かくして、パンの焼成や食品の熱処理においては、依然として、熟練した作業者による監視が必要とされる。
更に、例えば生地又は半焼成生地のための製造工場において食品が処理されるとき、処理される食品は、多くの異なった工程を経ることになる。多くの食品生産物の性質により、処理される食品は、形状、色、大きさおよび他の属性において変化することがある。これらの変化を補償するためには処理装置は頻繁に調整されなければならないので、このことは、工場における食品処理にとっては、解決されなければならない課題の一つである。それ故に、工場における処理工程を自動化して、手動調整を不要ならしめることが理想的である。パンの焼成においては、例えば、小麦の特性の変化が、工場の生地処理装置における処理を激しく変化させるという結果をもたらす。例えば、ミキサー、生地切断機、生地成形機、発酵、カッター、パッケージ、オーブン又は真空パン焼成装置の焼成プログラムのパラメータを調整する必要がある。
パン焼成又は食品処理の自動化という目標を達成するためには、適切な監視装置からのデータを用いたそれに対応する監視システムを採用することが必要である。従って、適切なデータを収集するための監視装置を有する監視システムが必要とされる。
オーブンで焼成される食品のために、カメラ付きの監視システムが、オーブンの窓を通じて焼成工程を監視するために用いられる。しかしながら、前記窓からの放熱による熱損失を防止するためには、従来のオーブンでは、このような覗き窓が二重ガラス構造、すなわち、内側ガラス板と外側ガラス板とからなる構造となっている。これにより、オーブンの外部からの光線は、外側ガラス板を通過して、内側ガラス板で反射してカメラに入射すし、焼成された食品の画像を歪めることになる。
それ故に、二重ガラス構造窓を介して取得された焼成された食品の画像の歪みを低減する熱監視システムを提供することが望まれている。
食品処理システムにおいては、処理される食品の構造に関するデータは、生産量を少なくしないために、食品処理作業を中止することなく、収集する必要がある。したがって、食品処理における上記した装置やその他装置についてのパラメータは、非接触式測定技術に基づいて調整するのが望ましい。
監視装置により取得されたデータを、自動化されたパン焼成又は食品処理にとって有用なものとするためには、処理される食品の処理領域を観察する監視装置によって記録される多数の画像を分類するための方法の提供すること及び当該方法を用いた装置を提供することが望ましい。
データが一旦適切に分類されると、熱処理装置の自由度(フレキシビリティ)、品質及び効率性を向上させるには、認知機能を利用することが望ましい。
食品処理中の関連情報を抽出する方法及びオーブンの操作方法を熟練者から学習することによって知識を得ることができ、未知の状況において合理的行動を示し、教師なしで学習するシステムを提供することが望ましい。
処理時間を変更し、所望の食品処理状態を維持することによって、エネルギー供給の閉ループ制御によって前記効率性を向上するシステムを提供することが望ましい。
異なる種類の食品又は処理作業に対応することによって、異なる食品処理それぞれに対して自由度を有するシステムを提供することが望ましい。
これらの目的は、添付された特許請求の範囲に記載された熱処理監視システムによって達成される。
特に、熱処理室(オーブン)から画像を取得するために、照明は、外側の窓への着色又は暗化と組み合わせることが有利である。これにより、オーブン内の画像の処理に対する外光の影響をより少なくすることができる。窓の着色率を最低でも40パーセントにすることが推奨される。
工場における食品処理の場合、処理されている食品の情報を把握するためには、レーザーライン発生装置又は他の任意の光源と、カメラセンサ又は他の任意の光学センサとを用いるのが有利である。レーザー三角測距法として知られる方法により、レーザーラインを測定対象物に照射することで、その特性を得ることができる。
更に、オーブン又は熱処理装置への出し入れ以外は人手を不要とするように、食品の熱処理を自動化することが有利である。しかしながら、必要に応じて、このステップでさえも自動化が可能である。この実現のためには、熱処理装置には、カメラで監視できる処理室及びサーモメータ等の処理室内部温度センサが必要となる。カメラに代えて、最低2個のフォトダイオードを有するアレイを用いることもできる。複数のセンサを用いて、処理室内の湿度、時間、換気、熱分布、負荷容量、負荷分散、荷重、食品表面の温度及び処理された食品の内部温度に関連する信号を取得するのが有利である。次のようなセンサも、同様に、使用することができる。つまり、湿度計、レーザー三角測距センサ、挿入温度センサ、音響センサ、秤、タイマ等である。さらに、熱の影響を受け易いセンサに、冷却装置を取り付けるようにしてもよい。例えば、ペルチェ冷却装置や換気装置のような電気式、空冷式又は水冷式の冷却装置、熱電式ヒートポンプ、蒸気圧縮冷凍機等である。
熱処理室を備えたオーブンのような熱処理装置を用いた食品の熱処理工程、特に焼成された食品の熱処理工程においては、内部温度及び内部カメラ画像又はその他のセンサが、電源供給制御又は処理パラメータとして用いることができる。本発明によれば、カメラ画像は、食品の加熱中に、食品の体積変化及び/又は色に関連するパラメータの検出に好適である。本発明に先立つ確立された典型的な装置によれば、処理された食品が予め定められた適正処理状態にあるかについての判断をこの方法で判定することができ、また、熱処理工程の電力を閉ループ制御で行うことで、それらの処理を個別に調整することができる。望ましい処理結果は、いくつかの箇所に個別に設置された熱処理装置において、処理される食品の望ましい処理条件によって決定されたパラメータを設定することにより達成される。さらに、使用されるセンサ及びそれから得られる処理データ、特に、カメラ画像を用いることで、データ特性に基づいて、食品の種類と量を特定することができ、その結果、自動的に、適切な異なった処理を開始することができる。
本発明の一実施形態によれば、熱処理監視システムは、熱処理室、内窓と外窓からなる二重ガラス窓及び前記熱処理室の内部を照明する照明装置を備えた熱処理装置と、前記熱処理装置に搭載されて前記内窓を通して前記処理室内部を観察するカメラとを備え、外側窓の可視光線透過率を内側窓の可視光線透過率よりも低くすることで、前記二重ガラス窓構造内での反射及び前記カメラによって撮像された画像の画像処理への外光影響を低減したものである。前記外側窓は、コーティングによって暗化されていることが望ましい。好ましくは、前記外側窓には、金属箔又は着色箔が貼付される。好ましくは、前記外側窓は、着色ガラスから構成される。好ましくは、前記外側窓は、最大60パーセントの透過率を有する。好ましくは、前記熱処理装置の熱処理窓である。好ましくは、前記監視装置は、前記熱処理室内の加熱される食品の画像をハイダイナミックレンジ合成(HDR)処理するように構成される。好ましくは、前記監視装置は、ケーシングと、カメラが搭載されるカメラ支持体とをさらに備える。好ましくは、前記ケーシングには、カメラ冷却用の放熱シンク及びファンが設けられている。好ましくは、熱処理装置は、少なくとも2枚のトレイが積層される形式のコンベクションオーブン又はデッキオーブンである。好ましくは、前記カメラは、コンベクションオーブン又はデッキオーブン内の少なくとも2枚のトレイを同時に観察できるよう構成された二重構造窓に対して、水平方向及び/又は垂直方向に傾けられている。好ましくは、前記熱処理監視システムは、少なくとも2台のカメラを備えて、2枚のトレイを個別に観察する。好ましくは、前記熱処理監視システムは、食品の加熱工程の終了時間を決定するために、トレーニングデータに基づいて、前記カメラにより観察された食品画像の処理及び分類を行うように構成された制御ユニットをさらに備える。好ましくは、前記制御ユニットは、加熱工程が終了すべき時に、前記熱処理装置の熱処理作動を停止するように構成される。好ましくは、前記制御ユニットは、焼成工程が終了すべき時に、熱処理装置のドアを自動的に開放するようにするか、加熱工程が終了すべき時に、前記熱処理室を冷気又は空気で換気する。
本発明の他の実施形態によれば、熱処理監視システムは、加熱されている食品の現在のセンサデータを測定する少なくとも一つのセンサを有するセンサユニットと、前記現在のセンサデータから現在の特徴データを決定するための処理ユニットと、前記現在の特徴データと基準加熱工程の基準特徴データとを比較して、監視下にある前記食品の現在の加熱工程における現在の加熱状態を決定するように構成された監視ユニットとを備える。好ましくは、この熱処理監視システムは、前記現在のセンサデータの記現在の特徴データへの写像を決定するように、及び/又は、少なくとも一つのトレーニング加熱工程の特徴データに基づいて、基準加熱工程の特徴データの決定を行うように構成された学習ユニットをさらに備える。好ましくは、前記学習ユニットは、前記現在のセンサデータの次元数を減少させる少なくとも一つのトレーニング加熱工程の分散分析により、前記現在のセンサデータの前記現在の特徴データへの写像を決定するように構成される。好ましくは、前記学習ユニットは、前記現在の特徴データの次元数を減少させる少なくとも一つのトレーニング加熱工程の分散分析により、現在の特徴データへの写像を決定するように構成される。好ましくは、前記分散分析には、主成分分析(PCA)、アイソメトリック機能写像法(ISOMAP)、線型判別分析(LDA)および次元縮小法のうちの、少なくとも一つが含まれる。好ましくは、前記学習ユニットは、予め設定された加熱プログラムの特徴データと、ユーザの選択によりトレーニングセットの一部として分類された少なくとも一つのトレーニング加熱工程の特徴データと組み合わせることにより、基準加熱工程の基準特徴データを決定するように構成される。好ましくは、熱処理監視システムは、現在の加熱工程の現在の特徴データを記録する記録ユニットをさらに備え、前記学習ユニットは、前記記録ユニットから前記記録された特徴データを受け取り、トレーニング加熱工程の特徴データとして使用するよう構成される。好ましくは、前記センサユニットは、加熱されている食品のピクセル画像を記録するカメラを備え、前記カメラの現在のセンサデータは、現在のピクセル画像の現在のピクセルデータと対応する。好ましくは、前記現在のピクセルデータは、第1の色に対応する第1ピクセルデータと、第2の色に対応する第2ピクセルデータと、第3の色に対応する第3ピクセルデータとから構成される。好ましくは、前記第1の色、前記第2の色及び前記第3の色はそれぞれ、赤、緑及び青に相当する。前記カメラは、HDR処理されたピクセル画像を、現在のピクセルデータとして生成するように構成される。好ましくは、前記熱処理監視システムは、加熱される食品の種類を分類し、食品の特定された種類に対応した基準加熱工程を選択する分類ユニットをさらに備える。好ましくは、前記熱処理監視システムは、前記監視ユニットにより決定された現在の加熱工程状態と予め定められた加熱工程状態との比較結果に基づいて、加熱工程を、発酵工程から焼成工程に変更するように構成された制御ユニットをさらに備える。好ましくは、前記熱処理監視システムは、表示ユニットを制御するように構成された制御ユニットをさらに備え、前記制御ユニットは、前記監視ユニットにより決定された現在の加熱工程状態と加熱終了時点における予め定められた加熱工程状態との比較結果に基づいて、前記加熱工程の残り時間、及び/又は、熱処理室の内部の画像を表示するように構成される。好ましくは、前記熱処理監視システムは、前記加熱工程が終了すべきときに、ユーザにその旨を知らせるように構成された制御ユニットをさらに備える。好ましくは、前記熱処理監視システムは、熱処理室の温度を制御するように構成された制御ユニットと、水又は水蒸気を加えて前記熱処理室の湿度を変化させる手段と、換気機構の制御手段と、ファン速度を変化させる手段と、前記熱処理室と周辺環境との差圧を変化させる手段と、前記熱処理室内の時間依存温度カーブを設定する手段と、発酵及び焼成のような異なった熱処理工程を実行し適合させる手段と、前記熱処理室内における内部ガスの流れ分布を変化させる手段と、加熱される食品の特性を検査又は観察するために、電磁力発生装置の電磁力又は音波発生装置の音波の強度を変化させる手段とをさらに備える。好ましくは、前記センサユニットの少なくとも一つのセンサは、少なくとも一つの、湿度計、挿入温度センサ、処理室温度センサ、音響センサ、秤、タイマ、カメラ、イメージセンサ、フォトダイオードアレイ、前記処理室内のガスを分析するガス分析装置、挿入温度センサの温度分布を測定する手段、発光素子又は光源からの光あるいは発音素子又は音源からの音に応じて反射又は放出される光又は音などの処理される食品からの電磁放射又はアコースティックエミッションを測定する手段、3Dカメラ、ステレオカメラ又はレーダを含み、処理される食品の3D測定の結果を決定する手段、又は、処理される食品の種類、構造、形状、光学的特性、体積又は質量を測定する手段から構成される。
本発明の別の実施形態によれば、熱処理監視システムは、加熱される物又は食品を焼成又は発酵させるための熱処理又は焼成ユニット、すなわち食品処理ラインと、第1レーザー光線及び第2レーザー光線を発生させて、前記第1レーザー光線及び前記第2レーザー光線を前記焼成ユニット内の焼成物の所定の位置に向かわせるレーザー光線分配ユニットと、前記焼成物から散乱した前記第1レーザー光線の反射光を検出する第1光検知ユニットと、前記焼成物から散乱した前記第2レーザー光線の反射光を検出する第2光検知ユニットと、前記第1光検知ユニット及び第2光検知ユニットの検知結果に基づいて前記焼成物の高さ形状を測定する測定ユニットと、前記レーザー光線分配ユニットと前記焼成物との間の距離を変更する移動ユニットとを備える。ここで、前記レーザー光線分配ユニットは、前記第1レーザー光線を発生させる第1レーザー光線発生ユニットと、前記第2レーザー光線を発生させる第2レーザー光線発生ユニットとを備えることが望ましい。さらに、前記レーザー光線分配ユニットは、主レーザー光線を発生させる主レーザー光線発生ユニットと、前記主レーザー光線から第1レーザー光線及び第2レーザー光線を発生させる光学ユニットとを備えることが望ましい。前記光学ユニットは、前記主レーザー光線が向けられて、前記主レーザー光線発生ユニットに対して移動及び回転して前記第1レーザー光線及び前記第2レーザー光線を交互に発生させる可動・回転可能ミラーを備えることが望ましい。前記光学ユニットは、前記主レーザー光線が向けられて、前記第1レーザー光線及び副レーザー光線を発生させる半透過ミラーと、前記副レーザー光線が向けられて、前記第2レーザー光線を発生させるミラーとを備えることが望ましい。前記第1レーザー光線は、第1の位置に向けられることが望ましい。前記第2レーザー光線は、第2の位置に向けられるのが望ましい。1つの焼成物は、前記移動ユニットにより、第1の位置から第2の位置へ移動されることが望ましい。そして、前記1つの焼成物の高さ形状の変化は、前記測定ユニットで測定されることが望ましい。前記第1レーザー光線は、1つの焼成物の第1の端部に向けられて、前記1つの焼成物の支持部材に対して45度未満の角度をなすことが望ましい。前記第2レーザー光線は、前記1つの焼成物の前記第1の端部と反対側にある第2の端部に向けられて、前記1つの焼成物の支持部材に対して45度未満の角度をなすことが望ましい。そして、前記第1レーザー光線と前記第2レーザー光線とがなす最少角度は、90度を超えることが望ましい。前記移動ユニットは、前記焼成物を前記焼成ユニット内で移動させるベルトコンベアであることが望ましい。前記レーザー光線分配ユニットは、前記焼成ユニット内に設けられて、前記第1レーザー光線及び前記第2レーザー光線は前記レーザー光線分配ユニットから直接に前記焼成品に向けられることが望ましい。前記レーザー光線発生ユニットは、前記焼成ユニットの外側に設けられ、前記レーザー光線は、反射ミラーを介して前記焼成物に向けられることが望ましい。前記光検知ユニットは、前記焼成ユニットの外側に設けられ、前記レーザー光線の反射光は、誘導ミラーにより誘導されることが望ましい。前記ミラーは加熱されることが望ましい。前記第1レーザー光線及び前記第2レーザー光線は扇型であり、前記第1レーザー光線及び前記第2レーザー光線の反射光は、レンズにより、前記第1及び第2光検知ユニットに焦光されることが望ましい。前記レーザー光線分配ユニット、前記焼成物及び前記光検知ユニットで構成される光学系は、シャインプルーフの原理を満たす。本発明に係る焼成監視方法は、焼成ユニット内で焼成物を処理するステップと、前記焼成物を前記焼成ユニット内で移動させるステップと、第1レーザー光線及び第2レーザー光線を発生させ、前記第1レーザー光線及び前記第2レーザー光線を前記焼成ユニット内の前記焼成物の所定位置に向かわせるステップと、前記焼成物で散乱した前記第1レーザー光線の反射光を検知するステップと、前記焼成物で散乱した前記第2レーザー光線の反射光を検知するステップと、散乱した前記第1レーザー光線及び前記第2レーザー光線の検知に基づいて、前記焼成物の高さ形状を測定するステップとを備える。
添付の図面は、本発明の更なる理解を与えるために含まれており、本出願の一部を構成するものであり、本発明の実施形態を示し、発明の詳細な説明と共に本発明の基本原理を説明するものである。
熱処理監視システムの一実施形態の断面模式図である。 熱処理監視システムの一実施形態の側面模式図である。 従来の二重ガラス窓における反射特性を示す図である。 熱処理監視システムの一実施形態の二重ガラス窓における反射特性を示す図である。 他の熱処理監視システムの種々の面から見た模式図である。 画像センサの一実施形態の模式図である。 画像センサの他の実施形態の模式図である。 熱処理監視システムの他の実施形態の正面模式図である。 熱処理監視システムの他の実施形態の側面模式図である。 熱処理室の一実施形態の模式図である。 食品製造システムの一実施形態の模式図である。 レーザー光線による三角測距法を用いた食品製造システムの一実施形態の模式図である。 レーザー光線による三角測距法を用いた食品製造システムの他の実施形態の模式図である。 生地配置を表示したトレイの一実施形態の模式的平面図である。 オーブンラックに組み込まれたセンサシステムの一実施形態の模式図である。 熱処理監視システムの一実施形態におけるデータ処理の流れの模式図である。 本発明に関するセンサ及びアクチュエータを備えた食品製造機械に適用される認知知覚―行動ループを示す図である。 線型および非線型次元縮小法を示す図である。 二次元データの写像から、最適線型分離器を用いた3次元空間を示す図である。 本発明に係るアーキテクチャならびにセンサおよびアクチュエータを備えたブラックボックスモデルを用いた食品製造システムにおける監視または閉ループ制御を司るデザインエージェントを設計するための構成要件群を示す図である。 熱処理監視システムの一実施形態の模式的断面図である。 熱処理監視システムの一実施形態のブロックダイアグラムである。
図1A及び図1Bには、本発明の一実施形態である熱処理監視システム100が示されている。図1Aには熱処理監視システム100の模式的水平断面図が示され、図1Bには熱処理監視システム100の模式的正面図が示されている。
図1Aおよび図1Bに示されるように、熱処理監視システム、パン焼成監視システム、又は、発酵及び/又はパン焼成監視システム100は、熱処理室すなわちオーブン室120を有するオーブン110と、オーブン110の一側に形成された少なくとも一つの二重ガラス窓130と、オーブン110の内側に設けられた照射装置140とを備える。
熱処理装置すなわちオーブン110は、従来から食品の調理、特にパンの焼成や発酵に用いられてきたオーブンであれば、どのようなものであっても良い。オーブンは、種々の技術を使用して調理ができる。オーブンは、対流式(コンベクションタイプ)のものであっても放射式のものであっても良い。
熱処理室すなわちオーブン室120は、オーブン110の内部空間の大部分を占める。オーブン室120の内部で食品が調理される。食品は、オーブン室の壁に支持された可変数のトレイに載せられる。食品は、オーブン室120内を移動可能な数個のトレイを備えた可動カートに載せることもできる。オーブン室120の内部には熱源が設けられており、これにより食品が調理される。更に、オーブン室120の内部には、熱源により生成された熱を更に均等に分布させるために、通風装置が構成されても良い。
オーブンすなわち熱処理室は、照明装置140により照明される。照明装置140は、図1Aに示されるように、オーブンすなわち熱処理室の内側に設けられている。また、照明装置140は、オーブン室120の外側に設けられて、窓を通して、オーブン室120の内部を照明するようにしても良い。照射装置140は、従来からの発光装置、例えば、電球、ハロゲンランプ、発光ダイオード、またはこれらのいくつかの組み合わせ、であれば良い。照明装置140は、オーブン室120内の調理される食品に向けて焦点を当てても良い。特に、調理される食品とその周囲のオーブン室120内部との間、或いは、調理される食品と当該食品が乗せられるトレイ/カートとの間のコントラストが高くなるように、照明装置140が、調整又は焦点合わせが行われる。このような高いコントラストは、照明装置140から特定の色の光を発することだけで行うことができる。
オーブン室120の壁には、窓が形成されている。オーブン室120から熱が逃げることを防止するために、前記窓は、外側ガラス板すなわち外窓135と、内側ガラス板すなわち内窓136とを備える二重ガラス窓130であることが好ましい。二重ガラス窓130においては、内窓136と外窓135との間に特殊なガスを封入したり、内窓136と外窓135との間を真空状態にしたりすることで、内窓136と外窓135との間で熱が消失するのを防止することができる。二重ガラス窓130においては、内窓136と外窓135との間に特殊なガスを封入したり、内窓136と外窓135との間を真空状態にしたりしない場合には、内窓136と外窓135との間を換気することによって二重ガラス窓130を冷却して、外窓135の温度が上昇することを防止することができる。また、照明装置140を、内窓136と外窓135との間に設けることもできる。外窓135のガラス外表面は高温にはならないので、カメラ160の設置に適切である。内窓136と外窓135との間に光学孔を用いるようにすれば、反射や熱の影響を減少できるという、更なる利点がもたらされる。
前記熱処理装置すなわちオーブンの外部から、前記二重ガラス窓130を通じて、前記オーブン室120内の調理又は焼成の進行を観察することができる。
図1Bに図示されているように、監視装置150が、熱処理装置すなわちオーブン110に搭載されている。監視装置150は、二重ガラス窓130の外窓135を横切るように搭載されており、オーブン室120の内部で調理又は焼成されている食品を観察するためのカメラ160を備えている。コンピュータ処理が可能な形式の画像データを提供できる従来型のカメラであれば、どのようなものでもカメラ160として使用できる。カメラ160は、例えば、電荷結合素子(CCD)カメラであっても良いし、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラであっても良い。カメラ160は、調理工程で調理されている食品を撮像する。以下に述べるように、これらの画像は、調理工程又は焼成工程の自動制御に用いることができる。カメラ160を外側窓135の外側に搭載すれば容易に監視装置150内に組み込めて、二重ガラス窓130を通して熱処理室120の内部を観察できて好適であるが、カメラ160を内側窓136と外側窓135との間に設けて、内側窓136を通して熱処理室の内部を観察するようにすることもできる。
しかしながら、外部光源が、オーブン室120の外側であって二重ガラス130の前方にある場合に問題が生じる。
図2Aに図示されるように、外部光源270から発せられた照明光272は二重ガラス窓の外側窓235’を通過するが、内側窓236で反射して、調理される食品280を観察するカメラ260に到達する。従って、カメラ260には、食品280から発せられ又は食品280で反射された光282だけでなく、内側窓236で反射した照明光も取得する。その結果、カメラ260で生成される画像データが劣化して、自動化されたパンの焼成工程に悪影響を及ぼす。
本実施形態においては、照明光を遮ることにより照明光が外側窓235を透過しないようにして、この悪影響が生じることを防止している。これは、外側窓235を着色する又は暗化することによって行われる。したがって、照明光272は、外側窓235で反射されるか吸収され、内側窓236に到達しない。かくして、照明光が内側窓236で反射された後にカメラ260に入射することはないので、カメラ260は、食品280についての正確な情報のみを取得することができる。故に、本実施形態によれば、外側窓235を着色する又は暗化することで、自動化されたパンの焼成工程の劣化を防止することができる。
かように、オーブン110の熱処理室120の画像を取得するためには、照明装置140を、外側窓235への着色又は暗化と組み合わせて使用するのが効果的である。これにより、オーブン内の画像の処理に対する外光の影響をより少なくすることができる。
本発明によれば、外側窓135の可視光線透過率は、内側窓136の可視光線透過率よりも低い。ここでは、外側窓135の可視光線透過率は、内側窓136の可視光線透過率の95%未満で、より好ましくは内側窓136の可視光透過率の80%未満であって、特に内側窓136の可視光線透過率の60%となっている。更に、二重ガラス窓130の外側窓235は、好ましくは、最大可視光線透過率を75%とすることができる。可視光線透過率というのは、可視光線の波長、すなわち380~780nmを持つ入射光がガラス窓の表面に対して直角に入射したときの透過率である。また、窓の着色率を少なくとも40%とするのが好ましく、これにより、最大可視光線透過率を60%とすることができる。言い換えれば、少なくとも入射光の40%が外側窓235で吸収されたり反射されたりすることで、最大、入射光の60%以下しか外側窓235を通過しない。内側窓236は、通常のガラスの可視光線透過率を持っていてもよい。更に好ましいのは、窓の着色率を少なくとも60%とすれば、透過率は40%となる。オーブンの二重ガラス扉の外側窓に暗色コーティングを施したり暗色箔を貼付したりすると、熱によるコーティングの劣化を防止できて、効果的である。外側窓を暗色化としたので、オーブンの外部から入射してくる光の大幅に減らすことができる。オーブンの扉窓に金属箔を貼付したり、金属をコーティングしたり(鏡扉としたり)、また、着色された箔を貼付したりすることで、オーブンの扉の窓を暗色化することが可能となる。オーブンの扉の窓は、例えば、着色された外側ガラス及び/又は内側ガラスからなる着色窓とすることができる。カメラが外側窓135に取り付けられている場合には、外側窓135の暗色度又は反射率は、カメラが位置する部位では取り除かれる。例えば、外側窓135のコーティングに孔をあけることによって当該孔を通じてカメラによる観察を確かなものとするような場合、当該孔の領域は、外側窓135の透過率の算出において除外される。
オーブンすなわち熱処理装置110は、オーブン室120を開閉可能なオーブン扉すなわち熱処理装置扉をさらに備えている。オーブン扉に窓を設けて、オーブン室120内部を観察できるようにしても良い。この窓は二重ガラス窓として、オーブン室120内部の加熱エネルギーの損失を防止するように構成するのが好ましい。かくして、熱処理監視システム100は、監視装置150及び当該監視装置150を有するオーブン110、すなわちオーブン窓に監視装置150が設けられたオーブン110を備えている。
また、オーブンの扉の窓を構成する二重ガラス窓の構造内の反射も低減することができる。したがって、外部からの照明による画像処理への影響は、無視することができる。かくして、オーブン室120内部のそれぞれの照度を用いて、監視装置150のカメラ160によるオーブン室120の内部の観察が可能となる。
図3は、図1A及び図1Bに図示した熱処理監視システムの一実施形態を種々の異なった方向から見た図を示す。
図3に示されるように、監視装置350は、熱処理監視システム300のデッキオーブン310の前面側に取り付けられている。この監視装置350は、ケーシングと、カメラセンサ取り付け部と、カメラセンサ取り付け部に搭載されてオーブンドア窓330を通してオーブン室を観察するカメラとを備えている。前記カメラは、デッキオーブン310の中の少なくとも二つのパン焼きトレイを同時に観察できるように、オーブンドア窓に対して水平方向及び/垂直方向に傾けられている。
他の実施形態によれば、前記カメラセンサ取り付け部及び前記ケーシングは、その内側がファンにより冷却される。さらに、図4及び図5から分かるように、監視装置350のカメラセンサ取り付け部に、冷却用の放熱部及びファンを設けても良い。前記カメラセンサ取り付け部及びケーシングを最適位置に調整することで、オーブン内の二つのパン焼きトレイを視野に収めるための最適視野角を得ることができる。
図6A及び図6Bは、図1A及び図1Bに示した熱処理監視システムとは別の実施形態における正面図及び側面図を示す。
図6Aに示されるように、監視装置650が、熱処理監視システム600のオーブン610に取り付けられている。監視装置650とオーブン扉632の二重窓630とは、部分的に重なっている。監視装置650は、ケーシング内に、カメラを備えている。監視装置650は、ユーザに情報を表示すると共にユーザとの対話を可能とするディスプレイをさらに備えている。
図6A及び図6Bに示されるように、オーブン610は、上部にコンベクションオーブンを有し、下部に二つのデッキオーブンを有する。
別の実施形態によれば、監視装置150は、焼成工程が終了すべきときをユーザに知らせるための報知装置を備える。さらに、監視装置150は、例えばオーブン110の熱処理の中止、及び/又は、オーブン扉の自動開放、及び/又は、冷気又は空気によるオーブン室120の通風を行う制御出力装置を備える。オーブン110及び監視装置150は、一体となって、熱処理監視システム100を構成する。
さらなる実施形態によれば、監視装置150は、オーブン室120内の焼成物のハイダイナミックレンジ(HDR)処理された画像を生成できるように構成される。これは、特に、着色された外側窓135と組み合わせることにより特に有利である。なぜなら、焼成室120の内部からの光の強度が着色箔により低減されて、HDR処理による画像分割の向上が可能となるからである。さらに、HDR処理を用いることで、焼成物とオーブン壁やトレイのような周辺物との間の区別を向上させることができる。これにより、熱処理監視システム100は、一層正確に、焼成物の輪郭又は形状を測定することができる。
図7には、更なる別の実施形態における、処理室720に用いられるセンサの設置の想定例が示される。前述したように、処理室720は、少なくとも一台のカメラ760を用いて監視される。カメラ760は、イメージセンサ又は少なくとも二つのフォトダイオードを有するフォトダイオードアレイを備えている。別々に置かれたいくつかのトレイを監視するために、一台以上のカメラを用いることが有利である。少なくとも一台のカメラ760を処理室720内に置くことは可能であるが、一台以上のカメラ760に対する熱影響を低減するためには、窓、特に二重ガラス窓730を設けるのが得策である。二重ガラス窓730は、処理室のどの壁に設けても良い。
上述したように、少なくとも一つの電球、発光ダイオード(LED)等の照明装置を統合して処理室720を照明することが有利である。処理室の輪郭を照明することは、鮮明なカメラ画像を得ることに貢献する。少なくとも一つの特定波長の光で照明したり、カメラやイメージセンサやフォトダイオードアレイ760に、適当な波長の光のみを通過させるフィルタを適用したりすることも有利である。これにより、視覚監視装置の精度が更に向上する。特定の波長を持つ光としては赤外線又は近赤外線が選択され、これに対応するイメージセンサ及びこれにオプションで装着されるフィルタが選択された場合、視覚監視装置は、特定の食品の処理工程にとって重大な影響を及ぼし得る温度分布に関係する情報を収集することができる。
前記カメラすなわち視覚システム760に、食品を最適に視覚する特定のレンズ系を装着することもできる。全ての調理中の食品に関する画像を捉える必要はない。というのは、特定の調理の処理状態というのは、どれも、非常によく似ているからである。更に、カメラすなわち視覚システム760に、自動焦点機構や輝度最適化機構を設けても良い。食品処理における色変化に関する情報収集のため、複数の特定波長に対応した複数のイメージセンサ760を用いるのが有利である。また、熱処理中の食品の体積変化についての情報収集のために、カメラすなわちイメージセンサ760を設置するのも有利である。カメラすなわちイメージセンサ760の設置は、食品を上から見下ろせる位置が特に有利である。
既存の開放機構に第2のオーブン扉又は処理室開口部を設けることも有利である。これにより、センサシステム、特に、カメラ又は照明装置を、オーブン扉窓と同じ高さに位置させることができる。このドアは他のドアの上に位置する二重ドア構造をなし、オーブンのセンサシステムの取り換え時に、実装できる。
上述した各監視装置は、例えば、図1A、図1B、図3及び図4の例から分かるように、オーブンの前方側に設けることができる。監視装置は、ケーシングと、カメラセンサ取り付け部と、カメラセンサ取り付け部に搭載されて、オーブン扉窓を通してオーブン室の内部を観察するカメラとを備える。カメラは、オーブン扉窓に対して水平方向及び/又は垂直方向に傾けられて、デッキオーブンの中の、少なくとも二つの焼成トレイを同時に観察できるようになっている。監視装置は、焼成工程が終了しなければならないときをユーザに報知する報知装置をさらに備える。監視装置は、例えばオーブンの加熱の停止、及び/又は、オーブン扉の自動開放、及び/又は、冷気又は空気によるオーブン室の通気を行う出力制御装置を備える。前記オーブン及び前記監視装置は、一体となって、熱処理監視システムを構成する。
上述したように、一台のカメラが焼成工程の観察に使用される。別の実施形態によれば、数台のセンサカメラを用いるのが有利である。熱処理室内の各トレイに対して少なくとも一台のカメラセンサが適切に配置された場合、監視・制御ソフトウエアは、トレイごとに情報を得ることができる。かくして、トレイごとに、焼成工程が終わるまでの残り時間を計算することができる。
焼成工程が終わるまでの残り時間は、少なくとも一つのトレイの焼成時間が他のトレイの焼成時間より前に終了した場合、ドアを開放して前記少なくとも一つのトレイを取り出すように、オーブンのユーザに対して報知することに用いられる。本発明によれば、ユーザへの報知は、遠隔システム又は情報技術システムにより可能とされる。前記報知は、ウエブサイト表示装置、スマートフォン又はカウンタ横のフラッシュライトで、行うことができる。このことは、オーブンの前に限らず他のいつもの場所で執務しているユーザに放置する場合に有利がある。
本発明に係る監視システムの他の実施形態によれば、監視システムは、食品製造業界、例えば、パン焼成工程やパン予備焼成工程や生地の生成・分割を行う生地準備システムにおいて使用することができる。しかしながら、この監視装置は、食品製造又は食品処理における他のどのような分野においても使用できる。
図8に監視装置800を示すが、この監視装置800は少なくとも一つのセンサ機構850を備えており、ベルトコンベア(移送装置)815が設けられた熱処理装置すなわちオーブン(焼成装置)810に用いられる。これらのオーブン810は、通常、食品製造業界において採用されているものである。
センサシステムは、次に掲げるセンサのうち、少なくとも一つを備えることができる。つまり、湿度計、挿入温度センサ、処理室温度センサ、音響センサ、レーザー三角測距センサ、秤、タイマ、カメラ、画像センサ、フォトダイオードアレイである。このセンサシステムの一部は、照明、冷却又は移動アルゴリズム等の支援装置である。
一つの実施形態によれば、レーザー三角測距センサを用いて、食品の体積に関する情報を得ることができる。ここで、センサシステム850は、レーザー光線を生成して、このレーザー光線をオーブンすなわち焼成ユニット内の焼成物に向けて照射するレーザー光線分配ユニットを備える。レーザー光線分配ユニットは、一度に一つの焼成物に向けてレーザー光線を照射する。別の実施形態によれば、食品処理工程において、経時的な体積変化の情報を得るために、少なくとも二回、レーザー光線を照射することができる。
焼成物の体積情報及び/又は高さ形状は、その後、焼成物からのレーザー光線の反射を検出する光検出ユニットの検出結果を解析する測定ユニットにより取得される。全てのレーザー光線について単一又は数個の光検出ユニットを用いても良いし、レーザー光線ごとに一台の光検出ユニットを用いてもよい。
別の実施形態によれば、少なくとも一つの追加のセンサシステム852を、熱処理装置の内外の別の異なった箇所に設けてもよい。これに替えて、センサシステム850をベルトコンベアが通過する位置に設けて、処理中の食品を2回、異なった時間に観察してもよい。また、これに替えて、センサシステム850を、ベルトコンベア815の速度と同じ速度で移動させることもできる。
更に別の実施形態によれば、複数のカメラセンサ又は光センサと複数のレーザーライン発生器を用いてレーザー三角測距を行うことができる。
図9に示される実施形態においては、監視システム900は、レーザーライン発生器955を有する少なくとも二台の監視装置と、例えばカメラ又はフォトダイオードアレイのような一台の受光装置960とを備える。かくして、この実施形態に係る監視システム900は、第1レーザー光線発生ユニットと第2レーザー光線発生ユニットとから構成されることになる。
レーザー光線発生ユニットからは、レーザー光線がコンベア915上の生地材すなわち焼成前の生地のような食品980に向けて照射される。食品980で反射したレーザー光線が受光装置960に入射される。レーザー光線発生器955と受光装置960との間の相互の位置関係及びレーザー光線発生器955及び受光装置960のベルトコンベア915に対する位置関係が既知の場合、食品980に対するレーザー光線発生器955の距離は、レーザー光線956が受光装置960内で正確に観察される位置から三角測距法により算出される。したがって、このようなレーザー三角測距法を用いることにより、処理される食品980の表面高さを測定することができる。
図9に示されるように、レーザー光線956は、食品すなわち焼成物980に真っ直ぐ照射されて、受光装置すなわち光検出装置960に真っ直ぐ向かって散乱される。別の実施形態によれば、レーザー光線の光路は、反射鏡や誘導鏡を用いることで、変更することができる。また、レーザー光線発生器955又は受光装置960は、熱処理室すなわち焼成装置の外側にも設けることができる。これにより、熱監視システムの設計の自由度が更に向上する。更に、鏡の結露防止のため、鏡を結露防止のために十分な温度に加熱しておくことができるが、鏡を損傷させないためには、低温でなければならない。
図9に示されるように、レーザー光線発生器955からのレーザー光線956は、製造工程における異なった二つの時点で食品980を監視するように、食品980に向けて照射される。図9においては、レーザー光線発生器は、隣接する二つの食品980に向け照準しているが、お互いに遠く離れた位置にある食品に向けての照準も可能であることに、注意されたい。例えば、二つの食品を数メートル離れて分離することも可能であり、また、レーザー光線発生器955を、ベルトコンベア915が通過する焼成室の入口および出口に設けて、焼成室に出入りする食品980の表面高さを観察するようにすることも可能である。この目的達成のため、食品980の真上から略垂直にレーザー光線を照射できるように、レーザー光線発生器すなわちレーザー光線発生ユニット955を設けることができる。
尚、レーザーライン発生器955は、必ずしもベルトコンベア915の上方に位置する必要はなく、ベルトコンベア915の一方の側に配置してもよい。もちろん、少なくとも二台のレーザーライン発生器955を、ベルトコンベア915の夫々異なった側に配置してもよい。
従って、異なった食品980に焦点を当てて、これら食品980の表面構造をそれぞれ観察する少なくとも二台のレーザー光線発生器955を用いることで、焼成すなわち食品製造過程により生じる表面構造の差異を観察することができる。というのは、ベルトコンベアすなわち移動装置915は、食品980を第1のレーザー光線の焦点から、焼成装置を通過して、第2のレーザー光線の焦点に移動させるからである。焼成すなわち食品製造工程の種々の時点における表面構造上の差異に関する情報は、処理の自動制御に用いることができ、焼成すなわち食品製造工程の自動化を可能ならしめることができる。
レーザー光線は、ドット状であっても扇型であってもよく、ベルトコンベア915のベルトの全幅を横切るように延在する。扇型のレーザー光線956を用いれば、ベルコンベア915上にあって移動する食品980の三次元形状を捉えることができ、これにより焼成すなわち食品製造工程の自動化をより良く行うことができる。そして、光検知装置960を小型化して容易に熱処理監視システムに組み入れることを可能ならしめるために、食品で反射された扇型レーザー光線は、光検出装置960のレンズにて平行にされるか集光されるようになっている。
図10に示されるように、異なった食品の観察に加え、監視システム1000の少なくとも2台のセンサシステムを一個の食品に対して、45度傾けた態様で配列して測定対象物1080を右上および左上の双方から測定することが効果的である。丸い形状の物を観察するとき、少なくとも2台のレーザー光線発生器及びこれに対応する受光装置1060は、一台のセンサのみを使用して上方から観察した場合では不明となる所定の域内にある丸い形状の物の表面構造の測定をすることができるので、有利である。別の実施形態によれば、レーザー光線を、コンベアのベルトないし食品1080を載せるトレイに対して45度未満の角度で傾けることができる。これにより、食品が支持されている部位の近傍の表面構造も、より良く観察することができる。
扇型レーザー光線を使用する場合は、当該扇型によって広がる面の傾きは、食品1080が支持されている部位に対して45度未満であるべきである。このことは、また、レーザー光線間の角度が90度以上でなければならないことを意味する。
図10にはレーザー光線発生器1055が同じ食品1080に焦点を当てていることを示しているが、相互に離隔した二つの異なった食品1080に焦点を当てても良いことに注意されたい。例えば、二つの食品が数メートル離れていても良いし、レーザー光線発生器955を、ベルトコンベア915が通過する焼成室の入口および出口に設けて、焼成室に出入りする食品1080の表面高さを観察するようにしてもよい。
尚、レーザーライン発生器1055は、必ずしもベルトコンベアの上方に位置する必要はなく、ベルトコンベアの一方の側に配置してもよい。もちろん、少なくとも二台のレーザーライン発生器1055を、ベルトコンベア915の夫々異なった側に配置してもよい。
更に、別の実施形態によれば、オーブンの中に、レーザー測距表示装置を設けてもよい。そして、少なくとも二台のレーザー三角測距センサと二台のレーザー光線とを用いて、略45度の角度(右上および左上)から焼成物を検査することできる。食品の上面から一つのレーザー光線とカメラを用いて検査した場合には、底部の半分の丸みが不明となり測定に使えないが、こうすることで、焼成物の底部の丸みを測定することができる。
したがって、これらの実施形態によれば、焼成すなわち食品製造工程についての追加情報が提供されて、自動化された焼成すなわち食品製造工程がより効果的及び信頼できるものとなる。
他の実施形態によれば、レーザーライン発生器または他の任意の光源と、カメラセンサまたは他の任意の光学センサとを用いて、処理されている食品に関する情報を把握することができる。レーザー三角測距法としても知られる上記の手順では、レーザーラインが測定対象物に照射される。光学センサ、センサアレイ又は一般にはカメラを、この測定対象物に向けることができる。カメラの視点と、その平面と、光源及び照射されたレーザーラインの端部で形成されるレーザーライン発生器の平面とが、平行ではなく、所定の角度をなしている場合、検出される光学情報は、三次元構造又は体積を含む寸法及び形状に関する情報を提供するための測定に用いられる。
上記した実施形態においては、レーザー光線を発生及び照射するために、二台のレーザー光線発生ユニットが使用される。別の実施形態によれば、一次レーザー光線発生ユニットが一次レーザー光線を発生させるために使用され、この一次レーザー光線は、焼成ユニット内に設けられた光学ユニットにより分配される。熱処理監視システム内にこの装置を使用することで、レーザー光線発生ユニットの台数を減らして、エネルギコストとスペースを節減することが可能となる。
更に、レーザー光線発生ユニットは焼成ユニットの外部に設置されて、一次レーザー光線のみが、焼成ユニット内に入射される。こうすることで、熱処理監視システムの構成の選択の幅がさらに広がり、光検知ユニットを焼成ユニットの外に設置した場合、特にそうである。
光学ユニットは、単一の一次レーザー光線を二以上のレーザー光線に分割できるものであれば、どのような形式の光学システムであってもよい。例えば、光学システムが、半透鏡を備える。この半透鏡は、一次レーザー光線の一部を、観察される第1の位置に向けて反射するとともに、一次レーザー光線の残りを、対象である第2の位置に向けて反射させる鏡に向けて照射する。また、一次レーザー光線が分割されて、分割された部分それぞれが、観察されるそれぞれ位置に、直接照射されるようにしてもよい。別の実施形態によれば、一次レーザー光線の光路上に更なる鏡及び/又はレンズを配置することができる。
別の実施形態によれば、光学ユニットは、レーザー光線を交互に発生する移動可能且つ回転可能な鏡から構成することができる。この目的のために、前記移動可能且つ回転可能な鏡は食品すなわち焼成物の上側に設けられて、移動及び回転することで、一次レーザー光線を、異なった時点で、異なった食品や一個の食品の異なった部位に照射させることができる。従って、測定ユニットにより得られる体積情報は、時間に応じて焼成ユニット内の異なった位置に関係する。
このような鏡を用いることにより、光学装ユニット置が焼成ユニット内で占有するスペースを低減でき、熱処理監視システムの柔軟な設計が可能となる。更に、ユーザは、スイッチ操作を二つのモードで行うことができ、一のモードでは、食品の高さ形状及び/又は体積変化に関する情報取得のために異なった食品を観察し、他のモードでは、1つの食品の支持部近くで1つの食品の三次元形状全体を把握するために、1つの食品を異なった方向から観察する。
移動可能且つ回転可能な鏡は、このような異なった作業を、並行して行うことができる。
もちろん、一次レーザー光線に関連して使用される鏡は、結露防止のために加熱しても良い。
別の実施形態によれば、レーザー光線分配ユニット、食品すなわち焼成物及び光検知ユニットから構成される光学システムは、シャインブルーフの原理を満たす。これにより、レーザー光線によって取得された焼成物の画像は、常に光検知ユニットに焦点が合わせられる。その結果、焼成物の高さ形状の測定が正確に行えることが保証される。
別の実施形態によれば、レーザー三角測距法を濃淡画像処理法との組わせることにより、質感、色、その他の光学的特徴とともに、形状及び寸法に関する情報を同時に収集することができる。その処理の結果として得られたデータは、被測定物、この場合は食品の固有の特徴を生成するのに用いられる。これは、生地や焼成されたパンのような薄切りできる処理されている食品の形状、寸法、体積、色、褐変、質感、細孔寸法及び密度である。ここで示した情報の一部または全ては、焼成すなわち食品処理の自動化を可能ならしめるために、センサデータの解釈に用いることができる。
上記した実施形態においては、データの取得は、主として、カメラやフォトダイオードアレイのような画像センサにより行われる。しかしながら、更なる実施形態においては、画像センサにより得られた情報は、湿度計、挿入温度センサ、処理室温度センサ、音響センサ、レーザー、秤及びタイマのような他の種々のセンサから得られた情報により、補足される。更に、処理室内のガスを分析するガス分析装置、湿度計、挿入温度センサ、処理室温度センサ、音響センサ、三次元若しくはステレオカメラやレーダーなどの処理される食品の三次元計測の結果を示す手段、又は、処理される食品の種類、成分、形、光学的特性、体積若しくは質量を判断する手段が、下記に述べるように、センサ装置1810を構成する装置として採用される。全てのセンサから得られた全ての情報に基づいて、自動制御された食品処理又は焼成が、制御される。
例えば、図7を再び参照すれば、処理室720に、更に少なくとも一台の温度センサ又は温度計762を設けることができる。これは、図7にしか開示されていないが、この明細書で開示する他のいかなる実施形態においても、このような温度センサ762を設けることができる。食品を熱処理する場合は、温度情報が処理特性と関係する。これには、時間経過に伴う熱発生状況や処理室内での熱分布に関する情報を含めることができる。また、オーブンの状況、オーブンの熱処理システム及び適宜実施される予熱についての情報を収集してもよい。
また、挿入温度センサを組み込むことも、得策かもしれない。挿入温度センサを用いれば、食品処理状態を知るうえで重要である内部食品温度情報を収集することが可能となる。パン焼成においては、パンの内部及び中身の温度に把握することは、有利である。
更に、焼成される食品の色の経時的変化は、オーブン室内の実際の温度を特定することに用いることができるとともに、焼成工程におけるそれぞれの温度制御にも使用することができる。処理室720もしくはこの明細書に開示された他のいかなる実施形態においては、湿度計764のような処理室の湿度に関連付けられた少なくとも一つのセンサを備えることができる。パン焼成にとっては、湿度に関する情報を収集しておくことは有利である。生地が加熱されると、その中に含まれていた水分が蒸発して、処理室内部の湿度にムラが生じる。例えば、空気を循環させることで、焼成中の処理室の湿度は、最初に上昇するが、次いで下降することで、調理の進行状態が示されることになる。
処理室720もしくはこの明細書に開示された他のいかなる実施形態においては、載せられた食品の重さ及び最終的にはその分布に関する情報を収集するためのセンサを少なくとも一つを備えてもよい。このためには、熱処理室のトレイ取り付け台に秤を一体的に設ければよい。トレイ取り付け台ないしは載置台は、回転車輪ないしは円盤に支持させてオーブン内への装填を容易ならしめることができる。秤766を車輪や円盤に一体的に設けて、それらを全体として、トランスジューサとしてもよい。熱処理中の必要なエネルギー供給量やその方向は変化することから、各トレイすなわち組をなす個々のトレイについての重量情報を収集して、食品全体の重量や相対的分布状況を把握することは得策となる。更に、熱処理中の食品が、時間経過に応じて、重量がどうのように変わるかについての情報を得ることも、また、得策となる。例えば、パンの焼成中、大まかに言えば、生地の重量の約10%程度が消失してしまう。更に、生地すなわち食品の状態に関する情報を、例えばスピーカとマイク768を用いて音信号を発生及び捕捉することも可能である。
更に、上に述べた実施形態におけるカメラ、画像センサ、フォトダイオードセンサアレイ又は特に照明セットアップについては、代替品を用いることができる。任意の処理室の壁の窓の背後にカメラを設ける代わりに、同じカメラか別のカメラをオーブンドア若しくは処理室の開口部に一体的に設けてもよい。
任意の処理室の壁に照明装置を組み込む代わりに、照明装置をオーブンドア又は処理室の開口部に一体的に設けてもよい。通常、オーブンのドアには窓が設けられており、この窓を通して、作業者は、処理されている食品を目視して処理の進行状況を監視するようになっている。他の実施形態によれば、少なくとも一台のカメラ、画像センサ、フォトダイオードアレイ又はその他の任意の撮像装置を、オーブンドア又は処理室の開口部に一体的に設けることができる。作業者用覗き窓が設けられていないオーブンドアにすれば、断熱性が良くなることから、エネルギー効率を向上させることができる。更に、処理室の外部照明の差は、前述した照明装置によってのみに依存する処理室の監視カメラ画像に影響を与えない。しかしながら、既存のオーブンに後付けでこのような設置はできないことに留意されたい。
スクリーンすなわちディジタル式視覚表示装置をオーブンドアの外壁若しくは処理室の外側の任意の位置に一体的に組み付けるのが、有利となる。スクリーンには、処理室監視カメラからの映像を表示することができる。本発明は、この作業を不要ならしめるものであるが、これにより、人間のオペレータは、パンの焼成の進行状況を視覚的に監視することができる。
更に、食品の配置を示す複数のトレイ又はスタックトレイを用いるのが有利となる。例えば、パンの焼成においては、生地のオーブンへの投入に当たっては、生地の配置の仕方がパン焼成サイクル毎に変わってくる。この差異については、パターンマッチング処理による認識技術を使った画像処理により、対処することができる。図11に示されるように、各製造サイクルのために同じように搭載する又は食品を配置することが有利となる。トレイ1100をセットする時、自動配皿システムを用いることができる。手でトレイを置くとき、少なくともいくつかの使用されるトレイには、生地を置くべき位置を示す符番1110を表示することができる。表示としては、凸形状、凹形状、窪み、輪郭、食品の絵柄記号、食品図もしくは線を採用することができる。
更に、カメラセンサをオーブン使用環境に組み入れるときは、冷却装置も組み入れるのが有利である。冷却装置としては、少なくとも一つの冷却板、少なくとも一つのファン及び/又は少なくとも一つの水冷システムを採用することができる。
更に、必要な時だけに、カメラセンサが露光するように、シャッターを設けることができる。多くの画像を取得する必要が無い場合がしばしばあり、5秒毎又はそれ以下の頻度で画像を取得するだけで実行することができる。シャッターが5秒毎に開放されるのであれば、カメラセンサを構成するチップへの熱による影響を顕著に低減することができ、これによる熱による影響の可能性を低減できて、結果、熱処理監視システムの信頼性を向上させることができる。
少なくとも2枚以上の画像を取得、或いは、数回の非破壊の読み出しとともに一回の露光を行い、それら画像のピクセル値を組み合わせることが有利となる。この組み合わせは、それら画像の平均値を取ること又はハイダイナミックレンジ合成を用いて少なくとも2枚の画像から1枚の画像を算出することである。シャッターとの組み合わせで、又は、独立して、例えば可視光又は赤外光などの関係のある波長のみを通過させる波長フィルタを用いることができる。これは前記カメラチップに影響を与える熱を低減し、監視システムの信頼性をさらに向上させることができる。
図12に示す別の実施形態においては、いくつかのオーブン設計で採用されているオーブンラック又は移動用カートにセンサシステムを組み込むことができるようになっている。ラックに設けられたオーブンを回転させるために、符号1200で示されるオーブンラックにセンサシステムを組み込むことができる。センサシステムは、湿度計、挿入温度センサ、処理室温度センサ、音響センサ、秤、タイマ、画像センサおよびフォトダイオードアレイのうちの少なくとも一つを備えることができる。センサシステムが組み込まれたラックの一部は、本発明が示す、照明装置又は冷却装置のような支援装置となっている。本発明の更なる目的は、符号1210で示されるような、電線又はプラグといった電気接続部をラックの搭載部に設けることである。符号1220で示されるように、回転ラックに設けられたオーブンに、センサシステムの少なくとも一部を組み込むことは、有利なことである。これにより、センサシステムへ熱が及ぶことを低減することができる。カメラ、画像センサ又はフォトダイオードアレイに、ラックの回転又は食品の移動を修正するために、画像の回転又は移動を修正するアルゴリズムを適用することは、有利となる。このアルゴリズムは、回転速度又は移動速度に関するオーブン制御からの測定された又はプリセットされたパラメータにより支援される。
別の実施形態においては、グラフィカルインターフェース(GUI)を用いることでオーブン内の全てのトレイ及びデッキの図形を表示させることができる。コンベクションオーブンにおいては、全てのトレイの終了時間を測定することができる。このことは、あるトレイについての焼成が他のトレイについての焼成よりも早く完了した場合、ユーザは、完了した焼成物を取り出し、残りは放置する旨の信号を受けることができることを意味する。多くのオーブンにおいては、異なったトレイが同じ結果をもたらすものではないので、このことは、有利となる。更に、焼成時間を略同じくする異なった製品については、別々のトレイに載せることができる。これにより、一台のオーブンをより柔軟に且つ効率的に使用することができる。
別の実施形態においては、オーブンは、トレイの上で、焼成物がどのように配置されているかを判断することができる。オーブンは、配置状態が良くないトレイを除くことができる。
上記の1つ又は複数のセンサを用いることで、焼成すなわち食品処理の状況についてのデータを収集することができる。自動化された焼成すなわち食品処理を効率的に且つ信頼性をもって行うためには、オーブンやベルトコンベアといった処理機械は、全てのデータからいかにして関連情報を得るか、これらの情報を元にいかにして処理された食品および食品処理段階を分類するか、そして、これらの情報及び分類結果を元にいかにして処理を自動制御するか、について学習する必要がある。これは、機械学習技術に基づいた焼成工程の制御を行うことができる熱処理監視システムによって達成される。
図13は、前述した任意の実施形態のデータによる制御ユニット及びデータ処理ダイアグラムを示す。
ここで、制御ユニットすなわち熱処理監視システム1300は、熱処理装置1310のために、上記したセンサシステムの何れかを用いて処理される食品を認識する。処理される食品の認識は、特有のセンサデータ入力マトリックスDを用いて達成することができる。このセンサデータ入力マトリックス又はその縮小表現(reduced representation)は、そのデータ特性又はデータフィンガープリントにより、食品処理工程を特定するのに用いられる。
制御ユニット1300は、センサデータ入力マトリックスと既入力されたデータとを比較できる符号1301で示されるデータベースを処理する。これにより、制御ユニット1300は、現在の食品処理のための制御プログラム又は処理手順を選択することができる。この手順の一部は、一実施形態によれば、センサデータ入力マトリックスDをアクチュエータ制御データマトリックスDに対応付ける写像Xである。
=D (式1.00)
アクチュエータ制御データマトリックスDを用いて、熱処理装置1310は、例えば、エネルギー供給量又は処理の開始時刻及び終了時刻のようなオーブン制御パラメータを制御することで、食品処理を制御する。そして、熱処理装置1310は、閉ループ制御モードで作動する。通常、センサデータ入力マトリックスDは、アクチュエータ制御データマトリックスDよりも相当高次元である。
一実施形態によれば、機械学習から知ることができる方法を用いて、センサデータ入力マトリックスDの縮小表現に加えて写像Xを求めることが有利である。これは、処理される食品の種類とこれに対応する手順とは、通常食品ごとに異なるからである。
データ処理の観点からは、センサデータ入力とこれに見合ったアクチュエータ出力とは、高度な非線型関係であり、時間に依存する。今日、これらのパラメータは、通常、熱処理装置の時間を消費する構成における大事なノウハウを有する人間のオペレータにより選択されている。本発明の一実施形態によれば、人間のオペレータから学んだ初期データ集合を用いて、機械学習方法は、処理効率および品質の向上に加えて、将来のシステム構成を実現し、構成時間の低減を行うことができる。
適用されるデータは、全て、データベースに蓄積される。本発明によれば、熱処理装置をネット接続するのが有益である。このネットワークを通じて、任意のデータベースに交換される。これにより、人間のオペレータは、局所的に配置されたいくつかの熱処理装置と対話することができる。このためには、熱処理装置は、ネットと対話できる機器を備え、伝達制御プロトコール(TCP)やインターネットプロトコール(IP)のような特定のプロトコールを使用することになる。本発明によれば、熱処理装置に、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイアレスエリアネットワーク(WLAN)又はモバイル通信で使用されるモバイルネットワークアクセスを接続することができる。
先に述べたいずれの実施形態において、焼成すなわち食品処理工程は、学習段階及び製造段階を設けることができる。学習段階においては、人間のオペレータが熱処理装置に食品を投入する。熱処理装置は、人間のオペレータにより、所望の温度で運転される。この場合、熱処理室の予熱は行っても良いし、行わなくても良い。加熱処理の終了後、人間のオペレータは、食品の種類および望ましい工程状態にいつ達したかを、特定することができる。人間のオペレータは、出来上がった製品が、焼成不足、過焼成および望ましい工程状態になることについての情報を提供することができる。
上に述べた機械学習方法を用いることで、熱処理装置は、次回以降の食品製造についての処理パラメータを算出することができる。熱処理装置やネットワークで相互に結ばれた熱処理装置を、更なる学習段階を持つように用いて、すなわち、製造工程の自動化が可能ならしめることができる。自動化された製造工程に熱処理装置が置かれた場合、人間のオペレータが、予熱選択もオプションで行える熱処理装置に食品を投入する。熱処理装置は、処理室に入れられたことを認識し、事前学習した熱処理工程を実行する。
食品処理工程が望ましい工程状態に達した時、あるいは、単に焼成が完了した時、熱処理装置は、熱処理工程を終了させる。この終了は、ドアの開放、電源供給停止又は装置外への熱気の排出によって可能となる。また、視覚信号や聴覚信号を用いて、この終了を人間のオペレータに知らせても良い。更に、熱処理装置は、人間のオペレータからのフィードバックを要求することができる。焼成不足、適正焼成又は過焼成といったカテゴリーの選択を要求できる。処理室に対する食品の出し入れを自動化することで、一連の工程を全て自動化することができる。
機械学習における最近の技術及び食品処理の制御は、適用型監視を創成するために考察が行われている。食品の処理のための特別な用途に適用できるということで、人工神経回路網(ANN)、サポートベクターマシン(SVM)及びファジーk近傍手法(KNN)分類について精査されている。本発明の目的の一つは、人間のオペレータが作成した工程モデルを用いることなく、機械学習が何をすることができるのかを評価することである。
以下において、本発明を基礎付ける理論を概説する。これは、主成分分析、線型判別分析及びアイソメトリックフューチャーマッピング(等尺特徴写像)のような次元縮小によるセンサ情報の低減技術を含むものである。また、ファジーk近傍手法、人工神経回路網、サポートベクターマシン及び強化学習のような教師なし学習に加えて、分類・教師あり学習の採用を含むものである。数字表記に関しては、3桁ごとの区切りはコンマ「,」を用いて示し、小数点は「.」を用いて示すので、一千は、1,000.00と表記される。
特徴抽出および次元縮小
本発明は、熱処理装置に人間らしい振る舞いをさせることを求めるものでもなければ、それを願うものでもない。しかしながら、食品処理作業を上手にやり遂げる能力を持つ人工エージェントを備えた食品処理又は製造装置の認知能力のようなものを研究することは、認知アーキテクチャに対する洗練されたアプローチのいくつかのための適用シナリオを提供することができる。製造装置の実現手段は、図14に示すような、認知・知覚―行動ループアーキテクチャ内に構成できるが、これはまた、認知技術システムでもある。認知、学習及び知識習得のような認識能力を持つことで、装置は、センサやアクチュエータを介して、周囲と自律的に対話することができる。それ故に、以下においては、機械学習から得られ、製造装置における認知・知覚―行動ループ作業の各部にとって適切ないくつかの方法について論じることにする。
認知技術システムが単に自己のセンサ情報入力の特徴表現を持つだけなら、より大きな容量のデータを扱うことができる。更に、もっと関連する情報に焦点を当てることにより、特徴抽出はSN比を強調又は増加させる。しかしながら、所定のデータ集合から関連する特徴を抽出するにはいくつもの方法があるので、それらの理論的観点からまとめたことを、以下、述べることにする。
認知論により特徴を選択又は学習するために、人間による管理の必要性を伴わずに完全独立的に適用できる方法が要請される。これを実現するための一つの手段が次元縮小法(DR)であって、そこでは、サイズがt×nのデータ集合Xが、サイズt×pの低次元のデータ集合Yに写像される。このコンテキストにおいては、Rは観察空間を示し、Rは、将来空間を示す。この考え方は、低次元表現を作ることで、特定のデータ集合における高次元多様体を同定又は学習することである。
データ集合内の特徴を知るために使用される方法は、図15に示されるように、線型のものと、非線型のものとに、二分される。線型次元縮小法は、データ集合が非線型的構成を持つ場合、非線型縮小法にくらべて優越しているように思われる。概して、非線型技術は線型技術に比べて処理に要する時間が長いことに鑑みれば、コスト面からも、この優位性に与することができる。更に、非線型技術と比べた場合、線型技術は、簡単に、写像を前後させることができる。問題となるのは、食品処理にとっては線型技術で足りるのかということや、非線型技術は、コストに見合う以上の利点があるのかということである。以下の非線型技術は、人工データ集合にとって有利なものである。すなわち、ヘッセンLL、ラプラシアン固有マップ法、局所線型埋め込み(LLE)、多層自動符号器、カーネル主成分分析、多次元尺度構成法(MDS)、等尺写像(Isomap)等である。
テストの結果、人工データ集合用アルゴリズムとしては、Isomapが最適であることがわかった。発明者は、Isomapアルゴリズムが食品処理における非線型次元縮小に最も適合していると考えられることを見出した。それ故、以下においては、Isomap及び二つの線型次元縮小技術を採用する。
主成分分析
主成分分析(PCA)は、分散によりデータ集合を分割する特徴の発見を可能とする。それは、データ集合からできるだけ多くの分散を示すものの次元の低い独立した集合の特徴を特定する。PCAは、他の分野においては、カルフネン−レーブ変換として知られており、その一部は、特異値分析(SVD)と称せられて、広く知られている。それは、統計的パターン認識又は顔認識において頻繁に用いられている。要するに、それは、データ集合の主固有ベクトル及び共分散の固有値を計算するものである。我々は、低次の表現Yを高次のデータ集合t×nの要素t×pを用いて平均調整行列Xとして求め、可能な限り大きな分散を維持し、無相関コラムを用いてデータ集合Xについての低次元データ表現Yを求めたい。それ故に、PCAは、M PCAPCA=I及びcov(X)をXの分散行列として、項tr(M PCAcov(X)MPCA)を最大化するサイズn×pの線形写像MPCAを求める。
cov(X)MPCA=MPCAΛ (式2.3)
を用いて固有値問題を解くことで、Λ=diag(λ,・・・,λ)で与えられる対角行列に関するp次元主固有値を得る。望ましい投影は、
Y=XMPCA (式2.4)
によって線型基底MPCAに与えられる。高次データ表現内で分散を示す固有ベクトルすなわち主要素(PCs)は、分散をキーとしてソートされる行列MPCAのp個ある最初の列により与えられることが示される。pの値は、次元縮小による情報損失を反映する剰余分散の解析結果として決定される。最大分散を持つ変数の対角線型結合を求めることにより、PCAはデータの次元を縮小させる。PCAは、データ集合の解析するための非常に強力な道具である。しかしながら、特に、元のデータ集合が非線型構造を持っていた場合は、必ずしも、最適の低次元表現を求めることができるわけではない。
線型判別分析
PCAの有用性にもかかわらず、線型判別分析を用いて次元縮小技術を行うことが支配的になっているように思われる。線型判別分析は、既に述べた式2.4におけるMPCAと同様に、データ集合Xを低次元の行列Yへ次元縮小させる線形写像MLDAを与えるので、線型方法を使うものとして分類される。もし完全に自律的なシステムを創造するという潜在的な願望があるならば、必要な評価は不利となる。しかしながら、LDAは、所望のテストデータ集合を示す特徴を生成するので、センサデータの本質を理解することを助ける。
LDAやフィッシャーの判別分析の詳細は知られているので、以下においては、略説するだけにとどめる。平均ゼロのデータXを持つとする。スーパービジョンプロセスは、Xを、クラスcについては平均ゼロのデータXを持つC個の分類に分割する分類情報を提供する。これは、次の式を用いて計算できる。
クラス内分散Sは、クラスcデータの分散の、クラスデータ自身の平均に対する大きさである。クラス間分散Sは、次式に従う。
=cov(X)−S (式2.6)
クラス間分散は、各クラスの分散の、他のクラスの平均に対する大きさである。以下に示すフィッシー基準を用いて低次元表現におけるクラス間分散のクラス内分散に対する比を最適化することで、線型写像MLDAが得られる。
フィッシャー基準を、S −1についての固有値問題を解くことで最大化すれば、ゼロでない固有値C−1が得られる。それ故に、この手順は、直線投影を持つ部分空間における所定のクラスを分割する最適特徴を求めるものである。LDAは、かくして、クラス間分散のクラス内分散に対する比が最大化されている低次元表現を分割する。
等尺特徴写像
PCA法およびLDA法は、高次元データ集合から低次元表現への線型写像を作る。これは、観察空間における多様体を学習すること及び低次元特徴空間におけるこのための表現を求めることとして、表現することができる。人工Swiss−rollデータ集合のような非線型構造を持つデータセットにとっては、直線投影により、元の多様体の非線型特性が失われてしまうことになる。直線投影では、そう簡単には、次元縮小を行うことができない。特徴空間内では、データ点群は、観察空間内に存在しないにもかかわらず、近接して現れる。この問題を処理するために、近年、非線型次元縮小技術が線型技術に代わるものとして、提案されている。しかしながら、非線型技術が、実際問題として、食品処理センサシステムからのデータを処理するに当たり、PCAやLDAのような確立された線型技術をしのぐことができるかについては、先験的に不明である。
等尺特徴写像又は等尺アルゴリズムは、観察空間内におけるデータ点間のペアワイズ測地的距離又は曲線距離を維持しようとする。定規やピタゴラスの定理を用いて測るような二点間の通常ないしは直線の距離であるユーグリッド距離とは対照的に、測地的距離は、観察空間において、多様体を介して測定される2点間の距離である。言い換えれば、最短距離を取るのではなく、データ点を中継点として用い、データ点間の中でホップする必要がある。観察空間内におけるデータ点x間の測地的距離は、データ点とデータ集合X内の当該標本のK近傍とを結ぶ近傍グラフNを構築することにより推定できる。ペアワイズ測地的距離マトリックスは、ダイクラスト最短距離アルゴリズムを用いて構築することができる。次元を縮小させてデータ集合Yを得るために、多次元尺度更生法(MDS)をペアワイズ測地的距離マトリックスに適用することができる。MDSは、データ点間のペアワイズ距離を最大限に保持しようと努力する。最初のステップは、以下に示されるような原ストレス関数のようなストレス関数を適用して、特徴空間や観察空間におけるペアワイズ測地的距離間の品質もしくは誤差の指標を測定することである。
ここで、||x−x||は、特徴空間と同じyおよびyを持つ観察空間における、データ点xとデータ点x間のユーグリッド距離である。ストレス関数は、ペアワイズ距離行列の固有値問題を解くことで、最小化することができる。
Isomapアルゴリズムは、データ点間のペアワイズ距離を最大限に保持することで、次元縮小を行う。
機械学習の分類
機械学習においては、分類は、科学的に大いに関心がある特徴の抽出のみならず、決定を行い、状況判断を行う場合にも必要である。分類技術は、食品処理に見られるような複雑な状況を区別するのに役立つことができる。それ故に、分類器は、既存のデータを分割する、いわゆるクラスというものを用いる。これらのクラスは、特定のトレーニングデータ集合から学習することができる。AIや認知機械についての進行中の研究においては、人工神経回路網は、比較的初期の過程で開発された。これに比べ、カーネルマシンや強化学習は、最近になってようやく現れたが、進化した認知能力を示す。
人工神経回路網
人工神経回路網(ANN)は、この数十年間、広く議論され続けている。ANNは、人工知能の歴史の中で、最初の成功例の一つである。生身の人間の脳をモデルとして使いながら、ANNがパターン認識のような機能に近づけるようになれるように、いくつかの人工神経単位がネットワークトポロジーとして結合される。モデルは、所定の閾値に到達又は超越した場合、神経単位が自己の出力を活性化することを許可する。これは、閾値関数を用いて、モデル化することができる。人間の神経単位は、二値の閾値で神経インパルスを発するように思われる。しかしながら、下記のシグモイド関数を使うことも可能である。
但し、vは、遷移パラメータである。全ての入力接続について、調整可能な重み要素wが定義され、これにより、ANNは所謂学習パラダイムを実現することができる。閾値関数oは、重み付要素W及び前述の神経単位Pを用いることで、o=WPという行列―ベクトル表記法で、表現することができる。神経単位は、フィードフォワード構造もしくは多重知覚(MLP)の中で、または、例えば、所謂リカレントニューラルネットワークにおける遅れ要素を持つフィードバックループを用いて達成できる無限入力応答でもって、積層できる。MLPは、階層構造を持つフィードフォワードネットワークで、非線型問題を解く上で必要な場合は、いくつかの隠れ層を追加することができる。MLPは、教師付学習のための、以下に述べる誤差逆伝播法をサポートするために、シグモイド関数のような連続閾値関数を用いて使用できる。これは、下記の誤差Eの最小化を試みる。
ここで、現在出力aの目標出力zからの特定の重みが再帰的に調整される。隠れ層が一つのMLPについて、もしhが隠れ層の値で、eが入力値で、α≧0が学習率で、そしてε=z−aであれば、隠れ層の重みwij 及び入力層の重みwij は、
に従って、調整される。
層は、入力の始まりから出力まで、数えられる。逆伝播の場合、全体誤差がもはや少なくできなくなるまで、重みは、対応する出力ベクトルのために調整される。最期に、Cクラスの分類のために、出力層は、個々のクラスの確率を示すC出力神経単位であるか、各クラスについて一定の範囲を持つ単一の出力神経単位か、である。
ANNは、トレーニングデータ集合から学習するかトレーニングデータ集合に順応し、N入力神経単位からC出力神経単位に至る線型又は非線型関数を求めることができる。これは、分類が、データ集合内の一組のクラスを区別することに使用できる。
カーネルマシン
一般に、分類技術というものは、測定されたデータに基づいて、存在する学習したクラスの確率を決定することに貢献せねばならない。分類は、数学的には、データ集合がx∈Rと表現した場合、Cにおける一組のクラスc=c,・・・,cとして定立でき、pの確率は、次のようになる。
そして、パラメータθは、全ての分類について個々的に選択されることができるか、トレーニングデータ集合から学習することができる。
学習を達成するためには、効率的な学習を容易ならしめ、複雑な非線型関数を表示するのが望ましい。カーネルマシン又はサポートベクターマシン(SVM)は、双方の目標を支援することができる。SVMすなわち特にここではサポートベクター分類(SVC)の簡単な説明は、以下の通りである。良い・悪いという二つのクラスを区別するためには、線引きをして、どちらがどっちかを指摘する必要がある。一つの項目がどっちもというわけにはいかないので、二者択一の決定c∈{−1,1}が必要となる。低次元空間における二つの分類について、非線型セパレータのみを求めれば、高次元空間、超平面における、それについての線型表現を求めることができる。言い換えれば、現実空間における線型セパレータが可能でないなら、次元を増加させて線型分離を行うことができる。例えば、関数Fを用いて、円形分割器付の二次元空間f=x、f=xを、図16に示すように、線型分離器を用いる三次元空間f=x ,fII=x ,fIII=√2×xへ写像する。
SVCは、このケースについて、一組のクラスc用の高次元空間に対応する最適線型分離器である超平面Hを求める。
三次元空間において、これらは、超平面Hを用いて分離される。ここで、oはHの法線ベクトル、原点に対する垂直線|b|/||o||、及びoはユーグリッドノルム||o||を伴う。最適線型分離器としての役割を果たす超平面を求めるために、SVCは、超平面と最も近いデータ点xとの間で、
により与えられるマージンを最大化する。これは、比||o||/2を最小化して、最適ラグランジュ未定乗数パラメータαを用いて達成することができる。これを行うには、次の式を、α≧0およびΣα=0という制限の下で、最大化させねばならない。
そして、不偏超平面用の最適線型分離器が、次式を用いて与えられ、2クラス分類が可能となる。
SVMは、二つの重要な特性を備える。それは計算ルーチンでは効率的で、式2.16と式2.17を用いて論証することができる。第1に、所謂サポートベクター又は各データ点に関連するパラメータαの組は、前記分割器に最も近い点を除けば、ゼロである。超平面を画定するパラメータの有効数は、通常、lよりも大幅に小さいので、計算性能が向上する。第2に、データ入力の式2.16は、単に、点の対のドット積の形にすぎない。これにより、次の式を用いて、所謂カーネルトリック適用の機会が付与され、
Fを明示的に知る必要なくして、F(x)・F(x)を、頻繁に、計算することができる。カーネル関数K(x,x)により、対応する特徴空間における、入力データの対のドット積を、直接、計算することができる。しかしながら、本発明全体に適用されているカーネル関数は、ガウス放射基底関数であって、特定の条件、例えば、下記の式の中に示される条件を満たさなければならない。
但し、γは調整可能なカーネルパラメータである。
今までは、2つのクラス間の二者択一判断についてしか論じてこなかったので、ここで、軟らかいマルチクラス判断も可能であることを注目したい。後者は、複数段階にわたる、各クラスcの残りのn−1クラスに対するペアワイズ結合により、実現される。
このように、SVCは、複雑なデータを学習するために使われる。それは、タイムリーに一組のクラスにおいてこのデータを構築する。高次元の空間への写像および最適な線型分離器を求めることで、SVMは、サポートベクターやカーネルトリックといった効率的な計算技術の使用が可能となる。
ファジーK最近傍法
前に述べたサポートベクターマシンと異なり、そう複雑ではないが効率性が高いアルゴリズムとして、ファジーK最近傍法(KNN)分類子というのがあり、これもまた、データ内でクラス分割を行う。アルゴリズムは、未知のデータを、一組の最も近いものとの間の距離を計算することで、分類する。
クラスの既知のグループにおいて、メンバーシップを有するラベル付のn個の標本セットがあると仮定する。もし、新たな標本xが到着した場合、既存のクラスのメンバーへのベクトル長さを用いて、特定のクラスについてのメンバーシップである確率p(x)を計算することが可能である。クラスAのメンバーシップである確率が、クラスBのメンバーシップである確率が6%およびクラスCのメンバーシップである確率が4%であることと比較して、90%であれば、最高の結果は、明らかと思われる。これと対照的に、メンバーシップである確率が、クラスAで45%、クラスBで43%であれば、もはや、結果は明白ではない。それ故に、KNNは、メンバーシップ情報を関数としてK最近傍および可能性があると思われるクラスに提供する。これは、下記の式としてまとめられる。
但し、pijは、ラベルが付された標本セット内のj番目のベクトルのi番目のクラスである。変数mは、距離およびそれが計算されたメンバーシップの値に貢献した影響度への重み付け係数である。
適用する場合、しばしば、m=2および最近傍の数K=20とセットする。
強化学習
トレーニングデータから関数モデルもしくは確率モデルを学習する前述の学習方法とは対照的に、強化学習(RL)は、教師を必要とすることなく、長期間に亘り、エージェント自身の行動からの環境的フィードバックを用いて、学習を容易ならしめることができる。これは、教師あり学習と教師なし学習との区別を伴う。もし、長期目標が求められるのであれば、報酬ないしは強化としても知られる積極的環境的フィードバックが、改善を支援することができる。エージェントは、いかにして現実世界に対する自己の政策ないし対話を最適化するかを報酬から学習することができる。ここで、最良の政策とは、期待された全報酬を最適化することである。RLは、完全な環境モデルを先立って持っている必要もなければ、完全な報酬関数を持っている必要もない。人工エージェントは、それ故に、認知能力を示し、苦痛や飢餓といった否定的な結果および歓喜や食物といったご褒美から学習することができる動物のような行動をとる。今回は、エージェントが価値関数を使って、自己の企画が環境からの報酬を最大化するというケースを取り上げる。
RLにおいては、エージェントは、自己の現状sを知覚すべき環境において、あるポリシーπを学習することで、長期間にわたって報酬rを最大化するために、行動aを取る。しかしながら、強化学習を用いた学習開始可能となる前に、適切なエージェント設計に関する回答を求めねばならない。エージェントは、期待報酬額を、ポリシーπに対する報酬を試算して、最大化することができるであろう。このエージェントの行動は、また、価値関数試算とも言われる。エージェントは、状態価値関数Vπ(s)を用いた状態価値を試算することにより、行動を評価できる。而して、状態価値関数Vπ(s)は、下記におけるように、連続微分可能な特定のポリシーπを考察するものである。
この関数を使うことにより、エージェントは、所定の状態についての期待報酬額と次のポリシーを予測することができる。エージェントは、また、行動に対する報酬ならびに当該行動の次の状態およびポリシーを予測できるであろう。それ故に、エージェントは、下記におけるような状態・行動関数すなわちQ関数から得られた所定の状態を考慮して、行動を選択する。
それ故に、次にとるべき行動としては、報酬関数rに基づき、エージェントが現在報酬を越えた期待される将来報酬への譲歩を認めるために、割引係数0≦γ≦1を選択することができる。エージェントは将来報酬についてどれだけ割引するかの設定をすることは可能である。例えば、将来報酬はγ=0とは無関係である。
RLにおいては、その方法は、方法に基づいた価値関数や直接ポリシー探索法のようなグループに再分割できる。多数の異なったactor−criticアルゴリズムは、価値関数を基礎とした方法であって、所定のポリシーに対する期待報酬の推定及び最適化を行う。価値関数を基礎とした方法を実現するために、人工エージェントがとる行動及び基礎となる制御問題は、マルコフ決定過程(MDS)として語られることができる。システムは、初期状態がs∈R及びsとなっている連続状態集合上の自己の環境を知覚する。それは、ポリシーパラメータw∈Rを用いてπ(a|s)=p(a|s,w)として定義された確率的かつパラメータ化されたポリシーに関して、行動a∈Rmの可能な組から選択することができる。学習されたポリシーを用いて、期待報酬r∈Rに関して、それは、状態から行動に写像される。各行動後の報酬は、r(s,a)に基づく。どの環境モデルも利用できない場合、既に言及したactor−critic法が、潜在的にポリシー探索アルゴリズムを開発し得る。actor(俳優)が自己の演技をcritic(評論家)からのフィードバックに順応させる劇場から、この名前が付けられた。これは、一組の特徴の重み付された関数すなわち所謂基底関数φ(s)として与えられる評価関数を使うことで得ることができる。この評価関数は、状態・価値関数の概算を、価値関数パラメータvを用いて、以下により与える。
ポリシーの改善は、ポリシー勾配を用いて語られることができる最適化問題である。ポリシー勾配方法の採用は、収束性及び効率にとって重要である。双方とも、Natural actor−critic(NAC)アルゴリズムによって満たされるように思われる。而して、Natural actor−critic(NAC)アルゴリズムは、2008年発行の「ニューロコンピューティング」誌の第71巻、7〜9合併号、第1180〜1190頁に掲載の「Natural actor−critic」(著者:J. Peters および S. Schaal)に記載されており、そこでは、actorが、下記の方程式2.24に見られるようなcriticのポリシー微分係数gを用いて進歩する。
そして、NACアルゴリズムのポリシーパラメータ改善ステップは、次の式を用いて計算される。
但し、αは学習率であり、g(上付き^)はフィッシャーメトリックを用いて計算された自然勾配すなわち前掲のNACアルゴリズム論文内で論証されたようなポリシーに由来するものである。LSTD−Qを用いたNACアルゴリズムは、十分に文書化されており、2008年発行の「Natural actor−critic」誌の第71巻、7〜9合併号、第1180〜1190頁に掲載の「自然人俳優・評論家」(著者:J. Peters および S. Schaal)の第1183頁の表1に掲載されている。それには、擬似コードにおいて以下のステップで構成される、パラメータ化されたポリシーπ(a|s)=p(a|s,w)の初期パラメータw=wを用いて適用される。
1:スタート:初期状態s〜p(s)を描き、パラメータAt+1=0;bt+1=zt+1=0を選択
2:t=0,1,2,・・・について行う。
3:実行:行動a〜π(a|s)を描き、次の状態st+1〜p(st+1|s,a)及び報酬r=r(s,a)を観察
4:criticの評価(LSTD−Q(λ)):更新
4.1:基底関数:
4.2:統計:
4.3:criticパラメータ:
5:actor:勾配推定が正しければ、ポリシーパラメータを更新
5.1:wt+1を以下の式として、統計を無視(リセット)して、終了
基底関数φ(s)は、上述したように、センサからの入力データを特徴空間に写像することによって、表現することができる。この場合、基底関数は、特徴値に等しい。なお、基底関数は、異なるように選ぶこともできるし、エージェントが生のセンサデータを使ってもよい。基底関数は、報酬関数の結果を最大化するように、適用性のある方法又は自己学習ステップを組み込むことができる。
他のRLエージェントも同様に適用できることを注記しておくのは、重要なことである。多くの他のポリシー学習エージェントの概念は適用可能である。更に、分類器および品質表示器以外の他のセンサを報酬信号rとして利用することが特徴付けられる。例えば、報酬信号源として処理後センサ又は処理前センサを用いることができる。報酬関数は、0か1かの確率値すなわち上述したように分類器により決定され、良いか悪いかに分類される処理後センサの測定値である、0か1かのもしくは1か−1かの確率値である。処理前センサが報酬rを示すことに使用される場合、RLエージェントは、この目標達成のために、パラメータセットを求めることになる。強化学習は、Natural actor−criticのようなポリシー発見アルゴリズムを用いて所定の報酬からポリシーを学ぶことを伴っているという点で、長期目標へのステップである。
認知技術アーキテクチャ
人工エージェントは、センサを介してその環境を知覚し、アクチュエータを介して、知覚した結果に基づいて行動するものである。エージェントは、プログラムを伴ったアーキテクチャとして定義される。このための感動的な役割モデルは自然認識であり、発明者は、技術システムについても、同様の行動認識を実現する。それ故に、エージェントは、製造業用ワークステーションのための、情報の抽出化、学習および意思決定のような認知能力を具備することになる。処理工程の一部として、このセクションでは、エージェントを生成し、当該エージェントが製造タスクを管理できるようにするアーキテクチャについて説明する。そのため、エージェントは、センサからの情報を読んでアクチュエータへの行動を定義することで、認知知覚−行動ループを繰り返す。
自然認知能力は、より大きなデータ集合から関連情報を抽出化し、この情報内のカテゴリーを識別する能力である。この概念を自然認知から数値データ解析の世界に持ち込むと、本発明によれば、データ低減技術とデータ分類方法の組み合わせが、同様の挙動を示すことを成就するために用いられる。工業生産では、多くの製造工程は、ブラックボックスモデルを用い、ブラックボックス内部で何が起こっているかではなく、ブラックボックスの入出量に焦点を当てて、遂行されている。製造システムにおいてブラックボックスとの接続部」と使用されているのが、通常、センサとアクチュエータである。カメラ、マイクロフォンおよび触覚センサ等のセンサは、製造工程を監視する。これらのシステムは、また、その環境との相互作用のために、リニアドライブやロボットによる位置決めのようなアクチュエータを必要とする。全ての製造工程にとっては、アクチュエータはパラメータ化されねばならない。エージェントがいかにしてこれら製造システムの少なくとも一つのパラメータを適応制御するかを学習するために、自己学習アルゴリズム、分類法、知識リポジトリ、特徴抽出法、次元縮小技術および多様体学習の多くの組み合わせが用いられる。本発明は、異なった多くのセンサ及びアクチュエータを用いた、開ループ及び閉ループという異なった二つの制御技術を提供する。多くのシミュレーションや実験の後に、これらの技術を組み合わせることができる方法を示す簡単なアークテクチャが、少なくとも食品処理においては、上手くいき、信頼できるものであることが実証された。しかしながら、食品処理は、一種のブラックボックスとみなすことができるので、他の種類の製造工程への適用も可能である。
図17は、製造タスクの監視又は順応プロセス制御を行うエージェントの設計に適した認知アーキテクチャを示す。この図には、ユニットの通信処理及び情報処理のステップが示されている。自然認知は、第一に、構造化信号のような代表的象徴を同定することにより、情報の抽象化であると考えられる。同じような手順は、次元縮小技術(DR)を用いて、センサから入ってきたデータを低い次元で表示することで、達成可能である。自然認知は、次に、入ってきた重大事案についての知識が既に存在するか否やについて判断する。このステップは、「重大」事案もしくは特性を分類する分類技術を用いて、行うことができる。自然認知は、新たな実行を学習ないしは計画することができる。これを反復するために、本発明のアーキテクチャは、処理ロジックを供給する自己学習技術を提供する。複雑な意思決定過程を経ることなく、即応達成を求めるために、閉ループ制御設計を用いるにおいて、センサからの情報を、ハードウエアを介して、アクチュエータを直接に始動可能とすることができる。それ故に、本発明のアーキテクチャの設計は、以下にそれぞれ説明する、4つの使用モードについて、行うことができる。第一に、関連情報の抽出化、第二に、処理の監視及び管理について、専門家からのフィードバックを受けること(つまり、教師あり学習)、第三に、学習した知識に基づいた行動をとること、そして、第四に、未知の状況における処理管理を自律化することである。他の認知アーキテクチャと同様、ここにおける目的は、ある種の人工知能又は人間に関する認識能力を持ってエージェントを構築することである。
エージェントは、異なった次元縮小技術や分類技術から得られるいくつかの構成要素から構成することができ、食品処理の品質の全体を通じて、構成されたエージェントやモジュールを比較することが可能となる。多数の次元縮小技術および分類技術の適用が可能であり、これらの内のいくつかは、研究プロジェクトにおいて評価されている。本発明の認知アーキテクチャは、次のような、エージェントを構成するためのモジュールを提供する。すなわち、主成分分析(PCA)、線型判別分析(LDA)、アイソメトリック機能写像法(Isomap)、サポートベクターマシン(SVM)、ファジーK近傍法(KNN)、人工神経回路網(ANN)および強化学習(RL)である。このアーキテクチャ内の制御エージェントについての本発明の3つの実施例は、制御のために、IsomapとSVMとPIDエネルギー供給制御とを結び付けるエージェントA、IsomapとSVMとANNとPIDエネルギー供給制御とを結び付けるエージェントB、又は、ANNとKNNとを結び付けるエージェントCである。
関連情報の抽象化
人の認知においては、聞いたこと、感じたこと及び見たことの全てから、情報を抽出又は吸収する。それ故に、我々は、通常、最も興味があることだけを覚えている。これからヒントを得て、技術的な認知システムは、同じように、製造工程から関連情報を抽出すべきである。センサから得られる生のデータよりも抽出された特徴を用いて処理することは、いくつもの利点がある。多くの微弱なセンサ信号は、次元縮小技術を用いて、低次元化されるも明瞭な信号とすることができ、これにより、更に信頼できる特徴とすることができる。更には、工程管理の即時処理を実現するため、センサから入力されるデータの量を少なくする必要がある。というのは、データ量が大きくなると、システム全体の処理時間を長くしてしまうという、重大な影響を及ぼすからである。
本発明のアーキテクチャにおいては、必ずテスト実行を行って、初期データを抽出化するようになっている。このエージェントのトレーニング期間中は、制御対象となるアクチュエータのパラメータ範囲は、変更される。どの情報が最も密接に関連しているかを決定するために、エージェントは、自己の行動範囲を探索しなければならない。初期基準テストの終了後、システムは、記録されたセンサデータを解析して、代表的な特徴を見出す。エージェントは、異なった種類のセンサについて、それぞれ特徴計算問題を解くことができるが、センサユニットは、理想的には、センサ入力を、学習特徴空間に写像するように、トレーニングされるべきである。特徴空間の有用的表現を見出すことは重要である。なぜなら、システムは、特徴値の変化の認識又は変化への対応を行うことができるのみだからである。本発明の認知処理の目的は、後続の処理ステップに、できるだけ多くの情報を提供することである。しかしながら、生のセンサデータには、無視して差し支えないような重複事項、相関事項および従属事項が含まれている。それ故に、関連情報の抽出においては、最も重要な特徴又は最も重要な情報を含む特徴を特定しなければならない。これを認知的に行うためには、エージェントは、専門家による監視を必要とすることなく、このタスクを行わなければならない。従って、パラメータの変更又は再設定が必要の無い異なる種類の処理タスク及びこれに対応するセンサデータのすべてに適用可能な特徴抽出の方法が選択される。多様体学習や次元縮小技術は、この必要性を満たす。これらは、観察空間における次元nのセンサデータ集合Xを、特徴空間における次元pのデータ集合Yに次元縮小させる。往々にして、新たな量pは、nより、はるかに小さい。しかしながら、多くの線型及び非線型次元縮退技術が、異なった目的のために試行錯誤されてきた。本発明は、以下に示すようなユーザが無意識のうちに特徴を抽出し且つ処理工程をユーザに表示できる方法の要件を充足させつつ、製造ワークステーションにとって適切な特徴抽出技術を提供するものである。特徴抽出方法は、教師なしで実行することができる。特徴抽出方法は、構築のための合理的な時間フレーム内、特に処理中に、実行可能である。抽出された特徴は、いくつかの食品が入れられている間、信頼できる分類を行うには十分すぎるほどの処理情報を含む。
PCAの本質は、より大きなデータ集合を示す直交する直線の組み合わせを求めることである。これらは、センサデータベクトルを得るために計算される。これらの固有ベクトルは、閾値dに至るまでの分類のための特徴として働く。分類と組み合わされた抽出特徴は、線型判別分析を用いることで、求めることができる。LDA並びに「優」、「並」および「不可」として定義される三つの学習品質クラスを用いて同じデータ集合を分析すれば、他の特徴のデータ集合となる。Isomapアルゴリズムを使用しても、特徴抽出を達成することができる。残念ながら、非線型の特徴は、LDAおよびPCAによる線型特徴抽出と同じように、表示されない。以下において、上記の特徴抽出方法を比較する。LDA特徴は、どのPCA特徴よりも、詳細な情報を含むように思われる。この計算方法を使用すれば、LDA特徴は、より少ない特徴においては、PCA特徴よりも多くのプロセス情報を含むように思われる。というのは、それらは、特に、所望の分類を分割するように設計されているからである。更に、PCAとLDAを、Isomapよりもより透明化して使用すれば、計算された特徴を表示することができる。もしビデオで特徴を見るだけで特徴がビデオ中で特定されてしまえば、ユーザは、プロセスがどのように見えるかについての知見を得ることができる。PCAとIsomapは、LDAでは達成不可能な、教師なしで実行できるという利点がある。従って、LDAは単にPCAの比較対象としてのものであって、所望のアーキテクチャを構築する場合、PCAの代替となるものではない。更に、LDA特徴は、所定のプロセスに対して、非常に特化しているように思われる。Isomapは、解析及びサンプル外への拡張用のため、実行時間がかなり長い。それ故に、PCAを用いた分類による結果が十分に満足できるものであれば、研究中のシステムに、より適合可能である。Isomapが本発明の第1の目的に対して有意性のある良き性能を示していない限り、選択すべき方法は、PCAということになろう。我々は、次元縮小技術の最終選択の時期を延期しなければならない。というのは、最も重要な品質基準は、本発明の基礎である実験結果だからである。
次元縮小の本質は、トレーニング試行中に、分散および類似性を通じて、エージェントが関連情報を抽出できるようにすることである。この助力で、エージェントは、かなり大きな容量の生のセンサデータに比べてわずかな量の特徴データを処理するだけでよい。更に、次元縮小は、仮にトレーニングの一部となっていない場合であっても、未知の状況における、例えば食品の寸法や形状のような類似の食品処理特性などの類似性の知覚をサポートする。これにより、未知ではあるが類似性がある状況への適応性を向上させることができる。
専門家からの教師あり学習
人間の認知、例えば幼児期における認知においては、往々にして、我々は、複雑な案件をいかにして上手く処理するかについて、他人から学ぶ。同様に、機械も、最初は、人間の専門家から学習する機会を持つ必要がある。教師あり学習は、製造用の認知エージェントを設定するための、最も効率的な方法である。工場生産においては、製造システムが設置または構築される時は、所定の資格のある人間の監督者が、通常、存在する。我々が検討しているアーキテクチャは、専門家からのフィードバックを受けるために、例えば、タッチスクリーンタブレットコンピュータ上で直観的なグラフィカルユーザインターフェイスを介して、人間−機械コミュニケーションを用いる。上述したように、このアーキテクチャにおいては、アクチュエータ又はテストラン毎に少なくとも一つのテストアクションが、初期学習段階として必要である。これらのテスト中、エージェントは、所望のアクションの範囲内から1つのアクチュエータを実行させて、そのセンサデータ入力が、記憶される。このテストの実行後、専門家は、ロボットがアクチュエータを正しく実行させた、すなわち、アクションが不成功又は望ましくなかったか、についてもフィードバックする。このフィードバックは、色んなカテゴリーに分かれており、異なった失敗の種類や対処方法が定義されることになる。そして、分類技術は、その特徴を、これ対応する監督のフィードバックと共に収集する。参照テーブルとの組み合わせにより、分類モジュールは、現在のシステム状態を分類するための知識および計画保管場所として機能する。エージェントがいかにして自己の行動を遂行するか、いかにして自分自身にフィードバックさせるかは、次のセクションにとっては重要なことである。このセクションでは、主として、専門家からの学習の認知能力及び監視目的のための知識の適用を対象としている。
分類技術としてのサポートベクターマシン、ファジーK近傍法及び人工神経回路網についての検討を行ってきた。専門家が機械に教えれば教えるほど、システムは所望のゴールに到達する確からしさは向上する。コスト削減のためには、可能であれば、必要な人間の監督時間を最小限として、基準テストを1回又は2回とすべきである。
半教師あり学習
前の説明では、対象となっている認知アーキテクチャ内のエージェントがいかにして周囲を知覚し、いかにして専門家から学ぶだけでなく、監視を通じて自己の知識を表示するかについて、開示がなされている。選択された特徴に基づいて提供される監視信号は、トレーニングされた分類器を使用して解釈された異なるセンサから得られる。この監視信号は改善された品質を備えているものと思われるので、プロセスパラメータの制御にも適用が可能である。そして、エージェントは、その態度を、処理の観察から、得られた知識に基づいた実際の行動へ変更する。しかしながら、エージェントが工場現場におけるプロセス制御にも適用可能であれば、完璧に近い程の性能で、多くの要件を充足せねばならない。以下に示すのは、基本的な認知アーキテクチャの要件のいくつかである。プロセス制御モジュールは、センサからの入力からアクチュエータへの出力までの間に、少なくとも一回の制御サイクルを完遂する能力を持たねばならない。制御されたパラメータは、変更された時、プロセスの成果に影響を及ぼすものでなければならず、他方、同時にタイムリーに応答しなければならない。プロセス制御モジュールは、信頼性の高い安定性と必要なダイナミックスとのバランスを通じて、最適化されるべきである。
工場生産工程に適したロバスト制御を実現するためには、高速すなわち即時処理の閉ループ制御が、往々にして、必要とされる。検討中のアーキテクチャの優位性は、生のセンサデータではなく特徴を用いることで、情報の損失を最小限に抑えて、制御ループの完了を早めることを可能とする。このアーキテクチャにおいては、分類出力に適合した任意の種類のコントローラ設計が、実装される。簡易バージョンでは、次の3つの分類出力値が考えられる。つまり、焼成不足、クラスIと、適正焼成、クラスIIと、過焼成、クラスIIIである。これを数式で示すと次の式となる。
ここで、pはクラス確率で、yは品質指標である。
PIDコントローラは、専門家による教師あり学習に関して、上で検討した監視信号に基づいたシステムのアクチュエータのパラメータを調整することができる。PID制御と分類結果とを組み合わせることで、エージェントは、供給エネルギー制御処理を行うことができるようになる。これは、以下のような形で、実現できる。
但し、Pは比例定数で、Iは積分定数で、Dは微分定数である。最終目標は、分類モジュールの出力である品質指標yと目標値である0.0との間の誤差eを最小にすることである。これに関連して、確率分類に関連した品質指標に依存する目標値を発明に適用すると、所望の処理結果を最適化するために、この値を変更する機会が与えられる。一つのアプローチは、ANN及びこれに対応する実験を用いたPID制御である。他は、SVM分類モジュールを用いて食品処理を制御することである。
教師なし学習
示唆されているように、自己学習機能は、本発明のシステムに組み込まれている。新規事項チェックは、トレーニングされた特徴に基づいて、新たな事項又は未だ知られていない状況を検出することができる。これらのケースでは、システムは、別のテストを実行して、以前にトレーニングされた機能を使用して、新たな食品を分類する。このときは、専門家に助言を求める必要はない。システムは、得られた知識を新たな食品に写像し、プロセス制御を適切に調整する。
プロセスフィードバック制御を実現するために、制御変数として、監視信号yが使用される。監視信号yと相関関係を持つ任意の可変プロセスパラメータである操作量として、エネルギー供給は、その低慣性及び監視信号yに対する強い関係のために最適であるように思われる。式3.2に示されるように、その大きさは、PIDアルゴリズムにより計算される。プロセス制御の実現するため、式3.2に示されるように、エージェントは、監視信号をPID制御装置に送ることで、ループを形成する。フィードバックコントローラは、単入力単出力(SISO)制御システムとして設計されており、監視信号yを、エネルギー供給が僅少の場合は0<y<1とし、また、エネルギー供給が過大の場合は、−1<y<0として分類ユニットから受け入れ、そして、これをコントローラの誤差を最小にするための基準値として使用する。
これまでの説明は、認知エージェントがいかにして専門家からのフィードバックにより学習したかについて略説したものである。認知システムにとっては、自分自身の行動から学び、自分自身にフィードバックすることが可能でなければならない。この種の認知能力は、強化学習(RL)で達成可能である。分類器は、フィードバック機能を引き継いで、自分自身の行動のために、RLエージェントに報酬を与える。そして、エージェントは、いかにして行動するかについてのポリシー、すなわち、フィードバック又は自分の前の成果の報酬に基づいて、いかにして焼成するかについて、学習する。故に、このテストのために、エージェントにとっての学習作業は、更なる専門家の教えなくして、種々の速度で得られた知識に基づいて、いかにして食品を処理するかを学習することである。
強化学習を使用して与えられた学習課題を達成するためには、信頼できる報酬システムが必要となる。システムには多数のセンサからデータが入力されるので、食品焼成の特徴を特定する、サポートベクトルマシンのような分類器は、図23に示されるように、報酬関数rとして機能する。これらの報酬は、以前に述べたNatural Actor−Critic法におけるCriticとしての役割を果たすことができる。このため、エージェントが選択する次の行動は、絶対エネルギー供給量aである。選択行動は、次の数式に示されるように、学習したポリシーに依拠する。
政策パラメータwは、式2.5に示されるように、勾配g(上付き^)とwt−1に依拠する。しかしながら、適用されるアルゴリズムの全面的な考察は、最小二乗時間差法学習LSTD−Q(λ)を伴ったNatural Actor−Criticアルゴリズムを参照されたい。ポリシーは、エージェントが、報酬rから学習することで、状態sから行動aへの写像を行えるようにせねばならない。報酬は、当然に、ポリシーパラメータに影響を与える。考察対象である本発明のRLエージェントにとっての最善のポリシーは、シグマ関数で見出された。
ここで、Lは最大許容電力、ηは−1から1までの間の乱数と探査パラメータεとの積である。本発明は、センサとアクチュエータとをつなぐ認知知覚−行動ループ内における食品製造装置に最適なモジュールについて考察した。認知能力に含まれるのは、関連情報を抽出すること、人間の専門家から学習すること、得られた知識を意思決定に用いることおよびエージェントが前もって訓練を受けたことがない状況をいかにして扱うかについて学習すること、である。
既に述べたように、上で考察した機械学習技術は、ここで述べた熱処理監視システムの任意の実施形態において、実装される。
以下においては、図18Aおよび図18Bに示される熱処理監視システム100の実施形態について、説明する。熱処理監視システムは、図1Aおよび図1Bに関して述べたように、オーブン100及び監視装置150を備える。しかしながら、図18Aに関して述べた実施形態は、前記したような窓130の使用に制限されるものではなく、カメラ160が加熱されている食品を観察できる任意の種類の窓1800も使用することができる。監視装置150の実施形態は、図1Aおよび図1Bの実施形態の使用に限定されるものではなく、図8〜図10に関して述べた焼成又は事前焼成工程や食品加熱工程或いは上記した如何なる他の実施形態においても採用することができる。
監視装置150の一実施例のブロックダイアグラムを、図18Bに示す。監視装置150及び監視システム100は、加熱されている食品の現在のデータを測定する少なくとも一つのセンサ1815と、現在のセンサデータから現在の特徴データを決定する処理ユニット1820と、現在の特徴データを基準加熱工程の基準特徴データと比較することで監視下にある食品の現在の加熱工程における現在の加熱工程状態を決定するように構成された監視ユニット1830とを備える。熱処理監視システムは、更に、現在のセンサデータから現在特徴データへの写像の決定及び少なくとも一つのトレーニング加熱工程の特徴データに基づいた基準加熱工程の基準特徴データの決定を行うように構成された学習ユニット1840を備える。監視装置150は、加熱される食品の種類の分類の決定および決定された食品の種類に対応する基準加熱工程の選定を行うように構成された分類ユニット1850を備える。強調しておかなければならないことは、個々のユニット1820、1830、1840および1850は、物理的に別個のものとして設けてもよいし、監視装置150のCPUによって処理されるソフトウエアとして実装されたものでもよい。
センサユニット1850は、少なくとも一つのセンサ1812を備えるが、上記したように、このセンサ1812は、どのようなものでも構わないのであって、特に、図1Aおよび図1Bに関連して述べたカメラ160、図7若しくは図8との関連で述べたセンサシステム850のセンサ、又は、図12の関連で述べたセンサシステムであってもよい。特に、センサユニット1810の少なくとも一つのセンサ1812は、少なくとも一つの、湿度計、挿入温度センサ、処理室温度センサ、音響センサ、秤、タイマ、カメラ、イメージセンサ、フォトダイオードアレイ、前記処理室内のガスを分析するガス分析装置、挿入温度計の温度分布を測定する手段、前記処理室内のガスを分析するガス分析装置、挿入温度センサの温度分布を測定する手段、発光素子又は光源からの光あるいは発音素子又は音源からの音に応じて反射又は放出される光又は音などの処理される食品からの電磁放射又はアコースティックエミッションを測定する手段、3Dカメラ、ステレオカメラ又はレーダを含み、処理される食品の3D測定の結果を決定する手段、又は、処理される食品の種類、構造、形状、光学的特性、体積又は質量を測定する手段を備える。この実施形態によれば、実行可能である限り、できるだけ多くのセンサデータを使用するのが有益である。どのセンサからの信号が最高の情報を提供しているかについては、予測が困難である。アルゴリズムは、基準焼成の分散を検出するので、機械学習を実装する学習ユニット1840は、個々に異なった焼成物を対象とした異なったセンサを選定することができる。体積変化及び色の変化が最も重要なデータであることもあれば、湿度、温度及び重量が重要なデータであることもある。
一つの実施形態において、センサユニット1810は、唯一のセンサ1812としてカメラ160を備えており、これにより、監視装置150は、更なるセンサを組み込む必要がないという利点がもたらされる。かくして、監視装置150は、単一のコンパクトな筐体として構成でき、オーブン110のオーブンドアに装着できる。しかしながら、監視装置150にセンサデータ入力インターフェース1814を設けることで、このセンサから得られた現在のデータをセンサユニット1810で読み込み、処理ユニット1820へ転送することも可能である。センサ1812の現在センサデータは、生のデータである必要はなく、カメラ160のHDR事前処理ピクセルデータやレーザ三角測距センサの事前処理センサデータのように事前処理されたものであってもよいし、観察される食品の体積計算値などを含むものであっても良い。
処理ユニット1820、監視ユニット1830、学習ユニット1840および分類ユニット1850は、上記したような機械学習技術に基づいた最適された食品加熱結果をユーザに提供するように協働する。
ここで、処理ユニット1840および学習ユニット1840は、上記した少なくとも一つのセンサ1812の現在センサデータの量を低減するために設けられている。特に、学習ユニット1840は、少なくとも一つのトレーニング加熱処理の分散分析により現在センサデータの現在特徴データへの写像の決定を行うように構成されて、現在センサデータの次元縮小を行う。学習ユニット1840は、監視装置150に組み込まれても良いし、他の場所に位置する外部ユニットであってもよく、この場合は、インターネットを通じてデータ転送がなされる(以下に述べるように、PCAループの利用と関係する)。少なくとも一つのトレーニング加熱工程は、このように、局所的に設けられた監視装置150のセンサユニット1810の現在センサデータに基づくものであるが、センサデータの種類が相互に比較可能であれば、異なった場所(地球上の)にある更に別の監視装置のセンサユニットの現在センサデータに基づいても良い。トレーニング加熱工程により、センサデータの次元縮小がなされるが、経時的に見て最も高い分散が最も重みづけされる。
学習ユニット1840によりなされる分散分析には、主成分分析(PCA)、アイソメトリック機能写像法(ISOMAP)、線型判別分析(LDA)および次元縮小法のうちの、少なくとも一つが含まれるが、これらの全てについては、既に説明済である。
支配的な特徴の解釈と選択は、このように、一連の食品加工データにPCAすなわち主成分分析を適用して行われる。上に述べたように、このようにして、特徴は分散によって分類され、最も支配的な特徴が監視にとって有益となる。上記のような解析を行うことで、センサデータが特徴データに写像される。この特徴データは、次元縮小されており、監視装置150によって監視されている加熱処理実行中の加熱工程の特性を示すものである。そして、外部サーバーから受け取られた、又は、監視装置150のメモリに記憶された写像は、処理ユニット1820によって、センサユニット1810から入ってくる現在のセンサデータを現在特徴データに写像するために用いられ、監視ユニット1830に転送される。強調しなければならないことは、場合によっては、写像は、ある種のセンサデータにとっては、特定写像となる。特に、そのセンサデータ、特に、加熱室内の絶対温度、加熱される食品の体積値及び加熱室内の湿度などの特性値を既に含む事前処理されたセンサデータは、基準特徴データと等しくなる。しかしながら、写像は、望ましくは、その中で次元縮小がなされた写像が望ましい。学習ユニットは、更に、現在特徴データを次元縮小するために、少なくとも一つのトレーニング加熱工程の分散分析によって、現在特徴データを特徴データに写像するように構成されても良い。
そして、監視ユニット1830は、現在特徴データと基準加熱工程の基準特徴データを比較して、監視されている食品の現在の加熱工程における現在の加熱工程状態を測定するように構成される。
監視の間、所望の関心事の一つは、現在特徴データを解釈して正常処理及び異常処理に関する決定に至ることである。上述した方法を用いて、正常な振る舞いの特徴を収集することは可能であり、この特徴の値が以前に学習した正常な振る舞いのものと異なっていれば、異常な振る舞いと考える。このことは、上述したように、サポートベクトルマシン又はK近傍法といった分類器を備えることによりサポートされる。上述したように制御ユニット1300が実装可能な監視ユニット1830は、測定された現在特徴データ又は現在の加熱工程状態に基づいて、少なくとも一つのアクチュエータの少なくとも一つの行動を測定するように構成することができる。かくして、監視ユニット1830は、上述したように、全ての機械学習技術が実行可能なように、構成することができる。
一つの実施形態によれば、基準加熱工程の基準特徴データは、現在特徴データと比較されて現在の加熱工程状態を測定する。基準特徴データは、外部サーバーから受け取られる事前設定データ、又は監視装置150のメモリに記憶された事前設定データである。他の実施形態においては、学習ユニット1840(監視装置150の外部又は内部)は、所定の加熱プログラムの特徴データと、ユーザによりトレーニングセットの一部として分類された少なくとも一つのトレーニング加熱工程の特徴データとを組み合わせることにより、基準加熱工程の基準特徴データを決定できるように構成されている。前記加熱プログラムは、時間に依存する一連の特徴データとして理解され、加熱される食品の特定の種類又は種類に対して特有のものである。
例えば、基準加熱工程又は所定の加熱プログラムは、クロワッサンのような加熱される特定の種類の食品の、時間における一連の特徴データであるから、最適な加熱又は焼成結果が得られる。言い換えれば、もし、現在特徴データが、選択された関連特徴の次元数を有する特徴空間内において、基準特徴データ点の時間に依存した線に沿って正確に動くのであれば、所定の最適化された時間の経過後、食品は最適な態様で加熱されることになる、すなわち、クロワッサンは、完全に焼成されることになる。最適化された時間は、加熱室又は焼成室内の温度に依存する。
所定の加熱プログラムの特徴データとユーザによりトレーニングセットの一部として分類された少なくとも一つのトレーニング加熱工程の特徴データを組み合わせることは、特徴空間におけるトレーニングセットの特徴データ(すなわち、ユーザにより良いとみなされた少なくとも一つのトレーニング加熱工程の特徴データ)の多数点が、各時点(前記多数点の中心点が、特徴空間内で決定される)毎に平均化にされて、所定の加熱プログラムを構成するのに使用される。これは、加熱プログラムの特徴及びトレーニングセットの特徴を更に、各時点にて、単純平均化又は荷重平均化することによってなされる。例えば、トレーニングセットの重みづけを25%とすれば、所定の加熱プログラムの重み付けは75%となる。
かくして、少なくとも一つの基準焼成(トレーニング加熱工程)は、その後の焼成を最適化することになる。その後の焼成からの更なるフィードバックは、結果的に、それぞれの焼成プログラムを最適化する。従って、もし現在の焼成が、現在センサデータと、現在の焼成及び所謂「グランドトルス(ground truth)」(基準焼成工程)の差異から推定された変化とによって適合されるのであれば、もっと安定した焼成品質を確保することができる。ここで、所謂「グランドトルス」(基準焼成工程)は、少なくとも一つの基準焼成(トレーニングセット)の特徴データだけでなく、その後の焼成プログラムへのフィードバック(トレーニングセット)からの特徴データと、それに対応するセンサデータとが組み合わされた焼成プログラム(事前設定された加熱プログラム)である。
かくして、焼成プログラムの時間経過と組み合わされた基準焼成のセンサデータから、有意な特徴及びこれ対応する特徴値を計算することができる。ここで、多くの異なった特徴の変動を計算して、その結果を、分散によって分類することが望ましい。分散によって分類する手段として考えられるのは、上述したような主成分分析(PCA)である。所定時間にわたるいくつかの特徴及び特徴値が、基準焼成から計算されるとき、所定時間にわたる特徴及び特徴値の集合を、PCAを用いて分類するのが望ましい。
最も有意である特徴のデータ集合および特徴値のデータ集合の少なくとも一つを利用して、好ましくは、最も有意である分散を伴って、繰り返し焼成のための制御アルゴリズムを自動的に設計することが可能である。いくつかの基準焼成がある場合は、最も高い分散値及び最も高い特徴値を繰り返している基準焼成を利用することが好ましい。
基準加熱工程などのグランドトルスを形成するために前記所定の加熱プログラムを適合する上述した可能性を実行するためには、監視装置150は、現在の加熱工程の現在特徴データを記録する記録ユニット1822を更に備える。そして、学習ユニット1840は、記録された特徴データを、トレーニング加熱工程の特徴データとして使用するために、記録ユニット1822から受け取るように構成されている。
分類ユニット1850を、加熱される食品の種類を分類するために設けられている。これは、加熱される食品のピクセルイメージを画像処理することで、例えば顔認識技術を用いて、行なわれる。加熱される食品(ロールパン、マフィン、クロワッサン又は食パン)が特定されると、その分類が、加熱される食品の種類に対応した所定の過熱プログラム又は記録された基準加熱工程の選択に用いられる。さらに、例えば小型クロワッサン、中型クロワッサン又は大型クロワッサン等のサブカテゴリも用意されていている。非食品類の種類のカテゴリーに関して、異なった基準加熱工程を記憶することができる。例えば、異なった時間依存の環境又はオーブンパラメータに対応する基準加熱プログラムがある。
例えば、本発明の焼成手順に、気象データを含ませることもできる。パン焼きオーブンの地図上の緯度を知ることで、沸騰点を特定でき、焼成プログラムの改変につなげることができる。更に、オーブンが置かれた環境の地域的大気圧、気温及び湿度のデータは、焼成プログラムの更なる改変に用いることができる。かくして、これらのデータは、特定の基準加熱プログラムのインデックスデータとして、記憶及び使用され、メモリで参照可能とされる。
更に、負荷の統計、単位及び修正も、本発明の自己学習焼成手順のためのデータとして使用することができる。かくして、焼成データの履歴は、本発明の焼成手順の改善することを助ける。役割定義で説明される分散型フィードバックにより、本発明の焼成工程は改善される。使用中の熱監視システムは、さらに、ズーム可能な世界地図の上に表示されることができる。
更に、焼成データの履歴は、経時的に製造される焼成物の量を考慮に入れても良い。熱処理監視システムは、焼成データの履歴を調べて、生産が最小及び最大となる周期を知り、次に生産量が最小又は最大となる時期を予測する。そして、熱処理監視ユニットは、ユーザに対して、期待生産量が最小又は最大の期間における食品の生産量が過大か過小かについて通知する。
現在の加熱工程状態は、現在特徴データを基準特徴データと比べることにより、決定される。比較は、基準加熱プログラムの各時点における、現在特徴データと基準特徴データとの間の距離を決定することである。したがって、決定された距離の中から最短距離を決定することで、最短距離を示す時点を基準加熱プログラムの中から探索でき、残りの焼成時間を決定することができる。
上述したように、センサユニット1810は、加熱されている食品のピクセルイメージを記録するカメラ160と同じようなカメラを備えている。そして、前記カメラの現在センサデータは、現在ピクセルイメージの現在ピクセルデータに対応する。
画像処理のための特徴検出は、次のステップを備えている。つまり、色彩画像や濃淡画像のエッジ、コーナー、ブロブ、関心領域又は関心点の検出、及び、一以上の関心点の形状、リッジ、ブロブ又は関心領域の処理である。センサデータから得られる特徴は、また、目標振幅選択又は周波数ベースの特徴選択を備えている。
ここで、エッジとは、2つの画像領域の間の境界(すなわち、境目)となる点である。一般には、エッジは任意の形状を持つことができ、連結部を含む。実際には、エッジは、画像内で、勾配の大きさが顕著な点の集合として定義されている。更に、いくつかの一般的なアルゴリズムは、その後、エッジの説明をより完全なものとするために、高勾配点をつなぐ。これらのアルゴリズムは、通常、形状、滑らかさ及び勾配値のようなエッジ特性にいくつかの制約がある。局所的には、エッジは、一元的構造を持つものである。
コーナーや関心点という用語は、多少、同じ意味で使用可能で、局所的二次元構造を有する画像中の点のような特徴を意味する。初期のアルゴリズムが最初にエッジ検出を行い、その後の解析で方向の急激な変化(コーナー)を見つけたので、「コーナー」という名前が生じた。これらのアルゴリズムはその後の発展により、例えば、画像勾配における高曲率部を探すことで、明示的なエッジ検出は必要とされなくなった。その後、伝統的な意味でのコーナーではない所謂コーナーが、画像の部分に検出される(例えば、暗い背景上の小さな明るいスポットが検出されても良い)ことが認識された。これらの点は、しばしば、関心点として知られているが、「コーナー」という語は、伝統的に使用される。
ブロブは、より点状であるコーナーとは対照的に、領域という観点から、画像構造の補足的な記述を提供する。それにもかかわらず、ブロブ記述子は、多くの場合、多くのブロブ検出器が関心点演算子と見なされることを意味する、好ましいポイント(オペレータ応答の極大値または重心)を含む。ブロブ検出器は、あまりにも滑らか過ぎてコーナー検出器では検出できない画像領域を検出することができる。画像を縮小した後、コーナー検出を行うことを検討する。前記検出器は、縮小画像で鮮明であるが、元の画像では滑らかな点に応答する。この時点では、コーナー検出器とブロブ検出器との間の差がやや曖昧になる。大抵の場合、この差異は、スケールの概念を適切に取り込むことで、改善することができる。それにもかかわらず、異なる縮尺での画像構造の異なる種類に対するそれら検出器の応答特性よれば、LoGブロブ検出器及びDoHブロブ検出器が、コーナー検出に関する文献において言及されている。
細長いオブジェクトの場合、リッジという概念が普通のツールである。濃淡画像から算出されたリッジ記述子は、中間軸の一般化としてみることができる。実用的な観点からは、リッジは、対称軸を表す一次元の曲線と考えることができ、しかも各リッジ点に関連付けられたローカルリッジ幅の属性を有する。しかしながら、残念ではあるが、エッジ特徴やコーナー特徴やブロブ特徴に比べて、濃淡画像の一般的な分類からリッジ特徴を抽出することは、アルゴリズム的に困難である。それにもかかわらず、リッジ記述子は、しばしば、航空画像からの道路抽出や、医療画像からの血管抽出に使用されている。
現在ピクセルデータは、第1色に対応する第1ピクセルデータ、第2色に対応する第2ピクセルデータおよび第3色に対応する第3ピクセルデータを備えている。第1色、第2色及び第3色は、それぞれ、R、G及びBに該当する。ここでは、食品に照明する光源は、白色光が有利である。しかしながら、光領域における好ましい波長領域が、例えば、600nmであれば、対応する波長における濃淡ピクセルイメージを観察するために、単色光の光源を用いることもできる。
R、G及びBのピクセル値をそれぞれに解析することで、パンの色を学習できるアルゴリズムの実装が可能となる。ここでの本質は、オーブンのピクセルからパンのピクセルを切り出すことであり、色により実施される。最高の切り出しのために、事前処理したハイダイナミックレンジ(HDR)写真を用いて更に輝度情報を得るのが、有利である。かくして、現在ピクセルデータとして、HDR処理されたピクセルイメージを生成できるように、カメラを構成するのが好適である。ここで、カメラが線型対数ピクセルイメージ又は線型・対数複合ピクセルイメージを記録できるようにカメラを構成できる対数スケーリングの実行も可能である。パンのピクセルを学習するためには、上述したように、逆伝播法を有する人工神経回路網又はSVM分類が用いられる。これらは、手によってマスクされたオーブンの画像を用いてトレーニングされる。
その一例として、ロールパンの場合、焼成の間、最も有意である分散は、色の変化(ピクセルの輝度変化)および体積変化(特定輝度を持つピクセル数の変化)である。これは、基準焼成又は基準加熱工程中の二つの最も重要な特徴であり、それに対応する特徴値は、時間とともに変化する。これにより、焼成工程の特性が出てくる。例えば、体積変化を示す特徴値は、焼成時間が20分の場合、10分で、最大値となり、色変化を示す特徴値は、焼成時間が20分の場合、15分で、最大値となる。そして、上記したサポートベクターマシンのような分類器を用いて、繰り返し焼成中に、入力されるセンサデータにおける基準焼成又は基準加熱プログラムとの最も高い確率一致を検出することができる。例えば、繰り返し焼成における色変化の場合、色変化が起こってから遅くとも5分以内に、体積変化が起こる。したがって、繰り返し焼成と基準焼成との間の時間差は、50%となる。この結果、残りの焼成時間は、少なくとも50%の調整となる。ここで、経過時間は、15分の代わりに、5分となる。
更に、制御アルゴリズムに影響を及ぼす可能性のある影響度を、繰り返し焼成プログラムに組み入れることができる。これは、基準焼成の回数が信頼性ファクタに影響を与えるような自動的なものであっても良いし、手動により、特定のファクタを設定されるものであっても良い。これも、上述したように、情報技術を使った遠隔システムによって最適化される。
更に、このシステムにおいては、特に、色変化を示す特徴により、温度を変更することが可能となる。既に述べたように、色変化(ピクセルの輝度変化)を示す特徴を計算することは可能である。ピクセル輝度の正規化が可能である。正規化の後、色変化に従って温度調節が可能である。もし、例えば、残り時間の75%経過後、色変化が見られない場合は、温度が上がったと考えることができ、また、基準焼成から期待された以上に色変化があった場合は、温度が下がったものと考えることができる。
監視装置150は、監視ユニットにより決定される現在の加熱工程状態と所定の加熱工程状態との比較結果に基づいて、加熱工程を調理工程から焼成工程に変更するように構成された制御ユニット1860を更に備えることができる。現在の加熱工程状態は、上述したように、「最短距離」の時点を決定して、計算される。所定の加熱工程状態の時点と算出された時点との比較により、算出された時点が所定の加熱工程状態の時点よりも遅い場合は、加熱工程は変更される。例えば、経験則として、発酵は、加熱される食品が100%の体積変化を起こせば、終了されなければならないので、ロールパンやクロワッサンの体積が二倍になったら、発酵を終了し、焼成工程を開始しなければならない。焼成されるパン又は食品の体積変化は、カメラのピクセル特徴により、非常に効率的に検知することができる。制御される熱処理装置は、発酵機能と焼成機能とを一体化した装置であってもよいし、発酵用又は焼成用の異なる装置を制御するようにしても良い。
制御ユニット1860は、監視ユニットにより決定される現在の加熱工程状態と事前設定された加熱の完了時点における加熱工程状態との比較に基づいて、加熱工程を停止するように構成される。制御ユニットは、加熱工程の終了時、ユーザに対して、その旨を報知するように構成することができる。したがって、監視装置は、報知ユニット1870と表示ユニット1880を備える。表示ユニット1880は、現在の加熱工程状態、例えば、残りの加熱時間又は焼成時間、を表示することができる。表示ユニット1880は、ユーザが加熱される食品を目視できるように、加熱室内部の現在のピクセル画像を表示することができる。制御ユニット1860は、監視ユニットにより決定される現在の加熱工程状態と事前設定された加熱の完了時点における加熱工程状態との比較に基づいて残りの焼成時間および/または加熱室の内部を示すように表示ユニット1880を制御するように構成される。
制御ユニット1860としては、更に、出力インターフェース1890との接続により、上述した又は以下に述べる熱処理室の温度制御手段、水を供給して熱処理室内の湿度を調整する手段、通気機構(通気用シャッター)の制御手段といったアクチュエータの制御を行う。アクチュエータとしては、更に、ファン速度を変化させる手段、熱処理室とその周辺環境との差圧を変化させる手段、熱処理室内の時間依存温度カーブを設定する手段、発酵及び焼成のような異なった熱処理工程を遂行し適合させる手段、熱処理室内における内部ガスの流れ分布を変化させる手段、加熱される食品の特性を検査又は観察するために、電磁力発生装置の電磁力又は音波発生装置の音波の強度を変化させる手段がある。
特に、制御ユニット1860は、熱処理室の温度制御手段、水を供給して熱処理室内の湿度を調整する手段、通気機構(通気用シャッター)の制御手段、ファン速度を変化させる手段、熱処理室とその周辺環境との差圧を変化させる手段、熱処理室内の時間依存温度カーブを設定する手段、発酵及び焼成のような異なった熱処理工程を遂行し適合させる手段、熱処理室内における内部ガスの流れ分布を変化させる手段、加熱される食品の特性を検査又は観察するために、電磁力発生装置の電磁力又は音波発生装置の音波の強度を変化させる手段を制御する。
本発明に係る熱処理監視方法は、加熱されている食品の現在のセンサデータを測定するステップと、前記現在のセンサデータから現在の特徴データを決定するステップと、前記現在の特徴データと基準加熱工程の基準特徴データとを比較することにより、監視下にある前記食品の現在の加熱工程における現在の加熱状態を決定するステップとを備える。この方法は、前記現在のセンサデータの前記現在の特徴データへの写像を決定する、および/または、少なくとも一つのトレーニング加熱工程の特徴データに基づいて基準加熱工程の特徴データを決定するステップを備えることが望ましい。更に、この方法は、前記現在のセンサデータの次元数を減少させる少なくとも一つのトレーニング加熱工程の分散分析により、前記現在のセンサデータの前記現在の特徴データへの写像を決定するステップを備えることが望ましい。この方法は、前記現在の特徴データの次元数を減少させる少なくとも一つのトレーニング加熱工程の分散分析により、現在の特徴データへの写像を決定するステップを備えるのが望ましい。前記分散分析には、主成分分析(PCA)、アイソメトリック機能写像法(ISOMAP)、線型判別分析(LDA)及び次元縮小法のうちの、少なくとも一つが含まれるのが望ましい。前記方法は、予め設定された加熱プログラムの特徴データと、ユーザの選択によりトレーニングセットの一部として分類された少なくとも一つのトレーニング加熱工程の特徴データと組み合わせることにより、基準加熱工程の基準特徴データを決定するステップを備えることが望ましい。更に、本発明の方法によれば、現在の加熱工程の現在の特徴データが記録され、前記記録されたデータがトレーニング加熱工程の特徴データとして使用される。更に、前記方法は、加熱される食品を分類し、食品の特定された種類に対応する基準加熱工程を選択するステップを備えることができる。現在の加熱工程状態と予め定められた加熱工程状態との比較結果に基づいて、加熱工程を、発酵工程から焼成工程に変更できるようにすることが望ましい。加熱温度は、同じ加熱工程では、一定に保たれるのが望ましい。前記監視ユニットにより決定された現在の加熱工程状態と加熱終了時点における予め定められた加熱工程状態との比較結果に基づいて、加熱工程を停止するようにすることが望ましい。有利な実施形態においては、前記加熱工程が終了すべきときに、ユーザにその旨が報知される。
監視装置150の他の実施例によれば、機械学習は、多入力多出力(MIMO)システムに用いられる。特に、機械学習技術を用いた熱監視システムによって、水の追加を調整するシステム、残りの焼成時間を調整するシステム及び/又は焼成温度を調整するシステムが実装される。
前記システムは、基準焼成の間、全てのセンサからのデータを収集している。湿度の場合、基準焼成の間、少なくとも一つの湿度計が、全焼成時間に亘り、湿度の基準値を検出する。同じ製品を繰り返して焼成する時、追加される水の量は、異なることがある。焼成される製品の量が異なれば、オーブンの内容積も異なり、オーブンに投入される時の焼成製品への水又は氷の量も多少変動する。
次の他の適用によれば、本発明による制御システムは、基準焼成と比較して同じような条件を達成するために必要とされるできるだけ多くの水を供給する。残りの焼成時間が制御システムにより変更されることがあるので、それに応じて、水が追加される時刻も変わってくる。20分の焼成プログラムの場合における10分経過後に、1リットルの水を追加するような定時方式に代えて、本実施形態によれば、システムが、残り時間が半分となった時に基準焼成湿度を満たすに必要な量の水を追加するようにしてもよい。
本発明を実施するに当たり異常が発生した場合は、このことを示す信号すなわち異常およびその度合いは、ミキサー(生地に導入されるエネルギー)、生地切断機(切断回数)又は業務用オーブン(焼成プログラム、時間もしくは温度)のような処理装置の調整に用いることができる。
他の実施形態によれば、焼成室内部の食品の観察が生(ライブ)で行われるので、オーブン内部のライブビューにより、焼成装置の遠隔操作が可能となる。また、オーブンを遠隔操作で調整することで、自己学習型熱監視システムの焼成行動を改善することが可能となる。
一実施形態において、知覚・認知・行動(P−C−A)ループと、認知エージェントと、アクチュエータ及びインテリジェントセンサを用いた製造工程に適した機械学習技術とを用いることができる。相互作用する多くのP−C−Aループの生成に加えて、認知能力、知識およびスキルを移転させることは、認知工場にとっては、有利である。
個性的な食品製造工程は、ほんのわずかしかない。大部分の食品製造工程は、同じような環境下の異なった工場で動いているか、同じような作業が異なった時間帯で動いているかである。更に、これらの食品製造工程間では、情報交換が全くされていないか殆どなされていないのが実情である。同じ食品製造施設でありながら、同じような処理作業を行うのに、個々に構造が異なっていることが、往々にしてある。装置の能力を向上せしめて相互協力を助けるためには、P−C―Aループを、空間や時間を超えて組み合わせるのが有利である。この目的達成については、あるトピックスが提起されている。つまり、異なった設備間の技術移転のために、信頼でき且つ適合性のあるマルチP−C−Aループを確立することが有利である。このメタシステムは、同じような工程を特定し、センサデータを解釈し、特徴を取得し、そして異なった設備の結果分析を行うものでなければならない。次元縮小、集合制御、分類といった技術により、装置は、より高次元の水準で、対話が可能となる。このためには、機械−機械間の信頼モデル、集合学習および知識表現が必須となる。更に、製造工程によっては、全体のパフォーマンスを最適化するために、認知用語で定義しなおす場合もある。データ処理及びハードウエア構造の双方は、情報及び移転能力を共有できるように、確実で、信頼でき且つ強力な処理をもたらすものでなければならない。
工業設備の制御又はパラメータ化のための自己最適化アルゴリズムを用いれば、個々の知識データベースを絶えず改善する可能性につながる。例えば、強化学習は、この可能性をもたらす一組の方法を提供する。これらのアルゴリズムは、最適な状態−行動の組み合わせを学習する。強化学習エージェントは、単純なP−C−Aループによって記述される。この単純なP−C−Aループでは、環境の状態情報の評価プロセスがループの前記「知覚」要素であり、現在の制御側の変化が前記「行動」部を示し、推定状態情報の新たな制御則への写像プロセスが前記「認知」部に与えられる場合は、工業設備においては、大きな状態空間を探索することは、安全性、速度、コスト等種々の理由により、必ずしも実行できるものではない。マルチP−C−Aループを用いて多数のエージェントに学習仕事を分配することは、個々のエージェントへの探索量を減らすことができるが、経験学習量は、依然として高い。更に、それは、異なったP−C−Aループ間でのティーチングを可能とする。マルチP−C−Aアプローチのための考えられる配置は、1つのシステム又は1つの生産ラインにおいて、例えば、監視ユニット及び閉ループ制御ユニットのような多数のエージェントを組み合わせることである。二つの異なったエージェントは、異なったプロセスパラメータの最適化のためにトレーニングされることになる。マルチP−C−Aレベル上での両者の組み合わせは、全てのパラメータへの最適経路を見出すのに使われるであろう。
概説されたP−C−Aループの双方は、品質に加えて、セットアップ時間、組み立て時間、工程自由度の点において製造効率を向上させることができる。一つのアプローチは、共有知識及び技術移転を有する同じようなワークステーションを組み合わせて、共に改善させる。他のアプローチは、相互にフィードバックをかけることで、異なったユニットを自己改善させることができる。以下においては、本発明による認知処理装置用のネットワークシステムについて説明する。本発明の利点は、一旦、協働システムが豊富な機械知識を得ると、構成ステップの繰り返しを避けることができ、生産の柔軟性を増加させると共に休止時間を大幅に減らすことができる。
本発明の一つの実施形態によれば、いくつかの熱処理監視システム100の統合を容易にするために、全ての分散配置されたシステム相互間をインターネットで接続することである。各システムで得られた知識は、これらのシステム全体で共有できるので、製造工程の構成、センサのセットアップ及び品質のベンチマークについてのデータベースをグローバルに構築することができる。
装置間で情報を共有するためには、全ての装置が、同一の特徴収集方法を用いねばならない。これらの目標達成のための最初のシナリオは、監視システム100の各センサユニット1810の多数のセンサからの入力データを組み合わせるための認知データ処理アプローチを用いて、当該工程が現在どのような状態にあるのかについての良い推測を得ることである。
認知次元縮小技術を用いれば、これらセンサからの不必要且つ重複的なデータを取り除くことができる。取り除かれた後のセンサデータは、工程の状態を分類するために用いられる。クラスタリングにより、異なったセットアップ間でさえも、具体的なプロセス状態の特定ができる。もし基準間で重要な差異があり、未知のプロセス状態が検知された場合は、監視装置はその旨を報知する。そして、専門家は、新たな状態及び対応策をシステムに教えて、性能を向上させる。
開発すべき認知システムは、受容可能な結果と受容不可の結果とを区別する学習ができるように、そして、更に、可能であれば、受容不可の結果を排除するように、しなければならない。技術的認知を用いることで、焼成又は食品処理工程の完全物理的モデルの必要性をなくすことができる。少なくとも一つのステアリング変数を改良することで、システムは、プロセスを安定化させることができる。分散配置された認知機構は、異なった製造拠点間における中央データベースの構築を可能ならしめる。一つのプロセスから収集された情報は、異なった場所にある同じようなプロセスに転送されることができる。

Claims (17)

  1. 加熱されている食品の現在のセンサデータを測定する少なくとも一つのセンサ(1812)を有するセンサユニット(1810)と、
    前記現在のセンサデータから現在の特徴データを決定するための処理ユニット(1820)と、
    前記現在の特徴データと基準加熱工程の基準特徴データとを比較して、監視下にある前記食品の現在の加熱工程における現在の加熱状態を決定するように構成された監視ユニット(1830)とを備える熱処理監視システム(100)。
  2. 前記現在のセンサデータの前記現在の特徴データへの写像を決定するように、及び/又は、少なくとも一つのトレーニング加熱工程の特徴データに基づいて基準加熱工程の基準特徴データの決定するように構成された学習ユニット(1840)をさらに備える請求項1記載の熱処理監視システム(100)。
  3. 前記学習ユニット(1840)は、前記現在のセンサデータの次元数を減少させる少なくとも一つのトレーニング加熱工程の分散分析により、前記現在のセンサデータの前記現在の特徴データへの写像を決定するように構成されている請求項2記載の熱処理監視システム(100)。
  4. 前記学習ユニット(1840)は、前記現在の特徴データの次元数を減少させる少なくとも一つのトレーニング加熱工程の分散分析により、現在の特徴データへの写像を決定するように構成されている請求項2又は3記載の熱処理監視システム(100)。
  5. 前記分散分析には、主成分分析(PCA)、アイソメトリック機能写像法(ISOMAP)、線形判別分析(LDA)及び次元縮小法のうちの、少なくとも一つが含まれる請求項3又は4記載の熱処理監視システム(100)。
  6. 前記学習ユニット(1840)は、予め設定された加熱プログラムの特徴データと、ユーザの選択によりトレーニングセットの一部として分類された少なくとも一つのトレーニング加熱工程の特徴データと組み合わせることにより、基準加熱工程の基準特徴データを決定するように構成されている請求項2乃至5の何れか一項に記載の熱処理監視システム(100)。
  7. 現在の加熱工程の現在の特徴データを記録する記録ユニット(1822)をさらに備え、
    前記学習ユニット(1840)は、前記記録ユニット(1822)から前記記録された特徴データを受け取り、トレーニング加熱工程の特徴データとして使用するよう構成されている請求項2乃至5の何れか一項に記載の熱処理監視システム(100)。
  8. 前記センサユニット(1810)は、加熱されている食品のピクセル画像を記録するカメラ(160)を備え、
    前記カメラの現在のセンサデータは、現在のピクセル画像の現在のピクセルデータと対応する請求項1乃至7の何れか一項に記載の熱処理監視システム(100)。
  9. 前記現在のピクセルデータは、第1の色に対応する第1ピクセルデータと、第2の色に対応する第2ピクセルデータと、第3の色に対応する第3ピクセルデータとから構成される請求項8記載の熱処理監視システム(100)。
  10. 前記第1の色、前記第2の色及び前記第3の色はそれぞれ、赤、緑及び青に対応する請求項9記載の熱処理監視システム(100)。
  11. 前記カメラ(160)は、HDR処理されたピクセル画像を、現在のピクセルデータとして生成するように構成されている請求項8乃至10の何れか一項に記載の熱処理監視システム(100)。
  12. 加熱される食品の種類を分類し、食品の特定された種類に対応した基準加熱工程を選択する分類ユニット(1850)をさらに備える請求項1乃至11の何れか一項に記載の熱処理監視システム(100)。
  13. 前記監視ユニットにより決定された現在の加熱工程状態と予め定められた加熱工程状態との比較結果に基づいて、加熱工程を、発酵工程から焼成工程に変更するように構成されている制御ユニット(1860)をさらに備える請求項1乃至12の何れか一項に記載の熱処理監視システム(100)。
  14. ディスプレイユニット(1880)を制御するように構成されている制御ユニット(1860)をさらに備え、
    前記制御ユニットは、前記監視ユニットにより決定された現在の加熱工程状態と加熱終了時点における予め定められた加熱工程状態との比較結果に基づいて、前記加熱工程の残り時間、及び/又は、熱処理室の内部の画像を表示するように構成されている請求項1乃至13の何れか一項に記載の熱処理監視システム(100)。
  15. 前記加熱工程が終了すべきときに、ユーザにその旨を知らせるように構成されている制御ユニット(1860)をさらに備える請求項1乃至14の何れか一項に記載の熱処理監視システム(100)。
  16. 熱処理室の温度を制御するように構成された制御ユニット(1860)と、
    水又は水蒸気を加えて前記熱処理室の湿度を変化させる手段と、
    通風機構の制御手段と、
    ファン速度を変化させる手段と、
    前記熱処理室と周辺環境との差圧を変化させる手段と、
    前記熱処理室内の時間依存温度カーブを設定する手段と、
    発酵及び焼成のような異なった熱処理工程を実行し適合させる手段と、
    前記熱処理室内における内部ガスの流れ分布を変化させる手段と、
    加熱される食品の特性を検査又は観察するために、電磁力発生装置の電磁力又は音波発生装置の音波の強度を変化させる手段とをさらに備える請求項1乃至15の何れか一項に記載の熱処理監視システム(100)。
  17. 前記センサユニット(1810)の少なくとも一つのセンサ(1812)は、少なくとも一つの、湿度計、挿入温度センサ、処理室温度センサ、音響センサ、秤、タイマ、カメラ、イメージセンサ、フォトダイオードアレイ、前記処理室内のガスを分析するガス分析装置、挿入温度センサの温度分布を測定する手段、発光素子又は光源からの光あるいは発音素子又は音源からの音に応じて反射又は放出される光又は音などの処理される食品からの電磁放射又はアコースティックエミッションを測定する手段、3Dカメラ、ステレオカメラ又はレーダを含み、処理される食品の3D測定の結果を決定する手段、又は、処理される食品の種類、構造、形状、光学的特性、体積又は質量を測定する手段から構成される請求項1乃至16の何れか一項に記載の熱処理監視システム(100)。
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