JP2009175141A - 化合物のスクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の毒性試験では予測が困難であった、ヒト特異的肝毒性を発現させる化合物について、その肝毒性を高精度で予測することが可能であり、かつ複数種のバイオマーカーを利用することによって、汎用性の高い、ヒトに対する肝毒性の少ない化合物をスクリーニングする方法を提供する。
【解決手段】メタボロミクスを用いた肝毒性評価において、当該肝毒性評価の各工程を好適な組合せにすることによって、ヒトに対する肝毒性の少ない化合物をスクリーニングすることができる。さらに、肝毒性標品化合物として、4−ヒドロキシアニソールおよびニメスリドなどを用いて特定された共通でかつ複数種のバイオマーカーを利用し、当該メタボロミクスを用いた肝毒性評価を行なうことによって、上記課題を解決することが可能となった。
【選択図】なし

Description

本発明は、化合物のスクリーニング方法に関するものであり、特にメタボロミクスを用いた肝毒性評価による、ヒト肝毒性の少ない化合物のスクリーニング方法に関するものである。
医薬品開発において、医薬品候補化合物の肝臓に対する毒性評価は、実験動物を用いた毒性試験における血液生化学検査や病理組織学的検査により行われている。しかしながら、実験動物を用いた前臨床毒性試験において検出できなかった肝毒性であっても、ヒトにおいて発現してしまう場合がある。具体的には、前臨床試験と臨床試験をクリアした医薬品が、市販後に数百から数十万症例に1例程度の確率で重篤な肝障害を発現する場合である。この場合、製品開発は中断を余儀なくされ、研究開発に費やした時間とコストは回収することができない。このことは、実験動物に対して低毒性の薬物は、ヒトに対しても低毒性であろうという推定が必ずしも成立しないことを表している。
本問題の有効な解決策は、実験動物とヒトとの毒物感受性の差異を解明することであるが、それは極めて困難である。かかる事情により、医薬品候補化合物のスクリーニングに適用可能な、実験動物とヒトとの毒物感受性をできるだけ同等に捉えることのできるバイオマーカーの探索が行なわれている。すなわち、ヒト特異的に毒性を発現した化合物を実験動物に投与した際に、生体内でその量が変動する代謝物(バイオマーカー)を特定し、当該バイオマーカー量を変動させない化合物を見出すことができれば、毒性の少ない化合物の選定が可能となるからである。
近年、メタボロミクスを用いて肝毒性の指標となる新規のバイオマーカーを探索する試みがなされている(非特許文献1参照)。メタボロミクスは生体における代謝物を網羅的に分析および解析する方法であり、薬物投与による生体のレスポンスとその経時変化を包括的・相対的・定量的に評価することができる方法である。それゆえ、医薬品の毒性や有効性予測のために有用な評価方法のひとつとして期待されている。
例えば、特許文献1には、メタボロミクス(メタボノミクス)において、LC−MSまたはLC−MS/MSデータの処理を行うための方法が開示されている。この方法は、サンプル中の代謝産物のLC−MSまたはLC−MS/MSデータからケモメトリック分析を実行して、バイオマーカーを識別する方法である。しかしながら、特許文献1には、実際にこの方法を用いて生体サンプル中の代謝産物を網羅的に解析し、具体的なバイオマーカーを取得できたことは記載されていない。
また、例えば、特許文献2には、複数の生物学的サンプルの差異、相関などについて、メタボロミクスを用いてプロファイリングする方法およびシステムが開示されている。しかしながら、特許文献2には、野生型マウスとAPO E3マウスの生体試料について、当該試料中の代謝物プロフィールを比較したことが記載されているにとどまり、具体的なバイオマーカーを特定したことは記載されていない。
さらに、例えば、特許文献3には、酸化ストレス惹起剤を投与されたマウスの肝臓および血清を試料とし、CE−TOFMSを用いて代謝物を網羅的に測定し、その中から酸化ストレスを判定可能なマーカーとしてオフタルミン酸を見出したことが記載されている。しかし、オフタルミン酸は酸化ストレスを判定するための単一のマーカーであるため、酸化ストレスに起因する肝毒性発現の予測に使用することはできるが、肝毒性全般について一般性を有する予測可能なスクリーニング方法として使用することは困難である。
また、例えば、特許文献4には、アミオダロンまたはフェノキシプロピルアミン化合物を投与したラットの尿および血清を採取し、CE−TOFMSにより各薬物投与群において共通に変動する代謝物を特定したことが記載されている。これらの代謝物は、薬物誘発性リン脂質症を特定するためのバイオマーカーであるため、肝毒性のバイオマーカーとして使用できることを示唆するものではない。
特表2007−503594号公報 特表2005−500543号公報 特開2007−192746号公報 特開2007−315852号公報 ファーマコゲノミクス(Pharmacogenomics)、第6巻、第7号、691〜699ページ、2005年
本発明は、ヒトに対する肝毒性の少ない化合物のスクリーニング方法を提供することにある。より詳しくは、ヒト特異的に肝毒性を発現する既知化合物について、メタボロミクスを用いて特定した複数種のバイオマーカーを利用することによって、検出精度および汎用性の高いスクリーニング方法を提供することにある。
本発明者らは、メタボロミクスを用いた肝毒性評価に使用できる各手法および各工程の好適な組合せを見出し、さらに、肝毒性標品化合物としてヒト特異的に肝毒性を発現する化合物(4−ヒドロキシアニソール、ニメスリドなど)を用いて抽出された、ヒトに対する肝毒性の指標となり得る複数のバイオマーカー候補化合物を選定し、利用することによって、高精度で汎用性の高いスクリーニングを行なうことが可能となり、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る化合物のスクリーニング方法(以下、本発明のスクリーニング方法と略記することがある。)は、メタボロミクスを用いた肝毒性評価によることを特徴としている。メタボロミクスを用いた肝毒性評価は、(1)被験化合物をげっ歯目動物に投与する工程、(2)投与前後におけるげっ歯目動物の尿を採取する工程、(3)工程(2)で採取した尿について、クロマトグラフィーおよび質量分析を組み合わせて尿中代謝物を分離する工程、(4)工程(3)で分離した各尿中代謝物の保持時間および質量分析データを得る工程、(5)工程(4)で得られた保持時間および質量分析データについて、データ処理用ソフトウェアを用いてピーク検出およびアライメントを行い、ピークテーブルを作成する工程、(6)工程(5)で作成したピークテーブルから、肝毒性標品化合物によって特定されたバイオマーカーのデータを選別する工程、(7)工程(6)で選別されたデータについて、被験化合物の投与前後における各バイオマーカーの変動を検出する工程を含むことが好ましい。
本発明のスクリーニング方法において、クロマトグラフィーおよび質量分析の組合せは、高圧高速液体クロマトグラフィーおよび飛行時間型質量分析の組合せであることが好ましく、データ処理用ソフトウェアは、MZmineであることが好ましい。
工程(7)において、工程(6)で選別されたデータを用いてケモメトリクス解析を行い、得られた解析結果を用いて変動を検出することが好ましい。ケモメトリクス解析は、主成分分析であることが好ましく、主成分分析のスコアプロットにおける被験化合物の投与前後のスコアの差の絶対値により変動を検出することが好ましい。また、ケモメトリクス解析として、他の多変量解析である分散分析およびPLS回帰分析を用いてもかまわない。
また、工程(7)において、工程(6)で選別されたデータについてアレイ解析ソフトウェアを用いて、変動を検出することも好ましい。
本発明のスクリーニング方法に用いられるバイオマーカーは、少なくとも2種以上の肝毒性標品化合物によって特定された複数種のバイオマーカーであることが好ましい。複数種のバイオマーカーは、ケモメトリクス解析、なかでも主成分分析を行ってバイオマーカーの変動の検出を行った場合は、表1に示される化合物からなる群より選ばれることが好ましく、表2−1および表2−2に示される化合物からなる群より選ばれることがより好ましい。また、アレイ解析ソフトウェアを用いてバイオマーカーの変動の検出を行った場合は、複数種のバイオマーカーとしては、表5−1、表5−2、表5−3、表6−1、表6−2、表6−3および表6−4に示される化合物からなる群より選ばれることが好ましい。
特に、本発明のスクリーニング方法は、上記した好ましい各手法を組み合わせること、各工程の手順を上記した通りに行なうこと、および上記した好ましい複数種のバイオマーカーを用いることによって、本発明の課題を解決するための好適な手段となり得る。
本発明のスクリーニング方法を用いれば、従来の毒性試験では予測が困難であった、ヒト特異的に肝毒性を発現させる化合物についても肝毒性を予測できるため、ヒトに対する肝毒性の少ない化合物を高精度にスクリーニングすることができる。さらに、本発明のスクリーニング方法に用いられるバイオマーカーは、2種以上の肝毒性標品化合物に共通して検出されたものであることから、汎用性に優れたスクリーニングを行なうことができる。
本明細書において「メタボロミクス」は、生体から得られる試料中に含まれる代謝物の網羅的な分析と得られたデータの解析により有用な情報を取得する技術を意味する。ここで、代謝物とは、生体内に本来的に存在する代謝物を意味する。
本明細書において「肝毒性の少ない化合物」は、ヒトに対して肝毒性を発現させるリスクが低い化合物を意味する。例えば、ジピリダモールが挙げられる。
本発明のスクリーニング方法は、メタボロミクスを用いた肝毒性評価によるものであればよい。
メタボロミクスの分析対象動物は特に限定されないが、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト動物(例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、げっ歯目動物(ラット、マウスなど)))であることが好ましい。哺乳動物としては、医薬品の前臨床試験に用いられる一般的な実験動物が好適であり、なかでも毒性試験に通常用いられるラット、マウスなどのげっ歯目動物が特に好ましい。分析対象試料も特に限定されず、尿、血液(血清)、臓器(例えば、肝臓)などを好適に用いることができる。なかでも、動物に苦痛を与えることなく繰り返し採取可能な尿を用いることが好ましい。
試料の分析方法も特に限定されず、一般にメタボロミクスに用いられる公知の方法から適宜選択することができる。例えば、核磁気共鳴(NMR)、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィー(LC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、キャピラリー電気泳動(CE)、および質量分析と組み合わせた方法(例えば、GC/MS、LC/MS、CE/MS、MS/MS)などを用いる方法が挙げられる。得られたデータを解析する方法も特に限定されず、採用した分析方法に応じて適切な公知のデータ解析方法を選択しデータ解析を行うことができる。
肝毒性評価は、通常、被験化合物を投与された個体の投与前後の試料中に含まれる代謝物の変動を検出することにより行われる。この際、既知の2種以上の肝毒性標品化合物を投与した個体の投与前後の試料中に含まれる代謝物の変動、および対照個体(無処置、溶媒投与または既知の肝毒性低リスク化合物投与)の投与前後の試料中に含まれる代謝物の変動を参照することにより、当該肝毒性標品化合物に共通して変動するバイオマーカーを検出することができ、当該バイオマーカーを用いることによって、被験化合物の肝毒性が評価され、ヒトに対する肝毒性の少ない化合物をスクリーニングすることができる。または、媒体のみを投与した個体と被験化合物を投与した個体の2群間において、採取時間毎に、各群の代謝物の変動を検出することによっても肝毒性評価を行うことができる。ここで、バイオマーカーとは、当業者にとって明らかなように、生体試料中に含まれる代謝物のうち、生体の生物学的変化に伴ってその量が変動するものをいう。
以下、本発明のスクリーニング方法の一実施形態について詳細に説明する。本実施形態のスクリーニング方法は、上記メタボロミクスを用いた肝毒性評価が、以下の工程(1)〜工程(7)を含むものであればよい。
工程(1)
工程(1)は、被験化合物をげっ歯目動物に投与する工程である。被験化合物は特に限定されないが、医薬品候補化合物であることが好ましい。医薬品候補化合物は、低分子化合物、高分子の蛋白、ポリペプチド、ポリヌクレオチド(DNA、RNA、遺伝子)、アンチセンス、デコイ、抗体であるか、またはワクチンなどであってもよい。げっ歯目動物は特に限定されないが、上記のように医薬品の毒性試験に通常使用されるラットまたはマウスが好ましい。被験化合物の調製、投与経路の選択、投与用量・投与回数などの条件設定は、医薬品の毒性試験に準じて行うことができる(「医薬品非臨床試験ガイドライン解説2002」医薬品非臨床試験研究会監修、株式会社薬事日報社、2002)。
工程(2)
工程(2)は、投与前後におけるげっ歯目動物の尿を採取する工程である。げっ歯目動物の尿を採取するために、動物は採尿ケージ(代謝ケージ)に1匹ずつ収容することが好ましい。尿の採取は被験化合物の投与前および投与後にそれぞれ少なくとも1回行えばよいが、採尿時期、回数などについて適切な条件を設定するために、予備検討を行うことが好ましい。
工程(3)
工程(3)は、工程(2)で採取した尿について、クロマトグラフィーおよび質量分析を組み合わせて尿中に含まれる代謝物を分離する工程である。クロマトグラフィーとしては、ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、キャピラリー電気泳動(CE)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)などが挙げられる。このうち、操作性に優れ、必要な分離能を有する点から高速液体クロマトグラフィー、なかでも高圧高速液体クロマトグラフィー(例えば、ACQUITYTM Ultra Performance Liquid Chromatography system(Waters製)など)が好ましい。質量分析としては、クロマトグラフィーと組み合せ可能なものであれば特に限定されないが、例えば、四重極型質量分析(QMS)、イオントラップ型質量分析(ITMS)、飛行時間型質量分析(TOFMS)、フーリエ変換型質量分析(FTMS)、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT−ICRMS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)などが挙げられる。解析の有用性を考慮すると精密質量数が測定可能である点から飛行時間型質量分析が好ましい。高圧高速液体クロマトグラフィーと飛行時間型質量分析を組み合わせることにより、尿中代謝物のほとんど全てを分離・分析することができる。また、FTMSを使用する場合は、尿中代謝物の分離を伴わないデータで解析することも可能である。
工程(4)
工程(4)は、工程(3)で分離した各尿中代謝物の保持時間および質量分析データを得る工程である。工程(3)では、通常クロマトグラフィーと質量分析とを組み合わせた市販の分析機器(例えば、GC/MS、LC/MS)が用いられる。なかでも、工程(3)に記載した好適なクロマトグラフィーと質量分析の組合せ、すなわち、高圧高速液体クロマトグラフィーおよび飛行時間型質量分析の組合せが好ましい。各尿中代謝物の保持時間および質量分析データは、当該測定機器により自動的に取得される。
工程(5)
工程(5)は、工程(4)で得られた保持時間および質量分析データについて、データ処理用ソフトウェアを用いてピーク検出およびアライメントを行い、ピークテーブルを作成する工程である。用いるデータ処理用ソフトウェアは、工程(4)で得られた保持時間および質量分析データについて、ピーク検出およびアライメントを実行できるものであれば特に限定されない。本工程で使用可能な市販ソフトウェアやフリーソフトウェアは多数知られている(Journal of Chromatography A, 1158 (2007) 318-328)。具体的には、例えば、MZmine(フリーソフトウェア)、Markerlynx(Waters,Inc.)、XCMS(フリーソフトウェア)などが挙げられる。なかでも、ピークの検出ミスが少ないこと、精密質量数を使用できること、および操作の簡便性の点からMZmineが特に好ましい。MZmineは「http://mzmine.sourceforge.net/download.shtml」からダウンロードして取得することができる。使用説明書の記載に従ってMZmineを使用することにより、工程(4)で得られた保持時間および質量分析データについてピーク検出およびアライメントを実行することができる。MZmineの具体的な使用方法の一例については、後段の実施例で詳述する。
ピークテーブルは、ピーク検出およびアライメントがなされた保持時間および質量分析データの表であればよく、形式は何ら限定されるものではない。例えば、MZmineを用いてデータ処理を行うと、テキスト形式のデータファイルとしてピークテーブルを得ることができる。ピークテーブルは、その後の処理や解析に適した体裁やファイル形式に適宜修正して使用される。例えば、検体ごとに、保持時間とm/z値とで特定されたピークの強度を全て表示したピークテーブルが挙げられる。
工程(6)
工程(6)は、工程(5)で作成したピークテーブルから、肝毒性標品化合物によって特定されたバイオマーカーに該当するデータを選別する工程である。「肝毒性標品化合物」は、ヒトに対して肝毒性を発現することが知られている化合物であれば特に限定されず、例えば、ニメスリド、ニトロフラントイン、フルタミド、4−ヒドロキシアニソール、アセトアミノフェン、アモジアキンが挙げられる。
ここで、メタボロミクスを用いてバイオマーカーを特定する場合、具体的には、上記の工程(1)〜工程(4)と同様の手順により、げっ歯目動物に肝毒性標品化合物を投与し、投与前後の尿を採取し、クロマトグラフィーおよび質量分析を組み合わせて尿中に含まれる代謝物を分離し、各尿中代謝物の保持時間および質量分析データを得る。得られた保持時間および質量分析データについて、工程(5)と同様にデータ処理用ソフトウェアを用いてピーク検出およびアライメントを行い、ピークテーブルを作成する。作成されたピークテーブルの全データを用いて後記するケモメトリクス解析を行い、解析結果からバイオマーカーを特定する。
ケモメトリクス解析として主成分分析を行った場合には、解析結果のうち特徴的な成分についてローディングプロットにより表示する。ローディングプロットでは、肝毒性標品化合物の投与前後に大きく変動する化合物(代謝物)は中心(ファクター1および2のローディング値がいずれも0の位置)から離れた位置に表示されるので、そのような化合物をバイオマーカーとして特定することができる。具体的には、例えば、ローディングの絶対値が大きい化合物を複数選択し、これらを用いて主成分分析を行い、スコアプロットで表示して投与前後の分離が認められれば、これらをバイオマーカー候補とする。そのなかから同一化合物(同じ保持時間やm/z値を有するもの)や同位体などを削除し、残った化合物をバイオマーカーとして特定することができる。
また、工程(5)で作成したピークテーブルから、バイオマーカーを特定する解析方法として、主成分分析の代わりに後段の実施例で記載するように、アレイ解析ソフトウェア(例えば、Expressionist(Genedata社))を用いた媒体投与群と被験化合物投与群の2標本の検定(Welchのt検定)を行って、特定の化合物の変動が認められれば、これをバイオマーカーとして特定してもよい(Analytical Biochemistry 363 (2007) 185-195参照)。
このようにして、特定されたバイオマーカーは、1種のみでもよく、複数種でもよい。化合物のスクリーニング精度・汎用性を高める観点から、複数種(2種以上)であることが好ましい。ピークテーブルにおけるバイオマーカーに該当するデータは、特定されたバイオマーカーの保持時間およびm/z値に基づいて選別することができる。
工程(7)
工程(7)は、工程(6)で選別されたデータについて、被験化合物の投与前後における各バイオマーカーの変動を検出する工程である。変動を検出する方法としては、例えば、個々のバイオマーカーについて、被験化合物の投与前後におけるピークの強度を比較することにより、バイオマーカーの変動(増加または減少)を検出する方法が挙げられる。検出された被験化合物の投与前後における各バイオマーカーの変動を、既知の肝毒性標品化合物の投与前後における各バイオマーカーの変動、および対照(無処置、溶媒投与または既知の肝毒性低リスク化合物投与)における各バイオマーカーの変動と比較し、対照における変動と同等である場合には、肝毒性が少ないと判断することにより、ヒトに対する肝毒性の少ない化合物をスクリーニングすることができる。
バイオマーカーの変動を検出する他の方法としては、例えば、工程(6)で選別されたデータを用いてケモメトリクス解析を行い、得られた解析結果を用いて変動を検出する方法を挙げることができる。「ケモメトリクス」とは、数学や統計学などを用いて化学データを分析し、最も適切な化学情報を提供するための解析手法であり、化学実験で得られる膨大な多変量データの規則性を解析したり、特徴を抽出したりすることでそこから有益な情報を得ることを目的とした学問領域である。ケモメトリクス解析の具体的手法としては、主成分分析(Principal Component Analysis;PCA)、自己組織化マッピング(Self−Organizing Mapping;SOM)、PLS回帰分析(Partial Least Squares Regression)、判別分析(Discriminant Analysis;DS)、階層クラスター解析(Hierarchical Clustering Analysis;HCA)、分散分析などを挙げることができる。なかでも、主成分分析は、外部評価に影響されず、データそのものの特徴を捉えることに優れており、探索的なアプローチとして知られており、マーカー探索作業の第一スクリーニングとして好ましい。ここで「主成分分析」とは、多変量データの持つ情報を、少数個の総合特性値に要約する手法である。換言すれば、多数の関連性のありそうな変数を、主成分と呼ばれる少数の関連性のない変数に変換する手法である。
主成分分析は、市販のソフトウェアを用いることにより容易に行うことができる。主成分分析に使用されるソフトウェアは特に限定されないが、メタボロミクスにおいて広く使用されている市販のソフトウェアとして、例えば、Pirouette(Infometrix,Inc.)、SIMCA−P(Umetrics,Inc.)、Markerlynx(Waters,Inc.)、MATLAB(The Mathworks,Inc.)などが挙げられる。本発明者らは、操作性、視覚化に優れているという理由で、Pirouetteを使用している。
主成分分析の結果は、独立変数を各サンプル、従属変数を各ピークとした際には、主に、(a)1つの検体ごとにスコア(score)をプロットして表示するスコアプロット、および(b)スコアを算出する際の各ピークの寄与を表すローディング(loading)をプロットして表示するローディングプロットの2つの表示方式により表すことができる。結果をスコアプロットで表示した場合、被験化合物の投与前後における同一個体の検体のプロットから従属変数の数と同じ成分数を求めることができ、それぞれの成分のスコアの差を求めることができる。これらの差の絶対値は、各バイオマーカー全体の変動を表すものであり、この数値により全バイオマーカーの変動を一元的に検出することができる。
既知の肝毒性標品化合物の投与前後における各バイオマーカーのデータ、および対照(無処置、溶媒投与または既知の肝毒性低リスク化合物投与)における各バイオマーカーのデータについても、同様に主成分分析を行い、スコアをプロットして投与前後のスコアの差の絶対値を求めておき、これらと被験化合物投与群の数値(差の絶対値)と比較すること、すなわち、被験化合物群の数値(差の絶対値)が、対照における数値と同等であるか否かを判断することによって、被験化合物がヒトに対する肝毒性の少ない化合物であるか否かを予測することができる。もしくは、後記する実施例記載の、肝毒性標品化合物の投与前後で示された分離クラスターの形成の有無によっても予測することができる。
また、バイオマーカーの変動を検出する他の方法としては、ケモメトリクス解析の代わりにアレイ解析ソフトウェア(例えば、Expressionist(Genedata社))を用いて、媒体投与群と被験化合物の2群間でピークの強度を統計学的に処理することにより、バイオマーカーの変動を検出する方法も挙げられる。
本発明のスクリーニング方法において用いられるバイオマーカーは、後段の実施例で示すように肝毒性標品化合物によって特定されたものであれば特に限定されないが、メタボロミクスを用いて特定されたものであることが好ましい。また、バイオマーカーは、少なくとも2種以上の肝毒性標品化合物によって特定されたバイオマーカーであることが好ましい。「少なくとも2種以上の肝毒性標品化合物によって特定されたバイオマーカー」とは、2種以上の肝毒性標品化合物によってそれぞれ特定されるバイオマーカーのなかで、当該肝毒性標品化合物にとって、共通に変動するバイオマーカーを意味する。2種以上の肝毒性標品化合物に共通のバイオマーカーを見出し、当該バイオマーカーを用いれば、より高い精度でヒトに対する肝毒性の少ない化合物をスクリーニングすることが可能となる。
本発明者らは、具体的な肝毒性標品化合物として4−ヒドロキシアニソール(4−hydroxyanisole)およびニメスリド(nimesulide)の2種類を用い、それぞれラットに投与して、投与前後の尿を採取し、メタボロミクスを用いてバイオマーカーの特定を行った(詳細は、実施例を参照のこと)。その結果、表1に示す39成分をバイオマーカーとして特定した。したがって、本発明のスクリーニング方法において用いられるバイオマーカーは、表1に示される化合物からなる群より選ばれることが好ましい。
さらに、本発明者らは、具体的な肝毒性標品化合物として、2種の反応性代謝物を生成する化合物群、具体的には、反応性代謝物としてニトロアニオンラジカルを生成する化合物群(例えば、ニメスリド、ニトロフラントイン(nitrofurantoin)、フルタミド(flutamide))、および反応性代謝物としてキノンを生成する化合物群(例えば、4−ヒドロキシアニソール、アセトアミノフェン(acetaminophen)、アモジアキン(amodiaquine))を用い、それぞれラットに投与して、投与前後の尿を採取し、メタボロミクスを用いて各種の化合物群に共通なバイオマーカーの特定を行った(詳細は、実施例を参照のこと)。その結果、表5−1、表5−2、表5−3、表6−1、表6−2、表6−3および表6−4に示すように、それぞれ45および22成分をバイオマーカーとして特定した。
したがって、本発明のスクリーニング方法において用いられるバイオマーカーは、その解析方法(主成分分析またはアレイ解析ソフトウェア)に応じて表1、表2−1および表2−2または表5−1、表5−2、表5−3、表6−1、表6−2、表6−3および表6−4に示される化合物からなる群より選ばれることが好ましい。
なお、表1、表2−1、表2−2、表5−1、表5−2、表5−3、表6−1、表6−2、表6−3および表6−4に記載の平均m/z値は、以下の測定機器および測定条件により得られた数値である(なお、表1、表2−1、表2−2、表5−1、表5−2、表5−3、表6−1、表6−2、表6−3および表6−4において、平均m/z値の表記は、データベース検索の項でも記載したように、m/z値±100mDaの許容範囲で示した)。
<測定機器>
LCシステム:ACQUITYTM Ultra Performance Liquid Chromatography system(Waters製)
質量分析計 :Micromass LCT PremierTM(Waters製)
<LC/MS条件>
・カラム:ACQUITY UPLCTM BEH C18 1.7μm 2.1×150mm
・カラムオーブン温度:40℃
・極性:ネガティブ
・流速:300μL/分
・キャピラリー電圧:2700V
・コーン電圧:35V
・噴霧ガス温度:350℃
・イオンソース温度:120℃
・コーンガス流速:50L/h
・噴霧ガス流速:500L/h
・モード:Wモード
<移動相条件>
・移動相成分A:0.1%ギ酸水溶液
・移動相成分B:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液
0分 100%(A) 0%(B)
7分 0%(A) 100%(B)
14分 0%(A) 100%(B)
14.1分 100%(A) 0%(B)
21分 100%(A) 0%(B)
Figure 2009175141
表1に示した39成分について、Human metabolome database(http://hmdb.ca/labm/jsp/mlims/MSDbParent.jsp)、MassBank.jp(http://www.massbank.jp/QuickSearch.html)およびMetabolome.jp(http://www.metabolome.jp/mass_search/)により検索したところ、39成分中16成分がヒットした。なお、データベース検索にはm/z値±100mDaの許容範囲を設けた。表2−1および表2−2に示すように、平均m/z値によっては複数の化合物がヒットした。本発明のスクリーニング方法において用いられるバイオマーカーは、尿中代謝物の解析時に主成分分析を行った場合、表2−1および表2−2に示される化合物からなる群より選ばれることが好ましい。なお、表2−1および表2−2に記載の化合物名は、上記データベースでヒットした化合物名であり、バイオマーカーの正確な同定には、MS/MSによる分析データなど、さらに詳細な情報が必要であることは言うまでもない。
Figure 2009175141
Figure 2009175141
[実施例]
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:血液生化学検査、病理組織学的検査およびPCA解析を用いたバイオマーカーの特定
〔実験材料および実験方法〕
(1)使用動物
Sprague−Dawly系雄性ラット(Crj:CD(SD)、日本チャールスリバー)を7週齢で購入した。体重範囲は212.8g〜263.9gであった。試験開始前6日間、動物を検疫し、馴化させた。検疫・馴化期間中は、ステンレスケージに5匹ずつラットを収容し、飼料(CRF−1、オリエンタル酵母)および水を自由に摂取させた。飼育室の温度は23℃±2℃、湿度は55%±10%に維持した。明暗サイクルは12間毎とし、換気回数は15回/時間とした。
検疫・馴化期間終了後、体重層別無作為化法により各群の平均体重がほぼ均一となるように群分けした。群分け後、採血群の動物については、ステンレスケージで個別飼育した。同時に、採尿群の動物については、ステンレス製の代謝ケージで個別飼した。
(2)肝毒性標品化合物および低リスク化合物
肝毒性標品化合物として4−ヒドロキシアニソール(4−hydroxyanisole)およびニメスリド(nimesulide)を使用した。両者とも前臨床試験を通過したにも関わらず、ヒトにおいて重篤な肝毒性が発現したことにより開発中止に追い込まれた薬剤である。すなわち、ラットでは微細であった毒性が、ヒトでは時として重篤に発現する場合があることを現実に示した薬剤である。
4−ヒドロキシアニソールは悪性メラノーマに対して活性を示す脱色素薬剤として開発された(Eur J cancer. 28A(8-9), 1362-1364 (1992))が、残念ながらフェーズ1においてグレード4の重大な肝毒性が起こり、最終的にこの化合物は薬剤開発から省かれた。また、ニメスリドはCOX−2を特異的に阻害する非ステロイド系抗炎症薬であり、抗炎症や痛覚症状に対して使用されていた。しかしながら,この化合物はまれに重度の肝機能障害と肝障害が臨床で確認され(Journal of Hepatology, 135-141 (1998))、市場から撤回された。
一方、ヒトにおいて肝毒性が報告されていない低リスク化合物としてジピリダモールを用いた。ジピリダモールは、冠血管拡張剤として広く臨床使用されている。
ニメスリドおよびジピリダモールはSIGMAから購入した。4−ヒドロキシアニソールは東京化成から購入した。4−ヒドロキシアニソールおよびジピリダモールはコーンオイル(和光純薬)を溶媒とし、ニメスリドは0.5w/v%メチルセルロース(和光純薬)を溶媒として、1、10および100mg/mLに用時調製した。
(3)試験デザイン
1群5匹のラットに、4−ヒドロキシアニソール、ニメスリドまたはジピリダモールを、それぞれ10、100および1000mg/kg(投与容量:10mL/kg)で単回強制経口投与した。溶媒対照群として、コーンオイル投与群および0.5w/v%メチルセルロース投与群を設けた。さらに、無処置対照群を設けた。投与当日の投与前に測定した体重に基づいて、各個体の投与容量を算出した。投与時を0時間とした。投与溶液は用時調製した。
尿は、投与前に2回採取し(−24〜−17時間、および−17〜0時間)、投与後に3回採取した(0〜7時間、7〜24時間、24〜48時間)。採取した尿を3000rpmで20分間(4℃)遠心分離し、その上清にアジ化ナトリウムを最終濃度0.02%となるように添加して、測定まで超低温フリーザーで保存した。血液は、−24時間、7時間、24時間および48時間に、無麻酔下でラットを定位固定装置に固定し、頸静脈から採取した。採血後30分以内に、3000rpmで20分間(4℃)遠心分離し血漿を分離した。フィブリンの凝固が形成された後、3000rpmで10分間(4℃)、再度遠心分離した。得られた血清を、測定まで超低温フリーザーで保存した。
(4)血液生化学検査および病理組織学的検査
肝機能のマーカーとして、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランフェラーゼ(AST)およびアルカリホスファターゼ(ALP)について血清中の濃度を測定した。測定には、自動分析機(AU640、オリンパス)を使用した。
肝臓を採取し、10%中性緩衝ホルマリンで固定した。定法に従って、各サンプルから外側左葉のパラフィン切片(厚さ約2−3μm)を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)を施した。このHE染色切片により病理組織学的評価を行った。
(5)統計処理
データは平均値±標準誤差(SEM)で表した。統計的有意性は、ダネットの多重比較検定に続くSASにより評価し、P<0.05の場合有意差有りとした。
(6)UPLC/MS分析
UPLC分析に供するために、50μLの尿に0.1%のギ酸を含む水150μLを添加して混和し、16000Gで3分間(4℃)の遠心分離することにより得られた上清を、2μmのPTFEフィルタでろ過した。
用いた機器はUPLC/MSシステムであり、高圧高速液体クロマトグラフィー部分は、ACQUITYTM Ultra Performance Liquid Chromatography system(Waters製)、質量分析計は、直交加速飛行時間型のMicromass LCT PremierTM(Waters製)を組み合わせたシステムを用いた。LC/MSの条件は、カラム:ACQUITY UPLCTM BEH C18 1.7μm 2.1×150mm、カラムオーブン温度:40℃、極性:ネガティブ、流速:300μL/分、キャピラリー電圧:2700V、コーン電圧:35V、噴霧ガス温度:350℃、イオンソース温度:120℃、コーンガス流速:50L/h、噴霧ガス流速:500L/h、モード:Wモードに設定した。
移動相には、移動相成分Aとして0.1%ギ酸水溶液、移動相成分Bとして0.1%ギ酸アセトニトリル溶液を用い、流速300μL/分でグラジエントさせる条件で溶出させた。組成は、7分間で移動相成分Bを0〜100%まで直線的に増加させ、続いて7分間100%の移動相成分Bを流した後、0.1分間で移動相成分Aを100%に戻し、その後次のサンプル注入までの最後の7分間で再平衡化した。
(7)データ処理および多変量解析
高圧高速液体クロマトグラフィーのデータ処理には、ピーク検出、アライメントおよび再検出を行うことができるMZmine(参考:Bioinformatics 22 2006 634-636)を用いた。
具体的には、UPLC/MSの生データをnetCDFフォーマット(ANDIファイル)に変換し、これをMZmineで開いた。解析対象データを選択し、ピーク検出を行った。ピーク検出のパラメータは、以下のように設定した。
・m/z bin size:0.1
・Chromatographic threshold level:0%
・Noise level:5
・Minimum peak height:200
・Minimum peak duration:5
・Tolerance for m/z variation:0.1
・Tolerance for intensity variation:20%
次に、アライメントを行った。アライメントのパラメータは以下のように設定した。
・Balance between m/z and Rt:10.0
・m/z torelance size:0.1
・RT torelance type:Absolute(seconds)
・RT torelance size:7
次に、Alignment results欄に新しくできたデータを選択して検出ミスおよびノイズ除去を行った。ノイズ除去のパラメータは以下のように設定した。
・give minimum number of detections:5
次に、Alignment results欄に新しくできたデータを選択してピークの再検出を行った。ピーク再検出のパラメータは以下のように設定した。
・intensity tolerance:10%
・m/z tolerance size:0.1
・RT tolerance type:Absolute(seconds)
・RT tolerance size:7
次に、Alignment results欄に新しくできたデータを選択してノーマライズを行った。ノーマライズの方法は、Total raw signalを選択した。ノーマライズ後、Alignment results欄に新しく作成されたAlignmentファイルを選択してテキスト形式で保存し、ピークテーブルを得た。
本実施例では、多変量データのグループ間での類似性または相違点に関して表される関係を把握するためのケモメトリクス解析の手法として、主成分分析(以下「PCA」と記す)を選択した。PCAは、市販のソフトウェアであるPirouette(Informetrix社)を用いて行った。
まず、Pirouetteを用いてPCAを行うために、テキスト形式のピークテーブルの体裁をPirouetteに適合させるための処理を行った。具体的には、テキスト形式で保存したデータをエクセルで開き、「Average m/z」の列および「Average RT」の列、並びに各検体の生データの列を残し、これら以外を削除した。次に、「Average m/z」の数値および「Average RT」の数値が1つの列に表示されるようにし、不要の列を削除した。得られたファイルをエクセルブック形式で保存した。このエクセルブック形式のピークテーブルは、各検体について、RT値およびm/z値で特定されるピークの強度が示されたものとなっている。
続いて、Pirouetteの説明書に従い、エクセルブック形式で保存したファイルを「Object manager」に移し、多変量解析を行った。多変量解析ボタンをクリックすると「Run Configure」ウインドウが開くので、AlgorithmでPCAを選択し,Exclusion SetsでFull Dataを選択し、Transformsでデータ前処理法を選択した後、Runをクリックすることにより、PCAを実行した。
〔実験結果〕
(1)死亡動物
1000mg/kgのニメスリドを投与された全ての動物が投与当日中に死亡した。4−ヒドロキシアニソールまたはジピリダモールを投与された動物は死亡しなかった。
(2)血液生化学検査
投与24時間前、投与後7、24および48時間目に採血して得た血清を用いて生化学マーカーを測定した。ASTおよびALTの結果を表3に示した。表3に示したように、4−ヒドロキシアニソールの1000mg/kg投与群の24時間目において、ASTが僅かに増加した。一方、ニメスリド投与群およびジピリダモール投与群には顕著な変化が認められなかった。
Figure 2009175141
(3)病理組織学的検査
投与後48時間目に採取した肝臓の病理組織学的検査結果を表4に示した。表4に示したように、4−ヒドロキシアニソールの1000mg/kg投与群において、軽度の肝細胞微小細管空砲変性が5匹中1匹に、中等度の肝細胞壊死が5匹中1匹に認められた。また、ニメスリドの1000mg/kg投与群において、軽度の肝細胞微小細管空砲変性、肝細胞の単一細胞壊死およびクッパー細胞の拡張または増加が、死亡した全動物に見出された。また、死亡した5匹中1匹に肝細胞の空砲変性が認められた。ジピリダモールの1000mg/kg投与群において、軽度の肝細胞微小細管空砲変性が5匹中1匹に、肝細胞の細胞分裂が5匹中1匹に認められた。
4−ヒドロキシアニソール、ニメスリドおよびジピリダモールのいずれの化合物についても、100mg/kg以下の用量において特有の病理組織学的所見は見出されなかった。
Figure 2009175141
(4)PCA解析結果
UPLC−TOFMSのデータで得られるm/z情報は、クラスター形成や溶媒などのアダクトを除き、通常1つの化合物に対応している。したがって、それぞれのm/zイオンクロマト情報を用いたピークリストは未同定化合物のピークリストと考えられる。ピーク検出とアライメントをMZmineにて行い、ピークテーブルを作成し、5519個のリストを得、検体あたり5519個の全データをPCA解析に供した。
結果を図1、図2および図3に示した。図1(a)は無処置対照群、(b)はコーンオイル(溶媒)投与群、(c)は0.5w/v%メチルセルロース(溶媒)投与群、(d)はジピリダモール1000mg/kg投与群のPCA解析結果のスコアプロットを示す図である。図1(a)、(b)および(c)に示したように、無処置対照群および2種類の溶媒対照群においては、サンプリング時間による分離の傾向が見られたが、ほぼ重なっていることが観察された。また、図1(d)に示したように、低リスク化合物として用いたジピリダモール投与群においても、無処置対照群および2種類の溶媒対照群と同様の傾向が観察された。
図2は、4−ヒドロキシアニソール投与群のPCA解析結果のスコアプロットを示す図であり、(a)は1000mg/kg投与群、(b)は100mg/kg投与群、(c)は10mg/kg投与群の結果を示す図である。図2(a)、(b)および(c)に実線矢印で示したように、4−ヒドロキシアニソール投与群では、すべての用量において投与後の分離が観察された。すなわち、血液生化学検査および病理組織学的検査で影響が認められた1000mg/kg投与群のみでなく、100mg/kg投与群および10mg/kg投与群でも投与後の分離が観察された。また、図2(b)および(c)に点線矢印で示したように、100mg/kg投与群および10mg/kg投与群では、投与後24時間以降に通常の状態(投与前の状態)に戻る傾向が観察された。これらの結果から、4−ヒドロキシアニソールをラットに投与した場合、投与用量が1000mg/kgでは肝細胞に明らかな障害が起こるが、100mg/kg以下の用量では、すぐに回復する程度の軽微な影響を肝臓に与えていることが推測された。
図3は、ニメスリド投与群のPCA解析結果のスコアプロットを示す図であり、(a)は1000mg/kg投与群、(b)は100mg/kg投与群、(c)は10mg/kg投与群の結果を示す図である。図3(a)、(b)および(c)に実線矢印で示したように、ニメスリド投与群では、すべての用量において投与後の分離が観察された。すなわち、投与後7時間目以降に全ての動物が死亡した1000mg/kg投与群のみでなく、血液生化学検査および病理組織学的検査で何ら影響が認められなかった100mg/kg投与群および10mg/kg投与群においても投与後の分離が観察された。
ここで、ニメスリド投与群においては、4−ヒドロキシアニソール投与群の分離と異なる特徴を有することが認められた。具体的には、4−ヒドロキシアニソール投与群では、投与用量が少ない場合にはその影響がすぐに回復していたが、ニメスリド投与群では、投与用量が少ないときにはその影響が発現するまでに時間がかかる傾向が認められた。
(5)分析データからのバイオマーカー成分のスクリーニング
上記(4)で示したように、UPLC−TOFMS分析によって得られた全データを用いたPCA解析の結果、肝毒性標品化合物である4−ヒドロキシアニソールおよびニメスリドにおいて、分離クラスターが形成されることが明らかとなった。しかし、得られた全データ(5519ピーク)が必要であるわけではなく、特徴を多く保有する化合物をバイオマーカーとして選別することが必要である。そこで、最も多くの特徴を表していると考えられる4−ヒドロキシアニソール1000mg/kg投与群とニメスリド100mg/kg投与群のPCAの結果をローディングプロットし、分離に大きく寄与している成分をローディングの値よりそれぞれピックアップすることを試みた。
図4にPCA解析結果をローディングプロットにより示した。図4(a)は4−ヒドロキシアニソール1000mg/kg投与群の結果であり、(b)はニメスリド100mg/kg投与群の結果である。図4中、X軸はファクター1のローディング値、Y軸はファクター2のローディング値である。図4(a)および(b)における黒点は、プロットした全成分から、ファクター1のローディング値について絶対値が大きい成分を正負それぞれ約1000個ずつ選別したものである。
図4(a)および(b)に示したように、4−ヒドロキシアニソール1000mg/kg投与群について約1277成分、ニメスリド100mg/kg投与群について約937成分を、ファクター1のローディング値に基づいてそれぞれ選別した。次に、共通の成分およびファクター1の分離と正負が一致する成分のみ約100成分を選別した。選別された約100成分のデータを用いてそれぞれPCAを行い、分離クラスターが形成されることを確認した。さらに、同位体や多量体およびノイズピークを除いた39成分を選別し、2つの化合物の影響に関して特徴を有するバイオマーカーとして特定した(表1参照)。
(6)スクリーニングされたバイオマーカー(39成分)を用いたPCA解析結果
選別された39成分を用いてPCA解析を行った。結果を図5、図6および図7に示した。図5(a)は無処置対照群、(b)はコーンオイル(溶媒)投与群、(c)は0.5%メチルセルロース(溶媒)投与群、(d)はジピリダモール1000mg/kg投与群のPCA解析結果のスコアプロットを示す図である。図5(a)〜(d)に示したように、無処置対照群、2種類の溶媒対照群および低リスク化合物として用いたジピリダモール投与群では、全データを用いたPCA解析結果(図1(a)〜(d)参照)と同様に、顕著な変化は認められなかった。
図6は、4−ヒドロキシアニソール投与群のPCA解析結果のスコアプロットを示す図であり、(a)は1000mg/kg投与群、(b)は100mg/kg投与群、(c)は10mg/kg投与群の結果を示す図である。全データを用いたPCA解析結果(図2(a)〜(c)参照)と同様に、4−ヒドロキシアニソール投与群では、すべての用量において投与後の分離が観察された(図6(a)、(b)および(c)の実線矢印)。また、100mg/kg投与群および10mg/kg投与群では、時間経過による回復が観察された(図6(b)および(c)の点線矢印)。
図7は、ニメスリド投与群のPCA解析結果のスコアプロットを示す図であり、(a)は1000mg/kg投与群、(b)は100mg/kg投与群、(c)は10mg/kg投与群の結果を示す図である。全データを用いたPCA解析結果(図3(a)〜(c)参照)と同様に、ニメスリド投与群では、すべての用量において投与後の分離が観察された(図7(a)、(b)および(c)の実線矢印)。
以上のように、2種類の肝毒性標品化合物(4−ヒドロキシアニソールおよびニメスリド)を投与されたラット尿を試料としたUPLC/MS分析の全データから選別された39成分のバイオマーカーを用いてPCA解析を行うことにより、これらが、当該肝毒性標品化合物で共通に変動するものであって、ヒト肝毒性の指標となるバイオマーカーとして用いることが可能であることがわかった。
(7)マーカーの同定
全データから選別された39成分について、Human metabolome database(http://hmdb.ca/labm/jsp/mlims/MSDbParent.jsp)、MassBank.jp(http://www.massbank.jp/QuickSearch.html)およびMetabolome.jp(http://www.metabolome.jp/mass_search/)により検索したところ、39化合物中16化合物がヒットした(表2−1および表2−2参照)。
実施例2:アレイ解析ソフトウェアを用いたバイオマーカーの特定
〔実験材料および実験方法〕
実施例1の〔実験材料および実験方法〕記載の(1)、(2)、(3)、(6)および(7)に準じた方法で尿中代謝物をサンプリングし、アレイ解析ソフトウェアとしてExpressionist(登録商標;Genedata社)を用いてバイオマーカーを特定した。実施例1と異なる箇所を下記に詳述する。
(1)使用動物について、実施例1と同様のものを使用した。
(2)肝毒性標品化合物について、実施例1で使用した4−ヒドロキシアニソールおよびニメスリドに加えて、4−ヒドロキシアニソールと同様に反応性代謝物としてキノン体を生じ得る既知の肝毒性標品化合物であるアセトアミノフェン(acetaminophene)およびアモジアキン(amodiaquine)を(これら3化合物を実験群1とする。)、ニメスリドと同様に反応性代謝物としてニトロアニオンラジカルを生じ得る既知の肝毒性標品化合物であるフルタミド(flutamide)およびニトロフラントイン(nitrofurantoin)(これら3化合物を実験群2とする。)の計6化合物を使用した。
4−ヒドロキシアニソールは東京化成から購入し、これ以外の5化合物はいずれもSIGMA社から購入した。
(3)試験デザインについて、1群5匹のラットに、以下に示すように肝毒性標品化合物をそれぞれラットに単回強制経口投与した。4−ヒドロキシアニソール(100mg/kg)、アセトアミノフェン(10、100および1000mg/kg)、アモジアキン(5、50および500mg/kg)、ニメスリド(100mg/kg)、フルタミド(30、100および300mg/kg)、ニトロフラントイン(30、100および300mg/kg)。4−ヒドロキシアニソールはコーンオイル(和光純薬)を溶媒とし、それ以外の肝毒性標品化合物については0.5w/v%メチルセルロース(和光純薬)を溶媒として調製した。4−ヒドロキシアニソールおよびニメスリドは10mg/mL,アセトアミノフェンは1、10および100mg/mL,アモジアキンは0.5、5および50mg/mL、フルタミドおよびニトロフラントインは3、10および30mg/mLに調製した。溶媒対照群として0.5w/v%メチルセルロースを投与した。
また、尿は投与前に1回採取し(−24〜0時間)、投与後に5回採取した(0〜7時間、7〜24時間、24〜48時間、48〜72時間および72〜96時間)。以降の試料の処理方法は実施例1と同様である。
(6)UPLC/MS分析について、実施例1と同様の方法で尿中代謝物の各データを取得した。
(7)データ処理について、上記(6)で得られた高圧高速液体クロマトグラフィーのデータ処理は、実施例1と同様にMZmineを用いてピークテーブルを作成した。
当該ピークテーブルから、Expressionistを用いて下記の手順に従ってバイオマーカーの特定を行った。
特定の化合物でのみ発現増加するピークを特定し、それ以外でバッググラウンドレベルのピークを除外した。残りのピークの平均値(合計値)が同じになるようにノーマライズ(補正)を行った。媒体対照群と各肝毒性標品化合物投与群との2群間において、Welchのt検定を行い、変動比が2以上、p値が0.05または0.01より小さい値を示したピークを特定し、変動ピークとして選択した。いずれかの尿サンプル採取のタイミングで変動が見られたピークを抽出した。実験群1および2のそれぞれにおいてこの変動が見られたピークのうち、3化合物のうち2化合物で変動したピークに限定した。各実験群の各投与量について、上記したピークの抽出作業を行い、得られた変動ピークを和集合のバイオマーカー候補化合物とした。さらに、これらの各ピークの発現変動を確認し、尿中代謝物における肝毒性発現の指標となり得るバイオマーカーを絞り込んだ。
〔実験結果〕
(1)アレイ解析ソフトを用いて抽出されたバイオマーカー成分の同定
上記実施例2の方法に基づいて絞り込んだバイオマーカーについて、実施例1記載の3種のデータベースにより検索したところ、実験群1および実験群2において、それぞれ45および22化合物が同定できた(実験群1の結果は、表5−1、表5−2および表5−3で示し、実験群2の結果は、表6−1、表6−2、表6−3および表6−4で示した)。したがって、本発明のスクリーニング方法において用いられるバイオマーカーは、尿中代謝物の解析時にアレイ解析ソフトウェアを用いた場合、表5−2、表5−3、表5−4、表6−2、表6−3および表6−4に示される化合物からなる群より選ばれることが好ましい。
Figure 2009175141
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これらのことから、メタボロミクスを用いた肝毒性評価において、尿中代謝物の解析方法として、主成分分析またはアレイ解析ソフトウェアを組み合わせることによって、2種以上の肝毒性標品化合物で共通して変動することが特定されたバイオマーカーを見出すことができた。さらにこれらのバイオマーカーを利用することによって、被験化合物の投与前後および媒体対照群と被験化合物の2群間で、当該バイオマーカーの変動の有無を検出することができるため、ヒトに対する肝毒性の少ない化合物のスクリーニングを行うことが可能となった。
本発明によれば、メタボロミクスを用いた肝毒性評価において、2種以上の肝毒性標品化合物によって特定されたバイオマーカーを利用するため、高精度でかつ汎用性の高い、ヒトに対する肝毒性の少ない化合物をスクリーニングする方法を提供することができる。さらに、本発明は、臨床開発段階での利用および臨床での低分子医薬品投与におけるヒト肝障害予測診断へも応用可能である。したがって、本発明は、医薬品開発において多大な貢献をもたらすものである。
全データ(5519個)を用いたPCA解析結果のスコアプロットを示す図であり、(a)は無処置対照群、(b)はコーンオイル(溶媒)投与群、(c)は0.5%メチルセルロース(溶媒)投与群、(d)はジピリダモール1000mg/kg投与群の結果を示す図である。 全データ(5519個)を用いた4−ヒドロキシアニソール投与群のPCA解析結果のスコアプロットを示す図であり、(a)は1000mg/kg投与群、(b)は100mg/kg投与群、(c)は10mg/kg投与群の結果を示す図である。 全データ(5519個)を用いたニメスリド投与群のPCA解析結果のスコアプロットを示す図であり、(a)は1000mg/kg投与群、(b)は100mg/kg投与群、(c)は10mg/kg投与群の結果を示す図である。 全データ(5519個)を用いたPCA解析結果をローディングプロットにより示した図であり、(a)は4−ヒドロキシアニソール1000mg/kg投与群、(b)はニメスリド100mg/kg投与群の結果である。 39成分のバイオマーカーのデータを用いたPCA解析結果のスコアプロットを示す図であり、(a)は無処置対照群、(b)はコーンオイル(溶媒)投与群、(c)は0.5%メチルセルロース(溶媒)投与群、(d)はジピリダモール1000mg/kg投与群の結果を示す図である。 39成分のバイオマーカーのデータを用いた4−ヒドロキシアニソール投与群のPCA解析結果のスコアプロットを示す図であり、(a)は1000mg/kg投与群、(b)は100mg/kg投与群、(c)は10mg/kg投与群の結果を示す図である。 39成分のバイオマーカーのデータを用いたニメスリド投与群のPCA解析結果のスコアプロットを示す図であり、(a)は1000mg/kg投与群、(b)は100mg/kg投与群、(c)は10mg/kg投与群の結果を示す図である。

Claims (13)

  1. メタボロミクスを用いた肝毒性評価による化合物のスクリーニング方法。
  2. メタボロミクスを用いた肝毒性評価が、
    (1)被験化合物をげっ歯目動物に投与する工程、
    (2)投与前後におけるげっ歯目動物の尿を採取する工程、
    (3)工程(2)で採取した尿について、クロマトグラフィーおよび質量分析を組み合わせて尿中代謝物を分離する工程、
    (4)工程(3)で分離した各尿中代謝物の保持時間および質量分析データを得る工程、
    (5)工程(4)で得られた保持時間および質量分析データについて、データ処理用ソフトウェアを用いてピーク検出およびアライメントを行い、ピークテーブルを作成する工程、
    (6)工程(5)で作成したピークテーブルから、肝毒性標品化合物によって特定されたバイオマーカーのデータを選別する工程、
    (7)工程(6)で選別されたデータについて、被験化合物の投与前後における各バイオマーカーの変動を検出する工程を含むことを特徴とする請求項1記載のスクリーニング方法。
  3. クロマトグラフィーおよび質量分析の組合せが、高圧高速液体クロマトグラフィーおよび飛行時間型質量分析の組合せである請求項2記載のスクリーニング方法。
  4. データ処理用ソフトウェアが、MZmineである請求項2記載のスクリーニング方法。
  5. 工程(7)において、工程(6)で選別されたデータを用いてケモメトリクス解析を行い、得られた解析結果を用いて変動を検出することを特徴とする請求項2記載のスクリーニング方法。
  6. ケモメトリクス解析が、主成分分析である請求項5記載のスクリーニング方法。
  7. 得られた解析結果が、各検体の主成分分析のスコアプロットであり、当該スコアプロットにおける被験化合物の投与前後のスコアの差の絶対値により変動を検出することを特徴とする請求項6記載のスクリーニング方法。
  8. バイオマーカーが、少なくとも2種以上の肝毒性標品化合物によって特定された複数種のバイオマーカーである請求項5記載のスクリーニング方法。
  9. 複数種のバイオマーカーが、表1に示される化合物からなる群より選ばれる請求項8に記載のスクリーニング方法。
  10. 複数種のバイオマーカーが、表2−1および表2−2に示される化合物からなる群より選ばれる請求項8に記載のスクリーニング方法。
  11. 工程(7)において、工程(6)で選別されたデータについてアレイ解析ソフトウェアを用いて、変動を検出することを特徴とする請求項2記載のスクリーニング方法。
  12. バイオマーカーが、少なくとも2種以上の肝毒性標品化合物によって特定された複数種のバイオマーカーである請求項11記載のスクリーニング方法。
  13. 複数種のバイオマーカーが、表5−1、表5−2、表5−3、表6−1、表6−2、表6−3および表6−4に示される化合物からなる群より選ばれる請求項11に記載のスクリーニング方法。
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