JP2021124481A - 光合成サンプルの評価システム、方法およびプログラム - Google Patents

光合成サンプルの評価システム、方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を適切に評価する。【解決手段】一実施形態に係る光合成サンプルの評価システムは、環境要因により曝露された曝露試料と、環境要因により曝露されていない対照試料とのそれぞれについて、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付け、主成分分析により得られる評価モデルと、測定データとに基づいて、曝露試料と、対照試料とのそれぞれについて複数の主成分のスコアを算出し、曝露試料の複数の主成分のスコアと、対照試料の複数の主成分のスコアとのスコア差を算出するように構成された少なくとも一つのプロセッサを備える。【選択図】図6

Description

本開示の一側面は、光合成サンプルの評価システム、方法およびプログラムに関する。
環境要因の生物への影響を評価するバイオアッセイの一つとして、従来から、藻類などの光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を評価する手法が知られている。特許文献1には、関数フィッティングを用いることにより、光合成サンプルを評価する技術が開示されている。
特許第6599173号公報
従来とは異なる手法により、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を適切に評価することを目的とする。
本開示の一側面に係る光合成サンプルの評価システムは、環境要因により曝露された曝露試料と、環境要因により曝露されていない対照試料とのそれぞれについて、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付け、主成分分析により得られる評価モデルと、測定データとに基づいて、曝露試料と、対照試料とのそれぞれについて複数の主成分のスコアを算出し、曝露試料の複数の主成分のスコアと、対照試料の複数の主成分のスコアとのスコア差を算出するように構成された少なくとも一つのプロセッサを備える。
本開示の一側面に係る光合成サンプルの評価方法は、コンピュータによって実施され、環境要因により曝露された曝露試料と、環境要因により曝露されていない対照試料とのそれぞれについて、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付けるステップと、主成分分析により得られる評価モデルと、測定データとに基づいて、曝露試料と、対照試料とのそれぞれについて複数の主成分のスコアを算出するステップと、曝露試料の複数の主成分のスコアと、対照試料の複数の主成分のスコアとのスコア差を算出するステップとを含む。
本開示の一側面に係る光合成サンプルの評価プログラムは、環境要因により曝露された曝露試料と、環境要因により曝露されていない対照試料とのそれぞれについて、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付けるステップと、主成分分析により得られる評価モデルと、測定データとに基づいて、曝露試料と、対照試料とのそれぞれについて複数の主成分のスコアを算出するステップと、曝露試料の複数の主成分のスコアと、対照試料の複数の主成分のスコアとのスコア差を算出するステップとをコンピュータに実行させる。
このような側面においては、評価モデルと、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データとを用いることにより、曝露試料と対照試料とのそれぞれについて複数の主成分のスコアが得られる。そして、曝露試料のスコアと対照試料のスコアとの差分を算出することによって、曝露によるスコアの変化量が得られる。スコアの変化量は、曝露試料に含有される環境要因による影響を反映するので、この変化量を用いることで、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を適切に評価することができる。
本開示の一側面によれば、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を適切に評価することができる。
光合成サンプルの遅延発光の減衰の一例を示すグラフである。 遅延発光のメカニズムを示す図である。 評価システムの適用の一例を示す図である。 計測装置の構成の一例を示す図である。 評価システムに関連するハードウェア構成の一例を示す図である。 評価システムに関連する機能構成の一例を示す図である。 評価システムの動作の一例を示すフローチャートである。 評価システムの動作の一例を示すフローチャートである。 実施例1における化学物質の減衰曲線を示す図である。 実施例1における固有ベクトルを示す図である。 実施例1における減衰曲線の主成分毎のスコアを示す図である。 実施例1における曝露によるスコアの変化量を示す図である。 実施例1におけるクラスター分析の結果を示す図である。 実施例2における化学物質の減衰曲線を示す図である。 実施例2における曝露によるスコアの変化量を示す図である。 実施例2におけるクラスター分析の結果を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[システムの概要]
実施形態に係る光合成サンプルの評価システム(本開示では単に「評価システム」ともいう)1は、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データ(減衰曲線)を用いて該光合成サンプルを評価するための仕組みである。本明細書における「光合成サンプルを評価する」とは、その測定データに対する演算を実行することで客観的な結果を得ることである。
評価システム1は様々な目的で利用できる。例えば、評価システム1は、光合成サンプルに対する環境要因の影響の調査、光合成サンプルの生育診断、化学物質の解析または開発、光合成の研究、環境要因の調査、栽培品種の開発などの目的で利用されてもよい。本開示において、環境要因とは、光合成サンプルの光合成機能に何らかの影響を及ぼし得る要素のことをいう。環境要因の例として化学物質、水、温度、空気が挙げられるが、環境要因はこれらに限定されない。
光合成サンプルとは、光合成機能を有し、遅延発光を発することができる物体のことをいう。評価に用いられる光合成サンプルは何ら限定されない。例えば、光合成サンプルは藻類、植物性プランクトン、シアノバクテリア、光合成細菌、植物の葉もしくはその細片、カルスなどの植物性培養細胞、植物から抽出された光合成小器官またはチラコイド膜、または、人工的に合成された光合成様機能を持つ膜もしくはタンパク複合体であってもよい。
図1は光合成サンプルの遅延発光の減衰の一例を示すグラフである。図1に示すように、測定データで示される遅延発光の減衰は、発光量(信号強度)の軸と時間の軸という二つの軸で捉えた場合に、非指数型の裾の重い分布(Heavy-tailed distribution)で示される。図1のグラフの縦軸は発光量(信号強度)を示し、横軸は励起後時間である。励起後時間とは、励起光の照射を終了させた時点からの経過時間である。
図2は遅延発光のメカニズムを示す図である。図2を用いて、本開示に係る光合成サンプルの評価方法の理論的背景である光合成電子伝達について説明する。
一般に、光合成機能を有する光合成サンプルは、光エネルギーを多く吸収すると、光合成電子伝達系の個々の反応で律速が生じるため、光合成電子伝達が円滑に進まなくなる。言い換えれば、光合成サンプルの酸化還元状態が通常とは異なる状態になる。このような状態は、光合成サンプルに与える光条件を変更することで得られる。光条件とは、例えば、光合成サンプルに与える光の光量、波長、パルス幅および照射時間である。本明細書では、光合成電子伝達が円滑に進まない状態(光合成サンプルの酸化還元状態が通常と異なる状態)を光合成電子伝達系の「飽和」という。
図2に示すように、光合成サンプルの光合成反応は、主として、葉緑体チラコイド膜に存在する光化学系II複合体(PSII)、シトクロムb6f複合体(cytbf)、光化学系I複合体(PSI)、およびATP合成酵素(ATPsynthase)により生産させる還元物質(NADPH)と、ATP合成酵素を利用した二酸化炭素固定反応とにより行われる。
まず、PSIIおよびPSIが光を吸収し電子伝達反応を行う。具体的には、光が照射されるとPSIIにおいて水分子(HO)が分解され、電子(e)が取り出される。この電子は、PSII反応中心(P680)からQ電子受容体(Q)を経て、Q電子受容体(Q)部位に結合している酸化型プラストキノン(pQOX)に伝達される。そして、これにより還元型プラストキノン(pQred)が生じる。
還元型プラストキノンは、Q部位から遊離してプラストキノンプール(pQpool)に移動した後、cytbfにより再酸化され、酸化型プラストキノンに戻る。この際、cytbfを介して水素イオン(H)がチラコイド膜内に流入し、プロトン勾配を形成する。プロトン勾配を形成した水素イオンは、ATP合成酵素によるATP合成に利用される。一方、還元型プラストキノンの再酸化の際に抜き取られた電子は、PSI反応中心(P700)へ伝達される。この電子は、PSI内でP700からフェレドキシン(Fd)に伝達され、NADPHの生産に寄与する。PSI以降の過剰な電子(還元力)は、循環型電子伝達によりFdを介してcytbfに伝えられ、酸化型プラストキノンを還元する。この結果、還元型プラストキノンが生じる(循環的電子伝達)。
遅延発光は、上記の光合成電子伝達反応の逆反応の結果、主にPSIIの反応中心クロロフィルが化学的に再励起されることで起こる発光であるとされているが、PSIも同様に発光に関与しているとする報告もある。また、PSII内部、pQpool、PSI以降のそれぞれに分布する電子がクロロフィルの再励起に寄与する主要な成分であると理解されている。したがって、上記の光合成電子伝達反応が環境要因(例えば有害物質)の影響により変化すると、遅延発光に変化が現れる。
一般的に、pQpool、cytbf、およびPSIのそれぞれの電子伝達能力は、PSIIの電子伝達能力に比べて低い。そのため、光照射によりPSIIが過剰に還元されると、PSIIからの電子伝達によりpQpoolが過剰に還元されるので、PSIIから電子を受け取る酸化型プラストキノンが減少し、PSIIからの光合成電子伝達の効率が低下することが知られている。このような現象は、光合成電子伝達の飽和の一つである。より具体的には、PSIIが過剰に光吸収を行った場合、まず始めにcytbfによる還元型プラストキノンの再酸化が律速となり、PSIIから電子を受け取ることができる酸化型プラストキノンが不足する。そのため、PSIIからcytbfへの電子伝達が停滞する。その結果、PSII内に過剰に電子が蓄積し、PSIIの反応中心が破壊されるなど、光合成反応に種々の影響を及ぼす。このような影響を光阻害という。
このような光阻害を回避するために、本来PSIIに電子を供給するための集光性色素タンパク複合体(LHC2)がPSIに移動する(ステート遷移)など、種々の代謝変化を引き起こすことが知られている。このような光阻害により引き起こされる代謝変化は、過剰な光照射を停止することで徐々に回復する。
[システムの構成]
図3は実施形態に係る評価システムの適用の一例を示す図である。本実施形態では、評価システム1はサーバ10を備える。サーバ10は、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを評価するコンピュータである。サーバ10は通信ネットワークNを介して少なくとも一つの端末20と接続する。図3は2台の端末20を示すが、端末20の台数は何ら限定されない。さらに、サーバ10は通信ネットワークNを介してデータベース30と接続してもよい。通信ネットワークNの構成は限定されない。例えば、通信ネットワークNはインターネットを含んで構成されてもよいし、イントラネットを含んで構成されてもよい。
端末20は、環境要因の生物への影響を評価するバイオアッセイを用いた作業(例えば、試験、研究、開発、評価等)を行うユーザによって用いられるコンピュータである。端末20は、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データをサーバ10に送信する機能を有する。端末20は、測定データを取得するための計測装置を備えてもよいし、計測装置を備えずに他のコンピュータ等から測定データを取得してもよい。端末20の種類および構成は限定されない。例えば、端末20は高機能携帯電話機(スマートフォン)、タブレット端末、ウェアラブル端末(例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スマートグラスなど)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、携帯電話機などの携帯端末でもよい。あるいは、端末20はデスクトップ型パーソナルコンピュータなどの据置型端末でもよい。
図4は、計測装置の構成の一例を示す図である。計測装置200は制御ユニット210、通信ユニット220、および計測ユニット230を備える。制御ユニット210と通信ユニット220とは有線または無線により接続され、互いにデータを送受信することができる。通信ユニット220と計測ユニット230とは有線または無線により接続され、互いにデータを送受信することができる。制御ユニット210と計測ユニット230とは通信ユニット220を介して互いにデータを送受信することができる。
制御ユニット210は、少なくとも一つのプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)、メモリなどのハードウェアを備え、計測ユニット230に制御信号を送信することで計測ユニット230を制御する装置である。制御ユニット210はさらに通信ユニット220を制御してもよい。
計測ユニット230は、光合成サンプルの遅延発光の発光量を測定する装置である。計測ユニット230は、所定の時間間隔で遅延発光の発光量を測定し、発光量を示すデータをその度に通信ユニット220に出力する。
図4はまた、計測ユニット230の断面を示す。計測ユニット230は筐体231と、その筐体231内に配置される設置部232、光源233、光検出器234、フィルタ235、集光光学系236、およびシャッタ237とを備える。
筐体231は、内部に光が入り込まないように、それ自体が光を遮断する遮光部材で形成されるか、光を遮断する塗料を塗布した部材で形成される。筐体231は、その一端に導入口238が形成された本体部231aと、当該導入口238を閉塞することが可能な蓋部231bとから成る。蓋部231bの開閉は制御ユニット210により監視および制御される。シャッタ237が開いた状態では、筐体231の外部からの光が光センサ234aに入射しないように蓋部231bがロックされる。
設置部232は、測定する光合成サンプルを入れた容器を置くための部分である。容器には、光合成サンプルに加えて環境要因が入れられてもよい。例えば、容器には、光合成サンプルと化学物質とを含む溶液が入れられる。設置部232は、導入口238から容器を設置することができる位置に設けられる。設置部232は容器を固定するための固定爪を有してもよい。
光源233は、遅延発光を発生させるために、設置部232に設置された容器中の光合成サンプルに所定波長(例えば280nm〜800nm)の光を照射する装置である。光源233から発せられる光が励起光である。光源233は、単色光源であっても、複数の光源を組み合わせたものであってもよい。光源233からの照射は、所定時間における連続照射であってもよいし、任意のパターンでのパルス点灯であってもよい。また、同一または異なる波長特性を有する複数の光源を順番に発光させたり、複数の光源を同時に発光させたりしてもよい。光源233からの照射は制御ユニット210により制御される。
光検出器234は、光源233から光が照射されたことにより光合成サンプルから発生する遅延発光の発光量を検出する装置である。光検出器234は、遅延発光を検知する光センサ234aと、光センサ234aが出力する信号に基づいて遅延発光の発光量を算出する算出部234bとを有する。具体的には、光検出器234は光電子増倍管やフォトンカウンタなどにより構成される。光検出器234は、算出された発光量を示すデータを通信ユニット220に出力する。光検出器234は、遅延発光の検出と発光量の算出および出力とを所定の時間間隔で(例えば0.1秒間隔で)実行する。
設置部232から光検出器234へと至る領域には、フィルタ235、集光光学系236、およびシャッタ237がこの順番に設けられる。フィルタ235は遅延発光を透過させる部材である。集光光学系236は、微弱な遅延発光を集光、反射および透過させて光検出器234に入力させる器具である。シャッタ237は、必要な時のみ遅延発光が光検出器234で検出されるように開閉自在に構成される。シャッタ237が閉じている時には遅延発光が遮断される。シャッタ237の開閉は制御ユニット210により制御される。
通信ユニット220は、計測ユニット230から入力される測定データの入力を受け付け、その測定データを端末20に送信する装置である。通信ユニット220は、励起光を光合成サンプルに照射することで該光合成サンプルから発生する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付ける。計測ユニット230の光検出器234は所定の時間間隔で発光量のデータを出力するので、通信ユニット220はそのデータを逐次受け付ける。遅延発光の経時変化を示す測定データは、通信ユニット220が所定時間(例えば60秒間)の間に受け付けた複数のデータから成る集合である。通信ユニット220はその測定データを端末20に送信する。計測装置200と端末20とが一体に形成されている場合、通信ユニット220は測定データをサーバ10に送信するように構成されてもよい。
図3に戻り、データベース30は、評価システム1に入力されるデータと、評価システム1からの出力データとの少なくとも一つを格納することができる装置である。データベース30の設置場所は限定されない。例えば、データベース30は、評価システム1とは別のコンピュータシステム内に設けられてもよいし、評価システム1の構成要素であってもよい。
図5は、評価システム1に関連するハードウェア構成の一例を示す図であり、具体的には、サーバ10として機能するサーバコンピュータ100を示す。
サーバコンピュータ100は、ハードウェア構成要素の一例として、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、および通信部104を備える。
プロセッサ101は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する演算装置である。プロセッサの例としてCPU(Central Processing Unit)およびGPU(GraphicsProcessing Unit)が挙げられるが、プロセッサ101の種類はこれらに限定されない。例えば、プロセッサ101はセンサおよび専用回路の組合せでもよい。専用回路はFPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラム可能な回路でもよいし、他の種類の回路でもよい。
主記憶部102は、サーバ10を実現するためのプログラム、プロセッサ101から出力された演算結果などを記憶する装置である。主記憶部102は例えばROM(Read Only Memory)およびRAM(Random AccessMemory)のうちの少なくとも一つにより構成される。
補助記憶部103は、一般に主記憶部102よりも大量のデータを記憶することが可能な装置である。補助記憶部103は例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体によって構成される。補助記憶部103は、サーバコンピュータ100をサーバ10として機能させるためのサーバプログラムP1と各種のデータとを記憶する。例えば、補助記憶部103はデータベース30に記憶されるデータのうちの少なくとも一つに関するデータを記憶してもよい。本実施形態では、評価プログラムはサーバプログラムP1として実装される。
通信部104は、通信ネットワークNを介して他のコンピュータとの間でデータ通信を実行する装置である。通信部104は例えばネットワークカードまたは無線通信モジュールにより構成される。
サーバ10の各機能要素は、プロセッサ101または主記憶部102の上にサーバプログラムP1を読み込ませて、プロセッサ101にそのプログラムを実行させることで実現される。サーバプログラムP1は、サーバ10の各機能要素を実現するためのコードを含む。プロセッサ101はサーバプログラムP1に従って通信部104を動作させ、主記憶部102または補助記憶部103におけるデータの読み出しおよび書き込みを実行する。このような処理によりサーバ10の各機能要素が実現される。
サーバ10は一つまたは複数のコンピュータにより構成され得る。複数のコンピュータが用いられる場合には、通信ネットワークを介してこれらのコンピュータが互いに接続されることで、論理的に一つのサーバ10が構成される。
サーバプログラムP1は、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリなどの非一時的な記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、サーバプログラムP1は、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
図6は評価システム1に関連する機能構成の一例を示す図である。サーバ10は、機能的構成要素として受付部11、評価部12、標準化部13、変化量算出部14、および類似性判定部15を備える。
受付部11は、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付ける機能要素である。一例では、測定データは曝露試料の測定データと、対照試料の測定データとの少なくとも一つを含み得る。曝露試料とは、環境要因により曝露された試料(光合成サンプル)のことをいう。対照試料とは、曝露試料との比較のために用いられる試料であり、より具体的には、環境要因により曝露されていない試料(光合成サンプル)のことをいう。曝露試料の測定データは、環境要因の曝露の度合いに応じて測定されたデータセットでもよい。一例では、このデータセットは、複数の曝露濃度のそれぞれについて得られたデータの集合である。
評価部12は、測定データから評価モデルを構築する機能要素である。評価モデルとは、遅延発光の経時変化を評価するために用いられる数理モデルのことをいう。一例では、評価モデルは、測定データに対し主成分分析を行うことにより得られる。評価部12はまた、評価モデルと測定データとに基づいて、複数の主成分のスコアを算出する機能要素である。主成分分析とは多数の変数をより少ない変数(この変数を「主成分」という)に要約する統計的なデータ解析手法のことをいう。複数の主成分のスコアとは、評価モデルと測定データ(減衰曲線)とに基づいて、複数の主成分のそれぞれについて算出されるスコアのことをいう。
標準化部13は、評価部12によって算出された複数の主成分のスコアを標準化する機能要素である。標準化とは複数の主成分の間でスコアの尺度を合わせる処理のことをいう。この標準化によって複数の主成分を同じ尺度で評価することが可能になる。
変化量算出部14は、曝露によるスコアの変化量を算出する機能要素である。変化量算出部14は、曝露試料の複数の主成分のスコアと、該曝露試料に対応する対照試料の複数の主成分のスコアとのスコア差を算出する。当該スコア差が曝露によるスコアの変化量である。
類似性判定部15は、環境要因が既知である曝露試料(本開示ではこれを「既知の曝露試料」ともいう)と、環境要因が未知である曝露試料(本開示ではこれを「未知の曝露試料」ともいう)との間の類似性を判定する機能要素である。本開示において、類似性とは、未知の曝露試料が既知の曝露試料にどれくらい似ているかを示す度合いのことをいい、言い換えると、未知の環境要因が既知の環境要因にどれくらい似ているかを示す度合いのことをいう。類似性判定部15は、既知の曝露試料に関するスコア差と、未知の曝露試料に関するスコア差とを比較して類似性を判定する。類似性判定部15はまた、未知の曝露試料がどの既知の曝露試料との間で高い類似度を有するかに基づいて、環境要因の影響の度合いと環境要因の種類とのうちの少なくとも一つを評価することができる。
[システムの動作]
図7を参照しながら、評価システム1の動作を説明するとともに、本実施形態に係る光合成サンプルの評価方法について説明する。図7は、評価システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS11:受付部11は、環境要因により曝露された曝露試料と環境要因により曝露されていない対照試料とのそれぞれについて、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付ける。受付部11は、端末20(または計測装置200)から測定データを受信してもよいし、端末20がデータベース30に格納した測定データを取得してもよい。
ステップS12:評価部12は評価モデルに関する処理を選択する。具体的には、評価部12は測定データから評価モデルを構築するか(ステップS12において「構築」)、または評価モデルと測定データとに基づいて複数の主成分のスコアを算出するか(ステップS12において「評価」)に応じて処理を振り分ける。評価部12は、評価モデルが構築済みであるか否かに基づいて処理を振り分けてもよい。具体的には、評価部12は評価モデルが未だ構築されていない場合には評価モデルの構築を選択し、評価モデルが構築済みである場合にはスコアの算出を選択する。あるいは、評価部12は、新たな測定データによって評価モデルを更新する場合に評価モデルの構築を選択してもよい。
ステップS13(ステップS12において「構築」):評価部12は、曝露試料の測定データと、対照試料の測定データとのそれぞれに対して主成分分析を行う。それぞれの試料の測定データは、所定の時間間隔で得られた複数の測定値を含む。一例では、1以上の曝露試料と1以上の対照試料との群についての測定データは、それぞれの試料の測定値の個数をi、測定対象の試料の個数をαとすると、i×αの分散共分散行列Yとして表すことができる。一例では、評価部12は当該分散共分散行列Yに対して主成分分析を行うことにより複数の主成分を抽出し、固有ベクトル行列Fと、スコア行列Zとを得る。抽出される主成分の個数をkとすると、固有ベクトル行列Fはi×kの行列であり、i×k個の固有ベクトルfikにより構成される。スコア行列Zはα×kの行列であり、α×k個のスコアzαkにより構成される。スコアzαkは重み付けの係数であるということができ、減衰曲線の特徴を表現する評価値であるともいうことができる。また、測定データにより示される各減衰曲線の特徴は、スコア行列Zと、固有ベクトル行列Fの転置行列F(k×iの行列)とを用いて、ZFにより表される。具体的には、各減衰曲線の時点iでの遅延発光量の平均値M(言い換えると、i個目に位置するα個の遅延発光量の平均値)との差は、スコアzαkと転置行列Fの固有ベクトルfkiとを用いて、次の式(1)により表される。ここで、x^αiは試料αの時点iにおける遅延発光量の特徴(該遅延発光量と平均値との差)を表す。
Figure 2021124481
一例では、分散共分散行列Yでは、時点iでの個々の遅延発光量から、該時点でiでの遅延発光量の平均値Mが減算されている。したがって、固有ベクトル行列Fとスコア行列Zから分散共分散行列Yを算出する場合、個々の時点iにおいて平均値Mを加算する必要がある。この例では、分散共分散行列Yと、固有ベクトル行列F(転置行列F)と、スコア行列Zと、各時点の平均値Mを示す行列Mとの関係は、Y=M+ZFと表すことができる。
ステップS14:評価部12は、主成分分析により得られた固有ベクトル行列Fを評価モデルとして構築する。評価部12はこの評価モデル(固有ベクトル行列F)を所定の記憶部に格納する。評価システム1は、ステップS11〜S14により、予め評価モデルを構築することが可能である。
ステップS15:評価部12は、評価モデルと測定データとに基づいて、複数の主成分のスコアを算出する。例えば、評価部12は、未知のスコア行列Z(複数の主成分のスコア)について、分散共分散行列Y(測定データ)と、固有ベクトル行列F(評価モデル)とを用いて、Z=YFにより算出することができる。評価部12は少なくとも一つの曝露試料のそれぞれについて、評価モデルと該曝露試料の測定データとに基づいて、該曝露試料の複数の主成分のスコアと対照試料の複数の主成分のスコアとを算出する。それぞれの試料の測定値の個数を300個とすると、各主成分のスコアは、例えば次の式(2)により算出される。
Figure 2021124481
ここで、xは減衰曲線のi個目の発光量であり、Mは、測定対象のα個の試料についての、減衰曲線のi個目の発光量の平均値である。
ステップS16:標準化部13は、評価部12によって算出された複数の主成分のスコアを標準化する。一例では、標準化部13は、評価モデルに適用した全ての測定データの各主成分のスコアについて平均値を0、標準偏差を1に統一することで、該スコアを標準化する。複数の主成分のスコアを標準化することによって、各主成分のスコアを均一に評価することができる。標準化部13は、例えば次の式(3)により複数の主成分のスコアを標準化することができる。
Figure 2021124481
ここで、μは減衰曲線の第k主成分のスコアzの平均値であり、σは減衰曲線の第k主成分のスコアzの標準偏差である。z´は標準化されたスコアである。
ステップS17:変化量算出部14は、曝露によるスコアの変化量を算出する。一例では、変化量算出部14は1以上の曝露試料のそれぞれについて、該曝露試料の複数の主成分についての標準化されたスコアと、対照試料の複数の主成分についての標準化されたスコアとのスコア差を算出する。例えば主成分の数を3とすると、変化量算出部14は、次の式(4)によりスコア差Δz´を算出することができる。
Figure 2021124481
ここで、z´keは曝露試料eの第k主成分のスコア、z´kcは対照試料cの第k主成分のスコアである。
次に、図8を参照しながら、評価システム1の動作を説明するとともに、本実施形態に係る光合成サンプルの評価方法の応用例について説明する。図8は、評価システム1の動作の一例を示すフローチャートである。図8において、評価モデルは予め構築されているものとする。
ステップS21a,S21b:受付部11は、既知の曝露試料と対照試料とのそれぞれについて、測定データを受け付ける(ステップS21a)。受付部11はまた、未知の曝露試料と対照試料とのそれぞれについて、測定データを受け付ける(ステップS21b)。測定データの取得方法はステップS21aとステップS21bとの間で同じでもよいし異なってもよい。
ステップS22a,S22b:評価部12は、評価モデルと測定データとに基づいて、複数の主成分のスコアを算出する。評価部12は、評価モデルと、既知の曝露試料の測定データと、対照試料の測定データとに基づいて、既知の曝露試料の複数の主成分のスコアと対照試料の複数の主成分のスコアとを算出する(ステップS22a)。評価部12は、評価モデルと、未知の曝露試料の測定データと、対照試料の測定データとに基づいて、未知の曝露試料の複数の主成分のスコアと対照試料の複数の主成分のスコアとを算出する(ステップS22b)。
ステップS23a,S23b:標準化部13は、評価部12によって算出された複数の主成分のスコアを標準化する。標準化部13は、既知の曝露試料と対照試料とについて、各主成分のスコアを標準化する(ステップS23a)。標準化部13は、未知の曝露試料と対照試料とについて、各主成分のスコアを標準化する(ステップS23b)。
ステップS24a,S24b:変化量算出部14は、曝露によるスコアの変化量を算出する。変化量算出部14は、既知の曝露試料の複数の主成分のスコアと対照試料の複数の主成分のスコアとのスコア差を算出する(ステップS24a)。変化量算出部14はまた、未知の曝露試料の複数の主成分のスコアと対照試料の複数の主成分のスコアとのスコア差を算出する(ステップS24b)。
ステップS21a〜S24aと、ステップS21b〜S24bとはそれぞれ独立した処理であるため、並列に実行されてもよいし、順番に実行されてもよい。また、ステップS21a〜S24aが予め実行され、既知の曝露試料に関するスコア差が用意されたうえで、例えば別の日等にステップS21b〜S24bが実行されてもよい。図8において、評価モデルは予め構築されているものと仮定したが、評価部12は、ステップS21aで得られる測定データを基に、評価モデルを構築してもよい。
ステップS25:類似性判定部15は、既知の曝露試料と、未知の曝露試料との間の類似性を判定する。類似性判定部15は、既知の曝露試料に関するスコア差と、未知の曝露試料に関するスコア差とに基づいて、類似性を判定する。一例では、類似性判定部15は、各曝露試料のスコア差の類似度が高いかどうかを、クラスター分析を行うことにより判定できる。クラスター分析は、例えば階層的クラスター分析としてもよい。クラスター間の距離の算出手法は、群平均法、最短距離法、最長距離法、ウォード法、可変法等としてもよい。クラスター分析に用いる類似係数は、両スコア差のコサイン係数(コサイン類似度)としてもよい。コサイン係数は2本のベクトル同士の成す角度の近さを表し、コサイン係数が1に近いほど2本のベクトルの類似度が高いと判定することができる。類似性判定部15は、クラスター分析によって、未知の環境要因を既知の環境要因のクラスターに分類することができる。
ステップS26:類似性判定部15は、未知の曝露試料がどの既知の曝露試料との間で高い類似度を有するかに基づいて、未知の環境要因の影響の度合いと、未知の環境要因の種類とのうちの少なくとも一つを評価する。一例では、クラスター分析によって未知の環境要因が既知の環境要因のクラスターに分類された場合、類似性判定部15は、該未知の環境要因が該既知の環境要因と同じかまたは近い種類に属すると評価する。類似性判定部15はまた、例えば同じクラスターに属する未知の環境要因と既知の環境要因との曝露濃度を比較して、未知の環境要因の影響の度合いを評価する。一例では、類似性判定部15は曝露による各スコア変化の大小を評価することができる。このように、類似性判定部15は、類似性の判定結果に基づいて未知の環境要因の作用機序を推定することができる。また、クラスター分析に用いられるベクトルの長さは作用の大きさを表す。ベクトルの長さは、毒性のない環境要因、または作用の小さい環境要因により曝露された試料の場合、短くなることが想定される。しかしながら、例えば測定時の温度変化等によって減衰曲線が変化すると、ベクトルの長さも変化する場合があり得る。そこで、類似性判定部15はベクトルの長さに基づいて環境要因の毒性を判定することで、未知の環境要因の作用機序を推定してもよい。例えば、類似性判定部15は、ベクトルの長さが所定の閾値を超える場合には環境要因が毒性を有すると判定し、ベクトルの長さが該閾値を超えない場合には環境要因が毒性を有しないと判定してもよい。所定の閾値は、例えば曝露濃度、環境要因の種類等に応じて異なってもよい。
以下、実施例を具体的に説明するが、本開示はそれらに何ら限定されるものではない。
(実施例1)
[測定準備]
光合成サンプルとして緑藻(Raphidocelissubcapitata)を用いた。化学物質(環境要因)として、作用機序の異なる4種類の光合成阻害剤(3-(3,4-dichlorophenyl)-1,1-dimethyl urea (DCMU)、2,5-dibromo- 3-methyl-6-isopropyl-p-benzoquinone (DBMIB)、Antimycin A (Ant-A)、およびcarbonyl cyanide m-chlorophenylhydrazone (CCCP))を用いた。凍結藻類について1時間の前培養を行うことにより、指数増殖期の藻類懸濁液を光合成サンプルとして準備した。
4種類の化学物質のそれぞれを3段階の濃度(低、中、高)で調製した曝露区の12個の溶液と、化学物質を添加しない非曝露区の1個の溶液とを検体溶液として準備した。曝露区の検体溶液を作製する際には助剤としてDMSO(Dimethyl sulfoxide)を用いた。実施例1では曝露区に関して、予め4種類の化学物質について曝露濃度と曝露による遅延発光量の変化量(ΔDF)との関係を調べ、ΔDFが4種類の化学物質で同程度になるように曝露濃度を決定した。ΔDFは次の式(5)を用いて算出した。式(5)は30秒間の遅延発光の計測データからΔDFが算出されることを示す。
Figure 2021124481
ここで、cは非曝露区の励起後0.1〜1秒(1秒)の遅延発光量、tは曝露区の励起後i秒での遅延発光量、cは非曝露区の励起後i秒での遅延発光量を示す。式(5)を用いて、4種類の化学物質のそれぞれについて、ΔDF≒1、ΔDF≒1.5、ΔDF≒2となる曝露濃度をそれぞれ低濃度、中濃度、高濃度とした。曝露濃度の一例を次の表1に示す。
Figure 2021124481
13個の検体溶液のそれぞれに藻類懸濁液2mLを混合することで、細胞密度が20×104cells/mLであり全量が10mLである13個の測定試料(12個の曝露試料および1個の対照試料)を調製した。試料調製をランダムな順で行い、培養を開始した。それぞれの試料を、24±1℃で、且つ蛍光灯(50μmol/m/s)により1時間連続で照射した状況下でのオービタルシェーキングにより1時間培養した。
[計測]
光合成サンプルに対する光照射による励起で生じる遅延発光を計測した。計測時間は、0.1秒間隔で積算した遅延発光量の減衰変化が明瞭な30秒間とした。13個の測定試料のそれぞれについて、該測定試料を暗所に60秒間置き、白色LED光(500μmol/m/s)で該測定試料を30秒間照射し、該測定試料を暗所に5秒間置いた後、700nmのLED光(20μmol/m/s)を該測定試料に1秒照射して遅延発光を測定した。相対的な遅延発光量は励起光をオフした後0.1秒から30秒の間に0.1秒間隔で記録した。別の日に同じ手順で測定を行い(2反復)、合計で26本の減衰曲線を測定データとして得た。
0.1秒間隔で積算した30秒間のデータを有する26本の減衰曲線が得られたため、測定データはi(300)×α(26)の分散共分散行列Yとして表すことができる。実施例1では、分散共分散行列Yの主成分分析により第1主成分から第3主成分までが抽出され、固有ベクトル行列F(300×3)とスコア行列Z(26×3)とが得られた。固有ベクトル行列Fは、固有ベクトルfik(i=1,2,…,300;k=1,2,3)により構成される。スコア行列Zは、スコアzαk(α=1,2,…,26;k=1,2,3)により構成される。実施例1では、主成分分析により得られた固有ベクトル行列Fを評価モデルとして構築した。
それぞれの試料について、評価モデルと測定データ(減衰曲線)とに基づいて3個の主成分のスコア(z,z,z)を、上述した式(2)により算出した。
実施例1では、3個の主成分のスコア(z,z,z)を均一に評価するため、各主成分のスコアの平均値を0、標準偏差を1に統一した。具体的には、上述した式(3)によりスコア(z,z,z)を標準化することで(z´,z´,z´)に変換した。
各減衰曲線について曝露によるz´の変化量に注目するため、上述した式(4)により、各曝露区のz´と、対応する非曝露区のz´とのスコア差Δz´を算出した。
[類似性判定]
24個の曝露試料間でのΔz´の類似性を評価するため、各曝露試料のΔz´(Δz´,Δz´,Δz´)について階層的クラスター分析を行った。クラスター分析に用いる類似係数には、解析対象となるΔz´(Δz´,Δz´,Δz´)の空間分布を考慮して、2つのベクトル間の角度を示すコサイン係数を選択した。実施例1では、類似係数行列とコーフェン行列との相関係数が最大であった群平均法を推定に用いた。
[結果]
図9〜13を参照しながら、実施例1に係る光合成サンプルの評価結果について説明する。
図9は、実施例1における化学物質の減衰曲線を示す図である。図9のグラフ(a)〜(d)のいずれにおいても、縦軸が発光量を示し、横軸が励起後時間を示す。グラフ(a)〜(d)はいずれも、非曝露区、低濃度曝露区、中濃度曝露区および高濃度曝露区のそれぞれについて、2反復の平均値を示す。全ての試料において、遅延発光量は励起直後に最大となり、その後減衰した。減衰曲線は曝露濃度の増加に伴って変化し、化学物質毎に該変化の傾向が異なった。DCMUおよびDBMIBでは、励起直後の発光量がAnt−AおよびCCCPに比べて大きく増加した。DBMIBの曝露による遅延発光量は、DCMUの曝露による遅延発光量と比べて緩やかに減衰した。Ant−Aの曝露による遅延発光量は、DCMU、DBMIBほど励起直後に大きく増加せず、励起後10秒以降の減衰が早くなった。CCCPの曝露による遅延発光量は、全ての時間域で減少した。また、DCMU、DBMIBおよびAnt−Aでは、4本の減衰曲線が交差する点(以下、この点を「クロスポイント」という。)が見られた。DCMUでは、クロスポイントが励起後1秒付近で観察された。DBMIBでは、クロスポイントが励起後5秒付近で観察された。Ant−Aでは、クロスポイントが励起後5秒付近で観察された。
図10は、実施例1における固有ベクトルを示す図である。図10のグラフ(a)〜(c)のいずれにおいても、縦軸が固有ベクトルを示し、横軸が励起後時間を示す。グラフ(a),(b),(c)はそれぞれ、第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、第3主成分(PC3)を示す。第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、第3主成分(PC3)の固有値の寄与率はそれぞれ96.6%、2.1%、0.8%であった。PC1〜PC3の累積寄与率は99.5%であった。PC1の固有ベクトルは、励起直後から1秒にかけて急激に減少した。PC2の固有ベクトルは、励起直後はマイナスであり、そこから増加して0.4秒でプラスに転じ、0.8秒で極大となりその後減少した。PC3の固有ベクトルは、励起直後に減少しマイナスに転じ、1.1秒で極小になり、そこから増加してプラスに転じ、13.5秒で極大になり再び緩やかに減少した。
図11は、実施例1における減衰曲線の主成分毎のスコアを示す図である。図11のグラフ(a),(b),(c)はそれぞれ、第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、第3主成分(PC3)を示す。いずれのグラフも、4種類の化学物質ごとの非曝露区(N)、低濃度曝露区(L)、中濃度曝露区(M)、高濃度曝露区(H)について、それぞれ2反復の平均値を示す。エラーバーはスチューデントLSD(最小有意差)を示す。PC1では、曝露濃度の増加に伴ってDCMU、DBMIBおよびAnt−Aのスコアが増加し、DBMIBのスコア増加が最も大きくなった。一方でCCCPのスコアのみが減少した。PC2では、曝露濃度の増加に伴って4種類の化学物質のスコアが減少し、CCCPのスコア減少が最も大きくなった。PC3では、曝露濃度の増加に伴って4種類の化学物質のスコアが減少し、Ant−Aのスコア減少が最も大きくなった。
図12は、実施例1における曝露によるスコアの変化量を示す図である。具体的には、図12は、非曝露区を原点とし、3個の主成分に対応する3個の座標軸を有するグラフであり、4種類の化学物質の曝露区のスコアの変化量について、2反復の平均値を示す。図12はまた、分散分析結果に基づき、各化学物質の曝露区の濃度毎の95%信頼区間を筒状の領域で示す。4種類の化学物質のスコアの変化量は、曝露濃度の増加に伴って、原点から化学物質毎に異なる方向へ分布した。
図13は、実施例1におけるクラスター分析の結果を示す図である。図13のデンドログラムは、4種類の化学物質のスコア変化量(2反復の平均値)について階層的クラスター分析した結果を示す。各化学物質名の「_L」、「_M」、「_H」は、それぞれ低濃度曝露区、中濃度曝露区、高濃度曝露区を示す。類似度が0.900である付近でクラスターを分割すると、4種類の化学物質はそれぞれ4個のクラスターに明瞭に分類された。
(実施例2)
実施例2では、未知の化学物質AおよびBのそれぞれを2段階の濃度(低、高)で調製した曝露区の4個の溶液と、非曝露区の1個の溶液とを検体溶液として準備し、実施例1で示した手法を用いて2反復の曝露試験を行い、合計で10本の減衰曲線を得た。実施例2では、実施例1で構築した評価モデルを用いて減衰曲線を評価した。評価は、化学物質A、Bのそれぞれの減衰曲線について、上述した式(2)〜式(4)を用いて変化量を求め、実施例1で示した既知の4種類の化学物質の変化量と比較した。また、化学物質A、Bの変化量に対しクラスター分析を行うことにより、未知の化学物質を推定することが可能かどうか解析した。
図14〜16を参照しながら、実施例2に係る光合成サンプルの評価結果について説明する。
図14は、実施例2における化学物質の減衰曲線を示す図である。図14のグラフ(a),(b)のいずれにおいても、縦軸が発光量を示し、横軸が励起後時間を示す。グラフ(a),(b)はいずれも、非曝露区、低濃度曝露区、高濃度曝露区についてそれぞれ2反復の平均値を示す。化学物質Aでは、励起直後の遅延発光量が増加し、クロスポイントが励起後1秒付近で観察され、励起後10秒付近で遅延発光量が減少した。化学物質Bでは、励起直後に遅延発光量がやや増加し、励起後1秒以前にクロスポイントが観察され、その後の時間域では遅延発光量が減少した。化学物質A、Bの曝露による減衰曲線の変化の特徴は、図9に示す4種類の化学物質のうちDCMU、CCCPの特徴とそれぞれ類似していた。
図15は、実施例2における曝露によるスコアの変化量を示す図である。具体的には、図15は、非曝露区を原点とし、3個の主成分に対応する3個の座標軸を有するグラフであり、化学物質A、Bそれぞれの曝露試料のスコアの変化量と、既知の4種類の化学物質の曝露区のスコアの変化量とについて、2反復の平均値を示す。図15はまた、分散分析結果に基づき、各化学物質の曝露区の濃度毎の95%信頼区間を筒状の領域で示す。また、化学物質Aの低濃度曝露区を白四角、化学物質Aの高濃度曝露区を白三角、化学物質Bの低濃度曝露区を黒四角、化学物質Bの高濃度曝露区を黒三角で示す。化学物質Aの低濃度曝露区(白四角)はDCMU曝露区の近くにプロットされた。一方、化学物質Aの高濃度曝露区(白三角)はDCMU曝露区の分布する方向に対してΔz´が大きくなる位置にプロットされた。化学物質Bの低濃度曝露区(黒四角)はCCCP曝露区の近くにプロットされた。一方、化学物質Bの高濃度曝露区(黒三角)はCCCP曝露区の分布する方向に対してΔz´が大きくなる位置にプロットされた。
図16は、実施例2におけるクラスター分析の結果を示す図である。図16のデンドログラム(a),(b)は、既知の4種類の化学物質と、化学物質A、Bの低濃度曝露区または高濃度曝露区のスコアの変化量Δz´(k=1,2,3)の2反復の平均値(14個の試料)についてクラスター分析して得られた結果を示す。図16のデンドログラム(a),(b)には、それぞれ14試料間のスコアの変化量の類似度が表される。図16のデンドログラム(a)は、化学物質A、Bの低濃度曝露区の分類を示し、図16のデンドログラム(b)は、化学物質A、Bの高濃度曝露区の分類を示す。各化学物質名の「_L」、「_M」、「_H」は、それぞれ低濃度曝露区、中濃度曝露区、高濃度曝露区を示す。
図16のデンドログラム(a)に示すクラスターは、類似度が0.900である付近で4個に分割された。化学物質Aの低濃度曝露区(A_L)はDCMUのクラスターの中に分類された。化学物質Bの低濃度曝露区(B_L)はCCCPのクラスターの中に分類された。図16のデンドログラム(b)に示すクラスターは、類似度が0.900である付近で5個に分割された。化学物質Aの高濃度曝露区(A_H)はDCMUのクラスターの中に分類された。化学物質Bの高濃度曝露区(B_H)はCCCPのクラスターの外に分類されたが、4種類の化学物質の中ではCCCPと最も類似度が高くなった。
実際の化学物質Aはトリアジン系除草剤のシメトリン(0,0.023,0.094μmol/L)であり、ウレア系除草剤のDCMUと同じ作用を示す。すなわち、化学物質Aは4種類の化学物質の中で、作用機序の同じDCMUとスコアの変化量の類似度が最も高いことが統計的に判定された。また、実際の化学物質Bは3,5-dichlorophenol(0, 2,37μmol/L)であり、CCCPほど強い作用を持たないが同じ脱共役剤である。すなわち、化学物質Bは4種類の化学物質の中で、作用機序の同じCCCPとスコアの変化量の類似度が最も高いことが統計的に判定された。
以上の結果から、曝露試料の複数の主成分のスコアと、対照試料の複数の主成分のスコアとのスコア差(スコアの変化量)を用いることで、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を適切に評価することができる。また、既知の曝露試料に関するスコア差と、未知の曝露試料に関するスコア差との類似性の判定結果により、未知の環境要因の作用機序を推定することができる。
本開示の技術は排水管理、農薬開発、育種など様々な分野で利用することができる。例えば排水に異常が起きた場合、排水試料を本開示の技術を用いて評価することにより原因物質の種類(作用機序)を推定することができる。また、例えばある作用機序を持つ既知の除草剤を基に新しい除草剤を開発する場合、新しい除草剤と既知の除草剤との間で作用機序がどの程度同じかまたは違うかを判断することができる。
本開示の技術はまた、評価モデルを予め構築することにより、環境要因の生物への影響を評価するバイオアッセイを用いた作業(例えば、試験、研究、開発、評価等)を行うユーザに対して解析サービスを提供するシステムとすることができる。解析サービスを提供するシステムは、任意のネットワークを介して測定データを受け付けてその測定データを処理するので、ユーザ側の解析負担が軽減される。また、評価モデルは新たな測定データにより更新可能であるため、スタンドアローン型の解析サービスよりも柔軟でかつ充実した評価モデルを構築することができる。
[効果]
以上説明したように、本開示の一側面に係る光合成サンプルの評価システムは、環境要因により曝露された曝露試料と、環境要因により曝露されていない対照試料とのそれぞれについて、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付け、主成分分析により得られる評価モデルと、測定データとに基づいて、曝露試料と、対照試料とのそれぞれについて複数の主成分のスコアを算出し、曝露試料の複数の主成分のスコアと、対照試料の複数の主成分のスコアとのスコア差を算出するように構成された少なくとも一つのプロセッサを備える。
本開示の一側面に係る光合成サンプルの評価方法は、コンピュータによって実施され、環境要因により曝露された曝露試料と、環境要因により曝露されていない対照試料とのそれぞれについて、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付けるステップと、主成分分析により得られる評価モデルと、測定データとに基づいて、曝露試料と、対照試料とのそれぞれについて複数の主成分のスコアを算出するステップと、曝露試料の複数の主成分のスコアと、対照試料の複数の主成分のスコアとのスコア差を算出するステップとを含む。
本開示の一側面に係る光合成サンプルの評価プログラムは、環境要因により曝露された曝露試料と、環境要因により曝露されていない対照試料とのそれぞれについて、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付けるステップと、主成分分析により得られる評価モデルと、測定データとに基づいて、曝露試料と、対照試料とのそれぞれについて複数の主成分のスコアを算出するステップと、曝露試料の複数の主成分のスコアと、対照試料の複数の主成分のスコアとのスコア差を算出するステップとをコンピュータに実行させる。
このような側面においては、評価モデルと、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データとを用いることにより、曝露試料と対照試料とのそれぞれについて複数の主成分のスコアが得られる。そして、曝露試料のスコアと対照試料のスコアとの差分を算出することによって、曝露によるスコアの変化量が得られる。スコアの変化量は、曝露試料に含有される環境要因による影響を反映するので、この変化量を用いることで、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を適切に評価することができる。
他の側面に係る光合成サンプルの評価システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、曝露試料の複数の主成分のスコアと、対照試料の複数の主成分のスコアとを標準化するようにさらに構成されてもよい。
この場合には、曝露試料の複数の主成分のスコアと、対照試料の複数の主成分のスコアとの間で尺度が合わせられるので、各主成分のスコアを均一に評価することができる。
他の側面に係る光合成サンプルの評価システムでは、曝露試料が、既知の曝露試料と、未知の曝露試料とを含み、少なくとも一つのプロセッサが、未知の曝露試料のスコア差と、既知の曝露試料のスコア差との間の類似性を判定するようにさらに構成されてもよい。
この場合には、既知の曝露試料に関するスコア差と、未知の曝露試料に関するスコア差とを用いることにより、両者の類似度が得られる。したがって、未知の曝露試料がどの既知の曝露試料に類似しているかを判定することができる。
他の側面に係る光合成サンプルの評価システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、未知の曝露試料のスコア差と、既知の曝露試料のスコア差との間の類似度の高さに基づいて、未知の環境要因の影響の度合いと、未知の環境要因の種類とのうちの少なくとも一つを評価するようにさらに構成されてもよい。
未知の曝露試料のスコア差と既知の曝露試料のスコア差との類似度が高い場合、両者の遅延発光のメカニズムに対する影響も類似していると言える。したがって、未知の曝露試料に含有される環境要因の作用機序を推定することができる。
他の側面に係る光合成サンプルの評価システムでは、類似性を判定することが、未知の曝露試料のスコア差と、既知の曝露試料のスコア差との間のコサイン係数を用いた階層的クラスター分析によって、類似性を判定することでもよい。
この場合には、コサイン係数と階層的クラスター分析との組み合わせにより、より明瞭に類似性を判定することができる。
他の側面に係る光合成サンプルの評価システムでは、評価モデルが、固有ベクトルによって表されてもよい。
この場合には、測定データに対する主成分分析により得られる固有ベクトルから評価モデルを構築することができるため、評価モデルの構築が容易となる。
[変形例]
以上、本開示の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
サーバ10は、標準化部13および類似性判定部15の少なくとも一つを備えずに構成されてもよい。すなわち、評価部12によって算出された複数の主成分のスコアは、標準化部13によって標準化されてもよいし、標準化されなくてもよい。未知の曝露試料のスコア差と、既知の曝露試料のスコア差との間の類似性を判定する処理は、実行されなくてもよい。
「少なくとも一つのプロセッサが、第1の処理を実行し、第2の処理を実行し、…第nの処理を実行する。」との表現、またはこれに対応する表現は、第1の処理から第nの処理までのn個の処理の実行主体(すなわちプロセッサ)が途中で変わる場合を含む概念である。すなわち、この表現は、n個の処理のすべてが同じプロセッサで実行される場合と、n個の処理においてプロセッサが任意の方針で変わる場合との双方を含む概念である。
少なくとも一つのプロセッサにより実行される方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正または削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。また、各ステップの一部または全部は他の装置またはコンピュータシステムによって実行されてもよい。
1…評価システム、10…サーバ、11…受付部、12…評価部、13…標準化部、14…変化量算出部、15…類似性判定部、20…端末、30…データベース、100…サーバコンピュータ、101…プロセッサ、102…主記憶部、103…補助記憶部、104…通信部、200…計測装置、210…制御ユニット、220…通信ユニット、230…計測ユニット、231…筐体、231a…本体部、231b…蓋部、232…設置部、233…光源、234…光検出器、234a…光センサ、234b…算出部、235…フィルタ、236…集光光学系、237…シャッタ、238…導入口、P1…サーバプログラム。

Claims (8)

  1. 環境要因により曝露された曝露試料と、環境要因により曝露されていない対照試料とのそれぞれについて、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付け、
    主成分分析により得られる評価モデルと、前記測定データとに基づいて、前記曝露試料と、前記対照試料とのそれぞれについて複数の主成分のスコアを算出し、
    前記曝露試料の前記複数の主成分のスコアと、前記対照試料の前記複数の主成分のスコアとのスコア差を算出する
    ように構成された少なくとも一つのプロセッサを備える、光合成サンプルの評価システム。
  2. 前記少なくとも一つのプロセッサが、前記曝露試料の前記複数の主成分のスコアと、前記対照試料の前記複数の主成分のスコアとを標準化するようにさらに構成された、請求項1に記載の光合成サンプルの評価システム。
  3. 前記曝露試料が、既知の曝露試料と、未知の曝露試料とを含み、
    前記少なくとも一つのプロセッサが、前記未知の曝露試料のスコア差と、前記既知の曝露試料のスコア差との間の類似性を判定するようにさらに構成された、
    請求項1または2に記載の光合成サンプルの評価システム。
  4. 前記少なくとも一つのプロセッサが、前記未知の曝露試料のスコア差と、前記既知の曝露試料のスコア差との間の類似度の高さに基づいて、未知の環境要因の影響の度合いと、前記未知の環境要因の種類とのうちの少なくとも一つを評価するようにさらに構成された、請求項3に記載の光合成サンプルの評価システム。
  5. 前記類似性を判定することが、前記未知の曝露試料のスコア差と、前記既知の曝露試料のスコア差との間のコサイン係数を用いた階層的クラスター分析によって、類似性を判定することである、請求項3または4に記載の光合成サンプルの評価システム。
  6. 前記評価モデルが、固有ベクトルによって表される、請求項1−5のいずれか一項に記載の光合成サンプルの評価システム。
  7. コンピュータによって実施される光合成サンプルの評価方法であって、
    環境要因により曝露された曝露試料と、環境要因により曝露されていない対照試料とのそれぞれについて、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付けるステップと、
    主成分分析により得られる評価モデルと、前記測定データとに基づいて、前記曝露試料と、前記対照試料とのそれぞれについて複数の主成分のスコアを算出するステップと、
    前記曝露試料の前記複数の主成分のスコアと、前記対照試料の前記複数の主成分のスコアとのスコア差を算出するステップと
    を含む、光合成サンプルの評価方法。
  8. 環境要因により曝露された曝露試料と、環境要因により曝露されていない対照試料とのそれぞれについて、光合成サンプルが発する遅延発光の経時変化を示す測定データを受け付けるステップと、
    主成分分析により得られる評価モデルと、前記測定データとに基づいて、前記曝露試料と、前記対照試料とのそれぞれについて複数の主成分のスコアを算出するステップと、
    前記曝露試料の前記複数の主成分のスコアと、前記対照試料の前記複数の主成分のスコアとのスコア差を算出するステップと
    をコンピュータに実行させる、光合成サンプルの評価プログラム。
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