以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
図1を参照し、ガスコンロ1について説明する。ガスコンロ1は、テーブルコンロである。ガスコンロ1は筐体2と天板3を備える。筐体2は上部が開口し、開口部分に天板3が設置される。天板3において、右手前には右バーナ4が設けられ、左手前には左バーナ5が設けられる。右バーナ4、左バーナ5の夫々の側面には多数の炎孔が設けられる。右バーナ4、左バーナ5の夫々の炎孔の近傍には、イグナイタ4A,5A(図2参照)の点火電極と、熱電対4B,5B(図2参照)が、炎孔に臨むように設置される。イグナイタ4A,5Aは、駆動することにより点火電極においてスパーク放電を発生し、炎孔から噴出されるガスに点火する。熱電対4B,5Bは、炎孔に形成される火炎により加熱されて熱起電力を発生する。故にガスコンロ1は、熱電対4B,5Bに発生する熱起電力に基づき、右バーナ4及び左バーナ5における失火を検出できる。
天板3の上面後端側の左右方向の略中央部には、グリル排気口7が設けられる。グリル排気口7は、筐体2内に設置されたグリル庫(図示略)内の燃焼によって生じた燃焼ガスを外部に排出する。筐体2の前面21の左右方向の略中央部には、グリル用の開口部25が設けられる。開口部25には、グリル扉30が前後方向に移動可能に設けられる。グリル扉30は、グリル庫の前側開口部分を開閉する。
筐体2の前面21において、グリル扉30の右側には、操作つまみ11,13が設けられる。グリル扉30の左側には、操作つまみ12が設けられる。操作つまみ11〜13は、押し回し式である。操作つまみ11は、右バーナ4を点火する場合に、正面視反時計回りに約90度、押し回しされる。点火後は、時計回りに回動されることによって、火力が大火力から小火力に調節される。操作つまみ11を点火前の位置(消火位置)に戻すと、右バーナ4が消火される。なお、操作つまみ12と操作つまみ13の操作方法は、操作つまみ11と同じである。操作つまみ12は、左バーナ5を点火する場合に押し回しされる。操作つまみ13は、グリル庫内に設けられるグリルバーナ(図示略)を点火する場合に押し回しされる。なお、グリルバーナの詳細については説明を省略する。
操作つまみ13の左側には、電池ボックス17が設けられる。電池ボックス17は、ガスコンロ1に電源を供給する乾電池125(図2参照)を格納する。電池ボックス17の直上には、乾電池125の電圧低下等を報知するLED14が設けられる。LED14は、後述する自動消火処理において、自動消火が行われた場合の報知にも用いられるので、便宜上、消火報知LED14と呼ぶ場合もある。電池ボックス17の上側には、切替スイッチ15が設けられる。切替スイッチ15にはLED15Aが組み込まれ、切替スイッチ15の操作に応じて点灯又は消灯する。詳細は後述するが、切替スイッチ15は、右バーナ4及び左バーナ5が自動消火するまでの時間設定の変更に用いられる。LED15Aは、消火時間の設定状態の報知に用いられるので、便宜上、設定報知LED15Aと呼ぶ場合もある。
次に、ガスコンロ1の電気的な構成について説明する。ガスコンロ1は、制御回路100を備える。制御回路100は、CPU101、ROM102、RAM103、フラッシュメモリ104、タイマ105に加え、図示しない、I/Oインタフェイス等を備える。CPU101はガスコンロ1の各種動作を統括制御する。ROM102は、自動消火処理(図3参照)を含む、ガスコンロ1の各種プログラムを記憶する。RAM103は、各種情報を一時的に記憶する。フラッシュメモリ104は、自動消火処理で使用される早期消火フラグを含む各種データを記憶し、制御回路100に電力の供給がなくてもデータの記憶を維持する。タイマ105はプログラムで作動するものである。タイマ105は、後述する自動消火処理において消火時間を計時する消火タイマ、監視時間を計時する監視タイマ、報知時間を計時する報知タイマを含む。
制御回路100には、失火検出回路112、電磁弁回路117、イグナイタ回路118、電源回路120、スイッチ入力回路111、音声出力回路121、LEDドライバ回路115等が接続される。
失火検出回路112は、熱電対4B、5Bが発生する熱起電力に基づき右バーナ4及び左バーナ5の失火を検出し、制御回路100に入力する。熱電対4B,5Bが発生する熱起電力は、安全弁回路116に入力される。安全弁回路116は、安全弁48の開閉状態を制御する。安全弁48は、右バーナ4、左バーナ5の夫々にガスを供給するガス供給管(図示略)に設けられる。安全弁48は、操作つまみ11,12の押し回し時の押し込み動作により機械的に開放される。安全弁回路116は、右バーナ4、左バーナ5の着火により加熱される熱電対4B,5Bが発生する熱起電力によって電磁石を作動し、安全弁48を開放状態に維持する。右バーナ4、左バーナ5が失火すると熱起電力が失われ、安全弁48はバネ(図示略)の付勢力により閉鎖される。
電磁弁回路117は、CPU101の制御に基づき、電磁弁119を開閉する。電磁弁119は、ガス遮断用キープソレノイドバルブである。電磁弁119は、右バーナ4、左バーナ5の夫々にガスを供給するガス供給管において、安全弁48よりも右バーナ4、左バーナ5側に設けられる。電磁弁119は通電によって開放又は閉鎖され、内蔵する永久磁石の磁力により、開放状態又は閉鎖状態に維持される。イグナイタ回路118は、CPU101が出力する制御信号に基づき、イグナイタ4A、5Aを各々駆動する。
スイッチ入力回路111には、点火スイッチ18、イグナイタスイッチ19、切替スイッチ15が接続する。点火スイッチ18は、操作つまみ11〜13の操作に連動してオン・オフされる。スイッチ入力回路111は点火スイッチ18の状態を検出し、電源回路120と制御回路100に入力する。電源回路120は、いずれかの操作つまみ11〜13の点火スイッチ18がオンの場合に、電池ボックス17に収容される乾電池125から供給される電力を各種回路に供給する。制御回路100は、電源回路120から電力が供給されると作動し、電力の供給が途絶えると動作を停止する。
イグナイタスイッチ19は、操作つまみ11〜13の操作に連動してオン・オフされる。イグナイタスイッチ19は、操作つまみ11〜13が押し回される過程で、点火スイッチ18がオンになった後にオンになり、操作つまみ11〜13が回し戻される過程で、点火スイッチ18がオフになるよりも先にオフになる。制御回路100は、イグナイタスイッチ19がオンになると、夫々に対応する電磁弁119を開放し、夫々に対応するイグナイタ4A,5Aを作動する。なお、制御回路100は、イグナイタ4A,5Aを所定時間(例えば10秒)駆動するか、イグナイタスイッチ19がオフになると、イグナイタ4A,5Aの駆動を終了する。また、イグナイタスイッチ19がオフになると、制御回路100は、夫々に対応する電磁弁119を閉鎖する。
切替スイッチ15は、後述する自動消火処理で消火時間の設定に用いられる。スイッチ入力回路111は切替スイッチ15の状態を検出し、制御回路100に伝達する。
音声出力回路121は、筐体2内に設けられるスピーカ122から音声の出力を制御する。後述する自動消火処理では、例えば自動消火時に消火音「ピーピーピー」がスピーカ122から発音される。また、自動消火処理では音声の出力においてメロディが奏でられる場合もある。LEDドライバ回路115は、LED14,15Aの点灯及び消灯を制御する。
次に、自動消火処理について説明する。自動消火処理は、右バーナ4、左バーナ5に着火してから所定の消火時間が経過したときに、CPU101が右バーナ4、左バーナ5を消火する処理である。自動消火処理において、ユーザは、消火時間として、120分又は30分を設定することができる。なお、消火時間のデフォルト設定は、120分である。消火時間の設定は、切替スイッチ15を押すという簡易な操作によって行うことができる。具体的に、消火時間に120分が設定されているとき、設定報知LED15Aは消灯している。ユーザが切替スイッチ15を押すと、消火時間が30分に設定され、設定報知LED15Aが点灯する。ユーザがもう一度、切替スイッチ15を押すと、消火時間が120分に設定され、設定報知LED15Aが消灯する。
図3〜図5を参照し、自動消火処理の動作の詳細について説明する。ユーザが、例えば右バーナ4を点火するため、操作つまみ11を押し回しする。操作つまみ11が押し込まれると、安全弁48が開放される。次いで操作つまみ11が正面視反時計回りに回される過程で、点火スイッチ18がオンになる。乾電池125から制御回路100に電力が供給され、CPU101が駆動する。CPU101は、点火スイッチ18がオンになることを契機に、自動消火処理を含む各種制御処理を並行して実行する。
図3に示すように、自動消火処理において、CPU101はイグナイタスイッチ19がオンになるのを待機する(S1:NO)。ユーザが操作つまみ11を押し回しする過程で、点火スイッチ18に続いてイグナイタスイッチ19もオンになる(S1:YES)。CPU101は電磁弁119に通電し、電磁弁119を開放する(S2)。電磁弁119は通電終了後も開放状態に維持される。CPU101はイグナイタ4Aを作動する(S3)。安全弁48と電磁弁119が開放されているので、右バーナ4にはガスが供給される。イグナイタ回路118はイグナイタ4Aを所定時間駆動し、右バーナ4に点火する。右バーナ4が着火すると熱電対4Bが加熱されることによって熱起電力が生ずるので、ユーザが操作つまみ11から手を離しても、安全弁48は開放状態に維持される。
CPU101は、フラッシュメモリ104に記憶する早期消火フラグがオンであるか否かを判断する(S5)。早期消火フラグは、右バーナ4、左バーナ5が自動消火するまでの消火時間の設定状態を記憶するフラグである。早期消火フラグがオンの場合(S5:YES)、消火時間を30分に設定し(S6)、設定報知LED15Aを点灯して(S7)、処理をS11(図4参照)に移行する。早期消火フラグがオフの場合(S5:NO)、消火時間を120分に設定し(S8)、処理をS11に移行する。すなわち、ユーザが以前に設定した消火時間の設定状態が保持されており、着火時の消火時間として適用される。
図4に示すように、CPU101は消火タイマを作動し、消火時間の計時を開始する(S11)。CPU101は、切替スイッチ15に対する操作がなされずオフである場合(S12:NO)、消火時間の経過を判断する(S13)。消火時間が経過していない場合(S13:NO)、消火タイマが計時開始から10秒経過する前は、右バーナ4への着火直後であり、熱電対4Bが十分に昇温していないので、そのまま処理をS17に移行する(S15:NO)。10秒以上経過した後は(S15:YES)、失火検出回路112が失火を検出しなければ(S16:NO)、処理をS17に移行する。操作つまみ11が回し戻されずイグナイタスイッチ19がオンの状態に維持されていれば(S17:NO)、処理をS12に戻し、S12〜S17の判断処理を繰り返し行うことで、右バーナ4の燃焼を継続する。
ユーザが右バーナ4を消火するため、操作つまみ11を消火位置に回し戻すと、その過程でイグナイタスイッチ19がオフになる(S17:YES)。CPU101は電磁弁119に通電し、電磁弁119を閉鎖すると(S18)、自動消火処理を終了する。電磁弁119は通電終了後も閉鎖状態に維持される。右バーナ4へのガスの供給が停止され、右バーナ4は消火する。熱電対4Bの熱起電力が失われるので、安全弁48も閉鎖される。操作つまみ11が消火位置に戻るときには点火スイッチ18がオフになり、電源回路120は制御回路100への電力の供給を停止する。
一方、右バーナ4の燃焼中に消火タイマが消火時間の経過を計時した場合(S13:YES)、CPU101は電磁弁119に通電し、電磁弁119を閉鎖する(S21)。右バーナ4の消火によって熱電対4Bの熱起電力が失われ、安全弁48が閉鎖される。CPU101は、報知タイマを作動し、報知時間の計時を開始する(S22)。消火時間の経過に伴う自動消火が行われた後は、操作つまみ11は消火位置にない。CPU101は、ユーザに対し、自動消火が行われたことを報知時間が経過する度に繰り返し報知することによって、操作つまみ11を消火位置に回し戻すこと促す。報知時間は、予め、例えば1分が設定されている。
CPU101は、消火報知LED14を1回点滅し(S23)、スピーカ122から消火音として「ピーピーピー」と音を鳴らす(S25)。ユーザによる操作つまみ11に対する操作が行われず、点火スイッチ18がオンであれば(S26:NO)、報知時間が経過するまで待機する(S27:NO、S26)。報知時間が経過した場合はS22に戻り(S27:YES)、報知タイマをリスタートし(S22)、消火報知LED14の点滅と消火音による報知を行って(S23、S25)、報知時間の経過を待機する(S26:NO、S27:NO、S26)。ユーザが操作つまみ11を消火位置に回し戻し、点火スイッチ18がオフになると(S26:YES)、CPU101は自動消火処理を終了する。電源回路120は制御回路100への電力の供給を停止する。
また、右バーナ4の燃焼中に、例えば煮こぼれや風等により右バーナ4が失火した場合(S15:YES)、CPU101は処理をS21に移行し、消火時間の経過に伴う自動消火時と同様の処理を行う。ユーザによって操作つまみ11が消火位置に回し戻されると、自動消火処理を終了する。
一方、右バーナ4の燃焼中に、切替スイッチ15に対する操作がなされてオンになった場合(S12:YES)、図5に示すように、CPU101は、監視タイマを作動し、監視時間の計時を開始する(S31)。監視タイマは、切替スイッチ15の操作による消火時間の設定が正常に行われたか否かを監視時間が経過する度に判断するために用いられる。監視時間は、予め、例えば20秒が設定されている。
CPU101は、早期消火フラグがオンであるか否かを判断する(S32)。消火時間が30分に設定されており早期消火フラグがオンの場合(S32:YES)、消火時間を120分に設定し(S36)、早期消火フラグをオフにする(S37)。設定報知LED15Aを消灯し(S38)、スピーカ122から解除音として「ピピピピピ」と音を鳴らして(S40)、処理をS51に移行する。一方、消火時間が120分に設定されており早期消火フラグがオフの場合は(S32:NO)、消火時間を30分に設定し(S41)、早期消火フラグをオンにする(S42)。設定報知LED15Aを点灯し(S43)、スピーカ122から設定音としてメロディを鳴らして(S45)、処理をS51に移行する。
CPU101は、S51の判断において、切替スイッチ15が押されたままの状態であってオンであれば(S51:NO)、消火時間が経過したか否か判断する(S52)。消火時間が経過していない場合(S52:NO)、消火タイマが計時開始から10秒経過する前は、右バーナ4への着火直後であるので、そのまま処理をS56に移行する(S53:NO)。10秒以上経過した後は(S53:YES)、失火検出回路112が失火を検出しなければ(S55:NO)、処理をS56に移行する。S56の判断において、点火スイッチ18がオンの状態に維持されていれば(S56:NO)、監視時間が経過したか否か判断する(S57)。監視時間が経過していなければ(S57:NO)、処理をS51に戻し、S51〜S57の判断を繰り返す。
監視時間が経過する前に、切替スイッチ15がオフになれば(S51:YES)、CPU101は、切替スイッチ15の操作による消火時間の設定が正常に行われたものとして、処理をS13(図4参照)に移行する。CPU101は、前述したS12〜S17の判断処理を繰り返しつつ、消火時間の経過又は失火による自動消火、あるいはユーザの操作による消火を待機する。また、監視時間が経過する前に、消火時間が経過した場合(S52:YES)、もしくは失火が検出された場合(S55:YES)、CPU101は処理をS21(図4参照)に移行し、自動消火時の処理を行う。また、監視時間が経過する前に、ユーザが操作つまみ11を消火位置に回し戻し、その過程でイグナイタスイッチ19がオフになると(S56:YES)。CPU101は処理をS18(図4参照)に移行し、電磁弁119を閉鎖して(S18)、自動消火処理を終了する。
切替スイッチ15がオンの状態のまま監視時間が経過した場合(S57:YES)、CPU101は監視タイマをリスタートし(S58)、処理をS36に移行する。例えば、煮汁等の付着により切替スイッチ15が押された状態で固着し、オンからオフに戻らない場合(いわゆる「オン故障」が発生する場合)がある。あるいは、異物等が切替スイッチ15に接触し、切替スイッチ15が押しっぱなしの状態となる場合がある。このような場合、CPU101は、消火時間を120分に再設定し(S36)、早期消火フラグをオフにすることによって(S37)、消火時間の設定をデフォルト設定にする。そして設定報知LED15Aを消灯し(S38)、スピーカ122から解除音を鳴らすことによって(S40)、ユーザに報知する。監視タイマがリスタートすることによって、監視時間が経過する度に繰り返し、ユーザへの報知が行われる。このように、オン故障等の発生時にデフォルト設定が適用されることによって、設定報知LED15Aが消灯状態となるため、ガスコンロ1は、乾電池125の電力消費を抑えつつも、定期的な解除音の発音により、ユーザへの報知を継続して行うことができる。切替スイッチ15が押された状態から復帰してオフになれば(S51:YES)、上記したように処理をS13に移行し、自動消火又はユーザによる消火を待機する。
以上説明したように、設定報知LED15Aの点灯状態又は消灯状態によって消火時間の設定状態の報知が維持されるので、ユーザは、消火時間として120分又は30分のいずれが設定されているかを容易に確認することができる。仮に、設定報知LED15Aがなければ、ユーザは、消火時間を設定するときに120分又は30分のいずれを設定したか、覚えていなければならない。もし忘れてしまえば、消火時間の設定状態を知るためには、消火時間を再設定する必要がある。本実施形態では、ユーザは、設定報知LED15Aによって消火時間の設定状態が分かるので、設定状態の確認のため消火時間を再設定する必要がない。
ユーザは、筐体に設けられた切替スイッチ15に対して操作を行うという簡易な手順によって、消火時間を変更することができる。切替スイッチ15が操作される度に、消火時間には、120分と30分とが交互に設定される。仮に、消火時間として任意の時間を設定する場合、分刻み、あるいは10分刻みなどで設定したい時間を調整するといった、手順が複雑な操作が必要である。本実施形態のガスコンロ1は、切替スイッチ15を押すだけという簡単な操作で、消火時間の設定を行うことができる。
ガスコンロは、消火時間の設定状態をフラッシュメモリ104に記憶することによって、電力の供給がない状態でも記憶状態を維持できる。そして、消火時間の設定状態は、消火タイマの作動時にフラッシュメモリ104から読み出されることによって復帰する。故にユーザは、ガスコンロを使用する度に消火時間を設定し直す必要がなく、わずらわしさがない。
仮に、切替スイッチ15が押された状態で固着し、もとの状態に復帰できなくなった場合、切替スイッチ15に対する操作が監視時間継続すると、消火時間にデフォルト設定である120分が設定される。すなわち、切替スイッチ15に故障が生じた場合、消火時間として設定可能な最大時間が設定される。故にユーザは、ガスコンロを使用する上で消火時間として設定可能な最大時間に至る前に自動消火されるという制限を受けない。よってガスコンロは、切替スイッチ15が故障した場合でも、使い勝手の良さを確保することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。消火時間の設定状態は、設定報知LED15Aが点灯状態又は消灯状態に維持されることによって、いつでも確認することができた。設定報知LED15Aに限らず、音声の発音状態が維持されるようにしてもよい。あるいは、設定状態に応じた音声の発生を着火時に行うことで、常時音声が発音する状態でなくてもよい。もしくは、表示状態を常時確認できる表示板等を設定状態に応じてソレノイド等によって作動し、表示状態を切り替えてもよい。また、表示画面を有するガスコンロであれば、文字、図形、アイコン等により設定状態を表示してもよい。
消火時間は120分と30分に限らず、適宜変更可能である。また、消火時間の設定も2種類に限らず、3種類以上あってもよい。また、設定報知LED15Aは、消火時間が120分の場合に点灯し、30分の場合に消灯してもよい。切替スイッチ15は、例えば右バーナ4による調理容器等の最大加熱温度の設定を変更する高温炒めボタン等と兼用であってもよい。
消火時間は、例えば操作つまみ12等、ガスコンロ1の筐体2が備える別用途のボタン、スイッチ等を用い、所定手順による操作を行うことで設定してもよい。一例として、図6〜図9を参照し、自動消火処理の変形例である設定変更処理について説明する。本変形例に係る設定変更処理では、消火時間の設定変更を行う場合、左バーナ5の操作つまみ12と高温炒めボタンを所定手順に従って操作する。具体的に、第一の手順として操作つまみ12を押し回し、第二の手順として操作つまみ12を消火位置に回し戻した後、第三の手順として高温炒めボタンを3秒長押しすることによって、消火時間の設定が切り替わる。高温炒めボタンは、右バーナ4による調理容器等の最大加熱温度の設定を変更するためのボタンであり、グリルバーナ用の操作つまみ13の上側に設けられる。
設定変更処理によって消火時間の設定変更は、ガスコンロ1に供給するガスの元栓を閉じた状態で行う。消火時間の設定変更における第一の手順は、操作つまみ12を押し回す操作である。ユーザが操作つまみ12を押し回すと、安全弁48が開放され、点火スイッチ18がオンになり、CPU101が駆動する。CPU101は、点火スイッチ18がオンになることを契機に、設定変更処理を含む各種制御処理を並行して実行する。
図5に示すように、設定変更処理において、CPU101はイグナイタスイッチ19がオンになるのを待機する(S101:NO)。点火スイッチ18に続いてイグナイタスイッチ19もオンになると(S101:YES)、電磁弁119を開放し(S102)、イグナイタ4Aを作動する(S103)。安全弁48と電磁弁119は開放されているが、ガスの元栓が閉じられているので、左バーナ5にはガスが供給されず、点火しない。一方、ガスコンロ1の通常使用時においても、設定変更処理は実行される。この場合はガスの元栓が開いており、左バーナ5にガスが供給されるので点火する。
早期消火フラグがオンの場合(S105:YES)、CPU101は消火時間を30分に設定し(S106)、消火報知LED14を点灯し(S107)、スピーカ122からメロディを鳴らし(S108)、処理をS116に移行する。早期消火フラグがオフの場合(S105:NO)、CPU101は消火時間を120分に設定し(S111)、消火報知LED14を点滅し(S112)、スピーカ122から解除音を鳴らし(S113)、処理をS116に移行する。なお、消火報知LED14は、例えば5秒後に消灯する。
CPU101は、消火タイマと変更タイマを作動する(S116、S117)。変更タイマが計時する変更時間は、操作つまみ12等による所定手順の操作を受け付ける時間である。消火時間の設定変更における第二の手順は、操作つまみ12を押し回してから10秒以内に、操作つまみ12を消火位置に回し戻す操作である。変更時間は10秒に設定される。図7に示すように、操作つまみ12が消火位置になく、回し戻しの過程でオフになるイグナイタスイッチ19がオンに維持されている場合(S121:NO)、CPU101は、変更時間の経過を待機する(S122:NO、S121)。
操作つまみ12が消火位置に回し戻されずに変更時間が経過した場合(S122:YES)、消火時間の設定変更は行われない。ガスコンロ1の通常使用時であれば左バーナ5が着火しているので、S123〜S137の処理によって、消火時間の経過又は失火による自動消火時、あるいはユーザの操作による消火時の処理が行われる。
具体的に、消火時間の経過前で(S123:NO)、失火が検出されず(S125:NO)、イグナイタスイッチ19がオンの状態に維持されていれば(S126:NO)、CPU101は処理をS123に戻し、左バーナ5の燃焼を継続する。ユーザが操作つまみ12を消火位置に回し戻し、その過程でイグナイタスイッチ19がオフになると(S126:YES)、電磁弁119を閉鎖して左バーナ5を消火し(S127)、自動消火処理を終了する。左バーナ5の消火に伴い、安全弁48も閉鎖される。操作つまみ11が消火位置に戻るときには点火スイッチ18がオフになり、電源回路120は制御回路100への電力の供給を停止する。
一方、左バーナ5の燃焼中に、消火時間が経過した場合(S123:YES)、あるいは左バーナ5が失火した場合(S125:YES)、CPU101は、電磁弁119を閉鎖する(S131)。左バーナ5の消火に伴い、安全弁48も閉鎖される。CPU101は、報知時間(例えば1分)の計時を開始し(S132)、消火報知LED14を1回点滅し(S133)、スピーカ122から消火音を鳴らす(S135)。ユーザが操作つまみ12を消火位置に戻さず点火スイッチ18がオンであれば(S136:NO)、報知時間が経過するまで待機する(S137:NO、S136)。報知時間が経過した場合はS132に戻り(S137:YES)、報知タイマをリスタートし(S132)、消火報知LED14の点滅と消火音による報知を行って(S133、S135)、報知時間の経過を待機する(S136:NO、S137:NO、S136)。ユーザが操作つまみ12を消火位置に回し戻して点火スイッチ18がオフになると(S136:YES)、CPU101は自動消火処理を終了する。電源回路120は制御回路100への電力の供給を停止する。
S126の判断で、操作つまみ12が押し回されてから変更時間(10秒)以内に消火位置に回し戻された場合(S121:YES)、消火時間の設定変更における第二の手順が成立する。操作つまみ12を回し戻す操作は、ガスコンロ1の通常使用における消火処理である場合もある。図8に示すように、CPU101は電磁弁119を閉鎖する(S141)。左バーナ5が燃焼状態であれば消火され、安全弁48も閉鎖する。CPU101は、電源回路120から電力の供給が停止される前に、電力の供給元をバックアップ電源に切り換える(S142)。バックアップ電源は、例えば電源回路120に搭載されるコンデンサ(図示略)であり、点火スイッチ18がオンのときに充電される。
CPU101は、バックアップ電源から電力の供給を受けて、変更タイマをリスタートする(S143)。消火時間の設定変更における第三の手順は、操作つまみ12を回し戻してから10秒以内に、高温炒めボタンを3秒以上長押しする操作である。よって変更時間は10秒に設定される。
高温炒めボタンが操作されずにオフであれば(S145:NO)、CPU101は、変更時間の経過を待機する(S146:NO、S145)。高温炒めボタンが操作されないまま変更時間が経過した場合(S146:YES)、CPU101は消火時間の設定変更を行わず、バックアップ電源からの給電を停止して(S147)、自動消火処理を終了する。
操作つまみ12が回し戻されてから変更時間(10秒)以内に高温炒めボタンが操作されオンになった場合(S143:YES)、CPU101は変更タイマをリスタートする(S151)。変更時間は3秒に設定される。CPU101は、高温炒めボタンが長押しされてオンに維持されていれば(S152:NO)、変更時間の経過を待機する(S153:NO、S152)。変更時間が経過する前に高温炒めボタンの長押しが中断されてオフになった場合(S152:YES)、CPU101は消火時間の設定変更を行わず、バックアップ電源からの給電を停止して(S147)、自動消火処理を終了する。
高温炒めボタンの長押しが変更時間(3秒)以上継続した場合(S153:YES)、消火時間を変更するための所定手順が成立する。CPU101は、早期消火フラグがオンの場合(S155:YES)、消火時間を120分に設定し(S161)、早期消火フラグをオフにする(S162)。消火報知LED14を点滅し(S163)、スピーカ122から解除音を鳴らして(S165)、処理をS181(図9参照)に移行する。一方、消火時間が120分に設定されており早期消火フラグがオフの場合は(S155:NO)、消火時間を30分に設定し(S171)、早期消火フラグをオンにする(S172)。消火報知LED14を点灯し(S173)、スピーカ122から設定音としてメロディを鳴らして(S175)、処理をS181に移行する。
図9に示すように、CPU101は監視タイマを作動する(S181)。消火時間の設定が変更されても高温炒めボタンがオフにならなければ(S182:NO)、監視時間が経過するまで待機する(S183:NO、S182)。監視時間が経過する前に高温炒めボタンがオフになれば(S182:YES)、消火時間の変更が正常に行われたものとして、バックアップ電源からの給電を停止し(S196)、自動消火処理を終了する。
高温炒めボタンがオンの状態のまま監視時間が経過した場合(S183:YES)、CPU101は消火時間を120分に再設定し(S191)、早期消火フラグをオフにすることによって(S192)、消火時間の設定をデフォルト設定にする。また、消火報知LED14を点滅し(S193)、スピーカ122から解除音を鳴らすことによって(S195)、ユーザに報知する。CPU101は、バックアップ電源からの給電を停止し(S196)、自動消火処理を終了する。
以上のように、本変形例では、ユーザは、操作つまみ12を用いた所定手順の操作によって、消火時間を変更することができる。ガスコンロ1が備える操作つまみ12と高温炒めボタンを用いて消火時間の設定を変更することによって、筐体2に新たなスイッチ等を設ける必要がないので、ガスコンロ1の生産コストの増加を抑制することができる。
なお、本変形例においては、本実施形態の切替スイッチ15はなくてもよい。また、ガスコンロ1に切替スイッチ15を設けた場合であれば、高温炒めボタンの代わりに切替スイッチ15を用いて消火時間の設定を変更してもよい。あるいは、その他のスイッチ等を用いてもよいし、もしくは、操作つまみ11と操作つまみ12を用いて所定手順の操作を行うことにより、消火時間の設定を変更できるようにしてもよい。
上記説明において、右バーナ4、左バーナ5が本発明の「バーナ」の一例である。電磁弁119が本発明の「開閉弁」の一例である。消火時間が本発明の「第一設定時間」の一例である。消火タイマが本発明の「第一タイマ」の一例である。S21の処理を行うCPU101が本発明の「弁閉鎖手段」の一例である。切替スイッチ15が本発明の「操作部」の一例である。本発明の「第一時間」の一例は120分であり、本発明の「第二時間」の一例は30分である。S36及びS41の処理を行うCPU101が本発明の「第一設定手段」の一例である。設定報知LED15Aが本発明の「報知部」の一例である。本発明の「第一形態」の一例は設定報知LED15Aの消灯状態であり、本発明の「第二形態」の一例は設定報知LED15Aの点灯状態である。S38及びS43の処理を行うCPU101が本発明の「報知制御手段」の一例である。フラッシュメモリ104が本発明の「記憶部」の一例である。S5及びS6の処理を行うCPU101が本発明の「第二設定手段」の一例である。監視時間が本発明の「第二設定時間」の一例である。監視タイマが本発明の「第二タイマ」の一例である。