JP2019099792A - 樹脂フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 超高密度記録媒体に要求される寸法安定性を、ドライブテンションで容易に制御することが可能で、かつ磁気記録媒体への加工工程において、高温度での加工適性を有する樹脂フィルムの提供。
【解決手段】 フィルムの長手方向のヤング率が1GPa以上6GPa以下、フィルムの厚みが1μm以上4.5μm以下、かつ長手方向のヤング率と厚みの積が5GPa・μm以上20GPa・μm以下であり、長手方向に2kg/mmの荷重をかけて5℃/分の速度で加熱し110℃に到達した時のフィルム長手方向の寸法変化が−2%以上+2%以下である樹脂フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、10Tbを超えるような超高密度記録媒体に用いるベースフィルムなど、極めて高度な寸法安定性が要求される用途において、磁気記録再生装置における記録媒体への張力調整によりテープ幅を一定に調整することが容易であり、かつ磁気記録媒体への加工性に優れた樹脂フィルムに関する。
近年、コンピューターシステム等において取り扱いが必要なデータ量の増大に伴い、磁気記録媒体への記録容量の大幅な増大が求められてきている。従来、磁気記録媒体に用いられる基材の寸法安定性を向上させる取り組み(引用文献1)もなされてきたが、安価な素材での基材寸法安定性の改良は限界に到達しつつある。また、磁気記録媒体から保存データを再生するドライブ装置への工夫により、テープ張力を調整してデータ記録時とデータ再生時のテープ幅を合致させることで、記録時のトラック位置が再生ヘッドの範囲内となるような提案もなされてきている(引用文献2−4)。これらの技術は、テープの長手方向の張力を変えることによってテープの長手方向の寸法変化をさせ、同時に記録媒体のポアソン比に従ってテープの幅方向の寸法を所定の範囲に変形させて、記録時と再生時のテープ幅を許容範囲内に収束させることを狙ったものである。しかしながら、テープ張力によるテープ幅の調整範囲は、従来の高剛性の磁気記録媒体基材を使用すると、大きな張力変化を与える必要がある。近年、高密度記録用テープ再生装置の張力は、磁気記録媒体のクリープ変形による不可逆変化を可能な限り抑制するために極力小さくなるように設定されており、従来の高剛性の基材を使用すると、テープ幅の調整範囲がごくわずかな領域に限定されてしまい、トラック本数の増大によって記録密度を大幅に向上させることが難しくなるため、さらなる改良が望まれていた。一方で、低剛性の基材を使用すればテープ張力の調整によるテープ幅の調整は容易になるが、磁気記録媒体への加工工程では磁性材料を基材に塗布・乾燥する工程で高温度・高張力が負荷された際に基材自体が伸びを生じて座屈しやすくなってしまい、良好な磁気記録媒体を得ることができなくなってしまうという問題があった。
特開2010−31116号公報 特開2005−285196号公報 特開2005−285261号公報 特開2006−099919号公報
本発明の目的は、超高密度磁気記録媒体に要求されるトラック密度の大幅向上を実現する手段としてのテープ張力調整によるトラック密度の向上を実現可能な、小さな張力変化で大きな寸法変化を可能とすることができ、かつ磁気記録媒体への加工工程適性に優れた磁気記録媒体基材用樹脂フィルムを提供することある。
本発明者らは上記課題を解決しようと鋭意研究した結果、従来困難であったテープ張力による幅制御を容易とすることと磁気記録媒体への加工時の適性を両立可能とすることで、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、フィルムの長手方向のヤング率が1GPa以上6GPa以下、フィルムの厚みが1μm以上4.5μm以下、かつ長手方向のヤング率と厚みの積が5GPa・μm以上20GPa・μm以下であり、長手方向に2kg/mmの荷重をかけて30℃から110℃に昇温した時のフィルム長手方向の寸法変化が−2%以上+2%以下である樹脂フィルムが提供される。
本発明の樹脂フィルムは、10Tb以上の超高密度記録媒体に用いるベースフィルムなどにおいて、テープ張力によるテープ幅の調整を容易とすることで高密度記録化を実現し、かつ、磁気記録媒体への加工時にシワ等の発生の無いデータストレージを提供することができる。
本発明で用いる寸法測定装置の斜視図である。 図1における載置面の曲率半径を示す模式図である。
以下、本発明について、詳述する。なお、説明の便宜上、フィルムの製膜方向を、機械軸方向、縦方向、長手方向、MD方向と称することがあり、製膜方向と厚み方向とに直交する方向を、幅方向、横方向、TD方向と称することがある。
本発明の樹脂フィルムは、フィルムの長手方向のヤング率が1GPa以上、6GPa以下である。ヤング率が下限未満では薄手フィルムの取り扱いが非常に困難であり、また、上限を超えると、磁気記録媒体としたときに再生装置のテープ張力を調整して幅方向の寸法制御を行なう際、より大きな張力変化を与えなければならなくなる。長手方向のヤング率の好ましい下限は、1.5GPa以上、さらに2GPa以上、特に2.5GPa以上であり、好ましい上限は、5.5GPa以下、さらに5GPa以下、特に4.5GPa以下である。
本発明の樹脂フィルムは、その厚みが1μm以上、4.5μm以下である。厚みが下限未満であるとその取扱いが非常に困難となり、また、フィルムを製膜する際に破断しやすくなるため適していない。厚みが上限を超えると、磁気記録媒体としたときに再生装置のテープ張力を調整して幅方向の寸法制御を行なう際、より大きな張力変化を与えなければならなくなる。より好ましい厚みの下限は1.5μm以上、さらに2μm以上で、好ましい上限は4μm以下、さらに3.5μm以下である。
本発明の樹脂フィルムは、長手方向のヤング率と厚みの積の値が、5GPa・μm以上20GPa・μm以下である。この値が下限未満であるとその取扱いが非常に困難であり、また、この値が上限を超えると、磁気記録媒体としたときに再生装置のテープ張力を調整して幅方向の寸法制御を行なう際、より大きな張力変化を与えなければならなくなる。より好ましい長手方向ヤング率と厚みの積の値の下限は、8GPa・μm以上、さらに10GPa・μm以上であり、好ましい上限は18GPa・μm以下、さらに16GPa・μm以下である。
さらに、本発明の樹脂フィルムは、長手方向に2kg/mmの荷重をかけて30℃から110℃に昇温した時のフィルム長手方向の寸法変化が−2%以上+2%以下である。長手方向の寸法変化量が下限未満の場合には、磁気記録媒体への加工時にロール状態での巻締りによって裏面から磁性層面への転写が発生しやすくなり重要な特性である電磁変換特性に悪影響を与える。一方で、上限を超えると、磁性塗料を塗布する際に長手方向に伸びやすく、座屈現象によりしわを発生させてしまう。より好ましい前記フィルム長手方向の寸法変化の下限は−1%以上、さらに−0.5%以上、特に0%以上であり、上限は+1.8%以下、さらに+1.6%以下、特に+1.4%以下である。
本発明の樹脂フィルムを形成する樹脂は、それ自体公知のものを採用でき、平坦なフィルムに製膜できるものであれば、特に制限されない。具体的な樹脂としては、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリケトン、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリオレフィン、ポリフルオロポリマー、ポリウレタン、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレン硫黄、ポリ塩化ビニール、ポリエーテルイミド、テトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトンが挙げられ、これらは共重合であっても、またこれらを混合物の状態で用いてもよい。これらの中でも特に、芳香族ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリーレンスルフィド、ポリオレフィン、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミドが好ましい。以下、それぞれの樹脂について、さらに詳述する。
まず、本発明におけるポリエステルとしては、二塩基酸とグリコールを構成成分とするポリエステルが好ましく挙げられる。例えば、芳香族二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸、ジブロモテレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸などを用いることができる。また、脂環族二塩基酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などを用いることができる。グリコールとしては、脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールなどを用いることができ、芳香族ジオールとして、ナフタレンジオール、2,2ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ハイドロキノンなどを用いることができ、脂環族ジオールとしては、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどを用いることができる。
さらに、本発明におけるポリエステルはフィルムにする観点から実質的に線状であることが好ましく、実質的に線状である範囲内で3官能以上の多官能化合物、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、没食子酸などを共重合してもよく、また単官能化合物、例えばo−ベンゾイル安息香酸、ナフトエ酸等を添加反応させてもよい。また、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルやポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルやポリカプロラクトンに代表される脂肪族ポリエステルなどを共重合してもよい。
本発明におけるポリエステルは、2種以上のものをブレンドした組成物として用いてもよく、例えば50質量%以上がポリエステルであれば、ポリエステル以外のものをブレンドしてもよい。
本発明に用いられるポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノール中、35℃で測定)は、溶融混練性、製膜性、溶融押出時の分解性等の観点から、下限値は好ましくは0.55dl/g、より好ましい下限値は0.6dl/g、最も好ましい下限値は0.7dl/gである。固有粘度が0.55dl/gより低いと、ポリエーテルイミドとの溶融混練性が低下する。また上限値は、好ましくは2dl/g、より好ましい上限値は1.4dl/g、最も好ましい上限値は1.0dl/gである。固有粘度が2.0dl/gを超えると、押出時の負荷が増え、せん断発熱による分解が起こり、粗大突起を形成することがある。特に後述のポリエーテルイミドなど他の樹脂をブレンドする場合は、前記固有粘度が下限以上であることが溶融混練性の観点からも好ましい。
本発明の樹脂フィルムとしてポリエステルフィルムを選択した場合には、ポリエーテルイミドを含有していることも好ましい態様の一つである。ポリエーテルイミドとは、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであり、溶融成形性を有するポリマーであれば、特に限定されない。例えば、米国特許第4141927号明細書、特許第2622678号公報、特許第2606912号公報、特許第2606914号公報、特許第2596565号公報、特許第2596566号公報、特許第2598478号公報のポリエーテルイミド、特許第2598536号公報、特許第2599171号公報、特開平9−48852公報、特許第2565556号公報、特許第2564636号公報、特許第2564637号公報、特許第2563548号公報、特許第2563547号公報、特許第2558341号公報、特許第2558339号公報、特許第2834580号公報に記載のポリマー等が挙げられる。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ポリエーテルイミドの主鎖に環状イミド、エーテル単位以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていてもよい。
前記のポリエーテルイミドを含有するポリエステルフィルムの場合、ガラス転移温度が350℃以下、より好ましくは250℃以下のポリエーテルイミドが好ましく、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンまたはp−フェニレンジアミンとの縮合物が、ポリエステルとの相溶性、コスト、溶融成形性等の観点から最も好ましい。このポリエーテルイミドは、SABIC社製の「Ultem(登録商標)1000または5000シリーズ」で知られているものである。
ポリエーテルイミドの含有量は、ポリエステルとポリエーテルイミドの樹脂組成物の重量を基準として、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。本発明の樹脂フィルムにおいて、ポリエステルフィルムにポリエーテルイミドを含有させたことによる効果を発現させるためには、ポリエーテルイミドの含有量が前記下限以上であることが好ましく、ポリエーテルイミドが核となった内部異物を抑制するためには、ポリエーテルイミドの含有量は上限以下であることが好ましい。
前記のポリエーテルイミドを含有するポリエステルフィルムの場合、ポリエーテルイミドはフィルム中において平均分散径が1nm以上50nm以下で分散していることが好ましい。平均分散径がこの範囲内であれば、強度や寸法安定性、寸法変化率のばらつきが抑制され、特性が大幅に向上した樹脂フィルムを得ることが可能となる。平均分散径が50nmより大きくなるとポリイミドによるポリエステル分子の拘束力が低下するためガラス転移点が低下し、熱寸法安定性が低下し、寸法変化率のばらつきが大きくなる傾向がある。さらに、上述のウネリが増大する原因となる。さらに良好な物性を得るためには、平均分散径は20nm以下が好ましく、上記振幅強度(ウネリ)を制御する上で最も好ましくは10nm以下である。下限は好ましくは1nm以上である。
ポリエステル中に、ポリエーテルイミドを平均分散径が1nm以上50nm以下で分散させる方法(あるいは、相溶し含有させる方法)は特に制限されないが、ポリエステルとポリエーテルイミドとを押出機に投入し、(1)スクリュー剪断速度を30秒−1以上、300秒−1未満、(2)押出温度を280℃以上、320℃以下、(3)ポリマーの吐出時間を30秒以上、10分以下に設定して、樹脂組成物を成形することが好ましく挙げられる。上記(1)については、押出機のスクリュー剪断速度(=πDN/h、D:スクリュー直径、N:スクリュー回転数、h:スクリュー計量部の溝深さ)は50秒−1以上、250秒−1未満がより好ましく、90秒−1以上、200秒−1未満に設定するのが、ポリエステルの熱分解抑止およびポリエステルとポリエーテルイミドの相溶化の観点から好ましい。フィルム中におけるポリエーテルイミドの平均分散経は、3nm以上5nm未満であることが好ましい。
ポリエステルまたはポリエーテルイミドの微分散化の促進と相溶化ならびに粗大分散物の低減の観点から、スクリューの長さと直径の比が20以上、好ましくは25以上の各種ミキシング型スクリューを使用することが好ましい。ミキシング型スクリューとは、ニーディングディスク、ロータ型などが適している。押出機は一軸でも二軸混練タイプのいずれでもよいが、高剪断・低発熱タイプのスクリューを使用することが有効で、二軸タイプが好ましく用いられる。また本発明では、ポリエステルとポリエーテルイミドの相溶化およびポリエステルの熱分解抑制の観点から、押出温度を290℃以上、320℃以下とするのが好ましい。また、ポリマーの吐出時間は1.5分以上、6分以下とするのがより好ましく、2分以上、5分以下に設定するのが最も好ましい。吐出時間は、フィーダー、ギアポンプの運転条件や押出機のスクリュー回転数を変更することにより適宜変更できる。ポリマーの吐出時間とは、押出機および単管、フィルター、口金も含めた押出工程の全容積Vをポリマーの吐出量Qで割った値V/Qである。吐出時間は、フィーダー、ギアポンプの運転条件や押出機のスクリュー回転数を変更することにより適宜変更できる。また本願において、A面における表面粗さの周波数解析による波長100μm以上1,000μm以下の領域での長手方向および幅方向の振幅強度(ウネリ)を所望の値に制御するためには、上述の押出機、ギアポンプ、単管、フィルター、口金も含めた押出工程の各工程にて発生する固有振動数を適正化することも有効である。具体的には、各工程での固有振動数を測定し、その振動数が工程間で重複しないような制御を行うことである。
さらに、ポリエステル中にポリエーテルイミドを含有させる方法は、上記により得られた、ポリエステルにポリエーテルイミドが相溶した樹脂組成物を用いて製膜した、二軸延伸ポリエステルフィルムを回収した原料も、ポリエステル中にポリエーテルイミドが偏ることなく分散しているので、好ましく使用できる。この際も、回収原料中のポリエーテルイミドの含有量についても0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。この際、回収原料は、フィルムをグラインダー(クラッシャー)にて粉砕後にフレークを得て、必要に応じフレークを押固めた後、溶融し、目開きが10〜50μmのフィルターにて異物を除去後、口金より樹脂を吐出・冷却し、連続的に太い糸状に固化させた樹脂(ガット)を得た後、このガットを回転刃により切断し、回収原料を得ることが好ましい。
つぎに、本発明におけるポリエーテルケトンとしては、構成単位として下記式(1)や(2)で示される構造を含むものが挙げられ、単独または他の構造を有するモノマー単位を含有しても良い。
Figure 2019099792
Figure 2019099792
前記他の構造を有するモノマー単位としては次のようなものが例示される。
Figure 2019099792
上記構成単位において、Aは直接結合、酸素、−CO−、−SO−または二価の低級脂肪族炭化水素基であり、Q及びQ’は同一であっても相違してもよく、−CO−または−SO2−であり、nは0または1である。これらポリマーは、特公昭60−32642号公報、特公昭61−10486号公報、特開昭57−137116号公報等に記載されている。
本発明においては、ポリエーテルケトン樹脂としては、上記式(2)を含む態様が好ましい(以下、かかる態様を、熱可塑性ポリエーテルエーテルケトン樹脂と呼称する。)。熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂が上記式(2)を含む態様である場合は、上記式(2)で表わされるユニットの含有量は、熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂の質量を基準として、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
さらに、本発明におけるポリオレフィン樹脂としては、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン、ポリスチレンなどが例示できる。この中でも、適切に延伸することで好適な物性が得られ耐熱性も確保できる観点からポリプロピレンとポリスチレン、特に後述の特定のポリプロピレンとシンジオタクチック構造を有するポリスチレンが好ましい。
本発明におけるポリプロピレンは、好ましくは冷キシレン可溶部(以下CXS)が4質量%以下であり、かつメソペンタッド分率が0.95以上であるポリプロピレンであることが好ましい。これらを満たさないと製膜安定性に劣る場合があったり、二軸配向したフィルムを製造する際にフィルム中にボイドを形成する場合があり、寸法安定性の低下が大きくなる場合がある。
ここで冷キシレン可溶部(CXS)とはフィルムを135℃のキシレンで完全溶解せしめた後、20℃で析出させたときに、キシレン中に溶解しているポリプロピレン成分のことをいい、立体規則性の低い、分子量が低い等の理由で結晶化し難い成分に該当していると考えられる。このような成分が多く樹脂中に含まれているとフィルムの熱寸法安定性に劣る等の問題を生じることがある。従って、CXSは4質量%以下であることが好ましいが、更に好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以下である。このようなCXSを有するポリプロピレンとするには、樹脂を得る際の触媒活性を高める方法、得られた樹脂を溶媒あるいはプロピレンモノマー自身で洗浄する方法等が使用できる。
同様な観点から上記ポリプロピレンのメソペンタッド分率は0.95以上であることが好ましく、更に好ましくは0.97以上である。メソペンタッド分率は核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標であり、該数値が高いものほど結晶化度が高く、融点が高くなり、高温での絶縁破壊電圧が高くなるので好ましい。メソペンタッド分率の上限については特に規定するものではない。このように立体規則性の高い樹脂を得るには、n−ヘプタン等の溶媒で得られた樹脂パウダーを洗浄する方法や、触媒および/または助触媒の選定、組成の選定を適宜行う方法等が好ましく採用される。
かかるポリプロピレンとしては、より好ましくは溶融流動指数(MFR)が1〜10g/10分(230℃、21.18N荷重)、特に好ましくは2〜5g/10分(230℃、21.18N荷重)の範囲のものが、製膜性の点から好ましい。溶融流動指数(MFR)を上記の値とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方法等が採用される。
かかるポリプロピレンとしては、主としてプロピレンの単独重合体からなるが、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分等を含有してもよいし、プロピレンが単独ではない重合体がブレンドされていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として例えばエチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オク
ン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン等が挙げられる。共重合量またはブレンド量は、耐絶縁破壊特性、寸法安定性の点から、共重合量では1mol%未満とし、ブレンド量では10質量%未満とするのが好ましい。
また、かかるポリプロピレンには、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、すべり剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤等を含有せしめることもできる。
これらの中で、酸化防止剤の種類および添加量の選定は長期耐熱性の観点から重要である。すなわち、かかる酸化防止剤としては立体障害性を有するフェノール系のもので、そのうち少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ましい。その具体例としては種々のものが挙げられるが、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT:分子量220.4)とともに1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えばBASFジャパン製Irganox(登録商標)1330:分子量775.2)またはテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えばBASFジャパン製Irganox1010:分子量1177.7)等を併用することが好ましい。これら酸化防止剤の総含有量はポリプロピレンの全質量に対して0.03〜1.0質量%の範囲が好ましい。酸化防止剤が少なすぎると長期耐熱性に劣る場合がある。酸化防止剤が多すぎるとこれら酸化防止剤のブリードアウトによる高温下でのブロッキングにより、磁気記録媒体としたときに悪影響を及ぼす場合がある。より好ましい含有量は0.1〜0.9質量%であり、特に好ましくは0.2〜0.8質量%である。
本発明における樹脂フィルムがポリアリーレンスルフィドフィルムである場合、ポリアリーレンスルフィド樹脂を主成分とするフィルムであることが好ましい。ここで主成分とはフィルムを構成する原料の60質量%以上を占めることをいう。
本発明においてポリアリーレンスルフィド樹脂とは、−(Ar−S)−の繰り返し単位を有するポリマーを指す。Arとしては下記の式(A)〜式(K)などで表される単位があげられる。
Figure 2019099792
(R1,R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい)
繰り返し単位としては、上記の式(A)で表されるp−アリーレンスルフィド単位が好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトンなどが挙げられ、特に好ましいp−アリーレンスルフィド単位としては、フィルム物性と経済性の観点から、p−フェニレンスルフィド単位が好ましく例示される。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、主要構成単位として下記構造式で示されるp−フェニレンスルフィド単位を全繰り返し単位の80モル%以上99.9モル%以下で構成されていることが好ましい。上記の組成とすることで、優れた耐熱性、耐薬品性を発現せしめることができる。
Figure 2019099792
また、繰り返し単位の0.01モル%以上20モル%以下の範囲で共重合単位と共重合
することもできる。
好ましい共重合単位は、
Figure 2019099792
Figure 2019099792
Figure 2019099792
Figure 2019099792
Figure 2019099792
(ここでRはアルキル、ニトロ、フェニレン、アルコキシ基を示す。)が挙げられ、特に好ましい共重合単位は、m−フェニレンスルフィド単位である。
共重合成分との共重合の態様は特に限定はないが、ランダムコポリマーであることが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィドフィルムは、未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムの何れでもよいが、最終的に薄膜を達成するという観点からは一軸または二軸延伸フィルムが好ましい。
本発明における樹脂フィルムがポリアミド樹脂フィルムである場合、ポリアミド樹脂としては、複数のモノマーがアミド結合して形成されたポリマーが挙げられる。その代表的なものとしては、例えば脂肪族ポリアミドとしては、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、ポリ(メタキシレンアジパミド)等が挙げられる。また、その他にも、例えば6−ナイロン/6,6−ナイロン、6−ナイロン/6,10−ナイロン、6−ナイロン/11−ナイロン、6−ナイロン/12−ナイロン等の2元以上の共重合体でも良い。また、ジアミンとジカルボン酸のいずれか一方に芳香族成分を含むものも好ましく用いられる。
芳香族系ジアミンの一般式を下記に示す。一般式で示される芳香族ジアミン単位を構成しうる化合物としては、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2019099792
芳香族成分を含むジカルボン酸単位の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。
本発明の樹脂フィルムは、薄膜としたときの取り扱い性を向上する目的で、フィルム層表面の突起高さや表面粗さを適正化させるために、樹脂フィルムを形成する樹脂中に不活性粒子を含有させることができる。不活性粒子の種類としては、球状シリカ、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機粒子、またその他有機系高分子粒子としては、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等が好ましい。これらの1種もしくは2種以上を選択して用いることもできる。
不活性粒子の大きさは、0.01μm以上1μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.05μm以上0.7μm以下、特に好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。
樹脂への不活性粒子の添加方法については、樹脂を構成する成分の一部に粒子を添加してスラリー状としてそのまま重合を行なう場合と、樹脂の重合後に二軸押出機を用いて添加するなど複数の方法がある。好ましい不活性粒子の添加量は、全フィルム重量に対して、0.001%以上2%以下、より好ましくは0.01%以上1%以下、特に好ましくは0.1%以上0.8%以下である。
樹脂フィルムの層構成は単一層としても良いし、表裏の表面粗さの異なる2層以上としても良い。特に磁気記録媒体の基材として用いる場合には、2層以上の層構成とすることが好ましい。2層以上の構成とする場合に最外層を構成する樹脂には粒子を添加しない場合もありうる。
本発明の樹脂フィルムは、磁性層との密着性向上やフィルム自体の滑り性向上を目的としてコーティング層を設けても構わない。
本発明の樹脂フィルムの製造方法は、それ自体公知の方法を採用でき、例えばポリマーを単一の押出機を用いてダイからシート状に押出するか、または、二つ以上の押出機を用いて異なるポリマーを溶融状態で積層した後にダイからシート状に押出し、得られたシート状物を冷却固化することで、単層または積層未延伸樹脂フィルムとする工程、そして得られた未延伸樹脂フィルムを、好ましくは一方向または直交する二方向に延伸し、さらに熱処理することで製造できる。溶融状態で押し出す工程での温度は、未溶融物がなく、過度に樹脂の熱劣化が進まない温度であれば特に制限されず、例えば、樹脂の融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度で行うことが好ましい。つぎに、冷却については、得られる未延伸樹脂フィルムの平坦性を維持しつつ、厚み斑も少なくするために、フィルム製膜方向に沿ってダイの下方に設置された回転する冷却ドラムを用い、それにシート状物を密着させて冷却するのが好ましい。所定の厚みとヤング率が達成できれば未延伸フィルムのままとすることも不可能ではないが、より優れた高温での加工性を発現させるために、未延伸樹脂フィルムに延伸操作を施して所望の厚みとヤング率を有するフィルムを作成することが好ましい。延伸方式には縦一軸延伸、横一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの方法があり特に制限されないが、ここでは逐次二軸延伸について説明する。縦一軸延伸は逐次二軸延伸から横延伸を省略したもの、横一軸延伸は逐次二軸延伸から縦延伸を省略したもの、同時二軸延伸は縦横の延伸を同時に行なうものである。逐次二軸延伸では、未延伸樹脂フィルムを、一軸方向(通常は縦方向)に樹脂のガラス転移温度をTgとして、(Tg−10)℃〜(Tg+60)℃の温度で2倍以上、好ましくは2.5倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直交する方向にTg〜(Tg+60)℃の温度で2倍以上、好ましくは2.5倍以上の倍率で延伸するのが好ましい。さらに必要に応じて縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。さらにまた、延伸後の樹脂フィルムは、樹脂の融点をTmとして、(Tm−70)℃〜(Tm−10)℃の温度で熱固定することができる。熱固定時間は0.1〜60秒が好ましい。
本発明の樹脂フィルムは、磁気記録テープ、さらに高密度磁気記録テープ、特にディジタル記録型磁気記録テープのベースフィルムとして好ましく用いられる。そこで、本発明の樹脂フィルムを用いた磁気記録テープについて、さらに説明する。
本発明の磁気記録テープは、上述の樹脂フィルムに磁性層を形成することで製造できる。なお、本発明の樹脂フィルムの表面には、磁性層などとの接着性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、それ自体公知の易接着機能を有する塗膜層などを形成しても良い。
本発明における磁気記録テープを形成する磁性層は、特に制限されないが、鉄または鉄を主成分とする針状微細磁性粉やバリウムフェライトをポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等のバインダーに均一分散し、その塗液を塗布して形成したものであり、前述のとおり、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを使用することで、寸法安定性と電磁変換特性やエラーレート性能に選りすぐれた磁気記録テープとすることができる。
ところで、前述の通り記録密度を高めていくには磁性体を微細化していくことが必要で、そのため塗液から溶剤などの除去が難しくなり、加工性を維持しようとすると、乾燥などをより高温で行う必要がでてきた。そして、極めて平坦な表面を有するフィルムを高温で加工しようとすると、シワなどの問題があることを新たに見出し、本発明に到達した。
なお、磁性層は、その厚みが1μm以下、さらに0.1〜1μmとなるように塗布するのが、特に短波長領域での出力、S/N、C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用塗布型磁気記録テープとする観点から好ましい。また、必要に応じて、塗布型磁性層の下地層として、微細な酸化チタン粒子等を含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散し、塗設することも好ましい。
また、磁性層の表面には、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)等の保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、さらに他方の表面に、公知のバックコート層を設けてもよい。
このようにして得られる塗布型磁気記録テープは、LTO、エンタープライズ等のデータ用途の磁気テープとして極めて有用である。特に本発明に寄れば、テープテンションの調整により正確なトラッキングが可能となることからリニアテープにおけるトラック密度を飛躍的に向上させることが可能になる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価した。
(1)ヤング率
得られたフィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。
(2)フィルムの厚み
ゴミが入らないようにフィルムを10枚重ね、打点式電子マイクロメータにて厚みを測定し、1枚当たりのフィルム厚みを計算する。
(3)高温高張力下でのフィルム伸び
フィルムを長手方向30mm、幅方向4mmに切り出し、チャック間が20mmmとなるようにセイコーインスツルメント社製熱機械特性測定試験機EXSTR−6000にセットする。フィルム長手方向に2kg/mmの荷重をかけた状態で30℃から170℃まで5℃/分の昇温速度で昇温し、サンプルの長手方向の30℃での長さ(L1)と110℃での長さ(L2)から、下記式に従って伸び(%)を算出する。
110℃伸び(%)=(L2−L1)/L1×100
(4)動的粘弾性
パーキンエルマー社製粘弾性測定装置DMA−8000に、長手30mm幅方向5mmに切断したサンプルをチャック間11mm振幅0.1mmにセットし、30℃から材料の融点―20℃まで、2℃/分の昇温速度で昇温する。周波数1Hzでのtanデルタのピーク温度を求める。
(5)磁気記録テープの作成
1m幅にスリットしたフィルムを、張力2kg/mmで搬送させ、支持体の一方の表面に以下の記載に従って磁性塗料および非磁性塗料を塗布し12.65mm幅にスリットし、パンケーキを作成する。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、磁気テープとした。
(以下、「部」とあるのは「質量部」を意味する。)
<磁性層形成用塗布液>
バリウムフェライト磁性粉末 100部
(板径:20.5nm、板厚:7.6nm、板状比:2.7、Hc:191kA/m(≒2400Oe)
飽和磁化:44Am2/kg、BET比表面積:60m2/g)
ポリウレタン樹脂 12部
質量平均分子量 10,000
スルホン酸官能基 0.5meq/g
α−アルミナ HIT60(住友化学社製) 8部
カーボンブラック #55(旭カーボン社製)
粒子サイズ0.015μm 0.5部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 2部
メチルエチルケトン 180部
シクロヘキサノン 100部
<非磁性層形成用塗布液>
非磁性粉体 α酸化鉄 85部
平均長軸長0.09μm、BET法による比表面積 50m/g
pH 7
DBP吸油量 27〜38ml/100g
表面処理層Al2O3 8質量%
カーボンブラック 15部
“コンダクテックス”(登録商標)SC−U(コロンビアンカーボン社製)
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 22部
フェニルホスホン酸 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 2部
メチルエチルケトン 205部
シクロヘキサノン 135部
上記の塗布液(磁性層形成用塗布液、非磁性層形成用塗布液)のそれぞれについて、各成分をニーダで混練した。1.0mmφのジルコニアビーズを分散部の容積に対し65体積%充填する量を入れた横型サンドミルに、塗布液をポンプで通液し、2,000rpmで120分間(実質的に分散部に滞留した時間)、分散させた。得られた分散液にポリイソシアネートを非磁性層の塗料には5.0部、磁性層の塗料には2.5部を加え、さらにメチルエチルケトン3部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
得られた非磁性層形成用塗布液を、フィルム上に乾燥後の厚さが0.8μmになるように塗布乾燥させた後、磁性層形成用塗布液を乾燥後の磁性層の厚さが0.07μmになるように塗布を行い、磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに6,000G(600mT)の磁力を持つコバルト磁石と6,000G(600mT)の磁力を持つソレノイドにより配向させ乾燥させた。その後、カレンダー後の厚みが0.5μmとなるようにバックコート層(カーボンブラック 平均粒子サイズ:17nm 100部、炭酸カルシウム平均粒子サイズ:40nm 80部、αアルミナ 平均粒子サイズ:200nm 5部をポリウレタン樹脂、ポリイソシアネートに分散)を塗布した。次いでカレンダで温度90℃、線圧300kg/cm(294kN/m)にてカレンダ処理を行った後、70℃で、48時間キュアリングした。さらに、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレードが磁性面に押し当たるように取り付け、テープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行い、磁気テープを得た。
(6)磁気記録テープにテンションをかけた時の幅方向寸法変化
温度23℃、湿度50%の雰囲気下において、上記(5)で作成した幅12.65mm(1/2インチ)にスリットした磁気テープ(長さ30cm)を図1に示す通りにセットする。
この状態で磁気テープの片側(もう一方は固定)に0.2Nの重りをつけ、そのときの磁気テープの幅(T1)をキーエンス製レーザー外径測定器(LS−9030N)にて測定する。
その後、重り1.2Nに付け替え、そのときの磁気テープの幅の幅(T2)をキーエンス製レーザー外径測定器(LS−9030N)にて測定する。
1Nあたりの幅寸法変化量は次式から算出した。
幅寸法変化量(ppm)=(T1−T2)/T1×1000,000
更にこの測定を3回繰り返し、平均値を1Nあたりの幅方向寸法変化量とした。
(7)ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)測定
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、以下の条件で測定した。
測定器:東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵高温GPC、HLC−8121GPC/HT型
カラム:東ソー株式会社製、TSKgel GMHhr−H(20)HTを3本連結
カラム温度:145℃
溶離液:トリクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
検量線の作製には、東ソー株式会社製の標準ポリスチレンを用い、測定結果はポリプロ
ピレン値に換算した。
(8)ポリプロピレンの逐次抽出法による立体規則性分布測定
ポリプロピレン樹脂を(1)キシレンに還流下充分溶解させ、その後、室温下4時間放置した。キシレンに不溶な部分をろ別し、不溶分は次の抽出に供した。可溶分は、キシレンを乾固させ、秤量した。この質量をアタクチック成分量とした。キシレン不溶分は、ソックスレー脂肪抽出器を用い、(2)n−ペンタン、(3)n−ヘキサン、(4)n−ヘプタンの順に順次ソックスレー抽出を各々6時間実施した。n−ヘプタンにも不溶な最終的な抽出残分を秤量し、この質量をアイソタクチック成分量とした。キシレンに溶解前の樹脂質量に対する百分率比で表現した。
(9)加工適性
上記(5)磁気記録テープの作成における磁性塗料を塗布乾燥する工程で、乾燥後のウェブの状況を観察し、以下の基準で判定した。
◎;乾燥後のしわが0本/1m幅
○;乾燥後のしわが1本/1m幅
×;乾燥後のしわが2本以上/1m幅
[実施例1]
平均粒径0.2μmの架橋ポリスチレン粒子を0.1重量%含有した固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)0.60dl/gのPEN樹脂組成物1を、チップの状態で180℃で5時間乾燥した後、押出機ホッパーに供給し、押出機内で300℃で溶融状態としてT型押出ダイから、表面仕上げ0.3S、表面温度60℃に保持したキャスティングドラム上に押出して、急冷固化せしめ、未延伸フィルムを得た。
このようにして得られた未延伸フィルムを120℃にて予熱し、更に低速、高速のロール間で14mm上方より830℃の表面温度の赤外線ヒーターにて加熱して4倍に延伸し、急冷し、続いてステンターに供給し、150℃にて横方向に4.6倍延伸し、さらに160℃で横方向に1.25倍延伸し、205℃にて3秒間熱固定して厚み3.0μmのフィルムを得た。得られたフィルムのヤング率は縦方向6GPa、横方向11GPaであった。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例2、3]
実施例1のPEN樹脂組成物1を用いて、延伸倍率と厚みを表1の通り変更する以外は実施例1と同様にして、2軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例4]
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル95部、イソフタル酸ジメチル4部(全ジカルボン酸成分の総量に対して5モル%)およびエチレングリコール60部を、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03部を使用し、滑剤として平均粒径0.3μmのシリカ粒子を0.1重量%添加して、常法に従ってエステル交換反応させた後、トリメチルフォスフェート0.023部を添加し実質的にエステル交換反応を終了させた。
ついで、三酸化アンチモン0.024部を添加し、引き続き高温、高真空化で常法にて重合反応を行い、固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)0.61dl/g、DEG共重合量1.1モル%のポリエチレン−2,6−ナフタレート共重合体にシリカ粒子を含有させたPEN樹脂組成物2を得た。得られた共重合体ポリマーを実施例1と同様に乾燥、押出して未延伸フィルムを得たのちに、110℃に予熱して更に低速、高速のロール間で14mm上方より800℃の表面温度の赤外線ヒーターにて加熱して4。3倍に延
伸し、急冷し、続いてステンターに供給し、150℃にて横方向に6倍延伸し、200℃にて3秒間熱固定して厚み2.5μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例5]
実施例1のPEN樹脂組成物1を用いて実施例1と同様に未延伸フィルムとし、その後縦延伸は行わずにステンターに供給して160℃で予熱を行ない、150℃で5倍延伸して厚み3.5μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
<PET系原料の作成>
(1−a)PETペレットの作製:テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム四水和物0.3質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を0.5質量部(リン酸トリメチルとして0.025質量部)とリン酸二水素ナトリウム2水和物の5質量%エチレングリコール溶液を0.3質量部(リン酸二水素ナトリウム2水和物として0.015質量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達した後、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から275℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.55のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)0.55dl/gのポリエチレンテレフタレートのPETペレットを得た(原料−1a)。
回転型真空重合装置を用いて、上記のPETペレット(原料−1a)を0.1kPaの減圧下230℃の温度で長時間加熱処理し、固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)が0.70dl/gになるまで固相重合を行った(原料−1ak)。
(1−b)共重合PETペレットの作製;テレフタル酸ジメチル180質量部とイソフタル酸ジメチル20重量部、エチレングリコール129質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム四水和物0.3質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を0.5質量部(リン酸トリメチルとして0.025質量部)とリン酸二水素ナトリウム2水和物の5質量%エチレングリコール溶液を0.3質量部(リン酸二水素ナトリウム2水和物として0.015質量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達した後、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から275℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.55のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)0.55dl/gの共重合ポリエチレンテレフタレートのPETペレットを得た(原料−1b)。
回転型真空重合装置を用いて、上記のPETペレット(原料−1b)を0.1kPaの減圧下230℃の温度で長時間加熱処理し、固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)が0.70dl/gになるまで固相重合を行った(原料−1bk)。
(2)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)90質量部と平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを10質量部(架橋ポリスチレン粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、架橋ポリスチレン粒子を1質量%含有する固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)0.62dl/gの粒子含有ペレット(原料−2)を得た。
(3)2成分組成物(PET/PEI)ペレットの作製:温度280℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に、上記方法で得られた固相重合PETペレット(原料−1ak:処理時間2時間)とSABICイノベーティブプラスチック社製のPEI“Ultem”(登録商標)1010のペレットを供給して、剪断速度100sec−1、滞留時間1分にて溶融押出し、PEIを50質量%含有した2成分組成物ペレットを得た。なお、作製した2成分組成物ペレットのガラス転移温度は150℃であった(原料−3)。
[実施例6]
PETペレット(原料−1ak)を90重量部と、粒子添加PETペレット(原料−2)を10重量部とを、それぞれ170℃で3時間乾燥したのちに押出機ホッパーに供給し、押出機内で280℃で溶融状態としてT型押出ダイから、表面仕上げ0.3S、表面温度20℃に保持したキャスティングドラム上に押出して、急冷固化せしめ、未延伸フィルムを得た。
このようにして得られた未延伸フィルムを70℃にて予熱し、更に低速、高速のロール間で14mm上方より800℃の表面温度の赤外線ヒーターにて加熱して4倍に延伸し、急冷し、続いてステンターに供給し、100℃にて横方向に3.5倍延伸し、205℃にて3秒間熱固定して厚み3.5μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例7]
PETペレット(原料1−ak)を70重量部、粒子添加PETペレット(原料−2)を10重量部、ポリエーテルイミド含有PETペレット(原料―3)20重量部を混合したのちに乾燥し、実施例6同様に未延伸フィルムを得た。延伸倍率を表1のように変更する以外は実施例6と同様にして、厚み3.7μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例8]
PETペレット(原料−1ak)を40重量部、イソフタル酸共重合PETペレット(原料―1bk)を30重量部、粒子添加PETペレット(原料−2)を10重量部、ポリエーテルイミド含有PETペレット(原料―3)20重量部を混合したのちに乾燥し、実施例6同様に未延伸フィルムを得た。延伸倍率を表1のように変更する以外は実施例6と同様にして、厚み4.2μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例9]
熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂として、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(ビクトレックス社製:ポリエーテルエーテルケトン381G、Tg:142℃、Tm:343℃)100質量部に、不活性微粒子として、平均粒径0.3μmの球状シリカ粒子を0.1質量部とを配合したもの(PEEK−1)を用意し、150℃で3時間乾燥した後、押出機により380℃で溶融押出し、80℃に保持したキャスティングドラム上へキャストして、未延伸フィルムを作成した。
次いで、次に示す条件で縦方向、次いで横方向に逐次二軸延伸を行い、更に熱固定および熱弛緩処理することにより、厚さ3μmの二軸延伸フィルムを得た。
すなわち、未延伸フィルムを155℃で縦方向(機械軸方向)に2.8倍延伸し、続いてテンターに導いた後、予熱開始部分の温度95℃、予熱終了部分の温度(延伸開始部分の温度)145℃の工程で20秒間予熱し、続いて、横方向(機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向)に2.5倍延伸した。その際、横方向の延伸速度は5000%/分とした。また、横方向の延伸の温度は、第1段階の温度を145℃、第2段階の温度を150℃、第3段階(最終段階)の温度を160℃とした。その後245℃で5秒間熱固定をし、さらに180℃まで冷却する間に横方向に3%弛緩処理をして、厚み3.0μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例10]
実施例9で用いた粒子添加ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK−1)と、これとは別に、PEEK−1の不活性微粒子を、平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.1質量部配合に変更したポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK−2)を準備した。それぞれの樹脂を150℃で3時間乾燥した後、2台の別々の押し出し機に投入し、フィードブロックにてPEEK−1からなる層AとPEEK−2からなる層Bを厚み比1:1で合流させて2層積層フィルムとして、未延伸フィルムの厚みを変更したほかは実施例9と同様にして未延伸フィルムを作成した。
次いで、実施例9に記載した条件から、延伸倍率を表1に記載した通り変更して、層Aの表面よりも層Bの表面が平坦である厚み3.5μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
<PPS樹脂の作成>
<PPS−1>
硫化ナトリウム16.5kg(結晶水49wt%を含む)、水酸化ナトリウム6.5kg、酢酸ナトリウム5.2kg、及びN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略称することがある)22.0kgを仕込み210℃で脱水したのち、1,4ジクロルベンゼン(p−DCBと略称する)20.5kg、及びNMP20.0kgを加え、265℃で5時間反応させた。反応生成物を水洗、乾燥して、フェニレンスルフィドを得た。得られたPPSは、ガラス転移温度は90℃、融点は280℃で、数平均分子量は11500、重量平均分子量は40000で、含有するナトリウム元素量は165ppm、塩素元素量は2000ppmであった。
<PPS−2>
PPS−1を、酢酸を32g含有させた70リットルのイオン交換水にて洗浄し、その後再度水洗、乾燥して、フェニレンスルフィドを得た。得られたPPSは、ガラス転移温度は90℃、融点は280℃で、数平均分子量は11500、重量平均分子量は40000で、含有するナトリウム元素量は85ppm、塩素元素量は300ppmであった。
<PPS−3>
ジヨード化ベンゼン及び硫黄に、ジフェニルジスルフィドをさらに投入して180℃に加熱して完全にそれらを溶融及び混合した後、温度を220℃に昇温し、且つ、圧力を200Torrに降圧した。得られた混合物を、最終温度及び圧力が夫々320℃及び1Torrとなるように温度及び圧力を段階的に変化させつつ、8時間重合反応させた。前記重合反応により、PPS−3を得た。得られたPPS−3は、ガラス転移温度は90℃、融点は277℃で、数平均分子量は12000、重量平均分子量は42000で、含有するナトリウム元素量は検出不能(50ppm未満)、塩素元素量は検出不能(50ppm未満)であった。
[実施例11]
前記PPS−3にに、酸化防止剤(B)としての3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピリオ[5−5]ウンデカン(住友化学社製:商品名SUMILIZER GA−80、1質量%減量温度348℃、融点120℃、):2質量%、不活性粒子として平均粒径0.3μmの架橋ポリスチレン粒子を、得られる二軸延伸フィルムの質量に対して0.1質量%となるように添加し、これらを2軸押し出し機にて混錬し、PPS樹脂組成物を得た。このPPS樹脂組成物を170℃4時間減圧乾燥した後、押し出し機により290℃で溶融押出しし、直線状リップを有するダイから押し出し、表面を25℃に保った金属ドラム上にキャストして冷却固化し、未延伸フィルムを得た。
このフィルムをロール群からなる縦延伸装置によって、フィルム温度100℃で3.5倍延伸し、続いてテンターを用いて、最終の横延伸温度105℃で3.5倍延伸し、さらに同一テンター内の後続する熱処理室で、265℃で15秒間緊張下に熱処理し、その後170℃で4%幅方向に弛緩して、厚さ3μmのPPS二軸延伸フィルムを得た。その際、横延伸の部分を3つのゾーン(第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーン)に分割し、第1ゾーンの延伸を温度95℃の倍率1.8倍に、第2ゾーンの延伸を温度100℃の倍率1.49倍に、第3ゾーンの延伸を温度105℃の倍率1.4倍とした。各ゾーンの延伸倍率は、各ゾーンの出口幅と入口幅との比である。得られたフィルムの特性を表1に示した。
[実施例12]
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル125部、およびトリメチレングリコール60部を、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03部を使用し、滑剤として平均粒径0.3μmのシリカ粒子を最終的に得られるポリマー重量に対して0.05重量%となるように添加して、常法に従ってエステル交換反応させた後、トリメチルフォスフェート0.023部を添加し実質的にエステル交換反応を終了させた。ついで、三酸化アンチモン0.024部を添加し、引き続き高温、高真空化で常法にて重合反応を行い、固有粘度0.61dl/g、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレートポリマーを得た。得られたポリマーのペレットを、150℃で4時間乾燥した後、溶融押出し機で、280℃にて溶融し、T型押出ダイから、表面仕上げ0.3S、表面温度25℃に保持したキャスティングドラム上に押出して、急冷固化せしめ、未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを75℃で予熱したのち、更に低速、高速のロール間で14mm上方より800℃の表面温度の赤外線ヒーターにて加熱して4倍に延伸し、急冷し、続いてステンターに供給し、80℃で予熱後110℃にて横方向に3倍延伸し、145℃にて3秒間熱固定して厚み4.5μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例13]
三菱瓦斯化学製ナイロンMXD6(グレードS6007)に不活性粒子として、平均粒子径0.2μmの架橋ポリスチレン粒子を0.15重量%添加して、170℃で4時間乾燥したのちに溶融押出し機で260℃にて溶融し、T型押出ダイから、表面仕上げ0.3S、表面温度30℃に保持したキャスティングドラム上に押出して、急冷固化せしめ、未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムをリニアモータ方式の同時二軸延伸気に導き、85℃で予熱したのち、120℃で縦軸方向に3.6倍、横軸方向に3.6倍延伸し、更にオーブン内で、210℃で10秒間の熱固定処理を行ない、厚み4μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例14]
重量平均分子量(Mw)3.1×10、分子量分布(Mw/Mn)7.4、アイソタクチック成分分率が97.7質量%であるポリプロピレン樹脂ペレットを押出機に供給して、樹脂温度250℃の温度で溶融し、Tダイを用いて押出し、表面温度を90℃に保持した金属ドラムに巻きつけて固化させ、厚さ約200μmの未延伸キャスト原反シートを作製した。引き続き、この未延伸キャスト原反シートを140℃に保ち、流れ方向に5倍縦延伸し、直ちに室温まで冷却した。ついで、テンターにて170℃で幅方向に10倍横延伸して、厚さ4.0μmの薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[比較例1]
実施例6と同じ樹脂を用い、延伸倍率と厚みを表1の通り変更する以外は実施例6と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。縦ヤング率と厚みの積が本発明の範囲を超えているため、張力を変えた時の磁気テープ幅方向の寸法変化が小さかった。
[比較例2]
実施例1と同じ樹脂を用い、延伸倍率と厚みを表1の通り変更する以外は実施例6と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。縦ヤング率と厚みの積が本発明の範囲を超えているため、張力を変えた時の磁気テープ幅方向の寸法変化が小さかった。
[比較例3]
イソフタル酸共重合PETペレット(原料―1bk)を90重量部、粒子添加PETペレット(原料−2)を10重量部を混合して、150℃で6時間乾燥したのちに、実施例6と同様にして未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを表1に示す倍率で延伸し、厚み4μmのフィルムを得た。得られたフィルムの厚みとヤング率の積は本発明の範囲内であったが、荷重負荷時の高温での伸びが大きく、磁性塗料塗布工程でシワが発生してしまい加工工程適性に劣るものであった。
[比較例4]
テレフタル酸ジメチル100重量部と1,3−プロパンジオール60重量部およびテトラブチルチタネート0.08重量部を使用し、エステル交換反応を行った。次いで滑剤として平均径0.3μmの真球状シリカ粒子をポリマー当り0.05重量%になるように添加して、高真空下で重縮合反応を行い、固有粘度が0.65dl/gのポリトリメチレンテレフタレートを得た。
このポリトリメチレンテレフタレートをダイスリットから溶融押出し後、キャスティングドラム上で密着冷却固化させて未延伸フィルムを作成した。この未延伸フィルムを赤外線ヒーターで加熱しながら、55℃で縦方向(機械軸方向)に3.1倍延伸後、テンター内で横方向(幅方向)に55℃で3.4倍に逐次二軸延伸し、幅方向に3%弛緩させながら150℃で熱処理を行い、厚みが4μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの厚みとヤング率の積は本発明の範囲内であったが、荷重負荷時の高温での伸びが大きく、磁性塗料塗布工程でシワが発生してしまい加工工程適性に劣っていた。
[比較例5]
実施例6と同じポリマーを用い、延伸倍率と厚みを表1のようにしてフィルムを得ようとしたが、横延伸時の切断によりフィルムを採取することができなかった。
Figure 2019099792
表1中のPENはポリエチレン−2,6−ナフタレート、PETはポリエチレンテレフタレート、PEEKはポリエーテルエーテルケトン、PPSはポリフェニレンスルフィド、C3Qはポリトリメチレン−2,6−ナフタレートMXD6は三菱瓦斯化学製ナイロンMXD6(グレードS6007)、PPはポリプロピレン、C3Tはポリトリメチレンテレフタレート、PEIはポリエーテルイミド、PPEはポリフェニレンエーテル、YMDはMD方向のヤング率、YTDはTD方向のヤング率を意味する。また、共重合成分の比率は酸またはグリコールを100としたときのモル分率を表し、ブレンド成分の比率はポリマー全体を100としたときの重量分率を表す。
本発明の樹脂フィルムは、特に高容量のデータストレージなどの磁気記録テープのベースフィルムに好適に用いることができる。
20…磁気テープ、21、23・・・架台、22…寸法測定機、22a…発信部の発光部、30・・・受信部、30b…受信部の受光部、24…レーザー光、25…円筒面の載置面

Claims (6)

  1. フィルムの長手方向のヤング率が1GPa以上6GPa以下、フィルムの厚みが1μm以上4.5μm以下、かつ長手方向のヤング率と厚みの積が5GPa・μm以上20GPa・μm以下であり、長手方向に2kg/mmの荷重をかけて5℃/分の速度で加熱し110℃に到達した時のフィルム長手方向の寸法変化が−2%以上+2%以下である樹脂フィルム。
  2. 樹脂フィルムを形成する樹脂のDMAで測定したtanδピーク温度が、100℃以上の範囲にある請求項1記載の樹脂フィルム。
  3. 樹脂フィルムが、芳香族ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリーレンスルフィド、ポリオレフィン、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂から形成されている請求項1または2のいずれかに記載の樹脂フィルム。
  4. 樹脂がマトリックス樹脂とマトリックス樹脂よりもガラス転移温度が高い耐熱性樹脂とを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂フィルム。
  5. 磁気記録テープのベースフィルムに用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂フィルム。
  6. 磁気記録テープの走行方向に加えるテンションを制御することによってトラック位置を調整する高密度磁気記録テープのベースフィルムに用いられる請求項5記載の樹脂フィルム。
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