JP2019096807A - プリント配線板及び接続体 - Google Patents
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Abstract
Description
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の好適な実施形態について、以下に図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2のプリント配線板1は、絶縁性を有するベースフィルム2と、ベースフィルム2の一方側の面に積層される複数の電極3とを備える。また、複数の電極3は、電極本体3aと、電極本体3aの上記一方側の面(ベースフィルム2と積層される側と反対側の面。以下、ベースフィルム2と積層される側と反対側の面を単に「外面」ともいう。)に積層される錫めっき層3bとを有する。当該プリント配線板1は、フレキシブルプリント配線板であり、可撓性を有する。当該プリント配線板1は、ベースフィルム2の上記一方側の面に回路パターン(不図示)が積層されている。また、この回路パターンは、外面側に接着剤層及びカバー層(いずれも不図示)が積層された配線部と、接着剤層及びカバー層が積層されていないランド部とを有しており、電極本体3aはこのランド部に形成されている。換言すると、上記回路パターンの接着剤層及びカバー層が積層されていない領域の一部が電極本体3aを構成している。当該プリント配線板1の電極3は、電子部品の電極と合金接合可能に構成されている。当該プリント配線板1は、例えばICチップ等の電子部品との熱プレス加工によって電極3と上記電子部品の電極とが合金接合されることで接続体を構成可能に構成されている。
ベースフィルム2は可撓性及び柔軟性を有する。ベースフィルム2は合成樹脂を主成分とする。ベースフィルム2の主成分としては、例えばポリイミド、液晶ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、フッ素樹脂等の軟質材が挙げられる。これらの中でも、絶縁性、柔軟性、耐熱性等に優れるポリイミドが好ましい。また、ベースフィルム2は、多孔化されたものでもよく、充填材、添加剤等を含んでもよい。
電極3は、上述のように、電極本体3aと、電極本体3aの外面に積層される錫めっき層3bとを有する。錫めっき層3bは、電極本体3aに直接積層されている(つまり、錫めっき層3b及び電極本体3aの間には他の層が介在していない)。本実施形態では、錫めっき層3bは、図2に示すように、電極本体3aのベースフィルム2と積層される側の面以外の全面に積層されている。錫めっき層3bは、電極3の外面側の最表層を構成しており、本実施形態では電極3のベースフィルム2と積層される側の面以外の全領域における最表層を構成している。
次に、図1のプリント配線板1の製造方法の一例について説明する。当該プリント配線板の製造方法は、絶縁性を有するベースフィルム2を用意する工程(ベースフィルム用意工程)と、このベースフィルム2の一方側の面に電極3を積層する工程(電極積層工程)とを備える。上記電極積層工程は、ベースフィルム2の上記一方側の面に電極本体3aを積層する工程(電極本体積層工程)と、電極本体積層工程で積層された電極本体3aの外面に錫めっき層3bを積層する工程(錫めっき層積層工程)とを備える。また、当該プリント配線板の製造方法は、電極積層工程後にベースフィルム2及び電極3の積層体に熱処理を施す工程(熱処理工程)をさらに備えることが好ましい。当該プリント配線板の製造方法によって製造されるプリント配線板1は、上述のように錫めっき層3bの外面に、錫合金によって形成される1又は複数の第1領域11及び合金化していない錫によって形成される1又は複数の第2領域12が設けられ、錫めっき層3bの外面における1又は複数の第1領域11の合計占有面積率が90%以下である。
上記電極本体積層工程では、例えばベースフィルム2の上記一方側の面に金属箔、金属蒸着、金属微粒子の焼結等によって金属層を積層したうえ、この金属層にレジストパターン等のマスキングを施してエッチングすることで、サブトラクティブ法によってベースフィルム2の上記一方側の面に電極本体3aを形成する。また、上記電極本体積層工程では、上記サブトラクティブ法に換えて、セミアディティブ法によって電極本体3aを形成してもよい。さらに、上記電極本体積層工程では、銅、銀、ニッケル等の金属を配合したペースト、インキ等の印刷によってベースフィルム2の上記一方側の面に電極本体3aを形成してもよい。
上記錫めっき層積層工程では、上記電極本体積層工程で積層された電極本体3aの外面に錫めっきを施す。この錫めっきとしては、電気錫めっき及び無電解錫めっきが挙げられ、より緻密な錫めっき層3bを形成する点から無電解錫めっきを用いることが好ましい。
上記熱処理工程は、例えばウィスカの生成を抑制するために行う。ウィスカの生成を抑制するために行う熱処理工程の熱処理温度としては例えば100℃以上140℃以下とすることができる。また、この熱処理工程の熱処理時間としては、1時間以上3時間以下とすることができる。なお、上記熱処理条件で熱処理を行った場合、錫めっき層3bの外面からの1又は複数の第2領域12の平均厚さが0.1μm以上0.4μm以下程度の範囲で減少する。そのため、上記錫めっき層積層工程では、この減少量を予め加味して錫めっき層3bの厚さを調節する。
次に、図5及び図6を参照して、図1のプリント配線板1と、当該プリント配線板1の電極3と電気的に接続される他の電極23を有する電子部品21との接続体31の製造方法について説明する。当該接続体の製造方法は、当該プリント配線板1及び電子部品21を熱プレスする熱プレス工程を備える。まず、当該プリント配線板1と接続される電子部品21について説明する。
電子部品21は、例えばICチップ等の半導体チップである。電子部品21は、本体22と、本体22に積層される電極23とを備える。電極23は、当該プリント配線板1の電極3と外面同士が突き合わせられるように、当該プリント配線板1の電極3と平面視略同一形状かつ同一間隔で配設されている。本体22の材質としては、特に限定されるものではなく、ガラスエポキシ等のリジッド材や、合成樹脂等の軟質材が挙げられる。中でも、熱プレス時の圧力の均一化を図りやすいリジッド材が好ましい。また、電極23の主成分としては、例えば金、銀、錫、ニッケル等の金属が挙げられ、中でも当該プリント配線板1の電極3とAu−Sn共晶接合により容易かつ確実に接合可能な金が好ましい。なお、当該プリント配線板1の電極3とAu−Sn共晶接合可能な電子部品21の電極23の構成として、例えば電極本体の外面に金めっき層が積層された構成を採用することも可能である。
上記熱プレス工程では、図5に示すように、当該プリント配線板1の電極3及び電子部品21の電極23の外面同士を対向させた状態で、当該プリント配線板1を電子部品21と熱プレスする。上記熱プレス工程によって、当該プリント配線板1の錫めっき層3b及び電子部品21の電極23の外面側の一部が溶融し、例えばAu−Sn共晶接合によって電極同士が合金で接合される。これにより、図6に示すように、例えばAu−Sn共晶合金によって形成され、当該プリント配線板1の電極3及び電子部品21の電極23を接合する接合部32を有する接続体31が製造される。
次に、図6を参照して、当該プリント配線板1と、当該プリント配線板1の電極3に電気的に接続される他の電極23を有する電子部品21との接続体31について説明する。当該接続体31は、当該プリント配線板1の電極3及び電子部品21の電極23が合金接合されており、詳細には共晶結合されている。当該接続体31は、当該プリント配線板1の電極本体3a及び電子部品21の電極23を接合する接合部32を有する。
接合部32は、例えばAu−Sn共晶合金を含む。接合部32は、当該プリント配線板1の電極本体3a及び電子部品21の電極23を接続する。接合部32は、電極本体3aの厚さ方向基端側から先端側に向けて、かつ電子部品21の電極23の厚さ方向基端側から先端側に向けて徐々に拡幅しており、電極本体3a及び電極23の中間位置で幅が最も大きくなっている。接合部32がAu−Sn共晶合金を含む場合、接合部32におけるAuの含有量の下限としては、50質量%が好ましく、60質量%がより好ましい。一方、接合部32におけるAuの含有量の上限としては、95質量%が好ましく、93質量%がより好ましい。また、接合部32がAu−Sn共晶合金を含む場合、接合部32におけるSnの含有量の下限としては、5質量%が好ましく、7質量%がより好ましい。一方、接合部32におけるSnの含有量の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
(プリント配線板)
ポリイミドを主成分とする平均厚さ25μmのベースフィルムを用意し、このベースフィルムの一方側の面に平均幅25μmの銅箔製の平面視直線状の電極本体を平均間隔25μmで並列に積層した。続いてこの電極本体のベースフィルムとの積層面以外の全面に無電解錫めっきを施すことで錫めっき層を積層した。さらに、無電解めっき後のベースフィルム、電極本体及び錫めっき層の積層体にウィスカの生成を抑制するための第1熱処理を施すことでNo.1のプリント配線板を製造した。得られたプリント配線板の錫めっき層の外面には、図3に示すように、錫−銅合金によって形成される複数の第1領域及び合金化していない錫によって形成される1つの第2領域が設けられており、複数の第1領域が第2領域中に点在する海島構造が形成されていた。得られたNo.1のプリント配線板の錫めっき層の平均厚さ(電極本体の外面に積層される部分の平均厚さ)、錫めっき層の外面からの第2領域の平均厚さ、錫めっき層の外面における複数の第1領域の合計占有面積率、及び錫めっき層の外面の300μm2の単位面積における最大面積を有する1つの第1領域の占有面積率を表1に示す。また、上記熱処理の熱処理条件を表1に示す。なお、錫めっき層の平均厚さ、錫めっき層の外面からの第2領域の平均厚さ、錫めっき層の外面における複数の第1領域の合計占有面積率、及び錫めっき層の外面の300μm2の単位面積における最大面積を有する1つの第1領域の占有面積率は以下の測定方法によって測定した。
錫めっき層の平均厚さは、蛍光X線分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製の「SFT9300」)を用いて測定した。
錫めっき層の外面からの第2領域の平均厚さは、電解式膜厚計(株式会社電測製の「GCT−311」)を用いて測定した。
錫めっき層の外面について、エネルギー分散型X線(EDX)分析装置(BRUKER社製の「QUANTAX FlatQUAD」)を用いて倍率5000倍で撮像し、この錫めっき層の外面における複数の第1領域の合計占有面積率を測定した。
上述のエネルギー分散型X線(EDX)分析装置を用い、錫めっき層の外面について倍率5000倍で撮像したうえ、対向する2辺が電極の長手方向及び幅方と平行に延びる300μm2の正方形領域を設定し、この正方形領域内における最大面積を有する1つの第1領域の占有面積率を測定した。
No.1の第1熱処理の後に、表1の条件で第2熱処理を施した以外はNo.1と同様の手順でNo.2のプリント配線板を製造した。得られたプリント配線板の錫めっき層の外面には、錫−銅合金によって形成される複数の第1領域及び合金化していない錫によって形成される1つの第2領域が設けられており、複数の第1領域が第2領域中に点在する海島構造が形成されていた。No.2のプリント配線板の錫めっき層の平均厚さ、錫めっき層の外面からの第2領域の平均厚さ、錫めっき層の外面における複数の第1領域の合計占有面積率、及び錫めっき層の外面の300μm2の単位面積における最大面積を有する1つの第1領域の占有面積率を表1に示す。
No.1と同様の手順でNo.3のプリント配線板を製造した。得られたプリント配線板の錫めっき層の外面には、図7に示すように、錫−銅合金によって形成される1つの第1領域41及び合金化していない錫によって形成される複数の第2領域42が形成されており、複数の第2領域42が第1領域41中に点在する海島構造が形成されていた。No.3のプリント配線板の錫めっき層の平均厚さ、錫めっき層の外面からの複数の第2領域の平均厚さ、錫めっき層の外面における第1領域の合計占有面積率、及び錫めっき層の外面の300μm2の単位面積における最大面積を有する1つの第1領域の占有面積率を表1に示す。
No.1と同様の手順でNo.4のプリント配線板を製造した。得られたプリント配線板の錫めっき層の外面には、錫−銅合金によって形成される複数の第1領域及び合金化していない錫によって形成される1つの第2領域が形成されており、複数の第1領域が第2領域中に点在する海島構造が形成されていた。No.4のプリント配線板の錫めっき層の平均厚さ、錫めっき層の外面からの第2領域の平均厚さ、錫めっき層の外面における複数の第1領域の合計占有面積率、及び錫めっき層の外面の300μm2の単位面積における最大面積を有する1つの第1領域の占有面積率を表1に示す。
No.1の第1熱処理に換えて、第2熱処理としてリフロー炉にてピーク温度275℃でリフロー処理を施すことでNo.5のプリント配線板を製造した。得られたプリント配線板の錫めっき層の外面には、錫−銅合金によって形成される1つの第1領域及び合金化していない錫によって形成される複数の第2領域が形成されており、複数の第2領域が第1領域中に点在する海島構造が形成されていた。No.5のプリント配線板の錫めっき層の平均厚さ、錫めっき層の外面からの複数の第2領域の平均厚さ、錫めっき層の外面における第1領域の合計占有面積率、及び錫めっき層の外面の300μm2の単位面積における最大面積を有する1つの第1領域の占有面積率を表1に示す。
(電子部品)
シリコンを主成分とする平均厚さ200μmの基板の表面に、平均厚さ30μm、かつNo.1〜No.5のプリント配線板の電極と同一幅の金箔製の電極をこれらのプリント配線板の電極と同一間隔で並列に積層し、電子部品を模した試験材を製造した。
No.1〜No.5のプリント配線板及び上記電子部品の電極同士を対向させ、プレス温度400℃、圧力20MPaG、プレス時間5秒の条件で熱プレスすることで接続体を製造した。
No.1〜No.5のプリント配線板と上記電子部品との接続体について、プリント配線板及び電子部品の電極同士の対向方向と平行な接合部の任意の10箇所の断面を、上述のエネルギー分散型X線(EDX)分析装置を用いて倍率5000倍で撮像し、Au−Sn共晶結合の有無を観察し、以下の基準で評価した。この評価結果を表2に示す。なお、表2では10箇所の測定断面のうち、評価Aであった個数(断面数)、及び評価Bであった個数(断面数)を記載している。
A:Au−Sn共晶結合が形成されている。
B:Au−Sn共晶結合が形成されていない。
No.1〜No.5のプリント配線板と上記電子部品との接続体について、電極間の絶縁性を以下の基準で評価した。この評価結果を表2に示す。
A:短絡が生じない。
B:短絡が生じる。
表2に示すように、No.1及びNo.2のプリント配線板は、プリント配線板の電極及び電子部品の電極が共晶結合されおり、かつ電極間の短絡も生じていない。これに対し、No.3のプリント配線板は、錫めっき層の外面における第1領域の合計占有面積率、及び錫めっき層の外面の300μm2の単位面積における最大面積を有する1つの第1領域の占有面積率が高すぎるため、またNo.5のプリント配線板は、錫めっき層の外面の300μm2の単位面積における最大面積を有する1つの第1領域の占有面積率が高すぎるため、電子部品との接合に用いられるろう材の形成量が不十分となり、プリント配線板の電極及び電子部品の電極が十分に共晶結合されていない。その結果、No.3及びNo.5のプリント配線板は、電子部品との接合強度が不十分である。また、No.4のプリント配線板は、プリント配線板の電極及び電子部品の電極が共晶結合されおり、電子部品との接合強度は高い。しかしながら、No.4のプリント配線板は、錫めっき層の外面からの第2領域の平均厚さが大き過ぎるため、電子部品の電極との接合時に形成されるろう材の量が多くなることで隣接する電極間で短絡が生じている。
2 ベースフィルム
3 電極
3a 電極本体
3b 錫めっき層
11,41 第1領域
12,42 第2領域
21 電子部品
22 本体
23 電極
31 接続体
32 接合部
Claims (6)
- 絶縁性を有するベースフィルムと、このベースフィルムの一方側の面に積層される複数の電極とを備えるプリント配線板であって、
上記複数の電極が、電極本体と、この電極本体の上記一方側の面に積層される錫めっき層とを有し、
上記錫めっき層の上記一方側の面に、錫合金によって形成される1又は複数の第1領域及び合金化していない錫によって形成される1又は複数の第2領域が設けられ、
上記錫めっき層の上記一方側の面における上記1又は複数の第1領域の合計占有面積率が90%以下であるプリント配線板。 - 上記錫めっき層の上記一方側の面の300μm2の単位面積における最大面積を有する1つの上記第1領域の占有面積率が90%以下である請求項1に記載のプリント配線板。
- 上記錫めっき層の上記一方側の面からの上記1又は複数の第2領域の平均厚さが0.4μm以下である請求項1又は請求項2に記載のプリント配線板。
- 上記電極本体の主成分が銅である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のプリント配線板。
- 上記複数の電極が線状で、かつ幅方向に並列に配設され、上記複数の電極の平均幅が40μm以下、隣接する電極の平均間隔が40μm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプリント配線板。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプリント配線板と、上記電極に電気的に接続される他の電極を有する電子部品との接続体であって、
上記プリント配線板の電極及び電子部品の電極が共晶接合されている接続体。
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