JP2019093408A - 鋳包み用部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鋳包み面に発生するせん断応力を効果的に分散した鋳包み用部材を提供する。【解決手段】 鋳包まれる面上に、網目状の凸部3と、前記凸部に囲まれる底面部Fと、単独突起部5a、5bを有する鋳包み用部材であって、前記凸部が、前記底面部から立ち上がる縦壁部と頂部とを備え、前記縦壁部の幅と比較して前記頂部の幅が大きく、少なくとも一部の前記底面部が略平坦面であり、前記単独突起部が、少なくとも一部の前記底面部から立ち上がるピン形状の突起部であり、前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部が線状部分と少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを形成している、鋳包み用部材。【選択図】 図2

Description

本発明は、鋳包み用部材及びその製造方法に関する。本発明は、特には制振用鋳包み用部材及びその製造方法に関する。
自動車の中枢部品であるシリンダブロック(以下、C/Bとも指称する)の成形には、生産性の高いダイカスト法が用いられており、それに伴いピストンが摺動するスリーブもダイカストの際、同時にアルミに鋳包まれる。
従来、ダイカストで鋳包まれるスリーブには、スリーブ外周面に先端が括れた単独の凸状突起を有するスリーブが用いられている(例えば、特許文献1、2を参照)。これらはシリンダとスリーブとの密着性や接合強度(密着強さ)を高めてボア間部の残留応力低減や径方向におけるアルミとの密着強さ低下を抑え、さらには燃焼時の熱放散性を向上させるなど、優れたエンジン性能に貢献している。
最近では車の操縦快適性が強く志向されており、C/Bに限らず、ブレーキドラムやミッションケース軸部、アルミホイールハブなど、回転部品から発生する音や振動の低減ニーズが高まっており、鋳包み用鋳鉄部材をアルミドラム本体に鋳包む事例が報告されている(例えば、特許文献3を参照)。
特許第4429025号 特許第4210468号 特開平5−187466号公報
今日におけるエンジンではスリーブの薄肉化を伴うダウンサイジングが強く叫ばれている。このような状況において、例えば、特許文献1や2に開示された先行技術ではスリーブの薄肉化による剛性低下が大きな課題となる。何故ならスリーブはダイカスト成形の際にアルミ溶湯の高い射出圧力に晒され、さらにC/Bとシリンダヘッド(以下、C/Hとも指称する)との締結時にはボルトからの強い締付け荷重によって高い圧縮ひずみが生じやすいためである。
また、特許文献3に開示されたような鋳包み部材を内包するアルミ回転部品においては、鋳包んだ鋳鉄部材とアルミとのヤング率に大きな差異があるため、制動時に付与される高い回転トルクによって鋳包み界面には局部的に高いせん断応力が発生し、当該界面付近ではアルミが局部的な領域で塑性変形を起こしてしまうことが懸念される。
よって、更なる剛性向上や外力により発生する応力を分散できる新しいスリーブ構造が創出できればボア周辺部での騒音・振動・ハーシュネス(NVH)特性劣化を防ぐ効果が期待できる。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、鋳包まれる面上に、連続した網目状の凸部を備え、さらに、ひずみや応力低減に有効な構造を備えた鋳包み用部材及びその製造方法に想到し、上記課題を解決するに至った。
[1] 本発明は、一実施形態によれば、鋳包まれる面上に、網目状の凸部と、前記凸部に囲まれる底面部と、単独突起部を有する鋳包み用部材であって、
前記凸部が、前記底面部から立ち上がる縦壁部と頂部とを備え、
前記縦壁部の幅と比較して前記頂部の幅が大きく、
少なくとも一部の前記底面部が略平坦面であり、
前記単独突起部が、少なくとも一部の前記底面部から立ち上がるピン形状の突起部であり、
前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部が線状部分と少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを形成している、鋳包み用部材に関する。
[2] 本発明は、別の実施形態によれば、鋳包まれる面上に、網目状の凸部と、前記凸部に囲まれる底面部とを有する鋳包み用部材であって、
前記凸部が、前記底面部から立ち上がる縦壁部と頂部とを備え、前記縦壁部の幅と比較して前記頂部の幅が大きく、
少なくとも一部の前記底面部が、前記鋳包まれる面の外周方向に膨出した凸面であり、
前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部が線状部分と少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを形成している、鋳包み用部材に関する。
[3] 本発明は、また別の実施形態によれば、鋳包まれる面上に、網目状の凸部と、前記凸部に囲まれる底面部と、単独突起部を有する鋳包み用部材であって、
前記凸部が、前記底面部から立ち上がる、高さがランダムに異なった縦壁部を備え、
少なくとも一部の前記底面部が略平坦面であり、
前記単独突起部が、少なくとも一部の前記底面部から立ち上がるピン形状の突起部であり、
前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部が線状部分と少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを形成している、鋳包み用部材に関する。
[4] 本発明は、また別の実施形態によれば、鋳包まれる面上に、網目状の凸部と、前記凸部に囲まれる底面部とを有する鋳包み用部材であって、
前記凸部が、前記底面部から立ち上がる、高さがランダムに異なった縦壁部を備え、
少なくとも一部の前記底面部が、前記鋳包まれる面の外周方向に膨出した凸面であり、
前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部が線状部分と少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを形成している、鋳包み用部材に関する。
[5] 前述の[2]または[4]に記載の鋳包み用部材において、凸面である前記底面部が、該底面部から立ち上がるピン形状の単独突起部を備えることが好ましい。
[6] 前述の[1]、[3]、または[5]のいずれか1項に記載の鋳包み用部材において、前記ピン形状の突起部が、
(a)根本の径よりも先端部の径が細いテーパーピン形状の突起部であって、該突起部の高さが、0.1mm以上であって、0.5mm未満である、及び/または、
(b)半ドーム形状の突起部
であることが好ましい。
[7] 前述の[1]、[3]、[5]、[6]のいずれか1項に記載の鋳包み用部材において、前記単独突起部が、1つの前記凸部に囲まれる底面部に、1〜10個設けられることが好ましい。
[8] 前述の[1]〜[7]のいずれか1項に記載の鋳包み用部材において、前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部の投影面積が、全投影面積に対して、5%以上70%以下であることが好ましい。
[9] 前述の[1]〜[8]のいずれか1項に記載の鋳包み用部材において、前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記線状部分と前記集合部分によって囲まれる部分の輪郭に接する内接円の直径が、0.5mm以上30mm以下であることが好ましい。
[10] 前述の[1]〜[9]のいずれか1項に記載の鋳包み用部材において、前記網目状の凸部の高さが、0.1mm以上5.0mm以下であることが好ましい。
[11] 前述の[1]〜[10]のいずれか1項に記載の鋳包み用部材において、前記線状部分の幅方向の長さが、0.1mm以上8.0mm以下であることが好ましい。
[12] 前述の[1]〜[11]のいずれか1項に記載の鋳包み用部材において、前記鋳包み用部材が、シリンダスリーブ、ブレーキ用摺動部材、軸受部材、二輪車ホイール用ハブであることが好ましい。
[13] 本発明は別の局面によれば鋳包み用部材の製造方法であって、
鋳型の溶湯を流し込もうとする面に塗型剤を塗布する工程と、
前記塗布した塗型剤を乾燥させて、表面にひび割れの形状及び窪みを有する塗型層を形成する工程と、
前記塗型層上から溶湯を流しこみ、前記鋳型を回転させながら鋳造する工程とを少なくとも含み、
前記ひび割れが、前記塗型層の表面から前記鋳型表面に達する複数の空隙により構成され、該空隙の幅が該塗型層の表面から前記鋳型表面に向かって狭まっており、及び、少なくとも一部の該空隙が、前記鋳型表面に沿って延びており、
前記窪みが、前記鋳型表面に達しないピン形状である、鋳包み用部材の製造方法に関する。
[14] 本発明はまた別の局面によれば鋳包み用部材の製造方法であって、
鋳型の溶湯を流し込もうとする面に塗型剤を塗布する工程と、
前記塗布した塗型剤を乾燥させて、表面にひび割れの形状を有する塗型層を形成する工程と、
前記塗型層上から溶湯を流しこみ、前記鋳型を回転させながら鋳造する工程とを少なくとも含み、
前記ひび割れが、前記塗型層の表面から前記鋳型表面に達する複数の空隙により構成され、該空隙の幅が該塗型層の表面から前記鋳型表面に向かって狭まっており、及び、少なくとも一部の該空隙が、前記鋳型表面に沿って延びており、
前記塗型層の、前記ひび割れによって画定される少なくとも一部の区域の中央部が、周囲部と比較して窪んでいる、鋳包み用部材の製造方法に関する。
[15] 本発明はまた別の局面によれば鋳包み用部材の製造方法であって、
鋳型の溶湯を流し込もうとする面に塗型剤を塗布する工程と、
前記塗布した塗型剤を乾燥させて、表面にひび割れの形状及び凹部を有する塗型層を形成する工程と、
前記塗型層上から溶湯を流しこみ、前記鋳型を回転させながら鋳造する工程とを少なくとも含み、
前記ひび割れが、前記塗型層の表面から前記鋳型表面に向かう複数の空隙により構成され、該空隙の幅が該塗型層の表面から前記鋳型表面に向かって狭まっており、及び、該空隙の深さがランダムに異なっており、
前記窪みが、前記鋳型表面に達しないピン形状である、鋳包み用部材の製造方法。
[16] 本発明はまた別の局面によれば鋳包み用部材の製造方法であって、
鋳型の溶湯を流し込もうとする面に塗型剤を塗布する工程と、
前記塗布した塗型剤を乾燥させて、表面にひび割れの形状を有する塗型層を形成する工程と、
前記塗型層上から溶湯を流しこみ、前記鋳型を回転させながら鋳造する工程とを少なくとも含み、
前記ひび割れが、前記塗型層の表面から前記鋳型表面に向かう複数の空隙により構成され、該空隙の幅が該塗型層の表面から前記鋳型表面に向かって狭まっており、及び、該空隙の深さがランダムに異なっており、
前記塗型層の、前記ひび割れによって画定される少なくとも一部の区域の中央部が、周囲部と比較して窪んでいる、鋳包み用部材の製造方法。
[17] 前述の[13]〜[16]のいずれか1項に記載の鋳包み用部材の製造方法において、前記ひび割れが、網目状の形状を有することが好ましい。
[18] 前述の[13]〜[17]のいずれか1項に記載の鋳包み用部材の製造方法において、前記塗型剤が、耐火材と粘結材と溶媒を少なくとも含むことが好ましい。
[19] 前述の[13]〜[18]のいずれか1項に記載の鋳包み用部材の製造方法において、前記塗型層を形成する工程が、該塗型剤を、前記溶媒の蒸発温度以上であって該蒸発温度から110℃高い温度以下の温度で加熱して、該溶媒を蒸発させて、前記ひび割れの形状を有する塗型層を形成することが好ましい。
本発明に係る鋳包み用部材は、これをアルミなどで鋳包んで得られた製品の鋳包み界面におけるせん断ひずみや圧縮ひずみの低減、および振動減衰性の向上が可能となり、NVH特性劣化を防止することができる。また、鋳包み用部材の鋳包まれる面に所定の形状を有することで、鋳包むアルミとの接触面積を増加させ、鋳包み用部材からアルミへの熱伝達や熱拡散性に関与する熱伝導率を向上させることが可能となる。
図1はシリンダスリーブの一例を概念的に示す斜視図である。 図2は、図1の領域d1の模式的な拡大図であり、本発明の第1実施形態による鋳包み用部材の鋳包まれる面を概念的に示す斜視図である。 図3は、図1と同様のシリンダスリーブにおける、鋳包まれる面の模式的な拡大図であり、本発明の第2実施形態による鋳包み用部材の鋳包まれる面を概念的に示す斜視図である。 図4は、シリンダブロックの一例を概念的に示す断面図である。 図5は、本発明の第1実施形態による鋳包み用部材の鋳包まれる面の一部を平面視した平面図である。 図6は、図5のA−A’断面を示す図である。 図7は、図6中のテーパーピン形状の単独突起部の拡大断面図である。 図8は、図6中の半ドーム形状の単独突起部の拡大断面図である。 図9は、括れ形状を有する凸部を模式的に示す断面図である。 図10は、図5のB−B’断面を示す図であって、縦壁部から構成される凸部を模式的に示す図である。 図11は、本発明の第1実施形態による鋳包み用部材の鋳包まれる面の一部の12倍の電子顕微鏡写真である。 図12は、本発明の第2実施形態による鋳包み用部材の鋳包まれる面の一部を平面視した平面図である。 図13は、図12のD−D’断面を示す図である。 図14は、本発明の第2実施形態による鋳包み用部材の鋳包まれる面の一部の20倍の電子顕微鏡写真である。 図15は、本発明に係る鋳包み用部材の製造方法を説明する図である。 図16は、本発明に係る鋳包み用部材の製造方法において、塗型層の形成メカニズムを示す図である。 図17は、図16において説明した塗型層を用いて得られる鋳包み用部材を模式的に示す図である。 図18は、鋳包み用部材がエンジンシリンダブロックに鋳込まれるシリンダスリーブである場合の、鋳包み界面に発生する応力及びその低減効果を説明する図である。 図19は、鋳包み用部材がアルミ製のドラムブレーキに鋳込まれるブレーキシューと接する摺動部材である場合の、鋳包み界面に発生する応力及びその低減効果を説明する図である。 図20は、実施例2による鋳包み用部材であって、網目状の凸部及び半ドーム型状の単独突起部を有する鋳包み用部材の鋳包まれる面の電子顕微鏡写真である。 図21は、実施例4による鋳包み用部材であって、底面部が鋳包まれる面の外周方向に膨出した凸面である鋳包み用部材の断面の電子顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲は、この形態に限定されるものではない。
本発明は、一実施形態によれば、鋳包み用部材に関する。鋳包み用部材の素材としては、鋳鉄、銅合金、錫又は亜鉛合金などの比重が大きく自己摺動性を有し、防振係数の大きい金属が挙げられる。中でも鋳鉄は、一般的に鉄と炭素とケイ素を含む三元合金であり、自己摺動性に優れる黒鉛を晶出させた合金であって、かつ制振性にも優れているため適している。例えば、鋳鉄であれば、Fe以外に、鋳鉄全体の質量に対して、3.1〜3.8質量%のT.C(Total Carbon)、1.9〜2.5質量%のSi、0.5〜1.0質量%のMn、0.01〜0.5質量%のP、0.02〜0.1質量%のSを含む成分もよい。
鋳包み用部材本体の形状は、特に限定されるものではなく、用途に合わせて適宜選定することが可能である。例えば筒状、半円筒状、断面がコの字状や⊥の字状となる形状、曲面又は略平面の板状等の形状が挙げられる。鋳包み用部材の例としては、エンジンシリンダブロックに鋳込まれるシリンダスリーブ、EV車やハイブリッド車等の回生ブレーキにおけるアルミ製のドラムブレーキに鋳込まれるブレーキシューと接する円環状の摺動部材や、二輪車及び特殊機械用のダイカストホイールハブのボス、さらにはシリンダブロックやロアケースのクランクジャーナル部、ミッションケースや電動モータ等のハウジングの軸受部などの何らかのダイカスト部品に鋳込まれるものが挙げられる。以下、筒状のシリンダスリーブを例示して本発明を説明するが、本発明は特定の形状の鋳包み用部材や特定の製品に限定されるものではない。
図1は、鋳包み用部材の一例であるシリンダスリーブ11の概念的な斜視図である。シリンダスリーブ11は、内表面11isと外側の表面11sとで画定される筒型形状の構造体であって、外側の表面11sがアルミニウムなどの金属に鋳包まれる面である。図2は、図1のd1で表す領域を拡大した模式的な斜視図の一例であって、本願の第1実施形態による鋳包み用部材の模式的な斜視図である。シリンダスリーブは、鋳包まれる面11sに、網目状の凸部3、底面部F及び単独突起部5a、5bを備えている。網目状の凸部3は底面部Fから突出した部分であり、連続的に存在して、鋳包まれる面の全体にわたって存在している。図3は、図1と同様のシリンダスリーブの鋳包まれる面の一部の領域を拡大した模式的な斜視図の一例であって、本願の第2実施形態による鋳包み用部材の模式的な斜視図である。網目状の凸部3の構成は、図2と概ね同様である。一方、図3において、網目状の凸部3に囲まれた底面部Cは、中央部が、周囲部と比較して突出した凸面構造を備える。
次に、シリンダスリーブについて概略的に説明する。図4は、シリンダスリーブを構成要素とするシリンダブロックの一例を示す概念図である。シリンダブロック10は、シリンダスリーブ11の外周面をアルミ12で鋳包むことで鋳造されている。
[第1実施形態:鋳包み用部材]
本発明は第1実施形態によれば、鋳包み用部材である。本実施形態による鋳包み用部材は、鋳包まれる面上に、網目状の凸部と、前記凸部に囲まれる底面部と、単独突起部を有する鋳包み用部材であって、少なくとも一部の前記底面部が略平坦面であり、前記単独突起部が、少なくとも一部の前記底面部から立ち上がるピン形状の突起部であり、前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部が線状部分と少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを形成している。第1実施形態の第1態様においては、前記凸部が、前記底面部から立ち上がる縦壁部と頂部とを備え、前記縦壁部の幅と比較して前記頂部の幅が大きく構成されている。第1実施形態の第2態様においては、前記凸部が、前記底面部から立ち上がる、高さがランダムに異なった縦壁部を備えるように構成されている。
図5は、第1実施形態による鋳包み用部材の鋳包まれる面を、当該面の鉛直方向から平面視した平面図であり、図6は、図5のA−A’断面図である。鋳包み用部材の鋳包まれる面11sは、図1に示すシリンダスリーブ11であれば、外周面に相当する。
鋳包まれる面をその外周方向から平面視した場合、凸部3は、線状部分31と集合部分32とで構成される網目状構造を備える。線状部分31は、凸部3が、幅をもった線状又は帯状の形態で確認できる部分をいう。線状部分31は、直線であっても曲線であってもよく、幅や長さ、高さが不均一であっても不定形であってもよい。線状部分31の長手方向Laの長さは、特に限定されるものではない。線状部分31の短手方向の長さ、つまり、線状部分の頂部の幅方向の長さLbは、好ましくは0.1mm以上であって8.0mm以下、より好ましくは0.1mm以上であって5.0mm以下、さらにより好ましくは0.2mm以上であって3.0mm以下程度である。線状部分31の短手方向の長さは、平面に投影した場合の幅にあたる。0.1mm未満では、鋳包むアルミに対するアンカー効果や線状部分31がアルミの変形を抑える上で効力が不十分となる場合がある。8.0mmを超えると、軽量化が十分ではない場合がある。線状部分31の頂部の幅方向の長さを上記の範囲とすることにより、線状部分31が合流する集合部分32となるハブ部位をより多く確保することができる。なお、線状部分31の頂部の上面の幅方向の長さは、例えばデジタルマイクロスコープを用いて測定することができ、例えば1点から50点測定し、その平均値又は最小値と最大値に基づいてその測定値が含まれる範囲、好ましくはその測定値全てが含まれる範囲として求めてもよい。なお、線状部分の頂部の幅方向の長さLbは、凸部が括れ形状の断面を備える第1態様と、凸部が縦壁部から構成される第2態様で異なる場合がある。詳細は後述する。
図5において、集合部分32aは、3つの線状部分31a、31b、31cが合流して形成される。集合部分32に合流している線状部分31の本数は、特に限定されるものではなく、少なくとも2つであり、好ましくは2つ以上6つ以下である。網目状の凸部3は、少なくとも2つの集合部分32を備えることが好ましい。網目状の凸部3に集合部分32が2つ以上ある場合、各々の集合部分32で合流している線状部分31の本数は、同じであっても異なっていてもよい。鋳包み用部材の外周面に形成した網目状の凸部3は、鋳包み用部材の剛性を向上させる補強リブの効果をもたらす。かつ、集合部分32は、鋳包まれた際に外力により発生する応力を分散させる点から、線状部分31が互いにランダムな方向で合流していることが好ましい。線状部分31が互いにランダムな方向で合流しているとは、例えば2つの線状部分31が平行ではなく異なる向きで集合部分32に合流していることをいう。
底面部Fは、平面視した場合、凸部3の線状部分31a、31b、31d、31eと集合部分32a、32b、32c、32dによって囲まれた部分である。一方、図6を参照すると、底面部Fは、鋳包み用部材の内表面11isと概ね平行な略平坦面で規定される部分である。本明細書において、略平坦面とは、凸面と異なり、底面部Fの中央部と周囲部との厚みの差が実質的になく、あるいは、約100μm未満程度である面をいうものとする。底面部Fの周囲部とは、凸部3が立ち上がる部分をいい、中央部とは、周囲部から少なくとも離間した部分をいうものとする。本実施形態による鋳包み用部材の図5、6に示す部分構造においては、凸部3が連続的な切れ目のない網目を形成しており、凸部3及び底面部Fに囲まれた領域が形成される。本明細書において、この領域をセルと指称する。なお、セルは、連続的な凸部3により完全に包囲された領域に限らず、凸部3が一部途切れている場合もあるが、例えば、途切れた部分を平面図上の仮想の延長線で補うことにより、同様にセルとみなすことができる。図5及び6においては、セル内に、単独突起部5a,5bが形成されている。単独突起部5a、5bは、連続的に連なる凸部3と異なり、平面視した場合に略円形を有するピン形状の突起部である。1つのセルあたり、1個以上、10個以下の単独突起部5a、5bが設けられることが好ましく、1個以上、6個以下の単独突起部が設けられることがさらに好ましい。しかし、鋳包み用部材全体に複数存在するセルのうち、単独突起部が存在しないものがあってもよい。1つのセルに含まれる複数の単独突起部は、その形状が同一であっても異なっていてもよい。
単独突起部には、大別して、テーパーピン型状の単独突起部5aと、半ドーム型状の単独突起部5bとがある。図7は、図6の単独突起部5aの拡大図であって、テーパーピン型状の単独突起部5aの断面を示す。テーパーピン型状の単独突起部5aは、底面部Fより立ち上がる突起部の根元の径R5aが当該ピン先端部の径より大きく、突起部の高さh5aが突起部の根元の径R5aの概ね2倍以上ものをいう。テーパーピン型状の単独突起部5aの高さh5aは、例えば、0.1mm以上であって0.5mm未満であり、好ましくは0.2mm以上0.4mm以下である。上記範囲よりも単独突起部の高さh5aが低いと、鋳包み界面における剪断応力の分散効果、放熱性効果を十分に発揮できない場合がある。上記範囲よりも単独突起部の高さh5aが高いと、鋳包み部材の製造時において、セル内へのアルミの充填性が低下してしまい、凸部3界面に空隙が生じやすくなって鋳包み部材の性能自体を低下させてしまう場合がある。
図8は、図6の単独突起部5bの拡大図であって、半ドーム型状の単独突起部5bの断面を示す。半ドーム型状の単独突起部5bは、突起部の高さh5bが突起部の根元の径R5bの概ね2倍未満であり、先端が実質的に曲面で構成されている突起部である。半ドーム型状の単独突起部5bの高さh5bは、例えば、0.1mm以上、0.5mm以下程度であって、好ましくは、0.2mm以上、0.4mm以下程度である。
再び図5を参照すると、鋳包まれる面を、当該面の鉛直方向から平面視した場合において、凸部3により囲まれた底面部Fには、内接円Icを描くことができる。この内接円Icの直径は、好ましくは0.5mm以上30mm以下、より好ましくは1.0〜15mm、さらにより好ましくは1.5mm〜5.0mmである。0.5mm未満では、鋳包み時のアルミと接する有効面積が不十分であり、鋳包むアルミに対する有効なアンカー効果を保ちにくく、また、熱伝導性も不十分となる場合がある。30mmを超えると、鋳包み後にアルミと接する有効面積が不足する場合があり、さらに外力により発生する応力の分散に寄与する有効な網状構造とならない場合がある。内接円の直径を上記範囲とすることにより、鋳包み時のアルミと接する有効面積が十分となり、鋳包み部材として使用された際に熱伝導性が良好となり、また、網状構造が応力を分散し得る。なお、内接円の直径は、例えば鋳包み用部材が筒状の形状である場合、例えばデジタルマイクロスコープを用いて曲面上の凸部3の撮影画像を平面上に補正した画像に基づいて、その底面部Fに内接円を作成し、例えば1〜50点の内接円から平均値で求めてもよいし、又は、最小径と最大径に基づいてその測定値が含まれる範囲、好ましくはその測定値全てが含まれる範囲として求めてもよい。なお、本発明は、全ての平坦部分が線状部分に周囲全体を囲まれている態様には限定されない。この場合は、いくつかの線状部分に沿った内接円を描き、その直径を上記同様に取り扱うことができる。
鋳包み用部材の鋳包まれる面を鉛直方向から平面上に投影した場合に、網目状の凸部3を平面上に投影した投影面積は、全投影面積に対して、好ましくは5%以上70%以下、より好ましくは10%以上60%以下、さらにより好ましくは16%以上43%以下である。5%未満だと、鋳包み時のアルミと接する有効面積が不十分となる場合があり、また、外力によって発生する応力を低減する補強リブとしての効果が低下する場合がある。70%を超えると、軽量化効果が活かされない場合がある。当該網目状の凸部3の投影面積を、全投影面積に対して上記の範囲とすることで、鋳包んだ際に鋳包む金属との密着強さや熱伝達性、熱放散性を確保しつつ、剛性を向上させることが可能となり、鋳包んだ後の鋳包み部材としての熱伝導率や比弾性率を向上させることも可能となり得る。なお、投影面積は、例えばマイクロスコープを用いて撮影し、平面補正した画像に基づいて2値化処理を行って算出してもよく、例えば1〜50点の測定結果から平均の凸部投影面積率で求めてもよいし、又は、当該面積率の最小値と最大値に基づいてその測定値が含まれる範囲、好ましくはその測定値全てが含まれる範囲として求めてもよい。網目状の凸部3は、鋳包み用部材の表面において、連続的に形成されている。「連続的に」は、全ての線状部分が繋がっている態様に限定されるものではなく、一部の線状部分のみが繋がっている態様も含む。
本実施形態において、凸部3の断面形状は、大別して2態様に分類することができる。ここでいう断面形状は、鋳包まれる面に対して垂直方向、かつ線状部分の長手方向に垂直の断面形状である。図5、6に示す実施形態においては、括れ形状の断面を備える第1態様による凸部3aと、縦壁部から構成される第2態様による凸部3bとが混在している。しかし、本発明は、鋳包み用部材が第1態様による凸部3aのみを備えているもの、第2態様による凸部3bのみを備えているもの、あるいはその両者が混在するものがあってよい。混在する場合は、同一のセルを構成する凸部の中にも、第1態様による凸部3aと第2態様による凸部3bとが存在してよい。
第1態様による凸部3aについて説明する。図9は、括れを有する形状をもつ凸部(線状部分)の断面の模式的な拡大図である。図9を参照すると、凸部3aは、底面部Fから略垂直に立ち上がって延びた部分である縦壁部7と、頂部4とで構成される。縦壁部7は、図示する断面において、底面部Fから頂部4付近まで略一定の幅L7を有しており、頂部4は、縦壁部7と比較して大きい幅L4を有している。このような形状を、括れを有する形状ということができる。しかし、括れを有する形状は図9に示す形態には限定されず、縦壁部の幅が一定でなくてもよい。また、図6に示す凸部3aのように縦壁部から頂部にかけて、連続的に幅が増加する態様であってもよく、図9に示すように縦壁部7と頂部4とが所定の角度で接する角部Eを形成する態様であってもよい。頂部4の幅L4は、図5を参照して説明した線状部分の幅Lbに該当する。鋳包み用部材の表面に上述した形状の構造を備えることで、鋳包み用部材が鋳込まれた際に、例えば括れを有する形状、特には縦壁部7と頂部4とが形成する、アンダーカット形状となる角部Eに溶湯が回りこみ、アンカー効果を向上させて外力作用時におけるアルミと鋳包み部材との隙間の発生を抑えることができ得る。
図9に示す断面形状は、略T型や略Γ型と指称することもできる。略T型の断面を備える凸部において、縦壁部は、凸部の頂部を等分するような位置で頂部と接していてもよい。一方、縦壁部は、頂部を等分としない位置で頂部と接していてもよい。凸部の頂部の形状は端部になるにつれて細くなっていてもよく、凸部の頂部の実質的に全体にわたって一定の厚みを有していてもよい。縦壁部は、断面図における幅が、底面部近傍から頂部近傍に至るまで略一定であってもよく、その側面に凹凸を有していてもよい。また、縦壁部は、底面部Fを構成する略平坦面に対し、略垂直に立ち上がっていてもよく、略平坦面に対する垂線からある程度の角度で傾斜して延びていてもよい。
凸部3aの高さh3は、頂部4の高さh4と縦壁部7の高さh7の和で表すことができる。凸部3aの高さh3は、線状部分31の長手方向Laに沿って実質的に一定であってもよいが、部分的に異なる場合もある。凸部の高さh3は、好ましくは0.1mm以上5.0mm以下、より好ましくは0.1mm〜3mm、さらにより好ましくは0.5以上1.5mm以下である。0.1mm未満では、鋳包むアルミに対するアンカー効果が不十分となる場合があり、また、剛性を向上させる補強リブの効果を低下させる場合がある。さらに、熱を拡散させるために必要なアルミとの接触面積も不足する場合がある。凸部3aの高さh3が5.0mmを超えると、遠心鋳造による形成は困難となる場合がある。凸部3aの高さh3を上記の範囲とすることで、鋳包む金属と接触する有効面積が増加し、熱放散性を向上させ得る。なお、凸部3aの高さh3は、例えばデジタルマイクロスコープの計測機能と画像解析ソフトWinROOF2013を用いて、鋳包み用部材の任意の表面をライン分析して平均値で求めてもよい。または、デジタルマイクロスコープにて断面観察し、任意の計測エリア内において、底面部Fからの各凸部3aの最小高さと最大高さに基づいてその測定値が含まれる範囲、好ましくはその測定値全てが含まれる範囲として求めてもよい。
次に、第2態様による凸部3bについて説明する。第2態様による凸部3bは、線状部分31の長手方向に沿って高さがランダムに異なる縦壁部から構成される。第2態様による凸部3bは、幅広の頂部を有さず、縦壁部からなる構造である。その断面形状は図6の凸部3bに例示されるように、例えば、底面部Fから先端部分にかけて幅が狭まる形状であってもよい。あるいは、底面部Fから先端部分にかけて幅が略一定や、不定形であってもよい。凸部3bの高さh3は、線状部分の長手方向に沿ってランダムに異なる。図10は、図5の線状部分31aのB−B’線による断面図である。図5の線状部分31aは、第2態様による凸部3bであり、線状部分31aの長手方向に沿って高さh3が異なり、凸部の高さh3が低い部分と高い部分がランダムに存在している。第2態様による凸部3bは、鋳包まれる面をその外周方向から平面視した場合、線状部分の幅方向の長さLbが、第1態様による凸部3aにおける線状部分の幅方向の長さLbより小さくなり、好ましくは0.1mm以上であって3.0mm以下、より好ましくは0.2mm以上であって2mm以下である。
なお、本実施形態に係る鋳包み用部材は、鋳包まれる面に、後述する製造方法にて製造され得る様々な形状の凸部を有するため、第1、第2態様において説明した断面形状以外の断面形状を持つ凸部が存在する場合もある。
鋳包み用部材の全体的な外形は、凸部3がマスクメロンの表面模様のような網目状の形状を有し、かつ、凸部3に囲まれた空間に、単独突起部を備えており、及び/または、少なくとも一部の底面部が、鋳包まれる面の外周方向に膨出した凸面である。再び図1を参照すると、鋳包み用部材の肉厚11bは、好ましくは2〜20mmの厚みを有する。鋳包み用部材の肉厚は、例えば図6では、鋳包み用部材の内周面から底面部Fの表面までの厚みh9と、網目状の凸部の高さh3の和であり、凸部の高さh3は、鋳包み用部材の肉厚の好ましくは1〜70%、より好ましくは10〜50%であってもよい。
図11は、第1実施形態による鋳包み用部材の鋳包まれる面を撮影した12倍の電子顕微鏡写真である。図11から、網目状の凸部3と、単独突起部5aとを明確に観察することができる。
[第2実施形態:鋳包み用部材]
本発明は第2実施形態によれば、鋳包み用部材である。本実施形態による鋳包み用部材は、鋳包まれる面上に、網目状の凸部と、前記凸部に囲まれる底面部とを有する鋳包み用部材であって、少なくとも一部の前記底面部が、前記鋳包まれる面の外周方向に膨出した凸面であり、前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部が線状部分と少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを形成している第2実施形態の第1態様においては、前記凸部が、前記底面部から立ち上がる縦壁部と頂部とを備え、前記縦壁部の幅と比較して前記頂部の幅が大きく構成されている。第2実施形態の第2態様においては、前記凸部が、前記底面部から立ち上がる、高さがランダムに異なった縦壁部を備えるように構成されている。
図12は、第2実施形態による鋳包み用部材の鋳包まれる面を、当該面の鉛直方向から平面視した平面図であり、図13は、図12のD−D’断面図である。鋳包み用部材の鋳包まれる面は、底面部C、凸部3とから構成されている。凸部3は、底面部Cから、鋳包まれる面の外周方向Oに立ち上がる構造を有している。そして、平面視した場合、凸部3は、線状部分31と集合部分32とで構成される網目状構造を備える。
本実施形態において、凸部3の平面形状及び断面形状については、第1実施形態と同様であり、第1実施形態において説明したあらゆる変形形態を備えることができるため、ここでは説明を省略する。
図12、13を参照すると、底面部Cは、略平坦面ではあるが、その中央部が周囲部と比較して、鋳包まれる面の外周方向に膨出した凸面である。ここで、中央部が周囲部と比較して外周方向に膨出しているとは、1つのセルにおいて、鋳包み用部材の内周面から底面部Cの中央部までの最大厚みhc1が、鋳包み用部材の内周面から底面部Cの周囲部までの最小厚みhc2より大きく、かつその差hc1−hc2が、0.1mm以上であり、鋳包まれる面の外周方向に凸状であることをいうものとする。なお、底面部Cの周囲部とは凸部3の根元部分をいい、中央部とは少なくとも周囲部から離間した部分をいうものとする。このように定義される、鋳包まれる面の外周方向に膨出した凸面からなる底面部Cを、本明細書においては、凸状底面部Cとも指称する。
鋳包み用部材に含まれる複数のセルのうち、少なくとも一部のセルにおいて、凸状底面部Cを備えていればよく、例えば、10%以上、好ましくは、30%以上のセルにおいて凸状底面部Cを備えていることが好ましい。したがって、第2実施形態による鋳包み用部材においても、一部のセルにおいては、第1実施形態と同様に、セルの底面部は略平坦面から構成されていてもよい。
第2実施形態の変形形態によれば、凸状底面部Cから立ち上がる単独突起部を備えていてもよく、テーパーピン形状の単独突起部5aであってもよく、半ドーム形状の単独突起部5bであっても、それらの混在する形態であってもよい。さらに、第2実施形態の変形形態においても、底面が略平坦面から構成されるセルにおいて、略平坦面から立ち上がる単独突起部5a、5bを備えていてもよい。単独突起部が存在する場合において、その好ましい形状、寸法、数等については、第1実施形態と同様であってよい。なお、第1実施形態において、凸部3や単独突起部5a、5bの高さは、略平坦な底面部Fからの高さをいうものとしたが、本実施形態において凸部3の高さとは凸部3の根元を基準とし、単独突起部5a、5bの高さとは、凸部底面部Cを基準として定義されるものとする。
図14は、第2実施形態による鋳包み用部材の鋳包まれる面を撮影した20倍の電子顕微鏡写真である。図14から、網目状の凸部3と、凸状底面部Cとを明確に観察することができる。また、凸部3の高さが、線状部分の長手方向に沿ってランダムに異なっている様子が観察できる。さらに、網目状の凸部3の縦壁側面には微小な凹穴も多く形成されている様子も観察できる。鋳包まれたアルミ溶湯は当該微小凹穴にも差し込むため、鋳包み用部材とアルミとの密着界面はより複次元的となり、外力によるせん断や圧縮等が作用しても剥離は起きにくく、鋳包み部材自体の強度アップに寄与する。
ここで、本発明の第1、第2実施形態による鋳包み用部材は、アルミニウム(アルミともいう)、アルミニウム合金、又は、その他の非鉄合金によって鋳包まれる。鋳包み用部材をこれらの金属又は合金によって鋳包んで得られる部材を、鋳包み部材という。上述したように鋳包み用部材と鋳包むアルミニウム等の金属又は合金との密着性が良好であり、鋳包み部材としての熱伝導性も良好となる。なお、熱伝導率は、レーザーフラッシュ法によって測定することができる。例えば、鋳包み用部材がエンジンシリンダブロックに鋳込まれるシリンダスリーブである場合、シリンダスリーブは、周囲のアルミ製のシリンダバレルに熱を均一に放散すること、及び、燃焼圧力やシリンダヘッド締結時の圧縮荷重がかかりやすいため剛性が高いことが求められる。本発明をシリンダスリーブに適用し、そのシリンダスリーブを例えばアルミで鋳包むことで、熱伝導率や熱拡散性が更に優れたエンジンシリンダブロックとすることができる。また、エンジンの圧縮比を上げても効率よくシリンダスリーブからアルミのシリンダバレルへと放熱することができ、高圧縮化に伴う燃焼温度の上昇を抑制し得る。さらに、シリンダスリーブの比弾性率を向上し得るため、同一の重量であれば上記の運転時や締結時に、鋳包んだシリンダスリーブのボア変形、つまり真円度の変化を防止でき、エンジンのメカニカルロスやブローバイガスを低減し、さらには音や振動等の発生を抑制し得る。同一の剛性のシリンダスリーブであれば、スリーブ自体を薄肉化及び軽量化することができ、強いてはエンジンの軽量化を可能とし得る。
[第3実施形態:鋳包み用部材の製造方法]
本発明は、また、第3実施形態によれば、鋳包み用部材の製造方法に関する。本発明の方法は、鋳型の溶湯を流し込もうとする面に塗型剤を塗布する工程と、前記塗布した塗型剤を乾燥させて、表面にひび割れの形状を有する塗型層を形成する工程と、前記塗型層上から溶湯を流しこみ、前記鋳型を回転させながら鋳造する工程とを少なくとも含む。
鋳包み用部材を成形するための鋳型の材質や形状は、特に限定されるものではなく、対象の鋳包み用部材の粗材や用途に合わせて選定してもよい。例えば、鋳包み用部材としてエンジンシリンダブロックに鋳込まれるシリンダスリーブを成形する場合は、鋳型は、金属製の金型であることが好ましく、筒状の形状であることが好ましい。この場合、遠心力を利用した遠心鋳造法によって成形することが好ましい。なお、鋳包み用部材を成形する鋳型の表面は、例えば機械加工のままの略平滑面であってもよい。
図15は、本発明の一態様の鋳包み用部材の製造方法の概略に説明する図である。図15(a)は、容器66中で調製した液体状の塗型剤62を概略的に示す。塗型剤62は、耐火材と粘結材と溶媒とを少なくとも含んでいてもよい。場合によって、骨材も含んでいてもよい。
耐火材としては、鋳型表面の保護に加え、特に、溶湯の白銑化防止や十分な離型性を確保する点から、珪藻土粉体が好ましい。耐火材の配合量の下限値は、塗型剤全体の質量に対して、好ましくは2質量%以上、より好ましくは8質量%以上であり、上限値は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは27質量%以下、さらにより好ましくは15質量%以下である。
粘結材としては、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリナイト、セピオライト、アタパルジャイト、耐火粘土などが挙げられる。特に、耐火材や骨材と共に溶媒に混合した際、分離を抑制し、塗型剤を鋳型の表面に貼り付けることができる粘度とし得る点から、溶媒を吸収して膨潤しゲル化するベントナイトが好ましい。粘結材の配合量の下限値は、塗型剤全体の質量に対して、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上であり、上限値は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは12質量%以下である。2質量%未満では、耐火材との分離が発生しやすく、また塗型層の強度が不十分となる場合があり、20質量%を超えると、塗型剤のスラリー粘度が高くなり過ぎてコーティングが困難となる場合がある。
溶媒としては、水を用いてもよい。溶媒の配合量の下限値は、塗型剤全体の質量に対して、好ましくは60質量%以上であり、上限値は、好ましくは85質量%以下である。塗型剤は、上述した材料の他に、例えばブタノールなどの水より沸点の高い有機溶剤を含んでいてもよく、この場合、水と混和して用いてもよい。
塗型剤は、また、上述した材料の他に骨材を含んでいてもよい。骨材としては、ムライトやセラビーズのような酸化アルミニウムと二酸化ケイ素からなる鉱物粉体又は人工セラミックス砂、また、ジルコン砂、クロマイト砂、けい砂、オリビン砂、スピネル砂などの鋳造砂を用いてもよい。特に、耐火材や粘結材との分離を防ぐために比重が小さく、さらに溶媒を吸収せず、乾燥固化時に塗型層の収縮量を促進させて、塗型層のひび割れを増加させる点から、ムライトやセラビーズが好ましい。骨材の配合量の下限値は、塗型剤全体の質量に対して、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらにより好ましくは3.0質量%以上であり、上限値は、特に限定されるものではないが、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
耐火材と粘結材と溶媒とを少なくとも混合し、場合によって骨材も混合して、スラリー状の塗型剤としてもよい。
図15(b)は、鋳型61の溶湯を流し込もうとする面である内周面60に塗型剤62を塗布する工程の概念図である。本実施形態においては、流し込もうとする面(以下、溶湯接触面ともいう)は鋳型61の内周面60であり、塗型層62を形成する前のその表面は、略平坦であることが好ましい。塗布する工程では、筒状の鋳型61を一定の向きrに回転させながら、ノズル41を用いて鋳型の内周面60に塗型剤62を塗布する。
鋳型に塗型剤を塗布する際の鋳型の内周面60は、塗型剤が急騰しない温度に加熱されていることが好ましい。加熱温度としては、好ましくは110〜210℃、より好ましくは120〜180℃である。
図15(c)は、塗布した塗型剤を乾燥させて、ひび割れの形状を有する塗型層を形成する工程の概念図である。塗型剤を乾燥させるまでの間、鋳型61を一定の向きrに回転させることが好ましい。
塗型剤の乾燥は、塗布後にそのまま鋳型を回転させたまま行うことができる。加熱したまま又はさらに加熱した鋳型の熱によって塗型剤を乾燥・固化させてもよい。または、鋳型の回転を停止させた後に、必要に応じて鋳型の外側から鋳型を加熱し、乾燥固化時間の短縮を図ってもよい。
塗布後にさらに加熱することで乾燥させる場合、好ましくは、溶媒の蒸発温度以上であって蒸発温度から110℃高い温度以下の温度で加熱する。これにより、塗型剤62の内部から溶媒が急騰するのを抑制し、また、気泡(水蒸気)の過度な発生を抑制した状態で、塗型剤62の乾燥固化に伴う収縮によってひび割れの形状を有する塗型層を形成することができる。加熱温度の下限値は、好ましくは溶媒の蒸発温度以上であり、より好ましくは溶媒の蒸発温度より10℃高い温度以上であり、さらに好ましくは溶媒の蒸発温度より20℃高い温度である。加熱温度の上限値は、好ましくは溶媒の蒸発温度より110℃高い温度以下であり、より好ましくは溶媒の蒸発温度より80℃高い温度以下である。
塗型層62の乾燥後の厚みは、鋳包み用部材における所望の最大凸部高さ等により決定することができ、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1mm〜5.0mm、より好ましくは0.5mm〜2.0mmの平均厚さを有していることが好ましい。
次に、図16を用いて、塗型層の形成メカニズムを説明する。図16(a)は、加熱した鋳型61に塗布された塗型剤62から、揮発成分63の一部が蒸発する段階を模式的に示す。図16(b)は、塗型層62の乾燥固化時の初期の状態を示す。この段階では、塗型層62から揮発成分63が大量に蒸発し、塗型層62の表面においてランダムな間隔で収縮64が生じ始め、ひび割れ65が発生する。図16(c)は、乾燥固化時の中期の状態を示す。塗型層62の収縮64がさらに進行し、塗型層62の表面から、鋳型61の表面に向かって拡大したひび割れ65が生じ、塗型層の厚み方向における空隙の断面が楔形状となる。場合によって、このようなひび割れの状態で完全に乾燥固化してもよい。
図16(d)は、乾燥固化時の末期の状態を示す。塗型層62を貫通したひび割れ65が生じ、ひび割れ65により画定された、ブロックが生じる。ブロックは、隣接する別のブロックとは互いに実質的に接触していない場合もあり、一部が接触する場合もある塗型層となる。さらに、塗型層の収縮により、特には各ブロックの収縮により、ひび割れ65が進行する。塗型層62の表面から、鋳型61表面に向かう連続的なひび割れは、網目状の凸部3を形成するための型となる。
初期に形成された、塗型層62表面から鋳型に向かうひび割れに対して略垂直に、鋳型61表面に沿ってさらに空隙が広がるひび割れが形成される場合、この塗型層62を用いて形成される凸部3は、縦壁部と頂部を備え、括れた構造となる第1態様による凸部3aを形成する。第1態様による凸部3aの型となるひび割れを形成するためには、乾燥固化時間を比較的長くすることで得られる。
一方、塗型層62の表面から鋳型61表面まで至らないひび割れが形成される場合、主として、第2態様による凸部3bを形成するための型となる。第2態様による凸部3bは、縦壁部から構成され、その高さがランダムに異なる。また第2態様による凸部3bの型となるひび割れを形成するためには、乾燥固化時間を比較的短くすることで得られる。しかし、いずれの形態のひび割れを形成する場合にも、その条件は、様々な因子に左右され得るため、具体的な条件は、予備実験などにより決定することができる。
ある実施形態においては、塗型層62の表面からの水分蒸発により窪み67が形成される。窪み67のうち、比較的深いものは、第1実施形態において説明したテーパーピン形状を備える単独突起部5aを形成する型となる。窪み67のうち、比較的浅いものは、第1形態において説明した半ドーム形状を備える単独突起部5bを形成する型となる。単独突起部の型となりうる窪み67を形成するためには、上記の条件のうち、鋳型温度を比較的高く、塗型層の厚さを比較的薄めにし、ベントナイト量を少な目にすることが好ましい。しかしながら、窪み67の形成は、その他の諸条件にもよるため、具体的な鋳型温度、塗型層厚さ、ベントナイト量により規定されるものではない。したがって、予備実験などにより、所望の形状、寸法、個数の窪み67を生じる鋳型温度、塗型層厚さ、ベントナイト量を決定することができる。
ある実施形態においては、塗型層62の表面からの水分蒸発により、塗型層62の表面に、ブロック全体の収縮による広い窪み66が形成される。これは、第2実施形態による凸状底面部Cを形成する型となる。広い窪み66を形成するためには、上記の条件のうち、鋳型温度を比較的低く、塗型層の厚さを比較的厚めにし、ベントナイト量を多目にすることが好ましい。しかしながら、広い窪み66の形成は、その他の諸条件にもよるため、具体的な鋳型温度、塗型層厚さ、ベントナイト量により規定されるものではない。したがって、予備実験などにより、広い窪み66を生じる鋳型温度、塗型層厚さ、ベントナイト量を決定することができる。なお、乾燥後の塗型層62の表面に実質的に窪みが無い場合、略平坦面を有する底面部Fを形成する型となりうる。
このようにして得られた塗型層62は、その表面が網目状の形状を有するひび割れを備えていてよく、これにより、網目状の凸部3を有する鋳包み用部材を製造することができる。
再び図15を参照すると、図15(d)は、塗型層62の上から鋳型61に鋳鉄溶湯43を流しこみ、鋳型61を一定の向きrに回転させながら遠心鋳造する工程の概念図を示す。図15(b)と同様に、鋳型61を回転させながら、ノズル等の溶湯供給手段を用いて筒の内側に溶湯43を流し込むことができる。鋳型61を回転させることにより、遠心力によって溶湯43が塗型層62のひび割れの内側にも流れ込み、鋳包み用部材の表面に所望の網目状の凸部3を形成することができる。
図15(e)は、鋳鉄溶湯を凝固させる工程の概念図である。鋳鉄溶湯43を鋳型61の外側から冷却して凝固させることで、鋳包み用部材型の成型体44を得る。鋳型に溶湯を流し込んで鋳造した後、自然冷却し凝固させてもよい。溶湯を凝固させた後に、鋳型の回転を停止させる。
図15(f)は、鋳包み用部材型の成型体44を鋳型61から取り出す工程の概念図を示す。鋳型から成型体を取り出す方法としては、特に限定されるものではなく、鋳型の形状に合わせて手法を選定する。例えば、筒型の鋳型の場合、成型体44の内径部にチャックを取り付け、図中の矢印方向45へ引き抜くようにして、鋳型61から取り出すことができる。
図15(g)は、鋳型61から取り出した成型体44から塗型層62を取り除く工程の概念図を示す。鋳型から取り出した成型体44には、その表面に塗型層が付着している場合がある。成型体44から塗型層を取り除く方法として、特に限定されるものではないが、ショットブラスト又はウォータージェット、ドライアイス研掃等が挙げられる。
図15(h)は、成型体から塗型層を取り除いた後の、鋳包み用部材48を示す。成型体から固化した塗型層を取り除くことで、その表面に網目状の凸部を有する鋳包み用部材48が得られる。
図17は、図16(d)に示す塗型層62から形成した鋳包み用部材を概略的に示す図である。ひび割れや窪みの形状に対応して、凸部3、単独突起部5a及び凸状底面部Cが形成される。
本発明によれば、鋳包み用部材の鋳包まれる表面上に、従来の製造方法では成し得なかった高さを有する所定の形状の凸部を形成することができる。このため、鋳包むアルミと高い密着強さを有し得る。また、本発明の鋳包み用部材は、高剛性で、熱伝達性、熱放散性や熱伝導性に優れた摺動部品以外の部材、例えば、アルミブレーキドラムや二輪車用アルミダイカスト製ホィールハブ、電動モータ等を含むパワートレーン系の軸受ジャーナル部など回転トルクが作用する部位の鋳包み部材にも適用できる。
得られた鋳包み用部材は、例えば、ダイカスト法によってアルミニウム等で鋳包むことにより鋳包み部材を得ることができる。アルミニウム等の射出条件は、特に限定されるものではないが、例えばADC12やADC10、ADC3を用いて、620〜670℃で注湯し、射出圧力50〜100MPa、射出速度1.5〜4.0m/秒で行ってもよい。
本発明に係る鋳包み用部材は、その鋳包まれる表面に、線状部分と集合部分とを備える凸部を有するので、鋳包む金属と接触する面積を従来よりも増大し、熱伝達性、放熱性を効率的に向上させることができる。また、鋳包み用部材が、第1態様にかかる凸部の断面形状を有する場合、この部分に鋳包む金属が食い込んで、密着強さを向上させ鋳包む金属との間に隙間を生じにくくさせ、鋳包む金属への熱伝導性を向上させることができる。さらに、凸部が例えば等方性の網状構造である場合、凸部が補強リブとしての効果をもたらし、様々な方向からの外力により生じる応力の分散と軽減に寄与することが可能となる。例えば鋳包み用部材がシリンダスリーブであれば、ボア径方向又は軸方向の比弾性率を向上させることができ、強いては鋳包み部材の変形を防止し得る。このため、同一の剛性を維持しつつシリンダスリーブを薄肉化や軽量化することが可能となる。さらに、第2態様にかかる凸部の形状を有する場合、特に多気筒シリンダブロックのダイカスト時においてボア間にアルミ溶湯が充填される際、凸部の高さがランダムに異なるために、凸部の高さの低い部位同士が対面する箇所が必然的に存在することになり、これにより凸部間やボア間へ溶湯がより通り易くなり、溶湯の充填性が向上するという効果が得られる。この効果は、凸部の高さが一様であった従来技術における場合と比べて、顕著な効果となる。さらに、これによりボアピッチを、従来技術と比較して更に狭く設定することができ、エンジンのダウンサイジングが可能となる。
本実施形態による鋳包み用部材をアルミニウム等により鋳包んだ鋳包み部材が備える、鋳包み界面に発生する応力の分散、軽減効果について説明する。図18は、鋳包み用部材がエンジンシリンダブロックに鋳込まれるシリンダスリーブである場合の、シリンダブロックのスリーブ鋳包み界面に発生する応力を説明する図である。図18(a)は、表面に凸部3を設けたシリンダスリーブ11と、鋳包むアルミニウム12とを概略的に示す図である。図18(b)は、図18(a)中、X部の拡大図である。図18(b)に示す態様おいては、凸部3で構成されるセル中に、ピン形状の単独突起部や凸状底面部は存在していない。τは、シリンダスリーブ11にシリンダヘッドを締結する際に、鋳包み用部材と、アルミニウム等の金属との界面(鋳包み界面)に発生するせん断応力を示す。σは、シリンダスリーブ11をアルミニウム12で鋳包む際に発生する圧縮応力を示す。
図18(c)は、図18(a)と同様のエンジンシリンダブロックに鋳込まれる別のシリンダスリーブであって、本発明の第1実施形態による表面構造を備えるシリンダスリーブの鋳包み界面を示す図である。図18(c)に示す態様おいては、凸部3で構成されるセル中に、テーパーピン形状の単独突起部5a及び半ドーム形状の単独突起部5bが存在している。τは、シリンダスリーブ11にシリンダヘッドを締結する際に鋳包み界面に発生するせん断応力である。せん断応力τの値を、図18(b)のせん断応力τの値と比較すると、τ<τとなり、単独突起部の存在により、鋳包み界面に発生するせん断応力を低下させることができる。
図18(d)は、図18(a)と同様のエンジンシリンダブロックに鋳込まれるまた別のシリンダスリーブであって、本発明の第2実施形態による表面構造を備えるシリンダスリーブの鋳包み界面を示す図である。図18(d)に示す態様おいては、凸部3で構成されるセル中では、底面部がシリンダスリーブの外周面側に膨らんだ凸面構造となっている。σは、シリンダスリーブ11をアルミニウム12で鋳包む際に発生する圧縮応力を示す。圧縮応力σの値を、図18(b)の圧縮応力σの値と比較すると、σ<σとなり、凸面状の底面部により圧縮応力を低下させることができる。
このように、エンジンシリンダブロックにおいて、本発明の一実施形態によるピン形状の単独突起を備える鋳包み用部材を用いることで、当該突起が鋳包み界面に作用するせん断荷重や圧縮荷重に対して障壁となり、鋳包み界面領域に発生するせん断応力を分散・軽減することができる。これにより、鋳包み部材のひずみ量は低減し、形状変形が抑制される。また、凸面構造の底面部をもつ鋳包み用部材を用いることで、セル底面部の面剛性が向上するため、鋳包み用部材全体の剛性も増して、スリーブであればボア変形の抑制に効果がありスリーブの更なる薄肉化を実現できる。併せて振動減衰性が向上するため静粛性を確保できる。
次に、図19は、鋳包み用部材がドラムブレーキに鋳込まれるブレーキシューと接する摺動部材であるスリーブである場合の、スリーブ鋳包み界面に発生する応力を説明する図である。図19(a)は、表面に凸部3を備えるスリーブ11と、鋳包むアルミニウム12、及びこれらの内側に位置するブレーキシュー14とを概略的に示す断面図である。図19(a)中、Nは制動荷重、rは車輪の回転の向きを示す。図19(b)は、図19(a)中、Y部の拡大図である。図19(b)に示す態様おいては、凸部3で構成されるセル中に、ピン形状の単独突起部や凸状底面部は存在していない。τは、r方向に回転するドラムブレーキに制動荷重Nが作用した場合、スリーブ11の鋳包み界面に発生するせん断応力を示す。σは、スリーブ11をアルミニウム12で鋳包む際に発生する圧縮応力を示す。Oで示す矢印は、スリーブ11の外周面方向を、tで示す矢印は、回転トルクの向きを示す。
図19(c)は、図19(a)と同様のドラムブレーキに鋳込まれる別のスリーブであって、本発明の第1実施形態による表面構造を備えるスリーブの鋳包み界面を示す図である。図19(c)に示す態様おいては、凸部3で構成されるセル中に、テーパーピン形状の単独突起部5a及び半ドーム形状の単独突起部5bが存在している。τは、r方向に回転するドラムブレーキに制動荷重Nが作用した場合、スリーブ11の鋳包み界面に発生するせん断応力である。せん断応力τの値を、図19(b)のせん断応力τの値と比較すると、τ<τとなり、単独突起部の存在により、鋳包み界面に発生するせん断応力を低下させることができる。
図19(d)は、図19(a)と同様のドラムブレーキに鋳込まれるまた別のスリーブであって、本発明の第2実施形態による表面構造を備えるスリーブの鋳包み界面を示す図である。図19(d)に示す態様おいては、凸部3で構成されるセル中では、底面部がスリーブの外周面側に膨らんだ凸面構造となっている。σは、スリーブ11をアルミニウム12で鋳包む際に発生する圧縮応力を示す。圧縮応力σの値を、図19(b)の圧縮応力σの値と比較すると、σ<σとなり、凸状底面部により圧縮応力を低下させることができるため、スリーブの局部的なひずみ変形が抑制され、μ値(摩擦係数)の安定化やブレーキ鳴きを抑制できる。
このように、ドラムブレーキにおいて、本発明の実施形態による鋳包み用部材を用いることで、上記図18を参照して説明した効果に加え、回転する鋳包み部材の振動を抑え、摩擦係数を安定化させ、制動特性を安定化させるという効果を備える。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。しかし、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
本発明の第1実施形態および第2実施形態による鋳包み用部材を、第3実施形態に示した製造方法により製造した。実施例1、2においては、第1実施形態による鋳包み用部材を製造し、実施例3、4においては、第2実施形態による鋳包み用部材を製造した。製造条件を表1に示す。
実施例1により得られた鋳包み用部材の電子顕微鏡写真を図11に示す。網目状の凸部3に加えて、テーパーピン型状の単独突起部5aがセル内に形成されていることが視認できる。実施例2により得られた鋳包み用部材の電子顕微鏡写真を図20に示す。図中のスケールは、500μmを示す。半ドーム型状の単独突起部5bがセル内に形成されていることが視認できる。なお、矢印は、全て半ドーム型状の単独突起部を示している。
実施例3により得られた鋳包み用部材の電子顕微鏡写真を図14に示す。図14において、底面部Cが鋳包まれる面の外周方向に膨出した凸面であることが視認できる。実施例4により得られた鋳包み用部材の断面の電子顕微鏡写真を図21に示す。図中のスケールは、500μmを示す。図21においても、底面部Cが凸面であることが、断面図から明確に視認できる。
実施例1〜4の鋳包み用部材について、その特性を評価したところ、いずれも図18を参照して説明したのと同様の効果、すなわち鋳包み界面領域に発生するせん断応力を分散・軽減する効果が確認できた。また、鋳包み用部材全体の剛性が増加しており、ボア変形を抑制することができた。
本発明に係る鋳包み用部材は、アルミダイカストにて鋳包まれるシリンダブロック(C/B)用のシリンダスリーブ、アルミブレーキドラム用摺動部材、電動モータやロアケースやミッションケースの軸受部材、さらには二輪車ホイール用ハブ等、いずれも振動減衰性などNVH特性が要求される鋳包み用部材に好適に適用される。
11 スリーブ、12 アルミニウム、10 シリンダブロック
3 凸部、51 テーパーピン形状の単独突起部、52 半ドーム形状の単独突起部
F 略平坦面を有する底面部、C 凸面を有する底面部
4 縦壁部、7 頂部

Claims (19)

  1. 鋳包まれる面上に、網目状の凸部と、前記凸部に囲まれる底面部と、単独突起部を有する鋳包み用部材であって、
    前記凸部が、前記底面部から立ち上がる縦壁部と頂部とを備え、前記縦壁部の幅と比較して前記頂部の幅が大きく、
    少なくとも一部の前記底面部が略平坦面であり、
    前記単独突起部が、少なくとも一部の前記底面部から立ち上がるピン形状の突起部であり、
    前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部が線状部分と少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを形成している、鋳包み用部材。
  2. 鋳包まれる面上に、網目状の凸部と、前記凸部に囲まれる底面部とを有する鋳包み用部材であって、
    前記凸部が、前記底面部から立ち上がる縦壁部と頂部とを備え、前記縦壁部の幅と比較して前記頂部の幅が大きく、
    少なくとも一部の前記底面部が、前記鋳包まれる面の外周方向に膨出した凸面であり、
    前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部が線状部分と少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを形成している、鋳包み用部材。
  3. 鋳包まれる面上に、網目状の凸部と、前記凸部に囲まれる底面部と、単独突起部を有する鋳包み用部材であって、
    前記凸部が、前記底面部から立ち上がる、高さがランダムに異なった縦壁部を備え、
    少なくとも一部の前記底面部が略平坦面であり、
    前記単独突起部が、少なくとも一部の前記底面部から立ち上がるピン形状の突起部であり、
    前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部が線状部分と少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを形成している、鋳包み用部材。
  4. 鋳包まれる面上に、網目状の凸部と、前記凸部に囲まれる底面部とを有する鋳包み用部材であって、
    前記凸部が、前記底面部から立ち上がる、高さがランダムに異なった縦壁部を備え、
    少なくとも一部の前記底面部が、前記鋳包まれる面の外周方向に膨出した凸面であり、
    前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部が線状部分と少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを形成している、鋳包み用部材。
  5. 凸面である前記底面部が、該底面部から立ち上がるピン形状の単独突起部を備える、請求項2または4に記載の鋳包み用部材。
  6. 前記ピン形状の突起部が、
    (a)根本の径よりも先端部の径が細いテーパーピン形状の突起部であって、該突起部の高さが、0.1mm以上であって、0.5mm未満である、及び/または、
    (b)半ドーム形状の突起部
    である、請求項1、3、または5のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  7. 前記単独突起部が、1つの前記凸部に囲まれる底面部に、1〜10個設けられる、請求項1、3、5、6のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  8. 前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部の投影面積が、全投影面積に対して、5%以上70%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  9. 前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記線状部分と前記集合部分によって囲まれる部分の輪郭に接する内接円の直径が、0.5mm以上30mm以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  10. 前記網目状の凸部の高さが、0.1mm以上5.0mm以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  11. 前記線状部分の幅方向の長さが、0.1mm以上8.0mm以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  12. 前記鋳包み用部材が、シリンダスリーブ、ブレーキ用摺動部材、軸受部材、二輪車ホイール用ハブである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  13. 鋳型の溶湯を流し込もうとする面に塗型剤を塗布する工程と、
    前記塗布した塗型剤を乾燥させて、表面にひび割れの形状及び窪みを有する塗型層を形成する工程と、
    前記塗型層上から溶湯を流しこみ、前記鋳型を回転させながら鋳造する工程とを少なくとも含み、
    前記ひび割れが、前記塗型層の表面から前記鋳型表面に達する複数の空隙により構成され、該空隙の幅が該塗型層の表面から前記鋳型表面に向かって狭まっており、及び、少なくとも一部の該空隙が、前記鋳型表面に沿って延びており、
    前記窪みが、前記鋳型表面に達しないピン形状である、鋳包み用部材の製造方法。
  14. 鋳型の溶湯を流し込もうとする面に塗型剤を塗布する工程と、
    前記塗布した塗型剤を乾燥させて、表面にひび割れの形状を有する塗型層を形成する工程と、
    前記塗型層上から溶湯を流しこみ、前記鋳型を回転させながら鋳造する工程とを少なくとも含み、
    前記ひび割れが、前記塗型層の表面から前記鋳型表面に達する複数の空隙により構成され、該空隙の幅が該塗型層の表面から前記鋳型表面に向かって狭まっており、及び、少なくとも一部の該空隙が、前記鋳型表面に沿って延びており、
    前記塗型層の、前記ひび割れによって画定される少なくとも一部の区域の中央部が、周囲部と比較して窪んでいる、鋳包み用部材の製造方法。
  15. 鋳型の溶湯を流し込もうとする面に塗型剤を塗布する工程と、
    前記塗布した塗型剤を乾燥させて、表面にひび割れの形状及び凹部を有する塗型層を形成する工程と、
    前記塗型層上から溶湯を流しこみ、前記鋳型を回転させながら鋳造する工程とを少なくとも含み、
    前記ひび割れが、前記塗型層の表面から前記鋳型表面に向かう複数の空隙により構成され、該空隙の幅が該塗型層の表面から前記鋳型表面に向かって狭まっており、及び、該空隙の深さがランダムに異なっており、
    前記窪みが、前記鋳型表面に達しないピン形状である、鋳包み用部材の製造方法。
  16. 鋳型の溶湯を流し込もうとする面に塗型剤を塗布する工程と、
    前記塗布した塗型剤を乾燥させて、表面にひび割れの形状を有する塗型層を形成する工程と、
    前記塗型層上から溶湯を流しこみ、前記鋳型を回転させながら鋳造する工程とを少なくとも含み、
    前記ひび割れが、前記塗型層の表面から前記鋳型表面に向かう複数の空隙により構成され、該空隙の幅が該塗型層の表面から前記鋳型表面に向かって狭まっており、及び、該空隙の深さがランダムに異なっており、
    前記塗型層の、前記ひび割れによって画定される少なくとも一部の区域の中央部が、周囲部と比較して窪んでいる、鋳包み用部材の製造方法。
  17. 前記ひび割れが、網目状の形状を有する、請求項13〜16のいずれか1項に記載の鋳包み用部材の製造方法。
  18. 前記塗型剤が、耐火材と粘結材と溶媒を少なくとも含む、請求項13〜17のいずれか1項に記載の鋳包み用部材の製造方法。
  19. 前記塗型層を形成する工程が、該塗型剤を、前記溶媒の蒸発温度以上であって該蒸発温度から110℃高い温度以下の温度で加熱して、該溶媒を蒸発させて、前記ひび割れの形状を有する塗型層を形成する、請求項13〜18のいずれか1項に記載の鋳包み用部材の製造方法。
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