JP2001334357A - 鋳ぐるみ製品 - Google Patents

鋳ぐるみ製品

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JP2001334357A
JP2001334357A JP2000154611A JP2000154611A JP2001334357A JP 2001334357 A JP2001334357 A JP 2001334357A JP 2000154611 A JP2000154611 A JP 2000154611A JP 2000154611 A JP2000154611 A JP 2000154611A JP 2001334357 A JP2001334357 A JP 2001334357A
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groove
cast
molten metal
cylinder liner
product
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JP2000154611A
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Hirobumi Michioka
博文 道岡
Toshihiro Takami
俊裕 高見
Hiroshi Kawai
宏 河井
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シリンダライナ等の鋳ぐるみ対象部品の外周面
に形成された溝と溶融金属との係合性を十分に高めるこ
とにより、残留歪みを小さくし、亀裂や永久変形を抑制
できるシリンダブロック等の鋳ぐるみ製品の提供。 【解決手段】シリンダライナ8の外周面8aに形成され
た溝16により、シリンダライナ8の全体に対して、鋳
ぐるみ時にアルミニウム合金の湯回りが良くなり、溝1
6内に形成された溝状凹部18に溶融状態のアルミニウ
ム合金が十分に接触できる。そして、シリンダライナ8
は、この溝状凹部18により、凝固収縮する際のアルミ
ニウム合金に係合し、アルミニウム合金の移動を抑制す
る。このようにしてシリンダライナ8の外周面8aとア
ルミニウム合金との係合性を十分に高めることができ、
シリンダブロックの残留歪みを小さくすることができ、
シリンダブロックの亀裂やボア部の変形を抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリンダライナ等
の鋳ぐるみ対象部品を溶融金属にて鋳ぐるむことにより
製造されたシリンダブロック等の鋳ぐるみ製品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、別体に形成したシリンダライナを
アルミニウム合金等の溶融金属にて鋳ぐるむことにより
形成されるスリーブタイプのシリンダブロックにおいて
は、シリンダライナと鋳物との間を強固に密着させる必
要がある。このために、従来、シリンダライナの外周面
に周方向に溝を形成し、この外周面に対してショットピ
ーニング加工を行った技術(特開平3−133558号
公報)が知られている。
【0003】この技術は、ショットピーニング加工によ
り溝間の凸壁部を潰して溝と溝との間の流動障壁を無く
しているので、鋳ぐるみ時に湯回りと空気排出性が向上
して、シリンダライナの外周面とアルミニウム合金との
密着度が向上するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、溝間の
凸壁部を潰しているので鋳ぐるみ時に湯回りと空気排出
性は向上するが、シリンダライナと溶融金属との係合性
は未だ十分ではないものである。このようにシリンダラ
イナと溶融金属との係合性が低いため、溶融金属の凝固
収縮時に、引けによる大きい歪みが残留することにな
る。このような大きい残留歪みが存在することにより、
製造後にシリンダライナ間で亀裂が発生したり、内燃機
関としての使用過程でシリンダライナのボア部の変形が
大きくなって機関性能に影響するおそれがある。
【0005】したがって、このような残留歪みを小さく
するために、鋳ぐるみ対象部品の外周面に形成された溝
と溶融金属との係合性を十分に高めることが要求されて
いる。
【0006】本発明は、鋳ぐるみ対象部品の外周面に形
成された溝と溶融金属との係合性を十分に高めることに
より、残留歪みを小さくし、亀裂や永久変形を抑制でき
る鋳ぐるみ製品の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段およびその作用効果について記載する。請
求項1記載の鋳ぐるみ製品は、鋳ぐるみ対象部品を溶融
金属にて鋳ぐるむことにより製造された鋳ぐるみ製品で
あって、前記鋳ぐるみ対象部品は、鋳ぐるまれる外周面
に形成された溝と、該溝内に形成された凹部または凸部
とを設けたことを特徴とする。
【0008】鋳ぐるみ対象部品の鋳ぐるまれる外周面に
溝が形成されていることにより、鋳ぐるみ対象部品の全
体に鋳ぐるみ時に湯回りが良くなり、溝内に形成された
凹部または凸部に溶融金属が十分に接触できる。そし
て、この凹部または凸部により、凝固収縮する溶融金属
への係合が十分となり溶融金属の移動が抑制される。こ
のように鋳ぐるみ対象部品の外周面に形成された溝と溶
融金属との係合性を十分に高めることができ、鋳ぐるみ
製品の残留歪みを小さくすることができ、亀裂や永久変
形を抑制できる。
【0009】請求項2記載の鋳ぐるみ製品は、請求項1
記載の構成において、前記鋳ぐるみ対象部品の外周面の
溝はバイト加工にて形成されたものであり、該溝内に形
成された凹部または凸部はバイト加工時にバイトを振動
させることにより形成されたものであることを特徴とす
る。
【0010】鋳ぐるみ対象部品の外周面の溝はバイト加
工にて形成することができ、このバイト加工時にバイト
を振動させることにより溝内に凹部または凸部を形成で
きる。このようにすることにより、溝と凹部または凸部
とを同時に形成することができ、結果として鋳ぐるみ製
品の生産性を高めることができる。
【0011】請求項3記載の鋳ぐるみ製品は、請求項1
または2記載の構成において、鋳ぐるみ対象部品はシリ
ンダライナであり、鋳ぐるみ製品はシリンダブロックで
あることを特徴とする。
【0012】このようにシリンダライナを溶融金属にて
鋳ぐるむことにより製造したシリンダブロックは、シリ
ンダライナの外周面に形成された溝と溶融金属との係合
性を十分に高めることができ、残留歪みを小さくしてシ
リンダブロックの亀裂やシリンダボアの変形を抑制でき
る。
【0013】請求項4記載の鋳ぐるみ製品は、請求項1
〜3のいずれか記載の構成において、溶融金属は軽金属
材料であることを特徴とする。このように鋳ぐるみ対象
部品を軽金属材料からなる溶融金属にて鋳ぐるむことに
より製造した鋳ぐるみ製品において、鋳ぐるみ対象部品
と溶融金属との係合性を十分に高めることができ、鋳ぐ
るみ製品の残留歪みを小さくすることができ、亀裂や永
久変形を抑制できる。
【0014】請求項5記載の鋳ぐるみ製品は、金属部品
を鋳込んだ鋳ぐるみ製品であって、金属部品の外周面
に、鋳ぐるみ製品の材料たる溶融金属が流れる第1溝部
と、該溶融金属の凝固収縮時の歪み発生を防ぐ第2溝部
とを設けたことを特徴とする。
【0015】このように設けた第1溝部により、鋳ぐる
み対象部品としての金属部品の全体に鋳ぐるみ時に湯回
りが良くなる。そして、第2溝部により、凝固収縮する
溶融金属への金属部品の係合が十分となり溶融金属の移
動が抑制される。このようにして鋳ぐるみ製品の残留歪
みを小さくすることができ、亀裂や永久変形を抑制でき
る。
【0016】
【発明の実施の形態】[実施の形態1]図1は、上述し
た発明が適用された4気筒内燃機関2の部分断面図であ
る。ここで、内燃機関2はシリンダブロック4およびシ
リンダヘッド6を備えている。このシリンダブロック4
のアッパ部4a内部には、4つのシリンダライナ8が鋳
ぐるまれていることによりボア9が形成されている。各
ボア9内にはそれぞれピストン10が上下動可能に配置
されている。シリンダブロック4のロア部4bはクラン
クケースを形成している。
【0017】シリンダライナ8は鋳鉄製(FC230)
等の金属製の円筒体をなし、シリンダブロック4全体が
Al合金によるダイカスト法にて鋳造される際に鋳ぐる
まれている。このシリンダライナ8は、シリンダブロッ
ク4内部にドライライナとしてウォータジャケット12
とはシリンダブロック4の隔壁14にて隔てられるよう
に鋳ぐるまれている。
【0018】図2(B)に鋳ぐるまれる前のシリンダラ
イナ8の断面図および図2(A)にその部分切断拡大斜
視図を示す。ここでシリンダライナ8の外周面8aに
は、周方向に溝16(第1溝部に相当する)が形成され
ている。この溝16は、軸回りに回転させたシリンダラ
イナ8に対して、その外周面8aに、バイトにて切削す
ることにより形成されたものであり、周方向に螺旋状に
形成されている。この溝16の深さD1は0.2〜0.
8mmに、そして隣接する部分のピッチP1は、1.0
〜5.0mmに設定されている。
【0019】また、溝16内には更に、図3の断面図に
示すごとく、溝16の方向とは直交する方向に形成され
た溝状凹部18(第2溝部に相当する)が形成されてい
る。溝状凹部18の深さD2は10〜50μmに、そし
て隣接する部分のピッチP2は、0.2〜1.0mmに
設定されている。
【0020】このように、溝16内に溝状凹部18を形
成する方法としては、例えば、溝16を形成するための
バイトを振動させながら切削することにより、溝16と
同時に溝状凹部18を形成することができる。バイトの
振動は、適切な切削速度を選択することによりバイトを
共振させることで可能である。また、共振でなく特別に
バイトに振動装置を取り付けて、切削速度に応じた振動
をバイトに与えつつ、バイトによりシリンダライナ8の
外周面8aを切削することによっても溝16と溝状凹部
18とを同時に形成することができる。これ以外に、一
旦、溝16のみを形成した後、改めてカッタ等により溝
16内に溝状凹部18をカットしても良い。
【0021】このように溝16と溝状凹部18とを設け
たシリンダライナ8を用いて、シリンダブロック4を製
造するに際しては、シリンダライナ8をダイカスト金型
内に配置し、ダイカスト金型とシリンダライナ8の外周
面8aとの間に形成されたキャビティにアルミニウム合
金(例えば、ADC10等)の溶湯(溶融金属)を圧力
注入して冷却する。こうして、図1に示したごとく、ア
ルミニウム合金マトリックス内に鋳鉄製のシリンダライ
ナ8が一体に鋳ぐるまれたシリンダブロック4が完成す
る。
【0022】[係合強度測定]具体的な形状の溝16と
溝状凹部18とが設けられたシリンダライナ8とシリン
ダブロック4との間の係合強度の測定を、ボア間残留歪
みとして測定して、図4の実施例1〜8に示す。また、
上述した溝状凹部18が形成されていない比較例1およ
び溝16自体が形成されていない比較例2も図4に示
す。
【0023】実施例1〜8は、遠心製造で製造したボア
径φ82mmの鋳鉄製(FC230)のシリンダライナ
8の外周面8aに、バイトによる切削加工により螺旋状
に溝16を形成し、溝16の深さD1(mm)とピッチ
P1(mm)とを変化させたものである。なお、溝状凹
部18は、溝16の切削時に、シリンダライナ8の回転
数、バイトの送り量およびバイトの付き出し量を調整す
ることにより、バイトに生じる共振を利用して適切な深
さD2(μm)とピッチP2(mm)とを設定したもの
である。
【0024】比較例1は、遠心鋳造にて製造した鋳鉄製
(FC230)のシリンダライナの外周面に溝のみを螺
旋状に形成したものであり、溝内には溝状凹部は形成さ
れていない。
【0025】比較例2は、遠心鋳造にて製造した鋳鉄製
(FC230)のシリンダライナの外周面を、鋳造製造
時の鋳肌のままとしたものであり、溝は形成されていな
い。このように形成された実施例1〜8および比較例
1,2のシリンダライナを、それぞれ4つ用いて前述し
たごとくダイカスト金型内に配置し、アルミニウム合金
(ADC10)の溶湯を圧力注入して冷却し、4気筒内
燃機関のシリンダブロックを完成する。
【0026】なお、ここで、図4において「ボア間残留
歪み」の欄は、シリンダブロックの製造後に、シリンダ
ライナ間に歪みゲージを張り付け、シリンダライナを切
断した時のシリンダライナとブロックとの間の開放歪み
(μm)を測定した結果を示している。図5はボア間残
留歪みを棒グラフにして比較して示したものである。
【0027】以上説明した本実施の形態1によれば、以
下の効果が得られる。 (イ).図4,5から判るように、シリンダライナ8の
外周面8aに、溝16を形成し、更に、この溝16の内
部に溝状凹部18を形成することにより、湯回りを良く
するとともに、シリンダライナ8とアルミニウム合金と
の係合を高めて残留歪みの小さいシリンダブロック4が
形成される。
【0028】これに比較して、溝16は形成されている
が溝状凹部18が形成されていない比較例1は、残留歪
みが実施例1〜8のほぼ2〜3倍存在する。また、溝1
6自体が形成されていない比較例2は、更に残留歪みが
大きくなり、実施例1〜8のほぼ3〜4倍に達する。こ
のため比較例1,2ではシリンダブロック4の製造後に
シリンダライナ8間で亀裂が発生したり、内燃機関2の
使用の過程でシリンダライナ8のボア部の変形が大きく
なって機関性能に影響するおそれがある。
【0029】しかし、実施例1〜8の場合は、溝16に
より、シリンダライナ8の全体に対して、鋳ぐるみ時に
アルミニウム合金の湯回りが良くなり、溝16内に形成
された溝状凹部18に溶融状態のアルミニウム合金が十
分に接触できる。そして、シリンダライナ8は、この溝
状凹部18により、凝固収縮する際のアルミニウム合金
に係合し、アルミニウム合金の移動を抑制する。このよ
うにしてシリンダライナ8の外周面8aとアルミニウム
合金との係合性を十分に高めることができ、シリンダブ
ロック4の残留歪みを小さくすることができ、シリンダ
ブロック4の亀裂やボア部の変形を抑制できる。
【0030】(ロ).特に、溝16の深さD1が0.2
〜0.8mm、溝16のピッチP1が1.0〜5.0m
m、溝状凹部18の深さD2が10〜50μm、溝状凹
部18のピッチP2が0.2〜1.0mmに設定されて
いるため、シリンダブロック4の残留歪みを一層小さく
することができ、シリンダブロック4の亀裂やボア部の
変形の抑制が顕著である。
【0031】(ハ).溝16を形成するためのバイトを
振動させながら切削することにより、溝16と同時に溝
状凹部18を形成している。このため、シリンダブロッ
ク4の生産性を高めることができる。
【0032】(ニ).溝16と溝状凹部18とを同時に
形成する際に、切削時にバイトに生じる共振振動を利用
している。このため特別に振動装置を用いる必要が無
く、製造コストを抑制できる。
【0033】[その他の実施の形態] ・前記実施の形態のシリンダライナ8の外周面8aに
は、螺旋状に溝16を形成したが、これ以外に、図6の
部分展開図に示すごとく形成しても良い。図6(A)で
は、シリンダライナ108の周方向にリング状に溝11
6(第1溝部に相当する)を形成した例を示している。
図6(B)ではシリンダライナ208の軸方向に直線状
に溝216(第1溝部に相当する)を形成した例を示し
ている。図6(C)ではシリンダライナ308の軸方向
に角度をつけて斜めに溝316(第1溝部に相当する)
を形成した例を示している。図6(D)ではシリンダラ
イナ408の軸方向に角度をつけた溝416(第1溝部
に相当する)と、更に逆方向へ角度をつけた溝516
(第1溝部に相当する)とをクロスして形成した例を示
している。なお、図6(D)では判りやすくするため
に、切削の軌跡として溝416,516を示している。
【0034】・前記実施の形態では、溝状凹部18を溝
16方向に直交するように形成していたが、これ以外
に、図7(A)に示すごとく、溝状凹部618(第2溝
部に相当する)を溝616(第1溝部に相当する)方向
に斜めに角度を付けて形成しても良い。このような形状
の溝616および溝状凹部618は、バイトを切削方向
に対して斜めに配置し、バイトを振動させながら切削す
ることにより形成できる。また、図7(B)に示すごと
く溝状凹部718(第2溝部に相当する)を溝716
(第1溝部に相当する)方向に形成しても良い。このよ
うな形状の溝716および溝状凹部718は、歯を波状
にしたバイトにより切削することで形成できる。
【0035】・更に、図8(A)に示すごとく、丸穴状
凹部818を溝816内に形成しても良い。このような
丸穴状凹部818は、溝816内のみにショットピーニ
ング加工などにより穴部を設けることにより形成でき
る。
【0036】また、図8(B)に示すごとく、凸部91
8を溝916内に形成しても良い。更に、図9に示すご
とく、溝1016方向に長い凸部1018を溝1016
内に形成しても良い。これ以外に、溝方向に直角にある
いは斜めに角度を付けて長い凸部を溝内に形成しても良
い。
【0037】また、上述した各種の形状の凹部や凸部が
溝内に混在していても良い。 ・前記実施の形態では、溝の形状は断面円弧状の例を示
したが、これ以外に断面が三角状、四角形あるいはその
他の形状でも良い。また、溝内に形成する凹部や凸部の
形状も各種の形状が可能である。
【0038】・前記実施の形態においては、溝16と溝
状凹部18とが規則的に形成されている例を示したが、
不規則に形成されていても良い。 ・前記実施の形態では、シリンダライナ8を鋳ぐるんで
形成したシリンダブロック4の例を示したが、本発明
は、他の用途においても鋳ぐるみ対象部品を溶融金属に
て鋳ぐるむことにより製造される鋳ぐるみ製品に適用で
きる。
【0039】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明の実施の形態には、次のような形態を含む
ものであることを付記しておく。 (1).鋳ぐるみ対象部品を溶融金属にて鋳ぐるむこと
により製造された鋳ぐるみ製品であって、鋳ぐるみ対象
部品は、外周面に、鋳ぐるみ時に溶融金属が流れる溝
と、溶融金属の凝固時の歪みを緩和する凹部または凸部
とを設けたことを特徴とする鋳ぐるみ製品。
【0040】このように設けた溝により、鋳ぐるみ対象
部品の全体に鋳ぐるみ時に湯回りが良くなる。そして、
凹部または凸部により、凝固収縮する溶融金属への鋳ぐ
るみ対象部品の係合が十分となり溶融金属の移動が抑制
される。このようにして鋳ぐるみ製品の残留歪みを小さ
くすることができ、亀裂や永久変形を抑制できる。
【0041】(2).請求項1記載の構成において、前
記鋳ぐるみ対象部品の外周面に形成された溝は、深さが
0.2mm以上で、ピッチが1.0mm以上に形成され
ていることを特徴とする鋳ぐるみ製品。
【0042】前記溝は、深さが0.2mm以上で、ピッ
チが1.0mm以上に形成されていることが好ましい。
深さが0.2mm未満では湯回りが不十分となる傾向に
あり、溝内に形成された凹部または凸部に溶融金属の接
触が不十分となる傾向にある。また、ピッチが1.0m
m未満では、十分な深さの溝の形成が困難となる傾向に
ある。したがって、湯回りと製造の容易性から、溝は上
記範囲に形成することが好ましい。
【0043】(3).請求項1記載の構成において、前
記鋳ぐるみ対象部品の外周面に形成された溝は、深さが
0.2〜0.8mmで、溝ピッチが1.0〜5.0mm
に形成されていることを特徴とする鋳ぐるみ製品。
【0044】前記溝は、深さが0.2〜0.8mmで、
溝ピッチが1.0〜5.0mmに形成されているが好ま
しい。溝の深さが0.8mmを越えると湯回り効果の割
には製造が困難となる傾向にある。したがって溝の深さ
を0.2〜0.8mmの範囲とすることにより、十分な
湯回りと製造容易性とを維持できる。
【0045】また、溝ピッチが5.0mmを越えると溝
の形成本数が少なくなり、湯回り効果が低下し、凹部ま
たは凸部による溶融金属の移動抑制効果が低下する傾向
にある。したがって、溝ピッチを1.0〜5.0mmの
範囲とすることにより十分な深さで十分な数の溝が形成
できる。
【0046】このようにして、湯回り、溶融金属の移動
抑制効果および製造容易性をより効果的なものとでき
る。 (4).請求項1、(2)または(3)記載の構成にお
いて、前記溝内に形成された凹部または凸部は、深さま
たは高さが10μm以上で、ピッチが0.2mm以上に
形成されていることを特徴とする鋳ぐるみ製品。
【0047】前記凹部または凸部は、深さまたは高さが
10μm以上で、ピッチが0.2mm以上に形成されて
いることが好ましい。深さまたは高さが10μm未満で
は、係合が不十分となり凝固収縮する溶融金属の移動を
抑制しにくくなる傾向にある。ピッチが0.2mm未満
では係合に十分な深さの凹部または係合に十分な高さの
凸部の形成が困難となる傾向にある。したがって、溶融
金属の移動抑制効果と製造の容易性から、凹部または凸
部は上記範囲に形成することが好ましい。
【0048】(5).請求項1、(2)または(3)記
載の構成において、前記溝内に形成された凹部または凸
部は、深さまたは高さが10〜50μmで、ピッチが
0.2〜1.0mmに形成されていることを特徴とする
鋳ぐるみ製品。
【0049】凹部または凸部は、深さまたは高さが50
μmを越えると溶融金属の移動抑制効果の割には製造が
困難となる傾向にある。したがって凹部または凸部の深
さまたは高さを10〜50μmとすることにより、溶融
金属の移動抑制効果と製造容易性とを維持できる。
【0050】また、凹部または凸部のピッチが1.0m
mを越えると、凹部または凸部の数が少なくなり係合に
よる溶融金属の移動抑制効果が低下する傾向にある。し
たがって、凹部または凸部のピッチを0.2〜1.0m
mに形成することにより、凹部または凸部を十分な数と
して、溶融金属の移動抑制効果と製造容易性とを十分な
ものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における4気筒内燃機関の部分断
面図。
【図2】実施の形態1のシリンダライナの外周面の形状
説明図。
【図3】実施の形態1のシリンダライナに形成された溝
内の構成を説明するための断面図。
【図4】実施の形態1の実施例と比較例との効果を比較
して示す説明図。
【図5】実施の形態1の実施例と比較例との効果を棒グ
ラフで比較する説明図。
【図6】他の実施の形態の溝の構成説明図。
【図7】他の実施の形態のシリンダライナの溝内の構成
説明図。
【図8】他の実施の形態のシリンダライナの溝内の構成
説明図。
【図9】他の実施の形態のシリンダライナの溝内の構成
説明図。
【符号の説明】
2…4気筒内燃機関、4…シリンダブロック、4a…ア
ッパ部、4b…ロア部、6…シリンダヘッド、8…シリ
ンダライナ、8a…外周面、9…ボア、10…ピスト
ン、12…ウォータジャケット、14…隔壁、16…
溝、18…溝状凹部、108…シリンダライナ、116
…溝、208…シリンダライナ、216…溝、308…
シリンダライナ、316…溝、408…シリンダライ
ナ、416,516,616…溝、618…溝状凹部、
716…溝、718…溝状凹部、816…溝、818…
丸穴状凹部、916…溝、918…凸部、1016…
溝、1018…凸部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河井 宏 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 Fターム(参考) 3G024 AA21 AA26 FA04 GA02 HA02 HA07 3J044 AA01 AA20 BA04 BC12 BC15 DA09 EA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳ぐるみ対象部品を溶融金属にて鋳ぐるむ
    ことにより製造された鋳ぐるみ製品であって、 前記鋳ぐるみ対象部品は、鋳ぐるまれる外周面に形成さ
    れた溝と、該溝内に形成された凹部または凸部とを設け
    たことを特徴とする鋳ぐるみ製品。
  2. 【請求項2】請求項1記載の構成において、前記鋳ぐる
    み対象部品の外周面の溝はバイト加工にて形成されたも
    のであり、該溝内に形成された凹部または凸部はバイト
    加工時にバイトを振動させることにより形成されたもの
    であることを特徴とする鋳ぐるみ製品。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の構成において、鋳
    ぐるみ対象部品はシリンダライナであり、鋳ぐるみ製品
    はシリンダブロックであることを特徴とする鋳ぐるみ製
    品。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか記載の構成におい
    て、溶融金属は軽金属材料であることを特徴とする鋳ぐ
    るみ製品。
  5. 【請求項5】金属部品を鋳込んだ鋳ぐるみ製品であっ
    て、金属部品の外周面に、鋳ぐるみ製品の材料たる溶融
    金属が流れる第1溝部と、該溶融金属の凝固収縮時の歪
    み発生を防ぐ第2溝部とを設けたことを特徴とする鋳ぐ
    るみ製品。
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