JP6256524B2 - 鋳包み用部材及びその製造方法 - Google Patents

鋳包み用部材及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6256524B2
JP6256524B2 JP2016098883A JP2016098883A JP6256524B2 JP 6256524 B2 JP6256524 B2 JP 6256524B2 JP 2016098883 A JP2016098883 A JP 2016098883A JP 2016098883 A JP2016098883 A JP 2016098883A JP 6256524 B2 JP6256524 B2 JP 6256524B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cast
mold
mesh
convex portion
shape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016098883A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017205780A (ja
Inventor
鈴木 延明
延明 鈴木
未来 久岡
未来 久岡
諒 長澤
諒 長澤
昭人 山元
昭人 山元
水村 雄一
雄一 水村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suzuki Motor Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Suzuki Motor Co Ltd filed Critical Suzuki Motor Co Ltd
Priority to JP2016098883A priority Critical patent/JP6256524B2/ja
Priority to DE102017106458.3A priority patent/DE102017106458B4/de
Priority to FR1754231A priority patent/FR3051380B1/fr
Priority to CN201710343923.0A priority patent/CN107377943B/zh
Publication of JP2017205780A publication Critical patent/JP2017205780A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6256524B2 publication Critical patent/JP6256524B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22DCASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
    • B22D19/00Casting in, on, or around objects which form part of the product
    • B22D19/08Casting in, on, or around objects which form part of the product for building-up linings or coverings, e.g. of anti-frictional metal
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22CFOUNDRY MOULDING
    • B22C3/00Selection of compositions for coating the surfaces of moulds, cores, or patterns
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22DCASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
    • B22D13/00Centrifugal casting; Casting by using centrifugal force
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22DCASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
    • B22D17/00Pressure die casting or injection die casting, i.e. casting in which the metal is forced into a mould under high pressure
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22DCASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
    • B22D19/00Casting in, on, or around objects which form part of the product
    • B22D19/0009Cylinders, pistons
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22DCASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
    • B22D19/00Casting in, on, or around objects which form part of the product
    • B22D19/02Casting in, on, or around objects which form part of the product for making reinforced articles
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22DCASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
    • B22D19/00Casting in, on, or around objects which form part of the product
    • B22D19/04Casting in, on, or around objects which form part of the product for joining parts

Description

本発明は、鋳包み用部材及びその製造方法に関する。
ダイカスト鋳造技術などの発展に伴い、先に鋳造しておいた部材を鋳型にセットし、該部品と鋳型との間に溶かしたアルミニウム等の金属を流し込んで、該部品に接着又は密着させる鋳包み鋳造と呼ばれる手法が用いられるようになってきた。この手法により鋳込まれる部材は、鋳包み用部材(鋳ぐるみ用部材ともいう)と呼ばれる。
鋳包み用部材としては、例えば、内燃機関のシリンダブロックに鋳込まれるシリンダスリーブ(シリンダライナ又はスリーブともいう)や、ダイカストホイールハブのボスやドラム、さらにはシリンダブロックやロアケース等の軸受部、その他、ミッションケース内軸受部に鋳込まれる軸受け部材などがある。特に上記の用途に用いられる場合、鋳包み用部材に熱負荷や大きな外力が作用することが多く、鋳包み用部材とこの部材を鋳包む金属との密着性を向上させて放熱性や伝熱性や、さらには剛性を改善することが求められている。
特許文献1及び2は、鋳包み用シリンダライナに関し、鋳包まれる外周面に括れた形状の突起を複数有することで、シリンダブロック材との密着性及び接合強度が向上することを開示している。
特許文献3及び4は、鋳ぐるみ部材に関し、鋳造時に他の金属の溶湯と接触する鋳ぐるみ面に、外方に向かって拡開する略円錐状のアンダーカット部を有する複数の突起を設けることで、他の金属との密着性を向上させるとともに、所望のクランプ位置決めの精度を維持できることを開示している。
鋳包まれる面に、針状の突起を複数設ける技術も知られている。この場合、例えば溶湯を流し込もうとする鋳型の表面に塗型剤を塗布し、乾燥させた際に塗布膜から蒸気が抜け出す時に生じた抜け穴が無数の微細な窪みとなり、この窪みに溶湯を侵入させることで製造される。
また、特許文献5は、ピストンを摺動可能に挿入するスリーブを鋳包んだシリンダブロックにおいて、スリーブの、シリンダブロックのクランクケース側の面からシリンダブロックのほぼ中央までの部位を他より厚い厚肉部とし、シリンダブロックのほぼ中央から延びてシリンダヘッド側の面に開口するU断面のウォータジャケットを、スリーブを囲うように形成したシリンダブロックのスリーブ構造を開示している。特許文献5は、この構造によって、シリンダブロックの冷却性を維持しつつ、スリーブの変形を抑えることができることを記載している。
特開2005−194983号公報 特開2007−15005号公報 特開2003−326353号公報 特開2003−326346号公報 特開2001−221098号公報
エンジンの中枢部品であるアルミ製シリンダブロックの成形には、生産性の高いダイカスト法が用いられており、この方法によれば、ピストンが摺動するスリーブも同時にアルミに鋳包まれる。近年、エンジンの軽量化や、ボア間ピッチの短縮化によるエンジンのダウンサイジング化が求められており、スリーブを薄肉化、つまり、鋳包み用部材の有効肉厚(全肉厚から突起の高さを引いた厚み)を薄肉化することが試みられている。
しかしながら、スリーブの肉厚を薄くすると、スリーブの剛性が低下するおそれがあった。スリーブは、ダイカスト成形の際に、アルミ溶湯の高い射出圧力に晒されて応力が残留する。また、シリンダブロックに鋳包まれた後もシリンダヘッドとの締結時にボルト軸力によって高い圧縮荷重が付与される。さらに、運転時においても高い筒内燃焼圧力が断続的に径方向へ作用する。このことから、剛性の低いスリーブでは、径方向や軸方向にひずみが生じやすくなり、スリーブのボア真円度が大きく低下しまうことがあった。このため、メカロスが発生し、また、ブローバイガスが増加し、燃費低下を招くことがあった。また、シリンダブロック自体の剛性が低下し、NV特性も低下してしまうことがあった。
特許文献5に記載される構造は、鋳造時の型割り部分の影響で、周方向において形状の差異が発生し、非対称性な形状となり、径方向又は軸方向での剛性が不均一となる場合があった。さらに、スリーブの外径が軸方向で非対称となる、例えばシリンダブロックのほぼ中央から下方が厚肉となるため、多気筒エンジンに採用しようとすると、自ずとボア間ピッチに制約が生じ、エンジンの小型化、軽量化が難しくなる場合があった。また、凸状部にアンダーカット形状を設けてないため、鋳包むアルミと鋳包まれる鋳鉄製のスリーブとの線膨張の違いからエンジン稼働又は停止の繰り返しによってスリーブとアルミ間に大きな隙間が生じやすくなり、隙間が断熱材の役割を果たすため、効率的な冷却性が得られなくなることがあった。このように、シリンダスリーブの安定した剛性を確保し、且つ、エンジンの冷却性を向上させるには、更なる改良が必要であった。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、鋳包まれる面上に、従来技術の針状突起ではなく、連続した線状の突起を形成することで、鋳包み用部材の、鋳包む金属との密着に用いられる有効面積を増加させ、且つ、軽量化を可能とし、上記課題を解決するに至った。
すなわち、本発明の一態様によれば、鋳包まれる面上に網目状の凸部を有する鋳包み用部材であって、前記網目状の凸部が、線状部分と、少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを備える、鋳包み用部材を提供する。
前記凸部が括れを有する形状、さらに/または、前記凸部の縦壁が平坦面に対する垂直線に対し傾きを有する形状を含むことが好ましい。
前記網目状の凸部は、少なくとも2つの前記集合部分を備えることが好ましい。
前記少なくとも2つの集合部分において、前記合流している線状部分の本数は異なっており、前記線状部分はランダムな方向で合流していることが好ましい。
前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部の投影面積は、全投影面積に対して、5%以上70%以下であることが好ましい。
前記線状部分によって囲まれて成る平坦部分において、前記平坦部分の輪郭に接する内接円の直径は、0.5mm以上30mm以下であることが好ましい。
前記網目状の凸部において、底面から頂部の上面までの高さは、0.1mm以上5.0mm以下であることが好ましい。
前記線状部分の頂部の幅方向の長さは、0.1mm以上8.0mm以下であることが好ましい。
前記鋳包み用部材は、主にエンジンシリンダブロックに鋳込まれるシリンダスリーブであることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、鋳型の溶湯を流し込もうとする面に塗型剤を塗布する工程と、前記塗布した塗型剤を乾燥させて、表面にひび割れの形状を有する塗型層を形成する工程と、前記塗型層上から溶湯を流しこみ、前記鋳型を回転させながら鋳造する工程とを少なくとも含む、鋳包み用部材の製造方法を提供することができる。
前記ひび割れは、前記塗型層の表面から前記鋳型表面に達する複数の空隙により構成され、該空隙の幅が、該塗型層の表面から前記鋳型表面に向かって狭まっており、及び/又は、該空隙が、前記鋳型表面に沿って延びていることが好ましい。
前記ひび割れは、網目状の形状を有することが好ましい。
前記塗型剤は、耐火材と粘結材と溶媒を少なくとも含むことが好ましい。
前記塗型層を形成する工程が、該塗型剤を、前記溶媒の蒸発温度以上であって該蒸発温度から110℃高い温度以下の温度で加熱して、該溶媒を蒸発させて、前記ひび割れの形状を有する塗型層を形成することが好ましい。
本発明によれば、鋳包み用部材の鋳包まれる面に所定の形状を有し、突起がアンダーカット形状であることも相まって、鋳包み用部材と鋳包むアルミとの密着強度を向上させ、エンジン稼働時や停止直後に線膨張率の異なるアルミとの界面で隙間を生じにくくさせる。また、上記所定の形状は、突起が針状ではなく、連続した線状の形態であるため、鋳包むアルミとの接触面積を増加させ、鋳包み用部材からアルミへの熱伝達や熱拡散性に関与する熱伝導率を向上させることが可能となる。さらに、本発明にかかる線状部分が互いに合流する集合部分を有する網状構造を成すため補強リブ効果を発現し、従来の同一有効肉厚の鋳包み用部材と比べて、比剛性又は比弾性率(ここでは、ばね定数/比重)等を向上させることが可能である。そして、この鋳包み用部材をアルミで鋳包んで鋳包み部材とした場合にも軽量化及び剛性の向上を達成し得る。
(A)はシリンダスリーブの斜視図を示し、(B)は(A)の四角で囲んだ領域d1の模式的な拡大図を示す。 シリンダブロックの断面図を示す。 図1(B)の平面図を示す。 線状部分の断面の模式的な拡大図を示す。 線状部分の断面の模式的な拡大図を示し、略T型の断面を有する線状部分の一例を(A)に示し、別の例を(B)、さらに別の例を(C)に示す。 線状部分の断面の模式的な拡大図を示し、略Γ型の断面を有する線状部分の一例を(A)に示し、別の例を(B)に示す。 線状部分の断面の模式的な拡大図を示し、(A)は縦壁の側面に凹凸を有する一例を示し、(B)は縦壁が斜め方向に延びている一例を示す。 塗型層の形成メカニズムの概略図を示す。 発明の一態様の鋳包み用部材の製造方法の概略図を示す。 実施例18の鋳型上に形成された塗型層の写真を示す。 実施例1の鋳包み用部材の写真を示し、(A)は鋳包み用部材の外形を示し、(B)は(A)の四角で囲んだ領域の拡大図d2を示す。 実施例21の鋳包み用部材の写真を示し、(A)は鋳包み用部材の外形を示し、(B)は(A)の四角で囲んだ領域の拡大図d3を示す。 実施例16の鋳包み用部材の写真を示し、(A)は鋳包み用部材の外形を示し、(B)は(A)の四角で囲んだ領域の拡大図d4を示す。 実施例1の鋳包み用部材の鋳包まれる面を走査型電子顕微鏡で観察した写真(倍率:17倍)を示す。 実施例21の鋳包み用部材の鋳包まれる面を走査型電子顕微鏡で観察した写真(倍率:16倍)を示す。 実施例5の鋳包み用部材の鋳包まれる面を走査型電子顕微鏡で観察した写真(倍率:14倍)を示す。 比較例1の鋳包み用部材の鋳包まれる面の、走査型電子顕微鏡による観察に基づく、倍率25倍程度の概略図を示す。 実施例25の鋳型上に形成された塗型層をマクロ撮影した写真を示す。 実施例2の鋳包み用部材の鋳包まれる面の2値化処理した画像を示す。 実施例1の鋳包み用部材の鋳包まれる面において内接円を測定した際の写真を示す。 実施例1の鋳包み用部材の鋳包まれる面において凸部の高さを測定した際の写真を示す。 (A)は実施例5の試験片の外形を示し、(B)は(A)に示す鋳包み用部材の径方向の圧縮試験の実施直前の写真を示す。 実施例5、7、9、11、13、21、22、23及び比較例1の鋳包み用部材の質量とばね定数の関係を示す。 実施例33の試験片の断面を示す。 (A)は実施例28の試験片の外形を示し、(B)は(A)に示す試験片の軸方向の圧縮試験の実施直前を示す。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲は、この形態に限定されるものではない。
本発明は、一態様によれば、鋳包まれる面上に網目状の凸部を有する鋳包み用部材に関する。鋳包み用部材の素材としては、鋳鉄、銅合金、錫又は亜鉛合金などの比重が大きく自己摺動性を有する金属が挙げられる。鋳鉄は、一般的に鉄と炭素とケイ素を含む三元合金であり、用途によって他の元素を含んでいてもよい。例えば、鋳鉄は、Fe以外に、鋳鉄全体の質量に対して、3.1〜3.8質量%のT.C(Total Carbon、1.9〜2.5質量%のSi、0.5〜1.0質量%のMn、0.01〜0.5質量%のP、0.02〜0.1質量%のSを含んでいてもよい。鋳包み用部材の粗材の肉厚が大きい場合や溶湯の鋳込み量が多い場合は、最適な硬さや金属組織を得るために、場合によって、0.01〜1.0質量%のCu、0.01〜0.10質量%のSn、0.01〜0.4質量%のCr、0.15質量%以下のMo、及び、0.5質量%以下のNiのうち少なくとも1つ以上含んでいてもよく、さらに他の不可避不純物を含んでいてもよい。
鋳包み用部材本体の形状は、特に限定されるものではなく、用途に合わせて適宜選定することが可能である。例えば筒状、半円筒状、断面がコの字状や⊥の字状となる形状、曲面又は略平面の板状等の形状が挙げられる。鋳包み用部材の例としては、エンジンシリンダブロックに鋳込まれるシリンダスリーブ、電気自動車等の回生ブレーキにおけるアルミ製のドラムブレーキに鋳込まれるブレーキシューと接する摺動部材やブレーキシューのバックプレート、二輪車及び特殊機械用のダイカストホイールハブのボス、さらにはシリンダブロックやロアケースのクランクジャーナル部、ミッションケース等のハウジングの軸受部などの何らかのダイカスト部品に鋳込まれるものが挙げられる。以下、筒状のシリンダスリーブを例示して本発明を説明するが、本発明は特定の形状の鋳包み用部材や特定の製品に限定されるものではない。
図1(A)は、鋳包み用部材の一例であるシリンダスリーブ11の斜視図である。シリンダスリーブの形状としては、筒状形状が挙げられる。シリンダスリーブ11は、外側の表面11sが鋳包まれる面である。図1(B)に、図1(A)のd1で表す領域の模式的な拡大図を示す。シリンダスリーブは、鋳包まれる面11sに、網目状の凸部3を有する。網目状の凸部3は、シリンダスリーブを構成する略平坦な面Fから突出した部分であり、鋳包まれる面の全体にわたって存在している。網目状の凸部3は、線状部分1と、該線状部分が複数合流して形成される集合部分2を備える。また、シリンダスリーブについて簡単に説明する。図2は、シリンダスリーブを構成要素とするシリンダブロックの一例を示す概念図である。シリンダブロック10は、シリンダスリーブ11の外周面をアルミ12で鋳包むことで鋳造される。
図3は、図1(B)の平面図である。線状部分1は、鋳包み用部材の鋳包まれる面を当該面の鉛直方向から平面視した場合に、凸部が、幅をもった線状又は帯状の形態で確認できる部分をいう。線状部分は、直線であっても曲線であってもよく、幅や長さ、高さが不均一であっても不定形であってもよい。線状部分の長手方向Laの長さは、特に限定されるものではない。線状部分の短手方向の長さ、つまり、線状部分の頂部の幅方向の長さLbは、好ましくは0.1mm以上8.0mm以下、より好ましくは0.1mm〜5.0mm、さらにより好ましくは0.2mm〜3.0mmである。線状部分の短手方向の長さは、平面に投影した場合の幅にあたる。0.1mm未満では、鋳包むアルミに対するアンカー効果が不十分となる場合がある。8.0mmを超えると、軽量化が十分ではない場合がある。線状部分の頂部の幅方向の長さを上記の範囲とすることにより、線状部分が合流する集合部分となるハブ部位をより多く確保することができる。なお、線状部分の頂部の上面の幅方向の長さは、例えばデジタルマイクロスコープを用いて測定することができ、例えば1〜50点測定し、その平均値又は最小値と最大値に基づいてその測定値が含まれる範囲、好ましくはその測定値全てが含まれる範囲として求めてもよい。
集合部分2aは、3つの線状部分1a、1b、1cが合流して形成される。集合部分に合流している線状部分の本数は、特に限定されるものではなく、少なくとも2つであり、好ましくは2つ以上6つ以下である。網目状の凸部は、少なくとも2つの集合部分を備えることが好ましい。網目状の凸部に集合部分が2つ以上ある場合、各々の集合部分で合流している線状部分の本数は、同じであっても異なっていてもよい。外周面に形成した網目状の凸部は、鋳包み用部材の剛性を向上させる補強リブの効果をもたらす。かつ、集合部分は、鋳包まれた際に外力により発生する応力を分散させる点から、線状部分が互いにランダムな方向で合流していることが好ましい。線状部分が互いにランダムな方向で合流しているとは、例えば2つの線状部分が平行ではなく異なる向きで集合部分に合流していることである。
ある実施形態において、凸部3は、括れを有する形状、及び/又は、凸部3の縦壁が平坦面に対する垂直線に対し傾きを有する形状を含んでもよい。このような形態について説明する。図4は、線状部分の断面の模式的な拡大図である。この断面は、線状部分の、鋳包み用部材の表面に対して垂直方向の断面である。一例によれば、凸部3は、頂部4と、平坦面6から略垂直に立ち上がって頂部4まで延びた部分である縦壁7とで構成される。凸部3は、頂部4の高さh4と縦壁7の高さh7の和の高さh3を有する。凸部の高さh3は、好ましくは0.1mm以上5.0mm以下、より好ましくは0.1mm〜3mm、さらにより好ましくは0.5〜1.5mmである。0.1mm未満では、鋳包むアルミに対するアンカー効果が不十分となる場合があり、また、剛性を向上させる補強リブの効果を低下させる場合がある。さらに、熱を拡散させるために必要なアルミとの接触面積も不足する場合がある。5.0mmを超えると、遠心鋳造による形成は困難となる場合がある。凸部の高さを上記の範囲とすることで、鋳包む金属と接触する有効面積が増加し、熱放散性を向上させ得る。なお、凸部の底面から頂部の上面までの高さは、例えばデジタルマイクロスコープの計測機能と画像解析ソフトWinROOF2013を用いて、鋳包み用部材の任意の表面をライン分析して平均値で求めてもよい。または、デジタルマイクロスコープにて断面観察し、任意の計測エリア内において、平坦面6からの各凸部の最小高さと最大高さに基づいてその測定値が含まれる範囲、好ましくはその測定値全てが含まれる範囲として求めてもよい。
図4に示すように、縦壁部分の幅L7と比較して凸部の頂部の幅L4が大きい形状を、括れを有する形状ということができる。この頂部の幅L4は、図3を参照して説明した線状部分の幅Lbに該当する。鋳包み用部材の表面に上述した形状の構造を備えることで、鋳包み用部材が鋳込まれた際に、例えば括れを有する形状に溶湯が回りこみ、アンカー効果を向上させることができ得る。
線状部分を長手方向に対して垂直に切断した際の断面形状は、略T型や略Γ型が挙げられる。これらの断面形状は、例えば、鋳包まれた際に、鋳包む金属との密着強さや熱伝導性を向上させる観点から好ましい。略T型は、T字のような形状をしたものである。図5(A)、(B)及び(C)は、略T型の断面を有する線状部分の一例である。図5(A)において、縦壁は、凸部の頂部を等分するような位置で接している。一方、図5(B)及び(C)においては、頂部を等分としない位置で接している。略Γ型は、L字を逆さまにしたような形状をしたものである。図6(A)及び(B)は、略Γ型の断面を有する線状部分の一例である。図6(A)において、凸部の頂部は端部になるにつれて細くなっており、図6(B)においては、凸部の頂部は端部まで一定の厚みを有する。
図7は、線状部分の断面の模式的な拡大図である。縦壁は、図7(A)のように、その側面22に凹凸を有していてもよい。また、図7(B)のように、縦壁は、平坦面に対する垂直線20に対し、ある程度の角度θで傾斜21して延びていてもよい。図7に示す形状を、凸部3の縦壁が平坦面に対する垂直線に対し傾きを有する形状ということができる。
1つの鋳包み用部材に、上記図5(A)、(B)及び(C)の略T型の形状、上記図6(A)及び(B)の略Γ型の形状、及び、上記図7の(A)及び(B)の形状のうち少なくとも1つの形状を含んでいてもよい。例えば、略T型や略Γ型の断面形状を有する又は有していない凸部の縦壁が、平坦面に対する垂直線に対し傾きを有していてもよく、また、側面に凹凸を有していてもよい。なお、略T型や略Γ型の断面形状を有していない凸部の縦壁は、縦壁部分の幅L7と比較して凸部の頂部の幅L4が同等もしくは小さいことをいう。
図3に示すように、線状部分1a、1b、1d、1eと集合部分2a、2b、2c、2dによって囲まれた平坦面Fに、内接円Icを描くことができる。この内接円の直径は、好ましくは0.5mm以上30mm以下、より好ましくは1.0〜15mm、さらにより好ましくは1.5mm〜5.0mmである。0.5mm未満では、鋳包み時のアルミと接する有効面積が不十分であり、鋳包むアルミに対する有効なアンカー効果を保ちにくく、また、熱伝導性も不十分となる場合がある。30mmを超えると、鋳包み後にアルミと接する有効面積が不足する場合があり、さらに外力により発生する応力の分散に寄与する有効な網状構造とならない場合がある。内接円の直径を上記範囲とすることにより、鋳包み時のアルミと接する有効面積が十分となり、鋳包み部材として使用された際に熱伝導性が良好となり、また、網状構造が応力を分散し得る。なお、内接円の直径は、例えば鋳包み用部材が筒状の形状である場合、例えばデジタルマイクロスコープを用いて曲面上の凸部の撮影画像を平面上に補正した画像に基づいて、その平坦面に内接円を作成し、例えば1〜50点の内接円から平均値で求めてもよいし、又は、最小径と最大径に基づいてその測定値が含まれる範囲、好ましくはその測定値全てが含まれる範囲として求めてもよい。なお、本発明は、全ての平坦部分が線状部分に周囲全体を囲まれている態様には限定されない。この場合は、いくつかの線状部分に沿った内接円を描き、その直径を上記同様に取り扱うことができる。
また、鋳包み用部材の鋳包まれる面を平面上に投影した場合に、網目状の凸部を平面上に投影した投影面積は、全投影面積に対して、好ましくは5%以上70%以下、より好ましくは10%以上60%以下、さらにより好ましくは16%以上43%以下である。5%未満だと、鋳包み時のアルミと接する有効面積が不十分となる場合があり、また、外力によって発生する応力を低減する補強リブとしての効果が低下する場合がある。70%を超えると、軽量化効果が活かされない場合がある。網目状の凸部の投影面積は、凸部の頂部の上方より凸部を投影した面積である。当該網目状の凸部の投影面積を、全投影面積に対して上記の範囲とすることで、鋳包んだ際に鋳包む金属との密着強さや熱伝達性、熱放散性、剛性を向上させることが可能となり、鋳包んだ後の鋳包み部材としての熱伝導率や比弾性率を向上させることも可能となり得る。なお、投影面積は、例えばマイクロスコープを用いて撮影し、平面補正した画像に基づいて2値化処理を行って算出してもよく、例えば1〜50点の測定結果から平均の凸部投影面積率で求めてもよいし、又は、当該面積率の最小値と最大値に基づいてその測定値が含まれる範囲、好ましくはその測定値全てが含まれる範囲として求めてもよい。
網目状の凸部は、鋳包み用部材の表面において、連続的に形成されている。「連続的に」は、全ての線状部分が繋がっている態様に限定されるものではなく、一部の線状部分のみが繋がっている態様も含む。
鋳包み用部材の全体的な外形は、図11〜13に示すように、マスクメロンの表面模様のような網目状の形状を有する。鋳包み用部材の肉厚11bは、好ましくは2〜20mmの厚みを有する。鋳包み用部材の肉厚は、例えば図4では、鋳包み用部材の内周面から外周面の平坦面までの厚みh9と、網目状の凸部の高さh3の和であり、凸部の高さh3は、鋳包み用部材の肉厚の好ましくは1〜70%、より好ましくは10〜50%を有していてもよい。
このように、鋳包み用部材は、その鋳包まれる表面に、線状部分と集合部分とを備える凸部を有するので、鋳包む金属と接触する面積を従来よりも増大し、熱伝達性、放熱性を効率的に向上させることができる。また、鋳包み用部材は、凸部の底面から頂部の間で括れた形状や凸部の縦壁が平坦面に対する垂直線に対し傾きを有する形状を有するので、この部分に鋳包む金属が食い込んで、密着強さを向上させ鋳包む金属との間に隙間を生じにくくさせ、鋳包む金属への熱伝導性を向上させることができる。さらに、凸部が例えば等方性の網状構造である場合、凸部が補強リブとしての効果をもたらし、様々な方向からの外力により生じる応力の分散と軽減に寄与することが可能となる。例えば鋳包み用部材がシリンダスリーブであれば、ボア径方向又は軸方向の比弾性率を向上させることができ、強いては鋳包み部材の変形を防止し得る。このため、同一の剛性を維持しつつシリンダスリーブを薄肉化や軽量化することが可能となる。
鋳包み用部材は、アルミニウム(アルミともいう)、アルミニウム合金、又は、その他の非鉄合金によって鋳包まれる。ここで、鋳包み用部材をこれらの金属又は合金によって鋳包んで得られる鋳包み部材は、上述したように鋳包み用部材と鋳包むアルミニウム等の金属又は合金との密着性が良好であり、鋳包み部材としての熱伝導性も良好となる。なお、熱伝導率は、レーザーフラッシュ法によって測定することができる。
例えば、鋳包み用部材がエンジンシリンダブロックに鋳込まれるシリンダスリーブである場合、シリンダスリーブは、周囲のアルミ製のシリンダバレルに熱を均一に放散すること、及び、燃焼圧力やシリンダヘッド締結時の圧縮荷重がかかりやすいため剛性が高いことが求められる。本発明をシリンダスリーブに適用し、そのシリンダスリーブを例えばアルミで鋳包むことで、熱伝導率や熱拡散性に優れたエンジンシリンダブロックとすることができる。また、エンジンの圧縮比を上げても効率よくシリンダスリーブからアルミのシリンダバレルへと放熱することができ、高圧縮化に伴う燃焼温度の上昇を抑制し得る。さらに、シリンダスリーブの比弾性率を向上し得るため、同一の重量であれば上記の運転時や締結時に、鋳包んだシリンダスリーブのボア変形、つまり真円度の変化を防止でき、エンジンのメカニカルロスやブローバイガスを低減し得る。同一の剛性のシリンダスリーブであれば、スリーブ自体を薄肉化及び軽量化することができ、強いてはエンジンの軽量化を可能とし得る。
本発明は、また、別の一態様によれば、鋳包み用部材の製造方法に関する。本発明の方法は、鋳型の溶湯を流し込もうとする面に塗型剤を塗布する工程と、前記塗布した塗型剤を乾燥させて、表面にひび割れの形状を有する塗型層を形成する工程と、前記塗型層上から溶湯を流しこみ、前記鋳型を回転させながら鋳造する工程とを少なくとも含む。
鋳包み用部材を成形するための鋳型の材質や形状は、特に限定されるものではなく、対象の鋳包み用部材の粗材や用途に合わせて選定してもよい。例えば、鋳包み用部材としてエンジンシリンダブロックに鋳込まれるシリンダスリーブを成形する場合は、鋳型は、金属製の金型であることが好ましく、筒状の形状であることが好ましい。この場合、遠心力を利用した遠心鋳造法によって成形することが好ましい。なお、鋳包み用部材を成形する鋳型の表面は、例えば機械加工のままの略平滑面であってもよい。
図9に、本発明の一態様の鋳包み用部材の製造方法の概略図を示す。図9(a)は、容器36中で調製した塗型剤32lである。塗型剤は、耐火材と粘結材と溶媒とを少なくとも含んでいてもよい。場合によって、骨材も含んでいてもよい。
耐火材としては、鋳型表面の保護に加え、特に、溶湯の白銑化防止や十分な離型性を確保する点から、珪藻土粉体が好ましい。耐火材の配合量の下限値は、塗型剤全体の質量に対して、好ましくは2質量%以上、より好ましくは8質量%以上であり、上限値は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは27質量%以下、さらにより好ましくは15質量%以下である。
粘結材としては、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリナイト、セピオライト、アタパルジャイト、耐火粘土などが挙げられる。特に、耐火材や骨材と共に溶媒に混合した際、分離を抑制し、塗型剤を鋳型の表面に貼り付けることができる粘度とし得る点から、溶媒を吸収して膨潤しゲル化するベントナイトが好ましい。粘結材の配合量の下限値は、塗型剤全体の質量に対して、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上であり、上限値は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。2質量%未満では、耐火材との分離が発生しやすく、また塗型層の強度が不十分となる場合があり、20質量%を超えると、塗型剤のスラリー粘度が高くなり過ぎてコーティングが困難となる場合がある。
溶媒としては、水を用いてもよい。溶媒の配合量の下限値は、塗型剤全体の質量に対して、好ましくは60質量%以上であり、上限値は、好ましくは85質量%以下である。塗型剤は、上述した材料の他に、例えばブタノールなどの水より沸点の高い有機溶剤を含んでいてもよく、この場合、水と混和して用いてもよい。
塗型剤は、また、上述した材料の他に骨材を含んでいてもよい。骨材としては、ムライトやセラビーズのような酸化アルミニウムと二酸化ケイ素からなる鉱物粉体又は人工セラミックス砂、また、ジルコン砂、クロマイト砂、けい砂、オリビン砂、スピネル砂などの鋳造砂を用いてもよい。特に、耐火材や粘結材との分離を防ぐために比重が小さく、さらに溶媒を吸収せず、乾燥固化時に塗型層の収縮量を促進させて、塗型層のひび割れを増加させる点から、ムライトやセラビーズが好ましい。骨材の配合量の下限値は、塗型剤全体の質量に対して、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらにより好ましくは3.0質量%以上であり、上限値は、特に限定されるものではないが、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
耐火材と粘結材と溶媒とを少なくとも混合し、場合によって骨材も混合して、スラリー状の塗型剤としてもよい。
図9(b)に、鋳型31の溶湯を流し込もうとする面31sに塗型剤32lを塗布する工程の概念図を示す。本実施形態においては、流し込もうとする面(以下、溶湯接触面ともいう)は鋳型の内周面であり、塗型層を形成する前のその表面は、略平坦であることが好ましい。塗布する工程では、筒状の鋳型31を一定の向き40に回転させながら、ノズル41を用いて鋳型の内周面31sに塗型剤32lを塗布する。ノズル41は、鋳型の内周面31sから一定の距離を保ちながら、一定の速度で筒の長手方向42に移動させて、筒の内周面全体に均一に塗布することが好ましい。円筒状の鋳型を用いる場合、例えば、筒を横にして転がすような状態で、鋳型を回転させることが好ましい。回転時の鋳型の遠心加速度は、4G以上40G以下に設定することが好ましい。
鋳型に塗型剤を塗布する際の鋳型の内周面31sは、塗型剤が急騰しない温度に加熱されていることが好ましい。加熱温度としては、好ましくは110〜210℃、より好ましくは120〜180℃である。
図9(c)に、塗布した塗型剤を乾燥させて、ひび割れの形状を有する塗型層32sを形成する工程の概念図を示す。塗型剤を乾燥させるまでの間、鋳型31を一定の向き40に回転させることが好ましい。
塗型剤の乾燥は、塗布後にそのまま鋳型を回転させたまま行うことができる。加熱したまま又はさらに加熱した鋳型の熱によって塗型剤を乾燥・固化させてもよい。回転保持時間は、0.25〜3分間であることが好ましい。または、鋳型の回転を停止させた後に、必要に応じて鋳型の内側または外側から鋳型を加熱し、乾燥固化時間の短縮を図ってもよい。
塗布後にさらに加熱することで乾燥させる場合、好ましくは、溶媒の蒸発温度以上であって蒸発温度から110℃高い温度以下の温度で加熱する。これにより、塗型剤の内部から溶媒が急騰するのを抑制し、また、気泡(水蒸気)の過度な発生を抑制した状態で、ひび割れの形状を有する塗型層を形成することができる。加熱温度の下限値は、好ましくは溶媒の蒸発温度以上であり、より好ましくは溶媒の蒸発温度より10℃高い温度以上であり、さらに好ましくは溶媒の蒸発温度より20℃高い温度である。加熱温度の上限値は、好ましくは溶媒の蒸発温度より110℃高い温度以下であり、より好ましくは溶媒の蒸発温度より80℃高い温度以下であり、さらに好ましくは溶媒の蒸発温度より40℃高い温度である。塗布後にさらに加熱することで乾燥させる場合、加熱時間は、0.25〜3分間であることが好ましい。
塗型層の乾燥後の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1mm〜5.0mm、より好ましくは0.5mm〜2.0mmの平均厚さを有していることが好ましい。
図8に、塗型層の形成メカニズムの概略図を示す。図8(a)に示すように、加熱した鋳型31に塗布された塗型剤32lからは、揮発成分33の一部が蒸発する。図8(b)は、塗型層32sの乾燥固化時の初期の状態を示す。この段階では、塗型層32sから揮発成分33が大量に蒸発し、塗型層32sの表面においてランダムな間隔で収縮34が生じ始め、ひび割れ35iが発生する。図8(c)は、乾燥固化時の中期の状態を示す。塗型層32sの収縮34がさらに進行し、塗型層32sの表面から、鋳型31の表面に向かって拡大したひび割れ35mが生じ、塗型層の厚み方向における空隙の断面が楔形状となる。場合によって、このようなひび割れの状態で完全に乾燥固化してもよい。図8(d)は、乾燥固化時の末期の状態を示す。塗型層を貫通したひび割れ35fが生じ、幾つかのブロックの分かれた塗型層32sとなる。さらに、ひび割れは、塗型層の収縮により、ひび割れ35fに対して略垂直に、鋳型表面に沿ってさらに広がる。このようにして得られた塗型層は、その表面が網目状の形状を有するひび割れを備えていてもよい。
図9(d)に、塗型層32sの上から鋳型31に鋳鉄溶湯43を流しこみ、鋳型31を一定の向き40に回転させながら遠心鋳造する工程の概念図を示す。図9(b)と同様に、鋳型を回転させながら、ノズル等の溶湯供給手段を用いて筒の内側に溶湯を流し込むことができる。鋳型を回転させる場合、鋳型の遠心加速度は、100G以上120G以下に設定することが好ましい。鋳型を回転させることにより、遠心力によって溶湯が塗型層のひび割れの内にも流れ込み、鋳包み用部材の表面に所望の線状突部を形成することができる。溶湯の温度は、使用する鋳鉄、金属又は合金等が溶融する温度であれば特に限定されるものではないが、鋳鉄であれば1380〜1450℃であることが好ましい。また、溶湯を鋳型に投入する際の、鋳型の温度は、100〜300℃であることが好ましい。
図9(e)に、鋳鉄溶湯を凝固させる工程の概念図を示す。鋳鉄溶湯43を鋳型31の外側から冷却して凝固させることで、鋳包み用部材型の成型体44を得る。鋳型に溶湯を流し込んで鋳造した後、例えば0.25〜1分間保持して自然冷却し凝固させてもよいし、例えば成形体の温度が共晶凝固終了温度から共晶凝固終了温度より100℃低い温度となる温度まで自然冷却し、溶湯を凝固させてもよい。溶湯を凝固させた後に、鋳型の回転を停止させることが好ましい。成形体44を構成する金属組織内にフェライトが析出するのを防ぐため、鋳包み用部材の質量又は肉厚によっては、共析変態(Ar1変態)の終了温度、例えば約730℃までの温度で、鋳型を回転させながら、鋳型の外側を例えば水冷してもよい。このようにして溶湯を凝固、冷却させることで、鋳包み用部材型の成型体が得られる。
図9(f)に、鋳包み用部材型の成型体44を鋳型31から取り出す工程の概念図を示す。鋳型から成型体を取り出す方法としては、特に限定されるものではなく、鋳型の形状に合わせて手法を選定する。例えば、筒型の鋳型の場合、成型体44の内径端部に外側に開口する爪を有するチャックを取り付け、チャックの他端側を油圧シリンダなどを用いて図中の矢印方向45へ引き抜くようにして、鋳型31から取り出すことができる。
図9(g)に、鋳型31から取り出した成型体44から塗型層32sを取り除く工程の概念図を示す。鋳型から取り出した成型体には、その表面に塗型層が付着している場合がある。成型体から塗型層を取り除く方法として、特に限定されるものではないが、ショットブラスト又はウォータージェット、ドライアイス研掃等が挙げられる。例えば成型体44を矢印方向46へ移動させ、成型体44の表面の塗型層32sにブラスト47を投射し、成型体44から塗型層32sを除去することができる。ショットブラストの場合、投射メディアとして、粒度が#240〜#8000、平均粒径が0.5〜60μmのセラミックス粉末を用いてもよく、投射圧力は、0.1〜0.4MPaであることが好ましい。ウォータージェットの場合、投射圧力は、0.1〜0.4MPaであることが好ましい。
図9(h)に、成型体から塗型層を取り除いた後の、鋳包み用部材48を示す。成型体から塗型層を取り除くことで、その表面48sに網目状の凸部を有する鋳包み用部材48が得られる。
本発明によれば、鋳包み用部材の鋳包まれる表面上に、従来の製造方法では成し得なかった高さを有する所定の形状の凸部を形成することができる。このため、鋳包むアルミと高い密着強さを有し得る。また、本発明の鋳包み用部材は、高剛性で、熱伝達性、熱放散性や熱伝導性に優れた摺動部品以外の部材、例えば、アルミブレーキドラムや二輪車用アルミダイカスト製ホィールハブ、パワートレーン系の軸受ジャーナル部など回転トルクが作用する部位の鋳包み部材にも適用できる。
鋳包み用部材の鋳包まれる表面にアンダーカット構造を形成するためには、上記した製法が好ましい。鋳包み用部材の鋳包まれる表面の一部にアンダーカット構造を有さない部位を必要とする場合は、その部位を研削又は切削してもよい。または、例えば、その部位以外の鋳包まれる表面をマスキングして鋳包み用部材を回転させながら該表面に金属溶射を施すことで、アンダーカット構造を有さない部位を持つ鋳包み用部材を成形することも可能である。
得られた鋳包み用部材を、例えば、ダイカスト法によって鋳包んでもよい。射出条件は、特に限定されるものではないが、例えばADC12やADC10、ADC3を用いて、620〜670℃で注湯し、射出圧力50〜100MPa、射出速度1.5〜4.0m/秒で行ってもよい。このようにして鋳包み部材を得ることができる。
(鋳包み用部材の作製)
<実施例1>
塗型剤は、珪藻土、ムライト、ベントナイト及び水を混合し、パワーミキサー装置(リョービ株式会社製)で攪拌して作製した。各成分の配合比は、塗型剤全体の質量に対して、珪藻土9質量%、ムライト6質量%、ベントナイト10質量%及び水75質量%とした。
鋳包み用部材の鋳型として、内径約79mmの円筒状の金型を用い、筒の内周面の温度を160℃とした。この温度は、接触温度計又は放射温度計によって測定できる。鋳型は、筒状の部分(筒の長手方向)を横にし、4〜10Gの遠心加速度で回転させながら、鋳型の内周面にノズルを用いて塗型剤を塗布し、塗型層を形成した。塗布後、約1分間、鋳型の回転を保持し、鋳型の内周面上に塗型層を形成した。塗型層を形成した後の鋳型の内周面の写真を、図10に示す。得られた塗型層は、その表面にひび割れの形状を形成しており、層の平均厚みは約1mmであった。層の厚みは、電磁式膜厚計((株)サンコウ電子研究所製、型番SWT−8000II)に測定プローブ(Fe−2.5LwA)を接続して塗型層の表面を10箇所測定し、それらの測定値から平均を算出した。
次に、内周面上に塗型層を形成した鋳型に溶湯を流し込み、鋳包み用部材を鋳造した。溶湯として、1420℃で溶融させた鋳鉄を用いた。溶湯を鋳型に注湯する際、鋳型の内周面の温度を160℃とし、120Gの遠心加速度で回転させながら行った。鋳型に溶湯を注湯した後、鋳型を回転させたまま0.5分間保持し、その後、鋳型を回転させたまま鋳型の外周面から冷水を用いて730℃以下となるまで冷却し、溶湯を凝固、冷却させて、鋳包み用部材の成型体を得た。
溶湯を凝固、冷却させた後、鋳型の回転を停止させ、成型体の内径端部に外側に開口する爪チャックを取り付け、チャックの他端を油圧シリンダにつないで鋳型と逆方向に移動させて成形体を鋳型から引き抜いた。引き抜いた成型体の外周面にブラストを投射して、成型体から塗型層を除去した。投射したブラストは、平均粒径23μmのセラミックス粉末であり、投射圧力は、0.3MPaであった。このようにして、塗型層を除去し、内径64mm、厚さ7.5mmの鋳包み用部材の長筒状粗材を得た。さらに、この鋳包み用部材の粗材を必要な長さに切断し、さらに外径を基準とする旋盤加工によって内周面に機械加工を施して、長さ124mm、厚さ4.5mmの鋳包み用部材を得た。表1に、鋳包み用部材を得るための塗型剤の配合比、金型温度、塗型層の厚さ、鋳包み用部材の厚さ、及び、鋳包み用部材の外周面の突起構造タイプを示す。上記鋳包み用部材の粗材及び鋳包み用部材の厚さは、筒の肉厚のことであり、ノギスによって両端面の厚さを5箇所測定し、それらの平均値を算出した。
<実施例2〜24、26>
塗型剤の配合比、金型温度、塗型層の厚さ及び鋳包み用部材の厚さを表1となるようにした以外は、実施例1と同様にして行い、鋳包み用部材を得た。
<実施例25>
骨材としてムライトの代わりにセラビーズを用いて、塗型剤の配合比、金型温度、塗型層の厚さを表1となるようにした。鋳型として内側がタテ150mm、ヨコ150mm、厚さ10mmの平板状の金型を用い、金型を回転させずに予熱した金型表面に塗型剤を流し込み、塗型剤を乾燥・固化させて、塗型層を形成した。図18に、実施例25の塗型層の表面の写真を示す。この写真から、骨材にセラビーズを用い、平板の鋳型で形成しても、表面にひび割れの形状が形成できたことを確認した。このことにより、遠心力が作用する円筒金型で本条件を実施しても、実施例1〜24、26のような網状型突起が形成できることを確認した。
<比較例1>
従来よりアルミダイカストの鋳包み用部材として使用されてきた円筒本体を、比較例1の鋳包み用部材として用いた。
[鋳包み用部材の鋳包まれる外周面の観察]
図11(A)に、実施例1の鋳包み用部材の写真を示し、図11(B)に、図11(A)の四角で囲んだ領域d2の拡大図を示す。図12(A)に、実施例21の鋳包み用部材の写真を示し、図12(B)に、図12(A)の四角で囲んだ領域d3の拡大図を示す。図13(A)に、実施例16の鋳包み用部材の写真を示し、図13(B)に、図13(A)の四角で囲んだ領域d4の拡大図を示す。拡大図は、鋳包み用部材の外周面を、接写カメラでマクロ撮影したものである。図11(A)、図12(A)、図13(A)から、実施例1、21、16の鋳包み用部材の外周面に、凸部が網目状に存在することを確認した。図12(B)及び図13(B)は、図11(B)よりも鮮明な凸部が観察され、これは凸部の高さによるものと考えられる。また、図13(B)は、図12(B)よりも線状部分の幅が広い傾向であり、これは塗型層に発生したひび割れが広く開口していたためと考えられる。このような構造の違いに基づいて、実施例1のタイプを網状型I、実施例21のタイプを網状型II、実施例16のタイプを網状型IIIと設定した。また、他の実施例の鋳包み用部材についても外周面の表面構造を確認し、選別した結果を表1に示す。
図14、15、16に、実施例1、21、5の鋳包み用部材の鋳包まれる外周面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真を示す。また、図17に比較例1の鋳包み用部材の鋳包まれる外周面の約25倍の概略図を示す。図14、15、16の図中、破線の円で囲んだ部分は、線状部分が合流した集合部分であり、円中の数字は、集合部分で合流している線状部分の本数を示す。図14、15、16から、網目状の凸部は、複数の線状部分と、幾つかの線状部分が合流している複数の集合部分とで形成されていること、集合部分において、合流している線状部分の本数は異なっていること、また、合流している線状部分が互いにランダムな方向であることがわかった。一方、図17は、複数の括れた針状突起が観察されたが、連続的な線状の突起構造はみられなかった。
[網目状凸部の投影面積評価]
実施例2の鋳包み用部材の鋳包まれる外周面を、デジタルマイクロスコープVHX−5000(キーエンス社製)を用いて観察し、画像ソフトQuickGrainPro(イノテック社製)を用いて2値化処理を行い、観察した領域の全面積に対する、凸部の投影面積の比率を算出した。同じようにして3箇所で評価を行って平均値を算出し、結果を表2に示す。また、実施例6、8、15〜20及び24の鋳包み用部材についても同様にして評価し、結果を表2に示す。
図19に、実施例2の鋳包み用部材の鋳包まれる外周面を、デジタルマイクロスコープVHX−5000を用いて2.5倍の倍率で撮影し、2値化処理した画像を示す。図中、鋳包まれる面は、凸部の頂部の上方より凸部を投影した部分Uと、凸部に囲まれた平坦部分Fとに分けられ、それらの和の全面積対比での、当該凸部の投影部分Uの比率を、凸部の投影面積率とした。表2に示すように、上述した網目構造のタイプによって、投影面積率が異なる傾向であり、網目状Iのタイプは11%〜33%、網目状IIのタイプは18%〜42%、網目状IIIのタイプは42%〜60%であった。
[網目状凸部の網目における内接円測定評価]
実施例1の鋳包み用部材の外周面を、デジタルマイクロスコープVHX−5000(キーエンス社製)を用いて観察し、観察した領域において、線状部分で囲まれた部分の輪郭に接する内接円を作成し、その直径を測定した。観察した領域において確認できる内接円の直径を無作為に10箇所測定し、その平均値を算出し、結果を表3に示す。実施例5、7、9、11、21、22の鋳包み用部材についても同様にして評価し、結果を表3に示す。
図20に、実施例1の鋳包み用部材の鋳包まれる外周面を、デジタルマイクロスコープVHX−5000を用いて7倍で撮影した写真を示す。図中の破線の円は、網目状の凸部で囲まれた部分に内接する円を示す。表3に示すように、上述した網目構造のタイプによって、内接円の直径の大きさが異なる傾向であり、網目状Iのタイプは1.8〜4.1mm、網目状IIのタイプは1.2〜5.0mm、網目状IIIのタイプは1.7〜5.0mmであった。
[網目状凸部の線状部分の上面の幅方向の長さ評価]
実施例1の鋳包み用部材の鋳包まれる外周面を、デジタルマイクロスコープVHX−5000(キーエンス社製)を用いて観察し、網目状凸部の頂部の、線状部分の上面の幅方向の長さを測定した。観察した領域において10箇所評価して平均値を算出し、結果を表3に示す。実施例5、7、9、11、21、22の鋳包み用部材についても同様にして評価し、結果を表3に示す。表3に示すように、上述した網目構造のタイプによって、線状部分の幅方向の長さが異なる傾向であり、網目状Iのタイプは0.1〜1.2mm、網目状IIのタイプは0.2〜2.7mm、網目状IIIのタイプは0.2〜2.9mmであった。
[網目状凸部の底面から頂部の上面までの高さ評価]
実施例1の鋳包み用部材の鋳包まれる外周面を、デジタルマイクロスコープVHX−5000(キーエンス社製)を用いて観察し、網目状凸部の、凸部の底面(平坦面)から凸部の頂部の上面までの高さを測定した。3視野において、1視野あたり6〜10箇所測定し、これらの平均値を算出した結果を表4に示す。実施例5、7、9、11、13、14、21、22、23、24及び比較例1の鋳包み用部材についても同様にして評価し、結果を表4に示す。
図21に、実施例1の鋳包み用部材の鋳包まれる外周面を、デジタルマイクロスコープVHX−5000を用いて6倍の倍率で撮影した写真を示す。図中の線49は、測定対象の凸部c1のない表面(凸部の底面)の位置を示す。表4に示すように、上述した網目構造のタイプによって、網目状凸部の、凸部のない表面から凸部の頂部の上面までの高さの範囲が異なる傾向であり、網目状Iのタイプは0.6〜0.8mm、網目状IIのタイプは0.8〜1.1mm、網目状IIIのタイプは0.9〜1.5mmであった。
[鋳包み用部材の剛性評価(径方向)]
実施例5の鋳包み用部材の粗材を必要な長さに切断し、さらに外径を基準とする旋盤加工によって内周面に機械加工を施して、鋳包み用部材とし、これを剛性評価用試験片とした。図22(A)は試験片の外形を示す写真である。図22(A)に示す通り、試験片の内径βは、73mm、長さγは、30mm、厚さは、3mmとした。精密万能試験機(島津製作所製、AG−100kN Xplus)を用いて、この試験片の弾性率を評価した。図22(B)は、試験直前の試験機及び試験片の状態を示す写真である。この試験機は、圧縮端子(圧縮パンチ)52が上から下の方向53に向かって移動して試験片51を径方向に圧縮する。試験片51が圧縮変形する際の荷重に対する変位を測定して荷重−変位線図を作製し、これより比例限度内での変位に対する圧縮荷重の傾き、すなわち、ばね定数を算出して、鋳包み用部材の剛性比較に用いた。試験片51の外周面が圧縮端子と接するように、試験片51を配置した。また、試験片51が試験中動かないように、V字ブロック50を用いて固定した。圧縮端子の落下速度は、1mm/minとした。結果を表5と図23に示す。また、実施例7、9、11、13、21、22、23及び比較例1の鋳包み用部材についても同様にして評価し、結果を表5と図23に示す。
表5の結果に基づいて、鋳包み用部材の重量に対するばね定数のグラフを図23として作成し、実施例5、7、9、11、13、21、22及び23の結果で近似線を作成した結果、y=5.28576e0.0435xという関係式を導き出した。この式に基づいて、比較例1と同じばね定数となる重量を確認したところ、約102gであり、比較例1の鋳包み用部材よりも4%軽量化できることがわかった。
(鋳包み部材の作製)
<実施例27>
実施例2の鋳包み用部材をダイカスト法により、その外周面をアルミで鋳包んだ略円筒形状の鋳包み部材を作製した。アルミはADC12を用い、650℃で注湯し、射出圧力65MPa、射出速度2.0m/秒で鋳造した。得られた鋳包み部材を、その内周面を基準にして外周面のアルミを外径81mmとなるまで旋盤加工し、その後、外周面を基準として鋳包み部材の内周面を内径73mmとなるよう旋盤加工して鋳包み部材の厚みが4mmとなるようにした。さらに、鋳包み部材の筒の長手方向の長さが30mmとなるようにして切断して、鋳包み部材のボア径方向及び軸方向の剛性評価用試験片をそれぞれ作製した。
<実施例28〜30、比較例2>
実施例3、4、7及び比較例1の鋳包み用部材を各々用いた以外は実施例27と同様にして行い、鋳包み部材の剛性評価用試験片を作製した。但し、実施例30の試験片は、軸方向の剛性評価のみに使用した。
<実施例31>
実施例2の鋳包み用部材をダイカスト法により、その外周面をアルミで鋳包んだ略円筒形状の鋳包み部材を作製した。アルミはADC12を用い、650℃で注湯し、射出圧力65MPa、射出速度2.0m/秒で鋳造し、外径89mm、内径70mm、長さ約128mmの略円筒形の鋳包み部材を作製した。後述するように、この鋳包み部材から、熱伝導率測定用試験片及びアルミと鋳包み用部材間の密着強さを測定するための試験片を作製した。
<実施例32〜34、比較例3、4>
実施例10、12、14及び比較例1の鋳包み用部材を各々用いた以外は実施例31と同様にして行い、鋳包み部材を作製した。また、比較例3と4は、比較例1をそれぞれ別々にダイカストして得た鋳包み部材であり、比較例4は、比較例3の再現性確認を目的として使用した。
[鋳包み部材の断面観察]
実施例33の鋳包み部材の断面を光学顕微鏡(オリンパス社製、型番:GX51)で観察した結果を図24に示す。鋳包み用部材71のアルミ72と接する界面において、略T型T1や略Γ型T2の断面形状を有する凸部がみられた。
[鋳包み部材の剛性評価(ボア径方向)]
実施例27の試験片の径方向のばね定数を、精密万能試験機(島津製作所製、AG−100kN Xplus)を用いて評価した。測定方法は、上記鋳包み用部材の剛性評価と同じである。結果を表6に示す。また、実施例28、29及び比較例2の試験片についても同様にして評価し、結果を表6に示す。バネ定数は、400〜1000N負荷時の荷重―変位曲線から算出した。剛性評価の目安となる比重に対するばね定数の比率を「比弾性率」と仮定して算出した。比重は、試験片の嵩密度を用いた。試験片の嵩密度は、試験片の測定重量を試験片の寸法より算出した体積で除して測定した。結果から、実施例27〜29は、試験片の径方向における比弾性率について、比較例2よりも高くなることを確認した。
[鋳包み部材の剛性評価(軸方向)]
実施例27の試験片の軸方向の弾性率を、精密万能試験機(島津製作所製、AG−100kN Xplus)を用いて評価した。図25(A)に試験片の外形を示し、図25(B)に試験直前の状態を示す。試験片は、上述したとおり、外径αは81mm、内径βは73mm、長さγは30mmである。試験機の圧縮端子が上から下の方向63に向かって移動し、試験片61を圧縮していき、試験片61が圧縮荷重の比例限度を超えるまでの荷重−変位曲線を求め、軸方向の弾性率を測定した。試験片の軸方向の剛性を評価するため、試験片の外周面ではない両端面が圧縮端子と試験台に接するように配置した。圧縮端子の落下速度は1mm/minとした。結果を表7に示す。また、実施例28〜30及び比較例2の試験片についても同様にして評価し、結果を表7に示す。弾性率は、30〜70kN負荷時の荷重―変位曲線から算出した。比弾性率は、試験片の嵩密度を比重として算出した。試験片の嵩密度は、試験片の測定重量を試験片の寸法より算出した体積で除して測定した。結果から、実施例27〜30の試験片の軸方向における比弾性率は、比較例2よりも高くなることを確認した。
[鋳包み部材の熱伝導性評価]
実施例31の鋳包み部材から試験装置に適合できる直径の円形板を削り出して試験片とした。試験片は、鋳包み用部材とそれを鋳包むアルミの界面を中心として双方が同じ肉厚となるようにした。なお、アルミで鋳包む際の射出ゲートのゲート近傍部分(ゲート側)と、ゲートから最も遠い部分(反ゲート側)から、上記円形板の試験片を削り出した。熱伝導性試験として、熱定数測定装置(アルバック理工社製、TC−7000)を用いて、レーザーフラッシュ法(LF法)により、室温(25℃)、大気中において、試験片の鋳鉄面にレーザー照射を行い、比熱と熱拡散率を測定し、以下の式(1)から熱伝導率を算出した。
λ=Cp×α×ρ (1)
式中、λは熱伝導率、Cpは比熱、αは熱拡散率、ρは室温における密度である。室温に
おける密度は、室温(25℃)、大気中で測定した試験片の寸法と重量を用いて算出した。また、実施例32〜34及び比較例3、4についても同様に試験片を削り出し、熱伝導性を評価した。結果を表8に示す。結果から、実施例31〜34は、試験片の採取位置がゲート側でも反ゲート側でも、比較例3及び4よりも熱伝導率が高くなることを確認した。
[鋳包み部材の密着強さ評価]
実施例31の鋳包み部材から300〜500mmの密着面積を有する四角形の試験片を7個削り出した。試験片のアルミ側の面と鋳鉄側の表面に、熱硬化性エポキシ系接着剤で引張治具をそれぞれ固定し、精密万能試験機(島津製作所製、AG−100kN Xplus)を用いて、垂直剥離試験を行った。鋳包み用部材とアルミが剥離した時の最大荷重を試験前の試験片の密着面積で除した値を密着強さとした。また、実施例31〜34及び比較例3、4についても同様に試験片を削り出して評価した。試験片の測定値と平均値を表9に示す。実施例33のNo.7の試験片、実施例34のNo.2及びNo.7の試験片は、引張治具に固定した接着剤の部分で剥離(破断)したが、密着強さの平均値には含めるものとした。結果から、実施例31〜34は、比較例3及び4よりも鋳包み用部材とアルミの密着強さが高くなることを確認した。
1 :線状部分
1a、1b、1c、1d、1e:線状部分
2 :集合部分
2a、2b、2c、2d :集合部分
3 :網目状の凸部
4 :凸部の頂部
5 :凸部の頂部の上面
6 :凸部の底面(平坦面)
7 :凸部の底面から頂部までの部分(縦壁)
8 :凸部の高さ
La :線状部分の長手方向の長さ
Lb :線状部分の短手方向の長さ(幅)
L4 :凸部の頂部の幅
L7 :縦壁の幅
h3 :凸部の高さ
h4 :凸部の頂部の高さ(厚み)
h7 :縦壁の高さ
h9 :鋳包み部材の平坦面までの厚み
F :平坦面
Ic :内接円

Claims (14)

  1. 鋳包まれる面上に網目状の凸部と平坦面とを有する鋳包み用部材であって、
    前記網目状の凸部が、線状部分と、少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを備え
    前記凸部が、前記平坦面から立ち上がる縦壁部分と頂部とを備え、前記凸部が、前記縦壁部分の幅と比較して前記頂部の幅が大きい形状を備える、鋳包み用部材。
  2. 鋳包まれる面上に網目状の凸部と平坦面とを有する鋳包み用部材であって、
    前記網目状の凸部の高さがランダムに異なる、線状部分と、少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを備え、
    前記凸部が、前記平坦面から立ち上がる縦壁部分を備える、鋳包み用部材。
  3. 前記縦壁部分が平坦面に対する垂直線に対し傾きを有する形状を含む、請求項1又は2に記載の鋳包み用部材。
  4. 前記網目状の凸部が、少なくとも2つの前記集合部分を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  5. 前記少なくとも2つの集合部分において、前記合流している線状部分の本数が異なっており、前記線状部分がランダムな方向で合流している、請求項に記載の鋳包み用部材。
  6. 前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記凸部の投影面積が、全投影面積に対して、5%以上70%以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  7. 前記網目状の凸部を平面上に投影した場合において、前記線状部分と前記集合部分によって囲まれ部分の輪郭に接する内接円の直径が、0.5mm以上30mm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  8. 前記網目状の凸部において、底面から頂部の上面までの高さが、0.1mm以上5.0mm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  9. 前記線状部分の幅方向の長さが、0.1mm以上8.0mm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  10. 前記鋳包み用部材が、エンジンシリンダブロックに鋳込まれるシリンダスリーブである、請求項1〜のいずれか1項に記載の鋳包み用部材。
  11. 鋳型の溶湯を流し込もうとする面に塗型剤を塗布する工程と、
    前記塗布した塗型剤を乾燥させて、表面にひび割れの形状を有する塗型層を形成する工程と、
    前記塗型層上から溶湯を流しこみ、前記鋳型を回転させながら鋳造する工程とを少なくとも含み、
    前記ひび割れが、前記塗型層の表面から前記鋳型表面に達する複数の空隙により構成され、該空隙の幅が、該塗型層の表面から前記鋳型表面に向かって狭まっており、及び、少なくとも一部の該空隙が、前記鋳型表面に沿って延びている、鋳包み用部材の製造方法。
  12. 前記ひび割れが、網目状の形状を有する、請求項11に記載の鋳包み用部材の製造方法。
  13. 前記塗型剤が、耐火材と粘結材と溶媒を少なくとも含む、請求項10又は12のいずれか1項に記載の鋳包み用部材の製造方法。
  14. 前記塗型層を形成する工程が、該塗型剤を、前記溶媒の蒸発温度以上であって該蒸発温度から110℃高い温度以下の温度で加熱して、該溶媒を蒸発させて、前記ひび割れの形状を有する塗型層を形成する、請求項13に記載の鋳包み用部材の製造方法。
JP2016098883A 2016-05-17 2016-05-17 鋳包み用部材及びその製造方法 Active JP6256524B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016098883A JP6256524B2 (ja) 2016-05-17 2016-05-17 鋳包み用部材及びその製造方法
DE102017106458.3A DE102017106458B4 (de) 2016-05-17 2017-03-27 Element zum Einsetzen und Verfahren zu seiner Herstellung
FR1754231A FR3051380B1 (fr) 2016-05-17 2017-05-15 Insert et son procede de fabrication
CN201710343923.0A CN107377943B (zh) 2016-05-17 2017-05-16 镶铸用构件及其制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016098883A JP6256524B2 (ja) 2016-05-17 2016-05-17 鋳包み用部材及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017205780A JP2017205780A (ja) 2017-11-24
JP6256524B2 true JP6256524B2 (ja) 2018-01-10

Family

ID=60255201

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016098883A Active JP6256524B2 (ja) 2016-05-17 2016-05-17 鋳包み用部材及びその製造方法

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP6256524B2 (ja)
CN (1) CN107377943B (ja)
DE (1) DE102017106458B4 (ja)
FR (1) FR3051380B1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6979171B2 (ja) * 2017-11-16 2021-12-08 スズキ株式会社 鋳包み用部材及びその製造方法
JP7022607B2 (ja) * 2018-01-31 2022-02-18 日本ピストンリング株式会社 バルブシート、および、バルブシートとシリンダヘッドとの結合構造
CN210483897U (zh) * 2018-05-24 2020-05-08 帝伯爱尔株式会社 镶铸用气缸套
DE102018131811A1 (de) 2018-08-13 2020-02-13 HÜTTENES-ALBERTUS Chemische Werke Gesellschaft mit beschränkter Haftung Verwendung einer Schlichtezusammensetzung und entsprechendes Verfahren zur Herstellung einer Schleudergusskokille mit einem Schlichteüberzug
CN111659868B (zh) * 2019-03-08 2022-07-19 中原内配集团股份有限公司 一种新型气缸套及其制备方法
CN111664019B (zh) * 2019-03-08 2022-03-15 中原内配集团股份有限公司 一种气缸套及其制备工艺
JP7429853B2 (ja) * 2020-02-19 2024-02-09 スズキ株式会社 鋳ぐるみ用部材
CN115194091B (zh) * 2022-09-17 2022-12-02 泊头市亚奇铸业有限公司 一种叶片类铸件的砂型熔铸装置

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS593178Y2 (ja) * 1980-04-23 1984-01-28 スズキ株式会社 内燃機関のシリンダ
JP2816920B2 (ja) * 1992-01-09 1998-10-27 本田技研工業株式会社 多気筒内燃機関用シリンダブロックに用いられるシリンダスリーブ集合体
DE19859098C1 (de) * 1998-12-21 2000-03-02 Wolfgang Eberlein Zylinderlaufbuchse aus Grauguß zum Eingießen in einen aus Leichtmetallguß bestehenden Motorblock eines Verbrennungsmotors
JP4309999B2 (ja) * 1999-06-29 2009-08-05 本田技研工業株式会社 複合部材およびその製造方法
JP3253605B2 (ja) * 1999-12-15 2002-02-04 テーピ工業株式会社 鋳ぐるみ用鋳鉄部材、それを用いた鋳ぐるみ製品、及び鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法
JP3866473B2 (ja) 2000-02-08 2007-01-10 本田技研工業株式会社 シリンダブロックのスリーブ構造
DE10125615A1 (de) * 2001-05-25 2002-12-05 Mahle Gmbh Form und Verfahren zur Herstellung eines verlorenen Schaumstoffgußmodells für eine Leichtmetall-Laufbuchse
BRPI0210614B1 (pt) * 2001-06-23 2015-10-13 Mahle Gmbh 'processo para a fabricação de uma camisa de deslizamento de metal leve com uma superfície exterior áspera'.
JP4210469B2 (ja) 2002-05-13 2009-01-21 本田技研工業株式会社 鋳鉄製鋳ぐるみ部材の製造方法
JP4210468B2 (ja) 2002-05-13 2009-01-21 本田技研工業株式会社 鋳鉄製鋳ぐるみ部材
JP4429025B2 (ja) * 2004-01-09 2010-03-10 トヨタ自動車株式会社 鋳包み用シリンダライナ
DE102004005458B4 (de) * 2004-02-04 2006-05-11 Ks Aluminium-Technologie Ag Zylinderblock für eine Brennkraftmaschine und Verfahren zur Herstellung eines Zylinderblocks
JP4452661B2 (ja) 2005-07-08 2010-04-21 トヨタ自動車株式会社 鋳ぐるみ用部品、シリンダブロック、鋳ぐるみ用部品被膜形成方法及びシリンダブロック製造方法
CN1760525A (zh) * 2005-11-11 2006-04-19 潍柴动力股份有限公司 一种复合气缸套及其制造方法
DE102009043566A1 (de) * 2009-09-30 2011-04-07 Mahle International Gmbh Zylinderkurbelgehäuse und Zylinderlaufbuchse oder Zylinderlaufbuchsenverbund
JP5572847B2 (ja) * 2010-03-17 2014-08-20 株式会社Moresco シリンダライナ及びその製造方法
DE102012211866A1 (de) * 2012-07-06 2014-01-09 Mahle International Gmbh Zylinderlaufbuchse
DE102012021089B4 (de) * 2012-10-26 2016-06-30 Daimler Ag Bauteil mit einer aufgerauten Oberfläche

Also Published As

Publication number Publication date
DE102017106458A1 (de) 2017-11-23
DE102017106458B4 (de) 2020-07-16
JP2017205780A (ja) 2017-11-24
FR3051380B1 (fr) 2022-02-25
CN107377943A (zh) 2017-11-24
FR3051380A1 (fr) 2017-11-24
CN107377943B (zh) 2019-09-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6256524B2 (ja) 鋳包み用部材及びその製造方法
JP3253605B2 (ja) 鋳ぐるみ用鋳鉄部材、それを用いた鋳ぐるみ製品、及び鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法
US7383805B2 (en) Cylinder liner for insert casting and method for manufacturing thereof
KR102231513B1 (ko) 주포용 실린더 라이너, 및 실린더 블록의 제조 방법
JP2012067740A (ja) 鋳包用シリンダライナ
CN109807299B (zh) 镶铸用构件及其制造方法
CN109794593B (zh) 镶铸用构件及其制造方法
JP5704247B2 (ja) 鋳造用部材及び鋳造方法、並びに、それに用いる潤滑剤の製造方法
JP3883502B2 (ja) 鋳ぐるみ用鋳鉄部材
CN112719247B (zh) 铸造用气缸套筒
Liu et al. High-quality manufacturing method of complicated castings based on multi-material hybrid moulding process
CN107377944B (zh) 镶铸用构件
JP2802384B2 (ja) 鋳造用中子
JP7429853B2 (ja) 鋳ぐるみ用部材
JP2019065802A (ja) 鋳包み用部材及びその製造方法
JP2010269357A (ja) 金型装置及びそれを用いたシリンダライナの製造方法
Motoyama et al. Effect of the Cooling Capability Difference Between Additively Manufactured Sand Molds on Shrinkage Defect in A356 Alloy Castings
JP2020148166A (ja) シリンダーライナー付きシリンダーブロックの製造方法
CN111519088A (zh) 铸铁件、含有铸铁件的复合部件以及铸铁件的制造方法
Sato et al. Development of Aluminum Powder Metal Composite Material Suitable for Extrusion Process used for Cylinder Sleeves of Internal Combustion Engines
JPH10287935A (ja) 耐摩耗性金属複合体及びその製造方法
JP2014201762A (ja) 母材結晶粒が微細化された複合材料およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170905

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20170905

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20170906

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170921

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171023

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171120

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6256524

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151