JP7022607B2 - バルブシート、および、バルブシートとシリンダヘッドとの結合構造 - Google Patents

バルブシート、および、バルブシートとシリンダヘッドとの結合構造 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関用のシリンダヘッドに圧入されるバルブシート、および、当該バルブシートと内燃機関用のシリンダヘッドとの結合構造に関する。
内燃機関用のシリンダヘッド(以下、単に、シリンダヘッドと呼ぶ。)に圧入されるバルブシートは、エンジン運転などにより高温になると、シリンダヘッドによるバルブシートの保持力が不足して、シリンダヘッドから抜け落ちる場合があった。以上のような問題点を解決するため、バルブシート脱落防止構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該バルブシート脱落防止構造は、シリンダヘッドの圧入孔の内周面に形成された環状溝と、バルブシートの外周面に形成された環状溝とにより構成される環状空間内に、半径方向へ拡張する拡張リングを挿入した構造をしている。上記バルブシートが上記シリンダヘッドに圧入されて装着されると、圧縮されていた拡張リングが半径方向へ拡張して両環状溝にまたがって配置される。これにより、バルブシートの軸方向への動きは、拡張リングにより抑制され、バルブシートがシリンダヘッドから抜け落ちることを防止することができる。
実開平01―83109号公報
しかしながら、上記バルブシート脱落防止構造では、シリンダヘッドおよびバルブシートの環状溝が一体となって形成される上記環状空間のバルブシートの軸方向における寸法が拡張リングのバルブシートの軸方向における寸法よりも大きい場合、拡張リングは、バルブシートの軸方向へ移動可能となる。この場合、バルブシートの軸方向への動きが許容される可能性がある。したがって、上記バルブシート脱落防止構造では、シリンダヘッドおよびバルブシートの環状溝を形成する溝加工において高い精度が要求される。
一方、シリンダヘッドおよびバルブシートの環状溝を高い精度で加工しても、拡張リングと環状溝を構成する面との接触した状態でエンジン運転が行なわれると、拡張リングおよび/または環状溝を構成する面が変形して、拡張リングと環状溝を構成する面との間に隙間が生じるおそれがある。隙間が生じると、上記と同様に、拡張リングは、バルブシートの軸方向へ移動可能となり、バルブシートの軸方向への動きが許容される可能性がある。
また、上記バルブシートが上記シリンダヘッドに圧入される過程で生じる振動により拡張リングが落ちてしまう問題がある。
本発明は、斯かる実情に鑑み、シリンダヘッドから容易に抜け落ちない強固な抜け落ち防止構造を有するバルブシート、および、当該バルブシートとシリンダヘッドとの結合構造を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のバルブシートは、内燃機関用のシリンダヘッドに圧入されるバルブシートであって、自身の外周面において凹凸部を有する粗面領域を備え、前記凹凸部の基底面から前記バルブシートの径方向の外側に延びる前記凹凸部の突出部は、前記基底面に覆いかぶさる拡張部を有することを特徴とする。
また、本発明のバルブシートは、前記外周面に前記粗面領域が有る部分と、前記粗面領域が無い部分を有し、前記粗面領域が無い部分の前記外周面を前記粗面領域まで延長した仮想円筒面を基準外周面と定義した場合、前記拡張部の少なくとも一部は、前記基準外周面に対して前記径方向の外側に位置することを特徴とする。
また、本発明のバルブシートは、内燃機関用のシリンダヘッドに圧入されるバルブシートであって、自身の外周面に凹凸部を有する粗面領域が有る部分と、前記粗面領域が無い部分を備え、前記粗面領域が無い部分の前記外周面を前記粗面領域まで延長した仮想円筒面を基準外周面と定義した場合、前記凹凸部の基底面から前記バルブシートの径方向の外側に延びる前記凹凸部の突出部の側面は、前記径方向の外側へ進むにしたがって、前記基準外周面の面方向に反り返る反り面を有することを特徴とする。

また、本発明のバルブシートにおいて、前記反り面の少なくとも一部は、前記基準外周面に対して前記径方向の外側に位置することを特徴とする。
また、本発明のバルブシートにおいて、前記反り面の少なくとも一部は、前記基準外周面に対して前記径方向の内側に位置することを特徴とする。
また、本発明のバルブシートにおいて、前記反り面の少なくとも一部は、前記径方向の外側へ進むにしたがって、前記バルブシートが前記シリンダヘッドへ圧入される圧入方向の奥側に反り返ることを特徴とする。
また、本発明のバルブシートにおいて、前記反り面の少なくとも一部は、前記径方向の外側へ進むにしたがって、前記バルブシートが前記シリンダヘッドへ圧入される圧入方向の手前側に反り返ることを特徴とする。
また、本発明のバルブシートにおいて、前記バルブシートは、内部に空隙を有する焼結合金により形成され、前記凹凸部は、前記空隙と連通することで、前記空隙が外部に開放された状態を含むことを特徴とする。
また、本発明のバルブシートにおいて、前記凹凸部は、前記バルブシートの外周面の一部が変形又は除去されて形成されるものであり、外部に開放された前記空隙は、前記凹凸部の凹部分を構成する窪み部の最奥部を構成することを特徴とする。
また、本発明のバルブシートにおいて、前記バルブシートは、銅、水ガラスおよび樹脂のうち1種以上が内部の空隙に入り込んだ焼結合金により構成され、前記凹凸部は、自身の表面の少なくとも一部に前記空隙に入り込んだ材料を含有する層を有することを特徴とする。
また、本発明の前記バルブシートと前記シリンダヘッドとの結合構造は、前記拡張部と前記基底面の間に、前記シリンダヘッドの材料が潜り込むようにして前記バルブシートと前記シリンダヘッドとが係合することを特徴とする。
また、本発明の前記バルブシートと前記シリンダヘッドとの結合構造は、前記反り面と前記基底面の間に、前記シリンダヘッドの材料が潜り込むようにして前記バルブシートと前記シリンダヘッドとが係合することを特徴とする。
本発明のバルブシートによれば、内燃機関が稼働中であってもシリンダヘッドから容易に抜け落ちないという優れた効果を奏し得る。また、本発明のバルブシートとシリンダヘッドとの結合構造によれば、バルブシートとシリンダヘッドとの接触面が相互に噛み込みあって、バルブシートとシリンダヘッドとを強固に係合させることができるという優れた効果を奏し得る。
本発明の実施の形態におけるバルブシートをシリンダヘッドに圧入したときのバルブシートの周辺構造の断面図である。 (A)は本発明の実施の形態におけるバルブシートの斜視図である。(B)は本発明の別の実施の形態におけるバルブシートの斜視図である。 (A)は本発明の実施の形態におけるバルブシートをシリンダヘッドに圧入したときのバルブシートの断面図である。(B)は本発明の別の実施の形態におけるバルブシートをシリンダヘッドに圧入したときのバルブシートの断面図である。 (A)は本発明の実施の形態におけるバルブシートの粗面領域を展開した平面図である。(B)は本発明の実施の形態におけるバルブシートの粗面領域の断面図である。(C),(D)は本発明の別の実施の形態におけるバルブシートの粗面領域の断面図である。 (A)は、図4に示すバルブシートの粗面領域の一部領域である粗面一部領域P1の走査型電子顕微鏡による二次電子像(撮影倍率:300倍)の写真である。(B)は、図4に示すバルブシートの粗面領域の一部領域である粗面一部領域P2の走査型電子顕微鏡による二次電子像(撮影倍率:300倍)の写真である。(C)は、図4に示すバルブシートの粗面領域の一部領域である粗面一部領域P3の走査型電子顕微鏡による二次電子像(撮影倍率:300倍)の写真である。 (A)は、図4に示すバルブシートの粗面領域の一部領域である粗面一部領域P1の二次電子像(撮影倍率:300倍)の写真である。(B)は、(A)に示す写真中の一部領域である粗面一部領域P4の概略図である。(C)は、図4に示すバルブシートの粗面領域の一部領域である粗面一部領域P2の二次電子像(撮影倍率:300倍)の写真である。(D)は、(C)に示す写真中の一部領域である粗面一部領域P5の概略図である。 (A)は、図5(C)のF-Fライン(バルブシート軸方向)に沿って凹凸部をバルブシート径方向に切った断面の概略図である。(B)は、シリンダヘッドに圧入したバルブシートをバルブシート軸方向に沿って切断した模試図である。 本発明の実施の形態におけるバルブシートの製造の流れを示すフローチャートである。 (A)は、銅含浸焼結体を材料に形成された本発明の実施の形態におけるバルブシートの凹凸部をバルブシート軸方向に沿ってバルブシート径方向に切った断面写真である。(B)は、(A)に示す断面写真を拡大したものである。 (A)は、銅含浸焼結体を材料に形成された本発明の実施の形態におけるバルブシートの中における銅の分布を表す写真である。(B)は、銅含浸焼結体を材料に形成された本発明の実施の形態におけるバルブシートの中における鉄の分布を表す写真である。 本発明の実施の形態におけるバルブシート素材の断面形状及び、当該バルブシート素材を加工して形成されるバルブシートの断面形状を説明するための説明図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。添付図面は発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。また、各図における各部の形状や寸法比は、必ずしも正確なものではない。
<バルブシートの周辺構造>
図1を参照して、本発明の実施の形態におけるバルブシート1をシリンダヘッド2に圧入したときのバルブシート1の周辺構造について説明する。シリンダヘッド2は、吸気通路3と燃焼室5とを連通する開口部6を起点として吸気通路3側へ延びる保持領域8を有する。保持領域8は、バルブシート1が保持される領域である。バルブシート1は、燃焼室5側から保持領域8に圧入される。これにより、バルブシート1は、保持領域8で保持される。なお、シリンダヘッド2を構成する材料として、例えば、アルミニウム合金等の軽金属合金が挙げられるが、これに限定されるものではなく、シリンダヘッドの材料として使用可能なものならいずれであってもよい。
ここで、バルブシート1がシリンダヘッド2の保持領域8に圧入される方向を圧入方向と定義する。具体的に、圧入方向は、燃焼室5側から吸気通路3側へ向かう方向である。本実施形態において圧入方向は、バルブシート1の軸方向(以下、バルブシート軸方向と呼ぶ。)と平行となる。したがって、本実施形態において圧入方向は、適宜、バルブシート軸方向と読み替えてもよい。また、本実施形態においてバルブシート軸方向は、適宜、圧入方向と読み替えてもよい。なお、圧入方向およびバルブシート軸方向は、図1に示すY軸と平行になる。また、吸気通路3は、排気通路と読み替えてもよい。
バルブ7は、(図示しない)往復移動機構により圧入方向に沿って往復移動する。また、バルブ7は、バルブシート1と当接するバルブフェース7Aを有する。バルブ7が圧入方向(Y軸正方向)へ移動すると、バルブ7のバルブフェース7Aがバルブシート1と当接する。これにより、吸気通路3と燃焼室5とは、空間的に分離される。また、バルブ7が圧入方向と逆方向(Y軸負方向)へ移動すると、バルブフェース7Aがバルブシート1から離れる。これにより、吸気通路3と燃焼室5とは、空間的に連通した状態になる。
<バルブシート全体>
図1~図3を参照して、本発明の実施の形態におけるバルブシート1について説明する。バルブシート1は、材料を加工して、環状に形成される環状体である。当該環状体のバルブシート軸方向に切った断面は、図3に示すような形状となる。バルブシート1は、図2(A)に示すように、中心軸10と、奥側開口11と、手前側開口12と、内周面13と、外周面14と、粗面領域15とを有する。
<バルブシートの材料>
バルブシート1の材料として、例えば、焼結体や溶製材等のバルブシートの製造に用いられる全ての材料が本発明に含まれる。特に、バルブシート1の材料として、鉄基焼結合金製の焼結体や溶製材等を用いることが好ましい。鉄基焼結合金は、加工性、製造性に優れ、バルブシートとして、備えるべき特性の調整等が容易であるからである。
バルブシート1の材料である鉄基焼結合金としては、例えば、質量%でC:0.4~1.5%を含み、あるいはさらに、Ni、Co、Cr、Mo、V、W、Si、S、Mn、Bのうちから選ばれた1種、または2種以上を合計で40%以上含有し、残部がFeおよび不可避不純物から成る基地部組成を有することが好ましい。そして、鉄基焼結合金製の焼結体には、さらに、上記組成の基地相中に、MnS、CaF、BN等の固体潤滑剤粒子、ビッカーズ硬さHVで500~1200HV0.1の硬さを有するMo―Si―Fe系金属間化合物粒子、Mo-Si-Ni系金属間化合物粒子、Co基金属間化合物粒子等の硬質粒子を分散させることが好ましい。なお、被削性改善を目的とした粒子を分散させてもよい。
<バルブシートの中心軸および開口>
中心軸10は、図2に示すように、バルブシート1を構成する環状体の中心軸である。奥側開口11は、図1および図2に示すように、バルブシート1がシリンダヘッド2の保持領域8に圧入されて保持領域8で保持されるとき、圧入方向(Y軸正方向)の奥側に位置するバルブシート1の開口である。手前側開口12は、バルブシート1がシリンダヘッド2の保持領域8に圧入されて保持領域8で保持されるとき、圧入方向(Y軸正方向)の手前側に位置するバルブシート1の開口である。
<バルブシートの内周面>
バルブシート1の内周面13は、図2に示すように、中心軸10周りを取り囲む環状の面である。また、バルブシート1の内周面13は、図3に示すように、軸方向延在面領域130と、傾斜面領域131と、を有する。バルブシート軸方向に垂直な平面で内周面13を切って、バルブシート1の内周面13を2つの領域に分けたとき、内周面13のうち、奥側開口11側の領域が軸方向延在面領域130に相当し、手前側開口12側の領域が傾斜面領域131に相当する。
<軸方向延在面領域>
軸方向延在面領域130は、図3(A)に示すように、バルブシート1の内周面13を構成する領域のうち、バルブシート軸方向に略平行に延在する面により構成される領域である。具体的に軸方向延在面領域130は、軸方向延在面132により構成される。軸方向延在面132は、内周面13の一部を構成し、奥側開口11を起点として、バルブシート軸方向に略平行に手前側開口12側に向かって延在する環状の面である。
<傾斜面領域>
傾斜面領域131は、図3(A)に示すように、バルブシート1の内周面13を構成する領域のうち、バルブシート軸方向の手前側開口12側における軸方向延在面領域130の端部130A(以下、軸方向延在面領域手前側端部と呼ぶ。)を起点として、バルブシート軸方向の手前側開口12側のバルブシート1の端部1A(以下、バルブシート手前側端部と呼ぶ。)まで、バルブシート軸方向に対して傾斜して延びる面により構成される領域である。具体的に傾斜面領域131は、軸方向延在面領域手前側端部130Aを起点として、バルブシート軸方向に沿って奥側開口11側から手前側開口12側(圧入方向と反対方向:Y軸負方向)に進むにしたがって、バルブシート1の径方向(以下、バルブシート径方向と呼ぶ。)の外側に延びる、少なくとも1つの環状の傾斜面により構成される。図3(A)に示すように、本実施形態におけるバルブシート1には、例えば、中心軸10(バルブシート軸方向)に対する傾斜角が異なる傾斜面が複数あり、各傾斜面は連続して繋がってバルブシート手前側端部1Aまで延びる。
なお、バルブシート径方向は、バルブシート1を構成する環状体の径方向である。図3(A)においてバルブシート径方向は、例えば、X軸方向に相当する。また、本実施形態において傾斜面とは、バルブシート軸方向に沿い、奥側開口11から手前側開口12に進むにしたがって、バルブシート径方向の外側に延びる環状の面を指す。
本実施形態において、図3(A)に示すように、傾斜面領域131は、中間側傾斜面133と、バルブ当り面134と、開口側傾斜面135とにより構成される。なお、傾斜面領域131の上記構成は、一例であって、バルブ当り面134のみで構成されてもよいし、バルブ当り面134と、1つの傾斜面または3つ以上の傾斜面とで構成されてもよい。
中間側傾斜面133は、バルブ当り面134よりも奥側開口11側に位置する傾斜面である。具体的に中間側傾斜面133は、軸方向延在面132に連続してバルブ当たり面134まで延びる。つまり、中間側傾斜面133は、バルブシート軸方向の手前側開口12側における軸方向延在面132の端部132Aを起点としてバルブ当たり面134まで延びる。中間側傾斜面133は、図3(A)に示すように、中心軸10(バルブシート軸方向)に対して傾斜角θ(0°<θ<90°)を成す。
バルブ当り面134は、バルブ7のバルブフェース7Aに当接する傾斜面である。バルブ当り面134は、中間側傾斜面133に連続して開口側傾斜面135まで延びる。つまり、バルブ当り面134は、バルブシート軸方向の手前側開口12側における中間側傾斜面133の端部133Aを起点として開口側傾斜面135まで延びる。バルブ当り面134は、図3(A)に示すように、中心軸10(バルブシート軸方向)に対して傾斜角θ(0°<θ<90°)を成す。
開口側傾斜面135は、バルブ当り面134よりも手前側開口12側に位置する傾斜面である。具体的に開口側傾斜面135は、バルブ当り面134に連続して手前側開口12まで延びる。つまり、開口側傾斜面135は、バルブシート軸方向の手前側開口12側におけるバルブ当り面134の端部134Aを起点として手前側開口12まで延びる。開口側傾斜面135は、図3(A)に示すように、中心軸10(バルブシート軸方向)に対して傾斜角θ(0°<θ<90°)を成す。
中間側傾斜面133と、バルブ当り面134と、開口側傾斜面135とは、バルブシート1の中心軸10に対する傾斜角が異なる。バルブシート1の中心軸10に対する傾斜角は、中間側傾斜面133、バルブ当り面134、開口側傾斜面135の順に大きくなる。つまり、傾斜角θ1、傾斜角θ、および傾斜角θは、0°<θ<θ<θ<90°を満たす。
また、バルブシート1のバルブシート軸方向の全長Hは、略4mm以下であることが好ましい。また、バルブシート手前側端部1Aからバルブシート軸方向の奥側開口11側のバルブ当たり面134の端部134Bまでのバルブシート軸方向の長さLは、略1.4mm以下であることが好ましい。また、上記長さLおよび上記全長Hがどのような大きさであっても、上記長さLは、上記全長Hの1/2以下であることが好ましい。なお、図3(A),(B)における各部の形状や寸法は一例である。したがって、以上における数値および比率は、図3(A),(B)における各部の形状や寸法に拘束されない。
<粗面領域>
バルブシート1の外周面14は、図1~図5に示すように、粗面領域15を有する。粗面領域15は、外周面14の少なくとも一部の領域を構成する。粗面領域15により、バルブシート1とシリンダヘッド2との接合力が高まり、バルブシート1がシリンダヘッド2から抜け落ちることを防止することができる。
本実施形態において粗面領域15は、図2(A)に示すように、外周面14に垂直な方向から見て、例えば、三角形状に形成される。なお、ここで言う三角形状は、厳密な意味での三角形状に限定されるものではなく、例えば、三角形の頂角に相当する部分が丸みを帯びていてもよいし、三角形の各辺には曲線が含まれていてもよい。そして、粗面領域15は、三角形の頂点15D側がバルブシート1の圧入方向の先頭側(奥側)になり、頂点15Dに対向する三角形の底辺15F側がバルブシート1の圧入方向の後尾側(手前側)になるように形成される。なお、粗面領域15は、外周面14に垂直な方向から見たときの形状はどのような形状であってもよく、例えば、四角形状(図2(B)参照)、半円形状、星型形状が一例として挙げられる。
<粗面領域の具体的構成>
次に、粗面領域15の具体的な構成について説明する。粗面領域15は、図3に示すように、凹凸部150を有する。凹凸部150は、バルブシート1の外周面14上に形成される凹凸部分である。粗面領域15の凹凸部150は、図4(A)に示すように、突出部151と、バルブシート軸方向(Y軸方向)において突出部151に隣接する窪み部152とにより構成される。突出部151と窪み部152とは、バルブシート軸方向に沿って交互に並ぶ。
図5(A)~(C)は、図4(A)における粗面領域15の一部領域である粗面一部領域P1~P3の走査型電子顕微鏡による二次電子像(撮影倍率:300倍)の写真である。図4(A)および図5(A)~(C)に示す写真から明らかなように、突出部151は、バルブシート径方向の外側(図4の紙面に垂直な方向の紙面から離れる側)に突出すると共に、バルブシート1の外周面14の周方向(以下、バルブシート周方向と呼ぶ。)Qに沿って連なる態様をしている。一方、窪み部152は、バルブシート軸方向(Y軸方向)における突出部151に隣接する位置で、バルブシート径方向の内側(図4の紙面に垂直な方向の紙面に突入する側)に窪むと共に、バルブシート周方向Qに沿って連なる態様をしている。なお、粗面領域15には、凹凸部150がない部分が含まれてもよい。
本実施形態において突出部151および窪み部152は、図4(A)に示すように、バルブシート軸方向(Y軸方向)に沿い、バルブシート軸方向の奥側開口11側の粗面領域15の端部15A(以下、粗面領域奥側端部と呼ぶ。)からバルブシート軸方向の手前側開口12側の粗面領域15の端部15B(以下、粗面領域手前側端部と呼ぶ。)まで交互に形成される。なお、粗面領域奥側端部15Aは、三角形の頂点15Dに対応する。また、粗面領域手前側端部15Bは、頂点15Dに対向する三角形の底辺15Fに対応する。
図6(B)は、図6(A)に示す粗面一部領域P4の突出部151の概略図である。突出部151は、図6(A),(B)から明らかなように、バルブシート周方向Qに沿って延びると共に、バルブシート径方向に凹凸となる凹凸片153を有する。凹凸片153は、突出部151が連なる方向(バルブシート周方向Q)に、凸片153Aと凹片153Bとが交互に並んで構成される。なお、突出部151が連なる方向(バルブシート周方向Q)における隣り合う凸片153A間のピッチ、隣り合う凹片153B間のピッチは、等間隔でも、不等間隔であってもよい。
図6(D)は、図6(C)に示す粗面一部領域P5の窪み部152の概略断面図である。窪み部152は、図6(C),(D)から明らかなように、バルブシート周方向Qに沿って延びると共に、バルブシート径方向に凹凸となる凹凸片154を有する。凹凸片154は、窪み部152が連なる方向(バルブシート周方向Q)に、凸片154Aと凹片154Bとが交互に並んで構成される。なお、窪み部152が連なる方向(バルブシート周方向Q)における隣り合う凸片154A間のピッチ、隣り合う凹片154B間のピッチは、等間隔でも、不等間隔であってもよい。
凹凸部150における突出部151(窪み部152)には、図4(B)に示すように、バルブシート径方向の高さ(深さ)が様々なものが混在する。そして、バルブシート径方向の高さが様々な突出部151(窪み部152)は、バルブシート径方向の高さ(深さ)に関係なく、バルブシート軸方向に沿ってランダムに配列される。また、バルブシート径方向の高さ(深さ)が様々な突出部151(窪み部152)は、バルブシート軸方向に沿って略等間隔に配列されることが好ましい。また、凹凸部150における突出部151(窪み部152)は、図4(C)に示すように、バルブシート径方向の高さ(深さ)が全体として同じになるように形成されてもよい。また、凹凸部150における突出部151(窪み部152)は、図4(D)に示すように、粗面領域奥側端部15Aを起点として粗面領域手前側端部15Bに進むにしたがってバルブシート径方向の高さ(深さ)が増大していく態様(傾斜状)であってもよい。
<粗面領域のバルブシート軸方向の形成範囲1>
次に、図3を参照して、粗面領域15のバルブシート軸方向における形成範囲について説明する。粗面領域15のバルブシート軸方向における形成範囲を、粗面領域奥側端部15Aの位置、および、粗面領域手前側端部15Bの位置により説明する。なお、粗面領域15は、上記説明したように、バルブシート軸方向において粗面領域奥側端部15Aから粗面領域手前側端部15Bまで延びる。
粗面領域奥側端部15Aは、バルブシート手前側端部1Aを起点として、バルブシート軸方向(Y軸方向)に沿ってバルブシート軸方向におけるバルブシートの全長の2/3の長さだけ離れた位置1Cよりも奥側開口11側に位置することが好ましい。言い換えると、粗面領域奥側端部15Aは、バルブシート軸方向の奥側開口11側のバルブシート1の端部1B(以下、バルブシート奥側端部と呼ぶ。)を起点として、バルブシート軸方向に沿ってバルブシート軸方向におけるバルブシートの全長の1/3の長さだけ離れた位置1Cよりも奥側開口11側に位置することが好ましい。一方、粗面領域手前側端部15Bは、位置1Cよりも手前側開口12側に位置することが好ましい。
以上のような場合、粗面領域15は、位置1Cを通過するように設けられる。つまり、粗面領域15の少なくとも一部は、バルブシート軸方向に沿って位置1Cとバルブシート手前側端部1Aとの間に設けられる。
本実施形態におけるバルブシート1として、バルブシート軸方向の肉厚が薄い薄型バルブシートが想定される。薄型バルブシートとシリンダヘッド2の接合力を高くして薄型バルブシートの抜け落ちを防止するという観点から見ると、粗面領域15の少なくとも一部が、薄型バルブシートの外周面14の手前側開口12寄りに形成されることが好ましい。このため、上記抜け落ちを防止するという観点から見ると、粗面領域15のバルブシート軸方向における形成範囲は上記のようにすることが好ましい。
<粗面領域のバルブシート軸方向の形成範囲2>
また、粗面領域奥側端部15Aは、バルブシート手前側端部1Aを起点として、バルブシート軸方向に沿ってバルブシート軸方向におけるバルブシートの全長の1/2の長さだけ離れた位置1Dよりも奥側開口11側に位置することがより好ましい。言い換えると、粗面領域奥側端部15Aは、バルブシート奥側端部1Bを起点として、バルブシート軸方向に沿ってバルブシート軸方向におけるバルブシートの全長の1/2の長さだけ離れた位置1Dよりも奥側開口11側に位置することがより好ましい。一方、粗面領域手前側端部15Bは、位置1Dよりも手前側開口12側に位置することがより好ましい。
以上のような場合、粗面領域15は、位置1Dを通過するように設けられる。つまり、粗面領域15の少なくとも一部は、バルブシート軸方向に沿って位置1Dとバルブシート手前側端部1Aとの間に設けられる。
本実施形態におけるバルブシート1として、バルブシート軸方向の肉厚が薄い薄型バルブシートが想定される。薄型バルブシートとシリンダヘッド2の接合力を高くして薄型バルブシートの抜け落ちを防止するという観点から見ると、粗面領域15の少なくとも一部が、薄型バルブシートの外周面14の手前側開口12寄りに形成されることが好ましい。このため、上記抜け落ちを防止するという観点から見ると、粗面領域15のバルブシート軸方向における形成範囲は上記のようにすることが好ましい。
<粗面領域のバルブシート軸方向の形成範囲3>
上記説明したように、本実施形態におけるバルブシート1として、バルブシート軸方向の肉厚が薄い薄型バルブシートが想定される。薄型バルブシートとシリンダヘッド2との接合力を高める観点から見ると、粗面領域15の少なくとも一部が、薄型バルブシートの外周面14の手前側開口12寄りに形成されることが好ましい。
このため、図3(A)に示すように、バルブシート軸方向における軸方向延在面領域130の長さが、バルブシート軸方向における傾斜面領域131の長さに比べてきわめて短いタイプのバルブシート1の場合、粗面領域15は、径方向(X軸方向)において傾斜面領域131とのみ重畳するよう構成されることが好ましい。また、図3(B)に示すように、バルブシート軸方向における軸方向延在面領域130の長さがバルブシート軸方向における傾斜面領域131の長さに比べてやや短いタイプのバルブシート1の場合、粗面領域15は、径方向(X軸方向)において傾斜面領域131と重畳する傾斜面重畳領域16Aのみならず、軸方向延在面領域130と重畳する延在面重畳領域16Bを有するように構成されてもよい。そして、上記図3(A),(B)に示すいずれのタイプのバルブシート1であっても、粗面領域15は、径方向(X軸方向)においてバルブ当たり面134と重畳するバルブ当たり面重畳領域16Cを有することがさらに好ましい。バルブ当たり面134は、手前側開口12の近傍に設けられる面であるからである。
<突出部および窪み部の構造の詳細>
次に、図7を参照して、粗面領域15における突出部151および窪み部152の構造の詳細について説明する。図7(A)は、図5(C)のF-Fライン(バルブシート軸方向)に沿って凹凸部150をバルブシート径方向に切ったときの断面の概略図である。図7(B)は、シリンダヘッド2に圧入したバルブシート1をバルブシート軸方向に沿って切断した模試図である。
<突出部>
突出部151は、基底面150Aからバルブシート径方向の外側へ突出する。基底面150Aは、窪み部152の一部を構成する。また、突出部151の少なくとも1つは、図7(A)に示すように、基部155と、拡張部156と、反り面157とを有する。基部155は、凹凸部150の基底側からバルブシート径方向の外側へ突出する部分である。
<拡張部>
拡張部156は、基部155の側方側の周面155Aから基部155に連続して外周面14の面方向に拡張する部分である。そして、拡張部156は、基底面150Aに覆い被さる。なお、基部155の側方側の周面155Aとは、基部155の突出方向周りの周面部分を指す。また、外周面14の面方向とは、外周面14の面内における全ての方向を指す。そして、粗面領域15において、外周面14の面方向とは、粗面領域15が無い部分の外周面14を粗面領域15まで延長した仮想円筒面140(図7(A)の点線参照)を基準外周面と定義したとき、当該基準外周面の面方向を指す。
図7(A)に示すように、拡張部156は、外周面14の面方向(基準外周面の面方向)のうち、バルブシート軸方向の奥側開口11側(圧入方向)、および/または、バルブシート軸方向の手前側開口12側(圧入方向と反対側の方向、以下、圧入反対方向と呼ぶ。)に拡張するように形成されることが好ましい。この場合、窪み部152は、バルブシート径方向の内側に進むにしたがって、バルブシート軸方向の手前側開口12側(圧入反対方向)、および/または、バルブシート軸方向の奥側開口11側(圧入方向)に延びる。
また、図7(B)は、シリンダヘッド2に圧入したバルブシート1をバルブシート軸方向に沿って切断した模試図を示す。バルブシート1の圧入前には平滑な面状態であった接触表面部8Aは、バルブシート1の圧入時には粗面領域15により変形されて粗面化される。これにより、接触表面部8Aには、突出部8Cおよび窪み部8Dにより構成される凹凸部8Bが形成される。そして、突出部8Cは、図7(B)に示すように、自身の基端から先端に進むにしたがってバルブシート軸方向の奥側開口11側(圧入方向)に延びるものが多く形成される。突出部8Cは、拡張部156A,156B(または後述する反り面157)と基底面150Aの間に潜り込む。これにより、バルブシート1とシリンダヘッド2とは係合する。なお、拡張部156Aは、バルブシート軸方向の奥側開口11側(圧入方向)に拡張されている拡張部を指す。また、拡張部156Bは、バルブシート軸方向の手前側開口12側(圧入反対方向)に拡張されている拡張部を指す。
特に、拡張部156B(または後述する圧入方向手前側反り面157D)と基底面150Aの間に突出部8Cが潜り込んだ場合、突出部8Cは、拡張部156Bに隣接する窪み部152Bの最奥部まで入り込みやすいと考えられる。このため、シリンダヘッド2の保持領域8に圧入されたバルブシート1が保持領域8から抜け落ちる方向(圧入反対方向)に荷重が加わっても、突出部8Cのうち、窪み部152Bに入り込んだものは、拡張部156Aに隣接する窪み部152Aに入り込んだものと比較して、荷重に対してより大きな抵抗力を生じさせる。
また、拡張部156は、図7(A)に示すように、基底面対向側拡張面156Eと、表面側拡張面156Fとを有する。基底面対向側拡張面156Eは、バルブシート径方向において、基底面150Aと対向する拡張部156の基底面150A側の面である。基底面対向側拡張面156Eは、バルブシート径方向の外側に進むにしたがって、基部155から離反する方向に延びる。
表面側拡張面156Fは、バルブシート径方向において、基底面対向側拡張面156Eとは反対側の面であり、拡張部156におけるバルブシート1の表面側の面である。表面側拡張面156Fは、基部155と拡張部156の境界を起点として、基部155から奥側開口11側に延びる。なお、拡張部156がバルブシート軸方向の手前側開口12側(圧入反対方向)に拡張されている場合、表面側拡張面156Fは、基部155から手前側開口12側に延びる。
<反り面>
上記のように、仮想円筒面140を基準外周面と定義したとき、凹凸部150の基底面150Aからバルブシート径方向の外側に延びる凹凸部150の突出部151の側面は、図7(A)に示すように、バルブシート径方向の外側へ進むにしたがって、基準外周面の面方向に反り返る反り面157を有する。なお、突出部151の側面とは、基部155の突出方向としてのバルブシート径方向を軸としたとき、軸回りの周面部分を指す。
反り面157には、基準外周面よりもバルブシート径方向の外側に位置する径方向外側反り面157A、および/または、基準外周面よりもバルブシート径方向の内側に位置する径方向内側反り面157Bが含まれる。
また、反り面157には、バルブシート径方向の外側へ進むにしたがって、バルブシート軸方向の奥側開口11側(圧入方向)に反り返る圧入方向奥側反り面157C、および/または、バルブシート径方向の外側へ進むにしたがって、バルブシート軸方向の手前側開口12側(圧入反対方向)に反り返る圧入方向手前側反り面157Dが含まれる。
なお、反り面157において、基準外周面の面方向に反り返り始まる反り点157Eからバルブシート径方向の外側に延びる部分は、拡張部156における基底面対向側拡張面156Eに対応する。
<窪み部>
窪み部152は、図7(A)に示すように、バルブシート軸方向において突出部151に隣接する。また、バルブシート1は、焼結合金から成る材料を加工して形成される。当該焼結合金は、図7(A)に示すように、内部に多数の空隙158を有する。なお、図7(A)において空隙158は3つしか描かれていないが、実際はさらに多数の空隙158が存在する。
例えば、照射等による表面加工により粗面領域15が形成される場合、バルブシート1の外周面14の一部が変形又は除去される過程で、バルブシート1の内部の空隙158が外部に開放された状態になり得る。ここで、外部に開放された空隙158Aが窪み部152と連通した場合、その空隙158Aは、窪み部152の一部を構成する。
窪み部152は、バルブシート1の外周面14の一部がバルブシート径方向に凹むように表面加工を施されて形成される。窪み部152を形成するときの表面加工の過程で、空隙158が外部に開放され、図7(A)に示すように、外部に開放された空隙158Aとして、窪み部152の最奥部を構成することがある。なお、図7(A)において空隙158Aの近傍の点線は、表面加工前に存在した空隙158の外縁部分に相当する。
また、外部に開放された空隙158Aは、窪み部152の最奥部を構成するものに限定されない。例えば、外部に開放された空隙158Aは、窪み部152の途中において基準外周面の面方向に延びるものであってもよい。また、図7(A)において最奥部を構成する空隙158Aよりもさらに奥側に窪み部152が延長されるように表面加工が施された場合、外部に開放された空隙158Aは、最奥部ではなく、窪み部152の途中を構成するようになるが、このような態様であってもよい。つまり、外部に開放された空隙158Aは、窪み部152のいずれの部分を構成してもよい。
<バルブシートとシリンダヘッドの係合態様>
次に、図1、および図7を参照して、バルブシート1とシリンダヘッド2との係合態様(図1の領域T参照)について説明する。バルブシート1をシリンダヘッド2の保持領域8に圧入すると、接触表面部8Aが粗面領域15に潜り込む。具体的に図7(B)に示す接触表面部8Aの突出部8Cは、拡張部156A,156B(または反り面157)と基底面150Aの間に潜り込む。これにより、バルブシート1とシリンダヘッド2とは係合する。
<バルブシート製造方法>
次に、図8を参照して、バルブシート1の製造方法について説明する。まず、所定の材料が混合される(S101)。具体的には、まず、<バルブシートの材料>で説明した焼結体の組成となるように、鉄系粉末に対して、黒鉛粉末および潤滑剤粉末、さらに、合金用粉末、または、固体潤滑剤粉末および/または硬質粒子粉末を配合した配合物が、混合装置に投入される。そして、混合装置で上記配合物が混合されて混合粉が生成される。
次に、上記混合粉を金型に入れて、加圧成形され、所定形状の圧粉体が成形される(S102)。そして、当該圧粉体に対して焼結が行われる(S103)。これにより、焼結体が生成される。焼結は、還元雰囲気、真空雰囲気等の非酸化性雰囲気中で1100~1200℃で行われることが好ましい。
次に、焼結体が加工されて、環状体としてのバルブシート1が形成される(S104)。なお、ここで行なわれる加工は、例えば、切削、研削等が一例として挙げられる。
そして、上記のように加工されたバルブシート1の外周面14の少なくとも一部を粗面化する(S105)。これにより、外周面14において凹凸部150を有する粗面領域15が形成される。粗面領域15は、例えば、バルブシート1の外周面14の一部を除去又は変形させる表面加工により形成される。
上記表面加工として、例えば、ショットブラストによる加工、レーザー照射による加工、溶射による加工、サンドペーパーまたはエアハンマーによる加工が一例として挙げられるが、これに限定されるものではなく、バルブシート1の外周面14の少なくとも一部を粗面化可能なその他の表面加工であってもよい。
<銅含浸焼結体>
以上において、バルブシート1は、内部に空隙を有する鉄基焼結合金製の焼結体を材料として構成されたが、鉄基焼結合金製の焼結体に銅(Cu、以下同じ)を含浸させた銅含浸焼結体により構成されてもよい。鉄基焼結合金製の焼結体に銅を含浸させると、銅は、空隙に入り込む。鉄基焼結合金製の焼結体に熱伝導率が高い銅を含浸させると、その銅含浸焼結体は、熱伝導性が高くなるため、バルブシート1の熱伝導性を高めることができる。
本願発明者は、銅含浸焼結体を材料として、上記説明したバルブシートの製造方法により銅含浸バルブシート1Eを製造した。バルブシート軸方向に沿って、銅含浸バルブシート1Eの粗面領域15の凹凸部150をバルブシート径方向に切った断面の写真を図9(A),(B)に示す。
図10(A)は、銅含浸バルブシート1E中における銅の分布を表す写真である。図10(A)中の白い点が銅を表している。図10(A)中の白い点は、銅含浸バルブシート1Eの粗面領域15の凹凸部150の表面付近、および、銅含浸バルブシート1Eの内部の空隙に相当する部分に濃い密度で分布している。また、図10(B)は、銅含浸バルブシート1E中における鉄(Fe、以下同じ)の分布の分布を表す写真である。図10(B)中の白い点が鉄を表している。図10(B)に示すように、銅含浸バルブシート1E全体には、ほぼ均一な密度で鉄が分布している。つまり、図10(A),(B)から明らかなように、粗面領域15の表面の少なくとも一部には、銅および鉄を含有する層が形成されることがわかる。したがって、銅含浸焼結体により製造された銅含浸バルブシート1Eにも粗面領域15を形成させることができる。そして、バルブシート1についての説明は、銅含浸バルブシート1Eにも適用することができる。
なお、バルブシート1は、鉄基焼結合金製の焼結体に、水ガラス、樹脂等の材料を含浸させた焼結体(以下、材料含浸焼結体と呼ぶ。)により構成されてもよい。鉄基焼結合金製の焼結体に、例えば、水ガラス、樹脂等の材料を含浸させると、水ガラス、樹脂等の材料は、空隙に入り込む。上記材料含浸焼結体を材料として、上記説明したバルブシートの製造方法によりバルブシート1を製造しても、粗面領域15の表面の少なくとも一部には、水ガラス、樹脂等の材料および鉄を含有する層が形成される。なお、銅、水ガラス、樹脂等の材料のうち2種以上の材料を鉄基焼結合金製の焼結体に含浸させた材料含浸焼結体でバルブシート1を製造した場合も同様に、粗面領域15の表面の少なくとも一部には、含浸させた2種以上の材料および鉄を含有する層が形成される。また、鉄基焼結合金製の焼結体に含浸させる材料は、銅、水ガラス、樹脂に限定されるものではなく、鉄基焼結合金製の焼結体に含浸させることが可能な材料であってもよい。
<バルブシート素材>
次に、図11を参照して、バルブシート1の加工前における素材であるバルブシート素材9(図11の太線部分参照)について説明する。本実施形態においてバルブシート素材9の軸方向延在面領域は、バルブシート1の軸方向延在面領域130と共通する。また、本実施形態においてバルブシート素材9の傾斜面領域131Aは、図11に示すように、バルブシート1の傾斜面領域131よりもバルブシート軸方向の長さが長い。したがって、バルブシート素材9は、図11に示すように、バルブシート1よりもバルブシート軸方向の長さが長い。また、バルブシート素材9の傾斜面領域131Aは、図11に示すように、2つの傾斜面により構成されている。
以上のような構成のバルブシート素材9がシリンダヘッド圧入後に研磨および/または研削等の材料除去加工をされて、バルブシート1が形成される。
なお、バルブシート素材9に形成される粗面領域15においても、バルブシート1を用いて説明した事項全てが適用可能である。つまり、以上の説明においてバルブシート1を適宜、バルブシート素材9に置き換えてもよい。
尚、本発明のバルブシートおよびバルブシートとシリンダヘッドとの結合構造は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 バルブシート
1E 銅含浸バルブシート
1A バルブシート手前側端部
1B バルブシート奥側端部
2 シリンダヘッド
7 バルブ
8 保持領域
8A 接触表面部
9 バルブシート素材
10 中心軸
11 奥側開口
12 手前側開口
13 内周面
14 外周面
15 粗面領域
15A 粗面領域奥側端部
15B 粗面領域手前側端部
16A 傾斜面重畳領域
16B 延在面重畳領域
16C バルブ当たり面重畳領域
130 軸方向延在面領域
130A 軸方向延在面領域手前側端部
131,131A 傾斜面領域
132 軸方向延在面
133 中間側傾斜面
134 バルブ当たり面
135 開口側傾斜面
140 仮想円筒面
150 凹凸部
150A 基底面
151 突出部
152,152A,152B 窪み部
153,154 凹凸片
153A,154A 凸片
153B,154B 凹片
155 基部
155A 周面
156,156A,156B 拡張部
156E 基底面対向側拡張面
156F 表面側拡張面
157 反り面
157A 径方向外側反り面
157B 径方向内側反り面
157C 圧入方向奥側反り面
157D 圧入方向手前側反り面
158,158A 空隙
Q バルブシート周方向
Y 圧入方向

Claims (12)

  1. 内燃機関用のシリンダヘッドに圧入されるバルブシートであって、
    自身の外周面において凹凸部を有する粗面領域を備え、
    前記凹凸部の基底面から前記バルブシートの径方向の外側に延びる前記凹凸部の突出部は、前記基底面に覆いかぶさる拡張部を有することを特徴とする、
    バルブシート。
  2. 前記バルブシートは、前記外周面に、前記粗面領域が有る部分と、前記粗面領域が無い部分を有し、
    前記粗面領域が無い部分の前記外周面を前記粗面領域まで延長した仮想円筒面を基準外周面と定義した場合、
    前記拡張部の少なくとも一部は、前記基準外周面に対して前記径方向の外側に位置することを特徴とする、
    請求項1に記載のバルブシート。
  3. 内燃機関用のシリンダヘッドに圧入されるバルブシートであって、
    自身の外周面に凹凸部を有する粗面領域が有る部分と、前記粗面領域が無い部分を備え、
    前記粗面領域が無い部分の前記外周面を前記粗面領域まで延長した仮想円筒面を基準外周面と定義した場合、
    前記凹凸部の基底面から前記バルブシートの径方向の外側に延びる前記凹凸部の突出部の側面は、前記径方向の外側へ進むにしたがって、前記基準外周面の面方向に反り返る反り面を有することを特徴とする、
    バルブシート。
  4. 前記反り面の少なくとも一部は、前記基準外周面に対して前記径方向の外側に位置することを特徴とする、
    請求項3に記載のバルブシート。
  5. 前記反り面の少なくとも一部は、前記基準外周面に対して前記径方向の内側に位置することを特徴とする、
    請求項3に記載のバルブシート。
  6. 前記反り面の少なくとも一部は、前記径方向の外側へ進むにしたがって、前記バルブシートが前記シリンダヘッドへ圧入される圧入方向の奥側に反り返ることを特徴とする、
    請求項3~5のいずれかに記載のバルブシート。
  7. 前記反り面の少なくとも一部は、前記径方向の外側へ進むにしたがって、前記バルブシートが前記シリンダヘッドへ圧入される圧入方向の手前側に反り返ることを特徴とする、
    請求項3~5のいずれかに記載のバルブシート。
  8. 前記バルブシートは、内部に空隙を有する焼結合金により形成され、
    前記凹凸部は、前記空隙と連通することで、前記空隙が外部に開放された状態を含むことを特徴とする、
    請求項1~7のいずれかに記載のバルブシート。
  9. 前記凹凸部は、前記バルブシートの外周面の一部が変形又は除去されて形成されるものであり、
    外部に開放された前記空隙は、前記凹凸部の凹部分を構成する窪み部の最奥部を構成することを特徴とする、
    請求項8に記載のバルブシート。
  10. 前記バルブシートは、銅、水ガラスおよび樹脂のうち1種以上が内部の空隙に入り込んだ焼結合金により構成され、
    前記凹凸部は、自身の表面の少なくとも一部に前記空隙に入り込んだ材料を含有する層を有することを特徴とする、
    請求項1~7のいずれかに記載のバルブシート。
  11. 請求項1または2に記載の前記バルブシートと、前記シリンダヘッドとの結合構造であって、前記拡張部と前記基底面の間に、前記シリンダヘッドの材料が潜り込むようにして前記バルブシートと前記シリンダヘッドとが係合することを特徴とする、
    バルブシートとシリンダヘッドとの結合構造。
  12. 請求項3~7のいずれかに記載のバルブシートと、前記シリンダヘッドとの結合構造であって、前記反り面と前記基底面の間に、前記シリンダヘッドの材料が潜り込むようにして前記バルブシートと前記シリンダヘッドとが係合することを特徴とする、
    バルブシートとシリンダヘッドとの結合構造。
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