JP7022608B2 - バルブシート - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関用のシリンダヘッドに圧入されるバルブシートに関する。
内燃機関用のシリンダヘッド(以下、単に、シリンダヘッドと呼ぶ。)に圧入されるバルブシートは、エンジン運転などにより高温になると、シリンダヘッドによるバルブシートの保持力が不足して、シリンダヘッドから抜け落ちる場合があった。以上のような問題点を解決するため、シリンダヘッドのバルブシート脱落防止構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該バルブシート脱落防止構造は、シリンダヘッドの圧入孔の内周面に形成された環状溝と、バルブシートの外周面に形成された環状溝とにより構成される環状空間内に、半径方向へ拡張する拡張リングを挿入した構造をしている。上記バルブシートが上記シリンダヘッドに圧入されて装着されると、圧縮されていた拡張リングが半径方向へ拡張して両環状溝にまたがって配置される。これにより、バルブシートの軸方向への動きは、拡張リングにより抑制され、バルブシートがシリンダヘッドから抜け落ちることを防止することができる。
実開平01―83109号公報
しかしながら、上記バルブシート脱落防止構造では、シリンダヘッドおよびバルブシートの環状溝が一体となって形成される上記環状空間のバルブシートの軸方向における寸法が拡張リングのバルブシートの軸方向における寸法よりも大きい場合、拡張リングは、バルブシートの軸方向へ移動可能となる。この場合、バルブシートの軸方向への動きが許容される可能性がある。したがって、上記バルブシート脱落防止構造では、シリンダヘッドおよびバルブシートの環状溝を形成する溝加工において高い精度が要求される。
一方、シリンダヘッドおよびバルブシートの環状溝を高い精度で加工しても、拡張リングと環状溝を構成する面との接触した状態でエンジン運転が行なわれると、拡張リングおよび/または環状溝を構成する面が変形して、拡張リングと環状溝を構成する面との間に隙間が生じるおそれがある。隙間が生じると、上記と同様に、拡張リングは、バルブシートの軸方向へ移動可能となり、バルブシートの軸方向への動きが許容される可能性がある。
また、上記バルブシートが上記シリンダヘッドに圧入される過程で生じる振動により拡張リングが落ちてしまう問題がある。
本発明は、斯かる実情に鑑み、シリンダヘッドから容易に抜け落ちない強固な抜け落ち防止構造を有するバルブシートを提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のバルブシートは、内燃機関用のシリンダヘッドに圧入されるバルブシートであって、自身の外周面に凹凸部を有する粗面領域が有る部分と、前記粗面領域が無い部分を備え、前記粗面領域が無い部分の前記外周面を延長した円筒面を基準外周面と定義し、前記バルブシートの径方向における前記粗面領域に対向する側から前記粗面領域の表面を光学手段によりスキャンして得られる仮想表面形状を前記粗面領域が有するものと仮定したとき、前記凹凸部は、前記基準外周面から前記径方向の外側に飛び出す実部となる外側実部領域、及び、前記基準外周面から前記径方向の内側に凹んで窪みとなる内側窪み領域を有し、前記バルブシートの軸方向に沿って切った前記粗面領域の断面において、前記外側実部領域の周囲輪郭で囲まれる外側実部断面積A1と、前記内側窪み領域の周囲輪郭で囲まれる内側窪み断面積A2とが条件式「0<A2/A1<1」を満たすことを特徴とする。

また、本発明のバルブシートにおいて、前記外側実部断面積A1と、前記内側窪み断面積A2とが条件式「0<A2/A1<3/4」を満たすことを特徴とする。
本発明のバルブシートによれば、内燃機関が稼働中であってもシリンダヘッドから容易に抜け落ちないという優れた効果を奏し得る。
本発明の実施の形態におけるバルブシートをシリンダヘッドに圧入したときのバルブシートの周辺構造の断面図である。 (A)は本発明の実施の形態におけるバルブシートの斜視図である。(B)は本発明の別の実施の形態におけるバルブシートの斜視図である。 本発明の実施の形態におけるバルブシートをシリンダヘッドに圧入したときのバルブシートの断面図である。 (A)は本発明の実施の形態におけるバルブシートの粗面領域を展開した平面図である。(B)は本発明の実施の形態におけるバルブシートの粗面領域の断面図である。(C),(D)は本発明の別の実施の形態におけるバルブシートの粗面領域の断面図である。 (A)は、図4に示すバルブシートの粗面領域の一部領域である粗面一部領域P1の走査型電子顕微鏡による二次電子像(撮影倍率:300倍)の写真である。(B)は、図4に示すバルブシートの粗面領域の一部領域である粗面一部領域P2の走査型電子顕微鏡による二次電子像(撮影倍率:300倍)の写真である。(C)は、図4に示すバルブシートの粗面領域の一部領域である粗面一部領域P3の走査型電子顕微鏡による二次電子像(撮影倍率:300倍)の写真である。 図5(C)のF-Fライン(バルブシート軸方向)に沿って凹凸部をバルブシート径方向に切った断面の概略図である。 (A)は、本発明の実施の形態におけるバルブシートの粗面領域を光学装置でスキャンする様子を示す概略図である。(B)は、外側実部断面積および内側窪み断面積を説明するための粗面領域の断面図である。 (A)は、粗面領域の仮想表面形状を測定するため、本願発明者が測定用バルブシートに形成した粗面領域の平面図である。(B)は、本願発明者が測定用バルブシートに形成した平面タイプ粗面領域の断面図である。(C)は、本願発明者が測定用バルブシートに形成した傾斜面タイプ粗面領域の断面図である。 図8(A)に示すG-Gライン上の平面タイプ粗面領域の仮想表面形状をワンショット3D形状測定機により測定したときの測定結果を示す写真である。 (A)~(D)は、複数の測定用バルブシートそれぞれに形成された平面タイプ粗面領域の仮想表面形状の測定結果を表す表である。 (A)~(E)は、複数の測定用バルブシートそれぞれに形成された平面タイプ粗面領域の仮想表面形状の測定結果を表す表である。 (A),(B)は、複数の測定用バルブシートそれぞれに形成された傾斜面タイプ粗面領域の仮想表面形状の測定結果を表す表である。 本発明の実施の形態におけるバルブシート素材の断面形状及び、当該バルブシート素材を加工して形成されるバルブシートの断面形状を説明するための説明図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。添付図面は発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。また、各図における各部の形状や寸法比は、必ずしも正確なものではない。
<バルブシートの周辺構造>
図1を参照して、本発明の実施の形態におけるバルブシート1をシリンダヘッド2に圧入したときのバルブシート1の周辺構造について説明する。シリンダヘッド2は、吸気通路3と燃焼室5とを連通する開口部6を起点として吸気通路3側へ延びる保持領域8を有する。保持領域8は、バルブシート1が保持される領域である。バルブシート1は、燃焼室5側から保持領域8に圧入される。これにより、バルブシート1は、保持領域8で保持される。なお、シリンダヘッド2を構成する材料として、例えば、アルミニウム合金等の軽金属合金が挙げられるが、これに限定されるものではなく、シリンダヘッドの材料として使用可能なものならいずれであってもよい。
ここで、バルブシート1がシリンダヘッド2の保持領域8に圧入される方向を圧入方向と定義する。具体的に、圧入方向は、燃焼室5側から吸気通路3側へ向かう方向である。本実施形態において圧入方向は、バルブシート1の軸方向(以下、バルブシート軸方向と呼ぶ。)と平行となる。したがって、本実施形態において圧入方向は、適宜、バルブシート軸方向と読み替えてもよい。また、本実施形態においてバルブシート軸方向は、適宜、圧入方向と読み替えてもよい。なお、圧入方向およびバルブシート軸方向は、図1に示すY軸と平行になる。また、吸気通路3は、排気通路と読み替えてもよい。
バルブ7は、(図示しない)往復移動機構により圧入方向に沿って往復移動する。また、バルブ7は、バルブシート1と当接するバルブフェース7Aを有する。バルブ7が圧入方向(Y軸正方向)へ移動すると、バルブ7のバルブフェース7Aがバルブシート1と当接する。これにより、吸気通路3と燃焼室5とは、空間的に分離される。また、バルブ7が圧入方向と逆方向(Y軸負方向)へ移動すると、バルブフェース7Aがバルブシート1から離れる。これにより、吸気通路3と燃焼室5とは、空間的に連通した状態になる。
<バルブシート全体>
図1~図3を参照して、本発明の実施の形態におけるバルブシート1について説明する。バルブシート1は、材料を加工して、環状に形成される環状体である。当該環状体のバルブシート軸方向に切った断面は、図3に示すような形状となる。バルブシート1は、図2(A)に示すように、中心軸10と、奥側開口11と、手前側開口12と、内周面13と、外周面14と、粗面領域15とを有する。
<バルブシートの材料>
バルブシート1の材料として、例えば、焼結体や溶製材等のバルブシートの製造に用いられる全ての材料が本発明に含まれる。特に、バルブシート1の材料として、鉄基焼結合金製の焼結体や溶製材等を用いることが好ましい。鉄基焼結合金は、加工性、製造性に優れ、バルブシートとして、備えるべき特性の調整等が容易であるからである。
バルブシート1の材料である鉄基焼結合金としては、例えば、質量%でC:0.4~1.5%を含み、あるいはさらに、Ni、Co、Cr、Mo、V、W、Si、S、Mn、Bのうちから選ばれた1種、または2種以上を合計で40%以上含有し、残部がFeおよび不可避不純物から成る基地部組成を有することが好ましい。そして、鉄基焼結合金製の焼結体には、さらに、上記組成の基地相中に、MnS、CaF、BN等の固体潤滑剤粒子、ビッカーズ硬さHVで500~1200HV0.1の硬さを有するMo―Si―Fe系金属間化合物粒子、Mo-Si-Ni系金属間化合物粒子、Co基金属間化合物粒子等の硬質粒子を分散させることが好ましい。なお、被削性改善を目的とした粒子を分散させてもよい。
<バルブシートの中心軸および開口>
中心軸10は、図2に示すように、バルブシート1を構成する環状体の中心軸である。奥側開口11は、図1および図2に示すように、バルブシート1がシリンダヘッド2の保持領域8に圧入されて保持領域8で保持されるとき、圧入方向(Y軸正方向)の奥側に位置するバルブシート1の開口である。手前側開口12は、バルブシート1がシリンダヘッド2の保持領域8に圧入されて保持領域8で保持されるとき、圧入方向(Y軸正方向)の手前側に位置するバルブシート1の開口である。
<バルブシートの内周面>
バルブシート1の内周面13は、図2に示すように、中心軸10周りを取り囲む環状の面である。また、バルブシート1の内周面13は、図3に示すように、軸方向延在面領域130と、傾斜面領域131と、を有する。バルブシート軸方向に垂直な平面で内周面13を切って、バルブシート1の内周面13を2つの領域に分けたとき、内周面13のうち、奥側開口11側の領域が軸方向延在面領域130に相当し、手前側開口12側の領域が傾斜面領域131に相当する。
<粗面領域>
バルブシート1の外周面14は、図1~図5に示すように、粗面領域15を有する。粗面領域15は、外周面14の少なくとも一部の領域を構成する。図1に示すように、バルブシート1がシリンダヘッド2の保持領域8に圧入されると、保持領域8に対応するシリンダヘッド2の接触表面部8Aに粗面領域15が噛み込む。結果、粗面領域15により、バルブシート1とシリンダヘッド2との接合力が高まり、バルブシート1がシリンダヘッド2から抜け落ちることを防止することができる。
本実施形態において粗面領域15は、図2(A)に示すように、外周面14に垂直な方向から見て、例えば、三角形状に形成される。なお、ここで言う三角形状は、厳密な意味での三角形状に限定されるものではなく、例えば、三角形の頂角に相当する部分が丸みを帯びていてもよいし、三角形の各辺には曲線が含まれていてもよい。そして、粗面領域15は、三角形の頂点15D側がバルブシート1の圧入方向の先頭側(奥側)になり、頂点15Dに対向する三角形の底辺15F側がバルブシート1の圧入方向の後尾側(手前側)になるように形成される。なお、粗面領域15は、外周面14に垂直な方向から見たときの形状はどのような形状であってもよく、例えば、四角形状(図2(B)参照)、半円形状、星型形状が一例として挙げられる。
<粗面領域の具体的構成>
次に、粗面領域15の具体的な構成について説明する。粗面領域15は、図3に示すように、凹凸部150を有する。凹凸部150は、バルブシート1の外周面14上に形成される凹凸部分である。粗面領域15の凹凸部150は、図4(A)に示すように、突出部151と、バルブシート軸方向(Y軸方向)において突出部151に隣接する窪み部152とにより構成される。突出部151と窪み部152とは、バルブシート軸方向に沿って交互に並ぶ。
図5(A)~(C)は、図4(A)における粗面領域15の一部領域である粗面一部領域P1~P3の走査型電子顕微鏡による二次電子像(撮影倍率:300倍)の写真である。図4(A)および図5(A)~(C)に示す写真から明らかなように、突出部151は、バルブシート径方向の外側(図4の紙面に垂直な方向の紙面から離れる側)に突出すると共に、バルブシート1の外周面14の周方向(以下、バルブシート周方向と呼ぶ。)Qに沿って連なる態様をしている。一方、窪み部152は、バルブシート軸方向(Y軸方向)における突出部151に隣接する位置で、バルブシート径方向の内側(図4の紙面に垂直な方向の紙面に突入する側)に窪むと共に、バルブシート周方向Qに沿って連なる態様をしている。なお、粗面領域15には、凹凸部150がない部分が含まれてもよい。
本実施形態において突出部151および窪み部152は、図4(A)に示すように、バルブシート軸方向(Y軸方向)に沿い、バルブシート軸方向の奥側開口11側の粗面領域15の端部15A(以下、粗面領域奥側端部と呼ぶ。)からバルブシート軸方向の手前側開口12側の粗面領域15の端部15B(以下、粗面領域手前側端部と呼ぶ。)まで交互に形成される。なお、粗面領域奥側端部15Aは、三角形の頂点15Dに対応する。また、粗面領域手前側端部15Bは、頂点15Dに対向する三角形の底辺15Fに対応する。
凹凸部150における突出部151(窪み部152)には、図4(B)に示すように、バルブシート径方向の高さ(深さ)が様々なものが混在する。そして、バルブシート径方向の高さが様々な突出部151(窪み部152)は、バルブシート径方向の高さ(深さ)に関係なく、バルブシート軸方向に沿ってランダムに配列される。また、バルブシート径方向の高さ(深さ)が様々な突出部151(窪み部152)は、バルブシート軸方向に沿って略等間隔に配列されることが好ましい。また、凹凸部150における突出部151(窪み部152)は、図4(C)に示すように、バルブシート径方向の高さ(深さ)が全体として同じになるように形成されてもよい。また、凹凸部150における突出部151(窪み部152)は、図4(D)に示すように、粗面領域奥側端部15Aを起点として粗面領域手前側端部15Bに進むにしたがってバルブシート径方向の高さ(深さ)が増大していく態様(傾斜状)であってもよい。
<突出部および窪み部の構造の詳細>
次に、図6を参照して、粗面領域15における突出部151および窪み部152の構造の詳細について説明する。図6は、図5(C)のF-Fライン(バルブシート軸方向)に沿って凹凸部150をバルブシート径方向に切ったときの断面の概略図である。
<突出部>
突出部151は、基底面150Aからバルブシート径方向の外側へ突出する。基底面150Aは、窪み部152の一部を構成する。また、突出部151の少なくとも1つは、図6に示すように、基部155と、拡張部156と、反り面157とを有する。基部155は、凹凸部150の基底側からバルブシート径方向の外側へ突出する部分である。
<拡張部>
拡張部156は、基部155に連続して外周面14の面方向に拡張する部分である。そして、拡張部156は、基底面150Aに覆い被さる。なお、外周面14の面方向とは、外周面14の面内における全ての方向を指す。そして、粗面領域15において、外周面14の面方向とは、粗面領域15が無い部分の外周面14を粗面領域15まで延長した仮想円筒面140(図6の点線参照)を基準外周面と定義したとき、当該基準外周面の面方向を指す。
図6に示すように、拡張部156は、外周面14の面方向(基準外周面の面方向)のうち、バルブシート軸方向の奥側開口11側(圧入方向)、および/または、バルブシート軸方向の手前側開口12側(圧入方向と反対側の方向、以下、圧入反対方向と呼ぶ。)に拡張するように形成されることが好ましい。この場合、窪み部152は、バルブシート径方向の内側に進むにしたがって、バルブシート軸方向の手前側開口12側(圧入反対方向)、および/または、バルブシート軸方向の奥側開口11側(圧入方向)に延びる。
<反り面>
上記のように、仮想円筒面140を基準外周面と定義したとき、凹凸部150の基底面150Aからバルブシート径方向の外側に延びる凹凸部150の突出部151の側面は、図6に示すように、バルブシート径方向の外側へ進むにしたがって、基準外周面の面方向に反り返る反り面157を有する。
<窪み部>
窪み部152は、図6に示すように、バルブシート軸方向において突出部151に隣接する。また、基底面150Aは、窪み部152の一部を構成する。したがって、基底面150Aが拡張部156により覆い被される場合、窪み部152の少なくとも一部もまた拡張部156により覆い被される。
<粗面領域の仮想表面形状>
次に、図7を参照して、バルブシート径方向における粗面領域15に対向する側から粗面領域15の表面を光学装置18によりスキャンして得られる仮想的な表面形状159(以下、仮想表面形状と呼ぶ。)について説明する。光学装置として、例えば、ワンショット3D形状測定機(株式会社キーエンス)が一例として挙げられる。仮想表面形状159は、粗面領域15における実際の表面形状とは異なる部分がある。
バルブシート径方向(X軸方向)における粗面領域15に対向する側から粗面領域15の表面が光学装置18によりスキャンされても、窪み部152のうち、拡張部156により覆い被される被覆部分152C(図7(A)の着色部分参照)は、スキャンされない。したがって、光学装置18によりスキャンされる仮想表面形状159(図7(A)の実線部分参照)は、粗面領域15における実際の表面形状から被覆部分152Cに対応する表面形状部分を除いたものになる。したがって、粗面領域15において仮想表面形状159では、突出部151の占める割合の方が窪み部152の占める割合よりも大きくなると考えられる。
ここで、図7(B)に示すように、仮想円筒面140を基準外周面と定義したとき、基準外周面よりもバルブシート径方向の外側に飛び出す実部となる領域150B(以下、外側実部領域と呼ぶ。)、および、基準外周面よりもバルブシート径方向の内側に凹んで窪みとなる領域150C(以下、内側窪み領域と呼ぶ。)を考える。
仮想表面形状159では、突出部151の占める割合の方が窪み部152の占める割合よりも大きくなることから、粗面領域15における仮想表面形状159において外側実部領域150Bの占める割合は、内側窪み領域150Cの占める割合よりも大きいと考えられる。したがって、バルブシート軸方向に沿って切った粗面領域15の断面において、外側実部領域150Bの周囲輪郭150BAで囲まれる外側実部断面積A1(図7(B)に示す外側実部領域150Bの斜線部分参照)と、内側窪み領域150Cの周囲輪郭150CAで囲まれる内側窪み断面積A2(図7(B)に示す内側窪み領域150Cのクロスハッチング部分参照)とは、以下の(式1)を満たす。
(式1):0<A2/A1<1
<粗面領域の仮想表面形状の実施例>
次に、本願発明者は、測定用バルブシートとして、バルブシート1の外周面14に、図8(A)に示すような三角形状の粗面領域15を形成したものを複数用意した。そして、本願発明者は、測定用バルブシートに2種類の粗面領域15を形成した。2種類の粗面領域15のうち一方は、図8(B)に示すように、突出部151の基底面150Aからの高さT3(μm)が一定になるようにレーザー加工を行った態様のもの(以下、平面タイプ粗面領域と呼ぶ。)で、他方は、図8(C)に示すように、三角形の底辺15Fから三角形の頂点15Dに進むにしたがって突出部151の基底面150Aからの高さが直線状に減少するようにレーザー加工を行った態様のもの(以下、傾斜面タイプ粗面領域と呼ぶ。)である。なお、平面タイプ粗面領域には、厳密には高さT3(μm)が一定にならないようなものも含まれ、例えば、図4(B)に示すバルブシート径方向の高さ(深さ)が様々な突出部151(窪み部152)が混在するような粗面領域も含まれる。
なお、傾斜面タイプ粗面領域は、三角形の底辺15Fの突出部151の基底面150Aからの高さがT4(μm)、三角形の頂点15Dの高さが0(μm)になるように形成された。また、平面タイプ粗面領域および傾斜面タイプ粗面領域は、三角形の高さT5が略1~2(mm)、三角形の底辺の長さがT1(mm)、突出部151および窪み部152の中心間のバルブシート軸方向のピッチがT2(μm)になるように形成された。
そして、各平面タイプ粗面領域および各傾斜面タイプ粗面領域におけるG-Gライン(図8(A)参照)上の仮想表面形状159をワンショット3D形状測定機(株式会社キーエンス)により測定した。なお、平面タイプ粗面領域および傾斜面タイプ粗面領域におけるG-Gラインとは、頂点15Dを通る三角形の底辺15Fの垂線に相当する。
<粗面領域の仮想表面形状の測定結果>
測定用バルブシートにおける平面タイプ粗面領域のG-Gライン上の仮想表面形状159をワンショット3D形状測定機(株式会社キーエンス)により測定すると、例えば、図9に示すような結果が得られる。そして、図9の外側実部領域150B側の数値150BBは、外側実部断面積A1を表し、内側窪み領域150C側の数値150CBは、内側窪み断面積A2を表す。図9では、外側実部断面積A1は12165(μm)、内側窪み断面積A2は8790(μm)である。したがって、外側実部断面積A1と内側窪み断面積A2の和を総面積とした場合、総面積に対する外側実部断面積A1の比率(以下、外側実部断面積比率と呼ぶ。)は、58.1(%)となる。また、総面積に対する内側窪み断面積A2の比率(以下、内側窪み断面積比率と呼ぶ。)は、41.9(%)となる。この場合、A2/A1≒0.72となる。
なお、図10~図12に示す、測定用バルブシートにおける粗面領域15の仮想表面形状の測定結果の表1~11には、対応する外側実部断面積A1および内側窪み断面積A2に基づいて算出された外側実部断面積比率および内側窪み断面積比率、並びに、それらの平均が表示されている。
<平面タイプ粗面領域の仮想表面形状の測定結果>
図10(A)に示す表1は、本願発明者によって5つの測定用バルブシートそれぞれに形成された平面タイプ粗面領域(表1の(1)~(5))の仮想表面形状の測定結果である。外側実部断面積比率は、平均72.3(%)となる。また、内側窪み断面積比率は、平均27.7(%)となる。この場合、A2/A1≒0.38となる。
図10(B)に示す表2は、本願発明者によって5つの測定用バルブシートそれぞれに形成された平面タイプ粗面領域(表2の(1)~(5))の仮想表面形状の測定結果である。外側実部断面積比率は、平均78.9(%)となる。また、内側窪み断面積比率は、平均21.1(%)となる。この場合、A2/A1≒0.27となる。
図10(C)に示す表3は、本願発明者によって6つの測定用バルブシートそれぞれに形成された平面タイプ粗面領域(表3の(1)~(6))の仮想表面形状の測定結果である。外側実部断面積比率は、平均92.4(%)となる。また、内側窪み断面積比率は、平均7.6(%)となる。この場合、A2/A1≒0.08となる。
図10(D)に示す表4は、本願発明者によって4つの測定用バルブシートそれぞれに形成された平面タイプ粗面領域(表4の(1)~(4))の仮想表面形状の測定結果である。外側実部断面積比率は、平均63.7(%)となる。また、内側窪み断面積比率は、平均36.3(%)となる。この場合、A2/A1≒0.57となる。
図11(A)に示す表5は、本願発明者によって3つの測定用バルブシートそれぞれに形成された平面タイプ粗面領域(表5の(1)~(3))の仮想表面形状の測定結果である。外側実部断面積比率は、平均77.6(%)となる。また、内側窪み断面積比率は、平均22.4(%)となる。この場合、A2/A1≒0.29となる。
図11(B)に示す表6は、本願発明者によって3つの測定用バルブシートそれぞれに形成された平面タイプ粗面領域(表6の(1)~(3))の仮想表面形状の測定結果である。外側実部断面積比率は、平均97.6(%)となる。また、内側窪み断面積比率は、平均2.4(%)となる。この場合、A2/A1≒0.02となる。
図11(C)に示す表7は、本願発明者によって3つの測定用バルブシートそれぞれに形成された平面タイプ粗面領域(表7の(1)~(3))の仮想表面形状の測定結果である。外側実部断面積比率は、平均78.8(%)となる。また、内側窪み断面積比率は、平均21.2(%)となる。この場合、A2/A1≒0.27となる。
図11(D)に示す表8は、本願発明者によって3つの測定用バルブシートそれぞれに形成された平面タイプ粗面領域(表8の(1)~(3))の仮想表面形状の測定結果である。外側実部断面積比率は、平均72.0(%)となる。また、内側窪み断面積比率は、平均28.0(%)となる。この場合、A2/A1≒0.39となる。
図11(E)に示す表9は、本願発明者によって2つの測定用バルブシートそれぞれに形成された平面タイプ粗面領域(表9の(1),(2))の仮想表面形状の測定結果である。外側実部断面積比率は、平均87.1(%)となる。また、内側窪み断面積比率は、平均12.9(%)となる。この場合、A2/A1≒0.15となる。
<傾斜面タイプ粗面領域の仮想表面形状の測定結果>
図12(A)に示す表10は、本願発明者によって4つの測定用バルブシートそれぞれに形成された傾斜面タイプ粗面領域(表10の(1)~(4))の仮想表面形状の測定結果である。外側実部断面積比率は、平均89.7(%)となる。また、内側窪み断面積比率は、平均10.3(%)となる。この場合、A2/A1≒0.11となる。
図12(B)に示す表11は、本願発明者によって2つの測定用バルブシートそれぞれに形成された傾斜面タイプ粗面領域(表11の(1),(2))の仮想表面形状の測定結果である。外側実部断面積比率は、平均86.9(%)となる。また、内側窪み断面積比率は、平均13.1(%)となる。この場合、A2/A1≒0.15となる。
<粗面領域の仮想表面形状の測定結果に対する考察>
A2/A1の値が1に近ければ近いほど、拡張部156を有する突出部151の数が少ない。言い換えると、拡張部156により覆い被されている窪み部152の数が少ない。以上の<平面面タイプ粗面領域の仮想表面形状の測定結果>および<傾斜面タイプ粗面領域の仮想表面形状の測定結果>の測定結果からすると、平均値ベースでA2/A1の最大値は、略0.57(図10(D)に示す表4に対応)であった。したがって、A2/A1は、以下の(式2)を満たす。
(式2):0<A2/A1<3/4
<バルブシート素材>
次に、図13を参照して、バルブシート1の加工前における素材であるバルブシート素材9(図13の太線部分参照)について説明する。本実施形態においてバルブシート素材9の軸方向延在面領域は、バルブシート1の軸方向延在面領域130と共通する。また、本実施形態においてバルブシート素材9の傾斜面領域131Aは、図13に示すように、バルブシート1の傾斜面領域131よりもバルブシート軸方向の長さが長い。したがって、バルブシート素材9は、図13に示すように、バルブシート1よりもバルブシート軸方向の長さが長い。また、バルブシート素材9の傾斜面領域131Aは、図13に示すように、2つの傾斜面により構成されている。
以上のような構成のバルブシート素材9がシリンダヘッド圧入後に研磨および/または研削等の材料除去加工をされて、バルブシート1が形成される。
なお、バルブシート素材9に形成される粗面領域15においても、バルブシート1を用いて説明した事項全てが適用可能である。つまり、以上の説明においてバルブシート1を適宜、バルブシート素材9に置き換えてもよい。
尚、本発明のバルブシートは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 バルブシート
2 シリンダヘッド
7 バルブ
8 保持領域
8A 接触表面部
9 バルブシート素材
10 中心軸
11 奥側開口
12 手前側開口
13 内周面
14 外周面
15 粗面領域
18 光学装置
130 軸方向延在面領域
131,131A 傾斜面領域
140 仮想円筒面(基準外周面)
150 凹凸部
150A 基底面
150B 外側実部領域
150BA,150CA 周囲輪郭
150BB,150CB 数値
150C 内側窪み領域
151 突出部
152 窪み部
152C 被覆部分
155 基部
156 拡張部
157 反り面
159 仮想表面形状
A1 外側実部断面積
A2 内側窪み断面積
Q バルブシート周方向
Y 圧入方向

Claims (2)

  1. 内燃機関用のシリンダヘッドに圧入されるバルブシートであって、
    自身の外周面に凹凸部を有する粗面領域が有る部分と、前記粗面領域が無い部分を備え、
    前記粗面領域が無い部分の前記外周面を延長した円筒面を基準外周面と定義し、
    前記バルブシートの径方向における前記粗面領域に対向する側から前記粗面領域の表面を光学手段によりスキャンして得られる仮想表面形状を前記粗面領域が有するものと仮定したとき、
    前記凹凸部は、前記基準外周面から前記径方向の外側に飛び出す実部となる外側実部領域、及び、前記基準外周面から前記径方向の内側に凹んで窪みとなる内側窪み領域を有し、
    前記バルブシートの軸方向に沿って切った前記粗面領域の断面において、前記外側実部領域の周囲輪郭で囲まれる外側実部断面積A1と、前記内側窪み領域の周囲輪郭で囲まれる内側窪み断面積A2とが以下の条件式を満たすことを特徴とする、
    バルブシート。
    0<A2/A1<1
  2. 前記外側実部断面積A1と、前記内側窪み断面積A2とが以下の条件式を満たすことを特徴とする、
    請求項1に記載のバルブシート。
    0<A2/A1<3/4
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