JP2019090652A - 分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ユーザーが分析の精度を正確に把握することができる分析装置を提供する。【解決手段】分析装置100は、分析装置本体10と、分析装置本体10で試料Sを測定して得られた測定値に基づく定量値、および定量値の誤差を算出する演算部42と、分析装置本体10に由来する装置由来のばらつきの情報を記憶する記憶部34と、を含み、演算部42は、測定値のばらつきを算出する処理と、測定値のばらつき、および装置由来のばらつきに基づいて、定量値の誤差を算出する処理と、を行う。【選択図】図1
Description
本発明は、分析装置に関する。
蛍光X線分析装置は、試料にX線発生器からの一次X線を照射し、発生した二次X線(蛍光X線)を検出器で検出して、定性分析および定量分析等を行う装置である(例えば特許文献1参照)。
図4は、蛍光X線分析装置で得られたX線スペクトルの一例を示す図である。図4では、横軸はX線のエネルギーであり、縦軸はX線強度(cps、(Count Per Second))である。
蛍光X線分析装置において、定量値の誤差は、一般的に、X線強度の標準偏差から求める。蛍光X線分析装置において、X線強度の標準偏差は、ポアソン分布に従い、X線強度の平方根がX線強度の標準偏差となる。具体的には、X線強度の標準偏差σ(cps)は、単位時間(1秒)に観測されるX線強度をI(cps)、測定時間をtとした場合に、次式で表される。
ここで、蛍光X線分析装置において、測定時間を長くすると、当然ながらX線の計数量、すなわちX線強度が増える。そのため、上記の計算方法では、測定時間が長くなるほど、計算上の標準偏差は小さくなる。
しかしながら、測定時間を長くして計算上の標準偏差を小さくしても、実際には分析装置自身が持つ不安定性により、定量値の誤差は一定以上に小さくなることはない。
したがって、上記の計算方法を用いた場合、ユーザーは高精度に分析したつもりになるが、実際にはそれほどの精度がでていない場合があり、誤った判断をしてしまうことになるおそれがある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、定量値の誤差を実際に即した値に近づけることができる分析装置を提供することにある。
本発明に係る分析装置は、
分析装置本体と、
前記分析装置本体で試料を測定して得られた測定値に基づく定量値、および定量値の誤差を算出する演算部と、
前記分析装置本体に由来する装置由来のばらつきの情報を記憶する記憶部と、
を含み、
前記演算部は、
前記測定値のばらつきを算出する処理と、
前記測定値のばらつき、および前記装置由来のばらつきに基づいて、前記定量値の誤差を算出する処理と、
を行う。
分析装置本体と、
前記分析装置本体で試料を測定して得られた測定値に基づく定量値、および定量値の誤差を算出する演算部と、
前記分析装置本体に由来する装置由来のばらつきの情報を記憶する記憶部と、
を含み、
前記演算部は、
前記測定値のばらつきを算出する処理と、
前記測定値のばらつき、および前記装置由来のばらつきに基づいて、前記定量値の誤差を算出する処理と、
を行う。
このような分析装置では、演算部が測定値のばらつきおよび装置由来のばらつきに基づいて定量値の誤差を算出する処理を行うため、装置由来のばらつきを考慮した定量値の誤差が求められる。したがって、このような分析装置では、例えば、定量値の誤差を測定値のばらつきのみで算出した場合と比べて、定量値の誤差を実際に即した値に近づけることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. 分析装置
まず、第1実施形態に係る分析装置について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る分析装置100の構成を示す図である。
1.1. 分析装置
まず、第1実施形態に係る分析装置について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る分析装置100の構成を示す図である。
分析装置100は、蛍光X線分析法による分析を行う装置である。すなわち、分析装置100は、蛍光X線分析装置である。蛍光X線分析法とは、試料にX線を照射し、X線の照射により試料から発生する蛍光X線を測定することで、試料の定性分析あるいは定量分析を行う手法である。
分析装置100は、図1に示すように、分析装置本体10と、操作部30と、表示部32と、記憶部34と、処理部40と、を含む。
分析装置本体10は、X線発生器2と、フィルター3と、一次X線コリメーター4と、試料支持板5と、二次X線コリメーター6と、検出器7と、を含んで構成されている。
X線発生器2は、X線を発生させる。X線発生器2は、管球と高圧電源とを含んで構成されている。試料Sおよび測定対象元素に応じて、管電圧および管電流の条件が設定される。
フィルター3は、X線発生器2で発生し、試料Sに照射されるX線を通す。フィルター3を通してX線を試料Sに照射することで、フィルター3にX線発生器2からの連続X線や特性X線の一部を吸収させることができ、それらの成分を除去することができる。これ
により、例えば、P/B比(peak-to-background ratio)を向上できる。分析装置100は、複数のフィルター3を備えており、複数のフィルター3は互いに低減できるエネルギー帯域が異なっている。測定対象元素に応じて複数のフィルター3から測定に用いられるフィルター3が選択される。
により、例えば、P/B比(peak-to-background ratio)を向上できる。分析装置100は、複数のフィルター3を備えており、複数のフィルター3は互いに低減できるエネルギー帯域が異なっている。測定対象元素に応じて複数のフィルター3から測定に用いられるフィルター3が選択される。
一次X線コリメーター4は、試料Sに照射されるX線の照射領域を制限する。一次X線コリメーター4によって、照射領域の大きさを選択することができる。
試料支持板5は、試料Sを支持している。試料支持板5には、開口が形成されており、当該開口を介して、一次X線が試料Sに照射される。
二次X線コリメーター6は、試料Sから発生した蛍光X線の取得領域を制限する。二次X線コリメーター6を用いることで、目的の蛍光X線を効率よく検出することができる。
検出器7は、試料Sで発生した蛍光X線を検出する。検出器7は、例えば、半導体検出器である。
分析装置本体10では、蛍光X線分析法を用いた測定が行われる。具体的には、X線発生器2から発生した一次X線は、フィルター3および一次X線コリメーター4を通過し分析対象である試料Sに照射される。一次X線の照射に応じて試料Sで二次的に励起された蛍光X線(二次X線)は、二次X線コリメーター6を通過して検出器7で検出される。検出器7の出力(検出信号)は、信号処理回路(図示せず)でデジタル化され、処理部40に取り込まれX線スペクトルが生成される。
操作部30は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、処理部40に送る処理を行う。操作部30は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどである。また、操作部30は、装置由来のばらつきの情報の入力を受け付ける入力部として機能する。
表示部32は、処理部40によって生成された画像を表示するものである。表示部32は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、などのディスプレイにより実現できる。
記憶部34は、処理部40が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部34は、処理部40の作業領域として用いられ、処理部40が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。記憶部34は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクなどにより実現できる。
記憶部34には、分析装置本体10に由来する装置由来のばらつきの情報が記憶されている。装置由来のばらつきの情報は、X線発生器2に由来するばらつき(標準偏差)の情報と、一次X線コリメーター4に由来するばらつき(標準偏差)の情報と、フィルター3に由来するばらつき(標準偏差)の情報と、を含む。
X線発生器2に由来するばらつきは、例えば、管球の安定性を標準偏差(%)として表したものである。一次X線コリメーター4に由来するばらつきは、例えば、一次X線コリメーター4の再現性を標準偏差(%)として表したものである。フィルター3に由来するばらつきは、例えば、フィルター3の再現性を標準偏差(%)として表したものである。
装置由来のばらつきの情報は、ユーザーからの装置由来のばらつきの情報の入力を操作
部30が受け付けて、処理部40が当該情報を記憶部34に記憶させる処理を行うことで、記憶部34に記憶される。
部30が受け付けて、処理部40が当該情報を記憶部34に記憶させる処理を行うことで、記憶部34に記憶される。
処理部40は、記憶部34に記憶されているプログラムに従って、各種の制御処理や計算処理を行う。処理部40の機能は、各種プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)等)でプログラムを実行することにより実現することができる。処理部40は、演算部42と、表示制御部44と、を含む。
演算部42は、分析装置本体10で試料Sを測定して得られた測定値に基づく定量値、および定量値の誤差を算出する。演算部42は、分析装置本体10で測定された測定値のばらつきを算出する処理と、測定値のばらつきおよび装置由来のばらつきに基づいて、定量値の誤差を算出する処理と、定量値を算出する処理と、を行う。
測定値のばらつきは、分析装置本体10での測定結果からX線スペクトルを得て、元素ごと(スペクトルのピークごと)に標準偏差を算出することで取得することができる。具体的には、測定値のばらつき、すなわち、測定値の標準偏差σM(cps、(Count Per Second))は、単位時間(1秒)に観測されるX線強度をI(cps)とし、測定時間をtとした場合に、次式で算出できる。
装置由来のばらつきの情報は、上述したように、記憶部34に記憶されている。演算部42は、記憶部34から装置由来のばらつきの情報を読み出して、装置由来のばらつきの情報を取得する。
演算部42は、上記式(1)を用いて算出された測定値のばらつき(標準偏差)および記憶部34から読み出した装置由来のばらつきに基づいて、定量値の誤差を算出する。
具体的には、まず、測定値のばらつき(標準偏差)の単位を「cps」から「%」に変換する。例えば、次式を用いて、測定値のばらつき(標準偏差)の単位を「cps」から「%」に変換する。
標準偏差(%)=標準偏差(cps)/I …(2)
次に、測定値の標準偏差σMに、装置由来のばらつきを含めることで定量値の誤差を算出する。具体的には、管球の安定性(標準偏差)をa%とし、一次X線コリメーター4の再現性(標準偏差)をb%とし、フィルター3の再現性(標準偏差)をc%とした場合、定量値の誤差σQは、次式で算出できる(誤差の伝播)。
上記式で算出された定量値の誤差σQは、単位が「%」であるため、「cps」単位に変換する。「%」から「cps」への変換は、例えば、次式を用いて行われる。
標準偏差(cps)=標準偏差(%)×I …(4)
次に、演算部42は、X線スペクトルから各元素の定量値の計算を行う。演算部42は、算出された各元素の定量値を、各元素の定量値の誤差σQとともに記憶部34に記憶する処理を行う。
表示制御部44は、記憶部34から各元素の定量値と各元素の定量値の誤差σQを読み出して、表示部32に表示させる制御を行う。これにより、表示部32に各元素の定量値と各元素の定量値の誤差とが表示される。
なお、上記では、装置由来のばらつきとして、管球の安定性、一次X線コリメーター4の再現性、およびフィルター3の再現性を挙げたが、装置由来のばらつきとして、分析装置本体10を構成するその他の部材に由来するばらつきを含めてもよい。また、装置由来のばらつきとして、管球の安定性、一次X線コリメーター4の再現性、およびフィルター3の再現性のうちの1つを用いてもよい。
1.2. 動作
次に、分析装置100の動作について説明する。ここでは、演算部42の処理、および表示制御部44の処理について説明する。
次に、分析装置100の動作について説明する。ここでは、演算部42の処理、および表示制御部44の処理について説明する。
図2は、分析装置100の処理部40の処理の一例を示すフローチャートである。なお、記憶部34には、あらかじめ、装置由来のばらつきの情報が記憶されている。
演算部42は、分析装置本体10で試料Sを測定して得られた測定値からX線スペクトルを取得する(S100)。演算部42は、検出器7の出力を受け付けてX線スペクトルを生成し、X線スペクトルを取得する。
次に、演算部42は、X線スペクトルから測定値の標準偏差を算出する(S102)。具体的には、演算部42は、X線スペクトルから、上記(1)式を用いて、元素ごと(スペクトルのピークごと)に標準偏差を算出する。
次に、演算部42は、上記(2)式を用いて、各元素の測定値の標準偏差の単位を「cps」から「%」に変換する(S104)。
次に、演算部42は、上記(3)式を用いて、各元素の測定値の標準偏差に、装置由来のばらつき、すなわち、管球の安定性(標準偏差)、一次X線コリメーター4の再現性(標準偏差)、フィルター3の再現性(標準偏差)を含めて定量値の誤差を算出する(S106)。
次に、演算部42は、上記(4)式を用いて、各元素の定量値の誤差の単位を「%」から「cps」に変換する(S108)。
次に、演算部42は、X線スペクトルから各元素の定量値を計算する(S110)。
次に、演算部42は、算出された各元素の定量値を、各元素の定量値の誤差とともに記憶部34に記憶する処理を行う(S112)。
次に、表示制御部44が、記憶部34から、各元素の定量値および各元素の定量値の誤差を読み出して、表示部32に表示させる制御を行う(S114)。そして、処理部40は処理を終了する。
1.3. 特徴
分析装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
分析装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
分析装置100は、分析装置本体10と、分析装置本体10で試料Sを測定して得られた測定値に基づく定量値および定量値の誤差を算出する演算部42と、分析装置本体10に由来する装置由来のばらつきの情報を記憶する記憶部34と、を含み、演算部42は、測定値のばらつきを算出する処理と、測定値のばらつきおよび装置由来のばらつきに基づいて、定量値の誤差を算出する処理と、を行う。そのため、分析装置100では、装置由来のばらつきを考慮した定量値の誤差が求められる。したがって、分析装置100では、例えば、定量値の誤差を測定値のばらつきのみで算出した場合と比べて、定量値の誤差を実際に即した値に近づけることができる。これにより、ユーザーが分析の精度を正確に把握することができる。
例えば、定量値の誤差を測定値の標準偏差(式(1)参照)のみで求めた場合、測定時間が長くなるほど、計算上の標準偏差は小さくなるため、より高精度の分析を行うために、ユーザーは長時間の分析を行うこととなる。しかしながら、測定時間を長くして計算上の標準偏差を小さくしても、実際には分析装置自身が持つ不安定性等により、定量値の誤差は、一定以上に小さくなることはない。
これに対して、分析装置100では、定量値の誤差として、測定値の標準偏差に加えて、装置由来のばらつきが含まれているため、長時間の測定を行っても、装置由来のばらつき分の標準偏差は小さくならない。したがって、分析装置100では、ユーザーが分析の精度を正確に把握することができ、過剰な長時間の測定を行うことを防ぐことができる。
分析装置100は、装置由来のばらつきの情報の入力を受け付ける入力部としての操作部30を含む。そのため、分析装置100では、装置由来のばらつきの情報を入力することができ、装置由来のばらつきを考慮した定量値の誤差を算出できる。
分析装置100では、分析装置本体10は蛍光X線分析法を用いた測定を行う装置であり、演算部42は、単位時間に観測されるX線強度をIとし、測定時間をtとした場合に、測定値のばらつきを、上記式(1)を用いて算出する。そのため、分析装置100では、測定値のばらつきを求めることができる。
分析装置100では、分析装置本体10は、試料Sに照射されるX線を発生させるX線発生器2を含み、装置由来のばらつきは、X線発生器2に由来するばらつきを含む。したがって、分析装置100では、X線発生器2に由来するばらつき、すなわち、X線発生器2の管球の安定性を考慮した定量値の誤差が求められるため、定量値の誤差を実際に即した値に近づけることができる。
分析装置100では、分析装置本体10は、試料Sに照射されるX線の照射領域を制限する一次X線コリメーター4を含み、装置由来のばらつきは、一次X線コリメーター4に由来するばらつきを含む。したがって、分析装置100では、一次X線コリメーター4に由来するばらつき、すなわち、一次X線コリメーター4の再現性を考慮した定量値の誤差が求められるため、定量値の誤差を実際に即した値に近づけることができる。
分析装置100では、分析装置本体10は、試料Sに照射されるX線を通すフィルター3を含み、装置由来のばらつきは、フィルター3に由来するばらつき、すなわち、フィルター3の再現性を考慮した定量値の誤差が求められるため、定量値の誤差を実際に即した値に近づけることができる。
分析装置100は、表示部32と、演算部42で算出された定量値の誤差の情報を表示部32に表示する制御を行う表示制御部44と、を含む。そのため、分析装置100では、ユーザーが分析の精度を正確に把握することができる。
2. 第2実施形態
2.1. 分析装置
次に、第2実施形態に係る分析装置について、図面を参照しながら説明する。図3は、第2実施形態に係る分析装置200の構成を示す図である。以下、第2実施形態に係る分析装置200において、第1実施形態に係る分析装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
2.1. 分析装置
次に、第2実施形態に係る分析装置について、図面を参照しながら説明する。図3は、第2実施形態に係る分析装置200の構成を示す図である。以下、第2実施形態に係る分析装置200において、第1実施形態に係る分析装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した分析装置100では、ユーザーが操作部30を介して装置由来のばらつきの情報を入力することで、記憶部34に装置由来のばらつきの情報が記憶された。
これに対して、分析装置200では、図3に示すように、処理部40は、分析装置本体10を制御する制御部46を含み、制御部46が装置由来のばらつきの情報を取得する測定が行われるように分析装置本体10を制御する。すなわち、分析装置200では、制御部46が自動で測定を行うことによって装置由来のばらつきの情報を取得することにより、記憶部34に装置由来のばらつきの情報が記憶される。
分析装置200では、以下のようにして、装置由来のばらつきの情報を取得する。
X線発生器2の管球の安定性(標準偏差)の情報は、例えば、フィルター3および一次X線コリメーター4の条件を固定した状態で、分析装置本体10で任意の測定を繰り返し行い(例えば10回程度繰り返し行い)、この繰り返し測定の測定結果から標準偏差を求めることで得られる。
一次X線コリメーター4の再現性(標準偏差)の情報は、例えば、まず、フィルター3の条件を固定した状態で、一次X線コリメーター4を動作させて分析装置本体10で任意の測定を繰り返し行い、この繰り返し測定の測定結果から標準偏差を求める。ここで、このようにして得られた一次X線コリメーター4の再現性を表す標準偏差には、管球の安定性(標準偏差)が含まれる。そのため、繰り返し測定の測定結果から得られた標準偏差をσAとし、管球の安定性を表す標準偏差をσ10とした場合、一次X線コリメーター4の再現性を表す標準偏差σ4は、次式で求めることができる。
フィルター3の再現性(標準偏差)の情報は、例えば、まず、一次X線コリメーター4の条件を固定した状態で、フィルター3を動作させて分析装置本体10で任意の測定を繰り返し行い、この繰り返し測定の測定結果から標準偏差を求める。ここで、このようにして得られたフィルター3の再現性を表す標準偏差には、管球の安定性(標準偏差)が含まれる。そのため、繰り返し測定の測定結果から得られた標準偏差をσBとし、管球の安定性を表す標準偏差をσ10とした場合、フィルター3の再現性を表す標準偏差σ3は、次式で求めることができる。
2.2. 動作
次に、分析装置200の動作について説明する。分析装置200の動作は、制御部46が装置由来のばらつきの情報を取得する測定が行われるように分析装置本体10を制御することで、あらかじめ装置由来のばらつきの情報が記憶部34に記憶されている点を除いて、上述した分析装置100の動作と同じであり、その説明を省略する。
次に、分析装置200の動作について説明する。分析装置200の動作は、制御部46が装置由来のばらつきの情報を取得する測定が行われるように分析装置本体10を制御することで、あらかじめ装置由来のばらつきの情報が記憶部34に記憶されている点を除いて、上述した分析装置100の動作と同じであり、その説明を省略する。
なお、分析装置200は、制御部46があらかじめ指定された日時に装置由来のばらつきの情報を取得する測定を行うように構成されていてもよい。例えば、制御部46は、1ヶ月に一度(または1年に一度)、当該測定を行って、記憶部34に記憶されている装置由来のばらつきの情報を更新してもよい。また、例えば、装置のメンテナンス時に、制御部46が装置由来のばらつきの情報を取得する測定を行うように構成されていてもよい。
2.3. 特徴
分析装置200では、制御部46は、装置由来のばらつきの情報を取得する測定が行われるように分析装置本体10を制御する。そのため、分析装置200では、ユーザーが装置由来のばらつきの情報を入力しなくても、自動で装置由来のばらつきの情報が記憶部34に記憶される。
分析装置200では、制御部46は、装置由来のばらつきの情報を取得する測定が行われるように分析装置本体10を制御する。そのため、分析装置200では、ユーザーが装置由来のばらつきの情報を入力しなくても、自動で装置由来のばらつきの情報が記憶部34に記憶される。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、測定値のばらつきを標準偏差で表した場合について説明したが、測定値のばらつきを表す指標は標準偏差に限定されず、標準偏差以外の指標を用いてばらつきを表してもよい。このことは、装置由来のばらつきについても同様である。
また、例えば、上述した実施形態では、一次X線コリメーター4で試料Sに照射されるX線の照射領域を制限する場合について説明したが、一次X線コリメーター4にかえてキャピラリーによってX線の照射領域を制限してもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、フィルター3にX線発生器2からの連続X線成分や、特性X線の一部を吸収させることによって、これらの成分を除去していたが、フィルター3のかわりにX線発生器2からの一次X線により発生した蛍光X線を試料Sに照射するための金属である二次ターゲットを用いてこれらの成分を除去してもよい。また、フィルター3のかわりにX線発生器2からの一次X線を分光し、単一のエネルギー成分のX線を試料Sに照射するための分光素子を用いてもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、分析装置が蛍光X線分析装置である場合について説明したが、本発明に係る分析装置は、蛍光X線分析装置に限定されず、定量分析が可能なその他の分析装置にも適用可能である。このような分析装置としては、電子プローブマイクロアナライザーや、質量分析装置、エネルギー分散型X線検出装置が搭載された電子顕微鏡などが挙げられる。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、
実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…X線発生器、3…フィルター、4…一次X線コリメーター、5…試料支持板、6…二次X線コリメーター、7…検出器、10…分析装置本体、30…操作部、32…表示部、34…記憶部、40…処理部、42…演算部、44…表示制御部、46…制御部、100…分析装置、200…分析装置
Claims (8)
- 分析装置本体と、
前記分析装置本体で試料を測定して得られた測定値に基づく定量値、および定量値の誤差を算出する演算部と、
前記分析装置本体に由来する装置由来のばらつきの情報を記憶する記憶部と、
を含み、
前記演算部は、
前記測定値のばらつきを算出する処理と、
前記測定値のばらつき、および前記装置由来のばらつきに基づいて、前記定量値の誤差を算出する処理と、
を行う、分析装置。 - 請求項1において、
前記装置由来のばらつきの情報の入力を受け付ける入力部を含む、分析装置。 - 請求項1において、
前記分析装置本体を制御する制御部を含み、
前記制御部は、前記装置由来のばらつきの情報を取得する測定が行われるように前記分析装置本体を制御する、分析装置。 - 請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記分析装置本体は、
試料に照射されるX線を発生させるX線発生器を含み、
前記装置由来のばらつきの情報は、前記X線発生器に由来するばらつきの情報を含む、分析装置。 - 請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記分析装置本体は、
試料に照射されるX線の照射領域を制限するX線コリメーターを含み、
前記装置由来のばらつきの情報は、前記X線コリメーターに由来するばらつきの情報を含む、分析装置。 - 請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記分析装置本体は、
試料に照射されるX線を通すフィルターを含み、
前記装置由来のばらつきの情報は、前記フィルターに由来するばらつきの情報を含む、分析装置。 - 請求項1ないし7のいずれか1項において、
表示部と、
前記演算部で算出された前記定量値の誤差の情報を前記表示部に表示する制御を行う表示制御部と、
を含む、分析装置。
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