JP2019087454A - リチウムイオン二次電池用の電解液 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用の電解液 Download PDF

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Abstract

【課題】サイクル容量維持率[%]の向上【解決手段】フッ素化モノエーテルと、溶媒和イオン液体と、式(A)で表される硫黄含有化合物A又は式(B)で表される硫黄含有化合物Bのうち少なくとも一種の硫黄含有化合物を含有する添加剤とを含むリチウムイオン二次電池用電解液。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用の電解液に関する。
特開2017−134986号公報には、フッ素化溶媒を用いたリチウムイオン二次電池用の電解液が開示されている。同公報では、特に、フッ素化環状カーボネートと、フッ素化鎖状カーボネートとを混合したフッ素化溶媒を用いることが検討されている。
特開2010−73489号公報には、グライムのみを溶媒とし、アルカリ金属塩を溶質とし、グライムとアルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成している溶媒和イオン液体を有する電解液が記載されている。
特開2013−225496号公報には、アルカリ金属−硫黄系二次電池に用いる電解液が開示されている。ここで開示された電解液は、THFやグライム等のエーテル化合物と、溶媒とを含んでいる。また、エーテル化合物とアルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成している。溶媒には、疎水性を有しており、錯体と完全に混合されると共に、アルカリ金属及び多硫化アルカリ金属(M:1≦n≦8)と化学反応しないフッ素系溶媒(但し、FCHC−O−CFCFHを除く)、イオン液体、及び炭化水素の群から選択される1種又は2種以上で表される溶媒が用いられている。
特開2017−134986号公報 特開2010−73489号公報 特開2013−225496号公報
ところで、フッ素系溶媒の中でもフッ素化エーテル溶媒は広い電位窓を持ち、かつ低粘度な構造を取りやすいため、拡散性向上が期待できる。さらにフッ素化エーテル溶媒と溶媒和イオン液体とを混合して電解液とした場合、ハイレートでの充放電における抵抗を低くすることに寄与しうる。しかしながら本発明者が新たに得た知見では、フッ素化エーテルと溶媒和イオン液体とを混合した電解液が用いられた場合でも、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル後の容量維持率については十分でない場合があった。
ここで提案されるリチウムイオン二次電池用の電解液は、フッ素化モノエーテルと、溶媒和イオン液体と、硫黄含有化合物A及び硫黄含有化合物Bのうち少なくとも一種の硫黄含有化合物を含む添加剤とを含んでいる。
硫黄含有化合物Aは、下記の構造式(A)で示された化合物である。
Figure 2019087454
硫黄含有化合物Bは、下記の構造式(B)で示された化合物である。
Figure 2019087454
構造式(A)と構造式(B)において、Xは、C,Si,B及びPの中から選択される元素である。RおよびRは、それぞれ独立した水素、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基である。nは、構造式(A)および(B)における括弧内のメチレン基(CH)の数を示しており、n=0〜2である。
かかるリチウムイオン二次電池用の電解液によれば、充放電サイクル後の容量維持率であるサイクル容量維持率[%]が向上することが期待できる。
以下、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用の電解液の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。
本発明者は、リチウムイオン二次電池用の電解液として、フッ素化溶媒に溶媒和イオン液体を混ぜた電解液を用いることを検討している。
ここで、溶媒和イオン液体は、グライムまたはグライム誘導体と、リチウム塩とで構成される錯体の溶融体である。グライムは、直鎖状のグリコールジエーテルの総称である。ここで用いられるグライムには、例えば、トリグライムやテトラグライムが挙げられる。
かかるリチウムイオン二次電池用の電解液の検討において、溶媒和イオン液体におけるグライムに対するLi塩の混合モル比が1前後の場合では、グライム分子がLiに配位(換言すれば、錯体を形成)していると考えている。そして、グライム分子が単独で存在する場合よりも、電気化学安定性(換言すれば、耐酸化性)が向上する。しかしながら、溶媒和イオン液体は、一般的に用いられるカーボネート系の溶媒などに比べると電位安定性(耐酸化性)が低いとの知見が新たに得られた。例えば、高温環境にて高電位に繰り返し充電されるような場合には、溶媒和イオン液体の一部が分解される場合があり、リチウムイオン二次電池の容量維持率が高く維持されにくい。
ここで提案されるリチウムイオン二次電池用の電解液は、フッ素化モノエーテルと、溶媒和イオン液体と、硫黄含有化合物A及び硫黄含有化合物Bのうち少なくとも一種の硫黄含有化合物を含む添加剤とを含んでいる。
[硫黄含有化合物A]
硫黄含有化合物Aは、下記の構造式(A)で示された化合物である。
Figure 2019087454
[硫黄含有化合物B]
硫黄含有化合物Bは、下記の構造式(B)で示された化合物である。
Figure 2019087454
構造式(A)と構造式(B)において、
Xは、C,Si,B及びPの中から選択される元素である。
およびRは、それぞれ独立した水素、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基である。
nは、構造式(A)および(B)における括弧内のメチレン基(CH)の数を示している。構造式(A)と構造式(B)において、nは、n=0〜2であるとよい。
[硫黄含有化合物の例]
硫黄含有化合物には、以下の構造式(C)の化合物が例示された1,3−プロパンスルトンが例示されうる。1,3−プロパンスルトンは、本明細書において適宜に「PS」と称される。PSは、上述した構造式(A)において、XがC、RおよびRは、それぞれ独立した水素であり、n=0である。
Figure 2019087454
硫黄含有化合物の他の例として、構造式(D)は、1−プロペン1,3−スルトンである。1−プロペン1,3−スルトンは、本明細書において適宜に「PRS」と称される。PRSは、上述した構造式(B)において、XがC、RおよびRは、それぞれ独立した水素であり、n=0である。
Figure 2019087454
硫黄含有化合物の他の例として、構造式(E)は、3,3−ジメチル−3−シラ−1,3プロパンスルトンである。3,3−ジメチル−3−シラ−1,3プロパンスルトンは、本明細書において適宜に「DMSPS」と称される。DMSPSは、上述した構造式(B)において、XがSi、RおよびRは、それぞれ独立した水素であり、n=0である。
Figure 2019087454
ここで、例示された添加物としての硫黄含有化合物のうち、リチウムイオン二次電池用のサイクル容量維持率[%]を向上させるとの観点において、特に好ましいのは、3,3−ジメチル−3−シラ−1,3プロパンスルトン(DMSPS)である。
[溶媒和イオン液体]
溶媒和イオン液体には、例えば、下記の構造式(F)で表されるエーテル化合物と、リチウム塩とで構成された錯体の溶融体でありうる。ここで、構造式(F)で表されるエーテル化合物は、リチウム塩との間で溶媒和イオン液体を構成するための材料である。

−(OCHRCH−OR・・・・(F)
構造式(F)において、RおよびRは、それぞれ独立している。
およびRは、炭素数1〜9のアルキル基、フェニル基およびシクロヘキシル基からなる群から選択された官能基でありうる。ここで、アルキル基の一部はフッ素置換されていてもよい。また、フェニル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。シクロヘキシル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
およびRは、それぞれ環を形成していてもよい。
は、HまたはCHである。
Xは、1〜10から選択される任意の数字でありうる。
構造式(F)で示されたエーテル化合物には、例えば、トリグライムやテトラグライムが含まれうる。
ここで、トリグライムは(トリエチレングリコールジメチルエーテル:Triethylene glycol dimethyl ether)、CH(OCHCHOCHの構造式で表されるエーテル化合物を意味する。
また、テトラグライムは(テトラエチレングリコールジメチルエーテル:Tetraethylene glycol dimethyl ether)、CH(OCHCHOCHの構造式で表されるエーテル化合物を意味する。
[リチウム塩]
また、リチウム塩は、例えば、LiFSI(リチウム ビス(フルオロスルホニル)イミド:Lithium bis(fluorosulfonyl)imide)が用いられうる。本明細書において、「LiFSI」は、特段の言及がなければ、リチウム ビス(フルオロスルホニル)イミドを意味する。リチウム塩は、LiFSIに限らない。リチウム塩は、例えば、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム),LIBF(ホウフッ化リチウム:Lithium Tetrafluoroborate),LiClO(過塩素酸リチウム),LiTFSI(LiN(SOCF:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド:Lithium bis(trifluoro methanesulfonyl)imide),LiBETI(LiN(SO:リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド:Lithium bis(pentafluoroethanesulfonyl)imide)でありうる。
溶媒和イオン液体においてエーテル化合物に対するリチウム塩との混合比は、例えば、モル比で、エーテル化合物:リチウム塩=1:0.9〜1.1(つまり、0.9以上1.1以下)であるとよい。
[フッ素化モノエーテル]
フッ素化モノエーテルは溶媒として用いられる。フッ素化モノエーテルは、例えば、下記の構造式(G)でありうる。

HCFY−(CFZm1−O−CH−(CFZm2−CFYH・・・(G)
構造式(G)において、Y,Y,Z,Zは、それぞれ独立してHまたはFを表している。m1,m2は、1〜5から選択される任意の数字でありうる。
かかるフッ素化モノエーテルは、溶媒として用いられている。フッ素化モノエーテルは、少なくとも1種含有しているとよい。つまり、溶媒は、1種のフッ素化モノエーテルであってもよいし、2種以上のフッ素化モノエーテルが混合された混合溶媒でもよい。
[フッ素化モノエーテルの例]
溶媒として用いられるフッ素化モノエーテルには、FCHOCHCFCFH,HCFOCHCFCFH(FME1),HCFCFOCHCFCFH(FME2)が例示されうる。HCFOCHCFCFHは、本明細書において適宜に「FME1」と称される。HCFCFOCHCFCFHは、本明細書において適宜に「FME2」と称される。
このように、リチウムイオン二次電池用の電解液は、フッ素化モノエーテルを溶媒とし、溶媒和イオン液体を含む電解液であって、上述した硫黄含有化合物A及び硫黄含有化合物Bのうち少なくとも一種の硫黄含有化合物を添加剤として含んでいるとよい。
ここで、硫黄含有化合物Aは、例えば、PS、DMSPSのように上述した構造式(A)で示される化合物であるとよい。
ここで、硫黄含有化合物Bは、例えば、PRSのように上述した構造式(B)で示される化合物であるとよい。
[評価試験]
本発明者は、上述した電解液を用いて評価電池を作成し、サイクル容量維持率[%]を評価した。表1は、当該評価電池のサンプルおよびそのサイクル容量維持率[%]を示す表である。ここで用意された評価電池は用意された電解液が異なるのみであり、その余の点で同じ構成を有している。
Figure 2019087454
評価電池の正極の作製には、正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3を、導電助剤としてアセチレンブラック(AB)を、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)をそれぞれ用いた。正極活物質と導電助剤と結着剤とは、正極活物質:導電助剤(AB):結着剤(PVDF)=87:10:3の割合(重量%)にて混合してスラリーを作製した。スラリーの分散溶媒には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた。得られたスラリーを正極集電箔としてのアルミ箔の上に塗布し、乾燥させた。これにより、正極集電箔の上に正極活物質層を形成した。そして、形成された正極活物質層の密度が2.3g/cmになるまで、ロールプレスによって、得られたシートをプレスし、正極シートを作製した。
負極の作製には、負極活物質として、平均粒子径20μm(D50)の天然黒鉛系材料を用いた。また、結着剤としてスチレンブタジエン共重合体(SBR)、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)をそれぞれ用いた。負極活物質と結着剤と増粘剤とは、負極活物質:結着剤(SBR):増粘剤(CMC)=98:1:1の割合にて混合してスラリーを作製した。スラリーの分散溶媒には水を用いた。得られた混合スラリーを負極集電箔の上に塗布し、乾燥させた。これにより、負極集電箔の上に負極活物質層を形成した。そして、形成された負極活物質層の密度が1.2g/cmになるまで、ロールプレスによって、得られたシートをプレスし、負極シートを作製した。
ここで、正極活物質層に単位面積当たりに含まれる正極活物質と、負極活物質層に単位面積当たりに含まれる負極活物質との重量比が2:1となるように、正極集電箔と負極集電箔に塗布する混合スラリーの量をそれぞれ調整した。
評価電池の各サンプルの電解液は、それぞれ異なる。各サンプルの電解液に含まれる材料の相違は、表1に示される通りであり、特に言及されない点では、各サンプルの電解液は概ね同じである。
ここで、ここで用意された評価用電池のサンプル1〜14では、電解液の溶媒の組成、混合割合、および、添加剤の有無、種類、添加量が表1に示されているように異なる。表1および本明細書において、「G3」はトリグライムを意味する。また「G4」は、テトラグライムを意味する。また、リチウム塩には、LiFSIが用いられている。表1の混合モル比[LiFSI/グライム]の欄には、エーテル化合物に対するLiFSIのモル比が示されている。また、表1の添加剤欄に示されているように、添加剤には、上述したPS,PRS,DMSPSの他、ホウ素系添加剤としてリチウムビスオキサレート(LiBOB)、カーボネート系添加剤としてビニレンカーボネート(VC)が用いられている。表1および本明細書において、「LiBOB」は、リチウムビスオキサレートを意味する。また、「VC」は、ビニレンカーボネートを意味する。添加剤の添加量(wt%)の欄には、電解液中の添加剤の重量割合が示されている。同欄において「−」は、添加剤が添加されていないことを示している。
また、作製した評価電池は、いわゆるラミネート型の評価電池である。具体的には、上述のように作製された正極シートの正極活物質層と負極シートの負極活物質層を、セパレータを介して対向した電極体を作製する。作製された電極体を、電解液とともに袋状のラミネートに収容する。そして、当該ラミネートを封止することによって、ラミネート型の評価電池を作製した。なお、正極シートの正極集電箔と、負極シートの負極集電箔とには、充電や放電が可能なように導線がそれぞれ配線されている。
上記のように作製された評価電池の初回充電では、25℃に設定された恒温槽中にて、定電流方式とし、0.3Cの電流値で4.10Vまで充電を行った。その後、定電流方式にて0.3Cの電流値で3.00Vまで放電した。さらに初期特性を検査するため、定電流−定電圧方式にて4.10Vまで充電した。ここでは、0.2Cの定電流値で4.10Vまで充電し、その後、定電圧充電時の電流値が1/50Cになるまで定電圧にて充電を行い、満充電とした。かかる満充電の状態から定電流方式により、0.2Cの定電流で3.00Vまで放電した時の容量を初期容量とした。
上述したように初期容量が測定された評価用電池に対してサイクル試験を実施した。サイクル試験は、60℃に設定された恒温槽中にて実施した。ここで、サイクル試験では、4.10Vまで充電する充電と3.00Vまで放電する放電とを1サイクルとして200サイクル繰り返した。ここで、充電と放電は、それぞれ定電流方式とした。また、電流レートは2Cとした。200サイクル後に、上記の初期容量と同じ方法でサイクル後の容量を得た。つまり、200サイクル後に、0.2Cの定電流値で4.10Vまで充電し、その後、定電圧充電時の電流値が1/50Cになるまで定電圧にて充電を行い、満充電とした。かかる満充電の状態から定電流方式により、0.2Cの定電流で3.00Vまで放電した時の容量をサイクル後容量とした。得られたサイクル後の容量を初期容量で除することによって、表1のサイクル容量維持率[%]を得た。
ここで、上述したサンプル1では、電解質であるLiFSIと、トリグライム(G3)とがモル比1:1の割合で混合されて、溶媒和イオン液体が形成されている。溶媒としてのフッ素化モノエーテルにかかる溶媒和イオン液体を加えて、LiFSIの濃度が1.5mol/Lとなるように調整した。さらに添加剤PSの添加量は、1wt%とした。ここで、フッ素化モノエーテルには、HCFCFOCHCFCFH(FME2)を用いた。かかるサンプル1のサイクル容量維持率は、89%であった。
サンプル2では、サンプル1に対して、トリグライム(G3)に変えてテトラグライム(G4)が用いられている。サンプル2は、その余の点で、サンプル1と同じである。サンプル2のサイクル容量維持率は、85%であった。
サンプル3では、添加剤にPRSが用いられている。その余の点で、サンプル2と同じである。サンプル3のサイクル容量維持率は、84%であった。
サンプル4では、添加剤にDMSPSが用いられている。その余の点で、サンプル2と同じである。サンプル4のサイクル容量維持率は、88%であった。
サンプル5では、添加剤PSの添加量が0.6wt%とされている。その余の点で、サンプル2と同じである。サンプル5のサイクル容量維持率は、83%であった。
サンプル6では、溶媒和イオン液体のエーテル化合物G4の混合モル比[LiFSI/グライム]が0.9とされている。その余の点で、サンプル2と同じである。サンプル6のサイクル容量維持率は、85%であった。
サンプル7では、溶媒和イオン液体のエーテル化合物G4の混合モル比[LiFSI/グライム]が1.1とされている。その余の点で、サンプル2と同じである。サンプル7のサイクル容量維持率は、84%であった。
サンプル8では、溶媒和イオン液体のエーテル化合物にG3が用いられているが、添加剤が添加されていない。その余の点で、サンプル1と同じである。サンプル8のサイクル容量維持率は、75%であった。添加剤が添加されているサンプル1のサイクル容量維持率は89%であり、サンプル8に比べて格段に高い。これは、添加剤が添加されているためと考えられうる。
サンプル9では、溶媒和イオン液体のエーテル化合物にG4が用いられているが、添加剤が添加されていない。その余の点で、サンプル2〜4と同じである。サンプル9のサイクル容量維持率は、70%であった。添加剤が添加されているサンプル2〜4のサイクル容量維持率は84〜88%であり、サンプル9に比べて格段に高い。これは、添加剤が添加されているためと考えられうる。さらに、サンプル1,8との結果を合わせて考慮すると、溶媒和イオン液体のエーテル化合物に関わらず、添加剤PS,PRSあるいはDMSPSが十分に添加されている場合には、サイクル容量維持率[%]が向上している。
サンプル10では、ホウ素系の添加剤であるLiBOBが添加剤として用いられている。また、LiBOBの添加量は、0.3wt%であった。その余の点で、サンプル2と同じである。サンプル10のサイクル容量維持率は、72%であった。ここで、一般的なカーボネート溶媒の還元分解を抑えるには、LiBOBは、0.3wt%程度の添加量でも十分な効果が得られる。しかしながら、溶媒和イオン液体(グライム)の酸化分解を抑えられない。このようなことから、サンプル10のサイクル容量維持率は、72%程度に留まっていると考えられる。溶媒和イオン液体(グライム)の酸化分解を抑えるには、PSなど正極にも良く作用する添加剤を用いるのが好ましい。
サンプル11では、カーボネート系の添加剤であるVCが添加剤として用いられている。また、VCの添加量は、1.0wt%であった。その余の点で、サンプル2と同じである。サンプル11のサイクル容量維持率は、69%であった。つまり、VCが添加剤として用いられている場合には、サイクル容量維持率は、改善しない。
サンプル12では、添加剤PSの添加量が0.3wt%であった。その余の点で、サンプル2と同じである。サンプル12のサイクル容量維持率は、72%であった。サンプル2では、PSの添加量が少なく、PSが添加された効果が十分に得られていない。
サンプル13では、溶媒和イオン液体において、エーテル化合物G4に対するLiFSIの混合モル比が0.8である。その余の点で、サンプル2と同じである。サンプル13のサイクル容量維持率は、74%であった。サンプル13では、グライムに対するリチウム塩のモル比率が低い。この場合、リチウム塩と錯体を形成しない余剰なグライムが増加する。このため、サイクル中にグライムが分解し、容量維持率が低下しているものと推察される。
サンプル14では、溶媒和イオン液体において、エーテル化合物G4に対するLiFSIの混合モル比が1.2である。その余の点で、サンプル2と同じである。サンプル14では、グライムに対するリチウム塩のモル比率が高い。電解液を作製する工程において、フッ素化モノエーテルと混合した際、過剰な塩が析出した。このため、サンプル14では、サイクル容量維持率が測定されていない。
サンプル15では、添加剤としてPSに代えて、上述した構造式(A)でn=2である1,5−ペンタンスルトンを用いた。その余の点で、サンプル2と同じである。サンプル15では、サイクル容量維持率は、81%であり、サイクル容量維持率が80%以上と高く維持されている。ここでは、構造式(A)でn=2である添加剤が用いられているがこれに限定されない。このように硫黄含有化合物の添加剤としてはPS,PRS,DMSPSに限定されない。全てがサンプルとして例示されていないが、本発明者の知見によれば、構造式(A)および構造式(B)で、n=0〜2である添加剤が硫黄含有化合物の添加剤として採用されうる。
サンプル16では、硫黄含有化合物の添加剤としてPSが用いられており、添加量は1.5wt%であった。その余の点で、サンプル2と同じである。サンプル16のサイクル容量維持率は、83%であった。このように、硫黄含有化合物の添加剤の添加量は、1.5wt%程度でもよい。
サンプル17では、フッ素化モノエーテルとして、HCFOCHCFCFH(FME1)が用いられている。その余の点で、サンプル9と同じである。サンプル17のサイクル容量維持率は、68%であった。
サンプル18では、硫黄含有化合物の添加剤としてPSが用いられており、添加量は1.0wt%であった。その余の点で、サンプル17と同じである。別の見方では、サンプル18では、フッ素化モノエーテルとして、HCFOCHCFCFH(FME1)が用いられている。その余の点で、サンプル2と同じである。かかるサンプル18のサイクル容量維持率は、82%であった。
このように、フッ素化モノエーテルにHCFOCHCFCFH(FME1)が用いられている場合でも、硫黄含有化合物の添加剤が添加されていない場合にはサイクル容量維持率は高く維持されない(サンプル17)。これに対して、適当な量の硫黄含有化合物の添加剤が添加されていることによって、サイクル容量維持率は高く維持される(サンプル18)。フッ素化モノエーテルは、HCFOCHCFCFH(FME1)またはHCFCFOCHCFCFH(FME2)に限定されない。本発明者の知見によれば、フッ素化モノエーテルは、上記に例示されているように種々採用されうる。
このようにサンプル1〜7,15,16,18では、リチウムイオン二次電池のサイクル容量維持率[%]が高く維持されている。サンプル1〜7,15,16,18は一例であるが、リチウムイオン二次電池用の電解液は、フッ素化モノエーテルを溶媒とし、溶媒和イオン液体を含む電解液であって、上述した硫黄含有化合物A及び硫黄含有化合物Bのうち、少なくとも一種を含む添加剤として適当な量を含んでいるとよい。
ここで、硫黄含有化合物Aは、例えば、PS、DMSPSのように上述した構造式(A)で示される化合物であるとよい。
ここで、硫黄含有化合物Bは、例えば、PRSのように上述した構造式(B)で示される化合物であるとよい。
かかるリチウムイオン二次電池用の電解液によれば、電解液の耐酸化性が向上し、サイクル容量維持率[%]が向上することが期待できる。詳しくは、溶媒和イオン液体を含むフッ素化モノエーテルが溶媒として用いられ、リチウム塩の溶解性を高められたリチウムイオン二次電池用の電解液において、さらにサイクル容量維持率[%]が向上する。これにより、フッ素化モノエーテルが溶媒として用いられた電解液において、リチウム塩の溶解性が高く低抵抗であり、かつ、サイクル特性のよいリチウムイオン二次電池が提供されうる。
かかる観点において、リチウムイオン二次電池用の電解液は、フッ素化モノエーテルと、溶媒和イオン液体と、上記の硫黄含有化合物A及び硫黄含有化合物Bのうち少なくとも一種の硫黄含有化合物を含む添加剤とを含んでいるとよい。電解液中の硫黄含有化合物の添加量は、例えば、上述したサイクル容量維持率[%]を向上させるとの観点において、0.5wt%以上、好ましくは0.6wt%以上であるとよい。
また、電解液中の硫黄含有化合物の添加量は、例えば、抵抗が上昇するのを抑制するとの観点において1.5wt%以下、好ましくは1.0wt%以下であるとよい。
なお、リチウムイオン二次電池用の電解液の添加剤については、種々の公知の提案がある。リチウムイオン二次電池用の電解液には、かかる硫黄含有化合物以外にも、他の添加剤がさらに含まれていてもよい。
以上、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用の電解液について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられたリチウムイオン二次電池用の電解液の実施形態および実施例としての各サンプルなどは、本発明を限定しない。

Claims (1)

  1. フッ素化モノエーテルと、
    溶媒和イオン液体と、
    硫黄含有化合物A及び硫黄含有化合物Bのうち少なくとも一種の硫黄含有化合物を含む添加剤と
    を含み、
    前記硫黄含有化合物Aは、下記の構造式(A)で示された化合物であり、
    Figure 2019087454
    前記硫黄含有化合物Bは、下記の構造式(B)で示された化合物であり、
    Figure 2019087454
    前記構造式(A)と前記構造式(B)において、
    Xは、C,Si,B及びPの中から選択される元素であり、
    およびRは、それぞれ独立した水素、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基であり、
    nは、構造式(A)および(B)における括弧内のメチレン基(CH)の数を示しており、n=0〜2である、
    リチウムイオン二次電池用の電解液。
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