JP2019085473A - コートフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】付着した指脂の拭き取り易いコートフィルムを提供する。【解決手段】基材フィルム30と、基材フィルム30の一方の面側に設けられたコート層10とを備えたコートフィルム1であって、コート層10における基材フィルム30とは反対側の面のオレイン酸滑落角が、32°以下であるコートフィルム1。【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイに使用することができるコートフィルムに関するものである。
ディスプレイは、使用に伴って、その表面に種々の汚れが付着することがある。ディスプレイの表面が汚れた場合、外観が悪くなるとともに、表示される内容が見難くなってしまう。そのため、ディスプレイの表面に貼付されるフィルムまたはディスプレイの表層を構成するフィルムとして、汚れの付着を抑制する性能や、付着した汚れを容易に拭き取ることができる性能を有したコートフィルムが開発されている。
特許文献1には、そのようなコートフィルムの例として、透明基板と、ハードコート層と、所定のフッ素化合物を含有する硬化性樹脂組成物からなる反射防止層とがこの順に積層されてなる反射防止フィルムが開示されている。特許文献1の反射防止フィルムは、防汚染性に優れることを課題の1つとしている。当該反射防止フィルムでは、反射防止層を、所定のフッ素化合物を含有する硬化性樹脂組成物を用いて形成されたものとすることで、優れた防汚染性を達成しようとしている。
特開2004−294601号公報
特許文献1の実施例では、反射防止フィルムにおける反射防止層側の面に油性ペンで線を書き、当該線を容易に拭き取ることができるか否かによって、防汚染性の評価を行っている。ここで、当該油性ペンとしては、揮発性溶剤に染料を溶解させたインクを備える油性ペンが使用されている。そのため、反射防止フィルムに書かれた上記線は、インクから揮発性溶剤が揮発して残った染料からなるものであり、特許文献1の実施例では、当該染料を拭き取ることができるか否かが試験されていることとなる。
一方、ディスプレイの表面には指が触れることが多いため、当該表面には、上述のような染料が付着することよりも、指から生じた指脂が付着することの方が多い。特に、ディスプレイがタッチパネルである場合には、そのような指脂が非常に高い頻度で付着することとなる。しかしながら、特許文献1に開示される反射防止フィルムは、指脂の拭き取りを容易に行うことができるものではなかった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、付着した指脂の拭き取り易いコートフィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面側に設けられたコート層とを備えたコートフィルムであって、前記コート層における前記基材フィルムとは反対側の面のオレイン酸滑落角が、32°以下であることを特徴とするコートフィルムを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係るコートフィルムは、コート層における基材フィルムとは反対側の面のオレイン酸滑落角が上記範囲であることで、当該面に指脂がなじみにくいものとなり、当該面に付着した指脂が拭き取り易いものとなる。
上記発明(発明1)において、前記コートフィルムのトータルヘーズ値が、3%以上、60%以下であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記コート層が、微粒子を含有するコーティング組成物を硬化させてなることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明3)において、前記微粒子の平均粒径が、0.5μm以上、8μm以下であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明3,4)において、前記微粒子が、有機微粒子であることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明3〜5)において、前記コーティング組成物が、前記微粒子とともに、平均粒径が5nm以上、100nm以下であり、屈折率が1.6以上、3.0以下であるナノ粒子を含有することが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1〜6)において、前記コート層が、前記基材フィルムに対して近位に位置する第1のコート層と、前記基材フィルムに対して遠位に位置し、前記第1のコート層よりも屈折率の低い第2のコート層とを含むことが好ましい(発明7)。
本発明に係るコートフィルムは、付着した指脂が拭き取り易い。
本発明の第1の実施形態に係るコートフィルムの断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るコートフィルムの断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1には、第1の実施形態に係るコートフィルム1が開示されている。当該コートフィルム1は、基材フィルム30と、基材フィルム30の一方の面に形成されたコート層10とからなる。
また、図2には、第2の実施形態に係るコートフィルム2が開示されている。当該コートフィルム2は、基材フィルム30と、基材フィルム30の一方の面に形成されたコート層20とからなる。また、コート層20は、基材フィルム30に対して近位に位置する第1のコート層21と、基材フィルム30に対して遠位に位置し、第1のコート層21よりも屈折率の低い第2のコート層22とを含む。
1.物性
本実施形態に係るコートフィルム1,2では、コート層10,20における基材フィルム30とは反対側の面のオレイン酸滑落角が、32°以下であり、28°以下であることが好ましく、特に25°以下であることが好ましい。当該オレイン酸滑落角が32°以下であることで、上記面に指が触れ、指脂が付着した場合であっても、当該面に指脂がなじみにくいものとなり、当該面から指脂を拭き取り易いものとなる。一方、上記オレイン酸滑落角が32°を超えると、付着した指脂が急激に拭き取り難くなる。このように付着した指脂が拭き取り難いと、コートフィルムを使用したディスプレイの外観が悪くなるとともに、表示画像が見難くなってしまう。
なお、指脂は、水分、脂肪酸、タンパク質、アミノ酸、塩分等、性質の異なる様々な成分を含有するものである。そのため、指脂の拭き取りは、前述した特許文献1にて試験されているような油性ペン由来の染料を拭き取る場合と比較して、非常に困難なものとなる。しかしながら、本実施形態に係るコートフィルム1,2によれば、上述の通り、付着した指脂を容易に拭き取ることができる。また、本実施形態に係るコートフィルム1,2によれば、指脂だけではなく、油性ペンに由来するような染料や顔料も容易に拭き取ることができる。
上述のオレイン酸滑落角の下限値については特に限定されず、例えば、0°超であることが好ましく、特に5°以上であることが好ましく、さらには10°以上であることが好ましい。
ここで、上述のオレイン酸滑落角とは、本実施形態に係るコートフィルム1,2を、コート層10,20における基材フィルム30とは反対側の面が上になるように、平らで且つ水平な台の上に置いた後、上記面にオレイン酸の液滴を静置させ、続いて、上記台を徐々に傾けていき、上記液滴が滑落を始めたときの上記面と水平面とがなす角度のうち、小さい方の角度をいう。上記オレイン酸滑落角の具体的な測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
また、本実施形態に係るコートフィルム1,2では、コート層10,20における基材フィルム30とは反対側の面のオレイン酸接触角が、60°以上であることが好ましく、特に65°以上であることが好ましく、さらには68°以上であることが好ましい。また、当該オレイン酸接触角は、120°以下であることが好ましく、特に100°以下であることが好ましく、さらには80°以下であることが好ましい。オレイン酸接触角が上記範囲であることで、オレイン酸滑落角が上述した範囲を満たし易くなる。上記オレイン酸接触角の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
本実施形態に係るコートフィルム1,2は、トータルヘーズ値が、3%以上であることが好ましく、特に4%以上であることが好ましく、さらには5%以上であることが好ましい。また、上記トータルヘーズ値は、60%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましく、特に34%以下であることが好ましく、さらには23%以下であることが好ましい。トータルヘーズ値が3%以上であることで、コートフィルム1,2をディスプレイに使用した際における、表示画面のギラツキの発生を効果的に抑制することができる。また、トータルヘーズ値が60%以下であることで、コートフィルム1,2をディスプレイに使用した際における、ディスプレイの視認性を良好なものとすることができる。上記トータルヘーズ値の測定方法は、後述する試験例に記載の通りである。
本実施形態に係るコートフィルム1,2では、コート層10,20における基材フィルム30とは反対側の面における反射率が、10%以下であることが好ましく、特に6%以下であることが好ましく、さらには4%以下であることが好ましい。上記反射率が10%以下であることで、コートフィルム1,2が使用されたディスプレイにおいて、外光の反射を低減することができる。なお、このような低い反射率は、第1のコート層21よりも屈折率の低い第2のコート層22を備えるコートフィルム2において、より容易に達成することができる。上記反射率の下限値については、特に限定されず、例えば0%以上であることが好ましく、特に1%以上であることが好ましい。上記反射率の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
2.各部材
(1)第1の実施形態に係るコートフィルムのコート層
第1の実施形態に係るコートフィルム1のコート層10は、オレイン酸滑落角が前述した範囲となる限り、いかなる材料から形成されてもよい。前述したオレイン酸滑落角を達成し易いという観点からは、コート層10が、硬化性成分と、微粒子(後述するナノ粒子および屈折率調整用微粒子を除く。)と、所望により所定のナノ粒子とを含有するコーティング組成物C1を硬化させることにより形成することが好ましい。
(1−1)硬化性成分
硬化性成分は、活性エネルギー線や熱等のトリガーによって硬化する成分であり、例えば、活性エネルギー線硬化性成分、熱硬化性成分等が挙げられる。本実施形態では、形成されるコート層10の硬度や、基材フィルム30の耐熱性等の観点から、活性エネルギー線硬化性成分を使用することが好ましい。
活性エネルギー線硬化性成分としては、活性エネルギー線の照射により硬化して所定の硬度を発揮し、かつ微粒子との関係で前述した物性を達成できるものが好ましい。
具体的な活性エネルギー線硬化性成分としては、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー、(メタ)アクリレート系プレポリマー、活性エネルギー線硬化性ポリマー等が挙げられるが、中でも多官能性(メタ)アクリレート系モノマーおよび/または(メタ)アクリレート系プレポリマーであることが好ましく、多官能性(メタ)アクリレート系モノマーであることがより好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系モノマーおよび(メタ)アクリレート系プレポリマーは、それぞれ単独で使用してもよいし、両者を併用してもよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味する。他の類似用語も同様である。
多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系等のプレポリマーが挙げられる。
ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。
ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリオールアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
以上のプレポリマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、活性エネルギー線硬化性成分として、有機無機ハイブリッド樹脂を使用することも好ましい。有機無機ハイブリッド樹脂としては、シリカなどの無機微粒子に、シランカップリング剤などを介して、重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる物質が好ましく挙げられる。なお、有機無機ハイブリッド樹脂が含有する無機微粒子は、後述する微粒子およびナノ粒子に該当するものではなく、バインダーとしての機能を有するもので、形成されるコート層10の硬度を向上させることができる。
(1−2)微粒子
微粒子は、前述したオレイン酸滑落角を達成できる限り、有機微粒子であってもよく、または無機微粒子であってもよい。前述したオレイン酸滑落角を達成し易いという観点から、有機微粒子を使用することが好ましい。
上記有機微粒子の例としては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂等を材料とする微粒子などが挙げられる。これらの中でも、有機微粒子としては、アクリル系樹脂を材料とする微粒子が好ましい。上記アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸メチルの単独重合体や、メタクリル酸メチルと酢酸ビニル、スチレン、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の単量体との共重合体などからなるものが挙げられる。
上記無機微粒子の例としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等を材料とする微粒子が挙げられる。
以上説明した微粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、コート層10を形成するためのコーティング組成物C1は、不定形シリカ微粒子を含有しないことが好ましい。コーティング組成物C1が不定形シリカ微粒子を含有しないことにより、当該コーティング組成物C1を使用して、前述したオレイン酸滑落角を達成するコート層10を形成し易いものとなる。
微粒子の形状は、前述したオレイン酸滑落角を達成できる限り、球状等の定形であってもよく、または形状が特定されない不定形であってもよい。しかしながら、前述したオレイン酸滑落角を達成し易いという観点から、微粒子の形状は、球状であることが好ましく、特に真球状であることが好ましい。
微粒子の平均粒径は、0.5μm以上であることが好ましく、特に0.8μm以上であることが好ましく、さらには1μm以上であることが好ましい。また、当該平均粒径は、8μm以下であることが好ましく、特に6μm以下であることが好ましく、さらには3μm以下であることが好ましい。微粒子の平均粒径が上述した範囲であることで、コートフィルム1が前述したオレイン酸滑落角を達成し易いものとなる。また、上記微粒子の、下記式(1)
粒径の変動係数(CV値)=(標準偏差粒径/平均粒径)×100 …(1)
で示される粒径の変動係数(CV値)は、10〜80%であることが好ましく、特に20〜60%であることが好ましい。上記微粒子のCV値が上記の範囲にあることで、コートフィルム1が前述したオレイン酸滑落角をより達成し易いものとなる。なお、本明細書における微粒子の平均粒径および粒径の変動係数(CV値)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用い、分散媒であるメチルエチルケトンにより調製した5質量%濃度の分散液をサンプルとして使用し、測定した値とする。
コーティング組成物C1中における上記微粒子の含有量は硬化性成分100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、特に3質量部以上であることが好ましく、さらには5質量部以上であることが好ましい。また、上記微粒子の含有量は、硬化性成分100質量部に対して、60質量部以下であることが好ましく、特に55質量部以下であることが好ましく、さらには50質量部以下であることが好ましい。上記微粒子の含有量が1質量部以上であることにより、コートフィルム1が前述したオレイン酸滑落角を達成し易いものとなる。また、上記微粒子の含有量が60質量部以下であることにより、コーティング組成物C1の塗工性が良好になり、均一な膜厚のコート層10を形成することが容易となる。
(1−3)ナノ粒子
コーティング組成物C1は、前述した微粒子とともに、当該微粒子と比較して平均粒径が小さいナノ粒子を含有してもよい。当該ナノ粒子を含有するコーティング組成物C1を用いてコート層10を形成することで、前述したトータルヘーズ値を有するコートフィルム1を形成し易いものとなる。特に、ナノ粒子は、微粒子と微粒子との間に存在するものとなるため、外部ヘーズの上昇を抑えながら、内部ヘーズを上昇させることができ、それにより、トータルヘーズ値を調整し易くなる。
上記ナノ粒子の平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、特に70nm以下であることが好ましく、さらには50nm以下であることが好ましい。ナノ粒子の平均粒径が100nm以下であることで、ナノ粒子が前述した微粒子に対して十分に小さいものとなり、コート層10中にナノ粒子を効果的に充填できるものとなる。なお、ナノ粒子の平均粒径の下限値については特に限定されないものの、例えば、5nm以上であることが好ましく、特に10nm以上であることが好ましく、さらには15nm以上であることが好ましい。また、上記ナノ粒子の、下記式(1)
粒径の変動係数(CV値)=(標準偏差粒径/平均粒径)×100 …(1)
で示される粒径の変動係数(CV値)は、1〜100%であることが好ましく、特に5〜80%であることが好ましい。上記微粒子のCV値が上記の範囲にあることで、コートフィルム1が前述したオレイン酸滑落角をより達成し易いものとなる。本明細書におけるナノ粒子の平均粒径および粒径の変動係数(CV値)は、動的光散乱法により求めたものとする。
上記ナノ粒子の屈折率は、1.6以上であることが好ましく、特に1.7以上であることが好ましく、さらには1.8以上であることが好ましい。また、上記ナノ粒子の屈折率は、3.0以下であることが好ましく、特に2.8以下であることが好ましく、さらには2.7以下であることが好ましい。ナノ粒子の屈折率が上記範囲であることで、コート層10における内部ヘーズを所望の範囲に調整し易くなり、前述したトータルヘーズ値を有するコートフィルム1をより形成し易いものとなる。
上記ナノ粒子は、前述した微粒子と比較して平均粒径が小さい粒子であれば特に限定されないものの、例えば、酸化ジルコニウム粒子、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化アンチモン粒子といった金属酸化物粒子や、金粒子、銀粒子等が挙げられる。これらの粒子は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、酸化ジルコニウム粒子または酸化チタン粒子を使用することが好ましい。
コーティング組成物C1中における上記ナノ粒子の含有量は、硬化性成分100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、特に2質量部以上であることが好ましく、さらには3質量部以上であることが好ましい。また、上記ナノ粒子の含有量は、硬化性成分100質量部に対して、60質量部以下であることが好ましく、特に50質量部以下であることが好ましく、さらには40質量部以下であることが好ましい。上記ナノ粒子の含有量が上記範囲であることで、コートフィルム1のトータルヘーズ値を前述した範囲に調整し易くなる。
(1−4)その他の成分
本実施形態におけるコーティング組成物C1は、上記の成分以外に、各種添加剤を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、分散剤、表面調整剤、レベリング剤、光重合開始剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、着色剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、消泡剤、有機系充填材、濡れ性改良剤、塗面改良剤等が挙げられる。
特に、コーティング組成物C1は、活性エネルギー線の照射による、硬化性成分の架橋反応を効率よく進行させる観点から、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、コーティング組成物C1は、前述した微粒子やナノ粒子の分散性を良好にする観点から、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、例えば、分子内にカルボキシ基、水酸基、スルホ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アミド基、第4級アンモニウム塩基、ピリジウム塩基、スルホニウム塩基およびホスホニウム塩基からなる群から選ばれる1種または2種以上の極性基を有する化合物が好ましく、特に、カルボキシ基および水酸基の1種または2種以上の極性基を有する化合物が好ましい。上記の極性基は、分子内に1つ導入されていてもよく、複数導入されていてもよい。分散剤としての化合物が複数の極性基を有する場合、当該化合物の基本骨格は、エステル連鎖、ビニル連鎖、アクリル連鎖、エーテル連鎖、ウレタン連鎖等で構成されるものが好ましい。具体的には、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびアルキド樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂およびポリエステル樹脂が好ましく、さらにはアクリル樹脂が好ましい。上記極性基は、分子中にランダムに配置されていてもよいが、側鎖に配置されていることが好ましい。したがって、分散剤としての化合物は、側鎖にカルボキシ基および/または水酸基を有するアクリル樹脂が好ましい。なお、分散剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、コーティング組成物C1は、スジ状の欠点やムラ等がなく、均一な膜厚を有するコート層10を形成し易いという観点から、表面調整剤を含有することが好ましい。表面調整剤としては、例えば、シリコーン系表面調整剤、フッ素系表面調整剤、アクリル系表面調整剤、ビニル系表面調整剤等が挙げられ、中でも、レベリング性や他の成分との相溶性の観点から、シリコーン系表面調整剤が好ましい。シリコーン系表面調整剤は、ポリジメチルシロキサンまたは変性ポリジメチルシロキサンであることが好ましく、ポリジメチルシロキサンであることが特に好ましい。なお、表面調整剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(1−5)コート層の物性等
コート層10の屈折率は、通常1.4以上であり、好ましくは1.45以上であり、特に好ましくは1.5以上である。また、当該屈折率は、通常1.8以下であり、好ましくは1.7以下であり、特に好ましくは1.6以下である。コート層10の屈折率が上記の範囲であることで、コートフィルム1において、前述した好ましい反射率の値を容易に達成することができる。
また、コート層10の厚さは、1μm以上であることが好ましく、特に2μm以上であることが好ましく、さらには3μm以上であることが好ましい。また、コート層10の厚さは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、特に8μm以下であることが好ましく、さらには6μm以下であることが好ましい。コート層10の厚さが1μm以上であることで、コート層10は所望の硬度を有し易くなるとともに、前述したオレイン酸滑落角を達成し易くなり、コートフィルム1が良好な指脂拭き取り性を発揮し易いものとなる。また、コート層10の厚さが30μm以下であることで、コートフィルム1の取り扱い性がより優れたものとなる。
(2)第2の実施形態に係るコートフィルムの第1のコート層
第2の実施形態におけるコートフィルム2は、第1のコート層21および第2のコート層22を備えることで、前述したオレイン酸滑落角を達成し、指脂拭き取り性に優れたものとなる。第1のコート層21は、コート層20における基材フィルム30とは反対側の面のオレイン酸滑落角が前述した範囲となる限り、いかなる材料から形成されてもよい。前述したオレイン酸滑落角を達成し易いという観点からは、第1のコート層21は、第1の実施形態におけるコートフィルム1のコート層10と同様に、前述したコーティング組成物C1を硬化させることにより形成することが好ましい。
第1のコート層21を形成するためのコーティング組成物C1に含有される硬化性成分、微粒子、ナノ粒子、およびその他の成分は、それぞれ、コート層10を形成するためのコーティング組成物C1に含有される各成分として前述したものを使用することができる。また、コーティング組成物C1中における微粒子およびナノ粒子のそれぞれの含有量も、コート層10を形成するためのコーティング組成物C1について前述した含有量とすることができる。
本実施形態に係るコートフィルム2において、第1のコート層21の屈折率は、通常1.4以上であり、好ましくは1.45以上であり、特に好ましくは1.5以上である。また、当該屈折率は、通常1.8以下であり、好ましくは1.7以下であり、特に好ましくは1.6以下である。第1のコート層21の屈折率が上記の範囲であることで、コートフィルム2において、前述した好ましい反射率の値を容易に達成することができる。
また、第2の実施形態に係るコートフィルム2において、第1のコート層21の厚さは、1μm以上であることが好ましく、特に2μm以上であることが好ましく、さらには3μm以上であることが好ましい。また、第1のコート層21の厚さは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、特に8μm以下であることが好ましく、さらには6μm以下であることが好ましい。第1のコート層21の厚さが1μm以上であることで、第1のコート層21は所望の硬度を有し易くなるとともに、前述したオレイン酸滑落角を達成し易くなり、コートフィルム2が良好な指脂拭き取り性を発揮し易いものとなる。また、第1のコート層21の厚さが30μm以下であることで、コートフィルム2の取り扱い性がより優れたものとなる。
(3)第2の実施形態に係るコートフィルムの第2のコート層
第2の実施形態に係るコートフィルム2は、第1のコート層21と、当該第2のコート層22よりも屈折率の小さい第2のコート層22とを備えることにより、コートフィルム2が使用されたディスプレイにおいて、外光の反射を効果的に低減することができる。第2のコート層22は、コート層20の表面におけるオレイン酸滑落角が前述した範囲となるとともに、第2のコート層22の屈折率が第1のコート層21の屈折率よりも小さいものとなる限り、いかなる材料から形成されてもよい。特に、前述したオレイン酸滑落角を達成し易いとともに、第2のコート層22の屈折率を第1のコート層21の屈折率よりも小さいものとし易いという観点から、第2のコート層22は、活性エネルギー線硬化型化合物および所望により屈折率調整用微粒子を含有するコーティング組成物C2を硬化させることにより形成することが好ましい。
(3−1)活性エネルギー線硬化型化合物
上記活性エネルギー線硬化型化合物としては、例えば光重合性プレポリマーおよび光重合性モノマーを挙げることができる。
上記光重合性プレポリマーとしては、ラジカル重合型とカチオン重合型とがあり、ラジカル重合型の光重合性プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが挙げられる。
ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールとの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得たものであってよい。
エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得たものであってよい。
ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得たものであってよい。
ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得たものであってよい。
一方、カチオン重合型の光重合性プレポリマーとしては、エポキシ系樹脂を使用することが好ましい。このエポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノール樹脂やノボラック樹脂などの多価フェノール類にエピクロルヒドリンなどでエポキシ化した化合物、直鎖状オレフィン化合物や環状オレフィン化合物を過酸化物などで酸化して得られた化合物などが挙げられる。
また、光重合性モノマーとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
以上説明した活性エネルギー線硬化型化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(3−2)屈折率調整用微粒子
コーティング組成物C2が屈折率調整用微粒子を含有することで、当該コーティング組成物C2を用いて、所望の屈折率を有する第2のコート層22を形成し易いものとなる。屈折率調整用微粒子としては、所望の屈折率を有する第2のコート層22を形成できるものであれば限定されないものの、所望の屈折率を有する第2のコート層22を形成し易いという観点から、シリカゾル、多孔質シリカ微粒子、中空シリカ微粒子などを使用することが好ましい。
上記シリカゾルとしては、シリカ微粒子を、アルコール系やセロソルブ系の有機溶剤中にコロイド状態で懸濁してなるコロイダルシリカを好適に用いることができる。ここで、当該シリカ微粒子の平均粒径は、5nm以上であることが好ましく、特に10nm以上であることが好ましい。また、当該平均粒径は、200nm以下であることが好ましく、特に100nm以下であることが好ましい。また、上記シリカ微粒子の、下記式(1)
粒径の変動係数(CV値)=(標準偏差粒径/平均粒径)×100 …(1)
で示される粒径の変動係数(CV値)は、10〜70%であることが好ましく、特に20〜60%であることが好ましい。上記微粒子のCV値が上記の範囲にあることで、コートフィルム1が前述したオレイン酸滑落角をより達成し易いものとなる。上記シリカ微粒子の平均粒径および粒径の変動係数(CV値)は動的光散乱法により求めたものとする。
中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子は、微粒子内に微細な空隙を、開口した状態または閉口した状態で有したものである。これらの微粒子は、上記空隙内に、気体(例えば、屈折率1の空気)が充填されたものとなるため、微粒子の屈折率が比較的低いものとなっている。そのため、これらの微粒子を使用することで、第2のコート層22の透明性を損なうことなく、第2のコート層22の屈折率を効果的に低下させることができる。
上記中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子の平均粒径は、5nm以上であることが好ましく、特に10nm以上であることが好ましい。また、上記中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子の平均粒径は、300nm以下であることが好ましく、特に200nm以下であることが好ましく、さらには100nm以下であることが好ましい。また、上記シリカ微粒子の、下記式(1)
粒径の変動係数(CV値)=(標準偏差粒径/平均粒径)×100 …(1)
で示される粒径の変動係数(CV値)は、1〜100%であることが好ましく、特に5〜80%であることが好ましい。上記微粒子のCV値が上記の範囲にあることで、コートフィルム1が前述したオレイン酸滑落角をより達成し易いものとなる。なお、中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子の平均粒径および粒径の変動係数(CV値)は動的光散乱法により求めたものとする。また、上記中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子が有する空隙の平均孔径は、10nm以上、100nm以下であることが好ましい。中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子は、独立気泡を有するものであってもよく、連続気泡を有するものであってもよく、または、独立気泡および連続気泡の両方を有するものであってもよい。
コーティング組成物C2中における屈折率調整用微粒子の含有量は、上記活性エネルギー線硬化型化合物100質量部に対して、2質量部以上であることが好ましく、特に5質量部以上であることが好ましく、さらには10質量部以上であることが好ましい。また、上記含有量は、上記活性エネルギー線硬化型化合物100質量部に対して、150質量部以下であることが好ましく、特に125質量部以下であることが好ましく、さらには100質量部以下であることが好ましい。屈折率調整用微粒子の含有量が上記範囲であることにより、所望の屈折率を有する第2のコート層22を形成し易いものとなる。
(3−3)その他の成分
コーティング組成物C2は、上記の成分以外に、光重合開始剤等の添加剤を含有してもよい。当該光重合開始剤としては、第1の実施形態に係るコートフィルム1におけるコート層10を形成するためのコーティング組成物C1に含有させてもよい光重合開始剤として前述したものを使用することができる。
(3−4)第2のコート層の物性等
本実施形態に係るコートフィルム2において、第2のコート層22の屈折率は、1.2以上であることが好ましく、特に1.25以上であることが好ましく、さらには1.3以上であることが好ましい。また、上記屈折率は、1.6以下であることが好ましく、特に1.5以下であることが好ましく、さらには1.45以下であることが好ましい。第2のコート層22の屈折率が上記範囲であることで、第1のコート層21よりも屈折率が小さいことが明確となり、コートフィルム2が使用されたディスプレイにおいて、外光の反射を効果的に低減することができる。
また、第2の実施形態に係るコートフィルム2において、第2のコート層22の厚さは、0.03μm以上であることが好ましく、特に0.05μm以上であることが好ましく、さらには0.1μm以上であることが好ましい。また、第2のコート層22の厚さは、1μm以下であることが好ましく、特に0.75μm以下であることが好ましく、さらには0.5μm以下であることが好ましい。第2のコート層22の厚さが上記範囲であることで、コートフィルム2が使用されたディスプレイにおいて、外光の反射を効果的に低減することができる。
(4)基材フィルム
基材フィルム30としては、特に限定されないものの、所定の透明性を有する樹脂フィルムを使用することが好ましい。このような樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリウレタン樹脂フィルム、ノルボルネン系重合体フィルム、環状オレフィン系重合体フィルム、環状共役ジエン系重合体フィルム、ビニル脂環式炭化水素重合体フィルム等の樹脂フィルムまたはそれらの積層フィルムが挙げられる。中でも、機械的強度等の面から、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ノルボルネン系重合体フィルム等が好ましい。
また、上記基材フィルム30においては、その表面に設けられる層(コート層10、第1のコート層21、後述する粘着剤層等)との密着性を向上させる目的で、所望により片面または両面に、プライマー処理、酸化法、凹凸化法等により表面処理を施すことができる。酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理法は基材フィルム30の種類に応じて適宜選ばれるが、一般には密着性向上の効果および操作性などの面から、コロナ放電処理法が好ましく用いられる。
基材フィルム30の厚さは、15μm以上であることが好ましく、特に30μm以上であることが好ましい。また、基材フィルム30の厚さは、300μm以下であることが好ましく、特に200μm以下であることが好ましい。
(5)その他の構成
本実施形態に係るコートフィルム1,2は、基材フィルム30におけるコート層10,20とは反対の面側に粘着剤層を備えてもよい。当該粘着剤層を構成する粘着剤としては特に限定されず、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤など公知の粘着剤を使用することができ、所定の透明性を有する粘着剤を使用することが好ましい。
また、本実施形態に係るコートフィルム1,2が上述した粘着剤層を備える場合には、本実施形態に係るコートフィルム1,2は、当該粘着剤層における基材フィルム30とは反対側の面に剥離シートが積層されてもよい。当該剥離シートは、その剥離面(粘着剤層と接する面)において所望の剥離性を有するものであれば特に限定されず、樹脂フィルムの片面が剥離剤によって剥離処理されたものなどの公知の剥離フィルムを使用することができる。
3.コートフィルムの製造方法
第1の実施形態に係るコートフィルム1の製造方法は特に制限されず、例えば、前述したコーティング組成物C1と、所望により溶剤とを含有する塗工液を基材フィルム30に対して塗布し、硬化させてコート層10を形成することにより製造することができる。
上記溶剤は、塗工性の改良、粘度調整、固形分濃度の調整等のために使用することができ、硬化性成分等が溶解するものであれば、特に限定なく使用できる。
上記溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソロブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソロブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソロブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類などが挙げられる。
コーティング組成物C1の塗工液の塗布は、常法によって行えばよく、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法によって行えばよい。コーティング組成物の塗工液を塗布したら、塗膜を40〜120℃で30秒〜5分程度乾燥させることが好ましい。
コーティング組成物C1のようにコーティング組成物が活性エネルギー線硬化性の場合、コーティング組成物の硬化は、窒素雰囲気下において、コーティング組成物の塗膜に対して紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射することによって行う。紫外線照射は、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプ等によって行うことができ、紫外線の照射量は、照度50〜1000mW/cm、光量50〜1000mJ/cm程度が好ましい。一方、電子線照射は、電子線加速器等によって行うことができ、電子線の照射量は、10〜1000krad程度が好ましい。
第2の実施形態に係るコートフィルム2の製造方法は特に制限されないものの、例えば、基材フィルム30の片面側に第1のコート層21を形成した後、第1のコート層21における基材フィルム30とは反対の面側に第2のコート層22を形成することが好ましい。この場合、前述したコート層10と同様に、基材フィルム30上に第1のコート層21を形成した後、第1のコート層21における基材フィルム30とは反対側の面に対して、例えば、前述したコーティング組成物C2と、所望により溶剤とを含有する塗工液を塗布し、硬化させることで、第2のコート層22を形成する。
コーティング組成物C2の塗工液を調製するための溶剤は、コーティング組成物C1の塗工液を調製するための溶剤として前述したものを使用することができる。また、コーティング組成物C2の塗工液の塗布方法、および得られた塗膜の硬化方法は、それぞれ、コーティング組成物C1に係る塗布方法および硬化方法と同様の方法とすることができる。
4.コートフィルムの使用方法
本実施形態に係るコートフィルム1,2は、ディスプレイに使用することができる。特に、コートフィルム1,2は、ディスプレイの表面に貼付することができる。この場合、コートフィルム1,2は前述した粘着剤層を備えたものであり、当該粘着剤層における基材フィルム30とは反対側の面をディスプレイの面に貼付することが好ましい。また、コートフィルム1,2は、ディスプレイの表層とすることができる。この場合、コートフィルム1,2は、そのコート層10,20側の面がディスプレイの表面となるように、ディスプレイに組み込まれる。
本実施形態に係るコートフィルム1,2は、コート層10,20における基材フィルム30とは反対側の面のオレイン酸滑落角が前述した範囲であることで、当該面に指脂がなじみにくいものとなり、当該面に付着した指脂が拭き取り易いものとなる。これにより、指脂によってディスプレイの外観が悪化することを抑制できるとともに、優れた視認性を達成することができる。
また、本実施形態に係るコートフィルム1,2は、上述の通り優れた指脂の拭き取り性を達成できるものであるため、コートフィルム1,2は、指が触れることが非常に多いタッチパネルに使用することが好適である。当該タッチパネルは、主として指で操作することを前提としたタッチパネルであってもよく、主としてタッチペンで操作することを前提としたタッチパネルであってもよい。また、上記タッチパネルの方式は、特に限定されず、例えば、静電容量方式、感圧式、電磁誘導式、超音波方式、抵抗膜方式等であってよい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、コートフィルム1における基材フィルム30とコート層10との間には、他の層が介在してもよく、また、コートフィルム2における、基材フィルム30と第1のコート層21との間や、第1のコート層21と第2のコート層22との間には、他の層が介在してもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)コーティング組成物C1の調製
硬化性成分としての製品名「オプスターZ7530」(荒川化学工業社製,有機無機ハイブリッド樹脂)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、微粒子としての製品名「テクポリマーXX−27LA」(積水化成品工業社製,アクリル系微粒子,平均粒径1.5μm,形状:球形)12質量部と、分散剤としての製品名「フローレンG700」(共栄社製)0.2質量部と、表面調整剤としての製品名「FS−7025」(フロロテクノロジー社製)0.15質量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテル中で混合することで、第1のコート層を形成するための、固形分40質量%のコーティング組成物C1の塗工液を調製した。
(2)コーティング組成物C2の調製
活性エネルギー線硬化型化合物としての製品名「ビームセット575CB」(荒川化学工業社製,多官能アクリレート系UV・EB硬化性樹脂)100質量部と、屈折率調整用微粒子としての製品名「スルーリア4320」(日揮触媒化成社製,中空シリカ微粒子,平均粒径:60nm)75質量部と、光重合開始剤としての製品名「OMNIRAD 907」(BASF社製)3質量部と、表面調整剤としての製品名「FS−7025」(フロロテクノロジー社製)10質量部とを、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンとの混合溶媒(混合比1:1)中で混合することで、第2のコート層を形成するための、固形分5質量%のコーティング組成物C2の塗工液を調製した。
(3)第1のコート層の形成
基材フィルムとしてのトリアセチルセルロースフィルム(TACBRIGHT社製,製品名「TACPHANP980RP」,厚さ:80μm)の片面に、上記工程(1)で得られたコーティング組成物C1の塗工液を塗工し、70℃で1分間乾燥させた。
次いで、窒素雰囲気下、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製,製品名「アイグランテージECS−401GX型」)により下記の条件で紫外線を照射して、第1のコート層を形成した。これにより、基材フィルムと厚さ3.5μmの第1のコート層とからなる積層体を得た。
[紫外線照射条件]
・光源:高圧水銀灯
・ランプ電力:2kW
・コンベアスピード:4.23m/min
・照度:240mW/cm
・光量:307mJ/cm
(4)第2のコート層の形成
上記工程(3)にて得られた積層体における第1のコート層側の面上に、上記工程(2)で得られたコーティング組成物C2の塗工液を塗工し、70℃で1分間乾燥させた。
次いで、窒素雰囲気下、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製,製品名「アイグランテージECS−401GX型」)により上記工程(3)と同じ紫外線照射条件で紫外線を照射して、厚さ100nmの第2のコート層を形成した。これにより、基材フィルムと第1のコート層と第2のコート層とがこの順に積層されてなるコートフィルムを得た。
〔実施例2〜9,比較例1〜3〕
コーティング組成物C1の組成を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にしてコートフィルムを製造した。
〔実施例10〕
基材フィルムとしてのトリアセチルセルロースフィルム(TACBRIGHT社製,製品名「TACPHANP980RP」,厚さ:80μm)の片面に、実施例1の工程(1)と同様にして得られたコーティング組成物C1の塗工液を塗工し、70℃で1分間乾燥させた。
次いで、窒素雰囲気下、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製,製品名「アイグランテージECS−401GX型」)により実施例1の工程(3)と同じ紫外線照射条件で紫外線を照射して、厚さ3.5μmのコート層を形成した。これにより、基材フィルムと単層のコート層とからなるコートフィルムを得た。
〔実施例11〜14,比較例4〜6〕
コーティング組成物C1の組成を表1に示すように変更する以外、実施例10と同様にしてコートフィルムを製造した。
なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
硬化性成分A1:製品名「オプスターZ7530」(荒川化学工業社製,有機無機ハイブリッド樹脂)
硬化性成分A2:製品名「HCA−150Dクリア」(トクシキ社製)
微粒子:製品名「テクポリマーXX−27LA」(積水化成品工業社製,平均粒径1.5μm,形状:球形)
ナノ粒子:製品名「NANON5 ZR−020」(ソーラー社製,酸化ジルコニウム粒子,平均粒径10〜20nm,屈折率約1.9,形状:球形)
分散剤:製品名「フローレンG700」(共栄社製)
表面調整剤:製品名「FS−7025」(フロロテクノロジー社製)
不定形シリカ微粒子:製品名「HCA−150H」(トクシキ社製,不定形シリカ微粒子(平均粒径1.5μm)を含有する硬化剤,硬化剤と不定形シリカ微粒子との配合比は7:1)
〔試験例1〕(屈折率の測定)
実施例および比較例において調製した、コーティング組成物C1の塗工液、コーティング組成物C2の塗工液およびコーティング組成物C1’の塗工液のそれぞれを、片面に易接着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製,製品名「コスモシャインA4100」,厚さ:50μm)の易接着層とは反対側の面に塗工し、実施例および比較例と同一の条件で、各コート層を形成した。
得られた各コート層の屈折率を、測定波長589nm、測定温度23℃の条件で、分光エリプソメーター(J.A.WOOLLAM社製,製品名「M−2000」)を用いて測定した。結果を表2に示す。
〔試験例2〕(ヘーズ値の測定)
実施例および比較例で製造したコートフィルムのヘーズ値(%)を、ヘーズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH5000」)を用いて測定し、これをコートフィルムのトータルヘーズ値(%)とした。結果を表2に示す。
また、光学透明粘着材(リンテック社製,製品名「OPTERIA MO−T015」)から一方の剥離フィルムを剥離し、露出した光学透明粘着材の露出面を、実施例および比較例で製造したコートフィルムにおけるコート層側の面に貼付し、測定サンプルとした。当該測定サンプルのヘーズ値(%)を、ヘーズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH5000」)を用いて測定し、これをコートフィルムの内部ヘーズ値(%)とした。結果を表2に示す。
さらに、上記トータルヘーズ値(%)から上記内部ヘーズ値(%)を減ずることで、コートフィルムの外部ヘーズ値(%)を算出した。結果を表2に示す。
また、第1のコート層と第2のコート層とを備える実施例1〜9および比較例1〜3に係るコートフィルムについては、第1のコート層と基材フィルムとの積層体(コートフィルムの製造途中で得られる、第2のコート層を形成する前の状態のもの)を、これらの実施例および比較例と同一の条件で作製し、当該積層体におけるトータルヘーズ値(%)、内部ヘーズ値(%)および外部ヘーズ値(%)を上記と同様に測定した。これらの結果も表2に示す。
〔試験例3〕(接触角および滑落角の測定)
実施例および比較例で製造したコートフィルムにおける基材フィルム側の面を、ガラス板の片面に貼付した。その後、当該ガラス板を、コートフィルムを貼付した面が上になるように、接触角計(KYOWA社製,製品名「DH350試験台」)の試験台上に設置した。
続いて、上記コートフィルムにおけるコート層側の面に2μLの水を滴下し、滴下直後の接触角(°)を上記接触角計により測定し、これを水接触角(°)とした。結果を表2に示す。
また、上記コートフィルムにおけるコート層側の面に7μLの水を滴下した後、上記試験台を1°ずつ傾斜させていき、水の液滴が滑落し始める角度を上記接触角計により測定し、これを水滑落角(°)とした。結果を表2に示す。
また、上記コートフィルムにおけるコート層側の面に2μLのオレイン酸を滴下し、滴下直後の接触角(°)を上記接触角計により測定し、これをオレイン酸接触角(°)とした。結果を表2に示す。
さらに、上記コートフィルムにおけるコート層側の面に7μLのオレイン酸を滴下した後、上記試験台を1°ずつ傾斜させていき、オレイン酸の液滴が滑落し始める角度を上記接触角計により測定し、これをオレイン酸滑落角(°)とした。結果を表2に示す。
〔試験例4〕(指脂拭き取り性の評価)
実施例および比較例で製造したコートフィルムのヘーズ値(%)を、ヘーズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH5000」)を用いて測定した。
続いて、当該コートフィルムのコート層側の表面に、3回指を押し付けて指脂を付着させた。このとき、指脂を目視で確認できる程度まで付着させた。次に、当該指脂を付着させた部分に、ウエス(旭化成社製,製品名「ベンコット(登録商標)」)を被せた後、200g/cmの荷重をかけながら、ウエスを10cm、3往復擦ることで、拭き取り処理を行った。
上記拭き取り処理の後、上記コートフィルムのコート層側の表面における、指脂を付着させていた部分のヘーズ値(%)を、ヘーズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH5000」)を用いて測定した。
そして、上記拭き取り処理後に測定したヘーズ値(%)から、指脂の付着前に測定したヘーズ値(%)を減ずることで、ヘーズ値差(ポイント)を算出した。結果を表2に示す。
さらに、得られたヘーズ値差(ポイント)について、以下の基準に基づいて指脂拭き取り性を評価した。結果を表2に示す。
◎:ヘーズ値差(ポイント)が、2.8未満であった。
○:ヘーズ値差(ポイント)が、2.8以上、3.9未満であった。
△:ヘーズ値差(ポイント)が、3.9以上、5.1未満であった。
×:ヘーズ値差(ポイント)が、5.1以上であった。
〔試験例5〕(インク拭き取り性の評価)
実施例および比較例で製造したコートフィルムのヘーズ値(%)を、ヘーズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH5000」)を用いて測定した。
続いて、当該コートフィルムのコート層側の表面に、油性マーカー(ゼブラ社製,製品名「ハイマッキー MO−150−MC」,インク色;黒)を用いて、インクを付着させた後、当該インクを十分に乾燥させた。次に、当該インクを付着させた部分に、ウエス(旭化成社製,製品名「ベンコット(登録商標)」)を被せた後、200g/cmの荷重をかけながら、ウエスを10cm、3往復擦ることで、拭き取り処理を行った。
上記拭き取り処理の後、上記コートフィルムのコート層側の表面における、インクを付着させていた部分のヘーズ値(%)を、ヘーズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH5000」)を用いて測定した。
そして、上記拭き取り処理後に測定したヘーズ値(%)から、指脂の付着前に測定したヘーズ値(%)を減ずることで、ヘーズ値差(ポイント)を算出した。結果を表2に示す。
さらに、得られたヘーズ値差(ポイント)について、以下の基準に基づいてインク拭き取り性を評価した。結果を表2に示す。
◎:ヘーズ値差(ポイント)が、2.8未満であった。
○:ヘーズ値差(ポイント)が、2.8以上、3.9未満であった。
△:ヘーズ値差(ポイント)が、3.9以上、5.1未満であった。
×:ヘーズ値差(ポイント)が、5.1以上であった。
〔試験例6〕(耐ギラツキ性の評価)
実施例および比較例で製造したコートフィルムを、基材側を下にして、全面緑色表示(RGB値(R,G,B)=0,255,0)にしたタブレット端末(アップル社製,製品名「iPad(登録商標)」,解像度:264ppi)の表示画面の表面に載置し、以下の基準にて、目視により耐ギラツキ性の評価を行った。結果を表2に示す。
◎:ギラツキが確認されなかった。
○:実用上問題ないレベルで、ギラツキが確認された。
×:実用上問題が生じるレベルで、ギラツキが確認された。
〔試験例7〕(耐白茶け性の評価)
実施例および比較例で製造したコートフィルムを、基材側を下にして、所定の画像を表示させたタブレット端末(アップル社製,製品名「iPad(登録商標)」,解像度:264ppi)の表示画面の表面に載置し、目視により画像の白茶けおよび画像のボヤケの有無を確認し、以下の基準で耐白茶け性を評価した。結果を表2に示す。
◎:白茶けおよびボヤケのいずれも確認されなかった。
○:実用上問題ないレベルで、白茶けおよびボヤケのいずれかが確認された。
×:実用上問題が生じるレベルで、白茶けおよびボヤケのいずれかが確認された。
〔試験例8〕(耐擦傷性の評価)
実施例および比較例で製造したコートフィルムのコート層側の表面について、#0000のスチールウールを用いて、250g/cmの荷重で10cm、10往復擦った後、当該表面に生じた傷の本数を数え、以下の基準で耐擦傷性を評価した。結果を表2に示す。
◎:傷の本数が、3本未満であった。
○:傷の本数が、4本以上、10本未満であった。
×:傷の本数が、11本以上であった。
〔試験例9〕(反射率の測定)
実施例および比較例で製造したコートフィルムの基材フィルム側の面を黒色の板(ユーコウ商会社製,製品名「アクリライト」)の片面に貼付した。そして、当該コートフィルムにおける第1のコート層(コート層)側の面の反射率(%)を、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製,製品名「UV−3600」)を用いて、測定波長領域を370〜810nmとして測定した。結果を表2に示す。
〔試験例10〕(ディスプレイ視認性の評価)
実施例および比較例で製造したコートフィルムの基材フィルム側の面を透明ガラス板の片面に貼付し、コートフィルムとガラス板(厚さ:1.1mm)との積層体を得た。続いて、当該積層体を、タブレット端末(アップル社製,製品名「iPad(登録商標)」,画素密度:264ppi)のディスプレイ上に積層した。このとき、上記積層体におけるガラス板側の面が、上記ディスプレイに接するように積層した。そして、タブレット端末の表示面に所定の画像を表示させて、以下の基準でディスプレイ視認性を評価した。結果を表2に示す。
◎:画像をはっきりと見ることができ、非常に良好に視認できた。
○:画像が僅かにぼやけたが、良好に視認できた。
△:画像がぼやけて、僅かに視認不良であった。
×:画像が大きくぼやけて、視認不良であった。
Figure 2019085473
Figure 2019085473
表2から明らかなように、実施例で製造したコートフィルムは、指脂拭き取り性およびインク拭き取り性に非常に優れていた。
なお、水接触角およびオレイン酸接触角の測定に係る試験では、実施例および比較例で製造したいずれのコートフィルムにおいても、ほぼ同程度の角度となり、また、水滑落角の測定に係る試験では、実施例および比較例で製造したいずれのコートフィルムにおいても、水滴の滑落が生じることがないという結果であった(試験例3)。このように、水接触角、オレイン酸接触角および水滑落角で差が出ない場合であっても、オレイン酸滑落角を所定の範囲とすることで、優れた指脂拭き取り性を有するコートフィルムを製造できることが実証された。
さらに、実施例で製造したコートフィルムは、耐ギラツキ性、耐白茶け性、耐擦傷性およびディスプレイ視認性にも優れていた。
本発明のコートフィルムは、タッチパネルの最表層として好適に用いることができる。
1,2…コートフィルム
10,20…コート層
21…第1のコート層
22…第2のコート層
30…基材フィルム

Claims (7)

  1. 基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面側に設けられたコート層とを備えたコートフィルムであって、
    前記コート層における前記基材フィルムとは反対側の面のオレイン酸滑落角が、32°以下である
    ことを特徴とするコートフィルム。
  2. 前記コートフィルムのトータルヘーズ値が、3%以上、60%以下であることを特徴とする請求項1に記載のコートフィルム。
  3. 前記コート層が、微粒子を含有するコーティング組成物を硬化させてなることを特徴とする請求項1または2に記載のコートフィルム。
  4. 前記微粒子の平均粒径が、0.5μm以上、8μm以下であることを特徴とする請求項3に記載のコートフィルム。
  5. 前記微粒子が、有機微粒子であることを特徴とする請求項3または4に記載のコートフィルム。
  6. 前記コーティング組成物が、前記微粒子とともに、平均粒径が5nm以上、100nm以下であり、屈折率が1.6以上、3.0以下であるナノ粒子を含有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のコートフィルム。
  7. 前記コート層が、前記基材フィルムに対して近位に位置する第1のコート層と、前記基材フィルムに対して遠位に位置し、前記第1のコート層よりも屈折率の低い第2のコート層とを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のコートフィルム。
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